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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(54)【発明の名称】中間体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 333/48 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
C07D333/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541051
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2022050708
(87)【国際公開番号】W WO2022161789
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】21154605.6
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ボンラス, ワーナー
(72)【発明者】
【氏名】メドロック, ジョナサン, アラン
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー, マーク‐アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ウェステンベルグ, ベッティーナ
(57)【要約】
本発明は、ビタミンA、ビタミンA酢酸塩、又はβ-カロテン、及びそれらの誘導体、例えばカンタキサンチン、アスタキサンチン、又はゼアキサンチンの製造において好ましく使用される特定の中間体を製造するための新規な方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】

(式中、Rは、C~C-アルキル、C~C20-アルキレン、又は式
【化2】

の部位(*はその部位が結合している位置を示す)であり、
は、H、CHORであり、
は、H又は-(CO)Rであり、Rは、C~C18-アルキルであるか、又は
は式
【化3】

の部位(*はその部位が結合している位置を示す)である)
の製造方法であって、
式(II)の化合物
【化4】

(式中、R及びRは上で定義したものと同じ意味を有する)
を、少なくとも1種のアルコールである少なくとも1種の溶媒中でSOと反応させることを特徴とする、方法。
【請求項2】
Rが、C~C-アルキル、C~C16-アルキレン、又は
【化5】

(*はその部位が結合している位置を示す)であり、
が、H、CHORであり、
が、H又は-(CO)Rであり、Rが、C~C16-アルキルであるか、又は
が式
【化6】

の部位(*はその部位が結合している位置を示す)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I’)の化合物
【化7】

(式中、RはCH、C10~C16-アルキレン、又は
【化8】

(*はその部位が結合している位置を示す)である)
が製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(I’’)の化合物
【化9】

(式中、RはCHORであり、
はH又は-(CO)Rであり、RはC~C16-アルキルであるか、又は
は式
【化10】

の部位(*はその部位が結合している位置を示す)である)
が製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
以下の化合物が製造される、請求項1に記載の方法。
【化11】

【化12】
【請求項6】
前記アルコールが、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、tert-ブタノール、及びエチレングリコールからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
20℃~125℃の温度範囲で行われる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
加圧下で行われる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ゲージ圧が0.5~5bargである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1種の安定剤の存在下で行われる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種の安定剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、フェノチアジン、4-tert-ブチルカテコール、及びトコフェロールからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
化合物
【化13】
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ビタミンA、ビタミンA酢酸塩、又はβ-カロテン、及びそれらの誘導体、例えばカンタキサンチン、アスタキサンチン、又はゼアキサンチンの製造において好ましく使用される特定の中間体(ビルディングブロック)を製造するための新規な方法に関する。
【0002】
ビタミンA又はビタミン酢酸塩などのその誘導体
【化1】

は、多くの用途に重要な成分である。ビタミンAは、例えば視覚プロセス、遺伝子転写、免疫機能、骨代謝、造血、皮膚及び細胞の健康、並びに抗酸化機能など、身体全体の様々な機能において役割を果たしている。
【0003】
ビタミンA(及びその誘導体)の重要性とその合成の複雑さのため、製造プロセスの改善が常に必要とされている。
【0004】
本発明の目標は、ビタミンA若しくはその誘導体、又はβ-カロテン、好ましくはビタミンA(酢酸塩)の改良された合成に使用することができる容易に入手可能な化合物を見出すことであった。この目的は、以下に開示及び説明する合成によって達成された。
【0005】
本発明による方法に従って製造される中間体は、式(I)の化合物である
【化2】

(式中、Rは、C~C-アルキル、C~C20-アルキレン、又は式
【化3】

の部位(*はその部位が結合している位置を示す)であり、
は、H、CHORであり、
は、H又は-(CO)Rであり、Rは、C~C18-アルキルであるか、又は
は式
【化4】

の部位(アスタリスクはその部位が結合している位置を示す)である)。
【0006】
式(I)の化合物を得るためには、式(II)の化合物
【化5】

(式中、R及びRは式(I)の化合物について定義したものと同じ意味を有する)
を、溶媒としての少なくとも1種のアルコール中でSOと反応させる。
【0007】
本発明による方法は、芳香族系溶媒及び/又は塩素系溶媒を全く使用せずに(不存在下で)行われる。そのような溶媒は環境保護の点でマイナスであるため、これは大きな利点である。
【0008】
したがって、本発明は、式(I)の化合物
【化6】

(式中、Rは、C~C-アルキル、C~C20-アルキレン、又は式
【化7】

の部位(*はその部位が結合している位置を示す)であり、
は、H、CHORであり、
は、H又は-(CO)Rであり、Rは、C~C18-アルキルであるか、又は
は式
【化8】

の部位(アスタリスクはその部位が結合している位置を示す)である)
の製造方法(P)であって、
式(II)の化合物
【化9】

(式中、R及びRは上で定義したものと同じ意味を有する)
を、溶媒としての少なくとも1種のアルコール中でSOと反応させることを特徴とする、方法(P)に関する。
【0009】
上述したように、本発明による反応は、芳香族系溶媒及び/又は塩素系溶媒を使用せずに(不存在下で)行われる。そのような溶媒は反応物に対して過剰で使用される。
【0010】
したがって、本発明は、芳香族系溶媒及び/又は塩素系溶媒の不存在下で行われる方法(P)である方法(P’)に関する。
【0011】
式(II)の化合物を得る方法は先行技術から公知である(例えばZ.Wu et al,J.Am.Chem.Soc.,2005,17433より)。
【0012】
以下のスキームは、式(I)の化合物から出発してビタミンA酢酸塩を得る方法を示している:
【化10】
【0013】
好ましい実施形態では、式(I)の化合物
【化11】

(式中、Rは、C~C-アルキル、C~C16-アルキレン、又は
【化12】

(*はその部位が結合している位置を示す)であり、
は、H、CHORであり、
は、H又は-(CO)Rであり、Rは、C~C16-アルキルであるか、又は
は式
【化13】

の部位(*はその部位が結合している位置を示す)である)
が製造される。
【0014】
より好ましい実施形態では、式(I’)の化合物
【化14】

(式中、RはCH、C10~C16-アルキレン、又は
【化15】

の部位(*はその部位が結合している位置を示す)である)
が製造される。
【0015】
別のより好ましい実施形態では、式(I’’)の化合物
【化16】

(式中、RはCHORであり、
は、H又は-(CO)Rであり、Rは、C~C16-アルキルであるか、又は
は式
【化17】

の部位(*はその部位が結合している位置を示す)である)
が製造される。
【0016】
本発明による方法により製造される最も好ましい化合物は以下のものである
【化18】

【化19】
【0017】
したがって、本発明は、式中のRが、C~C-アルキル、C~C16-アルキレン、又は
【化20】

(*はその部位が結合している位置を示す)であり、
が、H、CHORであり、
が、H又は-(CO)Rであり、Rが、C~C16-アルキルであるか、又は
が式
【化21】

の部位(*はその部位が結合している位置を示す)である、方法(P)又は(P’)である方法(P’’)に関する。
【0018】
したがって、本発明は、式(I’)の化合物
【化22】

(式中、Rは、CH、C10~C16-アルキレン、又は
【化23】

(*はその部位が結合している位置を示す)である)
が製造される、方法(P)又は(P‘)である方法(P‘‘‘)に関する。
【0019】
したがって、本発明は、式(I‘‘)の化合物
【化24】

(式中、RはCHORであり、
は、H又は-(CO)Rであり、Rは、C~C16-アルキルであるか、又は
は式
【化25】

の部位(*はその部位が結合している位置を示す)である)
が製造される、方法(P)又は(P’)である方法(P’’’’)に関する。
【0020】
したがって、本発明は、以下の化合物
【化26】

【化27】

が製造される、方法(P)又は(P’)である方法(P’’’’’)に関する。
【0021】
本発明による方法は、アルコールである不活性溶媒中で行われる。好ましくは、アルコールは、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、tert-ブタノール、及びエチレングリコールからなる群から選択される。
【0022】
したがって、本発明は、アルコールがメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、tert-ブタノール、及びエチレングリコールからなる群から選択される方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)、又は(P’’’’’)である方法(P1)に関する。
【0023】
本発明による方法は、通常高温で行われる。通常、20℃~125℃の温度範囲、好ましくは25℃~110℃の温度範囲である。
【0024】
したがって、本発明は、20℃~125℃の温度範囲で行われる、方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)、(P’’’’’)、又は(P1)である方法(P2)に関する。
【0025】
したがって、本発明は、25℃~110℃の温度範囲で行われる、方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)、(P’’’’’)、又は(P1)である方法(P2’)に関する。
【0026】
SOは気体形態で反応混合物に添加することができる。これは、純粋なSOガスであっても、SOガスを含む適切な混合物であってもよい。低温又は高圧のいずれかで、SOを液体として反応混合物に添加することも可能である。望ましい反応は、SOが反応混合物に導入される方法に依存しない。
【0027】
反応は周囲圧力又は高圧で行うことができる。
【0028】
反応混合物にSOガスを連続的に添加することによって、又は望まれる量のSOを反応混合物に一度に(又は数回に分けて)任意の時点で添加することによって、本発明を行うことが可能である。
【0029】
好ましくは、SOは開始時に反応混合物に与えられ、反応は高圧で行われる。
【0030】
高圧が使用される場合、圧力は0.5~5barg、好ましくは0.5~3bargである。bargはゲージ圧と呼ばれ、絶対圧力(Pabs)と通常の大気圧(Pamb)との差として定義される。
【0031】
したがって、本発明は、高圧で行われる、方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)、(P’’’’’)、(P1)、(P2)、又は(P2’)である方法(P3)に関する。
【0032】
したがって、本発明は、ゲージ圧が0.5~5bargである方法(P3)である方法(P3’)に関する。
【0033】
したがって、本発明は、ゲージ圧が0.5~3bargである方法(P3)である方法(P3’’)に関する。
【0034】
式(I)の化合物である出発物質とSOは等モル量で使用することができる。しかし、出発物質のうちの1つを過剰に使用することも可能である。通常、SOが過剰に添加される。
【0035】
したがって、本発明は、式(I)の化合物とSOが等モル量で使用される、方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)、(P’’’’’)、(P1)、(P2)、(P2’)、(P3)、(P3’)、又は(P3’’)である方法(P4)に関する。
【0036】
したがって、本発明は、SOが式(I)の化合物に対して過剰に使用される、方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)、(P’’’’’)、(P1)、(P2)、(P2’)、(P3)、(P3’)、又は(P3’’)である方法(P4’)に関する。
【0037】
さらに、本発明による方法は、少なくとも1種の安定剤の存在下で行うこともできる。そのような安定剤は周知である。適切な安定剤は、すなわち、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、フェノチアジン、4-tert-ブチルカテコール、及びトコフェロールである。これらの化合物は少量添加される。
【0038】
したがって、本発明は、少なくとも1種の安定剤の存在下で行われる、方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)、(P’’’’’)、(P1)、(P2)、(P2’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P4)、又は(P4’)である方法(P5)に関する。
【0039】
したがって、本発明は、少なくとも1種の安定剤が、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、フェノチアジン、4-tert-ブチルカテコール、及びトコフェロールからなる群から選択される方法(P5)である、方法(P5’)に関する。
【0040】
本発明による方法の得られる生成物(これらは式(I)の化合物である)は理想的な中間体である。特にビタミンA及びその誘導体の製造において理想的である。得られる式(I)の化合物のいくつかは新規である。
【0041】
したがって、本発明は、以下の化合物に関する
【化28】
【0042】
或いは、式(I’’’)の化合物
【化29】

(式中、RはC~C18-アルキルである)
は、出発物質として式(Ia)の化合物を使用し、次いで、酸塩化物又は無水物などの(ただしこれらに限定されない)適切な試薬を用いて式(I’’’)の化合物に変換することによって製造することもできる。
【0043】
上述したように、式(I)の化合物は、有機合成、特にビタミンA、ビタミンA酢酸塩、又はβ-カロテン及びそれらの誘導体、例えばカンタキサンチン、アスタキサンチン、又はゼアキサンチンの合成に適した中間体である。
【0044】
以下の実施例は、本発明を説明する役割を有する。温度は℃で示されており、全てのパーセント割合は重量に関する。
【0045】
[実施例]
[実施例1]
(E)-1,3,3-トリメチル-2-(3-メチルペンタ-2,4-ジエン-1-イル)シクロヘクス-1-エン(7.5g、0.03mol)、BHT(125mg、0.0005mol)、及びメタノール(40ml、1.0モル)を125mlのHastelloy反応器に入れた。反応混合物を窒素でパージし、内圧が約1.5bargになるまで二酸化硫黄ガスをシリンダーから導入した。反応混合物を70℃で14時間加熱し、室温まで冷却した。圧力を解放し、反応器を窒素でパージし、全ての揮発性物質を減圧下で留去することで、粗生成物を暗色固体として得た(9.6g)。
【0046】
粗生成物をメタノール/n-ヘキサンからの結晶化によって精製することで、7.1gの(Ii)を淡灰色の固体として得た(純度95.6%[重量%]、収率84%)。
H NMR(300MHz,クロロホルム-d)δ ppm 1.03(s,3H),1.10(s,3H),1.43-1.49(m,2H),1.59(s,3H),1.60-1.68(m,2H),1.83-1.89(m,3H),1.90-1.99(m,2H),2.50-2.61(m,1H),2.66-2.76(m,1H),3.60-3.79(m,2H),3.65-3.69(m,1H),5.70(dt,J=3.6,1.6Hz,1H)
13C NMR(75MHz,クロロホルム-d)δ ppm 19.2(s),20.1(s),20.9(s),28.1(s),28.8(s),29.8(s),33.0(s),35.0(s),40.0(s),54.2(s),65.9(s),117.8(s),131.8(s),131.8(s),141.7(s)
【0047】
[実施例2]
(E)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン-1-オール(10g、0.1mol)、BHT(250mg、0.001mol)、及びメタノール(40ml、1.0mol)を125mlのHastelloy反応器に入れた。反応混合物を窒素でパージし、内圧が約1.5bargになるまで二酸化硫黄ガスをシリンダーから導入した。反応混合物を70℃で14時間加熱し、室温まで冷却した。圧力を解放し、反応器を窒素でパージし、全ての揮発性物質を減圧下で留去することで、生成物を非常に濃い色のオイルとして得た(15.2g)。
【0048】
暗色オイル(15.2g)をジクロロメタン(20ml)に溶解し、シリカゲルパッド(50g、d=4.0cm)を通して濾過し、ヘプタン/酢酸エチルで洗浄した。生成物の濾液を40℃(5mbar)で留去することで、粗生成物を褐色オイルとして得た(12.9g)。
【0049】
粗生成物をトルエン中での結晶化により精製することで、9.1gの(1a)を淡灰色固体として得た(56%)。
1H NMR(300MHz,クロロホルム-d)δ ppm 1.90(m,J=2.1,0.9Hz,3H),2.86(br.s.,1H),3.63(m,1H),3.76(m,2H),3.95(dd,J=12.7,5.7Hz,1H),4.17(d,J=11.5Hz,1H),5.79(m,J=2.9,1.4Hz,1H).
13C NMR(75MHz,クロロホルム-d)δ ppm 17.9(s),56.4(s),58.5(s),69.2(s),118.9(s),135.6(s).
【0050】
[実施例3]
(E)-3-メチルペンタ-2,4-ジエン-1-イルアセテート(10g、0.07mol)、BHT(250mg、0.001mol)、及びメタノール(40ml、1.0mol)を125mlのHastelloy反応器に入れた。反応混合物を窒素でパージし、内圧が約1.5bargになるまで二酸化硫黄ガスをシリンダーから導入した。反応混合物を70℃で14時間加熱し、室温まで冷却した。圧力を解放し、反応器を窒素でパージし、全ての揮発性物質を減圧下で留去することで、生成物(Ii)を非常に濃い色のオイル(12.5g)として得た。
【0051】
粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製することで、生成物をわずかに黄色のオイルとして得た(6.15g、43%)。
H NMR(300MHz,クロロホルム-d)δ ppm 1.88-1.92(m,3H),2.09(s,3H),3.66-3.82(m,3H),4.44-4.57(m,2H),5.81(m,1H).
13C NMR(75MHz,クロロホルム-d)δ ppm 18.1(s),20.7(s),56.2(s),59.6(s),66.09(s),119.5(s),135.3(s),170.3(s).
【0052】
[実施例4]
アルゴン雰囲気下、磁気撹拌子を備えた乾燥した三口丸底フラスコに、2-(ヒドロキシメチル)-3-メチル-2,5-ジヒドロチオフェン1,1-ジオキシド(Ia)(3.96g、24.4mmol、1.0当量)、無水酢酸(3.50mL、36.6mmol、1.5当量、d=1.081g/mL)、及びピリジン(39μl、0.49mmol、0.02当量、d=0.978g/mL)を入れた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。
【0053】
水(50mL)及び酢酸エチル(50mL)を反応混合物に添加し、30分間撹拌した。水層を分離し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機層を水(30mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム溶液(35mL)で洗浄した。その後、合わせた有機層を脱脂綿で濾過し、45℃(2mbar)で留去することで、(Ii)を黄色オイルとして得た。これはゆっくりと結晶化した(4.19g)。収率:84%。
【国際調査報告】