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  • 特表-極低温貯蔵及び輸送のための容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(54)【発明の名称】極低温貯蔵及び輸送のための容器
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/08 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
F17C3/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542892
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 US2022012596
(87)【国際公開番号】W WO2022155517
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】63/138,085
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523266648
【氏名又は名称】アゼンタ ユーエス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ ギルマー
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172BA10
3E172BB04
3E172BB12
3E172BB17
3E172BC06
3E172BC08
3E172DA04
(57)【要約】
特有の極低温貯蔵容器は、内側ネックと外側ネックとを有するデュアルネック構成を有することができる。特有の極低温貯蔵容器は、また、内側タンクの内側タンク壁に位置する内側タンクポートで極低温貯蔵容器の内側タンクに接続された温度センサを含むデータ取得アセンブリを有することができる。特有の極低温貯蔵容器は、蓋密閉アセンブリの断熱部材が少なくとも部分的に配置されるシール部材と、圧力開放弁を有する蓋密閉アセンブリを通る通路とを有する蓋密閉アセンブリをも有することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温貯蔵容器(10)であって、
内側タンク第1端部(110)、前記内側タンク第1端部と反対側の内側タンク第2端部(120)、内側タンク直径(130)、及び極低温貯蔵チャンバ(150)への内側タンク通路(140)を有する内側タンク(100)と、
外側タンク第1端部(210)、前記外側タンク第1端部と反対側の外側タンク第2端部(220)、外側タンク直径(230)、及び外側タンク通路(240)を有する外側タンク(200)と、
内側ネック第1端部(310)、前記内側ネック第1端部と反対側の内側ネック第2端部(320)、内側ネック内面(330)、及び内側ネック外面(340)を有する内側ネック(300)と、
外側ネック第1端部(410)、前記外側ネック第1端部と反対側の外側ネック第2端部(420)、外側ネック内面(430)、及び外側ネック外面(440)を有する外側ネック(400)と、
リング内面(510)及びリング外面(520)を有するリング(500)と、
カバー上面(612)と、カバー底面(614)とを有するカバー(610)、及び前記カバー底面に取り付けられ、前記カバー底面から延びる断熱部材(620)を備える蓋アセンブリ(600)と、を備え、
前記外側ネック第1端部の前記外側ネック外面又は前記外側ネック内面は、前記外側タンク通路で前記外側タンクに接続され、
前記外側ネック第2端部の前記外側ネック外面又は前記外側ネック内面は、前記内側タンク通路で前記内側タンクに接続され、
前記リング内面は、前記内側ネック第2端部で前記内側ネック外面に接続され、
前記リング外面は、前記外側ネック第2端部で前記外側ネック内面に接続され、
前記外側ネックと前記内側ネックとは、前記外側ネック内面と前記内側ネック外面との間に隙間が存在するように構成され、前記隙間の幅が少なくとも2mmである、極低温貯蔵容器。
【請求項2】
前記内側タンク通路は、前記内側タンクから延びる第1フランジを備え、前記外側ネック第2端部の前記外側ネック外面又は前記外側ネック内面は、前記外側ネック第2端部の前記外側ネック外面又は前記外側ネック内面を前記第1フランジに接着することにより、前記内側タンク通路で前記内側タンクに接続されている、請求項1記載の極低温貯蔵容器。
【請求項3】
前記外側タンク通路は、前記外側タンクから延びる第2フランジを備え、前記外側ネック第1端部の前記外側ネック外面又は前記外側ネック内面は、前記外側タンク第1端部の前記外側タンク外面又は前記外側タンク内面を前記第2フランジに接着することにより、前記外側タンクに接続されている、請求項1又は2に記載の極低温貯蔵容器。
【請求項4】
前記内側ネックは、第1繊維ガラス材料からなる、請求項1~3のいずれかに記載の極低温貯蔵容器。
【請求項5】
前記第1繊維ガラス材料は、ガロライトG-10/FR4繊維ガラス-エポキシラミネート材料である、請求項4に記載の極低温貯蔵容器。
【請求項6】
前記外側ネックは、第2繊維ガラス材料からなる、請求項1~5のいずれかに記載の極低温貯蔵容器。
【請求項7】
前記第2繊維ガラス材料は、ガロライトG-10/FR4繊維ガラス-エポキシラミネート材料である、請求項6に記載の極低温貯蔵容器。
【請求項8】
前記リングは、アルミニウム材料からなる、請求項1~7のいずれかに記載の極低温貯蔵容器。
【請求項9】
前記内側タンクの少なくとも一部は、第1疎水性吸収材(180)によって囲まれている、請求項1~8のいずれかに記載の極低温貯蔵容器。
【請求項10】
前記第1疎水性吸収材は、クリオゲル(登録商標)である、請求項9に記載の極低温貯蔵容器。
【請求項11】
前記外側ネックの少なくとも一部は、前記第1疎水性吸収材によって囲まれている、請求項9又は10に記載の極低温貯蔵容器。
【請求項12】
前記外側ネックは、外側ネック外径(450)を有し、前記外側ネック外径は、前記内側タンク径よりわずかに小さい、請求項1~11のいずれかに記載の極低温貯蔵容器。
【請求項13】
極低温貯蔵容器であって、
極低温貯蔵チャンバ(150)を少なくとも部分的に取り囲む少なくとも1つの内側タンク壁(160)を備え、前記内側タンク壁が少なくとも1つの内側タンクポート(170)を備える内側タンク(100)と、
少なくとも1つの外側タンク壁(250)を備え、前記外側タンク壁が少なくとも1つの外側タンクポート(260)を備える外側タンク(200)と、
温度センサ(710)、少なくとも1つのワイヤ(720)、及びデータロギング及び表示装置(730)を備えるデータ取得アセンブリと、を備え、
前記温度センサは、前記内側タンクポートで前記内側タンクに接続され、
前記データロギング及び表示装置は、前記外側タンクの外部に配置され、
前記少なくとも1つのワイヤは、第1端部で前記温度センサに電気的に接続し、前記内側タンクと前記外側タンクとの間の空間を通って、前記外側タンクポートを通って延び、第2端部で前記データロギング及び表示装置に電気的に接続し、
前記少なくとも1つのワイヤは、ワイヤ長、ワイヤゲージ、及び前記ワイヤ長と前記ワイヤゲージとの比率を有し、前記比率が少なくとも500:1である、極低温貯蔵容器。
【請求項14】
前記外側タンクポートは、密閉真空フィードスルー装置(265)を備える、請求項13に記載の極低温貯蔵容器。
【請求項15】
前記少なくとも1つの外側タンクポートを備える前記外側タンク壁は、外側タンク上壁(252)である、請求項13又は14に記載の極低温貯蔵容器。
【請求項16】
前記少なくとも1つの外側タンクポートを備える前記外側タンク壁は、外側タンク側壁(254)であり、前記少なくとも1つの外側タンクポートは、前記外側タンク側壁の上端部に位置する、請求項13又は14に記載の極低温貯蔵容器。
【請求項17】
前記少なくとも1つの内側タンクポートを備える前記内側タンク壁は、内側タンク上壁(162)である、請求項13~16のいずれかに記載の極低温貯蔵容器。
【請求項18】
前記少なくとも1つの内側タンクポートを備える前記内側タンク壁は、内側タンク側壁(164)であり、前記少なくとも1つの内側タンクポートは、前記内側タンク側壁の上端に位置する、請求項13~16のいずれかに記載の極低温貯蔵容器。
【請求項19】
ワイヤ長とワイヤゲージとの間の前記比率は、少なくとも500:1、少なくとも5000:1、少なくとも50000:1、少なくとも500000:1、少なくとも850000:1、及び少なくとも1000000:1からなる群から選択される、請求項13~18のいずれかに記載の極低温貯蔵容器。
【請求項20】
極低温貯蔵容器であって、
内側タンク壁に配置された極低温貯蔵チャンバ(150)への内側タンク通路(140)を有する少なくとも1つの内側タンク壁(160)を備える内側タンク(100)と、
外側タンク壁に配置された外側タンク通路(240)を有する少なくとも1つの外側タンク壁(250)を備える外側タンク(200)と、
カバー上面(612)と、カバー底面(620)と、前記カバー底面に取り付けられ、前記カバー底面から延びる断熱部材(620)と、前記断熱部材及びカバーを通って延びる通路(630)と、前記カバー上面の外側の通路第1端部(635)に取り付けられた圧力開放弁(640)とを有するカバー(610)を備える蓋アセンブリ(100)と、
ネック内面(810)を有するネック(800)と、
シール部材外周面及びシール部材内面を有するシール部材(900)と、を備え、
前記ネックは、前記内側タンク通路と前記外側タンク通路との間に延び、
前記断熱部材は、前記蓋アセンブリが閉位置にあるとき、少なくとも部分的に前記ネック内に配置され、前記シール部材内面と嵌合するように構成される、極低温貯蔵容器。
【請求項21】
前記シール部材外周面は、前記蓋アセンブリが閉位置にあるとき、前記ネック内面と嵌合するように構成される、請求項20に記載の極低温貯蔵容器。
【請求項22】
前記シール部材外周面は、前記ネック内面に接続されている、請求項20又は21に記載の極低温貯蔵容器。
【請求項23】
前記シール部材内面は、前記断熱部材に接続されている、請求項20又は21に記載の極低温貯蔵容器。
【請求項24】
前記シール部材は、前記極低温貯蔵チャンバ内に位置し、前記内側タンク通路で前記内側タンク壁に接続されている、請求項20に記載の極低温貯蔵容器。
【請求項25】
前記シール部材は、一対の対向シールを備える請求項20~24のいずれかに記載の極低温貯蔵容器。
【請求項26】
前記シール部材は、疎水性ポリマー材料からなる請求項20~25のいずれかに記載の極低温貯蔵容器。
【請求項27】
前記疎水性ポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である、請求項26に記載の極低温貯蔵容器。
【請求項28】
前記圧力開放弁は、少なくとも5psiの圧力で開くように構成されている、請求項20~27のいずれかに記載の極低温貯蔵容器。
【請求項29】
前記圧力開放弁は、流量計をさらに備える、請求項20~28のいずれかに記載の極低温貯蔵容器。
【請求項30】
前記流量計は、データロギング及び表示装置に電子的に接続されている、請求項29に記載の極低温貯蔵容器。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本出願は、2021年1月15日に出願された米国仮出願第63/138、085号の優先権を主張し、その教示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
極低温貯蔵容器としても知られている極低温貯蔵デュワは、断熱容器である。断熱容器は、貯蔵中に極低温又はその温度に近い温度に保たれなければならない極低温液体及び冷凍内容物を一時的に貯蔵するために設計されている。例えば、研究用サンプルや生物学的製剤などのライフサイエンス製品は、解凍後の生存能力を維持するために極低温で保存される必要がある(但し、これに限定されるものではない)。製品を使用するために必要な場合、携帯用デュワ/容器は、所望の極低温を維持しながら製品の輸送及び配送に対応することができる。
【0003】
輸送及び配送中に製品を極低温に維持することには、いくつかの問題が生じる。既知の問題の1つは、輸送及び配送プロセス中にデュワ/容器の貯蔵空間内の極低温を確保することである。輸送中にデュワ/容器に追加の冷媒を導入することは、不可能ではないが、しばしば困難であるため、輸送中に貯蔵空間内の温度上昇を低減し、排除することが重要になる。
【0004】
別の既知の問題は、温度監視である。輸送及び配送用に設計された典型的なデュワ/容器は、センサの重要な電気部品が容器内の冷媒にさらされないように、デュワ/容器の蓋に配置された温度センサを有する。しかしながら、センサをデュワ/容器の蓋に配置することは、いくつかの問題を引き起こす。特に、センサをデュワ/容器の蓋に設置すると、製品が配置されている貯蔵空間内の温度を正確に読み取ることができない。さらに、輸送前、輸送中、輸送後に蓋が外されることがあるため、センサを蓋に配置すると、センサがデュワ/容器から分離してしまい、温度情報が誤解されたり、時間の経過とともに温度情報にズレが生じたりする。
【0005】
さらに別の既知の問題は、輸送中にデュワ/容器内の極低温レベルを維持することに関する。デュワ/容器は、過加圧を防止するために、極低温空間を大気に対して通気口を設ける必要がある。通気口機構の設計のため、既知の輸送用デュワ/容器は、冷媒が通気口機構から外部に漏れないように、輸送中に完全に直立に維持される必要がある。冷媒が漏れると、デュワ/容器の貯蔵空間の温度が上昇し、その中の製品が腐敗する可能性がある。しかしながら、デュワ/容器を輸送サイクル中に完全に直立した状態に維持することは困難な場合がある。
【0006】
別の問題は、冷媒の漏れに関連する問題を解決することである。そのような試みの1つは、米国特許出願公開第2019/0211971号に開示されている。米国特許出願公開第2019/0211971号に開示された装置は、筐体及びキャビティを有する貯蔵システムを備える。貯蔵システムは、筐体のキャビティ内に配置されるデュワを有する。筐体内で自由に回転できること、及び受動的安定化を有することにより、デュワは、筐体の向きにかかわらず直立したままであり、漏れを防止する。
【0007】
米国特許出願公開第2019/0211971号に開示された装置は、デュワを直立位置に維持し、したがって、冷媒の漏れを防止するために、複雑な外部筐体構造及び安定化機構に依存している。そのような機構は、製造及び動作が困難である。
【0008】
したがって、輸送中に温度上昇を低減することができる改良された極低温デュワ/貯蔵容器に対する必要性が存在する。また、デュワ/容器の冷媒貯蔵チャンバ内の温度をより正確且つ連続的に監視することができる改良された極低温デュワ/貯蔵容器に対する必要性も存在する。最後に、輸送中にデュワ/容器を完全に直立した状態に維持することなく、輸送中に冷媒が漏れる可能性を低減する改良された極低温デュワ/貯蔵容器の必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書では、極低温貯蔵容器を説明する。極低温貯蔵容器のいくつかの実施形態は、内側タンク、外側タンク、内側ネック、外側ネック、リング、及び蓋アセンブリを備えることができる。
【0010】
そのような実施形態では、内側タンクは、内側タンク第1端部と、内側タンク第1端部と反対側の内側タンク第2端部とを有することができる。内側タンクは、また、内側タンク直径と、極低温貯蔵チャンバへの内側タンク通路とを有することができる。
【0011】
外側タンクは、外側タンク第1端部と、外側タンク第1端部と反対側の外側タンク第2端部とを有することができる。外側タンクは、また、外側タンク直径と、外側タンク通路とを有することができる。
【0012】
内側ネックは、内側ネック第1端部と、内側ネック第1端部と反対側の内側ネック第2端部とを有することができる。内側ネックは、また、内側ネック内面と、内側ネック外面とを有することができる。
【0013】
外側ネックは、外側ネック第1端部と、外側ネック第1端部と反対側の外側ネック第2端部とを有することができる。外側ネックは、また、外側ネック内面と、外側ネック外面とを有することができる。
【0014】
リングは、リング内面とリング外面とを有することもできる。リング内面は、内側ネック第2端部で内側ネック外面に接続されることもできる。リング外面は、外側ネック第2端部で外側ネック内面に接続されることもできる。
【0015】
蓋アセンブリは、カバー上面及びカバー底面を有するカバーを備えることもできる。蓋アセンブリは、また、カバー底面に取り付けられ、カバー底面から延びる断熱部材を備えることができる。
【0016】
外側ネック第1端部の外側ネック外面又は外側ネック内面は、外側タンク通路で外側タンクに接続されることもできる。同様に、外側ネック第2端部の外側ネック外面又は外側ネック内面は、内側タンク通路で内側タンクに接続されることもできる。
【0017】
外側ネック及び内側ネックは、外側ネック内面と内側ネック外面との間に隙間が存在するように構成されることもできる。隙間は、幅を少なくとも2mmにすることができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、内側タンク通路は、内側タンクから延びる第1フランジを備えることができる。外側ネック第2端部の外側ネック外面又は外側ネック内面は、外側ネック第2端部の外側ネック外面又は外側ネック内面を第1フランジに接着することによって、内側タンク通路で内側タンクに接続されることができる。
【0019】
特定の実施形態では、外側タンク通路は、外側タンクから延びる第2フランジを備えることができる。外側ネック第1端部の外側ネック外面又は内側ネック内面は、外側ネック第1端部の外側ネック外面又は外側ネック内面を第2フランジに接着することにより、外側タンク通路で外側タンクに接続されることもできる。
【0020】
いくつかの実施形態では、内側ネックは、第1繊維ガラス材料からなることもできる。第1繊維ガラス材料は、ガロライトG-10/FR4繊維ガラス-エポキシラミネート材料であってもよい。同様に、ある実施形態では、外側ネックは、第2繊維ガラス材料からなることもできる。第2繊維ガラス材料は、ガロライトG-10/FR4繊維ガラス-エポキシラミネート材料であってもよい。ある実施形態では、リングは、アルミニウム材料からなることもできる。
【0021】
特定の実施形態では、内側タンクの少なくとも一部は、第1疎水性吸収材によって囲まれることもできる。第1疎水性吸収材は、クリオゲル(登録商標)であってもよい。いくつかのそのような実施形態では、外側ネックの少なくとも一部は、第1疎水性吸収性材によって囲まれることもできる。
【0022】
いくつかの実施形態では、外側ネックは、外側ネック外径を有することができる。外側ネック外径は、内側タンク外径よりわずかに小さい場合もある。
【0023】
また、本明細書では、内側タンク、外側タンク、及びデータ取得アセンブリを備える極低温貯蔵容器が説明される。内側タンクは、少なくとも1つの内側タンク壁から構成されることもできる。少なくとも1つの内側タンク壁は、極低温貯蔵チャンバを少なくとも部分的に取り囲むことができる。内側タンク壁は、少なくとも1つの内側タンクポートを備えることもできる。外側タンクは、少なくとも1つの外側タンク壁から構成されることもできる。外側タンク壁は、少なくとも1つの外側タンクポートを備えることもできる。データ取得アセンブリは、温度センサ、少なくとも1つのワイヤ、及びデータロギング及び表示装置を備えることもできる。
【0024】
温度センサは、内側タンクポートで内側タンクに接続されることもできる。データロギング及び表示装置は、外側タンクの外部に配置されることもできる。少なくとも1つのワイヤは、第1端部で温度センサに電気的に接続され、内側タンクと外側タンクとの間の空間を通って外側タンクポートを通って延び、第2端部でデータロギング及び表示デ装置に電気的に接続されることができる。少なくとも1つのワイヤは、ワイヤ長、ワイヤゲージ、及びワイヤ長とワイヤゲージとの比率を有し、比率が少なくとも850000:1であり得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、外側タンクポートは、密閉真空フィードスルー装置を構成することができる。少なくとも1つの外側タンクポートを構成する外側タンク壁は、外側タンク頂部壁であってもよい。あるいは、外側タンクポートを構成する外側タンク壁は、外側タンク側壁であってもよく、少なくとも1つの外側タンクポートは、外側タンク側壁の上端部に位置することもできる。
【0026】
特定の実施形態では、少なくとも1つの内側タンクポートを構成する内側タンク壁は、内側タンク上壁であってよい。あるいは、少なくとも1つの内側タンクポートを構成する内側タンク壁は、内側タンク側壁であってもよく、少なくとも1つの内側タンクポートは、内側タンク側壁の上端部に位置することもできる。
【0027】
いくつかの実施形態において、ワイヤ長とワイヤゲージとの間の比率は、少なくとも900000:1、少なくとも950000:1、及び少なくとも100000:1からなる群から選択されることもできる。
【0028】
本明細書では、さらに、内側タンク、外側タンク、蓋アセンブリ、ネック、及びシール部材を備える極低温貯蔵容器が記載される。内側タンクは、内側タンク壁内に配置された極低温貯蔵チャンバへの内側タンク通路を有する少なくとも1つの内側タンク壁から構成されることもできる。外側タンクは、外側タンク壁内に配置された外側タンク通路を有する少なくとも1つの外側タンク壁から構成されることもできる。蓋アセンブリは、カバー上面及びカバー底面を有するカバーと、カバー底面に取り付けられ、カバー底面から延びる断熱部材と、断熱部材及びカバーを通って延びる通路と、カバー上面の外側の通路第1端部に取り付けられた圧力開放弁と、を備えることもできる。ネックは、ネック内面を有することもできる。シール部材は、シール部材外周面とシール部材内周面とを有することもできる。
【0029】
ネックは、内側タンク通路と外側タンク通路との間に延びることもできる。断熱部材は、蓋アセンブリが閉位置にあるときに、少なくとも部分的にネック内に配置され、シール部材内面と嵌合するように構成されることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、シール部材外周面は、蓋アセンブリが閉位置にあるときにネック内面と嵌合するように構成されることができる。特定の実施形態では、シール部材外周面は、ネック内面に接続されることができる。ある実施形態では、シール部材内面は、断熱部材に接続されることもできる。
【0031】
特定の実施形態では、シール部材は、極低温貯蔵チャンバ内に配置されることもできる。シール部材は、内側タンク通路で内側タンク壁に接続されることもできる。
【0032】
ある実施形態では、シール部材は、1対の対向シールからなることもできる。
【0033】
特定の実施形態では、シール部材は、疎水性ポリマー材料からなることもできる。疎水性ポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、圧力解放弁は、少なくとも5psiの圧力で開くように構成されることもできる。特定の実施形態では、圧力開放弁は、流量計をさらに備えることもできる。存在する場合、流量計は、データロギング及び表示装置に電子的に接続されることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、極低温貯蔵容器のネックアセンブリの断面図である。
図2図2は、極低温貯蔵容器のデータロギングシステムの断面図である。
図3図3は、極低温貯蔵容器の蓋密閉装置の一実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書は極低温貯蔵容器を開示する。図を参照しながら、極低温貯蔵容器を以下に説明する。本明細書及び特許請求の範囲に記載されているように、以下の番号は、図に記されているように、以下の構造を示す。
【0037】
10は極低温貯蔵容器を示す。
【0038】
100は内側タンクを示す。
【0039】
110は内側タンク第1端部を示す。
【0040】
120は内側タンク第2端部を示す。
【0041】
130は内側タンク直径を示す。
【0042】
140は内側タンク通路を示す。
【0043】
150は極低温貯蔵チャンバを示す。
【0044】
160は内側タンク壁面を示す。
【0045】
162は内側タンク上壁を示す。
【0046】
164 は内側タンク側壁を示す。
【0047】
166は内側タンク底壁を示す。
【0048】
170は内側タンクポートを示す。
【0049】
180は疎水性吸収材を示す。
【0050】
200は外側タンクを示す。
【0051】
210は外側タンク第1端部を示す。
【0052】
220は外側タンク第2端部を示す。
【0053】
230は外側タンク直径を示す。
【0054】
240は外側タンク通路を示す。
【0055】
250は外側タンク壁面を示す。
【0056】
252は外側タンク上壁を示す。
【0057】
254は外側タンク側壁を示す。
【0058】
256は外側タンク底壁を示す。
【0059】
260は外側タンクポートを示す。
【0060】
265は密閉真空フィードスルー装置を示す。
【0061】
300は内側ネックを示す。
【0062】
310は内側ネック第1端部を示す。
【0063】
320は内側ネック第2端部を示す。
【0064】
330は内側ネック内面を示す。
【0065】
340は内側ネック外面を示す。
【0066】
400は外側ネックを示す。
【0067】
410は外側ネック第1端部を示す。
【0068】
420は外側ネック第2端部を示す。
【0069】
430は外側ネック内面を示す。
【0070】
440は外側ネック外面を示す。
【0071】
450は外側ネック外径を示す。
【0072】
500はリングを示す。
【0073】
510はリング内面を示す。
【0074】
520はリング外面を示す。
【0075】
600は蓋アセンブリを示す。
【0076】
610はカバーを示す。
【0077】
612はカバー上面を示す。
【0078】
614はカバー底面を示す。
【0079】
620は断熱部材を示す。
【0080】
625は断熱部材の長さを示す。
【0081】
630は通路を示す。
【0082】
635は通路第1端部を示す。
【0083】
640は圧力開放弁を示す。
【0084】
710は温度センサを示す。
【0085】
720はワイヤを示す。
【0086】
730はデータロギング及び表示装置を示す。
【0087】
800はネックを示す。
【0088】
810はネック内面を示す。
【0089】
900はシール部材を示す。
【0090】
本明細書に開示される極低温貯蔵容器(10)は、新規なネックアセンブリ、新規なデータロギングシステム、及び新規な蓋密閉装置のうちの1つ以上を有する。新規なネックアセンブリ、新規なデータロギングシステム、及び新規な蓋密閉装置は、個別に、又はそれらの任意の組み合わせで、極低温貯蔵容器に存在することができる。すなわち、極低温貯蔵容器は、本明細書に開示された新規なネックアセンブリの任意の実施形態、本明細書に開示された新規なデータロギングシステムの任意の実施形態、及び/又は本明細書に開示された新規な蓋密閉装置の任意の実施形態のうちのいずれか1つ以上を有してもよい。新規なネックアセンブリ、新規なデータロギングシステム、及び新規な蓋密閉装置は、それぞれ、様々な図を参照して、以下に別々に説明される。
【0091】
ネックアセンブリ
図1は、極低温貯蔵容器(10)のネックアセンブリの一実施形態の断面図である。図1に示すように、極低温貯蔵容器は、内側タンク(100)及び外側タンク(200)を有する。ネックアセンブリは、内側ネック(300)、外側ネック(400)、及びリング(500)を備えることもできる。
【0092】
内側タンク(100)は、少なくとも1つの内側タンク壁(160)で構成されることもできる。内側タンクの好ましい構成は、内側タンク上壁(162)と、内側タンク底壁(166)と、内側タンク上壁と内側タンク底壁との間の距離にまたがる内側タンク側壁(164)とからなる閉鎖円柱である。しかしながら、立方体、球体、又はスフェロイドのような他の構成も考えられる。内側タンク壁は、溶接によって、又は内側タンク壁を単一の一体型材料から製造することによってなど、永久に密閉された様式で一緒に接合されることが好ましい。
【0093】
内側タンク(100)は、内側タンク上壁(162)に近接する内側タンク第1端部(110)と、内側タンク底壁(166)に近接する内側タンク第2端部(120)とを有する。内側タンク第1端部は、内側タンク第2端部と反対側にある。内側タンクは、また、内側タンクの断面形状が非円形構成となる実施形態において内側タンク幅とも呼ばれ得る内側タンク直径(130)を有する。
【0094】
内側タンク(100)は、また、内側タンクの内部へのアクセスを可能にする内側タンク通路(140)を有する。内側タンクの内部は、試料が低温貯蔵のために置かれる場所であり、それに応じて、低温貯蔵チャンバ(150)と呼ばれることがある。好ましくは、内側タンク通路は、内側タンク壁の1つ、最も好ましくは内側タンク上壁(162)の孔の形態である。孔は、好ましい形状が円形である任意の形状であってよい。他の形状としては、正方形、長方形、卵形、及び六角形が挙げられる。
【0095】
外側タンク(200)は、少なくとも1つの外側タンク壁(250)で構成されることもできる。外側タンクの好ましい構成は、外側タンク上壁(252)と、外側タンク底壁(256)と、外側タンク上壁と外側タンク底壁との間の距離にまたがる外側タンク側壁(254)とからなる閉鎖円柱である。しかしながら、立方体、球体、又は回転楕円体のような他の構成も考えられる。外側タンク壁は、溶接によって、又は外側タンク壁を単一の一体型材料で製造することによってなど、永久に密閉された様式で一緒に接合されることが好ましい。
【0096】
外側タンク(200)は、外側タンク上壁(252)に近接する外側タンク第1端部(210)と、外側タンク底壁(256)に近接する外側タンク第2端部(220)とを有する。外側タンク第1端部は、外側タンク第2端部と反対側にある。外側タンクは、また、外側タンクの断面形状が非円形構成となる実施形態において外側タンク幅とも呼ばれ得る外側タンク直径(230)を有する。
【0097】
外側タンク(200)は、また、外側タンクの内部へのアクセスを可能にする外側タンク通路(240)を有する。好ましくは、外側タンク通路は、外側タンク壁の1つ、最も好ましくは外側タンク上壁(252)の孔の形態である。孔は、好ましい形状が円形である任意の形状であってよい。他の形状としては、正方形、長方形、卵形、及び六角形が挙げられる。好ましくは、外側タンク通路のための孔は、内側タンク通路(140)のための孔のサイズ及び形状と同様又は同一のサイズ及び形状となる。
【0098】
外側タンク(200)は、内側タンク(100)よりも大きい。すなわち、外側タンクの内寸は、内側タンクの外寸よりも大きい。外側タンクが内側タンクよりも大きいので、図1に示すように、内側タンクと外側タンクとの間には空間が形成される。運転中、この空間は、内側タンク及びその極低温貯蔵チャンバ(150)への熱伝達を制限又は低減するために、真空状態となる。
【0099】
内側ネック(300)は、内側ネック内面(330)と内側ネック外面(340)とを有する少なくとも1つの内側ネック壁で構成されることができる。好ましくは、内側ネックは、内側タンク通路(140)及び外側タンク通路(240)のための孔の大きさ及び形状と同様又は同一の大きさ及び形状となる。すなわち、内側タンク通路のための孔が約50cmの直径を有する円形の孔であり、外側タンク通路のための孔が約50cmの直径を有する円形の孔である場合、好ましくは、内側ネックは、約50cmの内径を有する開放端円筒形状となる。
【0100】
内側ネック(300)は、内側ネック第1端部(310)と、内側ネック第1端部と反対側にある内側ネック第2端部(320)とを有する。極低温貯蔵容器(10)に設置されると、内側ネック第1端部は外側タンク第1端部(210)の方向に向けられるが、内側ネック第2端部は外側タンク第2端部(220)の方向に向けられることがある。
【0101】
外側ネック(400)は、外側ネック内面(430)と外側ネック外面(440)とを有する少なくとも1つの外側ネック壁で構成されることができる。好ましくは、外側ネックは、内側ネック(300)よりもわずかに大きくなるようなサイズ及び形状を有する。すなわち、内側ネックが52cmの外径を有する開放端円筒形状であるとき、外側ネックは、好ましくは、52cmよりもわずかに大きい内径を有する開放端円筒形状となる。この文脈では、わずかに大きいとは、少なくとも2mm以上であることを意味し、少なくとも5mm以上であることがより好ましく、少なくとも10mm以上であることが最も好ましい。外側ネックと内側ネックとのサイズ差の制限は特にないが、外側ネックと内側ネックとが外側タンク(200)の内部で適合できるようなサイズであることが望ましいという例外がある。
【0102】
外側ネック(400)は、外側ネック第1端部(410)と、外側ネック第1端部と反対側にある外側ネック第2端部(420)とを有する。極低温貯蔵容器(10)に設置されると、外側ネック第1端部は、内側ネック第1端部(310)の方向に向けられるが、外側ネック第2端部は、内側ネック第2端部(320)の方向に向けられることがある。
【0103】
リング(500)は、リング内面(510)及びリング外面(520)を有する剛性材料からなることもできる。好ましくは、リングは、内側ネック(300)及び外側ネック(400)のサイズ及び形状に一致するサイズ及び形状を有する。すなわち、リングは、内側ネックの外寸よりもわずかに大きい内寸と、外側ネックの内寸よりもわずかに小さい外寸とを有する。この文脈では、わずかに大きいとは、5mmより大きくないこと意味し、3mmより大きくないことが好ましく、2mmより大きくないことさらに好ましく、1mmより大きくないことが最も好ましい。この文脈では、わずかに小さいとは、5mm以下であり、3mm以下がより好ましく、2mm以下がさらに好ましく、1mm以下が最も好ましいという意味である。
【0104】
リング(500)は、多くの技法を用いて内側ネック(300)及び外側ネック(400)に接続されることができる。好ましい技法の1つは、まずリングを冷却してリングの外寸を少なくとも0.5%収縮させ、次にリングを外側ネックの内寸に挿入してリングが室温に戻るようにする。次に、リングを加熱してリングの内寸を少なくとも0.5%拡大し、その後、内側ネックをリングの内寸に挿入し、室温に戻すことができる。こうすることで、リングの外寸と外側ネックの内寸との間に摩擦嵌合が生じるとともに、リングの内寸と内側ネック部の外寸との間にも摩擦嵌合が生じる。いくつかの実施形態では、この摩擦嵌合は、摩擦嵌合が生じる前又は後に表面に塗布される2液型エポキシのような接着剤によって補助されることができる。
【0105】
リング(500)は、内側ネック(300)に接続されることができる。リングと内側ネックとの間の接続は、内側ネック第2端部(320)におけるリング内面(510)と内側ネック外面(340)との間の界面で生じる場合がある。リング(500)と内側ネック(300)との間の接続は、多くの形態をとることができる。このような接続の非限定的な例としては、摩擦嵌合(本明細書に記載)、内側ネック第2端部(320)におけるリング内面(510)と内側ネック外面(340)との間の界面の接着剤接続、内側ネック第2端部におけるリング内面と内側ネック外面との間の溶接界面、内側ネック第2端部におけるリングを内側ネック外面に接続する少なくとも1つの締結具、例えば、ナット及びボルト、ネジ、リベット、クランプ、及びそれらの組合せが考えられる。
【0106】
接続が接着剤接続である場合、内側ネック外面(340)とリング内面(510)との間に結合が形成される。結合は、好ましくは、内側ネック内面とリング内面との間の界面に接着剤が塗布される接着剤結合である。好ましい接着剤は、異種材料に対する高い接着強度、高粘度、及び高い剪断強度を示す。また、接着剤が極低温に対して不浸透性であることも好ましい(すなわち、接着剤は極低温で脆くなったり、割れたり、剥がれたり、崩壊したりしない)。このような接着剤の例としては、エポキシが挙げられ、1つの好ましいエポキシは、米国ノースカロライナ州ケーリーのロード・コーポレーションから入手可能なロード(商標登録)3170-A/3170-Bエポキシである。
【0107】
外側ネック第1端部(410)における外側ネック(400)は、外側タンク(209)に接続されることができる。好ましくは、外側ネック第1端部における外側ネックは、外側タンク通路(240)で外側タンクと接続される。外側ネック第1端部(410)における外側ネック(400)と外側タンク(200)との間の接続は、多くの形態をとることができる。このような接続の非限定的な例としては、摩擦嵌合(本明細書に記載)、外側タンク通路(240)における外側ネック第1端部と外側タンクとの間の界面の接着剤接続、外側タンク通路における外側ネック第1端部と外側タンクとの間の溶接界面、外側タンク通路で外側ネック第1端部を外側タンクに接続する少なくとも1つの締結部、例えば、ナット及びボルト、ネジ、リベット、クランプ及びそれらの組合せが考えられる。
【0108】
1つの好ましい実施形態は、外側タンク通路(240)が第2フランジを備えることを含む。存在する場合、第2フランジは、外側タンク(200)の内面又は外面から延びることができる。その後、外側ネック第1端部(410)における外側ネック外面(440)は、第2フランジに接着されてもよいが、特定の実施形態では、外側ネック第1端部における外側ネック内面(430)が第2フランジに接着されることもできる。接着は、好ましくは、外側ネック外面(又は外側ネック内面)と第2フランジとの間の界面に接着剤を塗布する接着剤接着である。好ましい接着剤は、異種材料に対する高い接着強度、高粘度、及び高い剪断強度を示す。また、接着剤は極低温に不浸透であることが好ましい。このような接着剤の例としては、エポキシが挙げられ、1つの好ましいエポキシは、米国ノースカロライナ州ケーリーのロード・コーポレーションから入手可能なロード(商標登録)3170-A/3170-Bエポキシである。いくつかの実施形態において、外側ネック外面(又は外側ネック内面)と第2フランジとの間の結合は、例えば、ボルト及びナット、ネジ、リベット、クランプのような1つ以上の締結具を使用する形態であるか、それによって補助されることができる。
【0109】
外側ネック第2端部(420)における外側ネック(400)は、内側タンク(100)に接続されることができる。好ましくは、外側ネック第2端部における外側ネックは、内側タンク通路(140)で内側タンクに接続される。外側ネック第2端部(420)における外側ネック(400)と内側タンク(100)との間の接続は、多くの形態を取ることができる。そのような接続の非限定的な例としては、摩擦嵌合(本明細書に記載)、内側タンク通路(140)における外側ネック第2端部と内側タンクとの間の界面の接着剤接続、内側タンク通路における外側ネック第2端部と内側タンクとの間の溶接界面、内側タンク通路において外側ネック第2端部を内側タンクに接続する少なくとも1つの締結具、例えばナット及びボルト、ネジ、リベット、クランプ及びそれらの組合せが考えられる。
【0110】
1つの好ましい実施形態は、内側タンク通路(140)が第1フランジを備えることを含む。存在する場合、第1フランジは、内側タンク(100)の内面又は外面から延びることができる。その後、外側ネック第2端部(420)における外側ネック外面(440)が第1フランジに接着されてもよいが、特定の実施形態では、外側ネック第2端部における外側ネック内面(430)が第1フランジに接着されることもできる。接着は、好ましくは、外側ネック外面(又は外側ネック内面)と第1フランジとの間の界面に接着剤を塗布する接着剤接着である。好ましい接着剤は、異種材料に対する高い接着強度、高粘度、及び高い剪断強度を示す。また、接着剤は、極低温に不浸透であることが好ましい。いくつかの実施形態では、外側ネック外面(又は外側ネック内面)と第2フランジとの間の結合は、例えば、ボルト及びナット、ネジ、リベット、クランプのような1つ以上の締結具を使用する形態であるか、それによって補助されることができる。
【0111】
リング(500)は、外側ネック(400)に接続されることができる。リングと外側ネックとの間の接続は、外側ネック第2端部(420)におけるリング外面(520)と外側ネック内面(430)との間の界面で生じる場合がある。リング(500)と外側ネック(400)との間の接続は、多くの形態をとることができる。そのような接続の非限定的な例としては、摩擦嵌合(本明細書に記載)、外側ネック第2端部(420)におけるリング外面(520)と外側ネック内面(430)との界面の接着剤接続、外側ネック第2端部におけるリング外面と外側ネック内面との界面の溶接、外側ネック第2端部における外側ネックをリングに接続するナット及びボルト、ネジ、リベット、クランプ、それらの組み合わせなどの少なくとも1つの締結具が挙げられる。
【0112】
一旦組み立てられると、リング(500)に接続されていない内側ネックと外側ネックとの長さ全体にわたって、外側ネック(400)と内側ネック(300)との間に隙間が存在することになる。この隙間は、幅2mm以上が好ましく、幅5mm以上がより好ましく、幅10mm以上がさらに好ましい。隙間の大きさについては、外側タンク(200)の内部で外側ネックと内側ネックとが収まるような大きさにすることを除いて、特に制限はない。この隙間は、内側タンク及びその低温貯蔵チャンバ(150)への熱伝達を制限又は低減するために、真空状態にすることもある。
【0113】
外側ネック(400)は、外側ネック外径(450)を有する。いくつかの実施形態では、外側ネック外径は、図1に示すように、内側タンク径(130)よりもわずかに小さい場合がある。わずかに小さいとは、外側ネック外径が内側タンク径より少なくとも5mm小さいことを意味し、内側タンク径より少なくとも10mm小さいことが好ましく、内側タンク径より少なくとも20mm小さいことがより好ましい。
【0114】
図1は、また、疎水性吸収材(180)を示している。 疎水性吸収材の例は、好ましくは、軽量、疎水性であり、液体窒素の吸収率(単位体積当たりの液体窒素の吸収量)の高いものである。好ましい疎水性吸収材の1つは、米国マサチューセッツ州ノースボローのアスペン・アエロジェルズ社から入手可能なクリオゲル(登録商標)である。図1に示すように、疎水性吸収材は、内側タンク(100)の少なくとも一部を取り囲んでもよい。好ましくは、疎水性吸収材は、内側タンク側壁(164)の全部又は実質的に全部を取り囲む。いくつかの実施形態では、疎水性吸収性材は、外側ネック(400)の少なくとも一部を囲むこともできる。図1に示すように、疎水性吸収材は、外側ネック外面(440)の全部又は実質的に全部を取り囲むことができる。
【0115】
極低温貯蔵容器(10)は、また、蓋アセンブリ(600)を有する。図示のように、蓋アセンブリは、カバー(610)と断熱部材(820)とから構成されることができる。カバーは、カバー上面(612)と、カバー上面と反対側のカバー下面(614)とを有する。カバー上面及びカバー下面とは、カバー下面が極低温貯蔵チャンバ(150)の内側に向くようにカバーが設置されたときの対向面の向きを示す。
【0116】
断熱部材(620)は、カバー下面(614)に取り付けられ、カバー下面から延びる。好ましくは、断熱部材は接着剤によってカバー下面に取り付けられるが、断熱部材がボルト及びナット、ネジ、リベット、又はクランプなどの少なくとも1つの締結具によってカバー下面に取り付けられる実施形態が存在することができる。好ましくは、断熱部材は、断熱部材長(625)を有する。断熱部材長は、内側ネック第1端部(310)から内側ネック第2端(320)まで測定した内側ネック(300)の長さと略等しいか、又は等しくてもよい。
【0117】
蓋アセンブリ(600)を当技術分野で知られている様々な方法、及びまだ発明されていない方法で外側タンク(200)に接続することができる。その1つは、断熱部材(620)を内側ネック(300)の中空内部に挿入し、クランプ、ラッチ、又は同様の装置を用いて蓋(610)を外側タンクの外面に密閉することを含む。いくつかのそのような実施形態では、フランジが外側タンクの外面から延び、カバーが封止される表面を提供することができる。他の実施形態では、カバーの一部がヒンジを使用して外側タンクの外面に接続され、1つ以上のクランプ、ラッチ、又は同様の装置を使用してカバーが外側タンクの外面に密閉されることもできる。
【0118】
内側タンク及び外側タンクは、それぞれ個別に、任意の数の剛性金属材料で構成することができる。そのような剛性金属材料の例としては、鋼、ステンレス鋼、及びアルミニウムが挙げられる。
【0119】
内側ネック及び外側ネックは、それぞれ個別に複合材料で構成されることができる。好ましくは、複合材料は、繊維ガラス材料である。繊維ガラス材料は、高圧繊維ガラスラミネートであってもよい。そのような繊維ガラス材料の好ましい例は、米国ペンシルバニア州チェンバースバーグのアメリカンマイクロインダストリー社から入手可能なガロライトG-10/FR4繊維ガラス-エポキシラミネート材料である。
【0120】
リングは、任意の数の剛性金属材料で構成されることができる。そのような剛性金属材料の例としては、アルミニウム、鋼、チタン、及びそれらの合金が挙げられる。好ましい剛性金属材料の1つは、アルミニウム又はアルミニウム合金であり得るアルミニウム材料である。
【0121】
蓋アセンブリの構成要素は、様々な材料で構成することができる。例えば、カバーは、プラスチック、金属などを含む様々な剛性材料で構成されることもできる。断熱部材は、軽量で、疎水性を有し、熱伝導率が低く、極低温で安定な材料で構成されることもできる。断熱部材の好ましい材料の例としては、発泡ポリスチレン(EPS)フォーム及びポリウレタンフォームが挙げられる。
【0122】
上述した独特のネックアセンブリは、極低温貯蔵容器の輸送中に極低温貯蔵チャンバ内の温度上昇を低減する。具体的には、内側ネックと外側ネックとを有する二重ネック構成により、容器の全体サイズを増加させることなく、極低温貯蔵容器内の断熱部材と吸収材との量を増加させることができる。二重ネック構成自体は、ネック部分に追加の吸収材を提供する。さらに、外側ネックの外径を内側タンクの外径と一致させることで、内側タンクの壁の周りの断熱部材に使用される疎水性吸収材を外側ネックの外面の周りに延ばすことができる。
【0123】
データロギングシステム
図2は、極低温貯蔵容器(10)のデータロギングシステムの断面図である。図2に示すように、極低温貯蔵容器は、内側タンク(100)及び外側タンク(200)を備えることもできる。内側タンク及び外側タンクは、極低温貯蔵容器のネックアセンブリを参照して本明細書で説明した任意の品種であってよい。極低温貯蔵容器は、また、データ取得アセンブリを備えることもできる。図2に示すように、データ取得アセンブリは、温度センサ(710)、少なくとも1つのワイヤ(720)、及びデータロギング及び表示装置(730)を備えることもできる。
【0124】
図2は、また、少なくとも1つの内側タンクポート(170)を備える内側タンク(100)の内側タンク壁(160)を示す。内側タンクポート(複数可)は、また、当業界ではサーモウェルと呼ばれることもある。少なくとも1つの内側タンクポートは、極低温貯蔵チャンバ(150)内の状態に関する情報を提供する装置が通過する、内側タンク壁を通過する貫通孔の形態であってよい。少なくとも1つの内側タンクポートを構成する内側タンク壁は、内側タンク上壁(162)、内側タンク側壁(164)、又は内側タンク底壁(166)のうちのいずれか1つであってよい。好ましくは、少なくとも1つの内側タンクポートを備える内側タンク壁は、内側タンク上壁である。少なくとも1つの内側タンクポートを備える内側タンク壁が内側タンク側壁である場合、少なくとも1つの内側タンクポートは、内側タンク側壁の上端が内側タンク第1端部(110)に対応する状態で内側タンク側壁の上端に配置されることが好ましい。
【0125】
また、図2は、少なくとも1つの外側タンクポート(260)を備える外側タンク(200)の外側タンク壁(250)を示す。少なくとも1つの外側タンクポートは、外側タンク壁を通過する貫通孔の形態であってよく、この貫通孔を通って、極低温貯蔵チャンバ(150)内の状態に関する情報を提供する装置のコンポーネントが通過する。少なくとも1つの外側タンクポートを備える外側タンク壁は、外側タンク上壁(252)、外側タンク側壁(254)、又は外側タンク底壁(256)のうちのいずれか1つであってよい。好ましくは、少なくとも1つの外側タンクポートを備える外側タンク壁は、外側タンク頂部壁である。少なくとも1つの外側タンクポートを備える外側タンク壁が外側タンク側壁である場合、少なくとも1つの外側タンクポートは、外側タンク側壁の上端が外側タンク第1端部(210)に対応する状態で外側タンク側壁の上端に配置されることが好ましい。
【0126】
極低温貯蔵チャンバ(150)内の状態に関する情報を提供する装置は、温度センサ(710)であってもよい。温度センサとしては、白金抵抗温度検出器(RTD)が挙げられる。温度センサは、内側タンクポート(170)において内側タンク(100)に接続されてもよい。図2に示すように、温度センサは、温度センサの少なくとも一部が極低温貯蔵チャンバ内に配置された状態で、内側タンクポートを通過する。好ましくは、温度センサと内側タンクポートとは、温度センサと内側タンクポートとのアセンブリが密閉効果をもたらすように、同様のサイズ及び形状となる。特定の実施形態では、温度センサと内側タンクポートとのアセンブリは、温度センサの外表面と内側タンクポートの内表面との間に配置されたガスケット、Oリング、ブッシングなどのポートシール部材を有することもできる。
【0127】
データロギング及び表示装置(730)は、外側タンク(200)の外部に配置されることができる。データロギング及び表示装置の例は、スイスのブーフスSGのエルプロ-ブーフス社から入手可能なリブロCEマルチレベル・マルチユースPDFロガー(Libero CE Multi-Level and Multi-Use PDF Logger)である。データロギング及び表示装置は、外側タンクの外部の任意の位置に配置されることができる。いくつかの実施形態では、データロギング及び表示装置は、ボルト、ネジ、リベット、クランプなどの締結具によって外側タンクの外面に接続されることもできる。データロギング及び表示装置が接続されることのできる外面は、外側タンク上壁(252)の外面、外側タンク側壁(254)の外面、及び外側タンク底壁(256)の外面からなる群から選択されることができる。データロギング及び表示装置が接続されることのできる好ましい外面は、外側タンク側壁である。
【0128】
少なくとも1つのワイヤ(720)は、第1端部で温度センサ(710)に電気的に接続され、内側タンク(100)と外側タンク(200)との間の空間を通って延び、外側タンクポート(260)を通り、第2端部で図2に示すようにデータロギング及び表示装置(730)に電気的に接続されることもできる。いくつかの実施形態では、外側タンクポートは、少なくとも1つのワイヤが通過する密閉真空フィードスルー装置(265)を備える。密閉真空フィードスルー装置は、ワイヤが外側タンクの内部から外側タンクの外部へ通過することを可能にすると同時に、外側タンクと内側タンクとの間に密閉真空チャンバを形成する。密閉真空フィードスルー装置としては、英国マンチェスターのオメガエンジニアリング社から入手可能なPFT2シリーズ真空/圧力フィードスルーが挙げられる。温度センサ、ワイヤ、及びデータロギング及び表示装置の間の電気的接続により、温度センサは、極低温貯蔵チャンバ(150)内の温度状態に関する情報を、ワイヤを介して、データロギング及び表示装置に電気的に伝え、観察者に出力画面上に表示することができる。
【0129】
少なくとも1つのワイヤ(720)は、ワイヤ長とワイヤゲージとを有する。ワイヤゲージは、ワイヤの直径の測定を意味し、ワイヤが安全に運ぶことができる電流の量を決定する。したがって、ワイヤ長とワイヤゲージとの間には比率が存在する。ワイヤ長とワイヤゲージとの間の比率は、少なくとも500:1であってよい。あるいは、ワイヤ長とワイヤゲージとの間の比率は、少なくとも500:1、少なくとも5000:1、少なくとも50000:1、少なくとも500000:1、少なくとも850000:1、および少なくとも1000000:1からなる群から選択されてもよい。
【0130】
温度センサに加えて、又は温度センサの代わりに、データロギングシステムは、極低温レベルセンサを有することができる。極低温レベルセンサは、データロギングシステムが温度センサを有さない実施形態では内側タンクポートに、データロギングシステムが温度センサを有する実施形態では第2の内側タンクポートに接続されることができる。極低温レベルセンサは、データロギング及び表示装置に接続されてもよく、データロギングシステムが温度センサも有する実施形態では、極低温レベル表示用の第2データロギング及び表示装置を有することもできる。極低温レベルセンサは、データロギングシステムが温度センサを有さない実施形態では外側タンクポートに接続された密閉真空フィードスルー装置を通過することによって、又はデータロギングシステムが温度センサを有する実施形態では第2外側タンクポートに接続された第2密閉真空フィードスルー装置に接続されることによって、データロギング及び表示装置に接続されることができる。好ましい極低温レベルセンサは、米国インディアナ州ミシガンシティのドワイヤーインストルメント社から入手可能な616Wシリーズ差圧トランスミッタである。
【0131】
上述のデータロギングシステムは、極低温貯蔵容器の極低温貯蔵チャンバ内の温度をより正確且つ連続的に監視することを可能にする。温度センサが蓋に配置されている先行技術の解決策とは異なり、温度センサをタンク内壁に配置することで、製品が配置されている極低温貯蔵チャンバ内の温度を監視することができる。さらに、温度センサをタンク内壁に配置することで、蓋を外したときに温度センサが大気条件にさらされることなく、経時的な温度に関するより正確な情報を利用者に提供することができる。
【0132】
蓋の密閉装置
図3は、極低温貯蔵容器(10)の蓋密閉装置の断面図である。図3に示すように、極低温貯蔵容器は、内側タンク(100)及び外側タンク(200)から構成されてもよい。内側タンク及び外側タンクは、極低温貯蔵容器のネックアセンブリを参照して本明細書に記載された任意の品種であってよい。極低温貯蔵容器は、また、蓋アセンブリ(600)を有することもできる。蓋アセンブリは、極低温貯蔵容器のネックアセンブリを参照して本明細書に記載される任意の品種であってよい。極低温貯蔵容器は、ネック内面(図3に示すように810)を有するネック(800)をも備えてることもできる。さらに、極低温貯蔵容器は、シール部材外周面及びシール部材内面を有するシール部材(900)を備えることもできる。
【0133】
図3に示すように、蓋アセンブリ(600)は、また、通路(630)を備えることもできる。通路は、断熱部材とカバー(610)とを貫通して延びることもできる。蓋アセンブリは、また、圧力開放弁(640)を備えることもできる。圧力開放弁は、通路の長さに沿った任意の点で蓋アセンブリに接続されることもできるが、好ましい実施形態では、圧力開放弁は、カバー上面(612)の外部にある通路第1端部(635)に取り付けられる。好ましくは、圧力開放弁は、少なくとも5psiの圧力で開くように構成される。
【0134】
いくつかの実施形態では、圧力開放弁は、流量計を有することができる。使用される場合、流量計は、圧力開放弁を通って極低温貯蔵容器を出る気体状態の極低温の体積を測定するために使用されることができる。存在する場合、流量計は、データロギング及び表示装置(図2に示すデータロギング及び表示装置(730)など)に電子的に接続され、極低温貯蔵容器から出る気体状態の極低温の体積及び極低温貯蔵チャンバから出る気体状態の極低温の量に基づき極低温貯蔵チャンバに残る液体極低温の推定量の両方を時間と共に計算及び表示することもできる。
【0135】
また、図3は、内側タンク通路(140)と外側タンク通路(240)との間に延びるネック(800)を示す。ネックは、極低温貯蔵容器のネックアセンブリにおいて内側タンク通路に取り付ける内側ネック(300)を参照して本明細書で説明した機構のいずれかを用いて内側タンク通路に取り付けられることができる。同様に、ネックは、極低温貯蔵容器のネックアセンブリにおいて外側タンク通路に取り付ける内側ネックを参照して本明細書に記載される機構のいずれかを用いて外側タンク通路に取り付けられることができる。いくつかの実施形態では、ネックは、本明細書に記載されるように、内側ネック及び外側ネック(400)を備えるが、蓋密閉装置は、単一のネックのみを有する用途にも使用することができる。
【0136】
蓋アセンブリ(600)が閉位置にあるとき、断熱部材は、少なくとも部分的にネック内に配置され、シール部材内面と嵌合するように構成される。すなわち、断熱部材は、シール部材内面のサイズ及び形状に類似した断面プロファイルのサイズ及び形状を有する。例えば、シール部材内面が直径約50cmの円形状であれば、断熱部材の断面形状も直径約50cmの円形状であることになる。これにより、断熱部材の外面がシール部材の内面とインターフェイスにより接続する。
【0137】
いくつかの実施形態では、シール部材外周面は、蓋アセンブリ(600)がネック(800)内から取り外されたときにシール部材が所定の位置に留まるように、ネック内面(810)に接続されることがある。シール部材外周面は、多数の接続機構によってネック内面に接続されることができる。好ましい機構は、シール部材外周面をネック内面に付着させる接着剤である。ある実施形態では、接着剤は、シール部材の外周面とネック内面との間に存在し得るあらゆる隙間を埋めることによって、追加のシール効果を提供し得る。特定の実施形態では、接続機構は、ネジ、ボルト、又はリベットなどの1つ以上の締結具であってもよいし、それによって補助されてもよい。他の実施形態では、接続機構は、シール部材の外周面とネック内面との間の摩擦嵌合であるか、又はそれによって補助され得るものであり得る。
【0138】
蓋アセンブリ(600)がネック(800)内に設置されると、断熱部材(620)の外周の一部は、シール部材内面とインターフェイスにより接続する。断熱部材とシール部材内面との間のインターフェイスは、シール部材外周面とネック内面(810)との間の接続とともに、蓋アセンブリがネック内に設置されたときに、断熱部材、シール部材、及びネックの間に気密シールを形成する。
【0139】
他の実施形態では、シール部材が蓋アセンブリ(600)と共にネック(800)内から取り外せるように、シール部材内面が断熱部材(620)に接続されることもできる。シール部材内面は、多数の接続機構によって断熱部材に接続されることもできる。好ましい接続機構は、シール部材内面を断熱部材に付着させる接着剤である。ある実施形態では、接着剤は、シール部材内面と断熱部材との間に存在することのできるあらゆる隙間を埋めることによって、追加のシール効果を提供することができる。特定の実施形態では、接続機構は、ネジ、ボルト、リベット、又はクランプなどの1つ以上の締結具であってもよく、又はそれによって補助されることもできる。他の実施形態では、接続機構は、シール部材内面と断熱部材との間の摩擦嵌合であってもよく、又はそれによって補助されることもできる。
【0140】
蓋アセンブリ(600)がネック(800)内に設置されると、シール部材外周面は、ネック内面(810)の一部とインターフェイスにより接続される。シール部材外周面とネック内面との間のインターフェイスは、シール部材内面と断熱部材(620)との間の接続と共に、蓋アセンブリがネック内に設置されたときに、断熱部材、シール部材、及びネックの間に気密シールを形成する。
【0141】
さらに他の実施形態では、シール部材(900)は、極低温貯蔵チャンバ(150)内に配置されてもよい。そのような実施形態では、シール部材は、内側タンク通路(140)で内側タンク壁(160)に接続されることもできる。シール部材と内側タンク壁との間の接続は、任意の数の接続機構を含むことができる。好ましい接続機構は、シール部材を内側タンク壁に取り付ける接着剤である。特定の実施形態では、接続機構は、ネジ、ボルト、リベット、又はクランプなどの1つ以上の締結具であってもよく、又はそれによって補助されることもできる。
【0142】
シール部材(900)が極低温貯蔵チャンバ(150)内に位置する実施形態では、シール部材内面は、タンク内通路(140)の寸法より小さい寸法を有する。蓋アセンブリ(600)がネック(800)内に設置されると、断熱部材(620)の一部が内側タンク通路を越えて延びる。これが発生すると、シール部材の内面が断熱部材の一部とインターフェイスにより接続され、蓋アセンブリがネック内に設置されたときに断熱部材とシール部材との間に気密シールが形成される。
【0143】
いくつかの実施形態では、シール部材(900)は、1対の対向するシール部材を備えることもできる。各対向する対向シール部材は、上部シール部材のリップが下部シール部材のリップと反対側に向いたリップを備えることもできる。対向シール部材は、本明細書に記載の接続機構のいずれかを使用して、ネック内面(810)、断熱部材(620)、又はタンク内壁(160)のいずれかに接続されることができる。
【0144】
シール部材(900)は、好ましくは、疎水性ポリマー材料で構成される。好ましい疎水性ポリマー材料の1つは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
【0145】
上述した特有の蓋密閉装置は、輸送中に極低温が漏れる可能性を低減又は排除する。蓋アセンブリをシール部材で密閉することにより、極低温貯蔵容器が非直立位置にあるとき、極低温蒸気は極低温貯蔵容器から流出しない。したがって、極低温貯蔵容器は、通気システムを通じた極低温の損失の危険性無く、非直立位置で出荷されることができる。
【0146】
実施形態
1つの好ましい極低温貯蔵容器は、本明細書に記載のネックアセンブリを有する。
【0147】
別の好ましい極低温貯蔵容器は、本明細書に記載のデータロギングシステムを有する。
【0148】
さらに別の好ましい極低温貯蔵容器は、本明細書に記載の蓋密閉装置を有する。
【0149】
さらに別の好ましい極低温貯蔵容器は、本明細書に記載のネックアセンブリ及びデータロギングシステムを有する。
【0150】
別の好ましい極低温貯蔵容器は、本明細書に記載のネックアセンブリと、蓋密閉装置とを有する。
【0151】
さらに別の好ましい極低温貯蔵容器は、本明細書に記載のデータロギングシステムと蓋密閉装置とを有する。
【0152】
さらに別の好ましい極低温貯蔵容器は、本明細書に記載のネックアセンブリと、データロギングシステムと、蓋密閉装置とを有する。
図1
図2
図3
【国際調査報告】