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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(54)【発明の名称】音響出力装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/28 20060101AFI20240131BHJP
   H04R 1/26 20060101ALI20240131BHJP
   H04R 1/10 20060101ALN20240131BHJP
   H04R 1/00 20060101ALN20240131BHJP
【FI】
H04R1/28 310C
H04R1/28
H04R1/26
H04R1/10 104Z
H04R1/00 317
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545345
(86)(22)【出願日】2021-05-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 CN2021095546
(87)【国際公開番号】W WO2022213458
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】202110383452.2
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】王 真
(72)【発明者】
【氏名】王 力▲維▼
(72)【発明者】
【氏名】童 ▲ペイ▼耕
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲風▼云
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
【テーマコード(参考)】
5D005
5D017
5D018
【Fターム(参考)】
5D005BA11
5D017AB13
5D018AC01
5D018AC07
(57)【要約】
本願の実施例に係る音響出力装置は、骨伝導音波を発生させる骨伝導音響アセンブリと、空気伝導音波を発生させる気伝導音響アセンブリと、前記骨伝導音響アセンブリ及び気伝導音響アセンブリにおける少なくとも一部の素子を収容するハウジングと、を含み、前記ハウジングは、第1のキャビティ及び第2のキャビティを含み、前記第1のキャビティは、前記骨伝導音響アセンブリの少なくとも一部を収容し、前記ハウジングには、前記第2のキャビティと連通する放音孔が設置され、前記空気伝導音波は、前記放音孔を介して前記音響出力装置の外部に伝達され、前記空気伝導音波の周波数応答曲線は、1つ以上の共振ピークを有し、前記共振ピークのピーク共振周波数は、1kHz以上である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨伝導音波を発生させる骨伝導音響アセンブリと、
空気伝導音波を発生させる気伝導音響アセンブリと、
前記骨伝導音響アセンブリ及び気伝導音響アセンブリにおける少なくとも一部の素子を収容するハウジングと、
を含む音響出力装置であって、
前記ハウジングは、第1のキャビティ及び第2のキャビティを含み、前記第1のキャビティは、前記骨伝導音響アセンブリの少なくとも一部を収容し、前記ハウジングには、前記第2のキャビティと連通する放音孔が設置され、前記空気伝導音波は、前記放音孔を介して前記音響出力装置の外部に伝達され、
前記空気伝導音波の周波数応答曲線は、1つ以上の共振ピークを有し、前記共振ピークのピーク共振周波数は、1kHz以上である、音響出力装置。
【請求項2】
前記気伝導音響アセンブリは、前記骨伝導音響アセンブリ又は前記ハウジングに接続された少なくとも1つの振動膜を含み、前記空気伝導音波は、前記少なくとも1つの振動膜又は前記ハウジングの振動により発生可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの振動膜は、前記ハウジングのキャビティを前記第1のキャビティ及び前記第2のキャビティに仕切る、ことを特徴とする請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記ハウジングには、前記第1のキャビティと連通する少なくとも1つの減圧孔がさらに設置される、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの減圧孔は、第1の減圧孔及び第2の減圧孔を含み、前記第1の減圧孔は、前記第2の減圧孔よりも前記放音孔から離れるように設置され、前記第1の減圧孔の出口端の有効面積は、前記第2の減圧孔の出口端の有効面積よりも大きい、ことを特徴とする請求項4に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記放音孔及び前記第1の減圧孔は、前記骨伝導音響アセンブリの対向する両側に位置する、ことを特徴とする請求項5に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記骨伝導音響アセンブリの対向する両側に位置する第1の側壁及び第2の側壁と、前記第1の側壁及び前記第2の側壁に接続されるとともに互いに間隔をあける第3の側壁及び第4の側壁とを含み、前記放音孔と前記第1の減圧孔は、それぞれ前記第1の側壁と前記第2の側壁に設置され、前記第2の減圧孔は、前記第3の側壁又は前記第4の側壁に設置される、ことを特徴とする請求項5に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの減圧孔は、第3の減圧孔をさらに含み、前記第2の減圧孔の出口端の有効面積は、前記第3の減圧孔の出口端の有効面積よりも大きく、前記第2の減圧孔と前記第3の減圧孔は、それぞれ前記第3の側壁と前記第4の側壁に設置される、ことを特徴とする請求項7に記載の音響出力装置。
【請求項9】
前記第1の減圧孔の出口端の実際の面積は、前記第2の減圧孔の出口端の実際の面積よりも大きく、前記第2の減圧孔の出口端の実際の面積は、前記第3の減圧孔の出口端の実際の面積よりも大きい、ことを特徴とする請求項8に記載の音響出力装置。
【請求項10】
前記ハウジングには、前記第2のキャビティと連通する少なくとも1つの調音孔がさらに設置され、前記少なくとも1つの調音孔が開放状態にある場合の前記共振ピークのピーク共振周波数は、前記少なくとも1つの調音孔が閉鎖状態にある場合の前記共振ピークのピーク共振周波数よりも高周波数に移動する、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項11】
前記高周波数へ移動する移動量が500Hz以上である、ことを特徴とする請求項10に記載の音響出力装置。
【請求項12】
前記高周波数へ移動する移動量が1kHz以上である、ことを特徴とする請求項11に記載の音響出力装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの調音孔が開放状態にある場合の前記共振ピークのピーク共振周波数が2kHz以上である、ことを特徴とする請求項10に記載の音響出力装置。
【請求項14】
すべての前記調音孔の出口端の有効面積の和が1.5mm以上である、ことを特徴とする請求項10に記載の音響出力装置。
【請求項15】
前記ハウジングは、前記骨伝導音響アセンブリの対向する両側に位置する第1の側壁及び第2の側壁を含み、前記少なくとも1つの調音孔は、第1の調音孔を含み、前記放音孔と前記第1の調音孔は、それぞれ前記第1の側壁と前記第2の側壁に設置される、ことを特徴とする請求項10に記載の音響出力装置。
【請求項16】
前記ハウジングは、前記第1の側壁及び前記第2の側壁に接続されるとともに互いに間隔をあける第3の側壁及び第4の側壁をさらに含み、前記少なくとも1つの調音孔は、前記第3の側壁又は前記第4の側壁に設置された第2の調音孔をさらに含む、ことを特徴とする請求項15に記載の音響出力装置。
【請求項17】
前記第1の調音孔の出口端の有効面積は、前記第2の調音孔の出口端の有効面積よりも大きい、ことを特徴とする請求項16に記載の音響出力装置。
【請求項18】
前記第1の調音孔の出口端の実際の面積は、前記第2の調音孔の出口端の実際の面積よりも大きい、ことを特徴とする請求項17に記載の音響出力装置。
【請求項19】
前記第1の調音孔の出口端の実際の面積は、3.8mm以上であり、及び/又は、前記第2の調音孔の出口端の実際の面積は、2.8mm以上である、ことを特徴とする請求項18に記載の音響出力装置。
【請求項20】
前記第1の調音孔と前記第2の調音孔の出口端には、それぞれ音響インピーダンス網が覆設され、前記音響インピーダンス網の空隙率は、16%以下である、ことを特徴とする請求項16に記載の音響出力装置。
【請求項21】
前記ハウジングには、前記第1のキャビティと連通する少なくとも1つの減圧孔が設置され、少なくとも一部の前記調音孔は、少なくとも一部の前記少なくとも1つの減圧孔と隣接して設置され、隣接して設置された調音孔と減圧孔との間の間隔距離は、2mm以下である、ことを特徴とする請求項10に記載の音響出力装置。
【請求項22】
前記隣接して設置された減圧孔及び調音孔のうちの前記減圧孔の出口端の有効面積は、前記隣接して設置された減圧孔及び調音孔のうちの前記調音孔の出口端の有効面積よりも大きい、ことを特徴とする請求項21に記載の音響出力装置。
【請求項23】
前記隣接して設置された減圧孔及び調音孔のうちの前記減圧孔の出口端の実際の面積は、前記隣接して設置された減圧孔及び調音孔のうちの前記調音孔の出口端の実際の面積よりも大きく、及び/又は、前記隣接して設置された減圧孔と調音孔の出口端には、それぞれ、第1の音響インピーダンス網と第2の音響インピーダンス網が覆設され、前記第1の音響インピーダンス網の空隙率が前記第2の音響インピーダンス網の空隙率よりも大きい、ことを特徴とする請求項22に記載の音響出力装置。
【請求項24】
前記隣接して設置された減圧孔及び調音孔のうちの前記減圧孔の出口端の有効面積と、前記隣接して設置された減圧孔及び調音孔のうちの前記調音孔の出口端の有効面積との比は、2以下である、ことを特徴とする請求項23に記載の音響出力装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つの減圧孔を介して前記音響出力装置の外部に出力された気導音の周波数応答曲線は、第1の共振ピークを有し、前記調音孔を介して前記音響出力装置の外部に出力された気導音の周波数応答曲線は、第2の共振ピークを有し、前記第1の共振ピークのピーク共振周波数と前記第2の共振ピークのピーク共振周波数は、それぞれ2kHz以上である、ことを特徴とする請求項21~24のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項26】
前記第1の共振ピークのピーク共振周波数と前記第2の共振ピークのピーク共振周波数との差と、前記第1の共振ピークのピーク共振周波数との比は、60%以下である、ことを特徴とする請求項25に記載の音響出力装置。
【請求項27】
前記第1の共振ピークのピーク共振周波数と前記第2の共振ピークのピーク共振周波数は、それぞれ3.5kHz以上である、ことを特徴とする請求項25に記載の音響出力装置。
【請求項28】
前記第1の共振ピークのピーク共振周波数と前記第2の共振ピークのピーク共振周波数との差は、2kHz以下である、ことを特徴とする請求項25に記載の音響出力装置。
【請求項29】
前記ハウジングに接続された導音部材をさらに含み、前記導音部材に導音通路が設置され、前記導音通路は、前記放音孔と連通し、前記音響出力装置の外部に前記空気伝導音波を案内する、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項30】
前記導音通路の長さは、2mm~5mmにある、ことを特徴とする請求項29に記載の音響出力装置。
【請求項31】
前記導音通路の断面積は、4.8mm以上である、ことを特徴とする請求項30に記載の音響出力装置。
【請求項32】
前記導音通路の断面積は、前記空気伝導音波の伝達方向に沿って徐々に増大する、ことを特徴とする請求項31に記載の音響出力装置。
【請求項33】
前記導音通路の入口端の断面積は、10mm以上であり、又は前記導音通路の出口端の断面積は、15mm以上である、ことを特徴とする請求項32に記載の音響出力装置。
【請求項34】
前記導音通路の体積と前記第2のキャビティの体積との比は、0.05~0.9にある、ことを特徴とする請求項29に記載の音響出力装置。
【請求項35】
前記骨伝導音響アセンブリの振動方向に沿って、前記導音通路の出口端と前記ハウジングの皮膚接触領域から離れた内壁との距離は、3mm以上である、ことを特徴とする請求項29に記載の音響出力装置。
【請求項36】
前記導音通路の出口端に音響インピーダンス網が覆設され、前記音響インピーダンス網の空隙率は、13%以上である、ことを特徴とする請求項29に記載の音響出力装置。
【請求項37】
前記ハウジングには、前記第1のキャビティと連通する減圧孔が設置され、前記導音通路の出口端の有効面積は、前記ハウジングにおける、前記第1のキャビティと連通するすべての前記減圧孔の出口端の有効面積の和以上である、ことを特徴とする請求項29に記載の音響出力装置。
【請求項38】
すべての前記減圧孔の出口端の有効面積の和と、前記導音通路の出口端の有効面積との比は、0.15以上である、ことを特徴とする請求項37に記載の音響出力装置。
【請求項39】
前記導音通路の出口端に覆設された音響インピーダンス網の空隙率は、少なくとも一部の前記減圧孔の出口端に覆設された音響インピーダンス網の空隙率以上である、ことを特徴とする請求項37に記載の音響出力装置。
【請求項40】
前記ハウジングには、前記第2のキャビティと連通する調音孔が設置され、前記導音通路の出口端の有効面積は、前記調音孔のうちの各調音孔の出口端の有効面積よりも大きい、ことを特徴とする請求項29に記載の音響出力装置。
【請求項41】
前記導音通路の出口端の有効面積は、すべての前記調音孔の出口端の有効面積の和よりも大きい、ことを特徴とする請求項40に記載の音響出力装置。
【請求項42】
すべての前記調音孔の出口端の有効面積の和と、前記導音通路の出口端の有効面積との比は、0.08以上である、ことを特徴とする請求項41に記載の音響出力装置。
【請求項43】
前記導音通路の出口端に覆設された音響インピーダンス網の空隙率は、前記調音孔の出口端に覆設された音響インピーダンス網の空隙率よりも大きい、ことを特徴とする請求項40に記載の音響出力装置。
【請求項44】
前記骨伝導音響アセンブリは、磁気回路システム及びコイルアセンブリを含み、前記磁気回路システムは、磁気ギャップを形成し、前記コイルアセンブリは、前記第1のキャビティに設置されるとともに、前記磁気ギャップに挿入され、連通孔が設置される、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項45】
前記連通孔は、前記コイルアセンブリが前記磁気ギャップの外部に位置する部分に位置する、ことを特徴とする請求項44に記載の音響出力装置。
【請求項46】
前記コイルアセンブリは、コイル及びコイルホルダを含み、前記コイルホルダは、前記コイルが前記磁気ギャップに挿入されるように、前記コイル及び前記ハウジングを接続し、前記連通孔は、前記コイルホルダに設置される、ことを特徴とする請求項45に記載の音響出力装置。
【請求項47】
前記骨伝導音響アセンブリは、前記第1のキャビティに位置する弾性部材をさらに含み、前記弾性部材は、中心領域が前記磁気回路システムに接続され、周辺領域が前記ハウジングに接続されることにより、前記磁気回路システムは、前記ハウジング内に吊り下げられる、ことを特徴とする請求項46に記載の音響出力装置。
【請求項48】
前記コイルホルダは、本体部及び第1のホルダ部を含み、前記本体部は、前記弾性部材に接続され、前記第1のホルダ部の一端は、前記本体部に接続され、前記コイルは、前記第1のホルダ部の前記本体部から離れた他端に接続され、前記連通孔は、前記本体部と前記第1のホルダ部との接続箇所に位置する、ことを特徴とする請求項47に記載の音響出力装置。
【請求項49】
前記連通孔は、複数であり、かつ前記コイルアセンブリの円周方向に沿って間隔をあけて設置される、ことを特徴とする請求項44に記載の音響出力装置。
【請求項50】
各前記連通孔の断面積は、2mm以上である、ことを特徴とする請求項49に記載の音響出力装置。
【請求項51】
前記ハウジングには、前記第1のキャビティと連通する減圧孔が設置され、前記減圧孔を介して前記音響出力装置の外部に出力された気導音の周波数応答曲線は、共振ピークを有し、前記連通孔の設置により、前記共振ピークのピーク共振周波数は、2kHz以上となる、ことを特徴とする請求項46に記載の音響出力装置。
【請求項52】
前記連通孔が開放状態にある場合の前記共振ピークのピーク共振周波数は、前記連通孔が設置されない場合の前記共振ピークのピーク共振周波数よりも高周波数に移動し、かつ移動量が500Hz以上である、ことを特徴とする請求項51に記載の音響出力装置。
【請求項53】
前記第1のキャビティ及び前記第2のキャビティを連通する連通通路をさらに含み、前記連通通路が開放状態にある場合の前記共振ピークのピーク共振周波数は、前記連通通路が閉鎖状態にある場合の前記共振ピークのピーク共振周波数よりも高周波数に移動し、かつ移動量が500Hz以上である、ことを特徴とする請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項54】
前記放音孔を介して前記音響出力装置の外部に出力された気導音の周波数応答曲線は、共振ピークを有し、前記共振ピークのピーク共振周波数は、2kHz以上である、ことを特徴とする請求項53に記載の音響出力装置。
【請求項55】
前記連通通路は、前記振動膜に設置された孔アレイを含み、前記孔アレイにおける少なくとも一部の孔と前記放音孔は、それぞれ前記骨伝導音響アセンブリの対向する両側に位置する、ことを特徴とする請求項54に記載の音響出力装置。
【請求項56】
前記孔アレイにおける少なくとも1つの孔の実際の面積は、0.01mm~0.04mmにある、ことを特徴とする請求項55に記載の音響出力装置。
【請求項57】
前記骨伝導音響アセンブリは、磁気回路システム及びコイルアセンブリを含み、前記磁気回路システムは、磁気ギャップを形成し、前記コイルアセンブリは、前記第1のキャビティに設置されるとともに、前記磁気ギャップに挿入され、前記連通通路は、前記磁気回路システムを貫通して、前記第1のキャビティ及び前記第2のキャビティを連通させる、ことを特徴とする請求項53に記載の音響出力装置。
【請求項58】
前記ハウジングには、前記第1のキャビティと連通する減圧孔と、前記第2のキャビティと連通する調音孔とがさらに設置され、前記連通通路は、前記ハウジングの外部に設置されるとともに、前記減圧孔及び前記調音孔を連通する、ことを特徴とする請求項53に記載の音響出力装置。
【請求項59】
前記連通通路によって画定された連通径路には、音響インピーダンス網が設置され、前記音響インピーダンス網の空隙率が18%以下である、ことを特徴とする請求項53に記載の音響出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、音響出力の分野に関し、特に音響出力装置に関する。
【0002】
[参照による援用]
本願は、2021年4月9日に提出された出願番号2021103834522の中国出願に対する優先権を主張するものであり、そのすべての内容が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0003】
現在、音響出力装置を備えたウェアラブル機器が現れつつあり、ますます人気が高まっている。特に、オープンイヤー型音響出力装置(例えば、骨伝導スピーカー)は、その健康特性及び安全特性のため、ユーザへの音声の伝導を容易にするために広く使用されている。しかしながら、骨伝導スピーカーは、中低周波数範囲に一定の音声漏れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、音声の漏れを減少させ、ユーザのオーディオ体験を向上させることができる音響出力装置を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施例に係る音響出力装置は、骨伝導音波を発生させる骨伝導音響アセンブリと、空気伝導音波を発生させる気伝導音響アセンブリと、前記骨伝導音響アセンブリ及び気伝導音響アセンブリにおける少なくとも一部の素子を収容するハウジングと、を含み、前記ハウジングは、第1のキャビティ及び第2のキャビティを含み、前記第1のキャビティは、前記骨伝導音響アセンブリの少なくとも一部を収容し、前記ハウジングには、前記第2のキャビティと連通する放音孔が設置され、前記空気伝導音波は、前記放音孔を介して前記音響出力装置の外部に伝達され、前記空気伝導音波の周波数応答曲線は、1つ以上の共振ピークを有し、前記共振ピークのピーク共振周波数は、1kHz以上である。
いくつかの実施例において、前記気伝導音響アセンブリは、前記骨伝導音響アセンブリ又は前記ハウジングに接続された少なくとも1つの振動膜を含み、前記空気伝導音波は、前記少なくとも1つの振動膜又は前記ハウジングの振動により発生可能である。
【0006】
いくつかの実施例において、前記少なくとも1つの振動膜は、前記ハウジングのキャビティを前記第1のキャビティ及び前記第2のキャビティに仕切る。
【0007】
いくつかの実施例において、前記ハウジングには、前記第1のキャビティと連通する少なくとも1つの減圧孔がさらに設置される。
【0008】
いくつかの実施例において、前記少なくとも1つの減圧孔は、第1の減圧孔及び第2の減圧孔を含み、前記第1の減圧孔は、前記第2の減圧孔よりも前記放音孔から離れるように設置され、前記第1の減圧孔の出口端の有効面積は、前記第2の減圧孔の出口端の有効面積よりも大きい。
【0009】
いくつかの実施例において、前記放音孔及び前記第1の減圧孔は、前記骨伝導音響アセンブリの対向する両側に位置する。
【0010】
いくつかの実施例において、前記ハウジングは、前記骨伝導音響アセンブリの対向する両側に位置する第1の側壁及び第2の側壁と、前記第1の側壁及び前記第2の側壁に接続されるとともに互いに間隔をあける第3の側壁及び第4の側壁とを含み、前記放音孔と前記第1の減圧孔は、それぞれ前記第1の側壁と前記第2の側壁に設置され、前記第2の減圧孔は、前記第3の側壁又は前記第4の側壁に設置される。
【0011】
いくつかの実施例において、前記少なくとも1つの減圧孔は、第3の減圧孔をさらに含み、前記第2の減圧孔の出口端の有効面積は、前記第3の減圧孔の出口端の有効面積よりも大きく、前記第2の減圧孔と前記第3の減圧孔は、それぞれ前記第3の側壁と前記第4の側壁に設置される。
【0012】
いくつかの実施例において、前記第1の減圧孔の出口端の実際の面積は、前記第2の減圧孔の出口端の実際の面積よりも大きく、前記第2の減圧孔の出口端の実際の面積は、前記第3の減圧孔の出口端の実際の面積よりも大きい。
【0013】
いくつかの実施例において、前記ハウジングには、前記第2のキャビティと連通する少なくとも1つの調音孔がさらに設置され、前記少なくとも1つの調音孔が開放状態にある場合の前記共振ピークのピーク共振周波数は、前記少なくとも1つの調音孔が閉鎖状態にある場合の前記共振ピークのピーク共振周波数よりも高周波数に移動する。
【0014】
いくつかの実施例において、前記高周波数へ移動する移動量が500Hz以上である。
【0015】
いくつかの実施例において、前記高周波数へ移動する移動量が1kHz以上である。
【0016】
いくつかの実施例において、前記少なくとも1つの調音孔が開放状態にある場合の前記共振ピークのピーク共振周波数が2kHz以上である。
【0017】
いくつかの実施例において、すべての前記調音孔の出口端の有効面積の和が1.5mm以上である。
【0018】
いくつかの実施例において、前記ハウジングは、前記骨伝導音響アセンブリの対向する両側に位置する第1の側壁及び第2の側壁を含み、前記少なくとも1つの調音孔は、第1の調音孔を含み、前記放音孔と前記第1の調音孔は、それぞれ前記第1の側壁と前記第2の側壁に設置される。
【0019】
いくつかの実施例において、前記ハウジングは、前記第1の側壁及び前記第2の側壁に接続されるとともに互いに間隔をあける第3の側壁及び第4の側壁をさらに含み、前記少なくとも1つの調音孔は、前記第3の側壁又は前記第4の側壁に設置された第2の調音孔をさらに含む。
【0020】
いくつかの実施例において、前記第1の調音孔の出口端の有効面積は、前記第2の調音孔の出口端の有効面積よりも大きい。
【0021】
いくつかの実施例において、前記第1の調音孔の出口端の実際の面積は、前記第2の調音孔の出口端の実際の面積よりも大きい。
【0022】
いくつかの実施例において、前記第1の調音孔の出口端の実際の面積は、3.8mm以上であり、及び/又は、前記第2の調音孔の出口端の実際の面積は、2.8mm以上である。
【0023】
いくつかの実施例において、前記第1の調音孔と前記第2の調音孔の出口端には、それぞれ音響インピーダンス網が覆設され、前記音響インピーダンス網の空隙率は、16%以下である。
【0024】
いくつかの実施例において、前記ハウジングには、前記第1のキャビティと連通する少なくとも1つの減圧孔が設置され、少なくとも一部の前記調音孔は、少なくとも一部の前記少なくとも1つの減圧孔と隣接して設置され、隣接して設置された調音孔と減圧孔との間の間隔距離は、2mm以下である。
【0025】
いくつかの実施例において、前記隣接して設置された減圧孔及び調音孔のうちの前記減圧孔の出口端の有効面積は、前記隣接して設置された減圧孔及び調音孔のうちの前記調音孔の出口端の有効面積よりも大きい。
【0026】
いくつかの実施例において、前記隣接して設置された減圧孔及び調音孔のうちの前記減圧孔の出口端の実際の面積は、前記隣接して設置された減圧孔及び調音孔のうちの前記調音孔の出口端の実際の面積よりも大きく、及び/又は、前記隣接して設置された減圧孔と調音孔の出口端には、それぞれ、第1の音響インピーダンス網と第2の音響インピーダンス網が覆設され、前記第1の音響インピーダンス網の空隙率が前記第2の音響インピーダンス網の空隙率よりも大きい。
【0027】
いくつかの実施例において、前記隣接して設置された減圧孔及び調音孔のうちの前記減圧孔の出口端の有効面積と、前記隣接して設置された減圧孔及び調音孔のうちの前記調音孔の出口端の有効面積との比は、2以下である。
【0028】
いくつかの実施例において、前記少なくとも1つの減圧孔を介して前記音響出力装置の外部に出力された気導音の周波数応答曲線は、第1の共振ピークを有し、前記調音孔を介して前記音響出力装置の外部に出力された気導音の周波数応答曲線は、第2の共振ピークを有し、前記第1の共振ピークのピーク共振周波数と前記第2の共振ピークのピーク共振周波数は、それぞれ2kHz以上である。
【0029】
いくつかの実施例において、前記第1の共振ピークのピーク共振周波数と前記第2の共振ピークのピーク共振周波数との差と、前記第1の共振ピークのピーク共振周波数との比は、60%以下である。
【0030】
いくつかの実施例において、前記第1の共振ピークのピーク共振周波数と前記第2の共振ピークのピーク共振周波数は、それぞれ3.5kHz以上である。
【0031】
いくつかの実施例において、前記第1の共振ピークのピーク共振周波数と前記第2の共振ピークのピーク共振周波数との差は、2kHz以下である。
【0032】
いくつかの実施例において、前記ハウジングに接続された導音部材をさらに含み、前記導音部材に導音通路が設置され、前記導音通路は、前記放音孔と連通し、前記音響出力装置の外部に前記空気伝導音波を案内する。
【0033】
いくつかの実施例において、前記導音通路の長さは、2mm~5mmにある。
【0034】
いくつかの実施例において、前記導音通路の断面積は、4.8mm以上である。
【0035】
いくつかの実施例において、前記導音通路の断面積は、前記空気伝導音波の伝達方向に沿って徐々に増大する。
【0036】
いくつかの実施例において、前記導音通路の入口端の断面積は、10mm以上であり、又は前記導音通路の出口端の断面積は、15mm以上である。
【0037】
いくつかの実施例において、前記導音通路の体積と前記第2のキャビティの体積との比は、0.05~0.9にある。
【0038】
いくつかの実施例において、前記骨伝導音響アセンブリの振動方向に沿って、前記導音通路の出口端と前記ハウジングの前記皮膚接触領域から離れた内壁との距離は、3mm以上である。
【0039】
いくつかの実施例において、前記導音通路の出口端に音響インピーダンス網が覆設され、前記音響インピーダンス網の空隙率は、13%以上である。
【0040】
いくつかの実施例において、前記ハウジングには、前記第1のキャビティと連通する減圧孔が設置され、前記導音通路の出口端の有効面積は、前記ハウジングにおける、前記第1のキャビティと連通するすべての前記減圧孔の出口端の有効面積の和以上である。
【0041】
いくつかの実施例において、すべての前記減圧孔の出口端の有効面積の和と、前記導音通路の出口端の有効面積との比は、0.15以上である。
【0042】
いくつかの実施例において、前記導音通路の出口端に覆設された音響インピーダンス網の空隙率は、少なくとも一部の前記減圧孔の出口端に覆設された音響インピーダンス網の空隙率以上である。
【0043】
いくつかの実施例において、前記ハウジングには、前記第2のキャビティと連通する調音孔が設置され、前記導音通路の出口端の有効面積は、前記調音孔のうちの各調音孔の出口端の有効面積よりも大きい。
【0044】
いくつかの実施例において、前記導音通路の出口端の有効面積は、すべての前記調音孔の出口端の有効面積の和よりも大きい。
【0045】
いくつかの実施例において、すべての前記調音孔の出口端の有効面積の和と、前記導音通路の出口端の有効面積との比は、0.08以上である。
【0046】
いくつかの実施例において、前記導音通路の出口端に覆設された音響インピーダンス網の空隙率は、前記調音孔の出口端に覆設された音響インピーダンス網の空隙率よりも大きい。
【0047】
いくつかの実施例において、前記骨伝導音響アセンブリは、磁気回路システム及びコイルアセンブリを含み、前記磁気回路システムは、磁気ギャップを形成し、前記コイルアセンブリは、前記第1のキャビティに設置されるとともに、前記磁気ギャップに挿入され、連通孔が設置される。
【0048】
いくつかの実施例において、前記連通孔は、前記コイルアセンブリが前記磁気ギャップの外部に位置する部分に位置する。
【0049】
いくつかの実施例において、前記コイルアセンブリは、コイル及びコイルホルダを含み、前記コイルホルダは、前記コイルが前記磁気ギャップに挿入されるように、前記コイル及び前記ハウジングを接続し、前記連通孔は、前記コイルホルダに設置される。
【0050】
いくつかの実施例において、前記骨伝導音響アセンブリは、前記第1のキャビティに位置する弾性部材をさらに含み、前記弾性部材は、中心領域が前記磁気回路システムに接続され、周辺領域が前記ハウジングに接続されることにより、前記磁気回路システムは、前記ハウジング内に吊り下げられる。
【0051】
いくつかの実施例において、前記コイルホルダは、本体部及び第1のホルダ部を含み、前記本体部は、前記弾性部材に接続され、前記第1のホルダ部の一端は、前記本体部に接続され、前記コイルは、前記第1のホルダ部の前記本体部から離れた他端に接続され、前記連通孔は、前記本体部と前記第1のホルダ部との接続箇所に位置する。
【0052】
いくつかの実施例において、前記連通孔は、数が複数であり、かつ前記コイルアセンブリの円周方向に沿って間隔をあけて設置される。
【0053】
いくつかの実施例において、各前記連通孔の断面積は、2mm以上である。
【0054】
いくつかの実施例において、前記ハウジングには、前記第1のキャビティと連通する減圧孔が設置され、前記減圧孔を介して前記音響出力装置の外部に出力された気導音の周波数応答曲線は、共振ピークを有し、前記連通孔の設置により、前記共振ピークのピーク共振周波数は、2kHz以上である。
【0055】
いくつかの実施例において、前記連通孔が開放状態にある場合の前記共振ピークのピーク共振周波数は、前記連通孔が設置されない場合の前記共振ピークのピーク共振周波数よりも高周波数に移動し、かつ移動量が500HZ以上である。
【0056】
いくつかの実施例において、前記音響出力装置は、前記第1のキャビティ及び前記第2のキャビティを連通する連通通路をさらに含み、前記連通通路が開放状態にある場合の前記共振ピークのピーク共振周波数は、前記連通通路が閉鎖状態にある場合の前記共振ピークのピーク共振周波数よりも高周波数に移動し、かつ移動量が500Hz以上である。
【0057】
いくつかの実施例において、前記放音孔を介して前記音響出力装置の外部に出力された気導音の周波数応答曲線は、共振ピークを有し、前記共振ピークのピーク共振周波数は、2kHz以上である。
【0058】
いくつかの実施例において、前記連通通路は、前記振動膜に設置された孔アレイを含み、前記孔アレイにおける少なくとも一部の孔と前記放音孔は、それぞれ前記骨伝導音響アセンブリの対向する両側に位置する。
【0059】
いくつかの実施例において、前記孔アレイにおける少なくとも1つの孔の実際の面積は、0.01mm~0.04mmにある。
【0060】
いくつかの実施例において、前記骨伝導音響アセンブリは、磁気回路システム及びコイルアセンブリを含み、前記磁気回路システムは、磁気ギャップを形成し、前記コイルアセンブリは、前記第1のキャビティに設置されるとともに、前記磁気ギャップに挿入され、前記連通通路は、前記磁気回路システムを貫通して、前記第1のキャビティ及び前記第2のキャビティを連通させる。
【0061】
いくつかの実施例において、前記ハウジングには、前記第1のキャビティと連通する減圧孔と、前記第2のキャビティと連通する調音孔とがさらに設置され、前記連通通路は、前記ハウジングの外部に設置されるとともに、前記減圧孔及び前記調音孔を連通する。
【0062】
いくつかの実施例において、前記連通通路によって画定された連通径路には、音響インピーダンス網が設置され、前記音響インピーダンス網の空隙率が18%以下である。
【0063】
例示的な実施例により本願をさらに説明し、これらの例示的な実施例を図面により詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例において、同じ番号は同じ構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】本願のいくつかの実施例に係る音響出力システムの概略図である。
図2】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略図である。
図3】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置のブロック図である。
図4】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略図である。
図5】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の、振動膜が設置される前の周波数応答曲線と振動膜が設置された後の周波数応答曲線との比較概略図である。
図6】本願の他のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略図である。
図7A】本願のいくつかの実施例に係る導音部材の例示的な構造図である。
図7B】本願のいくつかの実施例に係る導音部材の例示的な構造図である。
図7C】本願のいくつかの実施例に係る導音部材の例示的な構造図である。
図7D】本願のいくつかの実施例に係る導音部材の例示的な構造図である。
図7E】本願のいくつかの実施例に係る導音部材の例示的な構造図である。
図8】本願のいくつかの実施例に係る音響インピーダンス網の構造を示す平面図である。
図9】本願のいくつかの実施例に係る導音部材での空気伝導音波の周波数応答曲線の概略図である。
図10】本願のいくつかの実施例に係る、放音孔を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波の周波数応答曲線の概略図である。
図11】本願のいくつかの実施例に係る、減圧孔を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波の周波数応答曲線の概略図である。
図12A】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置に調音孔が設置されない場合の第2のキャビティの音圧分布の概略図である。
図12B】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置に調音孔が設置された場合の第2のキャビティの音圧分布の概略図である。
図13】本願のいくつかの実施例に係る導音部材での空気伝導音波の周波数応答曲線の概略図である。
図14】本願の他のいくつかの実施例に係る導音部材での空気伝導音波の周波数応答曲線の概略図である。
図15】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線の概略図である。
図16A】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置のハウジングの断面図である。
図16B】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置のウジングの断面図である。
図16C】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置のウジングの左側面図である。
図16D】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置のウジングの平面図である。
図17】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の構造を示す断面図である。
図18A】本願の他のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略図である。
図18B】本願の他のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略図である。
図19】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の、連通孔が設置される前の減圧孔での空気伝導音波の周波数応答曲線と連通孔が設置された後の減圧孔での空気伝導音波の周波数応答曲線との比較概略図である。
図20A】本願のいくつかの実施例に係る振動膜の概略構成図である。
図20B】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
図20C】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
図21】本願のいくつかの実施例に係る導音部材での空気伝導音波の周波数応答曲線の概略図である。
図22】本願の他のいくつかの実施例に係る導音部材での空気伝導音波の周波数応答曲線の概略図である。
図23】本願の他のいくつかの実施例に係る導音部材での空気伝導音波の周波数応答曲線の概略図である。
図24】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置に対する異なる位置の概略図である。
図25】本願のいくつかの実施例に係る、図24における異なる位置の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線の概略図である。
図26】本願のいくつかの実施例に係る、図24における異なる位置の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線の概略図である。
図27】本願のいくつかの実施例に係る、図24における異なる位置の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線の概略図である。
図28】本願のいくつかの実施例に係る、図24における異なる位置の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線の概略図である。
図29】本願のいくつかの実施例に係る、図24における異なる位置の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線の概略図である。
図30】本願のいくつかの実施例に係る、図24における同じ位置の異なる音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線の概略図である。
図31】本願のいくつかの実施例に係る、図24における同じ位置の異なる音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線の概略図である。
図32】本願のいくつかの実施例に係る、図24における同じ位置の異なる音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線の概略図である。
図33】本願のいくつかの実施例に係る、図24における同じ位置の異なる音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本願の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、本願の例又は実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本願を他の類似するシナリオに適用することができる。言語環境から明らかではないか又は別に説明しない限り、図中の同じ符号は、同じ構造又は操作を示す。
【0066】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」は、レベルの異なる様々なアセンブリ、素子、部材、部分又は組立体を区別する方法であることを理解されたい。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0067】
本願及び特許請求の範囲で使用されるように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「1つ」、「1個」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を意味するものではなく、複数形を含んでもよい。一般的には、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素を含むことを提示するものに過ぎず、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は機器は、他のステップ又は要素も含む可能性がある。
【0068】
本願では、フローチャートを用いて本願の実施例に係るシステムが実行する操作を説明する。先行及び後続の操作が必ずしも順序に従って正確に実行されるとは限らないことを理解されたい。その代わりに、各ステップを逆の順序で、又は同時に処理してもよい。また、他の操作をこれらのプロセスに追加してもよく、これらのプロセスから1つ以上の操作を除去してもよい。
【0069】
本明細書の実施例は、音響出力装置に関する。音響出力装置は、骨伝導音響アセンブリと、気伝導音響アセンブリと、骨伝導音響アセンブリ及び気伝導音響アセンブリにおける少なくとも一部の素子を収容するハウジングと、を含むことができる。いくつかの実施例において、骨伝導音響アセンブリは、骨伝導音波を発生させてもよく、骨伝導音響アセンブリが骨伝導音波を発生させる場合、気伝導音響アセンブリは、ハウジング及び/又は骨伝導音響アセンブリの振動に基づいて空気伝導音波を発生させてもよい。いくつかの実施例において、音響出力装置における1つ以上の音響構造(例えば、放音孔、減圧孔、調音孔、導音通路、連通孔など)を設置することにより、音響出力装置から出力された音声品質を向上させ、音響出力装置の中低周波数での音声を豊かにし、音響出力装置の音漏れを低減し、ユーザのオーディオ体験を向上させることができる。例えば、音響出力装置のハウジングは、第1のキャビティ(フロントキャビティと呼ばれてもよい)と第2のキャビティ(リアキャビティと呼ばれてもよい)を含んでもよく、ハウジングには、第2のキャビティと連通する放音孔が設置されてもよく、空気伝導音波は、放音孔を介して音響出力装置の外部に伝達されてもよい。いくつかの実施例において、空気伝導音波の周波数応答曲線は、1つ以上の共振ピークを有してもよく、共振ピークのピーク共振周波数は、1kHz以上であってもよい。また例えば、音響出力装置のハウジングの側壁には、第1のキャビティと連通する少なくとも1つの減圧孔がさらに設置されてもよく、減圧孔は、第1のキャビティと音響出力装置の外部との連通を促進することによって第1のキャビティ内の圧力を調整することができるため、低周波数で気伝導音響アセンブリの周波数応答を調整することに役立つ。いくつかの実施例において、音響出力装置における1つ以上の音響構造(例えば、放音孔、減圧孔、調音孔、導音通路、連通孔など)の数、寸法、形状、位置などを調整することにより、音響出力装置の周波数応答曲線を最適化して、音響出力装置から出力された音声品質を向上させることができる。例えば、音響出力装置において第1のキャビティと連通する減圧孔と第2のキャビティと連通する調音孔との間の間隔距離は、比較的小さくてもよく(例えば、減圧孔及び調音孔は、それぞれハウジングの隣接する2つの側壁に設置されてもよい)、それにより減圧孔と調音孔をそれぞれ介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波は、できるだけ高周波数帯域(例えば、2kHz~4kHz)で干渉相殺して、音響出力装置の音漏れを低減し、音響出力装置の音声品質を向上させる。
【0070】
図1は、本願のいくつかの実施例に係る音響出力システムの概略図である。図1に示すように、音響出力システム100は、マルチメディアプラットフォーム110、ネットワーク120、音響出力装置130、ユーザ端末140及び記憶機器150を含んでもよい。
【0071】
マルチメディアプラットフォーム110は、音響出力システム100の1つ以上のアセンブリ又は外部データソース(例えば、クラウドデータセンタ)と通信してもよい。いくつかの実施例において、マルチメディアプラットフォーム110は、音響出力装置130及び/又はユーザ端末140にデータ又は信号(例えば、音楽のオーディオデータ)を提供してもよい。いくつかの実施例において、マルチメディアプラットフォーム110は、音響出力装置130及び/又はユーザ端末140のデータ/信号処理に用いられてもよい。いくつかの実施例において、マルチメディアプラットフォーム110は、単一のサーバ又はサーバ群で実装されてもよい。サーバ群は、1つ以上のアクセスポイントを介してネットワーク120に接続された分散型サーバ群又は1つ以上のアクセスポイントを介してネットワーク120に接続された集中型サーバ群であってもよい。いくつかの実施例において、マルチメディアプラットフォーム110は、ネットワーク120にローカルに接続されてもよく、ネットワーク120に遠隔で接続されてもよい。例えば、マルチメディアプラットフォーム110は、ネットワーク120を介して、音響出力装置130、ユーザ端末140及び/又は記憶機器150に記憶された情報及び/又はデータにアクセスしてもよい。別の例として、記憶機器150は、マルチメディアプラットフォーム110のバックエンドデータメモリとして使用されてもよい。いくつかの実施例において、マルチメディアプラットフォーム110は、クラウドプラットフォームで実装されてもよい。単に例として、該クラウドプラットフォームは、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド、コミュニティクラウド、分散クラウド、インターナルクラウド、マルチクラウドなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0072】
いくつかの実施例において、マルチメディアプラットフォーム110は、処理装置112を含んでもよい。処理機器112は、マルチメディアプラットフォーム110の主な機能を実行することができる。例えば、処理機器112は、記憶機器150からオーディオデータを検索し、検索されたオーディオデータを音響出力装置130及び/又はユーザ端末140に送信して音声を生成することができる。他の実施例において、処理機器112は、音響出力装置130の信号を処理してもよい(例えば、制御信号を生成する)。
【0073】
いくつかの実施例において、処理機器112は、1つ以上の処理ユニット(例えば、シングルコア処理機器又はマルチコア処理機器)を含んでもよい。単に例示的な説明として、処理機器112は、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け命令セットプロセッサ(ASIP)、画像処理装置(GPU)、物理処理ユニット(PPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)、プログラム可能なロジックデバイス(PLD)、コントローラ、マイクロコントローラユニット、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、マイクロプロセッサなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0074】
ネットワーク120は、情報及び/又はデータの交換を容易にすることができる。いくつかの実施例において、音響出力システム100中の1つ以上のアセンブリ(例えば、マルチメディアプラットフォーム110、音響出力装置130、ユーザ端末140、及び記憶機器150)は、ネットワーク120を介して情報及び/又はデータを音響出力システム100中の他のアセンブリに送信してもよい。いくつかの実施例において、ネットワーク120は、任意のタイプの有線ネットワーク又は無線ネットワーク又はそれらの組み合わせであってもよい。単に例示的な説明として、ネットワーク120は、ケーブルネットワーク、有線ネットワーク、光ファイバネットワーク、遠隔通信ネットワーク、イントラネット、Internet、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、公衆電話交換網(PSTN)、ブルートゥース(登録商標)ネットワーク、ZigBeeネットワーク、近距離通信(NFC)ネットワークなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、ネットワーク120は、1つ以上のネットワークアクセスポイントを含んでもよい。例えば、ネットワーク120は、基地局及び/又はインターネット交換ポイントの有線又は無線のネットワークアクセスポイントなどを含んでもよく、音響出力システム100の1つ以上のアセンブリは、ネットワーク120に接続されてデータ及び/又は情報を交換することができる。
【0075】
また、音響出力装置130は、ユーザに音声を出力し、ユーザと対話することができる。いくつかの実施例において、音響出力装置130は、少なくとも、歌曲、詩歌、ニュース放送、天気放送、オーディオレッスンなどのオーディオコンテンツをユーザに提供してもよい。いくつかの実施例において、ユーザは、例えば、キー、スクリーンタッチ、身体運動、音声、ジェスチャー、思想などを介して音響出力装置130にフィードバックを提供してもよい。いくつかの実施例において、音響出力装置130は、ウェアラブル機器であってもよい。特に説明しない限り、本明細書で使用されるウェアラブル機器は、イヤホン、及び頭部装着型、肩部装着型又は身体装着型の機器などの様々な他のタイプの個人機器を含んでもよい。ウェアラブル機器は、ユーザに接触するか又は接触しない場合に、ユーザに少なくともオーディオコンテンツを提供することができる。いくつかの実施例において、ウェアラブル機器は、スマートイヤホン、頭部装着ディスプレイ(HMD)、スマートブレスレット、スマートシューズ、スマートウォッチ、スマート衣服、スマートバックパッケージ、スマートアクセサリ、仮想現実ヘルメットなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0076】
音響出力装置130は、ネットワーク120を介してユーザ端末140と通信可能である。いくつかの実施例において、様々なタイプのデータ及び/又は情報は、音響出力装置130を介して受信されたユーザのジェスチャーなど(例えば、握手、首振りなど)であってもよい。いくつかの実施例において、様々なタイプのデータ及び/又は情報は、運動パラメータ(例えば、地理的位置、移動方向、移動速度、加速度など)、音声パラメータ(音声の音量、音声の内容など)などを含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、音響出力装置130はさらに、受信されたデータ及び/又は情報をマルチメディアプラットフォーム110又はユーザ端末140に送信してもよい。音響出力装置130に関するよく多くの説明について、本願における他の箇所の詳細な説明、例えば、図2図3などを参照することができる。
【0077】
いくつかの実施例において、ユーザ端末140は、カスタマイズに設定されてもよく、例えば、ユーザ端末140にアプリケーションプログラムをインストールし、アプリケーションプログラムは、音響出力装置130のデータ及び/又は信号と通信するか及び/又はデータ及び/又は信号の処理を実現することができる。ユーザ端末140は、モバイル機器130-1、タブレットコンピュータ130-2、ラップトップコンピュータ130-3、車両内の内蔵装置130-4など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、モバイル機器130-1は、スマートホーム機器、スマートモバイル機器など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、スマートホーム機器は、スマート照明機器、スマート電気設備の制御機器、スマート監視機器、スマートテレビ、スマートカメラ、インターフォンなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、スマートモバイル機器は、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ゲーム機器、ナビゲーション機器など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、車両内の内蔵装置130-4は、内蔵コンピュータ、内蔵テレビ、内蔵タブレットコンピュータなどを含んでもよい。いくつかの実施例において、ユーザ端末140は、ユーザ及び/又はユーザ端末140の位置を測定する測定機器(図示せず)と通信するように構成された信号送信器及び信号受信器を含んでもよい。いくつかの実施例において、マルチメディアプラットフォーム110又は記憶機器150は、ユーザ端末140に集積されてもよい。このような場合に、同様に、ユーザ端末140により、上記マルチメディアプラットフォーム110の実現可能な機能を実現することができる。
【0078】
記憶機器150は、データ及び/又は命令を記憶することができる。いくつかの実施例において、記憶機器150は、マルチメディアプラットフォーム110、音響出力装置130及び/又はユーザ端末140から取得されたデータを記憶してもよい。いくつかの実施例において、記憶機器150は、マルチメディアプラットフォーム110、音響出力装置130及び/又はユーザ端末140の様々な機能を実現可能なデータ及び/又は命令を記憶してもよい。いくつかの実施例において、記憶機器150は、大容量メモリ、リムーバブルメモリ、揮発性読み書きメモリ、リードオンリーメモリ(ROM)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。例示的な大容量メモリは、例えば、磁気ディスク、光ディスク、ソリッドステートドライブなどを含んでもよい。例示的なリムーバブルメモリは、フラッシュドライブ、フレキシブルディスク、光ディスク、メモリカード、コンパクトディスク、磁気テープなどを含んでもよい。例示的な揮発性読み書きメモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含んでもよい。例示的なRAMは、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、ダブルデータレート同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DDRSDRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、サイリスタランダムアクセスメモリ(T-RAM)、ゼロキャパシタランダムアクセスメモリ(Z-RAM)などを含んでもよい。例示的なROMは、プログラマブルROM(PROM)、消去可能・プログラム可能なROM(EPROM)、電気的消去可能・プログラム可能ROM(EEPROM)、コンパクトディスクROM(CD-ROM)及びデジタル多用途ディスクROMなどを含んでもよい。いくつかの実施例において、上記記憶機器150は、クラウドプラットフォーム上で実装されてもよい。単に例として、該クラウドプラットフォームは、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド、コミュニティクラウド、分散クラウド、インターナルクラウド、マルチクラウドなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、音響出力システム100中の1つ以上のアセンブリは、ネットワーク120を介して記憶機器150に記憶されたデータ及び/又は命令にアクセスしてもよい。いくつかの実施例において、記憶機器150は、バックエンドメモリとしてマルチメディアプラットフォーム110に直接接続されてもよい。
【0079】
いくつかの実施例において、マルチメディアプラットフォーム110、ネットワーク120、ユーザ端末140及び/又は記憶機器150は、音響出力装置130に集積されてもよい。具体的には、技術の進歩及び音響出力装置130の処理能力の向上に伴い、音響出力装置130は、すべての処理を実行してもよい。例えば、音響出力装置130は、高集積化された電子素子(例えば、中央処理装置(CPU)、画像処理装置(GPU)など)を有するスマートイヤホン、MP3プレーヤであってもよい。
【0080】
図2は、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略図である。図2に示すように、音響出力装置200は、耳掛け210、ハウジング220、回路ハウジング230、後掛け240、音響アセンブリ250、制御回路260及び電池270を含むことができる。ハウジング220と回路ハウジング230は、それぞれ耳掛け210の両端に設置され、後掛け240は、回路ハウジング230の耳掛け210から離れた一端に設置されてもよい。ハウジング220は、異なる音響アセンブリ250を収容することができる。回路ハウジング230は、制御回路260及び電池270を収容することができる。後掛け240の両端は、それぞれ、対応する回路ハウジング230に物理的に接続することができる。耳掛け210は、ユーザが音響出力装置200を装着している場合に、ユーザの耳においてハウジング220及び音響アセンブリ250を所定の位置に固定することができる構造であってもよい。
【0081】
いくつかの実施例において、耳掛け210は、弾性支持部材を含んでもよく、ユーザが音響出力装置200を装着する場合、音響出力装置200を耳に掛けてもよい。弾性支持部材は、耳掛け210をユーザの耳に合わせた形状に維持するように配置されるため、耳掛け210は、耳の形状及びユーザの頭部の形状に応じて、フィットする弾性変形を発生させることができる。ユーザが音響出力装置200を装着している場合、弾性支持部材は、異なる耳の形状及び頭部の形状を有するユーザに適応することができる。いくつかの実施例において、弾性支持部材は、良好な変形回収能力を有する記憶合金であってもよい。記憶合金は、熱弾性とマルテンサイト変態及びその逆変換により形状記憶効果を有する2種類以上の金属元素からなる材料である。いくつかの実施例において、記憶合金は、ニッケルチタン合金、銅亜鉛合金、鉄マンガン合金、ニッケルアルミニウム合金、金カドミウム合金などのうちのいずれか1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、弾性支持部材は、他の材料(例えば、有機高分子材料)からなる支持部材であってもよい。いくつかの実施例において、有機高分子材料は、ゴム、化学繊維、プラスチックなどのうちのいずれか1種又は複数種を含んでもよい。いくつかの実施例において、弾性支持部材は、非記憶合金で製造されてもよい。いくつかの実施例において、弾性支持部材中の導線は、音響アセンブリ250と他の部材(例えば、制御回路260、電池270など)との間の電気的な接続を確立して、音響アセンブリ250の電源及びデータの伝送を容易にすることができる。いくつかの実施例において、耳掛け210は、保護カバー211と、保護カバー211と一体に形成されたハウジング保護部材212とをさらに含み、保護カバー211は、弾性支持部材の外部に覆われ、ハウジング保護部材212は、ハウジング220の外部に覆われ、ハウジング220にフィットする。
【0082】
ハウジング220は、音響アセンブリ250を収容するように構成されてもよい。いくつかの実施例において、音響アセンブリ250は、骨伝導音響アセンブリ、気伝導音響アセンブリなどを含んでもよい。骨伝導音響アセンブリは、固体媒体(例えば、骨格)を介して音波(骨伝導音波とも呼ばれる)を出力するように構成されてもよい。例えば、骨伝導音響アセンブリは、オーディオ信号(例えば、電気信号)を振動に変換してユーザの骨格(例えば、頭蓋骨)に伝達することができる。いくつかの実施例において、骨伝導音響アセンブリは、磁気回路システム、1つ以上の振動板及びボイスコイルを含んでもよい。磁気回路システムは、磁場を発生させることができるため、磁気ギャップに位置するボイスコイルは、磁場の作用で振動し、ボイスコイルの振動は、1つ以上の振動板を振動するように駆動することができる。1つ以上の振動板のうちの少なくとも1つは、ハウジング220に物理的に接続されてもよく、ハウジング220は、ユーザの皮膚(例えば、ユーザの頭部の上の皮膚)に接触し、音響出力装置200を装着しているユーザの蝸牛に骨伝導音波を伝達することができる。気伝導音響アセンブリは、空気によって音波(空気伝導音波とも呼ばれる)を出力するように構成されてもよい。例えば、気伝導音響アセンブリは、ハウジング220、骨伝導音響アセンブリの振動、及び/又はハウジング220内の空気の振動を、ユーザの耳で受けることができる空気振動に変換してもよい。いくつかの実施例において、気伝導音響アセンブリは、少なくとも1つの振動膜を含んでもよく、振動膜は、骨伝導音響アセンブリ及び/又はハウジング220に物理的に接続されてもよい。骨伝導音響アセンブリ(例えば、1つ以上の振動板)が振動して骨伝導音波を発生させた場合、骨伝導音響アセンブリ(例えば、1つ以上の振動板)の振動は、ハウジング220、及び/又は、骨伝導音響アセンブリ及び/又はハウジング220に物理的に接続された振動膜の振動を駆動することができる。振動膜の振動は、ハウジング220内の空気を振動させることができる。ハウジング220内の空気振動は、ハウジング220から伝達されて空気伝導音波を発生させることができる。骨伝導音響アセンブリ及び気伝導音響アセンブリに関するより多くの説明は、本願における他の箇所の詳細な説明、例えば、図3図4などを参照することができる。
【0083】
いくつかの実施例において、音響アセンブリ250及びハウジング220は、数が2つであってもよく、それぞれユーザの左耳及び右耳及びその近傍の領域に対応してもよい。いくつかの実施例において、音響アセンブリ250及びハウジング220は、数が1つであってもよく、ユーザが該音響出力装置200を装着している場合、ユーザの左耳又は右耳及びその近傍の領域に分布してもよい。音響アセンブリ250の詳細については、本願における他の箇所、例えば、図3図6及びそれらの関連する説明で見つけることができる。なお、音響出力装置200は、他の装着方式を有してもよく、例えば、耳掛け210がユーザの耳を覆ったり、包んだりし、後掛け240がユーザの頭頂を跨ぐ。また例えば、音響出力装置200は、後掛け240を含まなくてもよく、耳掛け210は、音響出力装置200がユーザの耳又はその近傍の領域に位置するように、ユーザの耳介に直接的に吊り下げられてもよい。
【0084】
いくつかの実施例において、ハウジング220には、接触面221が設置されてもよい。接触面221は、ユーザの皮膚に接触してもよい。いくつかの実施例において、接触面221は、ハウジング220の上面、皮膚接触領域などと呼ばれてもよい。ハウジング220の上面に対向するハウジング220の表面は、ハウジング220の後面又は背面と呼ばれてもよい。音響出力装置130において音響アセンブリ250の1つ以上の骨伝導音響アセンブリにより発生した骨伝導音波は、ハウジング220の接触面221を介して外部に伝達されてもよい。いくつかの実施例において、接触面221の材料及び厚さは、骨伝導音波のユーザへの伝達に影響を与え、それにより音質に影響を与える。例えば、接触面221の材料が比較的柔らかい場合、低周波数領域における骨伝導音波の伝達は、高周波数領域における骨伝導音波の伝達よりも優れてもよい。一方、接触面221の材料が比較的硬い場合には、高周波数領域における骨伝導音波の伝達は、低周波数領域における骨伝導音波の伝達よりも優れてよい。
【0085】
図3は、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置のブロック図である。図3に示すように、音響出力装置300は、骨伝導音響アセンブリ310と、気伝導音響アセンブリ320と、骨伝導音響アセンブリ310及び気伝導音響アセンブリ320における少なくとも一部の素子を収容するハウジング330と、を含むことができる。
【0086】
骨伝導音響アセンブリ310は、骨伝導音波を発生させることができる。いくつかの実施例において、骨伝導音響アセンブリ310は、特定の周波数範囲(例えば、低周波数範囲、媒体周波数範囲、高周波数範囲、中低周波数領域、中高周波数範囲など)内に、信号処理モジュールにより生成された制御信号に基づいて、骨伝導音波を発生させることができる。いくつかの実施例において、骨伝導音波は、固体媒体(例えば、骨格)を介して機械的振動の形式で伝導される音波であってもよい。いくつかの実施例において、低周波数範囲(低周波数とも呼ばれる)は、周波数範囲が20Hz~150Hzであり、媒体周波数範囲(媒体周波数とも呼ばれる)は、周波数範囲が150Hz~5kHzであり、高周波数範囲(高周波数とも呼ばれる)は、周波数範囲が5kHz~20kHzであり、中低周波数範囲(中低周波数とも呼ばれる)は、周波数範囲が150Hz~500Hzであり、中高周波数範囲(中高周波数とも呼ばれる)は、周波数範囲が500Hz~5kHzであってもよい。別の例として、低周波数範囲は、周波数範囲が20Hz~300Hzであり、媒体周波数範囲は、周波数範囲が300Hz~3kHzであり、高周波数範囲は、周波数範囲が3kHz~20kHzであり、中低周波数範囲は、周波数範囲が100Hz~1000Hzであり、中高周波数範囲は、周波数範囲が1000Hz~10kHzであってもよい。なお、周波数範囲の値は、説明するためのものに過ぎず、限定するものではない。上記周波数範囲の定義は、異なる応用シーン及び異なる分類基準によって変化してもよい。例えば、いくつかの他の応用シーンにおいて、低周波数範囲は、20Hz~80Hzの周波数範囲であり、媒体周波数範囲は、160Hz~1280Hzの周波数範囲であり、高周波数範囲は、2560Hz~20kHzの周波数範囲であり、中低周波数範囲は、80Hz~160Hzの周波数範囲であり、中高周波数範囲は、1280Hz~2560Hzの周波数範囲であってもよい。好ましくは、異なる周波数範囲は、重なる周波数を有してもよく、有さなくてもよい。骨伝導音響アセンブリ310に関するより多くの説明は、本明細書の他の箇所、例えば、図4図17図18A図18B及びそれらの関連する説明を参照することができる。
【0087】
気伝導音響アセンブリ320は、空気伝導音波を発生させてもよい。いくつかの実施例において、気伝導音響アセンブリ320は、骨伝導音響アセンブリ310の振動、骨伝導音響アセンブリ310及び気伝導音響アセンブリ320を収容するハウジング330の振動、ハウジング330内の空気の振動及び/又は制御信号に基づいて、空気伝導音波を発生させてもよい。いくつかの実施例において、気伝導音響アセンブリ320は、骨伝導音響アセンブリ310の振動と同じ又は異なる周波数範囲の空気伝導音波を発生させてもよい。いくつかの実施例において、気伝導音響アセンブリ320は、少なくとも1つの振動膜を含んでもよく、少なくとも1つの振動膜は、骨伝導音響アセンブリ310又はハウジング330に接続されてもよく、空気伝導音波は、少なくとも1つの振動膜又はハウジング330の振動に基づいて発生してもよい。いくつかの実施例において、空気伝導音波は、空気振動によって伝導される音波であってもよい。気伝導音響アセンブリ320に関するより多くの説明は、本明細書の他の箇所、例えば、図4図20A及びそれらの関連する説明を参照することができる。
【0088】
ハウジング330は、骨伝導音響アセンブリ310及び気伝導音響アセンブリ320の少なくとも一部の素子を収容してもよい。いくつかの実施例において、ハウジング330は、気伝導音響アセンブリ320における振動膜によって仕切られた第1のキャビティ及び第2のキャビティを含んでもよい。いくつかの実施例において、ハウジング330は、第1の部分及び第2の部分を含んでもよい。ハウジング330の第1の部分と振動膜は、第1のキャビティを形成してもよい。骨伝導音響アセンブリ310は、第1のキャビティ内に配置されてもよい。第1のキャビティを囲むハウジング330の第1の部分(例えば、1つ以上の振動板)は、骨伝導音響アセンブリ310に物理的に接続されてもよい。ユーザが音響出力装置300を装着している場合、ハウジング330の第1の部分は、骨伝導音響アセンブリ310の振動をユーザの骨格に伝達することができる。ハウジング330の第2の部分と振動膜は、第2のキャビティを形成してもよい。気伝導音響アセンブリ320により発生した空気伝導音波は、第2のキャビティから音響出力装置300の外部に伝達されてもよい。いくつかの実施例において、第1のキャビティと第2のキャビティとは、連通しなくてもよい。いくつかの実施例において、第1のキャビティと第2のキャビティとは、連通してもよく、例えば、振動膜に1つ以上の貫通孔が設置されてもよい。いくつかの実施例において、第1のキャビティは、骨伝導音響アセンブリ310の少なくとも一部を収容してもよく、ハウジング330には、第2のキャビティと連通する1つ以上の放音孔が設置され、空気伝導音波は、放音孔を介して音響出力装置300の外部に伝達されてもよい。いくつかの実施例において、ユーザが音響出力装置300を装着している場合、放音孔は、ユーザの耳の外耳道に面してもよいため、空気伝導音波は、放音孔を介してユーザの蝸牛に伝達することができる。
【0089】
いくつかの実施例において、音響出力装置300は、信号処理モジュールをさらに含んでもよい。骨伝導音響アセンブリ310は、信号処理モジュールに電気的に接続されて制御信号(例えば、オーディオ信号)を受信し、制御信号に基づいて骨伝導音波を発生させてもよい。例えば、骨伝導音響アセンブリ310は、電気信号を機械的振動信号に変換する任意の素子(例えば、振動モータ、電磁振動装置など)を含んでもよい。例示的な信号変換方式は、電磁タイプ(例えば、ムービングコイルタイプ、ムービング鉄タイプ、磁歪タイプ)、圧電タイプ、静電タイプなどを含むが、これらに限定されない。骨伝導音響アセンブリ310の内部構造は、単一の共振システム又は複合共振システムであってもよい。いくつかの実施例において、骨伝導音響アセンブリ310は、骨伝導制御信号に基づいて、機械的振動を発生させてもよく、該機械的振動は、骨伝導音波を発生させてもよい。
【0090】
図4は、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略図である。図4に示すように、音響出力装置400は、骨伝導音響アセンブリ410、ハウジング420、気伝導音響アセンブリを含んでもよい。骨伝導音響アセンブリ410及び気伝導音響アセンブリは、ハウジング420の内部に位置してもよい。骨伝導音響アセンブリ410は、ハウジング420を介してユーザに伝達される骨伝導音波を発生させてもよく、気伝導音響アセンブリは、骨伝導音響アセンブリ410の振動に基づいて、空気伝導音波を発生させてもよい。空気伝導音波は、ハウジング420上の1つ以上の放音孔(導音孔とも呼ばれる)を介してユーザに伝達することができる。
【0091】
いくつかの実施例において、骨伝導音響アセンブリ410は、磁気回路システム411、1つ以上の振動板412及びボイスコイル413を含んでもよい。磁気回路システム411は、磁場を発生させるように構成された1つ以上の磁性素子及び/又は透磁性素子を含んでもよい。いくつかの実施例において、磁気回路システム411は、磁気ギャップを含んでもよく、磁気回路システム411は、磁気ギャップに磁場を発生させてもよく、ボイスコイル413は、磁気ギャップに位置してもよい。1つ以上の振動板412のうちの少なくとも1つは、ハウジング420に物理的に接続されてもよく、ハウジング420は、ユーザの皮膚(例えば、ユーザの頭部上の皮膚)に接触し、音響出力装置400を装着しているユーザの蝸牛に骨伝導音波を伝達することができる。いくつかの実施例において、そのうちの1つの振動板412は、ハウジング420の頂壁と呼ばれてもよい。本明細書で説明するように、ユーザが音響出力装置を装着している場合、皮膚に最も近接する壁は、頂壁又は前壁(ユーザの皮膚に接触する領域、接触面などとも呼ばれる)と呼ばれ、皮膚から最も離れた壁(例えば、頂壁と反対の壁)は、底壁又は後壁と呼ばれ、ハウジングにおけるハウジングの頂壁に対応するキャビティは、フロントキャビティ(例えば、第1のキャビティ)と呼ばれてもよく、ユーザがハウジングに接触する皮膚領域に近接し、底壁に対応するキャビティは、リアキャビティ(例えば、第2のキャビティ)と呼ばれてもよく、ユーザがハウジングに接触する皮膚領域から離れる。ボイスコイル413は、1つ以上の振動板412に機械的に接続されてもよい。いくつかの実施例において、ボイスコイル413は、信号処理モジュールに電気的に接続されてもよい。ボイスコイル413に電流(制御信号を表すことができる)が導入されると、ボイスコイル413は、磁場中で振動し、1つ以上の振動板412を振動するように駆動することができる。1つ以上の振動板412の振動は、ハウジング420を介してユーザの骨格に伝達されて、骨伝導音波を発生させることができる。いくつかの実施例において、1つ以上の振動板412の振動は、ハウジング420及び/又は磁気回路システム411を振動させてもよい。ハウジング420及び/又は磁気回路システム411の振動は、ハウジング420内の空気を振動させてもよい。
【0092】
気伝導音響アセンブリは、振動膜431を含んでもよい。振動膜431は、骨伝導音響アセンブリ410及び/又はハウジング420に物理的に接続されてもよい。例えば、振動膜431は、磁気回路システム411、ボイスコイル413及び/又は1つ以上の振動板412のうちの少なくとも1つに接続されてもよい。骨伝導音響アセンブリ410(例えば、1つ以上の振動板412)が振動して骨伝導音波を発生させた場合、骨伝導音響アセンブリ410(例えば、1つ以上の振動板412)の振動は、ハウジング420及び/又は骨伝導音響アセンブリ410及び/又はハウジング420に物理的に接続された振動膜431の振動を駆動することができる。振動膜431の振動は、ハウジング420内の空気を振動させることができる。ハウジング420内の空気振動は、ハウジング420から伝達されて空気伝導音波を発生させることができる。空気伝導音波及び骨伝導音波は、骨伝導音響アセンブリ410に入力された同じオーディオ信号、又はユーザが受信した同じオーディオ信号を表すことができる。本明細書において、空気伝導音波と骨伝導音波とが同じオーディオ信号を表すことは、空気伝導音波と骨伝導音波とが同じ音声内容を表すことであり、該音声内容は、空気伝導音波と骨伝導音波との周波数成分によって表されてもよい。いくつかの実施例において、空気伝導音波と骨伝導音波における周波数成分は、異なってもよい。例えば、骨伝導音波は、より多くの低周波数成分を含んでもよく、空気伝導音波は、より多くの高周波数成分を含んでもよい。いくつかの実施例において、振動膜431は、磁気回路システム411に物理的に接続されてもよく、振動膜431及び磁気回路システム411は、固定されていると見なされてもよく、振動膜431のハウジング420に対する振動は、第1のキャビティ423及び第2のキャビティ424の圧力を変化させて、第1のキャビティ423及び第2のキャビティ424内の空気を振動させることができる。いくつかの実施例において、振動膜431は、磁気回路システム411に物理的に接続されてもよく、ハウジング420は、固定されていると見なされてもよく、振動膜431及び磁気回路システム411のハウジング420に対する振動は、第1のキャビティ423及び第2のキャビティ424の圧力を変化させて、第1のキャビティ423及び第2のキャビティ424内の空気を振動させることができる。
【0093】
いくつかの実施例において、振動膜431は、本体部分及び補助部分を含んでもよい。本体部分は、ハウジング420の頂壁から離れた磁気回路システム411の底面に物理的に接続されてもよい。いくつかの実施例において、振動膜431の本体部分は、磁気回路システム411の底面の少なくとも一部を覆うことができる板(例えば、円板又は環状板)を含んでもよい。いくつかの実施例において、振動膜431の本体部分は、磁気回路システム411の底面の少なくとも一部と磁気回路システム411の側壁に接続される側壁とを覆うことができる板(例えば、円板又は環状板)を含んでもよい。いくつかの実施例において、振動膜431の補助部分は、振動膜431の本体部分を囲む環状形状であってもよい。振動膜431の補助部分は、ハウジング420に物理的に接続されてもよい。例えば、振動膜431の補助部分は、内側が振動膜431の本体部分の外側に接触するか又は接続されてもよく、外側がハウジング420に物理的に接続されてもよい。いくつかの実施例において、振動膜431の補助部分は、突起領域又は凹溝領域のうちの少なくとも1つを含んでもよい。いくつかの実施例において、振動膜431は、振動に敏感な材料で製造された薄膜であってもよい。いくつかの実施例において、振動膜431の材質は、ポリカーボネート(Polycarbonate、PC)、ポリアミド(Polyamides、PA)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(Acrylonitrile Butadiene Styrene、ABS)、ポリスチレン(Polystyrene、PS)、耐衝撃性ポリスチレン(High Impact Polystyrene、HIPS)、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate、PET)、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl Chloride、PVC)、ポリウレタン(Polyurethanes、PU)、ポリエチレン(Polyethylene、PE)、フェノール樹脂(Phenol Formaldehyde、PF)、尿素-ホルムアルデヒド樹脂(Urea-Formaldehyde、UF)、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂(Melamine-Formaldehyde、MF)、ポリアリレート(Polyarylate、PAR)、ポリエーテルイミド(Polyetherimide、PEI)、ポリイミド(Polyimide、PI)、ポリエチレンナフタレート(Polyethylene Naftwo formic acid glycol ester、PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(Polyetherketone、PEEK)、シリコーンゴムなどのうちのいずれか1種又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0094】
いくつかの実施例において、音響出力装置400は、骨伝導音響アセンブリ410の作用下で骨伝導音波を発生させることができ、骨伝導音波は、周波数応答曲線を有してもよく、該周波数応答曲線は、少なくとも1つの共振ピークを有してもよい。音響出力装置400の皮膚接触領域は、振動膜413が骨伝導音響アセンブリ410及びハウジング420に接続されたときに発生した骨伝導音波が第1の周波数応答曲線(例えば、図5中の「k1+k2」で示す)を有し、音響出力装置400の皮膚接触領域は、振動膜413と骨伝導音響アセンブリ410及びハウジング420のうちのいずれかとの接続が切断されたときに発生した骨伝導音波が第2の周波数応答曲線(図5中の「k1」で示す)を有する。いくつかの実施例において、第1の周波数応答曲線及び第2の周波数応答曲線に対応する共振ピークのピーク共振周波数は、関係式(1)を満たすことができる。
【0095】
|f1-f2|/f1≦50% (1)
【0096】
式中、f1は、振動膜413が骨伝導音響アセンブリ410及びハウジング420に接続されたときに発生した骨伝導音波の共振ピークのピーク共振周波数であり、f2は、振動膜413と骨伝導音響アセンブリ410及びハウジング420のうちのいずれかとの接続が切断されたときに発生した骨伝導音波の共振ピークのピーク共振周波数である。なお、上記関係式(1)におけるピーク共振周波数f1とピーク共振周波数f2との関係|f1-f2|/f1の値は、他の数値、例えば、60%、40%、30%、20%など以下であってもよい。いくつかの実施例において、ピーク共振周波数f1に対応するピーク共振強度とピーク共振周波数f2に対応するピーク共振強度との差は、5dB以下であってもよい。いくつかの実施例において、ピーク共振周波数f1に対応するピーク共振強度とピーク共振周波数f2に対応するピーク共振強度との差は、他の数値、例えば、3dB、4dB、6dBなど以下であってもよい。|f1-f2|/f1は、骨伝導音響アセンブリ410によりユーザの皮膚接触領域が振動することに対する振動膜413の影響を評価することができると理解してもよい。|f1-f2|/f1の比の値が小さいほど、骨伝導音響アセンブリ410によりユーザ皮膚接触領域が受信した振動に対する振動膜413の影響を小さくすることができ、音響出力装置400に振動膜413を設置することは、基本的に強い振動感をもたらすことがないため、ユーザが音響出力装置400を装着している場合に高い体験感を受けることを保証することができると理解してもよい。したがって、音響出力装置400の本来の共振システムにできるだけ影響を与えない上で、振動膜413を導入することにより、音響出力装置400が同じ位相又は近い位相を有する骨伝導音波と空気伝導音波を同期して出力することができ、さらに、音響出力装置400の音響表現力が改善され、音響出力装置400がより省電力になる。例示的な説明として、周波数応答曲線における低周波数帯域又は中低周波数帯域(例えば、f1≦500Hz)の移動量は、骨伝導音波の低周波数及び中低周波数ができるだけ影響を受けないように、一定の条件を満たすことができる。いくつかの実施例において、周波数応答曲線における低周波数帯域又は中低周波数帯域(例えば、f1≦500Hz)の移動量は、振動膜413が、骨伝導音響アセンブリ410によりユーザ皮膚接触領域が振動することにできるだけ影響を与えないように、50Hz以下であり、すなわち、|f1-f2|≦50Hzであってもよい。いくつかの実施例において、周波数応答曲線における低周波数帯域又は中低周波数帯域(例えば、f1≦500Hz)の移動量は、振動膜413が一定の構造強度及び弾性を有し、振動膜413の使用過程における疲労変形を低減し、さらに振動膜413の耐用年数を延長するように、5Hz以上であり、すなわち、|f1-f2|≧5Hzであってもよい。なお、いくつかの実施例において、皮膚接触領域は、ユーザが音響出力装置400を装着している場合、ハウジング420がユーザの皮膚に接触する少なくとも一部のハウジング領域を含んでもよい。例えば、図5は、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の、振動膜が設置される前の周波数応答曲線と振動膜が設置された後の周波数応答曲線との比較概略図である。図5に示すように、横軸は、周波数を示し、単位がHzであり、縦軸は、強度を示し、単位がdBである。上記第1の周波数応答曲線510(図5中の「k1+k2」で示す)は、低周波数帯域又は中低周波数帯域(例えば、10Hz~500Hz)に共振ピーク(図5中の点「A」)を有し、該共振ピークのピーク共振周波数f1は、約112Hzであり、ピーク共振強度は、約88dBである。第2の周波数応答曲線520(図5中の「k1」で示す)は、低周波数帯域又は中低周波数帯域(例えば、10Hz~500Hz)に共振ピーク(図5中の点「B」)を有し、該共振ピークのピーク共振周波数f2は、約95Hzであり、ピーク共振強度は、約87dBである。ピーク共振周波数f1とピーク共振周波数f2との差(又は絶対値)は、約17Hzであり、すなわち、周波数応答曲線における低周波数帯域又は中低周波数帯域(例えば、f1≦500Hz)の移動量は、約17zであることが分かる。ピーク共振周波数f1に対応するピーク共振強度とピーク共振周波数f2に対応するピーク共振強度との差は、約1dBである。いくつかの実施例において、振動膜の弾性範囲において、振動膜の弾性が大きいほど、周波数応答曲線における低周波数帯域又は中低周波数帯域の移動量が大きくなり、振動膜の弾性を調整することにより、周波数応答曲線における特定の周波数帯域(例えば、低周波数帯域又は中低周波数帯域)での移動量の大きさを調整することができる。例えば、振動膜の弾性を小さくする(弾性係数の小さい材料を使用する)ことにより、周波数曲線における中低周波数帯域又は中低周波数帯域の移動量を低減する。さらに、図4に示すように、いくつかの実施例において、ハウジング420は、第1の部分及び第2の部分を含んでもよい。ハウジング420の第1の部分及び振動膜431は、第1のキャビティ423を形成してもよい。第1のキャビティ423を取り囲む第1の部分は、骨伝導音響アセンブリ410(例えば、1つ以上の振動板412)に物理的に接続され、ユーザが音響出力装置400を装着している場合、ハウジング420の第1の部分又はハウジング420の第1の部分に設置された1つ以上の振動板412は、骨伝導音響アセンブリ410の振動をユーザの骨格に伝達してもよい。ハウジング420の第2の部分及び振動膜431は、第2のキャビティ424を形成してもよい。気伝導音響アセンブリにより発生した空気伝導音波は、第2のキャビティ424から音響出力装置400の外部に伝達されてもよい。
【0097】
いくつかの実施例において、ハウジング420は、少なくとも1つの放音孔421を含んでもよく、放音孔421は、第2のキャビティ424における空気伝導音波を音響出力装置400の外部に伝達する。いくつかの実施例において、少なくとも1つの放音孔421は、ハウジング420の第2の部分の側壁に設置され、放音孔421は、第2のキャビティ424と連通してもよい。いくつかの実施例において、放音孔421の数は、1つ以上であってもよい。磁気回路システム411は、磁場とボイスコイル413との相互作用により、対応する反力を受けて振動して振動膜431を振動するように駆動することもできる。振動膜431の振動は、第2のキャビティ424内で空気を振動させることができる。第2のキャビティ424内の空気振動は、第2のキャビティ424において空気伝導音波を発生させ、空気伝導音波は、第2のキャビティ424から放音孔421を介して音響出力装置400の外部に伝播することができる。
【0098】
いくつかの実施例において、ボイスコイル413と磁気回路システム411との間のインタラクション動作(すなわち、磁気回路システム411によって提供される磁場下でのボイスコイル413の振動)によって、ハウジング420が音響出力装置400の前側(すなわち、矢印Aで示す又はユーザの皮膚に向かう方向に沿う)及び振動膜431(ハウジング420が矢印Aで示す方向に沿って移動し、磁気回路システム411及び振動膜431が不動であると考えられる)に向かって移動すると、ハウジング420における第1のキャビティ423が大きくなり、第2のキャビティ424が小さくなり、第2のキャビティ424内の圧力が増加する。ハウジング420がユーザの皮膚方向に移動すると、ユーザの皮膚に作用する1つ以上の振動板412の圧力が増加し、骨伝導音響アセンブリ410により発生した骨伝導音波を「正相」と画定することができる。同様に、第2のキャビティ424内の圧力が増加するため、気伝導音響アセンブリにより発生した空気伝導音波は、「正相」であってもよい。いくつかの実施例において、空気伝導音波と骨伝導音波は、同じ位相であってもよく、すなわち、空気伝導音波と骨伝導音波との位相差は、0に等しくてもよい。いくつかの実施例において、空気伝導音波と骨伝導音波との位相差は、π、2π/3、π/2などの閾値よりも小さくてもよい。本明細書で使用されるように、空気伝導音波と骨伝導音波との位相差は、空気伝導音波と骨伝導音波との差の絶対値であってもよい。いくつかの実施例において、空気伝導音波と骨伝導音波との差周波数範囲は、異なる位相差と異なる閾値に対応してもよい。例えば、300Hzよりも小さい周波数範囲における空気伝導音波と骨伝導音波との位相差は、πより小さくてもよい。別の例として、1000Hzよりも小さい特定の周波数範囲(例えば、300Hz~1000Hz)における空気伝導音波と骨伝導音波との位相差は、2π/3よりも小さくてもよい。他の例として、3000Hzよりも小さい特定の周波数範囲(例えば、1000Hz~3000Hz)における空気伝導音波と骨伝導音波との位相差は、π/2よりも小さくてもよい。したがって、骨伝導音波と空気伝導音波の同期性を向上させることにより、骨伝導音波と空気伝導音波とが重畳して、聴覚効果を向上させることができる。
【0099】
いくつかの実施例において、放音孔421の出口端の実際の面積は、ユーザがより多くの、放音孔421を介して出力された空気伝導音波に聞こえるように、8mm以上であってもよい。他の実施例において、放音孔421の出口端の実際の面積は、10mm、9mm、7mm、6mmなどの他の数値以上であってもよい。いくつかの実施例において、放音孔421の入口端の実際の面積は、その出口端の実際の面積以上であってもよい。いくつかの実施例において、放音孔421には、気伝導音響アセンブリの音響効果を改善するように、減衰構造(音響インピーダンス網とも呼ばれる)(例えば、チューニング網など)が設置されてもよい。いくつかの実施例において、放音孔421の数、位置、寸法及び/又は形状を調整することにより、空気伝導音波の出力特性を調整してもよい。なお、本明細書の実施例における出口端の実際の面積は、出口端が位置する端面の面積の大きさとして定義され、本明細書の実施例における入口端の実際の面積は、入口端が位置する端面の面積の大きさとして定義されてもよい。ここでの出口端が位置する端面の面積は、振動が空気を介して出口端の端面を通過できる面積として理解することができる。入口端が位置する端面の面積は、振動が空気を介して入口端の端面を通過できる面積として理解することができる。
【0100】
いくつかの実施例において、振動板412及び/又はハウジング420の剛性(例えば、構造の寸法、材料弾性率など)を調整することにより、骨伝導音波の出力特性を調整してもよい。いくつかの実施例において、振動膜431の形状、弾性係数及び減衰を調整することにより、空気伝導音波の出力特性を調整してもよい。
【0101】
さらに、図4に示すように、いくつかの実施例において、ハウジング420には、第1のキャビティ423と連通する少なくとも1つの減圧孔422が設置されてもよい。例えば、減圧孔422は、ハウジング420の第1のハウジングの側壁に設置されてもよい。第1のキャビティ423は、減圧孔422を介して音響出力装置400の外部と連通してもよい。いくつかの実施例において、減圧孔422及び放音孔421は、ハウジング420の異なる側壁に設置されてもよい。いくつかの実施例において、減圧孔422及び放音孔421は、ハウジング420の隣接しない異なる側壁、例えば、互いに略平行な側壁に設置されてもよい。いくつかの実施例において、減圧孔422は、ハウジング420の第1のキャビティ423と音響出力装置400の外部との圧力バランスを容易にする貫通孔であってもよい。いくつかの実施例において、ハウジング420に対する磁気回路システム411の振動は、第1のキャビティ423内の圧力を増加又は減少させてもよい。減圧孔422は、第1のキャビティ423と外部との連通を促進して第1のキャビティ423内の圧力を調整することにより、ハウジング420と磁気回路システム411(及び/又は振動膜431)との間の相互運動を維持し、ハウジング420の正常な振動を確保することができる。いくつかの実施例において、減圧孔422は、気伝導音響アセンブリの周波数応答(例えば、低周波数帯域の周波数応答)を調整して、音声漏れをさらに低減する効果を達成することに役立つ。ハウジング420に対する磁気回路システム411の振動は、第1のキャビティ423において空気を振動させることができることを理解されたい。第1のキャビティ423内の空気振動により発生した空気伝導音波は、減圧孔422を介して音響出力装置400の外部に伝達できるため、音声漏れが発生する。いくつかの実施例において、減圧孔422の寸法、構造、音響インピーダンス、形状などのパラメータを設計して、気伝導音響アセンブリの周波数応答を調整することにより、音漏れを低減又は抑制することができる。いくつかの実施例において、減圧孔422に音響インピーダンス網(図示せず)を設置して、上記共振ピークの強度を低下させることにより、第1のキャビティ423によって形成された構造と減圧孔422によって形成された構造における周波数応答を減少させて、音声漏れをさらに低減する効果を達成してもよい。いくつかの実施例において、減圧孔422の数は、1つ以上であってもよく、減圧孔422の位置は、第1のキャビティ423の側壁に対応する任意の位置に設定されてもよく、ここでは限定しない。
【0102】
いくつかの実施例において、減圧孔の数は、複数であってもよい。単に例示的な説明として、少なくとも1つの減圧孔は、第1の減圧孔及び第2の減圧孔を含んでもよく、第1の減圧孔は、第2の減圧孔よりも放音孔421から離れるように設置され、第1の減圧孔の出口端の有効面積は、第2の減圧孔の出口端の有効面積よりも大きい。ここでの有効面積及び以下に導入される特定の通路(例えば、導音通路など)又は開口(例えば、放音孔、調音孔、連通孔など)の有効面積は、その実際の面積と覆設された音響インピーダンス網の空隙率との積、すなわち、開口から空気が通過できる面積として定義されてもよい。例えば、減圧孔の出口端に音響インピーダンス網が覆設された場合、減圧孔の出口端の有効面積は、減圧孔の出口端の実際の面積と覆設された音響インピーダンス網の空隙率との積である。また例えば、減圧孔の出口端に音響インピーダンス網が覆設されていない場合、減圧孔の出口端の有効面積は、減圧孔の出口端の実際の面積である。同様に、後文に言及される導音通路、調音孔などの貫通孔の出口端の有効面積は、それぞれ、実際の面積と対応する空隙率との積として定義されてもよく、ここでは説明を省略する。
【0103】
いくつかの実施例において、放音孔421と第1の減圧孔は、それぞれ骨伝導音響アセンブリ410の対向する両側に位置してもよい。いくつかの実施例において、音響出力装置400のハウジング420は、骨伝導音響アセンブリ410の対向する両側に位置する第1の側壁及び第2の側壁と、上記第1の側壁及び上記第2の側壁に接続されるとともに互いに間隔をあける第3の側壁及び第4の側壁とを含んでもよく、放音孔421と第1の減圧孔は、それぞれ第1の側壁と第2の側壁に設置され、第2の減圧孔は、第3の側壁又は第4の側壁に設置されてもよい。いくつかの実施例において、少なくとも1つの減圧孔は、第3の減圧孔をさらに含んでもよく、第2の減圧孔の出口端の有効面積は、第3の減圧孔の出口端の有効面積よりも大きく、第2の減圧孔と第3の減圧孔は、それぞれ第3の側壁と第4の側壁に設置される。いくつかの実施例において、第1の減圧孔の出口端の実際の面積は、第2の減圧孔の出口端の実際の面積よりも大きく、第2の減圧孔の出口端の実際の面積は、第3の減圧孔の出口端の実際の面積よりも大きい。
【0104】
いくつかの実施例において、振動膜431は、骨伝導音響アセンブリ410に接続されず、周側が直接的にハウジング420の内壁に物理的に接続され、さらにハウジング420内部のキャビティを第1のキャビティ423及び第2のキャビティ424に仕切ってもよい。いくつかの実施例において、振動膜431の数は、複数、例えば、2つ又は3つであってもよく、複数の振動膜は、骨伝導音響アセンブリ410の磁気回路システム411に物理的に接続され、ハウジング420の内部のキャビティを第1のキャビティ423及び第2のキャビティ424に仕切ってもよい。振動膜431が2つである場合について、図20B及び図20Cを参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0105】
図6は、本願の他のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略図である。音響出力装置600は、図4中の音響出力装置400と同じであるか又は類似してもよい。例えば、音響出力装置600は、骨伝導音響アセンブリ610、ハウジング620及び気伝導音響アセンブリを含んでもよい。別の例として、骨伝導音響アセンブリ610は、磁気回路システム611、1つ以上の振動板612及びボイスコイル613を含んでもよい。気伝導音響アセンブリは、振動膜631を含んでもよい。いくつかの実施例において、放音孔621は、ハウジング620に設置されるとともに、第2のキャビティ624と連通してもよく、減圧孔622は、ハウジング620に設置されるとともに、第1のキャビティ623と連通してもよい。音響出力装置600におけるアセンブリに関するより多くの説明は、本願の他の箇所、例えば、図4及びその関連する説明で見つけることができる。
【0106】
図6に示すように、音響出力装置400とは異なり、音響出力装置600は、ハウジング620に接続された導音部材640をさらに含んでもよい。導音部材640に導音通路が設置され、導音通路は、放音孔621に結合されるとともに、放音孔621と連通することができる。いくつかの実施例において、導音通路は、音響出力装置600の外部へ空気伝導音波を案内してもよい。いくつかの実施例において、導音部材640は、前述の空気伝導音波の伝播経路及び/又は方向を変更し、さらに空気伝導音波の指向性を変更してもよい。いくつかの実施例において、導音部材640は、放音孔621と人の耳との間の距離を短縮し、さらに空気伝導音波の強度を増加させてもよい。ユーザが音響出力装置600を装着している場合、導音部材640の導音通路の放音孔621から離れた末端は、ユーザの耳に向くことができる。それに加えて、導音部材640は、該底壁での可能な音漏れによる放音孔621での音声の逆位相相殺を改善するように、音響出力装置600からの空気伝導音波の実際の出力位置をハウジング620の底壁(すなわち、ハウジング620上の皮膚接触領域に対向する後端面(例えば、第2のキャビティ624に対応するハウジング620の端面))からより離れるようにしてもよい。このようにすれば、ユーザが音響出力装置600を装着している場合、ユーザが空気伝導音波によく聞こえる。
【0107】
いくつかの実施例において、音質を保証するために、音響出力装置600の周波数応答曲線を広い周波数帯域で平坦にするべきであり、すなわち、共振ピークをできるだけより高周波数の位置にあるようにする必要がある。放音孔621を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波の周波数応答曲線は、共振ピークを有し、該共振ピークのピーク共振周波数は、1kHz以上であってもよい。好ましくは、音響出力装置600が高い音声出力効果を有するように、ピーク共振周波数は、2kHz以上であってもよい。より好ましくは、音響出力装置600が高い音声出力効果を有するように、ピーク共振周波数は、3.5kHz以上であってもよい。さらに好ましくは、ピーク共振周波数は、4.5kHz以上であってもよい。
【0108】
音響出力装置600のピーク共振周波数を向上させるために、いくつかの実施例において、導音通路は、放音孔621を介して第2のキャビティ624と連通し、ヘルムホルツ共振キャビティ構造を構成することができる。ヘルムホルツ共振キャビティ構造の共振周波数fと第2のキャビティ624及び導音通路の構造パラメータは、関係式(2)を満たすことができる。
【0109】
f∝[S/(VL+1.7VR)]1/2 (2)
【0110】
式中、Vは、第2のキャビティ624の体積を示し、Sは、導音通路の断面積を示し、Rは、導音通路の等価半径を示し、Lは、導音通路の長さを示す。等価半径は、導音通路の形状が略円形又は非円形である場合に、導音通路の面積と同じである円形の半径である。関係式(2)から分かるように、第2のキャビティ624の体積が一定である場合、導音通路の断面積を増加させ、及び/又は導音通路の長さを減少させることにより、共振周波数を増加させ、さらに空気伝導音波を高周波数に移動させることができる。
【0111】
いくつかの実施例において、導音通路の長さは、7mm以下であってもよい。いくつかの実施例において、導音通路の長さは、6mm以下であってもよい。好ましくは、導音通路の長さは、2mm~5mmにあってもよい。
【0112】
いくつかの実施例において、ハウジング620の底壁(すなわち、第2のキャビティ624に対応するハウジング620の端面)により発生した音漏れによる導音通路の出口端の空気伝導音波の逆位相相殺を回避するように、骨伝導音響アセンブリ610の振動方向において、導音通路の出口端からハウジング620の皮膚接触領域から離れた内壁(頂壁の内面)までの距離は、3mm以上であってもよい。
【0113】
いくつかの実施例において、導音通路の断面積は、4.8mm以上であってもよい。好ましくは、導音通路の断面積は、8mm以上であってもよい。いくつかの実施例において、導音通路の断面積は、延在方向(すなわち、空気伝導音波の伝達方向(すなわち、放音孔621から離れた方向))に沿って徐々に増大することにより、導音通路は、空気伝導音波を容易に案内するように、ラッパ状に設置されてもよい。いくつかの実施例において、導音通路の入口端の断面積は、10mm以上であってもよい。いくつかの実施例において、導音通路の出口端の断面積は、15mm以上であってもよい。いくつかの実施例において、導音通路の長さは、2.5mmであってもよく、導音通路の入口端と出口端の断面積は、それぞれ15mmと25.3mmであってもよい。いくつかの実施例において、導音通路の体積と第2のキャビティ624の体積との比は、0.05~0.9にあってもよい。第2のキャビティ624の体積は、400mm3以下であってもよい。好ましくは、第2のキャビティ624の体積は、200mm3~400mm3にあってもよい。さらに、第2のキャビティ624の体積は、350mm3であってもよい。導音部材に関する詳細な説明は、図7A図7Eを参照することができる。
【0114】
図7Aは、本願のいくつかの実施例に係る導音部材の例示的な構造図である。図7Bは、本願のいくつかの実施例に係る導音部材の例示的な構造図である。図7Cは、本願のいくつかの実施例に係る導音部材の例示的な構造図である。図7Dは、本願のいくつかの実施例に係る導音部材の例示的な構造図である。図7Eは、本願のいくつかの実施例に係る導音部材の例示的な構造図である。図7A~7Eに示すように、それぞれ導音部材の様々な構造変形が示され、それらの主な相違点は、導音通路741の具体的な構造である。いくつかの実施例において、図7A図7Cに示すように、導音通路741は、湾曲式に設定されてもよい。いくつかの実施例において、図7D及び図7Eに示すように、導音通路741は、直路式に設定されてもよい。図7A図7Eに示すように、空気伝導音波(例えば、周波数応答、伝達経路)は、導音通路741の構造の差異に応じて一定の差異が存在する。なお、湾曲式に設定された導音通路741は、図7A図7Cに示す直線湾曲(例えば、直角式湾曲)であってもよい。いくつかの実施例において、湾曲式に設定された導音通路は、曲線湾曲、例えば、弧状湾曲であってもよい。
【0115】
いくつかの実施例において、図7Aに示すように、導音通路741の放音方向は、ユーザの顔に指向し、導音通路741の出口端からハウジング720の後端面までの距離を増大させ、さらに上記空気伝導音波の指向性及び強度を最適化することができる。具体的には、導音通路741の出口端は、図7Aに示す導音通路741の先端(図7においてbで示す端面)に位置し、ユーザが音響出力装置を装着している場合、導音通路741の先端は、ユーザの顔に指向する。いくつかの実施例において、図7Bに示すように、導音通路741の放音方向は、ユーザの耳介に指向するため、上記空気伝導音波は、耳介により耳道に入りやすくなり、さらに前述の空気伝導音波の強度を最適化することができる。具体的には、導音通路741の出口端は、図7Bに示す導音通路741のハウジング720から離れた側壁に位置し、ユーザが音響出力装置を装着している場合、導音通路741の出口端は、ユーザの耳介に指向する。いくつかの実施例において、図7Cに示すように、導音通路741の放音方向は、前述の空気伝導音波の強度を最適化ように、ユーザの耳道に指向してもよい。いくつかの実施例において、導音通路741の出口端は、斜め出口方式を用いてもよく、図7Cにおける導音通路の出口端の斜め出口の設置方式は、図7Aにおける導音通路の出口端の設置方式に対して、導音通路741の断面積を増大させることができ、さらに、上記空気伝導音波の出力に役立つ。ここでの斜め出口は、導音通路741の出口端が導音通路741の幅方向(図7Cに示す導音通路の水平方向)に対して一定の夾角を有する(該夾角が0よりも大きい)ことを意味する。ユーザが図7Cに示す音響出力装置を装着している場合、導音通路741の出口端は、ユーザの耳道に指向することができる。
【0116】
いくつかの実施例において、図7Dに示すように、導音通路741の壁面は、平面であってもよいため、導音通路741は、製造過程において離型しやすい。いくつかの実施例において、図7Eに示すように、導音通路741の壁面は、曲面であってもよいため、導音通路741と音響出力装置の外部の空気との間の音響インピーダンス整合を実現し、さらに上記空気伝導音波の出力に役立つ。
【0117】
なお、導音通路741のある点の断面積は、該点を通って導音通路741を切断した時に得られる最も小さい面積であってもよい。いくつかの実施例において、直路式導音通路は、導音通路の入口端及び出口端のうちのいずれか一方から他方の全部を観察することができる導音通路であってもよい。例えば、図7D及び図7Eに示す直路式導音通路を参照すると、導音通路741の長さは、以下の方式で算出することができる。まず、導音通路741の入口端の幾何学的中心(例えば、点a)及びその出口端の幾何学的中心(例えば、点b)を決定し、次に、前述の幾何学的中心を接続して線分a-bを形成し、線分a-bの長さは、導音通路741の長さと見なすことができる。いくつかの実施例において、湾曲導音通路は、導音通路の入口端及び出口端のうちのいずれか一方から他方を観察することができないか又は他方の一部しか観察することができない導音通路である。例えば、図7A図7Cに示す湾曲導音通路741を参照すると、湾曲導音通路を2つ以上の直路式サブ案内通路に分割し、直路式サブ案内通路の長さの和を湾曲導音通路の長さとすることができる。具体的には、図7A図7Cにおいて、中間湾曲箇所がある面の幾何学的中心(例えば、点c1、c2)をさらに決定し、次に前述の幾幾何学的中心を接続して線分a-c1-b(又はa-c1-c2-b)を形成し、該線分の長さは、導音通路741の長さと見なすことができる。
【0118】
さらに、図6に示すように、いくつかの実施例において、導音通路の出口端に音響インピーダンス網が覆設されてもよく、音響インピーダンス網は、放音孔621を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波の音響インピーダンスを調整して、空気伝導音波の中高周波数帯域又は高周波数帯域での共振ピークのピーク共振周波数を弱めることにより、周波数応答曲線がより平滑化になる。いくつかの実施例において、導音通路の出口端に覆設された音響インピーダンス網は、ある程度で第2のキャビティ624を音響出力装置600の外部から仕切られて、音響出力装置600の防水防塵性能を向上させることができる。導音通路の出口端に覆設された音響インピーダンス網の音響インピーダンスは、400MKS rayls以下であってもよい。いくつかの実施例において、導音通路の出口端に覆設された音響インピーダンス網の音響インピーダンスは、350MKS rayls以下であってもよい。いくつかの実施例において、導音通路の出口端に覆設された音響インピーダンス網の音響インピーダンスは、260MKS rayls以下であってもよい。いくつかの実施例において、導音通路の出口端に覆設された音響インピーダンス網の音響インピーダンスは、150MKS rayls以下であってもよい。いくつかの実施例において、音響インピーダンス網の空隙率は、7%以上であってもよい。いくつかの実施例において、音響インピーダンス網の空隙率は、13%以上であってもよい。いくつかの実施例において、音響インピーダンス網の空隙率は、18%以上であってもよい。いくつかの実施例において、音響インピーダンス網の空隙の寸法は、10μm以上であってもよい。いくつかの実施例において、音響インピーダンス網の空隙の寸法は、18μm以上であってもよい。いくつかの実施例において、音響インピーダンス網の空隙の寸法は、25μm以上であってもよい。
【0119】
図8は、本願のいくつかの実施例に係る音響インピーダンス網の構造を示す平面図である。図8に示すように、いくつかの実施例において、音響インピーダンス網は、フィラメントで編まれたものであってもよく、フィラメントのパラメータ(例えば、線径、疎密度合いなど)は、音響インピーダンス網の音響インピーダンスに影響を与えてもよい。いくつかの実施例において、縦方向に間隔をあけて配列された複数本のフィラメントと横方向に間隔をあけて配列された複数本のフィラメントのうちの4本ずつ互いに交差するフィラメントによって囲まれて、1つの空隙が形成されてもよい。4本ずつのフィラメントの中心線によって囲まれた領域の面積は、S1と定義され、4本ずつのフィラメントの内縁部によって実際に囲まれた領域(すなわち、空隙)の面積は、S2と定義され、空隙率は、S2/S1と定義されてもよい。いくつかの実施例において、空隙の寸法は、縦方向に配列されるか又は横方向に配列された任意の隣接する2本のフィラメントの間の距離、例えば、空隙の辺長として表すことができる。
【0120】
さらに、本願に導入された特定の貫通孔又は開口の有効面積は、その実際の面積と覆設された音響インピーダンス網の空隙率との積と定義されてもよい。例えば、導音通路741の出口端に音響インピーダンス網が覆設された場合、導音通路741の出口端の有効面積は、導音通路741の出口端の実際の面積と音響インピーダンス網の空隙率との積であり、導音通路741の出口端に音響インピーダンス網が覆設されていない場合、導音通路741の出口端の有効面積は、導音通路741の出口端の実際の面積である。同様に、後文に言及される減圧孔、調音孔などの貫通孔の出口端の有効面積は、それぞれ、実際の面積と対応する空隙率との積として定義されてもよく、ここでは説明を省略する。
【0121】
ユーザは、骨伝導音波に加えて、減圧孔622を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波ではなく、主に放音孔621及び導音通路を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波に聞こえる。音響出力装置600において導音通路を介して出力された空気伝導音波にユーザが聞こえるために、いくつかの実施例において、導音通路の出口端の有効面積は、減圧孔622の出口端の有効面積よりも大きくてもよい。
【0122】
いくつかの実施例において、減圧孔622の大きさは、第1のキャビティ623の排気のスムーズさ及び振動膜613の振動の難易度に影響を与え、放音孔621を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波の音響表現力にさらに影響を与える。したがって、導音通路の出口端の有効面積が一定である(例えば、導音通路の出口端の実際の面積及び/又は音響インピーダンス網の空隙率が一定である)場合、減圧孔622の出口端の有効面積を調整する(例えば、減圧孔622の出口端の実際の面積及び/又はそれに覆設された音響インピーダンス網の音響インピーダンスを調整する)ことにより、放音孔621を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波が変化することができる。いくつかの実施例において、減圧孔622の出口端の実際の面積の増加に伴い、第1のキャビティ623の排気がよりスムーズになり、低周波数帯域又は中低周波数帯域でのピーク共振強度が向上する。いくつかの実施例において、減圧孔622の出口端に音響インピーダンス網が増設されることに伴い、第1のキャビティ623の排気が影響を受けるため、放音孔621を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波は、中低周波数(例えば、100Hz~200Hz)で低下し、中低周波数での周波数応答曲線が相対的に平坦になる。いくつかの実施例において、減圧孔での音漏れは、減圧孔の出口端の実際の面積の増加と音響インピーダンス網の音響インピーダンスの増加に伴って弱まってもよい。
【0123】
例えば、図9は、本願のいくつかの実施例に係る異なる配置の音響出力装置の導音部材での空気伝導音波の周波数応答曲線の概略図である。図9に示すように、周波数応答曲線9-1は、実際の面積が31.57mmであり、音響インピーダンス網が覆設されていない減圧孔を含む音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線であり、周波数応答曲線9-2は、実際の面積が2.76mmであり、音響インピーダンス網が覆設されていない減圧孔を含む音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線であり、周波数応答曲線9-3は、実際の面積が2.76mmであり、音響インピーダンスが1000MKS rayls、空隙率が3%である音響インピーダンス網が覆設された減圧孔を含む音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線である。
【0124】
図9に示すように、周波数応答曲線9-1の対応する周波数応答曲線の減圧孔の実際の面積が最も大きく、周波数応答曲線9-1は、周波数応答曲線9-2及び周波数応答曲線9-3に対して、対応する低周波数帯域又は中低周波数帯域(例えば、100Hz~200Hz)のピーク共振強度(例えば、98dB)が最も大きく、減圧孔622の出口端の実際の面積の増加に伴い、第1のキャビティ623の排気がよりスムーズになり、低周波数帯域又は中低周波数帯域でのピーク共振強度が向上する。周波数応答曲線9-3において対応する音響インピーダンス網の音響インピーダンスが最も大きく、周波数応答曲線9-3は、周波数応答曲線9-1及び周波数応答曲線9-2に対して、対応する低周波数帯域又は中低周波数帯域のピーク共振強度が最も小さく、周波数応答曲線9-3は、周波数応答曲線9-1及び周波数応答曲線9-2に対して低周波数帯域又は中低周波数帯域でより平坦であり、減圧孔622の出口端に音響インピーダンス網が増設されることに伴い、第1のキャビティ623の排気が影響を受けるため、放音孔621を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波は、中低周波数(例えば、100Hz~200Hz)で低下し、中低周波数での周波数応答曲線が相対的に平坦になる。
【0125】
また例えば、図10は、本願のいくつかの実施例に係る、放音孔を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波の周波数応答曲線の概略図である。図10に示すように、周波数応答曲線10-1は、実際の面積が2.76mmであり、音響インピーダンス網が覆設されていない減圧孔を含む音響出力装置の放音孔での周波数応答曲線である。周波数応答曲線10-2は、実際の面積が31.57mmであり、音響インピーダンスが145MKS rayls、空隙率が14%である音響インピーダンス網が覆設された減圧孔を含む音響出力装置の放音孔での周波数応答曲線である。周波数応答曲線10-3は、実際の面積が71.48mmであり、音響インピーダンスが290MKS rayls、空隙率が7%である音響インピーダンス網が覆設された減圧孔を含む音響出力装置の放音孔での周波数応答曲線である。図10に示すように、周波数応答曲線10-3の対応する周波数応答曲線の減圧孔の実際の面積が大きいほど、それに対応する音響インピーダンス網の音響インピーダンスも大きくなることにより、減圧孔の出口端の有効面積がほぼ一致するため、第1のキャビティと連通する実際の面積が異なる各減圧孔での排気のスムーズさは、ほぼ同じであり、さらに異なる実際の面積を有する減圧孔の音響出力装置は、放音孔を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波の周波数応答曲線の平坦度が、全周波数帯域でほぼ一致する。
【0126】
また例えば、図11は、本願のいくつかの実施例に係る、減圧孔を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波の周波数応答曲線の概略図である。図11に示すように、周波数応答曲線11-1は、実際の面積が2.76mmであり、音響インピーダンス網が覆設されていない減圧孔を含む音響出力装置の減圧孔での周波数応答曲線である。周波数応答曲線11-2は、実際の面積が31.57mmであり、音響インピーダンスが145MKS rayls、空隙率が14%である音響インピーダンス網が覆設された減圧孔を含む音響出力装置の減圧孔での周波数応答曲線である。周波数応答曲線11-3は、実際の面積が71.48mmであり、音響インピーダンスが290MKS rayls、空隙率が7%である音響インピーダンス網が覆設された減圧孔を含む音響出力装置の減圧孔での周波数応答曲線である。いくつかの実施例において、異なる減圧孔を有する音響出力装置は、放音孔を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波の周波数応答曲線がほぼ一致するが、異なる減圧孔を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波の周波数応答曲線が異なり、各減圧孔での音漏れが異なると理解されてもよい。図11に示すように、大から小までの減圧孔の実際の面積に対応する周波数応答曲線は、順に、周波数応答曲線11-3、周波数応答曲線11-2、周波数応答曲線11-1であり、それに対応して、周波数応答曲線11-3、周波数応答曲線11-2、周波数応答曲線11-1の対応する周波数応答曲線は、全体として下方に移動する。図11から分かるように、減圧孔の出口端の実際の面積の増加と音響インピーダンス網の音響インピーダンスの増加に伴って、減圧孔を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波の周波数応答曲線は、全体として下方に移動する。減圧孔での音漏れの強度は、減圧孔の出口端の実際の面積の増加と音響インピーダンス網の音響インピーダンスの増加に伴って弱まると理解されてもよい。
【0127】
例えば、減圧孔の寸法を大きくすることで、ハウジングの第1のキャビティの共振ピーク値(ヘルムホルツ共振)をより高い周波数に対応させることができ、このようにして、減圧孔から伝播される中低周波数での音声漏れを抑制することができる。いくつかの実施例において、減圧孔の寸法が大きいほど、音響インピーダンスが小さくなり、減圧孔で発生した空気伝導音波の音圧値が小さくなり、減圧孔での音声漏れを低減することができる。いくつかの実施例において、導音部材での空気伝導音波の周波数応答曲線がほぼ変化しないことを確保する場合、減圧孔の大きさ(すなわち、実際の面積)を増加させ、及び/又は減圧孔における音響インピーダンス網の音響インピーダンスを増加させて、減圧孔での音漏れをできるだけ小さくすることができる。いくつかの実施例において、減圧孔の出口端の有効面積が2.76mm以下であることを保証する前提で、減圧孔の出口端の実際の面積及び音響インピーダンス網の空隙率を増加させることにより、減圧孔での音漏れを低減することができる。
【0128】
なお、ハウジング620の大きさが限られているため、単一の減圧孔622が非常に大きくなる可能性がない。これに基づいて、減圧孔622は、少なくとも1つ又は少なくとも2つ、例えば、3つ設置されてもよい。
【0129】
上記詳細な説明に基づいて、放音孔621を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波にユーザが聞こえるように、導音通路の出口端の有効面積は、各減圧孔622の出口端の有効面積より大きくてもよい。有効面積の定義に基づいて、導音通路の出口端の実際の面積は、各減圧孔622の出口端の実際の面積より大きくてもよい。さらに、導音通路の出口端の有効面積は、すべての減圧孔622の出口端の有効面積の和以上であってもよい。好ましくは、すべての減圧孔622の出口端の有効面積の和と導音通路の出口端の有効面積との比は、0.08以上であってもよい。いくつかの実施例において、すべての減圧孔622の出口端の有効面積の和と導音通路の出口端の有効面積との比は、0.15以上であってもよい。いくつかの実施例において、すべての減圧孔622の出口端の有効面積の和と導音通路の出口端の有効面積との比は、0.25以上であってもよい。いくつかの実施例において、すべての減圧孔622の出口端の有効面積の和と導音通路の出口端の有効面積との比は、0.3以上であってもよい。例示的な説明として、第1のキャビティ623の排気のスムーズさを確保し、さらに放音孔621を介して音響出力装置600の外部に出力された気導音の音響表現力を向上させ、減圧孔622での音漏れを低減するように、すべての減圧孔622の出口端の有効面積は、2.5mm以上であってもよい。
【0130】
いくつかの実施例において、導音通路の出口端の実際の面積は、4.8mm以上であってもよい。好ましくは、導音通路の出口端の実際の面積は、8mm以上であってもよい。いくつかの実施例において、すべての減圧孔622の出口端の実際の面積の和は、2.6mm以上であってもよい。いくつかの実施例において、すべての減圧孔622の出口端の実際の面積の和は、10mm以上であってもよい。減圧孔622の数が1つである場合、すべての減圧孔622の出口端の実際の面積の和は、1つの減圧孔114の出口端の実際の面積である。いくつかの実施例において、導音通路の出口端の実際の面積は、25.3mmであってもよく、減圧孔622は、3つ設置されてもよく、例えば、減圧孔622は、第1の減圧孔、第2の減圧孔、第3の減圧孔を含んでもよく、各減圧孔の出口端の実際の面積は、それぞれ、11.4mm、8.4mm、5.8mmであってもよい。
【0131】
図6に示すように、いくつかの実施例において、ハウジング620には、少なくとも1つの調音孔626が設置されてもよく、調音孔626は、音響出力装置600が運転中に発生した定在波を低減してもよい。具体的には、気伝導音響アセンブリにより発生した空気伝導音波(元の空気伝導音波とも呼ばれる)は、ハウジング620の底面と衝突し、かつ伝達過程においてハウジング620の底面によって反射され得る。反射された空気伝導音波及び元の空気伝導音波は、定在波を形成して、放音孔621での音声出力の歪みを生じさせることができる。いくつかの実施例において、調音孔626をハウジング620に配置することにより、調音孔626から空気伝導音波の一部を直接的に出力し、反射された空気伝導音波の一部が元の空気伝導音波と定在波を形成することを防止することができる。いくつかの実施例において、調音孔626は、放音孔621が位置するハウジングの側壁に隣接しない側壁に位置してもよい。いくつかの実施例において、調音孔626は、放音孔621が位置する側壁に隣接する1つ以上の側壁に位置してもよい。例えば、ハウジング620は、順に物理的に接続された少なくとも4つの側壁を含んでもよい。放音孔621は、第1の側壁に設置されてもよく、減圧孔622は、第1の側壁に隣接しない第2の側壁に設置されてもよい。第1の側壁と第2の側壁とは、略平行であってもよい。調音孔626は、第2の側壁、第3の側壁、第4の側壁などに設置されてもよい。第3の側壁及び第4の側壁は、第1の側壁に隣接してもよい。いくつかの実施例において、調音孔626の寸法(例えば、面積)は、1mm~50mmであってもよい。いくつかの実施例において、調音孔626の寸法(例えば、面積)は、5mm~30mmであってもよい。いくつかの実施例において、調音孔626の寸法(例えば、面積)は、10mm~20mmであってもよい。
【0132】
いくつかの実施例において、調音孔626は、放音孔621が位置するハウジングの側壁と対向する側壁に位置してもよく、調音孔626は、第2のキャビティ624及び/又は第1のキャビティ623内の空気の共振周波数を増加させることができる。いくつかの実施例において、第2のキャビティ624と第1のキャビティ623内の空気の共振周波数は、同じであってもよい。いくつかの実施例において、第2のキャビティ624及び/又は第1のキャビティ623内の空気の共振周波数は、4000Hz以上、又は5000Hz以上などであってもよい。いくつかの実施例において、第2のキャビティ624内の空気の共振周波数は、5500Hz~6000Hzの範囲又は4000Hz~6000Hzの範囲にあってもよい。いくつかの実施例において、第1のキャビティ623内の空気の共振周波数は、4500Hz~5000Hzの範囲又は4000Hz~5000Hzの範囲にあってもよい。
【0133】
いくつかの実施例において、調音孔626は、貫通孔であってもよい。1つ以上の調音孔626のうちの少なくとも1つは、音響インピーダンス材料(例えば、チューニング綿)で覆われてもよい。いくつかの実施例において、音響インピーダンス材料は、5MKS rays~500MKS raysの範囲にある音響インピーダンス、又は10MKS rays~260MKS raysの範囲にある音響インピーダンス、又は20MKS rays~200MKS raysの範囲にある音響インピーダンスなどを含んでもよい。
【0134】
いくつかの実施例において、導音通路から出力された音声の体積を増加させ、調音孔626での音声漏れの体積を減少させるために、調音孔626に減衰構造(例えば、減衰網)を提供してもよい。調音孔626での減衰構造は、音響インピーダンスを改善し、調音孔626から漏れた音波の振幅を調整(例えば、低減)するように構成されてもよい。調音孔626から漏れた音波の振幅と減圧孔622から漏れた音波の振幅とが同じであるか又は近似する場合、調音孔626から漏れた音波と減圧孔622から漏れた音波とは、互いに相殺することができ、この場合に音声漏れを低減し、導音通路から出力された音声の出力量を増加させることができる。なお、いくつかの実施例において、調音孔626の数と減圧孔622の数は、同じであっても異なってもよい。
【0135】
いくつかの実施例において、少なくとも1つの調音孔626の数は、1つであってもよく、例えば、少なくとも1つの調音孔626は、第1の調音孔を含んでもよく、放音孔621と第1の調音孔は、それぞれハウジング620の第1の側壁と第2の側壁に設置される。いくつかの実施例において、少なくとも1つの調音孔626の数は、2つであってもよく、例えば、少なくとも1つの調音孔626は、第2の調音孔をさらに含んでもよく、第2の調音孔は、ハウジング620の第3の側壁又は第4の側壁に設置されてもよい。
【0136】
いくつかの実施例において、振動膜631は、骨伝導音響アセンブリ610に接続されず、周側が直接的にハウジング620の内壁に物理的に接続され、さらにハウジング620内部のキャビティを第1のキャビティ623及び第2のキャビティ624に仕切ってもよい。いくつかの実施例において、振動膜631の数は、複数、例えば、2つ又は3つであってもよく、複数の振動膜は、骨伝導音響アセンブリ610の磁気回路システム611に物理的に接続され、ハウジング620内部のキャビティを第1のキャビティ623及び第2のキャビティ624に仕切ってもよい。振動膜631が2つである場合について、図20B及び図20Cを参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0137】
図12Aは、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置に調音孔が設置されない場合の第2のキャビティの音圧分布の概略図である。図12Bは、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置に調音孔が設置された場合の第2のキャビティの音圧分布の概略図である。いくつかの実施例において、導音通路は、放音孔を介して第2のキャビティと連通することにより、典型的なヘルムホルツ共振キャビティ構造を構成し、1つ以上の共振ピークを有することができる。いくつかの実施例において、ヘルムホルツ共振キャビティ構造の共振時の第2のキャビティ内の音圧の分布状況を研究することができる。図12A及び図6に示すように、第2のキャビティ624内には、放音孔621から離れた高圧領域(図12Aにおける色が濃い領域)と、放音孔621に近接する低圧領域(図12Aにおいて色が薄い領域)とが形成されてもよく、高圧領域は、第2のキャビティ内の音圧が高い領域であり、低圧領域は、第2のキャビティ内の音圧が低い領域である。いくつかの実施例において、ヘルムホルツ共振キャビティ構造が共振する場合、第2のキャビティ624内に定在波が発生すると考えられる。定在波の波長は、第2のキャビティ624の寸法に対応し、例えば、第2のキャビティ624の寸法が大きい(すなわち、低圧領域と高圧領域との間の距離が長い)ほど、定在波の波長が長くなり、ヘルムホルツ共振キャビティ構造の共振周波数が低くなる。いくつかの実施例において、図12Bに示すように、高圧領域を破壊する方式により、元々高圧領域で反射した音声を反射することができなくなり、さらに定在波を形成することができなくなる。この場合、ヘルムホルツ共振キャビティ構造が共振する時、第2のキャビティ624内の高圧領域は、低圧領域に近接する方向に向かって内向きに移動することにより、定在波の波長が短くなり、さらにヘルムホルツ共振キャビティ構造の共振周波数が向上する。いくつかの実施例において、高圧領域を破壊する方式は、高圧領域に第2のキャビティ624と連通する貫通孔(すなわち、調音孔626)を設置するなどの方式を含んでもよいが、これに限定されず、例えば、高圧領域を破壊する方式は、音響出力装置600の外部と連通する管路などを設置することであってもよい。
【0138】
図13は、本願のいくつかの実施例に係る導音部材での空気伝導音波の周波数応答曲線の概略図である。図13に示すように、周波数応答曲線13-1は、調音孔
が閉鎖状態にある場合の音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線である。周波数応答曲線13-2は、調音孔の実際の面積が1.7mmである場合の音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線である。周波数応答曲線13-3は、調音孔の実際の面積が2.8mmである場合の音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線である。周波数応答曲線13-4は、調音孔の実際の面積が28.44mmである場合の音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線である。図6に示すように、調音孔626は、第2のキャビティ624内の高圧領域に設置されることにより、高圧領域を効果的に破壊することができる。単に例示的な説明として、調音孔626は、ハウジング620の放音孔621及び導音通路が位置するハウジング620の側壁と対向する側壁に設置されてもよい。図13に示すように、大から小までの調音孔626の実際の面積に対応する周波数応答曲線は、順に、周波数応答曲線13-4、周波数応答曲線13-3、周波数応答曲線13-2、周波数応答曲線13-1であり、調音孔の出口端の実際の面積の増加に伴い、導音部材での空気伝導音波の周波数応答曲線は、全体として下方に移動し、すなわち、全周波数帯域において、導音部材での空気伝導音波の強度は、調音孔の出口端の実際の面積の増加に伴って低下する。いくつかの実施例において、放音孔621を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波の周波数応答曲線は、共振ピークを有してもよい。調音孔626に音響インピーダンス網が覆設されていない場合、調音孔626の出口端の実際の面積を調整することにより、調音孔626の上記高圧領域に対する破壊程度を制御し、さらに共振ピークのピーク共振周波数を調整することができる。
【0139】
いくつかの実施例において、調音孔626の出口端の実際の面積が大きいほど、調音孔626の上記高圧領域に対する破壊効果が顕著になり、周波数応答曲線における共振ピークのピーク共振周波数も相対的に高くなる。いくつかの実施例において、調音孔626が開放状態にある場合の共振ピークのピーク共振周波数は、調音孔626が閉鎖状態にある場合の共振ピークのピーク共振周波数よりも高周波数に移動し、かつ移動量が500Hz以上であってもよい。好ましくは、前述の移動量は、1kHz以上である。いくつかの実施例において、音響出力装置600が高い音声出力効果を有するように、調音孔626が開放状態にある場合の共振ピークのピーク共振周波数は、2kHz以上であってもよい。好ましくは、ピーク共振周波数は、3.5kHz以上であってもよい。より好ましくは、ピーク共振周波数は、4.5kHz以上であってもよい。なお、調音孔626が開放状態にあることは、ハウジング620に調音孔が設置され、調音孔が正常に動作する状況であってもよい。それに対応して、調音孔626が閉鎖状態にあることは、ハウジング620に調音孔が設置されていないか又はハウジング620に調音孔が設置されるが、閉鎖されて正常に動作できない状況であってもよい。
【0140】
なお、ハウジング620の大きさが限られているため、単一の調音孔626が非常に大きくなっていけない。これに基づいて、調音孔626は、少なくとも1つ、例えば、前述の調音孔626に含まれる第1の調音孔、第2の調音孔として設置することができる。いくつかの実施例において、調音孔626は、第2のキャビティ624内の高圧領域と低圧領域の任意の領域に設置されてもよく、ここでは限定しない。
【0141】
いくつかの実施例において、図6及び図10に示すように、第2のキャビティ624に調音孔626が増設されるため、一部の音声が調音孔626から漏れる(すなわち、調音孔626において音漏れが形成される)ことにより、放音孔621を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波の周波数応答曲線は、全体として下方に移動する。したがって、いくつかの実施例において、調音孔626が第2のキャビティ624内の高圧領域を破壊すると同時に、調音孔626からの音声の漏れをできるだけ回避するように、少なくとも一部の調音孔626の出口端には、音響インピーダンス網が覆設されてもよい。
【0142】
図14は、本願の他のいくつかの実施例に係る導音部材での空気伝導音波の周波数応答曲線の概略図である。図14に示すように、周波数応答曲線14-1は、調音孔が設置されていない場合の音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線である。周波数応答曲線14-2は、調音孔に音響インピーダンス網が設置されていない場合の音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線である。周波数応答曲線14-3は、調音孔に覆設された音響インピーダンス網の音響インピーダンスが145MKS raylsの場合の音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線である。図14及び図6に示すように、調音孔626の出口端に音響インピーダンス網を増設することにより、第2のキャビティ624内に調音孔626に顕著な反射音波(すなわち、定在波がない)がなく、さらに第2のキャビティ624内の高圧領域を内部に移動させることができる。いくつかの実施例において、調音孔626の出口端に音響インピーダンス網を増設することにより、音声が調音孔626から漏れることをある程度で回避し、より多くの音声を放音孔621を介して音響出力装置600の外部に出力することができる。図14から分かるように、周波数応答曲線14-3の中低周波数帯域のピーク共振強度は、周波数応答曲線14-2の中低周波数帯域のピーク共振強度よりも強くなっている。
【0143】
いくつかの実施例において、調音孔626の出口端に音響インピーダンス網を増設することにより、周波数応答曲線の中低周波数帯域(例えば、90Hz~200Hz)のピーク共振強度が明らかに増加し、空気伝導音波の音量が増加することができる。高周波数帯域(例えば、500Hz~1000Hz)のピーク共振強度は、一定の減少を有することにより、周波数応答曲線が高周波数帯域でより平坦になり、高周波数の音質がより均衡する。いくつかの実施例において、調音孔626の出口端の有効面積(例えば、調音孔626の出口端の実際の面積及び/又はそれに覆設された音響インピーダンス網の音響インピーダンス)を調整することにより、放音孔621を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波を変化させることができる。
【0144】
上記説明に基づいて、いくつかの実施例において、第1の調音孔の出口端の有効面積は、第2の調音孔の出口端の有効面積よりも大きくてもよい。いくつかの実施例において、第1の調音孔の出口端の実際の面積は、第2の調音孔の出口端の実際の面積よりも大きくてもよい。いくつかの実施例において、第1の調音孔の出口端の実際の面積は、3.8mm以上であってもよく、及び/又は第2の調音孔の出口端の実際の面積は、2.8mm以上であってもよい。いくつかの実施例において、すべての調音孔の出口端の有効面積の和は、1.5mm以上であってもよい。いくつかの実施例において、第1の調音孔と第2の調音孔の出口端にそれぞれ覆設された音響インピーダンス網の空隙率は、13%以上であってもよい。いくつかの実施例において、第1の調音孔と第2の調音孔の出口端にそれぞれ覆設された音響インピーダンス網の空隙率は、16%以下であってもよい。
【0145】
いくつかの実施例において、図6に示すように、それぞれ減圧孔622と放音孔621を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波の位相は、逆であってもよいため、減圧孔622は、それぞれ減圧孔622と放音孔621を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波が相殺干渉することを回避するように、放音孔621から離れるように設置されてもよい。例えば、減圧孔622と放音孔621は、それぞれハウジング620における対向する両側壁に位置してもよい。いくつかの実施例において、調音孔626及び放音孔621について、放音孔621が位置する領域は、第2のキャビティ624内の低圧領域と見なし、第2のキャビティ624内の放音孔621が位置する領域から最も遠い領域は、第2のキャビティ624内の高圧領域と見なすことができる。いくつかの実施例において、調音孔626は、好ましくは、第2のキャビティ624内の高圧領域に設置されて、元の高圧領域を破壊するとともに、低圧領域に移動させる。
【0146】
いくつかの実施例において、減圧孔622が第1のキャビティ623と連通し、調音孔626が第2のキャビティ624と連通することにより、それぞれ減圧孔622と調音孔626を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波の位相が逆になるため、相殺干渉の方式で減圧孔622及び調音孔626の音漏れを低減することができる。いくつかの実施例において、少なくとも一部の減圧孔622と少なくとも一部の調音孔626は、それぞれ隣接して設置される(例えば、少なくとも一部の減圧孔622と少なくとも一部の調音孔626は、それぞれハウジング620の隣接する両側壁に設置されてもよい)ことにより、減圧孔622及び調音孔626を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波は、相殺干渉することができる。いくつかの実施例において、減圧孔622と調音孔626の音漏れをよりよく相殺干渉させるために、減圧孔622と調音孔626との間の間隔距離は、できるだけ小さくてもよい。例えば、いくつかの実施例において、隣接して設置された減圧孔622と調音孔626との間の間隔距離は、2mm以下であってもよい。具体的には、隣接して設置された減圧孔622と調音孔626の出口端の輪郭間の最小距離は、2mm以下であってもよい。
【0147】
図15は、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線の概略図である。図15に示すように、周波数応答曲線15-1は、3500Hzの第1のピーク共振周波数f1及び5600Hzの第2のピーク共振周波数f2を有する音漏れ周波数応答曲線である。周波数応答曲線15-2は、4500Hzの第1のピーク共振周波数f1及び5600Hzの第2のピーク共振周波数f2を有する音漏れ周波数応答曲線である。周波数応答曲線15-3は、5000Hzの第1のピーク共振周波数f1及び5600Hzの第2のピーク共振周波数f2を有する音漏れ周波数応答曲線である。図15に示すように、減圧孔622を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波の周波数応答曲線は、第1のピーク共振周波数f1に対応する第1の共振ピークを有してもよく、調音孔626を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波の周波数応答曲線は、第2のピーク共振周波数f2に対応する第2の共振ピークを有してもよい。第1の共振ピークのピーク共振周波数f1と第2の共振ピークのピーク共振周波数f2は、それぞれ2kHz以上であり、かつ|f1-f2|/f1≦60%である。いくつかの実施例において、第1の共振ピークのピーク共振周波数f1と第2の共振ピークのピーク共振周波数f2との間の差が徐々に減少すると伴い、低減できる音漏れの周波数帯域幅が広くなる(すなわち、周波数応答曲線が比較的平坦になる)ことにより、音響出力装置600の音漏れが低減され、それぞれ減圧孔622と調音孔626を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波の相殺干渉の効果が高くなると理解することができる。好ましくは、第1の共振ピークのピーク共振周波数f1と第2の共振ピークのピーク共振周波数f2は、それぞれ3.5kHz以上であり、かつ|f1-f2|≦2kHzであってもよい。これにより、それぞれ減圧孔622と調音孔626を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波を、できるだけ高周波数帯域(例えば、2kHz~4kHz)で相殺干渉させることができる。
【0148】
いくつかの実施例において、第1のキャビティ623にコイルホルダなどの構造が設置されるため、第1のキャビティ623内の定在波の波長が相対的に長くなる。調音孔626と放音孔621とは、互いに高圧領域を破壊して、第2のキャビティ624内の定在波の波長を相対的に短くすることができる。したがって、第1の共振ピークのピーク共振周波数は、第2の共振ピークのピーク共振周波数よりも小さくてもよい。いくつかの実施例において、第1の共振ピークのピーク共振周波数を高周波数に移動させて第2の共振ピークのピーク共振周波数に近接させることにより、それぞれ減圧孔622と調音孔626を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波がより良く相殺干渉できる。いくつかの実施例において、ヘルムホルツ共振キャビティ構造に基づいて、隣接して設置された減圧孔622及び調音孔626のうちの減圧孔622の出口端の有効面積は、調音孔626の出口端の有効面積よりも大きくてもよい。いくつかの実施例において、隣接して設置された減圧孔622及び調音孔626のうちの減圧孔622の出口端の有効面積と調音孔626の出口端の有効面積との比は、2以下であってもよい。例示的な説明として、隣接して設置された減圧孔622及び調音孔626のうちの減圧孔622の出口端の実際の面積は、調音孔626の出口端の実際の面積よりも大きくてもよい。いくつかの実施例において、隣接して設置された減圧孔622の出口端と調音孔626の出口端には、第1の音響インピーダンス網と第2の音響インピーダンス網がそれぞれ覆設されてもよく、第1の音響インピーダンス網の空隙率は、第2の音響インピーダンス網の空隙率よりも大きくてもよい。
【0149】
いくつかの実施例において、導音部材640(図6には示さない)の導音通路の実際の面積、有効面積又は音響インピーダンスを調整して調音孔626の音漏れを低減してもよい。いくつかの実施例において、ユーザが放音孔を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波に聞こえるように、導音通路の出口端の有効面積は、すべての、ハウジングにおける第2のキャビティと連通する各調音孔の出口端の有効面積よりも大きくてもよい。いくつかの実施例において、導音通路の出口端の実際の面積は、各調音孔の出口端の実際の面積よりも大きくてもよい。いくつかの実施例において、導音通路の出口端の有効面積は、すべての調音孔の出口端の有効面積の和よりも大きくてもよい。いくつかの実施例において、すべての調音孔の出口端の有効面積の和と、導音通路の出口端の有効面積との比は、0.08以上であってもよい。いくつかの実施例において、すべての調音孔の出口端の有効面積の和と、導音通路の出口端の有効面積との比は、0.1以上であってもよい。いくつかの実施例において、すべての調音孔の出口端の有効面積の和と、導音通路の出口端の有効面積との比は、0.15以上であってもよい。いくつかの実施例において、すべての調音孔の出口端の有効面積の和は、1.5mm以上であってもよい。調音孔の数が1つである場合、すべての調音孔の出口端の有効面積の和は、1つの調音孔の出口端の有効面積である。このようにして、放音孔を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波の共振ピークのピーク共振周波数をできるだけ高周波数に移動させることができるだけでなく、調音孔での音漏れを低減することができる。
【0150】
図16Aは、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置のハウジングの断面図である。図16Bは、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置のハウジングの断面図である。図16Cは、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置のハウジングの左側面図である。図16Dは、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置のハウジングの平面図である。同一側壁に異なるタイプの孔(例えば、減圧孔と調音孔が同時に第1の側壁に位置することができる)をより直観的に表現するために、図16Aは、第1のキャビティの断面図と見なし、図16Bは、第2のキャビティの断面図と見なすことができる。
【0151】
図16A図16Dに示すように、ハウジング(例えば、ハウジング620)は、骨伝導音響アセンブリ(例えば、骨伝導音響アセンブリ610)の対向する両側に位置する第1の側壁6231及び第2の側壁6232と、第1の側壁6231及び第2の側壁6232に接続されるとともに互いに間隔をあける第3の側壁6233及び第4の側壁6234とを含んでもよい。いくつかの実施例において、第3の側壁6233及び第4の側壁6234は、ハウジング(例えば、ハウジング620)全体がトラック状に設置されるように、弧状に設置されてもよい。いくつかの実施例において、第1の側壁6231は、第2の側壁6232よりもユーザの耳に近接してもよく、第3の側壁6233は、第4の側壁6234よりも音響出力装置600の固定アセンブリ(例えば、耳掛けなど)に近接してもよい。いくつかの実施例において、放音孔(例えば、放音孔621)は、ユーザが放音孔(例えば、放音孔621)及び導音通路を介して音響出力装置(例えば、音響出力装置600)の外部に出力された空気伝導音波に聞こえるように、第1の側壁6231に設置されてもよい。いくつかの実施例において、第1の減圧孔6221と第1の調音孔6261は、それぞれ放音孔(放音孔621)からより離れるように、第2の側壁6232にそれぞれ設置されてもよい。いくつかの実施例において、第2の減圧孔6222と第2の調音孔6262は、それぞれ第3の側壁6233及び第4の側壁6234のうちの一方に設置され、第3の減圧孔6223は、第3の側壁6233及び第4の側壁6234のうちの他方に設置されてもよい。
【0152】
図16Aに示すように、減圧孔(例えば、減圧孔622)は、第1の減圧孔6221及び第2の減圧孔6222を含んでもよい。第1の減圧孔6221は、第2の減圧孔6222よりも放音孔621(図16Aには示される)から離れるように設置されてもよい。この時、第1の減圧孔6221の出口端の有効面積は、第2の減圧孔6222の出口端の有効面積よりも大きくてもよい。このようにして、ハウジング(例えば、ハウジング620)の大きさ及び第1のキャビティ(例えば、第1のキャビティ623)の排気需要を両立させることができるだけでなく、排気量が相対的に大きい第1の減圧孔6221をできるだけ放音孔(例えば、放音孔621)から離れさせることができ、さらに減圧孔622での音漏れによる放音孔(例えば、放音孔621)での空気伝導音波への影響を低減することができる。さらに、減圧孔622は、第3の減圧孔6223をさらに含んでもよく、第1の減圧孔6221は、第3の減圧孔6223よりも放音孔(例えば、放音孔621)から離れるように設置されてもよい。第2の減圧孔6222の出口端の有効面積は、第3の減圧孔6223の出口端の有効面積よりも大きくてもよい。例示的な説明として、放音孔(例えば、放音孔621)及び第1の減圧孔6221は、骨伝導音響アセンブリ610の対向する両側に位置してもよく、第2の減圧孔6222及び第3の減圧孔6223は、対向して設置されるとともに、放音孔621と第1の減圧孔6221との間に位置してもよい。
【0153】
いくつかの実施例において、減圧孔(例えば、減圧孔622)の出口端の有効面積を容易に調整するように、減圧孔(例えば、減圧孔622)のうちの少なくとも一部の減圧孔の出口端に音響インピーダンス網が覆設されてもよい。本実施例は、減圧孔(例えば、減圧孔622)の出口端に音響インピーダンスが同じである音響インピーダンス網が覆設されることを例として例示的に説明する。これに基づいて、減圧孔(例えば、減圧孔622)の出口端の実際の面積を調整すれば、相応の有効面積を得ることができる。例えば、いくつかの実施例において、第1の減圧孔6221の出口端の実際の面積は、第2の減圧孔6222の出口端の実際の面積よりも大きく、第2の減圧孔6222の出口端の実際の面積は、第3の減圧孔6223の出口端の実際の面積よりも大きくてもよい。
【0154】
図16Bに示すように、調音孔(例えば、調音孔626)は、第1の調音孔6261及び第2の調音孔6262を含んでもよい。第1の調音孔6261は、第2の調音孔6262よりも放音孔(例えば、放音孔621)から離れるように設置されてもよい。いくつかの実施例において、第1の調音孔6261の出口端の有効面積は、第2のキャビティ624内の高圧領域を破壊するように、第2の調音孔6262の出口端の有効面積よりも大きくてもよい。このようにして、ハウジング620の大きさと、調音孔626が第2のキャビティ624の高圧領域を破壊するという需要とを両立させるとともに、放音孔(例えば、放音孔621)での空気伝導音波の共振周波数をできるだけ高くすることができるだけでなく、破壊程度が相対的に高い第1の調音孔6261をできるだけ放音孔(例えば、放音孔621)から離れさせることができる。単に例示的な説明として、いくつかの実施例において、放音孔(例えば、放音孔621)及び第1の調音孔6261は、骨伝導音響アセンブリ610の対向する両側に位置し、第2の調音孔6262は、放音孔(例えば、放音孔621)と第1の調音孔6261との間に位置してもよい。
【0155】
いくつかの実施例において、調音孔(例えば、調音孔626)の出口端の有効面積を調整するように、調音孔(例えば、調音孔626)のうちの少なくとも一部の調音孔の出口端に音響インピーダンス網が覆設されてもよい。本実施例は、調音孔(例えば、調音孔626)の出口端に音響インピーダンスが同じである音響インピーダンス網が覆設されることを例として例示的に説明する。これに基づいて、調音孔(例えば、調音孔626)の出口端の実際の面積を調整すれば、相応の有効面積を得ることができる。例えば、いくつかの実施例において、第1の調音孔6261の出口端の実際の面積は、第2の調音孔6262の出口端の実際の面積よりも大きくてもよい。具体的には、第1の調音孔6261の出口端の実際の面積は、3.8mm以上であってもよく、及び/又は、第2の調音孔6262の出口端の実際の面積は、2.8mm以上であってもよい。
【0156】
いくつかの実施例において、図16C及び図16Dに示すように、第1の減圧孔6221と第1の調音孔6261は、隣接して設置され、第2の減圧孔6222と第2の調音孔6262は、隣接して設置されてもよい。このようにして、それぞれ第1の減圧孔6221と第1の調音孔6261を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波が干渉相殺することができ、それぞれ第2の減圧孔6222と第2の調音孔6262を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波も干渉相殺することができる。
【0157】
いくつかの実施例において、第1の減圧孔6221を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波のピーク共振周波数ができるだけ高周波数に移動して、第1の調音孔6261を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波のピーク共振周波数にできるだけ近接し、さらにそれぞれ第1の減圧孔6221と第1の調音孔6261を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波がよりよく干渉相殺することができるように、第1の減圧孔6221の出口端の有効面積は、第1の調音孔6261の出口端の有効面積よりも大きくてもよい。同様に、第2の減圧孔6222の出口端の有効面積は、第2の調音孔6262の出口端の有効面積よりも大きくてもよく、ここでは説明を省略する。
【0158】
いくつかの実施例において、調音孔(例えば、調音孔626)が第2のキャビティ(例えば、第2のキャビティ624)内の高圧領域を破壊することと類似し、第2の減圧孔6222及び第3の減圧孔6223は、第1のキャビティ(例えば、第1のキャビティ623)内の高圧領域を破壊することにより、第1のキャビティ(例えば、第1のキャビティ623)内の定在波の波長が減少し、さらに第1の減圧孔6221を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波のピーク共振周波数は、高周波数に移動して、第1の調音孔6261を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波とよりよく干渉相殺することができる。上記移動量は、500Hz以上であってもよく、共振ピークのピーク共振周波数は、2kHz以上であってもよい。好ましくは、上記移動量は、1kHz以上であってもよい。同様に、第2の減圧孔6222を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波のピーク共振周波数も高周波数に移動することができる。要するに、調音孔(例えば、調音孔626)に隣接して設置された減圧孔622を介して音響出力装置600の外部に出力された空気伝導音波の周波数応答曲線は、共振ピークを有し、調音孔(例えば、調音孔626)に隣接して設置された減圧孔(例えば、減圧孔622)以外の他の減圧孔(例えば、減圧孔622)が開放状態にある場合の共振ピークのピーク共振周波数は、他の減圧孔622が閉鎖状態にある場合の共振ピークのピーク共振周波数よりも高周波数に移動する。他の減圧孔(例えば、減圧孔622)が開放状態にある場合の共振ピークのピーク共振周波数は、2kHz以上であってもよい。なお、減圧孔622が開放状態にあることは、ハウジング620に減圧孔が設置され、減圧孔が正常に動作する状況であってもよい。それに対応して、減圧孔622が閉鎖状態にあることは、ハウジング620に減圧孔が設置されていないか又はハウジング620に減圧孔が設置されるが、閉鎖されて正常に動作できない状況であってもよい。
【0159】
なお、上記1つ以上の付加的音響構造(例えば、放音孔、導音通路、減圧孔、調音孔など)の数、寸法、形状及び/又は位置については、本願は、ここでは限定しない。いくつかの実施例において、音響出力装置の音声漏れに応じて、1つ以上の付加的音響構造の数、寸法、形状及び/又は位置を最適化してもよい。いくつかの実施例において、最適化方式は、本明細書に係る音響出力装置の周波数応答曲線に基づいて行われてもよい。また、本明細書において、骨伝導音響アセンブリ及び気伝導音響アセンブリ及び/又は気伝導音響アセンブリ及び骨伝導音響アセンブリのうちの1つ以上の部材の空間配置は、限定されなくてもよい。例えば、骨伝導音響アセンブリ及び気伝導音響アセンブリの空間配置は、実際の需要に応じて変化してもよい。例示的な説明として、気伝導音響アセンブリにおける振動膜のハウジングにおける位置、振動膜の配向(例えば、ハウジングの前側の方向)などは、実際の需要に応じて変化してもよく、ここでは限定しない。
【0160】
図17は、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の構造を示す断面図である。図18Aは、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略図である。図18Bは、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略図である。図17図18A及び図18Bに示すように、音響出力装置中の骨伝導音響アセンブリは、コイルホルダ1510、磁気回路アセンブリ1520、コイルアセンブリ及び弾性部材1540を含んでもよい。いくつかの実施例において、弾性部材1540は、バネシート、バネ、ゴムシート、シリコーンシートなどのうちの1種であってもよい。コイルホルダ1510及び弾性部材1540の中心領域は、磁気回路アセンブリ1520に物理的に接続されることにより、磁気回路アセンブリ1520は、ハウジング1601に吊り下げられてもよい。いくつかの実施例において、音響出力装置は、振動膜1503を含んでもよく、振動膜1503は、ハウジング1601及び/又は磁気回路アセンブリ1520に物理的に接続され、ハウジング1601の内部を第1のキャビティ1610及び第2のキャビティ1620に仕切る。いくつかの実施例において、コイルアセンブリは、コイルホルダ1510に接続されてもよく、磁気回路アセンブリ1520は、磁気ギャップ1550を形成してもよく、コイルアセンブリは、第1のキャビティ1610に設置されるとともに、磁気ギャップ1550に挿入されてもよい。いくつかの実施例において、コイルアセンブリには、コイルアセンブリの内部及び外部を連通する連通孔1606が設置されてもよい。いくつかの実施例において、コイルアセンブリは、コイル1530及びコイルホルダ1510を含んでもよく、コイルホルダ1510は、コイル1530及びハウジング1601に接続されるとともに、コイル1530を磁気ギャップ1550に挿入させ、連通孔1606は、コイルホルダ1510に設置されてもよい。
【0161】
いくつかの実施例において、磁気回路アセンブリ1520は、協働して磁場を形成する磁束伝導体(例えば、磁束伝導カバー1521)及び磁性体1522を含んでもよい。磁束伝導カバー1521は、底板1523及び側板1524を含んでもよい。底板1523及び側板1524は、一体的に接続された構造であってもよい。いくつかの実施例において、磁性体1522は、側板1524内に設置されるとともに底板1523に固定されてもよく、磁性体1522の底板1523から離れた側は、接続部材1525を介して弾性部材1540の中間領域に接続されるとともに、コイル1530を磁性体1522と磁束伝導カバー1521との間の磁気ギャップ1550内に挿入させてもよい。なお、磁性体1522は、複数のサブ磁性体で形成された磁性体群であってもよい。また、磁性体1522の底板1523から離れた側には、磁束伝導板(図示せず)がさらに設置されてもよい。
【0162】
いくつかの実施例において、弾性部材1540の周辺領域は、ハウジング1601に接続されることにより、磁気回路アセンブリ1520は、ハウジング1601に吊り下げられ、連通孔1606は、バネシート1540の皮膚接触領域から離れた側に位置する。
【0163】
いくつかの実施例において、コイルホルダ1510は、本体部1511及び第1のホルダ部1512を含んでもよく、第1のホルダ部1512の一端は、本体部1511に接続され、コイル1530は、第1のホルダ部1512の本体部1511から離れた他端に接続され、連通孔1606は、本体部1511と第1のホルダ部1512との接続箇所に位置してもよい。いくつかの実施例において、本体部1511は、バネシート1540の周辺領域に接続されてもよく、本体部1511とバネシート1540とは、一体構造を形成してもよく、例えば、金属インサート射出成形プロセスに基づいて一体構造部材を形成してもよい。
【0164】
いくつかの実施例において、コイルホルダ1510は、本体部1511に接続された第2のホルダ部1513をさらに含んでもよく、第2のホルダ部1513は、第1のホルダ部1512を取り囲み、第1のホルダ部1512と同じ向きで本体部1511の側方に延在する。第2のホルダ部1513と本体部1511は、コイルホルダ1510とハウジング1601との接続強度を向上させるように、ハウジング1601と共に接続されてもよい。なお、第1のホルダ部1512及び/又は第2のホルダ部1513は、コイルホルダ1510の構造強度を向上させるように、コイルホルダ1510の周方向に連続した完全な構造であってもよく、他の構造部材を避けるように、部分的に連続しない構造であってもよい。
【0165】
上記関連説明に基づいて、図18Aに示すように、骨伝導アセンブリが振動すると、第1のキャビティ1610内の空気を振動するように駆動して第1のキャビティ1610内の圧力を変化させ、それにより第1のキャビティ1610内の空気を減圧孔1604を介して排出する。第1のキャビティ1610内の空気の排出は、コイルアセンブリを迂回する必要があり、その経路は、図18Aの破線の矢印で示すように、第1のキャビティ1610内の定在波の波長が相対的に長いことを引き起こし、減圧孔1604を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波のピーク共振周波数が高周波数に移動することに役立たない。いくつかの実施例において、コイルアセンブリに設置された連通孔1606は、第1のキャビティ1610内の空気を排出する過程においてコイルアセンブリに直接的に通過させることができる。図18Bに示すように、コイルアセンブリに連通孔1606を設置することにより、第1のキャビティ1610の排気の効率を向上させることができ、いくつかの実施例において、コイルアセンブリに連通孔1606を設置することにより、第1のキャビティ1610内の定在波の波長を減少させ、さらに、減圧孔1604を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波のピーク共振周波数を高周波数に移動することができる。
【0166】
図19は、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の、連通孔が設置される前の減圧孔での空気伝導音波の周波数応答曲線と連通孔が設置された後の減圧孔での空気伝導音波の周波数応答曲線との比較概略図である。図19に示すように、破線は、連通孔(例えば、連通孔1606)が設置されていない場合の減圧孔での空気伝導音波の周波数応答曲線を示す。実線は、連通孔が設置される場合の減圧孔(例えば、連通孔1606)での空気伝導音波の周波数応答曲線を示す。図19図18A図18Bに示すように、ハウジング1601において第1のキャビティ1610と連通する減圧孔1604を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波の周波数応答曲線は、共振ピークを有してもよく、連通孔1606が開放状態にある場合(すなわち、図19中の実線で示す曲線)の共振ピークのピーク共振周波数は、連通孔1215が閉鎖状態にある場合(すなわち、図19中の破線で示す曲線)の共振ピークのピーク共振周波数よりも高周波数に移動し、かつ移動量が500Hz以上であってもよい。いくつかの実施例において、連通孔1606が開放状態にある場合の共振ピークのピーク共振周波数は、2kHz以上であってもよい。なお、連通孔1215が開放状態にあることは、音響出力装置に連通孔が設置され、連通孔が正常に動作する状況であってもよい。それに対応して、連通孔1215が閉鎖状態にあることは、音響出力装置に連通孔が設置されていないか又は音響出力装置に連通孔1215が設置されるが、閉鎖されて正常に動作できない状況であってもよい。
【0167】
いくつかの実施例において、図17図18A図18Bに示すように、コイルアセンブリは、第1のキャビティ1610内に設置されるとともに、磁気回路アセンブリ1520の磁気ギャップ1550内に挿入される。コイルアセンブリは、環状に設置され、コイルアセンブリの内部と外部とを連通する連通孔1606が設置され、第1のキャビティ1610内の空気の排出経路を短縮してもよい。好ましくは、連通孔1606は、磁気回路アセンブリ1520の磁気ギャップ1550の外部の一部のコイルアセンブリに位置してもよい。
【0168】
いくつかの実施例において、図17図18A図18Bに示すように、コイルアセンブリは、コイルホルダ1510と、コイルホルダ1510に接続されたコイル1530とを含んでもよく、コイルホルダ1510は、コイル1530をハウジング1610に固定し、コイル1530を磁気回路システム1520の磁気ギャップ1550内に挿入させる。連通孔1606は、コイルホルダ1510に設置されてもよい。さらに、連通孔1606は、第1のキャビティ1610内の空気の排出経路を短縮するように、弾性部材1540の皮膚接触領域から離れた側に位置してもよい。
【0169】
図17に示すように、いくつかの実施例において、連通孔は、第1のホルダ部1511と第2のホルダ部1512との接続箇所に位置してもよい。該実施例において、連通孔の数は、1つ以上であってもよく、1つ以上の連通孔は、コイルアセンブリの円周方向に沿って間隔をあけて設置されてもよい。いくつかの実施例において、各連通孔1606の断面積は、2mm以上であってもよい。単に例示的な説明として、第1の減圧孔に最も近接する連通孔の断面積は、3mm以上であってもよく、第2の減圧孔と第3の減圧孔にそれぞれ最も近い2つの連通孔の断面積は、2.5mm以上であってもよい。
【0170】
図17に示すように、いくつかの実施例において、振動膜1503は、一部が磁気回路システム1520に接続され、他の部分が第2のホルダ部1513の本体部1511から離れた他端に接続され、さらにハウジング1601に接続されてもよい。いくつかの実施例において、振動膜1503は、振動膜本体15031及び補強リング15035を含んでもよい。図20Aは、本願のいくつかの実施例に係る図17中の振動膜1503の構造平面図である。図17及び図20Aに示すように、振動膜本体15031は、一体的に接続された第1の接続部15032、皺部15033及び第2の接続部15034を含んでもよい。第1の接続部15032は、骨伝導音響アセンブリを取り囲むとともに、骨伝導音響アセンブリに接続されてもよい。第2の接続部15034は、第1の接続部15032の周側に周設されるとともに、骨伝導音響アセンブリの振動方向の垂直方向に第1の接続部15032と間隔をあけて設置されてもよい。皺部15033は、第1の接続部15032と第2の接続部15034との間の間隔領域に位置し、第1の接続部15032及び第2の接続部15034を接続する。いくつかの実施例において、補強リング15035は、第2の接続部15034に接続されることにより、第2の接続部15034が補強リング15035によりハウジング1610に接続されて、振動膜1503の縁部の構造強度を向上させ、さらに振動膜1503とハウジング1601との間の接続強度を向上させることができる。
【0171】
いくつかの実施例において、音響出力装置は、第1のキャビティ1610及び第2のキャビティ1620を連通する連通通路1560を含んでもよく、連通通路1560は、第1のキャビティ1610及び第2のキャビティ1620内の高圧領域を破壊し、共振ピークのピーク共振周波数を向上させ、さらに音響出力装置の音質及び音漏れを改善することができる。
【0172】
図20Aに示すように、連通通路1560は、振動膜1503に設置された孔アレイ15036を含んでもよく、例えば、孔アレイ15036は、皺部15033に設置されてもよい。いくつかの実施例において、孔アレイ15036中の少なくとも一部の孔と放音孔1602は、それぞれ骨伝導音響アセンブリの対向する両側に位置してもよい。他の代替実施例において、孔アレイ15036は、放音孔1602の両側に設置されてもよい。いくつかの実施例において、孔アレイ15036中の各孔の実際の面積は、0.01mm~0.04mmにあってもよい。
【0173】
いくつかの実施例において、孔アレイ15036は、放音孔1602を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波が高周波数に移動するように、調音孔1605と協働してもよい。
【0174】
図20Bは、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。いくつかの実施例において、連通通路は、骨伝導音響アセンブリの磁気回路アセンブリ1520に設置された貫通孔1560を含んでもよく、貫通孔1560は、音響出力装置の第1のキャビティ1610と第2のキャビティ1620とが連通するように、磁気回路システム1520を貫通してもよい(例えば、磁束伝導カバー1521の底壁を貫通する)。いくつかの実施例において、貫通孔1560の実際の面積は、9mm以下であってもよい。いくつかの実施例において、貫通孔1560の実際の面積は、7mm以下であってよい。いくつかの実施例において、貫通孔1560の実際の面積は、5mm以下であってもよい。
【0175】
図20Cは、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。図20Cに示す音響出力装置は、図20Bに示す音響出力装置の構造とほぼ類似し、両者の相違点としては、いくつかの実施例において、連通通路は、ハウジング1601の外部に設置された連通管1580であってもよく、連通管1580は、第1のキャビティ1610と連通する減圧孔1604と、第2のキャビティ1620と連通する調音孔1605とを連通して、第1のキャビティ1610と第2のキャビティ1620とを連通させる。いくつかの実施例において、連通管1580は、管状構造であってもよく、管状構造の両端は、それぞれ減圧孔1604と調音孔1605と連通する。いくつかの実施例において、連通管1580は、ハウジング1601と別体又はハウジング1601と一体の他の立体構造であってもよく。該立体構造の内部にキャビティを有し、該キャビティは、減圧孔1604及び調音孔1605と連通し、さらに第1のキャビティ1610と第2のキャビティ1620との連通を実現する。いくつかの実施例において、連通管1580の内部には、少なくとも1つの音響インピーダンス網1590がさらに設置され、該音響インピーダンス網1590は、ハウジング1601において減圧孔1603及び調音孔1605を同時に有する側壁に位置するか又は減圧孔1603及び調音孔1605に位置してもよい。図20B及び図20Cに示す音響出力装置の連通通路の原理は、図20A中の連通通路の原理とほぼ同じであるため、ここでは説明を省略する。なお、連通管1580の形状及び位置は、図20Cに示すハウジング1601の一側に位置することに限定されず、減圧孔1604及び調音孔1605の位置に応じて適応的に調整されてもよい。
【0176】
放音孔を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波の周波数応答曲線は、共振ピークを有してもよく、共振ピークのピーク共振周波数は、2kHz以上であってもよい。いくつかの実施例において、連通通路が開放状態にある場合の共振ピークのピーク共振周波数は、連通通路が閉鎖状態にある場合の共振ピークのピーク共振周波数よりも高周波数に移動し、かつ移動量が500Hz以上であってもよい。好ましくは、移動量は、1kHz以上であってもよい。いくつかの実施例において、共振ピークのピーク共振周波数が高周波数に移動することに伴い、音響出力装置の中低周波数帯域の音漏れも徐々に減少する。例えば、図21は、本願のいくつかの実施例に係る導音部材での空気伝導音波の周波数応答曲線の概略図である。図22は、本願の他のいくつかの実施例に係る導音部材での空気伝導音波の周波数応答曲線の概略図である。図21に示すように、周波数応答曲線21-1は、連通通路及び調音孔が設置されていない音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線を示す。周波数応答曲線21-2は、連通通路が設置され、調音孔が設置されていない音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線を示す。周波数応答曲線21-3は、連通通路及び調音孔が設置される音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線を示す。図22に示すように、周波数応答曲線22-1は、連通通路及び調音孔が設置されていない音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線を示す。周波数応答曲線22-2は、連通通路が設置され、調音孔が設置されていない音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線を示す。周波数応答曲線22-3は、連通通路及び調音孔が設置される音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線を示す。
【0177】
図21及び図22に示すように、放音孔を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波の周波数応答曲線は、共振ピークを有してもよく、共振ピークのピーク共振周波数は、2kHz以上であってもよい。いくつかの実施例において、連通通路が開放状態にある場合の(例えば、周波数応答曲線21-2、周波数応答曲線21-3)共振ピークのピーク共振周波数は、連通通路が閉鎖状態にある場合(例えば、周波数応答曲線21-1)の共振ピークのピーク共振周波数よりも高周波数に移動し、かつ移動量が500Hz以上であってもよい。好ましくは、移動量は、1kHz以上であってもよい。いくつかの実施例において、共振ピークのピーク共振周波数が高周波数に移動することに伴い、音響出力装置の中低周波数帯域の音漏れも徐々に減少する。なお、連通通路が開放状態にあることは、音響出力装置に連通通路が設置され、連通通路が正常に動作する状況であってもよい。それに対応して、連通通路が閉鎖状態にあることは、音響出力装置に連通通路が設置されていないか又は音響出力装置に連通通路が設置されるが、閉鎖されて正常に動作できない状況であってもよい。
【0178】
図20Bに示すように、いくつかの実施例において、連通通路1560によって定義された連通径路には、音響インピーダンス網1570が設置されてもよい。図20B及び図23に示すように、連通通路1560によって定義された連通径路に音響インピーダンス網1570を設置することにより、放音孔1602及び導音通路を介して音響出力装置の外部に出力された空気伝導音波における高周波数ピークは、さらに弱められ、それにより周波数応答曲線がより平坦になり、高周波数音質がより均一になる。例えば、図23は、本願の他のいくつかの実施例に係る導音部材での空気伝導音波の周波数応答曲線の概略図である。図23に示すように、周波数応答曲線23-1は、連通通路が設置されていない音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線を示す。周波数応答曲線23-2は、連通通路が設置され、連通通路には音響インピーダンス網が覆設されていない音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線を示す。周波数応答曲線23-3は、連通通路が設置され、連通通路に覆設された音響インピーダンス網の音響インピーダンスが45MKS rayls、空隙率が18%である音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線を示す。周波数応答曲線23-4は、連通通路が設置され、連通通路に覆設された音響インピーダンス網の音響インピーダンスが260MKS rayls、空隙率が13%である音響出力装置の導音部材での周波数応答曲線を示す。周波数応答曲線23-4に対応する周波数応答曲線は、周波数応答曲線23-3に対応する周波数応答曲線よりも平坦である。いくつかの実施例において、連通通路によって定義された連通径路に設置された音響インピーダンス網は、空隙率が18%以下であってもよく、及び/又は空隙の寸法が51μm以下であってもよい。
【0179】
音響出力装置における導音通路、減圧孔、調音通路の効果をさらに説明するために、図24に示すユーザが音響出力装置を装着している時のシーンのみを例示的に説明する。図24は、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置に対する異なる位置の概略図である。図24に示すように、点P1、P2、P3及びP4は、音響出力装置に対する位置を示すことができる。ユーザが音響出力装置を装着している場合、P1は、ユーザの皮膚に近接する位置にあり、音響出力装置の前側と呼ばれてもよく、P3は、ユーザの皮膚から離れた位置にあり、音響出力装置の後側と呼ばれてもよく、P2は、前述の導音通路の近傍に位置し、P4は、前述の減圧孔の近傍にある。
【0180】
図25図29は、本願のいくつかの実施例に係る、図24における異なる位置の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線の概略図である。音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線は、音響出力装置の音声漏れの変化及び音声信号の周波数を示す曲線であってもよい。横軸は、音響出力装置に入力される音声信号の周波数を表してもよい。縦軸は、位置(例えば、P1、P2、P3、P4)での音響出力装置の音声漏れの体積であってもよい。音漏れの周波数応答曲線L1~L4は、図25図29に示すように、音響出力装置の音声漏れが図24の位置P1~P4で音声信号の周波数によって変化することをそれぞれ示す。
【0181】
図25に示すように、導音通路及び減圧孔を含む第1の音響出力装置の図24の位置P1~P4での音漏れの周波数応答曲線は、それぞれL1~L4であり、導音通路と減圧孔は、音響出力装置のハウジングの対向する2つの側壁に設置される。第1の音響出力装置は、図6中の音響出力装置600と同じであるか又は類似してもよい。
【0182】
図26に示すように、導音通路及び減圧孔を含む第2の音響出力装置の図24の位置P1~P4での音漏れの周波数応答曲線は、それぞれL1~L4であり、導音通路と減圧孔は、音響出力装置のハウジングの対向する2つの側壁に設置される。第2の音響出力装置は、減圧孔が位置する側壁に設置された少なくとも1つの調圧孔をさらに含む。第2の音響出力装置は、図6中の音響出力装置600と同じであるか又は類似してもよい。
【0183】
図27に示すように、導音通路及び減圧孔を含む第3の音響出力装置の図24の位置P1~P4での音漏れの周波数応答曲線は、それぞれL1~L4であり、導音通路と減圧孔は、音響出力装置のハウジングの対向する2つの側壁に設置される。第3の音響出力装置は、減圧孔が位置する側壁に設置された少なくとも1つの調音孔をさらに含む。第3の音響出力装置は、図6中の音響出力装置600と同じであるか又は類似してもよい。第2の音響出力装置と異なり、第3の音響出力装置の第2のキャビティの体積は、第2の音響出力装置の第2のキャビティの体積よりも小さい。
【0184】
図28に示すように、導音通路及び減圧孔を含む第4の音響出力装置の図24の位置P1~P4での音漏れの周波数応答曲線は、それぞれL1~L4であり、導音通路と減圧孔は、音響出力装置のハウジングの対向する2つの側壁に設置される。第4の音響出力装置は、減圧孔が位置する側壁に設置された少なくとも1つの調音孔をさらに含む。第4の音響出力装置は、図6中の音響出力装置600と同じであるか又は類似してもよい。第2の音響出力装置とは異なり、導音通路と減圧孔は、調音孔を介して連通してもよい。減圧孔及び調音孔が貫通孔ではないと理解されてもよい。
【0185】
図29に示すように、導音通路及び第1の減圧孔を含む第5の音響出力装置の図24の位置P1~P4での音漏れの周波数応答曲線は、それぞれL1~L4であり、導音通路と第1の減圧孔は、音響出力装置のハウジングの対向する2つの側壁に設置される。第5の音響出力装置は、第1の減圧孔が位置する側壁に設置された少なくとも1つの調音孔をさらに含む。第5の音響出力装置は、図6中の音響出力装置600と同じであるか又は類似してもよい。導音通路と第1の減圧孔とは、調音孔を介して連通する。第1の減圧孔及び調音孔が貫通孔ではないと理解されてもよい。第4の音響出力装置とは異なり、第5の音響出力装置は、第1の減圧孔が位置する側壁に設置された第2の減圧孔をさらに含む。第2の減圧孔は、貫通孔である。
【0186】
図30図33は、本願のいくつかの実施例に係る、図24における同じ位置の異なる音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線の概略図である。音漏れの周波数応答曲線S1~S5は、図30~33に示すように、異なる音響出力装置の図24の各位置P1~P4での音声漏れが音声信号の周波数に伴う変化をそれぞれ示す。図30に示すように、図25~29中の第1の音響出力装置、第2の音響出力装置、第3の音響出力装置、第4の音響出力装置及び第5の音響出力装置の位置P1での音漏れの周波数応答曲線は、それぞれS1~S5である。図31に示すように、図25~29中の第1の音響出力装置、第2の音響出力装置、第3の音響出力装置、第4の音響出力装置及び第5の音響出力装置の位置P2での音漏れの周波数応答曲線は、それぞれS1~S5である。図32に示すように、図25~29中の第1の音響出力装置、第2の音響出力装置、第3の音響出力装置、第4の音響出力装置及び第5の音響出力装置の位置P3での音漏れの周波数応答曲線は、それぞれS1~S5である。図33に示すように、図25~29中の第1の音響出力装置、第2の音響出力装置、第3の音響出力装置、第4の音響出力装置及び第5の音響出力装置の位置P4での音漏れの周波数応答曲線は、それぞれS1~S5である。
【0187】
図25に示すように、調音孔を含まない第1の音響出力装置の異なる位置P1~P4での音漏れの周波数応答曲線L1~L4において、特に前側位置P1に対応する音漏れの周波数応答曲線L1と、後側位置P3に対応する音漏れの周波数応答曲線L3は、それぞれ、周波数が約2000Hzの第1のピークと、周波数が約2200Hzの第2のピークを含む。周波数が約2000Hzの第1のピークは、第1の音響出力装置の第1のキャビティに起因してもよく、周波数が約2200Hzの第2のピークは、第1の音響出力装置の第2のキャビティに起因してもよい。図26に示すように、調音孔を含む第2の音響出力装置の異なる位置P1~P4での音漏れの周波数応答曲線L1~L4において、特に前側位置P1に対応する音漏れの周波数応答曲線L1と、後側位置P3に対応する音漏れの周波数応答曲線L3は、それぞれ、周波数が約2000Hzの第1のピークと、周波数が約4800Hzの第2のピークを含む。第1の音響出力装置と第2の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線L1~L4を比較すると、調音孔は、第2のキャビティに起因する第2のピークをより高い周波数に向けて移動させることができる。したがって、調音孔は、第2のキャビティ内の空気中の共振周波数(すなわち、音漏れの周波数応答曲線L1~L4のピーク対応周波数)を増加させることができる。図30図33に示すように、第1の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線S1と、図30図33の各第2の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線S2とを比較することにより、第2の音響出力装置の位置P2(すなわち、導音通路の周囲の位置)での音声漏れを調音孔の音声漏れとすることができるが、第2の音響出力装置の他の位置(例えば、P1、P3及びP4)での音声漏れは、顕著に変化しない。
【0188】
図27に示すように、第3の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線L1~L4は、異なるP1~P4で第1のピーク及び第2のピークを含み、第3の音響出力装置の第2のキャビティの体積は、第2の音響出力装置の第2のキャビティの体積よりも小さい。第2の音響出力装置と第3の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線L1~L4を比較すると、図27に示す小さい第2のキャビティの体積に対して、図26に示す第2のキャビティに起因する第2のピークがより高い周波数に向けて移動できると推定することができる。図30図33に示すように、第2の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線S2と第3の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線S3のP1、P2、P3及びP4での各位置を比較することにより、第3の音響出力装置の位置P1、P2、P3及びP4の各位置での音声漏れは、第2のキャビティの体積によって変化しない。
【0189】
図28に示すように、導音通路、減圧孔及び連通する調音孔を含む第4の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線L1~L4は、周波数が約700Hzの第1のピークと、周波数が1000Hzを超える第2のピークとを含んでもよい。第4の音響出力装置と第5の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線L1~L4を比較すると、図28中の第1のピークが低周波数に向かって移動することは、第1のキャビティと第2のキャビティが連通してチキャビティの体積が大きくなることによるものであると推定することができる。図30図33に示すように、第4の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線S4と第5の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線S5とを比較することにより、第4の音響出力装置の位置P2及びP4での音声漏れ(すなわち、導音通路及び減圧孔の位置)は、特に低中周波数に、顕著に低下する。
【0190】
図29に示すように、導音通路、第1の減圧孔、第2の減圧孔及び連通する調音孔を含む第5の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線L1~L4は、第1のピーク及び第2のピークを含んでもよい。第2の音響出力装置と第5の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線L1~L4を比較すると、図29中の第2のピークがより高周波数に向けて移動すると推定することができる。図30図33に示すように、第2の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線S2と第5の音響出力装置の音漏れの周波数応答曲線S5とを比較すると、第2の音響出力装置に対して、第5の音響出力装置の音声漏れは、位置P2(すなわち、導音通路の周囲)で顕著に変化せず、位置P4(すなわち、第2の減圧孔の周囲)で顕著に低下する。
【0191】
上記で基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単なる例として提示されているものに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されているため、本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0192】
さらに、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2つ以上の言及は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0193】
さらに、当業者には理解されように、本願の各態様は、任意の新規かつ有用なプロセス、機械、製品又は物質の組み合わせ、又はそれらへの任意の新規かつ有用な改善を含む、いくつかの特許可能なクラス又はコンテキストで、例示及び説明され得る。よって、本願の各態様は、完全にハードウェアによって実行されてもよく、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)によって実行されてもよく、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実行されてもよい。以上のハードウェア又はソフトウェアは、いずれも「データブロック」、「モジュール」、「エンジン」、「ユニット」、「アセンブリ」又は「システム」と呼ばれてもよい。また、本願の各態様は、コンピュータ可読プログラムコードを含む1つ以上のコンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。
【0194】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータプログラムコードを搬送するための、ベースバンド上で伝播されるか又は搬送波の一部として伝播される伝播データ信号を含んでもよい。該伝播信号は、電磁気信号、光信号又は適切な組み合わせ形態などの様々な形態を含んでもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶媒体以外の任意のコンピュータ可読媒体であってもよく、該媒体は、命令実行システム、装置又は機器に接続されることにより、使用されるプログラムの通信、伝播又は伝送を実現することができる。コンピュータ記憶媒体上のプログラムコードは、無線、ケーブル、光ファイバケーブル、RF若しくは類似の媒体、又は上述した媒体の任意の組み合わせを含む任意の適切な媒体を介して伝播することができる。
【0195】
また、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願に記載の処理要素又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単に説明の目的のためであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、逆に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にあるすべての修正及び同等の組み合わせをカバーするように意図されることが理解されよう。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェア機器により実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイル機器に説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0196】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本願を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることが理解されるであろう。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈すべきではない。実際に、実施例の特徴は、上記開示された単一の実施例のすべての特徴よりも少ない場合がある。
【0197】
いくつかの実施例において、成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「概ね」によって修飾されると理解されるべきである。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「概ね」は、上記数字が±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例において、明細書及び特許請求の範囲において使用されている数値パラメータは、いずれも個別の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例において、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用するべきである。本願のいくつかの実施例において、その範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは、近似値であるが、具体的な実施例において、このような数値は、可能な限り正確に設定される。
【0198】
本願において参照されているすべての特許、特許出願、公開特許公報、及び、論文、書籍、仕様書、刊行物、文書などの他の資料は、本願の内容と一致しないか又は矛盾する出願経過文書、及び(現在又は後に本願に関連する)本願の請求項の最も広い範囲に関して限定的な影響を有し得る文書を除いて、その全体が参照により本願に組み込まれる。なお、本願の添付資料における説明、定義、及び/又は用語の使用が本願に記載の内容と一致しないか又は矛盾する場合、本願における説明、定義、及び/又は用語の使用を優先するものとする。
【0199】
最後に、本願に記載の実施例は、本願の実施例の原理を説明するためのものに過ぎないことを理解されたい。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0200】
100 音響出力システム
110 マルチメディアプラットフォーム
112 処理装置
120 ネットワーク
130 音響出力装置
140 ユーザ端末
150 記憶機器
200 音響出力装置
210 耳掛け
211 保護カバー
212 ハウジング保護部材
220 ハウジング
221 接触面
230 回路ハウジング
240 後掛け
250 音響アセンブリ
260 制御回路
270 電池
310 骨伝導音響アセンブリ
320 気伝導音響アセンブリ
330 ハウジング
400 音響出力装置
410 骨伝導音響アセンブリ
411 磁気回路システム
412 振動板
413 ボイスコイル
420 ハウジング
421 放音孔
422 減圧孔
423 第1のキャビティ
424 第2のキャビティ
431 振動膜
600 音響出力装置
610 骨伝導音響アセンブリ
611 磁気回路システム
612 振動板
613 ボイスコイル
620 ハウジング
621 放音孔
622 減圧孔
626 調音孔
640 導音部材
741 導音通路
1503 振動膜
15031 振動膜本体
15032 第1の接続部
15033 皺部
15034 第2の接続部
15035 補強リング
15036 孔アレイ
1510 コイルホルダ
1511 本体部
1512 第1のホルダ部
1513 第2のホルダ部
1520 磁気回路アセンブリ
1521 磁束伝導カバー
1522 磁性体
1523 底板
1524 側板
1525 接続部材
1530 コイル
1540 弾性部材
1550 磁気ギャップ
1601 ハウジング
1606 連通孔
1610 第1のキャビティ
1620 第2のキャビティ
6221 第1の減圧孔
6222 第2の減圧孔
6223 第3の減圧孔
6231 第1の側壁
6232 第2の側壁
6233 第3の側壁
6234 第4の側壁
6261 第1の調音孔
6262 第2の調音孔


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図17
図18A
図18B
図19
図20A
図20B
図20C
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
【手続補正書】
【提出日】2023-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨伝導音波を発生させる骨伝導音響アセンブリと、
空気伝導音波を発生させる気伝導音響アセンブリと、
前記骨伝導音響アセンブリ及び気伝導音響アセンブリにおける少なくとも一部の素子を収容するハウジングと、
を含む音響出力装置であって、
前記ハウジングは、第1のキャビティ及び第2のキャビティを含み、前記第1のキャビティは、前記骨伝導音響アセンブリの少なくとも一部を収容し、前記ハウジングには、前記第2のキャビティと連通する放音孔が設置され、前記空気伝導音波は、前記放音孔を介して前記音響出力装置の外部に伝達され、
前記空気伝導音波の周波数応答曲線は、1つ以上の共振ピークを有し、前記共振ピークのピーク共振周波数は、1kHz以上である、音響出力装置。
【請求項2】
前記ハウジングには、前記第1のキャビティと連通する少なくとも1つの減圧孔がさらに設置され、前記少なくとも1つの減圧孔は、第1の減圧孔及び第2の減圧孔を含み、前記第1の減圧孔は、前記第2の減圧孔よりも前記放音孔から離れるように設置され、前記第1の減圧孔の出口端の有効面積は、前記第2の減圧孔の出口端の有効面積よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記骨伝導音響アセンブリの対向する両側に位置する第1の側壁及び第2の側壁と、前記第1の側壁及び前記第2の側壁に接続されるとともに互いに間隔をあける第3の側壁及び第4の側壁とを含み、前記放音孔と前記第1の減圧孔は、それぞれ前記第1の側壁と前記第2の側壁に設置され、前記第2の減圧孔は、前記第3の側壁又は前記第4の側壁に設置される、ことを特徴とする請求項に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの減圧孔は、第3の減圧孔をさらに含み、前記第2の減圧孔の出口端の有効面積は、前記第3の減圧孔の出口端の有効面積よりも大きく、前記第2の減圧孔と前記第3の減圧孔は、それぞれ前記第3の側壁と前記第4の側壁に設置される、ことを特徴とする請求項に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記ハウジングには、前記第2のキャビティと連通する少なくとも1つの調音孔がさらに設置され、前記少なくとも1つの調音孔が開放状態にある場合の前記共振ピークのピーク共振周波数は、前記少なくとも1つの調音孔が閉鎖状態にある場合の前記共振ピークのピーク共振周波数よりも高周波数に移動する、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記骨伝導音響アセンブリの対向する両側に位置する第1の側壁及び第2の側壁を含み、前記少なくとも1つの調音孔は、第1の調音孔を含み、前記放音孔と前記第1の調音孔は、それぞれ前記第1の側壁と前記第2の側壁に設置される、ことを特徴とする請求項に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記第1の側壁及び前記第2の側壁に接続されるとともに互いに間隔をあける第3の側壁及び第4の側壁をさらに含み、前記少なくとも1つの調音孔は、前記第3の側壁又は前記第4の側壁に設置された第2の調音孔をさらに含む、ことを特徴とする請求項に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記ハウジングに接続された導音部材をさらに含み、前記導音部材に導音通路が設置され、前記導音通路は、前記放音孔と連通し、前記音響出力装置の外部に前記空気伝導音波を案内する、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項9】
前記ハウジングには、前記第1のキャビティと連通する減圧孔が設置され、前記導音通路の出口端の有効面積は、前記ハウジングにおける、前記第1のキャビティと連通するすべての前記減圧孔の出口端の有効面積の和以上である、ことを特徴とする請求項に記載の音響出力装置。
【請求項10】
前記ハウジングには、前記第2のキャビティと連通する調音孔が設置され、前記導音通路の出口端の有効面積は、前記調音孔のうちの各調音孔の出口端の有効面積よりも大きい、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の音響出力装置。
【請求項11】
前記骨伝導音響アセンブリは、磁気回路システム及びコイルアセンブリを含み、前記磁気回路システムは、磁気ギャップを形成し、前記コイルアセンブリは、前記第1のキャビティに設置されるとともに、前記磁気ギャップに挿入され、連通孔が設置される、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項12】
前記連通孔は、前記コイルアセンブリが前記磁気ギャップの外部に位置する部分に位置する、ことを特徴とする請求項11に記載の音響出力装置。
【請求項13】
前記コイルアセンブリは、コイル及びコイルホルダを含み、前記コイルホルダは、前記コイルが前記磁気ギャップに挿入されるように、前記コイル及び前記ハウジングを接続し、前記連通孔は、前記コイルホルダに設置される、ことを特徴とする請求項12に記載の音響出力装置。
【請求項14】
前記第1のキャビティ及び前記第2のキャビティを連通する連通通路をさらに含み、前記連通通路が開放状態にある場合の前記共振ピークのピーク共振周波数は、前記連通通路が閉鎖状態にある場合の前記共振ピークのピーク共振周波数よりも高周波数に移動し、かつ移動量が500Hz以上である、ことを特徴とする請求項に記載の音響出力装置。
【請求項15】
前記ハウジングには、前記第1のキャビティと連通する減圧孔と、前記第2のキャビティと連通する調音孔とがさらに設置され、前記連通通路は、前記ハウジングの外部に設置されるとともに、前記減圧孔及び前記調音孔を連通する、ことを特徴とする請求項14に記載の音響出力装置。
【国際調査報告】