(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(54)【発明の名称】燃料電池用加湿器
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240131BHJP
H01M 8/04119 20160101ALI20240131BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/04119
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547145
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 KR2022002968
(87)【国際公開番号】W WO2022191496
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0030627
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】オ ヨンソク
(72)【発明者】
【氏名】イ アルム
(72)【発明者】
【氏名】イ ジヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム キョンジュ
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AC03
5H127BA02
5H127BB02
5H127BB34
5H127BB35
5H127EE17
(57)【要約】
本発明は、稼動中である燃料電池スタックに凝縮水が流入することを防止できる燃料電池用加湿器に関するものであって、
本発明の実施形態に係る燃料電池用加湿器は、
燃料電池スタックから排出された排ガスを流入する排ガス流入ポートと前記排ガスを排出するための排ガス排出ポートとを有するハウジングと、前記ハウジング内に配置された複数の中空糸膜とを備え、第1及び第2の末端を備えた加湿モジュールと、前記加湿モジュールで加湿された空気を前記燃料電池スタックに供給する空気排出ポートを有し、前記第1の末端に結合された第1のキャップと、前記外部から供給される空気を受け入れるための空気流入ポートを有し、前記第2の末端に結合された第2のキャップと、前記第1のキャップの内部空間で発生するか、前記中空糸膜から前記第1のキャップの内部空間に流入する凝縮水を、前記排ガスが流れる前記ハウジングの内部空間に伝達するためのバイパスチューブと、前記空気排出ポートから延びて形成され、前記加湿された空気を膨脹させて速度を遅らせながら凝縮水凝結を導く凝結誘導部とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックから排出された排ガスを流入する排ガス流入ポートと前記排ガスを排出するための排ガス排出ポートとを有するハウジングと、前記ハウジング内に配置された複数の中空糸膜とを備え、第1及び第2の末端を備えた加湿モジュールと、
前記加湿モジュールで加湿された空気を前記燃料電池スタックに供給する空気排出ポートを有し、前記第1の末端に結合された第1のキャップと、
前記外部から供給される空気を受け入れるための空気流入ポートを有し、前記第2の末端に結合された第2のキャップと、
前記第1のキャップの内部空間で発生するか、前記中空糸膜から前記第1のキャップの内部空間に流入する凝縮水を、前記排ガスが流れる前記ハウジングの内部空間に伝達するためのバイパスチューブと、
前記空気排出ポートから延びて形成され、前記加湿された空気を膨脹させて速度を遅らせながら凝縮水凝結を導く凝結誘導部と、
を備える燃料電池用加湿器。
【請求項2】
前記凝結誘導部は、
前記空気排出ポートの直径より大きい直径を有する中空型構造物である請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項3】
前記凝結誘導部は、
前記空気排出ポートの断面積より大きい断面積を有する中空型構造物である請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項4】
前記空気排出ポート及び前記凝結誘導部は、前記燃料電池スタック方向に予め設定された角度で傾斜して形成される請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項5】
前記空気排出ポート内には、凝縮水が前記空気排出ポートを介して前記燃料電池スタックに伝達されることを防止するためのリブが形成される請求項1~4のいずれか1項に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項6】
前記凝結誘導部は、
前記リブの後端に形成され、前記リブにより除去できなかった凝縮水を凝結誘導して除去する請求項5に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項7】
前記空気排出ポートの内面には、前記凝縮水に螺旋形経路を提供するネジ山が形成される請求項1~4のいずれか1項に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項8】
前記凝結誘導部は、
前記ネジ山の後端に形成され、前記ネジ山により除去できなかった凝縮水を凝結誘導して除去する請求項7に記載の燃料電池用加湿器。
【請求項9】
前記バイパスチューブは、
前記第1のキャップに固定された第1のチューブと、前記加湿モジュールに固定された第2のチューブとを備え、前記第1及び第2のチューブは、分離可能に結合される請求項1に記載の燃料電池用加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用加湿器に関し、より具体的には、稼動中である燃料電池スタックに凝縮水が流入することを防止できる燃料電池用加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料である水素を空気中の酸素と反応させて水を生成しながら電気を発生させる装置である。高純度の水素が水素貯蔵タンクから燃料電池用スタックの燃料極(anode)に供給され、ブロワーのような空気供給装置を介して大気中の空気が燃料電池用スタックの空気極(cathode)に供給される。
燃料電池用スタックの燃料極に供給された水素は、水素イオンと電子とに分離される。水素イオンは、燃料極と空気極との間の高分子電解質膜を介して空気極へと移動し、電子は、外部導線を介して空気極へと移動する。燃料電池用スタックの空気極に供給された酸素が電子及び水素イオンと結合して水を生成しつつ電気エネルギーを発生させる。
燃料電池用スタックの高分子電解質膜のイオン伝導度が高いほど、水素イオンが燃料極から空気極によりよく伝達され得る。高分子電解質膜のイオン伝導度は、含水率と密接な関連がある。すなわち、高分子電解質膜が十分に濡れているほど、水素イオンが燃料極から空気極によりよく伝達され得る。
したがって、燃料電池が稼動するとき、高分子電解質膜に水分を供給し続けることで、含水率を一定水準以上に維持させることにより、燃料電池の発電効率が急激に低下することを防止する必要がある。このような目的として、燃料電池用スタックの空気極に供給される空気に水分を提供できる加湿器が採択される。
燃料電池用加湿器は、外部から供給される空気をスタックの空気極から排出される排ガス内の水分で加湿し、このように加湿された空気をスタックの空気極に供給する。
加湿された空気が加湿器の物理的構造(例えば、加湿のための中空糸膜、加湿された空気が流れる通路構造等)と接触することにより加湿器内で凝縮水が必ず生じる。稼動中である燃料電池スタックに凝縮水が流入すれば、発電効率の低下を引き起こす。したがって、稼動中である燃料電池スタックに凝縮水が流入することを防止するための手段が講じられなければならない。
【0003】
米国特許US7,264,233(以下、「233特許」)は、加湿された空気が流れるダウンストリームヘッダ(downstream head)3内部の下部領域(liquid pool area)33に溜まる凝縮水を排ガスが流れる引入マニホールド(lead-in manifold)5に伝達することができる加湿器1を開示している。このために、「233特許」の加湿器1は、凝縮水が溜まる下部領域(liquid pool area)33と引入マニホールド5とを連結するコミュニケイティングチューブ(communicating tube)6を備える。すなわち、凝縮水が重力により落下してダウンストリームヘッド3内部の下部領域(「liquid pool area」と称される)33に必ず溜まるということを前提とする。
しかし、「233特許」は、(i)加湿が行われる中空糸膜42内でも凝縮水が発生するという点、及び(ii)低電流モードから高電流モードに切り換えることで、急に外部空気が高圧で供給されるとき、中空糸膜42内に溜まっていた凝縮水が高圧空気とともに中空糸膜42から吐出された後、ダウンストリームヘッド3内部の下部領域を経ずに直ちに加湿器1から排出されて燃料電池スタックに流入するという点を見逃している。すなわち、「233特許」は、稼動中である燃料電池スタックに相当量の凝縮水が依然として流入せざるを得ず、それによる発電効率の低下を防止できない。
また、ダウンストリームヘッド3上に形成された「233特許」の伝達通路6は、外部に露出されているため、酷く寒い環境で凝縮水がコミュニケイティングチューブ6内で結氷される危険が大きい。このようなコミュニケイティングチューブ6内での凝縮水結氷は、ダウンストリームヘッド3内部の下部領域(liquid pool area)33に溜まった凝縮水がコミュニケイティングチューブ6を介して下部領域(liquid pool area)33から抜け出すことを妨害し、その結果、凝縮水が燃料電池スタックに流入して発電効率低下を引き起こす。
【0004】
一方、米国特許US7,264,233の問題点を補完した韓国公開特許2018-0109108号(以下、「108特許」)が開示されたことがある。「108特許」は、燃料電池スタック側の第1のキャップで生成されるか、第1のキャップに流入した凝縮水を排ガスが流れるハウジングの内部空間に伝達するためのバイパスチューブ及び凝縮水が空気排出ポートを介して燃料電池スタックに伝達されることを防止するために、空気排出ポート内に提供されたリブ(rib)またはリブに代えることができるネジ山構造を提示している。
「108特許」によれば、燃料電池スタックに流入する加湿された空気中に含有された凝縮水の一部は、リブ(または、ネジ山構造)により除去されることができるが、リブ(または、ネジ山構造)近傍を通過しない加湿された空気に含有された凝縮水は除去できないという限界がある。すなわち、燃料電池スタックに流れる加湿された空気中で空気排出ポートの内周面と隣接した部分を流れる加湿された空気に含有された凝縮水は除去できるが、空気排出ポートの中央部分を流れる加湿された空気に含有された凝縮水は除去できないという限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような関連技術の制限及び短所に起因した問題点を防止できる燃料電池用加湿器に関するものであって、稼動中である燃料電池スタックに凝縮水が流入することを防止できる燃料電池用加湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る燃料電池用加湿器は、
燃料電池スタックから排出された排ガスを流入する排ガス流入ポートと前記排ガスを排出するための排ガス排出ポートとを有するハウジングと、前記ハウジング内に配置された複数の中空糸膜とを備え、第1及び第2の末端を備えた加湿モジュールと、前記加湿モジュールで加湿された空気を前記燃料電池スタックに供給する空気排出ポートを有し、前記第1の末端に結合された第1のキャップと、前記外部から供給される空気を受け入れるための空気流入ポートを有し、前記第2の末端に結合された第2のキャップと、前記第1のキャップの内部空間で発生するか、前記中空糸膜から前記第1のキャップの内部空間に流入する凝縮水を、前記排ガスが流れる前記ハウジングの内部空間に伝達するためのバイパスチューブと、前記空気排出ポートから延びて形成され、前記加湿された空気を膨脹させて速度を遅らせながら凝縮水凝結を導く凝結誘導部とを備える。
本発明の実施形態に係る燃料電池用加湿器において、前記凝結誘導部は、前記空気排出ポートの直径より大きい直径を有する中空型構造物であることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池用加湿器において、前記凝結誘導部は、前記空気排出ポートの断面積より大きい断面積を有する中空型構造物であることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池用加湿器において、前記空気排出ポート及び前記凝結誘導部は、前記燃料電池スタック方向に予め設定された角度で傾斜して形成されることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池用加湿器において、前記空気排出ポート内には、凝縮水が前記空気排出ポートを介して前記燃料電池スタックに伝達されることを防止するためのリブが形成され得る。
本発明の実施形態に係る燃料電池用加湿器において、前記凝結誘導部は、前記リブの後端に形成され、前記リブにより除去できなかった凝縮水を凝結誘導して除去することができる。
【0007】
本発明の実施形態に係る燃料電池用加湿器において、前記空気排出ポートの内面には、前記凝縮水に螺旋形経路を提供するネジ山が形成され得る。
本発明の実施形態に係る燃料電池用加湿器において、前記凝結誘導部は、前記ネジ山の後端に形成され、前記ネジ山により除去できなかった凝縮水を凝結誘導して除去することができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池用加湿器において、前記バイパスチューブは、前記第1のキャップに固定された第1のチューブと、前記加湿モジュールに固定された第2のチューブとを備え、前記第1及び第2のチューブは、分離可能に結合されることができる。
その他、本発明の様々な側面による実現例等の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、稼動中である燃料電池スタックに凝縮水が流入することを防止できるようになり、燃料電池スタックへの凝縮水流入による発電効率低下を防止できる。
また、本発明の一構成である凝結誘導部は、加湿された空気の相対湿度を高めて空気排出ポートの中央部分を流れる加湿された空気に含有された凝縮水を除去できるようになり、燃料電池スタックへの凝縮水流入による発電効率低下をより効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る燃料電池用加湿器の断面図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係る燃料電池用加湿器の断面図である。
【
図3】本発明の第3実施形態に係る燃料電池用加湿器の一部が示された断面図である。
【
図4】バイパスチューブの代案的な実施形態が示された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、様々な変換を加えることができ、種々の実施形態を有することができるところ、特定実施形態を例示し、詳細な説明に詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むことと理解されなければならない。
本発明において使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る燃料電池用加湿器を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池用加湿器の断面図であり、
図2は、本発明の第2実施形態に係る燃料電池用加湿器の断面図であり、
図3は、本発明の第3実施形態に係る燃料電池用加湿器の一部が示された断面図であり、
図4は、バイパスチューブの代案的な実施形態が示された断面図である。
【0011】
本発明の燃料電池用加湿器100は、外部から供給される空気を燃料電池スタックSから排出される排ガス(off-gas)内の水分(moisture)で加湿し、加湿された空気を燃料電池スタックSに供給する装置である。
図1に示されたように、本発明の加湿器100は、第1及び第2の末端110a、110bを有する加湿モジュール110、加湿された空気を燃料電池スタックSに供給するための空気排出ポートOP1を有し、第1の末端110aに結合された第1のキャップ120、及び外部から供給される空気を受け入れるための空気流入ポートIP1を有し、第2の末端110bに結合された第2のキャップ130を備える。
加湿モジュール110は、ハウジング111及びハウジング111内に配置された複数の中空糸膜112を備える。ハウジング111は、燃料電池スタックSから排ガスを受け入れるための排ガス流入ポートIP2及び排ガスを排出するための排ガス排出ポートOP2を有する。
図1に示されたように、本発明の一実施形態に係るハウジング111は、中空糸膜112が入っている第1のハウジング111a、及び第1のハウジング111aを囲み、排ガス流入ポートIP2及び排ガス排出ポートOP2を有する第2のハウジング111bを備え、第1のハウジング111aは、排ガス流入ポートIP2に対応する第1のグループの開口H1及び排ガス排出ポートOP2に対応する第2のグループの開口H2を有する。
中空糸膜112の両末端は、第1のハウジング111aの両末端内に各々形成されている第1の固定層113に各々ポッティングされており、第1のハウジング111aの両末端は、第2の固定層114を介して第2のハウジング111bの両末端に各々固定されている。第2の固定層114は、機械的に組立を介して第1のハウジング111aと第2のハウジング111bとの間を気密に結合するガスケット組立体であることができる。
【0012】
代案的に、本発明のハウジング111は、中空糸膜112が入っている単一ハウジング(single housing)であることができる。この場合、中空糸膜112の両末端は、単一ハウジングの両末端内に各々形成される固定層に各々ポッティングされることができる。
本発明の他の実施形態によれば、中空糸膜112は、2つ以上の中空糸膜束を含むことができ、ハウジング111は、2つ以上の中空糸膜束が各々入っている2つ以上の第1のハウジング111a、及び第1のハウジング111aを囲み、排ガス流入ポートIP2及び排ガス排出ポートOP2を有する第2のハウジング111bを備えることができ、第1のハウジング111aの各々は、排ガス流入ポートIP2に対応する第1のグループの開口H1及び排ガス排出ポートOP2に対応する第2のグループの開口H2を有することができる。
本発明によれば、第1のキャップ120の内部空間と第2のキャップ130の内部空間とは、中空糸膜112の中空(lumens)を介してのみ互いに流体連通する。第1のキャップ120の内部空間は、第1のキャップ120の内面と加湿モジュール110の第1の末端110aにより画定され、第2のキャップ130の内部空間は、第2のキャップ130の内面と加湿モジュール110の第2の末端110bにより画定される。
排ガス流入ポートIP2を介してハウジング111内に流入する排ガスは、ハウジング111の内部空間内で流れながら中空糸膜112と接触した後、排ガス排出ポートOP2を介してハウジング111の外へ排出される。
【0013】
空気流入ポートIP1を介して外部から第2のキャップ130の内部空間に流入した空気は、中空糸膜112の中空を介して第1のキャップ120の内部空間に流れ込んだ後、空気排出ポートOP1を介して燃料電池スタックSに供給される。
空気が中空糸膜112の中空に沿って流れるとき、ハウジング111の内部空間を流れる排ガス内に含有された水分が中空糸膜112を通過して空気に伝達されることによって空気が加湿され、このように加湿された空気が第1のキャップ120の内部空間に流れ込んだ後、空気排出ポートOP1を介して燃料電池スタックSに供給される。
前述したように、加湿された空気が中空糸膜112の中空内でまたは第1のキャップ120の内部空間内で凝結されることによって発生する凝縮水が燃料電池スタックSに流入することを防止しなければならない。このために、
図1に示されたように、本発明の燃料電池用加湿器100は、バイパスチューブ140と凝結誘導部150とをさらに備える。
バイパスチューブ140は、第1のキャップ120の内部空間で発生するか、中空糸膜112から第1のキャップ120の内部空間に流入する凝縮水を排ガスが流れるハウジング111の内部空間に伝達する。
本発明によれば、バイパスチューブ140の一端は、空気排出ポートOP1内に位置し、バイパスチューブ140の他端は、ハウジング111の内部空間(すなわち、排ガスが流れる空間)内に位置する。空気排出ポートOP1に入る凝縮水が気圧差によりバイパスチューブ140に沿ってハウジング111の内部空間に流れるようになる。
第1のキャップ120の内部空間で発生するか、中空糸膜112から第1のキャップ120の内部空間に流入する凝縮水が燃料電池スタックに移動するために、第1のキャップ120の空気排出ポートOP1を通過するので、バイパスチューブ140の一端を空気排出ポートOP1内に位置させることで、加湿された空気の凝結のために発生する凝縮水が燃料電池スタックに流入することを1次的に防止することができる。
【0014】
バイパスチューブ140の位置は、特別に限定されるものではないが、
図1に示されたように、バイパスチューブ140が外部へ露出されないように第1のキャップ120の内部空間及びハウジング111の内部空間に配置されることができる。バイパスチューブ140が外部へ露出されなければ、寒い環境でもバイパスチューブ140内で凝縮水が結氷されることが防止され得る。したがって、バイパスチューブ140内での凝縮水結氷のため、凝縮水がバイパスできず、燃料電池スタックに流入することが防止され得る。
図1に示されたように、凝縮水が空気排出ポートOP1を介して燃料電池スタックに伝達されることを防止するためのリブ(rib)121が空気排出ポートOP1内に提供され得る。リブ121は、空気排出ポートOP1に入った凝縮水の一部が燃料電池スタックに向かって流れることを防止する。リブ121により流れが阻止された凝縮水は、リブ121の下に溜まるようになる。したがって、
図1に示されたように、バイパスチューブ140の一端は、リブ121に隣接して位置することができる。すなわち、第1のキャップ120の本体と空気排出ポートOP1の境界部と第1のリブ121との間にバイパスチューブ140の一端が位置しうる。
前述したように、燃料電池スタックに流入する加湿された空気中に含有された凝縮水の一部は、リブ121により除去されることができるが、リブ121近傍を通過しない加湿された空気に含有された凝縮水は除去できないという限界がある。
【0015】
これにより、本発明の第1実施形態では、リブ121後端に形成され、加湿された空気を瞬間的に膨脹させて速度を遅らせながら凝縮水凝結を導くことができる凝結誘導部150をさらに備える。
凝結誘導部150は、空気排出ポートOP1から延びて形成され、空気排出ポートOP1の直径(または、断面積)より大きい直径(または、断面積)を有する中空型構造物であることができる。凝結誘導部150は、空気排出ポートOP1の直径より大きい直径を有するアーク状構造物であることができる。もちろん、凝結誘導部150の形状は、これに限定されるものではなく、いかなる形状であっても構わないが、その直径または断面積が空気排出ポートOP1の直径または断面積より大きいものであれば十分である。以下の説明において、「直径」だけを言及するか、「断面積」だけを言及するとき、全て「直径または断面積」を意味することができる。
凝結誘導部150は、燃料電池スタックSに流入する加湿された空気の急な断熱膨脹を導き、加湿された空気が有する固有のエネルギーを仕事の形態に使用させて、エネルギー第1法則によって温度が低くなるようにする。加湿された空気の温度が低くなると、当該温度での飽和湿度が低くなり、これにより、相対湿度は上昇するようになる。高まった相対湿度のため、凝結された加湿された空気の一部は、加湿された空気に含有された凝縮水を凝結核として大きくなりつつ、落下して凝結誘導部150の底面に溜まるようになる。
このように、凝結誘導部150は、加湿された空気の相対湿度を高めて空気排出ポートOP1の中央部分を流れる加湿された空気に含有された凝縮水を除去できるようになる。
一方、凝結誘導部150の底面に凝縮水が溜まった状態のままにしておくと、凝結誘導部150の実質的な流動断面積が減るようになり、断熱膨脹の大きさが減り得るので、凝結誘導部150が元々設計された断面積を維持することが好ましい。
【0016】
これにより、
図2に示されたように、本発明の第2実施形態に係る第1のキャップ120の空気排出ポートOP1は、燃料電池スタックS方向に予め設定された角度で傾斜して形成されることができる。凝結誘導部150は、空気排出ポートOP1から延びて形成され、その中心軸は、空気排出ポートOP1と同様に燃料電池スタックS方向に予め設定された角度で傾斜して形成されることができる。
図2のように、空気排出ポートOP1及び凝結誘導部150が燃料電池スタックS方向に予め設定された角度で傾斜して形成されることにより、凝結誘導部150の底面に凝縮水が溜まることを解消できるようになる。
凝結誘導部150で凝結された凝縮水は、空気排出ポートOP1に沿って降り、圧力差によりバイパスチューブ140を介してハウジング111の内部空間に流れるようになる。
一方、凝縮水の流れを阻止できるためには、リブ121がある程度以上の大きさを有することが要求されるだけでなく、加湿された空気の流れに垂直な面を有するので、加湿された空気の流れに過剰な抵抗がかかり、燃料電池の発電効率が低下する恐れがある。
これを解消するために、
図3に示されたように、本発明の第3実施形態に係る第1のキャップ120は、空気排出ポートOP1の内面上に形成されたネジ山(screw thread)122を備えることができる。ネジ山122は、空気排出ポートOP1に流入する凝縮水に螺旋形経路(spiral path)を提供する。
【0017】
ネジ山122は、前述したリブ121に代えることができる。すなわち、中空糸膜112の長さ方向に平行な方向に延びた空気排出ポートOP1の内面上にも本発明のネジ山122が形成され得る。
図3に示されたように、加湿された空気が所定角度で上に向かって流れることができるように空気排出ポートOP1が傾いていると、空気排出ポートOP1に流入する凝縮水がネジ山122によりガイドされ得る点においてより有利である。
空気排出ポートOP1に流入して螺旋形経路を介してネジ山122の末端部(termination portion)に到達する凝縮水をハウジング111の内部空間に伝達するために、バイパスチューブ140の一端は、ネジ山122の末端部に隣接して位置することができる。すなわち、バイパスチューブ140の一端は、螺旋形経路を介してネジ山122の末端部に移動した凝縮水を受け入れることができるように配置されることができる。
しかし、前述したように、燃料電池スタックSに流入する加湿された空気中に含有された凝縮水の一部は、ネジ山122により除去されることができるが、ネジ山122近傍を通過しない加湿された空気に含有された凝縮水は除去できないという限界がある。
これにより、本発明の第3実施形態では、ネジ山122後端に形成され、加湿された空気を瞬間的に膨脹させて速度を遅らせながら凝縮水凝結を導くことができる凝結誘導部150をさらに備える。
前述した第2実施形態と同様に、空気排出ポートOP1及び凝結誘導部150は、燃料電池スタックS方向に予め設定された角度で傾斜して形成される。凝結誘導部150で凝結された凝縮水は、空気排出ポートOP1に沿って降り、圧力差によりバイパスチューブ140を介してハウジング111の内部空間に流れるようになる。
【0018】
このような本発明の第3実施形態によれば、加湿された空気の流れに過剰な抵抗がかかり、燃料電池の発電効率が低下することを防止できるだけでなく、ネジ山122近傍を通過しない加湿された空気に含有された凝縮水も除去できるようになる。
図1~
図3に示された本発明のバイパスチューブ140は、1つの一体型チューブ(single monolithic tube)であることができる。
代案的に、
図4に示されたように、本発明のバイパスチューブ140は、第1のキャップ120に固定された第1のチューブ141及び加湿モジュール110に固定された第2のチューブ142を備えることができ、第1及び第2のチューブ141、142は、分離可能に結合されることができる。すなわち、第1のキャップ120を加湿モジュール110に結合するとき、第1のチューブ141も第2のチューブ142に結合されることができ、加湿器100製造工程の利便性及び生産が向上しうる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、または追加などによって本発明を様々に修正及び変更させ得るであろうし、これも本発明の権利範囲内に含まれるといえるであろう。
【符号の説明】
【0019】
100:燃料電池用加湿器 110:加湿モジュール
111:ハウジング 111a:第1のハウジング
111b:第2のハウジング 112:中空糸膜
113:第1の固定層 114:第2の固定層
120:第1のキャップ 121:リブ(rib)
122:ネジ山 130:第2のキャップ
140:バイパスチューブ 150:凝結誘導部
【国際調査報告】