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特表2024-505665バイパス流量調整が可能な燃料電池システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(54)【発明の名称】バイパス流量調整が可能な燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240131BHJP
   H01M 8/04119 20160101ALI20240131BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20240131BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20240131BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/04119
H01M8/0432
H01M8/04746
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547156
(86)(22)【出願日】2022-03-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 KR2022003223
(87)【国際公開番号】W WO2022191557
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0030626
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】オ ヨンソク
(72)【発明者】
【氏名】イ アルム
(72)【発明者】
【氏名】イ ジヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム キョンジュ
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AA06
5H127AC15
5H127BA02
5H127BB02
5H127BB13
5H127BB18
5H127BB34
5H127BB37
5H127DB36
5H127DC32
5H127EE17
(57)【要約】
本発明は、燃料電池スタックから排出される排ガスの温度によって流量を自動に調整できるバイパス流量調整が可能な燃料電池システムに関するものであって、
本発明の実施形態に係るバイパス流量調整が可能な燃料電池システムは、
燃料電池スタックから排出される排ガスの少なくとも一部を膜加湿器に供給する排ガス流入流路と、前記膜加湿器に流入して、水分交換を行った後の排ガスを外部に排出する排ガス排出流路と、前記燃料電池スタックから排出される排ガスの少なくとも一部を、前記膜加湿器を迂回させて前記排ガス排出流路に流動させるバイパス流路と、前記バイパス流路に形成され、前記燃料電池スタックから排出される排ガスの温度によって前記バイパス流路の開度を調整するバイパス流量調整部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックから排出される排ガスの少なくとも一部を膜加湿器に供給する排ガス流入流路と、
前記膜加湿器に流入して、水分交換を行った後の排ガスを外部に排出する排ガス排出流路と、
前記燃料電池スタックから排出される排ガスの少なくとも一部を、前記膜加湿器を迂回させて前記排ガス排出流路に流動させるバイパス流路と、
前記バイパス流路に形成され、前記燃料電池スタックから排出される排ガスの温度によって前記バイパス流路の開度を調整するバイパス流量調整部と、
を備えるバイパス流量調整が可能な燃料電池システム。
【請求項2】
前記バイパス流量調整部は、
第1の温度範囲で収縮し、前記第1の温度範囲より大きい第2の温度範囲で膨脹する熱膨張物質を含む請求項1に記載のバイパス流量調整が可能な燃料電池システム。
【請求項3】
前記バイパス流量調整部は、
前記バイパス流路の内壁にリング状で形成される請求項1に記載のバイパス流量調整が可能な燃料電池システム。
【請求項4】
前記バイパス流量調整部は、
前記バイパス流路の内壁に形成された環状固定溝にリング状で挿入される請求項1に記載のバイパス流量調整が可能な燃料電池システム。
【請求項5】
前記排ガス流入流路と前記バイパス流路とは、同じ方向に形成される請求項1に記載のバイパス流量調整が可能な燃料電池システム。
【請求項6】
前記膜加湿器は、
前記排ガス流入流路と連結される排ガス流入口が形成されたミッド-ケースと、前記ミッド-ケースと締め付けられるキャップと、前記ミッド-ケース内に配置され、複数の中空糸膜を収容する加湿モジュールとを備える請求項1~5のいずれか1項に記載のバイパス流量調整が可能な燃料電池システム。
【請求項7】
前記加湿モジュールは、
複数の中空糸膜を収容するインナーケースと、前記インナーケース末端に形成されるポッティング部を備える少なくとも1つ以上のカートリッジとを備える請求項6に記載のバイパス流量調整が可能な燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関し、より具体的には、燃料電池スタックから排出される排ガスの温度によってバイパス流量を自動に調整できるバイパス流量調整が可能な燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、水素と酸素を結合させて電気を生産する発電型電池である。燃料電池は、乾電池や蓄電池など、一般化学電池とは異なり、水素と酸素が供給される限り、電気を生産し続けることができ、熱損失がないので、内燃機関より効率が2倍くらい高いという長所がある。
また、水素と酸素の結合により発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するので、公害物質排出が少ない。したがって、燃料電池は、環境親和的であり、かつ、エネルギー消費増加による資源枯渇に対する心配を減らすことができるという長所がある。
このような燃料電池は、使用される電解質の種類によって、大別して、高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEMFC)、リン酸型燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell:PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell:MCFC)、固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)、及びアルカリ型燃料電池(Alkaline Fuel Cell:AFC)などに分類することができる。
これらのそれぞれの燃料電池は、元々同じ原理により作動するが、使用される燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに異なる。この中で、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)は、他の燃料電池に比べて低温で動作するという点、及び出力密度が大きくて、小型化が可能であるので、小規模据え置き型発電装備だけでなく、輸送システムでも最も有望なものと知られている。
【0003】
高分子電解質型燃料電池(PEMFC)の性能を向上させるにあたり、最も重要な要因のうち1つは、膜-電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)の高分子電解質膜(Polymer Electrolyte MembraneまたはProton Exchange Membrane:PEM)に一定量以上の水分を供給することによって含水率を維持させることである。高分子電解質膜が乾燥されれば、発電効率が急激に低下するためである。
高分子電解質膜を加湿する方法では、1)内圧容器に水を満たした後、対象気体を拡散器(diffuser)に通過させて水分を供給するバブラ(bubbler)加湿方式、2)燃料電池反応に必要な供給水分量を計算し、ソレノイドバルブを介してガス流動管に直接水分を供給する直接噴射(direct injection)方式、及び3)高分子分離膜を利用してガスの流動層に水分を供給する加湿膜方式などがある。
これらの中でも、排ガス中に含まれる水蒸気のみを選択的に透過させる膜を利用して、水蒸気を高分子電解質膜に供給される空気に提供することによって高分子電解質膜を加湿する膜加湿方式が加湿器を軽量化及び小型化できるという点で有利である。
膜加湿方式に使用される選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当り透過面積が大きい中空糸膜が好ましい。すなわち、中空糸膜を利用して加湿器を製造する場合、接触表面積が広い中空糸膜の高集積化が可能であって、小容量でも燃料電池の加湿が十分になされることができ、低価素材の使用が可能であり、燃料電池において高温で排出される排ガス(off-gas)に含まれた水分と熱を回収し、加湿器を介して再使用できるという利点を有する。
【0004】
図1は、従来技術に係る燃料電池システムが示された図である。
図1に示されたように、従来技術の燃料電池システムは、ブロワー(Blower、B)と、膜加湿器10と、燃料電池スタックSと、これらを連結する流路P1~P5と、調整弁15とを備える。P1は、ブロワーBと膜加湿器10とを連結する乾燥ガス供給流路であり、P2は、膜加湿器10と燃料電池スタックSとを連結して加湿された乾燥ガスを供給するスタック流路である。P3は、燃料電池スタックSから排出される排ガスを膜加湿器10に供給する排ガス流入流路であり、P4は、膜加湿器10に流入して、水分交換を行った後の排ガスを外部に排出する排ガス排出流路である。P5は、燃料電池スタックSから排出される排ガスの一部を、膜加湿器10を迂回させて排ガス排出流路P4に流動させるバイパス流路である。ここで、「連結」とは、直接的な連結だけでなく、中間に他の部品が介在される間接的な連結を含む。
膜加湿器10は、ブロワーBから供給される乾燥ガスと燃料電池スタックSから排出される湿潤空気(排ガス)との間に水分交換が起こる加湿モジュール11及び加湿モジュール11の両端に結合されたキャップ(12:12a、12b)を備える。
【0005】
キャップ12のうち1つ12aには、乾燥ガス流入口13が形成されて、ブロワーBから供給される乾燥ガスを加湿モジュール11に供給し、他の1つ12bには、乾燥ガス排出口14が形成されて、加湿モジュール11により加湿された空気を燃料電池スタックSに供給する。
加湿モジュール11は、排ガス流入口(off-gas inlet)11aaと排ガス排出口(off-gas outlet)11abとを有するミッド-ケース(mid-case)11a及びミッド-ケース11a内の複数の中空糸膜11bを備える。中空糸膜11bの束の両末端は、ポッティング部11cに固定される。ポッティング部11cは、一般的にキャスティング(casting)方式によって液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることにより形成される。
ブロワーBから供給される乾燥ガスは、中空糸膜11bの中空に沿って流れる。排ガス流入口11aaを介してミッド-ケース11a内に流入した排ガスは、中空糸膜11bの外表面と接触した後、排ガス排出口11abを介してミッド-ケース11aから排出される。排ガスが中空糸膜11bの外表面と接触するとき、排ガス内に含有されていた水分が中空糸膜11bを透過することにより、中空糸膜11bの中空に沿って流れていた乾燥ガスを加湿する。
キャップ12の内部空間は、中空糸膜11bの中空と流体連通するだけであり、ミッド-ケース11aの内部空間とは完全に遮断されていなければならない。それとも、圧力差による空気漏れが発生して燃料電池スタックに供給される加湿空気の量が減り、燃料電池の発電効率が低下する。
【0006】
一方、システムの出力値制御、外部排気ガスの汚染度調整などの必要に応じて、燃料電池スタックSから排出されて膜加湿器10に供給される排ガスの一部は、バイパス流路P5を介して膜加湿器10を迂回し、排ガス排出流路P4と合流して外部に排出される。
このとき、バイパス流路P5を介して迂回するバイパス流量は、バイパス流路P5上に設けられた調整弁15により調整される。調整弁15は、制御機(図示せず)の制御によって開閉程度が決定され得る。このような調整弁15は、回動開閉されるバルブプレートと、ユーザの操作または制御機の信号に応じてバルブプレートの開閉角度を調整する調整口などを備えなければならないので、部品数が多くなり、費用が上昇し、燃料電池システムが複雑になるという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、燃料電池スタックから排出される排ガスの温度によってバイパス流量を自動に調整できるバイパス流量調整が可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係るバイパス流量調整が可能な燃料電池システムは、
燃料電池スタックから排出される排ガスの少なくとも一部を膜加湿器に供給する排ガス流入流路と、前記膜加湿器に流入して、水分交換を行った後の排ガスを外部に排出する排ガス排出流路と、前記燃料電池スタックから排出される排ガスの少なくとも一部を前記膜加湿器を迂回させて前記排ガス排出流路に流動させるバイパス流路と、前記バイパス流路に形成され、前記燃料電池スタックから排出される排ガスの温度によって前記バイパス流路の開度を調整するバイパス流量調整部とを備える。
本発明の実施形態に係るバイパス流量調整が可能な燃料電池システムにおいて、前記バイパス流量調整部は、第1の温度範囲で収縮し、前記第1の温度範囲より大きい第2の温度範囲で膨脹する熱膨張物質を含むことができる。
本発明の実施形態に係るバイパス流量調整が可能な燃料電池システムにおいて、前記バイパス流量調整部は、前記バイパス流路の内壁にリング状で形成されることができる。
本発明の実施形態に係るバイパス流量調整が可能な燃料電池システムにおいて、前記バイパス流量調整部は、前記バイパス流路の内壁に形成された環状固定溝にリング状で挿入されることができる。
本発明の実施形態に係るバイパス流量調整が可能な燃料電池システムにおいて、前記排ガス流入流路と前記バイパス流路とは、同じ方向に形成されることができる。
【0009】
本発明の実施形態に係るバイパス流量調整が可能な燃料電池システムにおいて、前記膜加湿器は、前記排ガス流入流路と連結される排ガス流入口が形成されたミッド-ケースと、前記ミッド-ケースと締め付けられるキャップと、前記ミッド-ケース内に配置され、複数の中空糸膜を収容する加湿モジュールとを備えることができる。
本発明の実施形態に係るバイパス流量調整が可能な燃料電池システムにおいて、前記加湿モジュールは、複数の中空糸膜を収容するインナーケースと、前記インナーケース末端に形成されるポッティング部を備える少なくとも1つ以上のカートリッジとを備えることができる。
その他、本発明の様々な側面による実現例等の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態に係る燃料電池システムにおいて、バイパス流量調整部は、バルブなどの追加的な部品がなくても、燃料電池スタックから排出される排ガスの温度によってバイパス流路の開度を自動に調整できるようになる。したがって、全体的なシステムの部品数が減り、サイズを小型化することができ、製造費用を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来技術に係る燃料電池システムが示された図である。
図2】本発明の一実施形態に係る燃料電池システムが示された図である。
図3】本発明の一実施形態に係る燃料電池システムのバイパス流量調整部が拡大図示された図である。
図4】低出力環境で図3のバイパス流量調整部の動作状態が示された図である。
図5】高出力環境で図3のバイパス流量調整部の動作状態が示された図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、様々な変換を加えることができ、種々の実施形態を有することができるところ、特定実施形態を例示し、詳細な説明に詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むことと理解されなければならない。
本発明において使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る燃料電池システムを説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係るバイパス流量調整が可能な燃料電池システム(以下、「燃料電池システム」)が示された図である。
図2に示されたように、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムは、ブロワーBと、膜加湿器100と、燃料電池スタックSと、これらを連結する流路P1~P5と、バイパス流量調整部(150、図3参照)とを備えることができる。
P1は、ブロワーBと膜加湿器100とを連結する乾燥ガス供給流路であり、P2は、膜加湿器100と燃料電池スタックSとを連結して加湿された乾燥ガスを供給するスタック流路である。P3は、燃料電池スタックSから排出される排ガスを膜加湿器100に供給する排ガス流入流路であり、P4は、膜加湿器100に流入して、水分交換を行った後の排ガスを外部に排出する排ガス排出流路である。P5は、燃料電池スタックSから排出される排ガスの一部を、膜加湿器100を迂回させて排ガス排出流路P4に流動させるバイパス流路である。ここで、「連結」とは、直接的な連結だけでなく、中間に他の部品が介在される間接的な連結を含む。
【0013】
ブロワーBは、大気中の空気を収集して膜加湿器100に供給する。燃料電池スタックSの出力サイズによってブロワーBの出力サイズが決定され得る。選択によって、ブロワーBの前端には、微細ほこりを除去するフィルタ(図示せず)が設けられ得るし、ブロワーBと膜加湿器100との間には、膜加湿器100に供給される乾燥ガスを冷却させるクーラ(図示せず)が設けられ得る。
膜加湿器100は、乾燥ガスを加湿して燃料電池スタックSに供給する。膜加湿器100は、ブロワーBから供給される乾燥ガスを燃料電池スタックSから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュール110を備える。加湿モジュール110の両末端の各々は、キャップ(120:120a、120b)と結合される。加湿モジュール110とキャップ120とは、分離形成されることができ、一体型で形成されることもできる。
キャップ120のうち1つ120aには、乾燥ガス流入口130が形成されて、ブロワーBから供給される乾燥ガスを加湿モジュール110に供給し、他の1つ120bには、乾燥ガス排出口140が形成されて、加湿モジュール110により加湿された空気を燃料電池スタックSに供給する。
乾燥ガス流入口130は、ブロワーBと膜加湿器10とを連結する乾燥ガス供給流路P1と連結されることができる。乾燥ガス排出口140は、膜加湿器10と燃料電池スタックSとを連結するスタック流路P2と連結されることができる。
加湿モジュール110は、ブロワーBから供給される乾燥ガスと排ガスとの間の水分交換が起こる装置であって、排ガス流入口(off-gas inlet)111aと排ガス排出口(off-gas outlet)111bとを有するミッド-ケース(mid-case)111及びミッド-ケース111内の複数の中空糸膜112を備える。中空糸膜112の束の両末端は、ポッティング部113に固定される。
【0014】
または、加湿モジュール110は、複数の中空糸膜112及びこれらを互いに固定させるポッティング部113を備える少なくとも1つのカートリッジを備えることができ、この場合、中空糸膜112及びポッティング部113は、別のカートリッジ用ケース(インナーケース)内に形成されることができる。この場合、中空糸膜112は、インナーケース内に収容され、ポッティング部113は、インナーケース末端に形成されることができる。加湿モジュール110がカートリッジを備える場合、カートリッジの両側末端とミッド-ケース111との間には、カートリッジ固定のための樹脂層が形成されるか、または機械的な組立を介して気密結合するガスケット組立体をさらに備えることができる。
ミッド-ケース111とキャップ120とは、各々独立的に硬質プラスチックや金属で形成されることができ、円形または多角形の幅方向断面を有することができる。円形は、楕円形を含み、多角形は、丸い角(rounded corner)を有する多角形を含む。例えば、硬質プラスチックは、ポリカーボネート、ポリアミド(PA)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリプロピレン(PP)などであることができる。
中空糸膜112は、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、または、これらのうち、少なくとも2つ以上の混合物で形成された高分子膜を含むことができ、ポッティング部113は、ディップポッティング、遠心ポッティングなどのキャスティング方式によって液状ポリウレタン樹脂のような液状樹脂を硬化させることにより形成されることができる。
【0015】
ブロワーBから供給される乾燥ガスは、中空糸膜112の中空に沿って流れる。排ガス流入口111aを介してミッド-ケース111内に流入した排ガスは、中空糸膜112の外表面と接触した後、排ガス排出口111bを介してミッド-ケース111から排出される。排ガスが中空糸膜112の外表面と接触するとき、排ガス内に含有されていた水分が中空糸膜112を透過することによって中空糸膜112の中空に沿って流れていた乾燥ガスを加湿する。
一方、燃料電池スタックSから排出されて膜加湿器10に供給される排ガスの一部は、燃料電池スタックSから排出される排ガスの温度によってバイパス流路P5の開度を調整するバイパス流量調整部150により流量が調整され得る。バイパス流量調整部150は、別の追加的な部品がなくても、排ガスの温度によって自動に開閉程度が調整され得る。したがって、全体的なシステムの部品数が減り、サイズを小型化でき、製造費用を低減できる。このようなバイパス流量調整部150について図3を参照して詳細に説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムのバイパス流量調整部150が示された図であって、図2の「A」部分が拡大図示された図である。
図3に示されたように、バイパス流量調整部150は、バイパス流路P5に形成されて、燃料電池スタックSから排出される排ガスの温度によってバイパス流路P5の開度を調整できる。バイパス流路P5は、排ガス流入流路P3と連結形成されることができる。また、排ガス流入流路P3は、排ガス流入口111aと連結形成されることができる。排ガス流入流路P3と排ガス流入口111aとは、所定の角度、例えば、直角をなして形成されることができる。
バイパス流量調整部150は、バイパス流路P5の内壁に形成されることができる。バイパス流量調整部150は、バイパス流路P5の内壁にリング状で形成されることができる。または、バイパス流路P5の内壁に環状固定溝151が形成され、バイパス流量調整部150は、リング状で形成されて、環状固定溝151に挿入固定されることができる。
【0016】
バイパス流量調整部150は、排ガスの温度によって熱膨張する物質からなることができる。バイパス流量調整部150は、第1の温度範囲で収縮し、第1の温度範囲より大きい第2の温度範囲で膨脹する熱膨張物質を含むことができる。すなわち、バイパス流量調整部150は、低温では収縮し、高温では膨脹する熱膨張物質を含むことができる。
排ガス流入流路P3とバイパス流路P5とは、同じ方向に形成されることが好ましい。排ガス流入流路P3とバイパス流路P5とが同じ方向に形成される場合、バイパス流量調整部150が排ガスの流れ方向と対面するようになるので、温度による収縮/膨脹が効果的に行われ得る。
排ガス流入流路P3を介して流動する排ガスは、排ガス流入口111aとバイパス流路P5とに分配される。このとき、バイパス流路P5に流れる排ガスの大小によって、排ガス流入口111aを介して膜加湿器100に供給される排ガスの大小が決定される。また、バイパス流路P5に流動する排ガスの流量は、バイパス流量調整部150により決定される。これについて、図4及び図5を参照して説明する。
図4は、低出力環境でバイパス流量調整部150の動作状態が示された図である。燃料電池スタックSの出力がおおよそ40kW未満である場合、低出力環境といえる。低出力環境では、燃料電池スタックSから相対的に低温の排ガスが供給される。ここで、低温は、略50℃未満の第1の温度範囲であることができる。
【0017】
排ガスが低温であるので、バイパス流量調整部150は、相対的に収縮して、バイパス流路P5の開度直径がL1になる。したがって、バイパス流路P5には、高出力環境に比べて相対的に多い排ガスが流れるようになり、膜加湿器100には、相対的に少ない量の低温排ガスが供給される。
図5は、高出力環境でバイパス流量調整部150の動作状態が示された図である。燃料電池スタックSの出力がおおよそ40kW以上である場合、高出力環境といえる。高出力環境では、燃料電池スタックSから相対的に高温の排ガスが供給される。ここで、高温は、略50~150℃範囲であって、第1の温度範囲より大きい第2の温度範囲であることができる。
排ガスが高温であるので、バイパス流量調整部150は、膨脹してバイパス流路P5の開度直径がL1より小さいL2になる。したがって、バイパス流路P5には、低出力環境に比べて相対的に少ない排ガスが流れるようになり、膜加湿器100には、相対的に多い量の高温排ガスが供給される。
上記のような本発明の一実施形態に係る燃料電池システムにおいて、バイパス流量調整部150は、バルブなどの追加的な部品がなくても、燃料電池スタックSから排出される排ガスの温度によってバイパス流路P5の開度を自動に調整できるようになる。したがって、全体的なシステムの部品数が減り、サイズを小型化することができ、製造費用を低減できる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、または追加などによって本発明を様々に修正及び変更させ得るであろうし、これも本発明の権利範囲内に含まれるといえるであろう。
【符号の説明】
【0018】
100:燃料電池膜加湿器 110:加湿モジュール
111a:排ガス流入口 111b:排ガス排出口
120:キャップ 150:バイパス流量調整部
B:ブロワー S:燃料電池スタック
P1:乾燥ガス供給流路 P2:スタック流路
P3:排ガス流入流路 P4:排ガス排出流路
P5:バイパス流路
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】