IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トルツガ・アグリカルチュラル・テクノロジーズ・インコーポレーテッドの特許一覧

特表2024-505669ガントリーシステムを備えたロボット収穫システム
<>
  • 特表-ガントリーシステムを備えたロボット収穫システム 図1
  • 特表-ガントリーシステムを備えたロボット収穫システム 図2
  • 特表-ガントリーシステムを備えたロボット収穫システム 図3
  • 特表-ガントリーシステムを備えたロボット収穫システム 図4
  • 特表-ガントリーシステムを備えたロボット収穫システム 図5
  • 特表-ガントリーシステムを備えたロボット収穫システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(54)【発明の名称】ガントリーシステムを備えたロボット収穫システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 5/00 20060101AFI20240131BHJP
   B25J 5/02 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
B25J5/00 A
B25J5/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547364
(86)(22)【出願日】2021-11-22
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 US2021060359
(87)【国際公開番号】W WO2022169494
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】17/168,512
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523293448
【氏名又は名称】トルツガ・アグリカルチュラル・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TORTUGA AGRICULTURAL TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スクロール・グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ブラックビル・ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】アダムサン・エリック
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS22
3C707BS26
3C707CS05
3C707CS08
3C707CT05
3C707KS03
3C707KS04
3C707KT03
3C707KT05
3C707WA16
(57)【要約】
【解決手段】ロボット収穫システムが、ベースと、線形移動部と、ロボットアームと、エンドエフェクタと、を備える。ベースは、進行方向に移動するよう構成されている。線形移動部は、ベースに取り付けられている。線形移動部は、進行方向と実質的に同じ方向または反対方向へベースに沿って移動するよう構成されている。ロボットアームは、線形移動部に取り付けられている。ロボットアームは、近位端および遠位端を有する。ロボットアームの遠位端は、第1関節から、ベースに向かうようにおよびベースから離れるように回転するよう構成されている。エンドエフェクタは、ロボットアームの遠位端に取り付けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
進行方向に移動するよう構成されているベースと、
前記ベースに取り付けられている線形移動部であって、前記進行方向と実質的に同じ方向または反対方向へ前記ベースに沿って移動するよう構成されている、線形移動部と、
前記線形移動部に取り付けられているロボットアームであって、近位端および遠位端を有するロボットアームと、前記ロボットアームの前記遠位端は、第1関節から、前記ベースに向かうようにおよび前記ベースから離れるように回転するよう構成され、
前記ロボットアームの前記遠位端に取り付けられているエンドエフェクタと、を備える、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記ロボットアームは、前記第1関節および第2関節に結合されている第1セグメントを備え、前記第1セグメントは、前記第1関節によって、前記ベースに向かうようにおよび前記ベースから離れるように回転するよう構成されている、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、前記ロボットアームは、前記第1関節を介して前記第1セグメントに結合されている第2セグメントを備え、前記第2セグメントは、前記第2関節によって、前記ベースに向かうようにおよび前記ベースから離れるように回転するよう構成されている、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、前記エンドエフェクタは、前記第2セグメントに結合されている、システム。
【請求項5】
請求項3に記載のシステムであって、さらに、制御システムを備え、 前記制御システムは、所望の角度から対象物へ接近するために、前記第1セグメントに関連する対応する回転角度および前記第2セグメントに関連する対応する回転角度を制御するよう構成されている、システム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムであって、さらに、1または複数のカメラならびに/もしくは1または複数のセンサを備え、 前記1または複数のカメラならびに/もしくは前記1または複数のセンサは、前記第2セグメントの遠位端に結合されている、システム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムであって、前記制御システムは、前記ロボットアームの現在位置から前記対象物の現在位置までの相対距離だけ前記ロボットアームを移動させるよう構成されている、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、前記相対距離は、前記1または複数のカメラならびに/もしくは前記1または複数のセンサから得られた画像データに基づいて決定される、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、前記線形移動部は、ガントリーシステムを備える、システム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムであって、前記ガントリーシステムは、前記ベースに関連する垂直方向へ上下に移動するよう構成されている、システム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1関節は、ロッドを備え、前記ロボットアームの第1セグメントが、前記ロッドに関連する垂直方向へ上下に移動するよう構成されている、システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって、前記システムは、さらに、前記線形移動部に取り付けられている第2ロボットアームを備える、システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、前記ロボットアームおよび前記第2ロボットアームは、前記ベースの反対側に配置されている、システム。
【請求項14】
請求項12に記載のシステムであって、前記ロボットアームおよび前記第2ロボットアームは、前記ベースの同じ側に配置されている、システム。
【請求項15】
請求項12に記載のシステムであって、前記ロボットアームおよび前記第2ロボットアームは、同時に動作するよう構成されている、システム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムであって、前記ベースは、0.5m~1.5mの幅を有する、システム。
【請求項17】
請求項1に記載のシステムであって、前記ベースは、1m~3mの長さを有する、システム。
【請求項18】
請求項1に記載のシステムであって、前記ベースは、U字溝部分を備える、システム。
【請求項19】
請求項1に記載のシステムであって、コマンドに応答して、前記ベースは、前記進行方向に沿って特定の距離だけ移動するよう構成されている、システム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、前記特定の距離は、前記ベースの長さまたは前記ベースの一部の長さである、システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
複数の植物から対象物(例えば、果実、花、野菜など)を収穫するプロセスは、時間のかかるプロセスである。しばしば、対象物を収穫するために人が配備されるが、対象物を収穫していると疲れてくる場合がある。結果として、人が対象物を収穫できる効率は、時間と共に低下する。対象物を収穫するためにロボットシステムを配備することが有益である。
【図面の簡単な説明】
【0002】
以下の詳細な説明と添付の図面において、本発明の様々な実施形態を開示する。
【0003】
図1】いくつかの実施形態に従って、ロボット収穫システムの一実施形態を示す図。
【0004】
図2】いくつかの実施形態に従って、ガントリーシステムを示す図。
【0005】
図3】いくつかの実施形態に従って、アームモジュールを示す図。
【0006】
図4】いくつかの実施形態に従って、複数の接近角度を示す図。
【0007】
図5】いくつかの実施形態に従って、栽培環境を示す図。
【0008】
図6】いくつかの実施形態に従って、対象物を収穫するための処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、処理、装置、システム、物質の組成、コンピュータ読み取り可能な格納媒体上に具現化されたコンピュータプログラム製品、および/または、プロセッサ(プロセッサに接続されたメモリに格納および/またはそのメモリによって提供される命令を実行するよう構成されたプロセッサ)を含め、様々な形態で実施されうる。本明細書では、これらの実施例または本発明が取りうる任意の他の形態が、技術と呼ばれうる。一般に、開示されている処理の工程の順序は、本発明の範囲内で変更されてもよい。特に言及しない限り、タスクを実行するよう構成されるものとして記載されたプロセッサまたはメモリなどの構成要素は、或る時間にタスクを実行するよう一時的に構成された一般的な構成要素として、または、タスクを実行するよう製造された特定の構成要素として実装されてよい。本明細書で用いられているように、「プロセッサ」という用語は、コンピュータプログラム命令などのデータを処理するよう構成されている1または複数のデバイス、回路、および/または、処理コアを指す。
【0010】
以下では、本発明の原理を示す図面を参照しつつ、本発明の1または複数の実施形態の詳細な説明を行う。本発明は、かかる実施形態に関連して説明されているが、どの実施形態にも限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定されるものであり、本発明は、多くの代替物、変形物、および、等価物を含む。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細事項が記載されている。これらの詳細事項は、例示を目的としたものであり、本発明は、これらの具体的な詳細事項の一部または全てがなくとも特許請求の範囲に従って実施可能である。簡単のために、本発明に関連する技術分野で周知の技術事項については、本発明が必要以上にわかりにくくならないように、詳細には説明していない。
【0011】
ロボット収穫システムが、本明細書で開示されている。ロボット収穫システムは、ベース、1または複数の線形移動部、1または複数のロボットアーム、ならびに、1または複数のエンドエフェクタを、少なくとも備える。ベースは、ロボット収穫システムが栽培環境を通して(自律的にまたは遠隔制御によって)移動することを可能にする複数の車輪または無限軌道を備える。ロボット収穫システムは、第1セット対象物(例えば、果実、花、など)を収穫するために、第1場所に配置されてよい。ロボット収穫システムは、第1場所で第1セットに含まれる複数の対象物に対応する位置を決定するために、1または複数のカメラおよび/またはその他のセンサを備える。
【0012】
線形移動部が、ベースに取り付けられており、ロボット収穫システムの進行方向と実質的に同じ方向または反対方向へベースに沿って移動するよう構成されている。線形移動部は、細長部材に結合されている。ロボットアームが、第1関節を介して細長部材に結合されている。細長部材は、ロボット収穫システムの垂直方向に沿って上下に移動するよう構成されている。ロボットアームは、細長部材の垂直方向に沿って上下に移動するよう構成されている。ロボット収穫システムは、制御システムを備える。制御システムは、線形移動部、細長部材、および、ロボットアームへ結合されている。制御システムは、線形移動部をベースに沿って移動させる1または複数のコマンド、細長部材をロボット収穫システムの垂直方向に沿って上下に移動させる1または複数のコマンド、ならびに/もしくは、ロボットアームを細長部材の垂直方向に沿って上下に移動させる1または複数のコマンドを送信しうる。結果として、ロボットアームは、特定の場所でリーチの範囲内にある対象物を採取するために移動されることができる。
【0013】
ロボットアームは、少なくとも第1セグメントおよび第2セグメントで構成されている。ロボットアームの第1セグメントは、第1関節を介して細長部材に結合されている。ロボットアームの第1セグメントは、第1関節の周りで時計回りまたは反時計回りの方向に回転されることができる。ロボットアームの第2セグメントは、第2関節を介してロボットアームの第1セグメントに結合されている。ロボットアームの第2セグメントは、第2関節の周りで時計回りまたは反時計回りの方向に回転されることができる。結果として、ロボットアームは、収穫対象物が存在する栽培環境(例えば、任意の障害物があるか否か)に応じて、任意の角度(例えば、360°)またはほぼ任意の角度(例えば、356°)から、収穫対象物へ接近できる。
【0014】
他のロボット収穫システムは、単一の角度(例えば、90°の角度)から収穫対象物へ接近するように、運動学的または機械的な設計によって制限されているロボットアームを有しうる。対象物を収穫するための採取経路に1または複数の障害物が存在しうる。1または複数の障害物は、つる、枝、植物を育てる機械的構造、他の収穫対象物、などを含みうる。これらの他のシステムは、ロボットアームが1または複数の障害物と接触するのを防止するようにロボットアームを操作することができない場合がある。接触は、1または複数の他の収穫対象物に損傷を与える原因となりうる。また、接触は、障害物(つる、など)を動かす場合があり、それにより、移動する障害物が、1または複数の他の対象物の収穫を妨げうるので、特定の場所での対象物の収穫が困難になりうる。対照的に、本明細書で開示されているロボットアームは、収穫対象物が存在する栽培環境に応じて、任意の角度(例えば、360°)またはほぼ任意の角度(例えば、356°)から収穫対象物へ接近するために最小限の自由度を提供する。これは、ロボットアームが1または複数の障害物に接触することを防止する障害のない採取経路を対象物を収穫するためにロボット収穫システムが選択することを可能にする。
【0015】
エンドエフェクタが、ロボットアームの遠位端に結合されている。ロボットアームの第2セグメントは、エンドエフェクタの方向に向けられた1または複数のカメラならびに/もしくは1または複数のその他のセンサ(例えば、深度センサ、SONAR、RADAR、LIDAR、IMU、GNSS、など)を備えてよい。ロボットアームの処理システムが、1または複数のカメラならびに/もしくは1または複数のその他のセンサから1または複数の画像を受信してよい。処理システムは、1または複数の画像から1または複数の対象物を識別し、1または複数の識別された対象物に関連するコストを割り当ててよい。処理システムは、関連するコストに基づいて1または複数の識別された対象物の内の1つを収穫するよう選択し、エンドエフェクタの現在位置と対象物の現在位置との間の相対距離を決定してよい。処理システムは、ロボット収穫システムの制御システムへ、ロボットアームを相対距離だけ移動させるコマンドを送信してよい。コマンドの受信に応答して、制御システムは、決定された相対距離だけロボットアームが再配置されるように、線形移動部、細長部材、および/または、ロボットアームを移動させてよい。
【0016】
エンドエフェクタは、切断メカニズムおよび把持メカニズムで構成されていてよく、それらのメカニズムは、対応するジョーのセットを備える。エンドエフェクタは、切断メカニズムおよび把持メカニズムを同時に開閉するよう構成されていてよい。切断メカニズムおよび把持メカニズムが開いている時に、対象物につながっている植物の付属物が、対応するジョーのセットに関連する開口部内に配置されてよい。エンドエフェクタに関連付けられているアクチュエータが、切断メカニズムおよび把持メカニズムを閉じさせる力を印加してよい。印加された力は、植物の付属物を第1部分および第2部分に分ける切断(バイパス切断など)を切断メカニズムに実行させる一方で、印加された力は、収穫対象物に結合した植物の付属物の第2部分を把持メカニズムに把持させる。ロボット収穫システムは、エンドエフェクタを収納場所へ移動させ、エンドエフェクタを開いてよく、それにより、収穫された対象物が収納場所に置かれる。
【0017】
ロボット収穫システムは、栽培環境の第1場所で対象物の第1セットを収穫した後、対象物の第2セットを収穫するために、栽培環境の第2場所へ移動してよい。ロボット収穫システムは、対象物の第1セットが収穫された後、所定の距離(例えば、1m)だけ移動するよう構成されていてよい。いくつかの実施形態において、所定の距離は、ロボット収穫システムの長さである。いくつかの実施形態において、所定の距離は、収穫対象物の密度に基づく。いくつかの実施形態において、所定の距離は、各場所で到達可能な区域にいくらかの重複を作るように、ベースの長さの一部(例えば、8/10)である。
【0018】
ロボット収穫システムが新たな場所に移動されるたびに、ロボット収穫システムの1または複数のカメラならびに/もしくは1または複数のその他のセンサは、処理システムが新たな場所で1または複数の収穫対象物の対応する位置を決定することを可能にするために、さらなる画像を取得してよい。これは、対象物を収穫するための全期間でさらなる遅延および処理コストをもたらす。本明細書で開示されているロボット収穫システムの構成は、ロボット収穫システムを移動させる必要なしに、特定の場所でできるだけ多くの対象物を収穫するよう最適化される。いくつかの実施形態において、新たな場所で収穫される対象物の画像が、ロボット収穫システムの現在の場所で取得される。深度カメラから取得された画像が、新たな場所で収穫される対象物の対応する位置を決定するために用いられてよい。これは、ロボット収穫システムが新たな場所にある時にさらなる画像を取得する必要なしに、ロボット収穫システムが新たな場所で対象物を収穫することを可能にする。
【0019】
ロボット収穫システムは、収穫された対象物のための収納容量に到達したために、ロボット収穫システムがさらなる対象物を収穫できなくなるまで、複数の対象物を収穫して次の場所へ移動するプロセスを繰り返してよい。ロボット収穫システムは、オペレータまたは別のロボットシステムが、収穫された対象物をロボット収穫システムから取り除くまで、待機するよう構成されている。その後、ロボット収穫システムは、収穫プロセスを再開してよい。ロボット収穫システムは、栽培環境内の列の終端に到達すると、栽培環境内の次の列へ移動して、収穫プロセスを再開する。ロボット収穫システムは、最後の列の終端に到達すると、その対象物収穫ラウンドを完了させ、新たな対象物収穫ラウンドを開始するためのさらなる命令を待つ。
【0020】
図1は、いくつかの実施形態に従って、ロボット収穫システムの一実施形態を示す図である。図の例において、ロボット収穫システム100は、ベース102と、ガントリーシステム104と、ロボットアーム122、124と、エンドエフェクタ132、134と、を備える。
【0021】
ロボット収穫システムの構成要素は、シートメタルを製造するために用いられる製造技術など、低コストの製造技術を用いて製造されてよい。組み立てられると、これらの構成要素の総重量は、約4~5kgになる。これは、ロボット収穫システムが様々な位置へ迅速に移動することを可能にし、ロボットアームが特定の場所において様々な位置へ迅速に移動することを可能にする。対照的に、他のシステムは、機械加工後の複雑な鋳造物を含む既製の構成要素を利用しうる。これらの構成要素は、著しく重い可能性がある。例えば、他のロボット収穫システムの構成要素の総重量は、約40kgでありうる。結果として、これらの他のロボット収穫システムが対象物を収穫できうる速度は、ロボット収穫システム100よりも遅くなりうる。
【0022】
栽培エリアが、複数の列で構成されていてよい。ベース102の幅は、複数の列の幅に対応するよう設計されていてよい。例えば、列の幅は、1mであってよい。列の幅は、場所(例えば、異なる国、異なる農場)または栽培される対象物のタイプに基づいて、異なっていてよい。例えば、ヨーロッパ(例えば、UK)における列の幅は、米国における列の幅とは異なっていてよい。いくつかの実施形態において、ベース102の幅は、0.5m~1.5mの間であってよい。これは、ロボット収穫マシン100が、収穫マシン100の両側の列と接触することなしに、列の間で移動することを可能にしうる。ベース102の長さは、ロボット収穫システム100が、停車状態にある時に、特定の場所で特定の量の対象物(例えば、10~15個の果実)を収穫するように、選択されてよい。例えば、ベース102の長さは、1m~3mの間であってよい。ベース102の長さは、1mより短くてもよいが、これは、1m~3mのベースを備えた収穫システムと比較すると、同じ量の対象物を収穫するために、より頻繁にロボット収穫システム100を移動させる必要がありうる。また、これは、収穫システムが移動されてとどまるたびに、対象物を収穫できる場所を決定するために、ロボット収穫システム100が栽培システムに対して自身の向きを変える必要がありうるので、1m~3mのベースを備えた収穫システムと比較すると、同じ量の対象物を収穫するのに必要な時間を増大させうる。このさらなる計算時間は、対象物を収穫するのに必要な時間を増大させる。ベース102の長さは、3mより長くてもよいが、かかる長さは、ロボット収穫システム100の操縦をあまりに面倒および/または困難にさせうる。
【0023】
一部の栽培エリア(温室など)は、列の間に既存のインフラを有しうる。例えば、温室は、列の間にレールを有してよい。ベース102の形状は、ロボット収穫システム100が、既存のインフラと接触することなしに列の間を移動することを可能にするよう設計されていてよい。例えば、図1に見られるように、ベース102の形状は、U字溝部分を備えてよい。これは、栽培環境の具体的な寸法に合わせた収穫システムを製造することなしに、ロボット収穫システム100を異なるタイプの栽培環境で用いることを可能にしうる。
【0024】
ベース102は、複数の回転構成要素106に結合されている。複数の回転構成要素106は、車輪、レール用車輪、トレッド、ローラ、無限軌道、または、ロボット収穫システム100が様々な方向(例えば、前方、後方、左、右、および/または、それらの任意の組みあわせ)に移動することを可能にする任意のその他の回転構成要素であってよい。
【0025】
ベース102は、制御システム108の一部または全部を含んでよい。制御システム108は、1または複数のプロセッサで構成されていてよい。いくつかの実施形態において、1または複数のプロセッサは、グラフィックス・プロセッシング・ユニットである。1または複数のプロセッサは、複数の回転構成要素106を運動させる1または複数のコマンドを送信してよい。例えば、1または複数のコマンドは、ロボット収穫システム100を、前方向、後方向、左方向、右方向、および/または、任意のそれらの組みあわせに移動させてよい。いくつかの実施形態において、1または複数のコマンドは、ロボット収穫システム100を所定の距離(例えば、1m)だけ移動させる。
【0026】
制御システム108は、電源(例えば、1または複数のバッテリ)に接続されている。電源は、ロボット収穫システム100の様々な構成要素へ電力を提供するよう構成されている。ロボット収穫システム100は、電源の再充電を可能にする充電ポートを備えてよい。いくつかの実施形態において、充電ポートは、コンセント、充電ステーション、または、モバイル充電装置にプラグ接続された電源コードを介して電源を再充電することを可能にする。いくつかの実施形態において、充電ポートは、電源の無線充電を可能にする。
【0027】
制御システム108は、1または複数の回路基板を備えてよい。いくつかの実施形態において、制御システム108は、主処理回路基板と、1または複数の副処理回路基板と、を備える。1または複数のプロセッサを備えた主処理回路基板は、ベース102に配置されていてよく、1または複数のプロセッサを備えた1または複数の副処理回路基板は、ロボットアーム122、124、および/または、ガントリーシステム104の対応する部分に配置されていてよい。主処理回路基板は、コンピュータビジョンなど、より複雑な計算を行うよう構成されていてよく、一方、1または複数の副処理回路基板は、運動制御など、あまり複雑ではない計算を行うよう構成されていてよい。いくつかの実施形態において、主処理回路基板ならびに1または複数の副処理回路基板は、単一の回路基板に統合されている。
【0028】
制御システム108は、駆動モジュール110に接続されている。駆動モジュール110は、センサシステム114からの出力を利用するセルフナビゲーションシステムを備えてよい。センサシステム114は、1または複数のカメラならびに/もしくは1または複数のその他のセンサで構成されていてよく、操作および障害物回避のためにコンピュータビジョンアルゴリズムを利用する。1または複数のカメラは、RGBカメラ、RGBDカメラ、RGB/IR「飛行時間」カメラ、マルチスペクトルイメージングを利用したハイエンド高解像度カメラ、または、それらの組みあわせであってよい。いくつかの実施形態において、センサシステム114は、一定間隔(例えば、毎秒、毎分、毎時、など)で画像をキャプチャするよう構成されている。センサシステム114は、構造化赤外光、飛行時間、ステレオ、LIDAR統合、動きまたはその他の手段からの構造、色、および/または、赤外線データを用いた深度情報などの情報を取得してよい。センサシステム114は、レーダ、超音波、LIDAR(光検出および測距)、IMU(慣性計測装置)、GNSS(全地球的航法衛星システム)など、1または複数のその他のセンサを備えてもよい。
【0029】
ロボット収穫システム100は、ロボット収穫システム100を低照度条件で利用することを可能にするヘッドライト112を備えてよい。ロボット収穫システム100は、ロボット収穫システム100の現在の状態を示すステータスライト116を備えてよい。例えば、ステータスライト116は、ロボット収穫システム100が、停車中、移動中、および/または、対象物の収穫中であることを示してよい。ステータスライト116の色は、ロボット収穫システム100の現在の状態に応じて変化しうる。
【0030】
ロボット収穫システム100は、ガントリーシステム104を備えてよい。ガントリーシステム104は、2つの垂直サポートビームと、クロスビームと、ベースフレームとで構成されていてよい。いくつかの実施形態において、ガントリーシステム104の2つの垂直サポートビームおよびクロスビームは、ベース102の幅よりも細い。これは、収穫対象物が列において張り出している場合に、ロボット収穫システム100が、収穫対象物と偶発的に接触することなしに、列の隣で移動することを可能にする。ガントリーシステム104は、モータおよびベルトシステムで構成されている移動アセンブリ(図示せず)を備えてよく、これは、ガントリーシステム104のベースフレームが、ロボット収穫システム100の垂直軸に沿って上下に移動することを可能にする。ロボット収穫システム100によって収穫される対象物は、異なる高さに位置しうる。例えば、つるからぶら下がっているブドウは第1高さに位置しえ、枝からぶら下がっているさくらんぼは第2高さに位置しうる。移動アセンブリは、ロボット収穫システム100が、ロボットアーム122、124のリーチを調整することを可能にする。例えば、ロボット収穫システム100は、或る範囲の高さ(地面から1フィート(304.8mm)~地面から10フィート(3048mm)など)から対象物を収穫できてよい。いくつかの実施形態において、ガントリーシステム104は、単一または複数の固定クロスビームと共に複数の直列の中心軸を備える。
【0031】
ロボット収穫システム100は、線形移動部118を備える。いくつかの実施形態において、ガントリーシステム104のクロスビームは、線形移動部118が結合されている線形レールを備える。線形レールは、モータおよびベルトシステムで構成されている第2移動アセンブリ(図示せず)に結合されていてよい。第2移動アセンブリは、ベース102の進行方向と実質的に同じ方向または反対方向へ線形移動部118を移動できうる。ロボット収穫システム100は、第2線形移動部120を備えてよい。第2線形移動部120は、線形移動部118と同様に機能しうる。
【0032】
線形移動部118は、細長部材を備えてよい。いくつかの実施形態において、細長部材は、ロッドである。いくつかの実施形態において、線形移動部118は、細長部材をロボット収穫システム100の垂直方向へ上下に移動させる移動アセンブリを備える。移動アセンブリは、送りねじ、ベルト、および、サーボモータを備えてよい。ロボットアーム122は、細長部材に取り付けられていてよい。ロボットアーム122は、収穫対象物の高さおよび/または対象物が収穫される角度に応じて、上または下へ移動されうる。
【0033】
ロボットアーム122は、遠位端および近位端を備える。ロボットアーム122は、1または複数のセグメントを備えてよい。図の例において、ロボットアーム122は、2つのセグメントを備える。ロボットアーム122の第1セグメントは、第1関節を介して細長部材へ結合されていてよい。ロボットアーム122の第2セグメントは、第2関節を122介してロボットアーム122の第1セグメントへ結合されていてよい。いくつかの実施形態において、ロボットアーム122の第1セグメントは、細長部材の垂直方向へ上下に移動する。ロボットアーム122の近位端は、時計回りまたは反時計回り方向に回転されてよく、その結果、第1セグメントは、ベース102に向かうようにおよびベース102から離れるように回転されうる。ロボットアーム122の遠位端は、時計回りまたは反時計回り方向に回転されてよく、その結果、第2セグメントは、ベース102に向かうようにおよびベース102から離れるように回転されうる。ロボットアーム122の構成は、ロボット収穫システム100が、収穫対象物の存在する栽培環境(例えば、任意の障害物があるか否か)に応じて、任意の角度またはほぼ任意の角度(例えば、356°)から対象物へ接近して採取することを可能にする。制御システム108は、特定の対象物に対する接近角度を決定し、ロボットアーム122に、決定された接近角度から対象物に接近して採取させる1または複数のコマンドを制御基板へ提供してよい。決定された接近角度は、ロボットアームが収穫対象物へ接近して採取するための障害のない経路を提供しうる。決定された接近角度で対象物に接近して採取することで、対象物の収穫を試みる時に、ロボットアーム122が偶発的に障害物(例えば、つる、枝、他の収穫対象物)に接触することを防止できる。かかる接触は、障害物を動かす場合があり、それにより、障害物が収穫対象物への障害のない経路を(部分的に、完全に、一時的に、永久に)妨害しうるので、対象物の収穫が困難になりうる。また、決定された接近角度で対象物に接近して採取することで、対象物の収穫を試みる時に、ロボットアーム122が潜在的に他の収穫対象物を損傷することを防止できる。
【0034】
ロボット収穫システム100は、第2ロボットアーム124を備えてよい。第2ロボットアーム124は、ロボットアーム122と同様に機能しうる。いくつかの実施形態において、ロボットアーム122およびロボットアーム124は、ベース102の両側で対象物を採取する。いくつかの実施形態において、ロボットアーム122またはロボットアーム124は、ロボットアーム122、124がベース102の同じ側で対象物を採取するように回転される。
【0035】
エンドエフェクタ132は、ロボットアーム122の遠位端に取り付けられている。エンドエフェクタ132は、切断メカニズムおよび把持メカニズムで構成されていてよい。切断メカニズムおよび把持メカニズムは、対応するジョーのセットを備える。エンドエフェクタ132は、切断メカニズムおよび把持メカニズムを同時に開閉するよう構成されている。植物は、付属物(例えば、茎、つる、枝、柄、など)および収穫対象物(例えば、花、果実、野菜、など)を備えうる。切断メカニズムおよび把持メカニズムが開いている時に、植物の付属物が、対応するジョーのセットに関連する開口部内に配置されてよい。エンドエフェクタ132に関連付けられているアクチュエータが、切断メカニズムおよび把持メカニズムを閉じさせる力を印加してよい。印加された力は、植物の付属物を第1部分および第2部分に分ける切断を切断メカニズムに実行させる一方で、印加された力は、収穫対象物に結合した植物の付属物の第2部分を把持メカニズムに把持させる。結果として、エンドエフェクタ132は、収穫対象物を損傷することなしに、収穫対象物を植物から取り除くことができる。収穫された対象物は、容器(容器142など)に置かれてよい。
【0036】
ロボット収穫システム100は、第2エンドエフェクタ134を備えてよい。第2エンドエフェクタ134は、エンドエフェクタ132と同様に機能しうる。
【0037】
図2は、いくつかの実施形態に従って、ガントリーシステムを示す図である。図の例において、ガントリーシステム200は、ベースフレーム202を備える。ベースフレーム202の上部は、収納部分204を備える。収納部分204は、複数の容器(例えば、箱、かご、など)を支持する1または複数のトレイを収容できてよい。収穫された対象物は、ロボットアームによって、容器の1つに置かれてよい。いくつかの実施形態において、トレイは、8または10個の容器を支持できる。いくつかの実施形態において、収納部分204は、2つのトレイを収容できる。
【0038】
ガントリーシステム200は、通信装置206を備えてよい。通信装置206は、収穫システムが、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、イントラネット、インターネット、および/または、それらの組みあわせによって、無線通信することを可能にしうる。通信装置206は、制御システム(制御システム108など)が、ソフトウェアのダウンロードおよび/またはアップデートを受信することを可能にしうる。いくつかの実施形態において、通信装置206は、リモートサーバ(例えば、クラウドベースのデータベース)へ採取情報を送信する。採取情報は、タイムスタンプ、成功/失敗状態、位置、果実のサイズ、品質、推定重量、一意の識別子、接近角度、および/または、採取イベントに関連するその他の情報など、採取イベントに関する記録済みの情報を含みうる。リモートサーバは、現在および過去の植物の構造および形態の情報(例えば、葉の数、植物構造)を格納してよい。
【0039】
リモートサーバは、データベースを備えてよい。データベースは、グラフィカルユーザインターフェースを備えてよく、グラフィカルユーザインターフェースは、過去の実績、収穫高、在庫、予測在庫、植物および果実の状態、ならびに/もしくは、植物および果実の健全性に関して、クエリされた情報または情報のセットを表示できる。データベースは、構造化された情報を顧客システムへフィードバックし、または、外部顧客システムから情報を受信して組み込むことができるフロントエンドAPIを備えてよい。
【0040】
リモートサーバは、成長条件、収穫高、植物の健全性、病気、害虫、および、その他の項目のパターンおよびそれらの間の相関を識別するAIアルゴリズムを格納および実行してよい。リモートサーバは、収穫システムによって収集された記述履歴成長データ、温度、日照、ならびに/もしくは、顧客からまたはセンシングシステムからのその他の環境入力および操作入力に基づいて、ベリーの成長を予測してよい。リモートサーバは、予測を行い、重要な成長情報をユーザへ供給する検出ソフトウェアを発行してよい。
【0041】
ガントリーシステム200は、検知装置208を備えてよい。検知装置208は、1または複数のセンサで構成されていてよい。1または複数のセンサは、環境成長情報(日照、大気温、相対湿度、など)を取得してよい。1または複数のセンサは、日照を測定する量子計を備えてよい。検知装置208は、リアルタイムで暖房度日および冷房度日を計算するアルゴリズムを利用できる処理ボードを備え、制御システムを介してリモートシステムに接続し、計算された情報をリモートシステム(クラウドベース-のデータアーキテクチャなど)に格納してよい。
【0042】
ガントリーシステム200は、線形レール210を備えてよく、その上で、線形移動部212は、進行方向と同じ方向または反対方向へ移動できる。線形レール210は、キャリッジ、ベルト、および、モータで構成されている移動アセンブリを備えてよい。ラックアンドピニオン、ネジなど、その他の移動アセンブリが用いられてもよい。ガントリーシステム200は、第2線形レールを備えてよく、その上で、線形移動部222は、進行方向と同じ方向または反対方向へ移動できる。第2線形レールは、キャリッジ、ベルト、および、モータで構成されている移動アセンブリを備えてよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、ベースフレーム202の上部は、線形移動部212が結合されている第1線形レールと、線形移動部222が結合されている第2線形レールと、を備える。線形レールは、ベースフレーム202の上部の両側に(例えば、収納部分204の両側に)配置されている。
【0044】
ガントリーシステム200は、第1細長部材214および第2細長部材216を備えてよい。いくつかの実施形態において、第1および第2細長部材214、216は、ロッドである。線形移動部212、222は、細長部材214、216をロボット収穫システム100の垂直方向へ上下に移動させる対応する移動アセンブリを備える。移動アセンブリは、送りねじ、ベルト、および、サーボモータを備えてよい。
【0045】
ガントリーシステム200は、紫外線C波(UVC)ランプの配列で構成されているUVC殺菌システムを備えてよい。UVCランプは、白カビ、菌類、害虫、および、その他の植物の問題を緩和する目的で、果実、植物、栽培システム、および、植物の生育環境に、UVC放射を定期照射するために用いられてよい。
【0046】
図3は、いくつかの実施形態に従って、アームモジュールを示す図である。アームモジュール300は、線形移動部、細長部材、ロボットアーム、および、エンドエフェクタを備えてよい。収穫システム(ロボット収穫システム100など)は、1または複数のアームモジュールを備えてよい。収穫システムの制御システムは、収穫システムが複数のアームモジュールを同時に動作させることを可能にするソフトウェアを実行してよい。ソフトウェアは、アームモジュール間の衝突を防止する命令を含んでよい。ソフトウェアは、アームモジュール間の協調を可能にする命令を含んでよい(例えば、第1アームモジュールが、栽培環境の第1部分で採取する間に、第2アームモジュールが、偶発的な重複なしに栽培環境の第2部分で採取する)。
【0047】
アームモジュール300は、収穫システムへ着脱されるよう構成されている。アームモジュールは、特定のタイプの対象物を収穫するよう設計されていてよい。例えば、アームモジュールは、トマト、ブドウ、キュウリ、唐辛子などを収穫するよう設計されていてよい。
【0048】
アームモジュール300は、シートメタルから構築されていてよい。アームモジュール300は、低コストの製造技術を用いて生産される。アームモジュール300は、用途に対しておよび現在の製造規模に対して、性能および低コストの最良の組みあわせを達成するように、シート金属から構築、機械加工、および、プリントされた部品であってよい。他のシステムは、アームモジュールを形成するための機械加工後の複雑な鋳造物を含む既製の構成要素を利用しうる。しかしながら、かかる既製の構成要素は、シートメタルよりも高価である。結果として、シートメタルから構築された1または複数のアームモジュールを備える収穫システムの総コストは、既製の構成要素から構築された1または複数のアームモジュールを備える収穫システムの総コストよりも低い。
【0049】
図の例において、アームモジュール300は、線形移動部302を備える。線形移動部302は、線形レール(例えば、線形レール210)に沿って移動できる。線形移動部302は、細長部材304に結合されている。細長部材304は、第1関節を介してロボットアームの第1セグメント306に結合されている。
【0050】
第1セグメント306は、第1セグメント306が、第1関節によって、細長部材304の周りで時計回りまたは反時計回りの方向に回転することを可能にする回転アセンブリを備えてよい。回転アセンブリは、ベルトおよびサーボモータを備えてよい。
【0051】
ロボットアームの第1セグメント306は、第2関節を介してロボットアームの第2セグメント308に結合されていてよい。第2セグメント308は、電子/機械部品ハウジング310を備える。電子/機械部品ハウジング310は、2段ベルトトランスミッションで構成されている回転アセンブリを備えてよい。回転アセンブリは、第2セグメント308が、第2関節によって、第1セグメントの周りで時計回りまたは反時計回りの方向に回転することを可能にする。
【0052】
電子/機械部品ハウジング310は、1または複数のカメラならびに/もしくは1または複数のその他のセンサを備えてよい。1または複数のカメラならびに/もしくは1または複数のその他のセンサは、エンドエフェクタ314の方向に向けられていてよい。結果として、1または複数のカメラならびに/もしくは1または複数のその他のセンサは、課題を診断して情報を得るために、栽培環境、植物、果実、または、収穫システムの画像をキャプチャしてよい。1または複数のカメラならびに/もしくは1または複数のその他のセンサは、広角レンズを備えたRGB魚眼カメラ、RGBD深度カメラ、マルチスペクトルを利用するハイエンド高解像度カメラ、および/または、それらの組みあわせ、を含みうる。
【0053】
1または複数のカメラならびに/もしくは1または複数のその他のセンサからの出力は、電子/機械部品ハウジング310の副処理回路基板へ提供されてよい。副処理回路基板は、1または複数のコンピュータビジョンアルゴリズムを利用する1または複数のプロセッサを備えてよい。1または複数のプロセッサは、1または複数のコンピュータビジョンアルゴリズムを利用して、果実を識別してよい。1または複数のプロセッサは、1または複数のコンピュータビジョンアルゴリズムを利用して、果実自体、周囲の果実、および/または、葉の物理的特徴に基づいて、識別子内の各果実または各果実群を一意にマークしてよい。コンピュータビジョンアルゴリズムは、サイズ、重量、正確な位置、熟度、および/または、果実に関連する任意の生育上の課題を評価するよう構成されていてよい。果実に関連する熟度および商用等級は、1または複数のカメラならびに/もしくは1または複数のその他のセンサからの出力を入力として用いて、所定の位置で決定されてよい。熟度および商用等級に関連する値は、色、形状、テクスチャ、均一性、パターンなど、1または複数の要因に基づいてよい。いくつかの実施形態において、果実に関連する糖度が、IR光屈折に基づいて決定されてよい。
【0054】
1または複数のプロセッサは、1または複数のコンピュータビジョンアルゴリズムを利用して、植物構造、障壁、障害物、および/または、妨害物を識別してよい。1または複数のプロセッサは、この情報を利用して、対象物を収穫するためにこれらの識別されたアイテムの間を進むことに関連するコストを決定してよい。1または複数のプロセッサは、1または複数のコンピュータビジョンアルゴリズムを利用して、特定の植物の健全性の問題(病気または害虫の症状など)、非生物的ストレスの症状(渇水、温度、または、湿度の問題など)を識別してよい。1または複数のプロセッサは、1または複数のコンピュータビジョンアルゴリズムを利用して、装置と植物とを識別して区別してよい。1または複数のプロセッサは、1または複数のコンピュータビジョンアルゴリズムを利用して、全体的な環境構造および経路を識別してよい。
【0055】
1または複数のプロセッサは、1または複数の制御アルゴリズムを利用して、特定のモジュールハードウェア実装に合わせてカスタマイズされた衝突回避、経路計画、逆運動学、および、高レベル計画を実行してよい。いくつかの実施形態において、1または複数の制御アルゴリズムは、独自のメッセージング、IK、経路計画、低レベルドライバ、および、高レベル計画を含む、完全にカスタマイズされたスタックを備える。
【0056】
いくつかの実施形態において、1または複数のプロセッサは、1または複数の制御アルゴリズムを用いて、ロボットアームが進む時に、グリッパまたはロボットアームの前面および側面と妨害物との衝突を避けて茎に向かって進むように、各茎に隣接する座標へロボットアームを方向付ける。
【0057】
いくつかの実施形態において、1または複数のプロセッサは、1または複数の制御アルゴリズムを用いて、ロボットアームおよびエンドエフェクタが物質の間を通り抜けて収穫対象物の位置に到達できるか否かを判定するために、特定のタイプの植物との衝突に関連するコストを計算する。
【0058】
いくつかの実施形態において、1または複数のプロセッサは、1または複数の制御アルゴリズムを用いて、複数の対象物の採取に関連する順序を計画する。いくつかの実施形態において、その計画は、採取が始まる前に決定される。いくつかの実施形態において、次の対象物に関連する計画が、現在の対象物が採取されている間に決定されてよい。これは、対象物が収穫されている間に、複数の対象物が収穫されている栽培環境または複数の対象物に関連する仮定が変化しうるので、複数の対象物を収穫するための全体の時間を削減しうる。例えば、第2対象物の採取に関連するコストは、ロボットアームが第1対象物を採取して、第2対象物のさらなる画像が取得される間に、変化しうる。
【0059】
電子/機械部品ハウジング310は、エンドエフェクタ314に結合されていてよい。エンドエフェクタ314は、切断メカニズムおよび把持メカニズムで構成されていてよく、それらのメカニズムは、対応するジョーのセットを備えてよい。エンドエフェクタ314は、切断メカニズムおよび把持メカニズムを同時に開閉するよう構成されていてよい。切断メカニズムおよび把持メカニズムが開いている時に、対象物につながっている植物の付属物が、対応するジョーのセットに関連する開口部内に配置されてよい。
【0060】
電子/機械部品ハウジング310の1または複数のプロセッサは、電子/機械部品ハウジング310の1または複数のカメラならびに/もしくは1または複数のその他のセンサから1または複数の画像を受信してよい。1または複数のプロセッサは、1または複数の画像から1または複数の対象物を識別し、1または複数の識別された対象物に関連するコストを割り当ててよい。1または複数のプロセッサは、関連するコストに基づいて1または複数の識別された対象物の内の1つを収穫するよう選択し、エンドエフェクタの現在位置および対象物の現在位置の間の相対距離を決定してよい。1または複数のプロセッサは、ロボット収穫システムの制御システム(制御システム108など)へ、ロボットアームを相対距離だけ移動させるコマンドを送信してよい。コマンドの受信に応答して、制御システムは、決定された相対距離だけロボットアームが再配置されるように、線形移動部、細長部材、および/または、ロボットアームを移動させてよい。その後、エンドエフェクタ314に関連付けられているアクチュエータが、切断メカニズムおよび把持メカニズムを閉じさせる力を印加してよい。印加された力は、植物の付属物を第1部分および第2部分に分ける切断を切断メカニズムに実行させる一方で、印加された力は、収穫対象物に結合した植物の付属物の第2部分を把持メカニズムに把持させる。ロボット収穫システムは、エンドエフェクタ314を収納場所(容器142など)へ移動させ、エンドエフェクタ314を開いてよく、それにより、収穫された対象物が収納場所に置かれる。
【0061】
図4は、いくつかの実施形態に従って、複数の接近角度を示す図である。図の例において、特定の場所における栽培エリアが、対象物402および収穫対象物404を含む。ロボット収穫システムに関連する1または複数のプロセッサは、対象物402および収穫対象物404の収穫に関連する対応するコストを決定してよい。図の例において、対象物404の収穫に関連するコストは、対象物402に関連する対応コストよりも低い。対象物402は、対象物404が収穫された後に収穫されてよい。対象物402に関連する対応コストは、対象物404が収穫された後に変化しうる。
【0062】
ロボット収穫システムのロボットアームは、複数の角度406から対象物404に接近してよい。ロボットアームの構成は、ロボット収穫システムが、収穫対象物が存在する栽培環境に応じて、任意の角度(例えば、360°)またはほぼ任意の角度(例えば、356°)から対象物406へ接近して採取することを可能にする。制御システムは、各接近角度に関連するコストに基づいて特定の対象物のための接近角度を決定し、ロボットアームに、決定された接近角度から対象物へ接近して採取させる1または複数のコマンドを提供してよい。1または複数のコマンドは、線形レール408に沿って線形移動部を移動させ、直線ネジにロボットアームを回転させ、駆動アセンブリにロボットアームの第1セグメントを回転させ、駆動アセンブリにロボットアームの第2セグメントを回転させ、および/または、エンドエフェクタを対象物406の茎に対して開閉させてよい。
【0063】
図5は、いくつかの実施形態に従って、栽培環境を示す図である。図の例において、栽培環境500は、複数の列502a、502b、502c、502d、502e、502fを含む。複数の列は、特定の幅を有しうる。例えば、特定の幅は、1mであってよい。収穫システム501のベースは、特定の幅の間に収まるよう設計されていてよい。特定の幅は、栽培環境が配置される国に基づいて異なってよい。特定の幅は、農場ごとに異なってもよい。収穫システム501のベースは、栽培環境が配置される国にかかわらず、列の間に収まるよう設計されてよい。
【0064】
図6は、いくつかの実施形態に従って、対象物を収穫するための処理を示すフローチャートである。図の例において、処理600は、収穫マシン(ロボット収穫マシン100など)によって実施されてよい。
【0065】
工程602で、ロボット収穫マシンが、特定の場所に配置される。特定の場所は、第1セットの収穫対象物を含みうる。
【0066】
工程604で、その場所で入手可能な1または複数の対象物が決定される。ロボット収穫マシンは、1または複数のカメラならびに/もしくは1または複数のその他のセンサを備える。1または複数のカメラならびに/もしくは1または複数のその他のセンサは、ロボットアーム上に配置されていてよい。ロボットアームは、エンドエフェクタに結合されていてよい。1または複数のカメラならびに/もしくは1または複数のその他のセンサは、エンドエフェクタの方向に向けられていてよい。1または複数のカメラならびに/もしくは1または複数のその他のセンサは、1または複数の画像を取得してよく、画像は、1または複数の対象物が特定の場所で収穫可能であることを示す画像データを含みうる。
【0067】
工程606で、1または複数の対象物の各々に関連するコストが決定される。ロボット収穫マシンの1または複数のプロセッサは、1または複数のコンピュータビジョンアルゴリズムを利用して、画像データに含まれている1または複数の対象物を識別してよい。1または複数のプロセッサは、1または複数の識別された対象物の各々にコストを割り当ててよい。割り当てられるコストは、対象物を収穫できる可能性を示しうる。割り当てられるコストは、他の収穫対象物に関する対象物の位置、対象物を収穫するのに必要とされる接近角度、任意の障害物の存在、対象物の熟度など、1または複数の要因に基づいてよい。
【0068】
工程608で、対象物は、決定されたコストに基づいて収穫される。複数の対象物の中で最も低いコストを有する対象物が選択されてよい。エンドエフェクタの現在位置と、選択された対象物の現在位置との間の相対距離が、画像データに基づいて決定されてよい。ロボットアームに関連付けられている1または複数のプロセッサは、ロボット収穫システムの制御システムへ、ロボットアームを相対距離だけ移動させるコマンドを送信してよい。コマンドの受信に応答して、ロボット収穫システムの制御システムは、決定された相対距離だけロボットアームが再配置されるように、線形移動部、細長部材、および/または、ロボットアームを移動させてよい。
【0069】
その後、エンドエフェクタに関連付けられているアクチュエータが、エンドエフェクタの切断メカニズムおよび把持メカニズムを閉じさせる力を印加してよい。印加された力は、収穫対象物に関連する植物の付属物を第1部分および第2部分に分ける切断を切断メカニズムに実行させる一方で、印加された力は、収穫対象物に結合した植物の付属物の第2部分を把持メカニズムに把持させる。ロボット収穫システムは、エンドエフェクタをロボット収穫システムの収納場所へ移動させ、エンドエフェクタを開いてよく、それにより、収穫された対象物が収納場所に置かれる。
【0070】
対象物が収穫された後、残りの収穫対象物に関連するコストが再計算されてよく、次の対象物を収穫するために処理が繰り返されてよい。
【0071】
工程610で、ロボット収穫システムの収納場所が収穫済みの対象物で満杯になったか否かが判定される。ロボット収穫システムの収納場所が収穫済みの対象物で満杯になったと判定された場合、処理600は、工程612へ進む。ロボット収穫システムの収納場所が収穫済みの対象物で満杯になっていないと判定された場合、処理600は、工程614へ進む。
【0072】
工程612で、ロボット収穫システムは、収穫済みの対象物が降ろされるのを待つ。いくつかの実施形態において、ロボット収穫システムに関連するオペレータが、収穫済みの対象物を収容している1または複数のトレイをロボット収穫システムから除去し、1または複数の除去したトレイを1または複数の新しいトレイに交換する。いくつかの実施形態において、ロボット収穫システムは、収穫済みの対象物を収容している1または複数のトレイの下に1または複数のトレイを格納しており、ロボット収穫システムに関連するオペレータが、収穫済みの対象物を収容している1または複数のトレイをロボット収穫システムから除去する。
【0073】
いくつかの実施形態において、ロボットトレイシステムが、収穫済みの対象物を収容している1または複数のトレイをロボット収穫システムから除去し、1または複数の除去したトレイを1または複数の新しいトレイに交換する。いくつかの実施形態において、ロボット収穫システムは、収穫済みの対象物を収容している1または複数のトレイの下に1または複数のトレイを格納しており、ロボットトレイシステムが、収穫済みの対象物を収容している1または複数のトレイをロボット収穫システムから除去する。
【0074】
工程614で、収穫マシンが列の終端にあるか否かが判定される。収穫マシンが列の終端にない場合、処理600は、ロボット収穫マシンが所定の距離だけ移動される工程616に進む。
【0075】
収穫マシンが列の終端にある場合、処理600は、栽培環境内にさらなる列があるか否かが判定される工程618に進む。栽培環境内にさらなる列がある場合、処理600は、工程602へ戻る。栽培環境内にさらなる列がない場合、処理600は、ロボット収穫システムが次の対象物収穫ラウンドを開始する命令を待つ工程620に進む。例えば、ロボット収穫システムは、スリープモードに入ってよい。次の対象物収穫ラウンドを開始する命令の受信に応答して、処理600は繰り返されてよい。
【0076】
上述の実施形態は、理解しやすいようにいくぶん詳しく説明されているが、本発明は、提供された詳細事項に限定されるものではない。本発明を実施する多くの代替方法が存在する。開示された実施形態は、例示であり、限定を意図するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】