(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(54)【発明の名称】フローサイトメトリー及びセルソーターシステム用の磁気結合収集システム
(51)【国際特許分類】
G01N 15/149 20240101AFI20240131BHJP
G01N 35/04 20060101ALI20240131BHJP
G01N 15/14 20240101ALI20240131BHJP
【FI】
G01N15/149
G01N35/04 E
G01N15/14 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547414
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-02
(86)【国際出願番号】 US2022015383
(87)【国際公開番号】W WO2022170149
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517203796
【氏名又は名称】サイテック バイオサイエンスィズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホナリヤル,ババク
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレーン,デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】チュン,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ワン,クンチェン
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,マクス
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CC02
2G058CD12
2G058CF11
2G058CF17
2G058CF18
(57)【要約】
フローサイトメトリー及びセルソーターシステム用の磁気結合サンプル移動装置を備える収集システムが提供される。収集システムは、駆動側キャリッジにおける磁石を使用して、従動側キャリッジにおける他の磁石の位置を制御する。それにより、駆動側キャリッジは、従動側キャリッジに物理的に接触することなく、従動側キャリッジの位置を制御することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂面に1つ以上の駆動側磁石が取り付けられる駆動側キャリッジと、
底面に1つ以上の従動側磁石が取り付けられる従動側キャリッジと、
を備え、前記1つ以上の駆動側磁石は、前記1つ以上の従動側磁石と対になり、1つ以上の磁石対を形成する、
フローサイトメトリー及びセルソーターシステム用の収集システム。
【請求項2】
前記駆動側キャリッジを前記従動側キャリッジから物理的に分離する分離プレートを更に備え、
前記駆動側キャリッジは、前記分離プレートの下方に位置決めされ、
前記従動側キャリッジは、前記分離プレートの上方に位置決めされる、
請求項1に記載の収集システム。
【請求項3】
前記駆動側キャリッジを備える底部チャンバーと、
前記従動側キャリッジを備える頂部チャンバーと、
を更に備え、
前記分離プレートは、前記底部チャンバーを前記頂部チャンバーから物理的に分離し、
それにより、前記分離プレートは、前記底部キャリッジ及び前記頂部キャリッジを異なる環境に置くことを可能にする、
請求項2に記載の収集システム。
【請求項4】
前記従動側キャリッジの頂面に位置決めされるマイクロプレートを更に備え、
前記マイクロプレートは、フローサイトメーターのノズルを出る選別された細胞を受け取るように構成される複数のウェルを備える、
請求項1に記載の収集システム。
【請求項5】
位置決めステージを更に備え、前記駆動側キャリッジは、前記位置決めステージに物理的に結合され、前記位置決めステージは、前記位置決めステージの位置を制御するように構成されるリニアモーターに結合され、それにより、前記位置決めステージは、前記駆動側キャリッジの位置を制御する、
請求項1に記載の収集システム。
【請求項6】
前記位置決めステージに結合され、前記駆動側キャリッジを分離プレートの底面に押し付けるように構成されるばねを更に備える、
請求項5に記載の収集システム。
【請求項7】
前記駆動側キャリッジと前記従動側キャリッジとの間の少なくとも1つの磁石対は、引力を受け、
前記引力は、前記駆動側キャリッジが移動する際に、前記従動側キャリッジを前記駆動側キャリッジの方向に強制的に移動させる、
請求項1に記載の収集システム。
【請求項8】
前記従動側キャリッジは、
キャリッジスリーブと、
前記キャリッジスリーブに取り付けられるゴムアダプターと、
前記ゴムアダプターに取り付けられるマイクロプレートと、
を備え、前記ゴムアダプターは、前記マイクロプレートへの干渉を最小限にするのに役立つ、
請求項1に記載の収集システム。
【請求項9】
前記従動側キャリッジは、
前記従動側キャリッジに取り付けられる1つ以上の屈撓アームと、
前記1つ以上の屈撓アームに取り付けられるマイクロプレートと、
を備える、
請求項1に記載の収集システム。
【請求項10】
前記従動側キャリッジは、前記従動側キャリッジの底面に結合される1つ以上の玉軸受を備え、前記1つ以上の玉軸受は、分離プレートの頂面上を転動するように構成される、
請求項1に記載の収集システム。
【請求項11】
前記従動側キャリッジに互い違いの極性が面するように配置される前記駆動側磁石を備えるプッシュプル駆動側磁石機構と、
前記駆動側キャリッジに互い違いの極性が面するように配置される前記従動側磁石を備えるプッシュプル従動側磁石機構と、
を更に備え、1つ以上の磁石対は、互いに面する反対極性の磁石を有し、1つ以上の磁石対は、互いに面する同じ極性の磁石を有する、
請求項1に記載の収集システム。
【請求項12】
少なくとも1つの磁石対が、前記磁石対の従動側磁石と駆動側磁石との間にオフセットを有するように取り付けられる、
請求項1に記載の収集システム。
【請求項13】
前記底部チャンバーに取り付けられる1つ以上の片持ちばねを更に備え、前記分離プレートは、前記片持ちばねに取り付けられる、
請求項3に記載の収集システム。
【請求項14】
前記従動側キャリッジの底面に取り付けられるコードストリップと、
位置センサーと、
を更に備え、前記位置センサーは、
前記コードストリップ上に光を投射するように構成される発光ダイオードと、
前記コードストリップから反射された光に基づき、前記従動側キャリッジの位置を計算するように構成される信号処理回路と、
を備える、
請求項1に記載の収集システム。
【請求項15】
前記従動側キャリッジに結合される1つ以上のホール効果センサーを更に備え、前記1つ以上のホール効果センサーは、前記駆動側キャリッジと前記従動側キャリッジとの間の相対移動を検出及び報告するように構成される、
請求項1に記載の収集システム。
【請求項16】
前記従動側キャリッジの存在を検出するように構成される容量近接センサーを備える近接フィードバックシステムを更に備える、
請求項1に記載の収集システム。
【請求項17】
前記従動側キャリッジの存在を検出するように構成される誘導近接センサーを備える近接フィードバックシステムを更に備える、
請求項1に記載の収集システム。
【請求項18】
前記従動側キャリッジの底面に結合される1つ以上の摺動バンプを更に備え、前記1つ以上の摺動バンプは、
前記従動側キャリッジの前記底面と同じ材料、又は、
前記従動側キャリッジの前記底面とは異なる材料、
のうちの少なくとも一方を含む、
請求項1に記載の収集システム。
【請求項19】
前記ばねは、
圧縮コイルばね、
引張ばね、
定力ドラムばね、
ガスばね、
発泡ゴムばね、
板ばね、
片持ちばね、又は、
トーションばね、
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項6に記載の収集システム。
【請求項20】
光を投射するように構成される励起オプティクスシステムと、
前記励起オプティクスシステムから前記投射された光を受け取るように構成され、収集システムを有するセルソーターシステムを備えるフルイディクスシステムと、
を備え、前記収集システムは、
頂面に1つ以上の駆動側磁石が取り付けられる駆動側キャリッジと、
底面に1つ以上の従動側磁石が取り付けられる従動側キャリッジと、
を備え、前記1つ以上の駆動側磁石は、前記1つ以上の従動側磁石と対になり、1つ以上の磁石対を形成する、
フローサイトメーターシステム。
【請求項21】
前記フルイディクスシステムは、
前記従動側キャリッジに結合される収集トレイを更に備え、前記収集トレイは、複数のウェルを有し、試験サンプルの選別済みの細胞又は粒子を前記複数のウェルのうちの異なるウェルに収集する、
請求項20に記載のフローサイトメーターシステム。
【請求項22】
試験サンプルの細胞又は粒子を選別して異なる流体流に入れることと、
前記異なる流体流を収集トレイのウェルのセットのうちの1つ以上のウェル内に収集することと、
前記収集トレイのウェルの別のセットのうちの1つ以上のウェルを前記異なる流体流の下に配置するように、前記収集トレイを磁気的に移動させることと、
を含む、
方法。
【請求項23】
前記収集トレイを磁気的に移動させた後、前記異なる流体流を、前記収集トレイのウェルの前記別のセットのうちの前記1つ以上のウェル内に収集することを更に含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
選別の前に、
前記収集トレイを従動側キャリッジに結合することと、
前記従動側キャリッジを駆動側キャリッジに磁気的に結合することと、
を更に含み、
前記従動側キャリッジは、分離プレートによって前記駆動側キャリッジから物理的に分離され、前記従動側キャリッジ及び前記収集トレイは、前記駆動側キャリッジによってともに磁気的に移動する、
請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記収集トレイの前記磁気的な移動の位置フィードバックを受け取り、前記収集トレイの前記1つ以上のウェルの配置が前記異なる流体流の下にあるかを確かめることを更に含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記従動側キャリッジ及び前記収集トレイの前記磁気的な移動の位置フィードバックをともに受け取り、前記収集トレイの前記1つ以上のウェルの配置が前記異なる流体流の下にあるかを確かめることを更に含む、
請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この特許出願は、発明者らBabak Honaryar等によって2021年2月5日に出願された「LOADING SYSTEM WITH MAGNETICALLY COUPLED SAMPLE MOVER FOR FLOW CYTOMETRY AND CELL SORTER SYSTEMS」という発明の名称の米国仮特許出願第63/146,562号の利益を主張し、この米国仮特許出願は、全ての意図及び目的において、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明の実施形態は、包括的には、フローサイトメトリー及びセルソーターシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
フローサイトメトリー及びセルソーティングは、流体流内で運ばれる試験サンプルの細胞又は粒子の光学測定を伴う。セルソーティングは、収集された細胞を、更なる使用又は計数のために更に選別し、異なる試験管又は収集トレイのウェルに入れる。これらのタスクを達成する実験器具は、フローサイトメーター及びセルソーターとして知られている。
【0004】
1つ以上の試験管内の1つ以上の試験サンプルは、装填機構によって装填され、単一のバッチでフローサイトメーター/セルソーターを通過し、1つ以上の試験サンプルにおける細胞又は粒子のタイプ及び数量を分析する際の効率を得ることができる。
【0005】
複数のウェルを有する収集トレイ又はボートを使用して、収集機構によってフローサイトメーターを通過した1つ以上の試験サンプルの選別済みの細胞/粒子を収集する又は受け取ることができる。ウェルを有する収集トレイは、収集機構によって1つ以上の試験サンプルから選別済みの異なる細胞/粒子を収集する又は受け取るために移動することができる。
【0006】
トレイを異なる位置に移動させ、選別済みの細胞/粒子を異なるウェル内に収集する間、トレイのウェル内の選別済みの細胞/粒子が、1つ以上の試験サンプル中の未選別の細胞/粒子と混交することを回避することが望ましい。選別済みの細胞/粒子は、試験サンプル中の未選別の細胞/粒子とは別個のトレイの異なるウェルにおいて加熱又は空調管理することが望ましい。また、実験室及び机上により多く配置することができるように、フローサイトメーター/セルソーターのフットプリントを低減することが望ましい。したがって、従来のシステムを改善するために、よりコンパクトかつより閉鎖的な収集システムが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
実施形態は、特許請求の範囲によって要約される。しかし、簡潔に言うと、フローサイトメトリー及びセルソーターシステム用の磁気結合トレイ移動装置を備える収集システムが提供される。収集システムは、駆動側キャリッジにおける磁石を使用して、従動側キャリッジにおける他の磁石の位置を制御する。それにより、駆動側キャリッジは、従動側キャリッジに物理的に接触することなく、従動側キャリッジの位置を制御することができる。駆動側キャリッジ及び従動側キャリッジは、分離プレートによって分離され、異なる環境に位置することができる。複数のウェルを有する収集トレイは、従動側キャリッジとともに磁気的に移動することができるように、従動側キャリッジに取外し可能に結合する又は取り付けることができる。
【0008】
様々な実施形態は、添付図面の図において、限定することなく、例によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、セルソーターシステム及びフローサイトメーターシステムの基本概念図である。
【
図1B】
図1Bは、磁気結合サンプル移動装置を備える収集システムの概念図である。
【
図2A】
図2Aは、様々な斜視図のうちの1つにおける従動側キャリッジの第1の実施形態の図である。
【
図2B】
図2Bは、様々な斜視図のうちの1つにおける従動側キャリッジの第1の実施形態の図である。
【
図2C】
図2Cは、様々な斜視図のうちの1つにおける従動側キャリッジの第1の実施形態の図である。
【
図2D】
図2Dは、様々な斜視図のうちの1つにおける従動側キャリッジの第1の実施形態の図である。
【
図3】
図3は、収集システムの磁気結合移動装置の断面図である。
【
図4】
図4は、従動側キャリッジの側断面図である。
【
図5A】
図5Aは、
図4の従動側キャリッジとは異なる設計を有する従動側キャリッジの別の実施形態の図である。
【
図5B】
図5Bは、
図4の従動側キャリッジとは異なる設計を有する従動側キャリッジの別の実施形態の図である。
【
図5C】
図5Cは、
図4の従動側キャリッジとは異なる設計を有する従動側キャリッジの別の実施形態の図である。
【
図6A】
図6Aは、低摩擦設計を有する従動側キャリッジの斜視図である。
【
図6B】
図6Bは、低摩擦設計を有する従動側キャリッジの斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、磁気結合サンプル移動装置を備える収集システムの1つの位置における側面図である。
【
図7B】
図7Bは、磁気結合サンプル移動装置を備える収集システムの1つの位置における斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、磁気結合サンプル移動装置を備える収集システムの別の位置における側面図である。
【
図8B】
図8Bは、磁気結合サンプル移動装置を備える収集システムの別の位置における斜視図である。
【
図9】
図9は、ラグ(lag)(別名、スリップ)を受けている磁気結合移動装置の断面図である。
【
図10】
図10は、磁気結合移動装置のプッシュプル磁石機構の概念図である。
【
図12A】
図12Aは、磁気結合移動装置の2つの異なる磁石機構のうちの一方の概念図である。
【
図12B】
図12Bは、磁気結合移動装置の2つの異なる磁石機構のうちの一方の概念図である。
【
図13A】
図13Aは、磁気結合移動装置の3つの他の例示の磁石機構のうちの1つの概念図である。
【
図13B】
図13Bは、磁気結合移動装置の3つの他の例示の磁石機構のうちの1つの概念図である。
【
図13C】
図13Cは、磁気結合移動装置の3つの他の例示の磁石機構のうちの1つの概念図である。
【
図15】
図15は、磁気結合サンプル移動装置を備える収集システムの斜視図である。
【
図16】
図16は、磁気結合サンプル移動装置を備える収集システムの別の斜視図である。
【
図17】
図17は、キャリッジの直線位置フィードバックシステムの概念図である。
【
図18】
図18は、キャリッジの再帰反射光学位置フィードバックシステムの概念図である。
【
図19A】
図19Aは、キャリッジのホール効果位置フィードバックシステムの概念図である。
【
図19C】
図19Cは、磁界を発生する磁石がホール効果センサーを横切って移動する際にホール効果センサーによって検知される磁束の図である。
【
図20】
図20は、キャリッジの容量近接フィードバックシステムの概念図である。
【
図21A】
図21Aは、キャリッジの誘導近接フィードバックシステムの概念図である。
【
図21B】
図21Bは、キャリッジの誘導近接フィードバックシステムの概念図である。
【
図21C】
図21Cは、キャリッジの誘導近接フィードバックシステムの概念図である。
【
図23】
図23は、キャリッジ上の摺動バンプ形状の別の実施形態の概念図である。
【
図24A】
図24Aは、駆動側キャリッジの様々なばね収集システムのうちの1つの概念図である。
【
図24B】
図24Bは、駆動側キャリッジの様々なばね収集システムのうちの1つの概念図である。
【
図24C】
図24Cは、駆動側キャリッジの様々なばね収集システムのうちの1つの概念図である。
【
図24D】
図24Dは、駆動側キャリッジの様々なばね収集システムのうちの1つの概念図である。
【
図24E】
図24Eは、駆動側キャリッジの様々なばね収集システムのうちの1つの概念図である。
【
図24F】
図24Fは、駆動側キャリッジの様々なばね収集システムのうちの1つの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図の一部又は全てが、例証のためのものであり、示す要素の実際の相対的なサイズ又は位置を必ずしも示さないことが認識されるであろう。図は、特許請求項の範囲又は意味を制限するために使用されないという明示的な理解の上で、1つ以上の実施形態を示すために設けられる。
【0011】
実施形態の以下の詳細な説明において、多数の特定の詳細が述べられる。しかし、実施形態がこれらの特定の詳細なしで実施される場合があることが当業者に明らかになるであろう。他の事例において、よく知られている方法、プロシージャ、コンポーネント、及び回路は、実施形態の態様を不必要に曖昧にしないために詳細に述べられていない。本明細書の様々な節は、体系化のために設けられる。ただし、多くの詳細及び利点は、複数の節にわたって当てはまる。
【0012】
ソーターシステムの概説
フローサイトメトリー及びセルソーターシステム用の磁気結合サンプル移動装置を備える収集システムが提供される。
図1Aは、収集システムについて説明するために提供される。
【0013】
図1Aは、セルソーターシステム109を含むフローサイトメーターシステム90の基本概念図である。システム90の5つの主要なサブシステムは、励起オプティクスシステム102、フルイディクスシステム104、放出オプティクスシステム106、取得システム108、及び分析システム110を含む。フルイディクスシステム104はセルソーターシステム109を含む。セルソーターシステム109は収集システム100を含む。概して、「システム(system)」は、(電気的、機械的、及び電気機械的な)ハードウェアデバイス、ソフトウェアデバイス、又はその組合せを含む。
【0014】
励起オプティクスシステム102は、例えば、レーザーデバイス112、光学要素114、光学要素116、及び光学要素118を含む。例示的な光学要素は光学プリズム及び光学レンズを含む。励起オプティクスシステム102は光学インターロゲーション(optical interrogation)領域120を照明する。フルイディクスシステム104は、光学インターロゲーション領域120を通して流体サンプル122を運ぶ。放出オプティクスシステム106は、例えば、光学要素130と、側方散乱チャネル(SSC:side scatter channel)検出器、蛍光波長範囲1(FL1)検出器、蛍光波長範囲2(FL2)検出器、蛍光波長範囲3(FL3)検出器、蛍光波長範囲4(FL4)検出器、及び蛍光波長範囲5(FL5)検出器を含む様々な光学検出器とを備える。放出オプティクスシステム106は、通過する粒子から放出又は散乱される光子を採取する。放出オプティクスシステム106は、これらの光子を光学検出器SSC、FL1、FL2、FL3、FL4、及びFL5上に集束させる。光学検出器SSCは側方散乱チャネルである。光学検出器FL1、FL2、FL3、FL4、及びFL5は蛍光検出器であり、また、特定の異なる蛍光波長範囲を検出するためにバンドパス又はロングパスフィルターを含むことができる。各光学検出器は、光子を電気パルスに変換し、電気パルスを取得(エレクトロニクス)システム108に送出する。1つ以上のアナログ-デジタル変換器及びデジタル記憶デバイスを備える取得システム108は、分析システム110における分析のためにこれらの信号を処理及び準備する。
【0015】
開示される実施形態は、大部分が、セルソーターシステム及びフローサイトメーターシステムのフルイディクスシステム104において利用される。米国特許出願第15/817,277号及び米国特許出願第15/942,430号は、例示的なフローサイトメーターシステムを開示しており、これらは参照により援用される。米国特許第9,934,511号は、セルソーターシステムを開示しており、これは、参照により本明細書に援用される。
【0016】
収集システムの概説
収集システム100は、1つ以上の従動側磁石の位置を制御する1つ以上の永久磁石又は電磁石を備える。従動側磁石は、駆動側磁石から僅かな距離だけ離れている。従動側磁石と対になる(例えば、物理的に対向する又は物理的に鏡映となる)駆動側磁石は、磁石対と称する場合がある。
【0017】
駆動側磁石の位置は、限定はしないが、以下のいくつかの手段によって制御することができる:(1)リニアモーターに結合された電動位置決めステージ/テーブル、送りねじ機構、タイミングベルト、駆動ベルト機構、カム被動機構、若しくはリンク被動機構を通した位置決め、(2)空圧若しくは液圧作動アーム若しくは位置決め機構、及び/又は(3)手動位置決め。
【0018】
従動側磁石(被動磁石とも称する)は、非磁性材料(常磁性及び強磁性のない反磁性)によって駆動側磁石から分離され、典型的には、約0.1mm~約10.0mmの僅かな距離だけ離れて位置する。1つの実施形態において、非磁性材料は、駆動側磁石と従動側磁石との間の強力かつ安定した「結合」を維持する。別の実施形態において、システム100は、分離媒体として常磁性材料を含む。
【0019】
駆動側磁石は、位置決め機構の最終移動ステージ又はテーブルに固定される。従動側磁石は、その物理的な位置が磁気結合を通じて制御される物体に固定される。1つの実施形態において、1つの駆動側磁石及び1つの従動側磁石が、システム100の最小要件となる。2つのみの磁石を使用して、X-Y方向を制御することができる。ただし、複数の磁石を使用することで、結合の反復性及び信頼性が向上し、ひいては従動側トレイ(収集トレイ)の位置が向上し得る。
【0020】
磁気結合位置決めシステム100は、障壁材料によって分離される2つの環境を有することによって、駆動側機構とは異なる環境に従動側物体(例えば、従動側キャリッジ及び/又は収集トレイ)を配置することができることが有利である。そのような分離は、いくつかの状況において非常に望ましいものとなり得る。例えば、従動側物体は、温度制御環境に置く必要がある場合があるが、駆動側機構の温度の設定及び維持は、実現可能でない又は望ましくない場合がある。別の例において、従動側物体及びその環境は、過激な化学物質又は生体に有害な物質にさらされる場合がある。そのような状況において、従動側物体の材料セット及び幾何学形状は、その近辺の/さらされる環境に伴い、これらの危険性に耐えるように選択及び設計することができる。従来のシステムでは、材料を選択し、駆動側機構の構成要素に対する損傷を防ぐことができる設計を取り入れるにはコストがかかる。そのような損傷は、直接的に、又は、強力な化学物質及び複雑な手順を使用した必要な消毒及び洗浄によって生じる。幸い、2つの環境を互いに分離することで、本システム100は、コスト及びメンテナンスの難しさを低減することができる。システム100は、従動側の環境の材料セット及び幾何学形状のみが強力な要素にさらされるように設計される。
【0021】
この環境の分離の主な用途は、フローサイトメトリー技術を使用するセルソーティングにおけるものである。細胞は、病原体である場合があるが、ソーター内でその標的を見失い、それにより、強力な消毒及び洗浄を必要とする場合がある。また、細胞によっては温度制御チャンバーを必要とするものも多いが、これは、発熱モーターを含む駆動側機構の構成要素が温度制御チャンバーから隔離されていると、実装がより容易である。加えて、位置決め機構に使用される高精度部品は、設定温度に起因して寸法が変化する場合があり、これらの構成要素の正確性及び信頼性を損なうおそれがある。細胞は、多くの場合、例えば、マイクロプレートごとに96個又は384個のウェルを有するマイクロプレートのウェルに選別されて入れられる。このマイクロプレートは、制御チャンバー内にある従動側磁石キャリッジ/パレットに固定することができる。
【0022】
収集システムのアーキテクチャ
図1Bは、磁気結合サンプル移動装置を備える収集システム100の概念図である。システム100は、限定はしないが、以下の構成要素、すなわち、頂部チャンバー152と、底部チャンバー154と、従動側キャリッジ156(別名、被動トレイ)と、駆動側キャリッジ158(別名、駆動トレイ)と、位置決めステージ160(別名、駆動側ステージ又は駆動ステージ)と、マイクロプレート162と、X-Y移動機構164とを備える。
【0023】
位置決めステージ160は、X-Y座標系における駆動側キャリッジ158の位置(例えば、平面上の位置)を規定する。従動側キャリッジ156は、頂部チャンバー152の上にある。従動側キャリッジ156は、マイクロプレート162を収容及び保持する。マイクロプレート162は、フローサイトメーターのノズルを出る選別された細胞(例えば、血液細胞)を受け取るウェルを備える。マイクロプレート162は、例えば、96個又は384個のウェルを備えることができる。このマイクロプレート162は、頂部チャンバー152の制御された環境にある従動側キャリッジ156に固定することができる。
【0024】
図2A~
図2Dは、様々な斜視図における従動側キャリッジ156の図である。従動側キャリッジ156の1つの実施形態において、5つの四角い磁石202が従動側キャリッジ156の底部に結合される。しかしながら、性能要件に応じて、任意の幾何学形状の磁石又は任意の数の磁石が可能である。従動側キャリッジ156は、永久磁石を使用することができる。従動側キャリッジ156は、同様に又は代替的に、バッテリー又は別の電源を介した電動の電磁石を使用することができる。駆動側キャリッジ158(
図2には示されていない)は、従動側キャリッジ156に結合された磁石の幾何学形状及び数を反映した、引き付ける/反発する磁石を備えることができる。
【0025】
斜視
図156aは、磁石を伴わない従動側キャリッジ156の上面図を示している。斜視
図156bは、5つの磁石が従動側キャリッジ156の底部に結合された従動側キャリッジ156の上面図を示している。斜視
図156cは、磁石を伴わない従動側キャリッジ156の底面図を示している。斜視
図156dは、5つの磁石が従動側キャリッジ156の底面に結合された従動側キャリッジ156の底面図を示している。
【0026】
図3は、収集システム100の磁気結合移動装置300の断面図である。移動装置300は、限定はしないが、以下の構成要素、すなわち、従動側キャリッジ156と、駆動側キャリッジ158と、位置決めステージ160と、従動側磁石202(別名、被動磁石)と、駆動側磁石302(別名、駆動側磁石)と、分離プレート166と、圧縮ばね306とを備える。
【0027】
駆動側キャリッジ158は、駆動側キャリッジ158の上面に取り付けられる1つ以上の磁石302を備える。従動側キャリッジ156は、従動側キャリッジ156の底面に取り付けられる1つ以上の磁石202を備える。駆動側キャリッジ158の1つ以上の磁石302は、従動側キャリッジ156の1つ以上の磁石202と対になる。
【0028】
磁石対310は、従動側磁石202と対になる駆動側磁石302を含む。磁石対310において、駆動側磁石302は、対応する従動側磁石202に物理的に対向する及び/又は物理的に鏡映となる。磁石対310において、駆動側磁石302及び従動側磁石202は、同じ極性(例えば、互いに反発し合う)又は反対の極性(例えば、互いに引き付け合う)を有することができる。
【0029】
分離プレート304は、X-Y移動機構164を収容する底部キャリッジ154から頂部キャリッジ152を分離する。X-Y移動機構164は、位置決めステージ160をX-Y座標系において移動させる。駆動側キャリッジ158は、分離プレート166の底面に押し付けられる。特に、圧縮ばね206は、位置決めステージ110に結合され、駆動側キャリッジ158を分離プレート166の底面に押し付ける。従動側キャリッジ156は、重力の影響下で分離プレート166の頂部に押し付けられる。従動側キャリッジ156の押付けは、従動側磁石202と駆動側磁石302との間の磁気引力によっても影響を受ける。各従動側磁石202は、永久磁石又は電磁石とすることができる。各駆動側磁石302は、永久磁石又は電磁石とすることができる。
【0030】
図4は、従動側キャリッジ156の側断面図である。従動側キャリッジ156は、限定はしないが、マイクロプレート404と、ゴムアダプター406と、キャリッジスリーブ408と、磁石202とを備える。
【0031】
マイクロプレート404は、ゴムアダプター406内に収容され、これは、マイクロプレート404と従動側キャリッジ156の他の構成要素との間の干渉を最小限にするのに役立つ。ゴムアダプターは、緩衝材又は衝撃吸収材のような挙動を示し、従動側キャリッジ156の望ましくないノイズ振動からマイクロプレート404を隔離するのに役立つことができる。それにより、マイクロプレートが受ける干渉は僅かになる。
【0032】
1つの実施形態において、ゴムアダプター406は、耐化学性及び低圧縮歪みのために望ましいフルオロシリコーンである。ゴムアダプター406は、成形、注型、又は機械加工して、凍結状態にすることができる。1つの実施形態において、キャリッジスリーブ408は、摺動性の非磁性かつ耐化学性材料、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、CTFE(クロロトリフルオロエチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPSU(ポリフェニルスルホン)、PP(ポリプロピレン)等である。磁石202は、ゴムアダプター406を駆動するためにゴムアダプターとの締り嵌めを有する。ゴムアダプター406は、マイクロプレート404をキャリッジスリーブ408とともに駆動する。
【0033】
磁石202により収容されるマイクロプレート404の位置を規定することを可能にする、従動側キャリッジ156の多くの設計及びアーキテクチャがある。
図4の従動側キャリッジ156は、少数の可動部品を備えるか又は可動部品を備えない単純な形態である。従動側キャリッジ156は、2つの組立部品、すなわち、成形されたゴムアダプター406と、機械加工又は圧縮成形されたキャリッジスリーブ408とを備える。従動側キャリッジ156の組立は、ゴムアダプター406と、キャリッジスリーブ408と、磁石202との間の締り嵌めによって達成される。通常、工具又は締結具は組立に必要としない。
【0034】
代替的なアーキテクチャ
代替的なアーキテクチャは、収集システム100の部品の全てを含むか、一部を含むか、又は全く含まない場合がある。
【0035】
図5A~
図5Cは、
図4の従動側キャリッジ156とは異なる設計を有する従動側キャリッジ506を示している。従動側キャリッジ506は、限定はしないが、マイクロプレート504と、1つ以上のボス508と、1つ以上の屈撓アーム510(別名、片持ちアーム)とを備える。
【0036】
従動側キャリッジ506は、2つの組立部品を有することができ、組立工具又は組立ハードウェアを必要としないものであり得る。従動側キャリッジ506は、中空ピンとボス形状部との間の軽い締り嵌めによって組み立てられる。マイクロプレート504は、屈撓アーム510の内側に収容され、屈撓アーム510は、マイクロプレート504をソーターの流れのより近くに配置し、マイクロプレート504のウェルの標的決めをより容易にする。屈撓アーム510は、マイクロプレート506の寸法のバリエーションに適応するように撓むことができる。磁石502は、屈撓アーム510と僅かな干渉を有する。屈撓アーム510は、通常、工具又は他の締結具を使用することなく、ボス508に圧入することができる。
【0037】
図6A及び
図6Bは、低摩擦設計を有する従動側キャリッジ606を示している。従動側キャリッジ606は、限定はしないが、磁石602と、マイクロプレート604と、1つ以上のプラスチックねじ608と、1つ以上の屈撓アーム610と、玉軸受612とを備える。
【0038】
COF(摩擦係数)の低減は、ラグを低減するのに役立つことができる。転がり玉軸受612は、COFを低減する。玉軸受612は、従動側キャリッジ606の底面に結合される。玉軸受612は、分離プレート304の上面で転動するように構成され、それにより、従動側キャリッジ606と分離プレート304との間のCOFを低減する。玉軸受612は、化学的に不活性な材料(例えば、PEEK又は他の材料)から作製することができる。転がり玉軸受は、従動側キャリッジ606の洗浄/消毒をより困難にする上、従動側キャリッジ606の設計の複雑性を増す可能性がある。それにもかかわらず、摩擦の低減は非常に望ましい。
【0039】
図6A及び
図6Bの例示の実施形態において、6つのキューブ状磁石602は、プラスチックねじ608を使用することによって適所に保持される。屈撓アーム610が従動側キャリッジ606に取り付けられ、マイクロプレート604を取り付けることができる収容部を形成する。
【0040】
図7は、磁気結合サンプル移動装置を備える収集システム700の側面図及び斜視図である。
図7のシステム700は、システム100に対する代替的な設計である。システム700は、限定はしないが、以下の構成要素、すなわち、頂部チャンバー152と、底部チャンバー154と、従動側キャリッジ156(別名、被動トレイ)と、駆動側キャリッジ158(別名、駆動トレイ)と、位置決めステージ160(別名、駆動側ステージ又は駆動ステージ)と、マイクロプレート162と、X-Y移動機構164と、2つ以上の屈撓アーム610とを備える。
図7の実施形態において、収集システム700は、従動側キャリッジ156と、左側の位置に移動した駆動側キャリッジ158とを有する。
【0041】
図8は、磁気結合サンプル移動装置を備える収集システム700の別の側面図及び別の斜視図である。
図8の実施形態において、収集システム700は、従動側キャリッジ156と、右側の位置に移動した駆動側キャリッジ158とを有する。
【0042】
ラグに対処する構成要素
図9は、ラグ904(別名、スリップ)を受けている磁気結合移動装置300の断面図である。ラグ904は、駆動側磁石302が移動を始めた後に存在し始める分離距離である。ラグ904は、駆動側磁石302が従動側磁石202を移動する及び引っ張るプロセスの間、存在し続け得る。ラグ904は、駆動側磁石302の加速度及び/又は速度に応じて変化する。磁力(F
s)は、引き付け合う磁石対間に生じる。駆動側キャリッジ158と従動側キャリッジ156との間の少なくとも1つの磁石対は、引力を受ける。引力は、駆動側キャリッジ158が移動する際に、従動側キャリッジ156を駆動側キャリッジ158の移動方向に移動させる(例えば、強制する)ようになっている。駆動側磁石302の加速度及び/又は速度は、磁力(F
s)の垂直成分(F
sN)と水平成分(F
slag1)とを決定付ける。
【0043】
磁性引力(F
s)は、垂直成分(F
sN)及び水平成分(F
slag1)に分解することができる。摩擦力(Friction
1)は、摩擦係数に垂直成分(F
sN)を乗算したものに等しい。引き付け合う磁石の各対は、距離Z
1だけ分離される。ラグ904は、分離距離Lag
1を有する。力成分及びラグ904は、等式セット1における以下の等式を使用することによって、規定する及び求めることができる。
【数1】
【0044】
図10は、プッシュプル磁石機構1000の概念図である。磁石機構1000は、限定はしないが、従動側磁石機構1016と、駆動側磁石機構1018と、従動側キャリッジ156のフレーム1002と、駆動側キャリッジ158のフレーム1003とを備える。フレーム1002及びフレーム1003は、任意選択のものである。
【0045】
ラグ904を低減する方法の1つは、(1)互いに引き付け合う磁極性、及び(2)互いに反発し合う磁極性の組合せを利用することである。キャリッジ(156、158)の現在位置において互いに引き付け合う磁極性は、駆動側キャリッジが移動を開始する際の引力を有する。キャリッジの水平方向(例えば、X方向又はY方向)の移動は、反対極性を有する直接対となる磁石を引っ張ることを利用する。その一方で、互いに反発し合う磁極性は、同じ極性の磁石に起因して反発力を有する。同じ極性の磁石の磁界が近づくにつれて、反発力はより強くなる。反発力は、従動側キャリッジ156における同じ極性を有する磁石を押し退けることによって、駆動側キャリッジ158の動きに寄与する。反発力により、垂直抗力、ひいては、有効な摩擦力も低減される。
【0046】
駆動側磁石機構1018は、従動側キャリッジ156に互い違いの極性が面するように配置される駆動側磁石を備える。従動側磁石機構1016は、駆動側キャリッジ158に互い違いの極性が面するように配置される従動側磁石を備える。1つ以上の磁石対は、互いに反対の極性が面する磁石を有する。1つ以上の磁石対は、互いに同じ極性が面する磁石を有する。
【0047】
この技法が機能するためには、磁石機構1000は、全て引き付け合う磁石対を有する構成よりも比較的多くの磁石を含む必要がある。磁石は、十分に広がって、引力及び反発力が適切に行使されるのに適した強度を有することを可能にすべきである。機構1000の1つの実施形態において、引き付け合う磁石及び反発し合う磁石は、
図10に示されているように、ともに群をなす。別の実施形態において、引き付け合う磁石対が一箇所にあり、反発し合う磁石対が別の箇所にある。
【0048】
図11は、プッシュプル磁石機構1100の別の概念図である。駆動側キャリッジ158において、4つのキューブ状磁石がより大きなキューブ1105を形成し、2つの四半分が、他の2つの四半分とは反対の極性を有する。従動側キャリッジ156において、磁石1107は、駆動側キャリッジにおける対応する磁石キューブ1109の磁石の半分と同じ極性を有することができる。磁石1107はまた、駆動側キャリッジにおける対応する磁石キューブ1109の磁石の半分と反対の極性を有することができる。
図10を参照して上述したように、同じ極性は反発し合う。反対の極性は引き付け合う。
【0049】
図12A及び
図12Bは、磁気移動装置の2つの異なる磁石機構1200、1220の概念図である。
図12Aにおいて、磁石機構1200は、4つのキューブ状磁石を有し、4つのキューブ状磁石は、2つの四半分が他の2つの四半分とは反対の極性を有する4つの四半分を形成する。磁石機構1200は、1つの極性を有する2つの対角の磁石1203と、反対の極性を有する2つの対角の磁石1204とを備える。
図12Bにおいて、別の磁石機構1220は、16個のキューブ状磁石を有する。機構1220は、磁石機構1200の4つのインスタンスから形成することができる。16個のうちの8つのキューブ状磁石(キューブ状磁石の4つの対角の対)は、1つの極性1223を有し、他の8つのキューブ状磁石(キューブ状磁石の4つの対角の対)は、反対の極性1224を有する。プッシュプルアーキテクチャの磁石機構は、任意の形状及び任意の極性の組合せを有することができる。
【0050】
図13A~
図13Cは、磁気移動装置の更なる磁石機構1300A~1300Cの概念図である。磁石機構1300A~1300Cは、限定はしないが、回転キー溝磁石パターン1302、2次元整列磁石パターン1312、及び摺動ラッチ磁石パターン1322を含む。
【0051】
プッシュプルアーキテクチャの磁石機構1300A~1300Cは、任意の形状及び任意の極性の組合せを有することができる。所与の磁石機構1300A~1300Cは、任意のパーセンテージ(0%~100%)の反対極性の磁石対と、任意の対応するパーセンテージ(100%~0%)の同じ極性の磁石対とを有することができる。具体的には、所与の磁石機構は、反対極性の磁石対と同じ極性の磁石対との任意の比(例えば、反対極性/同じ極性)を有することができる。例えば、60%の磁石対が同じ極性を有する場合、40%の磁石対が反対極性を有する。50%の磁石対が同じ極性を有する場合、50%の磁石対が反対極性を有する。30%の磁石対が同じ極性を有する場合、70%の磁石対が反対極性を有する等である。
【0052】
磁石機構1300A~1300Cは、磁石の品質及び/又は強度の任意の混成を有することができる。例えば、同じ極性の磁石対が反対極性の磁石対よりも弱くなるように設計してもよい。そのような構成において、同じ極性の磁石対による反発力は、磁石機構における反対極性/同じ極性の比に応じて、反対極性の磁石対の引力よりも弱くなり得る。代替的に、同じ極性の磁石対が反対極性の磁石対よりも強くなるように設計してもよい。そのような構成において、同じ極性の磁石対による反発力は、反対極性/同じ極性の比に応じて、反対極性の磁石対の引力よりも強くなり得る。
【0053】
磁石機構1300A~1300Cは、磁石対間の分離距離が変動してもよい。例えば、同じ極性の磁石対が10.0mm離れるように設計することができ、一方、反対極性の磁石対が8.0mm離れるように設計することができる。そのような状況において、同じ極性の磁石対による反発力は、磁石機構における反対極性/同じ極性の比に応じて、反対極性の磁石対の引力よりも弱くなり得る。別の例において、同じ極性の磁石対が6.5mm離れるように設計することができ、一方、反対極性の磁石対が9.0mm離れるように設計することができる。そのような状況において、同じ極性の磁石対による反発力は、磁石機構における反対極性/同じ極性の比に応じて、反対極性の磁石対の引力よりも強くなり得る。
【0054】
図14A~
図14Cは、ラグを低減する磁気結合移動装置1400の概念図である。磁気結合移動装置1400は、限定はしないが、従動側キャリッジ1406及び駆動側キャリッジ1408を備える。従動側キャリッジ1406は、複数の従動側磁石1402を備える。駆動側キャリッジ1408は、複数の駆動側磁石1403を備える。複数の従動側磁石及び複数の駆動側磁石は、締結具によって従動側キャリッジ1406及び駆動側キャリッジ1408にそれぞれ取り付けられ、磁石の1つ以上の対は、磁石対取付けオフセット1404によってオフセットされるようになっている。
【0055】
従動側磁石1402と対向する駆動側磁石1403とを含む磁石対は、オフセット1404を有するように取り付けることができる。駆動側キャリッジ1408が移動する前、オフセット1404は、従動側キャリッジ1406を移動方向に引っ張る水平力を引き起こすように構成される。しかしながら、全ての磁石が意図された方向に組み込まれたオフセット1404を有しなくてもよい。したがって、磁石対間に組み込まれたオフセット1404がある場合、より強力な磁石を使用することが望ましい場合がある。
【0056】
表面欠陥及び摩擦に対処する構成要素
図15は、磁気結合サンプル移動装置を備える収集システム1500の斜視図である。システム1500は、限定はしないが、以下の構成要素、すなわち、頂部チャンバー152と、底部チャンバー154と、従動側キャリッジ156(別名、被動トレイ)と、駆動側キャリッジ158(別名、駆動トレイ)と、分離プレート166と、圧縮ばね306と、片持ちばね1502とを備える。
【0057】
1つ以上の片持ちばねが、底部チャンバー154に取り付けられる。分離プレート166は、片持ちばねに取り付けられる。圧縮ばね306は、駆動側キャリッジ158に上向きの力を印加し、システム1500が同一平面でない可能性があるにもかかわらず、分離304と接触することを確実にするのに役立つ。片持ちばね1502は、分離プレート166への柔軟な取付けをもたらす。1つの実施形態において、4つの片持ちばね1502が分離プレート166の下面に取り付けられる。片持ちばね1502は、分離プレート166の下面の角部に又はその付近に取り付けられる。
【0058】
図16は、磁気結合サンプル移動装置を備える収集システム1500の別の斜視図である。摺動面は、静止摩擦が低度乃至ゼロとなることが望ましい。静止摩擦とは、表面同士が動き出すことを妨げる傾向がある摩擦である。摺動面は、例えば、分離プレート304と、分離プレート166に沿って摺動する表面とを含む。したがって、低度乃至ゼロの静止摩擦の運動のために重要な検討事項は、従動側キャリッジ156、駆動側キャリッジ158、及び分離プレート166を含む、摺動材料に対する材料選択である。
【0059】
各キャリッジ156、158の摺動面は、利用可能な最低COF(摩擦係数)又は最小限のCOFを有する材料から作製されるべきである。摺動面は、高い耐化学性も有するべきである。キャリッジ156、158の例示の好適な材料として、限定はしないが、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)、及び/又はPP(ポリプロピレン)が挙げられる。
【0060】
また、分離プレート166の摺動面は、低/最低COF及び低い耐化学性を有する材料から作製されるべきである。また、摺動面の材料は、高い耐摩耗性、低い熱伝導性、及び高い剛性を有するべきである。分離プレート166の例示の好適な材料として、限定はしないが、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPSU(ポリフェニルスルホン)、及び/又はPCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)が挙げられる。分離プレート166の材料は、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)を含むコーティングから利益を得て、耐摩耗性を向上し、COF(摩擦係数)を低減することができる。分離プレート166及び/又はキャリッジ156、158に対して、様々なアセタールグレードも考えられ得る。
【0061】
図22は、キャリッジ156、158上の摺動バンプ形状2200の概念図である。キャリッジ156、158は、接触面形状として機能し得る複数のバンプ2202(例えば、突出形状)を備えることができる。バンプ2202は、摺動面間のCOF(摩擦係数)を低減し、摺動摩耗を主としてバンプ2202に隔離することができることが有利である。バンプ2202は、キャリッジ(例えば、従動側キャリッジ156及び/又は駆動側キャリッジ158)の本体と同じ材料に成形又は機械加工される。
【0062】
図23は、キャリッジ156、158上の摺動バンプ形状2300の概念図である。キャリッジ156、158は、接触面形状として機能し得る複数のバンプ2302(例えば、突出形状)を備えることができる。バンプ2302は、摺動面間のCOF(摩擦係数)を低減し、摺動摩耗を主としてバンプ2002に隔離することができることが有利である。バンプ2302は、キャリッジ156、158の本体とは異なる材料から作製される。バンプ2302は、キャリッジ156、158の本体よりも高価な材料から作製される場合がある。より高価なバンプ2302は、キャリッジ156、158の本体よりも望ましい特性を有し得る。バンプ2302は、キャリッジ156、158の本体の体積に挿入することができる。したがって、キャリッジ156、158の本体は、バンプ2302の材料よりも安価な材料から作製してもよい。
【0063】
図24は、駆動側キャリッジ158の様々なばね収集システム2400の概念図である。例示のばね収集システム2400は、限定はしないが、圧縮コイルばね2402、引張コイルばね2404、定力ドラムばね2406、ガスばね若しくは発泡ゴムばね2408、板ばね若しくは片持ちばね2410、及び/又はトーションばね2412を備えることができる。ばね収集システム2400は、駆動側キャリッジ158にばね力を負荷して分離プレート166に押し付ける。ばね収集は、駆動側磁石302と従動側磁石202との間に可能な限り一貫した距離を維持するのに役立つ。
【0064】
従動側キャリッジの検出位置のフィードバックシステム
システム100は、駆動側キャリッジ158を駆動する位置決めステージの標準的な回転フィードバック(例えば、電気モーター、サーボモーターのエンコーダー)及び標準的な直線位置フィードバック(例えば、接触スイッチ)を提供することができる。しかしながら、従動側キャリッジ156は、そのような直接フィードバックシステムから隔離される。平面における従動側キャリッジ156の水平位置を検出するために、システム100は、いくつかの技術のうちの1つを実装することができる。従動側キャリッジ156の位置を検出することにより、駆動側キャリッジ158の位置も確かめられる。
【0065】
システム100は、水平のX及びY方向における距離及び動きを検知するキャリッジ156、158の直線位置フィードバックシステムを備えることができる。センサーは、平面における従動側キャリッジ156の水平位置、速度、及び加速度を検出するために、例えば、X方向センサー及びY方向センサーを含むことができる。距離及び動きを経時的に検出することにより、距離を時間で微分して、速度を求めることができ、速度を時間で更に微分して、移動中の従動側キャリッジ156の加速度を求めることができる。
【0066】
図17は、キャリッジ156、158の直線光学位置フィードバックシステム1700の概念図である。システム100は、水平のX及びY方向における動きを検知する、X方向反射器フォトカプラー位置センサー1702及びY方向反射器フォトカプラー位置センサー1704を実装することができる。X方向センサー及びY方向センサーは、光源(例えば、LED又はレーザーダイオード)及び受光器(例えば、光検出器)を備える。X方向センサー1702の光源は、従動側キャリッジ156の側部のスポット1703Sへの透過光ビーム1703Tを発生し、これは、反射光ビーム1703Rとして反射される。X方向センサー1702の受光器は、反射光ビーム1703Rを受け取り、これを透過光ビーム1703Tと比較することで、X方向距離を求めることができる。同様に、Y方向センサー1704の光源は、従動側キャリッジ156の垂直側部のスポット1706Sへの透過光ビーム1706Tを発生し、これは、反射光ビーム1706Rとして反射される。Y方向センサー1704の受光器は、反射光ビーム1706Rを受け取り、これを透過光ビーム1706Tと比較することで、Y方向距離を求めることができる。X方向距離及びY方向距離は、時間で微分して、移動中の従動側キャリッジ156のX方向及びY方向の速度及び加速度を求めることができる。
【0067】
図18は、キャリッジ156、158の再帰反射位置フィードバックシステム1800の概念図である。フィードバックシステム1800は、限定はしないが、再帰反射光学位置センサー1802、透明層1806、コードホイール、及び/又はコードストリップ1808を備える。位置センサー1802は、限定はしないが、発光ダイオード1803及び信号処理回路部1804を備える。透明層1806は、分離プレート166を備えることができる。
【0068】
発光ダイオード1803は、透明層を通してコードホイール及び/又はコードストリップ1808上に光を投射する。コードホイール及び/又はコードストリップ1808は、従動側キャリッジ156の底面に取り付けられる。コードホイール及び/又はコードストリップ1808は、信号処理回路1804に光を反射する。コードホイール及び/又はコードストリップ1808から反射された光に基づいて、信号処理回路1804は、従動側キャリッジ156の位置、速度、及び加速度を計算することができる。
【0069】
図19Aは、キャリッジ156、158のホール効果位置フィードバックシステム1900の概念図である。フィードバックシステム1900は、限定はしないが、ホール効果センサー1902及び磁石202を備える。
【0070】
図19Bは、磁石による磁界が存在するときのホール効果の図である。
図19Cは、磁界を発生する磁石がホール効果センサーを横切って移動する際にホール効果センサーによって検知される磁束の図である。ホール効果とは、電気導体の両端間で、導体の電流と電流に垂直に印加される磁界とに対して横断方向に電圧差(例えば、ホール電圧)が生じることである。
【0071】
ホール効果センサー1902は、キャリッジに結合することができる。ホール効果センサーは、通常、従動側キャリッジ152に結合されるが、付加的又は代替的に、駆動側キャリッジ154に結合してもよい。ホール効果センサー1902は、従動側キャリッジ156における磁石202の位置を検出する。ホール効果センサー1902は、限定はしないが、X軸ホール効果センサー及びY軸ホール効果センサーを含む。ホール効果センサー1902は、駆動側キャリッジ158と従動側キャリッジ156との間の相対移動を検出及び報告する。
【0072】
ホール効果センサー1902及び光学センサー1802に加えて、フィードバックシステムは、従動側キャリッジ156の位置及び/又は存在を検出するのに他の検知技術を使用することができる。例えば、フィードバックシステムは、容量近接センサー(
図20)及び/又は誘導近接センサー(
図21A~
図21C)等の近接センサーを使用することができる。
【0073】
図20は、キャリッジ156、158の容量近接フィードバックシステム2000の概念図である。フィードバックシステム2000は、限定はしないが、以下の構成要素、すなわち、容量近接センサー2002及び標的2012を備える。容量近接センサー2002は、限定はしないが、発振回路2004と、トリガー回路2006と、変調器回路2008とを備える。フィードバックシステム2000は、頂部チャンバー152、底部チャンバー154、又はフローサイトメトリーシステム90の別の場所に結合することができる。
【0074】
フィードバックシステム2000は、従動側キャリッジ156の位置、存在、及び/又は不在を検出することができる。容量近接センサー2002は、金属物体及び非金属物体を検出することができる。センサー2002におけるキャパシタンスの変化は、物体が移動して、静電界2010内に存在するか又は静電界2010からなくなっているかについての測定である。キャパシタンスの変化は、発振回路2004、トリガー回路2006、及び変調器回路2008の組合せによって導出される。同心導体によって発生した静電界2010は、同心導体付近の標的2012(例えば、従動側キャリッジ156)によって妨害される。標的2012が近接することで、同心導体によって形成されるキャパシタンスが変化する。キャパシタンス及び/又はキャパシタンスの変化に基づいて、センサー2002は、従動側キャリッジ156の近接を検出することができる。
【0075】
図21A~
図21Cは、キャリッジ156、158の誘導近接フィードバックシステム2100の概念図である。誘導近接フィードバックシステム2100は、限定はしないが、以下の構成要素、すなわち、誘導近接センサー2102及び標的2120を備える。誘導近接センサー2102は、限定はしないが、検出コイル2110と、発振回路2112と、発振状態検知回路2114と、出力回路2116と、動作表示器2118とを備える。フィードバックシステム2100は、頂部チャンバー152、底部チャンバー154、又はフローサイトメトリーシステム90の別の場所に結合することができる。
【0076】
フィードバックシステム2100は、従動側キャリッジ156の位置、存在、及び/又は不在を検出することができる。誘導近接センサー2102は、金属物体を検出することができる。センサー2102は、高周波磁界2122を放出する。誘導近接センサー2102の検出コイル2110は、検知方向2108にある標的2120を検出する。渦電流2124は、金属標的2120の抵抗に起因するエネルギー損失(例えば、熱エネルギー損失)を発生させる。エネルギー損失により、発振回路2110における振動の振幅が低減する。発振状態検知回路2114は、振動の振幅の変化を検知する。出力回路2116は、結果を出力し、動作表示器2118を介して活動状態を知らせる。
【0077】
利点
収集システム100は、駆動側キャリッジ158における磁石302を使用して、従動側キャリッジ156における他の磁石202の位置を制御する。それにより、駆動側キャリッジ158は、従動側キャリッジ156に物理的に接触することなく、従動側キャリッジ156の位置を制御することができる。磁気結合位置決めシステム100は、分離プレート166の構成要素によって分離された2つの環境を有することによって、駆動側キャリッジ158とは大きく異なる化学的環境に、従動側キャリッジ156を有することができる。そのような分離は、いくつかの状況において非常に望ましい場合がある。例えば、従動側キャリッジ156は、温度制御環境内にあることが必要とされ得るが、駆動側キャリッジ158の温度の設定及び維持は、実現可能でない又は望ましくない場合がある。別の例において、従動側キャリッジ156及びその環境は、過激な化学物質又は生体に有害な材料にさらされる場合がある。そのような状況において、従動側キャリッジ156の材料セット及び幾何学形状は、その近辺の/さらされる環境に伴い、これらの危険性に耐えるように選択及び設計することができる。従来のシステムでは、材料を選択し、駆動側キャリッジ158の構成要素に対する損傷を防ぐことができる設計を取り入れるにはコストがかかる。そのような損傷は、直接的に、又は、強力な化学物質及び複雑な手順を使用した必要な消毒及び洗浄によって生じる。幸い、2つの環境を互いに分離することで、本収集システム100は、コスト及びメンテナンスの難しさを低減することができる。収集システム100は、従動側キャリッジ156の環境のみが過激な要素(例えば、過激な化学物質、過激な温度、過激な生体材料、過激な蒸気等)にさらされるように設計される。
【0078】
ソフトウェアで実装されると、本発明の実施形態の要素は、本質的に、必要なタスクを実施するプログラム、コードセグメント、又は命令である。プログラム、コードセグメント、又は命令は、プロセッサによって読取られ実行され得るプロセッサ可読媒体又は記憶デバイスに記憶され得る。プロセッサ可読媒体は、情報を記憶し得る任意の媒体を含むことができる。プロセッサ可読媒体の例は、限定することなく、電子回路、半導体メモリデバイス、読出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EPROM)、フロッピーディスク、CD-ROM、光ディスク、及び磁気ディスクを含む。プログラム又はコードセグメントを、インターネット、イントラネット等のようなコンピュータネットワークを介してダウンロードし、プロセッサ可読媒体又は記憶デバイスに記憶することができる。
【0079】
先行する詳細な説明の或る部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対して演算を実施するアルゴリズム及び記号的表現によって提示されている場合がある。これらのアルゴリズム的記述及び表現は、データ処理技術の当業者の作業の実質を他の当業者に最も効果的に伝達する、当業者によって使用されるツールである。アルゴリズムは、本明細書において概して、所望の結果に導く演算の自己矛盾のないシーケンスであると考えられる。演算は、物理量の物理的操作を必要とする演算である。通常、必ずしもそうではないが、これらの量は、記憶され、転送され、結合され、比較され、別様に操作されることが可能な電気信号(例えば、電流又は電圧)又は磁気信号の形態をとることができる。これらの信号を、ビット、値、レベル、要素、シンボル、キャラクター、用語、数字等として指すことが、主に一般的使用のためにしばしば好都合であることがわかっている。
【0080】
しかし、これらの及び同様の用語の全ては、適切な物理量に関連付けられ、これらの量に適用される好都合なラベルに過ぎない。別途特に述べない限り、上記議論から明らかであるように、説明全体を通して、「処理すること(processing)」又は「計算すること(computing)」又は「計算すること(calculating)」又は「決定すること(determining)」又は「表示すること(displaying)」等の用語を利用する議論が、コンピュータシステム、処理ロジック、又は同様の電子コンピューティングデバイスのアクション及びプロセスを指し、そのアクション及びプロセスが、自動的に又は半自動的に、コンピュータシステムのレジスター及びメモリ内で物理(電子)量として表現されるデータを操作し、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスター又は他のこうした情報記憶、伝送、又は表示デバイス内の物理量として同様に表現される他のデータに変換することが認識される。
【0081】
さらに、本発明の実施形態は、いずれの特定のプログラミング言語をも参照して述べられてはいない。様々なプログラミング言語を、本明細書で述べる本発明の実施形態の教示を実装するために使用することができることが認識されるであろう。
【0082】
本開示は他の実施形態又は目的を企図する。本発明の実施形態が、制限のためでなく例証のために本明細書において提示される、述べる実施形態の手段と別の手段によって実施され得ることが認識されるであろう。明細書及び図面は、本特許文書の排他的な範囲を制限することを意図されない。本明細書で論じる特定の実施形態についての様々な等価物を、特許請求される本発明によって同様に実施することができることが留意される。すなわち、本発明の特定の実施形態が述べられたが、上記説明を考慮して、多くの代替、修正、置換え、及び変形が明らかになることが明白である。したがって、特許請求される本発明が、添付特許請求項の範囲内に入る、全てのこうした代替、修正、及び変形を包含することが意図される。生成物、プロセス、又は方法が、述べた例示的な実施形態のうちの1つ以上からの差を示すことは、生成物又はプロセスが添付特許請求項の範囲(逐語範囲及び/又は他の法的に認められる範囲)外にあることを意味しない。
【図】
【国際調査報告】