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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(54)【発明の名称】電解メッキ装置及び電解メッキ方法
(51)【国際特許分類】
   C25D 21/10 20060101AFI20240131BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
C25D21/10 301
H05K3/18 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547417
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 CN2021137466
(87)【国際公開番号】W WO2022166406
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】202110154928.5
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510005650
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ワン ホイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャア ジャオウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ホンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ル チョンホア
(72)【発明者】
【氏名】リー ジャアチー
(72)【発明者】
【氏名】ウー モン
【テーマコード(参考)】
5E343
【Fターム(参考)】
5E343AA02
5E343DD45
5E343FF16
5E343GG20
(57)【要約】
本発明の一実施形態では、電解メッキ装置および電解メッキ方法が開示される。電解メッキ装置は、平行に配置された複数のパドルを備える。パドルは基板と平行な方向に移動し、電解メッキ溶液を撹拌するために使用される。1サイクル内でパドルは設定されたストロークで往復運動を行い、往復運動の反転点はパドルの幅と隣り合うパドル間の隙間の最も狭い幅に関連する。本発明によれば、パドルのサイズと動作モードを設計することにより、基板上の対応する各点がパドルによってブロックされる累積時間が等しくなり、受け取る電気量が等しくなる。これにより、電解メッキの高さの均一性がさらに改善される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して平行に配置され、電解メッキ溶液を撹拌するために移動する、複数の平行なパドルを備えた電解メッキ装置であって、コントローラと、駆動機構とをさらに備え、前記駆動機構は、前記コントローラと前記複数のパドルとに接続され、前記コントローラは、駆動機構を制御して、基板上の対応する各点のパドルによってブロックされる累積時間が等しくなるようにパドルを周期的に移動させ、
パドルの配列方向を座標軸方向としたとき、1サイクル内のパドルの移動ステップは、
座標原点から座標Δへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標2cへ左に移動し、
・・・
座標Δ+(N-1)*cへ右に移動し、
座標N*cへ左に移動し、
座標Δ+N*cへ右に移動し、
左に移動して原点座標に戻ること、を含み、
aを前記パドルの幅とし、bを隣接する前記パドルの間の隙間の最小の幅として、Δ≧a+bであり、
【数1】
であり、Nを整数として、b=N*aまたはa=N*bであることを特徴とする電解メッキ装置。
【請求項2】
前記パドルと前記基板との間に、複数の貫通孔を有する拡散板が設けられ、拡散板が複数の貫通孔を有することを特徴とする請求項1に記載の電解メッキ装置。
【請求項3】
ガイドレールを備え、前記パドルは、一方の側面が駆動機構に接続され、他方の側面がガイドレールに偏心軸受を介してスライド可能に接続されたパドルプレートに、短冊状の貫通孔を空けて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電解メッキ装置。
【請求項4】
前記駆動機構、偏心軸受及びガイドレールは窒素保護箱で囲まれており、前記窒素保護箱には窒素入口及び窒素出口が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電解メッキ装置。
【請求項5】
基板に対して平行に配置され、電解メッキ溶液を撹拌するために移動する、複数の平行なパドルを備えた電解メッキ装置であって、コントローラと、駆動機構とをさらに備え、前記駆動機構は、前記コントローラと前記複数のパドルとに接続され、前記コントローラは、駆動機構を制御して、基板上の対応する各点のパドルによってブロックされる累積時間が等しくなるようにパドルを周期的に移動させ、
パドルの配列方向を座標軸方向としたとき、1サイクル内のパドルの移動ステップは、
座標cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標2cへ左に移動し、
・・・
座標Δ+(N-1)*cへ右に移動し、
座標N*cへ左に移動し、
座標Δ+N*cへ右に移動し、
座標N*cへ左に移動し、
座標Δ+(N-1)*cへ右に移動し、
・・・
座標2cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
座標Δ+N*cへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
aを前記パドルの幅とし、bを隣接する前記パドルの間の隙間の最小の幅として、Δ≧a+bであり、
【数2】
であり、Nを整数として、b=N*aまたはa=N*bであることを特徴とする電解メッキ装置。
【請求項6】
前記パドルと前記基板との間に、複数の貫通孔を有する拡散板が設けられ、拡散板が複数の貫通孔を有することを特徴とする請求項5に記載の電解メッキ装置。
【請求項7】
ガイドレールを備え、前記パドルは、一方の側面が駆動機構に接続され、他方の側面がガイドレールに偏心軸受を介してスライド可能に接続されたパドル板に、短冊状の貫通孔を空けて形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電解メッキ装置。
【請求項8】
前記駆動機構、偏心軸受及びガイドレールは窒素保護箱で囲まれており、前記窒素保護箱には窒素入口及び窒素出口が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の電解メッキ装置。
【請求項9】
基板に対して平行に配置され、電解メッキ溶液を撹拌するために移動する、複数の平行なパドルを備えた電解メッキ装置であって、コントローラと、駆動機構とをさらに備え、前記駆動機構は、前記コントローラと前記複数のパドルとに接続され、前記コントローラは、駆動機構を制御して、基板上の対応する各点のパドルによってブロックされる累積時間が等しくなるようにパドルを周期的に移動させ、
パドルの配列方向を座標軸方向としたとき、1サイクル内のパドルの移動ステップは、
原点から座標Δへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標2cへ左に移動し、
・・・
座標Δ+(yー2)*cへ右に移動し、
座標(y-1)*cへ左に移動し、
座標Δ+(yー1)*cへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
aを前記パドルの幅とし、bを隣接する前記パドルの間の隙間の最小の幅として、Δ≧a+bであり、
【数3】
であり、Nを1よりも大きい非整数とし、xをx*Nが整数となる値として、y=x*(N+1)であり、b=N*aまたはa=N*bであることを特徴とする電解メッキ装置。
【請求項10】
基板に対して平行に配置され、電解メッキ溶液を撹拌するために移動する、複数の平行なパドルを備えた電解メッキ装置であって、コントローラと、駆動機構とをさらに備え、前記駆動機構は、前記コントローラと前記複数のパドルとに接続され、前記コントローラは、駆動機構を制御して、基板上の対応する各点のパドルによってブロックされる累積時間が等しくなるようにパドルを周期的に移動させ、
パドルの配列方向を座標軸方向としたとき、1サイクル内のパドルの移動ステップは、
原点から座標Δへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標2cへ左に移動し、
・・・
座標Δ+(yー2)*cへ右に移動し、
座標(y-1)*cへ左に移動し、
座標Δ+(y-1)*cへ右に移動し、
座標(y-1)*cへ左に移動し、
座標Δ+(y-2)*cへ右に移動し、
・・・
座標2cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
座標Δ+(yー1)*cへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
aを前記パドルの幅とし、bを隣接する前記パドルの間の隙間の最小の幅として、Δ≧a+bであり、
【数4】
であり、Nを1よりも大きい非整数とし、xをx*Nが整数となる値として、y=x*(N+1)であり、b=N*aまたはa=N*bであることを特徴とする電解メッキ装置。
【請求項11】
基板に対して平行に配置され、電解メッキ溶液を撹拌するために移動する複数の平行なパドルを設置し、基板上の対応する各点のパドルによってブロックされる累積時間が等しくなるようにパドルの移動を制御する電解メッキ方法であって、
パドルの配列方向を座標軸方向としたとき、1サイクル内のパドルの移動ステップは、
座標原点から座標Δへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標2cへ左に移動し、
・・・
座標Δ+(N-1)*cへ右に移動し、
座標N*cへ左に移動し、
座標Δ+N*cへ右に移動し、
左に移動して原点座標に戻ること、を含み、
aを前記パドルの幅とし、bを隣接する前記パドルの間の隙間の最小の幅として、Δ≧a+bであり、
【数5】
であり、Nを整数として、b=N*aまたはa=N*bであることを特徴とする電解メッキ方法。
【請求項12】
基板に対して平行に配置され、電解メッキ溶液を撹拌するために移動する複数の平行なパドルを設置し、基板上の対応する各点のパドルによってブロックされる累積時間が等しくなるようにパドルの移動を制御するで電解メッキ方法であって、
パドルの配列方向を座標軸方向としたとき、1サイクル内のパドルの移動ステップは、
座標cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標2cへ左に移動し、
・・・
座標Δ+(N-1)*cへ右に移動し、
座標N*cへ左に移動し、
座標Δ+N*cへ右に移動し、
座標N*cへ左に移動し、
座標Δ+(N-1)*cへ右に移動し、
・・・
座標2cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
座標Δ+N*cへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
aを前記パドルの幅とし、bを隣接する前記パドルの間の隙間の最小の幅として、Δ≧a+bであり、
【数6】
であり、Nを整数として、b=N*aまたはa=N*bであることを特徴とする電解メッキ方法。
【請求項13】
基板に対して平行に配置され、電解メッキ溶液を撹拌するために移動する複数の平行なパドルを設置し、基板上の対応する各点のパドルによってブロックされる累積時間が等しくなるようにパドルの移動を制御するで電解メッキ方法であって
パドルの配列方向を座標軸方向としたとき、1サイクル内のパドルの移動ステップは、
原点から座標Δへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標2cへ左に移動し、
・・・
座標Δ+(yー2)*cへ右に移動し、
座標(y-1)*cへ左に移動し、
座標Δ+(yー1)*cへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
aを前記パドルの幅とし、bを隣接する前記パドルの間の隙間の最小の幅として、Δ≧a+bであり、
【数7】
であり、Nを1よりも大きい非整数とし、xをx*Nが整数となる値として、y=x*(N+1)であり、b=N*aまたはa=N*bであることを特徴とする電解メッキ方法。
【請求項14】
基板に対して平行に配置され、電解メッキ溶液を撹拌するために移動する複数の平行なパドルを設置し、基板上の対応する各点のパドルによってブロックされる累積時間が等しくなるようにパドルの移動を制御するで電解メッキ方法であって、
パドルの配列方向を座標軸方向としたとき、1サイクル内のパドルの移動ステップは、
原点から座標Δへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標2cへ左に移動し、
・・・
座標Δ+(yー2)*cへ右に移動し、
座標(y-1)*cへ左に移動し、
座標Δ+(y-1)*cへ右に移動し、
座標(y-1)*cへ左に移動し、
座標Δ+(y-2)*cへ右に移動し、
・・・
座標2cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
座標Δ+(yー1)*cへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
aを前記パドルの幅とし、bを隣接する前記パドルの間の隙間の最小の幅として、Δ≧a+bであり、
【数8】
であり、Nを1よりも大きい非整数とし、xをx*Nが整数となる値として、y=x*(N+1)であり、b=N*aまたはa=N*bであることを特徴とする電解メッキ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の分野に関し、より詳細には電解メッキ装置及び電解メッキ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電解メッキは、銅の相互接続を完成させるための主要な処理である。現在、市場には水平ジェットカップメッキと垂直ラックメッキの2種類の電解メッキ装置がある。垂直ラックメッキとは、基板をメッキ液に垂直に浸漬するものであり、1つのメッキ槽で複数の基板を同時にメッキすることができる。カップメッキとは、カップ状のメッキ槽で基板を覆い、基板1枚につき1カップずつメッキを行うものである。ラックメッキと比較して、カップメッキの処理はより制御しやすく、より複雑で多様な製品要件を満たすことができる。
【0003】
技術の発展に伴い、チップ面積は増大し、チップ内のバンプ数も急増している。単一のチップ内に数万個、場合によっては100,000個を超えるバンプが存在する場合もある。電解メッキ処理では、より高い電解メッキ速度と出力が要求され、高度なパッケージングの分野では、チップ内のより高い均一性も要求される。しかし、弱い撹拌では、チップ内の均一性、すなわちバンプの同一平面性を実現することが困難である。同時に、チップ間の相互接続の高度なパッケージング技術の場合、銅柱の高さは250μmに達する可能性があり、電解メッキ処理中の物質移動に対してより高い要件が課せられる。通常の撹拌では物質移動が弱く、生産能力や品質の要求に応えることができない。
【0004】
電解メッキ溶液の撹拌を強化するために、基板表面に平行な複数のパドルを含むパドルアセンブリを電解メッキ装置に取り付けることができる。パドルが往復運動して電解メッキ溶液を撹拌し、金属イオンと電解メッキ添加剤を基板表面に十分に供給する。しかし、実際には、通常のパドルによる撹拌処理では、基板の表面がパドルによってブロックされる時間を制御することはできない。その結果、基板表面の各点で受ける電気量が不均一になり、電解メッキの高さが不均一になるという問題が依然として存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記の技術的課題に鑑み、基板上の電解メッキの高さの均一性を向上させる電解メッキ装置および電解メッキ方法を提供することを目的とする。
【0006】
この目的を達成するために、本発明の一実施形態は、電解メッキ溶液を撹拌するために基板に対して平行に配置された複数の平行なパドルを備える電解メッキ装置を提案する。電解メッキ装置は、コントローラおよび駆動機構をさらに備える。駆動機構はコントローラおよびパドルにそれぞれ接続されており、コントローラは、パドルによってブロックされる基板上の対応する各点の累積時間が等しくなるようにパドルを周期的に移動させるように、駆動機構を制御する。
【0007】
パドルの配列方向を座標軸方向としたとき、1サイクル内のパドルの移動ステップは、
座標原点から座標Δへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標2cへ左に移動し、
・・・
座標Δ+(N-1)*cへ右に移動し、
座標N*cへ左に移動し、
座標Δ+N*cへ右に移動し、
左に移動して原点座標に戻ること、を含み、
aを前記パドルの幅とし、bを隣接する前記パドルの間の隙間の最小の幅として、Δ≧a+bであり、
【数1】
であり、Nを整数として、b=N*aまたはa=N*bである。
【0008】
本発明の別の実施形態は、電解メッキ溶液を撹拌するために基板に対して平行に配置された複数の平行なパドルを備える電解メッキ装置を提案する。電解メッキ装置は、コントローラおよび駆動機構をさらに備える。駆動機構はコントローラおよびパドルにそれぞれ接続されており、コントローラは、パドルによってブロックされる基板上の対応する各点の累積時間が等しくなるようにパドルを周期的に移動させるように、駆動機構を制御する。
パドルの配列方向を座標軸方向としたとき、1サイクル内のパドルの移動ステップは、
座標cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標2cへ左に移動し、
・・・
座標Δ+(N-1)*cへ右に移動し、
座標N*cへ左に移動し、
座標Δ+N*cへ右に移動し、
座標N*cへ左に移動し、
座標Δ+(N-1)*cへ右に移動し、
・・・
座標2cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
座標Δ+N*cへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
aを前記パドルの幅とし、bを隣接する前記パドルの間の隙間の最小の幅として、Δ≧a+bであり、
【数2】
であり、Nを整数として、b=N*aまたはa=N*bである。
【0009】
本発明の別の実施形態は、電解メッキ溶液を撹拌するために基板に対して平行に配置された複数の平行なパドルを備える電解メッキ装置を提案する。電解メッキ装置は、コントローラおよび駆動機構をさらに備える。駆動機構はコントローラおよびパドルにそれぞれ接続されており、コントローラは、パドルによってブロックされる基板上の対応する各点の累積時間が等しくなるようにパドルを周期的に移動させるように、駆動機構を制御する。
パドルの配列方向を座標軸方向としたとき、1サイクル内のパドルの移動ステップは、
原点から座標Δへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標2cへ左に移動し、
・・・
座標Δ+(yー2)*cへ右に移動し、
座標(y-1)*cへ左に移動し、
座標Δ+(yー1)*cへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
aを前記パドルの幅とし、bを隣接する前記パドルの間の隙間の最小の幅として、Δ≧a+bであり、
【数3】
であり、Nを1よりも大きい非整数とし、xをx*Nが整数となる値として、y=x*(N+1)であり、b=N*aまたはa=N*bである。
【0010】
本発明の別の実施形態は、電解メッキ溶液を撹拌するために基板に対して平行に配置された複数の平行なパドルを備える電解メッキ装置を提案する。電解メッキ装置は、コントローラおよび駆動機構をさらに備える。駆動機構はコントローラおよびパドルにそれぞれ接続されており、コントローラは、パドルによってブロックされる基板上の対応する各点の累積時間が等しくなるようにパドルを周期的に移動させるように、駆動機構を制御する。
パドルの配列方向を座標軸方向としたとき、1サイクル内のパドルの移動ステップは、
原点から座標Δへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標2cへ左に移動し、
・・・
座標Δ+(yー2)*cへ右に移動し、
座標(y-1)*cへ左に移動し、
座標Δ+(y-1)*cへ右に移動し、
座標(y-1)*cへ左に移動し、
座標Δ+(y-2)*cへ右に移動し、
・・・
座標2cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
座標Δ+(yー1)*cへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
aを前記パドルの幅とし、bを隣接する前記パドルの間の隙間の最小の幅として、Δ≧a+bであり、
【数4】
であり、Nを1よりも大きい非整数とし、xをx*Nが整数となる値として、y=x*(N+1)であり、b=N*aまたはa=N*bである。
【0011】
本発明の一実施形態は、基板に対して平行に配置され、電解メッキ溶液を撹拌するために移動する複数の平行なパドルを設置し、パドルが周期的に移動して、基板上の対応する各点のパドルによってブロックされる累積時間が等しくなるようにパドルを制御する電解メッキ方法を提案する。
パドルの配列方向を座標軸方向としたとき、1サイクル内のパドルの移動ステップは、
座標原点から座標Δへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標2cへ左に移動し、
・・・
座標Δ+(N-1)*cへ右に移動し、
座標N*cへ左に移動し、
座標Δ+N*cへ右に移動し、
左に移動して原点座標に戻ること、を含み、
aを前記パドルの幅とし、bを隣接する前記パドルの間の隙間の最小の幅として、Δ≧a+bであり、
【数5】
であり、Nを整数として、b=N*aまたはa=N*bである。
【0012】
本発明の別の実施形態は、基板に対して平行に配置され、電解メッキ溶液を撹拌するために移動する複数の平行なパドルを設置し、パドルが周期的に移動して、基板上の対応する各点のパドルによってブロックされる累積時間が等しくなるようにパドルを制御する電解メッキ方法を提案する。
パドルの配列方向を座標軸方向としたとき、1サイクル内のパドルの移動ステップは、
座標cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標2cへ左に移動し、
・・・
座標Δ+(N-1)*cへ右に移動し、
座標N*cへ左に移動し、
座標Δ+N*cへ右に移動し、
座標N*cへ左に移動し、
座標Δ+(N-1)*cへ右に移動し、
・・・
座標2cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
座標Δ+N*cへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
aを前記パドルの幅とし、bを隣接する前記パドルの間の隙間の最小の幅として、Δ≧a+bであり、
【数6】
であり、Nを整数として、b=N*aまたはa=N*bである。
【0013】
本発明の別の実施形態は、基板に対して平行に配置され、電解メッキ溶液を撹拌するために移動する複数の平行なパドルを設置し、パドルが周期的に移動して、基板上の対応する各点のパドルによってブロックされる累積時間が等しくなるようにパドルを制御する電解メッキ方法を提案する。
パドルの配列方向を座標軸方向としたとき、1サイクル内のパドルの移動ステップは、
原点から座標Δへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標2cへ左に移動し、
・・・
座標Δ+(yー2)*cへ右に移動し、
座標(y-1)*cへ左に移動し、
座標Δ+(yー1)*cへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
aを前記パドルの幅とし、bを隣接する前記パドルの間の隙間の最小の幅として、Δ≧a+bであり、
【数7】
であり、Nを1よりも大きい非整数とし、xをx*Nが整数となる値として、y=x*(N+1)であり、b=N*aまたはa=N*bである。
【0014】
本発明の別の実施形態は、基板に対して平行に配置され、電解メッキ溶液を撹拌するために移動する複数の平行なパドルを設置し、パドルが周期的に移動して、基板上の対応する各点のパドルによってブロックされる累積時間が等しくなるようにパドルを制御する電解メッキ方法を提案する。
パドルの配列方向を座標軸方向としたとき、1サイクル内のパドルの移動ステップは、
原点から座標Δへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標2cへ左に移動し、
・・・
座標Δ+(yー2)*cへ右に移動し、
座標(y-1)*cへ左に移動し、
座標Δ+(y-1)*cへ右に移動し、
座標(y-1)*cへ左に移動し、
座標Δ+(y-2)*cへ右に移動し、
・・・
座標2cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
座標Δ+(yー1)*cへ右に移動し、
左に移動して原点に戻り、
aを前記パドルの幅とし、bを隣接する前記パドルの間の隙間の最小の幅として、Δ≧a+bであり、
【数8】
であり、Nを1よりも大きい非整数とし、xをx*Nが整数となる値として、y=x*(N+1)であり、b=N*aまたはa=N*bである。
【0015】
本発明は、パドルが基板上の対応する各点を等しい時間ブロックし、等しい電気量を受け取るパドルの移動モードを設計することにより、電解メッキの高さの均一性を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の第1実施形態による電解メッキ装置の概略図を示す。
図2図2は本発明の第1実施形態によるパドルボードの上面図を示す。
図3A図3Aは、本発明の第1実施形態によるパドルボードの断面図である。
図3B図3B図3AのD部拡大図である。
図4図4は、本発明の第1実施形態によるパドルの寸法を示す。
図5図5は、本発明の第1実施形態による、1サイクル内のパドルの位置変化を示す。
図6図6は、本発明の第2実施形態によるパドルの寸法を示す。
図7図7は、本発明の第2実施形態による1サイクル内のパドルの位置変化を示す図である。
図8図8は、本発明の第3実施形態によるパドルの寸法を示す。
図9図9は、本発明の第3実施形態による1サイクル内のパドルの位置変化を示す図である。
図10図10は、本発明の第4実施形態に係る1サイクル内でのパドルの位置変化の一態様を示す。
図11図11は、本発明の第5実施形態によるパドルの寸法を示す。
図12図12は、本発明の第5実施形態による1サイクル内のパドルの位置変化を示す図である。
図13図13は、本発明の第7実施形態による電解メッキ装置の概略図である。
図14図14は、本発明の第7実施形態による、拡散板を備えた電解メッキ装置と拡散板を備えない電解メッキ装置との間の電解メッキ結果の曲線の比較を示す。
図15図15は、本発明の第8実施形態によるパドルの座標位置を示す。
図16図16は、本発明の第9実施形態によるパドルボードとガイドレールの接続構造を示す。
図17図17は、本発明の第9実施形態による偏心軸受とガイドレールを囲むために使用される窒素保護ボックスを示す。
図18図18は、本発明の第10実施形態によるパドルボードの概略図である。
図19A図19Aは、既存の電解メッキ装置を用いた電解メッキの効果を示す。
図19B図19Bは、本発明の電解メッキ装置を使用した電解メッキの効果を示す。
図19C図19Cは、既存の電解メッキ装置と本発明の電解メッキ装置を使用した基板上のテストポイントの電解メッキ高さデータの比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の技術内容、構成的特徴、達成される目的および効果をより詳細に説明するために、以下に実施形態および添付図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
電解メッキ装置では、電解メッキ液の撹拌を促進するために、基板に対向する位置にパドルを設置することができる。電解メッキ中、パドルは基板と平行な方向に沿って往復運動し、電界メッキ溶液の撹拌を促進する。パドル自体が電場をブロックするため、パドル間の隙間のみが電場を通過させる。したがって、パドルに面する基板上の領域には「影」が生じ、そこでは受け取る電気量が「非影」領域よりも少なくなる。基板上の各箇所で「影になる」度合いが異なると、受け取る電気量が不均一になり、基板全体のメッキ高さが不均一になる。
【0019】
図19Aに示すように、電解メッキ中、基板は回転し、「影となる」ことによる結果は、基板の表面上の同心リング、すなわち、基板の半径方向に沿った電解メッキの高さの大きな変動として現れる。本発明は、「影となる」ことによる影響を排除し、基板上のすべての点で均一な電解メッキの高さを確保することを目的とする。
【0020】
第1実施形態
図1に示すように、本実施形態は、電解メッキタンク101、基板ホルダー102、および平行に配置された複数のパドル103を備える電解メッキ装置を開示する。基板ホルダー102は基板104をクランプするために使用され、パドル103は基板104と電極との間に基板104と平行に配置される。電解メッキ中、基板104およびパドル103は、電解メッキタンク101内の電解メッキ溶液に浸漬される。パドル103は、モータであり得る駆動機構105の駆動により基板104に平行な方向に沿って往復運動し、電解メッキ溶液を撹拌する。パドル103の移動方向は、パドル103に接続されたガイドレール109によってさらに制限されてもよい。駆動機構105はコントローラ106に接続されており、コントローラ106は駆動機構105をプログラムすることによってパドル103の動きを制御する。
【0021】
図2に示すように、パドル103は、パドルボード108の長方形の貫通孔が形成されることによって形成されている。パドルボード108の材料は、PVC、PC、CPVC、PPS、PEEK、PTFE、および他のプラスチック材料などの絶縁体である。具体的には、パドルボード108の中央の円形領域に、液体と電界が通過できる平行な長方形の貫通孔が加工されている。隣接する貫通孔の間の中実部分がパドル103を形成する。円形領域のサイズは基板104のサイズと一致する。
【0022】
図3Aおよび図3Bに示すように、パドル103の断面は、底辺がパドル103の配列方向である同一直線上に位置する略台形であってもよい。台形の2本の脚はわずかに湾曲している。
【0023】
パドル103の断面は、三角形または長方形であってもよい。長方形のパドルを備えたパドルボードと比較して、三角形または台形のパドルを備えたパドルボードの開口面積は大きいため、パドルボード108のより大きな開口面積を有する側面が基板104に面し、電解メッキ溶液がこちらの側面においてより十分に撹拌される。これにより、メッキの高さの均一性がさらに向上する。一方、高速撹拌時にはパドル103の側面に気泡が発生しやすいため、パドル103の側面に気泡が付着してしまう。パドル103の側面を傾斜面にすると、パドルボード108から気泡が排出されやすくなる。
【0024】
図4に示すように、二等辺三角形の形状を例にとると、パドル103の幅はaである。言い換えれば、パドル103の配列方向の座標軸上へのパドル103の投影幅は、二等辺三角形の底辺の長さであるaとなる。隣り合うパドル103間の隙間の最も狭い幅はbである。言い換えれば、隣接するパドル103上の2つの最近接点間の距離はbであり、これは、2つの隣接する二等辺三角形の隣接する頂点間の距離である。
【0025】
本実施形態では、a=b、つまり、パドルボード108の底部の開口領域の開口率は50%である。
【0026】
図4に矢印で示すように、パドル103の移動方向は、パドル103の配列方向と同一であり、パドル103の長さ方向と直交する方向でもある。パドル103自身によって電極と基板104との間に引き起こされる電場の妨害により、パドル103に対応する基板104上の領域は電気を受け取ることができない。しかしながら、隣接するパドル103の間のギャップに対応する基板104上の領域は、それらの間の電界を妨げるものがないため、電気を受け取ることができる。電解メッキ処理において、基板104上の各点が同じ量の電気を受け取ることができれば、基板104上の各点における電気めっきの高さを均一にすることができる。出願人は、これにはパドル103のサイズと動作モードの最適化設計が必要であることを発見した。
【0027】
図5に示すように、三角形はパドル103の断面を表す。理解を容易にするために、パドル103の1つを黒い三角形として描いている。複数のパドル103の相対位置は変わらないので、すべてのパドル103の動きは、選択された黒い三角のパドル103の動きと一致する。パドル103の配列方向を1次元の座標軸の方向とし、選択された黒三角パドル103の開始位置を座標系の原点とする。具体的には、選択された黒三角の左端点を座標系の原点とする。そして、パドル103は、Δ、a、Δ+a、0の4つの座標点を通過するように座標軸に沿って往復運動する。
【0028】
図5では、パドル103の座標位置を見やすくするために、座標軸に垂直な複数の破線を描いている。省略記号は図示されていないいくつかのパドル103を示す。枠付きの矢印はパドル103の変位を示す。図5からわかるように、1サイクル内のパドル103の動きは、次の4つのステップに分けられる。
ステップ501、原点から座標Δへ右に移動する、
ステップ502、座標aへ左に移動する、
ステップ503、座標Δ+aへ右に移動する、
ステップ504、左に移動して原点に戻る。
【0029】
1サイクル内で、パドル103は左右に交互に移動する。パドル103に対応する基板104上の各点は、等しい時間だけパドル103によってブロックされるため、電界が均一に分布している場合、パドル103に対応する基板104上の各点は、同じ電気量を受け取ることになる。したがって、各点の電解メッキの高さは同じになる。
【0030】
1サイクル内で、各反転位置でパドル103がカバーする座標範囲が重ならないようにするには、Δ≧a+b、つまり、Δ≧2aであることが必要であり、このようにすれば、電解メッキ中の各時点での撹拌度はよりバランスがとれる。パドル103の幅aは、5mm~15mmの範囲とすることができ、基板104のサイズおよび電解メッキ装置の部品のサイズに応じて設定することができる。a=5mm、Δ=15mmの場合を例にとると、パドル103は、15mm、5mm、20mm、0mmの4つの座標点で反転する。
【0031】
電解メッキ処理では、1サイクルの移動が完了した後、パドル103は直ちに次の移動サイクルに入る。
【0032】
第2実施形態
本実施形態は、図1に示す第1実施形態の電解メッキ装置の構成を全て備えた電解メッキ装置を開示する。ここでは、繰り返しの説明は行わない。
【0033】
第1実施形態と異なり、図6に示すように、aをパドル103の幅とし、bを隣接するパドル103間の最も狭い幅として、b=2aである。本実施形態におけるパドルプレート108の底部の開口率は、開口率50%に比べて大きい約66.7%である。パドル自身は、電界をよりブロックしない。したがって、パドル103の移動が異なる。図7に示すように、1サイクル内で、パドル103は、Δ、a、Δ+a、2a、Δ+2a、0の6つの座標点で反転する。パドル103の動きは次の6つのステップで構成される。
ステップ701、原点から座標Δへ右に移動する、
ステップ702、座標aへ左に移動する、
ステップ703、座標Δ+aへ右に移動する、
ステップ704、座標2aへ左に移動する、
ステップ705、座標Δ+2aは右に移動する、
ステップ706、左へ移動して原点に戻る。
【0034】
1サイクル内で、パドル103は左右に交互に移動する。パドル103に対応する基板104上の各点は、等しい時間だけパドル103によってブロックされるため、電界が均一に分布している場合、パドル103に対応する基板104上の各点は、同じ電気量を受け取ることになる。したがって、各点の電解メッキの高さは同じになる。
【0035】
1サイクル内で、各反転位置でパドル103がカバーする座標範囲が重ならないようにするには、Δ≧a+bである、つまり、Δ≧3aであることが必要である。a=6mm、Δ=20mmの場合を例にとると、パドル103は、20mm、6mm、26mm、12mm、32mm、0mmの6つの座標点で反転する。
【0036】
第3実施形態
本実施形態は、図1に示す第1実施形態の電解メッキ装置の構成を全て備えた電解メッキ装置を開示する。ここでは、繰り返しの説明は行わない。
【0037】
第1実施形態と異なり、図8に示すように、aをパドル103の幅とし、bを隣接するパドル103間の最も狭い幅として、a=2bである。本実施形態におけるパドルプレート108の底部の開口率は、より小さく約33.3%である。この寸法設計は、第2実施形態におけるパドル103の寸法と、隣接するパドル103間の隙間の間隔とを入れ換えたものと考えることができる。したがって、パドル103の動きを、第2実施形態で説明したものと類似するものとすることができ、パドル103は、Δ、b、Δ+b、2b、Δ+2b、0の6つの座標点で反転する。
【0038】
図9に示すように、1サイクル内のパドル103の動きは次の6つのステップで構成される。
ステップ901、原点から座標Δへ右に移動する、
ステップ902、座標bへ左に移動する、
ステップ903、座標Δ+bへ右に移動する、
ステップ904、座標2bへ左に移動する、
ステップ905、座標Δ+2bへ右に移動する、
ステップ906、左に移動して原点に戻る。
【0039】
1サイクル内で、パドル103は左右に交互に移動する。パドル103に対応する基板104上の各点は、等しい時間だけパドル103によってブロックされるため、電界が均一に分布している場合、パドル103に対応する基板104上の各点は、同じ電気量を受け取ることになる。したがって、各点の電解メッキの高さは同じになる。
【0040】
同様に、1サイクル内で、パドル103が反転する座標をできるだけ分散させるには、Δ≧a+b、つまり、Δ≧3bが必要である。b=10mm、Δ=35mmの場合を例にとると、パドル103が停止する座標は、35mm、10mm、45mm、20mm、55mm、0mmである。
【0041】
第4実施形態
第1実施形態~第3実施形態では、パドル103の幅aと、隣り合うパドル103間の隙間の最も狭い幅bとが整数倍である。パドル103の幅aと、隣接するパドル103の間の隙間の最も狭い幅bとが整数倍である電解メッキ装置について、本実施形態は、以下の電解メッキ方法を開示する。
【0042】
コントローラでプログラムを実行して、パドル103を次のように移動させる。1サイクル内でのパドル103の移動ステップは、
パドル103の配列方向に、原点から座標Δへ移動させ、
座標cへ逆方向に移動し、
座標Δ+cへパドル103の配列方向に移動し、
座標2cへ逆方向に移動し、
・・・
座標Δ+(N-1)*cへパドル103の配列方向に移動し、
座標N*cへ逆方向に移動し、
座標Δ+N*cへパドル103の配列方向に移動し、
逆方向に移動して原点に戻る、ことである。
ここで、Δ≧a+b、
【数9】
であり、Nを整数として、b=N*aまたはa=N*bである。
【0043】
一方で、パドル103の交互の移動により、電解メッキ溶液中の金属イオンおよび電解メッキ添加剤の分布を均一にすることができる。一方で、パドル103に対応する基板104上の各点は、パドル103によって等しい時間ブロックされるため、パドル103に対応する基板104上の各点の電解メッキの高さを同じにすることができる。
【0044】
あるいは、1サイクル内でパドル103は次のように移動してもよい。
【0045】
パドル103の配列方向に、原点から座標Δへ移動させ、
座標cへ逆方向に移動し、
座標Δ+cへパドル103の配列方向に移動し、
座標2cへ逆方向に移動し、
・・・
座標Δ+(N-1)*cへパドル103の配列方向に移動し、
座標N*cへ逆方向に移動し、
座標Δ+N*cへパドル103の配列方向に移動し、
座標N*cへ逆方向に移動し、
座標Δ+(N-1)*cへパドル103の配列方向に移動し、
・・・
座標2cへ逆方向に移動し、
座標Δ+cへパドル103の配列方向に移動し、
座標cへ逆方向に移動し、
座標Δへパドル103の配列方向に移動し、
逆方向に移動して原点に戻り、
座標Δ+N*cへパドル103の配列方向に移動し、
逆方向に移動して原点に戻る。
【0046】
各反転点におけるパドル103の位置をより直観的に表示するために、b=2aの場合を例にとると、図10に示すように、1サイクル内のパドル103の動きが次の12のステップに分割される。
【0047】
ステップ1001、原点から座標Δへパドル103の配列方向に移動する。
ステップ1002、座標aへ反対方向に移動する。
ステップ1003、座標Δ+aへパドル103の配列方向に移動する。
ステップ1004、座標2aへ反対方向に移動する。
ステップ1005、座標Δ+2aへパドル103の配列方向に移動する。
ステップ1006、座標2aへ反対方向に移動する。
ステップ1007、座標Δ+aへパドル103の配列方向に移動する。
ステップ1008、座標aへ反対方向に移動する。
ステップ1009、座標Δへパドル103の配列方向に移動する。
ステップ1010、反対方向に移動して原点に戻る。
ステップ1011、座標Δ+2aへパドル103の配列方向に移動する。
ステップ1012、反対方向に移動して原点に戻る。
【0048】
同様に、パドル103に対応する基板104上の各点がブロックされる時間は等しいので、受け取られる電気量は等しく、電解メッキ高さは一定である。
【0049】
第5実施形態
本実施形態は、図1に示す第1実施形態の電解メッキ装置の構成を全て備えた電解メッキ装置を開示する。ここでは、繰り返しの説明は行わない。
【0050】
第1実施形態とは異なり、図11に示すように、b=1.5aである。ここで、パドル103の幅がa、隣り合うパドル103間の隙間の最も狭い幅がbである。
【0051】
図12に示すように、パドル103は、Δ、a、Δ+a、2a、Δ+2a、3a、Δ+3a、4a、Δ+4a、0の10個の座標で反転する。
【0052】
1サイクル内で、パドル103の動きは次の10個のステップを含む。
【0053】
ステップ1201、原点から座標Δへパドル103の配列方向に移動する。
ステップ1202、原標aへ反対方向に移動する。
ステップ1203、座標Δ+aへパドル103の配列方向に移動する。
ステップ1204、座標2aへ反対方向に移動する。
ステップ1205、座標Δ+2aへパドル103の配列方向に移動する。
ステップ1206、座標3aへ反対方向に移動する。
ステップ1207、座標Δ+3aへパドル103の配列方向に移動する。
ステップ1208、座標4aへ反対方向に移動する。
ステップ1209、座標Δ+4aへパドル103の配列方向に移動する。
ステップ1210、反対方向に移動して原点に戻る。
【0054】
1サイクル内では、パドル103に対応する基板104上の各点がブロックされる時間は等しい。電界が均一に分布している場合、パドル103に対応する基板104上の各点は等しい電気量を受け取るため、各点の電解メッキの高さは同じになる。
【0055】
第6実施形態
第5実施形態では、パドル103の幅aに対する、隣接するパドル103間の最も狭い隙間bの倍率が、1より大きい非整数である。aに対するbの倍率が1より大きい非整数倍の電解メッキ装置において、この例では次の電解メッキ方法を開示する。
【0056】
コントローラでプログラムを実行して、パドル103を次のように移動させる。1サイクル内のパドルの移動ステップは、以下のとおりである。
原点から座標Δへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標2cへ左に移動し、
・・・
座標Δ+(y-2)*cへ右に移動し、
座標(y-1)*cへ左に移動し
座標Δ+(y-1)*cへ右に移動し、
原点へ左に移動する。
ここで、aをパドルの幅、bを隣接するパドル間の最も狭い間隔として、Δ≧a+bであり、
【数10】
であり、Nを1より大きい非整数として、xをx*Nが整数になる値として、y=x*(N+1)であり、b=N*aまたはa=N*bである。
【0057】
この方法を理解するには、cがaとbのうち小さい方の値であると仮定し、xを整数として、幅がx*(a+b)の大きなグリッドを埋める、幅cの小さな複数のグリッドを使用する。各小さなグリッドは幅方向に沿って配置されており、覆われる位置は重ならず、大きなグリッドは隙間なく埋められる。xの適切な値を選択することで、x*(a+b)をcの倍数にすることができ、要求を満たす。x*(a+b)がcの倍数であることはx*(N+1)であることと同等である。つまり、x*Nは整数である。
【0058】
幅cの小さなグリッドを幅cのパドル103とみなし、x*(N+1)をグループ内での反転位置の数とみなし、x+(a+b)の幅を持つ大きなグリッドをグループ内の反転位置においてパドル103によってカバーされる座標範囲とみなす。大きなグリッドを小さなグリッドで埋めるという説明は、第5実施形態で述べた「パドル103に対応する基板104上の各点がブロックされる時間が等しい」という効果を実現しているとみなすことができる。1サイクル内に反転点のグループが2つあるため、1サイクル内の反転点の数は2x*(N+1)である。式を簡略化するために、y=x*(N+1)とすると、第1のグループの反転点の座標は0、c、2c、・・・、(y-2)*c、(y-1)*cであり、第2のグループの反転点の座標はΔ、Δ+c、Δ+2c、・・・、Δ+(y-2)*c、Δ+(y-1)*cである。
【0059】
1サイクル内において、パドル103の移動のステップは、以下の通りであってもよい。
原点から座標Δへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標2cへ左に移動し、
・・・
座標Δ+(y-2)*cへ右に移動し、
座標(y-1)*cへ左に移動し、
座標Δ+(yー1)*cへ右に移動し、
座標(y-1)*cへ左に移動し、
座標Δ+(yー2)*cへ右に移動し、
・・・
座標2cへ左に移動し、
座標Δ+cへ右に移動し、
座標cへ左に移動し、
座標Δへ右に移動し、
原点へ左に移動し、
座標Δ+(yー1)*cへ右に移動し、
原点へ左に移動する。
【0060】
同様に、パドル103に対応する基板104上の各点は、等しい時間だけ覆われ、受け取られる電気量は等しく、その結果、均一な電解メッキの高さが得られる。
【0061】
第7実施形態
この例は、第1実施形態の電解メッキ装置のすべての構造を含む電解メッキ装置を開示するが、ここでは、繰り返しの説明は行わない。
【0062】
また、図13に示すように、この例の電解メッキ装置は、パドル103と基板104との間に設置された拡散板107をさらに含む。拡散板107は複数の貫通孔を有し、貫通孔の密度と開口率を設定することにより、基板上の各点における電解メッキ高さの均一性をさらに向上させることができる。
【0063】
拡散板107のない電解メッキ装置と、本発明の拡散板107を備えた電解メッキ装置の電解メッキの結果を比較するために、図14は、2つの電解メッキ装置の電解メッキの結果の曲線を示す。横軸は基板のテストポイントと基板の中心点との間の距離を表し、縦軸はテストポイントの電解メッキ高さを表す。拡散板を備えた電解メッキ装置は、より均一な電解メッキ高さを達成できることが分かる。
【0064】
第8実施形態
本実施形態は、図1に示す第1実施形態の電解メッキ装置の構成を全て備えた電解メッキ装置を開示する。ここでは、繰り返しの説明は行わない。
【0065】
第1実施形態とは異なり、パドル103は、パドル配置方向の座標軸に対する角度が90°未満のαである。したがって、パドル103の座標は、パドル103の実際の位置を座標軸上に投影したものとなる。図15に示すように、パドル103上の点の実際の位置を点Aとすると、その点の座標位置は、点Aを座標軸上に投影した点Bとなる。これは、次のように理解することができる。パドル103の座標軸方向の移動の成分のみが、基板104上の対応する領域が受け取る電気量の変化を引き起こすため、パドル103の座標軸上での座標変化のみを考慮する。
【0066】
明らかに、角度αの存在により、パドル103の実際の移動距離はより大きくなるため、角度αの大きさは実際の状況に応じて設定することができる。
【0067】
第9実施形態
本実施形態は、図1に示す第1実施形態の電解メッキ装置の構成を全て備えた電解メッキ装置を開示する。ここでは、繰り返しの説明は行わない。
【0068】
さらに、図16に示すように、パドルプレート108の一側面は、連結部材1011を介して偏心軸受1010に連結されており、偏心軸受1010はガイドレール109に摺動可能に連結されている。パドルプレート108は、駆動機構105により駆動されて移動する。偏心軸受1010がなければ、パドルプレート108の移動はガイドレール109の方向に沿ったものとなる。駆動機構がパドルプレート108を他の方向に移動させると、パドルプレート108はガイドレール109に引っかかってしまう。偏心軸受1010の機能は、パドルプレート108の移動方向とガイドレールの方向との間のわずかなずれを許容し、取り付け誤差によってパドルプレート108の移動が妨げられるのを防ぐことである。
【0069】
腐食性ガスによる精密部品の腐食を防ぐため、駆動機構105、偏心軸受1010およびガイドレール109は、窒素保護ボックス1012で囲まれている。図17は、窒素入口および窒素出口を有する窒素保護ボックス1012によって囲まれた偏心軸受1010およびガイドレール109を示す。窒素保護ボックス1012は窒素で満たされた状態に保たれており、外部からのガスが窒素保護ボックス1012内に侵入して内部の精密部品を腐食させることはない。同様に、駆動機構105を別の窒素保護ボックスで囲んでもよい。
【0070】
第10実施形態
本実施形態は、図1に示す第1実施形態の電解メッキ装置の構成を全て備えた電解メッキ装置を開示する。ここでは、繰り返しの説明は行わない。
【0071】
第1実施形態とは異なり、図18に示すように、パドルプレート108の形状は正方形であり、正方形の基板を電界メッキするのに適している。これに対応して、パドル103は、パドルプレート108の中央の正方形の領域に短冊状の貫通孔を開けることによって形成される。
【0072】
なお、本発明の各実施形態におけるパドル103の座標の制限は、パドル103の移動距離を反映するものである。電解メッキ処理では、座標軸の原点位置を任意に指定できる。
【0073】
本発明によって達成される効果を実証するために、図19A図19Bおよび図19Cは、それぞれ、既存の電解メッキ装置を使用した基板の電解メッキ効果、本発明の電解メッキ装置を使用した基板の電解メッキ効果、および、基板上のテストポイントの電解メッキ高さのデータを示す。図19Bと比較して、図19Aの基板上の同心円がより顕著であり、電解メッキの高さが不均一である。図19Cにおいて、横軸はテストポイントと基板の中心点との間の距離を表し、縦軸はテストポイントの電解メッキの高さを表す。図19Cから、既存の電解メッキ装置を使用すると、基板の半径方向に沿って電解メッキの高さに大きな変動があり、基板の中心に近い領域でより顕著であることがわかる。本発明の電解メッキ装置を使用すると、基板の各点の電解メッキの高さはより均一になり、異なる点間の電電解メッキの高さの小さな差は他の要因に関係し、許容範囲内となる。
【0074】
要約すると、本発明は、上記の実施形態および関連する図を通じて具体的かつ包括的に開示されており、当業者が本発明を実施できるようになっている。上述の実施形態は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の範囲は、本発明の特許請求の範囲によって定められるべきである。この文書に記載されている構成要素の数の変更または同等の構成要素を置換したものも、本発明の範囲内である。
図1
図2
図3A
図3B
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図5
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図8
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図19A
図19B
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【国際調査報告】