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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(54)【発明の名称】弁、特に真空弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 3/18 20060101AFI20240131BHJP
   F16K 51/02 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
F16K3/18 Z
F16K51/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547421
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 EP2022051525
(87)【国際公開番号】W WO2022167250
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】102021102702.0
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンスペーター フレーナー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ネッツァー
【テーマコード(参考)】
3H053
3H066
【Fターム(参考)】
3H053AA02
3H053AA22
3H053BA23
3H053BC01
3H053BD03
3H053CA01
3H053DA09
3H066AA03
3H066BA12
3H066BA19
3H066BA38
(57)【要約】
弁(1)であって、弁ディスク(5)が、弁ハウジング(2)の弁ハウジング内室(6)に配置されていて、軸(7)に固定されており、弁ディスク(5)は軸(7)とともに、軸長手方向軸線(9)に対して平行な方向(8)において閉鎖位置と中間位置との間で往復移動可能であり、軸(7)を軸長手方向軸線(9)を中心として回動させることによって中間位置と最大開放位置との間で往復旋回可能であり、軸フィードスルー(10)が、軸(7)を弁ハウジング(2)に対して密封するために、軸長手方向軸線(9)に対して平行な方向(8)に伸縮可能なベローズ(11)を有し、このベローズ(11)は、第1のベローズ端部(12)で弁ハウジング(2)に固定されており、第2のベローズ端部(13)に軸シールリング(14)が配置されており、軸(7)は、回動可能に軸シールリング(14)内に支持されている、弁(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁(1)、特に真空弁であって、
弁ハウジング(2)と、
弁座(3)により取り囲まれた弁開口(4)と、
弁ディスク(5)と
を備え、
前記弁ディスク(5)は、前記弁ハウジング(2)の弁ハウジング内室(6)に配置されていて、軸(7)に固定されており、前記弁ディスク(5)は前記軸(7)とともに、該軸(7)の軸長手方向軸線(9)に対して平行な方向(8)において、前記弁ディスク(5)が前記弁座(3)に押し付けられて前記弁開口(4)を閉鎖している閉鎖位置と、前記弁ディスク(5)が前記弁座(3)から離反させられて前記弁開口(4)を覆って配置されている中間位置との間で往復移動可能であり、前記弁ディスク(5)は、前記軸(7)を該軸(7)の前記軸長手方向軸線(9)を中心として回動させることによって、前記中間位置と、前記弁ディスク(5)が前記弁開口(4)を完全にまたは部分的に開放している最大開放位置との間で往復旋回可能であり、前記軸(7)は、該軸(7)をその軸長手方向軸線(9)を中心として回動させることができるとともに該軸長手方向軸線(9)に対して平行な前記方向に移動させることができる軸フィードスルー(10)によって前記弁ハウジング(2)に対して密封されている、弁(1)において、
前記軸フィードスルー(10)は、前記軸(7)を前記弁ハウジング(2)に対して密封するために、前記軸長手方向軸線(9)に対して平行な前記方向(8)に伸縮可能なベローズ(11)を有し、該ベローズ(11)は、第1のベローズ端部(12)で前記弁ハウジング(2)に固定されており、前記ベローズ(11)の、前記第1のベローズ端部(12)と反対側の第2のベローズ端部(13)に、軸シールリング(14)が配置されており、前記軸(7)は、前記ベローズ(11)に対して相対的に前記軸長手方向軸線(9)を中心として回動可能に前記軸シールリング(14)内に支持されていることを特徴とする、弁(1)。
【請求項2】
前記軸(7)は、前記軸シールリング(14)によって前記ベローズ(11)に対して密封されていて、前記軸長手方向軸線(9)を中心とした前記軸(7)の回動運動に関しては、前記軸シールリング(14)によって前記ベローズ(11)から切り離されていることを特徴とする、請求項1記載の弁(1)。
【請求項3】
前記軸シールリング(14)はシール支持体(15)に配置されており、前記ベローズ(11)はその第2のベローズ端部(13)で前記シール支持体(15)に固定されており、該シール支持体(15)は、前記軸長手方向軸線(9)に対して平行な前記方向(8)への前記軸(7)の移動運動に関して、前記軸(7)に強制連結されていることを特徴とする、請求項1または2記載の弁(1)。
【請求項4】
前記弁ハウジング(2)に、前記軸(7)が貫通案内されている弁ハウジングシールリング(16)が配置されており、前記弁ディスク(5)の前記閉鎖位置と、前記弁ディスク(5)の前記最大開放位置と、前記閉鎖位置と前記最大開放位置との間の前記弁ディスク(5)の全ての中間位置とにおいて、前記軸(7)と前記弁ハウジングシールリング(16)との間に、前記ベローズ(11)の内室(18)と前記弁ハウジング内室(6)との間のオーバフロー開口(17)が開放し続けており、前記軸(7)は、前記最大開放位置を起点として、前記軸長手方向軸線(9)に対して平行な前記方向(8)のうちの一方で実用位置に移動可能であり、該実用位置では、前記弁ハウジングシールリング(16)が、前記軸(7)に密接していて、前記ベローズ(11)の前記内室(18)を前記弁ハウジング内室(6)に対して密封していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の弁(1)。
【請求項5】
前記軸(7)は、第1の軸区分(19)と第2の軸区分(20)とを有し、前記軸(7)は、前記第2の軸区分(20)に前記第1の軸区分(19)よりも大きな直径を有し、前記弁ハウジングシールリング(16)は、前記実用位置で前記軸(7)の前記第2の軸区分(20)に密接していることを特徴とする、請求項4記載の弁(1)。
【請求項6】
前記弁(1)は、前記軸(7)を前記弁ディスク(5)も含めて前記軸長手方向軸線(9)を中心として回動させるとともに前記軸(7)を前記弁ディスク(5)も含めて前記軸長手方向軸線(9)に対して平行な前記方向に移動させるための弁駆動装置(21)を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の弁(1)。
【請求項7】
前記弁駆動装置(21)は駆動装置ハウジング(22)内に配置されており、前記ベローズ(11)はその第1のベローズ端部(12)で支持体(23)に固定されており、該支持体(23)は、前記第1のベローズ端部(12)を前記弁ハウジング(2)に固定するために、前記駆動装置ハウジング(22)と前記弁ハウジング(2)との間に緊締されていることを特徴とする、請求項6記載の弁(1)。
【請求項8】
前記支持体(23)は、支持体シール(24)を介在させて前記駆動装置ハウジング(22)と前記弁ハウジング(2)との間に緊締されていることを特徴とする、請求項7記載の弁(1)。
【請求項9】
前記弁駆動装置(21)は、長手方向駆動装置(25)と、回動駆動装置(26)と、ヨーク(27)とを有し、前記軸(7)は、前記回動駆動装置(26)によって前記軸長手方向軸線(9)を中心として回動可能に前記ヨーク(27)内に支持されており、前記軸(7)は、前記軸長手方向軸線(9)に対して平行な前記方向(8)に関して、前記ヨーク(27)に強制連結されており、該ヨーク(27)は、前記軸(7)とともに前記長手方向駆動装置(25)によって前記軸長手方向軸線(9)に対して平行な方向に移動可能であることを特徴とする、請求項6から8までのいずれか1項記載の弁(1)。
【請求項10】
前記シール支持体(15)は、前記軸(7)との強制連結のために、前記軸長手方向軸線(9)に対して平行な前記方向への前記軸(7)の前記移動運動に関して、前記ヨーク(27)に固定されていることを特徴とする、請求項3および9記載の弁(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁、特に真空弁であって、弁ハウジングと、弁座により取り囲まれた弁開口と、弁ディスクとを備え、この弁ディスクは、弁ハウジングの弁ハウジング内室に配置されていて、軸に固定されており、弁ディスクは軸とともに、この軸の軸長手方向軸線に対して平行な方向において、弁ディスクが弁座に押し付けられて弁開口を閉鎖している閉鎖位置と、弁ディスクが弁座から離反させられて弁開口を覆って配置されている中間位置との間で往復移動可能であり、弁ディスクは、軸をこの軸の軸長手方向軸線を中心として回動させることによって、中間位置と、弁ディスクが弁開口を完全にまたは部分的に開放している最大開放位置との間で往復旋回可能であり、軸は、この軸をその軸長手方向軸線を中心として回動させることができるとともに軸長手方向軸線に対して平行な方向に移動させることができる軸フィードスルーによって弁ハウジングに対して密封されている、弁に関する。
【0002】
このような形態の弁は、例えば米国特許出願公開第2007/0228314号明細書に基づき公知である。この公知の弁は、大抵、プロセスチャンバのチャンバ開口を閉鎖するために使用される。また、弁によって、場合により、チャンバ内に流入するかまたはチャンバから流出する流体の体積流量をコントロールすることもできる。弁はその弁ハウジングでプロセスチャンバに取り付けられて、弁開口がチャンバ開口と整合し、ひいては、弁によってチャンバ開口を開閉することができるようになっている。
【0003】
このような弁の場合には、通常、弁ハウジング内室が、弁ハウジングの外側の領域からガス密に分離されなければならない。このために、先行技術では、軸フィードスルーが使用される。この軸フィードスルーは、1つには、相応の密封を確保しているものの、もう1つには、軸がその軸長手方向軸線を中心として軸フィードスルー内で回動可能であるとともに軸長手方向軸線に対して平行な方向に移動可能であることを可能にしている。米国特許出願公開第2007/0228314号明細書では、弁ハウジングを軸フィードスルー内の軸に対して密封するために、2つのOリングが使用される。これら2つのOリング内には、軸が、1つには、その軸長手方向軸線に対して平行な方向に移動可能に支持されていて、もう1つには、軸長手方向軸線を中心として回動可能に支持されている。米国特許出願公開第2007/0228314号明細書において使用されるような軸フィードスルーの使用の欠点は、軸とシールリングとの協働時の、1つにはグリース移送、もう1つにはガス移送にある。さらに、この先行技術では、時間が経つにつれ、シールリングおよび軸の領域に比較的高い摩滅も生じる。
【0004】
特許第6776903号公報には、冒頭に記載した弁が開示されている。この弁では、軸が、軸フィードスルー内で磁性流体シール機構によって弁ハウジングに対して密封されている。このことは比較的手間を要する。また、同公報には、弁ハウジングを、軸用の駆動装置を収容する駆動装置ハウジングに結合するために、ベローズが使用される例も示されている。
【0005】
本発明の課題は、冒頭に記載した形態の弁のために、1つには、比較的廉価に実現可能であり、もう1つには、特に良好な密封および長寿命も達成する軸フィードスルーを提供することである。
【0006】
この課題を解決するために、本発明は、請求項1記載の弁を提案する。
【0007】
したがって、本発明によれば、軸フィードスルーが、軸を弁ハウジングに対して密封するために、軸長手方向軸線に対して平行な方向に伸縮可能なベローズを有しており、このベローズが、第1のベローズ端部で弁ハウジングに固定されており、ベローズの、第1のベローズ端部と反対側の第2のベローズ端部に、軸シールリングが配置されており、軸が、ベローズに対して相対的に軸長手方向軸線を中心として回動可能に軸シールリング内に支持されていることが特定されている。
【0008】
軸フィードスルーのベローズの第2のベローズ端部に配置された軸シールリングによって、軸は、その軸長手方向軸線を中心としてベローズに対して相対的に回動することができるように、このベローズ内に支持されている。しかしながら、軸長手方向軸線に対して平行な方向でのベローズの伸縮可能性によって、軸長手方向軸線に対して平行な方向への軸の往復運動時には、第2のベローズ端部が軸シールリングとともに従動することができ、これによって、軸シールリングと軸との間には、もはや軸の周方向での相対運動しか生じず、軸の長手方向での相対運動はもはや生じない。これによって、このような軸フィードスルーにより生じやすいグリース移送およびガス移送が、先行技術に比べて大幅に減じられている。さらに、軸および軸シールリングには、先行技術ほど摩滅が生じない。付加的に言及しておくと、軸フィードスルーが、1つにはベローズ、もう1つには軸シールリングを有しているこのような解決手段は、比較的廉価であると同時に簡単に実現可能である。
【0009】
有利には、軸が、軸シールリングによってベローズに対して密封されていて、軸長手方向軸線を中心とした軸の回動運動に関しては、軸シールリングによってベローズから切り離されていることが特定されている。これによって、軸がその軸長手方向軸線を中心として回動する際に、ベローズが軸とともに回動させられないことが確保される。
【0010】
軸長手方向軸線に対して平行な方向への第2のベローズ端部と軸との間の相対運動を阻止するために、本発明の好適な構成形態は、軸シールリングがシール支持体に配置されており、ベローズがその第2のベローズ端部でシール支持体に固定されており、このシール支持体が、軸長手方向軸線に対して平行な方向への軸の移動運動に関して、軸に強制連結されていることを特定している。軸長手方向軸線に対して平行な方向への軸の移動運動に関するこのような形態の強制連結によって、第2のベローズ端部ひいては第2のベローズ端部に配置された軸シールリングも軸長手方向軸線に対して平行な方向で軸に対して相対的に運動させられないことが達成される。
【0011】
軸フィードスルーのベローズは、好適な構成形態では、いわゆるひだ付きベローズであってもよい。しかしながら、基本的には、先行技術において自体公知の別の構成形態のベローズが使用されてもよい。ベローズは、有利には、軸が貫通案内されている内室を有している。軸はアクスルピンなどと呼ばれることもある。この場合には、相応して、軸長手方向軸線がアクスルピン長手方向軸線と呼ばれることもある。
【0012】
単数形で記載した全ての構成部材は、有意である限り、当然ながら複数存在していてもよい。したがって、弁ハウジングが、例えば、弁ディスクにより閉鎖することができる弁開口に対して付加的に、特にこの弁開口に対して整合して配置された、向かい合って位置する別の弁開口を有していてもよい。なお、これは、ほんの一例を挙げたにすぎない。
【0013】
弁ディスクは、有利には、軸長手方向軸線または言い換えると軸に対して偏心して配置されている。軸長手方向軸線は、好適な実施形態では、有利には、弁座により展開される、弁ディスクが閉鎖位置で弁座に接触している閉鎖平面に対して法線方向に位置している。つまり、好適には、本発明に係る弁は、いわゆる振り子式弁として形成されている。閉鎖位置での密封のために、先行技術において公知のシールは、弁座にも弁ディスクにも設けられていてもよい。このことは自体公知であり、これ以上の説明は不要である。
【0014】
相応の軸フィードスルーを備えた本発明に係る弁では、閉鎖位置と、弁ディスクが弁座から離反させられて弁開口をまだ覆って配置されている中間位置との間で、特に大きな行程を実現することができる。軸長手方向軸線に対して平行な方向で測定すると、本発明に係る弁では、閉鎖位置と前述した中間位置との間での弁ディスクの行程が、3mm~65mm、好ましくは10mm~35mmの範囲内で実現可能となる。
【0015】
本発明に係る弁の使用分野および使用に応じて、時折、強力なエッチング流体または別の作用流体、特にガスを弁ハウジング内室に流入させることが必要となることがある。例えば、このような流体もしくはガスは、弁ハウジング内室の表面および弁ディスクの表面を清浄化するために使用されてもよい。その際に本発明による軸フィードスルーにマイナスの影響を与えないようにするために、本発明の好適な構成変化形態は、弁ハウジングに、軸が貫通案内されている弁ハウジングシールリングが配置されており、弁ディスクの閉鎖位置と、弁ディスクの最大開放位置と、閉鎖位置と最大開放位置との間の弁ディスクの全ての中間位置とにおいて、軸と弁ハウジングシールリングとの間に、ベローズの内室と弁ハウジング内室との間のオーバフロー開口が開放し続けており、軸が、最大開放位置を起点として、軸長手方向軸線に対して平行な方向のうちの一方で実用位置に移動可能であり、この実用位置では、弁ハウジングシールリングが、軸に密接していて、ベローズの内室を弁ハウジング内室に対して密封していることを特定していてもよい。このような構成形態では、実用位置において、弁ハウジングシールリングによって、ベローズの内室が弁ハウジング内室に対して密封される。これによって、実用位置において、前述した流体、特にガスを、ベローズの内室に侵入させてしまうことなしに、弁ハウジング内室に導入することが可能となる。これによって、この場合、ベローズの内室ひいては軸フィードスルー全体が、場合により強力なエッチング流体または別の作用流体およびガスに対して防護されている。
【0016】
特に好適には、このような構成形態では、軸が、第1の軸区分と第2の軸区分とを有しており、軸が、第2の軸区分に第1の軸区分よりも大きな直径を有しており、弁ハウジングシールリングが、実用位置で軸の第2の軸区分に密接していることが特定されている。
【0017】
基本的には、軸が弁ディスクも含めて手を使って軸長手方向軸線を中心として回動させられかつ/または軸長手方向軸線に対して平行な方向に移動させられることが考えられ、可能である。しかしながら、本発明の好適な構成形態は、弁が、軸を弁ディスクも含めて軸長手方向軸線を中心として回動させるとともに軸を弁ディスクも含めて軸長手方向軸線に対して平行な方向に移動させるための弁駆動装置を有していることを特定している。このような弁駆動装置は、種々異なる構成形態で自体公知である。相応に種々異なる構成形態では、弁駆動装置が、本発明に係る弁に使用されてもよい。
【0018】
本発明の好適な構成形態は、弁駆動装置が駆動装置ハウジング内に配置されており、ベローズがその第1のベローズ端部で支持体に固定されており、この支持体が、第1のベローズ端部を弁ハウジングに固定するために、駆動装置ハウジングと弁ハウジングとの間に緊締されていることを特定している。この場合、支持体が、支持体シールを介在させて駆動装置ハウジングと弁ハウジングとの間に緊締されていると特に有利である。
【0019】
軸シールリングとして、弁ハウジングシールリングとして、また、支持体シールでも、エラストマーまたは金属から成る自体公知のシールリングが使用されてもよい。特に好適には、本明細書では、いわゆるOリングが使用される。弁に課される要求に応じて、先行技術において公知のシールリングもしくはOリングが使用されてもよい。
【0020】
すでに前述したように、本発明に係る弁用の弁駆動装置は、極めて種々異なる形態で構成されてもよい。本明細書では、先行技術において自体公知の数多くの変化形態が使用されてもよい。しかしながら、本発明に係る弁の1つの好適な変化形態は、弁駆動装置が、長手方向駆動装置と、回動駆動装置と、ヨークとを有しており、軸が、回動駆動装置によって軸長手方向軸線を中心として回動可能にヨーク内に支持されており、軸が、軸長手方向軸線に対して平行な方向に関して、ヨークに強制連結されており、このヨークが、軸とともに長手方向駆動装置によって軸長手方向軸線に対して平行な方向に移動可能であることを特定している。このような構成形態では、特に好適には、軸シールリングが配置されたシール支持体が、軸との強制連結のために、軸長手方向軸線に対して平行な方向への軸の移動運動に関して、ヨークに固定されていることが特定されている。
【0021】
本発明に係る弁は、有利には、いわゆる真空弁、つまり、いわゆる真空技術において使用することができる弁である。通常、0.001mbar(ミリバール)以下もしくは0.1パスカル以下の圧力で運転状態が達成される場合に真空技術と云われる。真空弁は、こういった圧力範囲および/または周辺に対する相応の圧力差に対して設計されている弁である。しかしながら、一般的には、標準圧未満、つまり、1bar未満の圧力に対して設計されている場合でも真空弁と云われることがある。
【0022】
以下に、本発明の好適な構成形態の更なる特徴および詳細を実施例に基づき例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明により形成された弁を外側から見た概略的な斜視図である。
図2図1に示した弁の弁ハウジングの概略的な斜視縦断面図である。
図3図1および図2に示した弁の鉛直断面図である。
図4図1および図2に示した弁の鉛直断面図である。
図5図1および図2に示した弁の鉛直断面図である。
図6図1および図2に示した弁の鉛直断面図である。
図7図3に割り当てられた軸フィードスルーの領域における詳細図である。
図8図4に割り当てられた軸フィードスルーの領域における詳細図である。
図9図5に割り当てられた軸フィードスルーの領域における詳細図である。
図10図6に割り当てられた軸フィードスルーの領域における詳細図である。
【0024】
図面に示した例の本発明に係る弁1は真空弁である。弁1は、弁ハウジング2と、弁開口4と、弁ディスク5とを有している。この弁ディスク5によって、弁開口4を、図1に示した弁1の閉鎖位置で閉鎖することができる。このために、弁ディスク5は、自体公知のように閉鎖位置で弁座3に押し付けられる。この弁座3および/または弁ディスク5には、自体公知のようにシールが配置されていてもよい。万全を期すために付言しておくと、図1に示した実施例の相応の変更形態では、弁座3が別の弁開口28を取り囲んでいてもよく、これによって、この場合には、弁ディスク5が閉鎖位置で別の弁開口28を閉鎖している。
【0025】
図2には、弁ディスク5が最大開放位置に位置している斜視縦断面図が示してある。この最大開放位置では、弁ディスク5が弁開口4を、図2に示した実施例ではフルにもしくは言い換えると完全に開放している。当然ながら、弁ディスク5が最大開放位置で弁開口4を部分的にしか開放しない本発明の実施例も可能である。
【0026】
弁座3は弁開口4を取り囲んでいて、本発明のこの構成形態でも、別の好適な構成形態でも、弁ハウジング2に形成されている。弁ディスク5は、弁ハウジング2の弁ハウジング内室6に配置されていて、図1および図2には認めることができない軸7に固定されている。弁ディスク5は軸7とともに、図3図6に記入した軸7の軸長手方向軸線9に対して平行な方向8において、弁ディスク5が弁座3に押し付けられて弁開口4を閉鎖している閉鎖位置と、弁ディスク5が弁座3から離反させられて弁開口4を覆って配置されている中間位置との間で往復移動させられてもよい。軸7を軸長手方向軸線9を中心として回動させることによって、弁ディスク5を、前述した中間位置と、図2および図5に示した最大開放位置との間で往復旋回させることができる。図示の実施例でも、別の好適な変化形態でも、弁1は、軸7を弁ディスク5も含めて軸長手方向軸線9を中心として回動させるとともに軸7を弁ディスク5も含めて軸長手方向軸線9に対して平行な方向8に移動させるための弁駆動装置21を有している。この弁駆動装置21は、図示の実施例では駆動装置ハウジング22内に配置されている。図1および図2では、この駆動装置ハウジング22を外側からしか認めることができない。
【0027】
本明細書に示した実施例では、弁ハウジング2が、弁ディスク5により閉鎖することができる弁開口4に対して付加的に、別の弁開口28を有している。この別の弁開口28は、この構成形態でも、別の好適な構成形態でも、弁開口4に向かい合ってもしくは整合して形成されている。しかしながら、このことは必ずしもそうである必要はない。弁ハウジング2は、例えば基本的には、ただ1つの弁開口4しか有しないかまたは複数の付加的なもしくは別の弁開口28を有するように形成されていてもよい。
【0028】
図3図6には、図1および図2に示した弁1の本発明による実施例の鉛直断面図が示してある。図3には、弁ディスク5が弁座3に押し付けられて弁開口4を閉鎖している閉鎖位置が示してある。図4には、弁ディスク5が弁座3からすでに離反させられているものの、まだ弁開口4を覆って配置されている中間位置が示してある。図3に示した閉鎖位置と、図4に示した中間位置との間では、弁ディスク5が、これに固定された軸7とともに、軸長手方向軸線9に対して平行な方向8に往復移動可能である。図5には、本明細書に示した弁1の最大開放位置が示してある。この最大開放位置では、弁ディスク5が弁開口4をフルに開放している。この場合には、弁ディスク5が弁ハウジング内室6で後方に離れる方に旋回させられているため、弁ディスク5は、図5にはもはや認めることができない。述べたように、弁ディスク5が弁開口4を最大開放位置でフルにもしくは完全に開放しているのではなく、部分的にしか開放していない、本明細書に明示的に図示していない本発明による実施例も可能である。
【0029】
いずれにせよ、図4に示した中間位置と、図5に示した最大開放位置との間では、軸7を軸長手方向軸線9を中心として回動させることによって、弁ディスクが軸7とともに往復旋回可能となる。
【0030】
図6には、弁ハウジングシールリング16によってベローズ11の内室18が閉鎖されている実用位置が示してある。これについては、後ほどさらに詳細に説明することにする。
【0031】
本明細書に示した本発明に係る弁1でも、本発明の別の好適な構成形態でも、いずれにせよ、弁1は、軸長手方向軸線9が軸7の回動運動および弁ディスク5の旋回運動を取り囲んで行われるように、閉鎖平面35に対して法線方向に位置している。この閉鎖平面35は弁座3を通って展開されていて、図5および図6に例示的に記入してある。
【0032】
図7図10には、図1図6に示した弁1の、本発明により形成された軸フィードスルー10の領域が拡大して示してある。図7には、図3に示した閉鎖位置における状態が示してある。図8には、図4に示した中間位置における相応の状態が示してある。図9には、図5に示した開放位置における同領域が示してあり、図10には、図6に示した実用位置における状態が示してある。
【0033】
1つには、軸7はその軸長手方向軸線9を中心として回動可能に軸フィードスルー10内に支持されている。もう1つには、軸7は軸長手方向軸線9に対して平行な方向8に移動可能にも軸フィードスルー10内に支持されている。しかしながら、特に、軸フィードスルー10は、軸7を弁ハウジング2に対して密封するためにも役立つ。このために、本発明によれば、この実施例でも、軸フィードスルー10は、軸7を弁ハウジング2に対して密封するために、軸長手方向軸線9に対して平行な方向8に伸縮可能なベローズ11を有していることが特定されている。このベローズ11は、この構成形態でも、別の好適な構成形態でも、自体公知のひだ付きベローズとして形成されている。第1のベローズ端部12は弁ハウジング2に固定されている。このために、ベローズ端部12は、弁ハウジング2に直接相応に取り付けられていてもよい。しかしながら、本明細書に示した実施例では、弁ハウジング2へのベローズ端部12のこの固定は、第1のベローズ端部12が、この例でも同じく環状に形成された支持体23に固定されていることによって達成される。この支持体23は、駆動装置ハウジング22と弁ハウジング2との間に緊締されている。相応の密封を達成するために、有利には、本明細書でも実現されているように、支持体23が、支持体シール24を介在させて駆動装置ハウジング22と弁ハウジング2との間に緊締されていることが特定されている。
【0034】
ベローズ11の、第1のベローズ端部12と反対側の第2のベローズ端部13には、この実施例でも、本発明によれば、軸シールリング14が配置されている。この軸シールリング14内には、軸7がベローズ11に対して相対的に軸長手方向軸線9を中心として回動可能に支持されている。軸7は、この実施例でも、別の好適な実施例でも、軸シールリング14によってベローズ11に対して密封されているものの、軸長手方向軸線9を中心とした軸7の回動運動に関しては、軸シールリング14に基づきベローズ11からも切り離されている。これによって、軸長手方向軸線9を中心とした軸7の回動時に、ベローズ11が相応に回動させられないことが確保される。
【0035】
軸シールリング14は、ベローズ11の第2のベローズ端部13に直接的に取り付けられていてもよいし、形成されていてもよい。しかしながら、本明細書に示した実施例でも、別の好適な変化形態でも、軸シールリング14がシール支持体15に配置されていて、このシール支持体15にベローズ11がその第2のベローズ端部13で固定されていることが特定されている。シール支持体15は、本発明のこの変化形態でも、別の好適な変化形態でも、軸長手方向軸線9に対して平行な方向8への軸7の移動運動に関して、軸7に強制連結されている。このことは、軸7が軸長手方向軸線9に対して平行な方向8のうちの一方に移動させられると、強制的にベローズ11が相応に伸縮させられることを意味している。これによって、軸長手方向軸線9に対して平行な方向8で軸シールリング14と軸7との間に相対運動が生じないことが達成される。つまり、軸7と軸シールリング14との間の相対運動は、本発明のこの変化形態でも、別の好適な変化形態でも、軸長手方向軸線9を中心とした回動時に軸7の周方向でしか行われず、軸長手方向軸線9に対して平行な方向8への往復移動時には行われない。軸長手方向軸線9に対して平行な方向8への移動運動に関する軸7へのシール支持体15ひいては軸シールリング14の強制連結は、この実施例でも、別の好適な変化形態でも、シール支持体15が、以下でさらに詳しく説明するヨーク27に固定されていて、ひいては、このヨーク27とともに強制的に一緒に運動させられることによって達成される。
【0036】
冒頭ですでに説明したように、弁駆動装置21は、1つには、軸7を弁ディスク5も含めて軸長手方向軸線9を中心として回動させる。しかしながら、また、弁駆動装置21は、もう1つには、軸7を弁ディスク5も含めて軸長手方向軸線9に対して平行な方向8に移動させる。このことを実現するために、本発明に係る弁1では、弁駆動装置21が、当然ながら、先行技術に基づき自体公知でもあるように、極めて種々異なる形態で形成されていてもよい。しかしながら、本明細書に示した実施例でも、本発明の別の好適な変化形態でも、弁駆動装置21が、1つには長手方向駆動装置25を有していて、もう1つには回動駆動装置26を有していることが特定されていてもよい。このことは、本明細書でも、特に図3図6に良好に認めることができるように実現されている。長手方向駆動装置25および回動駆動装置26に対して付加的に、ヨーク27も存在している。このヨーク27内には、軸7がその軸長手方向軸線9を中心として回動可能に支持されている。この回動運動は回動駆動装置26によって実施される。摩擦を可能な限り少なく保つために、この実施例でも、別の好適な実施例でも、有利には、軸7をその軸長手方向軸線9を中心として回動可能にヨーク27内に支持する軸受34が設けられている。
【0037】
しかしながら、軸長手方向軸線9に対して平行な方向8に関して、軸7はヨーク27に強制連結されており、これによって、このヨーク27は軸7とともに長手方向駆動装置25によって軸長手方向軸線9に対して平行な方向に移動可能となる。ヨーク27は、本明細書に示した実施例でも、本発明による別の変化形態でも、有利には、軸長手方向軸線9に対して平行な方向8への移動運動に関して相応に支持されている。好適には、この支持は、本明細書にも図示したように、駆動装置ハウジング22内に固定されたガイドロッド32によって行われる。
【0038】
軸長手方向軸線9に対して平行な方向8へのヨーク27ひいては軸7および弁ディスク5の移動運動を実現するために、相応の長手方向駆動装置25は、極めて種々異なる形態で形成されていてもよい。本明細書では、例えば、自体公知であるような空気圧式または液圧式の駆動装置も可能である。しかしながら、好適なのは、電動式の線形駆動装置である。この電動式の線形駆動装置は、本明細書のように、本実施例でも、例えば、長手方向駆動装置25のモータ29が、ヨーク27内に固定されたスピンドルナット31内に係合したスピンドル30を回動させることによって実現されてもよい。
【0039】
軸長手方向軸線9を中心として軸7を回動させ、ひいては、弁ディスク5を旋回させるための回動駆動装置26は、有利には、本明細書でも実現されているように、好ましくは電動式のモータ33を有している。このモータ33は、この実施例に示したように、ヨーク27に取り付けられていてもよく、これによって、モータ33は、軸長手方向軸線9に対して平行な方向8にヨーク27と一緒に運動させられる。いずれにしても、本明細書にも示したように、モータ33は、相応の駆動軸を介して軸7に結合されているため、回動駆動装置26によって、軸7を軸長手方向軸線9を中心として両方の周方向に回動させることができ、ひいては、弁ディスク5を相応に旋回させることができる。
【0040】
本発明に係る弁1により閉鎖することができるプロセスチャンバ内でどのプロセスが実施されるのかに応じて、エッチング流体または別の作用流体、特にガスを弁ハウジング内室6に時折導入して、例えば、そこに存在する表面から堆積物を除去することが必要となることがある。こういったエッチング流体または別の作用流体が、ベローズ11の内室18に侵入することができないようにするために、この実施例でも、本発明による別の変化形態でも、好適には、図6および10に示した実用位置が存在していることが特定されている。この実用位置では、ベローズ11の内室18は、エッチング流体または別の作用流体が内室18に侵入することができないように閉鎖される。具体的には、このために、この実施例でも実現されているように、弁ハウジング2に、軸7が貫通案内されている弁ハウジングシールリング16が配置されていることが特定されていてもよい。この場合、実用位置を除いた弁1の全ての位置、つまり、閉鎖位置、最大開放位置およびその間に位置する全ての中間位置では、軸7と弁ハウジングシールリング16との間に、ベローズ11の内室18と弁ハウジング内室6との間のオーバフロー開口17が開放し続けている。軸7は、図5に示した最大開放位置を起点として、軸長手方向軸線9に対して平行な方向8で、図6および図10に示した実用位置に移動可能である。この実用位置では、その後、弁ハウジングシールリング16が軸7に密接し、こうして、ベローズ11の内室18を弁ハウジング内室6に対して密封していることが特定されている。閉鎖位置、中間位置および最大開放位置で内室18と弁ハウジング内室6との間のオーバフロー開口17が開放し続けていることは、図7図9に良好に認めることができる。実用位置での密封のための軸7への弁ハウジングシールリング16の接触は、図10に認めることができる。このことを実現するために、本明細書に示した実施例では、有利には、軸7が、第1の軸区分19と、少なくとも1つの第2の軸区分20とを有していることが特定されている。この場合、軸7は第2の軸区分20に第1の軸区分19よりも大きな直径を有している。こうして、実用位置では、弁ハウジングシールリング16が軸7の第2の軸区分20に密接しており、一方、閉鎖位置、最大開放位置およびその間の中間位置では、弁ハウジングシールリング16が第1の軸区分19の領域に位置していて、これによって、弁ハウジングシールリング16と軸7との間の既述のオーバフロー開口17ひいては弁ハウジング内室6とベローズ11の内室18との間の相応の経路が開放し続けていることを簡単に達成することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 弁
2 弁ハウジング
3 弁座
4 弁開口
5 弁ディスク
6 弁ハウジング内室
7 軸
8 方向
9 軸長手方向軸線
10 軸フィードスルー
11 ベローズ
12 第1のベローズ端部
13 第2のベローズ端部
14 軸シールリング
15 シール支持体
16 弁ハウジングシールリング
17 オーバフロー開口
18 内室
19 第1の軸区分
20 第2の軸区分
21 弁駆動装置
22 駆動装置ハウジング
23 支持体
24 支持体シール
25 長手方向駆動装置
26 回動駆動装置
27 ヨーク
28 別の弁開口
29 モータ
30 スピンドル
31 スピンドルナット
32 ガイドロッド
33 モータ
34 軸受
35 閉鎖平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】