(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(54)【発明の名称】カメラモジュールの製造方法および接触部材の使用法
(51)【国際特許分類】
G03B 17/55 20210101AFI20240131BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240131BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20240131BHJP
G03B 17/08 20210101ALI20240131BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240131BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20240131BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20240131BHJP
H04N 23/52 20230101ALI20240131BHJP
【FI】
G03B17/55
G03B17/02
G02B7/02 D
G03B17/08
G03B30/00
H04N23/57
H04N23/50
H04N23/52
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547443
(86)(22)【出願日】2022-01-19
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2022051077
(87)【国際公開番号】W WO2022167220
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】102021201072.5
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ブライダート,ヨアヒム
【テーマコード(参考)】
2H044
2H101
2H104
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AD02
2H101CC91
2H104CC00
5C122EA02
5C122EA36
5C122EA55
5C122GE05
5C122GE11
5C122GE22
(57)【要約】
本発明は、加熱装置が組み込まれたレンズ(2)と、回路基板(4)および撮像素子(5)を備えたハウジング(3)と、を有するカメラモジュール(1)の製造方法であって、
- 前記レンズ(2)を前記ハウジング(3)に挿入するステップと、
- 前記レンズ(2)を前記撮像素子(5)に対して位置合わせするステップと、
- 前記ハウジング(3)との接着接続部(6)を確立することによって前記レンズ(2)を固定するステップと、
- クランプ装置(8)を解放することによって、および/または作動させることによって、特に熱または電気によって作動させることによって、前記レンズ(2)の外周側に構成された接触面(9)と電気的に導通接触する、付勢された、および/または作動可能な、特に熱または電気によって作動可能な接触部材(7)を用いて、前記レンズ(2)に組み込まれた加熱装置と電気的に接触するステップと、
を含む方法に関する。
また、本発明は、接触部材の使用法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱装置が組み込まれたレンズ(2)と、回路基板(4)および撮像素子(5)を備えたハウジング(3)と、を有するカメラモジュール(1)の製造方法であって、
- 前記レンズ(2)を前記ハウジング(3)に挿入するステップと、
- 前記レンズ(2)を前記撮像素子(5)に対して位置合わせするステップと、
- 前記ハウジング(3)との接着接続部(6)を確立することによって前記レンズ(2)を固定するステップと、
- クランプ装置(8)を解放することによって、および/または作動させることによって、特に熱または電気によって作動させることによって、前記レンズ(2)の外周側に構成された接触面(9)と電気的に導通接触する、付勢された、および/または作動可能な、特に熱または電気によって作動可能な接触部材(7)を用いて、前記レンズ(2)に組み込まれた加熱装置と電気的に接触するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
ばねアームとして構成された、および/または前記レンズ(2)上で直径方向に対向する接触部材(7)が使用され、前記接触部材(7)は、好ましくは他端において、前記回路基板(4)と電気的に導通接続され、好ましくは溶接またははんだ付けされていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記クランプ装置(8)を用いて付勢された接触部材(7)が使用され、前記クランプ装置(8)は、少なくとも一部の領域において、
- フック状またはリング状に構成され、および/または
- バイメタル、例えば形状記憶合金や形状記憶ポリマーなどの形状記憶材料、または収縮材料から製造されていることを特徴とする、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記クランプ装置(8)は、変位および/または作動させることによって、特に熱または電気によって作動させることによって解放されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
作動可能な、特に熱または電気によって作動可能な接触部材(7)が使用され、前記接触部材(7)は、少なくとも一部の領域において、バイメタル、例えば形状記憶合金や形状記憶ポリマーなどの形状記憶材料、または収縮材料から製造されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
カメラモジュール(1)のレンズ(2)に組み込まれた加熱装置と電気的に接触するために、少なくとも一部の領域がバイメタル、例えば形状記憶合金や形状記憶ポリマーなどの形状記憶材料、または収縮材料から製造され、一端が回路基板(4)と電気的に導通接続され、好ましくは溶接またははんだ付けされている、接触部材(7)の使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置が組み込まれたレンズと、回路基板および撮像素子を備えたハウジングと、を有するカメラモジュールの製造方法に関する。カメラモジュールは、特に自動車において、例えば自動車の環境を監視するために使用することができる。
【0002】
また、カメラモジュールのレンズ内に組み込まれた加熱装置と電気的に接触するための接触部材の使用法について記載されている。
【背景技術】
【0003】
環境監視に使用されるカメラモジュールは、環境の影響を受けるため、レンズの光学レンズに結露および/または結氷が生じることがある。このような場合、カメラモジュールの撮像素子が信号を受信できないか、または受信する信号の質が低下する危険性がある。これは、例えばレンズに組み込まれた加熱装置を用いて回避する必要がある。
【0004】
レンズに組み込まれた加熱装置は、電気的に接触させる必要がある。これについて、ハウジングに収容されたカメラモジュールの回路基板と、加熱装置との接続を確立させる接触部材を使用することができる。カメラモジュールの接合後、特にレンズがハウジングに挿入された後は、接触部材や回路基板のアクセス性は保証されないため、加熱装置の電気接触は、通常、挿入前または挿入中に行われる。例えば箔導体やケーブルなど柔軟性のある接触部材を使用することで、例えば、撮像素子に対してレンズを位置合わせするために、公差を補正することが可能になる。また、柔軟性のある接触部材を使用することで、続いてレンズをハウジングに接着する際に、接着接続部には少なくともほぼ力が加わらないままであるという利点がある。しかし、柔軟性または屈曲性のある箔導体またはケーブルを使用する場合、達成可能な接合速度が制限されるという欠点があることがわかっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明の課題は、レンズに組み込まれた加熱装置の電気接触を、より確実に、同時により簡単にすることである。この課題は、請求項1に記載されるカメラモジュールの製造方法、および請求項6に記載される使用法によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
提案される方法は、加熱装置が組み込まれたレンズと、回路基板および撮像素子を備えたハウジングと、を有するカメラモジュールを製造するためのものである。本方法は、
- レンズをハウジングに挿入するステップと、
- レンズを撮像素子に対して位置合わせするステップと、
- ハウジングとの接着接続部を確立することによってレンズを固定するステップと、
- クランプ装置を解放することによって、および/または作動させることによって、特に熱または電気によって作動させることによって、レンズの外周側に構成された接触面と電気的に導通接触する、付勢された、および/または作動可能な、特に熱または電気によって作動可能な接触部材を用いて、レンズに組み込まれた加熱装置と電気的に接触するステップと、
を含む。
【0007】
その結果、レンズに組み込まれた加熱装置は、レンズがハウジングに対して挿入され、位置合わせされ、固定された後にのみ電気的に接触する。すなわち、レンズを固定するために使用される接着接続部が力を吸収できる程度に硬化した時点で電気的に接触する。したがって、接着接続部と、撮像素子に対するレンズの位置とは、まだ行わなければならない加熱装置の電気接触による影響を受けないままである。
【0008】
レンズがハウジングに挿入され、位置合わせされ、固定された後の加熱装置の電気接触は、付勢された、および/または作動可能な、特に熱または電気によって作動可能な接触部材の提案された使用法によって可能となる。なぜなら、接触部材は、クランプ装置を解放することによって、および/または作動させることによって、特に熱または電気によって作動させることによって、レンズに設けられた接触面に当接できるからである。すなわち、当接は非接触で行われるため、接触部材のアクセス性の欠如が問題にならない。
【0009】
好ましくは、提案された方法を実施するために、ばねアームとして構成された接触部材が使用される。そのような接触部材を用いて、加熱装置と回路基板との間の距離を簡単な方法で架橋することができる。また、ばねアームとして構成された接触部材は、クランプ装置を用いて、簡単な方法で付勢することができる。
【0010】
また、好ましくは、レンズ上で直径方向に対向する接触部材が使用される。接触部材は、この場合、クランプ装置を用いて径方向に付勢されてもよく、クランプ装置の解放によって、接触部材がレンズに設けられた接触面に自動的に当接する。このために、接触面は、好ましくは適当な方法で、すなわち直径方向に対向するように、レンズに配置されている。
【0011】
さらに、接触部材が他端、すなわちレンズの接触面の反対側の端部において、回路基板と電気的に導通接続され、好ましくは溶接またははんだ付けされていることが提案される。したがって、接触部材および回路基板は、予め組み立てられたユニットを構成してもよい。これにより、レンズがハウジングに挿入される前に予備組立を行うことができるため、接触部材の回路基板への導電接続の目視検査が容易になる。
【0012】
本発明の第1の好ましい実施形態によれば、クランプ装置を用いて付勢された接触部材が使用される。クランプ装置を解放することにより、接触部材はレンズの接触面に当接する。
【0013】
このために、クランプ装置は、少なくとも一部の領域において、フック状またはリング状に構成されていてもよい。レンズがハウジングに挿入され、撮像素子に対して位置合わせされ、接着接続部を用いて固定されるまで、少なくとも一部の領域でフック状またはリング状に構成されたクランプ装置を用いて、付勢された接触部材を保持することができる。
【0014】
クランプ装置が少なくとも一部の領域でフック状に構成されている場合、クランプ装置は、少なくとも1つの接触部材とロック係合されてもよい。クランプ装置は、ロック解除によって解放することができる。クランプ装置は、好ましくは複数のフック部材を含み、さらに好ましくは、フック部材の数は付勢されるべき接触部材の数に対応する。
【0015】
クランプ装置が少なくとも一部の領域において環状に構成されている場合、クランプ装置は、レンズに設けられた接触面に対して距離を置いて接触部材を保持するように配置されてもよい。好ましくは、クランプ装置は、接触部材に対して軸方向に変位可能な少なくとも1つのリングを含む。その後、クランプ装置を解放するために、リングを軸方向に変位させる。
【0016】
代替的または補足的に、少なくとも一部の領域において、バイメタル、例えば形状記憶合金や形状記憶ポリマーなどの形状記憶材料、または収縮材料から製造されたクランプ装置が使用されることが提案される。したがって、クランプ装置は、外部から、すなわち非接触で作動または解放することができる。例えば、クランプ装置の最初の部品を作動させることによって、特に熱または電気によって作動させることによって、この部品の変形を引き起こし、その後、クランプ装置のさらなる部品、例えば軸方向に変位可能なリングの移動を誘発することができる。
【0017】
したがって、接触部材を付勢するために使用されるクランプ装置は、好ましくは、変位および/または作動させることによって、特に熱または電気によって作動させることによって解放される。
【0018】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、作動可能な、特に熱または電気によって作動可能な接触部材が使用され、接触部材は、少なくとも一部の領域において、バイメタル、例えば形状記憶合金や形状記憶ポリマーなどの形状記憶材料、または収縮材料から製造されている。この場合、接触部材それ自体が電気接触を生じさせるために作動可能であり、特に熱または電気によって作動可能であるため、接触部材を付勢するための個々のクランプ装置は不要である。接触部材の作動によって変形が引き起こされ、この変形によって接触部材がレンズの接触面に到達する。この変形は、好ましくは一方向にのみ達成されるため、このようにして生じた加熱装置の電気接触は持続的なものである。すなわち、好ましくは、変形後にその形状を維持し、元の形状に戻らない材料が使用される。
【0019】
例えば、熱または電気によって作動可能な接触部材として可溶性ワイヤを使用してもよく、これにより、熱または電気によって作動させた後に、レンズの接触面との電気的な導通接触を確立することができる。
【0020】
さらに、カメラモジュールのレンズに組み込まれた加熱装置と電気的に接触するために、少なくとも一部の領域がバイメタル、例えば形状記憶合金や形状記憶ポリマーなどの形状記憶材料、または収縮材料から製造され、一端が回路基板と電気的に導通接続され、好ましくは溶接またははんだ付けされている、接触部材の使用法が提案される。これにより、加熱装置を簡単な方法で、より確実に電気接触させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の好ましい実施形態を、添付図面を参照して以下に詳述する。
【
図1】本発明に係る第1の方法によって製造可能なカメラモジュールの概略的な縦断面である。
【
図3】本発明に係る第2の方法によって製造可能なカメラモジュールの概略的な縦断面図である。
【
図4】本発明に係る第3の方法によって製造可能なカメラモジュールの概略的な縦断面である。
【
図5】本発明に係る第4の方法によって製造可能なカメラモジュールの概略的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、加熱装置(図示せず)が組み込まれたレンズ2を有するカメラモジュール1を示す。加熱装置を電気的に接触させるために、レンズ2の外周側に2つの接触面9が設けられており、これらはレンズ2上で直径方向に対向している。レンズ2は、接触面9がハウジング3の内部に位置するように、ハウジング3に挿入されている。さらに、レンズ2は、接着接続部6を介してハウジング3に接着されている。接着接続部6は、レンズ2がハウジング3に収容された撮像素子5に対して位置合わせされた後にのみ確立することができる。ここで、レンズ2は異なる方向x、y、zに移動または枢動される。これらの動きを可能にするために、レンズ2に組み込まれた加熱装置は、レンズ2が位置合わせされ、かつ接着接続部6が確立された後にのみ電気的に接触する。
【0023】
図1では、電気接触は、レンズ2上で直径方向に対向する2つの接触部材7を介して確立され、この接触部材は、他端が撮像素子5を収容する回路基板4と電気的に導通接続されている。特に
図2からわかるように、接触部材7は、レンズ2に設けられた接触面9との距離が維持されるように、クランプ装置8を用いて付勢することができるばねアームとして構成されている。このために、クランプ装置8は、接触部材7に対して径方向外側に配置され、その自由端にフック部材10を有する2つのばねアーム状部材を有する。これらは、好ましくはレンズ2とハウジング3との間の接着接続部6が硬化するまで、接触部材7を保持するように、接触部材7と係合させることができる(接触部材7’の破線図示参照)。その後、クランプ装置8が解放されると、付勢された接触部材7がレンズ2の接触面9に当接し、加熱装置の電気接触が確立される。
【0024】
図3は、組み込まれた加熱装置(図示せず)を有するレンズ2を含む、さらなるカメラモジュール1を示す。ここでも、加熱装置を電気的に接触させるために、レンズ2の外周側に設けられた接触面9のみが示されている。同様に、
図1のカメラモジュール1のハウジング3に類似して構成され、接着接続部6を介してレンズ2に接続されているカメラモジュール1のハウジング3も示されていない。
【0025】
図3は、クランプ装置8を解放することによってレンズ2に設けられた接触面9に接触させることができる、ばねアームとして構成された接触部材7を示す。これについて、クランプ装置8は、軸方向に変位可能なように支承されたリング11を有し(矢印参照)、リング11は、リング11が接触部材7を接触面9から距離を置いて保持する位置に、ブラケット12によって保持されている。ブラケット12は、熱または電気によって作動することで変形する材料から製造されている。ブラケット12が変形することで、リング11が軸方向に変位し、これによってクランプ装置8が解放され、接触部材7が接触面9に当接する(点線参照)。
【0026】
図4は、
図3に示したクランプ装置8の変形例を示す。ブラケット12の代わりに、作動可能な細いワイヤ状部材13がリング11の変位を引き起こす。ワイヤ状部材13は、リング11と、固定された基台15との間で張設されている。作動させると、ワイヤ状部材13の長さが短くなり、リング11の変位が生じる。係止部材14は、ワイヤ状部材13の作動前にリング11が意図せず変位することを防ぐ。
【0027】
図5に示すさらなるカメラモジュール1は、本発明に係る方法によって、特に簡単に製造することができる。
図5の図示は、方法を実行するための主要部品、すなわち、外周側の接触面9を有するレンズ2と、回路基板4に接続された接触部材7と、に限定されている。接触部材7は、例えば形状記憶材料などの、特に熱または電気によって作動可能な材料から製造されている。材料が作動した結果、接触部材7が変形し、変形後に接触面9と当接する。
【国際調査報告】