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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(54)【発明の名称】カラム装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/60 20060101AFI20240131BHJP
   G01N 30/86 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
G01N30/60 P
G01N30/60 K
G01N30/86 V
G01N30/86 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547447
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2022053354
(87)【国際公開番号】W WO2022171790
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】21156784.7
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】クプサー,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ライネンバッハ,アンドレアス
(57)【要約】
自動分析機(100)のためのカラム装置(116)が開示される。自動分析機(100)は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)モジュール(102)を備える。HPLCモジュール(102)は、クロマトグラフィカラム(106)を自動的に固定および解放するように構成された固定装置(104)を備える。カラム装置(116)は、カラムジャケット(118)および毛細管(120)を備える。毛細管は、所定の寸法形状を備え、カラムジャケット(118)内に配置される。カラム装置(116)は、固定装置(104)によってHPLCモジュール(102)に設置されるように構成される。さらに、自動分析機(100)が開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動分析機(100)のためのカラム装置(116)であって、
前記自動分析機(100)は、高速液体クロマトグラフィモジュール(102)を備え、
前記高速液体クロマトグラフィモジュール(102)は、クロマトグラフィカラム(106)を自動的に固定および解放するように構成された固定装置(104)を備え、
前記カラム装置(116)は、カラムジャケット(118)および毛細管(120)を備え、
前記毛細管(120)は、所定の寸法形状を備え、前記カラムジャケット(118)内に配置され、
前記カラム装置(116)は、前記固定装置(104)によって前記高速液体クロマトグラフィモジュール(102)に設置されるように構成されている、カラム装置(116)。
【請求項2】
前記所定の寸法形状は、内部容積および/または背圧を含む、請求項1に記載のカラム装置(116)。
【請求項3】
前記カラム装置(116)は、前記高速液体クロマトグラフィモジュール(102)と共に使用することができるクロマトグラフィカラム(106)と、同一の外寸を有する、請求項1または2に記載のカラム装置(116)。
【請求項4】
前記毛細管(120)は、1μm~1000μmの内径(122)を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のカラム装置(116)。
【請求項5】
前記毛細管(120)は、10mm~50mmの長さ(124)を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のカラム装置(116)。
【請求項6】
前記カラム装置(116)を前記固定装置(104)へと挿入するように構成された少なくとも1つの案内要素(126)をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載のカラム装置(116)。
【請求項7】
前記案内要素(126)は、前記カラムジャケット(118)の外面(128)に配置される、請求項6に記載のカラム装置(116)。
【請求項8】
RFIDタグ(130)をさらに備え、前記RFIDタグ(130)は、カラムのタイプ、製造ロット、ならびに任意に前記毛細管(120)の基準値および/または補正係数に関する情報を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のカラム装置(116)。
【請求項9】
クロマトグラフィカラム(106)を自動的に固定および解放するように構成された固定装置(104)を備える高速液体クロマトグラフィモジュール(102)と、
請求項1~8のいずれか1項に記載のカラム装置(116)と、を備える自動分析機(100)であって、
前記カラム装置(116)を前記固定装置(104)によって固定した状態で前記高速液体クロマトグラフィモジュール(102)の診断プロセスを実行するように構成された、自動分析機(100)。
【請求項10】
前記自動分析機(100)は、不活性被検物質の流れをもたらし、前記毛細管(120)を通って注入するように構成されている、請求項9に記載の自動分析機(100)。
【請求項11】
前記自動分析機(100)は、前記カラム装置(116)によってトリガされたときに前記診断プロセスを完全に自動的に実行するように構成されている、請求項9または10に記載の自動分析機(100)。
【請求項12】
前記カラム装置(116)は、RFIDタグ(130)を備え、
前記自動分析機(100)は、RFIDリーダ(110)をさらに備え、前記RFIDタグ(130)を識別したときに前記高速液体クロマトグラフィモジュール(102)の前記診断プロセスを実行するように構成されている、請求項11に記載の自動分析機(100)。
【請求項13】
前記診断プロセスの種類が、前記RFIDタグ(130)に保存された情報に応じたものである、請求項12に記載の自動分析機(100)。
【請求項14】
RFIDタグ(130)に保存された情報に応じてユーザに情報を表示するように構成された表示装置をさらに備える、請求項11~13のいずれか1項に記載の自動分析機(100)。
【請求項15】
前記自動分析機(100)は、前記高速液体クロマトグラフィモジュール(102)の所定の動作をトリガし、特に前記高速液体クロマトグラフィモジュール(102)をルーチン作業のために解放し、前記高速液体クロマトグラフィモジュール(102)の保全をトリガし、前記高速液体クロマトグラフィモジュール(102)の予知保全をトリガするように構成されている、請求項9~14のいずれか1項に記載の自動分析機(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析機のためのカラム装置およびカラム装置を備える自動分析機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析機は、試料から測定値を得るように構成される。自動分析機は、さまざまな化学的、生物学的、物理的、光学的、または他の技術的手順を介して、試料またはその成分のパラメータ値を明らかにするように動作可能である。自動分析機は、試料または少なくとも1つの被検物質の前記パラメータを測定し、得られた測定値を返すように動作可能であってよい。分析機によって返される分析結果として、これらに限られるわけではないが、試料における被検物質の濃度、試料における被検物質の存在(検出レベルを上回る濃度に対応する)を表すデジタル(イエスまたはノー)結果、光学的パラメータ、DNAまたはRNAシーケンス、タンパク質または代謝産物の質量分析法から得られたデータ、ならびにさまざまな種類の物理的または化学的パラメータが挙げられる。自動分析機は、試料および/または試薬のピペット操作、計量、および混合を支援するユニットを備え得る。
【0003】
自動分析機は、ワークフローが特定の種類の分析に最適化された処理および検出システムを備え得る。そのような分析機の例は、化学的または生物学的反応の結果を検出するために使用され、あるいは化学的または生物学的反応の進行を監視するために使用される臨床化学分析機、凝固化学分析機、免疫化学分析機、尿分析機、核酸分析機、および質量分析機である。
【0004】
そのような自動分析機は、分析プロセスおよび取得可能な測定値の数を増加させることを可能にする。この理由で、そのような自動診断分析機は、反応容器内に用意されたいくつかの試料を同時に処理するためにいくつかの処理ステーションを使用する。例えば、それぞれの試料を調製し、処理し、分析するために、そのような自動分析機において、2~8個またはさらに多くの異なる処理ステーションが存在する。
【0005】
自動分析機の処理ステーションのうちの1つは、検出ユニットに組み合わせられた高速液体クロマトグラフィ(HPLC)モジュールであってよい。前記検出ユニットは、例えば、UV、化学発光、電気化学発光、質量分析、または他の適切な検出器であってよい。HPLCは、混合物中の各成分を分離、同定、および定量化するために使用される分析化学における技術である。これは、試料混合物を含有する加圧された液体溶媒を、固体吸着剤で満たされたカラムに通すために、ポンプに依存する。試料中の各成分は、吸着剤との相互作用がわずかに異なるため、異なる成分についてカラム材料における吸着時間が異なり、それらが異なる時点においてカラムから流出するため、成分の分離がもたらされる。分離された成分の同定および定量化は、カラムの下流に配置された1つ以上の検出器によって実行される。
【0006】
HPLCの用途において、HPLCシステム自体(分離カラムなし)を、機器依存のピーク拡大の可能性に関して分散テストケースを使用してカラムによるものではないクロマトグラフィ性能について試験し、ポンプから検出器までのシステム容積および注入器から検出器までのシステム容量をチェックするために試験し、さらには、カラムによるものではないシステムの漏れに関して試験することができる。そのようにするために、システム内のいずれの表面にも保持されない不活性被検物質が注入され、検出される。ポンプが最適圧力動作範囲などの仕様の範囲内で動作することができるかどうかを確認するために、接続毛細管が導入される。この毛細管の背圧が、カラムなしでのシステム背圧の低下を補償する。
【0007】
この手順は、いくつかの欠点を伴う。ユーザは、カラムを取り外し、カラムをバイパスするための追加の毛細管を設置することによって、システムの構成を手動で変更しなければならない。このプロセスは、工具を必要とする。これは、エラーが生じやすい手動プロセスである。専門家でなければ、システムにおける死容積を回避することができない。毛細管の容積および背圧は、製造公差および手動での設置プロセスによって、エラーを生じがちである。実験データの分析は、熟練者を必要とし、時間がかかり、エラーが生じやすい。ユーザは、個々の専用のLC流路に適した寸法形状を有する最適な毛細管を選択する(存在する場合)か、あるいは製造する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
開示されるカラム装置の実施形態は、これらの欠点を少なくとも低減または克服することを目的とし、特にカラム性能に依存しない規定の測定ツールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示されるカラム装置および自動分析機の実施形態は、独立請求項の特徴を有する。単独の様相で実現されても、任意の組み合わせで実現されてもよい好都合な実施形態が、従属請求項ならびに明細書全体に挙げられる。
【0010】
以下で使用されるとき、「・・・を有する(have)」、「・・・を備える(comprise)」、または「・・・を含む(include)」という用語、あるいはこれらの任意の文法的変形は、非排他的なやり方で使用される。したがって、これらの用語は、この文脈において説明されているエンティティに、これらの用語によって導入される特徴以外のさらなる特徴が存在しない状況、および1つ以上のさらなる特徴が存在する状況の双方を指すことがある。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、および「AはBを含む」という表現はいずれも、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独かつ排他的にBからなる状況)、ならびにB以外に、要素C、要素CおよびD、あるいはまたさらなる要素など、1つ以上のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指し得る。
【0011】
さらに、特徴または要素が1回または2回以上存在し得ることを示す「少なくとも1つの」または「1つ以上の」という用語あるいは同様の表現は、典型的には、それぞれの特徴または要素を導入するときに1回だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合に、それぞれの特徴または要素に言及するときに、それぞれの特徴または要素が1回または2回以上存在し得るという事実にもかかわらず、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」という表現は繰り返されない。
【0012】
さらに、以下で使用されるとき、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「さらに特に」、「具体的には」、「より具体的には」、または同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は、任意の特徴であり、特許請求の範囲の技術的範囲をいかなるやり方でも限定することを意図していない。本発明は、当業者であれば理解するとおり、代替の特徴を使用することによって実施されてもよい。同様に、「本発明の実施形態において」という表現または同様の表現によって導入される特徴は、任意の特徴であるように意図され、本発明の代替の実施形態に関していかなる制限も伴わず、本発明の範囲に関していかなる制限も伴わず、そのようなやり方で導入される特徴を本発明の他の任意の特徴または任意でない特徴と組み合わせる可能性に関していかなる制限も伴わない。
【0013】
本開示の第1の態様によれば、自動分析機のためのカラム装置が開示される。自動分析機は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)モジュールを備える。HPLCモジュールは、クロマトグラフィカラムを自動的に固定および解放するように構成された固定装置を備える。カラム装置は、カラムジャケットおよび毛細管を備える。毛細管は、所定の寸法形状を備え、カラムジャケット内に配置され、あるいは位置する。カラム装置は、固定装置によってHPLCモジュールに設置されるように構成される。
【0014】
したがって、規定の測定ツールが提供される。それは、カラムではなく毛細管が組み込まれたダミーカラム模倣物からなる。それは、自動分析機で使用されるクロマトグラフィカラムと同様に使用されるように構成されている。特に、固定装置は、手動装置ではなく、自動装置であり、したがって単純かつ工具を必要としない。すべての現場サービスエンジニアまたはユーザでさえも、システムによるセルフチェックの自動的な実行を可能にするために、カラム装置を容易に設置することができる。ポンプがカラムを備えずに指定された圧力範囲で実行することができるため、機器依存のピーク拡大の可能性に関する分散テストケースを使用したカラムによるものではないクロマトグラフィ性能、ポンプから検出器までのシステム容積および注入器から検出器までのシステム容量のチェック、ならびに混合の正確性および精度などのポンプ特性に関して、データの分析および信頼性の判断を含む自動セルフチェックを実行することが可能である。
【0015】
本明細書において使用される「自動分析機」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、1つ以上の化学的および/または生物学的試料について1つ以上の処理ステップ/ワークフローステップを実行するように動作可能な任意の装置または装置コンポーネントを指し得る。したがって、「処理ステップ」という用語は、遠心分離、分割、試料分析、などの物理的に実行される処理ステップを指す。「分析機」という用語は、分析前試料作業セル、分析後試料作業セル、および分析作業セルも包含する。自動分析機の例は、これらに限られるわけではないが、化学的または生物学的反応の結果の検出、あるいは化学的または生物学的反応の進行を監視に使用される臨床化学分析機、凝固化学分析機、免疫化学分析機、尿分析機、核酸分析機である。自動分析機の処理ステーションの1つは、HPLCモジュールである。
【0016】
本明細書において使用される「高速液体クロマトグラフィ(HPLC)モジュール」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、混合物中の各成分を分離、同定、および定量化するように構成された機器、設備、または装置を指し得る。この用語は、「HPLC機器」という用語と同義に使用される。これは、試料混合物を含有する加圧された液体溶媒を、固体吸着剤で満たされたカラムに通すために、ポンプに依存する。試料中の各成分は、吸着剤との相互作用がわずかに異なるため、異なる成分について流量が異なることになり、カラムから流出するときに成分の分離がもたらされる。HPLCは、製造目的(例えば、医薬品および生物学的製品の製造プロセスにおいて)、法律目的(例えば、尿中のパフォーマンス向上薬物の検出)、研究目的(例えば、複雑な生物学的試料または類似の合成化学物質の成分を互いに分離する)、および医療目的(例えば、血清中のビタミンDレベルの検出)に使用可能である。クロマトグラフィは、吸着を伴う物質移動プロセスとして説明することが可能である。HPLCは、加圧された液体および試料混合物を吸着剤で満たされたカラムに通して、試料成分の分離をもたらすために、ポンプに依存する。カラムの活性成分である吸着剤は、典型的には、サイズが2~50μmの固体粒子(例えば、シリカ、ポリマー、など)で作られた粒状材料である。試料混合物の成分は、吸着剤粒子との相互作用の程度が異なるがゆえに、互いに分離される。加圧された液体は、典型的には溶媒(例えば、水、アセトニトリル、および/またはメタノール)の混合物であり、「移動相」と呼ばれる。その組成および温度が、試料成分と吸着剤との間で生じる相互作用に影響を及ぼすことによって、分離プロセスにおいて主要な役割を果たす。これらの相互作用は、疎水性(分散性)、双極子-双極子、およびイオン性など、物理的な性質であり、ほとんどの場合に組み合わせである。HPLCは、通常の液体クロマトグラフィが典型的には移動相をカラムに通すために重力に依存するのに対し、動作圧力が著しく高い(50~350bar)ため、従来の(「低圧」)液体クロマトグラフィから区別される。分析HPLCにおいて分離される試料の量の少なさゆえに、典型的なカラム寸法形状は、直径2.1~4.6mmおよび長さ30~250mmである。また、HPLCカラムは、より小さい吸着剤粒子(平均粒径2~50μm)で製作される。これにより、HPLCに混合物を分離するときの優れた分解能(化合物を区別する能力)が与えられ、したがって、HPLCは一般的なクロマトグラフィ技術となっている。HPLCモジュールまたはHPLC機器の概要は、典型的には、脱気装置、サンプラー、ポンプ、および検出器を含む。サンプラーは、試料混合物を、試料混合物をカラムへと運ぶ移動相の流れへともたらす。ポンプは、カラムを通って移動相の所望の流れおよび組成を届ける。検出器は、カラムから出てくる試料成分の量に比例した信号を生成し、したがって試料成分の定量分析を可能にする。デジタルマイクロプロセッサおよびユーザソフトウェアが、HPLCモジュールを制御し、データ分析を提供する。HPLCモジュールにおける一部の型式の機械式ポンプは、複数の溶媒を時間的に変化する比で一緒に混合し、移動相中に組成勾配を生成することができる。UV/Vis、フォトダイオードアレイ(PDA)、または質量分析に基づく検出器など、さまざまな検出器が一般的に使用されている。ほとんどのHPLC機器は、分離が行われる温度の調整を可能にするカラムオーブンをさらに有する。
【0017】
動作原理は、以下のとおりである。分離および分析される試料混合物が、離散的な小さな量(典型的には、数マイクロリットル)で、カラムを通って浸透する移動相の流れに導入される。試料の成分が、吸着剤(固定相とも呼ばれる)との特定の物理的相互作用の関数である異なる速度で、カラムを通って移動する。各成分の速度は、その化学的性質、固定相(カラム)の性質、および移動相の組成に依存する。特定の被検物質が溶出する(カラムから出てくる)時間は、その保持時間と呼ばれる。特定の条件下で測定された保持時間は、所与の被検物質を同定する特徴である。粒径および表面の性質(「表面化学」)が異なる吸着剤が充てんされた多数の異なる種類のカラムが利用可能である。より小さい粒径の充てん材料の使用は、より高い動作圧力(「背圧」)の使用を必要とし、典型的には、クロマトグラフィ分解能(カラムから出てくる連続する被検物質間のピークの分離の程度)を改善する。吸着剤粒子は、本質的に疎水性または極性であってよい。使用される一般的な移動相は、水と種々の有機溶媒(アセトニトリルおよびメタノールが最も一般的である)との任意の混和性の組み合わせが含まれる。いくつかのHPLC技術は、無水移動相を使用する(後述の順相クロマトグラフィを参照)。移動相の水性成分は、試料成分の分離を助けるために、酸(例えば、ギ酸、リン酸、またはトリフルオロ酢酸)または塩を含み得る。移動相の組成は、クロマトグラフィ分析の最中に、一定に保たれても(「アイソクラティック溶出モード」)、変化してもよい(「勾配溶出モード」)。アイソクラティック溶出は、典型的には、固定相に対する親和性がきわめて異なる試料成分の分離に有効である。勾配溶出においては、移動相の組成が、典型的には低い溶出強度から高い溶出強度へと変化する。移動相の溶出強度は、被検物質の保持時間によって反映され、高い溶出強度は、速い溶出(=短い保持時間)を生じる。逆相クロマトグラフィにおける典型的な勾配プロファイルは、5%のアセトニトリル(水または水性緩衝液中)で始まって、5~25分をかけて95%アセトニトリルに線形に進行し得る。移動相の組成が一定である期間が、任意の勾配プロファイルの一部であってもよい。例えば、移動相の組成を、1~3分間にわたって5%のアセトニトリルに保ち、その後に95%のアセトニトリルまで線形に変化させ得る。移動相(溶離液とも呼ばれる)について選択される組成は、種々の試料成分(「被検物質」)と固定相との間の相互作用(例えば、逆相HPLCにおける疎水性相互作用)の強度に依存する。固定相および移動相に関するそれらの親和性に応じて、被検物質は、カラムにおいて生じる分配プロセスの最中に2者の間で分割される。この分配プロセスは、液体-液体の抽出中に生じるものと同様であるが、段階的ではなく連続的である。この例において、水/アセトニトリル勾配を使用して、移動相がアセトニトリル(すなわち、より高い溶出強度の移動相)中でより濃縮されると、より疎水性の成分が遅れて溶出する(カラムから出てくる)。移動相成分、添加剤(塩または酸など)、および勾配条件の選択は、カラムおよび試料成分の性質に依存する。多くの場合、適切な分離をもたらすHPLC法を見出すために、試料を用いて一連の試行が行われる。
【0018】
本明細書において使用される「クロマトグラフィカラム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、HPLCモジュールと共に使用される管状の装置を指し得る。この管状の装置の内部に、固定相と呼ばれる材料が固定されている。クロマトグラフィカラムは、混合物の成分の分離に用いられる。混合物は、移動相と呼ばれる流体に溶解され、移動相は、カラムを通って混合物を運ぶ。混合物の異なる成分は、固定相に関して異なる親和性を有する。異なる分子は、固定相の表面部位との相互作用に応じて、固定相上により長く留まり、あるいはより短時間しか留まらない。したがって、それらは移動流体において異なる見かけの速度で移動し、それらの分離が生じる。分離は、移動相と固定相との間の示差分配に基づく。化合物の分配係数のわずかな差が、固定相における示差保持をもたらし、したがって分離に影響を及ぼす。小規模のカラムが、0.5cmの内径および130MPaまでの耐圧からの範囲である一方で、工業用の大規模カラムは、最大2mの直径に達し、かなり低い圧力(1MPa未満)で動作する。カラムの充てん床を観察することが好ましいが、大規模カラムは、その優れた弾力性ゆえに鋼から製造される。
【0019】
本明細書において使用される「固定装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、クロマトグラフィカラムをHPLCモジュールにおける目標位置に解放可能に固定するように構成された任意の装置を指し得る。この用語は、より具体的には、クロマトグラフィカラムをHPLCモジュールにおける目標位置に自動的に、すなわちモータ、アクチュエータ、または任意の他のサーボ装置の助けによって手動の支持によらずに固定する装置を指し得る。
【0020】
本明細書において使用される「カラムジャケット」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、カラム装置のコアまたは内部のカバーまたはエンクロージャを指し得る。カラムジャケットは、固体材料で作られてよい。固体材料は、弾性材料または剛体材料であってよい。カラムジャケットは、絶縁特性を備え得る。
【0021】
本明細書において使用される「毛細管」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、かなり小さい内径を有する管状の装置を指し得る。その長さは、通常は、5倍、10倍、20倍、またはそれ以上など、内径よりも著しく大きい。
【0022】
本明細書において使用される「寸法形状」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、毛細管のサイズまたは幾何学的寸法形状を指し得る。クロマトグラフィにおいては、同じ体積であるが寸法形状が異なる装置が、分離挙動の著しい変化をもたらす可能性があるため、寸法形状が毛細管を定義するために使用される。したがって、寸法形状は、特に、毛細管の長さ、内径、内部容積、向き、拡大、および断面形状を含む。
【0023】
所定の寸法形状は、内部容積および/または背圧を含み得る。したがって、カラム装置の寸法形状は、その挙動が既知かつ予測可能であるように、適切に調整可能である。特に、毛細管は、所定の背圧をもたらすいわゆる制限毛細管であってよいだけでなく、それを通って流れる被検物質または移動相のための内部容積も定めてもよい。
【0024】
カラム装置は、HPLCモジュールにおいて使用することができるクロマトグラフィカラムと同一の外寸を有し得る。したがって、カラム装置を、HPLCモジュールに容易に組み込み得る。
【0025】
毛細管は、1μm~1000μmの内径を有してよい。したがって、毛細管は、HPLCモジュールのセルフチェックのための良好な流れ特性を示す内径を有する。
【0026】
毛細管は、10mm~50mmの長さを有し得る。したがって、毛細管は、HPLCモジュールのセルフチェックのための良好な流れ特性を示す長さを有する。
【0027】
カラム装置を固定装置へと挿入するように構成された少なくとも1つの案内要素をさらに備える、先行の請求項のいずれか1つに記載のカラム装置。例えば、案内要素は、カラム装置の挿入を、固定装置における支持された挿入をハードコードすることによって可能にし得る。したがって、カラム装置を、カラム装置の最終位置または挿入位置がばらつくことなく固定されるように、固定装置に正確に挿入し得る。
【0028】
本明細書において使用される「案内要素」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、カラム装置を固定装置内または固定装置において目標位置へと移動させることを可能にするように構成された任意の装置または要素を指し得る。案内要素は、レールまたは溝などを備え得る。
【0029】
案内要素を、カラムジャケットの外面に配置し得る。これにより、カラム装置の挿入が容易になる。
【0030】
カラム装置は、RFIDタグをさらに備えてもよく、RFIDタグは、カラムのタイプ、製造ロット、ならびに任意に毛細管の基準値および/または補正係数に関する情報を含む。したがって、自動分析機は、RFIDリーダによってRFIDタグを読み取ることによってカラム装置に関する技術データを自動的に受け取り得る。
【0031】
RFIDタグを、HPLCモジュールの診断プロセスを自動的に、好ましくは完全に自動的に、トリガまたは可能にするように構成し得る。したがって、カラム装置が固定装置に挿入され、RFIDタグからの情報が読み取られるとすぐに、ユーザによる広範な準備を必要とすることなく、HPLCモジュールの診断プロセスを開始し得る。例えば、診断プロセスは、カラム装置が固定装置に挿入され、RFIDタグからの情報が読み取られた後に自動的に開始されてよく、あるいはユーザからの確認コマンドによって開始されてよい。
【0032】
カラム装置は、毛細管に関する情報を含む人間にとって読み取り可能なラベルをさらに備えてもよい。これにより、ユーザは、カラム装置に関する技術データを容易に識別することができる。
【0033】
第2の態様において、自動分析機が開示される。自動分析機は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)モジュールを備える。HPLCモジュールは、クロマトグラフィカラムを自動的に固定および解放するように構成された固定装置と、前述または後述の実施形態のいずれか1つによるカラム装置とを備える。自動分析機は、カラム装置が固定装置によって固定された状態で、HPLCモジュールの診断プロセスを実行するように構成される。
【0034】
不活性被検物質の流れをもたらし、毛細管を通って注入するように構成されてよい。そのような不活性被検物質は、システム内のいずれの表面にも保持されず、検出可能である。ポンプがその仕様内で機能できることをチェックするために、毛細管が導入される。この毛細管の背圧が、クロマトグラフィカラムなしでのシステム背圧の低下を補償する。特に、流れを、注入される不活性被検物質の量によって調整し得、これは、不活性被検物質が注入される時間に依存し得る。
【0035】
本明細書において使用される「不活性被検物質」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、HPLCモジュール内のいかなる表面によっても保持されず、HPLCモジュールの検出器によって検出可能である任意の被検物質を指し得る。換言すると、不活性被検物質は、HPLCモジュール内のいかなる表面にも吸着されず、あるいは付着せず、HPLCモジュールの検出器によって検出することが可能である。
【0036】
自動分析機は、カラム装置によってトリガされたときに診断プロセスを完全に自動的に実行するように構成されてよい。したがって、HPLCモジュールのセルフチェックを、ユーザによって実行されるいかなるプロセスステップも必要とせずに実行し得る。
【0037】
本明細書において使用される「診断プロセス」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、特定の現象の性質および原因の特定を指し得る。本開示の分野では、これは、典型的には、症状の原因、緩和、および解決策を決定するために使用される。この用語は、より具体的には、HPLCモジュールの動作特性または状態をチェックするように構成された任意のプロセスを指し得る。
【0038】
カラム装置は、RFIDタグを備えてよく、自動分析機は、RFIDリーダをさらに備えてよく、RFIDタグを識別したときにHPLCモジュールの診断プロセスを実行するように構成されてよい。したがって、カラム装置が固定装置に挿入され、RFIDタグからの情報が読み取られるとすぐに、ユーザによる広範な準備を必要とすることなく、HPLCモジュールの診断プロセスを開始し得る。例えば、診断プロセスは、カラム装置が固定装置に挿入され、RFIDタグからの情報が読み取られた後に自動的に開始されてよく、あるいはユーザからの確認コマンドによって開始されてよい。
【0039】
診断プロセスのタイプは、RFIDタグに保存された情報に依存し得る。したがって、RFIDタグに保存された情報に応じて、異なる診断プロセスを開始させ、異なる診断結果を明らかにし得る。
【0040】
自動分析機は、RFIDタグに保存された情報に応じてユーザに情報を表示するように構成された表示装置をさらに備えてもよい。したがって、ユーザもRFIDタグに保存された情報を読み得る。これは、機器に関する情報および保全などの必要な行為についての案内を提供することによって、作業者を支援することもできる。
【0041】
自動分析機は、HPLCモジュールの所定の動作をトリガし、特にHPLCモジュールをルーチン作業のために解放し、HPLCモジュールの保全をトリガし、HPLCモジュールの予知保全をトリガするように構成されてよい。したがって、HPLCモジュールをチェックするためのユーザフレンドリな自動プロセスが提供される。
【0042】
自動分析機は、診断プロセスから得られた診断データを自動的に評価するように構成されてよい。したがって、自動分析機は、HPLCモジュールの状態に関する情報をユーザに自動的に提供する。
【0043】
診断データは、圧力、クロマトグラフィ挙動、ピーク分散、フロースルー時間、流量、汚染源、クロマトグラフィカラム上のキャリーオーバーまたはアーチファクトピーク、HPLCモジュール遅延量、HPLCモジュールの注入器の性能、HPLCモジュールのポンプの性能、HPLCモジュールの検出器モジュールの性能、ベースラインノイズ、およびドリフトからなる群から選択される少なくとも1つの項目に関する情報を含み得る。したがって、種々の興味深い情報を提供し得る。
【0044】
固定装置は、クリックイン式装置などの工具を必要としない装置であってよい。したがって、固定装置は、操作が容易であり、カラム装置の設置プロセスのばらつきに起因するエラーが生じにくい。
【0045】
診断プロセスは、コンピュータによって実現される方法であってよい。例えば、自動分析機は、自動分析機のコンピュータの制御下で実行される診断を開始するための開始または確認コマンドの入力をユーザにとって可能にするキーボードなどの入力装置を備え得る。
【0046】
コンピュータプログラムがさらに開示および提案され、コンピュータプログラムは、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に含まれる実施形態のうちの1つ以上にて本開示による動作方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含む。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データ担体および/またはコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。
【0047】
本明細書において使用されるとき、「コンピュータ可読データ担体」および「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、具体的には、コンピュータ実行可能命令を格納したハードウェア記憶媒体などの非一時的データ記憶手段を指し得る。コンピュータ可読データ担体または記憶媒体は、具体的には、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または読み出し専用メモリ(ROM)などの記憶媒体であってよく、あるいは、そのような記憶媒体を含み得る。
【0048】
したがって、具体的には、上述したような方法ステップの1つ、2つ以上、またはすべてを、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して、好ましくはコンピュータプログラムを使用して実行し得る。
【0049】
プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに本発明による方法を本明細書に含まれる実施形態のうちの1つ以上にて実行するために、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品が本明細書にさらに開示および提案される。具体的には、プログラムコード手段は、コンピュータ可読データ担体および/またはコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。
【0050】
コンピュータまたはコンピュータネットワーク、例えばコンピュータまたはコンピュータネットワークの作業メモリまたはメインメモリなどにロードされた後に、本明細書に開示される実施形態のうちの1つ以上による方法を実行し得るデータ構造を格納したデータ担体が、本明細書においてさらに開示および提案される。
【0051】
プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに本明細書に開示の実施形態のうちの1つ以上による方法を実行するために、機械可読担体上に格納されたプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品が、本明細書にさらに開示および提案される。本明細書において使用されるとき、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は、一般に、紙フォーマットなどの任意のフォーマットで存在し得、あるいはコンピュータ可読データ担体および/またはコンピュータ可読記憶媒体上に存在し得る。特に、コンピュータプログラム製品は、データネットワークを介して配布されてもよい。
【0052】
最後に、本明細書に開示の実施形態のうちの1つ以上による方法を実行するためのコンピュータシステムまたはコンピュータネットワークによって読み取り可能な命令を含む変調データ信号が、本明細書に開示および提案される。
【0053】
コンピュータによって実現される本発明の態様に関して、本明細書に開示の実施形態のうちの1つ以上による方法の方法ステップのうちの1つ以上またはすべての方法ステップを、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行し得る。したがって、一般に、データの提供および/または操作を含む方法ステップのいずれかを、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行し得る。一般に、これらの方法ステップは、典型的には試料の提供および/または実際の測定を実行する特定の態様などの手作業を必要とする方法ステップを除いて、任意の方法ステップを含み得る。
【0054】
具体的には、本明細書において、以下がさらに開示される。
-少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成されるコンピュータまたはコンピュータネットワーク。
-コンピュータ上で実行されているときに本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成されたコンピュータロード可能データ構造。
-コンピュータ上で実行されているときに本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成されたコンピュータプログラム。
-コンピュータプログラムがコンピュータ上またはコンピュータネットワーク上で実行されているときに本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するためのプログラム手段を備えるコンピュータプログラム。
-先行の実施形態に記載のプログラム手段をコンピュータにとって読み取り可能な記憶媒体上に格納して備えているコンピュータプログラム。
-データ構造を格納しており、データ構造は、コンピュータまたはコンピュータネットワークの主記憶部および/または作業記憶部にロードされた後に本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成されている記憶媒体。
-記憶媒体上に格納可能または格納されたプログラムコード手段を有しており、プログラムコード手段がコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行された場合に、本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法が実行されるコンピュータプログラム製品。
【0055】
要約すると、さらなる可能な実施形態を除外することなく、以下の実施形態が想定され得る。
【0056】
実施形態1:自動分析機のためのカラム装置であって、前記自動分析機は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)モジュールを備え、前記HPLCモジュールは、クロマトグラフィカラムを自動的に固定および解放するように構成された固定装置を備え、前記カラム装置は、カラムジャケットおよび毛細管を備え、前記毛細管は、所定の寸法形状を備え、前記カラムジャケット内に配置され、前記カラム装置は、前記固定装置によって前記HPLCモジュールに設置されるように構成されている、カラム装置。
【0057】
実施形態2:前記所定の寸法形状は、内部容積および/または背圧を含む、実施形態1に記載のカラム装置。
【0058】
実施形態3:前記カラム装置は、前記HPLCモジュールと使用することができるクロマトグラフィカラムと、同一の外寸を有する、実施形態1または2に記載のカラム装置。
【0059】
実施形態4:前記毛細管は、1μm~1000μmの内径を有する、実施形態1~3のいずれか1つに記載のカラム装置。
【0060】
実施形態5:前記毛細管は、10mm~50mmの長さを有する、実施形態1~4のいずれか1つに記載のカラム装置。
【0061】
実施形態6:前記カラム装置を前記固定装置へと挿入するように構成された少なくとも1つの案内要素をさらに備える、実施形態1~5のいずれか1つに記載のカラム装置。
【0062】
実施形態7:前記案内要素は、前記カラムジャケットの外面に配置される、実施形態6に記載のカラム装置。
【0063】
実施形態8:RFIDタグをさらに備え、前記RFIDタグは、カラムのタイプ、製造ロット、ならびに任意に前記毛細管の基準値および/または補正係数に関する情報を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載のカラム装置。
【0064】
実施形態9:前記RFIDタグは、前記HPLCモジュールの診断プロセスを自動的に、好ましくは完全に自動的に、トリガまたは可能にするように構成されている、実施形態8に記載のカラム装置。
【0065】
実施形態10:前記毛細管に関する情報を含んでいる人間にとって読み取り可能なラベルをさらに備える、実施形態1~9のいずれか1つに記載のカラム装置。
【0066】
実施形態11:クロマトグラフィカラムを自動的に固定および解放するように構成された固定装置を備える高速液体クロマトグラフィ(HPLC)モジュールと、実施形態1~10のいずれか1つに記載のカラム装置とを備える自動分析機であって、前記カラム装置を前記固定装置によって固定した状態で前記HPLCモジュールの診断プロセスを実行するように構成された、自動分析機。
【0067】
実施形態12:前記自動分析機は、不活性被検物質の流れをもたらし、前記毛細管を通って注入するように構成されている、実施形態11に記載の自動分析機。
【0068】
実施形態13:前記自動分析機は、前記カラム装置によってトリガされたときに前記診断プロセスを完全に自動的に実行するように構成されている、実施形態11または12に記載の自動分析機。
【0069】
実施形態14:前記カラム装置は、RFIDタグを備え、前記自動分析機は、RFIDリーダをさらに備え、前記RFIDタグを識別したときに前記HPLCモジュールの前記診断プロセスを実行するように構成されている、実施形態13に記載の自動分析機。
【0070】
実施形態15:診断プロセスの種類が、前記RFIDタグに保存された情報に応じたものである、実施形態14に記載の自動分析機。
【0071】
実施形態16:前記RFIDタグに保存された情報に応じてユーザに情報を表示するように構成された表示装置をさらに備える、実施形態13~15のいずれか1つに記載の自動分析機。
【0072】
実施形態17:前記自動分析機は、前記HPLCモジュールの所定の動作をトリガし、特に前記HPLCモジュールをルーチン作業のために解放し、前記HPLCモジュールの保全をトリガし、前記HPLCモジュールの予知保全をトリガするように構成されている、実施形態11~16のいずれか1つに記載の自動分析機。
【0073】
実施形態18:前記自動分析機は、前記診断プロセスから得られた診断データを自動的に評価するように構成されている、実施形態11~17のいずれか1つに記載の自動分析機。
【0074】
実施形態19:前記診断データは、圧力、クロマトグラフィ挙動、ピーク分散、フロースルー時間、流量、汚染源、クロマトグラフィカラム上のキャリーオーバーまたはアーチファクトピーク、HPLCモジュール遅延量、HPLCモジュールの注入器の性能、HPLCモジュールのポンプの性能、HPLCモジュールの検出器モジュールの性能、ベースラインノイズ、およびドリフトからなる群から選択される少なくとも1つの項目に関する情報を含む、実施形態18に記載の自動分析機。
【0075】
実施形態20:前記固定装置は、工具を必要としない装置である、実施形態11~19のいずれか1つに記載の自動分析機。
【図面の簡単な説明】
【0076】
さらなる任意の特徴および実施形態が、好ましくは従属請求項と併せて、実施形態の後続の説明においてより詳細に開示される。ここで、それぞれの任意の特徴は、当業者であれば理解するとおり、独立した様相で実現されても、任意の実行可能な組み合わせで実現されてもよい。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって限定されるわけではない。実施形態は、図面に概略的に示されている。ここで、これらの図における同一の参照番号は、同一または機能的に同等の要素を指している。
【0077】
図1】本開示の実施形態による自動分析機の概略図を示している。
図2】クロマトグラフィカラムの断面図を示している。
図3】カラム装置の断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1が、本開示の実施形態による自動分析機100の概略図を示している。自動分析機100は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)モジュール102を備える。HPLCモジュールは、クロマトグラフィカラム106を自動的に固定および解放するように構成された固定装置104を備える。例えば、固定装置104は、クロマトグラフィカラム106を解放可能に固定するために、把持装置、あるいはお互いに向かって移動することができ、かつお互いから離れるように移動することができる1対のフランジを備える。固定装置104は、クリックイン式装置などの工具を必要としない装置である。
【0079】
自動分析機100は、自動分析機100およびそのコンポーネントの動作を制御するように構成された処理ユニットを含むコンピュータ108をさらに備える。例えば、固定装置104の固定および解放動作が、コンピュータ108の制御下にあってよい。固定装置104は、キーボードまたはグラフィカルインターフェースなどのコンピュータ108の入力装置によって操作されてよく、あるいは固定装置104は、1つ以上のボタンなどのユーザによるコマンドの入力を可能にする別個の装置によって操作されてよい。自動分析機100は、RFIDリーダ110をさらに備える。RFIDリーダ110は、固定装置104に隣接または近接した位置に配置される。これにより、RFIDリーダ110は、その近傍のRFIDタグを読み取ることができる。
【0080】
自動分析機100は、表示装置112をさらに備える。
【0081】
図2が、自動分析機100と共に使用することができるクロマトグラフィカラム106の断面図を示している。この断面は、クロマトグラフィカラム106の長さ方向に沿って得られた断面である。クロマトグラフィカラム106は、円形の断面を有する。クロマトグラフィカラム106に、クロマトグラフィカラム106を通って流れる試料の試料成分の分離をもたらす吸着剤114が充てんされている。クロマトグラフィカラム106の活性成分である吸着剤114は、典型的には、サイズが2~50μmの固体粒子(例えば、シリカ、ポリマー、など)で作られた粒状材料である。試料混合物の成分は、吸着剤粒子との相互作用の程度が異なるがゆえに、互いに分離される。加圧された液体は、典型的には溶媒(例えば、水、アセトニトリル、および/またはメタノール)の混合物であり、移動相と呼ばれる。上述のように、クロマトグラフィカラム106は、固定装置104によってHPLCモジュール102に設置されてよい。
【0082】
図3が、カラム装置116の断面図を示している。以下でさらに詳細に説明されるように、カラム装置116は、分析用分析機100のHPLCモジュール102と共に使用されるように構成される。カラム装置116は、カラムジャケット118と、カラムジャケット118内に配置された毛細管120とを備える。毛細管120は、1μm~1000μmの内径122を備える。毛細管120は、10mm~50mmの長さ124を備える。毛細管120は、所定の寸法形状を備える。所定の寸法形状は、内部容積および/または背圧を含む。
【0083】
カラム装置116は、固定装置104によってHPLCモジュール102に設置されるように構成される。この目的のために、カラム装置116は、図2に示したクロマトグラフィカラム106などのHPLCモジュール102と使用することができるクロマトグラフィカラム106と、同一の外寸を有する。HPLCモジュール102へのカラム装置116の設置を容易にするために、カラム装置116は、カラム装置116を固定装置104に挿入するように構成された少なくとも1つの案内要素126をさらに備える。案内要素126は、カラムジャケット118の外面128に配置される。
【0084】
カラム装置116は、RFIDタグ130をさらに備える。RFIDタグ130は、カラムのタイプ、製造ロット、ならびに任意に毛細管120の基準値および/または補正係数に関する情報を含む。RFIDタグ130は、HPLCモジュール102の診断プロセスを自動的に、好ましくは完全に自動的に、トリガまたは可能にするように構成される。RFIDタグ130は、自動分析機100のRFIDリーダ110によってRFIDタグ130およびRFIDタグに保存された情報を読み取ることができるように、カラムジャケット118の外面128に設けられてよい。カラム装置116は、任意に、毛細管120の寸法形状などの毛細管120に関する情報を含む人間にとって読み取り可能なラベル132をさらに備えてもよい。
【0085】
自動分析機100は、カラム装置116が固定装置104によって固定された状態で、HPLCモジュール102の診断プロセスを実行するように構成される。換言すると、自動分析機100は、カラム装置116が固定装置104に挿入されたときにHPLCモジュール102の診断プロセスを実行するように構成される。自動分析機100は、カラム装置116によってトリガされたときに診断プロセスを完全に自動的に実行するように構成される。自動分析機100は、RFIDリーダ110によってRFIDタグ130を識別したときにHPLCモジュール102の診断プロセスを実行するように構成される。診断プロセスのタイプは、RFIDタグ130に保存された情報に応じたものである。特に、自動分析機100は、不活性被検物質の流れをもたらし、毛細管120を通って注入するように構成される。自動分析機100は、診断プロセスから得られた診断データを自動的に評価するようにさらに構成される。診断データは、圧力、クロマトグラフィ挙動、ピーク分散、フロースルー時間、流量、汚染源、クロマトグラフィカラム上のキャリーオーバーまたはアーチファクトピーク、HPLCモジュール遅延量、HPLCモジュール102の注入器の性能、HPLCモジュール102のポンプの性能、HPLCモジュール102の検出器モジュールの性能、ベースラインノイズ、およびドリフトからなる群から選択される少なくとも1つの項目に関する情報を含む。診断データの評価は、対応するソフトウェアおよび/または評価アルゴリズムを備えるコンピュータ100によって実行されてよい。
【0086】
表示装置112は、RFIDタグ130に保存された情報に応じてユーザに情報を表示するように構成される。さらに、自動分析機100は、HPLCモジュール102をルーチン作業のために解放し、HPLCモジュール102の保全をトリガし、HPLCモジュール102の予知保全をトリガするなど、HPLCモジュール102の所定の動作をトリガするように構成される。
【0087】
以下で、自動分析機100およびカラム装置116の一例を、さらに詳細に説明する。以下の説明は、あくまでも例であり、本明細書に記載の実施形態の限定を表すものではないことに留意されたい。自動分析機100およびHPLCモジュール102のそれぞれのシステム追加カラム容積は、15~30μLの範囲内であり得る。システムの設計によって与えられる50mmの長さ124および±10%の内径精度での100μmの内径122を有する毛細管120を使用するカラム装置116は、0.39±0.09μLの容積を有し、したがって好適であると考えられる。容積のばらつきは、製造時に容易に測定し、補正係数としてRFIDタグ130に保存することが可能である。このプロセスは、必要に応じて、より高い精度での測定を容易にすると考えられる。ポンプが最適な動作圧力で作動する場合、50mmの長さ124および0.04mmの内径122を有する毛細管120は、約94barの背圧を加えると考えられる。合計で、システムまたはHPLCモジュール102は、最適な結果を促進する150~200barの間で動作すると考えられる。毛細管120の最適な寸法形状は、標準化されたコンポーネントおよび正確に知られた液体クロマトグラフィ流路ゆえにもたらされる。
【0088】
以下で、自動分析機100およびカラム装置116の動作の一例を、さらに詳細に説明する。通常の動作状態においては、クロマトグラフィカラム106がHPLCモジュール102内に存在し、固定装置104によってその位置に保持される。例えば必要な保全またはルーチンのチェックのためにHPLCモジュール102のチェックが意図される場合、ユーザは、クロマトグラフィカラム106を解放するように固定装置104を動作させる。例えば、ユーザは、コンピュータ108においてコマンドを入力し、あるいは固定装置104のボタンを押す。固定装置104が開き、ユーザは、クロマトグラフィカラム106を固定装置104から取り出し得る。
【0089】
続いて、ユーザは、カラム装置116を固定装置104に挿入するが、これは、案内要素126によって容易にされる。正しいカラム装置または意図されたカラム装置116であるかどうかについてユーザを手助けするために、カラム装置116は、ユーザが読み取ることができる毛細管120の寸法形状などの毛細管120に関する情報を含んでいるラベル132を備える。さらに、ユーザは、固定装置104を動作させてカラム装置116を固定する。例えば、ユーザは、コンピュータ108においてコマンドを入力し、あるいは固定装置104のボタンを押す。固定装置104が閉じられ、カラム装置116が固定装置104によって固定される。続いて、RFIDリーダ110が、カラム装置116の外面128に設けられたRFIDタグ130を読み取る。RFIDリーダ110の読み取り動作は、固定装置104の固定動作によって自動的にトリガされてよい。あるいは、RFIDリーダ110の読み取り動作は、ユーザがコンピュータ108においてコマンドを入力し、あるいはRFIDリーダ110のボタンを押すことによってトリガされなければならない。
【0090】
自動分析機100は、カラム装置116によってトリガされたときに、診断プロセスを完全に自動的に実行する。特に、RFIDリーダ110がカラム装置116のRFIDタグ130に保存された情報を読み取るとすぐに、自動分析機100は、HPLCモジュール102の診断プロセスを実行する。上述にように、診断プロセスのタイプは、RFIDタグ130に保存された情報に応じたものである。特に、自動分析機100は、診断の目的で、不活性被検物質の流れをもたらし、毛細管120を通って注入するように構成される。診断プロセスの後に、自動分析機100は、診断プロセスから得られた診断データを自動的に評価する。診断データは、圧力、クロマトグラフィ挙動、ピーク分散、フロースルー時間、流量、汚染源、クロマトグラフィカラム上のキャリーオーバーまたはアーチファクトピーク、HPLCモジュール遅延量、HPLCモジュール102の注入器の性能、HPLCモジュール102のポンプの性能、HPLCモジュール102の検出器モジュールの性能、ベースラインノイズ、およびドリフトからなる群から選択される少なくとも1つの項目に関する情報を含む。診断データの評価は、対応するソフトウェアおよび/または評価アルゴリズムを備えるコンピュータ100によって実行される。あるいは、診断データの評価は、自動分析機100と通信する外部のコンピュータによって行われてもよい。
【符号の説明】
【0091】
100 自動分析機
102 HPLCモジュール
104 固定装置
106 クロマトグラフィカラム
108 コンピュータ
110 RFIDリーダ
112 表示装置
114 吸着剤
116 カラム装置
118 カラムジャケット
120 毛細管
122 内径
124 長さ
126 案内要素
128 外面
130 RFIDタグ
132 ラベル
図1
図2
図3
【国際調査報告】