IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイの特許一覧

特表2024-505697焼結金属フィルタ媒体を有するガス分配器ノズルシステム
<>
  • 特表-焼結金属フィルタ媒体を有するガス分配器ノズルシステム 図1
  • 特表-焼結金属フィルタ媒体を有するガス分配器ノズルシステム 図2
  • 特表-焼結金属フィルタ媒体を有するガス分配器ノズルシステム 図3
  • 特表-焼結金属フィルタ媒体を有するガス分配器ノズルシステム 図4a
  • 特表-焼結金属フィルタ媒体を有するガス分配器ノズルシステム 図4b
  • 特表-焼結金属フィルタ媒体を有するガス分配器ノズルシステム 図4c
  • 特表-焼結金属フィルタ媒体を有するガス分配器ノズルシステム 図5
  • 特表-焼結金属フィルタ媒体を有するガス分配器ノズルシステム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(54)【発明の名称】焼結金属フィルタ媒体を有するガス分配器ノズルシステム
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/24 20060101AFI20240131BHJP
   C10G 11/18 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
B01J8/24 311
C10G11/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547589
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 US2022014678
(87)【国際公開番号】W WO2022169735
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】63/146,415
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023685
【氏名又は名称】シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ,ロバート・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ツイ,ヂェ
【テーマコード(参考)】
4G070
4H129
【Fターム(参考)】
4G070AA01
4G070AB10
4G070BB32
4G070CA06
4G070CA18
4G070CB16
4G070DA01
4H129AA02
4H129CA08
4H129GA08
4H129GA09
4H129NA41
4H129NA45
(57)【要約】
本発明は、ガス源と流体連通する複数の流路を備えるガス分配システムであって、各流路は、内部に配設されたいくつかのノズルを有し、当該ノズルの少なくとも一部分は、焼結金属フィルタと嵌合されている、ガス分配システムを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス源と流体連通する複数の流路を備えるガス分配システムであって、各流路は、内部に配設されたいくつかのノズルを有し、前記ノズルの少なくとも一部分は、焼結金属フィルタと嵌合されている、システム。
【請求項2】
前記ガス分配システム内の前記ノズルの実質的に全てが、金属フィルタと嵌合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記焼結金属フィルタが、嵌合された前記ノズルの断面全体にわたって嵌合されている、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記焼結金属フィルタが、2段ノズル上に嵌合されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記焼結金属フィルタが、単段ノズル上に嵌合されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記ノズル全体が、前記焼結金属フィルタ材料で構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記ガス分配システムが、固体粒子の床を含む容器内に配設されており、かつ前記容器内にガスを分配して、前記固体粒子の床を流動化するために使用される、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記ガス分配システムが、流動接触分解プロセスにおける触媒再生器において使用される、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記ガス分配システムが、流動接触分解プロセスにおける触媒ストリッパーにおいて使用される、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記ガス源が、酸素富化空気、酸素、窒素富化空気、又はそれらの任意の組み合わせ若しくは混合物から選択される1つ以上の酸化剤を含む、請求項8又は9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良されたガス分配システム、及び1つ以上の流動床システムにおける、特に流動接触分解(fluidised catalytic cracking、FCC)プロセス内におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの工業プロセスは、流動触媒床システムを含む。例えば、流動接触分解(FCC)プロセスは、重質原油蒸留物などの重質炭化水素供給原料を、ガソリン及び中間留分などの低分子量炭化水素生成物に変換するために使用される公知のプロセスである。FCCプロセスシステムは、典型的には、ライザー反応器、ストリッパー、及び再生器を含む。重質炭化水素供給原料はライザー反応器に導入され、ここで再生器からの高温接触分解触媒粒子と接触する。重質炭化水素供給原料と接触分解触媒粒子との混合物は、ライザー反応器を通過し、ここで分解生成物は、ライザー末端で使用済み触媒から分離される。分離された分解生成物は、下流の分留システムに送られ、使用済み触媒は、ストリッピングセクションを通過し、次いで再生器に送られ、そこで、分解反応中に使用済み触媒上に堆積したコークスが、酸素含有ガスとの反応によって燃焼除去され、使用済み触媒が再生される。得られた再生触媒は、前述の高温接触分解触媒粒子として使用され、ライザー反応器に導入される重質炭化水素供給原料と混合される。
【0003】
米国特許出願公開第20030143126号、米国特許第5198397号、英国特許第769818号、及び国際公開第2007076317号に記載されるものなど、いくつかの再生器及びストリッパーの概念が当技術分野で説明されている。ほとんどの再生器において、使用済み触媒は、ガス分配システムより上方の再生器容器に提供される。高速で流れる酸素含有ガス、通常は空気が、ガス分配システムを通して提供され、使用済み触媒を流動化する。同様のシステムは、蒸気がガス分配システムを通して提供されるストリッパー内で動作する。他のガス分配器が、FCCプロセス内で使用されるシステム内に位置し得、例えば、蒸気又は空気分配器が、スタンドパイプへの入口に、又はスタンドパイプに沿って、リフトポット/Y字/J字屈曲セクションに、又はプロセス容器の停滞領域に存在し得る。
【0004】
いずれの場合も、一貫した流れ条件を達成するために、ガス分配システムは、容器、例えば、再生器容器、ストリッパー又はスタンドパイプの断面にわたって一貫した半径方向に均一な流れを提供する必要がある。容器は、概して円筒形であり、ガス分配システムは、概して分配グリッドを含み、分配グリッドは、例えば、そこから延在する側方導管を有するパイプ、ノズルを有するパイプ、マニホールドシステム、及び流体分配リングを有する。例えば、ガス分配システムは、ノズル又は開口を備えて提供された導管又はパイプを含む、1つ又は複数の流動化ガスリング又はグリッドを備えることができる。
【0005】
場合によっては、再生器又はストリッパーなどのシステムの動作を一時的に停止する事象が発生することがあり、例えば、停電が発生することがある。このような事態の間、ガス流は中断され、流動化流は停止する。重力はその不可避の影響を有し、流動化された触媒粒子は、ノズル及びガス分配システムへの逆流を含めて、容器の底部に沈降する。
【0006】
再始動時には、容器、例えば再生器又はストリッパー全体にわたって均一な流れを確実にするために、ガス分配システム内の任意の触媒粒子を当該容器内に吹き戻す必要がある。全ての触媒粒子が容器内に吹き戻されることを確実にすることは困難である。ガス分配システム内に任意に残留するものは、閉塞を引き起こし、空気の均一な分配を妨げ、容器内の流れを乱す可能性がある。ストリッパーに使用されるガス分配システムにおいて、閉塞の問題は、そこで使用される蒸気からの凝縮水の潜在的な存在のために悪化する可能性がある。
【0007】
更に、ガス分配システム内の触媒粒子は、そのシステム内で吹き付けられたときに侵食を引き起こす可能性があり、内部のすり減り及び機器表面の侵食につながる。これは、ノズルを損傷し、圧力降下を変化させ、システム内の流れに影響を与える可能性がある。
【0008】
典型的なガス分配システム内のノズルは、均一な半径方向流を支持するのに十分な圧力降下を有するように設計されている。単段ノズルは、単純な設計を提供するが、動作サイクルにわたって著しい侵食を受ける。そこで、従来のシステムは、2段ノズルを用いていた。ヘッダーからのガスは、ノズルに入り、狭いオリフィス、例えば、より小さい直径を有する円形オリフィスを通過した後、より広いオリフィス、例えば、より大きい直径を有する円形オリフィスを通過し、臨界圧力降下を提供し、触媒進入を最小限にする。
【発明の概要】
【0009】
残念ながら、2段ノズルであっても、ガス分配システムへの全ての触媒の進入を防止することはできない。したがって、臨界圧力降下及び触媒再生器又はストリッパー容器を横切る均一な半径方向流れを維持しながら、触媒侵入がより完全に回避され、腐食及び閉塞を防止するガス分配システムを提供することが非常に望ましい。
【0010】
本発明は、ガス源と流体連通する複数の流路を備える、ガス分配システムであって、各流路は、内部に配設されたいくつかのノズルを有し、当該ノズルの少なくとも一部分は、焼結金属フィルタと嵌合されている、ガス分配システムを提供している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】再生器容器の断面を示す。
図2】再生器容器内の流路の別の配置を示す。
図3】典型的な2段ノズルを示す。
図4a】本発明による焼結金属フィルタと嵌合されたノズルを示す。
図4b】本発明による焼結金属フィルタと嵌合されたノズルを示す。
図4c】本発明による焼結金属フィルタと嵌合されたノズルを示す。
図5】本発明による焼結金属フィルタと嵌合されたノズルを示す。
図6】本発明による焼結金属フィルタと嵌合されたノズルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、流動触媒床システム、例えば、触媒再生器又はストリッパー容器などのFCCプロセス内の流動触媒床システムでの使用に好適な改良されたガス分配システムに関する。
【0013】
ガス分配システムは、ガス源と流体連通する複数の流路を備える。ガス源、例えば、空気を再生器容器の断面にわたって均一に分配することができる任意の構造が、流れチャネルの構造に好適である。例えば、そこから延在する側方導管を有するパイプ、マニホールドシステム、及び流体分配リングは全て、好適であり得る。一部の実施形態では、ガス源は、蒸気、不活性ガス、又は酸化剤を含んでもよい。
【0014】
流路は、断面が円形であってもよいが、楕円形、卵形、三角形、長方形、六角形、八角形、他の多角形、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない他の断面形状もまた使用されてもよい。本明細書における直径への言及は、非円形流路を使用するこれらの実施形態において、等価直径、例えば、平均断面長さであると理解される。
【0015】
流路は、約0.1m/s、約1m/s、約5m/s、約10m/s、又は約20m/sの低速から、約40m/s、約60m/s、約80m/s、約90m/s、又は約125m/sの高速までの速度を有するガスを含み得る。流路内のガスは、約7kPa、約50kPa、約100kPa、約200kPa、又は約300kPaの低圧から、約500kPa、約700kPa、約800kPa、約900kPa、又は約1,500kPaの高圧までの圧力であり得る。
【0016】
ノズルは、流路と流体連通する入口端部と、ガス分配システムの外側に位置付けられている、出口端部とを有する。ノズルは、流路を通る流れの方向に対して実質的に垂直である、長手方向軸を有する。ノズル本体は、入口端部と出口端部との間に位置付けられたオリフィスを有し得る。
【0017】
ノズルは、約0.1kPa、約1kPa、約5kPa、約10kPa、又は約20kPaの低圧から、約30kPa、約40kPa、約50kPa、約60kPa、又は約70kPaの高圧までの圧力降下を生成するようにサイズ決定及び構成され得る。ノズルはまた、約0.5m/s、約4m/s、約8m/s、約15m/s、又は約25m/sの低速から、約50m/s、約70m/s、約90m/s、約95m/s、又は約125m/sの高速までの出口速度プロファイルを引き起こすことができる。
【0018】
ノズルの少なくとも一部分は、焼結金属フィルタと嵌合されている。
【0019】
焼結金属フィルタは、動作中の高い効率及び信頼性を可能にするために提供される。
【0020】
焼結金属フィルタは、中に嵌合されているノズルの断面全体を充填することが意図される。特定の実施形態では、フィルタは、円筒形又は管状の形状を有する。他の実施形態では、フィルタは、カップのような形状である。
【0021】
少なくとも一部の実施形態では、焼結金属フィルタは、金属繊維媒体から作製され、媒体を構成する個々の金属繊維の少なくとも一部分は、低充填密度及び高多孔性濾過媒体を可能にする、いくつかの三次元性を伴う形状を有する。例えば、注入されたときに、繊維は、約2~3%程度の低い充填密度を有し得る。金属繊維の形状に関して本明細書で使用されるような「三次元アスペクト」又は「三次元性」という用語は、理論的な直線繊維と比較した繊維の主軸のランダムな方向変化を指し、例えば、湾曲した、ねじれた、絡み合った、コルクスクリュー、レイジーカーブ、z字型、90度屈曲、又はピグテール形状をもたらす。いくつかの三次元性を有する形状を有する繊維を横たわらせるか、又は注入する場合、それらは連結する傾向があり、個々の繊維の間に実質的な量の開放空間を有するふわふわしたテクスチャーを有する媒体を生じさせる。特定の実施形態では、個々の金属繊維の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、又は少なくとも約90%が、三次元態様を有する形状を有する。いくつかの三次元性を有する形状を有する媒体中の繊維のパーセンテージは、例えば、顕微鏡下で代表的な数の繊維を調べることによって決定される。
【0022】
一部の実施形態において、繊維は、湾曲した繊維及び絡み合った繊維を含む、短い金属繊維である。このような繊維は、(例えば、N.V.Bekaert S.A.,Belgiumから)市販されている。そのような繊維の実施例、及びそれらの調製方法は、米国特許第7,045,219号(Losfeldら)に記載されている。簡単な要約として、米国特許第7,045,219号は、例えば、1~150ミクロンの等価直径を有する、「絡み合った」繊維及び「湾曲した」繊維を含む、短い金属繊維のセットを開示している。絡み合った繊維は、繊維の5~35%を占めてもよく、湾曲した繊維の平均長さの少なくとも5倍の平均長さを有してもよい。湾曲した繊維は、10~2000ミクロンの平均長さを有してもよく、湾曲した繊維の一部分は、少なくとも90度の角度にわたって変化する主軸を有してもよい。繊維の全セットの長さ/直径比は、5より大きくてもよい。絡み合った繊維は、それら自体の中で又は互いに絡み合っており、各絡み合った繊維の主軸は、しばしば予測不可能に変化する。繊維のいくつかは、無秩序な形状を有し、ピグテールのように見えるか、又はクリューに似た形状で存在する。注入されたときに、繊維は、10~40%の範囲の見掛け密度を有することができる。短い金属繊維は、金属繊維をカーディング操作で個別化し、切断又は交絡し、粉砕機を用いて繊維を篩い分けすることによって得ることができる。
【0023】
それらの形状の結果として、本明細書の様々な実施形態に従って用いられる繊維は、低い充填密度を有する傾向がある。したがって、繊維の所与の体積に対して、体積のかなりの部分が、空又は周囲空間であり、すなわち、多孔性が高くなる傾向がある。この低い充填密度/高い気孔率は、そのような繊維から作られたフィルタが、流体がフィルタを通って流れるときに低い圧力降下を示すことを可能にする。
【0024】
一部の実施形態の繊維を作製するのに有用な材料としては、316Lステンレス鋼を含むステンレス鋼、ニッケル、タリウム、チタン、アルミニウム、タングステン、銅、金属酸化物、並びにハステロイ、青銅、Cu合金、及びFe-Cr-Al合金などの合金のうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
様々な実施形態に従って使用される繊維の例示的な寸法としては、約1ミクロン~約150ミクロン、例えば、約1ミクロン~約75ミクロン、約1ミクロン~約50ミクロン、約1ミクロン~約35ミクロン、又は約1ミクロン~約10ミクロンの繊維等価直径、及び約10ミクロン~約2000ミクロン、例えば、約10ミクロン~約1000ミクロン、約10ミクロン~約200ミクロン、又は約10ミクロン~約100ミクロンの繊維長さが含まれる。繊維の「等価直径」は、その主軸に対して垂直に切断された繊維と同じ断面積を有する円の直径を指す。繊維の長さは、繊維の主軸に変化がないように繊維をまっすぐに伸ばした場合の、その主軸に沿った距離を指す。
【0026】
このような繊維からフィルタ又はフィルタ媒体を作製する任意の好適な方法、例えば、軸方向プレス又は静水圧プレスによる成形が、ノズルに嵌合されるフィルタを生産するために適用されてもよい。
【0027】
本発明のガス分配システムでは、ノズルの少なくとも一部分が焼結金属フィルタと嵌合されている。ノズルの大部分(50%超)が焼結金属フィルタと嵌合されていることが好ましい。より好ましくは、ノズルの少なくとも60%、更により好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、更により好ましくは少なくとも99%が金属フィルタと嵌合されている。最も好ましい実施形態では、ガス分配システム内のノズルの実質的に全てが金属フィルタと嵌合されている。
【0028】
本発明のガス分配システムは、固体粒子の床を収容する容器内に好適に配設されており、かつ容器内にガスを分配して、固体粒子の床を流動化するために使用される。
【0029】
このようなシステムでは、システム内の全てのノズルにわたって一定の圧力降下を維持することが重要である。これは、容器全体にわたるガスの均一な流れを確実にする。これは、典型的には、2段ノズルのオリフィスサイズを制御することによって達成されるが、本発明では、ノズルに嵌合されたフィルタの孔径及び厚さを制御することによって有利に達成され得る。
【0030】
本明細書に記載されるガス分配システムの1つの例示的であるが非限定的な使用は、流動接触分解(FCC)プロセスにおいて使用される触媒のストリッピング及び/又は再生におけるものであり得る。FCCプロセスは、重質炭化水素流の分解を促進して、軽質炭化水素生成物を生成するために固体触媒を利用する。分解の副生成物として、炭素質コークスが触媒上に堆積する可能性があり、これは触媒の失活につながる可能性がある。コークスは、触媒再生として知られる燃焼プロセスによって触媒から除去され得る。
【0031】
ガス分配システムが流動接触分解プロセスにおける触媒再生器で使用されるこのような実施形態では、ガス源は、1つ以上の酸化剤を含む。本明細書で使用される場合、「酸化剤」は、触媒の表面上のコークスを酸化するのに好適である任意の化合物又は要素を指すことができる。そのような酸化剤としては、約21体積%の酸素濃度を有する周囲空気、酸素富化空気(周囲空気よりも高い酸素濃度を有する空気)、酸素、酸素不足空気(周囲空気よりも低い酸素濃度を有する空気)、又はそれらの任意の組み合わせ若しくは混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
図面の詳細な説明
例示的かつ非限定的な図面を参照して、本発明を更に説明する。
【0033】
図1は、流動床2を含む再生器容器1の断面図を示している。再生器容器1の下側端部には、ガス分配システムが位置付けられている。当該ガス分配システムは、ガス源(5及び/又は6)と流体連通する複数の流路(3及び4)を備える。この例示的な実施形態では、複数の流路は、同心円の形態の2つの流路3及び4によって表される。異なる数の流路がまた使用されてもよいこと、又は流路の異なる配置が好適であり得ることが容易に理解されるであろう。
【0034】
本発明の一実施形態では、複数の流路(3及び4)が接続されており、かつ単一のガス源5によって供給される。本発明の別の実施形態では、再生器容器内の流路は、反応器を横切るガスの流れの正確な制御を可能にするために、任意選択で異なる圧力又は流量で、2つ以上のガス源5及び6によって供給され得る。
【0035】
図2は、再生器容器1内の流路7の異なる配置を示している。図2では、複数のノズル8が各流路内に配設されていることが分かる。ノズル8は、再生器に対して下向きに傾斜している。本発明のガス分配システムでは、当該ノズルの少なくとも一部分が焼結金属フィルタと嵌合されている。
【0036】
図3は、典型的な2段ノズル9を示している。このようなノズルでは、内部開口部10の直径は、外部開口部11の直径よりも小さい。
【0037】
図4a、図4b及び図4cは、本発明による焼結金属フィルタ12と嵌合されたノズル9の実施形態を示している。図4a及び図4bでは、カップ形状のフィルタが2段ノズル上に嵌合されている。円筒形ディスクフィルタの実施例を図4cに示す。これらのフィルタは、分配器内への触媒の逆流からの保護を提供する。フィルタの厚さ及び孔径は、どれだけの保護があるか、及びどれだけの流量がノズルを通過することができるかを決定する。
【0038】
第1段のオリフィスの直径は、ノズルの全体的な圧力降下を維持するように、フィルタによってもたらされる圧力降下を補償するために増加される必要があり得る。
【0039】
別の実施形態が図5に示されており、ここでは単段ノズル13が焼結金属フィルタ12と嵌合されている。この図では、カップ形状のフィルタが示されているが、円筒形ディスク形状のフィルタがまた好適であり得る。
【0040】
図5の実施形態では、焼結金属フィルタが、第1段のオリフィスの代わりに圧力降下をもたらす。フィルタの厚さ及び孔径は、どれだけの保護があるか、及びどれだけの流量がノズルを通過することができるかを決定する。この実施形態は、ノズルが単一の一定直径を有する管として製造され得、コストを削減するという追加の利点を有する。次いで、フィルタを、例えば、溶接又はねじ込みによって所定の位置に取り付けることができる。フィルタは、所望の圧力降下を提供するとともに、触媒が分配器内に逆流することを防止するように選択される。
【0041】
本発明の更なる可能な実施形態が図6に示されており、ここで、ノズル全体は、焼結金属フィルタ材料14で構成されている。このような実施形態は、焼結金属フィルタを有するノズル全体が1つの要素として構成されるので、更に単純な構成を享受する。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-10-12
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6
【国際調査報告】