(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(54)【発明の名称】共振器及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H03H 9/17 20060101AFI20240131BHJP
H03H 9/02 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
H03H9/17 F
H03H9/02 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548294
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 CN2021091520
(87)【国際公開番号】W WO2022170682
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】202110175096.5
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523301008
【氏名又は名称】偲百創(深▲せん▼)科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲ごん▼ 頌斌
(72)【発明者】
【氏名】ビダル-アルバレス ガブリエル
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA03
5J108BB07
5J108BB08
5J108CC04
5J108EE03
5J108EE06
5J108EE07
5J108EE13
5J108FF02
5J108JJ01
(57)【要約】
本願は、共振器及び電子機器に関する。専用の微細加工プロセスフローにより、高低音響インピーダンス交互層、ボトム周波数温度係数補償層、ボトム電極層、圧電層、トップ電極層及びトップ周波数温度係数補償層が基板に順に積層して設置されて新型の共振器が形成される。当該共振器は、このような特殊な積層幾何構造により、低損失、広帯域、低温感度及び小寸法の良好な特性を同時に示すことができ、優れた動作信頼性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に設けられた高低音響インピーダンス交互層と、
前記高低音響インピーダンス交互層の第1面に設けられたボトム周波数温度係数補償層であって、前記高低音響インピーダンス交互層の前記基板との接触面が前記高低音響インピーダンス交互層の第2面であり、前記高低音響インピーダンス交互層の第1面と前記高低音響インピーダンス交互層の第2面とが対向して設置されるボトム周波数温度係数補償層と、
前記ボトム周波数温度係数補償層の第1面に設けられたボトム電極層であって、前記ボトム周波数温度係数補償層の前記高低音響インピーダンス交互層との接触面が前記ボトム周波数温度係数補償層の第2面であり、前記ボトム周波数温度係数補償層の第1面と前記ボトム周波数温度係数補償層の第2面が対向して設置されるボトム電極層と、
前記ボトム電極層の第1面に設けられた圧電層であって、前記ボトム電極層の前記ボトム周波数温度係数補償層との接触面が前記ボトム電極層の第2面であり、前記ボトム電極層の第1面と前記ボトム電極層の第2面とが対向して設置される圧電層と、
前記圧電層の第1面に設けられたトップ電極層であって、前記圧電層の前記ボトム電極層との接触面が前記圧電層の第2面であり、前記圧電層の第1面と前記圧電層の第2面が対向して設置されるトップ電極層と、
前記トップ電極層の第1面に設けられたトップ周波数温度係数補償層であって、前記トップ電極層の前記圧電層との接触面が前記トップ電極層の第2面であり、前記トップ電極層の第1面と前記トップ電極層の第2面が対向して設置されるトップ周波数温度係数補償層とを含む、
ことを特徴とする共振器。
【請求項2】
前記高低音響インピーダンス交互層は、高音響インピーダンス層及び低音響インピーダンス層を含み、
前記高音響インピーダンス層の音響インピーダンスは、前記低音響インピーダンス層の音響インピーダンスよりも高く、
前記高音響インピーダンス層と前記低音響インピーダンス層は、交互に積層して設置され、
前記高低音響インピーダンス交互層における前記基板との接触層は、低音響インピーダンス層であり、
前記高低音響インピーダンス交互層における前記ボトム周波数温度係数補償層との接触層は、高音響インピーダンス層である、
ことを特徴とする請求項1に記載の共振器。
【請求項3】
前記高音響インピーダンス層は、前記低音響インピーダンス層と厚さが完全に等しくない、
ことを特徴とする請求項2に記載の共振器。
【請求項4】
前記高音響インピーダンス層は、前記低音響インピーダンス層と厚さが同じである、
ことを特徴とする請求項2に記載の共振器。
【請求項5】
前記トップ周波数温度係数補償層の第1面に設けられた媒質層をさらに含み、
前記トップ周波数温度係数補償層の前記トップ電極層との接触面は、前記トップ周波数温度係数補償層の第2面であり、
前記トップ周波数温度係数補償層の第1面と前記トップ周波数温度係数補償層の第2面は、対向して設置される、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の共振器。
【請求項6】
前記トップ電極層の第1面に設けられた金属層をさらに含み、
前記トップ周波数温度係数補償層は、前記金属層の第1面に設けられ、
前記金属層の前記トップ電極層との接触面は、前記金属層の第2面であり、
前記金属層の第1面と前記金属層の第2面とは、対向して設置される、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の共振器。
【請求項7】
前記ボトム電極層及び前記トップ電極層の前記基板に垂直な方向における投影は、いずれも多角形である、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の共振器。
【請求項8】
前記高低音響インピーダンス交互層、前記ボトム周波数温度係数補償層、前記ボトム電極層、前記圧電層、前記トップ電極層及び前記トップ周波数温度係数補償層は、前記基板に平行な同一方向における長さがいずれも同じである、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の共振器。
【請求項9】
前記高低音響インピーダンス交互層、前記ボトム周波数温度係数補償層、前記ボトム電極層、前記圧電層、前記トップ電極層及び前記トップ周波数温度係数補償層は、前記基板に平行な同一方向における長さが完全に同じではない、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の共振器。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の共振器を含むことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、半導体技術分野に関し、特に共振器及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイエンドの無線周波数フロントエンドモジュールでは、音響デバイスを使用して低損失かつ高速ロールオフ特性のフィルタリング機能を有するデバイスが合成される。このようなデバイスは、半導体技術に基づいて製造された微細加工構造であり、音響振動を利用してカスケードインダクタ及びコンデンサと等価の共振器機能を合成する。これらのデバイスは、通常、表面弾性波(SAW)デバイス又はバルク弾性波(BAW)デバイスと呼ばれ、現代の電子デバイスと互換性があり、非常に小さい外形寸法で非常に高い品質係数Q(低損失に直接関連)を得ることができるため、ハイエンドのフロントエンドモジュールの無線周波数フィルタリングのための主流の解決策となっている。特に、2.5GHzを超える高周波数かつ低損失である場合、BAWデバイスの性能は、SAWデバイスよりも優れるため、BAWデバイスは、ハイエンドフロントエンドモジュールの高周波数フィルタリング技術においてより広く応用されている。
【0003】
従来のBAWデバイスは、圧電フィルム層を金属電極と他のフィルム層との間に挟んで、デバイスの温度感度を低下させる。BAWデバイスの構造は主に2つのタイプがあり、1つは、フローティングフィルムに基づくものであり、もう1つは、反射積層を有する基板に固定されたフィルムに基づくものである。この2つの場合には、音響デバイスの共振周波数は、圧電層の厚さとそれに接触する他のフィルムの厚さとの総厚さによって設定される。新たな5G標準には、より高い周波数(3GHz以上)及びより大きい帯域幅での動作が要求される。高周波数の要件を満たすために、非常に薄い膜層を利用するか又は帯域幅を犠牲する必要があるという新たな挑戦をBAWデバイスにもたらす。従来のBAWデバイスでは、この2種の性能の間には避けられない取捨があるため、良品率が制限されたり、コストが高くなったりすることにつながり、或いは、受動コンポーネントの音響パッケージ内での製造及び集積化にとって大きな挑戦になる。これらの受動コンポーネントは、通常、音響機器の制限性を補償するために用いられるが、5G標準では、その性能が拡張されて追加の損失を引き起こすため、この目的に達するには十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第109921759号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑みて、上記問題に対して、共振器及び電子機器を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
共振器は、基板に設けられた高低音響インピーダンス交互層と、前記高低音響インピーダンス交互層の第1面に設けられたボトム周波数温度係数補償層であって、前記高低音響インピーダンス交互層の前記基板との接触面が前記高低音響インピーダンス交互層の第2面であり、前記高低音響インピーダンス交互層の第1面と前記高低音響インピーダンス交互層の第2面とが対向して設置されるボトム周波数温度係数補償層と、前記ボトム周波数温度係数補償層の第1面に設けられたボトム電極層であって、前記ボトム周波数温度係数補償層の前記高低音響インピーダンス交互層との接触面が前記ボトム周波数温度係数補償層の第2面であり、前記ボトム周波数温度係数補償層の第1面と前記ボトム周波数温度係数補償層の第2面が対向して設置されるボトム電極層と、前記ボトム電極層の第1面に設けられた圧電層であって、前記ボトム電極層の前記ボトム周波数温度係数補償層との接触面が前記ボトム電極層の第2面であり、前記ボトム電極層の第1面と前記ボトム電極層の第2面とが対向して設置される圧電層と、前記圧電層の第1面に設けられたトップ電極層であって、前記圧電層の前記ボトム電極層との接触面が前記圧電層の第2面であり、前記圧電層の第1面と前記圧電層の第2面が対向して設置されるトップ電極層と、前記トップ電極層の第1面に設けられたトップ周波数温度係数補償層であって、前記トップ電極層の前記圧電層との接触面が前記トップ電極層の第2面であり、前記トップ電極層の第1面と前記トップ電極層の第2面が対向して設置されるトップ周波数温度係数補償層とを含む。
【0007】
一実施例では、前記高低音響インピーダンス交互層は、高音響インピーダンス層及び低音響インピーダンス層を含み、前記高音響インピーダンス層の音響インピーダンスは、前記低音響インピーダンス層の音響インピーダンスよりも高く、前記高音響インピーダンス層と前記低音響インピーダンス層は、交互に積層して設置され、前記高低音響インピーダンス交互層における前記基板との接触層は、低音響インピーダンス層であり、前記高低音響インピーダンス交互層における前記ボトム周波数温度係数補償層との接触層は、高音響インピーダンス層である。
【0008】
一実施例では、前記高音響インピーダンス層は、前記低音響インピーダンス層と厚さが完全に等しくない。
【0009】
一実施例では、前記高音響インピーダンス層は、前記低音響インピーダンス層と厚さが同じである。
【0010】
一実施例では、前記共振器は、前記トップ周波数温度係数補償層の第1面に設けられた媒質層をさらに含み、前記トップ周波数温度係数補償層の前記トップ電極層との接触面は、前記トップ周波数温度係数補償層の第2面であり、前記トップ周波数温度係数補償層の第1面と前記トップ周波数温度係数補償層の第2面は、対向して設置される。
【0011】
一実施例では、前記共振器は、前記トップ電極層の第1面に設けられた金属層をさらに含み、前記トップ周波数温度係数補償層は、前記金属層の第1面に設けられ、前記金属層の前記トップ電極層との接触面は、前記金属層の第2面であり、前記金属層の第1面と前記金属層の第2面とは、対向して設置される。
【0012】
一実施例では、前記ボトム電極層及び前記トップ電極層の前記基板に垂直な方向における投影は、いずれも多角形である。
【0013】
一実施例では、前記高低音響インピーダンス交互層、前記ボトム周波数温度係数補償層、前記ボトム電極層、前記圧電層、前記トップ電極層及び前記トップ周波数温度係数補償層は、前記基板に平行な同一方向における長さがいずれも同じである。
【0014】
一実施例では、前記高低音響インピーダンス交互層、前記ボトム周波数温度係数補償層、前記ボトム電極層、前記圧電層、前記トップ電極層及び前記トップ周波数温度係数補償層は、前記基板に平行な同一方向における長さが完全に同じではない。
【0015】
電子機器は上記の共振器を含む。
【発明の効果】
【0016】
上記共振器及び電子機器によれば、専用の微細加工プロセスフローにより、高低音響インピーダンス交互層、ボトム周波数温度係数補償層、ボトム電極層、圧電層、トップ電極層及びトップ周波数温度係数補償層が基板に順に積層して設置されて新型の共振器が形成される。当該共振器は、このような特殊な積層幾何構造により、低損失、広帯域、低温感度及び小寸法の良好な特性を同時に示すことができ、優れた動作信頼性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本願の実施例または従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下では実施例または従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の説明における図面は本願の一部の実施例にすぎず、当業者にとっては、創造的な労力を必要としない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】一実施例における共振器の断面模式図である。
【
図2】一実施例における共振器の平面模式図である。
【
図3】他の実施例における共振器の断面模式図である。
【
図4】別の実施例における共振器の断面模式図である。
【
図5】さらに別の実施例における共振器の断面模式図である。
【
図6】一実施例における異なる共振周波数の共振器の比較模式図である。
【
図7】別の実施例における共振器の断面模式図である。
【
図8】一実施例における異なる共振周波数の共振器の比較模式図である。
【
図9】一実施例における四角形電極の共振器の構成模式図である。
【
図10】一実施例における六角形電極の共振器の構成模式図である。
【
図11】別の実施例における共振器の断面模式図である。
【
図12】さらに別の実施例における共振器の断面模式図である。
【
図13】一実施例における共振器のアドミタンスの周波数応答の模式図である。
【
図14】他の実施例における共振器のアドミタンスの周波数応答の模式図である。
【
図15】一実施例における共振器の応力分布の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願を理解しやすくするために、以下では関連する添付図面を参照して本願に対してより全面的な説明を行う。添付図面では本願の好適な実施例が示されている。しかし、本願は多くの異なる態様で実現することができ、本明細書で説明する実施例に限らない。逆に、これらの実施例を提供する目的は、本願の開示内容に対する理解をより徹底的で全面的にすることである。
【0019】
図1を参照すると、共振器は、基板に設けられた高低音響インピーダンス交互層10と、高低音響インピーダンス交互層10の第1面に設けられたボトム周波数温度係数補償層20であって、高低音響インピーダンス交互層10の基板との接触面が高低音響インピーダンス交互層10の第2面であり、高低音響インピーダンス交互層10の第1面と高低音響インピーダンス交互層10の第2面が対向して設置されるボトム周波数温度係数補償層20と、ボトム周波数温度係数補償層20の第1面に設けられたボトム電極層30であって、ボトム周波数温度係数補償層20の高低音響インピーダンス交互層10との接触面がボトム周波数温度係数補償層20の第2面であり、ボトム周波数温度係数補償層20の第1面とボトム周波数温度係数補償層20の第2面が対向して設置されるボトム電極層30と、ボトム電極層30の第1面に設けられた圧電層40であって、ボトム電極層30のボトム周波数温度係数補償層20との接触面がボトム電極層30の第2面であり、ボトム電極層30の第1面とボトム電極層30の第2面が対向して設置される圧電層40と、圧電層40の第1面に設けられたトップ電極層50であって、圧電層40のボトム電極層30との接触面が圧電層40の第2面であり、圧電層40の第1面と圧電層40の第2面が対向して設置されるトップ電極層50と、トップ電極層50の第1面に設けられたトップ周波数温度係数補償層60であって、トップ電極層50の圧電層40との接触面がトップ電極層50の第2面であり、トップ電極層50の第1面とトップ電極層50の第2面が対向して設置されるトップ周波数温度係数補償層60とを含む。
【0020】
具体的には、本実施例の共振器の平面図は、
図2に示すとおりであり、
図1に示す積層構造は、
図2に示す共振器のA―A´における断面模式図である。
図2に示す構造では、ボトム電極層30及びトップ電極層50において金属接続線、即ち電極リード線が引き出されているとともに、電極リード線の上のパッシベーション層に窓を開けて、電気的接続のために電極リード線を露出させる。高低音響インピーダンス交互層10は、高音響インピーダンス層と低音響インピーダンス層が交互に積層して形成される層状構造であり、高音響インピーダンス層及び低音響インピーダンス層の選定は、いずれも唯一ではなく、高音響インピーダンス層の音響インピーダンスが低音響インピーダンス層の音響インピーダンスよりも高いことを保証できればよい。本実施例の共振器は、頂部積層と底部積層の両部分に分けられ、頂部積層の部分は、2つの電極層(即ち、ボトム電極層30及びトップ電極層50)、2つの周波数温度係数補償層(即ち、ボトム周波数温度係数補償層20及びトップ周波数温度係数補償層60)、及びトップ電極層50とボトム電極層30との間に挟まれる圧電層40から構成され、底部積層の部分は、主に高低音響インピーダンス交互層10から構成され、頂部積層の部分は、底部積層の部分の頂部に配置され、底部積層の部分は、基板に配置される。それにより、本実施例の提供する共振器の積層構造は全体として基板の頂部にスタックされる。
【0021】
なお、このような基板は、任意の材料で形成されるウェハ基板であってもよい。1つの詳しい実施例では、高音響インピーダンスを示すために、具体的には、シリコン、炭化ケイ素、サファイア、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ガラス、石英、窒化アルミニウム及びダイヤモンドのうちのいずれか1種、或いは、シリコン、炭化ケイ素、サファイア、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ガラス、石英、窒化アルミニウム及びダイヤモンドのうちの複数種の組み合わせを採用してウェハ基板を得ることができる。
【0022】
位相長とは、音波が伝播して一定の厚さを有する媒質を通過する際に発生する位相移動であり、その大きさは、当該媒質の絶対厚さと当該音波の位相速度との比であるため、位相長の大きさは、同様に直観的に媒質の厚さの大きさを示すことができる。一実施例では、頂部積層の部分の総位相長は半周期よりも大きくされるべきであり、即ち、t_pは、πよりも大きくされるべきであり、このように、最も基本的な振動モードの高調波でデバイスが動作できることを保証することができる。例えば、一実施例では、3次モードを例とすると、3次モードの場合、頂部積層の部分の総厚さを2πとすることができ、即ち、t_p=2πである。
【0023】
ボトム周波数温度係数補償層20及びトップ周波数温度係数補償層60のタイプは、唯一ではない。一実施例では、ボトム周波数温度係数補償層20及びトップ周波数温度係数補償層60は、二酸化ケイ素、一酸化ケイ素、酸化テルル及びスピングラスのうちのいずれか1つで形成されるフィルム層であってもよく、或いは、二酸化ケイ素、一酸化ケイ素、酸化テルル及びスピングラスにドーピング剤/不純物を添加して形成されるフィルム層であってもよい。他の実施例では、圧電層40と逆の温度係数を有すれば、他の材料タイプのフィルム層を採用することができる。
【0024】
同様に、本実施例の提供するボトム電極層30、トップ電極層50及び圧電層40の具体的なタイプは、いずれも唯一ではない。異なる実施例では、異なる需要に応じて異なるタイプの材料層をボトム電極層30、トップ電極層50又は圧電層40として採用することができる。例えば、一実施例では、ボトム電極層30及びトップ電極層50としては、Al(アルミニウム)、Ru(ルテニウム)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Ti(チタン)、Ta(タンタル)、Pt(白金)及びAu(金)のうちのいずれか1種を採用することができ、或いは、Al、Ru、Mo、W、Ti、Ta、Pt、Auなどで形成される合金材料を採用することができる。圧電層40としては、窒化アルミニウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、石英、酸化亜鉛、チタン酸ジルコン酸鉛のうちのいずれか1種を採用することができる。
【0025】
図3を参照すると、一実施例では、高低音響インピーダンス交互層10は、高音響インピーダンス層12及び低音響インピーダンス層11を含み、高音響インピーダンス層12の音響インピーダンスは、低音響インピーダンス層11の音響インピーダンスよりも高く、高音響インピーダンス層12と低音響インピーダンス層11は、交互に積層して設置され、高低音響インピーダンス交互層10における基板との接触層は、低音響インピーダンス層11であり、高低音響インピーダンス交互層10におけるボトム周波数温度係数補償層20との接触層は、高音響インピーダンス層12である。
【0026】
具体的には、高低音響インピーダンス交互層10に具体的に含まれる層数は、唯一ではない。1つの簡単な実施例では、高低音響インピーダンス交互層10では、1層の高音響インピーダンス層12及び1層の低音響インピーダンス層11のみが設けられ、高音響インピーダンス層12は、低音響インピーダンス層11の頂部に位置する。他の実施例において、実際の使用シーン及びユーザの需要に合わせて、高音響インピーダンス層12及び低音響インピーダンス層11をより多く設置することができ、高音響インピーダンス層12及び低音響インピーダンス層11が順に交互に設置され、且つボトム周波数温度係数補償層20との接触層が高音響インピーダンス層12であり、基板との接触層が低音響インピーダンス層11であると保証できればよい。
【0027】
一実施例では、高音響インピーダンス層12は、低音響インピーダンス層11と厚さが完全に等しくない。
【0028】
具体的には、この実施例では、高音響インピーダンス層12及び低音響インピーダンス層11の数がいずれも複数である場合、圧電層40が生成する縦方向とせん断振動の適当反射を確保するために、高低音響インピーダンス層11における高音響インピーダンス層12及び低音響インピーダンス層11の厚さを最適化する必要があり、つまり、実際の需要に応じて、異なる厚さの高音響インピーダンス層12及び低音響インピーダンス層11を設計することができる。
【0029】
図4を参照すると、1つの詳しい実施例では、高音響インピーダンス層12は、圧電層40に近いほど、厚さが高くなり、低音響インピーダンス層11は、同様に、圧電層40に近いほど、厚さが高くなる。即ち、t
LI2i<t
LI2i-2<・・・・・・<t
LI2、且つ、t
HI2i-1<t
HI2i-3<・・・・・・<t
HI1となる。ここで、t
LI2iは、最底層の低周波数温度係数補償層の厚さを示し、t
LI2は、最頂層の低周波数温度係数補償層の厚さを示し、t
HI2i-1は、最底層の高周波数温度係数補償層の厚さを示し、t
HI1は、最頂層の高周波数温度係数補償層の厚さを示す。
【0030】
本実施例では、高音響インピーダンス層12及び低音響インピーダンス層11の厚さは、完全に同じではないため、より完全な反射を提供することができ、且つ設計のプロセス中の不均一性に対する感度を低下させることができる。つまり、設計がXであれば、生産時にわずかなずれを生じ、各音響インピーダンス層の厚さを異ならせて、より良好な良品率を提供することができる。
【0031】
理解できるように、
図3を参照すると、他の実施例において、高音響インピーダンス層12及び低音響インピーダンス層11の厚さはいずれも同じであってもよい。例えば、1つの詳しい実施例では、高低音響インピーダンス交互層10におけるそれぞれの層の音響厚さをいずれも励起振動モードの周期の1/4と設計することができ、即ち、それぞれの層の音響厚さは、位相長t_pと等しく、且ついずれもπ/2である。なお、他の実施例において、実際の使用シーン及びユーザの需要に応じて、各高、低音響インピーダンス層の音響厚さをいずれも他の大きさに設計することができる。
【0032】
図5を参照すると、一実施例では、共振器は、媒質層70をさらに含み、媒質層70は、トップ周波数温度係数補償層60の第1面に設けられ、トップ周波数温度係数補償層60のトップ電極層50との接触面は、トップ周波数温度係数補償層60の第2面であり、トップ周波数温度係数補償層60の第1面とトップ周波数温度係数補償層60の第2面は、対向して設置される。
【0033】
具体的には、上記実施例においてトップ周波数温度係数補償層60の厚さを変えることにより共振器の共振周波数を変更することと異なり、本実施例において、実際の生産過程では、各共振器のトップ周波数温度係数補償層60の厚さがいずれも同じであると設定し、異なる共振周波数(具体的には、低い共振周波数)のデバイスを必要とする場合、直接既存の積層構造に加工を行い、直接トップ周波数温度係数補償層60の頂部に薄い媒質層70をパターン化して音響デバイス(即ち、共振器)の共振周波数を変更することができる。
【0034】
なお、媒質層70のタイプは、唯一ではなく、一実施例では、Pt、Mo、Au、AlN(窒化アルミニウム)、SiN(窒化ケイ素)、SiO2(二酸化ケイ素)、Ti、W、Ruのうちのいずれか1種又は複数種の任意の組み合わせで形成されるフィルム層であってもよい。
【0035】
さらに、
図6を参照すると、一実施例では、トップ周波数温度係数補償層60の厚さを変えることにより共振器の共振周波数を変更することができ、即ち、トップ周波数温度係数補償層60の厚さは、唯一ではなく、実際の生産過程では、具体的には、ユーザの需要及び使用シーンに応じて異なる設計を行うことができる。異なる共振周波数の共振器の間にトップ周波数温度係数補償層60の厚さが一致しないだけであるため、実際の生産過程では、異なる共振周波数のデバイスが互いに隣接するように同一のウェハに製造することができ、より高い生産効率を有する。
【0036】
図7を参照すると、一実施例では、共振器は、金属層80をさらに含み、金属層80は、トップ電極層50の第1面に設けられ、トップ周波数温度係数補償層60は、金属層80の第1面に設けられ、金属層80のトップ電極層50との接触面は、金属層80の第2面であり、金属層80の第1面と金属層80の第2面は、対向して設置される。
【0037】
具体的には、本実施例では、トップ周波数温度係数補償層60とトップ電極層50との間に、さらに金属層80が設けられ、それにより、共振器の共振周波数を変更する。理解できるように、当該金属層80のタイプは、唯一ではなく、一実施例では、トップ電極層50と同じ材料を採用することができ、このとき、加工過程では、当該共振器のトップ電極層50の厚さを他の共振器のトップ電極層50の厚さよりも高く設計すればよい。別の一実施例において、トップ電極層50と異なる材料で金属層80を形成することができ、このとき、トップ電極層50を形成した後、共振周波数の変更が必要な共振器において、引き続き他の金属材料で1層の薄い金属層80を形成すればよい。
【0038】
なお、
図8を参照すると、別の一実施例において、トップ電極層50をエッチングすることにより共振器の共振周波数を変更することができ、即ち、当該実施例において、生産過程では、複数の共振器に対して同時に加工処理を行い、一斉にトップ電極層50の加工プロセスを完了した後、共振周波数の変更が必要な共振器について、さらにエッチングプロセスを追加して、トップ電極層50の厚さを減少すればよい。
【0039】
さらに、一実施例では、異なる共振器には、異なる金属材料を用いてボトム電極層30及び/又はトップ電極層50を形成することができ、1つ又は2つの電極の材料種類を変更して、同様に異なる共振周波数を有する共振器を形成することができる。
【0040】
一実施例では、ボトム電極層30及びトップ電極層50の基板に垂直な方向における投影は、いずれも多角形である。
【0041】
具体的には、
図9~
図10を参照すると、
図9は、ボトム電極層30及びトップ電極層50の基板に垂直な方向における投影がいずれも四角形となる様子であり、
図10は、ボトム電極層30及びトップ電極層50の基板に垂直な方向における投影がいずれも六角形となる様子である。本実施例では、ボトム電極層30及びトップ電極層50の基板に垂直な方向における投影は、いずれも多角形であり、例えば正方形、矩形、台形などの複数の辺を有する他の任意の多角形であってもよい。つまり、このとき、ボトム電極層30及びトップ電極層50は、いずれも多角柱構造であり、多角柱構造の高さは、ボトム電極層30及びトップ電極層50の厚さである。理解できるように、本実施例でいう多角形は、四角形、五角形、六角形などであってもよい。そうすると、円形又は楕円形に類似する構造を形成するように4から無限大であってもよい。
【0042】
一実施例では、高低音響インピーダンス交互層10、ボトム周波数温度係数補償層20、ボトム電極層30、圧電層40、トップ電極層50及びトップ周波数温度係数補償層60は、基板に平行な同一方向における長さは、いずれも同じである。
【0043】
具体的には、基板に平行な方向は、唯一ではなく、高低音響インピーダンス交互層10、ボトム周波数温度係数補償層20、ボトム電極層30、圧電層40、トップ電極層50及びトップ周波数温度係数補償層60の基板に垂直な方向における投影図形の長さ、幅又は対角線などの方向であってもよい。一実施例では、高低音響インピーダンス交互層10、ボトム周波数温度係数補償層20、ボトム電極層30、圧電層40、トップ電極層50及びトップ周波数温度係数補償層60の基板に垂直な方向における投影図形がいずれも矩形であることを例とすると、基板に平行な同一方向は、矩形の幅であり、このとき、共振器の矩形の幅方向に沿う長さはいずれも一致し、対応的に幅方向に沿う断面図形は、
図1又は
図3~
図4に示すとおりである。
【0044】
理解できるように、高低音響インピーダンス交互層10、ボトム周波数温度係数補償層20、ボトム電極層30、圧電層40、トップ電極層50及びトップ周波数温度係数補償層60の基板に平行な方向における長さの設計方式は、唯一ではなく、一実施例では、高低音響インピーダンス交互層10、ボトム周波数温度係数補償層20、ボトム電極層30、圧電層40、トップ電極層50及びトップ周波数温度係数補償層60の基板に平行な同一方向における長さは、完全に同じではない。
【0045】
具体的には、
図11又は
図12を参照すると、高低音響インピーダンス交互層10、ボトム周波数温度係数補償層20、ボトム電極層30、圧電層40、トップ電極層50及びトップ周波数温度係数補償層60が順に積層して設置されているため、各層の寸法が異なる場合、各積層の間に隙間が存在することを避けるために、幅の大きい下にある積層と幅の小さい上にある積層のうち、下方に位置する積層は、上方に位置する積層を包むように設計され、或いは、幅の大きい上にある積層と幅の小さい下にある積層のうち、上方に位置する積層は、下方に位置する積層を包むように設計される。このとき、共振器に対応する平面図については、
図2を参照するとよい。当該共振器のAA´方向における断面図形は、上記実施例における各層の基板に平行な同一方向における断面図形と類似し、いずれも
図1又は
図3~8を参照するとよい。BB´方向における断面図形は、
図11又は
図12に示すように、層寸法の大きい積層は、層寸法の小さい積層を包み、ボトム電極層と各高音響インピーダンス層は、上から下へ幅が順に増加又は減少する形態であってもよく、或いは、幅の大きさがランダムに配列されてもよく、各積層の基板に平行な同一方向における幅が完全に同じではないと保証すればよい。
【0046】
図13~
図15を参照すると、
図13及び
図14は、それぞれ、異なる周波数での本願に係る共振器の特性アドミッタンスのシミュレーション応答であり、固有周波数シミュレーションにより、3.5GHzほどの共振周波数で最適な積層反射層の厚さを有することを実現し、
図15は、本願の提供する共振器の応力分布模式図を示し、図から、共振器の最低応力―Maxから最大応力+Maxの分布を得ることができる。
【0047】
上記共振器によれば、専用の微細加工プロセスフローにより、高低音響インピーダンス交互層10、ボトム周波数温度係数補償層20、ボトム電極層30、圧電層40、トップ電極層50及びトップ周波数温度係数補償層60が基板に順に積層して設置されて新型の共振器が形成される。当該共振器は、このような特殊な積層幾何構造により、低損失、広帯域、低温感度及び小寸法の良好な特性を同時に示すことができ、優れた動作信頼性を有する。
【0048】
電子機器は上記の共振器を含む。具体的には、本実施例の電子機器における共振器の具体的な構造は、上記の各実施例及び図面に示すように、基板に設けられた高低音響インピーダンス交互層10と、高低音響インピーダンス交互層10の第1面に設けられたボトム周波数温度係数補償層20であって、高低音響インピーダンス交互層10の基板との接触面が高低音響インピーダンス交互層10の第2面であり、高低音響インピーダンス交互層10の第1面と高低音響インピーダンス交互層10の第2面が対向して設置されるボトム周波数温度係数補償層20と、ボトム周波数温度係数補償層20の第1面に設けられたボトム電極層30であって、ボトム周波数温度係数補償層20の高低音響インピーダンス交互層10との接触面がボトム周波数温度係数補償層20の第2面であり、ボトム周波数温度係数補償層20の第1面とボトム周波数温度係数補償層20の第2面が対向して設置されるボトム電極層30と、ボトム電極層30の第1面に設けられた圧電層40であって、ボトム電極層30のボトム周波数温度係数補償層20との接触面がボトム電極層30の第2面であり、ボトム電極層30の第1面とボトム電極層30の第2面が対向して設置される圧電層40と、圧電層40の第1面に設けられたトップ電極層50であって、圧電層40のボトム電極層30との接触面が圧電層40の第2面であり、圧電層40の第1面と圧電層40の第2面が対向して設置されるトップ電極層50と、トップ電極層50の第1面に設けられたトップ周波数温度係数補償層60であって、トップ電極層50の圧電層40との接触面がトップ電極層50の第2面であり、トップ電極層50の第1面とトップ電極層50の第2面が対向して設置されるトップ周波数温度係数補償層60とを含む。
【0049】
上記共振器は、このような特殊な積層幾何構造により、低損失、広帯域、低温感度及び小寸法の良好な特性を同時に示すことができ、優れた動作信頼性を有する。この共振器を電子機器に応用すると、電子機器の使用信頼性を効果的に向上させて、電子機器を5G標準の要求を満たさせる。
【0050】
上記実施例の各技術的特徴は任意の組み合わせを行うことができ、説明を簡潔にするために、上記実施例中の各技術的特徴のすべての可能な組み合わせに対して説明を行わず、しかし、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾が存在しない限り、すべて本明細書に記載する範囲であると考えるべきである。
【0051】
以上の実施例は本願のいくつかの実施形態のみを表し、その説明は比較的に具体的かつ詳細であるが、これによって特許請求の範囲に対する制限と理解することはできない。なお、当業者にとって、本願の構想から逸脱しない前提の下で、さらに若干の変形と改良を行うことができ、これらはいずれも本願の保護範囲に属する。そのため、本願の特許の保護範囲は添付の請求項を基準とする。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に設けられた高低音響インピーダンス交互層と、
前記高低音響インピーダンス交互層の第1面に設けられたボトム周波数温度係数補償層であって、前記高低音響インピーダンス交互層の前記基板との接触面が前記高低音響インピーダンス交互層の第2面であり、前記高低音響インピーダンス交互層の第1面と前記高低音響インピーダンス交互層の第2面とが対向して設置されるボトム周波数温度係数補償層と、
前記ボトム周波数温度係数補償層の第1面に設けられたボトム電極層であって、前記ボトム周波数温度係数補償層の前記高低音響インピーダンス交互層との接触面が前記ボトム周波数温度係数補償層の第2面であり、前記ボトム周波数温度係数補償層の第1面と前記ボトム周波数温度係数補償層の第2面が対向して設置されるボトム電極層と、
前記ボトム電極層の第1面に設けられた圧電層であって、前記ボトム電極層の前記ボトム周波数温度係数補償層との接触面が前記ボトム電極層の第2面であり、前記ボトム電極層の第1面と前記ボトム電極層の第2面とが対向して設置される圧電層と、
前記圧電層の第1面に設けられたトップ電極層であって、前記圧電層の前記ボトム電極層との接触面が前記圧電層の第2面であり、前記圧電層の第1面と前記圧電層の第2面が対向して設置されるトップ電極層と、
前記トップ電極層の第1面に設けられたトップ周波数温度係数補償層であって、前記トップ電極層の前記圧電層との接触面が前記トップ電極層の第2面であり、前記トップ電極層の第1面と前記トップ電極層の第2面が対向して設置されるトップ周波数温度係数補償層とを含む、
ことを特徴とする共振器。
【請求項2】
前記高低音響インピーダンス交互層は、高音響インピーダンス層及び低音響インピーダンス層を含み、
前記高音響インピーダンス層の音響インピーダンスは、前記低音響インピーダンス層の音響インピーダンスよりも高く、
前記高音響インピーダンス層と前記低音響インピーダンス層は、交互に積層して設置され、
前記高低音響インピーダンス交互層における前記基板との接触層は、低音響インピーダンス層であり、
前記高低音響インピーダンス交互層における前記ボトム周波数温度係数補償層との接触層は、高音響インピーダンス層である、
ことを特徴とする請求項1に記載の共振器。
【請求項3】
前記高音響インピーダンス層は、前記低音響インピーダンス層と厚さが完全に等しくない、
ことを特徴とする請求項2に記載の共振器。
【請求項4】
前記高音響インピーダンス層は、前記低音響インピーダンス層と厚さが同じである、
ことを特徴とする請求項2に記載の共振器。
【請求項5】
前記トップ周波数温度係数補償層の第1面に設けられた媒質層をさらに含み、
前記トップ周波数温度係数補償層の前記トップ電極層との接触面は、前記トップ周波数温度係数補償層の第2面であり、
前記トップ周波数温度係数補償層の第1面と前記トップ周波数温度係数補償層の第2面は、対向して設置される、
ことを特徴とする請求項
1に記載の共振器。
【請求項6】
前記トップ電極層の第1面に設けられた金属層をさらに含み、
前記トップ周波数温度係数補償層は、前記金属層の第1面に設けられ、
前記金属層の前記トップ電極層との接触面は、前記金属層の第2面であり、
前記金属層の第1面と前記金属層の第2面とは、対向して設置される、
ことを特徴とする請求項
1に記載の共振器。
【請求項7】
前記ボトム電極層及び前記トップ電極層の前記基板に垂直な方向における投影は、いずれも多角形である、
ことを特徴とする請求項
1に記載の共振器。
【請求項8】
前記高低音響インピーダンス交互層、前記ボトム周波数温度係数補償層、前記ボトム電極層、前記圧電層、前記トップ電極層及び前記トップ周波数温度係数補償層は、前記基板に平行な同一方向における長さがいずれも同じである、
ことを特徴とする請求項
1に記載の共振器。
【請求項9】
前記高低音響インピーダンス交互層、前記ボトム周波数温度係数補償層、前記ボトム電極層、前記圧電層、前記トップ電極層及び前記トップ周波数温度係数補償層は、前記基板に平行な同一方向における長さが完全に同じではない、
ことを特徴とする請求項
1に記載の共振器。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の共振器を含むことを特徴とする電子機器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
同様に、本実施例の提供するボトム電極層30、トップ電極層50及び圧電層40の具体的なタイプは、いずれも唯一ではない。異なる実施例では、異なる需要に応じて異なるタイプの材料層をボトム電極層30、トップ電極層50又は圧電層40として採用することができる。例えば、一実施例では、ボトム電極層30及びトップ電極層50としては、Al(アルミニウム)、Ru(ルテニウム)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Ti(チタン)、Ta(タンタル)、Pt(白金)及びAu(金)のうちのいずれか1種を採用することができ、或いは、Al、Ru、Mo、W、Ti、Ta、Pt、Auなどで形成される合金材料を採用することができる。圧電層40としては、窒化アルミニウム(AIN)、ニオブ酸リチウム(LiNbO
3
)、タンタル酸リチウム(LiTaO
3
)、石英(Quartz)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のうちのいずれか1種を採用することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
具体的には、この実施例では、高音響インピーダンス層12及び低音響インピーダンス層11の数がいずれも複数である場合、圧電層40が生成する縦方向とせん断振動の適当反射を確保するために、高低音響インピーダンス交互層10における高音響インピーダンス層12及び低音響インピーダンス層11の厚さを最適化する必要があり、つまり、実際の需要に応じて、異なる厚さの高音響インピーダンス層12及び低音響インピーダンス層11を設計することができる。
【国際調査報告】