(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(54)【発明の名称】レーザ光を伝送するための中空コアファイバ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/032 20060101AFI20240131BHJP
G02B 6/036 20060101ALI20240131BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
G02B6/032 Z
G02B6/036
G02B6/02 411
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548317
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2022052904
(87)【国際公開番号】W WO2022171576
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】102021103135.4
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509334642
【氏名又は名称】ラインメタル ヴァッフェ ムニシオーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Rheinmetall Waffe Munition GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユング、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ルーデヴィヒト、クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ウェデル、ビョルン
【テーマコード(参考)】
2H250
【Fターム(参考)】
2H250AB01
2H250AC33
2H250AC53
2H250AD17
2H250AH14
2H250AH27
2H250AH37
2H250AH42
(57)【要約】
本発明は、中空コアファイバに沿って延在する微細構造中空コアを含む、微細構造中空コアファイバに関する。中空コアは、少なくとも1つの第1の屈折率nを有する微細構造を有し、屈折率n_innerを有する内側ファイバクラッドによって囲まれ、保護クラッド屈折率n_outerを有し、内側ファイバクラッドを覆う外側保護クラッドを有する。中空コアファイバは、内部ファイバクラッドと外部保護クラッドとの間に配置され、内部ファイバクラッドを覆うように配置され、さらなる屈折率n_wを有する少なくとも1つのさらなるクラッドを有し、さらなる屈折率n_wは、さらなる屈折率よりも大きいことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光(20)を伝送するように構成された中空コアファイバ(100)であって、
ファイバ方向に延在する微細構造中空コア(12)を備え、
中空コアは、少なくとも1つの第1の屈折率nを有する微細構造(14)を有し、屈折率n_innerを有する内側ファイバクラッド(16)によって囲まれ、
前記中空コアファイバ(100)は、前記内側ファイバクラッド(16)を被覆するように配置され、さらなる屈折率n_wを有する少なくとも1つのさらなるファイバクラッド(28)を有し、
前記内側ファイバクラッド(16)の屈折率n_innerは、前記さらなる屈折率n_wよりも大きい、
ことを特徴とする、中空コアファイバ(100)。
【請求項2】
各々が屈折率を有する少なくとも2つのさらなるファイバクラッドを有し、
前記少なくとも2つのさらなるファイバクラッドの屈折率のうちの少なくとも1つが、最も内側のファイバクラッド(16)の屈折率よりも小さい、
ことを特徴とする、請求項1に記載の中空コアファイバ。
【請求項3】
前記2つのさらなるファイバクラッドのうち、一方を被覆する2つのさらなるファイバクラッドのうちの他方の屈折率は、被覆されたさらなるファイバクラッドの屈折率よりも小さい、ことを特徴とする、請求項2に記載の中空コアファイバ。
【請求項4】
少なくとも2つのさらなるファイバクラッドを有し、
最も内側の第1のファイバクラッドは、第2のファイバクラッドによって同心円状に被覆され、
前記第2のファイバクラッドは、第3のファイバクラッドによって同心円状に被覆され、
前記ファイバクラッドの各々は、固有の屈折率を有し、
径方向外側のファイバクラッドの屈折率は、径方向内側に延びるファイバクラッドの屈折率より常に大きく、
したがって、ファイバクラッドの配置における屈折率は、内側から外側に向かって減少する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の中空コアファイバ(100)。
【請求項5】
前記内側ファイバクラッド(16)及び前記さらなるファイバクラッド(28)の材料厚さは、前記微細構造中空コア(12)から前記内側ファイバクラッド(16)及び/又は前記さらなるファイバクラッド(28)に結合された損失光(22)が、その内部で全内部反射を受けるような寸法である、ことを特徴とする、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の中空コアファイバ(100)。
【請求項6】
前記微細構造中空コアファイバ(100)は、
前記微細構造中空コア(12)内にレーザ光(20)を結合するように構成された入力端部(24)を有し、
前記微細構造中空コア(12)からレーザ光(20)を結合出力するように構成された出力端部(26)を有する、
ことを特徴とする、請求項1~請求項5の何れか1項に記載の中空コアファイバ(100)。
【請求項7】
前記内部ファイバクラッド(16)に結合された損失光(22)を、前記微細構造中空コア(12)から前記微細構造中空コアファイバ(12)の前記出射端(26)へ導波する手段によって導波し、
前記損失光(22)が前記内部ファイバクラッド(16)から出射することを可能にする、
ように構成されたことを特徴とする、請求項1~請求項6の何れか1項に記載の中空コアファイバ(100)。
【請求項8】
前記入力端部(24)と前記出力端部(26)との間に配置され、前記微細構造中空コア(12)から前記内部ファイバクラッド(16)又は前記さらなるファイバクラッド(28)及び/又は前記保護クラッド(18)に結合された損失光(22)を、前記微細構造中空コアファイバ(100)から、その長手延伸方向に対して横方向に結合するように構成された少なくとも1つのモードストリッパを有する、
ことを特徴とする、請求項1~請求項7の何れか1項に記載の中空コアファイバ(100)。
【請求項9】
前記微細構造中空コアファイバ(100)の長さにわたって分布された複数モードストリッパを有する、ことを特徴とする、請求項8に記載の中空コアファイバ(100)。
【請求項10】
前記内側ファイバクラッド(16)と前記さらなるファイバクラッド(28)との間には、空気クラッド層が配置される、ことを特徴とする、請求項1~請求項9の何れか1項に記載の中空コアファイバ(100)。
【請求項11】
前記半径方向最も外側のファイバクラッドと前記保護クラッド(18)との間には、空気クラッド層が配置される、ことを特徴とする、請求項1~請求項9の何れか1項に記載の中空コアファイバ(100)。
【請求項12】
前記微細構造(14)の屈折率は、前記内側ファイバクラッド(16)の屈折率n_innerに等しい、ことを特徴とする、請求項1~請求項11の何れか1項に記載の中空コアファイバ(100)。
【請求項13】
前記さらなるファイバクラッド(28)は、前記内側ファイバクラッド(16)を同心円状に取り囲む、ことを特徴とする、請求項1~請求項12の何れか1項に記載の中空コアファイバ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載のレーザ光を伝送するように構成された微細構造中空コアファイバに関する。このような微細構造中空コアファイバは、中空コアファイバに沿って延在する微細構造中空コアを含む。中空コアは、少なくとも1つの第1の屈折率nを有する微細構造を有し、屈折率n_innerを有する内側ファイバクラッドによって囲まれる。本出願においてファイバクラッドが言及されるときは、レーザ光のための導電性を有し、透明な物質で作られたファイバクラッドを意図し、レーザ光は、全反射によって導かれる。
【背景技術】
【0002】
周知の光ファイバ(ソリッドコアファイバ)におけるファイバのコアとして使用されるガラスは、中空コアファイバの場合、ガス又は真空に置き換えられ、ファイバに「空洞中心」を与える。このような中空コアファイバとしては、例えば、刊行物「https://www.photonics.com/Articles/Hollow-core fibers Outperform Silica glass/a6448?refer=picks#comments.」から知られている
【0003】
また、微細構造された中空コアファイバによって、高パルスピークパワーのシングルモードレーザ放射を伝送することも知られている。しかしながら、ソリッドコアファイバ構造は、典型的には、高い平均出力の単一モードレーザ放射の伝送のために使用される。
【0004】
中空コアファイバによってレーザ出力を伝送する場合、通常、ソリッドコアファイバによる伝送よりも高いロスが生じる。これらの損失は、ファイバ長1メートル当たり約0.5%の範囲である。伝送されず、失われたパワーとして失われたレーザパワーは、クラッド、即ち、ビームを伝導する中空コアの被覆によって、中空コアファイバの長手延伸方向に対して横方向の環境内に放出され、これは望ましくない。
【0005】
被覆は、中空コアを同心円状に取り囲む少なくとも1つのファイバクラッドと、ファイバクラッドを同心円状に取り囲む保護クラッド(ジャケット又はバッファ)とを有する。高い平均レーザ出力(キロワット範囲)では、ジャケット材料及び/又はファイバクラッド、したがって、全体としての中空コアファイバは、中空コアファイバの長手延伸方向に対して横方向に放射される損失出力によって損傷され得る。
【0006】
高平均出力の単一モードレーザ放射がソリッドコアファイバ内で導かれる場合、固有損失は、中空コアファイバ内の伝送の場合よりも低い。しかしながら、レーザ光の高い電界強度は、ソリッドコアファイバのファイバ材料に望ましくない非線形効果を生じさせる。したがって、伝送経路の長さは、例えば、レーザ出力の関数として制限される。ファイバ材料の伝送特性の損失及びソリッドコアファイバのファイバ材料の破壊さえも観察することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような背景に対して、本発明の目的は、例えば、連続波レーザ光で発生するような、従来よりも高い平均レーザ光パワーを伝送することができる、冒頭で述べた種類の中空コアファイバを手段することである。ここに含まれる連続波電力は、キロワット範囲内にある。パルスピーク電力は、ギガワット範囲に達する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴の合計によって達成される。本発明による解決策は、特に、中空コアファイバが最内側ファイバクラッドを覆うように配置され、さらなる屈折率n_wを有する少なくとも1つのさらなるファイバクラッドを有し、最内側ファイバクラッドの屈折率n_innerがさらなる屈折率n_wよりも大きいという点で、冒頭で述べた従来技術とは異なる。
【0009】
したがって、本発明は、内側ファイバクラッドを取り囲む少なくとも1つのさらなるファイバクラッドを提供し、前記さらなるファイバクラッドは、内側ファイバクラッドよりも低い屈折率を有する。
【0010】
したがって、半径方向内側の第1のファイバクラッドは、半径方向外側の第2のファイバクラッドよりも光学的に高密度である。これは半径方向内側の第1のファイバクラッド内を伝播し、半径方向内側の第1のファイバクラッドと半径方向外側の第2のファイバクラッドとの間の界面に入射する光の全内部反射を容易にし、これは半径方向内側の第1のファイバクラッド内の低損失の波誘導に有利であり、したがって、半径方向内側の第1のファイバクラッド内を伝播する損失光の半径方向外側の第2のファイバクラッド内への望ましくない伝達が低減される。
【0011】
このようにして、中空コアファイバの微細構造によって中空コア内を伝送しない損失光のための低損失導波が、半径方向内側の第1のファイバクラッド内で可能になる。その結果、制御されない望ましくない横断放射が低減される。ファイバの長手方向の延長部に対して横方向に放射されるこの損失電力の低減の結果として、ファイバクラッドへの損傷が防止される。
【0012】
本発明は、中空コアファイバを通る光を誘導中に発生する損失光のファイバクラッド内部の標的とした誘導の手段によって、微細構造された中空コアファイバを通る高平均出力のレーザ放射の伝送を可能にする。
【0013】
特に、本発明によって、この失われた放射は、ジャケット又はバッファ又は環境のいずれかを損傷しうる制御されない方法で微細構造ファイバ線の横方向から出ることが防止される。損失光は、制御された方法で散逸され、場合によっては、微細構造中空コアファイバ線を出るときに、本発明で達成される導波路の手段によって吸収され得る。
【0014】
したがって、本発明は、損失電力が出ることを防止する中空コアファイバを提供し、でなければ、中空コアファイバ又は周囲の保護クラッドの破壊を引き起こす可能性がある。したがって、本発明は、中空コアファイバを通る高平均出力(CWレーザ光)のレーザ光の伝送を可能にする。
【0015】
本発明は、損失光の意図した散逸及び誘導を可能にし、したがって、1つのファイバクラッド及び1つの保護クラッドのみを有する微細構造された中空コアファイバからなる従来技術よりも高い平均レーザ出力の伝送を可能にする。本発明のみが、高CWレーザ出力を伝達するために微細構造中空コアファイバを使用することを可能にする。
【0016】
本発明の好ましい実施形態は、中空コアファイバが少なくとも2つのさらなるファイバクラッドを有し、その各々が屈折率を有し、少なくとも2つのさらなるファイバクラッドの屈折率のうちの少なくとも1つが、最も内側のファイバクラッドの屈折率未満であることを特徴とする。
【0017】
また、2つのさらなるファイバクラッドのうちの他方を被覆する2つのさらなるファイバクラッドのうちの一方の屈折率は、被覆されたさらなるファイバクラッドの屈折率よりも小さいことが好ましい。
【0018】
好ましい実施形態は、最も内側の(第1の)ファイバクラッドが第2のファイバクラッド(保護クラッドであってもよい)によって同心円状に被覆され、第2のファイバクラッドが第3のファイバクラッド(保護クラッドであってもよい)によって同心円状に被覆されるように、少なくとも2つのさらなるファイバクラッドが存在し、ファイバクラッドはそれぞれ固有の屈折率を有し、半径方向外側ファイバクラッドの屈折率は常に、さらに半径方向内向きに延びるファイバクラッドの屈折率よりも大きいことを特徴とする。
【0019】
本発明の別の好ましい実施形態は、ファイバクラッド及び外側保護クラッドの材料厚さが、内部ファイバクラッド又は微細構造中空コアからのさらなるファイバクラッドに結合された損失光がそこで全内部反射されるような寸法にされることを特徴とする。この目的のために好ましい材料厚さは、レーザ光波長の4倍~6倍、特に5倍である。
【0020】
また、微細構造中空コアファイバは、微細構造中空コアにレーザ光を結合するように構成された入力端を有し、微細構造中空コアからレーザ光を結合出力するように構成された出力端を有することが好ましい。
【0021】
また、前記中空コアファイバは、前記内部ファイバクラッド又は前記他のファイバクラッドに結合されたレーザ光(損失光)を、前記微細構造中空コアから前記微細構造中空コアファイバの出射端への導波手段により導波し、前記ファイバクラッドから前記レーザ光を出射させるように構成されていることが好ましい。
【0022】
別の好ましい実施形態は、中空コアファイバが入力端と出力端との間に配置され、ファイバクラッド及び/又は微細構造中空コアからの保護クラッドに結合されたレーザ光(損失光)を、ファイバクラッドの長手延伸方向に対して横方向にファイバクラッドから取り出すように構成された少なくとも1つのモードストリッパを有することを特徴とする。
【0023】
また、中空コアファイバは、微細構造中空コアファイバの長さにわたって分布した複数モードストリッパを有することが好ましい。
【0024】
この実施形態は、損失電力の制御された散逸を可能にする。したがって、損失電力は、損傷を引き起こすことなく、制御された方法で中空コアファイバから横方向に結合され得る。これにより、横方向に外側結合された部分は、もはや中空コアファイバの出口端部まで案内される必要がないので、縦方向の延長部に沿った望ましくない高い損失出力の輸送を防止することができる。
【0025】
別の実施形態は、第1のファイバクラッドと第2のファイバクラッドとの間のいわゆる「エアクラッド」又はさらなる任意のクラッドの追加的又は代替的な使用である。
【0026】
これらのエアクラッドを手段にすることにより、このようなエアクラッドがない実施形態に比べて、より高い開口数の長所が達成される。
【0027】
さらなる利点は、従属請求項、説明、及び添付の図面に記載されている。
【0028】
上述の特徴及び以下にさらに説明される特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ指定された組合せだけでなく、他の組合せでも、又は単独で使用することができることを理解されたい。
【0029】
本発明の実施形態が図面に示され、以下の説明においてより詳細に説明される。異なる図面における同一の参照符号は、それぞれ、同一の要素を示す。図面は、以下を概略的な形態で示す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図3】本発明による中空コアファイバの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
より具体的には、
図1が既知であると仮定される微細構造中空コアファイバ10の断面を示す。
【0032】
この断面は、中空コアファイバの長手延伸方向に対して垂直である。断面は、例えば、デカルト座標系のxy平面である。この場合、長手延伸方向は、座標系のz方向に平行に局所的に、即ち断面平面内で配向される。
【0033】
図2は、
図1に示されるような微細構造中空コアファイバ10を縦断面で示す。長手方向断面は、中空コアファイバ10の中空コア12の中心が常に図面の平面内に位置するように、中空コアファイバ10の長手延伸方向に従うように画定される。
【0034】
微細構造中空コアファイバ10は、中空コアファイバ10に沿って延びる微細構造中空コア12を有する。中空コア12は、少なくとも1つの第1の屈折率nを有する微細構造14を有し、屈折率n_innerを有する内側ファイバクラッド16によって包囲され、その結果、内側ファイバクラッドは、中空コアを半径方向に画定する。内側ファイバクラッドは、保護クラッド屈折率n_outerを有する外側保護クラッド18によって覆われる。
【0035】
したがって、
図1及び
図2は、既知であると想定される中空コアファイバ10の全体的な構造を示す。
【0036】
公知の中空コアファイバ10では、第1の屈折率nが、典型的には、内側ファイバクラッド16の屈折率n_innerに等しく、一方、保護クラッド18の屈折率n_outerは、典型的には、屈折率n_innerよりも大きい。
【0037】
高い平均パワー値を有する単一モードレーザ光20の伝搬中に、損失が発生し、これは、以下では損失光22とも呼ばれる。従来技術では、この損失光22は、内側ファイバクラッド16及び外側保護クラッド18を介して制御されずに中空コアファイバ10から横方向に出て、特に、外側保護クラッド18を損傷し、場合によっては中空コアファイバ10の環境内の物体も損傷し、及び/又は環境内の人を傷つける可能性がある。
【0038】
図3は、レーザ光を伝送するための本発明による中空コアファイバ100の例示的な実施形態の断面を示す。ここでも、断面は例えば、デカルト座標系のx-y平面である。
【0039】
図4は、
図3に示されるような微細構造中空コアファイバ100を縦断面で示す。長手方向断面は中空コアファイバの中空コアの中心が常に図面の平面内にあるように、中空コアファイバ100の長手延伸方向に従うことで画定される。
【0040】
この場合、長手延伸方向は、座標系のz方向に平行に局所的に、即ち断面平面内で配向される。
【0041】
微細構造中空コアファイバ100は、中空コアファイバ100に沿って延びる微細構造中空コア12を有する。中空コア12は、少なくとも1つの第1の屈折率nを有する微細構造14を有し、屈折率n_innerを有する最も内側のファイバクラッドによって囲まれ、したがって、最も内側のファイバクラッド16は、中空コア12を半径方向に画定する。最も内側のファイバクラッド16は、保護クラッド屈折率n_outerを有する外側保護クラッド18によって覆われている。
【0042】
微細構造中空コアファイバ100は、微細構造中空コア12内にレーザ光を結合するように構成された入力端24と、微細構造中空コア12からレーザ光20を結合するように構成された出力端26とを有する。この目的のために、入力端24及び出力端26は、それぞれ、中空コアファイバ100の長手方向に対して横方向に配向された端面24.1、26.1を有する。中空コア12内を伝搬するシングルモードレーザ光20は、その場で全内部反射を受けず、代わりに伝送するように、出力結合に使用される端面26.1に当たる。同様に、インカップリングは、例えば、インカップリングに使用される端面24.1を介して行われる。インカップリング及びアウトカップリングのために使用される端面は、中空コアファイバ100の側方突起又は側方切開部上に配置することもできる。
【0043】
したがって、
図3及び
図4は、本発明による中空コアファイバ100の例示的な実施形態の全体的な構造を示す。
【0044】
中空コアファイバ100は、最も内側のファイバクラッド16及び外側保護クラッド18に加えて、最も内側のファイバクラッド16を覆うように、最も内側のファイバクラッド16と外側保護クラッド18との間に配置された少なくとも1つのさらなるクラッド28を有する。本出願において言及される被覆は、好ましくは同心被覆である。
【0045】
本発明による中空コアファイバ100では、微細構造14が第1の屈折率nを有する。最も内側のファイバクラッド16は、屈折率n_innerを有し、外側保護クラッド18は保護クラッド屈折率n_outerを有する。
【0046】
最も内側のファイバクラッド16を覆うように、最も内側のファイバクラッド16と外側の保護クラッド18との間に配置される、好ましい実施形態において提供される少なくとも1つのさらなるファイバクラッド28は、さらなる屈折率n_wを有する。さらなる屈折率n_wは、屈折率n_innerよりも小さく、さらなる屈折率n_wは、保護クラッド18の屈折率n_outerよりも大きい。
【0047】
したがって、さらなるファイバクラッド28に対してさらに半径方向にあり、したがって微細構造14及び中空コア12により近い内側ファイバクラッド16は、さらなるファイバクラッド28よりも光学的に高密度である。最も内側のファイバクラッド16のより大きい光学密度は、最も内側のファイバクラッド16内を伝播し、さらなるファイバクラッド28への界面に入射する損失光22の全内部反射の発生に有利である。また、さらなる屈折率n_wは、保護クラッド18の屈折率n_outerよりも大きい。
【0048】
外側保護クラッド18の光学密度と比較して、さらなるファイバクラッド28の光学密度が大きいことは、さらなるファイバクラッド28内を伝播し、外側保護クラッドへの界面に入射する損失光22の全内部反射の発生に有利である。
【0049】
ファイバクラッド16、28及び外側保護クラッド18の材料厚さは、微細構造中空コア12からファイバクラッド16、28に結合された損失光22がそこで全内部反射を受けるような寸法にされる。
【0050】
これは、最も内側のファイバクラッド16及びさらなるファイバクラッド28に沿った導波による、損失光22の制御された散逸が有利になるという作用をもたらす。この所望の有利な効果は、中空コア12と最も内側のファイバクラッド16とを交差した損失光22の制御されない放射放出の負荷を犠牲にして生じる。このようにして、中空コアファイバ100は、ファイバクラッド16、28内で連動したレーザ光を、微細構造中空コア12から、微細構造中空コアファイバ100の出射端26へ導き、また、損失光22がファイバクラッド16、28から出射することを可能にするように構成される。
【0051】
中空コアファイバ100の出力端26における制御された出力結合として、又はそれに加えて、ファイバクラッド16、28内の中空コアファイバ100に沿って伝播する損失光22は、中空コアファイバ100に横方向に取り付けられたモードストリッパによって制御された方法でファイバクラッド16、18から結合されることもできる。この種のモードストリッパは、例えば、損失電力22を伝導するファイバクラッド16、28内の局所的な突出部又は切開部として実施することができる。この種の突起又は切込みは、そこに衝突する損失光22が全内部反射を受けず、むしろ制御された方法で半径方向に偏向され、したがって制御された方法で中空コアファイバ100から横方向に結合されるように配向された界面を有する。
【0052】
入力端部24と出力端部26との間に1つ以上のモードストリッパを配置することができ、この場合、微細構造中空コア12から、ファイバクラッド16、28及び/又は保護クラッド18に結合出力(coupled out)された損失光22を、クラッドからクラッドの長手延伸方向に対して横方向に結合出力できる。
【0053】
別の可能な実施形態は、最も内側のファイバクラッド16と、さらなるファイバクラッド28又はさらなる任意のファイバクラッドとの間のいわゆる「エアクラッド」の追加的又は代替的な使用である。
【0054】
図3及び4に示される中空導体の例示的な実施形態は、半径方向に最も内側のファイバクラッド16に加えて、2つのさらなるファイバクラッド28及び18を有する。半径方向最も外側のさらなるファイバクラッド18は、好ましくは保護クラッドであり、他のさらなるファイバクラッド28を同心円状に取り囲む。さらなるファイバクラッド28は、最も内側のファイバクラッド16を同心円状に取り囲む。
【0055】
少なくとも2つの更なるファイバクラッド18、28の屈折率の少なくとも1つは、最も内側のファイバクラッド16の屈折率よりも小さい。
【0056】
2つの別のファイバクラッドのうちの他方を被覆する2つの別のファイバクラッドのうちの一方の屈折率は、被覆された別のファイバクラッド、この場合は、別のファイバクラッド28の屈折率よりも小さい。この場合、被覆するさらなるファイバクラッドは、ファイバクラッド18である。
【0057】
1つのさらなるファイバクラッドのみを有する一実施形態では、さらなるファイバクラッドが同時に保護クラッドとすることができる。このように、保護クラッドは、シリコンから形成することができ、したがって、全反射の手段によって、第1のファイバクラッド内の出射するレーザ光線を導くこともできる。そのような例示的な実施形態は例えば、
図3及び
図4の例示的な実施形態から、最も遠くに半径方向に延在するファイバクラッド18を省くことによって明らかになる。
【0058】
最も内側のファイバクラッドと最も外側のファイバクラッドとの間で半径方向に延在する中心ファイバクラッドの3つの同心的に配置されたファイバクラッド16、28、18が、最も内側のファイバクラッドよりも低い屈折率を有する場合、最も外側に延在するファイバクラッドは、レーザ光が最も内側のファイバクラッド内の中心ファイバクラッドを通ってすでに導かれているので、必ずしも低い屈折率を有する必要はない。また、2つのさらなるファイバクラッドのうちの1つのみが、全反射の手段によって配列内にレーザ光線を導くために、半径方向最内側のファイバクラッドよりも低い屈折率を有する場合、充分である。
【国際調査報告】