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特表2024-505782エアロゾル発生デバイスのための加熱アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】エアロゾル発生デバイスのための加熱アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20240201BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240201BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535541
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2022051546
(87)【国際公開番号】W WO2022167261
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】21155871.3
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フプケス, エルンスト
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルマン, ディック ポール
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC12
4B162AC22
(57)【要約】
エアロゾル発生デバイス(100)のための加熱アセンブリ(200)が開示される。加熱アセンブリ(200)は、エアロゾル基材を受け入れるための開口部(204)を有する加熱チャンバ(202)を備える。加熱チャンバ(202)の表面上に絶縁材料のコーティング(206)が形成される。導電性材料のコーティング(208)が、絶縁材料のコーティング(206)を少なくとも部分的に被覆する。導電性材料のコーティング(208)は、電流が供給されたときにジュールヒータとして機能するように構成される。絶縁材料のコーティング(206)は、導電性材料のコーティング(208)と加熱チャンバ(202)との間のいかなる接触も阻止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生デバイスのための加熱アセンブリであって、
エアロゾル基材を受け入れるための開口部を有する加熱チャンバと、
前記加熱チャンバの表面上に形成された絶縁材料のコーティングと、
前記絶縁材料のコーティングを少なくとも部分的に被覆する導電性材料のコーティングと、を備え、
前記導電性材料のコーティングは、電流が供給されたときにジュールヒータとして機能するように構成され、
前記絶縁材料のコーティングは、前記導電性材料のコーティングと前記加熱チャンバとの間のいかなる接触も阻止する、
加熱アセンブリ。
【請求項2】
前記加熱チャンバは管状であり、前記絶縁材料のコーティングは前記加熱チャンバの円周面上に形成される、請求項1に記載の加熱アセンブリ。
【請求項3】
前記導電性材料のコーティングは、前記絶縁材料のコーティングに化学的に結合される、請求項1又は2に記載の加熱アセンブリ。
【請求項4】
前記導電性材料のコーティングは、物理蒸着又は化学蒸着によって、前記絶縁材料のコーティング上に堆積される、請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱アセンブリ。
【請求項5】
前記導電性材料のコーティングは、金属、金属酸化物、又は炭素である、請求項1から4のいずれか一項に記載の加熱アセンブリ。
【請求項6】
前記導電性材料のコーティングは、ミアンダパターンとして前記絶縁材料のコーティング上に形成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の加熱アセンブリ。
【請求項7】
前記導電性材料のコーティングは、前記加熱チャンバの円周方向において、前記絶縁材料のコーティングを完全に囲む切れ目のない表面として形成される、請求項2から5のいずれか一項に記載の加熱チャンバ。
【請求項8】
前記導電性材料のコーティングは、前記加熱チャンバの軸方向に延びる、円周方向に間隔を空けて配置された複数のバンドとして形成される、請求項2から5のいずれか一項に記載の加熱チャンバ。
【請求項9】
前記絶縁材料のコーティングが形成される前記加熱チャンバの前記円周面は、前記加熱チャンバの外面である、請求項2から8のいずれか一項に記載の加熱チャンバ。
【請求項10】
前記絶縁材料のコーティングが形成される前記加熱チャンバの前記円周面は、前記加熱チャンバの内面である、請求項2から8のいずれか一項に記載の加熱アセンブリ。
【請求項11】
前記導電性材料のコーティングの第1の軸方向端部に接続された第1の電極と、前記導電性材料のコーティングの第2の反対側の軸方向端部に接続された第2の電極とを更に備え、使用時に、電流が、前記導電性材料のコーティングを介して前記第1の電極から前記第2の電極に流れ得るようにされる、請求項1から10のいずれか一項に記載の加熱アセンブリ。
【請求項12】
前記第1の電極及び前記第2の電極はそれぞれ、円周方向に前記加熱チャンバを囲むリングとして形成される、請求項11に記載の加熱アセンブリ。
【請求項13】
前記加熱アセンブリは、前記導電性材料のコーティングの表面上に堆積された第3の材料の局所接点を備え、前記局所接点は、ろう材を用いて電線に接続されるように構成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の加熱アセンブリ。
【請求項14】
前記加熱チャンバの前記外面は、前記加熱チャンバの軸方向に延びる1つ又は複数の陥凹領域を有し、好ましくは、前記導電性材料のコーティングは前記1つ又は複数の陥凹領域に一致して形成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の加熱アセンブリ。
【請求項15】
エアロゾル基材を受け入れるための開口部を有する加熱チャンバを提供することと、
前記加熱チャンバの表面上に絶縁材料のコーティングを形成することと、
前記絶縁材料のコーティング上に導電性材料のコーティングを形成することであって、前記導電性材料のコーティングが前記絶縁材料のコーティングを少なくとも部分的に被覆し、前記導電性材料のコーティングは、電流が供給されたときにジュールヒータとして機能するように構成され、前記絶縁材料のコーティングは、前記導電性材料のコーティングと前記加熱チャンバとの間のいかなる接触も阻止する、形成することと
を含む、エアロゾル発生デバイスのための加熱アセンブリの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生デバイスのための加熱アセンブリに関する。本開示は、詳細には、自己完結型且つ低温であり得る携帯型エアロゾル発生デバイスに適用可能である。このようなデバイスは、タバコ又は他の適切なエアロゾル基材材料を、燃やすのではなく、伝導、対流、及び/又は放射によって加熱して、吸入のためのエアロゾルを発生させ得る。
【背景技術】
【0002】
(気化器としても知られる)リスク低減デバイス又はリスク修正デバイスの人気及び使用は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ、及び巻きタバコなど、従来のタバコ製品の使用を止めることを望む常習的喫煙者を支援するための補助として、ここ数年で急速に成長している。従来のタバコ製品においてタバコを燃焼させるのとは対照的に、エアロゾル化可能物質を加熱又は加温する様々なデバイス及びシステムが利用可能である。
【0003】
一般に利用可能なリスク低減デバイス又はリスク修正デバイスは、基材加熱式エアロゾル発生デバイス又は加熱非燃焼式(HNB)デバイスである。このタイプの装置は、湿った葉タバコ又は他の適切なエアロゾル化可能材料を典型的に含むエアロゾル基材(すなわち、消耗品)を典型的には150℃~300℃の範囲の温度に加熱することにより、エアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル基材を燃焼させたり燃やしたりするのではなく加熱することにより、ユーザが求める成分を含むが、望ましくない燃焼副生成物を含まないエアロゾルが放出される。また、タバコ又は他のエアロゾル化可能材料の加熱により発生されるエアロゾルは典型的に、燃焼の結果としてもたらされる、使用者にとり不快になり得る焦げ臭い又は苦い味を含んでいない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の加熱非燃焼式デバイスで、デバイスの確実な動作を確保しながら加熱プロセスの効率を改善することが望ましい。また、加熱アセンブリの製造の容易さを改善することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、エアロゾル発生デバイスのための加熱アセンブリであって、エアロゾル基材を受け入れるための開口部を有する加熱チャンバと、加熱チャンバの表面上に形成された絶縁材料のコーティングと、絶縁材料のコーティングを少なくとも部分的に被覆する導電性材料のコーティングとを備え、導電性材料のコーティングは、電流が供給されたときにジュールヒータとして機能するように構成され、絶縁材料のコーティングは、導電性材料のコーティングと加熱チャンバとの間のいかなる接触も阻止する、加熱アセンブリが提供される。
【0006】
このようにして、加熱アセンブリのエネルギー効率は著しく向上する。特に、絶縁材料及び導電性材料の層が、下の層との直接結合(例えば、化学結合)を形成するコーティングとして形成されるため、本来であれば熱損失をもたらす空隙又は他の断熱部分が層間に存在しない。このことは、加熱チャンバの昇温時間及び冷却時間の改善につながり、また同時に、信頼性が高くコンパクトな加熱アセンブリが提供されることにつながる。対照的に、エアロゾル発生デバイスのための従来の加熱アセンブリでは、加熱要素は、通常、誘電体バッキングフィルム上に配置され、熱収縮フィルムなどのポリマーラッピングを使用して加熱チャンバに取り付けられる。このようなラッピングされた層構成は、空隙が存在することに起因して、著しい熱損失につながる。更に、従来のアセンブリをプラスチックフィルムでラッピングしなければならないことにより、手作業による製造プロセスが必要となる。導電性材料のコーティングを加熱要素として利用することによって、加熱層を加熱アセンブリに固定するためのプラスチックラップが不要になり、それにより、手作業のプロセスではなく、自動化されたプロセスを用いて加熱アセンブリの製造を行うことができる。加えて、予め形成された加熱要素ではなく、コーティングを使用することにより、加熱層の形状及び結果として得られる特性に関する柔軟性を向上させることができる。例えば、表面にぴったりと形成されないため、熱伝達が最適化されない予め成形された加熱要素とは対照的に、導電性材料のコーティングは下にある表面の特定の形態に適合する。
【0007】
「コーティング」という用語は、基材に施すと形成される層を指す。例えば、加熱チャンバの表面に絶縁材料を施すと、絶縁材料のコーティングが形成される。同様に、絶縁材料のコーティングに導電性材料を施すと、導電性材料のコーティングが形成される。各コーティングは、施される前には個別の層として存在しない。特に、コーティングは、下にある基材に液体、蒸気、又は気体の材料を施すことによって形成される層として定義され得る。このことは、PEEK若しくはポリイミドフィルムなどのフィルム、又は従来のヒーティングトラックが、施される前に予め形成され、個別の層として存在するのとは対照的である。
【0008】
好ましくは、絶縁材料のコーティングは、硬質な層として加熱チャンバの表面上に形成される。対照的に、PEEK又はポリイミドなどの従来の絶縁フィルムは、加熱チャンバの表面上に可撓性層として取り付けられる。
【0009】
好ましくは、導電性材料のコーティングは、絶縁材料のコーティング上に形成される。
【0010】
好ましくは、加熱チャンバは管状であり、絶縁材料のコーティングは加熱チャンバの円周面上に形成される。
【0011】
或いは、加熱チャンバは板として形状を定められる、又は「C」字形である。この場合、絶縁材料のコーティングは、加熱チャンバの凸部分に形成され得る。
【0012】
好ましくは、導電性材料のコーティングは、絶縁材料のコーティングに化学的に結合される。つまり、絶縁導電性材料のコーティング208は、絶縁材料のコーティング206とそれ自体の化学結合を形成し、それによって接着剤又は他の結合材料の必要性がなくなる。
【0013】
好ましくは、導電性材料のコーティングは、物理蒸着又は化学蒸着によって、絶縁材料のコーティング上に堆積される。
【0014】
好ましくは、導電性材料のコーティングは金属又は金属酸化物である。
【0015】
可能な代替形態では、導電性材料のコーティングは非金属であり、好ましくは炭素である。
【0016】
好ましくは、導電性材料のコーティングは、ミアンダパターンとして絶縁材料のコーティング上に形成される。このようにして、導電性材料のコーティングは、エネルギー効率を維持しながら、エアロゾル基材に均一な熱分布を提供することができる。更に、導電性材料のコーティングの熱特性は、導電性材料のコーティングを異なるパターンで形成することにより、加熱アセンブリの動作要件に応じて調整され得る。また、特定のパターンが、絶縁材料のコーティングに付加的な機能(例えば、サーミスタ又はアンテナ機能)を持たせるために形成されてもよい。パターンは、単一のヒータトラック又は経路を形成してもよいし、独立して又は同時に加熱され得る2つ以上のヒータトラック又は経路を形成してもよい。
【0017】
好ましくは、導電性材料のコーティングは、加熱チャンバの円周方向において、絶縁材料のコーティングを完全に囲む切れ目のない表面として形成される。このようにして、加熱チャンバ内に受け入れられたエアロゾル基材が均一な熱分布を受けることを確保しながら、製造プロセスが簡素化される。
【0018】
好ましくは、導電性材料のコーティングは、加熱チャンバの軸方向に延びる、円周方向に間隔を空けて配置された複数のバンドとして形成される。このようにして、導電性材料のコーティングは、加熱チャンバ及び/又はエアロゾル基材の構成に応じた集中的な加熱ゾーンを提供するために、例えば金属蒸発プロセスによって、選択的に施され得る。例えば、バンドは、加熱チャンバの陥凹領域及び/又は平坦領域に対応して配置され得る。
【0019】
好ましくは、絶縁材料のコーティングが形成される加熱チャンバの円周面は、加熱チャンバの外面である。このようにして、導電性材料のコーティングは、加熱アセンブリの外部に配置されて、動作中、熱が、導電性材料のコーティングで発生され、絶縁材料のコーティングを介して加熱チャンバに伝導され、それによって加熱チャンバ内に受け入れられたエアロゾル基材を加熱するようにされる。
【0020】
好ましくは、絶縁材料のコーティングが形成される加熱チャンバの円周面は、加熱チャンバの内面である。加熱チャンバの内面は、開口部を介して、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受け入れるための空洞に面する表面である。このようにして、導電性材料のコーティングが加熱チャンバの内部に配置されて、動作中、加熱チャンバ内に受け入れられたエアロゾル基材が、導電性材料のコーティングと接触し、導電性材料のコーティングによって直接加熱されるようにされる。
【0021】
好ましくは、加熱アセンブリは、導電性材料のコーティングの第1の軸方向端部に接続された第1の電極と、導電性材料のコーティングの第2の反対側の軸方向端部に接続された第2の電極とを更に備え、使用時に、電流が、導電性材料のコーティングを介して第1の電極から第2の電極に流れ得るようにされる。
【0022】
好ましくは、第1の電極及び第2の電極はそれぞれ、円周方向に加熱チャンバを囲むリングとして形成される。このようにして、コンパクトで堅牢な電極構成が提供される。更に、各電極が加熱チャンバの周囲で導電性材料のコーティングと直接接触するため、集中的な加熱領域が形成され得る。
【0023】
好ましくは、加熱アセンブリは、導電性材料のコーティングの表面上に第3の材料の局所接点を備える。これらの局所接点は、鉛又は銀などのろう材で電線をろう付けしたり、はんだ付けしたりするのを容易にするためのスポットを形成し得る。第3の材料は、導電性材料上に固定され(例えば、コーティングされ)、ろう材でろう付けされ得るものが選択される。局所接点は、金又はニッケル又は他の金属が使用され得る。第3の材料は、例えば電気めっきによって施され得る。
【0024】
好ましくは、導電性材料のコーティングは、100ミクロン未満の厚さを有する。一例では、厚さは50ミクロン未満であり、例えば5~45ミクロンである。このようにして、薄くてエネルギー効率の高い加熱層が提供される。
【0025】
好ましくは、加熱チャンバの外面は、加熱チャンバの軸方向に延びる1つ又は複数の陥凹領域を有する。このようにして、領域は、加熱チャンバの内部に向かって内側に突出し、それにより加熱チャンバと加熱チャンバ内に受け入れられたエアロゾル基材との間の接触の程度を高め得る。
【0026】
好ましくは、導電性材料のコーティングは、1つ又は複数の陥凹部分に一致して形成される。このようにして、導電性材料のコーティングは、エアロゾル基材の陥凹領域に隣接する部分、例えばエアロゾル基材の内向きの突起が接触する部分を優先的に加熱し得る。好ましくは、導電性材料のコーティングは、2つ以上の陥凹部分の間に更に形成される。このようにして、導電性材料のコーティングはまた、エアロゾル基材の内向きの突起が接触する部分の間に配置されたエアロゾル基材の部分を加熱する。
【0027】
好ましくは、絶縁材料のコーティングは、セラミック、シリコーン、ガラス、シリコーン酸化物、炭素、及びダイヤモンドライクカーボン(DLC)のうちの1つ又は複数を含む。このようにして、絶縁材料のコーティングは、例えば従来の絶縁フィルムでしばしば使用されるポリイミドと比較して、高い絶縁破壊電圧及び高い熱伝導率を呈する。このような材料はまた、薄いコーティングを使用することを可能にし、それによって加熱チャンバ内に受け入れられたエアロゾル基材への熱伝達が向上する。これらの特性は、好都合なことに、加熱チャンバの昇温時間及び冷却時間を短縮し、加熱アセンブリのエネルギー効率を向上させる。更に、このような材料はポリイミドよりも高い熱安定性を呈する。
【0028】
好ましくは、絶縁材料のコーティングは、プラズマ化学気相成長法を用いて堆積される。好ましくは、プラズマ化学気相成長法を用いて絶縁材料の層を堆積させることは、高周波電気励起源及びCHを含むキャリアガスを用いて、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)又はダイヤモンドを含む薄膜を堆積させることを含む。好ましくは、導電性材料のコーティングは、化学蒸着、物理蒸着、インクジェット、又はグラビア印刷のうちの1つを用いて堆積される。例えば、導電性材料のコーティングは、熱蒸着、真空蒸着、金属ビーム蒸着、スパッタリング、パルスレーザ蒸着、化学蒸着(CVD)、又はアークPVD(陰極アーク蒸着)を使用して施され得る。
【0029】
好ましくは、導電性材料のコーティングは、ミアンダパターンとして絶縁材料のコーティング上に形成され、エッチング、マスキング、レーザ切断、又はスクリーン印刷のうちの1つを用いて形成される。
【0030】
好ましくは、導電性材料のコーティングは、チタンを含む(また場合によりチタンから構成される)。別の例では、絶縁材料のコーティングは、銀又は銀インクを含み得る(また場合により銀又は銀インクから構成され得る)。
【0031】
好ましくは、絶縁材料のコーティングは、0.3~10ミクロンの厚さを有する。このようにして、加熱チャンバが適切に絶縁されたままであることを確保しながら、絶縁材料のコーティングを介する熱伝達の効率が向上する。
【0032】
好ましくは、加熱チャンバは、加熱チャンバの軸方向に延びる1つ又は複数の平坦領域を備える。このようにして、1つ又は複数の平坦領域は、加熱チャンバ内に受け入れられたエアロゾル基材の外面を圧迫するように機能し、その結果、1つ又は複数の平坦領域とエアロゾル基材との間の接触がより密接で着実なものになる。このことは、加熱チャンバからエアロゾル基材への熱伝達を改善する。
【0033】
例えば、1つ又は複数の平坦領域の方向における加熱チャンバの半径は、1つ又は複数の平坦領域がエアロゾル基材の1つ又は複数の隣接部分を圧迫するように、加熱チャンバ内に受け入れられた(例えば、円筒状の)エアロゾル基材の半径よりも小さくてもよい。対照的に、1つ又は複数の湾曲領域の方向における加熱チャンバの半径(すなわち、加熱チャンバの略円筒状の形状を画定する平坦領域間の加熱チャンバの領域)は、1つ又は複数の湾曲領域がエアロゾル基材の隣接部分を圧迫しないように、加熱チャンバ内に受け入れられた(例えば、円筒状の)エアロゾル基材の半径以下であってもよい。したがって、好都合なことに、1つ又は複数の空気流路が、1つ又は複数の湾曲領域とエアロゾル基材との間に加熱チャンバの長さに沿って画定され得る。
【0034】
好ましくは、絶縁材料のコーティングは、1つ又は複数の平坦領域に形成される。よって、絶縁材料のコーティング上に形成された導電性材料のコーティングもまた、1つ又は複数の平坦領域に隣接して配置される。一例では、絶縁材料のコーティングは、加熱チャンバの1つ又は複数の平坦部分の内面上に形成され得る。別の例では、絶縁材料のコーティングは、加熱チャンバの1つ又は複数の平坦領域の外面上に形成され得る。
【0035】
好ましくは、加熱チャンバは、分離可能な2つの本体セクションを備える。
【0036】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様による加熱アセンブリの製造方法が提供される。
【0037】
好ましくは、本製造方法は、エアロゾル基材を受け入れるための開口部を有する加熱チャンバを提供することであって、絶縁材料のコーティングが加熱チャンバの表面上に形成される、ことと、絶縁材料のコーティングを少なくとも部分的に被覆する導電性材料のコーティングを堆積させることとを含み、導電性材料のコーティングが、電流が供給されたときにジュールヒータとして機能するように構成され、絶縁材料のコーティングが、導電性材料のコーティングと加熱チャンバとの間のいかなる接触も阻止する。
【0038】
好ましくは、絶縁材料のコーティングが、加熱チャンバの表面に形成され、加熱チャンバの表面の周囲に絶縁材料のコーティングを堆積させることによって形成される。
【0039】
好ましくは、加熱チャンバは管状であり、絶縁材料のコーティングは加熱チャンバの円周面上に形成される。
【0040】
或いは、加熱チャンバは板として形状を定められる、又は「C」字形である。この場合、絶縁材料のコーティングは、加熱チャンバの凸部分上に形成され得る。
【0041】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様による加熱アセンブリを備えるエアロゾル発生デバイスが提供される。
【0042】
本発明の第4の態様によれば、第3の態様によるエアロゾル発生デバイスとエアロゾル基材とを備えるエアロゾル発生システムが提供される。
【0043】
次に、図面を参照しながら本発明の実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の一実施形態によるエアロゾル発生デバイスである。
図2】本発明の一実施形態による、絶縁材料のコーティングと導電性材料のコーティングとを備える加熱アセンブリの概略断面図である。
図3】本発明の一実施形態による、ミアンダパターンで形成された導電性材料のコーティングを備える加熱アセンブリの斜視図である。
図4】本発明の一実施形態による、ミアンダパターンで形成された導電性材料のコーティングを備える加熱アセンブリの斜視図である。
図5】本発明の一実施形態による、円周方向に加熱チャンバを完全に囲む導電性材料のコーティングを備える加熱アセンブリの斜視図である。
図6】本発明の一実施形態による、円周方向に加熱チャンバを完全に囲む導電性材料のコーティングを備える加熱アセンブリの斜視図である。
図7】本発明の一実施形態による、加熱チャンバの1つ又は複数の平坦領域に隣接して配置された導電性材料のコーティングを備える加熱アセンブリの斜視図である。
図8】本発明の一実施形態による、加熱チャンバの1つ又は複数の陥凹領域に隣接して配置された導電性材料のコーティングを備える加熱アセンブリの斜視図である。
図9A-9C】本発明の一実施形態による、加熱チャンバの内部に配置された導電性材料のコーティングを備える加熱アセンブリの斜視図である。
図10】本発明の一実施形態による、加熱チャンバの外部にミアンダパターンで形成された導電性材料のコーティングを備える加熱アセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本明細書における図面は、最初の1つ又は複数の数字が図面番号に対応し、残りの数字が図面内の要素又は構成要素を識別するという番号付けの慣習にしたがっている。異なる図面間で同様である要素又は構成要素は、同様の数字を使用することにより識別され得る。例えば、206は、図2における要素「06」を指し、同様の要素は、図3においては306と呼ばれ得る。各要素の特性及び構成の説明が、他の実施形態における対応する要素にも同様に適用され得ることを当業者には理解されよう。
【0046】
図1は、本発明の一実施形態によるエアロゾル発生デバイス100を示している。エアロゾル発生デバイス100は、内部の構成要素が見える状態で、組み立てられた構成で示されている。エアロゾル発生デバイス100は、タバコ蒸気デバイスとも呼ばれ得る加熱非燃焼式デバイスであり、エアロゾル発生材料(例えば、タバコ)のロッドなどのエアロゾル基材を受け入れるように構成された加熱アセンブリ200を備える。加熱アセンブリ200は、ユーザが吸入するための蒸気又はエアロゾルを発生させるためにエアロゾル発生材料のロッドを燃焼させず加熱するように動作可能である。当然のことながら、図1に示すエアロゾル発生デバイス100は、本発明による例示的なエアロゾル発生デバイスであるに過ぎないことを当業者には理解されよう。タバコ蒸気製品、気化器、又は電子タバコの他のタイプ及び構成も、本発明によるエアロゾル発生デバイスとして使用され得る。
【0047】
図2は、本発明の一実施形態による、加熱アセンブリ200の概略断面図を示している。加熱アセンブリ200は、消耗品とも呼ばれるエアロゾル基材を内部に保持するように構成された、熱伝導性シェルとも呼ばれる加熱チャンバ202を備える。特に、加熱チャンバ202は、エアロゾル基材のロッドが配置され得る略円筒状の空洞を画定する。加熱チャンバ202は、管状(例えば、略円筒状)であり、加熱チャンバ202の長手方向端部に配置された開口部204を有する。使用時、ユーザは、加熱チャンバ202の開口部204を通してエアロゾル基材を挿入して、エアロゾル基材が加熱チャンバ202内に配置され、加熱チャンバ202の内面201と接触するようにし得る。加熱チャンバ202の長さは、エアロゾル基材の一部分が加熱チャンバ202の開口部204を通って突出し、すなわち、加熱アセンブリ200から外に突出し、ユーザの口に受け入れられ得るように構成され得る。
【0048】
加熱チャンバ202は、金属を含み、好ましくは金属から構成されて、加熱チャンバ202の側壁を通してエアロゾル基材に熱を効率的に伝達する一方で、加熱チャンバ202が充分な構造的安定性及び耐久性を有することも確保するようにされる。適切な金属の例としては、鋼鉄、又はステンレス鋼、又はアルミニウムが挙げられる。
【0049】
加熱チャンバ202の(円周)側壁の厚さは、好ましくは、0.1mm以下、又はより好ましくは0.07~0.09mmである。これにより、充分な構造安定性を維持しながら、加熱チャンバ202の側壁を通した消耗品への効率的な熱伝導が可能になる。加熱チャンバ202は、開口部204とは反対側に閉じた端部を有し、閉じた端部は、好ましくは0.2~0.6mmの厚さを有し、これにより更なる構造的剛性が加熱チャンバ202に付加される。加熱チャンバ202の製造方法は、同時係属中の国際出願PCT/EP2020/074147号明細書に記載されている。
【0050】
加熱チャンバ202は円筒状であることに限定されないことを当業者には理解されよう。例えば、加熱チャンバ202は、立方体状、円錐状、半球状、又は他の形状の空洞として形成され、相補的な形状のエアロゾル基材を受け入れるように構成され得る。更に、いくつかの実施形態では、加熱チャンバ202は、エアロゾル基材を完全に囲むのではなく、エアロゾル基材の限られた領域にのみ接触し得る。
【0051】
例えば、加熱チャンバ202は、略円筒状であるが、図6及び図8を参照して後述するように、加熱チャンバ202の内面201に細長い突出部を形成するために内側に突出する1つ又は複数の細長い陥凹領域を備え得る。陥凹領域は、加熱チャンバ202内に流体を加圧下で注入しながら、加熱チャンバ202の外面203を押して、加熱チャンバの内面201上に長さ方向に走る複数の対応する細長い突出部を設けることによって作られ得る。
【0052】
別の例では、加熱チャンバ202は、略円筒状であるが、図5及び図7を参照して後述するように、加熱チャンバ202の軸方向に延びる1つ又は複数の平坦領域を備え得る。この場合では、加熱チャンバ202は、加熱チャンバ202内に受け入れられたエアロゾル基材のロッドが、加熱チャンバ202の1つ又は複数の平坦領域によって圧迫されるように構成され得る。加熱チャンバの円周面の他の領域(すなわち、1つ又は複数の平坦領域を接続する加熱チャンバのセクション)は、エアロゾル基材の受け入れたロッドに接触しないように構成され、それにより、加熱チャンバの長さに沿って1つ又は複数の空気流路を形成し得る。絶縁層とも呼ばれる絶縁材料のコーティング206が、加熱チャンバ202の外面203を囲む。特に、絶縁材料のコーティング206は、加熱チャンバ202の周方向外面203に隣接して配置される(すなわち、当接する、接触する)。絶縁材料のコーティング206は、加熱チャンバ202の外面203に直接結合される、すなわち、絶縁材料のコーティング206と加熱チャンバ202との間に化学結合が形成される。図2では、絶縁材料のコーティング206は、加熱チャンバ202の外面203の長さの一部分のみに沿って延びるように示されている。しかしながら、他の実施形態では、絶縁材料のコーティング206は加熱チャンバ202の全長に沿って延び得ることを当業者には理解されよう。更に、絶縁材料のコーティング206は加熱チャンバ202の外面を部分的にしか囲まなくてもよいことを当業者には理解されよう。
【0053】
絶縁材料のコーティング206は、好ましくは、高い絶縁破壊電圧(例えば、約100ボルト以上)及び高い熱伝導率を呈する材料を含む。例えば、絶縁材料のコーティング206は、セラミック、シリコーン、ガラス、シリコーン酸化物、炭素、又はこれらの組み合わせを含み得る。別の例では、絶縁材料のコーティング206は、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を含み得る(また場合によりDLCから構成され得る)。好ましくは、絶縁材料のコーティング206は、0.3~10ミクロンの厚さ、より好ましくは0.5~6ミクロンの厚さを有する。このような特性により、加熱チャンバ202が絶縁されたままであることを確保しながら、加熱チャンバ202内に受け入れられたエアロゾル基材への熱伝達が改善される。好都合なことに、加熱チャンバ202の昇温時間及び冷却時間が短縮され、これにより加熱アセンブリ200のエネルギー効率が向上し得る。
【0054】
導電性材料のコーティング208が絶縁材料のコーティング206を覆う(すなわち、被覆する)。つまり、導電性材料のコーティング208は、絶縁材料のコーティング206のうち、加熱チャンバ202に接合される側とは反対側で、絶縁材料のコーティング206に直接結合される。このようにして、導電性材料のコーティング208と絶縁材料のコーティング206との間に化学結合が形成され、これにより層間の完全な密着が確保される。
【0055】
導電性材料のコーティング208は、ジュールヒータとして動作するように構成される。換言すれば、導電性材料のコーティング208は、電流の流れに応じて熱を放出するように構成される。この物理現象は、ジュール加熱、抵抗加熱、又はオーミック加熱と呼ばれ得る。使用中、導電性材料のコーティング208の温度が上昇し、熱エネルギーが絶縁材料のコーティング206を介して加熱チャンバ202に伝達されるように、バッテリ(図示せず)などの電源から導電性材料のコーティング208に電力が供給され得る。加熱チャンバ202内に受け入れられたエアロゾル基材は、加熱チャンバ202によって伝導的に加熱されて、ユーザが吸入するためのエアロゾルを発生させる。
【0056】
導電性材料のコーティング208は、好ましくは金属を含む。例えば、導電性材料のコーティング208は、好ましくは主にチタンを含み得る(また場合によりチタンから構成され得る)。別の例では、絶縁材料のコーティングは、銀又は銀インクを含み得る(また場合により銀又は銀インクから構成され得る)。特に、銀インクのコーティングは、ブチルカルビトール中の銀インクフレークを、例えばスクリーン印刷によって絶縁材料のコーティング上に施し、その後この組成物を硬化、例えば340℃で20分間硬化させることによって形成され得る。コーティングはまた、炭素又は金属酸化物半導体又は導電体を含み得る。金属酸化物の例としては、TiO2、NiO、TiN、又はTiB2が挙げられる。材料の電気伝導率は(20℃で)10-3S/m超、好ましくは10S/m超、最も好ましくは10-3~10S/mである。
【0057】
導電性材料のコーティング208は、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、熱蒸着、真空蒸着、金属ビーム蒸着、スパッタリング、パルスレーザ蒸着、アークPVD(陰極アーク蒸着)、インクジェット、グラビア印刷、又はスクリーン印刷を含む様々な技法を用いて堆積又は印刷され得る。
【0058】
加熱チャンバ202は抵抗加熱器ではないため、電流を受けるべきでないことを当業者には理解されよう。よって、絶縁材料のコーティング206は、好都合なことに、導電性材料のコーティング208と加熱チャンバ202との間の接触を防止することによって、加熱要素208と加熱チャンバ202との間で短絡が生じるのを防止する一方で、導電性材料のコーティング208から加熱チャンバ202への熱の効率的な伝達を可能にする。つまり、絶縁材料のコーティング206は、導電性材料のコーティング208と加熱チャンバ202とを分離し、導電性材料のコーティング208から加熱チャンバ202に電流が流れないことを確保する。
【0059】
加熱チャンバ202、絶縁材料のコーティング206、及び導電性材料のコーティング208は互いに直接結合を形成する(すなわち、これらはこれらの界面において化学結合される)ため、これらの構成要素間に空隙又は他の断熱部分は存在しない。好都合なことに、このことにより、動作中の熱損失が制限され、加熱アセンブリ200のエネルギー効率が著しく向上する。
【0060】
図2に示す実施形態では、導電性材料のコーティング208は、加熱チャンバの円周方向において、絶縁材料のコーティング206を完全に囲む連続的な表面として形成される。つまり、導電性材料のコーティング208は、少なくとも円周方向において、絶縁材料のコーティング206のいかなる部分も露出されないように絶縁材料のコーティング206を覆う。しかしながら、後述するように、代替的な実施形態では、導電性材料のコーティング208は絶縁材料のコーティング206を部分的にしか覆わなくてもよく、様々なパターン及び構成で配置され得る。
【0061】
図3は、本発明の別の実施形態による加熱アセンブリ300を示している。本実施形態では、導電性材料のコーティング308は、ミアンダパターン又は蛇行パターンとして絶縁材料のコーティング306上に形成される。例えば、導電性材料のコーティング308は、図示のパターンを形成するために、エッチング、マスキング、レーザ切断、又はスクリーン印刷によって形状を定められ得る。当然のことながら、導電性材料のコーティング308によって形成される具体的なパターンは、加熱アセンブリ300の機能要件に応じて変わり得ることを当業者には理解されよう。パターンは、使用時に導電性材料のコーティング308に供給された電流が電気経路に沿って移動し、熱エネルギーを発生させるように電気経路を形成する。
【0062】
図4は、本発明の別の実施形態による加熱アセンブリを示しており、この加熱アセンブリでは、導電性材料のコーティング408が、図3のパターンとは異なる構成でミアンダパターンとして形成される。導電性材料のコーティング408は、絶縁材料のコーティング406を横切って曲がりくねる導電性材料の条片を形成するようにパターン化される。導電性材料のコーティング408によって形成された経路は、電流が供給される電気経路として機能し、加熱チャンバ402内に受け入れられたエアロゾル基材に均一な熱分布を与えることができる。
【0063】
他の例では、導電性材料のコーティング308、408は、1つ又は複数の付加的な機能のためにパターン化され得る、及び/又は形状を定められ得る。例えば、導電性材料のコーティング308、408は、例えばサーミスタ又はアンテナとして機能する特定のパターンを形成するように形状を定められ得る。
【0064】
図5及び図6は2つの代替的な実施形態を示しており、2つの代替的な実施形態では、導電性材料のコーティング508、608が、絶縁材料のコーティング506、606を完全に包囲する導電性材料の切れ目のない表面として施される。つまり、導電性材料のコーティング508、608は、絶縁材料のコーティング506、606が露出しないように、加熱チャンバ502、602を円周方向に囲む。
【0065】
図5では、加熱チャンバ502は、加熱チャンバ502の両側に形成され、加熱チャンバ502の軸方向に延びる2つの平坦領域512を備える管状部材である。しかしながら、平坦領域512の数は3つ以上であり、平坦領域512は加熱チャンバ502の円周上に間隔を空けて配置され得ることを当業者には理解されよう。加熱チャンバ502のうち、平坦領域512の間にある領域は、湾曲領域と呼ばれ得る。
【0066】
好都合なことに、使用中、平坦領域512の間の距離よりも大きい直径を有するエアロゾル基材(例えば、円筒状のエアロゾル基材)が加熱チャンバ502内に受け入れられると、平坦領域512はエアロゾル基材の当接する領域を圧迫する。したがって、各平坦領域512とエアロゾル基材との間に平坦な界面が形成され、その結果、熱伝達が向上する。同時に、エアロゾル基材の直径は、加熱チャンバ502の湾曲領域の間の半径方向距離よりも小さくされて、湾曲領域がエアロゾル基材に接触せず、2つの空気流路が加熱チャンバ502の長さに沿ってエアロゾル基材と加熱チャンバ502の湾曲領域との間に画定されるようにされてもよい。
【0067】
加熱アセンブリ510は、導電性材料508の軸方向に離れた領域、例えば、加熱チャンバ502の軸方向における導電性材料508の両端に配置された2つの電極510(電気コネクタとも呼ばれる)を更に備える。各電極510は、導電性材料のコーティング508を円周方向に囲み、導電性材料のコーティング508と接触するリングを形成するワイヤ又はバンドとして構成される。このようにして、電気経路が、導電性材料のコーティング508を介して一方の電極510から他方の電極510まで形成され得る。よって、電流が電極510のうちの一方に供給されると、電流は導電性材料のコーティング508を通って伝わり、加熱チャンバ502の全周で熱を発生させる。
【0068】
図6では、加熱チャンバ602は、長手方向の窪みとも呼ばれ得る複数の陥凹領域614を備える管状部材である。陥凹領域614は、加熱チャンバ602の長さに平行に延び、加熱チャンバ602の内面601上に細長い突出部を形成する。換言すれば、突出部は空洞の内部に向かって突出する。よって、エアロゾル基材が加熱チャンバ602内に受け入れられると、細長い突出部はエアロゾル基材との接触を増大させ、その結果、集中した加熱効果が得られる。導電性材料のコーティング608は、均一層として絶縁材料のコーティング606上に形成される。特に、導電性材料のコーティング608は陥凹領域614内にも形成される。図5と同様に、加熱アセンブリ600は、導電性材料のコーティング608を囲み、導電性材料のコーティング608と接触する環状電極610を備える。両方の実施形態において、電極510、610が導電性材料のコーティング508、608と接触するため、電極510、610は、集中的な加熱領域を形成し得る。
【0069】
図7及び図8は2つの代替的な実施形態を示しており、2つの代替的な実施形態では、加熱チャンバ702、802の選択された領域にのみ導電性材料のコーティング708、808が形成される。特に、導電性材料のコーティング708、808は、加熱チャンバ702、802の軸方向に延びる、円周方向に間隔を空けて配置された複数のバンドとして形成される。
【0070】
図7では、加熱チャンバ702は、図5の加熱チャンバ502と同じ形状であるが、導電性材料のコーティング708(及び図2の参照番号206から分かるように、下にある絶縁材料のコーティング706)は、加熱チャンバ702の平坦領域712に隣接して配置されるだけであり、加熱チャンバ702の全周の周囲には延びない。つまり、導電性材料のコーティング708は、加熱チャンバ702の平坦領域712と一致する複数(例えば2つ)の軸方向のバンドとして形成される。このようにして、電極710を介して電流が供給されると、導電性材料のコーティング708は、加熱チャンバ702内に受け入れられたエアロゾル基材のうち、平坦領域712に隣接する領域を優先的に加熱する集中的な加熱効果を提供する。電極710は、略環状のバンド又はワイヤとして形成され、略環状のバンド又はワイヤは、加熱チャンバ702を囲み、加熱チャンバ702の長さに沿って軸方向に離れた点で、平坦領域712に対応する加熱チャンバ702の両側の導電性材料のコーティング708と接触する。図示の実施形態では、絶縁材料のコーティング706もまた、平坦領域712上にのみ形成され、導電性材料のコーティング708と一致し(すなわち、ちょうどその下にある)、加熱チャンバ702を囲まない。その結果、電極710は、加熱チャンバ702、及び特に加熱チャンバ702の平坦領域712に隣接する導電性材料のコーティング708にのみ電極710が接触するように配置される。このようにして、電極710は、加熱チャンバ702の外面に直接接触せず、空隙が、加熱チャンバ702の円周の残りの部分では、電極710と加熱チャンバ702の外面との間に設けられる。
【0071】
しかしながら、代替的な実施形態では、絶縁材料のコーティング706は加熱チャンバ702を円周方向に完全に囲み得ることを当業者には理解されよう。この場合では、電極710は、加熱チャンバ702、並びに特に加熱チャンバ702の全周の周りで絶縁材料706及び導電性材料708に接触し得る。
【0072】
図8では、加熱チャンバ802は、図6の加熱チャンバ602と同じ形状であるが、導電性材料のコーティング808(及び下にある絶縁材料のコーティング806)は、陥凹領域814に一致して(陥凹領域814内に)配置され、加熱チャンバ802の全周には延びない。つまり、導電性材料のコーティング808は、陥凹領域814に隣接して延びる複数の軸方向のバンドとして形成される。このようにして、電極810を介して電流が供給されると、導電性材料のコーティング808は、加熱チャンバ802内に受け入れられたエアロゾル基材のうち、陥凹領域814に隣接するエアロゾル基材の部分における領域を優先的に加熱する集中的な加熱効果を提供する。換言すれば、加熱チャンバ802の内面801上に形成された細長い突出部が接触するエアロゾル基材の対応する部分は、より多くの熱エネルギーを受ける。この場合も、電極810は、加熱チャンバ802を囲み、陥凹領域814において、また加熱チャンバ802の長さに沿って軸方向に離れた領域において、導電性材料のコーティング808と接触する環状のバンド又はワイヤとして形成される。
【0073】
図示の実施形態では、絶縁材料のコーティング806は、陥凹領域814内のみに形成され、導電性材料のコーティング808と一致する(すなわち、ちょうどその下にある)、加熱チャンバ802を囲まない。その結果、電極810は、加熱チャンバ802、及び特に加熱チャンバ802の陥凹領域814に隣接する導電性材料のコーティング808にのみ電極810が接触するように配置される。特に、電極は、加熱チャンバの周囲に周方向に配置され、加熱チャンバから離れたリングで形成され得、陥凹領域814に接触する半径方向の突出部(例えば、小さな条片又はタブ)を備える。このようにして、電極810は、加熱チャンバ802の外面に直接接触せず、空隙が、加熱チャンバ802の円周の残りの部分では、電極810と加熱チャンバ802の外面との間に設けられる。
【0074】
しかしながら、代替的な実施形態では、絶縁材料のコーティング806は加熱チャンバ802を円周方向に完全に囲み得ることを当業者には理解されよう。この場合では、電極810は、加熱チャンバ802、並びに特に加熱チャンバ802の全周の周りで絶縁材料906及び導電性材料908に接触し得る。
【0075】
導電性材料のコーティング708、808の軸方向のバンドは、金属蒸着又はスクリーン印刷など、先に論じたような様々な蒸着又は印刷技法を用いて形成され得る。
【0076】
代替的な実施形態では、導電性材料708、808及び下にある絶縁材料706、806の複数の円周方向に間隔を空けて配置されたバンドは、代わりに、各加熱チャンバ702、802の内面701、801上に形成され得ることを当業者には理解されよう。例えば、絶縁材料のコーティング706は、加熱チャンバ702の平坦領域712の内面701上に複数(例えば2つ)の軸方向のバンドとして形成され得る。導電性材料のコーティング708は、絶縁材料のコーティング706上に形成され、それにより、加熱チャンバ702の内部に露出される導電性材料の対応し覆う軸方向のバンドを形成し得る。同様に、絶縁材料のコーティング806は、陥凹領域814と一致して、加熱チャンバ808の内面801上に複数(例えば2つ)の軸方向のバンドとして形成され得る。導電性材料のコーティング808は、絶縁材料のコーティング806上に形成され、それにより、加熱チャンバ802の内部に露出される導電性材料の対応し覆う軸方向のバンドを形成し得る。つまり、導電性材料808は加熱チャンバ802の内部に突出する。
【0077】
図9A図9B、及び図9Cは、本発明の別の実施形態による加熱アセンブリ900の様々な斜視図を示している。先に示した実施形態とは対照的に、加熱アセンブリ900は、加熱チャンバ902の内面901上に形成された絶縁材料のコーティング906を備える。導電性材料のコーティング908は、導電性材料のコーティング908が加熱チャンバ902の内部に配置されるように、絶縁材料のコーティング906を覆う。よって、エアロゾル基材が加熱チャンバ902内に受け入れられると、導電性材料のコーティング908が直接エアロゾル基材に接触し、熱を伝達する。
【0078】
図9Aに示すように、導電性材料のコーティング908は、加熱チャンバ902の各平坦領域912に隣接するミアンダパターンとして形成される。しかしながら、代替的な実施形態では、導電性材料のコーティング908は、加熱チャンバ902の内面901を完全に囲む切れ目のない表面として形成され得る。更に、先に論じたように、加熱チャンバ902の形状は変わり得ることを当業者には理解されよう。
【0079】
本実施形態では、絶縁材料のコーティング906は直接導電性材料のコーティング908の下にある、すなわち、絶縁材料のコーティング906が露出しないように2つのコーティングが正確に一致する。しかしながら、代替的な実施形態では、導電性材料のコーティング908は絶縁材料のコーティング906を部分的にしか覆わなくてもよい。例えば、絶縁材料のコーティング906は、円周方向に加熱チャンバ902の内面901全体に延び得る。
【0080】
図9A及び図9Bに示すように、加熱チャンバ902は、2つの分離可能な本体セクションを備える。導電性材料のコーティング908は、本体セクション間の界面を介して加熱チャンバ902の内部に入り、出る電気経路を形成するように構成される。したがって、導電性材料のコーティング908は、加熱チャンバ902の開口部904において導電性材料のコーティング908を露出させることなく、電源に安全に接続され得る。
【0081】
加熱チャンバの別個の本体セクションは、PEEKなどの耐熱性ポリマー材料で形成され得る。これらの本体セクションは射出成形によって製造され得る。これらの本体セクションは、圧入及び/又は接着(超音波溶着若しくは接着剤付けなど)によって加熱チャンバを形成するために組み立てられ得る。各本体は、組み立て時に適切な案内及び嵌合を提供するために、組み立て接合部に沿った結合要素を備え得る。
【0082】
代替的な実施形態では、加熱チャンバ902は、分離可能な本体セクションを有するのではなく、単一のユニットとして形成され得ることを当業者には理解されよう。先のすべての実施形態の加熱チャンバが、2つの分離可能な本体セクションを備え得ることも当業者には理解されよう。
【0083】
図10は、本発明の別の実施形態による加熱アセンブリ1000の斜視図を示している。加熱アセンブリ1000は、導電性材料のコーティング1008が管状加熱チャンバ1002の各平坦領域1012に隣接してミアンダパターンとして形成される点で、図9A図9B、及び図9Cの加熱アセンブリ900に対応する。しかしながら、本実施形態では、絶縁材料のコーティング1006は、加熱チャンバ100の外面1008上に形成される。導電性材料のコーティング1008は絶縁材料のコーティング1006の上に形成されて、導電性材料のコーティング1008が絶縁材料のコーティング1006を直接覆い、同じミアンダパターンをたどるようにされる。
【0084】
図10では、加熱チャンバ1002は、単一のユニットとして形成されるように示されているが、代替的な実施形態では、加熱チャンバ1002はまた、図9A図9B、及び図9Cに関して説明したように、2つの分離可能な本体セクションを備え得ることを当業者には理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
【国際調査報告】