(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】包装の内部を滅菌するための方法および製造装置、ならびに滅菌された内部を有する包装
(51)【国際特許分類】
A61L 2/18 20060101AFI20240201BHJP
B65D 75/36 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A61L2/18
B65D75/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537483
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2021086896
(87)【国際公開番号】W WO2022136322
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】102020216516.5
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513220920
【氏名又は名称】フェッター ファルマ-フェルティグング ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェッター,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】エルテル,ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ロス,クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】ブレンコウ,アンソニー リチャード
【テーマコード(参考)】
3E067
4C058
【Fターム(参考)】
3E067AB83
3E067BB14A
3E067BC02A
3E067EA32
3E067EB27
3E067FA01
3E067FB02
3E067GC05
4C058AA25
4C058BB07
4C058JJ07
(57)【要約】
本発明は、包装(5)の内部(11)を滅菌するための方法に関する。包装(5)は、上部フィルム(3)と下部部分(1)とを含み、包装(5)の封止状態において、上部フィルム(3)と下部部分(1)は、少なくとも部分的に内部(11)を画定し、上部フィルム(3)の第1の面(13)に滅菌物質(15)が塗布され、滅菌物質(15)がヨウ素を含み、上部フィルム(3)が、上部フィルム(3)の第1の面(13)が少なくとも部分的に包装(5)の内部(11)に面するように下部部分(1)上に配置され、滅菌物質(15)が、包装(5)の内部に配置され、所定の活性時間の間外側から活性化され、包装(5)内、特に包装(5)の内部(11)の中の初期の細菌負荷が、少なくとも10
6分の1に低減される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装(5)の内部(11)を滅菌するための方法であって、
前記包装(5)は、上部フィルム(3)と下部部分(1)とを含み、
前記包装(5)の封止状態において、前記上部フィルム(3)と前記下部部分(1)は、少なくとも部分的に前記内部(11)を画定し、
前記上部フィルム(3)の第1の面(13)に滅菌物質(15)が塗布され、
前記滅菌物質(15)がヨウ素を含み、
前記上部フィルム(3)が、前記上部フィルム(3)の前記第1の面(13)が少なくとも部分的に前記包装(5)の前記内部(11)に面するように前記下部部分(1)上に配置され、
前記滅菌物質(15)が、前記包装(5)の内部に配置され、所定の活性時間の間外側から活性化される、方法。
【請求項2】
前記滅菌物質(15)が、少なくとも40wt%のヨウ素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記滅菌物質(15)が、前記上部フィルム(3)の前記第1の面(13)に塗布された後、所定の乾燥時間の間乾燥される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記滅菌物質(15)が、層(17)として、特に均質層として、前記上部フィルム(3)の前記第1の面(13)に塗布される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記上部フィルム(3)と前記下部部分(1)とが強固に結合される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記滅菌物質(15)が、前記包装(5)が封止される前および/または封止された後に活性化される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記活性化が、所定の活性化時間の間、所定の活性化温度および/または所定の活性化圧力で蒸気処理することにより実施される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記包装(5)、特に前記上部フィルム(3)が、水蒸気を使用して蒸される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記滅菌物質(15)が、噴霧、圧着、蒸着、および圧延からなる群から選択される方法によって前記上部フィルム(3)の前記第1の面(13)に塗布される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記封止された包装(5)が、所定の保管時間の間、好適には真空室の中で乾燥される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
ポリマー‐ヨウ素複合体および少なくとも40wt%のヨウ素から最大50wt%のヨウ素を含むジエチレングリコールモノエチルエーテルもしくはジエチレングリコールジエチルエーテルの溶液からなる群から選択される物質の化合物または混合物が、前記滅菌物質(15)として使用される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
透明な上部フィルムが前記上部フィルム(3)として使用され、透明な下部部分が前記下部部分(1)として使用される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
蒸気透過性フィルム、特にタイベックフィルムが、前記上部フィルム(3)として使用される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記包装(5)内、特に前記包装(5)の前記内部(11)の中の初期の細菌負荷が、少なくとも10
6分の1に低減される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
医療機器(7)が、前記包装(5)内部、特に前記上部フィルム(3)と前記下部部分(1)との間に配置される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
医薬品容器(9)が、前記包装(5)内部、特に前記上部フィルム(3)と前記下部部分(1)との間に配置される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
特に気泡シートおよび/またはブリスター包装である包装(5)であって、
上部フィルム(3)と下部部分(1)とを備え、
前記上部フィルム(3)と前記下部部分(1)は強固に結合され、少なくとも部分的に前記上部フィルム(3)と前記下部部分(1)により画定されている前記包装(5)の内部(11)は、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法によって滅菌されている、包装(5)。
【請求項18】
医療機器(7)および/または医薬品容器(9)が、前記包装(5)の前記内部(11)、特に前記上部フィルム(3)と前記下部部分(1)との間に配置されている、請求項17に記載の包装(5)。
【請求項19】
包装(5)の内部(11)を滅菌するための製造装置(19)であって、
前記製造装置(19)は、受容部(21)と、位置決め部(23)と、活性化部(25)とを備え、
前記受容部(21)は、第1の面(13)上に滅菌物質(15)を含む上部フィルム(3)と下部部分(1)とを受容するように構成され、
前記位置決め部(23)は、前記上部フィルム(3)と前記下部部分(1)が少なくとも部分的に前記包装(5)の前記内部(11)を画定し、前記上部フィルム(3)の前記第1の面(13)が少なくとも部分的に前記包装(5)の前記内部(11)に面するように、前記下部部分(1)上に前記上部フィルム(3)を載置するように構成され、
前記活性化部(25)は、外側から前記滅菌物質(15)を活性化するように構成されている、製造装置(19)。
【請求項20】
前記製造装置(19)は、前記上部フィルム(3)の前記第1の面(13)に前記滅菌物質(15)を塗布するように構成されている塗布部(29)をさらに備える、請求項19に記載の製造装置(19)。
【請求項21】
前記製造装置(19)は、前記上部フィルム(3)と前記下部部分(1)を強固に結合するように構成されている封止部(31)をさらに備える、請求項19または20に記載の製造装置(19)。
【請求項22】
前記活性化部(25)は、特に水蒸気を吹き付けるように構成されている蒸気処理部(27)を含む、請求項19から21のいずれか一項に記載の製造装置(19)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装の内部を滅菌するための方法、そのような方法によって滅菌された内部を有する包装、および包装の内部を滅菌するための製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレンオキシド滅菌は、包装の内部、特に包装内に配置されている充填済医療用一次包装手段または医薬品一次包装手段を滅菌するものとして知られている。そのようなエチレンオキシド滅菌は、工程が複雑でコストがかかり、通常、専門的なサービス事業者により独占的に実施されている。これの不利な点は、複雑さが増大し、一次包装材料の選択が限定されることである。
【0003】
米国特許第4381380号明細書には、ヨウ素化合物を含むポリウレタンで生成された熱可塑性材料が開示されている。ヨウ素化合物を含むことで、そのプラスチックは抗菌効果、特に滅菌効果を有する。これの不利な点は、ヨウ素化合物を有するポリウレタンの合成が複雑であることと、プラスチックとしてのポリウレタンに制約があることである。
【0004】
米国特許出願公開第2005/173270号明細書には、抗菌効果を有する医療機器用の包装が開示されている。その抗菌効果は、抗菌剤、特にヨウ素を添加することによって達成される。この方法の不利な点は、滅菌が保証されていないことである。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明は、包装の内部を滅菌するための方法および装置、ならびにこれに対応して滅菌された内部を有する包装を提供するという問題に基づいており、上記の不利な点は少なくとも部分的に解消、特に回避される。
【0006】
問題は、本技術の教示、特に、独立請求項ならびに従属請求項および明細書において開示されている実施形態の教示を提供することによって解決される。
【0007】
この課題は、包装の内部を滅菌するための方法を創作することによって解決される。前記包装は、上部フィルムと下部部分とを含み、前記包装の封止状態において、前記上部フィルムと前記下部部分は、少なくとも部分的に前記内部を画定する。第1のステップでは、前記上部フィルムの第1の面に滅菌物質が塗布され、前記滅菌物質がヨウ素を含む。第2のステップでは、前記上部フィルムが、前記上部フィルムの前記第1の面が少なくとも部分的に前記包装の前記内部に面するように前記下部部分上に配置される。第3のステップでは、前記滅菌物質が、前記包装の内部に配置され、所定の活性時間の間外側から活性化される。
【0008】
有利なことに、滅菌物質、特にヨウ素の活性化により、包装の内部が滅菌され、特に、包装の内部に配置されたすべての製品に対して外側の滅菌が行われる。これに加えて、滅菌物質、特にヨウ素による包装の内部の滅菌および滅菌物質、特にヨウ素の活性化は、有利なことに、既存のプロセスおよび/または方法に統合することが容易である。
【0009】
特に好ましくは、フィルム、特にプラスチックフィルムもしくは成型部品、特にプラスチック成型部品が下部部分として使用される。
【0010】
好ましくは、滅菌物質の活性化は、動力学的な活性化に相当する。特に好ましくは、滅菌物質の活性化は、溶液からのヨウ素の放出に相当する。
【0011】
好ましくは、滅菌物質は、化合物、特にヨウ素を含む化合物である。あるいは、特に好ましくは、滅菌物質は、ヨウ素を含む物質の混合物である。
【0012】
好ましくは、所定の活性化時間は、少なくとも0.1秒から最大300秒までであり、より好ましくは、少なくとも0.2秒から60秒未満である。特に好ましくは、所定の活性化時間は最大55秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は最大50秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は最大45秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は最大40秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は最大35秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は最大30秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は最大25秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は最大20秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は最大15秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は最大10秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は最大9秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は最大8秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は最大7秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は最大6秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は最大5秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は少なくとも0.5秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は少なくとも1秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は少なくとも1.5秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は少なくとも2秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は少なくとも2.5秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は少なくとも3秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は少なくとも3.5秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は少なくとも4秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は少なくとも4.5秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は少なくとも5秒である。特に好ましくは、所定の活性化時間は5秒である。
【0013】
好ましくは、上部フィルムの第1の面に塗布する滅菌物質の量は、1cm2当たり少なくとも0.001mgのヨウ素から1cm2当たり最大10mgのヨウ素が上部フィルムの第1の面に存在する量である。代わりにもしくはこれに加えて、好ましくは、滅菌物質は、1ml当たり少なくとも0.01mgのヨウ素から1ml当たり最大5mgのヨウ素を含む。
【0014】
好ましくは、滅菌物質は、30wt%より多くのヨウ素を含む。特に好ましくは、滅菌物質は、少なくとも31wt%のヨウ素を含む。特に好ましくは、滅菌物質は、少なくとも32wt%のヨウ素を含む。特に好ましくは、滅菌物質は、少なくとも33wt%のヨウ素を含む。特に好ましくは、滅菌物質は、少なくとも34wt%のヨウ素を含む。特に好ましくは、滅菌物質は、少なくとも35wt%のヨウ素を含む。特に好ましくは、滅菌物質は、少なくとも36wt%のヨウ素を含む。特に好ましくは、滅菌物質は、少なくとも37wt%のヨウ素を含む。特に好ましくは、滅菌物質は、少なくとも38wt%のヨウ素を含む。特に好ましくは、滅菌物質は、少なくとも39wt%のヨウ素を含む。特に好ましくは、滅菌物質は、少なくとも40wt%のヨウ素を含む。特に好ましくは、滅菌物質は、少なくとも41wt%のヨウ素を含む。特に好ましくは、滅菌物質は、少なくとも42wt%のヨウ素を含む。特に好ましくは、滅菌物質は、少なくとも43wt%のヨウ素を含む。特に好ましくは、滅菌物質は、少なくとも44wt%のヨウ素を含む。特に好ましくは、滅菌物質は、少なくとも45wt%のヨウ素を含む。滅菌物質は、好ましくは最大50wt%のヨウ素、好ましくは最大49wt%のヨウ素、好ましくは最大48wt%のヨウ素、好ましくは最大47wt%のヨウ素、好ましくは最大46wt%のヨウ素を含む。
【0015】
wt%という量は、質量百分率、特に質量分率を示す。本発明のさらなる展開によれば、滅菌物質は、少なくとも40wt%のヨウ素を含むことが規定される。
【0016】
本発明のさらなる展開によれば、滅菌物質は、上部フィルムの第1の面への塗布後、所定の乾燥時間の間乾燥される。有利なことに、これにより、上部フィルムの第1の面への滅菌物質の最適な塗布が確保される。
【0017】
好ましくは、所定の乾燥時間は、少なくとも5秒から最大10分までである。特に好ましくは、所定の乾燥時間は、少なくとも10秒である。特に好ましくは、所定の乾燥時間は、少なくとも15秒である。特に好ましくは、所定の乾燥時間は、少なくとも20秒である。特に好ましくは、所定の乾燥時間は、少なくとも25秒である。特に好ましくは、所定の乾燥時間は、最大5分である。特に好ましくは、所定の乾燥時間は、最大2分である。特に好ましくは、所定の乾燥時間は、最大1分である。
【0018】
本発明の発展形態によれば、滅菌物質が、層として、特に均質層として、上部フィルムの第1の面に塗布される。有利なことに、滅菌物質の層、特に均質層は、外側から最適に活性化することができる。
【0019】
本発明の発展形態によれば、上部フィルムと下部部分とが互いに強固に結合される。好ましくは、上部フィルムと下部部分との間の強固な結合は、接着または溶接により構成される。有利なことに、上部フィルムが下部部分に対して強固に結合しているために、流体が上部フィルムと下部部分との間の包装の内部から確実に漏れないようにできる。
【0020】
好ましくは、包装は、上部フィルムと下部部分との間に強固な結合を生成することによって、特にぴったりおよび/または堅固に、封止されている。
【0021】
本発明の発展形態によれば、滅菌物質が、包装が封止される前および/または封止された後に活性化される。
【0022】
本発明の発展形態によれば、活性化が、所定の活性化時間の間、所定の活性化温度および/または所定の活性化圧力で蒸気処理することにより実施される。
【0023】
好ましくは、所定の活性化温度は少なくとも60℃から最高250℃、より好ましくは、少なくとも100℃かつ200℃未満である。特に好ましくは、所定の活性化温度は最高195℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は最高190℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は最高185℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は最高180℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は最高175℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は最高170℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は最高165℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は最高160℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は最高155℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は最高150℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は最高145℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は最高140℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は最高135℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は最高130℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は最高125℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は最高120℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は少なくとも65℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は少なくとも70℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は少なくとも75℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は少なくとも80℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は少なくとも85℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は少なくとも90℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は少なくとも95℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は少なくとも105℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は少なくとも110℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は少なくとも115℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は少なくとも120℃である。特に好ましくは、所定の活性化温度は120℃である。
【0024】
好ましくは、所定の活性化圧力は、少なくとも1psi(0.069バール)から最高350psi(24バール)、より好ましくは少なくとも30psi(2.1バール)から最高340バールである。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、最高320psi(22バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、最高300psi(21バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、最高280psi(19バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、最高260psi(18バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、最高240psi(17バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、最高220psi(15バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、最高200psi(14バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、最高180psi(12バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、最高160psi(11バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、最高140psi(9.7バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、最高120psi(8.3バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、最高100psi(6.9バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、少なくとも2psi(0.14バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、少なくとも3psi(0.21バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、少なくとも4psi(0.28バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、少なくとも5psi(0.34バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、少なくとも6psi(0.41バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、少なくとも7psi(0.48バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、少なくとも8psi(0.55バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、少なくとも9psi(0.62バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、少なくとも10psi(0.69バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、少なくとも15psi(1.03バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、少なくとも20psi(1.4バール)である。特に好ましくは、所定の活性化圧力は、少なくとも25psi(1.7バール)である。
【0025】
方法の好適な実施形態において、蒸気処理は、上部フィルムに直接印加されるまたは上部フィルムから所定の距離に配置され、上部フィルムに好適に位置合わせされた蒸気ノズルによって実施される。滅菌物質の最適な活性化を確保するために、すべてのパラメータ、所定の活性化温度、所定の活性化圧力、所定の活性化時間、および上部フィルムに対する蒸気ノズルの距離が互いに好適に調整される。
【0026】
包装が封止された後、蒸気処理によって滅菌物質を活性化する場合、上部フィルムおよび/または下部部分が蒸気透過性であれば有利である。
【0027】
本発明の発展形態によれば、包装、特に上部フィルムが、水蒸気を使用して蒸される。
【0028】
本発明の発展形態によれば、滅菌物質が、噴霧、圧着、蒸着、および圧延からなる群から選択される方法によって上部フィルムの第1の面に塗布される。有利なことに、これにより、滅菌物質の上部フィルムの第1の面に対する最適な塗布、特に滅菌物質を使用した上部フィルムの第1の面の最適な塗布が確保される。
【0029】
本発明の発展形態によれば、封止された包装が、所定の保管時間の間、好適には真空室の中で乾燥される。特に好ましくは、封止された包装は、滅菌物質の活性化後、所定の保管時間の間乾燥させられる。
【0030】
本発明の発展形態によれば、ポリマー‐ヨウ素複合体および少なくとも40wt%のヨウ素から最大50wt%のヨウ素、好ましくは45wt%のヨウ素を含むジエチレングリコールモノエチルエーテルもしくはジエチレングリコールジエチルエーテルの溶液からなる群から選択される化合物が滅菌物質として使用される。あるいは、少なくとも40wt%のヨウ素から最大50wt%のヨウ素、好ましくは45wt%のヨウ素を含むジエチレングリコールモノエチルエーテルもしくはジエチレングリコールジエチルエーテルからなる物質の混合物が滅菌物質として使用される。
【0031】
本発明の発展形態によれば、透明な上部フィルムが前記上部フィルムとして使用され、透明な下部部分が前記下部部分として使用される。有利なことに、これにより、包装の中に配置されている製品の視覚検査が可能となる。
【0032】
本発明の発展形態によれば、蒸気透過性フィルム、特にタイベックフィルムが、前記上部フィルムとして使用される。有利なことに、これにより、包装が封止された後、特に上部フィルムが下部部分に強固に結合された後、滅菌物質の特に好適な活性化が可能となる。
【0033】
本発明の発展形態によれば、包装内の初期の細菌負荷が、少なくとも106分の1に低減される。初期の細菌負荷が106分の1に減少することは、6‐対数減少とも呼ばれている。包装の十分な滅菌を保証するためには、初期の細菌負荷の6‐対数減少が必要である。
【0034】
本技術教示と関連して、細菌は、特に微生物を意味すると理解される。微生物は、特に原核生物、特にバクテリアおよび古細菌、真核生物、特に菌類,酵母、植物および動物の単細胞生物ならびに/または多細胞生物、プリオン、原生生物、ウイルスおよび胞子である。
【0035】
本発明の発展形態によれば、医療機器が、包装内部、特に上部フィルムと下部部分との間に配置される。
【0036】
本発明の発展形態によれば、医薬品容器が、包装内部、特に上部フィルムと下部部分との間に配置される。
【0037】
方法の好適な実施形態において、一次包装手段、特にシリンジまたはカートリッジが、医療機器および/または医薬品容器として使用される。
【0038】
この課題は、上部フィルムと下部部分とを備える包装を創作することによっても解決される。上部フィルムと下部部分は強固に結合され、少なくとも部分的に上部フィルムと下部部分により画定されている包装の内部は、本発明の方法、または上記の1以上の実施形態の方法によって滅菌されている。包装に関連して、方法と関連して既に説明した利点が特に生じる。
【0039】
包装の一実施形態において、下部部分は、フィルムとして、特にプラスチックフィルムとして構成される。次に、包装は、特にフィルム袋として構成される。他の実施形態において、下部部分は、成型部品、特に成形されたプラスチック部品として構成される。
【0040】
本発明の発展形態によれば、医療機器および/または医薬品容器が、包装の内部、特に上部フィルムと下部部分との間に配置されている。
【0041】
この課題は、特に本発明による方法または上述の1つ以上の実施形態による方法によって、包装の内部を滅菌するための製造装置を創作することによっても解決される。前記製造装置は、受容部と、位置決め部と、活性化部とを備える。前記受容部は、第1の面上に滅菌物質を含む上部フィルムと下部部分とを受容するように構成されている。前記位置決め部は、前記上部フィルムと前記下部部分が少なくとも部分的に前記包装の前記内部を画定し、前記上部フィルムの前記第1の面が少なくとも部分的に前記包装の前記内部に面するように、前記下部部分上に前記上部フィルムを載置するように構成されている。前記活性化部は、外側から前記滅菌物質を活性化するように構成されている。特に、製造装置は、本発明による方法または上記の1以上の実施形態による方法を行うように構成されている。製造装置に関連して、特に方法および包装に関連して既に説明した利点が得られる。
【0042】
好適には、受容部、位置決め部、および活性化部は、上部フィルムおよび下部部分が、最初に受容部を通過し、次に位置決め部を通過し、そしてその次に活性化部を通過するように配置されている。
【0043】
本発明の発展形態によれば、製造装置は、塗布部を備える。塗布部は、上部フィルムの第1の面に滅菌物質を塗布するように構成されている。
【0044】
本発明の発展形態によれば、製造装置は、封止部を備える。封止部は、上部フィルムと下部部分を強固に結合するように構成されている。
【0045】
本発明の発展形態によれば、活性化部は、特に水蒸気を吹き付けるように構成されている蒸気処理部を含む。
【0046】
本発明による方法もしくは上記の1以上の実施形態による方法の滅菌効果、特に初期の細菌負荷の6‐対数減少を実証するために、以下に記載される一連の実験を実施した。
【0047】
すべての実験に対して、上部フィルムとしてタイベックフィルムが使用され、下部部分としてキュベット、好適にはポリスチレン製のキュベットが使用された。
【0048】
滅菌効果を実証するために、方法を適用する前に、キュベットには枯草菌を接種した。この目的のために、枯草菌の株がマンガンを含む寒天培地上で3から4週間増殖した。続いて、胞子を、超純水、特に2mlの超純水で採取し、好適に2回洗浄した。さらに、顕微鏡による観察によって胞子の存在を確認した。続いて、胞子を4%エタノール超純水溶液に保管し、胞子濃縮を、既知の方法、特に希釈系列、シャーレ内増殖およびコロニー形成単位の計数、いわゆるCFUカウント(コロニー形成単位)によって実施した。キュベットに接種するために、1ml当たり3x109CFUを超える胞子懸濁液を調整した。こうして、乾燥および/または未だ存在する栄養細胞に起因する、通常は1.5‐対数減少の範囲内である、胞子の自然発生的減少の場合においても、初期細菌負荷の6‐対数減少を最終的に実証することが可能である。
【0049】
100μlの胞子懸濁液を使用してキュベットに接種する前に、キュベットを紫外線で滅菌した。接種後、キュベットを37℃で少なくとも8時間保管して液体を蒸発させ、胞子をキュベットの内壁に付着させた。
【0050】
各実験の完了後、CFUカウントを実施した。各場合において、1mlの超純水をキュベットに充填し、滅菌綿棒を使用してキュベットの内壁から胞子を分離して、超純水に溶解した。得られた懸濁液を、別の容器に移した。5mlの懸濁液を別の容器に採取するまで、キュベット中の懸濁液形成のプロセスを繰り返した。5mlの懸濁液を6つのステップの希釈系列で希釈し、1mlのサブサンプルそれぞれを寒天培地プレート、好ましくはカゼイン‐大豆ペプトン寒天培地プレートに塗布した。24時間後および48時間後に、CFUカウントを実施した。
【0051】
実験シリーズ1:接種したキュベットの滅菌のため、45wt%のヨウ素を含むジエチレングリコールモノエチルエーテルの溶液をピペットでタイベックフィルムに滴下して、好ましくは密度1cm2当たり2.18mgのI2(ヨウ素)を得るか、またはタイベックフィルムに1:50ヨウ素エタノール溶液を塗布するかのいずれかとした。
【0052】
あらかじめヨウ素を塗布しておいたタイベックフィルムを、ヨウ素溶液がキュベット内部に完全に配置されるように、接種したキュベットに接着した。キュベットとタイベックフィルムを合わせて30秒間強く押し付け、その後10分間保管してキュベットとタイベックフィルムの間の接着結合を完全に形成させた。対照実験として、同様の方法で接種した比較用キュベットを、ヨウ素を塗布していないタイベックフィルムに結合させた。
【0053】
次に、タイベックフィルムの中心に蒸気ノズルを配置することによって、タイベックフィルムで封止した接種済キュベットを蒸気で処理し、その後120℃、36psi(2.5バール)の圧力の蒸気を5秒間吹き付けた。
【0054】
これらのそれぞれの実験を、それぞれ複数のキュベットおよび比較用キュベットを用いて実施した。
【0055】
次に、タイベックフィルムで封止されたキュベットと参照キュベットを23℃で72時間保管した後、タイベックフィルムを取り外し、CFUカウントを行った。タイベックフィルム上でヨウ素を中断しなかった比較用キュベットを用いた対照実験では、接種材料と比較して、初期細菌負荷の1.7‐対数減少が観察された。対照実験における当該1.7‐対数減少は、脱水プロセスに基づいている。タイベックフィルムにヨウ素が塗布されたすべての実験において、CFUカウントにおいて、コロニー形成単位は見出されなかった。これにより、前述の方法、特にタイベックフィルムにヨウ素を塗布し、蒸気の噴出によってヨウ素を活性化することによって滅菌すると、対照実験と比較して、初期の細菌負荷の少なくとも6.9‐対数減少が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図面を参照して、本発明を以下でより詳細に説明する。
【
図1】包装の第1実施形態の下部部分および上部フィルムの概略図である。
【
図5】製造装置の第1および第2実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は、包装5の第1実施形態の下部部分1および上部フィルム3の概略図を示す。下部部分1と上部フィルム3は、好適に双方とも透明に構成されている。医療機器7および/または医薬品容器9は、好適に下部部分1に配置されている。上部フィルム3は、好適に蒸気透過性フィルム、特にタイベックフィルムである。
【0058】
封止状態において、下部部分1と上部フィルム3は、少なくとも特定の領域において包装5の内部11を画定する。この場合、上部フィルム3の第1の面13が少なくとも特定の領域において包装5の内部11に面する。
【0059】
包装5の内部11を滅菌するための方法において、第1のステップでは、滅菌物質15が上部フィルム3の第1の面13に塗布される、ここで、滅菌物質15はヨウ素を含む。好適に、滅菌物質15は少なくとも40wt%のヨウ素を含む。
【0060】
好適に、滅菌物質15は、化合物、特に、ポリマー‐ヨウ素複合体および少なくとも40wt%のヨウ素から最大50wt%のヨウ素、好適には45wt%のヨウ素を有するジエチレングリコールモノエチルエーテルまたはジエチレングリコールジエチルエーテルの溶液からなる群から選択される、化合物を含む。あるいは、少なくとも40wt%のヨウ素から最大50wt%のヨウ素、好適には45wt%のヨウ素を有するジエチレングリコールモノエチルエーテルまたはジエチレングリコールジエチルエーテルからなる物質の混合物が滅菌物質として用いられる。
【0061】
好適に、滅菌物質15は、層17として、特に均質層として、上部フィルム3の第1の面13に塗布される。
【0062】
好適に、滅菌物質15は、噴霧、圧着、蒸着、および圧延からなる群から選択される方法によって、上部フィルム3の第1の面13に塗布される。
【0063】
代わりにまたはこれに加えて、上部フィルム3の第1の面13への塗布後、滅菌物質15は、所定の乾燥時間の間乾燥される。
【0064】
次に、上部フィルム3は、上部フィルム3の第1の面13が少なくとも特定の領域で内部11に面するように、下部部分1上に配置される。
【0065】
図2は、
図1の下部部分1と上部フィルム3で構成される包装5の第1実施形態の概略図を示す。包装5の内部11、特に下部部分1と上部フィルム3の間には、医療機器7および/または医薬品容器9が配置されている。
【0066】
すべての図において、同一および機能的に同一の構成要素には同じ符号が付与されており、いずれの場合も前述の説明を参照されたい。
【0067】
包装5の内部11を滅菌するための方法の第2ステップでは、滅菌物質15が、外部から所定の活性化時間で活性化される。
【0068】
方法の一実施形態において、包装5が封止される前に、特に下部部分1が上部フィルム3に強固に結合される前に、滅菌物質15の活性化が実施される。代わりにまたはこれに加えて、包装5が封止された後、特に下部部分1が上部フィルム3に強固に結合された後、滅菌物質15の活性化が実施される。
【0069】
好適に、滅菌物質15の活性化は、蒸気処理、好適には水蒸気による蒸気処理によって、所定の活性化温度および/または所定の活性化圧力で所定の活性化時間の間実施される。
【0070】
方法の好適な実施形態において、包装5、特に上部フィルム3が、好適には、水蒸気を放出する蒸気ノズル19によって蒸される。
【0071】
包装5の内部11を滅菌するための方法の任意選択の第3ステップでは、封止された包装5が、所定の保管時間の間乾燥される。好適には、この乾燥は真空室の中で実施される。
【0072】
方法の特に好適な実施形態において、包装5内、特に包装5の内部11と医療機器7の表面上および/または医薬品容器9の表面上の初期の細菌負荷が、少なくとも106分の1に低減される。
【0073】
図3は、上部フィルム3と下部部分1とを有する包装5の第2実施形態の概略図を示す。医療機器7および/または医薬品容器9、特にシリンジは、包装5の内部11に配置されている。包装5の内部11ならびに医療機器7の表面および/または医薬品容器9の表面の滅菌については、前述の説明を参照されたい。
【0074】
図4は、上部フィルム3と下部部分1とを有する包装5の第3実施形態の概略図を示す。医療機器7および/または医薬品容器9、特にシリンジは、包装5の内部11に配置されている。包装5の内部11ならびに医療機器7の表面および/または医薬品容器9の表面の滅菌については、前述の説明を参照されたい。
【0075】
図5は、製造装置19の第1および第2実施形態の概略図を示す。
【0076】
図5(a)は、包装5の内部11を滅菌するための製造装置19の第1実施形態を示す。製造装置19は、受容部21、位置決め部23、および活性化部25を含む。
【0077】
受容部21は、第1の面13上に滅菌物質15を含む上部フィルム3と下部部分1とを受容するように構成されている。
【0078】
位置決め部23は、上部フィルム3と下部部分1が包装5の内部11を少なくとも部分的に画定し、上部フィルム3の第1の面13が包装5の内部11に少なくとも部分的に面するように、下部部分1の上に上部フィルム3を載置するように構成されている。
【0079】
活性化部25は、外側から滅菌物質15を活性化するように構成されている。好適には、活性化装置25は、特に水蒸気を吹き付けるように構成されている蒸気処理部27を含む。
【0080】
任意選択で、製造装置19は塗布部29を含む。塗布部29は、上部フィルム3の第1の面13に滅菌物質15を塗布するように構成されている。
【0081】
任意選択で、製造装置19は封止部31を含む。封止部31は、活性化装置25により滅菌物質15を活性化した後、上部フィルム3と下部部分1を強固に結合するように構成されている。
【0082】
すべての図において、同一および機能的に同一の構成要素には同じ符号が付与されており、いずれの場合も前述の説明を参照されたい。
【0083】
図5(b)は、包装5の内部11を滅菌するための製造装置19の第2実施形態を示す。任意選択で、製造装置19は封止部31を含む。封止部31は、滅菌物質15が活性化装置25により活性化される前に、上部フィルム3と下部部分1を強固に結合するように構成されている。
【国際調査報告】