(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】自動プライミングベントプラグ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/38 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
A61M5/38 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023539121
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 US2021064973
(87)【国際公開番号】W WO2022146848
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バスカー、カルティク
(72)【発明者】
【氏名】ガナパティー、マニカバサガム
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066FF04
4C066KK01
4C066LL09
(57)【要約】
空気ベンティングデバイスは、流体流路を画定する中空の内部を有するチューブ状の本体部を含むアダプターと、チューブ状の本体部の少なくとも一部分に取り外し可能に連結されているベントプラグとを含むことが可能である。ベントプラグは、ベントプラグの内部チャンバーを画定する内側円周方向表面を含むことが可能であり、アダプターの流体流路は、アダプターをベントプラグの内部チャンバーと流体的に連通させることが可能である。ベントプラグは、内部チャンバーの中に配設されている高吸水性ポリマー材料をさらに含むことが可能である。高吸水性ポリマー材料は、(i)流体流路から内部チャンバーに進入する液体を吸収するように、および、(ii)液体が高吸水性ポリマー材料の中へ吸収されるときに、体積が拡張するように構成されることが可能である。内部チャンバーに進入する液体の中に同伴された空気は、ベントプラグを介して空気ベンティングデバイスの外部にベントされることが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ラインのセルフプライミングを促進させるための空気ベンティングデバイスであって、前記空気ベンティングデバイスは、
血管アクセスデバイスを接続するためのアダプターであって、前記アダプターは、流体流路を画定する中空の内部を有するチューブ状の本体部を含む、アダプターと;
前記チューブ状の本体部の少なくとも一部分に取り外し可能に連結されているベントプラグと
を含み、
前記ベントプラグは、
前記ベントプラグの内部チャンバーを画定する内側円周方向表面であって、前記アダプターの前記流体流路は、前記アダプターを前記ベントプラグの前記内部チャンバーと流体的に連通させる、内側円周方向表面と;
前記ベントプラグの前記内部チャンバーの中に配設されている高吸水性ポリマー材料であって、前記高吸水性ポリマー材料は、(i)前記流体流路から前記内部チャンバーに進入する液体を吸収するように、および、(ii)前記液体が前記高吸水性ポリマー材料の中へ吸収されるときに、体積が拡張するように構成されている、高吸水性ポリマー材料と
を含み、
前記流体流路から前記内部チャンバーに進入する前記液体の中に同伴された空気は、前記ベントプラグを介して前記空気ベンティングデバイスの外部にベントされる、空気ベンティングデバイス。
【請求項2】
前記空気ベンティングデバイスは、患者の中へ挿入されることとなるニードルを有するカテーテルをさらに含み、前記ニードルは、前記液体を前記ベントプラグに輸送するために、前記アダプターの前記流体流路および前記ベントプラグの前記内部チャンバーと流体的に連通させられており、前記高吸水性ポリマー材料によって吸収される前記液体は、前記患者の血液を含む、請求項1に記載の空気ベンティングデバイス。
【請求項3】
前記ベントプラグは、下側チャンバーと、上側チャンバーと、前記ベントプラグの上側チャンバーの近位端部に配設されている有孔スクリーンとをさらに含み、前記空気は、前記有孔スクリーンを介して前記ベンティングデバイスの外部にベントされる、請求項1に記載の空気ベンティングデバイス。
【請求項4】
前記ベントプラグは、前記上側チャンバーと前記下側チャンバーとの間に間置されている多孔性の膜をさらに含み、前記多孔性の膜は、同伴された空気を伴う前記液体が前記流体流路から前記内部チャンバーの中へ流入することを許容し、前記高吸水性ポリマー材料が前記流体流路に進入することを抑制するように構成されている、請求項3に記載の空気ベンティングデバイス。
【請求項5】
前記高吸水性ポリマー材料は、前記多孔性の膜と前記有孔スクリーンとの間に配設されている、請求項4に記載の空気ベンティングデバイス。
【請求項6】
前記高吸水性ポリマー材料は、スポンジ、粉末、シート、またはメッシュからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項5に記載の空気ベンティングデバイス。
【請求項7】
前記高吸水性ポリマー材料は、ベース材料の上に含浸されている、請求項5に記載の空気ベンティングデバイス。
【請求項8】
前記高吸水性ポリマー材料は、前記流体流路から前記内部チャンバーに進入する前記液体を吸収すると、体積が少なくとも300パーセント拡張する、請求項1に記載の空気ベンティングデバイス。
【請求項9】
前記高吸水性ポリマー材料は、アクリル酸ナトリウム塩、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、架橋ポリエチレンオキシド、または、ポリアクリロニトリルのデンプングラフトコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1に記載の空気ベンティングデバイス。
【請求項10】
自動プライミングベントプラグを組み立てる方法であって、前記方法は、
実質的にチューブ状の本体部を提供するステップであって、前記チューブ状の本体部は、上側チャンバーと、下側チャンバーと、前記下側チャンバーの中に長手方向に延在するシーティング表面と、前記チューブ状の本体部の内部チャンバーを画定する内側円周方向表面とを有している、ステップと;
前記チューブ状の本体部の近位端部において有孔スクリーンを前記内側円周方向表面に連結するステップと;
前記有孔スクリーンと前記シーティング表面との間において前記上側チャンバーの中に高吸水性ポリマー材料を間置するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記高吸水性ポリマー材料は、スポンジ、シート、またはメッシュ材料からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、多孔性の膜を前記シーティング表面に連結するステップをさらに含み、前記高吸水性ポリマー材料は、前記多孔性の膜と前記有孔スクリーンとの間に配設されている、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記高吸水性ポリマー材料は、粉末または粒状の材料を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記高吸水性ポリマー材料は、アクリル酸ナトリウム塩、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、架橋ポリエチレンオキシド、または、ポリアクリロニトリルのデンプングラフトコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
ベントプラグであって、前記ベントプラグは、
実質的にチューブ状の本体部であって、前記チューブ状の本体部は、上側チャンバー、下側チャンバー、および、前記チューブ状の本体部の内部チャンバーを画定する内側円周方向表面を有している、実質的にチューブ状の本体部と;
前記チューブ状の本体部の近位端部において前記内側円周方向表面に連結されている有孔スクリーンと;
前記有孔スクリーンと前記下側チャンバーの近位端部との間において前記上側チャンバーの中に配設されている高吸水性ポリマー材料と
を含む、ベントプラグ。
【請求項16】
前記ベントプラグは、前記下側チャンバーの中に軸線方向に延在するシーティング表面をさらに含み、前記シーティング表面は、患者の中へ挿入されるように構成されているニードルデバイスのルーメンと流体的に連通させられる流体チャネルを含む、請求項15に記載のベントプラグ。
【請求項17】
前記ベントプラグは、前記シーティング表面の上に配設されている多孔性の膜をさらに含み、前記高吸水性ポリマー材料は、前記有孔スクリーンと前記多孔性の膜との間に間置されている、請求項16に記載のベントプラグ。
【請求項18】
前記高吸水性ポリマー材料は、粉末または粒状の材料を含む、請求項17に記載のベントプラグ。
【請求項19】
前記高吸水性ポリマー材料は、スポンジ、シート、またはメッシュ材料からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項15に記載のベントプラグ。
【請求項20】
前記高吸水性ポリマー材料は、ベース材料の上に含浸されている、請求項15に記載のベントプラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、流体チュービングから空気またはガスをベントするためのシステムおよび方法に関し、とりわけ、血管外システムまたは静脈内送達システムからの空気のベントを促進させるために血管外システムまたは静脈内(「IV」)送達システムセットの中に含まれることができるベントプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
注入療法は、最も一般的な医療処置のうちの1つである。入院中の患者、在宅介護の患者、および他の患者は、血管系の中へ挿入される血管アクセスデバイスを介して、流体、医薬品、および血液製剤を受け入れる。注入療法は、感染症を治療するために、麻酔または鎮痛を提供するために、栄養サポートを提供するために、癌税増殖の治療のために、血圧および心臓リズムを維持するために、または、多くの他の臨床的に重要な用途のために使用される可能性がある。
【0003】
注入療法は、血管アクセスデバイスによって促進される。血管アクセスデバイスは、患者の末梢または中枢血管系にアクセスすることが可能である。血管アクセスデバイスは、短期間(数日)、中期間(数週間)、または長期間(数ヶ月から数年)にわたって留置されている可能性がある。血管アクセスデバイスは、連続的な注入療法または間欠療法のために使用される可能性がある。
【0004】
共通の血管アクセスデバイスは、患者の静脈の中へ挿入されるカテーテルである。カテーテル長さは、末梢アクセスのための数センチメートルから、中枢アクセスのための多センチメートルまで変化する可能性がある。カテーテルは、経皮的に挿入されることが可能であり、または、患者の皮膚の下に外科的に植え込まれることが可能である。カテーテル、または、それに取り付けられている任意の他の血管アクセスデバイスは、単一のルーメン、または、同時に多くの流体を注入するための複数のルーメンを有することが可能である。患者の血管系にアクセスするために使用される血管アクセスおよび他のデバイスのグループは、集合的に、血管外システムと称されることが可能である。
【0005】
カテーテルを含む血管外システムの1つの例は、Becton,Dickinson and Companyによる、BD NEXIVA(商標) Closed IV(静脈内) Catheter Systemである。このシステムは、ポリウレタンから作製されたオーバーザニードル型の末梢血管内カテーテル、Y字アダプターおよびスライドクランプを備えた一体型エクステンションチュービングとして使用される別のカテーテル、ベントプラグ、ルアーアクセスポート、およびパッシブニードルシールディングメカニズムを含む。
【0006】
BD NEXIVA(商標) IVカテーテルの設計は、閉鎖型システムとして説明されることが可能である。その理由は、それが、カテーテル挿入手順の間に臨床医またはオペレーターを血液暴露から保護するからである。ニードルは、シールするセプタムを通して引き抜かれるので、ニードルが除去された後に、および、Y字アダプターの両方のポートが閉鎖された後に、血液は、カテーテル挿入の間にNEXIVA(商標)デバイスの中に収容される。ニードルがセプタムを通過するときにニードルに働かされる圧力は、ニードルから血液を拭き取り、潜在的な血液暴露をさらに低減させる。一体型エクステンションチュービングの上のスライドクランプは、ベントプラグが別の血管アクセスデバイス(たとえば、注入セット接続またはルアーアクセスポートなど)と交換されるときに血液暴露を排除するために提供されている。
【0007】
BD NEXIVA(商標)Closed IV(静脈内) Catheter Systemなどのような血管外システムの使用を開始する現在の手順は、以下の通りである。デバイスオペレーターは、患者の血管系の中へニードルを挿入し、血液のフラッシュバックがデバイスの中へトラベルすることを待ち、ニードル患者の血管系の中に適正に位置付けされていることを確認することとなる。血液がデバイスに進入するときにベントプラグは空気がデバイスから逃げることを許容するので、血液は、デバイスのカテーテルの中へそれに沿ってトラベルする。オペレーターが適正な設置を確認した後に、オペレーターは、カテーテルをクランプし、カテーテルを通る血液の進行を停止させ、ベントプラグを除去し、ベントプラグを別の血管アクセスデバイス(たとえば、注入セット接続またはルアーアクセスポートなど)と交換し、カテーテルをアンクランプし、血液をカテーテルから患者の血管系の中へフラッシュバックさせ、カテーテルを再クランプする。
【発明の概要】
【0008】
上記に説明されている手順のような多くの現在の手順は、克服されることを必要とする課題を提示している。たとえば、この手順は、患者の血管系の中で使用するための血管外システムを単に挿入して準備するために、不必要な数のステップおよび不必要な量の時間を含む可能性がある。さらに、ベントプラグを除去することによって、システムの流体経路は、血管外システムの外部環境からの潜在的な汚染に一時的に暴露される。
【0009】
ベントプラグを使用するのではなく、何人かのオペレーターは、ルアーアクセスデバイスを単に緩めてフラッシュバックの間に空気がシステムから逃げることを許容することによって、および、次いで、血液がカテーテルに沿って前進することを止めるためにルアーアクセスデバイスを締め付けることによって、上記の問題を解決しようとする。残念ながら、この手順は、ユーザーエラーを伴う傾向もあり、潜在的に血液暴露および体液の損失につながる、システムを通る血液フローの一貫したおよび正確な制御の欠如を伴う傾向もあり、また、不必要な汚染のリスクを伴う傾向もある。
【0010】
したがって、必要とされているのは、上記に説明されているシステムおよび方法の多くに対する改善である。そのようなシステムおよび方法は、より効率的な血管外ベンティングシステムおよび方法を提供することによって改善されることが可能である。
【0011】
本開示のさまざまな実施形態によれば、流体ラインのセルフプライミングを促進させるための空気ベンティングデバイスは、血管アクセスデバイスおよびベントプラグを接続するためのアダプターを含むことが可能である。アダプターは、流体流路を画定する中空の内部を有するチューブ状の本体部を含むことが可能であり、ベントプラグは、チューブ状の本体部の少なくとも一部分に取り外し可能に連結されることが可能である。ベントプラグは、ベントプラグの内部チャンバーを画定する内側円周方向表面を含むことが可能であり、アダプターの流体流路は、アダプターをベントプラグの内部チャンバーと流体的に連通させることが可能である。ベントプラグは、ベントプラグの内部チャンバーの中に配設されている高吸水性ポリマー材料をさらに含むことが可能である。高吸水性ポリマー材料は、(i)流体流路から内部チャンバーに進入する液体を吸収するように、および、(ii)液体が高吸水性ポリマー材料の中へ吸収されるときに、体積が拡張するように構成されることが可能である。内部チャンバーに進入する液体の中に同伴された空気は、ベントプラグを介して空気ベンティングデバイスの外部にベントされることが可能である。
【0012】
本開示のさまざまな実施形態によれば、自動プライミングベントプラグを組み立てる方法は、実質的にチューブ状の本体部を提供するステップであって、チューブ状の本体部は、上側チャンバーと、下側チャンバーと、下側チャンバーの中に長手方向に延在するシーティング表面と、チューブ状の本体部の内部チャンバーを画定する内側円周方向表面とを有している、ステップを含むことが可能である。方法は、チューブ状の本体部の近位端部において有孔スクリーンを内側円周方向表面に連結するステップと;有孔スクリーンとシーティング表面との間において上側チャンバーの中に高吸水性ポリマー材料を間置するステップとをさらに含むことが可能である。
【0013】
本開示のさまざまな実施形態によれば、ベントプラグは、実質的にチューブ状の本体部であって、チューブ状の本体部は、上側チャンバー、下側チャンバー、および、チューブ状の本体部の内部チャンバーを画定する内側円周方向表面を有している、実質的にチューブ状の本体部と;チューブ状の本体部の近位端部において内側円周方向表面に連結されている有孔スクリーンとを含むことが可能である。ベントプラグは、有孔スクリーンと下側チャンバーの近位端部との間において上側チャンバーの中に配設されている高吸水性ポリマー材料をさらに含むことが可能である。
【0014】
先述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的で説明的なものであり、特許請求されているような主題の技術のさらなる説明を提供することを意図しているということが理解されるべきである。また、他の態様も利用され得り、主題の技術の範囲から逸脱することなく変更が行われ得るということも理解されるべきである。
【0015】
以下の図は、実施形態の特定の態様を図示するために含まれており、排他的な実施形態として見られるべきではない。開示されている主題は、本開示の利益を有する当業者に思い付くこととなるように、形態および機能に関して、かなりの修正例、代替例、組み合わせ、および均等物が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、除去可能なベントプラグを備えたアダプターを有する血管外システムの斜視図である。
【
図2】アダプター、ベント可能なエンドキャップ、および除去可能なベントプラグの断面図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による、アダプターおよび除去可能なベントプラグの断面図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による、
図3のアダプターおよび除去可能なベントプラグの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
下記に記載されている詳細な説明は、主題の技術のさまざまな構成を説明しており、主題の技術が実践され得る唯一の構成を表すことを意図していない。詳細な説明は、主題の技術の徹底的な理解を提供する目的のための具体的な詳細を含む。したがって、寸法は、特定の態様に関して、非限定的な例として提供され得る。しかし、主題の技術はこれらの具体的な詳細なしに実践され得るということが、当業者に明らかになることとなる。いくつかの場合において、主題の技術の概念を曖昧にすることを回避するために、周知の構造およびコンポーネントは、ブロック図の形態で示されている。
【0018】
本開示は、主題の技術の例を含み、添付の特許請求の範囲を限定しないということが理解されるべきである。ここで、主題の技術のさまざまな態様は、特定のしかし非限定的な例にしたがって開示されることとなる。本開示において説明されているさまざまな実施形態は、異なる方式およびバリエーションにおいて実施され得り、また、所望の用途または実装形態にしたがって実施され得る。
【0019】
本開示のさまざまな実施形態は、概して、流体チュービングから空気またはガスをベントするためのシステムおよび方法に向けられており、とりわけ、血管外システムまたは静脈内送達システムから空気をベントすることを促進させるために血管外システムまたは静脈内送達システムセットの中に含まれることができるベントプラグに向けられている。
【0020】
本開示のさまざまな実施形態によれば、使用の間に空気が逃げることを許容するセルフベンティングメカニズム(それは、典型的に、流体(たとえば、血液など)の流出も防止する)を備えたルアー一体型空気ベンティングシステムが提示される。本明細書で使用されているように、「ベンティングメカニズム」という用語は、空気のベントを提供するが、典型的に、液体が通過することも防止する、1つまたは複数の特徴またはエレメントを示している。「近位」という用語は、通常の使用の間に、ユーザーまたは臨床医の最も近くにあり、患者から最も遠くにある、デバイスの一部分を示すために使用されている。「遠位」という用語は、通常の使用の間に、デバイスを扱うユーザーから最も遠くにあり、患者の最も近くにある、デバイスの一部分を示すために使用されている。
【0021】
本発明は、ベンティングがセルフプライミングを促進させることができる任意の閉鎖されたシステムルアー接続用途において使用するのに適切である可能性があり、適切な用途の1つの例は、閉鎖型静脈内(IV)カテーテルシステムなどのような血管外システムである。
【0022】
ベント媒体は、たとえば、プラグまたはインサートなどのような個別の物理的なエレメント、たとえばレーザードリル加工などによって処理されるかまたは全体的にもしくは部分的に多孔性の材料から形成されたデバイスの一体的な部分、または、たとえば、ディッピング、コーティング、またはスプレーなどによって、デバイスの上に材料を配設することによって形成されるコーティング、層などであることが可能であるということが留意されるべきである。
【0023】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、除去可能なベントプラグ50を備えたアダプター30を有する血管外システム100の斜視図である。血管外システム100は、患者の血管系と流体を連通させるために使用される閉鎖型静脈内(IV)カテーテルシステムであることが可能である。示されているように、血管外システムは、血管内ニードル20、オーバーザニードル型の末梢血管内カテーテル15、Y字アダプター30を備えた一体型エクステンションチュービング25(本明細書では、カテーテルとも称される)を含むことが可能である。血管外システム100は、ベントプラグ50を含む空気ベンティングデバイス45、ルアーアクセスポート35、およびパッシブニードルシールディングメカニズム10をさらに有することが可能である。Y字アダプター30が示されているが、本開示のさまざまな実施形態は、この構成に限定されない。いくつかの実施形態において、2つ以上の血管アクセスデバイスを接続するために使用される任意のアダプターが、Y字アダプター30の代わりに使用されることが可能である。
【0024】
血管外システム100は、それがカテーテル15挿入手順の間に血液暴露から臨床医またはオペレーターを保護するので、閉鎖型システムと称されることが可能である。ニードル20が除去された後にシールするセプタムを通してニードル20が引き抜かれ、Yアダプター30の両方のポートが閉鎖されるので、血液は、カテーテル15の挿入の間にシステム100の中に収容されている。ニードル20がセプタムを通過するときにニードル20に働かされる圧力は、ニードル20から血液を拭き取り、潜在的な血液暴露をさらに低減させる。スライドクランプ(図示せず)が、一体型エクステンションチュービング25の上に提供され、ベントプラグ50が別の血管アクセスデバイス(たとえば、注入セット接続または別のルアーアクセスポートなど)と交換されるときに血液暴露を排除することが可能である。
【0025】
図2は、アダプター30、ベント可能なエンドキャップ18、および除去可能なベントプラグ2の断面図である。示されているように、ベント可能なエンドキャップ18は、本体部8を含み、本体部8は、オープンチャネル12を有しており、オープンチャネル12は、エラストマーセプタム16を収容している。セプタム16は、非常に小さなアクセス孔部14を有しており、アクセス孔部14は、エンドキャップ18アッセンブリにおいて圧縮下でシールされる。セプタムアクセス孔部14は、除去可能なベントプラグ2からの中空のカニューレ22が通過することを可能にし、それによって、大気圧力と患者の静脈圧力との間の連通を提供し、空気がベントすること、ならびに、血液がフラッシュバックすること、および、血管外システムに取り付けられているエクステンションチュービング25または他のカテーテルの上に血液を見ることができることを可能にする。ベントプラグ2は、本体部6と、取り付けられているカニューレ22と、空気浸透性材料4または他の空気フィルターとを含むことが可能である。空気浸透性材料4は、空気フローが通過することを可能にするが、液体が通過することを防止する。たとえば、空気浸透性材料4は、アクリル疎水性膜であることが可能であり、アクリル疎水性膜は、血液がシステムに進入するときに空気が血管外システムから逃げることを可能にする。
図2を参照して説明されているベントプラグ2は、閉鎖されたままの状態で一体型カテーテルシステムがベントすることを可能にし、それによって、医師を血液に暴露することなく血液のフラッシュバック可視化を可能にする。システムは、ルアーアダプターによって既存の一体型カテーテルシステムに容易に追加されることが可能である。
【0026】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、空気ベンティングデバイス45のアダプター30およびベントプラグ50の断面図である。示されているように、アダプター30は、チューブ状の本体部36の形態になっていることが可能であり、チューブ状の本体部36は、流体流路34をその中に画定する中空の内部を有している。ベントプラグ50は、チューブ状の本体部36の少なくとも一部分に取り外し可能に連結されることが可能である。いくつかの実施形態において、ベントプラグ50は、実質的にチューブ状の本体部51の形態になっていることが可能であり、本体部51は、ベントプラグ50の内部チャンバー58を画定する内側円周方向表面59を含む。したがって、チューブ状の本体部36は、内部長手方向通路またはボア58を画定しており、それは、近位端部60から遠位端部62へ延在しており、流体流路34に流体接続されている。アダプター30の流体流路34は、アダプター30をベントプラグ50の内部チャンバー58と流体的に連通させることが可能であり、流体(たとえば、患者からの血液)がエクステンションチュービング25からベントプラグ50の中へ流れることを可能にするようになっており、エクステンションチュービング25は、(
図1に図示されているように、)末梢血管内カテーテル15に連結されるかまたはその他の方法で接続されることが可能である。
【0027】
本開示のさまざまな実施形態によれば、ベントプラグ50は、上側チャンバー52および下側チャンバー54を有することが可能であり、下側チャンバー54は、上側チャンバー52に対して軸線方向に反対側に配設されており、上側チャンバー52に接続されている。たとえば、下側チャンバー54は、上側チャンバー52から離れるように延在する少なくとも1つの下側壁部から形成されることが可能である。示されているように、ベントプラグ50は、隆起したペデスタル部分55を備えて形成されることが可能であり、隆起したペデスタル部分55は、下側チャンバー54の中でベントプラグ50の遠位端部62から近位におよび長手方向に突出している。隆起したペデスタル部分55は、ベントプラグ50の入口ポート72を含むことが可能であり、流路34の一部分を画定し、シーティング表面69において終端することが可能である。たとえば、シーティング部分69は、流体チャネル33を画定することが可能であり、流体チャネル33は、患者の中へ挿入されるように構成されているニードルデバイス(たとえば、ニードル20)のルーメンと流体的に連通させられる流路34の一部を形成している。したがって、高吸水性ポリマー材料70を有する内部チャンバー58は、ポート72を介して流路34と流体接続されることが可能であり、そうであるので、高吸水性ポリマー材料70は、患者の血液と接触し、患者の血液に暴露されることが可能である。
【0028】
いくつかの実施形態において、ベントプラグ50は、有孔スクリーン68を含むことが可能であり、有孔スクリーン68は、ベントプラグ上側チャンバー52の近位端部60に配設されている。高吸水性ポリマー材料70は、有孔スクリーン68とシーティング表面69との間において、ベントプラグ50の内部チャンバー58の中に配設されることが可能である。さらに詳細に下記に説明されることとなるように、高吸水性ポリマー材料70は、(i)流体流路34から内部チャンバー58に進入する液体(たとえば、血液)を吸収し、(ii)内部チャンバーの中の液体と接触すると体積が拡張するように構成されることが可能である。有孔スクリーン68は、液体の中に同伴された空気またはガスがベントプラグ50の近位端部60を通って外へベントすることを可能にすることができる。上述の構成では、高吸水性ポリマー材料70は、液体(たとえば、血液)を吸収して捕捉し、同伴された空気またはガスが有孔スクリーン68を介してベントプラグ50から外へベントすることを可能にしながら、ベントプラグ50の中へのさらなる血液フローを妨害するように拡張する。
【0029】
いくつかの実施形態において、高吸水性ポリマー材料70は、スポンジ、シート、またはメッシュ材料であることが可能である。他の実施形態において、高吸水性ポリマー材料70は、粉末または粒状の材料であることが可能である。これらの実施形態では、ベントプラグは、隆起したペデスタル部分54のシーティング表面69の上に配設されている多孔性の膜66をさらに含むことが可能である。高吸水性ポリマー材料70は、有孔スクリーン68と多孔性の膜66との間に間置されることが可能であり、多孔性の膜66は、粉末または粒状の高吸水性ポリマー材料がベントプラグ入口ポート72を介して流体チャネル33および流路34に進入することを防止する役割を果たすことが可能である。高吸水性ポリマー材料70が粉末または粒状の形態にはなっていないが、代わりに、スポンジ、シート、またはメッシュ材料の形態になっている実施形態では、多孔性の膜66は省略されることが可能である。しかし、本開示のさまざまな実施形態は、上述の構成に限定されない。いくつかの実施形態において、高吸水性ポリマー材料70がスポンジ、シート、またはメッシュ材料の形態になっている場合に、多孔性の膜66が含まれることが可能である。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態による、高吸水性ポリマー材料は、ベース材料に含浸されることが可能である。これらの実施形態では、高吸水性ポリマーによって含浸されたベース材料は、高吸水性ポリマー材料70および/または多孔性の膜66を交換することが可能である。たとえば、高吸水性ポリマーによって含浸されたベース材料は、ベントプラグ入口ポート72の上のシーティング表面69の上に配設されることが可能であり、ベントプラグ入口ポート72を介して流体チャネル33の中に流れる患者の血液に、高吸水性ポリマーによって含浸されたベース材料が暴露されることを可能にする。
【0031】
本開示のさまざまな実施形態によれば、高吸水性ポリマー材料は、アクリル酸ナトリウム塩、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、架橋ポリエチレンオキシド、または、ポリアクリロニトリルのデンプングラフトコポリマーのうちの少なくとも1つまたはそれらの組み合わせから形成されることが可能である。いくつかの実施形態において、高吸水性ポリマー材料は、1つまたは複数の生体適合性高吸水性ポリマーを含むことが可能である。
【0032】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、
図3のアダプターおよび除去可能なベントプラグの断面図である。
図3を引き続き参照しながら
図4を参照すると、高吸水性ポリマー材料70は、流体チャネル33の中を流れる血液32に暴露されると、高吸水性ポリマー材料70が血液32を吸収するので、
図3に図示されている構成70から
図4に図示されている構成70a、70b、70cへ即座に拡張してサイズが膨らむことが可能である。図示されているように、高吸水性ポリマー材料70は、血液32が高吸水性ポリマー材料70の中へ吸収されてそれを通ってトラベルするにつれて、シーティング表面69から上向きにベントプラグの近位端部60へ膨らむことが可能である。たとえば、示されているように、高吸水性ポリマー材料70の粒子または構造体は、シーティング表面69における液体との初期の接触ポイントにおいて、初期の非液体接触状態70aから液体吸収状態70cへ膨らむことが可能である。状態70bは、単に、液体吸収状態70cと初期の非液体接触状態70aとの間の移行状態を図示しているに過ぎない。
【0033】
いくつかの実施形態において、上記に説明されているように、有孔スクリーン68および多孔性の膜66は、高吸水性ポリマー材料70がそれらの間に間置された状態で、互いに分離されることが可能である。有孔スクリーン68および多孔性の膜66は、ベントプラグの内部チャンバー58の中に形成されており、流体流路34の中を流れる流体32の中に存在している空気または他のガスは、内部チャンバー58を通して、システム100からベントプラグ50を介して外部大気へベントされることが望まれる。
図1を引き続き参照しながら
図3および
図4を参照すると、動作時に、臨床医/看護師または他のオペレーターは、患者の血管系の中へニードル20を挿入し、ニードル20が患者の血管系の中に適正に位置付けされていることを確認するために、血液のフラッシュバックがシステム100の中へトラベルすることを待つこととなる。血液32は、ニードル20とカテーテル15の間のスペースにおいて、カテーテル15の中へおよびカテーテル15に沿ってトラベルする。ベントプラグ50は、血液がシステム100に進入するときに空気がシステム100から逃げることを許容するので、これが起こる。本開示のさまざまな実施形態のベントプラグは、有孔スクリーン68および随意的な多孔性の膜66(高吸水性ポリマー材料70の形態に応じて)とともに高吸水性ポリマー材料70を利用し、下記に説明されているように、血液がシステム100に進入するときに空気がシステム100から逃げることを可能にする。
【0034】
血液が患者の血管系からシステム100の中へ流れるときに、カテーテル15の中へおよびカテーテル15に沿って、エクステンションチュービング25の中へ、そして、アダプター30の中へ、血液がトラベルするときに、空気粒子または気泡が、血液32ストリームの中に捕捉される可能性がある。流路34の中の流体32(たとえば、患者の血液32)が、ベントプラグ入口ポート72を介してベントプラグ50に進入し、高吸水性ポリマー材料70に接触するとき、高吸水性ポリマー材料70は、流体32と接触すると、流体32を吸収し、拡張し、および膨らむ。たとえば、いくつかの実施形態において、高吸水性ポリマー材料70は、流体に接触して吸収すると、体積が少なくとも300%拡張することが可能である。上述の構成は、高吸水性ポリマー材料が、拡張されると、流路34からベントプラグ50に進入するさらなる流体(たとえば、血液)ためのストップまたは妨害物としての役割を果たすと同時に、システム100の中の空気またはガス有孔スクリーン68を介してベントプラグ50から外へベントすることを同時に可能にするという点において有利である。
【0035】
いくつかの実施形態において、多孔性の膜66は、高吸水性ポリマー材料がベントプラグ入口ポートを介してアダプター30の流体流路34に進入することを防止するためのストップとして機能することが可能である。したがって、多孔性の膜66は、流体流路34から高吸水性ポリマー材料70の中への圧力下での流体32の染み出しを可能にすることができる。ベントプラグ50の近位端部60に位置決めされている有孔スクリーン68は、空気または他のガスがベントプラグ50の近位端部60における有孔スクリーン68を通ってシステム100から外へベントされることを可能にしながら、高吸水性ポリマー材料70がベントプラグ50から外へ拡張することを防止することができる第2のストップを提供することが可能である。オペレーターまたは他のユーザーが適正な設置を確認した後に、および、システム100の十分なベントが起こった後に、臨床医/看護師または他のユーザーは、チュービング25をクランプし、カテーテル15を通る血液の進行を停止させ、ベントプラグ50を除去し、チュービング25をアンクランプし、血液をカテーテル15から患者の血管系の中へフラッシュバックさせ、チュービング25を再クランプすることが可能である。
【0036】
本開示のさまざまな態様によれば、流体ラインのプライミングを促進させるための空気ベントプラグ50を組み立てる方法は、実質的にチューブ状の本体部51を提供するステップを含むことが可能であり、実質的にチューブ状の本体部51は、上側チャンバー52と、下側チャンバー54と、下側チャンバー54の中に長手方向に延在するシーティング表面69を有するシーティング部分と、チューブ状の本体部51の内部チャンバー58を画定する内側円周方向表面59とを有している。方法は、チューブ状の本体部51の近位端部60において有孔スクリーン68を内側円周方向表面59に連結するステップと、有孔スクリーン68とシーティング表面69との間において上側チャンバー52の中に高吸水性ポリマー材料70を間置するステップとをさらに含むことが可能である。いくつかの実施形態において、方法は、高吸水性ポリマー材料70が多孔性の膜66と有孔スクリーン68との間に配設されるように、多孔性の膜66をシーティング表面69に連結するステップをさらに含むことが可能である。
【0037】
本開示のさまざまな実施形態のベントプラグ50は、既存のベントプラグよりも有利である。その理由は、ベントプラグ50が、有孔スクリーン68および随意的な多孔性の膜66(高吸水性ポリマー材料70の形態に応じて)とともに高吸水性ポリマー材料70を利用し、上記に説明されているように、システム100から外へ空気をベントするからである。とりわけ、ベントプラグ50の上述の構成は、高吸水性ポリマー材料70が、流路34の中の流体32(すなわち、血液32および空気またはガス粒子)と接触した直後に少なくとも300%だけ膨らむか、拡張するか、またはその他の方法で膨張することができるという点において有利である。流体と接触すると、高吸水性ポリマー材料70は、流体を吸収して体積が膨らみ、それによって、ベントプラグ50の中へのさらなる流体フローを妨害することが可能である。いくつかの実施形態において、高吸水性ポリマー材料は、システム100の中の任意の空気またはガスがベントプラグ50の有孔スクリーン68を介してシステム100の外側にベントすることを可能にしながら、最小で15秒にわたって流体(たとえば、患者の血液)を保持するように構成されている。いくつかの実施形態において、高吸水性ポリマー材料は、疎水性膜を利用する現在存在するベントプラグよりも流体の存在下ではるかに長い期間にわたって、流体(たとえば、患者の血液)を保持することができる。
【0038】
それとは対照的に、上記に説明されているように、現在存在するベントプラグ(たとえば、
図2に図示されているベントプラグ2)は、疎水性膜4を利用し、疎水性膜4は、空気またはガス浸透性の材料であり、空気フローがそれを通過することを可能にするが、液体がそれを通過することを防止する。この疎水性膜4は、一般に、アクリル疎水性膜の形態で作製されており、アクリル疎水性膜は、取得および製造するのにコストがかかり、それによって、ベントプラグ2の全体的なコストに追加する可能性がある。したがって、ベントプラグ50は、システム100の中の空気のベントのために、コストのかかるアクリル疎水性膜4の代わりに高吸水性ポリマー材料70を利用するので、ベントプラグ50を生産および製造するためのコストは、アクリル疎水性膜4を有する現在存在するベントプラグ2のものと比較して減少される。
【0039】
ベントプラグ50のさまざまな実施形態は、血管外システム(たとえば、閉鎖型IVカテーテルシステム)に関して説明されてきたが、本開示のさまざまな実施形態は、上述の構成に限定されない。いくつかの実施形態において、ベントプラグ50は、静脈内送達システムセットの中に含まれ、静脈内送達システムからの空気のベントを促進させることが可能である。本発明による静脈内送達システムは、流体の動脈投与、静脈内投与、血管内投与、腹膜投与、および/または非血管投与における使用のために、流体を患者に送達するために使用されるコンポーネントを説明するために、本明細書において幅広く使用されている。当然のことながら、当業者は、患者の身体の中の他の場所に流体を投与するために静脈内送達システムを使用することが可能である。
【0040】
たとえば、いくつかの実施形態において、静脈内送達システムは、液体バッグなどのような液体供給源と、液体バッグからの流体の流量を決定するために使用されるドリップチャンバーと、液体バッグと患者との間の接続を提供するためのチュービングと、患者の中に静脈内に位置決めされ得るカテーテルなどのような静脈内アクセスユニットとを含むことが可能である。また、静脈内送達システムは、Y字コネクター30を含むことも可能であり、Y字コネクター30は、静脈内送達システムのピギーバッキング(piggybacking)を可能にし、シリンジから静脈内送達システムのチュービングの中への薬の投与を可能にする。
【0041】
患者の血液フローにアクセスする静脈内送達システムから空気を除去することは、一般的に優れた実務である。この関心事は、動脈血液にアクセスするときに重要であるが、それは、静脈側にアクセスするときにも関心事である。具体的には、流体の静脈内投与を受け入れている間に、気泡が患者の血流に進入することを許容される場合には、気泡は、空気塞栓症を形成し、患者に重大な障害を引き起こす可能性がある。
【0042】
また、本発明の実施形態は、一般的に、強化された空気ベントを提供するベントプラグ50を有する静脈内送達システムに向けられることも可能である。たとえば、静脈内送達システムは、患者に送達されることとなる液体を収容する液体供給源と、チュービングと、ベントプラグ50とを有することが可能である。チュービングは、液体供給源に接続可能な第1の端部と、ベントプラグ50に接続可能な第2の端部とを有することが可能である。いくつかの実施形態において、ベントプラグ50の遠位端部62は、IVチュービングの近位端部に接続可能であり、液体供給源から液体を受け入れることが可能である。いくつかの実施形態において、ベントプラグ50は、IVチュービングの近位端部を通して液体を前進させるのに十分にチュービングがプライミングされた後に、(液体の中に同伴されている場合には)空気またはガスが存在する可能性が高いIVチュービングから内部チャンバー58が所定の量の液体を受け入れることを可能にするように選択された体積を有することが可能である。
【0043】
プライミングの間に、有孔スクリーン68と、有孔スクリーン68とシーティング表面69との間において内部チャンバー58の中に配設されている高吸水性ポリマー材料70とを含むベントプラグ50は、(i)IVチュービングの近位端部から内部チャンバー58に進入するIV液体を吸収するように、および、(ii)IV液体が高吸水性ポリマー材料の中へ吸収されるときに、体積が拡張するように構成されることが可能である。有孔スクリーン68は、IV液体が高吸水性ポリマーと接触するまで、同伴された空気またはガスがベントプラグ50の近位端部60を通して完全に外へベントされることを可能にすることができる。上述の構成では、高吸水性ポリマー材料70は、液体分子を吸収して捕捉し、同伴された空気またはガスが有孔スクリーンを介してベントプラグ50から外へベントすることを可能にしながら、ベントプラグ50の中へのさらなるIV流体フローを妨害するように拡張する。
【0044】
本明細書で使用されているように、「医療用コネクター」、「コネクター」、「フィッティング」という用語、および、その任意の変化形は、それに連結されている流体ライン間に流体流路を提供するために使用される任意のデバイスを指す。たとえば、医療用コネクターは、ボンドポケットまたは他のタイプのコネクターであるかまたはそれを含むことが可能である。追加的に、「医療用コネクター」、「コネクター」、「フィッティング」、および、その任意の変化形は、医療下にある患者にまたは患者から液体、溶媒、または流体を送達するために使用される任意のデバイスを指す。たとえば、医療用コネクターは、患者への流体の静脈内(IV)送達、流体ドレナージ、酸素送達、およびそれらの組み合わせなどのために使用されることが可能である。
【0045】
本開示は、任意の当業者が本明細書で説明されているさまざまな態様を実践することを可能にするために提供されている。本開示は、主題の技術のさまざまな例を提供しており、主題の技術は、これらの例に限定されない。これらの態様に対するさまざまな修正例は、当業者に容易に明らかになることとなり、本明細書で規定されている一般的な原理は、他の態様にも適用され得る。
【0046】
単数形でのエレメントへの言及は、具体的にそのように述べられていない限り、「唯一の」を意味することを意図しているのではなく、「1つまたは複数の」を意味することを意図している。具体的にそうでないことを述べられていない限り、「いくつかの」という用語は、「1つまたは複数の」を指す。男性の代名詞(たとえば、彼の)は、女性および中性(たとえば、「彼女の」および「その」)を含み、その逆もまた同様である。見出しおよび小見出しは(それらがある場合には)、単に便宜のために使用されており、本発明を限定しない。
【0047】
「例示的な」という言葉は、「例または図示としての役割を果たす」ということを意味するように、本明細書で使用されている。「例示的な」として本明細書で説明されている任意の態様または設計は、必ずしも、他の態様または設計を上回る好適なまたは有利なものとして解釈されるべきではない。1つの態様では、本明細書で説明されているさまざまな代替的な構成および動作は、少なくとも均等物であると考えられ得る。
【0048】
本明細書で使用されているように、一連の項目に先行する「の少なくとも1つ」という語句は(項目のいずれかを分離するために「または」という用語を伴う)、リストのそれぞれの項目ではなく、全体としてリストを修飾する。「の少なくとも1つ」という語句は、少なくとも1つの項目の選択を必要とするのではない。むしろ、この語句は、項目のうちの任意の1つの少なくとも1つ、および/または、任意の組み合わせの少なくとも1つ、および/または、項目のそれぞれの少なくとも1つを含む意味を許容する。例として、「A、B、またはCの少なくとも1つ」という語句は、Aのみ、Bのみ、もしくは、Cのみ;または、A、B、およびCの任意の組み合わせを指すことが可能である。
【0049】
「態様」などのような語句は、そのような態様が主題の技術に必須であるということ、または、そのような態様が主題の技術のすべての構成に適用されることを暗示しているのではない。ある態様に関する開示は、すべての構成、または、1つもしくは複数の構成に適用することが可能である。ある態様は、1つまたは複数の例を提供する場合がある。ある態様などのような語句は、1つまたは複数の態様を指す可能性があり、その逆もまた同様である。「実施形態」などのような語句は、そのような実施形態が主題の技術に必須であるということ、または、そのような実施形態が主題の技術のすべての構成に適用されることを暗示しているのではない。ある実施形態に関する開示は、すべての実施形態、または、1つもしくは複数の実施形態に適用することが可能である。ある実施形態は、1つまたは複数の例を提供する場合がある。そのような実施形態という語句は、1つまたは複数の実施形態を指す可能性があり、その逆もまた同様である。「構成」などのような語句は、そのような構成が主題の技術に必須であるということ、または、そのような構成が主題の技術のすべての構成に適用されることを暗示しているのではない。構成に関する開示は、すべての構成、または、1つもしくは複数の構成に適用することが可能である。ある構成は、1つまたは複数の例を提供する場合がある。そのような構成という語句は、1つまたは複数の構成を指す可能性があり、その逆もまた同様である。
【0050】
1つの態様では、別段の記述がない限り、本明細書(以下に続く特許請求の範囲を含む)において記述されているすべての測定値、値、レーティング、位置、大きさ、サイズ、および他の仕様は、概算であり、正確ではない。1つの態様では、それらは、それらが関連する機能、および、それらが関連する技術分野において慣習的な機能と一貫する合理的な範囲を有することを意図している。
【0051】
開示されているステップ、または、プロセスにおける動作、または方法の特定の順序または階層は、例示的なアプローチの図示であるということが理解される。実装形態の好みまたはシナリオに基づいて、ステップ、動作、またはプロセスの特定の順序または階層は再配置され得るということが理解される。ステップ、動作、またはプロセスのうちのいくつかは、同時に実施され得る。いくつかの実装形態の好みまたはシナリオにおいて、特定の動作が実施されてもよくまたは実施されなくてもよい。ステップ、動作、またはプロセスのうちのいくつかまたはすべては、ユーザーの介入なしに、自動的に実施され得る。添付の方法の請求項は、サンプル順序において、さまざまなステップ、動作、またはプロセスのエレメントを提示しており、提示されている特定の順序または階層に限定されることを意味していない。
【0052】
当業者に知られているか、または、当業者に後に知られることになる、本開示の全体を通して説明されているさまざまな態様のエレメントに対するすべての構造的なおよび機能的な均等物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれており、特許請求の範囲によって包含されることを意図している。そのうえ、本明細書で開示されているものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆に提供されたものであることを意図していない。請求項のエレメントは、そのエレメントが「のための手段(means for)」という語句を使用して明示的に記載されていない限り、または、方法の請求項の場合には、そのエレメントが「のためのステップ(step for)」という語句を使用して記載されていない限り、米国特許法第112条(f)の規定の下で解釈されるべきではない。そのうえ、「含む(include)」または「有する」などの用語が使用されている範囲において、そのような用語は、請求項の中の移行句として用いられるときに「含む(comprise)」が解釈されるように、「含む(comprise)」という用語と同様の様式で、包括的であることを意図している。
【0053】
発明の名称、背景技術、発明の概要、図面の簡単な説明、および、本開示の要約は、これによって本開示に組み込まれており、制限的な説明としてではなく、本開示例示目的の例として提供される。特許請求の範囲または意味を限定するものとして使用されることとならないという理解の下で、それは提出される。加えて、詳細な説明において、説明は例示目的の例を提供しているということ、および、本開示を合理化する目的のためにさまざまな特徴がさまざまな実施形態において一緒にグループ化されているということが理解され得る。この開示の方法は、特許請求されている主題が、それぞれの請求項の中に明示的に記載されているものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、単一の開示されている構成または動作のすべての特徴よりも少ないものにある。以下の特許請求の範囲は、これによって詳細な説明の中へ組み込まれており、それぞれの請求項は、別個の特許請求されている主題として自立している。
【0054】
特許請求の範囲は、本明細書で説明されている態様に限定されることを意図しているのではなく、特許請求の範囲の文言と一貫する完全な範囲を与えられており、すべての法的な均等物を包含することを意図している。それにもかかわらず、請求項のいずれも、米国特許法第101条、第102条、または第103条の要件を満たすことができない主題を包含することを意図しておらず、それらはそのように解釈されるべきでもない。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ラインのセルフプライミングを促進させるための空気ベンティングデバイスであって、前記空気ベンティングデバイスは、
血管アクセスデバイスを接続するためのアダプターであって、前記アダプターは、流体流路を画定する中空の内部を有するチューブ状の本体部を含む、アダプターと;
前記チューブ状の本体部の少なくとも一部分に取り外し可能に連結されているベントプラグと
を含み、
前記ベントプラグは、
前記ベントプラグの内部チャンバーを画定する内側円周方向表面であって、前記アダプターの前記流体流路は、前記アダプターを前記ベントプラグの前記内部チャンバーと流体的に連通させる、内側円周方向表面と;
前記ベントプラグの前記内部チャンバーの中に配設されている高吸水性ポリマー材料であって、前記高吸水性ポリマー材料は、(i)前記流体流路から前記内部チャンバーに進入する液体を吸収するように、および、(ii)前記液体が前記高吸水性ポリマー材料の中へ吸収されるときに、体積が拡張するように構成されて
おり、前記高吸水性ポリマー材料は、粉末を含み、前記高吸水性ポリマー材料は、アクリル酸ナトリウム塩、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、架橋ポリエチレンオキシド、または、ポリアクリロニトリルのデンプングラフトコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、高吸水性ポリマー材料と
を含み、
前記流体流路から前記内部チャンバーに進入する前記液体の中に同伴された空気は、前記ベントプラグを介して前記空気ベンティングデバイスの外部にベントされる、空気ベンティングデバイス。
【請求項2】
前記空気ベンティングデバイスは、患者の中へ挿入されることとなるニードルを有するカテーテルをさらに含み、前記ニードルは、前記液体を前記ベントプラグに輸送するために、前記アダプターの前記流体流路および前記ベントプラグの前記内部チャンバーと流体的に連通させられており、前記高吸水性ポリマー材料によって吸収される前記液体は、前記患者の血液を含む、請求項1に記載の空気ベンティングデバイス。
【請求項3】
前記ベントプラグは、下側チャンバーと、上側チャンバーと、前記ベントプラグの上側チャンバーの近位端部に配設されている有孔スクリーンとをさらに含み、前記空気は、前記有孔スクリーンを介して前記ベンティングデバイスの外部にベントされる、請求項1に記載の空気ベンティングデバイス。
【請求項4】
前記ベントプラグは、前記上側チャンバーと前記下側チャンバーとの間に間置されている多孔性の膜をさらに含み、前記多孔性の膜は、同伴された空気を伴う前記液体が前記流体流路から前記内部チャンバーの中へ流入することを許容し、前記高吸水性ポリマー材料が前記流体流路に進入することを抑制するように構成されている、請求項3に記載の空気ベンティングデバイス。
【請求項5】
前記高吸水性ポリマー材料は、前記多孔性の膜と前記有孔スクリーンとの間に配設されている、請求項4に記載の空気ベンティングデバイス。
【請求項6】
前記高吸水性ポリマー材料は、ベース材料の上に含浸されている、請求項5に記載の空気ベンティングデバイス。
【請求項7】
前記高吸水性ポリマー材料は、前記流体流路から前記内部チャンバーに進入する前記液体を吸収すると、体積が少なくとも300パーセント拡張する、請求項1に記載の空気ベンティングデバイス。
【請求項8】
自動プライミングベントプラグを組み立てる方法であって、前記方法は、
実質的にチューブ状の本体部を提供するステップであって、前記チューブ状の本体部は、上側チャンバーと、下側チャンバーと、前記下側チャンバーの中に長手方向に延在するシーティング表面と、前記チューブ状の本体部の内部チャンバーを画定する内側円周方向表面とを有している、ステップと;
前記チューブ状の本体部の近位端部において有孔スクリーンを前記内側円周方向表面に連結するステップと;
前記有孔スクリーンと前記シーティング表面との間において前記上側チャンバーの中に高吸水性ポリマー材料を間置するステップ
であって、前記高吸水性ポリマー材料は、粉末を含み、前記高吸水性ポリマー材料は、アクリル酸ナトリウム塩、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、架橋ポリエチレンオキシド、または、ポリアクリロニトリルのデンプングラフトコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、ステップと
を含む、方法。
【請求項9】
前記方法は、多孔性の膜を前記シーティング表面に連結するステップをさらに含み、前記高吸水性ポリマー材料は、前記多孔性の膜と前記有孔スクリーンとの間に配設されている、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記高吸水性ポリマー材料は、粉末または粒状の材料を含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
ベントプラグであって、前記ベントプラグは、
実質的にチューブ状の本体部であって、前記チューブ状の本体部は、上側チャンバー、下側チャンバー、および、前記チューブ状の本体部の内部チャンバーを画定する内側円周方向表面を有している、実質的にチューブ状の本体部と;
前記チューブ状の本体部の近位端部において前記内側円周方向表面に連結されている有孔スクリーンと;
前記有孔スクリーンと前記下側チャンバーの近位端部との間において前記上側チャンバーの中に配設されている高吸水性ポリマー材料
であって、前記高吸水性ポリマー材料は、粉末を含み、前記高吸水性ポリマー材料は、アクリル酸ナトリウム塩、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、架橋ポリエチレンオキシド、または、ポリアクリロニトリルのデンプングラフトコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、高吸水性ポリマー材料と
を含む、ベントプラグ。
【請求項12】
前記ベントプラグは、前記下側チャンバーの中に軸線方向に延在するシーティング表面をさらに含み、前記シーティング表面は、患者の中へ挿入されるように構成されているニードルデバイスのルーメンと流体的に連通させられる流体チャネルを含む、請求項
11に記載のベントプラグ。
【請求項13】
前記ベントプラグは、前記シーティング表面の上に配設されている多孔性の膜をさらに含み、前記高吸水性ポリマー材料は、前記有孔スクリーンと前記多孔性の膜との間に間置されている、請求項
12に記載のベントプラグ。
【請求項14】
前記高吸水性ポリマー材料は、ベース材料の上に含浸されている、請求項
11に記載のベントプラグ。
【国際調査報告】