(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】パーフルオロポリエーテルボトルブラシポリマーを含む組成物及び物品、並びに、その製造及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C08L 33/16 20060101AFI20240201BHJP
C08F 20/24 20060101ALI20240201BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20240201BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
C08L33/16
C08F20/24
C08F290/06
B32B27/30 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539864
(86)(22)【出願日】2022-02-02
(85)【翻訳文提出日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 US2022014983
(87)【国際公開番号】W WO2022169903
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591163214
【氏名又は名称】ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソンタグ, ステファン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ゲルツ, マシュー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ダラス, アンドリュー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
4J100
4J127
【Fターム(参考)】
4F100AJ04
4F100AJ04B
4F100AK17
4F100AK17A
4F100AK18
4F100AK18B
4F100AK51
4F100AK51B
4F100AT00B
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4F100GB56
4F100JA05
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4F100JB07
4J002BG081
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4J002GD00
4J002GD05
4J002GH02
4J002HA05
4J100AL08P
4J100BB07P
4J100BB12P
4J100BB18P
4J100JA01
4J127AA07
4J127BB021
4J127BB101
4J127BB221
4J127BC021
4J127BC151
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4J127BG08Y
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4J127BG14Y
4J127EA03
4J127FA01
4J127FA07
4J127FA56
(57)【要約】
本開示においては、任意選択的に他のフッ素化ポリマーとブレンドされた、パーフルオロポリエーテル(PFPE)ボトルブラシポリマーを含む組成物が記載されている。この組成物は、例えば多孔性ろ過媒体を含む物品に載置されて、フッ素化ポリマー含有物品を形成し得る。本開示においては、フッ素化ポリマー含有物品の形成方法、及び、フッ素化ポリマー含有物品の使用方法がさらに記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーフルオロポリエーテル(PFPE)ボトルブラシポリマーを含む組成物であって、前記PFPEボトルブラシポリマーは、構造:
【化1】
(式中、各R
1は、独立して、結合、又は、少なくとも1個及び4個以下の酸素原子、少なくとも1個及び5個以下の炭素原子、並びに、任意選択的に、2個以下の窒素原子、4個以下のフッ素原子、及び、1個以下の硫黄原子を含むアルキレンであり;
各R
2は、独立して、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルであり;
m=1~3であり;
n=1~4であり;
y=0~30であり;並びに
z=10~80である)
を有するサブユニットを含み、前記PFPEボトルブラシポリマーは、前記PFPEボトルブラシポリマーの総重量に基づいて、少なくとも90%(w/w)の構造IVのサブユニットを含む、組成物。
【請求項2】
各R
1は-OCH
2CH
2OC(O)CF(CF
3)-であり;
各R
2は-CH
3であり;
m=3であり;
n=3であり;
yは少なくとも3及び4以下であり;並びに
zは少なくとも10及び60以下である
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記パーフルオロポリエーテル(PFPE)ボトルブラシポリマーは、構造:
【化2】
(式中、各R
5は、独立して、任意選択的に、9個以下のフッ素原子、1個以下のケイ素原子、3個以下の酸素原子及び2個以下の窒素原子を含む炭素含有リンカーであり;
各R
6は、独立して、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルであり;並びに
xは1~6である)
を有するサブユニットを含むコポリマーである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
構造(VIII)は架橋剤であると共に、前記組成物中に、サブユニットの総量に基づいて、5mol%~40mol%、又は、10mol%~25mol%の濃度で存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は:
構造:
【化3】
(式中、各R
3は、独立して、少なくとも1個の酸素原子又は窒素原子並びに少なくとも1個及び2個以下の炭素原子を含む炭素含有リンカーであり;
各R
4は、独立して、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルであり;
各R
fは独立して、Fであるか、又は少なくとも1個及び4個以下の炭素原子並びに少なくとも1個及び9個以下のフッ素原子を含む置換アルキルであり;並びに
qは、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、又は、少なくとも60である)
を有するサブユニットを含む短鎖フッ素化ポリマー
をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記短鎖フッ素化ポリマーは、以下の構造:
【化4】
(式中、qは少なくとも10及び300以下である)
を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
パーフルオロポリエーテル(PFPE)ボトルブラシポリマーを含む組成物であって、前記PFPEボトルブラシポリマーは1種以上のモノマーの重合から誘導され、前記モノマーは、構造:
【化5】
(式中、R
1は、結合、又は、少なくとも1個及び4個以下の酸素原子、少なくとも1個及び5個以下の炭素原子、並びに、任意選択的に、2個以下の窒素原子、4個以下のフッ素原子、及び、1個以下の硫黄原子を含むアルキレンであり;
R
2は、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルであり;
m=1~3であり;
n=1~4であり;
y=0~30である)
を有するモノマーを含み、及び
前記PFPEボトルブラシポリマーは、前記PFPEボトルブラシポリマー中のすべてのモノマーの重量に基づいて、少なくとも90%(w/w)の構造IIのモノマーを含む、組成物。
【請求項8】
R
1は-OCH
2CH
2OC(O)CF(CF
3)-であり;
R
2はCH
3であり;
m=3であり;
n=3であり;並びに
yは少なくとも3及び4以下である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記パーフルオロポリエーテル(PFPE)ボトルブラシポリマーはコポリマーであり、及び、前記1種以上のモノマーは、構造:
【化6】
(式中、R
5は炭素含有リンカーであり、並びに
R
6は、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルである)
を有するモノマーを含む、請求項7又は8に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、1種以上のモノマーの重合から誘導された短鎖フッ素化ポリマーをさらに含み、前記モノマーは、構造:
【化7】
(式中、R
3は、少なくとも1個の酸素原子又は窒素原子並びに少なくとも1個及び2個以下の炭素原子を含む炭素含有リンカーであり;
R
4は、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルであり;並びに
R
fは、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子並びに少なくとも1個及び9個以下のフッ素原子を含む置換アルキルである)
を有するモノマーを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記短鎖フッ素化ポリマーは1種以上のモノマーの重合から誘導され、前記モノマーは、構造:
【化8】
を有するモノマーを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物は有機溶剤を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
物品であって、前記物品の表面に載置された組成物を含み、処理済み物品を形成する物品であり、前記組成物は、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物を含む、物品。
【請求項14】
前記物品は多孔性ろ過媒体を含み、及び、前記組成物は前記多孔性ろ過媒体の主表面に載置されており、処理済み多孔性ろ過媒体を形成する、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
前記処理済み多孔性ろ過媒体は、AATCC試験法118(TM118-2013e2)による測定で、もっとも近い整数値に丸められた評価で、前記多孔性ろ過媒体の少なくとも1つの主表面上において少なくとも6、より好ましくは少なくとも7の疎油性を示す、請求項13又は14に記載の物品。
【請求項16】
前記処理済み多孔性ろ過媒体は、AATCC試験法118(TM118-2013e2)による測定で、もっとも近い整数値に丸められた前記評価で、前記多孔性ろ過媒体の少なくとも2つの主表面上において少なくとも6、より好ましくは少なくとも7の疎油性を示す、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
処理済み多孔性ろ過媒体を備える物品の形成方法であって:
多孔性ろ過媒体と、液体を含む請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物を含む混合物とを接触させるステップ;
前記混合物を前記多孔性ろ過媒体上に載置して前記処理済み多孔性ろ過媒体を形成するステップ、及び
前記液体を除去するステップ
を含む、方法。
【請求項18】
前記処理済み多孔性ろ過媒体を形成するステップは、前記処理済み多孔性ろ過媒体を熱処理するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月3日に出願された米国仮特許出願第63/145,084号明細書に係る利益を主張するものであり、その開示は、本明細書における参照によりその全体が援用されている。
【背景技術】
【0002】
フッ素化ポリマーにより、水だけではなく、油をもはじく表面の形成が可能とされている。向上した撥油性を有するフッ素化ポリマーが必要とされている。さらに、加水分解又は酸化変性によりパーフルオロアルキル酸の形成が低減又は回避されるフッ素化ポリマーが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示においては、任意選択的に他のフッ素化ポリマーとブレンドされた、パーフルオロポリエーテル(PFPE)ボトルブラシポリマーを含む組成物が記載されている。フッ素化ポリマー又はフッ素化ポリマー類は、分解時にパーフルオロオクタン酸(PFOA)を形成せず、予想外に良好な撥油性を示す。これらの組成物は、例えば多孔性ろ過媒体を含む物品に載置されて、フッ素化ポリマー含有物品を形成し得る。本開示にはさらに、フッ素化ポリマー含有物品の形成方法、及び、フッ素化ポリマー含有物品の使用方法が記載されている。
【0004】
一態様において、本開示には、パーフルオロポリエーテル(PFPE)ボトルブラシポリマーを含む組成物が記載されており、ここで、PFPEボトルブラシポリマーは、構造:
【化1】
を有するサブユニットを含み、式中、各R
1は、独立して、結合、又は、少なくとも1個及び4個以下の酸素原子、少なくとも1個及び5個以下の炭素原子、並びに、任意選択的に、2個以下の窒素原子、4個以下のフッ素原子、及び、1個以下の硫黄原子を含む炭素含有リンカーであり;各R
2は、独立して、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルであり;m=1~3であり;n=1~4であり;y=0~30であり;z=10~60であり;並びに、PFPEボトルブラシポリマーは、PFPEボトルブラシポリマーの総重量に基づいて、少なくとも90%(w/w)の構造IVのサブユニットを含む。いくつかの実施形態において、nは1~3である。一定の実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーはnが4以上であるサブユニットを含まない。
【0005】
いくつかの実施形態において、組成物は、構造:
【化2】
を有するサブユニットを含む短鎖フッ素化ポリマーをさらに含み、式中、各R
3は、独立して、少なくとも1個の酸素原子又は窒素原子並びに少なくとも1個及び2個以下の炭素原子を含む炭素含有リンカーであり;各R
4は、独立して、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルであり;各R
fは、独立して、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子並びに少なくとも1個及び9個以下のフッ素原子を含む置換アルキル、又は、Fであり;並びに、qは、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、又は、少なくとも60である。いくつかの実施形態において、R
fは、独立して、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子並びに9個以下のフッ素原子、若しくは、3個以下の炭素原子及び7個以下のフッ素原子を含む置換アルキル、又は、Fである。いくつかの実施形態において、フッ素化ポリマーは、4個以上の連続するフッ素化炭素を有するサブユニットを含まない。
【0006】
他の態様において、本開示においては、物品の表面に載置されたパーフルオロポリエーテル(PFPE)ボトルブラシポリマーを含む組成物を含む物品が記載されている。
【0007】
さらに他の態様において、本開示においては、処理済み多孔性ろ過媒体を備える物品の形成方法が記載されている。この方法は、多孔性ろ過媒体と、パーフルオロポリエーテル(PFPE)ボトルブラシポリマー及び液体を含む混合物とを接触させるステップ、混合物を多孔性ろ過媒体上に載置して処理済み多孔性ろ過媒体を形成するステップ、並びに、液体を除去するステップを含む。
【0008】
本明細書において用いられるところ、「アルキル」とは、アルカンの基である1価の基を指し、直鎖、分岐、環式及び二環式アルキル基並びにこれらの組み合わせを含み、無置換及び置換アルキル基の両方が含まれる。別段の定めがある場合を除き、アルキル基は、典型的には、1~30個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~20個の炭素原子、1~10個の炭素原子、1~8個の炭素原子、1~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子又は1~3個の炭素原子を含有する。「アルキル」基の例としては、これらに限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、イソブチル、t-ブチル、イソプロピル、n-オクチル、n-ヘプチル、エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボルニル等が挙げられる。
【0009】
本明細書において用いられるところ、「疎油性」とは、「Oil Repellency:Hydrocarbon Resistance Test」と題されたAATCC TM118-2013e2に準拠した測定による、1~8のスケールの評価を指し、ここで、評価は、もっとも近い整数値に丸められている。
【0010】
本明細書において用いられるところ、「過フッ素化」又は「パーフルオロアルキル」とは、炭素及びフッ素原子を含む基を指し、ここで、基中における各炭素原子はフッ素で完全に飽和されている。
【0011】
本明細書において用いられるところ、「多フッ素化」とは、炭素及びフッ素原子を含む基を指し、ここでは、炭素原子は、必ずしもフッ素で完全に飽和されていない。このような基は、例えば素-水素結合を含み得る。
【0012】
本明細書において用いられるところ、「パーフルオロポリエーテル」とは、以下の構造:
【化3】
(式中、yは少なくとも1であり、mは1~3であり、及び、nは1~4である)
を含む化合物基を指す。
【0013】
「ポリマー」及び「ポリマー材料」という用語としては、これらに限定されないが、有機ホモポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダム、及び、コポリマー、ターポリマー等などのコポリマー、並びに、そのブレンド及び変性物が挙げられる。さらに、特に限定されない限りにおいて、「ポリマー」という用語は、材料のすべての可能な幾何学的構成を含むものとする。これらの構成としては、これらに限定されないが、イソタクチック、シンジオタクチック及びアタクチック対称性が挙げられる。
【0014】
「コポリマー」という用語は、2種以上の異なる単量体単位又はセグメントを含有するポリマーを指し、ターポリマー、テトラポリマー等が含まれる。
【0015】
基が本明細書に記載の式中において2回以上存在している場合、具体的に記載されているか否かにかかわらず、各基は独立して選択される。例えば、2つ以上のR1基が式中に存在している場合、各R1基は独立して選択される。さらに、これらの基中に含有される下位の基もまた独立して選択され得る。
【0016】
本明細書において用いられるところ、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)標準及びゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定される。クロマトグラフィーピーク(Mp)の最大値に対応する分子量の値が800Da~2,200kDaの範囲であるPMMA標準を用いて較正曲線を生成することが望ましい可能性がある。PHENOGELカラム(Phenomenex,Torrance,CA)などの高度に架橋されたポリスチレン-ジビニルベンゼン(PSDVB)を含むカラムを用いることが有用であり得る。ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIPA)は溶剤として用いられ得る。HFIPA及びNovec 7100の組み合わせもまた溶剤として用いられ得る。0.8mL/分の流量が用いられ得る。40~50℃のカラム温度が維持され得る。
【0017】
本明細書において用いられるところ、通気度とは、圧力低下を固定し、空気流を計測することにより計測される浸透性を指す。例示的な浸透性テストは、0.5水柱インチ(124.5Pa)の固定差圧でテスト治具に係る空気流の量を計測し得る。通気度は、立方フィート/分(又は、リットル/秒)で報告され得、Frazier浸透性と呼ばれ得る。Frazier浸透性を測定するために有用な機器の1つは、Air Permeability Tester Model FX3300(Texttest AG,Schwerzenbach,Switzerland)である。
【0018】
本明細書において用いられるところ、別段の記載がない限り、孔径(例えば、平均流量孔径又は最大孔径)は、キャピラリーフローポロメトリを用いて測定する。キャピラリーフローポロメトリは、連続圧力スキャンモードを用いて行い得る。使用し得る例示的な印加圧力の範囲は、0.115bar~3.5bar(15kPa~350kPa)である。例えばPOROFIL Wetting Solution(Quantachrome Instruments,Anton Paar,Boynton Beach,FL)を含む、16ダイン/cmの表面張力及び0の接触角を有する湿潤液を用いることが有用であり得る。サンプルは、最初に乾燥状態で低圧から高圧に変化させてテストを行い、次いで、湿潤状態で再度低圧から高圧に変化させてテストを行い得る。このテストは、典型的には、周囲温度条件(例えば、20℃~25℃)で実施される。乾燥曲線及び湿潤曲線の両方のために、圧力スキャン範囲にわたって200のデータ点を収集し得る。典型的には、0.715の屈曲係数及び/又は形状係数が適用される。平均孔径(例えば、平均流量孔径又は平均最大孔径)は、少なくとも3つの計測値の平均から算出し得る。最大孔径の個々の計測値は計測されたバブルポイントで検出し得、ここで、計測された泡は、湿潤流体が置換されて空気流が計測されることとなる点まで湿潤したサンプルにおける圧力を高めることにより測定される。空気流が最初に計測される圧力は、最初で最大の孔が開く点を示す。平均流量孔径の個々の計測値は、湿潤曲線と「半乾燥」曲線とが交差する圧力を決定することにより算出し得る。半乾燥曲線は、直径に応じる乾燥サンプルを通る空気流(V'乾燥)を2で数学的に除算することで得られる。
【0019】
「好ましい」及び「好ましくは」という語は、一定の状況下で一定の有益性をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一又は他の状況下においては、他の実施形態もまた好ましい可能性がある。さらに、1つ以上の好ましい実施形態に対する言及は、他の実施形態が有用ではないことを意味するものではなく、また、本発明の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものでもない。
【0020】
「を含む(comprises)」という用語及びその変形は、これらの用語が記載及び特許請求の範囲中に現れる場合、限定的な意味を有するものではない。このような用語は、記載されたステップ若しくは要素又はステップ若しくは要素の集合の包含を意味するが、いずれかの他のステップ若しくは要素又はステップ若しくは要素の集合を排除することを意味するものではないことが理解されるであろう。
【0021】
「~からなる(consisting of)」とは、「~からなる(consisting of)」という句に続くものを含むと共にそれに限定されることを意味する。それ故、「~からなる(consisting of)」という句は、列挙された要素が必要又は必須であること、及び、他の要素が存在し得ないことを示す。「実質的に~からなる(consisting essentially of)」は、この句の後に列挙されたいずれかの要素を含むと共に、列挙された要素について、本開示において特定されている活性又は作用に干渉又は寄与しない他の要素に限定されることを意味する。それ故、「実質的に~からなる(consisting essentially of)」という句は、列挙された要素は必要又は必須であるが、他の要素は任意選択であると共に列挙された要素の活性又は作用に実質的に影響を与えるか否かに応じて存在し得るか、又は、存在し得ないことを示す。
【0022】
別段の規定がある場合を除き、「a」、「an」、「the」及び「少なくとも1つ」は、同義的に用いられ、1つ又は2つ以上を意味する。
【0023】
本明細書において用いられるところ、「又は」という用語は、内容が明らかに示す場合を除き、一般的に「及び/又は」を含む通常の意味で用いられる。「及び/又は」という用語は、列挙された要素の1つ若しくはすべて、又は、列挙された要素のいずれか2つ以上の組み合わせを意味する。
【0024】
標準的な方法(例えば、ASTM、TAPPI、AATCC等)に対するいかなる言及も、別段の定めがある場合を除き、本開示出願時に利用可能である方法の最新のものを指す。
【0025】
また、本明細書において、端点による数値範囲に対する言及は、その範囲内に包含されるすべての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等を含む)。
【0026】
本明細書において、ある数「以下」(例えば、50以下)は、その数(例えば、50)を含む。
【0027】
「範囲内(in the range)」又は「範囲内(within a range)」(及び同様の記載)という用語には、記載の範囲の端点が含まれる。
【0028】
本明細書において用いられるところ、「実質的に」という用語は「有意に」と同じ意味を有し、後に続く用語を、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は、少なくとも約98%修飾すると理解可能である。特定の化合物を「実質的に含まない」という用語は、本開示の組成物が、言及されている化合物を1,000百万分率(ppm)未満で含有することを意味する。本開示の組成物は、化合物自体が未反応の形態で存在するか、又は、1種以上の他の材料と反応しているかに関わらず、前述の量未満の化合物を含有する。
【0029】
個別のステップを含む本明細書に開示されているいずれかの方法について、これらのステップはいずれかの実行可能な順番で実施され得る。また、適切な場合には、2つ以上のステップのいずれかの組み合わせを同時に実施してもよい。
【0030】
すべての見出しは読者の簡便さのためのものであり、特定されていない限り、この見出しに続く、文章の意味を限定するために用いられるべきではない。
【0031】
本明細書全体を通じた、「一実施形態」、「実施形態」、「一定の実施形態」又は「いくつかの実施形態」等に対する言及は、実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構成、組成又は特徴が、本開示に係る少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。それ故、この明細書全体を通して様々な箇所でこのような句が表れることは、必ずしも本開示に係る同一の実施形態を指すものではない。さらに、特定の特徴、構成、組成又は特徴は、いずれかの好適な方法で1つ以上の実施形態に組み合わされてもよい。
【0032】
別段の定めがある場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲において用いられている成分の量、分子量等を表すすべての数は、すべての場合において用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。本明細書において用いられるところ、計測量に関して、用語「約」は、計測を実施すると共に、計測の目的及び使用される計測器具の精度に相応のレベルで注意を払う当業者によって予想される計測量における変動を指す。従って、反する別段の定めがある場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲において規定されている数値パラメータは本発明によって達成されることが想定されている所望の特性に応じて様々であり得る近似値である。少なくとも、また、特許請求の範囲に対して均等論を制限するための試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも、報告されている有効桁数の観点から、通常の丸め技法を適用して解釈されるべきである。
【0033】
本発明の広範な範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、具体例に記載されているこれらの数値は可能な限り正確に報告されている。しかしながら、すべての数値は、本来、対応するテスト計測値に見いだされる標準偏差から必然的にもたらされる一定の誤差を包含する。
【0034】
上記の発明の概要において、本発明に係る、開示されている実施形態の各々又はすべての実施の形態を記載することは意図されていない。以下の記載は例示的な実施形態をより具体的に例示するものである。本出願中におけるいくつかの箇所において、種々の組み合わせで使用可能である例の列挙を介して指針が提供されている。各事例において、引用されているリストは、代表的なグループとされるのみであり、排他的なリストとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1A】
図1Aは、実施例52Aにさらに記載されている、ポリ(パーフルオロポリエーテル
1000メタクリレート)(「ポリ(PFPE
1000メタクリレート)」又は「ポリマー2」とも称されており、その構造は
図2Hに示されている);ポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)(「ポリマー1」とも称されており、その構造は
図2Fに示されている);並びに、ポリマー2及びポリマー1の形成に用いたモノマー:パーフルオロポリエーテル
1000メタクリレート(「PFPE
1000メタクリレート」又は「モノマー2」とも称されており、その構造は
図2Gに示されている、1000の数平均分子量(M
n)を有するパーフルオロポリエーテルメタクリレート)及び2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート(「モノマー1」とも称されており、その構造は
図2Eに示されている)を含むコポリマーによるスライドガラスのコーティングの例示的な固体表面エネルギー結果を示す。
【
図1B】
図1Bは、実施例52Aにさらに記載されている、得られるコポリマーにおけるPFPE
1000メタクリレート(モノマー2)の側鎖の幾何学的構成に対する、共重合中におけるモノマー1及びモノマー2の割合による予測された効果を概略的に示す。
【
図1C】
図1Cは、実施例52Bにさらに記載されている、ポリマー1若しくはポリマー2又はその混合物(共重合されていない)によるスライドガラスのコーティング、及び、算出固体表面エネルギーの計測の固体表面エネルギーの結果を示す。
【
図1D】
図1Dは、実施例52Bにさらに記載されている、ポリマー1及びポリマー2を混合し(共重合はせず)、及び、表面にコーティングした場合における予測された構造を概略的に示す。
【
図2A】
図2Aは、ポリ(パーフルオロポリエーテルメタクリレート)(本明細書において、「ポリ(PFPE)」又は「PFPEボトルブラシポリマー」とも称されている)の形成に用いられ得る、パーフルオロポリエーテルメタクリレートモノマーの一般化構造(左側、構造II)及びその特定の例(右側)を示す。
【
図2B】
図2Bは、本明細書に記載の短鎖(アクリレート又はメタクリレート)フッ素化ポリマーの形成に用いられ得る、多フッ素化アルキルメタクリレートモノマーの一般化構造(左側、構造I)及びその特定の例(右側)を示す。
【
図2C】
図2Cは、PFPEボトルブラシポリマーの一般化構造(構造IV)を示す。
【
図2D】
図2Dは、短鎖(アクリレート又はメタクリレート)フッ素化ポリマーの一般化構造(構造III)を示す。
【
図2E】
図2Eは、本明細書において「モノマー1」とも称される、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレートの構造(構造V)を示す。
【
図2F】
図2Fは、本明細書において「ポリマー1」とも称される、ポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)の構造(構造VI)を示す。
【
図2G】
図2Gは、本明細書において「モノマー2」とも称される、パーフルオロポリエーテル
1000メタクリレート、すなわち、1000の数平均分子量(M
n)を有するパーフルオロポリエーテルメタクリレートの構造(構造XII)を示す。
【
図2H】
図2Hは、ポリ(パーフルオロポリエーテル
1000メタクリレート)、すなわち、本明細書において「ポリ(PFPE
1000)」又は「ポリマー2」とも称される、1000の数平均分子量(M
n)を有するパーフルオロポリエーテルメタクリレートから形成されたポリマーの構造(構造XIII)を示す。
【
図2I】
図2Iは、PFPEボトルブラシポリマーがコポリマーである場合に、PFPEボトルブラシポリマー(構造VII)に含まれ得るモノマーの構造を示す。
【
図2J】
図2Jは、PFPEボトルブラシポリマーがコポリマーである場合に、PFPEボトルブラシポリマーに含まれ得るポリマー単位の構造(構造VIII)を示す。
【
図2K】
図2Kは、2種の異なるモノマーを含む例示的なPFPEボトルブラシポリマーの構造(構造XIV)を示す。
【
図2L】
図2Lは、PFPEボトルブラシポリマーの例示的な末端基の構造を示す。末端基は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル又はジ-t-ブチルペルオキシドなどのフリーラジカル開始種の残基であり得る。
【
図3A】
図3A及び
図3Bは、異なる割合のポリマー1及びポリマー2により、様々な濃度でコーティングされた媒体Aの疎油性(
図3A)及び浸透性(
図3B)を示す等高線混合プロセスプロットを示す。
図3Aにおいて、ポリマー1及びポリマー2の混合物については二次フィットを用い、並びに、1%~6%の(全ポリマー)濃度には線形フィットを用いた。
図3Bにおいて、ポリマー1及びポリマー2の混合物については二次フィットを用い、並びに、1%~6%の(全ポリマー)濃度には線形フィットを用いた。各モデルの統計的フィットに関する追加の情報を、
図3A及び
図3Bについて、それぞれ、表6A及び表6Bに示す。
【
図4A】
図4A~
図4Dは、異なる割合のポリマー1及びポリマー2により、様々な濃度でコーティングされた媒体Bの疎油性(
図4A、
図4C)及び浸透性(
図4B、
図4D)の等高線混合プロセスプロットを示す。媒体BのePTFE媒体はスクリムに積層されていたため、2つのサイドの特性は同等ではない。
図4A及び
図4Bは媒体Bのサイド1(ePTFE側)の特性を示し;
図4C及び
図4Dは媒体Bのサイド2(スクリム側)の特性を示す。
図4Aにおいて、ポリマー1及びポリマー2の混合物については二次フィットを用い、並びに、1%~6%の(全ポリマー)濃度については三次フィットを用いた。
図4Bにおいて、ポリマー1及びポリマー2の混合物については線形フィットを用い、並びに、1%~6%の(全ポリマー)濃度については線形フィットを用いた。
図4Cにおいて、ポリマー1及びポリマー2の混合物については三次フィットを用い、並びに、1%~6%の(全ポリマー)濃度については三次フィットを用いた。
図4Dにおいて、ポリマー1及びポリマー2の混合物については線形フィットを用い、並びに、1%~6%の(全ポリマー)濃度については線形フィットを用いた。各モデルの統計的フィットに関する追加の情報を、
図4A~
図4Dについて、それぞれ、表7A~表7Dに示す。
【
図5A】
図5A及び
図5Bは、異なる割合のポリマー1及びポリマー2により、様々な濃度でコーティングされた媒体Cの疎油性(
図5A)及び浸透性(
図5B)の等高線混合プロセスプロットを示す。
図5Aにおいて、ポリマー1及びポリマー2の混合物については三次フィットを用い、並びに、1%~6%の(全ポリマー)濃度については線形フィットを用いた。
図5Bにおいて、ポリマー1及びポリマー2の混合物については二次フィットを用い、並びに、1%~6%の(全ポリマー)濃度については二次フィットを用いた。各モデルの統計的フィットに関する追加の情報を、
図5A及び
図5Bについて、それぞれ、表8A及び表8Bに示す。
【
図6A】
図6A~
図6Eは、ポリマー1のみ(
図6A、実施例2に記載の溶液を使用)、又は、ポリマー2のみ(
図6A、実施例14に記載の溶液を使用)、又は、様々な量のポリマー1及びポリマー2(
図6B~
図6E、それぞれ、実施例10、12、18又は17に記載の溶液を使用)を含む溶液でコーティングした媒体の熱分解の分析結果を示す。
図6B~
図6Eの右側は、
図6B~
図6Dの左側の部分拡大図を示す。
【
図7】
図7は、モノマー3に対するNMRスキャンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示においては、任意選択的に他のフッ素化ポリマーとブレンドされた、パーフルオロポリエーテル(PFPE)ボトルブラシポリマーを含む組成物が記載されている。フッ素化ポリマー又はフッ素化ポリマー類は、分解時にパーフルオロオクタン酸(PFOA)を形成しない。フッ素化ポリマー又はフッ素化ポリマー類は、予想外に良好な撥油性を示す。組成物は、例えば多孔性ろ過媒体といった物品に載置(例えば、コーティング)されて、フッ素化ポリマー含有物品(例えば、フッ素化ポリマー-コーティングろ過媒体)を形成し得る。組成物は、6個以上の連続するフルオロカーボンを有するポリマー又はサブユニットを含まないか、又は、実質的に含まなくてもよい。組成物は、4個以上の連続するフルオロカーボンを有するポリマー又はサブユニットを含まないか、又は、実質的に含まなくてもよい。本開示にはさらに、フッ素化ポリマー含有物品の形成方法、及び、フッ素化ポリマー含有物品の使用方法が記載されている。
【0037】
フッ素化ポリマーを含む組成物
一態様において、本開示には、パーフルオロポリエーテル(PFPE)ボトルブラシポリマー又はPFPEボトルブラシポリマー及び短鎖フッ素化ポリマーを含む組成物が記載されている。これらのポリマーの各々について以下にさらに記載する。
【0038】
いくつかの実施形態において、組成物は有機溶剤を含む。ポリマー又はポリマー類は溶剤中に溶解され得る。いずれかの好適な有機溶剤が用いられ得、例えば、メチルエチルケトン(MEK)又はフッ素系溶剤が挙げられる。例示的な実施形態において、フッ素系溶剤はフッ素化エーテルを含み得る。溶剤及び1種以上のポリマー(例えば、PFPEボトルブラシポリマー、及び、任意選択的に短鎖フッ素化ポリマー)を含む組成物は、物品にコーティングされ得る。溶剤はその後除去され得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、組成物は、溶剤の体積(mL)あたり(w/v)、溶剤中のポリマー総量で、1種以上のポリマーを、少なくとも1重量%(グラム)、少なくとも2%(w/v)、少なくとも3%(w/v)、少なくとも4%(w/v)、少なくとも5%(w/v)、少なくとも6%(w/v)又は、少なくとも7%(w/v)含み得る。いくつかの実施形態において、組成物は、溶剤中のポリマー総量の、1%(w/v)以下、2%(w/v)以下、3%(w/v)以下、4%(w/v)以下、5%(w/v)以下、6%(w/v)以下、7%(w/v)以下、又は、8%(w/v)以下含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、組成物は、溶剤の体積(mL)あたり(w/v)、少なくとも1%(w/v)、少なくとも2%(w/v)、少なくとも3%(w/v)、少なくとも4%(w/v)、少なくとも5%(w/v)、少なくとも6%(w/v)、又は、少なくとも7%(w/v)のPFPEボトルブラシポリマー又は組み合わせられたPFPEボトルブラシポリマー及び短鎖フッ素化ポリマー(グラム)を含み得る。いくつかの実施形態において、組成物は、溶剤の体積(mL)あたり(w/v)、1%(w/v)以下、2%(w/v)以下、3%(w/v)以下、4%(w/v)以下、5%(w/v)以下、6%(w/v)以下、7%(w/v)以下、又は、8%(w/v)以下のPFPEボトルブラシポリマー又は組み合わせられたPFPEボトルブラシポリマー及び短鎖フッ素化ポリマー(グラム)を含み得る。
【0041】
例えば、例示的な一実施形態において、組成物は、1%(w/v)~8%(w/v)の溶剤中のポリマー総量を含み得る。他の例示的な実施形態において、組成物は、1%(w/v)~6%(w/v)の溶剤中のポリマー総量を含み得る。組成物は、1%(w/v)~8%(w/v)のPFPEボトルブラシポリマー又は組み合わせられたPFPEボトルブラシポリマー及び短鎖フッ素化ポリマーを含み得る。組成物は、1%(w/v)~6%(w/v)のPFPEボトルブラシポリマー又は組み合わせられたPFPEボトルブラシポリマー及び短鎖フッ素化ポリマーを含み得る。
【0042】
PFPEボトルブラシポリマー
一態様において、本開示においては、パーフルオロポリエーテル(PFPE)ボトルブラシポリマーを含む組成物が記載されている。PFPEボトルブラシポリマーは、PFPEメタクリレートモノマーの重合されたアクリレート基に由来するポリマー鎖に連結したフッ素化炭素を含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーは、少なくとも19kg/mol、少なくとも25kg/mol、又は、少なくとも40kg/molの数平均分子量(Mn)を有する。いくつかの実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーは、80kg/mol以下、60kg/mol以下、50kg/mol以下、又は、26kg/mol以下の数平均分子量(Mn)を有する。
【0044】
いくつかの実施形態において、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、少なくとも5%(w/w)、少なくとも10%(w/w)、少なくとも15%(w/w)、少なくとも20%(w/w)、少なくとも30%(w/w)、少なくとも40%(w/w)、少なくとも50%(w/w)、少なくとも60%(w/w)、少なくとも70%(w/w)、少なくとも80%(w/w)、少なくとも90%(w/w)、又は、少なくとも95%(w/w)のPFPEボトルブラシポリマーを含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、10%(w/w)以下、15%(w/w)以下、20%(w/w)以下、30%(w/w)以下、40%(w/w)以下、50%(w/w)以下、60%(w/w)以下、70%(w/w)以下、80%(w/w)以下、90%(w/w)以下、95%(w/w)以下、又は、100%(w/w)以下のPFPEボトルブラシポリマーを含む。
【0046】
例えば、例示的な一実施形態において、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、PFPEボトルブラシポリマーを5%(w/w)~95%(w/w)の範囲で含み得る。例えば、他の例示的な実施形態において、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、PFPEボトルブラシポリマーを20%(w/w)~80%(w/w)の範囲で含み得る。さらなる例示的な実施形態において、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、PFPEボトルブラシポリマーを30%(w/w)~70%(w/w)の範囲で含み得る。さらに他の例示的な実施形態において、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、PFPEボトルブラシポリマーを50%(w/w)~80%(w/w)の範囲で含み得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーは1種以上のモノマーの重合から誘導され、モノマーは、以下の構造:
【化4】
を有するモノマーを含む。
【0048】
R
1は、結合、又は、少なくとも1個及び4個以下の酸素原子、少なくとも1個及び5個以下の炭素原子、並びに、任意選択的に、2個以下の窒素原子、4個以下のフッ素原子、及び、1個以下の硫黄原子を含む炭素含有リンカーである。すなわち、R
1が結合ではない限りにおいて、R
1は、少なくとも1個の酸素原子及び少なくとも1個の炭素原子を含んでいなければならないが、R
1は、0個(及び、2個以下)の窒素原子、0個(及び、4個以下)のフッ素原子、及び/又は、0個(及び、1個以下)の硫黄原子を含んでいてもよい。R
2は、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルである。m=1~3であり;n=1~4であり;及び、y=0~30である。いくつかの実施形態において、nは1~3である。一定の実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーは、nが4以上であるサブユニットを含まない。構造IIの例示的なモノマーが
図2Aの右側に示されている。
【0049】
いくつかの実施形態において、構造IIのモノマーは、好ましくは、反復単位のすべての100mol%に基づいて、PFPEボトルブラシポリマー中の反復単位の少なくとも90mol%を構成する。いくつかの実施形態において、構造IIのモノマーは、PFPEボトルブラシポリマー中のすべての反復単位の少なくとも95mol%、少なくとも98mol%、又は、少なくとも99mol%を構成する。いくつかの実施形態において、構造IIのモノマーは、PFPEボトルブラシポリマー中の反復単位の100mol%を構成する。
【0050】
いくつかの実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーは、
図2Aにおいて特定されているモノマーのみを含み得、及び、基に相違がない場合、PFPEボトルブラシポリマーはホモポリマーとなる。いくつかの実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーはコポリマーであり得る。PFPEボトルブラシポリマーがコポリマーである場合、特定のモノマー(R基に相違あり)のみが含まれており、すなわち、他のモノマーを伴っていなくてもよく、又は、1種以上の追加の他のモノマーを含んでいてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態において、上記のとおり、PFPEボトルブラシポリマーはコポリマーである。PFPEボトルブラシポリマーがコポリマーである場合、特定のサブユニット(例えば、R基に相違がある、構造(III)及び(IV))のみが含まれ得、又は、或いは、1種以上の追加の他のサブユニットが含まれ得る。PFPEボトルブラシポリマーがコポリマーである場合、例えば、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、交互コポリマー等などのいずれかの好適なタイプのコポリマーが含まれ得る。例えばターポリマー、テトラポリマー等を含む追加のコポリマーも想定される。PFPEボトルブラシポリマーはまた、本明細書に記載のポリマー及びコポリマーのブレンド及び修飾物を含み得る。いくつかの実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーは、好ましくはランダムコポリマーである。
【0052】
構造IIのR1の例示的な例は、結合、-OCH2CF(CF3)-、-OCH2CH2OC(O)CF(CF3)-及び-NHCH2CH2OC(O)CF(CF3)-である。R2の例示的な例としては、-H及び-CH3が挙げられる。
【0053】
例示的な一実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーは構造IIのモノマーの重合に由来し、ここで、R1は-OCH2CH2OC(O)CF(CF3)-であり、及び、R2は-CH3である。mは、1、2又は3、好ましくは3であり得;nは、1、2、3又は4であり得;及び、yは、30以下、好ましくは10以下、6以下又は4以下のいずれかの整数であり得る。
【0054】
例示的な一実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーは複数種のモノマーの重合に由来し得、これらのモノマーの少なくとも1種が、本明細書においてモノマー2とも称されており、その構造が
図2Gに示されているパーフルオロポリエーテル
1000メタクリレートである。すなわち、構造IIについて、R
1は、-OCH
2CH
2OC(O)CF(CF
3)-であり;R
2は-CH
3であり;m=3であり;n=3であり;及び、yは、1以上、2以上、3以上又は4以上である。yは、30以下、20以下、10以下、9以下又は6以下であり得る。yは、少なくとも1及び30以下、1~20、3~9又は1~9であり得る。いくつかの場合において、yは3又は4である。
【0055】
構造IIのモノマーは、4個以下の連続する多フッ素化(例えば過フッ素化を含む)炭素のセグメントを含む。本文脈における「連続する」という用語は、酸素などの他の原子によって分離されていない多フッ素化炭素を指す。いくつかの実施形態において、構造IIのモノマーは、より好ましくは、3個以下の連続する多フッ素化炭素を含む。得られるポリマーはフッ素化セグメント(例えば、-OCmF2m-又は-OCnF2n+1-を含む)中に連続する多フッ素化炭素の長鎖を含まないため、その分解で長鎖パーフルオロアルキル酸の生成が生じる可能性はない。例えば、ポリマーが4個を超える連続する多フッ素化炭素を含まず、又は、4個未満の連続する多フッ素化炭素を含むことが望ましい場合がある。いくつかの実施形態において、このポリマーの分解では、パーフルオロオクタン酸(PFOA)の形成が生じることはなく、このパーフルオロオクタン酸(PFOA)は、過フルオロヘキサン酸又は過フルオロブタン酸といった少なくとも8個の連続する多フッ素化炭素が存在する場合にのみ形成されるものである。構造IIのモノマーは連続するフッ素化炭素の長鎖(例えば、7個以上の連続する多フッ素化炭素)を含まないが、酸素原子により分離されたより短鎖の多フッ素化炭素(例えば、4個以下の炭素)を含む多フッ素化炭素鎖が含まれていることが可能である。理論に束縛されることは望まないが、これらの側鎖は、得られるポリマーがコーティングとして用いられた場合に、PFOA又は他の長鎖パーフルオロアルキル酸を生成する恐れを伴わずに、所望疎油性及び/又は撥油特性をもたらすと考えられている。
【0056】
いくつかの実施形態において、少なくとも65%又は少なくとも75%の多フッ素化炭素が完全にフッ素化されている。例えば、構造IIのモノマーが4個の多フッ素化炭素原子を含む場合、少なくとも3個の炭素原子が完全にフッ素化されていてもよい。他の例において、構造IIのモノマーが3個の炭素原子を含む場合、少なくとも2個の炭素原子が完全にフッ素化されていてもよい。多くの事例において、構造IIのモノマー中におけるR1に係る側基の炭素のすべて(R1、R2の炭素、又は、R1とR2との間のいずれかの炭素を含まない)は完全にフッ素化されている。
【0057】
いくつかの実施形態において、多フッ素化炭素は過フッ素化されており、すなわち、鎖中の炭素はすべて完全にフッ素化されている。いくつかの実施形態において、構造IIのモノマー中の多フッ素化炭素は、過フッ素化されていることが好ましい。
【0058】
上記のとおり、いくつかの実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーはコポリマーであり得る。例示的な実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーは、構造IIの第1のモノマーと、以下の構造:
【化5】
(式中、R
5は、任意選択的に、9個以下のフッ素原子、1個以下のケイ素原子、3個以下の酸素原子及び2個以下の窒素原子を含む炭素含有リンカーである)を有する第2のモノマーを含む重合用モノマーに由来し得る。すなわち、R
5は、単にアルキル(0個のフッ素原子、0個のケイ素原子、0個の酸素原子及び0個の窒素原子を含む)であり得るが、R
5はさらに、9個以下のフッ素原子、1個以下のケイ素原子、3個以下の酸素原子、及び/又は、2個以下の窒素原子を含んでいてもよい。R
6は、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルである。
【0059】
いくつかの実施形態において、R5は、8個以下の炭素原子を含み得る。例示的な実施形態において、R5は、-CH2CH2CH2Si(OCH3)3、-CH2CH2OH又は-CH3であり得る。いくつかの実施形態において、R5は、多フッ素化又は過フッ素化されていてもよい。R5が多フッ素化又は過フッ素化されている場合、R5は、好ましくは、4個以下の連続するフッ素化炭素、より好ましくは3個以下の連続するフッ素化炭素を含み得る。
【0060】
いくつかの実施形態においては、望ましくは、R5として架橋性側鎖(例えば、-CH2CH2CH2Si(OCH3)3)を有するモノマーを含んでいてもよい。理論に束縛されることは望まないが、このような架橋は、処理済み多孔性ろ過媒体の薄い厚さ、高い安定性、及び/又は、高い疎油性をもたらし得ると考えられている。好適な架橋性側鎖は、好ましくは、ポリマーが物品上(例えば、多孔性ろ過媒体上を含む)に載置された後、誘導的に架橋され得る。架橋性側鎖の架橋性を誘導するために、二次添加剤を添加し得る。
【0061】
いくつかの実施形態において、構造VIIのモノマーは、全反復単位に基づいて、PFPEボトルブラシポリマーの反復単位のすべての少なくとも0.5mol%、少なくとも1mol%、少なくとも5mol%、又は、少なくとも10mol%を構成する。いくつかの実施形態において、構造VIIのモノマーは、PFPEボトルブラシポリマーの反復単位のすべての1mol%以下、5mol%以下、10mol%以下、15mol%以下、20mol%以下、25mol%以下、30mol%以下、35mol%以下、又は、40mol%以下を構成する。例えば、例示的な一実施形態において、構造VIIのモノマーは、PFPEボトルブラシポリマーの反復単位のすべての0.5mol%~10mol%、5mol%~40mol%、又は、10mol%~25mol%を構成する。他の例示的な実施形態において、構造VIIのモノマーは、PFPEボトルブラシポリマーの反復単位のすべての10mol%~20mol%を構成する。いくつかの実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーの反復単位の残りは、構造IIのモノマーを含むか、又は構造IIのモノマーからなる。
【0062】
PFPEボトルブラシポリマーにおいて、構造IIのモノマー及び構造VIIのモノマーは、ブロック形態で存在し得、交互形態であり得、又は、ランダム形態であり得る。
【0063】
いくつかの実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーは、構造:
【化6】
を有するサブユニットを含む。
【0064】
各R1は、独立して、結合、又は、少なくとも1個及び4個以下の酸素原子、少なくとも1個及び5個以下の炭素原子、並びに、任意選択的に、2個以下の窒素原子、4個以下のフッ素原子、及び、1個以下の硫黄原子を含む炭素含有リンカーである。すなわち、R1が結合ではない限りにおいて、各R1は、少なくとも1個の酸素原子及び少なくとも1個の炭素原子を含んでいなければならないが、各R1は、0個(及び、2個以下)の窒素原子、0個(及び、4個以下)のフッ素原子、及び/又は、0個(及び、1個以下)の硫黄原子を含んでいてもよい。各R2は、独立して、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルである。m=1~3であり;n=1~4であり;y=0~30であり;及び、z=10~60である。いくつかの実施形態において、nは1~3である。一定の実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーは、nが4以上であるサブユニットを含まない。
【0065】
いくつかの実施形態において、構造IVのサブユニットは、反復単位のすべての100mol%に基づいて、すべてのPFPEボトルブラシポリマーの反復単位の少なくとも90mol%を構成する。いくつかの実施形態において、構造IVのサブユニットは、PFPEボトルブラシポリマーの反復単位のすべての少なくとも95mol%、少なくとも98mol%、又は、少なくとも99mol%を構成する。いくつかの実施形態において、構造IVのサブユニットは、PFPEボトルブラシポリマーの反復単位のすべての100mol%を構成する。実施形態において、ポリマーが構造VIIのサブユニットを含む場合、構造IVのサブユニットの量は、PFPEボトルブラシポリマーの反復単位のすべての60mol%~99.5mol%の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、構造IVのモノマーは、PFPEボトルブラシポリマーの反復単位のすべての80mol%以上、85mol%以上、90mol%以上、95mol%以上、又は、99mol%以上で存在する。例示的な実施形態において、構造IVのモノマーは、PFPEボトルブラシポリマーの反復単位のすべての80mol%~90mol%で存在する。
【0066】
いくつかの実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーは、特定のサブユニット(例えば、構造(III)及び(IV))のみを含み得、及び、基に相違がない場合、PFPEボトルブラシポリマーはホモポリマーとなる。或いは、PFPEボトルブラシポリマーは特定のサブユニット(R基に相違あり)のみを含んでおり、すなわち、他のモノマーを伴っていなくてもよく;又は、1種以上の追加の他のモノマーを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、上記のとおり、PFPEボトルブラシポリマーはコポリマーである。
【0067】
例示的な一実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーは、
図2Hに示されている構造(構造XIII)を有するサブユニットを含み得る。構造XIIIは、各R
1が-OCH
2CH
2OC(O)CF(CF
3)-であり;各R
2が-CH
3であり;m=3であり;n=3であり;yが、1以上、2以上、3以上又は4以上であり、yが、30以下、20以下、10以下、9以下又は6以下であり得、yが、少なくとも1及び30以下、1~20、3~9又は1~9であり得、いくつかの場合においては、yが3又は4であり;zが少なくとも19及び26以下である、構造IVである。すなわち、このポリマーは、ポリ(パーフルオロポリエーテル
1000メタクリレート)を含み得、又は、ポリ(パーフルオロポリエーテル
1000メタクリレート)であり得る。ポリ(パーフルオロポリエーテル
1000メタクリレート)はまた、本明細書において、「ポリ(PFPE
1000)」又は「ポリマー2」と称される。zに係るさらなる範囲もまた想定され得るが(例えば、zが、少なくとも10及び60以下、又は、80以下である場合を含む)、ポリマー2については、本明細書に記載のとおり、zは、19~26の範囲内である。
【0068】
いくつかの実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーの末端基は、フリーラジカル開始種の残基であり得る。例示的な末端基としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の残基、過酸化ベンゾイルの残基、及び、ジ-t-ブチルペルオキシドの残基が挙げられる。このような末端基の例示的な構造を
図2Lに示す。
【0069】
上記のとおり、いくつかの実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーはコポリマーであり得る。例示的な実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーは、構造IVのサブユニットと、構造:
【化7】
を有するサブユニットを含み、ここで、各R
5は、独立して、任意選択的に、9個以下のフッ素原子、1個以下のケイ素原子、3個以下の酸素原子及び2個以下の窒素原子を含む炭素含有リンカーであり;ここで、各R
6は、独立して、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルであり;並びに、x=1~6である。すなわち、R
5は、0個(及び、9個以下)のフッ素原子、0個(及び、1個以下)のケイ素原子、0個(及び、3個以下)の酸素原子、及び/又は、0個(及び、2個以下)の窒素原子を含み得る。構造(VIII)は、コポリマーの形成に構造(VII)を用いたことで得られ得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、各R5は、独立して、8個以下の炭素原子を含み得る。例示的な実施形態において、各R5は、独立して、-CH2CH2CH2Si(OCH3)3、-CH2CH2OH、又は、-CH3であり得る。いくつかの実施形態において、各R5は、独立して、多フッ素化又は過フッ素化されていてもよい。R5が多フッ素化又は過フッ素化されている場合、R5は、4個以下の連続するフッ素化炭素、好ましくは3個以下の連続するフッ素化炭素を含み得る。
【0071】
いくつかの実施形態においては、望ましくは、R5として架橋性側鎖(例えば、-CH2CH2CH2Si(OCH3)3)を有するサブユニットを含んでいてもよい。理論に束縛されることは望まないが、このような架橋は、処理済み多孔性ろ過媒体の薄い厚さ及び/又は高い疎油性をもたらし得ると考えられている。好適な架橋性側鎖は、好ましくは、ポリマーが物品上(例えば、多孔性ろ過媒体上を含む)に載置された後、誘導的に架橋され得る。架橋性基の架橋を誘導するために、二次添加剤を添加する必要性があり得る。
【0072】
いくつかの実施形態において、構造VIIIのサブユニットは、全反復単位に基づいて、PFPEボトルブラシポリマーの反復単位のすべての少なくとも0.5mol%、少なくとも1mol%、少なくとも5mol%、又は、少なくとも10mol%を構成する。いくつかの実施形態において、構造VIIIのサブユニットは、PFPEボトルブラシポリマーの反復単位のすべての1mol%以下、5mol%以下、10mol%以下、15mol%以下、20mol%以下、又は、25mol%以下、30mol%以下、35mol%以下、又は、40mol%以下を構成する。例えば、例示的な一実施形態において、構造VIIIのサブユニットは、PFPEボトルブラシポリマーの反復単位のすべての0.5mol%~25mol%、5mol%~40mol%、又は、10mol%~25mol%を構成する。他の例示的な実施形態において、構造VIIIのサブユニットは、PFPEボトルブラシポリマーの反復単位のすべての10mol%~20mol%を構成する。
【0073】
PFPEボトルブラシポリマーにおいて、構造IVのサブユニット及び構造VIIIのサブユニットは、ブロック形態で存在し得、交互形態であり得、又は、ランダム形態であり得る。例示的な実施形態において、得られるコポリマーは、
図2Kに示されている構造を有し得る。
【0074】
短鎖フッ素化ポリマー
いくつかの実施形態において、PFPEボトルブラシポリマーを含む組成物は短鎖フッ素化ポリマーをさらに含み、ここで、短鎖フッ素化ポリマーは、PFPEボトルブラシポリマーと混合される。PFPEボトルブラシポリマー及び短鎖フッ素化ポリマーは、溶剤中において混合(例えば溶解)され得る。混合物は、基材(例えばろ過媒体)に適用(例えばコーティング)され得る。溶剤はその後除去され得る。短鎖フッ素化ポリマーは架橋剤として作用し得、及び、PFPEボトルブラシポリマーと架橋し得る。
【0075】
いくつかの実施形態において、短鎖フッ素化ポリマーの分子量は、少なくとも10kg/mol及び300kg/mol以下である。
【0076】
いくつかの実施形態において、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、少なくとも5%(w/w)、少なくとも10%(w/w)、少なくとも15%(w/w)、少なくとも20%(w/w)、少なくとも30%(w/w)、少なくとも40%(w/w)、少なくとも50%(w/w)、少なくとも60%(w/w)、少なくとも70%(w/w)、又は、少なくとも80%(w/w)の短鎖フッ素化ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、20%(w/w)以下、30%(w/w)以下、40%(w/w)以下、50%(w/w)以下、60%(w/w)以下、70%(w/w)以下、80%(w/w)以下、90%(w/w)以下、又は、95%(w/w)以下の短鎖フッ素化ポリマーを含む。例示的な実施形態において、組成物は、短鎖フッ素化ポリマーを、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、10%(w/w)~90%(w/w)の範囲内で含む。他の例示的な実施形態において、組成物は、短鎖フッ素化ポリマーを、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、25%(w/w)~75%(w/w)の範囲内で含む。さらなる例示的な実施形態において、組成物は、短鎖フッ素化ポリマーを、組成物中のPFPEボトルブラシポリマー及び短鎖フッ素化ポリマーの総重量に基づいて、25%(w/w)~75%(w/w)の範囲内で含む。
【0077】
いくつかの実施形態において、短鎖フッ素化ポリマーがポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)を含む場合、組成物は、好ましくは、組成物中のPFPEボトルブラシポリマー及び短鎖フッ素化ポリマーの総重量に基づいて、PFPEボトルブラシポリマーを25%(w/w)~75%(w/w)の範囲内で、及び、短鎖フッ素化ポリマーを25%(w/w)~75%(w/w)の範囲内で含み得る。いくつかの実施形態において、短鎖フッ素化ポリマーがポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)を含む場合、組成物は、好ましくは、組成物中のPFPEボトルブラシポリマー及び短鎖フッ素化ポリマーの総重量に基づいて、PFPEボトルブラシポリマーを50%(w/w)~90%(w/w)の範囲内で、及び、短鎖フッ素化ポリマーを10%(w/w)~50%(w/w)の範囲内で含み得る。
【0078】
いくつかの実施形態において、組成物は、構造
【化8】
を有するモノマーから形成された短鎖フッ素化ポリマーを含む。
【0079】
R
3は、少なくとも1個の酸素原子又は窒素原子並びに少なくとも1個及び2個以下の炭素原子を含む炭素含有リンカーである。R
4は、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルである。R
fは、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子並びに少なくとも1個及び9個以下のフッ素原子を含む置換アルキルである。R
fは、4個以下、又は、3個以下の連続するフッ素化炭素を含み得る。いくつかの実施形態において、R
fは、3個以下の炭素原子、及び、7個以下のフッ素原子を含む。構造Iの例示的なモノマーを
図2Bの右側に示す。
【0080】
いくつかの実施形態において、短鎖フッ素化ポリマーは
図2Bに特定されているモノマーのみを含み得、基に相違がない場合、短鎖フッ素化ポリマーはホモポリマーとなる。いくつかの実施形態において、短鎖フッ素化ポリマーはコポリマーであり得る。短鎖フッ素化ポリマーがコポリマーである場合、特定のモノマー(R基に相違あり)のみが含まれており、すなわち、他のモノマーを伴っていなくてもよく、又は、1種以上の追加の他のモノマーを含んでいてもよい。
【0081】
構造I中の好適なR3基の例は、-O-、-OCH2-、-OCH2CH2-、-OC(O)CH2-及び-OC(O)CH2CH2-である。構造I中の好適なR4基の例は、-H及び-CH3である。
【0082】
いくつかの実施形態において、Rfはパーフルオロアルキルである。いくつかの実施形態において、パーフルオロアルキルは4個の炭素を含む。好ましい実施形態において、パーフルオロアルキルは4個以下の炭素を含む。いくつかの実施形態において、パーフルオロアルキルは3個の炭素を含む。いくつかの実施形態において、Rfは、少なくとも1個及び3個以下の炭素原子を含む多フッ素化基である。
【0083】
いくつかの実施形態において、Rf中の炭素の少なくとも65%、少なくとも70%、又は、少なくとも80%が完全にフッ素化されている。例えば、Rfが6個の多フッ素化炭素原子を含む場合、少なくとも5個が完全にフッ素化されている。他の例において、Rfは4個の多フッ素化炭素原子を含み、少なくとも3個が完全にフッ素化されている。他の例において、Rfは3個の多フッ素化炭素原子を含み、少なくとも2個又は3個すべてが完全にフッ素化されている。
【0084】
構造IのRfの例示的な例は、-F、-CF3、-CF2CF2CF3、-CF2CF2CF2CF3、及び、-CH(CF3)2である。好ましい実施形態において、構造IのRfは、-F、-CF3、-CF2CF2CF3、-CF2CF2CF2CF3、及び-CH(CF3)2から選択される。一実施形態において、構造IのRfは-CF2CF2CF3である。
【0085】
いくつかの実施形態において、構造IのR
fは分岐構造であり得る。例えば、構造IのR
fは、以下の構造:
【化9】
を有し得る。
【0086】
Rf1は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子並びに少なくとも1個及び9個以下のフッ素原子を含む置換アルキルであり、及び、Rf2は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子並びに少なくとも1個及び9個以下のフッ素原子を含む置換アルキルである。いくつかの実施形態において、Rf1及びRf2は共に、4個以下又は3個以下の連続するフッ素化炭素を含む。いくつかの実施形態において、Rfは3個以下の連続するフッ素化炭素を含む。いくつかの実施形態において、Rf1はパーフルオロアルキルであるか、又は、Rfはパーフルオロアルキルであるか、又は、Rf1及びRfは共に過フルオロアルキルである。
【0087】
例示的な一実施形態において、短鎖ポリマーは複数種のモノマーの重合に由来し得、これらのモノマーの少なくとも1種が、本明細書において「モノマー1」とも称されており、その構造が
図2Eに示されている2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレートである。
【0088】
いくつかの実施形態において、短鎖フッ素化ポリマーは、以下の構造:
【化10】
のいずれか1つを有するモノマーから形成され得る。
【0089】
しかしながら、好ましい実施形態において、短鎖フッ素化ポリマーは、4個を超える(例えば、6個)連続するフッ素化炭素を含有するRf構造を含まないか、又は、実質的に含まない。
【0090】
いくつかの実施形態において、組成物はさらに、構造
【化11】
を有するサブユニットを含む短鎖フッ素化ポリマーを含む。
【0091】
各R3は、独立して、少なくとも1個の酸素原子又は窒素原子並びに少なくとも1個及び2個以下の炭素原子を含む炭素含有リンカーである。各R4は、独立して、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルである。各Rfは、独立して、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子並びに少なくとも1個及び9個以下のフッ素原子を含む置換アルキル、又は、Fである。いくつかの実施形態において、Rfは、4個を超える(例えば、6個)連続するフッ素化炭素を含まない。いくつかの実施形態において、Rfは、3個以下の連続するフッ素化炭素を含む。いくつかの実施形態において、qは、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、又は、少なくとも60である。いくつかの実施形態において、qは、200以下、250以下、又は、300以下である。
【0092】
いくつかの実施形態において、短鎖フッ素化ポリマーは上記に特定されているサブユニットのみを含み得、及び、基に相違がない場合、短鎖フッ素化ポリマーはホモポリマーとなる。いくつかの実施形態において、短鎖フッ素化ポリマーはコポリマーであり得る。短鎖フッ素化ポリマーがコポリマーである場合、特定のサブユニット(R基に相違あり)のみが含まれており、すなわち、他のサブユニットを伴っていなくてもよく、又は、1種以上の追加の他のサブユニットを含んでいてもよい。
【0093】
構造IIIのR3の例示的な例は、-O-、-OCH2-、-OCH2CH2-、-OC(O)CH2-及び-OC(O)CH2CH2-である。構造IIIのR4の例示的な例は-H及び-CH3である。
【0094】
いくつかの実施形態において、Rfはパーフルオロアルキルである。いくつかの実施形態において、パーフルオロアルキルは4個の炭素を含む。好ましい実施形態において、パーフルオロアルキルは3個以下の炭素を含む。いくつかの実施形態において、パーフルオロアルキルは3個の炭素を含む。いくつかの実施形態において、Rfは、少なくとも1個及び3個以下の炭素原子を含む多フッ素化基である。
【0095】
いくつかの実施形態において、Rf中の炭素の少なくとも65%、少なくとも70%、又は、少なくとも80%が完全にフッ素化されている。例えば、Rfが4個の多フッ素化炭素原子を含む場合、少なくとも3個が完全にフッ素化されている。他の例において、Rfは3個の多フッ素化炭素原子を含み、少なくとも2個又は3個すべてが完全にフッ素化されている。
【0096】
構造IのRfの例示的な例は、-F、-CF3、-CF2CF2CF3、-CF2CF2CF2CF3-及び-CH(CF3)2である。
【0097】
いくつかの実施形態において、構造IのR
fは分岐構造であり得る。例えば、構造IのR
fは以下の構造:
【化12】
を有し得る。
【0098】
Rf1は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子並びに少なくとも1個及び9個以下のフッ素原子を含む置換アルキルであり、並びに、Rf2は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子並びに少なくとも1個及び9個以下のフッ素原子を含む置換アルキルである。いくつかの実施形態において、Rf1及びRf2は共に、4個以下又は3個以下の連続するフッ素化炭素を含む。いくつかの実施形態において、Rf1はパーフルオロアルキルであるか、又は、Rfはパーフルオロアルキルであるか、又は、Rf1及びRfは共に過フルオロアルキルである。
【0099】
例示的な一実施形態において、短鎖ポリマーは、その構造が
図2Fに示されている、ポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)(「ポリマー1」とも称されている)を含み得る。ポリマー1について、構造VI(
図2F)のqは、少なくとも186及び223以下である。qに係るさらなる範囲もまた想定され得るが(例えば、qが、少なくとも10及び300以下である場合を含む)、ポリマー1については、本明細書に記載のとおり、qは、186~223の範囲内である。短鎖ポリマーがポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)を含む場合、短鎖フッ素化ポリマーの分子量は、50kg/mol~60kg/molの範囲内であり得る。
【0100】
いくつかの実施形態において、短鎖フッ素化ポリマーは、以下の構造:
【化13】
(式中t、R
4及びR
fは、上記の構造(IX)のモノマーのとおり(tは1又は2であり;R
4はH又は-CH
3であり;及び、R
fは、-CF
3、-CF
2CF
3、-CF
2CF
2CF
3、-(CF
2)
3CF
3であり、qは、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、又は、少なくとも60である)である)
のいずれか1つ、又は、このようなフッ素化ポリマーの組み合わせを有するフッ素化ポリマーを含み得る。
【0101】
しかしながら、好ましい実施形態において、短鎖フッ素化ポリマーは、4個を超える(例えば、6個)連続するフッ素化炭素を含有するRf構造を含まないか、又は、実質的に含まない。
【0102】
フッ素化ポリマー含有物品
本明細書に記載の組成物は、物品(物品の部分を含む)上に載置(例えばコーティング)されてフッ素化ポリマー含有物品を形成し得る。例えば、いくつかの実施形態において、組成物は、例えば物品の主表面を含む物品の表面上に載置(例えばコーティング)され得る。
【0103】
いくつかの実施形態において、物品は、多孔性ろ過媒体、医療機器、電子タッチディスプレイ、光学的センサのレンズ(例えば、自式車両用を含む)、又は、油及び/又はガソリンとの接触が想定される表面を含むいずれかの他の物品を含み得る。いくつかの実施形態において、物品は、好ましくは、多孔性ろ過媒体を含み得る。
【0104】
物品が多孔性ろ過媒体を含む場合、いずれかの好適な多孔性ろ過媒体は、フッ素化ポリマー含有物品の一部として、又は、フッ素化ポリマー含有物品を形成するために用いられ得る。
【0105】
いくつかの実施形態において、多孔性ろ過媒体は、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、セルロース、酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルスルホン、フッ化ポリビニリデン、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテル、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ポリスチレン、セルロース系ポリマー(例えば、酢酸セルロース)若しくはガラス、又は、これらの組み合わせ(例えば、そのブレンド、混合物、積層体又はコポリマー)を含み得る。いくつかの実施形態において、多孔性ろ過媒体は、好ましくは、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含み得る。
【0106】
いくつかの実施形態において、多孔性ろ過媒体としては、メンブラン、不織ウェブ、織布ウェブ、多孔性シート、焼結プラスチック、焼結金属、スクリーン(例えば、織布スクリーン、エキスパンドスクリーン、押出しスクリーン等を含む)若しくは高密度メッシュ、又は、これらの組み合わせが挙げられ得る。いくつかの実施形態において、多孔性ろ過媒体は、好ましくは、メンブランを含み得る。
【0107】
いくつかの実施形態において、多孔性ろ過媒体は、合成繊維、天然繊維又はこれらの組み合わせ(例えば、そのブレンド又は混合物)を含み得る。基材は、典型的には、多孔性性質のもの、並びに、孔径、Frazier通気度及び/又は他の好適な測定基準などの特定の定義可能な性能特性のものである。
【0108】
いくつかの実施形態において、多孔性ろ過媒体は、熱可塑性又は熱硬化性ポリマー繊維を含み得る。繊維のポリマーは、単一のポリマー材料系、複合繊維、又は、これらの組み合わせで存在し得る。複合繊維は、例えば、熱可塑性ポリマーを含み得る。いくつかの実施形態において、複合繊維は、同心又は非同心構造を含むコア-シース構造を有し得る。いくつかの実施形態において、複合繊維のシースは、加熱された時に、コアは構造的完全性を保持する一方でシースが層中の他の繊維と結合するよう、コアの溶融温度よりも低い溶融温度を有し得る。複合繊維の追加の例示的な実施形態は、サイドバイサイド型繊維又は海島型繊維を含む。
【0109】
いくつかの実施形態において、多孔性ろ過媒体は、例えば、針葉樹繊維(マーセライズ化サザンパインなど)、広葉樹繊維(ユーカリ繊維など)、再生セルロース繊維、機械パルプ繊維、又は、これらの組み合わせ(例えば、その混合物又はブレンド)を含むセルロース系繊維を含み得る。
【0110】
いくつかの実施形態において、多孔性ろ過媒体は、例えば、マイクロガラス、微細化されたガラスファイバー、又は、これらの組み合わせ(例えば、その混合物又はブレンド)を含むガラスファイバーを含み得る。
【0111】
いくつかの実施形態においては、処理の前に、ePTFEを含む多孔性ろ過媒体は、0.5水柱インチ(120Pa)で0.1立方フィート/分(CFM)(0.17m3/h)~0.5水柱インチ(120Pa)で0.2CFM(0.34m3/h)の範囲内の浸透性;8ミル~11ミル(0.20mm~0.28mm)の範囲内の厚さ;及び、0.1μm~0.3μmの範囲内の平均流量孔径を示し得る。いくつかの実施形態においては、処理の前に、ePTFEを含む多孔性ろ過媒体は、0.5水柱インチ(120Pa)で2CFM(3.4m3/h)~0.5水柱インチ(120Pa)で3CFM(5.1m3/h)の範囲内の浸透性;7ミル~15ミル(0.18mm~0.38mm)の範囲内の厚さ;及び、0.7μm~2μmの範囲内の平均流量孔径を示し得る。いくつかの実施形態においては、処理の前に、ePTFEを含む多孔性ろ過媒体は、0.5水柱インチ(120Pa)で0.1立方フィート/分(CFM)(0.17m3/h)~0.5水柱インチ(120Pa)で0.4CFM(0.68m3/h)の範囲内の浸透性;9ミル~14ミル(0.23mm~0.36mm)の範囲内の厚さ;及び、0.5μm~0.9μmの範囲内の平均流量孔径を示し得る。
【0112】
フッ素化ポリマー含有物品の形成方法
フッ素化ポリマー(例えば本明細書に記載のフッ素化ポリマーの組み合わせを含む)を含む組成物を物品上に載置して、フッ素化ポリマー含有物品を形成し得る。いくつかの実施形態において、組成物は、好ましくは、例えば物品の主表面を含む物品の表面上に載置される。組成物は、物品の一方の主表面、又は、両方の主表面にコーティングされ得る。
【0113】
物品が多孔性ろ過媒体を含む場合、組成物は多孔性ろ過媒体上に載置されて、処理済み多孔性ろ過媒体を形成し得る。処理済み多孔性ろ過媒体は、フッ素化ポリマー含有物品、又は、フッ素化ポリマー含有物品の一部分を形成し得る。例えば、組成物は、多孔性ろ過媒体の第1の主表面、又は、多孔性ろ過媒体の第2の主表面、又は、その両方の上に載置され得る。
【0114】
いくつかの実施形態において、処理済み多孔性ろ過媒体に追加して、フッ素化ポリマー含有物品は、支持層をさらに備えていてもよい。支持層は、処理済み多孔性ろ過媒体を形成するための多孔性ろ過媒体の処理の前又は後に追加され得る。物品の意図される使用に応じて、いずれかの好適な材料を支持層に使用し得る。例示的な実施形態において、しかしながら、支持層は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル若しくはナイロン、又は、これらの組み合わせ(例えば、その混合物又はブレンド)などのポリマー材料を含み得る。
【0115】
いくつかの実施形態において、支持層の第1の主表面が多孔性ろ過媒体の第1の主表面と接触している場合、この支持層は、支持層の第2の主表面及び多孔性ろ過媒体の第2の主表面上にフッ素化ポリマーがコーティングされるよう、フッ素化ポリマーによる多孔性ろ過媒体の処理前に追加され得る。
【0116】
いくつかの実施形態において、フッ素化ポリマーが多孔性ろ過媒体上に載置される場合、多孔性ろ過媒体は、多孔性ろ過媒体とフッ素化ポリマー及び液体(例えば溶剤)を含む混合物とを接触させるステップ、フッ素化ポリマー-液体混合物を多孔性ろ過媒体上に載置するステップ、及び、液体を除去するステップにより形成され得る。いくつかの実施形態において、フッ素化ポリマー-液体溶液中の液体は溶剤を含むか溶剤であり、すなわち、少なくともいくつかのフッ素化ポリマーが溶解している液体である。好ましくは、フッ素化ポリマー-液体溶液中の液体は、フッ素化ポリマーのすべて又は実質的にすべてが溶解している溶剤である。追加的に、又は、代わりに、しかしながら、フッ素化ポリマーは、エマルジョンの形態で多孔性ろ過媒体に適用されてもよい。例えば、フッ素化ポリマーは、水-フッ素化ポリマーエマルジョンを介して多孔性ろ過媒体に適用されてもよい。
【0117】
フッ素化ポリマーを含有する溶液(又はエマルジョン)が物品に適用され、及び、液体(例えば溶剤)が除去される。液体を除去した後には、フッ素化ポリマーが、多孔性ろ過媒体の少なくとも1つの主表面上に載置されたままとなる。例えば、実施例における例示的な実施形態において記載されているとおり、ロールコーティング、又は、多孔性ろ過媒体のフッ素化ポリマーと溶剤とを含有する混合物中への浸漬により、及び、次いで、多孔性ろ過媒体からの溶剤の除去により、フッ素化ポリマーは多孔性ろ過媒体上にコーティングされ得る。
【0118】
液体が溶剤を含む場合、いずれかの好適な溶剤が使用され得る。いくつかの実施形態において、フッ素化ポリマーは、フッ素化ポリマーが多孔性ろ過媒体に適用される際に溶剤中に完全に溶解していてもよい。理論に束縛されることは望まないが、特に多孔性ろ過媒体が小さな孔径(例えば、0.1μm未満)を有する場合には、フッ素化ポリマーが溶剤中に完全に溶解している溶液が好ましい場合があるが、しかしながら、多孔性ろ過媒体がより大きな孔径(例えば、0.1μm超)を有する場合には、溶液又はエマルジョンを使用し得ると考えられている。
【0119】
いくつかの実施形態において、溶剤は有機溶剤を含み得る。或いは、溶剤は、超臨界二酸化炭素(SCCO2)などの無機溶剤を含み得る。
【0120】
例示的な有機溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)、並びに、例えばフッ素化ヘプタン及びフッ素化エーテルを含むフッ素系溶剤が挙げられる。例示的なフッ素化エーテルとしては、エトキシノナフルオロブタン、エトキシノナフルオロイソブタン、メトキシノナフルオロブタン(メチルノナフルオロブチルエーテルとも称されている)及びメトキシノナフルオロイソブタン(メチルノナフルオロイソブチルエーテルとも称されている)が挙げられる。有機溶剤及び/又はフッ素化エーテルの組み合わせもまた用いられ得る。いくつかの実施形態において、フッ素化エーテルは、NOVEC 7100(メチルノナフルオロイソブチルエーテル及びメチルノナフルオロブチルエーテルを含む)又はNOVEC 7200(エトキシ-ノナフルオロブタンの2種の分離不可能な異性体を含む)などのNOVEC Engineering Fluid(3M Company,St.Paul,MNから入手可能)を含み得る。
【0121】
いくつかの実施形態において、溶剤は、好ましくは、フッ素系溶剤であるか、又は、フッ素系溶剤を含み得る。
【0122】
コーティング時にフッ素化ポリマー-液体混合物中に含まれるフッ素化ポリマーの量は、所望の疎油性に応じて選択され得る。いくつかの実施形態において、混合物中のフッ素化ポリマーの量は、溶剤の体積(mL)あたり8重量%のポリマー(グラム)(w/v)以下、7%(w/v)以下、6%(w/v)以下、5%(w/v)以下、4%(w/v)以下、3%(w/v)以下、2%(w/v)以下、又は、1%(w/v)以下であり得る。いくつかの実施形態において、混合物中のフッ素化ポリマーの量は、溶剤の体積(mL)あたり少なくとも1重量%のポリマー(グラム)(w/v)、少なくとも2%(w/v)、少なくとも3%(w/v)、少なくとも4%(w/v)、少なくとも5%(w/v)、少なくとも6%(w/v)又は少なくとも7%(w/v)であり得る。
【0123】
いくつかの実施形態において、多孔性ろ過媒体をフッ素化ポリマー-液体混合物と接触させるステップは、多孔性ろ過媒体をフッ素化ポリマー-液体混合物中に浸漬するステップを含む。例示的な実施形態において、多孔性ろ過媒体をフッ素化ポリマー-液体混合物中に浸漬するステップは、多孔性ろ過媒体をフッ素化ポリマー-液体混合物中に通して、媒体をフッ素化ポリマー-液体混合物に対しておよそ同じ角度で出入りさせるステップを含む。
【0124】
いくつかの実施形態において、フッ素化ポリマー-液体混合物の液体は、周囲温度(例えば、20℃~25℃の範囲内の温度)で、又は、高温で、液体(例えば溶剤)の除去に充分な時間をかけて乾燥させることにより多孔性ろ過媒体から除去し得る。
【0125】
いくつかの実施形態において、フッ素化ポリマーを多孔性ろ過媒体に適用して処理済み多孔性ろ過媒体を形成するステップはさらに、処理済み多孔性ろ過媒体を熱処理するステップを含み得る。このような加熱で、フッ素化ポリマーが多孔性ろ過媒体上に載置された後に、フッ素化ポリマー-液体混合物から液体が除去され得る。しかも、理論に束縛されることは望まないが、このような熱処理又は「硬化」はまた、フッ素化ポリマーの配向を促進することにより処理済み多孔性ろ過媒体の疎油性をも高め得ると考えられている。さらに理論に束縛されることは望まないが、このような熱処理又は「硬化」は、フッ素化ポリマーの架橋を促進し得ると考えられている。
【0126】
例えば、実施例54に示されているとおり、架橋性側鎖(例えば、-CH2CH2CH2Si(OCH3)3)を有するモノマーを含むポリマーは、熱処理で架橋され得る。理論に束縛されることは望まないが、このような架橋により、処理済み多孔性ろ過媒体の粘着性の低下及び/又は疎油性の向上、並びに、ポリマーコーティングの安定性の向上がもたらされ得ると考えられている。好適な架橋性側鎖は、好ましくは、ポリマーが物品上(例えば、多孔性ろ過媒体上を含む)に載置された後、誘導的に架橋され得る。架橋は、熱処理により誘起され得る。
【0127】
多孔性ろ過媒体は、いずれかの好適な手段によって加熱され得る。例示的な実施形態において、多孔性ろ過媒体はオーブン中において加熱される。他の例示的な実施形態において、多孔性ろ過媒体は、ホットローラ、水蒸気、赤外線ヒータ等を用いて加熱され得る。
【0128】
いくつかの実施形態において、多孔性ろ過媒体がオーブン中において加熱される場合を含んで、多孔性ろ過媒体は、フッ素化ポリマーのガラス転移温度を超える温度で加熱され得る。いくつかの実施形態において、多孔性ろ過媒体は、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、少なくとも100℃、少なくとも110℃又は少なくとも120℃の温度で加熱される。いくつかの実施形態において、多孔性ろ過媒体は、130℃以下、140℃以下又は150℃以下の温度で加熱される。例えば、例示的な一実施形態において、多孔性ろ過媒体は、110℃~130℃の範囲内の温度で加熱され得る。他の例において、多孔性ろ過媒体は80℃~100℃の範囲内の温度で加熱され得る。実施例において、多孔性ろ過媒体は90℃の温度で加熱される。
【0129】
いくつかの実施形態において、多孔性ろ過媒体がホットローラ、水蒸気、赤外線ヒータを用いて加熱される場合を含んで、多孔性ろ過媒体は、フッ素化ポリマーのガラス転移温度を超える温度で加熱され得る。いくつかの実施形態において、多孔性ろ過媒体は、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、少なくとも100℃、少なくとも110℃又は少なくとも120℃の温度で加熱される。いくつかの実施形態において、多孔性ろ過媒体は、130℃以下、140℃以下又は150℃以下の温度に加熱される。例えば、例示的な一実施形態において、多孔性ろ過媒体は、70℃~110℃の範囲内の温度に加熱され得る。
【0130】
いくつかの実施形態において、多孔性ろ過媒体は、少なくとも1分間、少なくとも2分間又は少なくとも3分間加熱され得る。いくつかの実施形態において、多孔性ろ過媒体は、3分間以下、4分間以下、5分間以下又は10分間以下加熱され得る。例えば、例示的な実施形態において、多孔性ろ過媒体は、少なくとも1分間、及び、10分間以下加熱され得る。実施例において、多孔性ろ過媒体は5分間加熱される。
【0131】
いくつかの実施形態において、多孔性ろ過媒体は、乾燥又は加熱又はその両方の最中において、フレーム中に位置され得る。フレームを使用することで、多孔性ろ過媒体の反りを防止し得る。
【0132】
処理済み多孔性ろ過媒体
いくつかの実施形態において、上記のとおり、フッ素化ポリマー(例えば、本明細書に記載のフッ素化ポリマーの組み合わせを含む)を多孔性ろ過媒体上に載置して処理済み多孔性ろ過媒体を形成し得る。
【0133】
処理済み多孔性ろ過媒体を形成するためにフッ素化ポリマーを多孔性ろ過媒体上に載置した後、処理済み多孔性ろ過媒体は、好ましくは、AATCC試験法118(AATCC TM118-2013e2)による測定で、多孔性ろ過媒体の少なくとも1つの主表面において少なくとも5又は少なくとも6の疎油性を示し得、ここで、評価はもっとも近い整数値に丸められている。いくつかの実施形態において、処理済み多孔性ろ過媒体は、多孔性ろ過媒体の少なくとも1つの主表面において7以下又は8以下を含有する疎油性を示し得る。例示的な実施形態において、処理済み多孔性ろ過媒体は、5~8の範囲内、6~7の範囲内、6~8の範囲内、又は、7~8の範囲内の疎油性を示す。
【0134】
いくつかの実施形態において、処理済み多孔性ろ過媒体は、多孔性ろ過媒体の2つの主表面上において同一の疎油性評価を示す。例えば、処理済み多孔性ろ過媒体は、多孔性ろ過媒体の2つの主表面(例えば、多孔性ろ過媒体の表面と裏面)において、5~8の範囲内、6~7の範囲内、6~8の範囲内、又は、7~8の範囲内の疎油性を示し得る。
【0135】
いくつかの実施形態において、フッ素化ポリマー含有物品の2つの主表面は、5~8の範囲内、6~7の範囲内又は6~8の範囲内の疎油性を示し得る。例えば、支持層の第1の主表面が多孔性ろ過媒体の第1の主表面と接触している場合、多孔性ろ過媒体の第2の主表面及び多孔性ろ過媒体の第2の主表面は、5~8の範囲内、5~7の範囲内、6~8の範囲内、6~7の範囲内又は7~8の範囲内の疎油性を示し得る。
【0136】
実施例に示されているとおり、少なくとも7の疎油性を有するフッ素化ポリマー含有物品を、ポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)(「ポリマー1」)及びポリ(パーフルオロポリエーテル1000メタクリレート)(「ポリマー2」)の混合物を用いて得ることが可能であることは、意外であった。ポリマー1単独でコーティングした場合、物品は最大で6の疎油性を示す。対照的に、ポリマー1及びポリマー2の混合物を含む組成物を用い、70%(w/w)以下のポリマー1が含まれている場合、コーティングは、充分な濃度では、少なくとも7の疎油性を示す。理論に束縛されることは望まないが、ポリマー1を導入することで、ポリマー2単独の場合に観察される低モジュラスによるいずれかの好ましくない影響が、ポリマー1のかなり高いガラス転移温度により相殺されると考えられている。
【0137】
ポリマー2単独でコーティングした物品は良好な疎油性及び良好な浸透性を示すことが可能である一方で、いくつかの場合においては、粘着性を低減するためにより高いガラス転移温度を有するコーティングが所望される。ポリマー2は単独では、比較的低いガラス転移温度(Tgは-54℃)を示し得る。コモノマーとして架橋剤を用いるポリマー2の架橋により、得られるコーティングの特性を補助することが可能である。例えば、架橋は、表面粘着性を低減し、疎油性を高め、及び、安定性を向上し得る。
【0138】
ポリマー1及びポリマー2の混合物が用いられ、並びに、少なくとも30%(w/w)のポリマー1が含まれる場合、コーティングは粘着性を示さず、及び、充分な濃度で、少なくとも7の疎油性を示す。しかも、実施例52A~実施例52Bに記載されているとおり、ポリマー1及びポリマー2の混合物でコーティングされた表面は、ポリマー2単独でコーティングされた混合物よりも高い表面エネルギーを示すが、意外なことに、ポリマー1及びポリマー2の混合物は、ポリマー2単独よりも良好な疎油性を示す。
【0139】
さらに、組成物中にポリマー1が含まれていることで、ポリマー1はポリマー2よりも製造コストが安いために、コスト的な利点がもたらされ得る。
【0140】
実施例にさらに記載されているとおり、異なるタイプの媒体については、異なる割合のポリマー(例えば、ポリマー1及びポリマー2)を用いて、オレオ7性能を有し、粘着性が限定的であるか無く、及び、浸透性が特定の用途に好ましい範囲内であるePTFEコーティングを得てもよい。
【0141】
実施例にさらに記載されているとおり、一定の多孔性ろ過媒体は、ポリマーの特定の組み合わせで処理することで所望の疎油性を有利に達成し得る。
【0142】
いくつかの実施形態において、ePTFEを含む処理済み多孔性ろ過媒体は、0.5水柱インチ(120Pa)で0.1立方フィート/分(CFM)(0.17m3/h)~0.5水柱インチ(120Pa)で0.2CFM(0.34m3/h)の範囲内の浸透性;8ミル~11ミル(0.20mm~0.28mm)の範囲内の厚さを示し得る。処理済み多孔性ろ過媒体は、0.1μm~3μm、0.2μm~2μm又は0.1μm~0.3μmの範囲内の平均流量孔径を有し得る。いくつかの実施形態において、このような処理済み多孔性ろ過媒体は、物品の表面上に組成物を載置することで形成し得たが、ここで、組成物は、少なくとも25%(w/w)及び75%(w/w)以下のPFPEボトルブラシポリマー、並びに、少なくとも25%(w/w)及び75%(w/w)以下の、ポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)を含む短鎖フッ素化ポリマーを含んでいた(ここで、重量パーセントは、組成物中のポリマーの総重量に基づいている)。実施例51に示すとおり、媒体上に載置される組成物中のポリマーの比が、熱分解を用いてテストされる処理済み多孔性ろ過媒体に反映される。いくつかの実施形態において、このような処理済み多孔性ろ過媒体は、溶剤の体積(mL)あたり少なくとも3重量%のポリマー(グラム)(w/v)、及び/又は、6%(w/v)以下のポリマーの濃度を有する組成物を載置することによりを形成し得た。いくつかの実施形態において、このような処理済み多孔性ろ過媒体は、AATCC試験法118(AATCC TM118-2013e2)による測定で、少なくとも1つの主表面において少なくとも7の疎油性を示し、ここで、評価はもっとも近い整数値に丸められている。いくつかの実施形態において、このような処理済み多孔性ろ過媒体は、AATCC試験法118(AATCC TM118-2013e2)による測定で、両方の主表面において少なくとも7の疎油性を示し、ここで、評価はもっとも近い整数値に丸められている。
【0143】
いくつかの実施形態において、ePTFEを含む処理済み多孔性ろ過媒体は、0.5水柱インチ(120Pa)で1.4CFM(2.4m3/h)~0.5水柱インチ(120Pa)で3.5CFM(6.0m3/h)の範囲内の浸透性;7ミル~15ミル(0.18mm~0.38mm)の範囲内の厚さ;及び、1μm~1.5μmの範囲内の平均流量孔径を示し得る。いくつかの実施形態において、このような処理済み多孔性ろ過媒体は、物品の表面上に組成物を載置することで形成し得たが、ここで、組成物は、少なくとも25%(w/w)及び75%(w/w)以下のPFPEボトルブラシポリマー、並びに、少なくとも25%(w/w)及び75%(w/w)以下の、ポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)を含む短鎖フッ素化ポリマーを含んでいた(ここで、重量パーセントは組成物中のポリマーの総重量に基づいている)。実施例51に示すとおり、媒体上に載置される組成物中のポリマーの比が、熱分解を用いてテストされる処理済み多孔性ろ過媒体に反映される。いくつかの実施形態において、このような処理済み多孔性ろ過媒体は、溶剤の体積(mL)あたり少なくとも4重量%のポリマー(グラム)(w/v)、及び/又は、6%(w/v)以下の濃度を有する組成物を載置することによりを形成し得た。いくつかの実施形態において、このような処理済み多孔性ろ過媒体は、AATCC試験法118(AATCC TM118-2013e2)による測定で、少なくとも1つの主表面において少なくとも7の疎油性を示し、ここで、評価はもっとも近い整数値に丸められている。いくつかの実施形態において、このような処理済み多孔性ろ過媒体は、AATCC試験法118(AATCC TM118-2013e2)による測定で、両方の主表面において少なくとも6の疎油性を示し、ここで、評価はもっとも近い整数値に丸められている。
【0144】
いくつかの実施形態において、ePTFEを含む処理済み多孔性ろ過媒体は、0.5水柱インチ(120Pa)で0.1CFM(CFM)(0.17m3/h)~0.5水柱インチ(120Pa)で0.4CFM(0.68m3/h)の範囲内の浸透性;9ミル~14ミルの範囲内の厚さ;及び、0.5μm~2μmの範囲内の平均流量孔径を示し得る。いくつかの実施形態において、このような処理済み多孔性ろ過媒体は、物品の表面上に組成物を載置することで形成し得たが、ここで、組成物は、少なくとも10%(w/w)及び50%(w/w)以下のPFPEボトルブラシポリマー、並びに、少なくとも50%(w/w)及び90%(w/w)以下の、ポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)を含む短鎖フッ素化ポリマーを含んでいた(ここで、重量パーセントは組成物中のポリマーの総重量に基づいている)。実施例51に示すとおり、媒体上に載置される組成物中のポリマーの比が、熱分解を用いてテストされる処理済み多孔性ろ過媒体に反映される。いくつかの実施形態において、このような処理済み多孔性ろ過媒体は、溶剤の体積(mL)あたり少なくとも2重量%のポリマー(グラム)(w/v)、及び/又は、6%(w/v)以下のポリマーの濃度を有する組成物を載置することによりを形成し得た。いくつかの実施形態において、このような処理済み多孔性ろ過媒体は、AATCC試験法118(AATCC TM118-2013e2)による測定で、少なくとも1つの主表面において少なくとも7の疎油性を示し、ここで、評価はもっとも近い整数値に丸められている。いくつかの実施形態において、このような処理済み多孔性ろ過媒体は、AATCC試験法118(AATCC TM118-2013e2)による測定で、両方の主表面において少なくとも7の疎油性を示し、ここで、評価はもっとも近い整数値に丸められている。
【0145】
フッ素化ポリマー含有物品の使用方法
本明細書に記載のフッ素化ポリマー含有物品は、いずれかの好適な用途に用いられ得る。
【0146】
いくつかの例示的な実施形態において、フッ素化ポリマー含有物品は、二相分離器として使用し得る。分離される2つの相は、物品の意図される使用に応じて選択され得る。例えば、物品は、エアコンプレッサの空気/油分離器として、水/燃料分離器として、又は、水/油分離器として使用し得る。いくつかの実施形態において、分離器はコアレッサーであり得る。
【0147】
追加の例示的な実施形態において、フッ素化ポリマー含有物品は、ベント用のフィルタとして使用し得る。自動車用又は工業用においては、フィルタは燃料に露出している場合があり;このような環境においては、油及び/又はガソリンに対する耐性は特に有利であり得る。
【0148】
本発明は、特許請求の範囲において定義されている。しかしながら、以下に、非限定的な例示的態様の非網羅的な列挙が提供されている。これらの態様に係る特徴のいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の実施例、実施形態又は態様に係る特徴のいずれか1つ以上と組み合わせてもよい。
【0149】
例示的態様
例示的なコーティング組成物態様
A1.パーフルオロポリエーテル(PFPE)ボトルブラシポリマーを含む組成物であって、PFPEボトルブラシポリマーは、構造:
【化14】
を有するサブユニットを含み、ここで、各R
1は、独立して、結合、又は、少なくとも1個及び4個以下の酸素原子、少なくとも1個及び5個以下の炭素原子、並びに、任意選択的に、2個以下の窒素原子、4個以下のフッ素原子、及び、1個以下の硫黄原子を含むアルキレンであり;各R
2は、独立して、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルであり;m=1~3であり;n=1~4、又は、n=1~3であり;y=0~30であり;並びに、z=10~80又は10~60であり、PFPEボトルブラシポリマーは、PFPEボトルブラシポリマーの総重量に基づいて、少なくとも90%(w/w)の構造IVのサブユニットを含む。
【0150】
A2.A1の態様の組成物であって、PFPEボトルブラシポリマーはブロックコポリマーを含む。
【0151】
A3.A1の態様の組成物であって、PFPEボトルブラシポリマーは交互コポリマーを含む。
【0152】
A4.A1~A3の態様のいずれか1つの組成物であって、各R1は、結合、又は、少なくとも1個及び4個以下の酸素原子、少なくとも1個及び5個以下の炭素原子、並びに、任意選択的に、2個以下の窒素原子、4個以下のフッ素原子、及び、1個以下の硫黄原子を含む炭素含有リンカーであり;並びに、各R2は、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルである。
【0153】
A5.A1~A4の態様のいずれか1つの組成物であって、各R1は、-OCH2CH2OC(O)CF(CF3)-であり;各R2は-CH3であり;m=3であり;n=3であり;yは少なくとも3及び4以下であり;並びに、zは、少なくとも10及び80以下又は60以下である。
【0154】
A6.A5の態様の組成物であって、zは少なくとも19及び26以下である。
【0155】
A7.A1~A6の態様のいずれか1つの組成物であって、PFPEボトルブラシポリマーは、少なくとも19kg/mol及び26kg/mol以下の数平均分子量(Mn)を有する。
【0156】
A8.A1~A7の態様のいずれか1つの組成物であって、PFPEボトルブラシポリマーは、PFPEボトルブラシポリマーのすべての反復単位の合計の100mol%に基づいて、少なくとも95mol%、少なくとも98mol%、又は、少なくとも99mol%の構造IVのサブユニットを含む。
【0157】
A9.A1~A8の態様のいずれか1つの組成物であって、PFPEボトルブラシポリマーは、PFPEボトルブラシポリマーのすべての反復単位の合計の100mol%に基づいて、100mol%の構造IVのサブユニットを含む。
【0158】
A10.A1~A9の態様のいずれか1つの組成物であって、PFPE-ボトルブラシポリマーはさらに、構造:
【化15】
を有するサブユニットを含み、ここで、各R
5は、独立して、任意選択的に、13個以下のフッ素原子、1個以下のケイ素原子、3個以下の酸素原子及び2個以下の窒素原子を含む炭素含有リンカーであり;各R
6は、独立して、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルであり;x=1~6である。
【0159】
A11.A10の態様の組成物であって、各R5は、独立して、少なくとも1個及び8個以下の炭素原子を含む炭素含有リンカーである。
【0160】
A12.A9又はA10の態様の組成物であって、各R5は、独立して、-CH2CH2CH2Si(OCH3)3、-CH3又は-CH2CH2OHである。
【0161】
A13.A10~A12の態様のいずれか1つの組成物であって、PFPEボトルブラシポリマーは、PFPEボトルブラシポリマーのすべての反復単位の合計の100mol%に基づいて、少なくとも0.5mol%、少なくとも1mol%、少なくとも5mol%、又は、少なくとも10mol%の構造VIIIのサブユニットを含む。4。
【0162】
A14.A10~A13の態様のいずれか1つの組成物であって、PFPEボトルブラシポリマーは、PFPEボトルブラシポリマーのすべての反復単位の合計の100mol%に基づいて、1mol%以下、5mol%以下、10mol%以下、20mol%以下、25mol%以下、30mol%以下、又は、40mol%以下の構造VIIIのサブユニットを含む。
【0163】
A15.A1~A14の態様のいずれか1つの組成物であって、各R1は、結合、又は、少なくとも1個及び4個以下の酸素原子、少なくとも1個及び5個以下の炭素原子、並びに、任意選択的に2個以下の窒素原子、4個以下のフッ素原子、及び、1個以下の硫黄原子を含む炭素含有リンカーであり;並びに、各R2は、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルである。
【0164】
A16.A1~A15の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、少なくとも5%(w/w)、少なくとも10%(w/w)、少なくとも15%(w/w)、少なくとも20%(w/w)、少なくとも30%(w/w)、少なくとも40%(w/w)、少なくとも50%(w/w)、少なくとも60%(w/w)、少なくとも70%(w/w)、少なくとも80%(w/w)、少なくとも90%(w/w)又は少なくとも95%(w/w)のPFPEボトルブラシポリマーを含む。
【0165】
A17.A1~A16の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、10%(w/w)以下、15%(w/w)以下、20%(w/w)以下、30%(w/w)以下、40%(w/w)以下、50%(w/w)以下、60%(w/w)以下、70%(w/w)以下、80%(w/w)以下、90%(w/w)以下、95%(w/w)以下、又は、100%(w/w)以下のPFPEボトルブラシポリマーを含む。
【0166】
A18.A1~A17の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、構造:
【化16】
を有するサブユニットを含む短鎖フッ素化ポリマーをさらに含み、ここで、各R
3は、独立して、少なくとも1個の酸素原子又は窒素原子、並びに、少なくとも1個及び2個以下の炭素原子を含む炭素含有リンカーであり;各R
4は、独立して、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルであり;各R
fは、独立して、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子並びに少なくとも1個及び9個以下のフッ素原子を含む置換アルキル、又は、Fであり;並びに、qは、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、又は、少なくとも60である。
【0167】
A19.A18の態様の組成物であって、qは、200以下、250以下又は300以下である。
【0168】
A20.A18又はA19の態様のいずれか1つの組成物であって、Rfはパーフルオロアルキルである。
【0169】
A21.A20の態様の組成物であって、パーフルオロアルキルは4個の炭素を含む。
【0170】
A22.A20又はA21の態様の組成物であって、パーフルオロアルキルは3個の炭素を有する。
【0171】
A23.A18~A22の態様のいずれか1つの組成物であって、各R3は独立して、-O-、-CH2O-又は-CH2CH2O-である。
【0172】
A24.A18~A23の態様のいずれか1つの組成物であって、R4は-CH3である。
【0173】
A25.A18又はA19の態様の組成物であって、各Rfは、独立して、-F又は-CH(CF3)2である。
【0174】
A26.A18~A21の態様のいずれか1つの組成物であって、短鎖フッ素化ポリマーは、以下の構造のいずれか1つを有するフッ素化ポリマー、又は、このようなフッ素化ポリマーの組み合わせ:
【化17】
を含み、ここで、qは、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、又は、少なくとも60である。
【0175】
A27.A18~A21の態様のいずれか1つの組成物であって、各R3は、少なくとも1個の酸素原子又は窒素原子、並びに、少なくとも1個及び2個以下の炭素原子を含む炭素含有リンカーであり;各R4は、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルであり;並びに、各Rfは、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子並びに少なくとも1個及び9個以下のフッ素原子を含む置換アルキルである。
【0176】
A28.A18~A21の態様のいずれか1つの組成物であって、R4は、H又はCH3であり、R3は-OC(O)CH2-又は-OC(O)CH2CH2-であり、並びに、Rfは少なくとも1個及び4個以下の炭素を含むパーフルオロアルキルである。
【0177】
A29.A18~A24又はA27~A28の態様のいずれか1つの組成物であって、Rfは分岐構造を含む。
【0178】
A30.A29の態様の組成物であって、R
fは構造:
【化18】
を有し、ここで、R
f1は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子並びに少なくとも1個及び9個以下のフッ素原子を含む置換アルキルであり、並びに、R
f2は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子並びに少なくとも1個及び9個以下のフッ素原子を含む置換アルキルである。
【0179】
A31.A30の態様の組成物であって、Rf1はパーフルオロアルキルであるか、又は、Rfはパーフルオロアルキルであるか、又は、Rf1及びRfは共に過フルオロアルキルである。
【0180】
A32.A18~A21の態様のいずれか1つの組成物であって、短鎖フッ素化ポリマーは以下の構造:
【化19】
を有し、ここで、qは少なくとも10及び300以下である。
【0181】
A33.A32の態様の組成物であって、qは少なくとも186及び223以下である。
【0182】
A34.A18~A33の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、少なくとも5%(w/w)、少なくとも10%(w/w)、少なくとも15%(w/w)、少なくとも20%(w/w)、少なくとも30%(w/w)、少なくとも40%(w/w)、少なくとも50%(w/w)、少なくとも60%(w/w)、少なくとも70%(w/w)又は少なくとも80%(w/w)の短鎖フッ素化ポリマーを含む。
【0183】
A35.A18~A34の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、20%(w/w)以下、30%(w/w)以下、40%(w/w)以下、50%(w/w)以下、60%(w/w)以下、70%(w/w)以下、80%(w/w)以下、90%(w/w)以下、又は、95%(w/w)以下の短鎖フッ素化ポリマーを含む。
【0184】
A36.A18~A35の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、10%(w/w)~90%(w/w)の範囲内の短鎖フッ素化ポリマーを含む。
【0185】
A37.A18~A36の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、25%(w/w)~75%(w/w)の範囲内の短鎖フッ素化ポリマーを含む。
【0186】
A38.A18~A36の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、組成物中のPFPEボトルブラシポリマー及び短鎖フッ素化ポリマーの総重量に基づいて、25%(w/w)~75%(w/w)の範囲内の短鎖フッ素化ポリマーを含む。
【0187】
A39.A18~A38の態様のいずれか1つの組成物であって、短鎖フッ素化ポリマーは、ポリ(2,2-3,3-4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)又はポリ(2,2-3,3-4-4-4-ヘプタフルオロブチルアクリレート)を含み、及び短鎖フッ素化ポリマーは、50kg/mol~60kg/molの範囲内の数平均分子量(Mn)を有する。
【0188】
A40.A1~A39の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、少なくとも25%(w/w)及び75%(w/w)以下のPFPEボトルブラシポリマー、並びに、少なくとも25%(w/w)及び75%(w/w)以下の、ポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)を含む短鎖フッ素化ポリマーを含み、ここで、重量パーセントは組成物中のポリマーの総重量に基づいている。
【0189】
A41.A1~A39の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、少なくとも50%(w/w)及び90%(w/w)以下のPFPEボトルブラシポリマー、並びに、少なくとも10%(w/w)及び50%(w/w)以下の、ポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)を含む短鎖フッ素化ポリマーを含み、ここで、重量パーセントは組成物中のポリマーの総重量に基づいている。
【0190】
A42.A1~A41の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は有機溶剤を含む。
【0191】
A43.A42の態様の組成物であって、有機溶剤はメチルエチルケトン(MEK)又はフッ素系溶剤を含む。
【0192】
A44.A43の態様の組成物であって、フッ素系溶剤はフッ素化エーテルを含む。
【0193】
A45.A1~A44の態様のいずれか1つの組成物であって、溶剤中の全ポリマーの濃度は、溶剤の体積(mL)あたり少なくとも1重量%のポリマー(グラム)(w/v)、少なくとも2%(w/v)、少なくとも3%(w/v)、少なくとも4%(w/v)、少なくとも5%(w/v)、少なくとも6%(w/v)又は少なくとも7%(w/v)である。
【0194】
A46.A1~A45の態様のいずれか1つの組成物であって、溶剤中の全ポリマーの濃度は、溶剤の体積(mL)あたり1重量%のポリマー(グラム)(w/v)以下、2%(w/v)以下、3%(w/v)以下、4%(w/v)以下、5%(w/v)以下、6%(w/v)以下、7%(w/v)以下、又は、8%(w/v)以下である。
【0195】
A47.A1~A46の態様のいずれか1つの組成物であって、PFPEボトルブラシポリマーは、nが4以上であるサブユニットを含まない。
【0196】
モノマーコーティング組成物態様による例示的な生成物
B1.パーフルオロポリエーテル(PFPE)ボトルブラシポリマーを含む組成物であって、PFPEボトルブラシポリマーは、1種以上のモノマーの重合から誘導され、モノマーは構造:
【化20】
を有するモノマーを含み、ここで、R
1は、結合、又は、少なくとも1個及び4個以下の酸素原子、少なくとも1個及び5個以下の炭素原子、並びに、任意選択的に、2個以下の窒素原子、4個以下のフッ素原子、及び、1個以下の硫黄原子を含む炭素含有リンカーであり;R
2は、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルであり;m=1~3であり;n=1~4であり;y=0~30であり;並びに、PFPEボトルブラシポリマーは、PFPEボトルブラシポリマー中のすべてのモノマーの重量に基づいて、少なくとも90%(w/w)の構造IIのモノマーを含む。
【0197】
B2.B1の態様の組成物であって、PFPEボトルブラシポリマーはブロックコポリマーを含む。
【0198】
B3.B1の態様の組成物であって、PFPEボトルブラシポリマーは交互コポリマーを含む。
【0199】
B4.B1~B3の態様のいずれか1つの組成物であって、R1は-OCH2CH2OC(O)CF(CF3)-であり;R2は-CH3であり;m=3であり;n=3であり;並びに、yは少なくとも3及び4以下である。
【0200】
B5.B1~B4の態様のいずれか1つの組成物であって、PFPEボトルブラシポリマーは、少なくとも19kg/mol及び26kg/mol以下の数平均分子量(Mn)を有する。
【0201】
B6.B1~B5の態様のいずれか1つの組成物であって、PFPEボトルブラシポリマーは、少なくとも95%(w/w)、少なくとも98%(w/w)又は少なくとも99%(w/w)の構造IIのモノマーを含む。
【0202】
B7.B1~B6の態様のいずれか1つの組成物であって、PFPEボトルブラシポリマーは100%(w/w)の構造IIのモノマーを含む。
【0203】
B8.B1~B7の態様のいずれか1つの組成物であって、モノマーは、構造:
【化21】
を有する第2のモノマーをさらに含み、ここで、R
5は、任意選択的に、9個以下のフッ素原子、並びに、任意選択的に、1個以下のケイ素原子、3個以下の酸素原子、及び、2個以下の窒素原子を含む炭素含有リンカーであり;並びに、R
6は、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルである。
【0204】
B9.B8の態様の組成物であって、R5は少なくとも1個及び8個以下の炭素原子を含む。
【0205】
B10.B8又はB9の態様の組成物であって、R5は、-CH2CH2CH2Si(OCH3)3、-CH3又は-CH2CH2OHである。
【0206】
B11.B1~B10の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、少なくとも5%(w/w)、少なくとも10%(w/w)、少なくとも15%(w/w)、少なくとも20%(w/w)、少なくとも30%(w/w)、少なくとも40%(w/w)、少なくとも50%(w/w)、少なくとも60%(w/w)、少なくとも70%(w/w)、少なくとも80%(w/w)、少なくとも90%(w/w)又は少なくとも95%(w/w)のPFPEボトルブラシポリマーを含む。
【0207】
B12.B1~B11の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、10%(w/w)以下、15%(w/w)以下、20%(w/w)以下、30%(w/w)以下、40%(w/w)以下、50%(w/w)以下、60%(w/w)以下、70%(w/w)以下、80%(w/w)以下、90%(w/w)以下、95%(w/w)以下、又は、100%(w/w)以下のPFPEボトルブラシポリマーを含む。
【0208】
B13.B1~B12の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は1種以上のモノマーの重合から誘導された短鎖フッ素化ポリマーをさらに含み、モノマーは、構造:
【化22】
を有するモノマーを含み、ここで、R
3は、少なくとも1個の酸素原子又は窒素原子並びに少なくとも1個及び2個以下の炭素原子を含む炭素含有リンカーであり;R
4は、H、又は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子を含むアルキルであり;並びに、R
fは、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子並びに少なくとも1個及び9個以下のフッ素原子を含む置換アルキルである。
【0209】
B14.B13の態様の組成物であって、短鎖フッ素化ポリマーの分子量は、少なくとも10kg/mol、及び、300kg/mol以下である。
【0210】
B15.B13又はB14の態様の組成物であって、Rfはパーフルオロアルキルである。
【0211】
B16.B15の態様の組成物であって、パーフルオロアルキルは4個の炭素を含む。
【0212】
B17.B15又はB16の態様の組成物であって、パーフルオロアルキルは3個の炭素を有する。
【0213】
B18.B13~B17の態様のいずれか1つの組成物であって、R3は、-O-、-OCH2-又は-OCH2CH2-である。
【0214】
B19.B13~B18の態様のいずれか1つの組成物であって、R4は-CH3である。
【0215】
B20.B13又はB14の態様の組成物であって、Rfは-F又は-CH(CF3)2である。
【0216】
B21.B13~B16の態様のいずれか1つの組成物であって、モノマーは、以下の構造:
【化23】
の1つを有する。
【0217】
B22.B13~B16の態様のいずれか1つの組成物であって、R4は、H又はCH3であり、R3は-OC(O)CH2-又は-OC(O)CH2CH2-であり、及び、Rfは、少なくとも1個及び4個以下の炭素を含むパーフルオロアルキルである。
【0218】
B23.B13~B17又はB21~B22の態様のいずれか1つの組成物であって、Rfは分岐構造を含む。
【0219】
B24.B23の態様の組成物であって、R
fは、構造:
【化24】
を有し、ここで、R
f1は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子並びに少なくとも1個及び9個以下のフッ素原子を含む置換アルキルであり、並びに、R
f2は、少なくとも1個及び4個以下の炭素原子並びに少なくとも1個及び9個以下のフッ素原子を含む置換アルキルである。
【0220】
B25.B24の態様の組成物であって、Rf1はパーフルオロアルキルであるか、又は、Rfはパーフルオロアルキルであるか、又は、Rf1及びRfは共に過フルオロアルキルである。
【0221】
B26.B13~B17の態様のいずれか1つの組成物であって、短鎖フッ素化ポリマーは、1種以上のモノマーの重合から誘導され、モノマーは、構造:
【化25】
を有するモノマーを含む。
【0222】
B27.B13~B26の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、少なくとも5%(w/w)、少なくとも10%(w/w)、少なくとも15%(w/w)、少なくとも20%(w/w)、少なくとも30%(w/w)、少なくとも40%(w/w)、少なくとも50%(w/w)、少なくとも60%(w/w)、少なくとも70%(w/w)又は少なくとも80%(w/w)の短鎖フッ素化ポリマーを含む。
【0223】
B28.B13~B27の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、20%(w/w)以下、30%(w/w)以下、40%(w/w)以下、50%(w/w)以下、60%(w/w)以下、70%(w/w)以下、80%(w/w)以下、90%(w/w)以下、又は、95%(w/w)以下の短鎖フッ素化ポリマーを含む。
【0224】
B29.B13~B28の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、10%(w/w)~90%(w/w)の範囲内の短鎖フッ素化ポリマーを含む。
【0225】
B30.B13~B29の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、組成物中のポリマーの総重量に基づいて、25%(w/w)~75%(w/w)の範囲内の短鎖フッ素化ポリマーを含む。
【0226】
B31.B13~B30の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、組成物中のPFPEボトルブラシポリマー及び短鎖フッ素化ポリマーの総重量に基づいて、25%(w/w)~75%(w/w)の範囲内の短鎖フッ素化ポリマーを含む。
【0227】
B32.B13~B31の態様のいずれか1つの組成物であって、短鎖フッ素化ポリマーは、ポリ(2,2-3,3-4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)又はポリ(2,2-3,3-4-4-4-ヘプタフルオロブチルアクリレート)を含み、及び、短鎖フッ素化ポリマーは、50kg/mol~60kg/molの範囲内の数平均分子量(Mn)を有する。
【0228】
B33.B1~B30の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、少なくとも25%(w/w)及び75%(w/w)以下のPFPEボトルブラシポリマー、並びに、少なくとも25%(w/w)及び75%(w/w)以下の、ポリ(2,2-3,3-4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)を含む短鎖フッ素化ポリマーを含み、ここで、重量パーセントは組成物中のポリマーの総重量に基づいている。
【0229】
B34.B1~B30の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は、少なくとも50%(w/w)及び90%(w/w)以下のPFPEボトルブラシポリマー、並びに、少なくとも10%(w/w)及び50%(w/w)以下の、ポリ(2,2-3,3-4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)を含む短鎖フッ素化ポリマーを含み、ここで、重量パーセントは組成物中のポリマーの総重量に基づいている。
【0230】
B35.B1~B34の態様のいずれか1つの組成物であって、PFPEボトルブラシポリマーは架橋性側鎖を有するモノマーを含む。
【0231】
B36.B1~B35の態様のいずれか1つの組成物であって、組成物は有機溶剤を含む。
【0232】
B37.B36の態様の組成物であって、有機溶剤はメチルエチルケトン(MEK)又はフッ素系溶剤を含む。
【0233】
B38.B37の態様の組成物であって、フッ素系溶剤はフッ素化エーテルを含む。
【0234】
B39.B1~B38の態様のいずれか1つの組成物であって、溶剤中の全ポリマーの濃度は、溶剤の体積(mL)あたり少なくとも1重量%のポリマー(グラム)(w/v)、少なくとも2%(w/v)、少なくとも3%(w/v)、少なくとも4%(w/v)、少なくとも5%(w/v)、少なくとも6%(w/v)又は少なくとも7%(w/v)である。
【0235】
B40.B1~B39の態様のいずれか1つの組成物であって、溶剤中の全ポリマーの濃度は、溶剤の体積(mL)あたり1重量%のポリマー(グラム)(w/v)以下、2%(w/v)以下、3%(w/v)以下、4%(w/v)以下、5%(w/v)以下、6%(w/v)以下、7%(w/v)以下、又は、8%(w/v)以下である。
【0236】
B41.B1~B40の態様のいずれか1つの組成物であって、PFPEボトルブラシポリマーは、nが4以上であるサブユニットを含まない。
【0237】
例示的な物品態様
C1.物品の表面に載置された組成物を含み、処理済み物品を形成する物品であって、組成物は、A1~A47又はB1~B41の態様のいずれか1つの組成物を含む。
【0238】
C2.C1の態様の物品であって、物品は多孔性ろ過媒体を含み、ここで、組成物は、多孔性ろ過媒体の主表面上に載置されて、処理済み多孔性ろ過媒体を形成する。
【0239】
C3.C2の態様の物品であって、多孔性ろ過媒体は、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルスルホン、フッ化ポリビニリデン、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテル、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ポリスチレン、セルロース系ポリマー(例えば、酢酸セルロース)若しくはガラス、又は、これらの組み合わせを含む。
【0240】
C4.C2又はC3の態様の物品であって、多孔性ろ過媒体はePTFEを含む。
【0241】
C5.C1又はC4の態様のいずれか一方の物品であって、多孔性ろ過媒体はメンブランを含む。
【0242】
C6.C2~C5の態様のいずれか1つの物品であって、処理済み多孔性ろ過媒体は、AATCC試験法118(TM118-2013e2)による測定で多孔性ろ過媒体の少なくとも1つの主表面上において少なくとも6、より好ましくは少なくとも7の疎油性を示し、ここで、評価はもっとも近い整数値に丸められている。
【0243】
C7.C1~C6の態様のいずれか1つの物品であって、多孔性ろ過媒体は4ミル~15ミルの範囲内の厚さを有する。
【0244】
C8.C1~C7の態様のいずれか1つの物品であって、多孔性ろ過媒体は、処理前に、0.5水柱インチで0.1CFM~0.5水柱インチで3CFMの範囲内の浸透性を示す。
【0245】
C9.C1~C8の態様のいずれか1つの物品であって、多孔性ろ過媒体は、処理前に、0.1μm~1.5μmの範囲内の平均流量孔径を有する。
【0246】
C10.C1~C9の態様のいずれか1つの物品であって、多孔性ろ過媒体は、処理前に、0.5水柱インチで0.1CFM~0.5水柱インチで0.2CFMの範囲内の浸透性;8ミル~11ミルの範囲内の厚さ;及び、0.1μm~0.3μmの範囲内の平均流量孔径を示す。
【0247】
C11.C1~C10の態様のいずれか1つの物品であって、多孔性ろ過媒体は、処理前に、0.5水柱インチで2CFM~0.5水柱インチで3CFMの範囲内の浸透性;7ミル~15ミルの範囲内の厚さ;及び、0.5μm~2μmの範囲内の平均流量孔径を示す。
【0248】
C12.C1~C10の態様のいずれか1つの物品であって、多孔性ろ過媒体は、処理前に、0.5水柱インチで0.1CFM~0.5水柱インチで0.4CFMの範囲内の浸透性;9ミル~14ミルの範囲内の厚さ;及び、0.5μm~0.9μmの範囲内の平均流量孔径を示す。
【0249】
C13.C1~C7の態様のいずれか1つの物品であって、後処理後の多孔性ろ過媒体は、0.1μm~1.5μmの範囲内の平均流量孔径を有する。
【0250】
C14.C13の態様の物品であって、後処理後の多孔性ろ過媒体は、0.5水柱インチで0.1CFM~0.5水柱インチで0.2CFMの範囲内の浸透性;8ミル~11ミルの範囲内の厚さ;及び、0.1μm~0.3μmの範囲内の平均流量孔径を示す。
【0251】
C15.C13の態様の物品であって、後処理後の多孔性ろ過媒体は、0.5水柱インチで1.4CFM~0.5水柱インチで3.5CFMの範囲内の浸透性;7ミル~15ミルの範囲内の厚さ;及び、1μm~1.5μmの範囲内の平均流量孔径を示す。
【0252】
C16.C13の態様の物品であって、後処理後の多孔性ろ過媒体は、0.5水柱インチで0.1CFM~0.5水柱インチで0.4CFMの範囲内の浸透性;9ミル~14ミルの範囲内の厚さ;及び、0.5μm~2μmの範囲内の平均流量孔径を示す。
【0253】
C17.C14の態様の物品であって、物品の表面上に載置された組成物は:少なくとも25%(w/w)及び75%(w/w)以下のPFPEボトルブラシポリマー、並びに、少なくとも25%(w/w)及び75%(w/w)以下の、ポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)を含む短鎖フッ素化ポリマーを含み、ここで、重量パーセントは組成物中のポリマーの総重量に基づいている。
【0254】
C18.C14又はC17の態様の物品であって、物品の表面上に載置された組成物は、溶剤の体積(mL)あたり少なくとも3重量%のポリマー(グラム)(w/v)、及び/又は、6%(w/v)以下のポリマーを含む。
【0255】
C19.C15の態様の物品であって、物品の表面上に載置された組成物は:少なくとも25%(w/w)及び75%(w/w)以下のPFPEボトルブラシポリマー、並びに、少なくとも25%(w/w)及び75%(w/w)以下の、ポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)を含む短鎖フッ素化ポリマーを含み、ここで、重量パーセントは組成物中のポリマーの総重量に基づいている。
【0256】
C20.C15又はC19の態様の物品であって、物品の表面上に載置された組成物は、溶剤の体積(mL)あたり少なくとも4重量%のポリマー(グラム)(w/v)、及び/又は、6%(w/v)以下のポリマーを含む。
【0257】
C21.C16の態様の物品であって、物品の表面上に載置された組成物は:少なくとも10%(w/w)及び50%(w/w)以下のPFPEボトルブラシポリマー、並びに、少なくとも50%(w/w)及び90%(w/w)以下の、ポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)を含む短鎖フッ素化ポリマーを含み、ここで、重量パーセントは組成物中のポリマーの総重量に基づいている。
【0258】
C22.C16又はC21の態様の物品であって、物品の表面上に載置された組成物は、溶剤の体積(mL)あたり少なくとも2重量%のポリマー(グラム)(w/v)、及び/又は、6%(w/v)以下のポリマーを含む。
【0259】
例示的な形成方法
D1.物品を形成する方法であって、方法は:物品の表面と、A1~A47又はB1~B41の態様のいずれか1つの組成物を含む混合物であって、組成物が液体を含むものと接触させるステップ、混合物を表面上に載置して処理済み物品を形成するステップ、及び、液体を除去するステップを含む。
【0260】
D2.D1の態様の方法であって、液体は有機溶剤を含む。
【0261】
D3.D2の態様の方法であって、有機溶剤は、メチルエチルケトン(MEK)又はフッ素系溶剤を含む。
【0262】
D4.請求項D3の方法であって、フッ素系溶剤はフッ素化エーテル。
【0263】
D5.D2~D4の態様のいずれか1つの物品であって、混合物は、有機溶剤中に完全に溶解したフッ素化ポリマーを含む。
【0264】
D6.D1~D4の態様のいずれか1つの方法であって、混合物はエマルジョンを含む。
【0265】
D7.D1~D6の態様のいずれか1つの方法であって、物品は多孔性ろ過媒体を含み、並びに、方法は、多孔性ろ過媒体の表面を混合物と接触させるステップ、及び、混合物を多孔性ろ過媒体の表面上に載置して処理済み多孔性ろ過媒体を形成するステップを含む。
【0266】
D8.D7の方法であって、処理済み多孔性ろ過媒体を形成するステップは、処理済み多孔性ろ過媒体を熱処理するステップをさらに含む。
【0267】
D9.D8の態様の方法であって、処理済み多孔性ろ過媒体を熱処理するステップは、処理済み多孔性ろ過媒体を、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、少なくとも100℃若しくは少なくとも120℃の温度に加熱するステップ;及び/又は、処理済み多孔性ろ過媒体を、130℃以下、140℃以下若しくは150℃以下の温度に加熱するステップを含む。
【0268】
D10.D8の態様の方法であって、処理済み多孔性ろ過媒体を熱処理するステップは、処理済み多孔性ろ過媒体を、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、少なくとも100℃若しくは少なくとも120℃の温度に加熱するステップ;及び/又は、処理済み多孔性ろ過媒体を、130℃以下、140℃以下若しくは150℃以下の温度に加熱するステップを含む。
【0269】
D11.D8~D10の態様のいずれか1つの方法であって、処理済み多孔性ろ過媒体を熱処理するステップは、処理済み多孔性ろ過媒体を、少なくとも1分間、少なくとも2分間若しくは少なくとも3分間加熱するステップ;及び/又は、処理済み多孔性ろ過媒体を、3分間以下、4分間以下、5分間以下若しくは10分間以下加熱するステップを含む。
【0270】
D12.D7~D10の態様のいずれか1つの方法であって、多孔性ろ過媒体の表面を混合物と接触させるステップは、多孔性ろ過媒体を混合物中に浸漬するステップを含む。
【0271】
D13.D7~D11の態様のいずれか1つの方法であって、処理済み多孔性ろ過媒体は、AATCC試験法118(TM118-2013e2)による測定で、少なくとも1つの主表面において少なくとも6、より好ましくは少なくとも7の疎油性を有し、ここで、評価はもっとも近い整数値に丸められている。
【0272】
D14.D13の態様の方法であって、処理済み多孔性ろ過媒体は、多孔性ろ過媒体の2つの主表面において少なくとも6、より好ましくは少なくとも7の疎油性を有する。
【0273】
D15.D7~D14の態様のいずれか1つの方法であって、処理済み多孔性ろ過媒体は、AATCC試験法118(TM118-2013e2)による測定で8以下の疎油性を有し、ここで、評価はもっとも近い整数値に丸められている。
【0274】
本発明は、以下の実施例により例示される。特定の例、材料、量及び手法は、本明細書に記載されている本発明の範囲及び趣旨に従って広く解釈されるべきであると理解されたい。
【実施例】
【0275】
材料及び方法
以下の実施例において用いたすべての試薬、出発材料及び溶剤は、市販のサプライヤ(Sigma Aldrich,St.Louis,MOなど)から購入し、別段の定めがある場合を除きさらに精製することなく用いた。
【0276】
ポリマー
パーフルオロポリエーテルメタクリレート(PFPE、分子量(MW)=1000)を、Fuzhou Topda New Material Co.,Ltd.(Fuzhou,China)から得た。
【0277】
2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレートをTCI America(Portland,OR)から得た。
【0278】
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)をSigma Aldrich(Milwaukee,WI)から得た。
【0279】
3M NOVEC 7100溶剤をBest Technology,Inc.(Plymouth,MN)から得た。
【0280】
ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIPA)をSigma Aldrich(St.Louis,MO)から得た。
【0281】
Phenogel MIXED Cカラム(300mm×7.8mm)をPhenomenex(Torrance,CA)から得た。
【0282】
パーフルオロ(2-メチル-3-オキサヘキサン-1-オール)をSynquest Labs(Alachua,FL)から得た。
【0283】
塩化アクリロイルをSigma Aldrich(St.Louis,MO)から得た。
【0284】
媒体
ePTFE媒体(メンブラン)は媒体A~媒体Cを備えていた。これらの媒体の特徴を以下の表1に示す。
【0285】
立方フィート/分(CFM)での通気度は、Air Permeability Tester Model FX3300(Texttest AG,Schwerzenbach,Switzerland)を用いて、0.5インチの水の差圧で測定した。
【0286】
厚さを、ベースプレート及び可動式押え金を備えるModel 3Wダイヤルコンパレータ(B.C.Ames Incorporated,Framingham,MA)を用いて、1.5psiで測定した。
【0287】
孔径を、湿潤液としてPOROFIL Wetting Solution(Quantachrome Instruments,Boynton Beach,CA)を用いて、キャピラリーフローポロメータ(Porolux 500,Through-Pore Size Analyzer,POROMETER NV,APTCO Group,Nazareth,Belgium)によるキャピラリ押出しポロメトリ(capillary extrusion porometry)で測定した。
【0288】
直径25mmのサンプルを、湿潤状態及び乾燥状態の両方(最初に乾燥、次いで、湿潤)において、0.115bar~3.5barの圧力掃引(すなわち、連続圧力スキャン)に供して、0.1ミクロンから4ミクロンの範囲内の孔径を測定した。
【0289】
サンプルを、低圧から高圧まで、乾燥及び湿潤状態でテストした。テストの飽和部分からの空気流及びサンプル圧力が、通例湿潤曲線と呼ばれる。乾燥曲線及び湿潤曲線の両方について、200点のデータを、圧力のスキャン範囲にわたって集めた。テストを周囲条件(例えば、20℃~25℃)で実施した。経験的な屈曲係数及び/又は0.715の形状係数を適用して、孔径の定義を調節した。
【0290】
フローポロメトリテスト手法では、乾燥サンプルについて圧力(通常、x軸にプロット)及び空気流(通常、y軸にプロット)のデータセット、並びに、飽和(湿潤)サンプルについて圧力及び空気流のデータセットを集める。これらの2つのデータセットは通例、乾燥曲線及び湿潤曲線と呼ばれる。すなわち、以下のとおりである。
乾燥曲線=V乾燥=圧力に応じる乾燥サンプルを通る空気流
湿潤曲線=V湿潤=圧力に応じる飽和サンプルを通る空気流
【0291】
毛管理論に基づき、サンプル両側の圧力(ΔP)は、ヤングラプラスの式を用いて孔の直径(d)に転換可能である。
【数1】
式中、
γ=流体表面張力
θ=流体接触角
d=孔の直径
ΔP=サンプル両側の圧力
【0292】
この転換により、孔の直径の関数として乾燥及び湿潤曲線を定義することが可能となる。
乾燥曲線=V'乾燥=直径に応じる乾燥サンプルを通る空気流
湿潤曲線=V'湿潤=直径に応じる飽和サンプルを通る空気流
【0293】
累積流量孔径分布(Q)は、孔の直径に応じる、乾燥曲線に対する湿潤曲線の比と定義され、以下のとおりである。
【数2】
【0294】
平均流量孔径は、湿潤曲線と「半乾燥」曲線とが交差する圧力で算出した。半乾燥曲線は、V'乾燥の2で数学的に除算することで得られる。平均流量孔径は、少なくとも3つの計測値の平均から算出した。
【0295】
最大孔径は、計測したバブルポイントを検出することにより測定した。すなわち、バブルポイントは、サンプルを横切る空気流を計測しながら濡らしたサンプルに対する圧力を高めることにより測定した。計測したバブルポイントは、空気流が最初に観察され、最初の最も大きい孔に脱濡れが生じた点を示す圧力と定義される。
【0296】
【0297】
媒体BのePTFE媒体をスクリムに積層したため、2つのサイドは同等ではなかった。本明細書で参照されているとおり、媒体Bのサイド1はePTFEであり、媒体Bのサイド2はスクリムである。
【0298】
フッ素化ポリマー
一般的なフッ素化ポリマー合成方法
磁気撹拌棒を備える20mLのシンチレーションバイアル(4g及び10gスケール反応用)又は撹拌シャフトを備えるジャケット付反応器(100gスケール反応用)に、記載の量のモノマー、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)及び溶剤を仕込んだ。バイアル又は反応器をしっかりと閉じ、アルゴンで5分間スパージして空気を除去した。バイアルを用いた場合、反応混合物を含有するバイアルを、フィードバックプローブを利用して制御するホットプレート/磁気撹拌機を固定した特注のアルミニウムブロックに入れ、65℃に予熱した。反応器を用いた場合、溶剤が逃げないように還流凝縮器を反応器の上部に配置し、反応混合物を含有する反応器のジャケットを65℃に予熱した。次いで、重合反応を65℃で一晩(少なくとも12時間)進行させた。反応は10時間以内に完了したことが反応速度分析で明らかであった。反応混合物を室温に冷却し、所望のw/v%に溶剤で希釈した。溶液の濃度を、1mLの溶液を予め秤量したペトリ皿にピペッティングすることにより検証した。溶剤を蒸発させ、ペトリ皿を再度秤量してポリマーの質量を得た。
【0299】
得られた溶液は、以下にさらに記載のとおり、そのままサンプルのコーティングに用いるか、又は、溶液中で他のポリマーと混合し、次いで、サンプルのコーティングに用いた。
【0300】
ポリ(2,2-3,3-4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)(「ポリマー1」)
表2Aに示されているとおり、10g又は100gの2,2-3,3-4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート、0.036~0.45gのAIBN、及び、10mL又は100mLのNOVEC 7100 Engineered Fluidを用いて、一般的なフッ素化ポリマー合成方法に記載されているとおり、ポリ(2,2-3,3-4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)(「ポリマー1」)を生成した。得られたポリマーは、表2Bに示されているとおり、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、多分散性指数(PDI)及びガラス転移温度(Tg)を示した。
【0301】
ポリ(パーフルオロポリエーテル1000メタクリレート)(「ポリマー2」)
表2Aに示されているとおり、4gのパーフルオロポリエーテル1000メタクリレート、0.008g~0.032gのAIBN、及び、4mLのNOVEC 7100 Engineered Fluidを用いて、一般的なフッ素化ポリマー合成方法に記載されているとおり、ポリ(パーフルオロポリエーテル1000メタクリレート)(「ポリ(PFPE1000)」又は「ポリマー2」)を生成した。得られたポリマーは、表2Bに示されているとおり、平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、多分散性指数(PDI)、重合度(DP)及びガラス転移温度(Tg)を示した。
【0302】
【0303】
【0304】
数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)
2つのPHENOGELカラム(MIXED-C、300mm×7.8mm、Phenomenex,Torrance,CA)をループで用いた。ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIPA)を溶剤として0.8mL/分の流量で用いた。カラム温度は50℃であった。示差屈折率検出器を唯一の検出法として用いた。800Da~2,200kDaの範囲のクロマトグラフィーピーク(Mp)の最大値に対応する分子量の値を有するポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)ポリマーのセット(ポリ(メチルメタクリレート)標準ReadyCal、設定Mp800~2,200,000Da、Sigma Aldrich、St.Louis,MO)を用いて、表3に示す較正曲線を生成した。
【0305】
本明細書において報告した数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び重合度(n)値はすべて、この較正セットと、Cirrus GPC Software for OpenLAB CDS ChemStation Edition(Agilent,Santa Clara,CA)を用いるGPCパラメータとを用いて得た。
【0306】
重合度(n)は、Mn値をモノマーの分子量(MW)で除することにより判定した。
【0307】
【0308】
ガラス転移温度(Tg)
ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、Q2000 DSC(TA Instruments,New Castle,DE)を用いて得た。典型的なDSC実施手法は以下のとおりであった:サイクル1:室温→100℃→-90℃→室温。サイクル2:23℃→100℃→-90℃→室温。スキャン速度は10℃/分であった。ガラス転位ピークは、第2のサイクルに関する組み込みソフトウェアを用いて算出した。
【0309】
コーティング手法
1%(w/v)~6%(w/v)のポリマーをNOVEC 7100中に含むコーティング溶液を、コーティングされる媒体が充分に浸るように充分な深さにまで、アルミニウム製のペトリ皿に注ぎ入れた。溶液中に浸漬した端部を引張り、引き出して、媒体の残りをおよそ同一の角度で後に続かせた。進入時とおよそ同一の角度で媒体が溶液から完全に出たら、表面上及び孔の中の過剰な溶剤を数秒かけて排出した。次いで、コーティングした媒体を支持型に置いて乾燥に伴う反り/収縮性を防止した。コーティングした媒体が視認で乾燥した後(典型的には、媒体グレードに応じて10秒間~30秒間)、90℃のオーブンに5分間入れた。
【0310】
疎油性テスト
1~8のスケールで疎油性評価を判定するために、「Oil Repellency:Hydrocarbon Resistance Test」と題されたAATCC TM118-2013e2に従って疎油性のテストを行った。簡潔には、種々の油の液滴(表4Aに記載)をコーティングした媒体上に置いた。各油液滴の動きを止めて1分間静置し、その後、オレオ評価を記録した。
【0311】
Kaydolによる濡れに対する耐性は1の疎油性評価を示し;Kaydol:n-ヘキサデカンの65:35混合物による濡れに対する耐性は、2の疎油性評価を示し;n-ヘキサデカンによる濡れに対する耐性は3の疎油性評価を示し;n-テトラデカンによる濡れに対する耐性は4の疎油性評価を示し;n-ドデカンによる濡れに対する耐性は5の疎油性評価を示し;n-デカンによる濡れに対する耐性は6の疎油性評価を示し;n-オクタンによる濡れに対する耐性は7の疎油性評価を示し;n-ヘプタンによる濡れに対する耐性は8の疎油性評価を示す。AATCC TM118-2013e2の
図1に係る「A-タイプ」及び「B-タイプ」の液滴は共に「合格」とみなした;それ故、本明細書における評価はもっとも近い整数値である。
【0312】
【0313】
ガソリンによる濡れに対するテスト時間
ガソリンに対する耐性を判定するために、10μLのガソリン液滴(Holiday Stationstores,Penn Ave.,Bloomington,MNから入手した)をコーティングしたサンプル上に静かに置き、小滴が濡れの兆候を示すまでの時間を記録した。濡れまでの時間が30秒間を超える場合、>30秒間を記録した。
【0314】
熱分解データ分析方法
ごく微量(50μg未満)のコーティングした媒体を入れた小さいサンプルカップを、ガスクロマトグラフ質量分光計(Model QP-2010、日本国京都府の株式会社島津製作所)に取り付けたパイロライザー(Model PY-3030D、日本国福島県郡山市のフロンティア・ラボ株式会社)に入れた。サンプルを700℃に急速に加熱し、熱分解物をGCカラム(Ultra ALLOY UA-5、日本国郡山市のフロンティア・ラボ株式会社)において30分間かけて分離し、その後、質量分光計により分析した。
【0315】
表面エネルギーの算出
ポリマーの5%(w/v)溶液をスライドガラス上にコーティングし、空気乾燥してポリマーフィルムを形成した。次いで、ポリマーでコーティングしたスライドガラスをオーブン中に90℃で5分間置いた。得られたフィルムの表面エネルギーを、ISO19403-2 2017-06のOwens-Wendt-Rabel-Kaelble(WORK)法を用いて算出した。接触角を取得するために用いた液体を表4Bに示す。コーティングしたフィルムについて報告した表面エネルギー(表面張力とも称されている)値は、極性成分と分散性成分の合計である。
【0316】
【0317】
核磁気共嗚(NMR)
核磁気共嗚(NMR)を、BBO Probe(Bruker Corporation,Billerica,MA)を備えるAvance NEO 400 MHz分光計(Bruker Corporation,Billerica,MA)を用いて行った。30degパルスを用いるBrukerパラメータセットPROTON(パルスシーケンス:zg30)及び16スキャンを用いた。掃引幅は20ppm(8197Hz)であった。パルス間の遅延は1秒間で、取得時間は4秒間であった。32K点のデータを298K(lHスペクトル)で収集した。
【0318】
実施例1~50
ポリマー1(ポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)及びポリマー2(ポリ(パーフルオロポリエーテル1000メタクリレート))を上記のとおり調製した。表5Aに示されている量のポリマー1及びポリマー2をNOVEC 7100中に含む混合物を調製した。示した濃度のポリマーを含むコーティング溶液を用いて、材料及び方法のセクションに記載されている3種の異なる媒体(媒体A、媒体B及び媒体C)をコーティングした。
【0319】
得られたコーティングした媒体の疎油性及び浸透性を評価した。結果を表5Bに示す。
【0320】
図3~
図5に示すとおり、結果をさらに、Design-Expert(version 12,State Ease,Minneapolis,MN)を用いて等高線混合プロセスプロットとしてプロットして、コーティングされていないサンプルに近い浸透性を保持しながらも最も高い疎油性をもたらすポリマー1及びポリマー2の濃度及び割合を判定した。各媒体タイプについて、重要な項の統計的フィット分析を行い、p値を逆方向に用いてα>0.1のフィットを有する項を削除することで有意ではない項はすべて削除した。
図3~
図5の各パネルについて用いたモデルの統計的フィットに関する追加の情報を表6~表8に示す。表6~8において、Adeqは「充分な精度」を指し、設計点における予測値の範囲と平均予測誤差とを比較するSN比である。
【0321】
図3A及び
図3Bに見られるように、媒体Aについて、コーティング混合物が、25%(w/w)~75%(w/w)の範囲内でポリマー1を含むと共に25%(w/w)~75%(w/w)の範囲内でポリマー2を含み、溶剤の体積(mL)あたり少なくとも3重量%のポリマー(グラム)(w/v)の濃度でコーティングされた場合、少なくとも0.08の浸透性を維持しながら、少なくとも7の撥油特性が達成された。
【0322】
図4A及び
図4Bに見られるように、媒体B(ePTFE)のサイド1について、コーティング混合物が、25%(w/w)~75%(w/w)の範囲内でポリマー1を含むと共に25%(w/w)~75%(w/w)の範囲内でポリマー2を含み、少なくとも4%(w/v)の濃度でコーティングされた場合、少なくとも2の浸透性を維持しながら、少なくとも7の撥油特性が達成された。
【0323】
図4C及び
図4Dに見られるように、媒体B(スクリム)のサイド2について、コーティング混合物が、25%(w/w)~75%(w/w)の範囲内でポリマー1を含むと共に25%(w/w)~75%(w/w)の範囲内でポリマー2を含み、少なくとも4%(w/v)の濃度でコーティングされた場合、少なくとも2の浸透性を維持しながら、少なくとも6の撥油特性が達成された。
【0324】
図5A及び
図5Bに見られるように、媒体Cについて、コーティング混合物が、50%(w/w)~90%(w/w)の範囲内でポリマー1を含むと共に10%(w/w)~50%(w/w)の範囲内でポリマー2を含み、少なくとも2%(w/v)の濃度でコーティングされた場合、少なくとも0.145の浸透性を維持しながら、少なくとも7の撥油特性が達成された。
【0325】
実施例39~50のコーティングした媒体を、ガソリンで濡れるまでの時間を判定するためにさらに評価した。結果を表5Cに示す。
【0326】
実施例8のコーティングした媒体を、孔径に対するコーティングの影響を判定するためにさらに評価した。結果を表9に示す。
【0327】
【0328】
【0329】
【0330】
【0331】
【0332】
【0333】
【0334】
【0335】
【0336】
【0337】
実施例51
媒体Cを、様々な量のポリマー1及びポリマー2(実施例2、14、10、12、18及び17からの混合物)を含む混合物でコーティングした。媒体を熱分解データ分析方法に従ってテストした。結果を
図6A~
図6Eに示す。
【0338】
結果は、溶液中のポリマー1及びポリマー2はコーティングした媒体に移行可能であることを示し;溶液中におけるポリマー1及びポリマー2の比率が熱分解の結果に反映されていた。
【0339】
実施例52A
2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート(モノマー1)及びパーフルオロポリエーテル
1000メタクリレート(モノマー2)を共重合することによって実施例1~50(ポリマー1及びポリマー2の混合物を含んでいた)において観察されたものと同様の結果を得ることが可能であるかを判定するために、一般的なフッ素化ポリマー合成方法(モノマーの総量(モノマー1+モノマー2)は2gであり、2mLのNOVEC 7100及び0.008gのAIBNを伴う、65℃、>12時間)及び表10に示されている割合を用いて、ポリマー1及びポリマー2を得るために用いたモノマーを共重合した。形成した後、コポリマーをスライドガラスにコーティングした。得られたコーティングした表面の表面エネルギー(ミリニュートン/メートル(mN/m))を、「表面エネルギーの算出」方法に記載されているとおり計測した。結果を
図1Aに示す。
【0340】
ポリマー1及びポリマー2の混合物による表面のコーティングで低い表面エネルギーがもたらされた実施例1~50及び実施例52Bにおいて得られた結果とは対照的に、より少ない量のポリマー2を用いた場合であっても(例えば、30%と少量)、共重合したポリマー1及びポリマー2で表面をコーティングした場合、表面エネルギーを有意に低下させるためにはモノマー2は高いレベル(例えば95%超)で必要とされる。
【0341】
理論に束縛されることは望まないが、共重合された場合、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレートモノマー(モノマー1)が、PFPE
1000モノマー(モノマー2)の長い側鎖が伸張したコンフォーメーション(
図1Bを参照のこと)に強制されることを防止すると考えられており、また、このような伸張したコンフォーメーションを組み立てる側鎖が、低い表面エネルギーを達成するために必要であると考えられている。
【0342】
【0343】
実施例52B
ポリマー1、ポリマー2、又は、これらの混合物の固体表面エネルギー(表面張力とも称されている)をテストするために、ポリマー(又はその混合物)をスライドガラスにコーティングした。得られたコーティングした表面の表面エネルギー(ミリニュートン/メートル(mN/m))を、「表面エネルギーの算出」方法に記載されているとおり計測した。結果を
図1Cに示す。
【0344】
意外なことに、実施例1~50に示されているとおり混合物中のポリマー2の量の増加に伴って表面エネルギーは低下し続けるが、ポリマー1及びポリマー2の混合物が最も高い疎油性評価を達成している。
【0345】
理論に束縛されることは望まないが、重合された場合、PFPE
1000モノマー(モノマー2)の長い側鎖は、重合された時に(ポリマー2)伸張したコンフォーメーション(
図1D、左側を参照のこと)とされ、これがポリマー1(
図1D、右側)と混合された場合においても維持されると考えられている。
【0346】
実施例53
以下の構造:
【化26】
を有すると共に384.13g/molの分子量を有するモノマー(本明細書において「モノマー3」と称されている)を、24.6gの1H,1H-パーフルオロ(2-メチル-3-オキサヘキサン-1-オール)、200mLのNOVEC 7100、及び、磁気撹拌棒を還流凝縮器を備える500mLの3首丸底フラスコに加えることで調製した。このフラスコをアルゴンで10分間スパージした。7.6mLの塩化アクリロイルをシリンジで滴下し、次いで、反応を一晩還流した。還流で30分間以内に白色の沈殿物が現れた。反応を冷却し、冷水に注ぎ入れ、多量の水及び塩水で洗浄した。次いで、有機相を10gの硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮して清透な油とした。清透な油を、NOVEC 7100でアルミナプラグを通してフラッシングし、再度濃縮して約24gのモノマー3を得た。NMR結果を
図7に示す。
【0347】
以下の構造:
【化27】
(式中、R
1=OCH
2CF(CF
3)、R
2=CH
3、n=3、y=0、及び、z=101)を有するポリマー(ポリマー3)を、一般的なフッ素化ポリマー合成方法(2gのモノマー、0.008gのAIBN、2mLのNOVEC 7100、65℃、>12時間、20mLのシンチレーションバイアル中)を用いて調製した。ポリマー3(濃度:3.5%(w/v))をNOVEC 7100中に含む混合物を調製し、これを用いて、材料及び方法のセクションに記載されている3種の異なる媒体(媒体A、媒体B及び媒体C)をコーティングした。得られた媒体の疎油性をテストし、結果を表11に示す。
【0348】
【0349】
実施例54
ポリマー(本明細書において、ポリマー4と称されている)を、モノマー2及び3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(Sigma Aldrich、St.Louis,MO)(本明細書において、モノマー4と称されている)から調製し、ここで、モノマー4は、以下の構造:
【化28】
(式中、R
5=-CH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3、R
6=-CH
3)を有する。このポリマーは、一般的なフッ素化ポリマー合成方法(2gのモノマー2、0.007gのモノマー4、0.008gのAIBN、2mLのNOVEC 7100、65℃、>12時間、20mLのシンチレーションバイアル中)を用いて調製した。
【0350】
ポリマー4(濃度:3.5%(w/v))をNOVEC 7100中に含む混合物を反応の希釈により調製し、これを用いて、材料及び方法のセクションに記載されている3種の異なる媒体(媒体A、媒体B及び媒体C)をコーティングした。得られた媒体の疎油性をテストし、結果を表12に示す。
【0351】
【0352】
実施例55~67
架橋剤の量を変化させることが得られるポリマーの疎油性に与える影響を評価するために、種々のポリマーを調製した。架橋されたポリマーは、ポリマー2(ポリ(パーフルオロポリエーテル
1000メタクリレート))(上記のとおり調製)と、Evonik(Essen,Germany)から得たMEMO(3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)と、NOVEC 7100とを用いて調製した。架橋剤の量は1.7mol%~38mol%で変化させた。AIBNを開始剤として用いた。成分の量を表13に示す。架橋されたポリマーを、媒体Bのメンブラン側(ePTFE側)及びスクリム側を含む、3種の異なるタイプの媒体(媒体A、B及びC)上にコーティングした。コーティング組成物は、架橋されたポリマーを1wt-$、2wt-%、3wt-%及び4wt-%の濃度で含んでいた。コーティングした媒体を疎油性能についてテストした。結果を表14A~14D及び
図8に示す。
【0353】
【0354】
【0355】
【0356】
【0357】
【0358】
本明細書において引用するすべての特許、特許出願及び公報並びに電子的に入手可能な資料の完全な開示は参照により援用される。本出願の開示と、本明細書において参照により援用されるいずれかの文書の開示との間になんらかの矛盾が存在する場合、本出願の開示が優先するものとする。前述の詳細な説明及び実施例は、理解を明瞭にするためにのみ提供されている。これらから不必要な限定が理解されるものではない。本発明は示され記載された詳細に厳密に限定されず、当業者に明らかな変形は、特許請求の範囲により定義される本発明内に包含されることとなる。
【国際調査報告】