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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】新規LRAT阻害剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20240201BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240201BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A61K8/46
A61K8/49
A61Q19/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543361
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-08-31
(86)【国際出願番号】 EP2022053021
(87)【国際公開番号】W WO2022175136
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】21157280.5
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】イムフェルド, ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】シュッツ, ロルフ
(72)【発明者】
【氏名】ローリングズ, アンソニー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC761
4C083AC762
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD352
4C083AD621
4C083AD622
4C083CC02
4C083DD33
4C083EE12
(57)【要約】
本発明は、レシチンレチノールアシルトランスフェラーゼ阻害剤(LRAT阻害剤)としてのある特定のアミジノ置換アミノ酸誘導体の使用、前記アミノ酸誘導体を含む化粧料組成物並びに皮膚老化の処置のためのその使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚老化を予防する及び/又は処置するための、式(I)又は(II)の少なくとも1つの化合物
【化1】

(式中、
は、C~C20アルキル基又はアリール基であり;
は、OH、SH、C~Cアルコキシ基、C~Cチオアルコキシ基又は式(III)の残基
【化2】

(式中、点線はカルボニル基への連結を表し、Rは、H、C~C15アルキルスルホニル基又はC~Cアシル基から選択される)であり;
は、Hであり;
は、H、NH若しくはC1~5アルキル基であるか;
又は、R及びRは一緒に、アルキレン若しくはアルケニレン基であり、ここで任意選択的に、炭素原子のうち1個がO又はNHにより置換され得る);
又は化粧料的に許容可能なその塩
を含む、局所組成物の美容的使用。
【請求項2】
が直鎖状C~C15アルキル基又はC6~10アリール基、より好ましくは直鎖状C10~C12アルキル基又はナフト-2-イル、最も好ましくはドデシルである、請求項1に記載の美容的使用。
【請求項3】
が、OH、直鎖状C~Cアルコキシ基又は式(III)の残基(式中、Rは、C~C12アルキルスルホニル基又は直鎖状C~Cアシル基から選択される)であり、最も好ましくはRが、OH、OMe又は式(III)の残基(式中、Rは直鎖状C~C12アルキルスルホニル基である)である、請求項1又は2に記載の美容的使用。
【請求項4】
がHであり、RがH、NH又はC1~3アルキル基であるか、又はR及びRが一緒に直鎖状C1~4アルキレン若しくは直鎖状C1~4アルケニレン基であり、最も好ましくはRが、H、NH若しくはメチルであるか、又はR及びRが一緒にエチレンである、請求項1~3のいずれか1項に記載の美容的使用。
【請求項5】
前記式(I)の化合物が、式(Ia)又は(Ib)の化合物
【化3】

(式中、
は、C10~C12アルキル基又はナフト-2-イル基であり;
は、OH又は式(III)の残基
【化4】

(式中、点線はカルボニル基への連結を表し、Rは、直鎖状C~C12アルキルスルホニル基から選択される)であり;
は、Hであり;
は、H、メチル若しくはNHであるか;
又はR及びRは一緒にエチレンである)
又はその化粧料的に許容可能であるその塩
である、請求項1~4のいずれか1項に記載の美容的使用。
【請求項6】
前記式(II)の化合物が、式(IIa)の化合物
【化5】

(式中、
は、C10~C12アルキル基であり;
は、OH、OMe又は式(III)の残基
【化6】

(式中、点線は、カルボニル基への連結を表し、Rは、C~C12アルキルスルホニル基から選択され、好ましくはメチルスルホニルである)であり、
は、Hであり;
は、H、NH若しくはC1~5アルキル基であるか;
又はR及びRは一緒に、アルキレン若しくはアルケニレンであり、ここで任意選択的に炭素原子のうち1個がO又はNHにより置換され得る);
又は化粧料的に許容可能なその塩
である、請求項1~5のいずれか1項に記載の美容的使用。
【請求項7】
前記式(I)又は(II)の化合物が、式
【表1】





の化合物
又は化粧料的に許容可能なその塩
である、請求項1~6のいずれか1項に記載の美容的使用。
【請求項8】
前記組成物中の前記式(I)若しくは(II)の化合物又は個々のその塩の量が、前記組成物の総重量を基準として、0.0001~5.0重量%の範囲、好ましくは0.001~1.0重量%の範囲、最も好ましくは0.01~0.1重量%の範囲において選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の美容的使用。
【請求項9】
前記組成物が、レチノイド、好ましくはレチノールをさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の美容的使用。
【請求項10】
前記レチノイドの量が、前記組成物の総重量を基準として、0.001~10重量%の範囲、好ましくは約0.005~0.5重量%の範囲、最も好ましくは約0.03~0.3重量%の範囲で選択される、請求項9に記載の美容的使用。
【請求項11】
LRAT(レシチン:レチノールアシルトランスフェラーゼ)阻害剤としての請求項1~7のいずれか1項で定められるような式(I)若しくは(II)の化合物又は化粧料的に許容可能なその塩の美容的使用。
【請求項12】
ケラチノサイトにおいて、特に皮膚老化の処置において、レチノールエステル化を阻害することによって、内因性レチノールの有効性を向上させるための方法であって、請求項1~7のいずれか1項で定められるような式(I)若しくは(II)の化合物又は化粧料的に許容可能なその塩を、それを必要とする者の皮膚に局所適用する段階を含み、前記有効性が未処置の対照と比較して評価される、方法。
【請求項13】
皮膚老化を予防及び/又は処置して、好ましくは、それを必要とする者において、シワ及び小ジワを滑らかにして、それらのボリューム及び深さを軽減し、皮膚の弛みを処置し、及び/又は皮膚の張りを改善するための方法であって、請求項1~7のいずれか1項で定められるような化合物を影響がある領域に局所適用する段階を含む、方法。
【請求項14】
少なくとも1つの式(I)又は(II)の化合物
【化7】

(式中、
は、C~C20アルキル基又はナフチル基であり;
は、OH、SH、C~Cアルコキシ基、C~Cチオアルコキシ基又は式(III)の残基
【化8】

(式中、点線は、カルボニル基への連結を表し、Rは、H、C~C15アルキルスルホニル基又はC~Cアシル基から選択される)であり;
は、Hであり;
は、H、NH若しくはC1~5アルキル基であるか;
又はR及びRは一緒に、アルキレン若しくはアルケニレン基であり、ここで、任意選択的に炭素原子のうち1個がO又はNHにより置換され得る);
又は化粧料的に許容可能なその塩と、化粧料的に許容可能な担体と、を含む、エマルションの形態の局所スキンケア用組成物。
【請求項15】
レチノイド及び少なくとも1つの式(I)又は(II)の化合物
【化9】

(式中、
は、C~C20アルキル基又はアリール基であり;
は、OH、SH、C~Cアルコキシ基、C~Cチオアルコキシ基又は式(III)の残基
【化10】

(式中、点線は、カルボニル基への連結を表し、Rは、H、C~C15アルキルスルホニル基又はC~Cアシル基から選択される)であり;
はHであり;
は、H、NH若しくはC1~5アルキル基であるか;
又はR及びRは一緒に、アルキレン若しくはアルケニレン基であり、ここで任意選択的に炭素原子のうち1個はO又はNHにより置換され得る);
又は化粧料的に許容可能なその塩と、化粧料的に許容可能な担体と、を含む化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、レシチンレチノールアシルトランスフェラーゼ阻害剤(LRAT阻害剤)としてのある特定のアミジノ置換アミノ酸誘導体の使用、前記アミノ酸誘導体を含む化粧料組成物並びに皮膚老化の処置のためのその使用に関する。
【0002】
レチノイドは、ビタミンAのビタマーであるか又はそれに化学的に関連する化学的化合物のクラスであり、とりわけレチノイン酸、レチノール並びにそのエステルを包含する。レチノイドは、視覚、細胞増殖の制御及び分化、骨組織の成長、免疫機能及び腫瘍抑制遺伝子の活性化における役割を含め、体中で多くの重要な機能を有する。元来、抗ニキビ処置として使用されたが、Albert Kligmanは経口レチノイドの抗シワ的な有益性を最初に同定した。今日、レチノイドは、早期皮膚老化の局所処置のための「ゴールデンスタンダード」と考えられている。トレチノイン(全トランス型レチノイン酸)は、細かい顔面のシワを改善するためのベンチマークとなる処方せん局所治療である。レチノール並びにそのエステルは、皮膚老化の予防又は処置のための化粧料物質(cosmetic agent)として使用される。しかし、保管時の分解に対するレチノイドの感受性は、依然としてそれらの広範な使用に対する制限因子となっている。
【0003】
レチノイン酸は、その核転写因子への結合を介してその効果に介在する。2つの主要なタイプの核レチノイド受容体が存在する:全トランス型レチノイン酸(RA)及びその立体異性体9-シスRAに結合するレチノイン酸受容体(RAR);及び9-シスRAに結合する、より最近記載されたレチノイドX受容体(RXR)。
【0004】
これらの受容体の共通の特性は、それらがホルモン反応エレメントとして知られるDNAのある特定の領域に結合し、それによってリガンド依存性遺伝子転写を開始させることである。レチノイド転写因子は、6個の塩基対配列(AGGTCA)から構成される遺伝子のプロモーターにおいてレチノイン酸反応エレメント(RARE)に結合する。RAR’s及びRXR’sは、それぞれがいくつかのアイソフォームを有する少なくとも3個の異なるサブタイプ、アルファ、ベータ及びガンマを含有することが知られている。RXR’sは、ヒト皮膚において主要なものであり、特にRXRアルファである。RAR’sのうち87%がRARガンマであり、13%がRARアルファである。
【0005】
表皮において、レチノールは代謝されてレチノイン酸になる。しかし、かなりの量のレチノールが貯蔵物としてレチニルエステルにも変換される。2つの酵素は、前記レチニルエステル形成に関与することが知られている:ARAT(アシル-CoA:レチノールアシルトランスフェラーゼ)は、脂肪アシル基を脂肪アシル-CoAからレチノールに転移させ、一方でLRAT(レシチン:レチノールアシルトランスフェラーゼ)は、sn-1脂肪アシル基をホスファチジルコリンからレチノールに転移させる。近年の研究から、ARATが非増殖的な分化したケラチノサイトにおいてレチノールエステル化に主に関与する一方で、LRATは、基底増殖ケラチノサイトにおけるレチノールエステル化に主に関与することが示された(Kurlandsky et al. Cell Biology and Metabolism,Vol 271,Issue 25,15346-15352)。従って、LRATの阻害により、より多くのレチノールがレチノイン酸へのその後の変換のために利用可能になり、それによって、LRATが代替的な抗加齢の皮膚活性物質の開発のための魅力的な標的となる。
【0006】
I型及びIII型コラーゲンは、他のタイプと比較してより高い割合でヒト皮膚において形成され、正常な皮膚組織において互いに対して固定された割合で維持される。これらは、皮膚細胞外マトリクスの主要な構成要素であり、皮膚の弾性及び様相において主要な役割を果たす。真皮におけるコラーゲン繊維は、80~85%のI型コラーゲン及び10~15%のIII型コラーゲンにより構成される。I型コラーゲンは、コラーゲン繊維の主要な構成成分であり、一方でIII型コラーゲンは、それらの網状組織に主に関係がある。III型コラーゲンは、コラーゲン繊維を形成させるためにI型コラーゲン及びV型コラーゲンと会合する繊維性コラーゲンである。しかし、皮膚におけるI型及びIII型コラーゲンの個々の含量及び分布は、年齢に応じて変動し、従ってI型及びIII型コラーゲンの両方の定量は、皮膚年齢に対する重要なマーカーである。18~50歳までのドナー由来の皮膚を含む試験において、皮膚におけるI型及びIII型の平均含量及びI/III型コラーゲン比は、年齢群の間で顕著に異なっており(p<0.05)、高齢群では、I型、III型のレベルが最低であり、I/III型の比が最大であることが観察されることが示された。III型コラーゲンの量は年齢とともに顕著に減少すると結論付けられた。生理的老化の間、コラーゲナーゼ、中性プロテアーゼ及びリソソームカテプシンを含む異なる酵素がコラーゲンを分解し得る。従って、皮膚老化の間、I型コラーゲン及びIII型コラーゲンの量が減少し、I型コラーゲンと比較して、III型コラーゲンの減少はより速い。レチノイドが皮膚におけるI型及びIII型コラーゲンの合成を刺激することは、よく知られている。
【0007】
顕著な副作用ゆえに、レチノイン酸の化粧料での使用は許可されていない。従って、化粧品工業は、レチノール(ROH)、レチンアルデヒド(RA)又はレチニルエステル(RE)の使用に依存する。しかし、化粧料的に許容可能なレチノイドは全て、それらの効果を媒介するためにレチノイン酸に代謝される必要があるので、その有益性は、これらの物質に由来し得、レチノイン酸を用いる場合よりも明らかに効力が低い。
【0008】
従って、局所組成物中でその濃度を低下可能にするために、従って、それに付随する安定性の問題を克服するために、(内因性)レチノールの効力を増強することが化粧品工業において引き続き求められている。
【0009】
驚くべきことに、ある特定のアミジノ置換アミノ酸誘導体は、非常に有効なLRAT阻害剤であり、表皮の厚さの向上及びコラーゲンレベルの上昇により反映されるレチノールの有益な皮膚エイジング(skin-ageing)効果を促進するために特に適切であることが今回分かった。さらに、これらは、局所組成物における処方時に安定であり、従って美容的な抗加齢製品での使用に特に適切である。
【0010】
様々な刊行物が、トロンビン阻害剤としてのベンズアミジン型の構造の使用を開示している(国際公開第96/05189号パンフレット、欧州特許第0739886号明細書、Stuerzenbecher et al,J.Med. Chem 1997,Vol 40,No.19,p.3091-3099)。米国特許第4,049,645号明細書は、抗血栓活性成分として、Nナフタレンスルホニル-L-アルギニンエステル及びアミジンを開示する。米国特許第5518735号明細書は、新規プロテアーゼ阻害剤として、ある特定のフェニルアラニン誘導体を開示する。
【0011】
従って、第1の実施形態では、本発明は、皮膚老化を予防及び/又は処置するための、式(I)又は(II)の少なくとも1つの化合物
【化1】

(式中、
は、C~C20アルキル基又はアリール基であり;
は、OH、SH、C~Cアルコキシ基、C~Cチオアルコキシ基又は式(III)の残基
【化2】

(式中、点線は、カルボニル基への連結を表し、Rは、H、C~C15アルキルスルホニル基又はC~Cアシル基から選択される)であり;
は、Hであり;
は、H、NH又はC1~5アルキル基であるか;
又は、R及びRは一緒に、アルキレン又はアルケニレン基であり、ここで、任意選択的に炭素原子のうち1個がO又はNHにより置換され得る);
又は化粧料的に許容可能なその塩と、化粧料的に許容可能な担体と、を含む、局所組成物の美容的使用に関する。
【0012】
第2の実施形態では、本発明は、LRAT(レシチン:レチノールアシルトランスフェラーゼ)に対する阻害剤としての、特に、皮膚においてコラーゲンレベル、特にIII型コラーゲンレベルなど、を上昇させるための、及び/又は、最も具体的には加齢、老化及び/又は光損傷を受けた皮膚において表皮の厚さを向上させるための、式(I)若しくは(II)の化合物又は化粧料的に許容可能なその塩の使用を対象とする。
【0013】
第3の実施形態では、本発明は、特に皮膚老化の処置での、(好ましくは基底増殖性)ケラチノサイトにおけるレチノールエステル化を阻害することによる、内因性レチノールの有効性を向上させるための(及び従って、遊離の内因性レチノールの濃度を向上させるための)方法を対象とし、前記方法は、任意選択的に1つ以上の化粧料的に許容可能なレチノイドと一緒に、皮膚に、及び未処置の対照と比較した場合に、全ての定義及び優先傾向が本明細書中で与えられる本発明による化合物又は組成物を局所適用する段階を含む。
【0014】
コラーゲンのレベル上昇及び/又は表皮の厚さの向上は、特にシワ、小ジワ、弛み及び弛緩などの皮膚老化の可視的な所見の軽減につながるので、本発明の別の主題は、好ましくはシワ及び小ジワを滑らかにするために、それらのボリューム及び深さを軽減するために、皮膚の弛みを処置するために、及び/又は皮膚の張りを改善するために、皮膚老化を予防及び/又は処置するための方法を対象とし、前記方法は、全ての定義及び優先傾向が本明細書中で与えられる本発明に従う式(I)若しくは(II)の化合物又は化粧料的に許容可能なその塩を、問題がある領域に局所適用し、任意選択的にその効果を評価する段階を含む。
【0015】
さらなる実施形態では、本発明は、式(I)又は(II)の少なくとも1つの化合物を含む化粧料局所組成物にも関する。
【化3】

(式中、
は、C~C20アルキル基又はナフチル基であり;
は、OH、SH、C~Cアルコキシ基、C~Cチオアルコキシ基又は式(III)の残基
【化4】

(式中、点線は、カルボニル基への連結を表し、Rは、H、C~C15アルキルスルホニル基又はC~Cアシル基から選択される)であり;
はHであり;
は、H、NH又はC1~5アルキル基であるか;
又は、R及びRは一緒に、アルキレン又はアルケニレン基であり、ここで、任意選択的に炭素原子のうち1個がO又はNHにより置換され得る);
又は化粧料的に許容可能なその塩と、局所使用に適切な化粧料的に許容可能な担体と、を含み、このような組成物は依然として新規である。
【0016】
さらに、本発明はまた、レチノイドと、式(I)又は(II)の少なくとも1つの化合物
【化5】

(式中、
は、C~C20アルキル基又はアリール基であり;
は、OH、SH、C~Cアルコキシ基、C~Cチオアルコキシ基又は式(III)の残基
【化6】

(式中、点線は、カルボニル基への連結を表し、Rは、H、C~C15アルキルスルホニル基又はC~Cアシル基から選択される)であり;
はHであり;
は、H、NH又はC1~5アルキル基であるか;
又はR及びRは一緒に、アルキレン又はアルケニレン基であり、ここで、任意選択的に炭素原子のうち1個がO又はNHにより置換され得る);
又は化粧料的に許容可能なその塩と、化粧料的に許容可能な担体と、を含む化粧料組成物にも関し、このような組成物も新規である。
【0017】
本発明による組成物は全て、局所適用用であることが意図されることがよく理解され、特に皮膚などのケラチン物質への外用物として理解されるものである。特に好ましい化粧料組成物は、局所組成物である。
【0018】
明確にするために、本明細書で使用されているいくつかの用語を以下のように定義する。
【0019】
「化粧料組成物」という用語は、本明細書中で使用される場合、局所的に適用される、及び皮膚の外観を処置するか、ケアするか又は改善(即ち美化)するために使用される組成物を指す。
【0020】
「皮膚老化の予防」という用語は、本明細書中で使用される場合、特にシワ、小ジワ、弛み及び弛緩などの皮膚老化の可視的な所見を発現させるリスクを低下させるための予防的な使用を指す。
【0021】
「皮膚老化の処置」という用語は、本明細書中で使用される場合、特にシワ、小ジワ、弛み及び弛緩などの皮膚老化の可視的な所見の軽減を指す。
【0022】
「化粧料的に許容可能な担体」という用語は、本明細書中で使用される場合、化粧料組成物において、特にスキンケア製剤などにおいて、従来使用される全ての担体及び/又は賦形剤及び/又は希釈剤を指す。
【0023】
式(I)中のアミジノ残基(RHN-C=NR)は、フェニル残基のオルト(2)位、メタ(3)位又はパラ(4)位の何れかであり、好ましくは、本発明の全ての実施形態において、アミジノ残基は、メタ位又はパラ位の何れかであることは、当業者によってよく理解される。
【0024】
本明細書中で、「Cx~y」は、x~y個の炭素原子を含む基を指し、即ち、例えば、C1~3-アルキル基は、1~3個の炭素原子を含むアルキル基である。
【0025】
「C~Cアルキル基」という用語は、X~Y個の炭素原子を有する1価直鎖又は分岐状ヒドロカルビル基を指すために本明細書中で使用される。「x」及び「y」の定義に依存して、本発明による適切なC~Cアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル、n-ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル、1-エチル-2-メチルプロピル、2,4,4-トリメチルペンチル及び3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル及びエイコシルを包含する。本発明の全ての実施形態で好ましいのは、直鎖(直線状)C~Cアルキル基である。
【0026】
「アリール基」という用語は、本明細書中で使用される場合、1価、芳香族、環状ヒドロカルビル基、例えばフェニル又はナフチル(例えば1-ナフチル又は2-ナフチル)などを指す。一般に、アリール基は、単環式又は多環式縮合環芳香族基であり得る。本発明の全ての実施形態における好ましいアリール基は、C6~14アリール、より好ましくはC6~10アリール、最も好ましくはナフチル、例えば特に2-ナフチルなどである。
【0027】
「C~Cアルコキシ基」という用語は、本明細書中で、特にメトキシ(-OMe)又はエトキシ(-OEt)など、C~Cアルキルに対する全ての定義及び優先傾向が上で与えられるとおりである-O-C-Cアルキル基-を指すために使用される。本発明の全ての実施形態で最も好ましいのはメトキシである。
【0028】
「C~C20アルキルスルホニル基」という用語は、本明細書中で、C~Cアルキルに対する全ての定義及び優先傾向が上で与えられるとおりである-S(O)C-C15アルキル基を指すために使用される。本発明の全ての実施形態で好ましいのは、-S(O)C-C12アルキル基であり、より好ましくは-S(O)C-C10アルキル基、最も好ましいのは-S(O)CH(-S(O)Me)又は-S(O)C14CH(-S(O)オクチル)である。
【0029】
「チオC~Cアルコキシル基」という用語は、本明細書中で、C~Cに対する全ての定義及び優先傾向が上で与えられるとおりである-S-C-Cアルキル基-を指すために使用される。本発明の全ての実施形態において好ましいのは、-S-C-Cアルキル基であり、より好ましくは-S-C-Cアルキル基であり、最も好ましくは-SCH(-SMe)である。
【0030】
「C~Cアシル」という用語は、例えばアセチル、プロピオニル、n-ブチリル、イソブチリル及びペンタノイルなどの、C~Cアルキルに対する全ての定義及び優先傾向が上で与えられるとおりである-C(O)C-Cアルキル基-を指す。本発明による全ての実施形態における好ましいC~Cアシル基は、C~Cアシル基である。本発明の全ての実施形態で最も好ましいのは、アセチルである。
【0031】
「アルキレン基」という用語は、本明細書中で、2価飽和、直鎖状又は分岐状炭化水素基を指すために使用される。代表的なアルキレン基としては、-CH-、-(CH-、-(CH-、-C(CHCH-及び-C(CH)H-CH-が挙げられる。好ましいアルキレン基は、1~4個の炭素原子、より好ましくは2~3個の炭素原子、最も好ましくは2個の炭素原子を有する飽和直鎖状基(即ちエチレン(-(CH-))である。さらに、炭素原子のうち本明細書中で定められるようなヘテロ原子により置換されるものがない場合、さらにより好ましい。
【0032】
「アルケニレン基」という用語は、少なくとも1個の二重結合を含む2価直鎖状又は分岐状炭化水素基を指すために本明細書中で使用される。代表的なアルケニレン基としては、-CH=CH-、-CH=CHCH-及び-CHCH=CH-が挙げられる。最も好ましいアルケニレン基は、エテニレン(即ち-CH=CH-)である。
【0033】
好ましくは、本発明の全ての実施形態では、Rは、直鎖状C~C15アルキル基又はC6~10アリール基であり、より好ましくは直鎖状C10~C12アルキル基又はナフト-2-イルであり、最も好ましくはドデシルである。
【0034】
好ましくは、本発明の全ての実施形態では、Rは、OH、直鎖状C~Cアルコキシ基又は式(III)の残基(式中、Rは、直鎖状C~C12アルキルスルホニル基又は直鎖状C~Cアシル基から選択される)であり、最も好ましくはRは、OH、OMe又は式(III)の残基(式中、Rは、直鎖状C~C10アルキルスルホニル基である)である。
【0035】
好ましくは、本発明の全ての実施形態では、Rは、Hであり、Rは、H、NH若しくはC1~3アルキル基であるか、又はR及びRは一緒に、直鎖状C1~4アルキレン又は直鎖状C1~4アルケニレン基であり、最も好ましくはRは、H、NH若しくはメチルであるか、又はR及びRは一緒にエチレンである。
【0036】
本発明の全ての実施形態における特定の有利な式(I)若しくは(II)の化合物、それぞれに化粧料的に許容可能なその塩は、式中、
が直鎖状C~C15アルキル基又はC6~10アリール基であり;
がOH、直鎖状C~Cアルコキシ基又は式(III)の残基
【化7】

(式中、点線は、カルボニル基への連結を表し、Rは、直鎖状C~C12アルキルスルホニル基又は直鎖状C~Cアシル基から選択される)であり;
が、Hであり;
が、H、NH若しくはC1~3アルキル基であるか;
又はR及びRが一緒に、直鎖状C1~4アルキレン若しくは直鎖状C1~4アルケニレン基である、ものである。
【0037】
本発明の全ての実施形態におけるさらにより有利な式(I)若しくは(II)の化合物、それぞれに化粧料的に許容可能なその塩は、式中、
が、直鎖状C10~C12アルキル基又はナフト-2-イル基であり;
が、OH、メトキシ基又は式(III)の残基
【化8】

(式中、点線は、カルボニル基への連結を表し、Rは、直鎖状C~C10アルキルスルホニル基から選択される)であり;
が、Hであり;
が、H、NH又はメチルであるか;
又はR及びRが一緒にエチレンである、
ものである。
【0038】
本発明の全ての実施形態における特に好ましい式(I)の化合物は、式(Ia)若しくは(Ib)の化合物
【化9】

(式中、
は、直鎖状C10~C12アルキル基又はナフト-2-イル基であり;
は、OH又は式(III)の残基
【化10】

(式中、点線は、カルボニル基への連結を表し、Rは、直鎖状C~C12アルキルスルホニル基、好ましくは直鎖状C~C10アルキルスルホニル基から選択される)であり;
は、Hであり;
は、H、メチル又はNHであるか;
又はR及びRが一緒にエチレンである)
又は化粧料的に許容可能なその塩
である。
【0039】
本発明の全ての実施形態での式(II)の特に好ましい化合物は、式(IIa)の化合物
【化11】

(式中、
は、直鎖状C10~C12アルキル基であり;
は、OH、OMe又は式(III)の残基
【化12】

(式中、点線は、カルボニル基への連結を表し、Rは、C~C12アルキルスルホニル、好ましくはC~Cアルキルスルホニルから選択され、最も好ましくはメチルスルホニルである)であり;
は、Hであり;
は、H、NH又はC1~5アルキル基、好ましくはH、NH又はメチルであるか;
又はR及びRは一緒に、アルキレン又はアルケニレンであり、ここでアルキレン又はアルケニレンは、任意選択的に炭素原子のうち1個がO又はNHにより置換され得、好ましくはエチレンである);
又は化粧料的に許容可能なその塩
である。
【0040】
本発明による全ての実施形態で最も好ましいのは、表1で列挙される化合物並びに個々のその塩化物、ヨウ化物又は酢酸塩である。
【0041】
【表1】




【0042】
本発明による化合物は、塩基の存在下で及び/又は国際公開第96/05189A号パンフレットで概説されるように個々のアミノ酸(例えばアルギニン)を個々のスルホニルクロリド(例えば1-ドデシルスルホニルクロリド又は2-ナフタレンスルホニルクロリド)と反応させることによるなど、当技術分野で標準的な方法によって調製され得る。
【0043】
本発明が光学的に純粋な異性体として、例えば純粋なエナンチオマー又は立体異性体としてなど、並びに例えばラセミ体などとしての異なる異性体の混合物又はジアステレオマーの混合物として、式(I)若しくは(II)の化合物を包含することは、よく理解される。
【0044】
さらに、個々のアミジノ基は、以下で概説されるような個々のシス/トランス並びに互変異性体形態を包含することがよく理解される:
【化13】
【0045】
「又は化粧料的に許容可能なその塩」という用語は、酸付加塩の形態、例えばトリフレート、塩化物、ヨウ化物、酢酸塩又はトリフルオロ酢酸塩などの形態の、全ての定義及び優先傾向が本明細書中で与えられるとおりである式(I)若しくは(II)の化合物を指す。
【0046】
本発明の全ての実施形態で最も好ましいのは、そのままの式(I)若しくは(II)の化合物又はそれらの酢酸塩、塩化物若しくはヨウ化物の形態である。このような塩は、当業者により容易に調製される。
【0047】
特に化粧料組成物の形態など、少なくとも1つの式(I)若しくは(II)の化合物又は個々のその塩が一般にヒト皮膚への局所適用に適切な組成物(局所組成物)の形態で皮膚に適用されることは、よく理解される。
【0048】
本発明による組成物における式(I)若しくは(II)の化合物又は個々のその塩の量は、所望の有益な効果を達成するために、当業者によって容易に調整され得る。好ましくは、式(I)若しくは(II)の化合物又は個々のその塩の量は、組成物の総重量を基準として、少なくとも1ppmである。本発明の全ての実施形態では、式(I)若しくは(II)の化合物又は個々のその塩の量は、好ましくは、組成物の総量を基準として、0.0001~5.0重量%の範囲、より好ましくは0.001~1.0重量%の範囲、最も好ましくは0.01~0.1重量%の範囲で選択される。さらなる好ましい範囲は、0.0001~1.0重量%、0.0001~0.5、0.0001~0.1重量%、0.001~1.0重量%、0.001~0.5、0.001~0.1重量%、0.01~1.0重量%、0.01~0.5、0.01~0.1重量%を包含する。
【0049】
本発明による組成物は、化粧料適用が意図されるため、それらが、化粧料的に許容可能な担体、即ち生理学的に許容可能な媒体、即ち皮膚、粘膜及びケラチン繊維などのケラチン物質と適合性である媒体を含むことが十分に理解される。
【0050】
本発明の全ての実施形態において特に有利な組成物は、スキンケア組成物である。
【0051】
適切な担体は、当技術分野で周知であり、最終用途適用に基づいて選択される。好ましくは、本発明の担体は、皮膚への適用について適切である(例えば、サンスクリーン、クリーム、ミルク、ローション、マスク、セラム、ハイドロディスパージョン(hydrodispersions)、ファンデーション、クリーム、クリームジェル又はジェルなど)。このような担体は、当業者にとって周知であり、皮膚への適用に適切である1つ以上の適合性のある液体又は固体の、充填剤、希釈剤、賦形剤、添加物又はビヒクルを含み得る。担体の正確な量は、式(I)若しくは(II)の化合物、それぞれその塩及び当業者が担体と異なるものとして分類するであろう何れかの他の任意選択的な成分(例えば他の有効成分)のレベルに依存する。本発明の組成物は、好ましくは、組成物の、約75%~約99.999%、より好ましくは約85%~約99.99%、またより好ましくは90%~約99%、最も好ましくは約93%~約98重量%の担体を含む。
【0052】
担体の正確な量は、式(I)若しくは(II)の化合物、それぞれその塩及び当業者が担体と異なるものとして分類するであろう何れかの他の任意選択的な成分(例えば他の有効成分)の実際のレベルに依存する。
【0053】
特定の有利な実施形態では、担体は、さらに少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも45重量%の水、例えば特に50~90重量%の水から構成される。
【0054】
本発明の組成物は、クリーム、ワックス、ペースト、ローション、ミルク、ムース、ゲル、オイル、トニック及びスプレーを含む、多岐にわたる製品タイプに処方され得る。好ましくは、式(I)若しくは(II)の化合物、それぞれ対応するその塩は、ローション、クリーム、ジェル及びトニックに処方される。これらの製品形態は、ハンド及びボディローション、フェイシャル保湿剤、抗加齢製剤、ファンデーションを含むメイクアップ製品などを含むが限定されない多くの適用のために使用され得る。このような製品を処方するために必要とされる何れかのさらなる構成成分は、製品タイプで変動し、当業者により日常的に選択され得る。
【0055】
本発明の組成物がエアロゾルとして処方され、スプレーオン製品として皮膚に適用される場合、噴射剤が組成物に添加される。
【0056】
本発明による組成物は、例えば全ての定義及び優先傾向が本明細書中で与えられる式(I)若しくは(II)の化合物又は対応するその塩を化粧料的に許容可能な担体と混合することによるなど、当技術分野の従来の方法によって調製され得る。
【0057】
本発明の組成物(担体を含む)は、防腐剤/酸化防止剤、脂肪性物質/油、水、有機溶媒、シリコーン、増粘剤、軟化剤、乳化剤、消泡剤、香料などの美的成分、界面活性剤、充填剤、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性若しくは両性ポリマー又はこれらの混合物、噴射剤、酸性化又は塩基性化剤、染料、着色料/着色剤、研磨剤、吸収剤、キレート剤及び/又は金属イオン封鎖剤、精油、皮膚清涼化剤(skin sensate)、収斂剤、顔料又はこのような組成物に通常配合される何れかの他の成分などのさらなる従来の化粧料補助剤及び添加剤を含み得る。
【0058】
本発明による好ましい組成物は、好ましくはレチノイドの組成物の総量を基準として0.001~10重量%、好ましくは約0.005~約0.5.-%、最も好ましくは約0.03~約0.3重量%の範囲で選択される量のレチノイドを含む。
【0059】
適切なレチノイドは、レチノール並びにレチニルエステル、例えば特にリノール酸レチノール、パルミチン酸レチノール、オレイン酸レチノール、プロピオン酸レチノール、ラウリン酸レチノール、オクタン酸レチノール、フェニル酪酸レチノール、アルキル炭酸レチノール、レチノキシトリメチルシラン、(全トランス)-レチナール若しくはそのアセタール又はメトキシPEG-12レチンアミド及び酢酸レチノールを含み、レチノールが最も好ましい。例えばCyclasphere(登録商標)レチノールなどのカプセル化レチノイドの全ての種類もまた適切である。
【0060】
本発明によるさらなる好ましい組成物は、ヒドロキシステアリン酸の組成物の総量を基準として、好ましくは0.05~5重量%、好ましくは約0.1~2.5.-%、最も好ましくは約0.25~1.5重量%の範囲で選択される量で、1つ以上のヒドロキシステアリン酸、例えば特に12-ヒドロキシステアリン酸、10-ヒドロキシステアリン酸及び9-ヒドロキシステアリン酸を含む。
【0061】
本発明によれば、本発明による組成物はまた、化粧料組成物に従来使用されるさらなる美容有効成分も含み得る。例示的な有効成分は、さらなる、皮膚美白剤;UVフィルター;色素沈着過剰を処置するための薬剤;炎症を予防又は軽減するための薬剤;引き締め剤、保湿剤、清涼(soothing)剤及び/又は賦活化剤、並びに弾力性及び皮膚バリアを向上させるための薬剤を包含する。
【0062】
本発明の組成物(担体を含む)は、防腐剤/酸化防止剤、脂肪性物質/油、有機溶媒、シリコーン、増粘剤、軟化剤、乳化剤、消泡剤、香料などの美的成分、界面活性剤、充填剤、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性若しくは両性ポリマー又はこれらの混合物、噴射剤、酸性化又は塩基性化剤、染料、着色料/着色剤、研磨剤、吸収剤、キレート剤及び/又は金属イオン封鎖剤、精油、皮膚清涼化剤(skin sensate)、収斂剤、顔料、又はこのような組成物に通常配合される何れかの他の成分などの従来の補助剤及び添加剤を含み得る。
【0063】
他に断りのない限り、以下に述べる賦形剤、添加剤、希釈剤などは、本発明によるサンスクリーン組成物に適切である。化粧料及び皮膚科学的補助剤及び添加剤の必要量は、当業者であれば所望の製品に基づいて容易に決定し得る。
【0064】
さらなる成分は、油性相に、水性相に又は適切であると見なされる場合、別個に添加され得る。添加様式は、当業者であれば容易に適合させ得る。
【0065】
本発明の化粧用組成物での使用に適切な、スキンケア産業において一般に使用される化粧料用の賦形剤、希釈剤、補助剤、添加剤並びに有効成分の例は、例えば、オンラインINFO BASE(http://online.personalcarecouncil.org/jsp/Home.jsp)によって閲覧可能である、パーソナルケア製品協議会(Personal Care Product Council)(http://www.personalcarecouncil.org/)によるInternational Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbookに記載されているが、それらに限定されない。
【0066】
本明細書中で有用な美容活性成分は、場合により、2つ以上の利益をもたらし得るか又は2つ以上の作用機序で作用し得る。
【0067】
当然のことながら、当業者は、上述の任意選択的な追加の成分、補助剤、希釈剤及び添加剤、及び/又はそれらの量を、本発明による組み合わせに本質的に付随する有利な特性が、想定される1つ又は複数の添加によって悪影響を受けないか又は実質的に悪影響を受けないように留意しながら選択するであろう。
【0068】
本発明による代表的な組成物は、スキンケア製剤、装飾的製剤及び機能的製剤であり、スキンケア製剤及び機能的製剤が特に好ましい。
【0069】
スキンケア製剤の例は、特に、光保護製剤、抗加齢製剤、光線老化の処置のための製剤、ボディオイル、ボディローション、ボディジェル、トリートメントクリーム、皮膚保護軟膏、皮膚パウダー、保湿ジェル、保湿スプレー、フェイス及び/又はボディモイスチャライザー、日焼け製剤(即ちヒトの皮膚の人工的/サンレスタンニング及び/又は褐色化のための組成物)、例えばセルフタンニングクリーム並びに皮膚美白製剤である。
【0070】
装飾的製剤の例は、特に、口紅、アイシャドウ、マスカラ、乾燥及び湿潤メイクアップ配合物、頬紅及び/又はパウダーである。
【0071】
機能的製剤の例は、ホルモン製剤、ビタミン製剤、植物抽出物製剤、抗加齢製剤及び/又は抗微生物(抗菌又は抗真菌)製剤などの有効成分を含有する化粧料又は医薬組成物であるが、これらに限定されない。
【0072】
本発明による化粧品組成物は、溶媒若しくは脂肪性物質中の懸濁液若しくは分散体の形態又は、或いは、エマルション若しくはマイクロエマルション(特に水中油(O/W)型若しくは油中水(W/O)型、水中シリコーン(Si/W)型若しくはシリコーン中水(W/Si)型、PIT-エマルション、多重エマルション(例えば、油中水中油(O/W/O)型若しくは水中油中水(W/O/W)型)、ピッカリングエマルション、ヒドロゲル、アルコール性ゲル、リポゲル、単相若しくは多相溶液若しくは小胞性分散剤の形態又はペンにより、マスクとして若しくはスプレーとして適用することもできる他の通例の形態であり得る。
【0073】
本発明による組成物が、エマルション、例えば特にO/W、W/O、Si/W、W/Si、O/W/O、W/O/W多重又はピッカリングエマルションなどである場合、そのような化粧料エマルション中に存在する油相の量は、組成物の総重量を基準として、好ましくは少なくとも10重量%、例えば10~60重量%の範囲、好ましくは15~50重量%の範囲、最も好ましくは15~40重量%の範囲である。
【0074】
一実施形態では、本発明による組成物は、有利には、O/W乳化剤の存在下で水性相に分散された油性相を含む水中油(O/W)型エマルションの形態である。そのようなO/W型エマルションの調製は、当業者にとって周知である。
【0075】
本発明による組成物がO/W型エマルションである場合、これは、有利には、ステアリン酸クエン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリルSE(自己乳化性)、ステアリン酸、ステアリン酸の塩、ポリグリセリル-3-メチルグリコースジステアレート(methylglycosedistearate)のリストから選択される少なくとも1種のO/W-又はSi/W-乳化剤を含有する。さらに適切な乳化剤は、リン酸セチル(例えばDSM Nutritional Products Ltd.からのAmphisol(登録商標)Aとして)、セチルリン酸ジエタノールアミン(例えばDSM Nutritional Products Ltd.からのAmphisol(登録商標)DEAとして)、セチルリン酸カリウム(例えばDSM Nutritional Products Ltd.からのAmphisol(登録商標)Kとして)、セテアリル硫酸ナトリウム、オレイン酸リン酸ナトリウムグリセリル(sodium glyceryl oleate phosphate)、水添植物性グリセリドリン酸(hydrogenated vegetable glycerides phosphate)及びそれらの混合物などの、リン酸エステル及びその塩である。さらに適切な乳化剤は、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セテアリルグルコシド、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ポリステアリン酸スクロース及び水和ポリイソブテン(hydrated polyisobutene)である。さらに、1つ以上の合成ポリマーを乳化剤として使用し得る。例えばPVPエイコセンコポリマー、アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー及びそれらの混合物である。
【0076】
この少なくとも1種のO/W、それぞれSi/W乳化剤は、好ましくは、組成物の総重量を基準として、0.5~10重量%、特に0.5~6重量%の範囲、例えばより具体的には0.5~5重量%の範囲、例えば最も具体的には1~4重量%の範囲の量で使用される。
【0077】
本発明による組成物で使用されるべき特定の適切なO/W乳化剤は、リン酸エステル乳化剤、例えば有利にはリン酸8~10アルキルエチル、リン酸C9~15アルキル、セテアレス-2リン酸、セテアレス-5リン酸、セテス-8リン酸、セテス-10リン酸、リン酸セチル、C6~10パレス-4リン酸、C12~15パレス-2リン酸、C12~15パレス-3リン酸、セテアレス-2リン酸DEA、セチルリン酸DEA、オレス-3リン酸DEA、セチルリン酸カリウム、デセス-4リン酸、デセス-6リン酸及びトリラウレス-4リン酸を包含する。
【0078】
本発明による組成物中で使用されるべき特定の適切なO/W乳化剤は、例えば、DSM Nutritional Products Ltd KaiseraugstでAmphisol(登録商標)Kとして市販されているセチルリン酸カリウムである。
【0079】
別の特に適切なO/W乳化剤のクラスは、例えば、(INCI名)オリーブ油脂肪酸セテアリル及びOLIVEM 1000の商品名で販売されているオリーブ油脂肪酸ソルビタン(化学組成:オリーブ油脂肪酸のソルビタンエステル及びセテアリルエステル)として知られている、オリーブ油由来の非イオン性自己乳化系である。
【0080】
特定の一実施形態では、本発明は、O/W乳化剤の存在下で水相中で分散させられた油相を含むO/Wエマルションの形態の、全ての定義及び優先傾向が本明細書中で与えられる組成物に関し、このO/W乳化剤はセチルリン酸カリウムである。このようなO/Wエマルション中の油相の量は、本組成物の総重量を基準として、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは10~60重量%の範囲、最も好ましくは15~50重量%の範囲、例えば15~40重量%の範囲などである。
【0081】
本発明による組成物は、概して、3~10の範囲のpH、好ましくは4~8の範囲のpH、最も好ましくは4~7.5の範囲のpHを有する。pHは、当技術分野における標準的な方法に従って、適切な酸、例えばクエン酸、又は塩基、例えば水酸化ナトリウム(例えば水溶液として)、トリエタノールアミン(TEA Care)、トロメタミン(Trizma Base)及びアミノメチルプロパノール(AMP-Ultra PC2000)を用いて望みの通りに容易に調整し得る。
【0082】
皮膚に適用しようとする本発明による組成物の量は、決定的なものではなく、当業者により容易に調整され得る。好ましくは、この量は、0.1~3mg/cm皮膚の範囲、例えば好ましくは0.1~2mg/cm皮膚の範囲、最も好ましくは0.5~2mg/cm皮膚の範囲から選択される。
【0083】
皮膚でのコラーゲンの合成を刺激し、表皮を厚くし、皮膚の調子を整えて滑らかにし、及び/又はシワがあるか又は老化した皮膚の外観を予防するか若しくは軽減するための薬剤としての、全ての定義及び優先傾向が本明細書中で与えられるとおりである式(I)及び(II)の化合物、それぞれに対応する化粧料的に許容可能なその塩又は本発明による前記化合物を含む組成物の使用は、本発明に従う。
【0084】
最終的に、本発明の主題は、局所レチノイン酸の効果を模倣する方法であり、前記方法は、式(I)若しくは(II)の化合物、個々に化粧料的に許容可能なその塩又は前記化合物を含む本発明による組成物を、それを必要とする皮膚の領域に適用することを含む。
【0085】
以下の実施例は、本発明の組成物及び効果をさらに例示するために提供される。これらの実施例は、例示に過ぎず、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0086】
[実験の部]
[1. LRAT阻害アッセイ]
次の緩衝液を調製し、4℃で保管する:0.05Mリン酸カリウム、2.5mMジチオエリスリトール、pH7.0(PO/DTE)。アッセイ日に、1mg BSA/mL緩衝液を添加して、P0/DTE/BSA作業緩衝液を与えた。アセトニトリル(Riedel-de-Haen,Chromasolv)中でレチノール基質(Fluka、1mM)を調製し、-20℃にて窒素ガス下で褐色の瓶中で保管した。エタノール中の4mMジラウロイルホスファチジルコリンの溶液を調製し、-20℃で保管した。HO、エタノール、アセトニトリル、DMSO又は酢酸中でのそれらの溶解度に従い、10mM保管溶液として阻害剤を調製した。50μg/mLブチルヒドロキシトルエン(Aldrich,BHT)を含有する純粋エタノールを使用して、クエンチング溶液を調製した。50μg/mL BHTを含有するペンタン溶液を抽出のために使用した。
【0087】
2個のドラムガラスバイアルに、次のものを順に添加した:500μLの総体積を与えるためのP0/DTT/BSA緩衝液、5μLアシルドナー(ジラウロイルホスファチジルコリン)、5μL阻害剤又は溶媒ブランク(10mM保存液又はさらなる希釈液)とそれに続き2μgの組み換えLRAT酵素(Abnova,H00009227-PO1)。混合物を37℃で5分間温置して、反応温度を平衡化し、次いで5μLの1mMレチノール溶液を添加した。バイアルにキャップをし、5秒間ボルテックス処理し、37℃で60分間温置した。0.5mLのエタノール/BHTクエンチング溶液を添加することによって、反応をクエンチした。1mLペンタン/BHTを添加し、そのチューブを数秒間ボルテックス処理し、卓上遠心機においてそのチューブを4000rpmで5分間遠心分離して、迅速に層を分離することによって、レチノイドを抽出した。上のペンタン層を取り出して清浄なバイアルに入れ、上述のようにさらなる1mLペンタン/BHTで水層を2回再抽出した。有機層を合わせ、speed-vac遠心分離(Eppendorf)において37℃で乾燥させることによってペンタンを蒸発させた。乾燥させた残渣を-20℃で保管し、HPLCによって直接分析した。下記のようにHPLC又はUPLCシグナルの積分によってLRAT活性に対してラウリン酸レチニルの量を定量した。温置溶液がpH7で40μMアシルドナー、100uM阻害剤、10uMレチノール、およそ2μgのLRATタンパク質及び0.05M P0/、2.5mM DTT、1mg/mL BSAを含有することに注意。レチノールの添加に続く全ての段階を暗所又は暗室灯の下で行った。
【0088】
レチノイド分析のために2つのHPLCプロトコールを使用した。レチノール及びレチノールエステルの分離は、逆相分析カラム(Waters Symmetry(R)、75x4.6mm、3.5μm;溶出液A:水中0.07%トリフルオロ酢酸TFA、B:アセトニトリル(AcN)中0.07%TFA、直線状勾配6分で1%Bから99%B、99%Bで24分)又はACQUITY UPLC BEHフェニル1.7μm 2.1x50mm(水中0.02%TFA及び溶出液B、AcN中0.02%TFA、0.9分で2%から99%の勾配、99%Bで1分、0.1分で99%から2%B及び40℃で流速0.5ml/分で行った。325nmでの吸収についてPDA検出器で溶出物を監視した。レチノール及びレチニルエステルピークの定量は、参照レチノイン酸及び酢酸レチノール(Fluka)に基づいた。非阻害対照反応からの生成物収量と比較して阻害[%]を計算した。結果を表2で概説する。
【0089】
【表2】
【0090】
[2. 生きているヒト皮膚組織片における2つの異なるLRAT-阻害剤の抗加齢効果の評価]
[方法]:
[皮膚組織片の調製]:
II型フォトタイプの45歳の白人女性由来の腹壁形成において、直径11±1mmの51個の円形の皮膚組織片を調製した。湿潤、5%CO2雰囲気中で37℃にてBEM培養液(BIO-EC’s Explants Medium,Longjumeau,France)中で組織片を生存のために維持した。
【0091】
[試験試料の適用]:
第0、1、4及び6日の各朝に、関心のある皮膚組織片の2μl/組織片(2mg/cm2)に基づいて、試験生成物(レチノールを除く)を局所適用し、小さなスパチュラを使用して広げた。第0、1、4、6日の各夕に、レチノールを関心のある皮膚組織片の2μl/組織片(2mg/cm2)に基づいて局所適用し、小さなスパチュラを使用して広げた。第0、1、4、6日の朝及び夕方にビヒクルV(DMSO100%)を局所適用した(生成物に対するものと同じプロトコール)。第1、4及び6日に培養液を新鮮なものに交換した。
【0092】
[試料採取]:
第0、3日に、第0日のバッチからの組織片を回収し、2つの部分に切った。緩衝ホルマリン溶液中で半分を固定し、-80℃で半分を凍結した。第8日に、各実験条件からの3つの組織片を回収し、第0日と同じように処理した。
【0093】
[組織学的処理]:
緩衝ホルマリン中で24時間固定した後、試料を脱水し、Leica PEARL脱水オートマットを使用してパラフィン中で含浸させた。Leica EG 1160包埋ステーションを使用して試料を包埋した。Leica RM 2125 Minot型ミクロトームを使用して5-μmの厚さの切片を作製し、切片をSuperfrost(登録商標)組織用ガラススライド上に載せた。Leica CM 3050クライオスタットで、凍結試料を7-μmの厚さに切った。次に、シラン処理したガラススライドSuperfrost(登録商標)Plus上に切片を載せた。Leica DMLB又はOlympus BX43顕微鏡を使用して、顕微鏡観察を実行した。cellSens storingソフトウェアとともにnumeric DP72 Olympusカメラにより画像をデジタル化した。
【0094】
[生存能評価及び表皮の厚さ]:
ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)皮膚切片上で、マッソントリクローム染色、ゴールドナー変法の後に、表皮及び皮膚構造の細胞生存能を調節した。顕微鏡観察によって細胞生存能を評価した。
【0095】
[III型コラーゲン免疫染色]:
PBS-BSA 0.3%中で1:200で希釈した抗III型コラーゲンポリクローナル抗体(SBA、ref.1330-01)を用いて凍結皮膚切片上でIII型コラーゲン免疫染色を行い、ビオチン/ストレプトアビジン増幅系で室温にて1時間温置し、VIP(Vector laboratories,Ref.SK-4600)で、酸化されたら紫色の染色を与えるペルオキシダーゼの基質を明らかにした。顕微鏡観察によって染色を評価した。
【0096】
[結果]
培養8日後の皮膚組織片の生存能評価から、全ての実験条件に対して良好な結果が示された。表皮の厚さ及びIII型コラーゲンタンパク質の調整の結果を表3で示す。
【0097】
試験化合物LRAT-IA及びBは、
LRAT-IA=DECS-(L)-F(3AMD)-Pzd(N-SOMe)、
LRAT-IB=DODS-(L)-F(3AMD)-Pzd(N-SOMe)である。
【0098】
対照組織は、第0日及び第8日の両方で同じ染色強度を示した。
【0099】
【表3】
【0100】
表3から想起され得るように、LRAT阻害剤のみが、表皮の厚さ及び/又はIII型コラーゲンレベルの上昇につながり、この効果は、それぞれドデシル誘導体に対してレチノールの存在下で特に顕著である。
【0101】
[3. 化粧料組成物]
表4は、代表的なO/Wエマルションを概説する。
【0102】
【表4】
【国際調査報告】