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特表2024-505833支援的または自動的に車両案内する方法
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  • 特表-支援的または自動的に車両案内する方法 図1
  • 特表-支援的または自動的に車両案内する方法 図2
  • 特表-支援的または自動的に車両案内する方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】支援的または自動的に車両案内する方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544102
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 DE2021200255
(87)【国際公開番号】W WO2022174853
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】102021201521.2
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】322007626
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートナマス・モビリティ・ジャーマニー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】クニーヴェル・クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】クリューガー・ラース
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL15
(57)【要約】
支援的または自動的に車両案内する方法
自車両(1)を支援的または自動的に車両案内する方法であって、自車両(1)は制御装置(2)と少なくとも1つの周辺環境検出および物体検出センサとを備える方法において、自車両(1)を車両案内するために、軌道計画を検出された周辺環境および検出された物体に基づいて行い、物体に関して、引き合い規則および反発規則に基づいて決定されるボイド(10,11,12)を生成し、ボイド(10,11,12)に基づいて軌道計画を実行する、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両(1)を支援的または自動的に車両案内する方法であって、前記自車両(1)は制御装置(2)と少なくとも1つの周辺環境検出および物体検出センサとを備える方法において、
前記自車両(1)を車両案内するために、軌道計画を検出された物体に基づいて行い、
前記物体に関して、引き合い規則および反発規則に基づいて決定されるボイド(10,11,12)を生成し、
前記ボイド(10,11,12)に基づいて前記軌道計画を実行する、方法。
【請求項2】
互いに近傍かつ並行して位置する物体を引き合いボイドとして決定し、互いに大きな離間距離を有しかつ並列して位置する物体を反発ボイドとして決定することにより、引き合い規則および反発規則を決定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
静的物体に関しては反発ボイド(11,12)を決定し、動的物体に関しては引き合いボイド(13)を決定することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
動的物体を時間に関して観測することにより、移動履歴を作成し、前記移動履歴に基づいて引き合いボイド(13)を決定することを特徴とする、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記検出された物体および/または前記ボイドを物体リストに格納することを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記自車両(1)の位置および方向に基づいて特徴空間を設定し、全てのボイド(13)の前記引き合い規則を前記特徴空間の点に収束させることを特徴とする、請求項1~5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記特徴空間を前記軌道計画のクロソイドパラメータに基づいて設定することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記特徴空間を他の交通参加者に拡張することを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
周辺環境検出センサとして、少なくとも1つのカメラ(6)および/またはライダセンサ(7)、レーダセンサ(8)もしくは超音波センサ(9a~9d)が設けられることを特徴とする、請求項1~8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
自車両(1)を支援的または自動的に車両案内するための前記自車両(1)用の運転支援システムであって、前記自車両(1)は制御装置(2)と少なくとも1つの周辺環境検出および物体検出センサとを備える運転支援システムにおいて、
前記制御装置(2)が、軌道計画を検出された物体に基づいて行い、前記自車両(1)の車両案内を前記軌道計画に基づいて行い、
前記物体に関して、引き合い規則および反発規則に基づいて決定されるボイド(10,11,12)を生成することにより、前記物体が関軌道計画のために援用され、
前記ボイド(10,11,12)に基づいて前記軌道計画を実行する、運転支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両を支援的または自動的に車両案内する方法、特に、コンピュータ実装方法および自車両を支援的または自動的に車両案内するための自車両用の運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上位概念としての車両、例えば、乗用車(PKW)、トラック(LKW)またはモータサイクルは、ますます運転支援システムを装備しており、運転支援システムは、センサシステムを用いて、周囲または周辺環境を検出し、交通状況を認識し、例えば、制動介入または操舵介入によりまたは光学的、触覚的または音響的警告により運転者を支援することができる。周辺環境検出用センサシステムとしては、一般に、レーダセンサ、ライダセンサ、カメラセンサ、超音波センサ等が用いられる。センサにより検出されたセンサデータに基づいて、続いて、周囲に関する推論を導出することができ、この推論を用いて、例えば、いわゆる周辺環境モデルも生成することができる。これに基づいて、その次に、運転者警告/運転者情報に関する指示または規制された操舵、制動および加速に関する指示を出力することができる。運転タスクまたは車両案内を支援するか、完全に肩代わりしてしまう(部分自動または完全自動)ことにより、センサデータおよび周辺環境データを処理する支援機能を用いて、例えば、他の交通参加者との事故を回避し、または複雑な運転操作を軽減することができる。例えば、車両は、例えば、緊急制動支援(EBA:Electronic Brake Assist(緊急ブレーキアシスト))、自動緊急ブレーキ(AEB:Automatic Emergency Brake)またはアダプティブクルーズコントロール(ACC:Adaptive Cruise Control)を用いて、速度制御または追従走行制御を行うことができる。
【0003】
また、その際には、車両の走行すべき軌道または移動経路を決定することができる。ここで、センサを用いて静的目標または物体を検出することができ、これにより、例えば、先行車両との離間距離または道路コースを推定することができる。ここで、物体の検出または認識そして、特に、その妥当性確認は、例えば、先行車両が各支援機能または制御に関連するか否かを認識するために、特に重要である。この場合の1つの基準は、例えば、目標車両(ターゲット)として認識された物体が自身の車両(自車両)と同じ車線を走行することである。公知の運転支援システムは、目標車両が自身の車線に位置しているか否かを決定するために、例えば、センサを用いて、車線コースを推定することを試みる。このために、車線区分線、周辺の建物および他の車両が走行した経路に関する情報が用いられる。さらに、好適なアルゴリズム(例えば、カーブフィッティングアルゴリズム)を適用して、自車両のその後の経路または軌道を予測する。また、この経路からの他の交通参加者の偏差を用いて、各交通参加者がどの車線を走行するかを決定することができる。
【0004】
公知のシステムは、信頼度情報を一切用いないか、理想的な信頼度情報、例えば、測定値の標準偏差を採用するかの何れかである。しかし、センサのこれらの誤差モデルは、信頼度情報を、例えば、直接的に重み係数として用いるほど精度が十分に高くない。ここでは、とりわけ、2つの誤差源、つまり、自身の車線コースの予測誤差、および観察される交通参加者またはそれ以外の交通参加者の位置の測定の誤差/不信頼度が決定的であり、これにより、予測経路からの大きな偏差が生じる可能性がある。両方の誤差源は、正確な信頼度情報を知っている場合に限り補正可能である。その結果、高い計算コストおよび不良なスケーラビリティが、複数の物体と新規物体タイプに起因して生じる。その一方、運転支援機能、例えば、特にACCにおいては、関連する物体を、多くの場合、まだ大きく離間していても選択する必要がある。その際、物体検出は、一般に、レーダセンサを介して行われ、レーダセンサは、十分なセンサ検出範囲および検出信頼度を有している。しかし、測定開始時の幾何学的推定またはキネマティクス推定の品質は、多くの場合、まだあまりに不良であるか、または実施されている測定が過少であるか、生成されている測定点が過少である。その際、適用されるフィルタにおける変量が多くの場合には大き過ぎるため、例えば、レーダセンサを用いては、例えば、200メートルの離間距離があると、十分な信頼度を有する車線マッピングを行うことができない。
【0005】
特許文献1は、シーンの関連する物体(ガードレール、センターライン、交通参加者等)がスウォームにおける物体として示される方法を開示している。物体は外部センサを用いて認識され、物体群において示され、物体群は2つまたは3つ以上の物体を含み、つまり、測定/物体を統合することにより、計算時間を節減し、推定の正確度を向上させる。従って、同じ物体の様々な測定の統合は、計算時間節減を達成するために技術的に必要な群を示す一方で、セマンティックな群を示すものではないのは、この統合は同じ物体の様々な測定に関するものであり、様々な物体に関するものではないからである。外部センサのデータとは、例えば、センサ生データまたは前処理されかつ/または所定の基準に従って選択されたセンサデータであってよい。これは、例えば、画像データ、レーザスキャナデータまたは物体リスト、物体輪郭、もしくは、いわゆる点群(例えば、所定の物体部分または物体エッジの構成を表す)であってよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102015205135号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術から出発して、本発明の課題は、推定の正確度を有利な計算時間で向上させることができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本課題は、請求項1および請求項10の教示全体により解決される。本発明の好適な構成は、従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明に係る、自車両を支援的または自動的に車両案内する方法において、自車両は制御装置と少なくとも1つの周辺環境検出センサ、好ましくは、複数の周辺環境検出センサとを備え、センサは自車両の周辺環境における物体を検出する。さらに、検出された周辺環境に基づいて軌道計画を行い、自車両の車両案内を軌道計画に基づいて行い、これに関して周辺環境における物体を軌道計画のために援用する。その際、物体に関して、引き合い規則および反発規則に基づいて決定されるボイドを生成する。ここで、ボイドに基づいて軌道計画を実行する。これにより、推定の正確度を向上させることができ、必要とされる計算時間を大幅に短縮することができるという有利な点が得られる。
【0010】
本発明の意味における軌道計画の概念は、明示的に、空間および時間の計画(軌道計画)に加えて、純粋に空間的な計画(経路計画)も含む。従って、ボイドは、システムの一部のみにおいても、例えば、速度の制御または所定の物体の選択(「Object-of-Interest Selection(関心物体選択)」)のために用いることができる。
【0011】
好ましくは、互いに近傍かつ並行して位置する物体を引き合いボイドとして決定し、互いに大きな離間距離を有しかつ並列して位置する物体を反発ボイドとして決定することにより、引き合い規則および反発規則を決定する。
【0012】
好適には、静的物体に関しては反発ボイドを決定し、動的物体に関しては引き合いボイドを決定することができる。
【0013】
本発明の有利な構成によると、動的物体を時間に関して観測(追跡)できることにより、移動履歴を作成し、移動履歴に基づいて引き合いボイドを決定する。
【0014】
また、検出された物体および/またはボイドを物体リストに格納することができ、物体リストには、全ての検出された物体を全ての検出されたデータ(位置、速度、信号強度、分類、標高等)と共に格納する。
【0015】
好適には、自車両の位置および移動方向に基づいて特徴空間を設定することができ、全てのボイドの引き合い規則を特徴空間の点に収束させることができる。これにより、測定の正確度をさらに改善することができる。
【0016】
好ましくは、特徴空間を軌道計画のクロソイドパラメータに基づいて設定する。
【0017】
有利には、特徴空間を他の交通参加者に拡張することができる。これにより、測定の正確度を大幅に向上させることができ、また、周辺環境検出が大幅に改善される。
【0018】
好適には、周辺環境検出センサとして、少なくとも1つのカメラおよび/またはライダセンサおよび/またはレーダセンサおよび/または超音波センサおよび/または他の従来技術から公知の周辺環境検出センサを設けることができる。
【0019】
また、本発明は、自車両を支援的または自動的に車両案内するための自車両用の運転支援システムであって、自車両は制御装置と少なくとも1つの周辺環境検出センサ、好ましくは、複数の周辺環境検出センサとを備え、センサは自車両の周辺環境における物体を検出する、運転支援システムをさらに含む。制御装置が、軌道計画を検出された周辺環境に基づいて行い、自車両の車両案内を軌道計画に基づいて行う。周辺環境検出および物体検出センサとは、例えば、レーダセンサ、ライダセンサ、カメラセンサまたは超音波センサであってよい。物体は軌道計画のために援用され、物体に関して、引き合い規則および反発規則に基づいて決定されるボイドを生成する結果、ボイドを考慮して軌道計画を実行することができる。
【0020】
また、運転支援システムとは、周辺環境検出センサに加えて、本発明に係る方法を実行するためのコンピュータ、プロセッサ、コントローラ、演算装置等を含むシステムであってよい。ここで、コンピュータプログラムがコンピュータまたはその他の従来技術から公知のプログラム可能な演算装置において実行される場合、コンピュータプログラムは、本発明に係る方法を実行するためのプログラムコードを備えてよい。従って、本方法を、既存のシステムにおいてもコンピュータ実装方法として実行することができ、またはレトロフィットすることができる。ここで、本発明の意味における「コンピュータ実装方法」の概念は、コンピュータを用いて実装または実行されるスケジューリングまたは工程を示す。その際、コンピュータは、プログラム可能な演算ステップを用いてデータを処理することができる。このようにして、本方法に関して、本質的な特性も、例えば、1つの新規プログラム、複数の新規プログラム、アルゴリズム等を用いて、遡及的に実装することができる。その場合、コンピュータを、制御装置または制御装置の一部として(例えば、集積回路(IC(Integrated Circuit))モジュール、マイクロコントローラ、システムオンチップ(SoC(System-on-Chip))等として)構成することができる。
【0021】
以下、本発明を好適な実施形態例に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明に係る支援システムを備える自車両の大幅に簡略化された概略図である。
図2図2は、既に複数の他の車両が通過したカーブを自車両が通過する交通シーンの簡略化された図である。
図3図3は、本発明に係る、様々な測定点に基づく測定原理が示される、図2の交通シーンの簡略化された図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1の参照符号1は自車両を示し、自車両1は、制御装置2(ECU:Electronic Control Unit(エレクトロニックコントロールユニット)またはADCU:Assisted and Automated Driving Control Unit(アシステッド自動運転制御ユニット))、様々なアクチュエータ(操舵装置3、モータ4、制動装置5)および周辺環境検出センサ(カメラ6、ライダセンサ7、レーダセンサ8および超音波センサ9a~9d)を備える。ここで、自車両1は、制御装置2がアクチュエータおよびセンサにアクセスすることにより、つまり、それらのセンサデータにアクセスすることにより、(部分)自動的に制御されてよい。支援または(部分)自動運転の領域において、センサデータは周辺環境認識および物体認識のために用いることができ、これにより、様々な支援機能、例えば、距離追従制御(ACC:Adaptive Cruise Control(アダプティブクルーズコントロール))、緊急制動支援(EBA:Electronic Brake Assist(緊急ブレーキアシスト))、車線逸脱防止制御または車線維持支援(LKA: Lane Keep Assist(レーンキープアシスト))、駐車支援等を、制御装置2を介してまたはそこに格納されたアルゴリズムを介して実装することができる。
【0024】
図2には、一般的な交通シーンが示されており、複数の先行車両10a,10b,10c,10dがその前に通過したカーブに自車両1が進入する交通シーンである。ここで、自車両1は、周囲の物体(先行車両10a~10d、車線区分線、道路周辺の建物等)を周辺環境検出センサを用いて検出し、固有の経路または走行すべき軌道をこれらの情報に基づいて作成する。また、他の交通参加者の移動を予測し、軌道計画に援用することができる。しかし、例えば、検出点および車両11dの移動予測に基づいて作成された軌道(黒色の矢印により図示)は準最適または誤差を含むものでしかないのは、この軌道は、車両10dの移動予測に基づいていることから、車線コースを追従せず、カーブ領域において望ましくない車線変更を含んでしまっているからである。
【0025】
本発明に係る方法においては、以下において、シーンの関連する物体(ガードレール、センターライン、交通参加者等)は、スウォームにおける物体として(つまり、物体の群れまたは結合のようなものとして)示される。公知の単純な物体の統合(単純なクラスタ)とは対照的に、この場合、検出された物体は、統合されるだけでなく、個体のまま取得され、互いに影響を及ぼし合い、つまり、相互作用する。その際、これら物体の行動は、センサデータおよび互いの関係性に基づいて、つまり、いわゆるボイドと同様に物体の相互作用(スウォーム行動をシミュレーションする、相互作用する物体)に基づいて、単純な規則を用いて定義される。この場合、ボイドは測定された物体に対応するのであって、統合された物体群には対応せず、つまり、ボイドはセマンティックに個別の物体を表すのであって、単純な群を表しているわけではない。ボイドに基づくモデルの場合、モデルの複雑性は、個別の物体の相互作用、または単純な規則、例えば、分離(ボイドの集団化に対抗する移動選択または方向選択)、整列(隣接するボイドの平均的な方向に一致する移動選択または方向選択)または結合(隣接するボイドの平均的な位置に一致する移動選択または方向選択)に従う、ボイドから生じる。
【0026】
図3には、図2の道路シーンの例に関して、路面標示、車両またはその走行経路によるボイド11,12,13を用いた測定原理が示されている。例えば、各サイクルにおいて、路面標示(例えば、断片的に直線としてモデル化される)の新規測定が路面標示物体の利用可能リストに追加される。その次に、引き合い規則および反発規則が計算される(例えば、近傍かつ並行する物体は互いに引き合い、大きい離間距離を有しつつ並行する物体は互いに反発する)。このようにして、道路周辺の反発ボイド11と車線中央の反発ボイド12を(例えば、路面標示検出、ガードレール検出および道路周辺の建物検出に基づいて)生成することができる。同様にして、車両10a~10dも表されてよい。この場合、センサにより検出された車両は、例えば、短期移動履歴として表される。例えば、引き合いボイド13が車両10cの移動履歴に基づいて生成されることにより、引き合いボイド13は、車両10cまたはその移動経路を表す。この測定または決定されたボイドは、同様に、それ以前の測定のリスト(物体リスト)に追加され、設定されている規則を用いてその位置に関して補正される。
【0027】
このようにして、自車両1または複数の車両がその軌道計画を所定の規則を考慮して実行することにより、好適には、例えば、車線コース推定における誤差を、他の車両10a~10dが走行した経路の観測に基づいて補償することができる。例えば、規則として以下のことが設けられてよい:「ガードレールは車線と平行である」、「車線は少なくとも略一定の幅を有する」、「車両は車線と平行に走行する」、「ガードレールは平均的に測定点を通って延在する」、「ガードレールは急角度の屈曲または分岐を有さない」等。これにより、そのコースがガードレールと平行である経路(「emergent behavior(創発的行動)」)または軌道が自動的に生じる。さらに、例えば、αβフィルタ等の場合のように、測定値を決定可能に重み付けすることもできる。
【0028】
測定の正確度の向上は、特に、引き合い規則が(各々画像に対応する)全ての測定を特徴空間の同じ点に収束させることより達成される。ここで、特徴空間は、自車両1の位置および方向により構成される。驚くべきことに、この原理は、例えば、「車両は車線と平行に走行する(つまり、静的物体の場合と同じ規則であり、ここでは車両のモデル化された位置が変更されるのみである)」、「車両は互いに衝突しない」、「同じ車線における車両は互いに整列する(「隊列走行」)」、「車両はガードレールと衝突しない」等により、他の交通参加者または車両にも拡張可能である。
【0029】
代替的に、特徴空間として、軌道のクロソイドパラメータの空間も選択されてよい。この場合、個々のボイドは時間に関する個々の測定である。ここで、ボイドは、例えば、縦方向には固定されてよく、横方向にのみ、規則に従ってその曲率に関して移動してよい。実際には、この場合、自車両1がボイドを追い越してしまったらすぐ、これらボイドを消去することができる。これにより、特に、格納時間および計算時間を節減することができる。また、実世界の同じ物体を表すボイドを(例えば、ボイドが所定の散布を有するコンパクトなクラスタを構成している場合には)統合することができ、これにより、格納時間および計算時間を節減することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 自車両
2 制御装置
3 操舵装置
4 モータ
5 制動装置
6 カメラ
7 ライダセンサ
8 レーダセンサ
9a~9d 超音波センサ
10a 車両
10b 車両
10c 車両
10d 車両
11 ボイド(道路周辺の路面標示)
12 ボイド(車線中央の路面標示)
13 ボイド(車両10cの移動)
図1
図2
図3
【国際調査報告】