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  • 特表-モジュール式圧縮装置及び方法 図1
  • 特表-モジュール式圧縮装置及び方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】モジュール式圧縮装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 5/06 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
F17C5/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544247
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2021025502
(87)【国際公開番号】W WO2022161589
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】21315012.1
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599067318
【氏名又は名称】クライオスター・ソシエテ・パール・アクシオンス・サンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パジェス、ギヨーム
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA06
3E172AB04
3E172BA06
3E172BD02
3E172EA03
3E172HA08
(57)【要約】
本発明は、液化ガス源(4)から消費部(5)に加圧ガスを提供するための方法であって、気化ガスが、液化ガス源(4)から第1のライン(15)を介して、気化ガスを加圧するための圧縮機装置(100)に供給され、圧縮機装置(100)が、第1のスクリュー圧縮機モジュール(1)と第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)と、を備え、第1のスクリュー圧縮機モジュール(1)が、第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)と並列に配置され、第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)が、迂回ライン(25)に配置され、迂回ライン(25)が、第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)の上流で第1のライン(15)から分岐する、方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガス源(4)から消費部(5)に加圧ガスを提供する方法であって、気化ガスが、前記液化ガス源(4)から第1のライン(15)を介して、前記気化ガスを加圧するための圧縮機装置(100)に供給され、前記圧縮機装置(100)が、冗長性概念に従って設計された第1のスクリュー圧縮機モジュール(1)及び第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)を備え、それぞれのスクリュー圧縮機モジュール(1、2)が独自のスクリュー圧縮機(13、23)及び前記スクリュー圧縮機(13、23)を駆動するための独自のモータ(12、22)を備え、前記第1のライン(15)に配置されて、前記第1のライン(15)を介して気化ガスを供給される前記第1のスクリュー圧縮機モジュール(1)が、前記第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)と並列に配置され、前記第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)が迂回ライン(25)に配置され、前記迂回ライン(25)が、前記第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)の上流で前記第1のライン(15)から分岐し、前記圧縮機装置(100)が、第1の動作モードでは前記気化ガスが前記第1のライン(15)を通して前記第1のスクリュー圧縮機モジュール(1)に供給され、前記迂回ライン(25)を通して前記第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)に供給され、前記第1のスクリュー圧縮機モジュール(1)及び前記第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)が動作し、また第2の動作モードでは前記迂回ライン(25)が前記第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)の上流の位置の弁(26)で閉じられ、前記第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)が動作しないように動作される、方法。
【請求項2】
前記スクリュー圧縮機モジュール(1、2)のうちの少なくとも1つの前記スクリュー圧縮機(13、23)を駆動する前記電気モータ(12、22)の回転速度が、前記スクリュー圧縮機モジュール(1、2)が動作している場合に、前記消費部(5)に提供される前記ガスの圧力レベル、温度レベル、質量流量、及び組成のうちの少なくとも1つに応じて、可変周波数駆動装置(11、21)を用いて調節される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第3の圧縮機モジュール(3)が、前記第1のスクリュー圧縮機モジュール及び/又は前記第2のスクリュー圧縮機モジュール(1、2)の下流に直列に接続される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第3のスクリュー圧縮機モジュール(3)のスクリュー圧縮機(33)を駆動する電気モータ(32)の回転速度が、前記消費部(5)に提供される前記ガスの圧力レベル、温度レベル、質量流量、及び組成のうちの少なくとも1つに応じて、可変周波数駆動装置(31)を用いて調節される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記液化ガス源(4)からのボイルオフガスが、前記気化ガスとして使用される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ガスが、少なくとも1つのスクリュー圧縮機(13、23、33)の下流に配置された冷却ユニット(14、24、34)を通して前記ガスを運ぶすることによって冷却される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
液化ガス源(4)から消費部(5)に加圧ガスを提供する圧縮機装置(100)であって、気化ガスが、前記液化ガス源(4)から第1のライン(15)を介して、前記気化ガスを加圧するための前記圧縮機装置(100)に供給され、前記圧縮機装置(100)が、冗長性概念に従って設計された第1のスクリュー圧縮機モジュール(1)及び第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)を備え、それぞれのスクリュー圧縮機モジュール(1、2)が独自のスクリュー圧縮機(13、23)及び前記スクリュー圧縮機(13、23)を駆動するための独自のモータ(12、22)を備え、前記第1のライン(15)に配置されて、前記第1のライン(15)を介して気化ガスを供給される前記第1のスクリュー圧縮機モジュール(1)が、前記第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)と並列に配置され、前記第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)が迂回ライン(25)に配置され、前記迂回ライン(25)が、前記第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)の上流で前記第1のライン(15)から分岐し、前記圧縮機装置(100)が、第1の動作モードでは前記気化ガスが前記第1のライン(15)を通って前記第1のスクリュー圧縮機モジュール(1)に供給され、前記迂回ライン(25)を通って前記第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)に供給され、前記第1のスクリュー圧縮機モジュール(1)及び前記第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)が動作し、また第2の動作モードでは前記迂回ライン(25)が前記第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)の上流の位置の弁(26)で閉じられ、前記第2のスクリュー圧縮機モジュール(2)が動作しないように動作可能である、圧縮機装置(100)。
【請求項8】
前記スクリュー圧縮機モジュール(1、2)のうちの少なくとも1つが、前記スクリュー圧縮機モジュール(1、2)が動作している場合に、前記消費器(5)に提供される前記ガスの圧力レベル、温度レベル、質量流量、及び組成のうちの少なくとも1つに応じて、前記スクリュー圧縮機(13、23)を駆動する前記電気モータ(12、22)の前記回転速度を調節するための可変周波数駆動装置(11、21)を備える、請求項7に記載の圧縮機装置。
【請求項9】
前記圧縮機装置(100)が、前記第1のスクリュー圧縮機モジュール及び/又は前記第2のスクリュー圧縮機モジュール(1、2)の下流に直列に接続された第3の圧縮機モジュール(3)を備える、請求項7又は8に記載の圧縮機装置。
【請求項10】
前記第3のスクリュー圧縮機モジュール(3)のスクリュー圧縮機(33)を駆動する電気モータ(32)の前記回転速度を、前記消費部(5)に提供される前記ガスの圧力レベル、温度レベル、質量流量、及び組成のうちの少なくとも1つに応じて調節するための可変周波数駆動装置(31)を更に備える、請求項9に記載の圧縮機装置。
【請求項11】
前記スクリュー圧縮機モジュール(1、2、3)の全ての前記スクリュー圧縮機(13、23、33)が、同一の実際の入口体積流量を有する、請求項7~10のいずれか一項に記載の圧縮機装置。
【請求項12】
全ての前記スクリュー圧縮機モジュール(1、2、3)が、同一の電力定格の同一の電気モータ(12、22、32)を有する、請求項7~11のいずれか一項に記載の圧縮機装置。
【請求項13】
前記スクリュー圧縮機モジュール(1、2、3)のうちの少なくとも1つが、前記圧縮ガスを冷却するために、前記スクリュー圧縮機(13、23、33)の下流に冷却ユニット(14、24、34)を備える、請求項7~12のいずれか一項に記載の圧縮機装置。
【請求項14】
請求項7~13のいずれか一項に記載の圧縮機装置を備える、液化物を輸送するための船舶。
【請求項15】
前記液化ガスが極低温で輸送される、請求項14に記載の液化ガスを輸送するための船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガス源から消費部に加圧ガスを提供するための方法に関する。本発明はまた、液化ガス源から消費部に加圧ガスを提供するための圧縮機装置、及び本発明による圧縮機装置を備える、液化ガスを輸送するための船舶に関する。
【0002】
本発明は、特に外航タンカ内の液化天然ガス(liquefied natural gas、LNG)源からの燃料ガスの供給に特に関連し、主にこの用途に関連して本明細書に記載される。しかしながら、本発明は、その他の極低温液体又は液体混合物にも適用可能であることが理解されるべきである。
【背景技術】
【0003】
天然ガスは、液体状態で貯蔵され輸送されることが好都合であるが、しかしながら通常は、例えば、タンカの推進のために、ガス状態で使用される。この目的のために、LNGの流れを気化させ得る、及び/又はボイルオフガス、すなわち、容器のアレージ空間から蒸発したLNGを使用し得る。このような気化ガスは、液化ガス源から主入力ラインを通して、気化ガスを加圧するための圧縮機に供給される。過去数十年にわたって、LNG船推進のための燃料ガス供給はすなわち、典型的には、各段がいくつかの高速シャフトを含む1つのギヤボックスに組み込まれた多段圧縮機(段数は2~6段の範囲)を使用して行われてきた。例えば、DFDE(Dual Fuel Diesel Electric、二元燃料ディーゼル電気)4ストローク推進用では、4段圧縮機が2段圧縮機に次第に取って代わっていっているが、これは、4段圧縮機が温暖ボイルオフガス(boil off gas、BOG)の吸引時でも必要な燃料ガス(fuel gas、FG)圧(6bara)を維持することができるからである。近頃、17baraの燃料ガス圧レベル(XDF)の2ストローク二元燃料推進要件に対処するために、6段圧縮機が開発されている。2段圧縮機は、BOGが低温(典型的には-90℃)の場合に積荷航海にて主に使用されている。しかしながら、(特にバラスト航海中に)BOGの温度が上昇すると、性能限界に達し、必要な燃料ガス圧を維持することが困難になる。4段圧縮機は、低温(積荷)BOG条件又は温暖(バラスト及びヒールアウト)BOG条件のいずれかで使用され得る。したがって、異なるBOG条件(積荷、バラスト、又はヒールアウト)及び異なる消費部(2又は4ストローク二元燃料機関)は、異なる多段圧縮機を必要とし、煩雑かつ高価な圧縮機装置につながる。
【0004】
非常に多くの場合、船舶設計中に選択される標準的な手法は、最も制約された吸引条件で消費部にガスを供給するようにサイズ決めされた1つの燃料ガス(FG)圧縮機(予備の圧縮機を有する)を設けることである。FG消費部が要求する一定の吐出圧力では、吸引条件(圧力、温度、及び組成)の変動は、考えられる動作事例の全てで最適化されるわけではないFG圧縮機設計につながり得る。
【0005】
圧縮機吸引に適合する典型的な温度レベルは40℃~-140℃の範囲であり(ヒールアウト作業から積荷作業までを含む)、燃料ガス密度に多大な影響を及ぼす。この燃料ガス密度範囲に対処するために必要な圧縮機設計特徴により、低温での圧縮機効率の低下に至る場合が多い。これは、低温吸引条件では、必要とされる圧縮機全体のヘッドが低下するからである。「圧縮機ヘッド」という技術用語は、基本的に、加圧流体の圧力、より具体的には、流体密度と重力定数との積で除した圧力に相当する。これは、その底部に当該圧力を作用させる流体のカラムの高さに相当する。
【0006】
LNG船に適合する典型的なFG圧縮機の吸引圧力レベルは1.03~1.7baraの範囲であるが、これは、吸引温度範囲よりも圧縮機の性能に及ぼす影響が更に大きい。一定の吐出圧力では、高吸引圧力は、必要とされる圧縮機のヘッドの低下につながるので、高吸引圧力では性能が最も低下する。圧縮機吸引では、低温条件と高圧条件とが組み合わされる場合が多い。
【0007】
BOGの典型的な組成は、純粋メタンから、最大20%モルのN2を含有するC1/N2混合物までに及ぶ。タンクからのBOGは、通常、40/-140℃の範囲で見出される。40℃のBOGは、タンクが非常に少ない液体(デッドヒール)を伴って動作される場合に該当する。-140℃は、タンク充填後、BOGの流れが高い場合に該当することが多い。中間の温度レベル(-50/-80℃)は、バラスト作業において見出され得る。圧力は、1.03~1.7baraの範囲である。典型的なLNG船は、1.03~1.26baraの範囲のタンク動作圧レベルを有する一方で、強化タンク格納部を有する船舶は、1.6baraに達する又はこれをわずかに上回る動作圧を有する。
【0008】
LP(低圧)消費部は、通常、約6bara及び20/40℃のFGを必要とする。MP(Medium Pressure、中圧)消費部は、通常、15及び40baraの圧力レベル並びに20/40℃のFGを必要とする。HP(High Pressure、高圧)消費部は、通常、100バール(最大400bara)を上回る圧力及び温度範囲40/20℃のFGを必要とする。
【0009】
したがって、本発明の目的は、液化ガス源から消費部に加圧ガスを提供するための、特に、異なる温度、及び/若しくは圧力、及び/若しくは質量流量レベル、及び/若しくは様々な組成の気化ガスを使用する可能性、並びに/又は異なる温度、及び/若しくは圧力レベルの加圧ガスを必要とする異なる消費部に加圧ガス、特にLNG源からの燃料ガスを供給する可能性を提供するための、効率的な方法を提供することである。
【発明の概要】
【0010】
本目的は、請求項1に記載の、液化ガス源から消費部に加圧ガスを提供する方法によって解決されるものであり、圧縮機装置は、請求項7に記載されるように、液化ガス源から消費部に加圧ガスを供給し、LNG船は、請求項14に記載の圧縮機装置を備える。
【0011】
本発明によれば、液化ガス源から消費部に加圧ガスを提供する方法が提供され、気化ガスは、液化ガス源から第1のラインを介して、気化ガスを加圧するための圧縮機装置に供給され、圧縮機装置は、冗長性概念に従って設計された第1のスクリュー圧縮機モジュール及び第2のスクリュー圧縮機モジュールを備え、第1のスクリュー圧縮機モジュール及び第2のスクリュー圧縮機モジュールは、それぞれが独自のスクリュー圧縮機及びそのスクリュー圧縮機を駆動するための独自のモータを備え、第1のラインに配置されて第1のラインを介して気化ガスが供給される第1のスクリュー圧縮機モジュールは、第2のスクリュー圧縮機モジュールと並列に配置され、第2の圧縮機モジュールは迂回ラインに配置され、迂回ラインは、第2のスクリュー圧縮機モジュールの上流で第1のラインから分岐し、圧縮機装置は、第1の動作モードでは気化ガスが第1のラインを通して第1のスクリュー圧縮機モジュールに供給され、迂回ラインを通して第2のスクリュー圧縮機モジュールに供給され、第1のスクリュー圧縮機モジュール及び第2のスクリュー圧縮機モジュールが動作し、また第2の動作モードでは迂回ラインが第2のスクリュー圧縮機モジュールの上流の位置の弁で閉じられ、第2のスクリュー圧縮機モジュールが動作しないように動作される。
【0012】
第1及び第2という用語は、圧縮ガスの流れに関する装置を示すものではなく、単に明確に列挙するために使用される。
【0013】
冗長性概念は、各スクリュー圧縮機モジュール設計が、それ自体のスクリュー圧縮機と、弁、圧縮機を駆動するための電気モータ、及び独立したスクリュー圧縮機系としての器具などの全てのそれ自体の機器と、を含むことを意味する。各スクリュー圧縮機モジュール内のスクリュー圧縮機は、それ自体の電気モータによって駆動されるので、各スクリュー圧縮機は、別のスクリュー圧縮機モジュールのスクリュー圧縮機から別々に駆動され得る。したがって、各スクリュー圧縮機モジュールは、圧縮機装置の任意のその他のスクリュー圧縮機モジュールから独立して動作することができるが、これは、圧縮機モジュールのうちの1つが、例えばメンテナンスのために停止されなければならない場合に、その他の圧縮機モジュールが依然として動作して、圧縮ガスを消費部に供給し得るので、特に有利である。
【0014】
第2の圧縮機モジュールはまた、必要とされない場合に停止され、迂回され得る。このような圧縮機列のモジュール化により、スクリュー圧縮機モジュールの一部のみが必要とされる場合に、全てのスクリュー圧縮機モジュールを動作させる必要はない。一例として、第1のスクリュー圧縮機モジュールは、低温吸引条件でのみ動作され得、追加の第2のスクリュー圧縮機モジュールは、必要な燃料ガス圧力を維持するために温暖吸引条件の場合に始動され得る。これは、圧縮機装置の消費電力の観点における改善である。
【0015】
圧縮機装置の効率を最良効率の最適点付近に維持するために、スクリュー圧縮機モジュールのうちの少なくとも1つのスクリュー圧縮機を駆動するモータは、スクリュー圧縮機モジュールが動作している場合に、消費部に提供されるガスの圧力レベル、温度レベル、質量流量、及び組成のうちの少なくとも1つに応じて可変周波数駆動で回転速度を調節し得る電気モータであり、したがって、スクリュー圧縮機モジュールのうちの少なくとも1つのスクリュー圧縮機の回転速度をガス条件へと調節する。スクリュー圧縮機の少なくとも1つが可変速度電気モータによって駆動されるので、スクリュー圧縮機の少なくとも1つの回転速度は、圧縮機の周りでガスを再循環させる際にエネルギーを浪費することなく、圧縮されるガスの状態に恒久的に調節され得る。
【0016】
好ましい実施形態では、第3のスクリュー圧縮機モジュールが、第1のスクリュー圧縮機モジュール及び/又は第2のスクリュー圧縮機モジュールの下流に直列に接続される。
【0017】
「上流」及び「下流」という用語は、圧縮機装置を通る圧縮ガスの流れの方向に関することを意味する。
【0018】
別の好ましい実施形態では、第3のスクリュー圧縮機モジュールのスクリュー圧縮機を駆動する電気モータの回転速度は、消費部に提供されるガスの圧力レベル、温度レベル、質量流量、及び組成のうちの少なくとも1つに応じて、可変周波数駆動装置を用いて調節される。
【0019】
更なる実施形態では、貯蔵された液化ガスがその段階を液体から蒸気に変化させる液化ガスの容器/源のアレージ空間からのボイルオフガスを、気化ガスとして使用し得る。
【0020】
なお、スクリュー圧縮機モジュールのうちの1つによって圧縮されたガスは、少なくとも1つのスクリュー圧縮機の出口に、すなわち少なくとも1つのスクリュー圧縮機の下流に配置された冷却ユニットを通してガスを運ぶことによって冷却され得る。
【0021】
本発明に従って提案される手法は、設置面積が限定されたモジュール式圧縮機列の原理を提供する。圧縮機の効率は、吸引条件の全範囲にわたって維持される。ガス圧縮機の効率の最適化は、動作させるスクリュー圧縮機モジュールの数を、消費部に供給されるガスの必要な充填量(質量流量)、圧力レベルヘッド及び/又は温度に従って選択することにより、達成される。圧縮機装置のスクリュー圧縮機モジュールのうちの1つ以上を迂回させる可能性により、必要なガス圧力レベルに到達するための吸引条件に応じた柔軟な動作が可能になる。同時に、目下必要のない圧縮機モジュールを作動停止させることが可能である。更に、本発明による圧縮機装置は、例えば、メンテナンスのためにスクリュー圧縮機モジュールの1つが停止されなければならない場合に、冗長性として使用される予備のスクリュー圧縮機モジュールを可能にする。
【0022】
第2の態様によれば、本発明は、液化ガス源から消費部に加圧ガスを提供するための圧縮機装置に関し、気化ガスは、液化ガス源から、気化ガスを加圧するための圧縮機装置に供給され、圧縮機装置は、冗長性概念に従って設計された第1のスクリュー圧縮機モジュール及び第2のスクリュー圧縮機モジュールを備え、第1のスクリュー圧縮機モジュール及び第2のスクリュー圧縮機モジュールは、それぞれが独自のスクリュー圧縮機及びそのスクリュー圧縮機を駆動するための独自のモータを備え、第1のラインに配置されて第1のラインを介して気化ガスが供給される第1のスクリュー圧縮機モジュールは、第2のスクリュー圧縮機モジュールと並列に配置され、第2のスクリュー圧縮機モジュールは迂回ラインに配置され、迂回ラインは、第2のスクリュー圧縮機モジュールの上流で第1のラインから分岐し、圧縮機装置は、第1の動作モードでは気化ガスが第1のラインを介して第1のスクリュー圧縮機モジュールに供給され、迂回ラインを通して第2のスクリュー圧縮機モジュールに供給され、第1のスクリュー圧縮機モジュール及び第2のスクリュー圧縮機モジュールが動作し、また第2の動作モードでは迂回ラインが第2のスクリュー圧縮機モジュールの上流の位置の弁で閉じられ、第2のスクリュー圧縮機モジュールが動作しないように動作可能である。
【0023】
なお、スクリュー圧縮機モジュールのうちの少なくとも1つは、スクリュー圧縮機モジュールが動作している場合に、消費部に提供されるガスの圧力レベル、温度レベル、質量流量、及び組成のうちの少なくとも1つに応じて、スクリュー圧縮機を駆動する電気モータの回転速度を調節するための可変周波数駆動装置を備える。
【0024】
好ましい実施形態では、圧縮機装置は、第1のスクリュー圧縮機モジュール及び/又は第2のスクリュー圧縮機モジュールの下流に直列に接続される、第3のスクリュー圧縮機モジュールを備える。
【0025】
上流の第1の圧縮機モジュール及び/又は第2の圧縮機モジュールの動作に対して第3の圧縮機モジュールの容量を調節するために、第3の圧縮機モジュールは、消費部に提供されるガスの圧力レベル、温度レベル、質量流量、及び組成のうちの少なくとも1つに応じて、第3のスクリュー圧縮機モジュールのスクリュー圧縮機を駆動する電気モータの回転速度を調節するための可変周波数駆動装置を備え得る。
【0026】
メンテナンスを簡単にするために、全てのスクリュー圧縮機モジュールが、同一の実際の入口体積流量を有するスクリュー圧縮機を使用することもまた可能である。
【0027】
予備部品の在庫を減らすために、同じ電力定格の同じ電気モータを使用することもまた可能である。
【0028】
なお、スクリュー圧縮機モジュールのうちの少なくとも1つは、圧縮ガスを冷却するためにスクリュー圧縮機の下流の出口に冷却ユニットを備える。
【0029】
好ましくは、全てのスクリュー圧縮機モジュールは、同一の出力の同一のモータを有する。
【0030】
所望により、スクリュー圧縮機モジュールのうちの少なくとも1つは、圧縮ガスを冷却するためにスクリュー圧縮機の下流に冷却ユニットを備え、したがって、圧縮段の圧縮熱を除去し、したがって、圧縮装置の効率を更に改善する。
【0031】
保護が求められるが、第1の態様及び第2の態様による本発明の実施形態を表す第3の態様は、本発明による圧縮機装置を備える液化ガスを輸送するための船舶に関する。
【0032】
圧縮機装置及びその実施形態の利点に関する更なる説明については、上記の本発明による方法に関連する記載を明示的に参照されたい。
【0033】
本発明の更なる利点及び好ましい実施形態は、以下の記載及び図面に開示されている。
【0034】
前述の特徴及び以下の特徴は、図に記載される又は示される詳細な組み合わせで開示されているだけでなく、本発明の範囲を超えることなく、特徴のその他の組み合わせもまた使用できることが、当業者には理解される。
【0035】
ここで、好ましい実施形態を示す添付図面を参照して、本発明を更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明による方法を実施するための圧縮機装置の第1の実施形態を概略的に示す。
図2】本発明による方法を実施するための圧縮機装置の第2の実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下では、図に従う異なる実施形態は包括的に論じられ、同一の参照符号は、同一又は本質的に同一のユニットを示す。当業者であれば、図に示される実施形態の1つ以上の圧縮機モジュール、冷却ユニットのような特定の構成要素を、この特定の構成要素以外、あるいは前述の図に示される本実施形態のその他の構成要素の全てを含める必要なく、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の特徴と組み合わせてもよいことを理解する。換言すれば、以下の図は、その他の実施形態と組み合わされ得る本発明の異なる好ましい態様を示す。図に示される実施形態は全て、LNG源から燃料ガスを供給する用途に関するものであるが、当業者であれば、これらの実施形態をその他の極低温ガス又は混合ガスが関与する用途に容易に移転できると理解する。
【0038】
図1は、圧縮機装置100の実施形態を示し、圧縮機装置100は、貯蔵タンク4のアレージ空間とスクリュー圧縮機装置とを流体的に接続する第1のライン15を通して液化ガス貯蔵タンク4からガスを受容し、ガス消費部5によって必要とされる圧力までガスを圧縮する。
【0039】
圧縮機装置100は、2つの並列である列を備え、各列は、1つのスクリュー圧縮機モジュールを備える、すなわち、2つのスクリュー圧縮機モジュール1、2は並列に配置される。
【0040】
スクリュー圧縮機モジュール2は、迂回ライン25を通して貯蔵タンク4からガスを受容し、迂回ライン25は、第2の圧縮機モジュール2の上流で第1のライン15から分岐し、迂回ライン25は、第2の圧縮機モジュール2を貯蔵タンク4のアレージ空間と流体的に接続する。弁26は、迂回ライン25上の第2の圧縮機モジュール2の上流に位置付けられる。
【0041】
各スクリュー圧縮機モジュール1及び2は、スクリュー圧縮機13、23と、スクリュー圧縮機を駆動するための電気モータ12、22と、独立したスクリュー圧縮機モジュールの弁及び器具などのその他の全ての機器と、を備える。独立したスクリュー圧縮機モジュールは、各スクリュー圧縮機モジュールのスクリュー圧縮機が、別のスクリュー圧縮機モジュールといかなる共通機器をも共有することなく、それ自体の電気モータによって駆動されるので、独立して動作するスクリュー圧縮機モジュールを指すことを意味する。
【0042】
源からの蒸発ガスが低温であり、むしろ高圧である場合、圧縮されるガスの密度は高く、圧縮機の吸引口における結果として生じる実際の入口体積流量は、2つの並列スクリュー圧縮機モジュール1、2をそれらの最良効率点で同時に動作させるには低すぎる。
【0043】
したがって、2つの平行なスクリュー圧縮機モジュール1、2のうちの一方のスクリュー圧縮機モジュール1のみが、ガスを圧縮するために動作しており、破線で示された他方のスクリュー圧縮機モジュール2は、動作停止されており、ガスを圧縮していない。更に、迂回ライン25上に配置された弁26は閉鎖位置にあり、したがって、第2の圧縮機モジュール2を貯蔵タンク4から分離する。
【0044】
しかしながら、いくつかのBOG条件においては、1つの圧縮機モジュールでは必要な燃料ガス圧を維持することが困難な場合がある。
【0045】
この必要な燃料ガス圧力を維持するために、第1のスクリュー圧縮機モジュールの下流に配置された第3のスクリュー圧縮機モジュール3は、燃料ガス圧縮のために使用される圧縮数を増加させるように動作され、したがって、圧縮機装置100の出口圧力を増加させる。
【0046】
第3のスクリュー圧縮機モジュール3もまた、電気モータ32によって駆動されるスクリュー圧縮機33を備え、2つの平行なスクリュー圧縮機モジュール1、2の下流に配置される。
【0047】
スクリュー圧縮機モジュール1のみが動作するので、スクリュー圧縮機モジュール3には、スクリュー圧縮機モジュール1によって圧縮されたガスのみが供給され、スクリュー圧縮機モジュール3は、スクリュー圧縮機モジュール1と直列である。
【0048】
スクリュー圧縮機モジュール3内のスクリュー圧縮機33の回転速度を、第1のスクリュー圧縮機モジュール1の可変吸引条件に対してより良好に調節するために、電気モータ32の速度は、可変周波数駆動装置31によって変更される。電動モータ32の速度が可変周波数駆動装置31による吸引条件に従って変更された場合に、スクリュー圧縮機が電動モータによって直接駆動されるので、圧縮機33の回転速度もまた変更される。
【0049】
圧縮機装置100の効率は、可変周波数駆動装置11で第1のスクリュー圧縮機13を駆動する電気モータ12の回転速度を調節することによってもまた、増大し得る。
【0050】
これにより、圧縮機装置100の入口における可変吸引条件に関して、各圧縮機段の最良効率点に到達することが可能になる。VFD及び下流のスクリュー圧縮機モジュールのおかげで、圧縮系は、最初の圧縮機モジュールの吐出(通常は中圧レベル、40℃)と同等の新しい吸引条件に迅速かつ効率的に適応し、必要な圧力で、消費部5に燃料ガスを効率的に供給し得る。
【0051】
所望により、冷却器14、24、34を各スクリュー圧縮機モジュールの下流に位置付けて圧縮段の圧縮熱を除去し、これによって、圧縮装置100の効率を更に改善し得る。
【0052】
図2は、本質的に図1の実施形態に基づく別の実施形態を示す。
【0053】
本実施形態では、蒸発ガスのより高い質量流量が圧縮されなければならない場合に、例えば、より高いボイルオフガスが充填中に貯蔵タンク4内で生成される場合に、又は悪条件を理由として、2つの並列スクリュー圧縮機モジュール1、2が同時に動作され、それぞれがタンク1から蒸発ガスを供給される。その場合、迂回ライン25上の第2の圧縮機モジュール2の上流に位置付けられた弁26は開放位置にあり、圧縮されるべきガスは迂回ライン25を通して第2のスクリュー圧縮機モジュール2に供給される。
【0054】
図1の第1の実施形態におけるような単一のスクリュー圧縮機モジュールの代わりに2つの同一のスクリュー圧縮機モジュールを使用することにより、貯蔵タンクからのより高い流量のガスの圧縮が可能になる。
【0055】
第1の実施形態と同様に、2つの同一のスクリュー圧縮機モジュール1及び2の下流の第3のスクリュー圧縮機モジュール3は、より高い圧力に達するように動作される。
【0056】
2つの平行なスクリュー圧縮機モジュール1、2の下流に配置された第3のスクリュー圧縮機モジュール3が可変周波数駆動装置31を備えているので、第3のスクリュー圧縮機モジュール3内に配置されたスクリュー圧縮機33の回転速度は、上流に配置された2つの圧縮機モジュール1、2によって圧縮されたガスの追加の流れに対処するのに十分に増大され得る。
【0057】
その第2の実施形態では、第2のスクリュー圧縮機モジュール2はまた、第2のスクリュー圧縮機23の最良効率を得るために第2のモータ22の回転速度を調節するために、それ自体の可変周波数駆動装置31を備えて配置され得る。
【符号の説明】
【0058】
1 (第1の)圧縮機モジュール
2 (第2の)圧縮機モジュール
3 (第3の)圧縮機モジュール
4 タンク、液化ガス源
5 ガス消費部
11、21、31 可変周波数駆動装置
12、22、32 モータ
13、23、33 スクリュー圧縮機
14、24、34 冷却器
15 第1のライン
25 第2のライン
26 バルブ
100 圧縮機装置
図1
図2
【国際調査報告】