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特表2024-505852三次元換気画像生成方法、コントローラおよび装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】三次元換気画像生成方法、コントローラおよび装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0536 20210101AFI20240201BHJP
【FI】
A61B5/0536
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544419
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 CN2021132763
(87)【国際公開番号】W WO2022160899
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】202110111098.8
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521441032
【氏名又は名称】北京華睿博視医学影像技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING HUARUI BOSHI MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 10, 2nd Floor, Room 213 No.9 Tianfu Street, Daxing District Beijing 102609 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 可
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲キン▼
(72)【発明者】
【氏名】管 明涛
(72)【発明者】
【氏名】王 誼冰
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA06
4C127FF02
4C127GG11
4C127HH13
(57)【要約】
三次元換気画像生成方法、コントローラおよび装置であって、方法は、信号抽出アルゴリズムおよび画像再構成アルゴリズムを介して、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定によって得られた電気インピーダンス信号に従って、三次元換気画像を生成する段階を含み、ここで、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定は、測定しようとする対象領域の周囲に三次元的に分布した電極アレイを使用することによって実現される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元換気画像生成方法であって、
信号抽出アルゴリズムおよび画像再構成アルゴリズムを介して、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定によって得られた電気インピーダンス信号に従って、三次元換気画像を生成する段階を含み、
ここで、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定は、測定しようとする対象領域の周囲三次元的に分布した電極アレイを使用することによって実現されることを特徴とする、
方法。
【請求項2】
信号抽出アルゴリズムおよび画像再構成アルゴリズムを介して、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定によって得られた電気インピーダンス信号に従って、三次元換気画像を生成する段階は、
信号抽出アルゴリズムを介して、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定によって得られた電気インピーダンス信号から換気関連信号を抽出する段階と、
画像再構成アルゴリズムを介して、前記換気関連信号に従って、三次元換気画像を再構成する段階と、を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気インピーダンス信号は、換気関連信号および血液灌流関連信号を含み、
信号抽出アルゴリズムを介して、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定によって得られた電気インピーダンス信号から換気関連信号を抽出する段階は、
ローパスフィルタを用いて、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定によって得られた電気インピーダンス信号から換気関連信号を抽出する段階を含み、ここで、前記ローパスフィルタのカットオフ周波数は、換気関連信号の第2次高調波周波数よりも大きく、血液灌流関連信号の基本波周波数よりも小さいことを特徴とする、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
信号抽出アルゴリズムおよび画像再構成アルゴリズムを介して、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定によって得られた電気インピーダンス信号に従って、三次元換気画像を生成する段階は、
画像再構成アルゴリズムを介して、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定によって得られた電気インピーダンス信号に従って、三次元画像を再構成する段階と、
信号抽出アルゴリズムを介して、前記三次元画像から三次元換気画像を抽出する段階と、を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
信号抽出アルゴリズムを介して、前記三次元画像から三次元換気画像を抽出する段階は、
複数の瞬間の三次元画像データに従って、三次元画像中の各ピクセルの時系列を列挙し、ここで、各ピクセルの時系列は、異なる瞬間における各ピクセルの値で構成される段階と、
三次元画像中の各ピクセルの時系列から換気関連ピクセルの時系列を抽出する段階と、
換気関連ピクセルの時系列に従って、三次元換気画像を構築する段階と、を含むことを特徴とする、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
三次元画像中の各ピクセルの時系列から換気関連ピクセルの時系列を抽出する段階は、周波数領域フィルタリング法、主成分分析法およびニューラルネットワーク法のうちのいずれか一つのアルゴリズムによって実現されることを特徴とする、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記信号抽出アルゴリズムは、周波数領域フィルタリング法、主成分分析法およびニューラルネットワーク法のうちのいずれか一つのアルゴリズムであることを特徴とする、
請求項2または4に記載の方法。
【請求項8】
前記画像再構成アルゴリズムは、線形差分再構成アルゴリズムまたはニューラルネットワークに基づく画像再構成アルゴリズムであることを特徴とする、
請求項2または4に記載の方法。
【請求項9】
メモリおよびプロセッサを含む三次元換気画像生成コントローラであって、
当該メモリには、コンピュータプログラムが格納され、当該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される場合、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法の段階が実現されることを特徴とする、
前記三次元換気画像生成コントローラ。
【請求項10】
三次元換気画像生成装置であって、
測定しようとする対象領域の電気インピーダンスを測定し、測定された電気インピーダンスを三次元換気画像生成コントローラに送信する、測定しようとする対象領域の周囲に三次元的に分布した電極アレイと、
請求項9に記載の三次元換気画像生成コントローラと、を含むことを特徴とする、
前記三次元換気画像生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2021年01月26日に出願した「三次元換気画像生成方法、コントローラおよび装置」という名称の中国特許出願CN202110111098.8の優先権を主張し、その内容全体は、参照により本開示に組み込まれる。
【0002】
本開示は、電気インピーダンストモグラフィー応用の技術分野に属し、具体的には、三次元換気画像生成方法、コントローラおよび装置に関する。
【背景技術】
【0003】
EIT(Electrical Impedance Tomography、電気インピーダンストモグラフィー)技術は、人体または他の生体内部の電気抵抗率分布を標的とする体内の組織画像を再構成する非侵襲技術である。人体は、大きな生体電気伝導体であり、各組織、臓器には、いずれも一定のインピーダンスがあり、人体の局所臓器に疾患が発生する場合、局所部位のインピーダンスは、他の部位とは異なるはずであるため、インピーダンスを測定することによって、人体臓器の疾患を診断することができる。
【0004】
既存の技術では、二次元換気画像しか生成できず、この二次元画像は、測定しようとする人体の胸部領域の特定の断面のガス含有量の変化によって引き起こされる電気インピーダンスの変化を反映する。しかしながら、二次元画像は、三次元空間の特定の体積における人体の胸部の換気状況を反映することは困難である。
【0005】
現在、三次元換気画像生成方法、コントローラおよび装置が緊急に必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示で解決すべき技術的問題は、三次元空間の各体積における人体の胸部の換気状況を反映するように、三次元換気画像を生成するかである。
【0007】
上記の問題については、本開示は、三次元換気画像生成方法、コントローラおよび装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様において、本開示は、信号抽出アルゴリズムおよび画像再構成アルゴリズムを介して、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定によって得られた電気インピーダンス信号に従って、三次元換気画像を生成する段階を含む、三次元換気画像生成方法を提供し、ここで、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定は、測定しようとする対象領域の周囲に三次元的に分布した電極アレイを使用することによって実現される。
【0009】
第2の態様において、本開示は、メモリおよびプロセッサを含む三次元換気画像生成コントローラを提供し、当該メモリには、コンピュータプログラムが格納され、当該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される場合、上記の方法の段階が実現される。
【0010】
第3の態様において、本開示は、測定しようとする対象領域の電気インピーダンスを測定し、測定された電気インピーダンスを三次元換気画像生成コントローラに送信する、測定しようとする対象領域の周囲に三次元的に分布した電極アレイと、および上記の三次元換気画像生成コントローラを含む、三次元換気画像生成装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本開示の他の特徴および利点は、以下の明細書で説明され、一部は明細書から明らかになるか、または本開示を実施することにより理解することができる。本開示の目的および他の利点は、明細書、特許請求の範囲および添付の図面で指摘された構造によって実現および達成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために使用され、明細書の一部を構成し、本開示の実施例と共に本開示を説明するために使用され、本開示を限定するために使用されない。
【0013】
図1】本開示の実施例1の三次元換気画像生成方法のフローチャートを示す。
図2】本開示の実施例1の三次元換気画像生成方法の別のフローチャートを示す。
図3A】本開示の実施例2の三次元換気画像生成方法のフローチャートを示す。
図3B】本開示の実施例2の三次元換気画像生成方法の別のフローチャートを示す。
図4A】本開示の実施例2の人体の胸部の測定データの時間領域信号の概略図を示す。
図4B】本開示の実施例2の人体の胸部の測定データの周波数領域信号の概略図を示す。
図5A】本開示の実施例2の人体の胸部の測定データのフィルタリング後の換気関連信号の時間領域信号の概略図を示す。
図5B】本開示の実施例2の人体の胸部の測定データのフィルタリング後の換気関連信号の周波数領域信号の概略図を示す。
図6】本開示の実施例2において図3Aに示される三次元換気画像生成方法を用いて生成した人体の胸部の三次元換気画像の概略図を示す。
図7】本開示の実施例2において図3Bに示される三次元換気画像生成方法を用いて生成した人体の胸部の三次元差分画像の概略図を示す。
図8A図7においてピクセル点を例示する時間領域信号の概略図を示す。
図8B図7においてピクセル点を例示する周波数領域信号の概略図を示す。
図9A図7においてピクセル点のデータフィルタリング後の換気関連信号を例示する時間領域信号の概略図を示す。
図9B図7においてピクセル点のデータフィルタリング後の換気関連信号を例示する周波数領域信号の概略図を示す。
図10】本開示の実施例2において図3Bに示される三次元換気画像生成方法を用いて生成した人体の胸部の三次元換気画像の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面および実施例と併せて本開示の実施形態を詳細に説明し、このようにして、本開示が技術的手段を適用して技術的問題を解決し、技術的効果を達成する実現プロセスを完全に理解し、且つそれに応じて実施することができる。矛盾がない限り、本開示の各実施例および各実施例における各特徴は、互いに組み合わせることができ、形成された技術的解決策は、すべて本開示の保護範囲内にあることに留意されたい。
【0015】
実施例1
【0016】
従来技術に存在する上記の技術的問題を解決するために、本開示の実施例は、三次元換気画像生成方法を提供し、ここで、この実施例の三次元換気画像生成方法は、図1および図2に具体的に示されるような二つの方法によって実現される。
【0017】
図1を参照すると、この実施例の三次元換気画像生成方法は、次の段階を含む。
【0018】
段階S110、信号抽出アルゴリズムを介して、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定によって得られた電気インピーダンス信号から換気関連信号を抽出し、ここで、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定は、測定しようとする対象領域の周囲に三次元的に分布した電極アレイを使用することによって実現され、電極アレイは、複数のインピーダンス帯域または電極の三次元分布を備えた電極ベストを使用することができる。
【0019】
段階S120、画像再構成アルゴリズムを介して、前記換気関連信号に従って、三次元換気画像を再構成する。
【0020】
一実施形態において、前記電気インピーダンス信号は、換気関連信号および血液灌流関連信号を含み、信号抽出アルゴリズムを介して、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定によって得られた電気インピーダンス信号から換気関連信号を抽出する段階は、ローパスフィルタを用いて、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定によって得られた電気インピーダンス信号から換気関連信号を抽出する段階を含み、ここで、前記ローパスフィルタのカットオフ周波数は、換気関連信号の第2次高調波周波数よりも大きく、血液灌流関連信号の基本波周波数よりも小さい。
【0021】
段階S110において、前記信号抽出アルゴリズムは、周波数領域フィルタリング法、主成分分析法およびニューラルネットワーク法のうちのいずれか一つのアルゴリズムである。
【0022】
段階S120において、前記画像再構成アルゴリズムは、線形差分再構成アルゴリズムまたはニューラルネットワークに基づく画像再構成アルゴリズムである。
【0023】
図2を参照すると、この実施例の三次元換気画像生成方法は、次の段階を含む。
【0024】
段階S210、画像再構成アルゴリズムを介して、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定によって得られた電気インピーダンス信号に従って、三次元画像を再構成し、ここで、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定は、測定しようとする対象領域の周囲に三次元的に分布した電極アレイを使用することによって実現される。
【0025】
段階S220、複数の瞬間の三次元画像データに従って、三次元画像中の各ピクセルの時系列を列挙し、ここで、各ピクセルの時系列は、異なる瞬間における各ピクセルの値で構成される。
【0026】
段階S230、三次元画像中の各ピクセルの時系列から換気関連ピクセルの時系列を抽出する。
【0027】
段階S240、換気関連ピクセルの時系列に従って、三次元換気画像を構築する。
【0028】
段階S230において、三次元画像中の各ピクセルの時系列から換気関連ピクセルの時系列を抽出する段階は、周波数領域フィルタリング法、主成分分析法およびニューラルネットワーク法のうちのいずれか一つのアルゴリズムによって実現される。
【0029】
段階S210において、前記画像再構成アルゴリズムは、線形差分再構成アルゴリズムまたはニューラルネットワークに基づく画像再構成アルゴリズムである。
【0030】
実施例2
【0031】
従来技術に存在する上記の技術的問題を解決するために、本開示の実施例は、実施例1に基づいて、人体の胸部に適用される三次元換気画像生成方法を提供し、ここで、この実施例の三次元換気画像生成方法は、図3Aおよび図3Bに具体的に示されるような二つの方法によって実現される。
【0032】
図3Aに示されるように、この実施例の三次元換気画像生成方法は、次の段階を含み、まず、測定しようとする人体の胸部領域の電気インピーダンスを測定し、次いで、測定信号から換気関連信号を抽出し、最後に、三次元換気画像を再構成する。具体的なプロセスは、次のとおりである。
【0033】
第1段階、測定しようとする人体の胸部領域の電気インピーダンスを測定する。前記電気インピーダンス測定において、まず、測定しようとする人体の胸部周辺に電極アレイを固定する必要がある。前記電極アレイは、三次元空間に分布したいくつかの電極を含む。次いで、電極アレイを介して、測定しようとする人体の胸部を励起し、且つこれによって生成された応答を測定し、即ち、電極に電流励起を順番に印加し、これによって生成された電圧信号が他の電極で順番に測定される。
【0034】
第2段階、前段階で測定された電気インピーダンス信号から換気関連信号を抽出する。この段階の一実施例において、フィルターを用いて、測定された電気インピーダンス信号から換気関連信号を抽出する。フィルターとしては、有限インパルス応答フィルターまたは無限インパルス応答フィルター等を使用することができる。以下は、人体の胸部を測定する実施例である。図4Aは、測定データの時間領域信号を示す。図の曲線は、特定の電極の励起を表す場合に特定の電極で測定された電圧信号を表す。他の励起-測定状況で得られたデータは、同様である。説明するべきことは、図の縦軸は、デジタル電圧計から直接読み取った電圧値に換算する前の値である。図4Bは、測定データの周波数領域信号を示す。図4Bに示される信号は、図4Aに示される信号をフーリエ変換したものである。図4Bから、換気関連信号および血液灌流関連信号を区別することができる。換気関連信号を抽出するために、有限インパルス応答ローパスデジタルフィルターであり得るローパスフィルタを設計し、当該フィルターのカットオフ周波数は、換気関連信号の第2次高調波周波数よりも大きく、血液灌流関連信号の基本波周波数よりも小さい。フィルタリング後の信号グラフは、図5Aおよび図5Bに示されたとおりであり、ここで、図5Aは、時間領域信号グラフであり、図5Bは、周波数領域信号グラフである。
【0035】
この段階の別の実施例において、PCA(Principle Component Analysis、主成分分析)に基づく方法を使用して換気関連信号を抽出する。具体的には、測定信号をuと仮定する。そのサイズは、N×Nであり、ここで、Nは、サンプリングポイントの数であり、Nは、特徴の数である(ここでは、測定チャネルの数である)。主成分分析によって信号の主成分{p,p,...,pNc}を得、ここで、p(i=1,2,...,N)のサイズは、N×1であり、その対応する特徴の値は、順次減少する。最初のいくつかの主成分(例えば、p,p)をテンプレートとして使用して、信号uに対してテンプレートマッチングフィルタリングを実行して、換気関連信号uを得る。
【0036】
この段階の別の実施例において、ニューラルネットワークに基づく方法を使用して、換気関連信号を抽出する。具体的には、前記ニューラルネットワークに基づく方法は、トレーニングおよび予測の二つの段階に分けられる。トレーニングフェーズにおいて、トレーニングデータを使用して、監督ありまたは監督なしの方法で換気関連信号抽出ネットワークをトレーニングし、予測フェーズにおいて、トレーニングした換気関連信号抽出ネットワークを使用して、電気インピーダンス測定信号中の換気関連信号を抽出する。
【0037】
第3段階、第2段階で抽出された換気関連信号を使用し、画像再構成アルゴリズムを介して、三次元換気画像を再構成する。前記三次元換気画像は、呼吸によって引き起こされる測定しようとする人体領域内の電気インピーダンス変化を反映する。この段階の一実施例において、前記画像再構成アルゴリズムは、線形差分再構成アルゴリズムである。以下は、三次元換気画像を再構成するための線形差分再構成アルゴリズムの実施例である。
【0038】
第2段階で抽出された換気関連信号の時間領域形態は、u(t)であり、ここで、tは、時間変数である。EIT差分再構成は、次のような最小二乗問題として表現されることができる。
【0039】
【数1】
【0040】
ここで、Jは、ヤコビ行列であり、δu=u(t)-u(tref)は、参照瞬間trefに対する瞬間tでの信号の変化であり、δσは、上記の二つの瞬間での換気によって引き起こされる人体の伝導率の変化であり、Rは、正則化行列であり、αは、正則化パラメーターである。参照瞬間trefは、画像再構成プロセス全体にわたって変化しないように設定することができ、画像再構成プロセスが進行するにつれて動的に更新するように設定することができる。δσは、四面体グリッドまたはボクセルグリッド等の離散化された三次元モデルで定義される。上記の問題の解は、δσ=(J・J+αR・R)-1・J・δuであり、D=(J・J+αR・R)-1・Jとすると、上記の式は、δσ=D・δuのように表されることができる。
上記のδσは、計算された三次元換気画像である。
【0041】
図6は、上記の方法で生成された人体の胸部の三次元換気画像の概略図を示す。
【0042】
この段階の別の実施例において、前記画像再構成アルゴリズムは、機械学習に基づく方法である。EIT差分イメージングは、δσ=F(δu)のように表されることができ、ここで、F(・)は、再構成演算子であり、δuは、異なる瞬間での測定データの変化であり、δσは、対応する瞬間での伝導率の変化である。前記機械学習に基づく方法は、トレーニングおよび予測の二つのフェーズに分けられる。まず、トレーニングフェーズにおいて、トレーニングデータ{δu,δσ}が与えられると、機械学習モデルNをトレーニングして演算子F(・)を近似できる。予測フェーズにおいて、差分測定信号δuが与えられると、対応する伝導率変化をNによって予測することができる。
【0043】
【数2】
【0044】
上記の実施例における画像再構成アルゴリズムに加えて、この段階は、様々な線形または非線形、反復または非反復、ランダムまたは決定性の画像再構成アルゴリズムをさらに使用することができる。
【0045】
図3Bに示されるように、この実施例の三次元換気画像生成方法は、次のような段階を含み、まず、測定しようとする人体の胸部領域の電気インピーダンスを測定し、次いで三次元差分画像を再構成し、最後に、三次元差分画像から三次元換気画像を抽出する。具体的なプロセスは、次のとおりである。
【0046】
第1段階、測定しようとする人体の胸部領域の電気インピーダンスを測定する。
【0047】
第2段階、前段階で測定された電気インピーダンス信号を使用し、画像再構成アルゴリズムを介して、三次元差分画像を再構成する。前記三次元差分画像は、測定しようとする人体の胸部内の電気インピーダンスの変化を反映し、当該電気インピーダンスの変化は、人体の換気または血液灌流によって引き起こされる可能性がある。前記画像再構成アルゴリズムは、上記の画像再構成アルゴリズムを使用することができる。図7は、図4に示されるデータおよび線形差分再構成アルゴリズムを使用して生成した三次元差分画像を示す。
【0048】
第3段階、前段階で得られた三次元差分画像から換気画像を抽出する。この段階の一実施例において、フィルターを使用して、三次元差分画像から換気画像を抽出する。N個の瞬間の三次元差分画像は、行列A{α,α,...,αとして配置されることができると仮定し、ここで、α(i=1,2,...,M)は、N個の瞬間のピクセルiの値で構成される列ベクトルであり、Mは、三次元画像中のピクセルの総数である。各ピクセルiの時系列α(i=1,2,...,M)に対してローパスフィルタリングを実行して、換気画像上の対応するピクセルの時系列を得る。具体的には、フィルタリング関数がf(・)であると仮定する場合、換気画像は、A={f(a),f(a),...,f(a),}である。
【0049】
図8Aおよびそれに対応するスペクトログラム図8Bは、図7の人体の胸部の三次元差分画像ピクセル点を例示する時系列を示す。図8Bから、換気関連信号および血液灌流関連信号を区別することができる。換気関連信号を抽出するために、有限インパルス応答ローパスデジタルフィルターであり得るローパスフィルタを設計し、当該フィルターのカットオフ周波数は、換気関連信号の第2次高調波周波数よりも大きく、血液灌流関連信号の基本波周波数よりも小さい。
【0050】
図9Aおよびスペクトログラム図9Bは、図7のピクセル点のフィルタリング後の時間領域信号を示す。三次元差分画像中の各ピクセルに対して、上記のローパスフィルタリングを処理して、三次元換気画像を得ることができ、図10に示されたとおりである。この段階の別の二つの実施例において、主成分分析およびニューラルネットワークに基づく方法を使用して、換気画像を抽出することができる。
【0051】
説明すべきことは、図8A図8B図9Aおよび図9BにおけるA.U.は、任意の単位である。
【0052】
この実施例の人体の胸部に適用される三次元換気画像生成方法は、人体換気によって引き起こされる電気インピーダンス変化を反映できる人体の胸部内の三次元換気画像を提供することにより、三次元空間中の各个体積における人体の胸部の換気状況を反映する。
【0053】
実施例3
【0054】
従来技術に存在する上記の技術的問題を解決するために、本開示の実施例は、三次元換気画像生成コントローラを提供する。
【0055】
この実施例の三次元換気画像生成コントローラは、メモリおよびプロセッサを含み、当該メモリには、コンピュータプログラムが格納され、当該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される場合、実施例1および実施例2に記載の方法の段階が実現される。
【0056】
実施例4
【0057】
従来技術に存在する上記の技術的問題を解決するために、本開示の実施例は、三次元換気画像生成装置をさらに提供する。
【0058】
この実施例の三次元換気画像生成装置は、測定しようとする対象領域の電気インピーダンスを測定し、測定された電気インピーダンスを三次元換気画像生成コントローラに送信する、測定しようとする対象領域の周囲に三次元的に分布した電極アレイと、ならびに実施例3に記載の三次元換気画像生成コントローラを含む。
【0059】
この実施例の三次元換気画像生成装置は、前記三次元換気画像生成コントローラによって生成した三次元換気画像の生成および表示に使用される、画像表示装置をさらに含む。
【0060】
先行技術と比較して、上記の解決策の一つまたは複数の実施例は、次のような利点または有益な効果を有することができる。本開示の三次元換気画像生成方法を適用し、信号抽出アルゴリズムおよび画像再構成アルゴリズムを介して、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定によって得られた電気インピーダンス信号に従って、三次元換気画像を生成し、ここで、測定しようとする対象領域の電気インピーダンス測定は、測定しようとする対象領域の周囲に三次元的に分布した電極アレイを使用することによって実現され、三次元換気画像を提供することにより、三次元空間中の各体積における人体の胸部の換気状況を反映することができる。
【0061】
本開示で開示される実施形態は、上記のとおりであるが、前記内容は、本開示の理解を容易にするための例示であり、本開示を限定するものではない。本開示が属する技術分野の当業者は、本開示に開示される精神および範囲から逸脱することなく、実施の形態および詳細に任意に修正および変更を加えることができるが、本開示の保護範囲は、依然として添付の特許請求の範囲によって定義されなければならない。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
【国際調査報告】