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特表2024-505872三次元前立腺病理画像生成方法及びそのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】三次元前立腺病理画像生成方法及びそのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/02 20060101AFI20240201BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A61B10/02 300D
A61B5/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544721
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 KR2022001884
(87)【国際公開番号】W WO2022169340
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0017521
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519208133
【氏名又は名称】ディープ バイオ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100120008
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 くみ子
(72)【発明者】
【氏名】キム ソンウ
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XE43
4C117XE44
4C117XE45
4C117XE46
4C117XG14
4C117XK04
4C117XK05
4C117XK09
4C117XR07
4C117XR08
4C117XR09
(57)【要約】
三次元前立腺病理画像生成方法及びそのシステムが開示される。
三次元前立腺病理画像生成方法は、三次元前立腺病理画像生成システムが三次元前立腺画像を特定するステップと、三次元前立腺病理画像生成システムが、診断システムによって経会陰テンプレート前立腺生検術(Transperineal Template Prostate Biopsy、TTPB)により得られた所定のテンプレート座標に対応する少なくとも1つの検体毎のデジタル診断結果を取得するステップと、三次元前立腺病理画像生成システムが、検体毎のテンプレート座標とデジタル診断結果とに基づいて、少なくとも1つの検体に存在する前立腺癌の発症部位を三次元前立腺画像上に表示するステップと、を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元前立腺病理画像生成システムが三次元前立腺画像を特定するステップと、
前記三次元前立腺病理画像生成システムが、診断システムによって経会陰テンプレート前立腺生検術(Transperineal Template Prostate Biopsy、TTPB)により得られた所定のテンプレート座標に対応する少なくとも1つの検体毎のデジタル診断結果を取得するステップと、
前記三次元前立腺病理画像生成システムが、検体毎のテンプレート座標と前記デジタル診断結果とに基づいて、前記少なくとも1つの検体に存在する前立腺癌の発症部位を前記三次元前立腺画像上に表示するステップと、
を含む、三次元前立腺病理画像生成方法。
【請求項2】
前記三次元前立腺病理画像生成システムが、検体毎のテンプレート座標と前記デジタル診断結果とに基づいて、前記少なくとも1つの検体に存在する前立腺癌の発症部位を前記三次元前立腺画像上に表示するステップは、
前記三次元前立腺病理画像生成システムが、前記検体毎のテンプレート座標に基づいて、前記三次元前立腺画像上で前記検体毎の検体位置を特定するステップと、
前記デジタル診断結果に基づいて、検体毎に検体内に存在する前立腺癌の発症部位における検体内の相対的発症位置を特定するステップと、
を含む、請求項1に記載の三次元前立腺病理画像生成方法。
【請求項3】
前記三次元前立腺病理画像生成方法は、
前記三次元前立腺画像上に前記検体毎の検体位置を表示するステップをさらに含む、請求項1に記載の三次元前立腺病理画像生成方法。
【請求項4】
前記三次元前立腺病理画像生成方法は、
前記複数の異なる検体にそれぞれ含まれた複数の発症部位に基づいて推定発症部位を特定するステップと、
前記推定発症部位を前記三次元前立腺画像上に表示するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の三次元前立腺病理画像生成方法。
【請求項5】
前記複数の異なる検体にそれぞれ含まれた複数の発症部位に基づいて推定結合発症部位を特定するステップは、
前記複数の異なる検体のうちの第1検体と第2検体のそれぞれに対応する第1個別発症部位と第2個別発症部位とが所定の結合基準を満たすと判断された場合、前記第1個別発症部位と前記第2個別発症部位との間の組織を推定発症部位として特定するステップを含む、請求項4に記載の三次元前立腺病理画像生成方法。
【請求項6】
前記結合基準は、
前記第1検体と前記第2検体のそれぞれに対応する前記第1個別発症部位と前記第2個別発症部位とが、予め定められた基準による隣接性の基準を満たすか、又は前記第1個別発症部位と前記第2個別発症部位とが、予め定められた連続性の基準を満たすと判断される場合であることを特徴とする、請求項5に記載の三次元前立腺病理画像生成方法。
【請求項7】
前記デジタル診断結果に基づいて、検体毎に検体内に存在する前立腺癌の発症部位における検体内の相対的発症位置を特定するステップは、
前記デジタル診断結果に表示された検体の検体病理画像、及び前記検体病理画像上に表示された検体内の前立腺発症部位の位置に基づいて、前記検体内の相対的発症位置を特定するステップを含む、請求項2に記載の三次元前立腺病理画像生成方法。
【請求項8】
前記三次元前立腺病理画像生成システムが、前記検体毎のテンプレート座標に基づいて、前記三次元前立腺画像上で前記検体毎の検体位置を特定するステップは、
前記経会陰テンプレート前立腺生検術の過程で得られる超音波画像上におけるニードルの位置に基づいて、前記三次元前立腺画像上における前記ニードルの位置を特定するステップと、
前記三次元前立腺画像上における前記ニードルの位置と前記ニードル上で予め定められた検体採取部の位置とに基づいて前記検体毎の検体位置を特定するステップと、
を含む、請求項2に記載の三次元前立腺病理画像生成方法。
【請求項9】
データ処理処置に設置され、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の方法を行うためのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記憶されたコンピュータプログラム。
【請求項10】
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行されるプログラムが記録されたメモリと、を含み、
前記プロセッサは、前記プログラムを駆動することで、
三次元前立腺画像を特定し、診断システムによって経会陰テンプレート前立腺生検術(Transperineal Template Prostate Biopsy、TTPB)により得られた所定のテンプレート座標に対応する少なくとも1つの検体毎のデジタル診断結果を取得し、検体毎のテンプレート座標と前記デジタル診断結果とに基づいて、前記少なくとも1つの検体に存在する前立腺癌の発症部位を前記三次元前立腺画像上に表示する、三次元前立腺病理画像生成システム。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記プログラムを駆動することで、
前記検体毎のテンプレート座標に基づいて、前記三次元前立腺画像上で前記検体毎の検体位置を特定し、前記デジタル診断結果に基づいて、検体毎に検体内に存在する前立腺癌の発症部位における検体内の相対的発症位置を特定する、請求項10に記載の三次元前立腺病理画像生成システム。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記プログラムを駆動することで、
前記複数の異なる検体にそれぞれ含まれた複数の発症部位に基づいて推定発症部位を特定し、前記推定発症部位を前記三次元前立腺画像上に表示する、請求項10に記載の三次元前立腺病理画像生成システム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記プログラムを駆動することで、
前記複数の異なる検体のうちの第1検体と第2検体のそれぞれに対応する第1個別発症部位と第2個別発症部位とが所定の結合基準を満たすと判断された場合、前記第1個別発症部位と前記第2個別発症部位との間の組織を推定発症部位として特定する、請求項12に記載の三次元前立腺病理画像生成システム。
【請求項14】
前記結合基準は、
前記第1検体と前記第2検体のそれぞれに対応する前記第1個別発症部位と前記第2個別発症部位とが、予め定められた基準による隣接性の基準を満たすか、又は前記第1個別発症部位と前記第2個別発症部位とが、予め定められた連続性の基準を満たすと判断される場合であることを特徴とする、請求項13に記載の三次元前立腺病理画像生成システム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記プログラムを駆動することで、
前記デジタル診断結果に表示された検体の検体病理画像、及び前記検体病理画像上に表示された検体内の前立腺発症部位の位置に基づいて、前記検体内の相対的発症位置を特定する、請求項11に記載の三次元前立腺病理画像生成システム。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記プログラムを駆動することで、
前記経会陰テンプレート前立腺生検術の過程で得られる超音波画像上におけるニードルの位置に基づいて、前記三次元前立腺画像上における前記ニードルの位置を特定し、前記三次元前立腺画像上における前記ニードルの位置と前記ニードル上で予め定められた検体採取部の位置とに基づいて前記検体毎の検体位置を特定する、請求項11に記載の三次元前立腺病理画像生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元前立腺病理画像生成システム及びそのシステムに関し、より詳しくは、生検によって診断を行った結果を三次元の前立腺画像にマッピングした三次元前立腺病理画像を生成できる方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
前立腺癌の診断のための生検は、経直腸超音波生検(Transrectal Ultrasound Guided Prostate Biopsy)が最も一般的に利用されている。
【0003】
経直腸超音波生検は、直腸に超音波プローブを挿入して前立腺の形態を見ながら、癌の予後が予測される部分に検体採取用ニードルを挿入して検体を採取する方式である。
【0004】
しかし、経直腸超音波生検は、採取された検体が前立腺でどの位置にあったかを正確に特定することができず、採取された検体部位の付近を比較的広範囲に切除しなければならない短所がある。
【0005】
また、最近では、前立腺の生検(又は組織検査)を施行する際に、mpMRI(Multiparametric magnetic respnance imaging)を用いて組織検査の精度を高める試みが存在していたが、このような場合でも癌のおおよその部位のみを確認できるだけであり、採取された検体がどの部位であったかを特定し、これを三次元画像上にマッピングすることは困難な問題があった。
【0006】
一方、採取された検体の位置を比較的正確に判断するための検査方法が登場した。
【0007】
経会陰テンプレートマッピング生検(Transperineal Template Prostate Mapping Biopsies)は、テンプレートと呼ばれるツールを用いることで、検体を採取するニードルの位置を特定できる方式の検査方法である。
【0008】
このような経会陰テンプレートマッピング生検方式は、テンプレートと呼ばれる器具によってニードルが挿入された位置を比較的正確に特定することはできるが、ニードルの挿入位置を特定することに限定される。
【0009】
したがって、前立腺の三次元画像上におけるニードルの位置、採取された検体の前立腺上の位置、及び前立腺癌の発現位置を三次元の前立腺画像上で検査の結果として可視化することで、治療に役立つ方法及びそのシステムが緊急に必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】インターネット公知文献:
【非特許文献2】(https://www.researchgate.net/publication/273324840_PROMIS_-_Prostate_MR_imaging_study_A_paired_validating_cohort_study_evaluating_the_role_of_multi-parametric_MRI_in_men_with_clinical_suspicion_of_prostate_cancer)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が達成しようとする技術的な課題は、生検によって採取された検体の位置を前立腺の三次元画像上で比較的正確に視覚化し、検体に対する検査の結果として前立腺癌の発現位置を視覚化することで、治療に役立つことができる方法及びそのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記技術的課題を達成するための本発明の実施形態による三次元前立腺病理画像生成方法は、三次元前立腺病理画像生成システムが三次元前立腺画像を特定するステップと、前記三次元前立腺病理画像生成システムが、診断システムによって経会陰テンプレート前立腺生検術(Transperineal Template Prostate Biopsy、TTPB)により得られた所定のテンプレート座標に対応する少なくとも1つの検体毎のデジタル診断結果を取得するステップと、前記三次元前立腺病理画像生成システムが、検体毎のテンプレート座標と前記デジタル診断結果とに基づいて、前記少なくとも1つの検体に存在する前立腺癌の発症部位を前記三次元前立腺画像上に表示するステップと、を含む。
【0013】
前記三次元前立腺病理画像生成システムが、検体毎のテンプレート座標と前記デジタル診断結果とに基づいて、前記少なくとも1つの検体に存在する前立腺癌の発症部位を前記三次元前立腺画像上に表示するステップは、前記三次元前立腺病理画像生成システムが、前記検体毎のテンプレート座標に基づいて、前記三次元前立腺画像上で前記検体毎の検体位置を特定するステップと、前記デジタル診断結果に基づいて、検体毎に検体内に存在する前立腺癌の発症部位における検体内の相対的発症位置を特定するステップと、を含んでもよい。
【0014】
前記三次元前立腺病理画像生成方法は、前記三次元前立腺画像上に前記検体毎の検体位置を表示するステップをさらに含んでもよい。
【0015】
前記三次元前立腺病理画像生成方法は、前記複数の異なる検体にそれぞれ含まれた複数の発症部位に基づいて推定発症部位を特定するステップと、前記推定発症部位を前記三次元前立腺画像上に表示するステップと、をさらに含んでもよい。
【0016】
前記複数の異なる検体にそれぞれ含まれた複数の発症部位に基づいて推定結合発症部位を特定するステップは、前記複数の異なる検体のうちの第1検体と第2検体のそれぞれに対応する第1個別発症部位と第2個別発症部位とが所定の結合基準を満たすと判断された場合、前記第1個別発症部位と前記第2個別発症部位との間の組織を推定発症部位として特定するステップを含んでもよい。
【0017】
前記結合基準は、前記第1検体と前記第2検体のそれぞれに対応する前記第1個別発症部位と前記第2個別発症部位とが、予め定められた基準による隣接性の基準を満たすか、又は前記第1個別発症部位と前記第2個別発症部位とが、予め定められた連続性の基準を満たすと判断される場合であることを特徴としてもよい。
【0018】
前記デジタル診断結果に基づいて、検体毎に検体内に存在する前立腺癌の発症部位における検体内の相対的発症位置を特定するステップは、前記デジタル診断結果に表示された検体の検体病理画像、及び前記検体病理画像上に表示された検体内の前立腺発症部位の位置に基づいて、前記検体内の相対的発症位置を特定するステップを含んでもよい。
【0019】
前記三次元前立腺病理画像生成システムが、前記検体毎のテンプレート座標に基づいて、前記三次元前立腺画像上で前記検体毎の検体位置を特定するステップは、前記経会陰テンプレート前立腺生検術の過程で得られる超音波画像上におけるニードルの位置に基づいて、前記三次元前立腺画像上における前記ニードルの位置を特定するステップと、前記三次元前立腺画像上における前記ニードルの位置と前記ニードル上で予め定められた検体採取部の位置とに基づいて前記検体毎の検体位置を特定するステップと、を含んでもよい。
【0020】
上記方法は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記憶されたコンピュータプログラムによって実現してもよい。
【0021】
本発明の他の態様によると、三次元前立腺病理画像生成システムは、プロセッサ、及び前記プロセッサによって実行されるプログラムが記録されたメモリを含み、前記プロセッサは、前記プログラムを駆動することで三次元前立腺画像を特定し、診断システムによって経会陰テンプレート前立腺生検術(Transperineal Template Prostate Biopsy、TTPB)により得られた所定のテンプレート座標に対応する少なくとも1つの検体毎のデジタル診断結果を取得し、検体毎のテンプレート座標と前記デジタル診断結果とに基づいて、前記少なくとも1つの検体に存在する前立腺癌の発症部位を前記三次元前立腺画像上に表示する。
【0022】
前記プロセッサは、前記プログラムを駆動することで、前記検体毎のテンプレート座標に基づいて、前記三次元前立腺画像上で前記検体毎の検体位置を特定し、前記デジタル診断結果に基づいて、検体毎に検体内に存在する前立腺癌の発症部位における検体内の相対的発症位置を特定してもよい。
【0023】
前記プロセッサは、前記プログラムを駆動することで、前記複数の異なる検体にそれぞれ含まれた複数の発症部位に基づいて推定発症部位を特定し、前記推定発症部位を前記三次元前立腺画像上に表示してもよい。
【0024】
前記プロセッサは、前記プログラムを駆動することで、前記複数の異なる検体のうちの第1検体と第2検体のそれぞれに対応する第1個別発症部位と第2個別発症部位とが所定の結合基準を満たすと判断された場合、前記第1個別発症部位と前記第2個別発症部位との間の組織を推定発症部位として特定してもよい。
【0025】
前記結合基準は、前記第1検体と前記第2検体のそれぞれに対応する前記第1個別発症部位と前記第2個別発症部位とが、予め定められた基準による隣接性の基準を満たすか、又は前記第1個別発症部位と前記第2個別発症部位とが、予め定められた連続性の基準を満たすと判断される場合であってもよい。
【0026】
前記プロセッサは、前記プログラムを駆動することで、前記デジタル診断結果に表示された検体の検体病理画像、及び前記検体病理画像上に表示された検体内の前立腺発症部位の位置に基づいて、前記検体内の相対的発症位置を特定してもよい。
【0027】
前記プロセッサは、前記プログラムを駆動することで、前記経会陰テンプレート前立腺生検術の過程で得られる超音波画像上におけるニードルの位置に基づいて、前記三次元前立腺画像上における前記ニードルの位置を特定し、前記三次元前立腺画像上における前記ニードルの位置と前記ニードル上で予め定められた検体採取部の位置とに基づいて、前記検体毎の検体位置を特定してもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明の技術的思想によると、前立腺の三次元画像上で生検によって採取された検体の位置及び検体に対する検査の結果、前立腺癌の発現位置を比較的正確に可視化することで、後の診断及び治療、予後予測などに有用に利用できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の詳細な説明で引用される図面をより十分に理解するために、各図面の簡単な説明が提供される。
図1】経会陰テンプレート前立腺生検の概念を説明するための図である。
図2】経会陰テンプレート前立腺生検をより詳しく説明するための図である。
図3】本発明の一実施形態による三次元前立腺病理画像生成方法を実現するための概略的なシステム構成を示す図である。
図4】本発明の一実施形態による三次元前立腺病理画像生成システムの概略的な構成を示す図である。
図5】本発明の一実施形態による三次元前立腺画像を例示的に示す図である。
図6】本発明の一実施形態によって三次元前立腺画像上に検体の位置及び癌の発症部位を表現する方式を説明するための図である。
図7】本発明の一実施形態によって三次元前立腺画像上に複数の検体の位置を示した図である。
図8】本発明の一実施形態によって推定発症部位を説明するための図である。
図9】本発明の一実施形態による結合発症部位を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明と本発明の動作上の利点及び本発明の実施によって達成される目的を十分に理解するためには、本発明の好ましい実施形態を例示する添付図面及び添付図面に記載された内容を参照しなければならない。
【0031】
また、本明細書において、ある構成要素が他の構成要素にデータを「伝送」する場合、構成要素は、他の構成要素に直接データを伝送することもでき、少なくとも1つのまた他の構成要素を介してデータを他の構成要素に伝送することもできることを意味する。逆に、ある構成要素が他の構成要素にデータを「直接伝送」する場合、構成要素からまた他の構成要素を介することなく他の構成要素にデータが伝送されることを意味する。
【0032】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明することで、本発明を詳しく説明する。各図に示されている同じ参照符号は同じ部材を示す。
【0033】
図1は、経会陰テンプレート前立腺生検の概念を説明するための図である。
【0034】
また、図2は、経会陰テンプレート前立腺生検をより詳しく説明するための図である。
【0035】
まず、図1は、従来公知の経会陰テンプレート前立腺生検方式を示しており、図1に示すように、経会陰テンプレート前立腺生検は、従来の経直腸前立腺生検で直腸を介してニードルが挿入されるが、ニードルの位置が検体の採取者によって任意に決定される方式とは異なり、テンプレート(template)と呼ばれるニードル位置の固定具によって比較的正確にニードルの位置を固定した後、会陰部を介してニードルを挿入する方式である。
【0036】
また、テンプレートによってニードルの挿入位置が固定された状態で、直腸を介して挿入された超音波プローブによって前立腺の一断面を確認しながらニードルを挿入し、前立腺癌と疑われる部位までニードルを挿入して所定のサイズだけ検体を採取する。
【0037】
また、図2を参照すると、左側に示す図は、検査者(検体を採取する者)がテンプレート10を正面から見たときのビューを示し、右側に示す図は、検査者の側面からニードルが挿入されるビューを例示的に示す図である。
【0038】
図2に示すように、テンプレート10には、複数の挿入口が固定形成されており、複数の挿入口を識別できる識別子が割り当てられていてもよい。
【0039】
本明細書では、各挿入口の識別子をテンプレート座標として定義するものとし、このようなテンプレート座標によってニードルが挿入される前立腺の正面ビューにおける左右上下の位置、すなわち、x、y平面上における位置を特定することができる。
【0040】
テンプレート10の上にいくつの挿入口がどのような間隔で形成されるかは、実施形態によって変わり得る。
【0041】
検査者は、超音波プローブ20により得られる超音波画像を通じて検体を採取する必要があると判断された部分に適したテンプレート座標を選択し、選択したテンプレート座標に検体採取用ニードル20を挿入することができる。
【0042】
これによって、検体を採取したニードル20の位置を、従来の経直腸前立腺生検方式に比べて比較的正確に特定できるという効果がある。
【0043】
しかし、このような経会陰テンプレート前立腺生検方式も、テンプレート10の正面ビュー(例えば、図2の左側図面)でx、y座標が特定されてはいるが、正面ビューで採取された検体が前立腺の深さ方向(例えば、図2の右側図で左右方向)でどの部分であるかを特定しにくい問題があるだけでなく、深さ方向が分かるとしても、採取された検体に対する診断の結果、検体の特定部位に癌が発現された場合、特定部位が前立腺全体でどの位置であるか分からない問題があった。
【0044】
したがって、本発明の技術的思想によると、上述した経会陰テンプレート前立腺生検によって検査を行って、採取された検体及び検体内の特定部位で癌が発現された場合に、癌の発現位置を三次元の前立腺画像上に比較的正確にマッピングして検査結果を可視的に容易に確認できるだけでなく、治療にも有用に活用できる方法及びそのシステムを提供することができる。
【0045】
本発明の技術的思想による三次元前立腺病理画像生成方法は、経会陰テンプレート前立腺生検によって前立腺から1つ以上の検体を採取して検査を行った場合、単に検体内に癌が発現されたか否かを確認することにとどまらず、検体内でどの部位に癌が発現されたかを特定し、これを三次元の前立腺画像上に表示することができる。
【0046】
これは、特に、検体がニードルの長手方向に一定長さ以上採取され、採取された検体の一部の部位でのみ癌が発現された場合に検体内の一定部位のみを三次元前立腺画像上に表示することで、検査結果に対する比較的正確な可視的確認と治療を可能にし、過度の部位に対する診療を防ぐことができる効果もあり得る。
【0047】
さらに、本発明の技術的思想によると、癌の発現部位を三次元前立腺画像に表示することにとどまらず、採取された検体の位置までも表示することにより、検査された部位を前立腺画像上で容易に確認できるという効果を提供することができる。
【0048】
また、検体内でも癌が発現された位置を比較的正確に把握することができるため、複数の検体を採取する場合、複数の検体それぞれの癌の発現位置に基づいて、実際は検体が採取されていない部位であるが、癌が発現された可能性の高い位置を合理的に予測して可視化できるという効果を提供することができる。
【0049】
このような技術的思想を実現するための本発明の技術的思想による三次元前立腺病理画像生成システムを、図3及び図4を参照して説明する。
【0050】
図3は、本発明の一実施形態による三次元前立腺病理画像生成方法を実現するための概略的なシステム構成を示す図である。また、図4は、本発明の一実施形態による三次元前立腺病理画像生成システムの概略的な構成を示す図である。
【0051】
図3を参照すると、本発明の技術的思想による三次元前立腺病理画像生成方法を実現するために、三次元前立腺病理画像生成システム100を備えることができる。
【0052】
三次元前立腺病理画像生成システム(以下、「生成システム」、100)は、所定の診断システム200と通信を行って本発明の技術的思想を実現することができる。
【0053】
また、生成システム100は、診断システム200から検体に対する検査の結果を受信し、受信した検査結果に基づいて、上述したように検体の位置、癌の発現位置を三次元前立腺画像上にマッピングして表示することができる。
【0054】
診断システム200は、検体の病理画像(例えば、組織画像)を入力し、どの部位に前立腺癌が発現されたかを判断するシステムであってもよい。
【0055】
診断システム200は、ディープラーニングに基づく画像分析によって、検体のデジタル画像全体、すなわちスライド画像又はスライド画像が複数のパッチに分割されたパッチ画像上で癌の発現部位を判断し、発現部位の位置を画像上に表示するか、又は癌の発現部位の位置を出力するシステムであってもよい。
【0056】
このような診断システム200の一例は、本出願人が出願した大韓民国特許出願(出願番号10-2016-0168176、ニューラルネットワークを用いた疾患の診断システム及びその方法)、(出願番号10-2018-0064332、ツーフェース疾患診断システム及びその方法)などに開示されており、その他にも組織のデジタル画像を入力し、ディープラーニングに基づく診断モデルを通じて癌の発症部位を特定する様々な診断方式が公知となっている。
【0057】
本明細書では、本発明の要旨を明確にするために、診断システム200自体に対する詳細な説明は省略するが、検査を行おうとする検体のデジタル画像を入力し、デジタル画像上で前立腺癌の発症部位を特定する様々な方式を診断システム200に実現することができることを、本発明の技術分野における平均的な専門家であれば容易に推論することができるであろう。
【0058】
もちろん、診断システム200は、検査者から検査者が採取した検体の挿入口、すなわちテンプレート座標の入力を受けることができ、診断システム200は、テンプレート座標、及びテンプレート座標に対応する検体のデジタル診断結果を生成システム100に伝達することができる。
【0059】
また、診断システム200は、検体が採取されると、採取された検体を撮影又はスキャンして検体のデジタル画像として生成するためのツールが備えられるか、又はツールによってデジタル画像を伝達してもよいことは言うまでもない。
【0060】
検体のデジタル診断結果は、検体に対応するデジタル画像上で前立腺癌の発症部位がマーキングされた病理画像そのものであってもよい。このような場合、生成システム100が病理画像を分析して癌の発症部位の位置(例えば、座標値など)を特定することができる。又は、実施形態によると、診断システム200が検体のデジタル画像上で前立腺癌の発現部位を示すことができる少なくとも1つの座標値を特定して生成システム100に伝達することもできる。これらの座標値は、該当の検体内で前立腺癌の発症部位を示す相対的位置として利用できることは言うまでもない。
【0061】
もちろん、実施形態によって、前立腺癌の発現部位毎の進行度を示す情報(例えば、グリソンスコア)が診断システム200から生成システム100に伝達されてもよく、生成システム100は、三次元前立腺画像上で癌の発現部位の位置だけでなく、前立腺癌の進行度に応じて区別をつけて該当の部位を可視化してもよい。
【0062】
その後、生成システム100は、検体毎のテンプレート座標と検体に対応するデジタル診断結果を受信し、受信した検体毎のテンプレート座標に基づいて、対応する検体の三次元前立腺画像上の位置を特定することができる。
【0063】
三次元前立腺画像上の検体の位置は、検体毎のテンプレート座標に基づいて、テンプレート10の正面ビュー上でx、yの位置を特定することができることは言うまでもない。また、深さ方向の位置は、ニードルの長さ及びニードルに形成されて検体を採取できる採取部の位置に基づいて推定されてもよい。
【0064】
実施形態によっては、より正確な深さ方向を演算するため、ニードルが挿入された状態での超音波画像を分析することもできる。例えば、生成システム100は、ニードルが挿入された状態での超音波画像をさらに入力してもよく、超音波画像で前立腺の外郭とニードルの端部の位置を画像分析によって特定してもよい。
【0065】
これにより、超音波画像で分析されたニードルの位置を三次元前立腺画像上の位置に変換することで、挿入されたニードルの深さ方向の位置を比較的正確に判断することができ、ニードルの位置が特定すると、ニードルで予め定められた位置に形成された検体採取部の位置に基づいて、最終的に三次元前立腺画像上で採取された検体の位置を特定することができる。
【0066】
また、生成システム100は、診断システム200のデジタル診断結果に基づいて、検体内で前立腺癌の発症部位の相対的位置及び/又は癌の進行度に対する情報を確認することができる。
【0067】
これにより、特定された検体の位置と検体内の癌の発症部位(発症部位)の相対的発症位置に基づいて、最終的に該当の検体内での癌の発症部位を三次元前立腺画像上で特定して表示することができる。
【0068】
また、このような過程が、採取されたすべての検体に対して行われることで、三次元前立腺画像上で経会陰テンプレート前立腺生検によって診断された診断結果を可視化することができる。
【0069】
また、本発明の技術的思想によると、複数の検体が採取され、各検体に癌の発症部位が存在する場合、検体の位置及び検体毎の癌の発症部位の位置に基づいて、実際に採取されていない前立腺部位に対しても癌が発症したか否かを推定することができる。すなわち、推定発症部位を演算して提供することもできる。
【0070】
このような技術的思想を提供するための生成システム100の具体的な構成は、図4に示すようなものであってもよい。
【0071】
生成システム100は、図2に示すように、本明細書で定義する機能を実現するためのプロセッサ110及び記憶媒体(又はメモリ、120)を含む。プロセッサ110は、所定のプログラム(ソフトウェアコード)を実行できる演算装置を意味することができ、データ処理装置の実現例又はベンダー(Vendor)モバイルプロセッサ、マイクロプロセッサー、CPU、シングルプロセッサ、マルチプロセッサ、GPUなど、様々な名称があげられ、1つ以上のプロセッサで実現することができる。
【0072】
プロセッサ110は、プログラムを駆動することで、本発明の技術的思想に必要なデータ処理を行うことができることを、本発明の技術分野における平均的な専門家であれば容易に推論することができるであろう。
【0073】
メモリ120は、本発明の技術的思想を実現するためのプログラムが記憶/設置される装置を意味することができる。実施形態によって、メモリ120は、複数の異なる物理装置に分割されてもよく、実施形態によって、メモリ120の一部は、プロセッサ110の内部に存在することもできる。メモリ120は、実施形態によって、ハードディスク、GPU、SSD(Solid State Disk)、光ディスク、RAM(Random Access Memory)、及び/又はその他様々な種類の記憶媒体で実現することができ、必要に応じて、メモリ120に取り外し可能に実現することもできる。
【0074】
生成システム100は、診断システム200と通信しながら本発明の技術的思想による三次元前立腺病理画像生成方法を実現するための独立した物理装置で実現されてもよいが、これに限定されず、プログラムを実行するためのデータ処理能力を有するいかなるデータ処理装置(例えば、コンピュータ、モバイル端末など)で実現してもよい。
【0075】
実施形態によって、生成システム100は、診断システム200に搭載され、診断システム200と物理的に一体に実現されてもよい。
【0076】
また、生成システム100は、プロセッサ110、メモリ120、及び診断制御システム100に備えられる様々な周辺装置(例えば、入出力装置、ディスプレイ装置、オーディオ装置など、140、141)、及びこのような装置を連結するための通信インターフェース(例えば、通信バス、130など)が備えられてもよいことは、本発明の技術分野における平均的な専門家であれば容易に推論することができるであろう。
【0077】
一方、本発明の技術的思想による生成システム100は、メモリ120に記憶されたプログラム(又はソフトウェア)とプロセッサ110とを有機的に結合して実現することができることはもちろんであり、以下、本明細書で生成システム100が行う機能及び/又は動作は、プログラムがプロセッサ110によって実行できることを、本発明の技術分野における平均的な専門家であれば容易に推論することができるであろう。
【0078】
図5は、本発明の一実施形態による三次元前立腺画像を例示的に示す図である。
【0079】
図5a及び図5bは、それぞれ三次元前立腺画像とテンプレート10基準の正面ビューを示しており、生成システム100は、このような三次元前立腺画像を特定し、必要に応じて所望の方向での断面を可視化することもできる。
【0080】
三次元前立腺画像は、生成システム100が外部から受信するか、又は生成システム100が自ら生成することができる。
【0081】
三次元前立腺画像を生成するための技術的思想は広く公知となっている。例えば、CT 3D及び/又はmpMRI(Multiparametric magnetic resonance image)などの技術により、被験者の前立腺を三次元画像として生成することができる。
【0082】
生成システム100は、生成された三次元画像に所定の診断方式(例えば、超音波検査、mpMRIなど)により得られる情報を用いることにより、概略的な、すなわち推定される癌の発現予想部位を表示することができる。
【0083】
検査者は、発現予想部位に、上述したような経会陰テンプレート前立腺生検を行うことができる。
【0084】
経会陰テンプレート前立腺生検によって採取される検体は、診断システム200を通じて診断することができる。
【0085】
診断システム200は、検体毎に検体内に前立腺癌の発症部位を判断し、デジタル診断結果を生成システム100に伝送することができる。このとき、診断システム200には、それぞれの検体のテンプレート座標が入力されてもよい。
【0086】
生成システム100は、受信した検体毎の診断結果に基づいて、三次元前立腺画像上の検体の位置及び/又は癌の発症部位を特定して可視化することができる。
【0087】
図6は、本発明の一実施形態によって三次元前立腺画像上に検体の位置及び癌の発症部位を表現する方式を説明するための図である。
【0088】
まず、図6aを参照すると、図6aは、テンプレート10を基準として側面でニードル20を介する経会陰テンプレート前立腺生検を行う場合のビューを示しており、所定のテンプレート座標が選択された状態で、テンプレート座標に対応する挿入口にニードル20が挿入され、前立腺の所定の位置までニードル20が至ることができる。
【0089】
これにより、ニードル20の所定の位置(例えば、21から22まで)に形成された検体採取部は、ニードルの長手方向に一定の長さだけ検体を採取することができる。
【0090】
採取された検体は、診断システム200によって又は別の外部機器によってデジタル病理画像に変換することができる。
【0091】
変換されたデジタル病理画像及びテンプレート座標を入力された診断システム200は、デジタル診断結果を生成することができる。
【0092】
生成したデジタル診断結果の一例は、図6bに示す通りである。
【0093】
図6bは、桃色で表示された部分の検体のデジタル病理画像に、黄色及びかば色で前立腺癌の発症部位を可視化した場合を例示的に示している。
【0094】
また、このとき、黄色及びかば色で可視化された領域は、それぞれ異なる前立腺癌の進行度を区分するために互いに異なる色で可視化されたものであってもよい。
【0095】
デジタル診断結果は、このように検体のデジタル病理画像に前立腺癌の発症部位を可視化した画像そのものであってもよく、デジタル病理画像上で前立腺癌の発症部位に対応する各画素の座標値及び各座標値に対応する進行度(例えば、グリソンスコア)であってもよい。
【0096】
いかなる場合でも、デジタル診断結果は、検体のデジタル病理画像上でどの位置が前立腺癌の発症部位であるかを特定できる情報を含むことができる。
【0097】
これにより、生成システム100は、図6cに示すように、検体の全体の長さ(例えば、Xt~Xb)内で前立腺癌の相対的発症位置(例えば、Ct~Cb)を特定することができる。
【0098】
検体内での相対的発症位置とは、図6cに示すように、検体内で前立腺癌が発症した位置を特定できる開始位置Ct及び終端位置Cbであってもよく、又は検体を座標系とする場合における発症部位に対応する画素の座標値そのものが相対的発症位置であってもよい。
【0099】
いかなる場合でも、三次元前立腺画像上の検体の位置が特定すると、検体内の発症部位の位置を三次元前立腺画像上で特定できるいずれの情報も相対的発症位置となることができる。
【0100】
また、検体の位置は、上述したように、テンプレート座標とニードル20の深さ方向の位置、及びニードルにおける検体採取部の位置によって特定することができることは上述した通りである。
【0101】
また、ニードル20の深さ方向の位置は、テンプレート10を基準としてニードルがどのぐらい進入したかに基づいて概略的な推定によって演算することもできるが、上述したように、検体採取を行うときに取得される超音波画像を通じて、ニードル20の位置を生成システム100によって判断することもできる。
【0102】
例えば、超音波画像で前立腺の外郭とニードル20の終端との距離差を分析することによって、三次元画像上でのニードル20の深さ方向の位置をより詳細に判断することができることは上述した通りである。
【0103】
これにより、図6dに示すように、三次元前立腺画像上で前立腺癌の発症部位40を特定して可視化することができる。
【0104】
生成システム100は、単に前立腺癌の発症部位のみを三次元前立腺画像上に可視化することもできるが、やはり重要な診断及び治療において重要な情報であり得るので、三次元前立腺画像上で採取された検体の位置30を表示することもできる。
【0105】
一方、図6ではいずれかの検体に対して検体の位置30及び/又は前立腺癌の発症部位4が可視化された場合を示しているが、通常は複数の位置に複数の検体が採取されるので、このような場合は図7に示す通りである。
【0106】
図7は、本発明の一実施形態によって、三次元前立腺画像上に複数の検体の位置を示した図である。
【0107】
図7を参照すると、例えば、経会陰テンプレート前立腺生検によって5つの検体が互いに異なるテンプレート座標に対応する位置で採取することができ、このような場合、検体の位置31、32、33、34、35が三次元前立腺画像上で可視化されると、図7に示す通りである。
【0108】
また、生成システム100は、検体毎に前立腺癌の発症部位を特定し、これを可視化することができる。
【0109】
図8は、本発明の一実施形態によって推定発症部位を説明するための図である。
【0110】
図8は、複数の検体が採取された場合、生成システム100によって、各検体における個々の発症部位41、42、43、44が三次元前立腺画像上で可視化された場合を簡略化して例示している。
【0111】
本発明の技術的思想によると、生成システム100は、単に複数の検体毎に発症部位41、42、43、44を三次元前立腺画像上に可視化することにとどまることもある。
【0112】
しかし、本発明の技術的思想によると、このような複数の発症部位41、42、43、44に基づいて推定発症部位(例えば、50、51、52)を特定し、このような推定発症部位(例えば、50、51、52)をさらに可視化することができる。
【0113】
これは、経会陰テンプレート前立腺生検によって採取されていない部位でも前立腺癌が発症することがあり、所定の基準条件を満たす発症部位41、42、43、44が存在する場合は、採取されていない所定の位置、すなわち推定発症部位も前立腺癌が発症した可能性の高い場合が存在し、このような推定発症部位まで共に可視化することが非常に有用であり得るためである。
【0114】
すなわち、生成システム100は、推定発症部位を実際の診断による発症部位とは別に可視化するか、又は推定発症部位50、51、52と実際の発症部位41、42、43、44を含む結合発症部位を三次元前立腺画像上に表示して可視化することができる。
【0115】
推定発症部位は、所定の基準条件、すなわち結合基準を満たす部位であり得る。
【0116】
例えば、生成システム100は、複数の異なる検体のうちの第1検体と第2検体のそれぞれに対応する第1個別発症部位(例えば、41)と第2個別発症部位(例えば、42)とが所定の結合基準を満たすと判断された場合、第1個別発症部位(例えば、41)と第2個別発症部位(例えば、42)との間の組織(例えば、50)を推定発症部位として特定することができる。
【0117】
又は、第1個別発症部位(例えば、42)と第2個別発症部位(例えば、43)とが所定の結合基準を満たすと判断された場合、第1個別発症部位(例えば、42)と第2個別発症部位(例えば、43)との間の組織(例えば、51)を推定発症部位として特定することができる。
【0118】
結合基準は、第1検体と第2検体のそれぞれに対応するテンプレート座標が、予め定められた基準によって定められた隣接性の基準を満たすことを条件として含んでもよい。
【0119】
すなわち、個別発症部位の位置が一定レベル以上隣接している場合、個別発症部位間の組織でも発症した確率が大きいので、このような条件が結合基準に含まれてもよい。
【0120】
個別発症部位の位置が隣接しているかどうかは、単に個別発症部位に対応する検体のテンプレート座標を基準として決定されてもよく、実際の個別発症部位同士の三次元上での距離を基準として決定されてもよい。
【0121】
個別発症部位同士の三次元上での距離は、個別発症部位の中心点間の距離であってもよく、個別発症部位それぞれの外郭線を特定した後の最近接外郭線間の距離であってもよい。様々な方式で個別発症部位間の距離を定義することができ、どの程度隣接すると結合基準を満たすかに対しては、予め決定するか又は反復実験によって決定してもよい。
【0122】
また、単に個別発症部位同士に隣接していることを、それらの間の組織が発症したことと見なさないので、個別発症部位間に所定の連続性の基準が満たすか否かが結合基準にさらに含まれてもよい。
【0123】
連続性の基準は、例えば、隣接性の基準を満たす2つの個別発症部位のグリソンスコアが同じであるか、1程度の差しかないように、疾患の進行状態が同じ程度であるか、又は予め定められた範囲内の差がある場合であってもよい。又は、個別発症部位が予め定められたパターン形状を満たす場合であってもよい。このようなパターン形状を多数の医療データを学習して予め発症部位が有する形状に対するパターンを構築し、そのようなパターン形状の少なくとも1つに2つの個別発症部位が含まれ得る場合に、連続性の基準を満たすと判断してもよい。
【0124】
様々な方式で連続性の基準を定義することができる。
【0125】
通常、隣接性の基準を満たす2つの個別発症部位が存在する場合は、それらの間の領域も共に切除又は治療することが一般的であるため、連続性の基準があまり厳しく定義されなくてもよい。
【0126】
また、結合基準は、隣接性の基準又は連続性の基準のいずれかのみ満たしていても満たすものと定義されてもよく、両方の基準を全て満たす場合のみ結合基準を満たすものと定義されてもよい。
【0127】
結局、本発明の技術的思想によると、実際の診断により確認された発症部位が三次元前立腺画像上で可視化されることにとどまらず、確認された発症部位に基づいて、発症した可能性の高い部位まで推正して可視化することで、診断及び治療に非常に有用に利用することができる。
【0128】
図9は、本発明の一実施形態による結合発症部位を説明するための図である。
【0129】
図9は、本発明の技術的思想によって、推定発症部位と実際の発症部位とが含まれた結合発症部位が三次元前立腺画像上に表示された一例を示している。
【0130】
図9では、推定発症部位と実際の発症部位とを区分することなく可視化し、全体的な発症部位の位置及びサイズを確認しやすく可視化した場合を例示的に示しているが、生成システム100は、上述したように実際の発症部位と推定発症部位を区分できるように可視化してもよいことは言うまでもない。
【0131】
また、説明の便宜上、本明細書では前立腺癌の発症有無に基づいて可視化を行うものとして説明したが、上述したように、発症部位を前立腺癌の進行度(例えば、グリソンスコア)によって区分して可視化してもよいことは言うまでもない。
【0132】
本発明の実施形態による三次元前立腺病理画像生成方法は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータが読み取り可能なコードとして実現することが可能である。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取り可能なデータが記憶されるあらゆる種類の記録装置を含む。コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例としては、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、ハードディスク、フロッピーディスク、光データ記憶装置などがある。また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークで接続されたコンピュータシステムに分散され、分散方式でコンピュータが読み取り可能なコードを記憶して実行することができる。また、本発明を実現するための機能的な(functional)プログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野のプログラマーであれば容易に推論することができる。
【0133】
本発明は、図面に示された一実施形態を参照して説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、本技術分野の通常の知識を有する者であれば、これより様々な変形及び均等な他の実施形態が可能であることを理解できるであろう。よって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付の登録請求の範囲の技術的思想によって定められるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、三次元前立腺病理画像生成方法及びそのシステムに利用することができる。

図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図6d
図7
図8
図9
【国際調査報告】