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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】超電導スイッチの改良
(51)【国際特許分類】
   H10N 60/00 20230101AFI20240201BHJP
   H01F 6/06 20060101ALI20240201BHJP
   H01H 69/01 20060101ALI20240201BHJP
   H01H 37/32 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H10N60/00 G ZAA
H01F6/06
H01H69/01
H01H37/32 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544728
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 NZ2022050008
(87)【国際公開番号】W WO2022164329
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】2021900162
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2021900163
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2021903413
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519018945
【氏名又は名称】ヴィクトリア リンク リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロドニー・アラン・バッドコック
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ウィリアム・バンビー
(72)【発明者】
【氏名】ジアンジャオ・ゲン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ハミルトン・パーマー・ライス
【テーマコード(参考)】
4M113
5G030
5G041
【Fターム(参考)】
4M113AC36
4M113AC48
5G030AC01
5G041AA01
(57)【要約】
いくつかの形態では、電気スイッチは、1つまたは複数の切り替え機構を選択的に適用することによって、低抵抗状態と高抵抗状態との間で制御されるように構成される。高抵抗状態では、超電導材料セグメントを流れる電流は、超電導材料セグメントの臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、または臨界電流よりも大きいかのいずれかであってもよい。いくつかの態様では、超電導材料セグメントは、ある長さの高温超電導材料である。切り替え機構は、超電導材料セグメントを加熱すること、超電導材料セグメントに磁場を印加すること、時変磁場を印加して、動的抵抗および/または熱を生成すること、および/または超電導材料ループに時変磁場を印加して、ループの周囲にスクリーニング電流を発生させることを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気スイッチであって、
輸送電流を流すように構成され、臨界電流と臨界温度を有する超電導材料セグメントと、
前記超電導材料セグメントに磁場を印加するように構成された磁場発生器と、
前記超電導材料セグメントを加熱するための加熱アセンブリと、を含み、
前記磁場発生器および前記加熱アセンブリは、前記超電導材料セグメントを低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替えるために、独立にまたは組み合わせて選択的に制御されるように構成され、
前記低抵抗状態では、前記輸送電流が前記臨界電流よりも実質的に小さいように、前記磁場の大きさは比較的小さく、前記超電導材料セグメントの温度は前記臨界温度よりも実質的に低く、
前記高抵抗状態にある前記電気スイッチの第1構成では、前記臨界電流を低減させるために、前記磁場の大きさは比較的大きく、
前記高抵抗状態にある前記電気スイッチの第2構成では、前記加熱アセンブリは、前記臨界電流を低減させために前記超電導材料セグメントを加熱し、
前記高抵抗状態にある前記電気スイッチの第3構成では、前記磁場の大きさは比較的大きく、前記加熱アセンブリは、前記臨界電流を低減させるために前記超電導材料セグメントを加熱し、
前記高抵抗状態にある前記電気スイッチの前記各構成では、前記超電導材料セグメントの前記臨界電流に近い、前記臨界電流と実質的に等しいか、または前記臨界電流よりも大きいように、前記輸送電流は低減される、電気スイッチ。
【請求項2】
前記磁場発生器および前記加熱アセンブリは、前記電気スイッチを前記低抵抗状態と前記高抵抗状態との間で切り替えるために、独立にまたは組み合わせて選択的に作動および停止されるように構成される、請求項1に記載の電気スイッチ。
【請求項3】
前記加熱アセンブリは、作動状態を維持するように構成され、前記超電導材料セグメントは、前記磁場発生器の選択的な停止および作動によって、低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替わる、請求項2に記載の電気スイッチ。
【請求項4】
前記磁場発生器によって印加される磁場は一定磁場である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項5】
前記加熱アセンブリは、前記超電導材料セグメントに熱的に接触するように配置された抵抗加熱要素を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項6】
前記超電導材料は高温超電導材料である、請求項1~5のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項7】
前記磁場発生器は第1磁場発生器であり、前記磁場は第1磁場であり、前記電気スイッチは、前記超電導材料セグメントに第2時変磁場を印加するように構成された第2磁場発生器を含み、前記第2磁場発生器は、前記超電導材料セグメントを前記低抵抗状態と前記高抵抗状態との間で切り替えるように選択的に制御されるように構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項8】
前記超電導材料は、2つの対向する面を有するテープであり、前記第2磁場発生器は、前記2つの対向する面に実質的に垂直な方向に第2磁場を印加するように構成される、請求項7に記載の電気スイッチ。
【請求項9】
前記第1磁場発生器と前記第2磁場発生器とは同じ磁場発生器であり、前記同じ磁場発生器によって印加される磁場の大きさは、DCバイアスに応じて経時的に変化する、請求項7または8に記載の電気スイッチ。
【請求項10】
前記超電導材料セグメントは、第1端子と第2端子との間に輸送電流を流すように構成された超電導材料ループを含み、前記ループは、前記第1端子と前記第2端子との間に電気的に並列に接続された第1分岐および第2分岐を含み、前記ループは、前記ループの平面に実質的に直交する軸を有し、
前記電気スイッチは、
前記ループを介して第3時変磁場を印加するように構成された第3時変磁場発生器であって、前記ループを通る前記第3磁場の方向が前記ループの軸にほぼ平行であるか、または前記ループの軸にほぼ平行な成分を有する第3時変磁場発生器をさらに含み、
前記低抵抗状態では、前記第3磁場発生器は、前記ループを介して前記第3磁場を印加せず、前記輸送電流は前記2つの端子間のループを流れ、
前記高抵抗状態では、前記第3磁場発生器は、前記ループを介して前記第3磁場を印加し、前記第1分岐および第2分岐のうちの1つまたは複数の分岐における合計電流が前記超電導材料の前記臨界電流に近い、前記臨界電流と実質的に等しいか、または前記臨界電流よりも大きいようにスクリーニング電流を誘導する、請求項1~9のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項11】
前記高抵抗状態では、前記超電導材料セグメントは超電導状態である、請求項1~10のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項12】
電気スイッチであって、
輸送電流を流すように構成され、臨界電流と臨界温度を有する超電導材料セグメントと、
前記超電導材料セグメントに第1一定磁場を印加するように構成された第1磁場発生器と、
前記超電導材料セグメントに第2時変磁場を印加するように構成された第2磁場発生器と、を含み、
前記第1磁場発生器および前記第2磁場発生器は、前記超電導材料セグメントを前記低抵抗状態と前記高抵抗状態との間で切り替えるために、独立にまたは組み合わせて選択的に制御されるように構成され、
前記低抵抗状態では、前記第1磁場および前記第2磁場の大きさは比較的小さく、前記輸送電流は前記臨界電流よりも実質的に小さく、
前記高抵抗状態にある電気スイッチの第1構成では、前記輸送電流が前記超電導材料セグメントの前記臨界電流に近い、前記臨界電流と実質的に等しいか、または前記臨界電流よりも大きいように前記臨界電流を低減させるために、前記第1磁場の大きさは比較的大きく、
前記高抵抗状態にある電気スイッチの第2構成では、前記第2磁場は、前記超電導材料セグメントにおいて動的抵抗を生成し、
前記高抵抗状態にある電気スイッチの第3構成では、前記輸送電流が前記電導材料セグメントの前記臨界電流に近い、前記臨界電流と実質的に等しいか、または前記臨界電流よりも大きいように前記臨界電流を低減させるために、前記第1磁場の大きさは比較的大きく、前記第2磁場は前記超電導材料セグメントにおいて動的抵抗を生成する、電気スイッチ。
【請求項13】
前記第1磁場発生器および前記第2磁場発生器は、前記超電導材料セグメントを前記低抵抗状態と前記高抵抗状態との間で切り替えるために、独立にまたは組み合わせて選択的に作動および停止されるように構成される、請求項12に記載の電気スイッチ。
【請求項14】
前記第1磁場発生器は、作動状態を維持するように構成され、前記超電導材料セグメントは、前記第2磁場発生器の選択的な停止および作動によって、前記低抵抗状態と前記高抵抗状態との間で切り替わる、請求項13に記載の電気スイッチ。
【請求項15】
前記第2磁場発生器は、作動状態を維持するように構成され、前記超電導材料セグメントは、前記第1磁場発生器の選択的な停止および作動によって、前記低抵抗状態と前記高抵抗状態との間で切り替わる、請求項13に記載の電気スイッチ。
【請求項16】
前記超電導材料は、2つの対向する面を有するテープであり、前記第2磁場発生器は、前記2つの対向する面に実質的に垂直な方向に前記第2磁場を印加するように構成される、請求項12~15のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項17】
前記第1磁場発生器と前記第2磁場発生器とは同じ磁場発生器であり、前記同じ磁場発生器によって印加される磁場の大きさは、DCバイアスに応じて経時的に変化する、請求項12~16のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項18】
前記超電導材料は高温超電導材料である、請求項12~17のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項19】
前記超電導材料セグメントを加熱するための加熱アセンブリをさらに含み、前記高抵抗状態では、前記加熱アセンブリは、前記輸送電流が前記超電導材料セグメントの前記臨界電流に近い、前記臨界電流と実質的に等しいか、または前記臨界電流よりも大きいように前記臨界電流を低減させるために、前記超電導材料セグメントを加熱する、請求項12~18のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項20】
前記加熱アセンブリは、前記超電導材料セグメントに熱的に接触するように配置された抵抗加熱要素を含む、請求項19に記載の電気スイッチ。
【請求項21】
前記超電導材料セグメントは、第1端子と第2端子との間に輸送電流を流すように構成された超電導材料ループを含み、前記ループは、前記第1端子と前記第2端子との間に電気的に並列に接続された第1分岐および第2分岐を含み、前記ループは、前記ループの平面に実質的に直交する軸を有し、
前記電気スイッチは、
前記ループを介して第3時変磁場を印加するように構成された第3時変磁場発生器であって、前記ループを通る前記第3磁場の方向が前記ループの軸にほぼ平行であるか、または前記ループの軸にほぼ平行な成分を有する第3時変磁場発生器をさらに含み、
前記低抵抗状態では、前記第3磁場発生器は、前記ループを介して前記第3磁場を印加せず、前記輸送電流は前記2つの端子間のループを流れ、
前記高抵抗状態では、前記第3磁場発生器は、前記ループを介して前記第3磁場を印加し、前記第1分岐および第2分岐のうちの1つまたは複数の分岐における合計電流が前記超電導材料の前記臨界電流に近い、前記臨界電流と実質的に等しいか、または前記臨界電流よりも大きいように、スクリーニング電流を誘導する、請求項12~20のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項22】
前記高抵抗状態では、前記超電導材料セグメントは超電導状態である、請求項12~21のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項23】
電気スイッチであって、
第1端子と第2端子との間に輸送電流を流すように構成された超電導材料ループであって、前記超電導材料ループは、臨界電流と臨界温度を有し、前記ループは、前記第1端子と前記第2端子との間に電気的に並列に接続された第1分岐および第2分岐を含み、前記ループは、前記ループの平面に実質的に直交する軸を有する、超電導材料ループと、
前記ループを介して時変磁場を印加するように構成された時変磁場発生器であって、前記ループを通る磁場の方向が前記ループの軸にほぼ平行であるか、または前記ループの軸にほぼ平行な成分を有する、時変磁場発生器と、
前記超電導材料を加熱するための加熱アセンブリと、を含み、
前記時変磁場発生器および前記加熱アセンブリは、前記超電導材料ループを前記低抵抗状態と前記高抵抗状態との間で切り替えるために、独立にまたは組み合わせて選択的に制御されるように構成され、
前記低抵抗状態では、
前記時変磁場発生器は、前記ループを介して時変磁場を印加せず、前記輸送電流は前記2つの端子間のループを流れ、前記臨界電流よりも実質的に小さく、
前記ループの温度は前記臨界温度よりも実質的に低く、前記高抵抗状態にある電気スイッチの第1構成では、前記時変磁場発生器は、前記ループを介して前記時変磁場を印加し、前記ループ内にスクリーニング電流を誘導し、
前記高抵抗状態にある電気スイッチの第2構成では、前記加熱アセンブリは、前記臨界電流を低減させるために前記ループを加熱し、
前記高抵抗状態にある電気スイッチの第3構成では、前記時変磁場発生器は前記ループを介して前記時変磁場を印加し、前記ループ内にスクリーニング電流を誘導し、前記加熱アセンブリは、前記臨界電流を低減させるために前記ループを加熱し、
前記高抵抗状態にある電気スイッチの前記各構成では、前記第1分岐および前記第2分岐のうちの1つまたは複数の分岐における合計電流は、前記超電導材料の前記臨界電流に近い、前記臨界電流と実質的に等しいか、または前記臨界電流よりも大きい、電気スイッチ。
【請求項24】
前記時変磁場発生器および前記加熱アセンブリは、前記超電導材料ループを前記低抵抗状態と前記高抵抗状態との間で切り替えるために、独立にまたは組み合わせて選択的に作動および停止されるように構成される、請求項23に記載の電気スイッチ。
【請求項25】
前記加熱アセンブリは、作動状態を維持するように構成され、前記超電導材料ループは、前記時変磁場発生器の選択的な停止および作動によって、前記低抵抗状態と前記高抵抗状態との間で切り替わる、請求項24に記載の電気スイッチ。
【請求項26】
前記加熱アセンブリは、前記超電導材料ループに熱的に接触する抵抗加熱要素を含む、請求項23~25のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項27】
前記第1分岐は、1つまたは複数の超電導材料コイルを含む、請求項23~26のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項28】
前記第2分岐は、1つまたは複数の超電導材料コイルを含む、請求項23~27のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項29】
前記第1分岐のコイルと前記第2分岐のコイルは、同じ軸の周りに巻かれている、請求項27に従属する請求項28に記載の電気スイッチ。
【請求項30】
前記第1分岐のコイルは第1回転方向に巻かれ、前記第2分岐のコイルは第2回転方向に巻かれ、前記第1回転方向と前記第2回転方向は異なる、請求項27に従属する請求項29または請求項28に記載の電気スイッチ。
【請求項31】
前記時変磁場発生器は、コアによって前記超電導材料ループに磁気的に結合されている、請求項23~30のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項32】
前記超電導材料は高温超電導材料である、請求項23~31のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項33】
前記超電導材料ループに第2磁場を印加するように構成された第2磁場発生器をさらに含み、
前記低抵抗状態では、前記第2磁場の大きさは比較的小さく、
前記高抵抗状態では、前記臨界電流を低減させるために前記第2磁場の大きさは比較的大きい、請求項23~32のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項34】
前記高抵抗状態では、前記超電導材料ループは超電導状態である、請求項23~33のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項35】
電気スイッチであって、
第1端子と第2端子との間に輸送電流を流すように構成された超電導材料ループであって、前記超電導材料ループは、臨界電流と臨界温度を有し、前記ループは、前記第1端子と前記第2端子との間に電気的に並列に接続された第1分岐および第2分岐を含み、前記ループは、前記ループの平面に実質的に直交する軸を有する、超電導材料ループと、
前記ループを介して時変磁場を印加するように構成された第1磁場発生器であって、前記ループを通る磁場の方向が前記ループの軸にほぼ平行であるか、または前記ループの軸にほぼ平行な成分を有する、第1磁場発生器と、
前記超電導材料セグメントに第2磁場を印加するように構成された第2磁場発生器と、を含み、
前記第1磁場発生器および前記第2磁場発生器は、前記超電導材料ループを前記低抵抗状態と前記高抵抗状態との間で切り替えるために、独立にまたは組み合わせて選択的に制御されるように構成され、
前記低抵抗状態では、前記第1磁場発生器は、前記ループを介して時変磁場を印加せず、前記輸送電流は前記2つの端子間のループを流れ、前記輸送電流が臨界電流よりも実質的に小さいように前記第2磁場は比較的小さく、
前記高抵抗状態にある電気スイッチの第1構成では、前記第1磁場発生器は、前記ループを介して時変磁場を印加し、前記ループ内にスクリーニング電流を誘導し、
前記高抵抗状態にある電気スイッチの第2構成では、前記臨界電流を低減させるために前記第2磁場の大きさは比較的大きく、前記高抵抗状態にある電気スイッチの前記各構成では、前記第1分岐および前記第2分岐のうちの1つまたは複数の合計電流は前記超電導材料の前記臨界電流に近い、前記臨界電流と実質的に等しいか、または前記臨界電流よりも大きい、電気スイッチ。
【請求項36】
前記第1磁場発生器および前記第2磁場発生器は、前記超電導材料ループを前記低抵抗状態と前記高抵抗状態との間で切り替えるために、独立にまたは組み合わせて選択的に作動および停止されるように構成される、請求項35に記載の電気スイッチ。
【請求項37】
前記第1磁場発生器は、作動状態を維持するように構成され、前記超電導材料ループは、前記第2磁場発生器の選択的な停止および作動によって、前記低抵抗状態と前記高抵抗状態との間で切り替わる、請求項36に記載の電気スイッチ。
【請求項38】
前記第2磁場発生器は、作動状態を維持するように構成され、前記超電導材料ループは、前記第1磁場発生器の選択的な停止および作動によって、前記低抵抗状態と前記高抵抗状態との間で切り替わる、請求項36に記載の電気スイッチ。
【請求項39】
前記第1分岐は、1つまたは複数の超電導材料コイルを含む、請求項35~38のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項40】
前記第2分岐は、1つまたは複数の超電導材料コイルを含む、請求項35~39のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項41】
前記第1分岐のコイルと前記第2分岐のコイルは同じ軸の周りに巻かれている、請求項39に従属する請求項40に記載の電気スイッチ。
【請求項42】
前記第1分岐のコイルは第1回転方向に巻かれ、前記第2分岐のコイルは第2回転方向に巻かれ、前記第1回転方向と前記第2回転方向は異なる、請求項39に従属する請求項41または40に記載の電気スイッチ。
【請求項43】
前記第1磁場発生器は、コアによって前記超電導材料ループに磁気的に結合されている、請求項35~42のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項44】
前記第2磁場発生器によって印加される第2磁場は一定磁場である、請求項35~43のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項45】
前記超電導材料は高温超電導材料である、請求項35~44のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項46】
前記超電導材料ループを加熱するための加熱アセンブリをさらに含み、
前記低抵抗状態では、前記ループの温度は前記臨界温度よりも実質的に低く、
前記高抵抗状態では、前記加熱アセンブリは、前記臨界電流を低減させるために前記ループを加熱する、請求項35~45のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項47】
前記高抵抗状態では、前記超電導材料ループは超電導状態である、請求項35~46のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、超電導スイッチに関するものである。より具体的には、本発明は、超電導材料、特に高温超電導材料から形成された部品を含む電気スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
超電導回路では、同様に低抵抗またはゼロ抵抗のような導電経路を有する部品を導入することは一般的に困難である。非超電導部品を導入すると、回路の性能が低下し、回路全体の効率が低下する恐れがある。さらに、大電流超電導回路に抵抗を追加すると、抵抗部品の加熱を相殺するために、よりも大きな冷却が必要となる。
【0003】
超電導回路に抵抗部品を導入する際の更なる問題は、電流源が取り除かれると、その回路内を流れる直流電流がすぐに減衰することである。一方、超電導回路では、電流は回路の時定数(L/R)にしたがって減衰する。言い換えれば、超電導回路の利点は、電源がオフになった後も長期間にわたって直流電流の流れを支えることができることである。これらの超電導回路における電流減衰率は、常導電接合部に関連する回路内の非ゼロ抵抗によって決定される。
【0004】
したがって、超電導回路内でより効率的に動作し、好ましくはその性能を著しく低下させることなく、部品または構成を提供できることが必要である。
【0005】
これらの超電導回路に用いられる部品の1つが可変抵抗電流スイッチである。しかしながら、現在の既存のスイッチ装置には多くの既知の欠点がある。例えば、熱制御スイッチは、通常、応答が遅く、高速スイッチ用途には適していない。電流制御スイッチは、通常、超電導体の臨界電流を超える電流パルスを印加するので、これらのタイプの切り替えデバイスは劣化しやすい。既存の磁場制御切り替えデバイスは高強度磁場によって制御されるが、作動時のこれらの磁場制御切り替えデバイスの単位長さ当たりの抵抗は小さく、切り替え速度は通常、印加磁場コイルの大きなインダクタンスによって制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の目的
本技術の目的は、上記の要求のうちの1つまたは複数を満たす、超電導材料で形成された少なくとも1つの部品を含む電気スイッチを提供することである。
代替的に、本技術の1つの目的は、少なくとも1つの有用な選択肢を公衆に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、超電導材料セグメントを含む電気スイッチが提供される。いくつかの形態では、電気スイッチは、1つまたは複数の切り替え機構を選択的に適用することによって、低抵抗状態と高抵抗状態との間で制御されるように構成される。高抵抗状態では、超電導材料セグメントを流れる電流は、超電導材料セグメントの臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、または臨界電流よりも大きくてもよい。いくつかの態様では、超電導材料セグメントは、高温超電導材料セグメントである。
【0008】
技術の特定の形態では、切り替え機構は、
1.超電導材料セグメントの臨界電流を低減させるために超電導材料セグメントを加熱すること、
2.超電導材料セグメントに磁場を印加して超電導材料セグメントの臨界電流を低減させること、
3.超電導材料セグメントに時変磁場を印加して、超電導材料セグメントにおいて動的抵抗を生成し、および/または動的抵抗および/または磁化によって超電導材料セグメントを加熱すること、
4.超電導材料ループに時変磁場を印加し、ループの周囲にスクリーニング電流を発生させることのうちのいずれか1つまたは複数を含んでもよい。
【0009】
諸例では、電気スイッチは、上記の切り替え機構の任意の組み合わせを実現するために、加熱アセンブリおよび/または1つまたは複数の磁場発生器を含んでもよい。
【0010】
本技術の一態様によれば、輸送電流を流すように構成され、臨界電流と臨界温度を有する超電導材料セグメントを含む電気スイッチが提供される。電気スイッチは、超電導材料セグメントに磁場を印加するように構成された磁場発生器をさらに含んでもよい。電気スイッチは、超電導材料セグメントを加熱するための加熱アセンブリをさらに含んでもよい。磁場発生器および加熱アセンブリは、電気的スイッチを低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替えるために、独立にまたは組み合わせて選択的に制御されるように構成されてもよい。低抵抗状態では、輸送電流が臨界電流よりも実質的に小さいように、磁場の大きさは比較的小さく、超電導材料セグメントの温度は臨界温度よりも実質的に低くてもよい。高抵抗状態では、臨界電流を低減させるために磁場の大きさは比較的大きくてもよく、および/または加熱アセンブリは、輸送電流が超電導材料セグメントの臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、または臨界電流よりも大きいように臨界電流を低減させるために、超電導材料セグメントを加熱してもよい。
【0011】
諸例では、
a)磁場発生器および加熱アセンブリは、電気的スイッチを低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替えるために、独立にまたは組み合わせて選択的に作動および停止されるように構成されてもよく、
b)加熱アセンブリは、作動を維持するように構成され、電気スイッチは、磁場発生器の選択的な停止および作動によって低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替わってもよく、
c)磁場発生器によって印加される磁場は一定磁場であってもよく、
d)加熱アセンブリは、超電導材料セグメントに熱的に接触するように配置された抵抗加熱要素を含んでもよく、
e)超電導材料は、高温超電導材料であってもよく、
f)磁場発生器は、第1磁場発生器であってもよく、磁場は第1磁場であってもよく、電気スイッチは、超電導材料セグメントに第2時変磁場を印加するように構成された第2磁場発生器を含んでもよい。第2磁場発生器は、電気的スイッチを低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替えるように選択的に制御されるように構成されてもよく、
g)超電導材料は、2つの対向する面を有するテープであってもよく、
h)第2磁場発生器は、2つの対向する面に実質的に垂直な方向に第2磁場を印加するように構成されてもよく、
i)第1磁場発生器と第2磁場発生器とは同じ磁場発生器であってもよく、同じ磁場発生器によって印加される磁場の大きさは、DCバイアスに応じて経時的に変化し、
j)超電導材料セグメントは、第1端子と第2端子との間に輸送電流を流すように構成された超電導材料ループを含んでよい。ループは、第1端子と第2端子との間に電気的に並列に接続された第1分岐および第2分岐を含んでもよい。ループは、ループの平面に実質的に直交する軸を有してもよく、および
k)電気スイッチは、ループを介して第3時変磁場を印加するように構成された第3時変磁場発生器をさらに含み、ループを通る第3磁場の方向がループの軸にほぼ平行であるか、またはループの軸にほぼ平行な成分を有するようにしてもよい。低抵抗状態では、第3磁場発生器は、ループを介して第3磁場を印加せず、輸送電流は前記2つの端子間のループを流れるようにしてもよい。高抵抗状態では、第3磁場発生器は、ループを介して第3磁場を印加し、第1分岐および第2分岐のうちの1つまたは複数の分岐における合計電流が超電導材料の臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、または臨界電流よりも大きいようにスクリーニング電流を誘導するようにしてもよい。
【0012】
本発明の一態様によれば、輸送電流を流すように構成され、臨界電流と臨界温度を有する超電導材料セグメントを含む電気スイッチが提供される。電気スイッチは、超電導材料セグメントに第1一定磁場を印加するように構成された第1磁場発生器を含んでもよい。電気スイッチは、超電導材料セグメントに第2時変磁場を印加するように構成された第2磁場発生器をさらに含んでもよい。第1磁場発生器および第2磁場発生器は、電気的スイッチを低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替えるために、独立にまたは組み合わせて選択的に制御されるように構成されてもよい。低抵抗状態では、第1磁場および第2磁場の大きさは比較的小さくてもよく、輸送電流は臨界電流よりも実質的に小さくてもよい。高抵抗状態では、輸送電流が超電導材料セグメントの臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、または臨界電流よりも大きいように臨界電流を低減させるために、第1磁場の大きさは比較的大きくてもよく、および/または、第2磁場は、超電導材料セグメントにおいて動的抵抗を生成してもよい。
【0013】
諸例では、
a)第1磁場発生器および第2磁場発生器は、電気的スイッチを低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替えるために、独立にまたは組み合わせて選択的に作動および停止されるように構成されてもよく、
b)第1磁場発生器は、作動を維持するように構成されてもよく、電気スイッチは、第2磁場発生器の選択的な停止および作動によって、低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替わってもよく、
c)第2磁場発生器は、作動を維持するように構成されてもよく、電気スイッチは、第1磁場発生器の選択的な停止および作動によって、低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替わってもよく、
d)超電導材料は、2つの対向する面を有するテープであってもよい。第2磁場発生器は、2つの対向する面に実質的に垂直な方向に第2磁場を印加するように構成されてもよく、
e)第1磁場発生器および第2磁場発生器は、同じ磁場発生器であってもよく、同じ磁場発生器によって印加される磁場の大きさは、DCバイアスに応じて経時的に変化し、
f)超電導材料は、高温超電導材料であってもよく、
g)電気スイッチは、超電導材料セグメントを加熱するための加熱アセンブリをさらに含んでもよい。高抵抗状態では、加熱アセンブリは、輸送電流が超電導材料セグメントの臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、または臨界電流よりも大きいように臨界電流を低減させるために、超電導材料セグメントを加熱してもよく、
h)加熱アセンブリは、超電導材料セグメントに熱的に接触するように配置された抵抗加熱要素を含んでもよく、
i)超電導材料セグメントは、第1端子と第2端子との間に輸送電流を流すように構成された超電導材料ループを含んでもよい。ループは、第1端子と第2端子との間に電気的に並列に接続された第1分岐および第2分岐を含み、ループは、ループの平面に実質的に直交する軸を有してもよく、
j)電気スイッチは、ループを介して第3時変磁場を印加するように構成された第3時変磁場発生器をさらに含み、ループを通る第3磁場の方向がループの軸にほぼ平行であるか、またはループの軸にほぼ平行な成分を有してもよい。低抵抗状態では、第3磁場発生器はループを介して第3磁場を印加せず、輸送電流は前記2つの端子間のループを流れるようにしてもよい。高抵抗状態では、第3磁場発生器は、ループを介して第3磁場を印加し、第1分岐および第2分岐のうちの1つまたは複数の分岐における合計電流が超電導材料の臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、臨界電流よりも大きいように、スクリーニング電流を誘導してもよい。
【0014】
本発明の一態様によれば、第1端子と第2端子との間に輸送電流を流すように構成され、臨界電流と臨界温度を有する超電導材料ループを含む電気スイッチが提供される。ループは、第1端子と第2端子との間に電気的に並列に接続された第1分岐および第2分岐を含み、ループは、ループの平面に実質的に直交する軸を有してもよい。電気スイッチは、ループを介して時変磁場を印加するように構成された時変磁場発生器をさらに含み、ループを通る磁場の方向がループの軸にほぼ平行であるか、またはループの軸にほぼ平行な成分を有してもよい。電気スイッチは、超電導材料ループを加熱するための加熱アセンブリをさらに含んでもよい。時変磁場発生器および加熱アセンブリは、電気スイッチを低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替えるために、独立にまたは組み合わせて選択的に制御されるように構成されてもよい。低抵抗状態では、時変磁場発生器は、ループを介して時変磁場を印加せず、輸送電流は、2つの端子間のループを流れ、輸送電流は、臨界電流よりも実質的に小さく、ループの温度は、臨界温度よりも実質的に低いようにしてもよい。高抵抗状態では、時変磁場発生器は、ループを介して時変磁場を印加し、ループ内にスクリーニング電流を誘導してもよく、および/または加熱アセンブリは、第1分岐および第2分岐のうちの1つまたは複数の分岐における合計電流が超電導材料の臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、または臨界電流よりも大きいように臨界電流を低減させるために、ループを加熱してもよい。
【0015】
諸例では、
a)時変磁場発生器および加熱アセンブリは、電気的スイッチを低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替えるために、独立にまたは組み合わせて選択的に作動および停止されるように構成されてもよく、
b)加熱アセンブリは、作動を維持するように構成されてもよく、電気スイッチは、時変磁場発生器の選択的な停止および作動によって、低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替わってもよく、
c)加熱アセンブリは、超電導材料ループに熱的に接触するように配置された抵抗加熱要素を含んでもよく、
d)第1分岐は、1つまたは複数の超電導材料コイルを含んでもよく、
e)第2分岐は、1つまたは複数の超電導材料コイルを含んでもよく、
f)第1分岐のコイルと第2分岐のコイルは同じ軸の周りに巻かれていてもよく、
g)第1分岐のコイルは第1回転方向に巻かれてもよく、第2分岐のコイルは第2回転方向に巻かれてもよく、第1回転方向と第2回転方向は異なり、
h)時変磁場発生器は、コアによって超電導材料ループに磁気的に結合されてもよく、
i)超電導材料は、高温超電導材料であってもよく、
j)電気スイッチは、超電導材料ループに第2磁場を印加するように構成された第2磁場発生器をさらに含んでもよい。低抵抗状態では、第2磁場の大きさは比較的小さくてもよい。高抵抗状態では、臨界電流を低減させるために第2磁場の大きさは比較的大きくてもよい。
【0016】
本発明の一態様によれば、第1端子と第2端子との間に輸送電流を流すように構成され、臨界電流と臨界温度を有する超電導材料ループを含む電気スイッチが提供される。ループは、第1端子と第2端子との間に電気的に並列に接続された第1分岐および第2分岐を含んでもよい。ループは、ループの平面に実質的に直交する軸を有してもよい。電気スイッチは、ループを介して時変磁場を印加するように構成された第1磁場発生器をさらに含み、ループを通る磁場の方向がループの軸にほぼ平行であるか、またはループの軸にほぼ平行な成分を有するようにしてもよい。電気スイッチは、超電導材料セグメントに第2磁場を印加するように構成された第2磁場発生器をさらに含んでもよい。第1磁場発生器および第2磁場発生器は、電気的スイッチを低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替えるために、独立にまたは組み合わせて選択的に制御されるように構成されてもよい。低抵抗状態では、第1磁場発生器は、ループを介して時変磁場を印加せず、輸送電流は前記2つの端子間のループを流れ、輸送電流が臨界電流よりも実質的に小さいように第2磁場の大きさは比較的小さいようにしてもよい。高抵抗状態では、第1磁場発生器は、ループを介して時変磁場を印加し、ループ内にスクリーニング電流を誘導してもよく、および/または第1分岐および第2分岐のうちの1つまたは複数の分岐における合計電流が超電導材料の臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、または臨界電流よりも大きいように臨界電流を低減させるために、第2磁場の大きさは比較的大きくてもよい。
【0017】
諸例では、
a)第1磁場発生器および第2磁場発生器は、電気的スイッチを低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替えるために、独立にまたは組み合わせて選択的に作動および停止されるように構成されてもよく、
b)第1磁場発生器は、作動を維持するように構成されてもよく、電気スイッチは、第2磁場発生器の選択的な停止および作動によって、低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替わってもよく、
c)第2磁場発生器は、作動を維持するように構成されてもよく、電気スイッチは、第1磁場発生器の選択的な停止および作動によって、低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替わってもよく、
d)第1分岐は、1つまたは複数の超電導材料コイルを含んでもよく、
e)第2分岐は、1つまたは複数の超電導材料コイルを含んでもよく、
f)第1分岐のコイルと第2分岐のコイルは同じ軸の周りに巻かれていてもよく、
g)第1分岐のコイルは第1回転方向に巻かれてもよく、第2分岐のコイルは第2回転方向に巻かれてもよく、第1回転方向と第2回転方向は異なり、
h)第1磁場発生器は、コアによって超電導材料ループに磁気的に結合されてもよく、
i)第2磁場発生器によって印加される第2磁場は、一定磁場であってもよく、
j)超電導材料は、高温超電導材料であってもよく、
k)電気スイッチは、超電導材料ループを加熱するための加熱アセンブリをさらに含んでもよい。低抵抗状態では、ループの温度は臨界温度より実質的に低くてもよい。高抵抗状態では、加熱アセンブリは、臨界電流を低減させるためにループを加熱してもよい。
【0018】
本技術の特定の形態では、本技術の任意の1つまたは複数の態様の電気スイッチは、バイファイラ配置で配置された超電導材料を含んでもよい。例えば、電気スイッチは、超電導材料の第1ストランドおよび第2ストランドを含み、第1ストランドおよび第2ストランドの各々は、輸送電流を流すように構成され、臨界電流を有する。電気スイッチは、超電導材料の第1ストランドおよび第2ストランドに磁場を印加するように構成および配置された磁場発生器をさらに含んでもよい。磁場発生器は、高透磁率磁性コアを含んでもよい。磁場発生器は、電気的スイッチを、磁場の大きさが比較的小さい場合の低抵抗状態と、磁場の大きさが比較的大きい場合の高抵抗状態との間で切り替えるように選択的に制御されるように構成されてもよい。低抵抗状態では、輸送電流は臨界電流よりも大幅に小さくてもよい。高抵抗状態では、輸送電流は、臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、または臨界電流よりも大きくてもよい。超電導材料の第1ストランドおよび第2ストランドは、磁場の領域内で互いに実質的に平行に空間的に配置され、輸送電流が磁場の領域内で超電導材料の第1ストランドおよび第2ストランドを逆方向に流れるように電気的に接続されてもよい。
【0019】
諸例では、
a)高透磁率磁性コアは、ギャップによって分離された第1端部および第2端部を含み、超電導材料の第1ストランドおよび第2ストランドはこのギャップ内に配置されているようにしてもよく、
b)超電導材料の第1ストランドおよび第2ストランドは、それぞれ2つの対向する面を有するテープの形態であってもよく、
c)テープは、超電導材料の第1ストランドの対向する面が第2超電導材料ストランドの対向する面と平行になるように配置されてもよく、
d)テープは、超電導材料の第1ストランドおよび第2ストランドに印加される磁場が2つの対向する面のそれぞれに実質的に垂直になるように配向されてもよく、
e)電気スイッチは、超電導材料の第1ストランドおよび第2ストランドを含む超電導材料セグメントを含んでもよく、または、超電導材料の第1ストランドおよび第2ストランドは、第1ストランドの一方の面を第2ストランドの一方の面に接続することによって電気的に接続されてもよく、
f)超電導材料は、高温超電導(HTS)材料である。
【0020】
本技術の別の形態によれば、本技術の任意の1つまたは複数の態様の電気スイッチは、輸送電流を流すように構成され、臨界電流を有する超電導材料セグメントを含んでもよい。電気スイッチは、超電導材料セグメントに磁場を印加するように構成および配置された磁場発生器をさらに含んでもよい。磁場発生器は、高透磁率磁性コアを含んでもよい。磁場発生器は、電気的スイッチを、磁場の大きさが比較的低い場合の低抵抗状態と、磁場の大きさが比較的高い場合の高抵抗状態との間で切り替えるように選択的に制御されるように構成されてもよい。低抵抗状態では、輸送電流は臨界電流よりも実質的に小さくてもよい。高抵抗状態では、輸送電流は、臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、または臨界電流よりも大きくてもよい。超電導材料セグメントは、高透磁率磁性コアに近づくにつれて超電導材料セグメントを流れる輸送電流によって発生される自己磁場を実質的に相殺するように配置されてもよい。
【0021】
本技術の実用化の少なくとも1つの例を提供する以下の説明を読むと、本技術の他の態様がそのすべての新規な態様で考慮されるべきであることが当業者には明白になる。
以下では、以下の図面を参照して、限定することを意図せず、本技術の1つまたは複数の実施形態を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】高温超電導体の例示的な電場対電流のグラフを示す。
図1A】大きさの異なる3つの外部磁場を印加したときの超電導材料の電場対電流を示すグラフである。
図2A】本技術の一形態による電気スイッチを示す。
図2B】低抵抗状態にある図2Aのスイッチを示す。
図2C】高抵抗状態にある図2Aのスイッチを示す。
図3】本技術の別の形態による電気スイッチを示す。
図4】本技術の一形態による、磁場発生器をスイッチに結合する方法を示す。
図5】可変磁場の存在下と非存在下で本技術の一形態による超電導スイッチの端子間で測定された電圧を比較したグラフを示す。
図6】本技術の一形態による、磁場発生器をスイッチに結合する代替方法を示す。
図7】本技術の別の形態による電気スイッチの斜視図である。
図8A】本技術の別の形態による電気スイッチの斜視図である。
図8B】本技術の別の形態による電気スイッチの斜視図である。
図9】2つの異なる温度における高温超電導体の臨界電流と印加電場との関係を示すグラフである。
図10A】本技術の別の形態による電気スイッチの斜視図である。
図10B】本技術の別の形態による電気スイッチの斜視図である。
図11】本技術の一形態による、磁場発生器によって発生される磁場強度の時間的変化を示すグラフである。
図12】本技術の別の形態による電気スイッチの斜視図である。
図13A】本技術の一形態による電気スイッチの概略図である。
図13B】本技術の別の形態による電気スイッチの概略図である。
図14】技術の一形態による電気スイッチにおいて、さまざまな応用分野における超電導材料セグメントの臨界電流の関係と、超電導材料セグメントがバイファイラ配置とユニファイラ配置の場合の関係を示す図である。
図15A】本技術の一形態による電気スイッチの磁場分布を示す。
図15B】本技術の別の形態による電気スイッチの磁場分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
6.1.超電導体の議論
現在の技術の理解を助けるために、読者は超電導体の臨界温度や超電導体の臨界電流などの超電導用語に親しんでおく必要がある。しかし、読者の利益のために、以下でこれらの概念について簡単に説明する。
【0024】
超電導体の臨界温度は、一般に、超電導体の抵抗率がゼロまたはゼロまで低下する温度と定義される。言い換えれば、超電導体は、超電導体の温度が臨界温度よりも低い場合には超電導状態となり、臨界温度よりも高い場合には非超電導状態となる。超電導体の多くは絶対零度に近い臨界温度を持っている。例えば、水銀の臨界温度は4.1Kであることが知られている。しかしながら、いくつかの材料は、30Kから125Kなど、はるかに高い臨界温度を有することも知られている。例えば、二ホウ化マグネシウムの臨界温度は約39Kであるが、イットリウムバリウム銅酸化物(YBCO)の臨界温度は約92Kである。これらの超電導体は一般に高温超電導体(HTS)と呼ばれる。
【0025】
高温超電導ワイヤやテープの臨界電流は、通常、ワイヤに沿って100μV/m(=1μV/cm)の電界降下を引き起こす、超電導ワイヤ/テープを流れる電流として定義される。臨界電流は、使用される超電導材料および超電導材料の物理的配置の両方の関数であることを理解すべきである。例えば、幅広のテープ/ワイヤは、同じ材料で構成された薄いテープ/ワイヤよりも高い臨界電流を有することがある。しかし、本明細書全体を通して、超電導体/超電導材料の臨界電流を参照することは、議論を簡略化するためであることを理解すべきである。
【0026】
電流Iが臨界電流I臨界にほぼ等しい場合、超電導体の抵抗はゼロではないが、小さい。しかし、Iが臨界電流I臨界よりもはるかに大きい場合、超電導体の抵抗は放熱するのに十分大きくなり、超電導体を臨界温度以上に加熱することができ、その結果超電導体はもはや超電導ではなくなる。このような状態は「クエンチ」と呼ばれることもあり、超電導体そのものを傷つけることもある。
【0027】
図1は、高温超電導体の内部電場対電流曲線を示すプロットの一例である。なお、このプロットに示される電場は、以下の式で抵抗に関係していることが理解される。
【数1】
ここで、
・Eは電場であり、
・Iは超電導体を流れる電流であり、
・Rはワイヤの抵抗であり、
・Lはワイヤの長さである。
【0028】
したがって、図1のプロットは超電導体の単位長さ当たりの抵抗に関係しており、図示の曲線は非線形であるため、結果として得られる超電導体の抵抗は電流に対して非線形になる。
【0029】
この図から、超電導体の臨界電流I臨界未満では、超電導体内の電場強度は実質的にゼロであることが分かる。超電導体内の電流が臨界電流に近づくと、超電導体内の電場が増加し始める。臨界電流では、超電導体内の電場は100μV/mである。超電導体内の電流が臨界電流を超えてさらに増加すると、導体内の電場強度が急速に増加する。
【0030】
本明細書全体を通じて、超電導材料と超電導材料を含む部品との相対抵抗が参照される。より具体的には、本明細書は、低抵抗または高抵抗の状態にある超電導材料を指す。超電導状態にあるとき、超電導材料はゼロまたは実質的にゼロの抵抗を有することができるので、これらの抵抗は、通常、所定の電流で超電導材料に存在する電場に監視て表されることが多いことが理解されるべきである。しかし、本明細書全体を通じて、前述の議論を簡略化するために、超電導材料の低抵抗状態や高抵抗状態などの相対抵抗を参照している。
「低抵抗状態」という用語は、超電導材料が超電導状態でほぼゼロまたは実質的にゼロの抵抗を有する場合、または材料が部分超電導状態で低抵抗を有する場合を指し得る。「高抵抗状態」という用語は、超電導材料が低抵抗状態よりも実質的に大きい抵抗を有する状態、例えば、実質的にゼロではない抵抗、またはゼロに近いが低抵抗状態よりも実質的に大きい抵抗を有する状態を意味する。誤解を避けるために、文脈上明確に別段の指示がない限り、本明細書で言及されている高抵抗状態には、超電導状態が含まれてもよい。
【0031】
同様に、本明細書において、超電導体に流れる電流が臨界電流を超えるために超電導体が高抵抗状態になると記載されている場合、文脈上明確に別段の指示がない限り、超電導体に流れる電流が臨界電流に近いかほぼ等しい場合にも高抵抗状態が達成され得ることを理解すべきである。
【0032】
本明細書に記載されている技術を説明する際には、材料およびそれを含む部品を「超電導」と呼ぶ。この用語は、当業者がこのような材料に一般的に使用する用語として用いられ、当該材料が常に超電導状態であることを意味するものとはみなされない。特定の条件下では、材料およびその材料を含む部品は超電導状態でないことがある。つまり、材料は超電導であると表現できても、超電導ではない。
【0033】
6.2.超電導材料
本技術の特定の形態は、様々なタイプの超電導材料を含んでもよい。例えば、本技術の形態は、高温超電導(HTS)材料を含んでもよい。記載された技術形態に適した例示的HTS材料は、希土類バリウム酸化銅(ReBCO)のような酸化銅超電導体、例えばイットリウムバリウム酸化銅またはガドリニウムバリウム酸化銅のような酸化銅超電導体、および鉄系超電導体を含む。他のタイプの超電導体は、他の形態の技術に使用することができる。
【0034】
特定の形態では、超電導材料はテープの形態で提供されてもよい。テープは、その深さよりも大きい(明らかに大きい場合を含む)幅を有し、2つの対向する面を有する材料セグメントとして記述することができる。
【0035】
6.3.切り替え機構
本技術の形態は、超電導材料から形成された(超電導材料を含む)電気スイッチの切り替えを実現するために使用できるさまざまな機構を利用する。ここでは、個々の機構について説明し、次に、本技術の特定の形式がこれらの機構をどのように組み合わせて利用するかの例について説明する。
【0036】
6.3.1.超電導体の臨界電流に対する磁場の影響
超電導体の臨界電流は、超電導体に印加される外部磁場に依存する。より具体的には、超電導体により高い外部磁場が印加されると、臨界磁場の値まで臨界電流が低下し、その値を超えて超電導体が超電導(低抵抗)状態でなくなる。この関係は図1Aに示されており、図1Aは、大きさの異なる3つの外部磁場を印加したときの超電導材料の電場対電流のグラフを示す。外部磁場の最大の大きさB印加1は、最小臨界電流I臨界1をもたらす。
本技術の形態は、超電導材料により大きな外部磁場を印加すると超電導材料の臨界電流が減少する原理を利用した電気スイッチに関するものである。超電導材料を低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替えるために、超電導材料に磁場、例えば、実質的に一定磁場(すなわち、直流磁場)を選択的に印加することにより、臨界電流を輸送電流に対して上昇または下降させることができる。特に、高温超電導体(HTS)では、超電導体をより高抵抗状態に切り替えるために、磁場自体が非現実的に高い磁場を印加する必要があるが、別の機構で切り替えることを可能にするために、実用的な大きさの磁場を印加することで臨界電流を十分に低減させることができる。
【0037】
6.3.2.超電導体に対する時変磁場の影響-動的抵抗と加熱
本技術の特定の形態では、動的抵抗現象が利用されている。これは、超電導体が直流輸送電流を流しながら、時変磁場にさらされると起こる。これにより、超電導体内に直流電気抵抗が生成するが、これは超電導体が高抵抗状態に切り替わるほど十分に大きい可能性がある。
【0038】
この現象によって生じる超電導体の直流電気抵抗は、超電導体を加熱することによってエネルギー損失を引き起こす可能性もある。超電導体に時変磁場を印加すると、磁化による熱損失も発生する可能性がある。動的抵抗による損失は、輸送電流の領域、例えば超電導材料セグメントの中央領域で発生してもよく、一方、磁化損失は超電導材料の端部領域で発生してもよい。加熱の量は、印加される時変磁場の周波数および振幅に依存してもよい。
動的抵抗現象を引き起こす時変磁場は、交流磁場、例えば正弦波状に変化する磁場であってもよい。
【0039】
超電導材料セグメントがその幅または深さよりも著しく大きい場合(例えば、ワイヤまたはテープ)、動的抵抗は、超電導材料に印加される時変磁場の、材料の長さに沿った方向に垂直な成分によって主に引き起こされる。
【0040】
6.3.3.超電導体の加熱
以上のように、超電導材料の臨界電流は、使用する超電導材料のタイプと超電導材料の物理的配置の両方の関数である。臨界電流は超電導材料の温度にも依存する。超電導材料の温度が上昇するにつれて、臨界電流が減少する。この関係は臨界温度まで続き、臨界温度を超えると超電導材料は超電導ではなくなる。
【0041】
本技術の形態は、超電導材料の温度が上昇するにつれて超電導材料の臨界電流が減少するという原理を利用した電気スイッチに関する。超電導材料を選択的に加熱することにより、超電導材料を低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替えるために、輸送電流に対して臨界電流を増減させることができる。
【0042】
本技術の異なる形態は、電気スイッチ内の超電導材料を加熱するために異なる機構を使用してもよく、本技術の形態は、加熱を達成するために使用される機構に限定されない場合がある。しかしながら、本技術の例示的な形態では、超電導材料を加熱するための機構の2つの例が提供される。ここでは、この2つの機構について簡単に説明する。
【0043】
第一に、加熱要素は、超電導材料に熱的に接触するように配置されてもよい。加熱要素は、例えば、導体を流れる電流が抵抗に遭遇すると、ジュール加熱プロセスによって電気エネルギーを熱エネルギーに変換する抵抗加熱要素であってもよい。加熱要素は、超電導材料と物理的に接触して配置され、主として伝導によって材料を加熱してもよく、または超電導材料から分離して、主として対流および/または放射によって材料を加熱してもよい。
第二に、上述したように、本技術の形態は、動的抵抗および磁化現象によって発生される超電導材料セグメントに、時変磁場(例えば、AC磁場と呼ぶことができるAC磁場)を印加することによって引き起こされる熱効果を利用することができる。
【0044】
6.3.4.スクリーニング電流
超電導材料ループに時変磁場を印加すると、スクリーニング電流がループの周りに流れ、ループを流れる輸送電流と相まって、超電導材料の臨界電流を超える可能性がある。したがって、超電導材料ループに時変磁場を選択的に印加することにより、ループを低抵抗状態と高抵抗状態との間で遷移させることができる。
【0045】
以下、このような切り替え機構を利用した電気スイッチの形態について説明する。機構を単独で使用する電気スイッチの例示的な形態に関して以下に特徴を説明する場合、これらの特徴は、本明細書で後述するスイッチ機構の組み合わせを利用する電気スイッチの任意の形態にも使用され得ることが理解されるべきである。この切り替え機構の更なる詳細は、PCT出願番号PCT/NZ2020/050132に提供されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
図2Aは、本技術による切り替え機構に基づいて動作するスイッチ200の概略図である。スイッチ200は、第1端子204と第2端子206との間に接続された超電導材料202を含む。
【0047】
使用時には、輸送電流I輸送が、第1端子204と第2端子206との間に流れるように選択的に供給される。言い換えれば、輸送電流I輸送は、必要に応じてオンおよびオフすることができる。
【0048】
なお、図2Aでは、前述の説明を簡略化するために、第1端子204が正の端子として示され、第2端子206が負の端子として示されている。
【0049】
同様に、輸送電流I輸送は、従来定義されていた直流(DC)電圧に対して予想される第1(正)端子204から第2(負)端子206に流れるように示される。しかしながら、前述の説明から明らかなように、DC電圧の使用は、本技術を制限するものとみなされるべきではない。さらに、DC電流を使用する場合、超電導材料202の低抵抗、ゼロ抵抗、またはほぼゼロ抵抗であるために、超電導材料は無視できるほどの損失を受けることが理解されるべきである。AC電流を使用した場合、寄生効果により損失が高くなることがよくあるが、総損失は同等の非超電導材料よりも著しく小さくなる。
【0050】
2つの端子204、206間の超電導材料202は、電気的に平行な2つの超電導分岐212a、212bを含むループ210内に形成される。
【0051】
これらの超電導分岐212a、212bは、非ゼロ接続抵抗を提供する方法を含む、当業者に知られている方法を使用して、2つ以上の超電導材料を互いに接合することによって形成され得る。代替的に、分岐212a、212bは、例えば超電導テープを2つの平行な分岐に分割するなど、実質的にゼロ抵抗接合を提供する任意の方法を用いて形成することができる。
【0052】
使用時には、第1端子204と第2端子206との間に接続された回路(図示せず)を用いて、第1端子204と第2端子206との間に輸送電流が印加される。この電気回路は、電圧源または電流源などの電源、変圧器、または当業者に知られている他の任意の適切な電子回路を含むことができる。次いで、時変磁場B印加(t)は、ループ210の平面に直交する方向(またはループ210の平面に直交する成分を有する)、すなわちループ210の軸に平行な方向にループ210またはループ210内で選択的に印加され、軸はループ210の平面に直交する。図2Aでは、磁場がループ210を通るように、時変磁場がループ210に印加される。磁場が超電導材料202を通過すること、または通過しようとすることによる損失を低減させるために、ループの平面に対して実質的にまたは少なくとも部分的に直交する方向に時変磁場を提供することが有利である。
【0053】
この時変磁場B印加(t)は、ループ210内の磁束変化に対抗してループ210の分岐212a、212b間にスクリーニング電流(Iスクリーニング)を流す。このスクリーニング電流Iスクリーニングは、ループ210を流れる輸送電流に追加され、その結果、流れる総電流が増加する。このような電流の増加は、超電導材料の抵抗の限界の増加(例えば、図1に示すように電流が臨界電流I臨界より小さい場合)、または超電導材料の抵抗の著しい増加(例えば、図1に示すように、電流I臨界が超電導体の臨界電流に近い、それ以上の場合、)をもたらす可能性がある。
【0054】
ここで図2Bを参照すると、時変磁場が存在しない場合、または非時変磁場または弱い時変磁場が存在する場合に、図2Aのスイッチ200がどのように動作するかが示されている。図2Bから分かるように、ループ210を流れる電流は、輸送電流I輸送と実質的に等しい。時変磁場が印加されたり、磁場の大きさが増減したりすると、図2Cに示すように、ループ210の周囲にスクリーニング電流Iスクリーニングが流れる。分岐212a、212bのいずれか一方の輸送電流I輸送とスクリーニング電流Iスクリーニングとの和が超電導体の臨界電流に近いかまたはそれを超えると、分岐212a、212bの実効抵抗が増加する。その結果、スイッチを低抵抗状態と高抵抗状態との間で遷移させるために、時変磁場を印加することができる。
【0055】
スイッチ200の低抵抗状態はスイッチ200の閉状態と同等であり、高抵抗状態はスイッチ200の開状態と同様であると考えられる。しかし、高抵抗状態とは、機械式スイッチによく見られる電気的開回路ではなく、T臨界よりも高い加熱が後に発生しない限り、ループが超電導状態を維持することを表す高抵抗導電状態であることを理解すべきである。
【0056】
いくつかの実施形態では、低抵抗状態は、ループ210の分岐212a、212bの抵抗がほぼゼロまたは実質的にゼロである超電導状態であってもよい。すなわち、好ましい実施形態では、スイッチの低抵抗状態は、超電導状態にあるループ210の少なくとも一部を有する。しかし、これは技術の限定とはみなされず、代替実施形態では、低抵抗状態は部分超電導状態であってもよい。例えば、常電導金属のはんだ付け接合により、ループの超電導要素間に1つまたは複数の低抵抗接合が形成される。
【0057】
同様に、高抵抗状態は、ループ210の分岐212a、212bの抵抗がゼロに近いが、低抵抗状態の抵抗よりも大きい超電導状態であってもよい。本技術の一適用例では、高抵抗状態にあるループ210の分岐212a、212bの抵抗は実質的に非ゼロであってもよい。例えば、ループ210は、非超電導状態または部分超電導状態であってもよい。
【0058】
したがって、本技術は、時変磁場に曝されたとき、または時変磁場の振幅が変化したときに、低抵抗状態と高抵抗状態との間で遷移することができるスイッチを提供することが理解されるべきである。これは、有利には、従来の電流スイッチよりも信頼性の高い、より高速なスイッチ、非接触スイッチの構築を可能にすることができる。他の潜在的な利点は、次のような切り替え要素を作成することを含む。
・前述の説明から明らかなように、従来のスイッチよりもコンパクトである。
・切り替え速度は、特にスイッチの高抵抗状態が超電導状態である用途において、サーマルスイッチよりも速い。
・既存のAC場制御スイッチよりも高いオフ抵抗を達成することができる。
・超電導体から磁場が排除され、超電導体内の散逸が低減されるため、従来のスイッチよりも効率的である。
・スイッチは非接触で損失が低いため、既存のスイッチよりも信頼性が高い。および
・インダクタンスが低いので、磁場発生器の駆動源の電力を低くすることができる。
【0059】
図3は、本技術によるスイッチ300の別の実施形態を示す。前述の実施形態と同様に、超電導材料202は、2つの電気的に平行な分岐312a、312bを含むループ310内に配置されている。しかし、本実施形態では、各分岐312a、312bは超電導材料コイル314a、314bを含み、各コイルは1つまたは複数の巻数を含む。
【0060】
図面および前述の説明を参照すると、本技術のループは、2つ以上の電気的に平行な導電経路を含むことが理解されるべきである。一方、本技術の各コイルはそれぞれ、1つまたは複数の巻数からなる単一の導電経路を有する。
【0061】
使用時には、ループ310および/またはコイル314a、314bの平面に直交する方向(または平面に直交する成分を有する方向)に、ループ310を介して2つのコイル314a、314bの両方にわたって、時変磁場B印加が選択的に印加される。これにより、並列に接続された2つの分岐312a、312bによって形成される閉ループ310の周囲にスクリーニング電流Iスクリーニングが流れる。前述の実施形態によれば、このスクリーニング電流は、スイッチ300を低抵抗状態と高抵抗状態との間で選択的に遷移させるために使用されてもよい。
【0062】
第1分岐312aは時計回り方向に巻かれた1つまたは複数のコイル314aを含み、第2分岐312bは反時計回り方向に巻かれた1つまたは複数のコイル314bを含み、その逆もまた同様であることが望ましい。このような配置は、第1コイル314aにおけるスクリーニング電流が第2コイル314bにおけるスクリーニング電流と同じ方向に誘導されることを確実にするために使用され、ループ310の周囲にスクリーニング電流が流れることを促進するのに有利であり得る。さらに、コイル314a、314bの使用は、各分岐312a、312bのインダクタンスを実質的に等しくすることを有利に容易にすることができる。例えば、1つまたは複数の巻数を有するコイル314a、314bを用いることにより、各分岐312a、312b間の幾何学的な差は、各分岐における電流巻数のより小さい部分となる。
【0063】
このような配置のもう1つの潜在的な利点は、各分岐における切り替え長が長いので、以前の実施形態よりも高い切り替え抵抗を可能にすることである。
【0064】
図4は、図3のスイッチ300の一実施例を示す概略図である。本実施形態では、磁束をコア406に導くことにより、可変磁場発生器402とスイッチ404との間の結合を改善することができる。このようにして、図4の配置は、当業者にとって周知の変圧器の配置と類似している。
【0065】
コア406は、鉄心のような高透磁率磁性コアであることが好ましいが、これは、前述の議論から明らかになるように、技術的な制限とみなされるべきではない。
【0066】
簡単にするために、磁場発生器402は、1つまたは複数の巻数を含むコイル410を介してコアに磁気的に結合されたAC電源408として示されている。しかし、これは技術的な制限とみなされるべきではなく、例えばDC電流源を切り替えることによって、可変磁場を発生させる代替的な方法を用いてもよい。
【0067】
前述の議論を簡略化するために、また、磁場発生器のコイル410をスイッチ402のコイル414a、414bから区別するために、本明細書では、磁場発生器のコイル410を、磁場発生器コイル410、または単に発生器コイルと呼ぶ。
【0068】
磁場発生器コイル410は、YBCOのような超電導材料または銅やアルミニウムなどの非超電導材料を含む任意の適切な導電性材料で構成され得ることも理解されるべきである。好ましい実施形態では、発生器コイル410は銅で構成される。これにより、超電導発生器コイル410を用いた同様のスイッチよりも安価なスイッチを有利に提供することができる。
【0069】
変圧器の類推を継続するために、発生器コイル410を変圧器の一次側と考え、スイッチのコイル414a、414bを変圧器の二次側と考えてもよい。
【0070】
しかし、従来の変圧器とは異なり、スイッチ404の超電導コイル414a、414bは、コア406の周りに逆回転方向に巻かれ、互いに並列に電気的に接続されている。その結果、コイル414a、414bの巻数がそれぞれ同じであれば、二次巻数コイルは短絡し、コイル414a、414bに囲まれる正味磁束はほぼゼロとなる。コア406は、ループ416を形成する一対のコイル414a、414bに印加磁場を結合するためのものである。これにより、磁場発生器402からの磁束変化に対抗するために、ループ416内にスクリーニング電流が発生される。
【0071】
使用時には、スイッチ404を低抵抗状態と高抵抗状態との間で遷移させるために必要に応じて、磁場発生器402を選択的に使用可能にするか、または振幅を変化させてことができる。
【0072】
磁場発生器402がコア406に可変磁場を発生させていないか、またはコア406に微弱磁場を発生させている低抵抗状態では、2つの平行な分岐412a、412b間で輸送電流I輸送が均等に共有される傾向がある。この状態では、これらの分岐412a、412bは抵抗値がゼロまたはゼロに近く、しかも、コイル414a、414bが逆回転方向に巻かれているため、端子204、206の間にはインダクタンスがほとんど存在しない。さらに、コイル414a、414bを逆回転方向に巻いて並列接続した場合にも、コイル414a、414bからコア406に誘導される磁束は実質的にゼロ、または微少である。
磁場発生器402が作動されたり、印加磁場の大きさが増減されたりすると、上述したように、超電導線のループ416内にスクリーニング電流Iスクリーニングが形成される。分岐414a、414bの一方または両方における輸送電流I輸送とスクリーニング電流Iスクリーニングの和が超電導材料の臨界電流に近い、等しいか、またはそれよりも大きい場合、非ゼロ抵抗が分岐に存在する。これにより、磁場発生器402を作動したり、磁場発生器の振幅を任意に変化させてスイッチ404を低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替えることができる。
【0073】
図5は、本技術の一形態によるスイッチの端子204、206間の電圧の測定例を示す。この図において、スイッチの両端の電圧は、スイッチの端子204、206間で測定された電圧である。磁場発生器電流は、磁場発生器402によって発生器コイル410に印加される電流の振幅を反映する。
【0074】
なお、完全性のために、電流源を使用して端子204、206間に約80アンペアのDC電流を印加する。超電導コイル414a、414bは、それぞれ幅4mmのYBCOテープを1回巻いたものであり、発生器コイルには200回巻いた銅線を使用する。
【0075】
可変磁場がない場合(約80.5秒後)、端子204、206間で測定された電圧は実質的にゼロであることが分かる。言い換えれば、時変磁場が存在しない場合、超電導材料は超電導である。これはスイッチの低抵抗状態を表している。一方、可変磁場が印加された場合(80.5秒前)、端子間で測定された電圧変動は、超電導材料の電気抵抗の変化を表している。加えて、このような可変磁場を印加すると、端子間のピーク電圧が観測された。これは、スイッチの高抵抗状態を表している。スイッチのこのような高抵抗状態は、スイッチの期待される用途に応じて、超電導状態または非超電導状態を表し得ることが理解されるべきである。
【0076】
図6は、本技術によるスイッチ600のさらに別の実施形態を示す。本実施形態では、可変磁場発生器402の発生器コイル410は、スイッチ600のコイル414a、414bと同軸に位置合わせされる。これにより、発生器コイル410とスイッチ600の超電導コイル414a、414bとの間の磁場結合が有利に改善され得る。
【0077】
図示の実施形態では、スイッチ600の超電導コイル414a、414bの巻数は、発生器コイル410の巻数と千鳥状に配置されている。しかし、これは決して技術の制限とみなすべきではない。例えば、発生器コイル410の超電導コイル414a、414bの軸方向内側に超電導コイル414a、414bを配置してもよい。代替的に、発生器コイル410は、超電導コイル414a、414bの軸方向内側に位置していてもよい。さらに別の代替例では、発生器コイル410は、コイル414a、414bから長手方向に間隔をおいて配置されてもよい。第1超電導コイル414aは、第2超電導コイル414bの代替位置に配置されてもよいことが想定される。例えば、第1超電導コイル414aは発生器コイル410の下方に位置し、第2超電導コイル414bは発生器コイル410の上方に位置してもよい。
【0078】
発生器コイル410と超電導コイル414a、414bとを同軸に位置合わせることのさらなる利点は、非磁性コアまたは空芯602の使用を可能にすることである。これにより、スイッチの小型化、軽量化、低コスト化に有利である。空芯を使用することの更なる利点、例えばコアを飽和させることなく、より高いスクリーニング電流を駆動するなども当業者には明らかである。
【0079】
6.4. 切り替え機構の組み合わせ
本技術の形態は、超電導材料から形成された(超電導材料を含む)電気スイッチのスイッチを実現するために使用され得る上記機構の組み合わせを利用する。本技術の形態は、以下で具体的に説明されるものを含め、さまざまな機構のすべての可能な組み合わせを含む。
さらに、機構の異なる組み合わせの動作については、特定の例および部品の構成を参照して説明するが、本技術の他の形態では、同じ機構の組み合わせを使用して切り替えを実現する他の部品を使用する。例えば、上記の「スクリーニング電流」機構を使用する電気スイッチの形態は、上記の如何なる形態も、他の形態も含むことができる。同様に、他の切り替え機構の代替構成を使用することもできる。
【0080】
6.4.1.組み合わせ1-スクリーニング電流と抵抗加熱
本技術の特定の形態では、上記の「スクリーニング電流」と「加熱」切り替え機構との組み合わせを使用して動作する電気スイッチ700が提供される。図7は、このような電気スイッチ700の一形態を示し、図7は、電気スイッチ700の斜視図である。
【0081】
図示の形態では、電気スイッチ700は、2つの端子712および714の間に接続された超電導材料セグメント710を含む。超電導材料セグメント710は、超電導材料セグメント718および719の2つの電気的に平行な分岐を含むループ716を含む。ループ716は、図2A~2Cに関して上述されたループ210と同様であってもよい。超電導材料セグメント710は、2つの対向する面を有するテープの形態をとることができる。
使用時には、第1端子712と第2端子714との間に接続された電気回路(図示せず)を用いて、第1端子712と第2端子714との間に輸送電流が印加される。この電気回路は、電圧源または電流源、変圧器、または当業者に周知の任意の他の適切な機構などの電源を含んでもよい。
【0082】
電気スイッチ700は、ループ716の平面に直交する方向(または、ループ716の平面に直交する成分を有する)に、すなわちループ716の軸に平行な方向に、ループ716を介して、時変磁場を印加するように構成された時変磁場発生器720をさらに含み、この軸はループ716の平面に直交する。
【0083】
図2A~2Cに関連して上述したように、時変磁場発生器720によって印加される時変磁場は、ループ716内の磁束変化に対抗するために、ループ716の分岐718、719の間にスクリーニング電流を流すことになる。このスクリーニング電流は、ループ716の周りを流れる輸送電流に追加され、その結果、超電導材料セグメント710を流れる総電流が増加する。時変磁場発生器720は、輸送電流および/またはスクリーニング電流のレベルが適切に制御される場合に、超電導材料セグメント710を低抵抗状態から高抵抗状態に切り替えることができる。
【0084】
図7に示す技術形態では、時変磁場発生器720は、電源722と、コイル724と、磁性コア726とを含む。電源722は、交流を発生させるように構成される。一形態では、電源722は交流電源であるが、他の形態では、電源722は、適切に切り替えられた直流電源を含んでもよい。
【0085】
電源722は、コイル724に電気的に接続されている。コイル724は、超電導体を含む任意のタイプの導体で形成することができるが、特定の形態では、より低コストのために、非超電導体が好ましい場合がある。
【0086】
コイル724は、磁性コア726の周りに巻かれている。磁性コア726は、フェライトコア(例えば、鉄心)や積層鋼/鉄心などの高透磁率磁性コアであってもよい。他の形態では、動作周波数において高い比透磁率を有する他のコアを使用してもよいし、非磁性コアまたは空芯を使用してもよい。図7に示す形態では、磁性コア726は、丸い角を有する正方形のリンクのような実質的にリンク状の中実コアである。図示の形態では、コイル724は、正方形のリンクコア726の片側に巻かれている。
【0087】
磁性コア726はまた、超電導材料ループ716を通過する。例えば、コイル724を担持する側とは反対側の磁性コア726の側は、ループ716を通過することができる。この配置により、コイル724とループ726とが磁気的に結合される。これにより、コイル724を流れる交流電流の変化は、磁性コア726内の磁場を時間変化させ、これによりループ726にスクリーニング電流を誘導する。
【0088】
電気スイッチ700は、超電導材料ループ716を加熱するための加熱アセンブリ750をさらに含む。図7に示す形態では、加熱アセンブリ750は、超電導材料ループ716に熱的に接触するように配置された抵抗加熱要素752を含む。例えば、抵抗加熱要素752は、超電導材料ループ716の表面に取り付けられてもよい。加熱アセンブリ750は、抵抗加熱要素752に電流を供給するように構成された電源(図示せず)をさらに含む。
【0089】
加熱アセンブリ750は、超電導材料ループ716を加熱し、それによって、その温度を上昇させて臨界電流を低減させるために、選択的に作動されるように構成される。ループ716の温度の上昇および/または低下を制御し、ループ716を通る輸送電流を適切に制御することにより、スイッチ700を低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替えることができる。いくつかの形態では、加熱アセンブリ750は、加熱アセンブリ750がオンにされる時間の割合を示すデューティ比に基づいて制御されてもよく、すなわち、加熱アセンブリ750のオンとオフの繰り返しが制御されてもよい。
【0090】
電気スイッチ700については、スイッチ700を低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替えるための2つの機構が説明されている。2つの機構のそれぞれがループ716の低抵抗状態に対応する構成であれば、スイッチ700は低抵抗状態である。機構の一方または両方がループ716を高抵抗状態にする構成である場合、スイッチ700は全体としてこの高抵抗状態を採用する。「スクリーニング電流」機構による切り替えは、時変磁場発生器720の選択的な制御(すなわち、作動、停止、および/または変化)によって制御される。「加熱」機構による切り替えに応じて、加熱アセンブリ750の選択的な制御により制御される。本技術の異なる形態では、時変磁場発生器720および加熱アセンブリ750は、スイッチ700の切り替えを可能にするために、互いに独立して選択的に制御(例えば、作動および停止)されるように、または組み合わされるように制御されてもよい。これら2つの機構は、協調して動作することにより、個々に動作する各機構に比べて、例えば、より高速かつ効率的な切り替えや、輸送電流レベルに応じたよりも柔軟な切り替えが可能になるなど、より優れた利点を提供する。
【0091】
例えば、いくつかの形態では、時変磁場発生器720および加熱アセンブリ750のうちの一方は作動状態を維持するように構成され、一方、時変磁場発生器720および加熱アセンブリ750のうちの他方の作動および停止、または作動レベルの制御は切り替えを可能にする。このような形態の一例では、加熱アセンブリ750は作動状態を維持するように構成され(加熱アセンブリ750の作動の程度は変化してもよいが)、これは、ループ716における臨界電流を低減させ、低抵抗状態と高抵抗状態との間の切り替えは時変磁場発生器720の作動および停止によって可能とされる。
【0092】
超電導スイッチのエネルギー損失は、切り替え時の臨界電流にほぼ比例するので、加熱アセンブリ750を使用して切り替え時の臨界電流の値を低減させると、個々に動作するスクリーニング電流機構と比較して、損失を低減し、効率を向上させることができる。さらに、スイッチの速度は、加熱機構のみで動作するものよりも速く(加熱アセンブリを作動/停止する際の超電導体の加熱と冷却の遅れにより)、任意の小さな電流で切り替えることができる。
【0093】
他の形態では、時変磁場発生器720および加熱アセンブリ750は、切り替えを可能にするために、一緒に作動および停止されてもよい。他の形態では、時変磁場発生器720および加熱アセンブリ750は、切り替えを可能にするために、ある時間には一緒に、別の時間には個別に作動および停止されてもよい。
【0094】
時変磁場発生器720および加熱アセンブリ750との切り替えを実現するのに適した制御機構については、本明細書では、説明されていないが、制御機構の適切な形態は当業者には理解される。
【0095】
6.4.2.組み合わせ2-スクリーニング電流と時変電場加熱
本技術の別の形態では、図7に示されるスイッチ700と同様であるが、代替の加熱アセンブリを有する電気スイッチが提供される。以下で説明される相違点を除き、スイッチ700に対する上記の説明は、このような形態の技術にも適用可能である。この他の形態では、加熱アセンブリは、ループ710に時変磁場を印加するように構成された(磁場発生器720とは個別の)第2時変磁場発生器を含む。上述したように、第2磁場発生器は、ループ710に時変磁場を印加し、時変磁場の印加、動的抵抗および磁化損失の効果によってループ710を加熱するために、適切な制御機構によって制御(例えば、作動および停止)することができる。
【0096】
「組み合わせ1」に関して上述したのと同様に、この形態では、加熱アセンブリおよび磁場発生器は、電気スイッチの切り替えを行うために、個別におよび/または組み合わせて(例えば、作動、停止、および/または変化)制御することができる。2つの機構のそれぞれがループの低抵抗状態に対応する構成であれば、スイッチは低抵抗状態となる。機構の一方または両方のループを高抵抗状態にする構成であれば、スイッチは全体としてこの高抵抗状態を採用する。
【0097】
第2磁場発生器は、ループ710に印加される磁場の方向が、テープの2つの対向する平面に実質的に垂直になるように配置されていてもよい。これにより、テープ表面の他の方向の磁場と比較して、発生される動的抵抗の量が増加する。
【0098】
6.4.3.組み合わせ3-抵抗加熱加と磁場
本技術の特定の形態では、上記の「磁場」切り替え機構と「加熱」切り替え機構との組み合わせを使用して動作する電気スイッチ800が提供される。このような電気スイッチ800の2つの形態が図8Aおよび図8Bに示され、図8Aおよび図8Bは電気スイッチ800の斜視図である。
【0099】
図8Aに示す形態では、電気スイッチ800は、2つの端子812および814の間に接続された超電導材料セグメント810を含む。超電導材料セグメント810は、2つの対向する面を有するテープの形態をとることができる。使用時には、第1端子812と第2端子814との間に接続された電気回路(図示せず)を用いて、第1端子812と第2端子814との間に輸送電流が印加される。この電気回路は、電圧源または電流源、変圧器、または当業者に周知の任意の他の適切な機構などの電源を含んでもよい。
【0100】
電気スイッチ800は、超電導材料セグメント810に磁場を印加するように構成された磁場発生器820をさらに含む。磁場が印加されると、図1Aに関して上記で説明したように、超電導材料セグメント810の臨界電流が減少する。したがって、磁場が印加されていない場合よりも超電導材料が高抵抗状態に遷移するために、臨界電流に近い、等しい、および/またはそれを超えるには、より低い輸送電流が必要である。
【0101】
図8Aに示す本技術の形態では、磁場発生器820は、電流を発生させるように構成された電源822を含む。電源822は、コイル824に電気的に接続されている。コイル824は、超電導体を含む任意のタイプの導体で形成することができるが、いくつかの形態では、より低コストのために、非超電導体が好ましい場合がある。
【0102】
コイル824は、磁性コア826の周りに巻かれている。磁性コア826は、フェライトコア(例えば、鉄心)や積層鋼/鉄心などの高透磁率磁性コアであってもよい。他の形態では、動作周波数において高い比透磁率を有する他のコアを使用してもよいし、非磁性コアまたは空芯を使用してもよい。図8Aの図示の形態では、磁性コア826は、丸い角を有する正方形のリンクのような実質的にリンク状の中実コアである。図示の形態では、コイル824は、正方形のリンクコア826の片側に巻かれている。
【0103】
図示の形態では、磁性コア826はギャップ828を含む。ギャップ828は、例えば正方形のリンクコアの片側のように、固体磁性コア826内の空間であってもよい。空芯を有する形態では、空芯の任意の部分をギャップ828とすることができる。図8Aに示す形態では、磁性コア826のギャップ828は、コイル824が巻かれている側とは反対側の正方形のリング側のギャップである。
【0104】
使用時には、コイル824は電流を流すことができる。コイル824を通る電流の流れは、コア826内およびギャップ828を横切る磁場を発生させる。図示された形態では、磁場発生器820によって発生された磁場が超電導材料セグメント810に印加されるように、超電導材料セグメント810の少なくとも一部がギャップ828内に位置する。超電導材料セグメント810は、ギャップ828を横切ってテープの表面に直交する方向に配向され、磁場がテープの表面に垂直になるようにすることができる。
【0105】
電気スイッチ800はまた、超電導材料セグメント810を加熱するための加熱アセンブリ850を含む。図8Aに示す形態では、加熱アセンブリ850は、超電導材料セグメント810に熱的に接触するように配置された抵抗加熱要素852をさらに含む。例えば、超電導材料セグメント810の表面に抵抗加熱要素852を設置することができる。加熱アセンブリ850は、抵抗加熱要素852に電流を供給するように構成された電源(図示せず)も含む。
【0106】
加熱アセンブリ850は、超電導材料セグメント810を加熱し、それによって超電導材料810の温度を上昇させ、臨界電流を低減させるために、選択的に制御される(例えば、作動される)ように構成される。超電導材料の温度の上昇および/または低下を制御し、輸送電流を適切に制御することにより、スイッチ800を低抵抗状態と高抵抗状態とを切り替えることができる。いくつかの形態では、加熱アセンブリ850は、加熱アセンブリ850がオンにされる時間の割合を示すデューティ比に基づいて制御されてもよく、すなわち、加熱アセンブリ850のオンとオフの繰り返しが制御されてもよい。
【0107】
図8Bは、図8Aに示す電気スイッチと非常に類似した電気スイッチ800を示す。しかし、図8Bに示す電気スイッチ800では、超電導材料セグメント810は、磁性コア826のギャップ828内にバイファイラ配置で配置されている。バイファイラ配置について、本明細書の後でより詳細に説明する。
【0108】
電気スイッチ800については、スイッチ800を低抵抗状態と高抵抗状態との間で切り替えるための2つの機構が説明されている。2つの機構のそれぞれが超電導材料セグメント810の低抵抗状態に対応する構成であれば、スイッチ800は低抵抗状態となる。機構の一方または両方が、材料を高抵抗状態にする構成であれば、スイッチ800は全体としてこの高抵抗状態を採用する。「磁場」機構による切り替えは、磁場発生器820の選択的な作動、停止、および/または変化によって制御されてもよい。「加熱」機構による切り替えは、加熱アセンブリ850の選択的な作動、停止、および/または変化によって制御される。本技術の異なる形態では、磁場発生器820および加熱アセンブリ850は、スイッチ800の切り替えを行うために、互いに独立にまたは組み合わせて制御(例えば、選択的に作動および停止)されてもよい。
【0109】
例えば、いくつかの形態では、磁場発生器820および加熱アセンブリ850のうちの一方は作動状態を維持するように構成され、一方、磁場発生器820および加熱アセンブリ850のうちの他方の作動および停止、または作動レベルの制御は切り替えを可能である。このような形態の一例では、加熱アセンブリ850は作動状態を維持するように構成され(加熱アセンブリ850の作動の程度は変化してもよいが)、これは、超電導材料セグメント810における臨界電流を低減させ、低抵抗状態と高抵抗状態との間の切り替えは磁場発生器820の作動および停止によって可能とされる。超電導スイッチのエネルギー損失は、切り替え時の臨界電流にほぼ比例するので、加熱アセンブリ850を使用して切り替え時の臨界電流の値を低減させると、個々に動作する磁場機構と比較して、損失を低減し、効率を向上させることができる。
【0110】
他の形態では、磁場発生器820および加熱アセンブリ850は、切り替えを可能にするために、一緒に作動および停止されてもよい。他の形態では、磁場発生器820および加熱アセンブリ850は、切り替えを可能にするために、ある時間には一緒に、別の時間には個別に作動および停止されてもよい。
【0111】
これら2つの機構は、協調して動作することにより、個々に動作する各機構に比べて、例えば、よりも優れた利点を提供する。例えば、超電導体は、通常、温度が異なると、臨界電流と印加される外部磁場との間に異なる関係を有する。図9は、77Kと85Kの2つの異なる温度における高温超電導体の臨界電流と印加電場の関係を示すグラフである。このグラフから分かるように、温度が高くなると、超電導体の臨界電流を同じ大きさに下げるために必要な印加磁場の大きさが小さくなる。したがって、2つの切り替え機構を組み合わせることにより、例えば、加熱アセンブリ850を用いて超電導体を数度加熱することによって、印加される磁場を変化させることにより、より簡単かつ/またはより高速な切り替えを、より低い温度で実現することができる。これにより、低抵抗状態での電流容量はそのままでありながら、低温での臨界電流を低減させるために磁場のみを用いる場合に比べて、高抵抗状態での抵抗も増加する。これら2つの状態の間の相遷移が存在しないため、たとえば加熱アセンブリのみの作動および停止によって操作されるスイッチよりも高速かつ容易な切り替えが可能になる。スイッチ800の形態の欠点の1つは、温度が臨界温度を超えない限り、任意の小さな電流を切り替えることができないことである。
時変磁場発生器820と加熱アセンブリ850との切り替えを実現するのに適した制御機構については、本明細書では説明されていないが、制御機構の適切な形態は当業者には理解される。
【0112】
6.4.4.組み合わせ4-抵抗加熱と加動的抵抗
本技術の別の形態では、上記の「抵抗加熱」切り替え機構と「動的抵抗」切り替え機構との組み合わせを使用して動作する電気スイッチが提供される。このような電気スイッチの形態は、図8Aまたは8Bに示すスイッチ800と同様であり、以下に説明する相違点を除き、上記スイッチ800の説明は、このような形態の技術にも適用可能である。
【0113】
この形態では、磁場発生器820は、超電導材料セグメントに時変磁場を印加するように構成された時変磁場発生器である。例えば、電源822は、交流を発生させるように構成されてもよく、例えば、電源722は、交流電源または適切に切り替えられる直流電源であってもよい。時変磁場を印加することにより、動的抵抗現象を引き起こすことができ、時変磁場発生器は、他の形態の技術に関して上述した方法と同様に、超電導材料セグメントを低抵抗状態と高抵抗状態との間で選択的に切り替えるために、抵抗加熱要素を含む加熱アセンブリと共に制御される。
【0114】
一形態では、加熱アセンブリ850は、その臨界電流を低減させるために超電導材料セグメント810を加熱するために作動される。その後、時変磁場発生器は、電気スイッチ800を選択的に切り替えるように制御(例えば、作動および停止)することができる。抵抗加熱機構を用いて臨界電流を低減させることにより、抵抗加熱機構を用いずに臨界電流を低減させる動的抵抗スイッチに比べて、動的抵抗切り替えによる損失を低減させることができる。
【0115】
6.4.5.組み合わせ5-磁場と動的抵抗(DCおよびAC磁場)
本技術のいくつかの形態では、上記の「磁場」切り替え機構と「動的抵抗」切り替え機構との組み合わせを使用して動作する別の電気スイッチ1000が提供される。このような電気スイッチ1000の2つの形態は図10Aおよび図10Bに示され、図10Aおよび図10Bは電気スイッチ1000の斜視図である。電気スイッチ1000は、図8Aまたは8Bに示すスイッチ800と同様であり、以下に説明する相違点を除き、上記のスイッチ800の説明は、(符号を適宜変更して)このような形態の技術にも適用可能である。
図8Aおよび図8Bに示す電気スイッチ800とは異なり、電気スイッチ1000は、抵抗加熱要素852を含まない。その代わりに、磁場発生器1020が時変磁場を印加すると、動的抵抗現象と磁化の効果により、超電導材料セグメント1010がある程度加熱される。したがって、磁場発生器1020は、本技術の形態における加熱アセンブリとしても使用されると考えられ得る。
【0116】
図10Bは、図10Aに示す電気スイッチと非常に類似した電気スイッチ1000を示す。しかし、図10Bに示す電気スイッチ1000では、超電導材料セグメント1010は、磁性コア1026のギャップ1028内にバイファイラ配置で配置される。バイファイラ配置については、本明細書の後でより詳細に説明する。
【0117】
電気スイッチ1000の切り替えを2つの機構で実現するために、磁場発生器1020は、DCバイアスに応じて振幅が経時的に変化する磁場を発生させて、超電導材料セグメント1010に印加するように構成される。磁場発生器1020によって発生される磁場の強度B印加が時間tに伴って変化する一例を図11に示す。このような場は、電源1022により発生される電流を適切に制御することにより、例えば図11に示すような波形の電流を発生させることにより発生することができる。
【0118】
使用時には、制御機構は、2つの切り替え機構を用いて所望の切り替えを実現するために、超電導材料セグメント1010に印加される磁場の大きさを経時的に変化させるように磁場発生器1020を制御するように構成される。すなわち、印加される磁場の大きさに基づいて超電導体の臨界電流を増減させるために、DCバイアスのレベルを選択的に変化させることができる。さらに、生成された動的抵抗の量を変化させ、その結果として超電導材料1010の抵抗を変化させるために、磁場強度の時変成分を選択的に制御(例えば、変化、作動、停止)することができる。制御機構は、必要に応じて2つの切り替え機構を独立してまたは組み合わせて使用して電気スイッチ1000を低抵抗状態と高抵抗状態との間で遷移させるために、磁場強度を制御するように構成される。2つの機構のそれぞれが低抵抗状態に対応する構成であれば、スイッチ1000は低抵抗状態となる。機構の一方または両方が超電導体を高抵抗状態にする構成であれば、スイッチ1000は全体としてこの高抵抗状態を採用する。
【0119】
例えば、いくつかの形態では、磁場発生器1020によって印加される磁場の時変成分またはDCバイアス成分のうちの一方は作動状態を維持するように構成され、一方、他方の磁場成分の作動および停止、または作動レベルの制御は切り替えを可能にする。
【0120】
このような形態の一例では、磁場発生器1020は、超電導材料セグメント1010における臨界電流を低減させるために磁場のDCバイアス成分を維持するように構成され、磁場発生器1020が動的抵抗を選択的にトリガするために磁場の時変成分を作動および停止することによって、低抵抗状態と高抵抗状態との間の切り替えが可能とされる。DCバイアス成分を用いて臨界電流を低減させることにより、切り替え機構として動的抵抗効果のみを用いた場合よりも、超電導材料セグメント1010における動的抵抗による熱損失の量が小さくなる。
【0121】
このような形態の別の例では、磁場発生器1020は、磁場の時変(例えば、交流)成分の作動状態を維持するように構成され(作動の程度は変化する可能性があるが)、これにより、動的抵抗が生成され、臨界電流も低減される。動的抵抗および磁化によって引き起こされる加熱を通じて超電導材料セグメント1010に電流が流れ、低抵抗状態と高抵抗状態との間の切り替えは、磁場のDCバイアス成分を作動および停止する磁場発生器1020によって可能とされる。
【0122】
超電導スイッチのエネルギー損失は、切り替え時のスイッチにおける臨界電流にほぼ比例するので、切り替え時の臨界電流の値を低減させるために磁場発生器1020の時変成分を加熱アセンブリとして使用することは、個々に動作する磁場のDCバイアス成分と比較して、損失を低減し、効率を向上させる。さらに、単独で動作するDCバイアス成分に比べて切り替え速度が速まる。加えて、この機構の組み合わせにより、任意の小さな電流を切り替えることができる。
【0123】
6.4.6.組み合わせ6-磁場と抵抗加熱と動的抵抗
本技術の別の形態では、上記の「抵抗加熱」切り替え機構、「動的抵抗」切り替え機構、および「磁場」切り替え機構の組み合わせを使用して動作する電気スイッチが提供される。このような電気スイッチの形態は、図8Aまたは8Bに示すスイッチ800と同様であり、以下に説明する相違点を除き、上記のスイッチ800の説明は、このような形態の技術にも適用可能である。
【0124】
この形態では、磁場発生器は、DCバイアスに応じて経時的に振幅が変化する磁場を発生させ、超電導材料セグメントに印加するように構成される。磁場発生器によって発生される磁場強度B印加が時間tに伴って変化する例を図11に示す。このような場は、電源により発生される電流を適切に制御することにより、例えば図11に示すような波形の電流を発生させることにより発生することができる。
【0125】
使用時には、制御機構は、上記第5組み合わせに関して説明されたのと同様に、超電導材料に印加される磁場の大きさを変化させるように磁場発生器を制御するように構成される。加えて、制御機構は、超電導材料の温度を変化させるように加熱アセンブリを制御するように構成される。このようにして、3つの機構を使用して電気スイッチの切り替えを実現することができ、所望の方法で切り替えを実現するように磁場発生器および加熱アセンブリを制御することができる。
【0126】
この形態では、3つの機構の全てが低抵抗状態に対応する構成であれば、スイッチは低抵抗状態となる。機構のいずれか1つまたは複数が超電導体を高抵抗状態にする構成であれば、スイッチは全体としてこの高抵抗状態を採用する。
【0127】
6.4.7.組み合わせ7-磁場と抵抗加熱と動的抵抗とスクリーニング電流
本技術の別の形態では、上記の「抵抗加熱」切り替え機構、「動的抵抗」切り替え機構、「磁場」切り替え機構、および「スクリーニング電流」切り替え機構の組み合わせを使用して動作する電気スイッチが提供される。このようなスイッチ1200の一形態が図12に示されている。このような電気スイッチ1200の形態は、図7に示すスイッチ700に類似しており、以下に説明する相違点を除き、上記のスイッチ700の説明は、(符号を適宜変化して)このような形態の技術にも適用可能である。
【0128】
図7に関連して図示および説明された部品に加えて、電気スイッチ1200は、磁場発生器1260をさらに含む。磁場発生器1260は、超電導材料ループ1216に磁場を印加するように構成される。磁場発生器1260によって印加される磁場は、経時的に変化する(例えば、交流)、一定(すなわち、一定値の間で変化することができる一定のDC磁場を含むDC)、またはDCバイアスに応じて経時的に変化するものであってもよい。これにより、磁場発生器1260は、「磁場」機構または「動的抵抗」機構のいずれか一方または両方に選択的に寄与して、電気スイッチ1200の切り替えを可能にすることができる。
【0129】
磁場発生器1260は、直流、交流、および/またはDCバイアスを伴う交流のような電流を発生させるように構成された電源1264を含んでもよい。磁場発生器1260は、コイル1262をさらに含んでもよい。コイル1262は、コイルに巻かれ、電源1264に電気的に接続された導体を含んでもよい。コイル1262は、ループ1216に磁場を印加するためにループ1216に対して位置決めされ、配向されてもよく、磁場の方向は、ループ1216を形成する超電導材料のテープの平坦な対向面に対してほぼ垂直である。例えば、コイル1262は、テープの平坦な対向面に垂直な軸を画定することができる。
【0130】
使用時には、制御機構は、上記第5組み合わせに関して説明された方法と同様に、超電導材料に印加される磁場の大きさを変化させるように磁場発生器1260を制御するように構成される。加えて、制御機構は、上記の「抵抗加熱」機構を使用する技術のいずれかの形態に関連して説明されたように、超電導材料の温度を変化させるために加熱アセンブリ1250を制御するように構成される。加えて、制御機構は、上述の「スクリーニング電流」機構を使用する技術のいずれかの形態に関連して説明されたように、磁場発生器1220を制御してスクリーニング電流を発生させるように構成される。このようにして、電気スイッチ1200の切り替えは、4つの機構を使用して実現することができ、磁場発生器1260、1220および加熱アセンブリ1250は、4つの機構の任意の組み合わせを使用して、所望の方法で切り替えを実現するように、独立におよび/または任意の組み合わせで制御することができる。
【0131】
この形態では、4つの機構の全てが低抵抗状態に対応する構成であれば、スイッチは低抵抗状態となる。機構のいずれか1つまたは複数が超電導体を高抵抗状態にする構成であれば、スイッチは全体としてこの高抵抗状態を採用する。
【0132】
以下の要因は、電気スイッチ1200で使用される機構の組み合わせ(または本明細書で説明される機構の他の任意の組み合わせ)に関連する。
・「磁場」機構では、任意の小さな電流自体を切り替えることができない場合があり、高温超電導体(HTS)の場合、切り替え自体を実現するには非現実的な大電流が必要となる。しかし、実用的な大きさの場をHTSに適用して臨界電流を十分に低減することができ、それによって他の機構が切り替えを行うことができ、これは臨界電流を低減させることによって切り替え損失を低減させることができる。
・「動的抵抗」切り替え機構では、任意の小さな電流を切り替えることができ、高抵抗状態で制御性の高い抵抗を実現することができる。しかし、このようなスイッチは、誘導性が高く、磁場発生器を迅速に駆動するには大きな電力を必要とする場合がある。切り替え損失は、超電導体の臨界電流と正の相関がある可能性がある。この機構は、前述のように、超電導体の温度を上昇させる誘導加熱を発生させ、これは「磁場」機構を促進することがある。
・「加熱抵抗要素」オプションを単独で使用した場合、サーマル切り替えは非常に遅くなることがあり、高抵抗状態と低抵抗状態の間で必要な温度変化が生じると熱損失が大きくなることがある。しかし、この機構は、超電導体の温度を上昇させて、「磁場」機構における磁場の要求を低減し、臨界電流を低減して、他の切り替え機構(例えば、「スクリーニング電流」および/または「動的抵抗」機構)の損失を低減させることができる。
・「スクリーニング電流」機構は、非誘導性であるため、駆動が比較的容易であり、高速切り替えが可能であり、高抵抗状態で高抵抗を発生させる。切り替え損失は超電導体の臨界電流と正の相関があるが、「磁場」または「抵抗要素」ヒータ機構を使用して臨界電流を低減させることで、切り替え損失を低減させるのに役立つ。
【0133】
このような形態の技術に関して説明された4つの機構のうちのいずれか1つまたは複数は、他の形態の技術から省略されてもよいことが理解されるべきである。すなわち、特定の形態では、図12に示す電気スイッチ1200と同様の電気スイッチが提供されるが、以下の機構のうちの1つまたは複数(例えば、この機構を有効にしている部品が存在しないか、停止されている/使用されていないためである)が省略されている:「磁場」、「抵抗加熱」、「加熱-動的抵抗」、「スクリーニング電流」。
【0134】
6.4.8.組み合わせ8-磁場+スクリーニング電流
そのような具体例では、本技術の一形態では、「磁場」機構と「スクリーニング電流」機構を使用して動作する電気スイッチが提供される。このような電気スイッチは、加熱アセンブリ1250(抵抗加熱要素1252を含む)が省略されているのみを除き、図12に示す電気スイッチ1200の形状と同様の形状を有する。
【0135】
この形態では、スイッチ1200は、輸送電流に対する臨界電流を増加または減少させるために、磁場発生器1220および/または磁場発生器1260の一方または両方の選択的な制御(例えば、変化/作動/停止)によって切り替えることができる。これらの機構は、独立して制御することも、組み合わせて制御することもできる。一例では、磁場発生器1220は作動状態を維持するように構成され、磁場発生器1260は、選択的に作動および停止されるか、または作動レベルが変化されて切り替えられる。別の例では、その逆も同様であり、すなわち、磁場発生器1260は作動状態を維持するように構成され、磁場発生器1220は選択的に作動および停止されるか、または作動レベルが変化されて切り替えられる。
【0136】
6.5. バイファイラ配置
超電導材料の臨界電流は、材料により高い外部磁場が印加されると低下するという原理を利用した電気スイッチ210に関する技術形態が説明されてきた。
【0137】
図8Aおよび図10Aは、2つの例示的なこのような電気スイッチ800および1000をそれぞれ示す。これらの図におけるスイッチは、超電導材料セグメントがユニファイラ配置で配置される。すなわち、導体のセグメントまたはストランドの配置である。
図8Bおよび10Bに示す技術の同様の形態では、電気スイッチ800および1000は、図8Aおよび10Aに示すものと同様の形態をとるが、バイファイラ配置で配置された超電導材料セグメント810および1010を含む。図13は、バイファイラ配置の他の例を示す。本技術のこの態様については、これからより詳細に説明する。
【0138】
図8B図10B図36A、および図36Bに示す電気スイッチの形態に関して、超電導材料セグメントのバイファイラ配置が説明されているが、バイファイラ配置は、本技術の他の形態にも適用可能であることが理解されるべきである。特に、本明細書に記載された任意の電気スイッチは、技術の代替形態では、適切な場合には、バイファイラ配置で配置された超電導材料セグメントを含んでもよい。
【0139】
本明細書の文脈では、別段の記載がない限り、「バイファイラ配置」とは、導体の2本のストランドが実質的に平行で電気的に接続され、電流がストランドを反対方向に通って流れる、導体の2本のストランドの配置を意味すると理解されるべきである。これらのストランドは、互いに近接してもよい。これらのストランドは、それ自体が二つ折りにされた超電導材料の2つのセグメントであってもよい。代替的に、2本のストランドは、はんだ接合、拡散接合、または他の適切な形態の電気的接続などにより、互いに電気的に接続された別個の超電導材料セグメントであってもよい。
【0140】
また、本技術の特定の形態では、複数のバイファイラストランドが使用され得ることも理解されるべきである。したがって、文脈上明らかに別段の必要がない限り、本技術の他の形態は、バイファイラ配置が記載されている場合、複数のバイファイラストランドを有する同様の配置を含むことができる。
【0141】
より具体的には、例えば、図13Aに示す技術的形態を参照して、電気スイッチ1210は、バイファイラ配置の一形態では、超電導材料セグメント1800を含む。超電導材料セグメント1800は、超電導材料の2つのストランド(すなわち、サブ長さ)1810a、1810bを含む。2本のストランド1810a、1810bは、互いに直列に接続されている。超電導材料セグメント1800は、それ自体が二つ折りになるように配置されており、2つのストランド1810a、1810bは、空間的に実質的に平行に配置されている。このような配置では、超電導材料セグメント1800が輸送電流を流すとき、第1ストランド1810aの電流は第2ストランド1810bの電流と反対方向に流れる。超電導材料セグメント1800の折り畳み領域1820(ループの形をとることができる)は、2つのストランド1810a、1801bを超電導材料セグメント1800の長さに沿って分離することができる。この説明は、図8Bおよび図10Bに示す技術的形態にも適用可能であることが理解されるべきである。
【0142】
図13Bに示す技術の代替形態では、電気スイッチ1210は、超電導材料の2つの独立したストランド1810aおよび1810bを含む。2つのストランド1810a、1810bのそれぞれの一端は電気的接合部1820bで互いに電気的に接続されており、2つのストランドはバイファイラ配置で配置される。同様に、この配置では、超電導材料セグメント1800が輸送電流を流すとき、第1ストランド1810aの電流は、第2ストランド1810bの電流とは反対方向に流れる。電気的接合部1820bは、はんだ接合、拡散接合、または任意の適切な電気接合であってもよい。
【0143】
図13Aおよび図13Bに示す本技術の形態では、2つのストランド1810aおよび1810bは、互いに近接して配置されてもよい。ストランド1810a、1810bの一方または両方に絶縁被覆を施してもよく、ストランドの絶縁被覆を互いに接触させてもよい。代替的に、絶縁層は、2本のストランド1810a、1810bの間に、1本のストランドまたは2本のストランドに接触して配置されていてもよい。絶縁層は、KaptonテープまたはNomexテープなどの絶縁テープで形成することができる。
【0144】
本技術の特定の形態では、超電導材料セグメント1800は、その幅および深さよりも明らかに長い長さ、およびその深さよりも明らかに長い幅を有する材料セグメントであるテープの形態をとることができる。テープは、実質的に平行な2つの対向する面を有していてもよく、2つの面はテープの深さによって分離されている。ストランドは、一方のストランド1810aの対向面と他方のストランド1810bの対向面とが平行になるように配置されていてもよい。図13Bに示す本技術の形態では、2つのストランド1810aおよび1810bの各々は、テープの形態をとることができる。2つの別個のストランドは、一方の端面で互いに電気的に接続(例えば、はんだ付け)されて、電気的に連続した接合部1820bを形成することができる。このような配置は、電気スイッチ1210のインダクタンスを低減させることができるが、このような利点は、低抵抗状態における抵抗の僅かな増加を犠牲にして達成され得る。代替的に、単一の超電導材料セグメント(例えばテープ)を、端と端が接合されたセグメントの隣接セクションとして2つのストランド10a、810bとともに配置してもよい。
【0145】
本技術の特定の形態では、超電導材料セグメント1800は、前述したように高温超電導(HTS)材料セグメントであってもよい。
【0146】
図13Aおよび13Bの本技術の形態に示すように、本技術の特定の形態の電気スイッチ1210は、磁場発生器1310を作動させて超電導材料の2つのストランド1810aおよび1801bに磁場を印加することができるように配置されてもよい。磁場発生器1310は、本明細書で前に説明した任意の磁場発生器の形態をとることができる。磁場発生器1310を選択的に制御して磁場を選択的に発生し、電気スイッチ1210を上記で説明した他の切り替え機構との組み合わせを含めて上記説明のように低抵抗状態と高抵抗状態との間で移動させることができる。
【0147】
特性の形態では、磁場発生器1310は磁性コア1320を含む。コア1320は、フェライトコア(例えば、鉄心)のような強磁性体コア、または積層鋼/鉄心のような高透磁率磁性コアであってもよい。磁性コア1320aは、実質的にリング状の中実コア、例えば円形リングであってもよい。他の形態では、コアは異なる形状、例えば丸い角を有する正方形のリングを有してもよい。例示的な形態では、磁性コア1320は、ギャップ1330によって分離された第1端部および第2端部を含む。ギャップ1330は、固体磁性コア1320内の空間、例えばリングコアの片側の空間であってもよい。
【0148】
特定の形態では、電気スイッチ1210は、磁場発生器1310によって発生された磁場がストランド1810a、1801bの対向する面に実質的に垂直になるように配置される。すなわち、磁場の磁束線は、磁束線がストランドと交差する部分でストランド1810a、1801bの面に実質的に垂直である。
【0149】
本技術の特定の形態では、ギャップ1330の幅は、2つのストランド1810a、1810bの深さを組み合わせたものと同様であり、すなわち、ストランド1810a、1810bのそれぞれを、ストランドに最も近いコア1330の対応する端部から分離する比較的小さな空気ギャップが存在する。
【0150】
図13Aおよび図13Bに示す電気スイッチの形態は、「磁場」切り替え機構を実行するために必要な部品のみを示していることが理解されるべきである。これはバイファイラ配置の目的を説明するためである。本技術の特定の形態では、超電導材料を含むバイファイラ配置の電気スイッチは、上記のように第2またはさらなる切り替え機構を実現するために必要な部品を含む。
【0151】
1つの超電導材料セグメントのバイファイラ配置を含む電気スイッチ1210の1つの利点は、単一の超電導材料セグメントを有する同様のスイッチと比較して、スイッチのインダクタンスが低減されることである。この実用的な利点の1つは、電気スイッチ1210に磁場を印加する磁場発生器1310のコイル1340の巻数が、他の場合に必要とされる巻数よりも少なくて済むことである。
【0152】
超電導材料セグメントのバイファイラ配置を含む電気スイッチ1210の別の利点は、超電導材料セグメントに印加される磁場が低い(例えばゼロ)場合、超電導材料セグメントの臨界電流の抑制を低減させることに寄与することである。これにより、スイッチ1210の低抵抗状態の臨界電流がより高くなる。この効果については、これからさらに詳しく説明する。
【0153】
上記の本技術の形態は、超電導材料セグメントにおける臨界電流を抑制するために、超電導材料セグメントに磁場が印加される電気スイッチ1210を含む。この効果は、低抵抗状態と高抵抗状態との間で超電導材料セグメントを遷移させるために、いくつかの技術の形態で使用されている。磁場を発生させる磁場発生器1310は、超電導材料セグメントに磁場を集束させるために使用可能な強磁性体コアのような高透磁率磁性コア1320を含んでもよい。
【0154】
輸送電流を流す単一の超電導材料セグメントを強磁性体コアの近傍に配置すると、磁場強度がゼロを含む非常に低い場合でも、臨界電流がさらに抑制されることが観察された。実際、この効果の結果として生じる臨界電流の相対的な追加抑制は、印加される磁界強度が低い場合により大きくなる。これは、電流が流れたときに、磁性コア1320内の強磁性体が超電導材料に接近することによる自己磁場増幅効果によるものである。より具体的には、強磁性体コア1320を通る低磁気抵抗リリターンパスの存在により、ユニファイラ超電導材料セグメントの自己磁場が増幅され、ユニファイラ超電導材料セグメントがテープの形態である場合には、テープに垂直に配向してその幅に広がっていることが、実験および有限要素解析により確認された。これにより、テープの幅全体にわたる各点における臨界電流密度が抑制され、強磁性体コアが存在しない場合に比べて全体の臨界電流が抑制される。
【0155】
さらに、超電導材料セグメントがバイファイラ配置で配置された電気スイッチ1210は、この影響を著しく軽減する、すなわち、記載された臨界電流の抑制を低減させることが明らかになった。換言すれば、強磁性体コア1320に近接すると、超電導材料セグメントを流れる電流によって生じる自己磁場がバイファイラ配置によって実質的に相殺される。図14は、技術形態に従った電気スイッチ1210内の1つの超電導材料のセクションの異なる応用場での臨界電流を示しており、このセクションの超電導材料がバイファイラ配置(青色、上線)およびユニファイラ配置(橙色、下線)で配置されている場合、すなわち1つの超電導材料の1層である。これらの実験結果を、データベースからの超電導材料の基準値(緑の点線、中央線)と比較する。このことは、ユニファイラ配置と比較して、バイファイラ配置では、低い印加磁場下での臨界電流の抑制が非常に低いことを示している。この差は、印加磁場が任意の自己電場効果よりも著しく大きい高い印加磁場ではあまり顕著ではない。高い印加磁場での臨界電流の差が比較的小さいのは、単層ユニファイラ配置に比べて2層のバイファイラ配置の遮蔽能力が増加しているためである可能性がある。本技術の特定の形態では、超電導材料セグメントは常に超電導状態に維持され得ることを理解すべきである。
【0156】
高い印加磁場と比較して低い印加磁場の臨界電流の差が大きいことは、例えばユニファイラ配置の超電導材料セグメントを有するものと比較して、バイフィラ配置を有する電気スイッチ1210の切り替え性能を向上できることを意味する。切り替え性能は、磁場がゼロであるときの臨界電流と、磁場が印加されたときの臨界電流との比、つまりIc(0)/Ic,b(Ba)として計算できる切り替え係数kによって与えることができる。図14から分かるように、バイファイラ配置のkは、ユニファイラ配置よりも大きい。より高い切り替え係数kは、電流がI臨界(0)より低い限り、より効率的な切り替えを意味する。また、低抵抗状態における高臨界電流により、電気スイッチ1210がより高い最大電流を出力することが可能になる。
【0157】
図15Aおよび図15Bは、本技術の特定の形態による電気スイッチ1210のための強磁性体コア1320の端部間のギャップ内の磁場分布を示す。電気スイッチ1210は、強磁性体コア1320の両端間に位置するテープ形態の超電導材料セグメント1810を含む。磁場分布は、有限要素解析によって求められる。図15Aでは、磁性コア1320の端部間のギャップ1330にテープがユニファイラ配置で配置されており、すなわち、このギャップ1330を単一のテープセグメントが通過している。図15Aでは、テープは195Aの電流を流すようにモデル化され、テープに印加される磁場は、250mTの磁場強度を有するようにモデル化されている。図15Bでは、コア1320の端部間のギャップ1330には、テープがバイファイラ配置で配置され、すなわち、このギャップ1330には、テープ2本のストランドが互いに平行にかつ近接して配置されている。図15Bでは、テープは375Aの電流を流すようにモデル化され、テープに印加される磁場は70mTの磁場強度を有するようにモデル化されている。
【0158】
図15Aおよび図15Bは、超電導材料セグメントをユニファイラ配置で配置する技術の形態(図15A)の平均磁場環境が、超電導材料セグメントをバイファイラ配置で配置する技術の形態(図15B)の平均磁場環境よりも明らかに大きいことを示している。実際には、バイファイラ配置はテープの自己インダクタンスをほぼ無くし、テープに残留する磁場は主にテープの表面と平行な方向にある。これは、ゼロ印加磁場下でのバイファイラ配置の臨界電流が、ユニファイラテープ(図14参照)よりも明らかに大きい理由を説明している。
【0159】
コア1320の端部間のギャップ1330が大きいほど、印加される磁場の磁場強度が低くなることも確認されている。これは、ギャップ1330が増加すると、同じ磁場強度を維持するために、磁場発生器によりも大きな電流を供給する必要があることを意味する。これは、追加の駆動電力を必要とし、追加の熱を放散するので望ましくない場合がある。したがって、本技術の特定の形態では、ギャップ1330の寸法は可能な限り小さくてもよく、例えば、ギャップ1330の幅は、超電導材料セグメント1810の2つのストランドの組み合わせの深さと同様である。
【0160】
6.6. その他の注意事項
文脈上明らかに別途の必要がない限り、明細書および特許請求の範囲全体を通じて、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」等の用語は、排他的または網羅的な意味ではなく、包括的な意味、すなわち、「含むがそれに限定されない」で解釈されるべきである。
【0161】
上および下で引用されるすべての出願、特許および出版物の全開示は、もしあれば、参照により本明細書に組み込まれる。
【0162】
本明細書における先行技術の引用は、先行技術が世界の何れかの国の努力の分野における公知の一部を構成するという認識または暗示とはみなされず、また、みなされるべきではない。
【0163】
本技術はまた、本出願の明細書において個別にまたは集合的に参照または示される部分、要素および特徴、および前記部分、要素または特徴の2つ以上の任意またはすべての組み合わせからなる、と広義に言うこともできる。
【0164】
前述の説明では、それらの既知の等価物を有する整数または成分が参照されており、これらの整数は、別個に説明されているように、本明細書に組み込まれている。
【0165】
なお、本明細書に記載された現在の好ましい実施形態の様々な変更および修正は、当業者にとって自明であるが、そのような変更および修正は、技術の精神および範囲から逸脱することなく、また、それに付随する利点を減じることなく実施することができる。したがって、このような変更および修正を本技術に含めることが意図される。
【符号の説明】
【0166】
200 スイッチ
202 超電導材料
204 第1端子
206 第2端子
210 ループ
212a 超電導分岐
212b 超電導分岐
図1
図1A
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
【国際調査報告】