(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】フィルタプレス用濾板組立体およびその類のフィルタプレス
(51)【国際特許分類】
B01D 25/12 20060101AFI20240201BHJP
F16J 3/02 20060101ALI20240201BHJP
F16J 15/06 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B01D25/12 A
B01D25/12 101A
F16J3/02 B
F16J15/06 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544757
(86)(22)【出願日】2022-02-02
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 FI2022050062
(87)【国際公開番号】W WO2022167723
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521535881
【氏名又は名称】メッツォ オウトテック フィンランド オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ムスタカンガス、 ミルバ
(72)【発明者】
【氏名】カイパイネン、 ヤンネ
(72)【発明者】
【氏名】ユボネン、 イスモ
(72)【発明者】
【氏名】エロランタ、 テエム
【テーマコード(参考)】
3J040
3J045
4D116
【Fターム(参考)】
3J040AA17
3J040EA01
3J040HA15
3J045CA11
3J045CA13
3J045EA10
4D116AA30
4D116CC03
4D116CC12
4D116CC28
4D116CC29
4D116CC46
4D116KK04
4D116QB38
(57)【要約】
濾枠(2)と濾枠上に支持される濾板(3)とを備えるフィルタプレス用濾板組立体(1)である。濾枠(2)と濾板(3)の間にダイアフラム(4)が設けられ、ダイアフラムはさらに濾枠に対向する面上に、ダイアフラム(4)を濾板(3)に対して封止するシールビード(4a)を備える。シールビード(4a)は、第1のシールリップ(7)および第2のシールリップ(8)を含み、前者は後者よりも高い位置にある。濾枠は濾板(3)に対する限定的な垂直移動行程をとり、最下位置では第1のシールリップ(7)のみが濾板(3)と接触し、最上位置では第1のシールリップ(7)および第2のシールリップ(8)のいずれもが濾板(3)と接触する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放空間(2a)を区切る閉周囲を画定する濾枠(2)と、
該濾枠上に支持され、前記開放空間の上方に延在する濾板(3)と、
前記濾板(3に対向する前記濾枠(2)の面に設けられた保持溝(2b)と、
前記濾枠(2)と前記濾板(3)の間で、前記開放空間(2a)の上方に延在し濾板組立体に取り付けられるダイアフラム(4)とを備え、該ダイアフラムはさらに、
- 前記濾枠に対向する面上には、前記ダイアフラム(4)を前記濾板(3)に対して封止するシールビード(4a)を、
- 前記濾板に対向する面上には、前記ダイアフラム(4)が前記濾枠(2)と前記濾板(3)の間の位置に保持されるように前記保持溝(2b)内に受容される保持ビード(4b)を備え、
使用時には前記濾枠はフィルタチャンバ(5)の側壁を形成するフィルタプレス用濾板組立体(1)であって、
前記シールビード(4a)は、第1のシールリップ(7)および第2のシールリップ(8)を含み、
第1のシールリップ(7)は、第2のシールリップ(8)よりも垂直に高い位置にあり、
前記濾枠(2)が前記濾板(3)に対して限定的に垂直移動できるように前記濾板(3)が前記濾枠(2)上に配置され、該濾枠(2)は、
- 最下位置では、第1のシールリップ(7)のみが前記濾板(3)と接触し、
- 最上位置では、第1のシールリップ(7)および第2のシールリップ(8)のいずれもが前記濾板(3)と接触することを特徴とする濾板組立体。
【請求項2】
請求項1に記載の濾板組立体(1)において、前記シールビード(4a)の内側では前記濾板(3)と前記ダイアフラム(4)の間にダイアフラムチャンバ(6)が形成され、
前記濾枠(2)が前記最下位置にあるとき、第1のシールリップ(7)は、
- 前記ダイアフラムチャンバ(6)が環境圧力よりも低い圧力である状態に相当する第1の差圧に対しては封止をして、これにより前記ダイアフラム(4)を引き上げ、
- 前記ダイアフラムチャンバ(6)が環境圧力よりも高い圧力である状態に相当する第2の差圧の下では漏圧をさせて、これにより前記ダイアフラム(4)を膨張させるように該濾板組立体が構成され、
第1の差圧の絶対値は第2の差圧の絶対値よりも小さいことを特徴とする濾板組立体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の濾板組立体(1)において、第1のシールリップ(7)は第2のシールリップ(8)の外側方に配置され、これに対応して、第2のシールリップ(8)は第1のシールリップ(7)の内側方に配置されることを特徴とする濾板組立体。
【請求項4】
請求項3に記載の濾板組立体において、前記外側シールリップ(7)は、外側方から圧力が加えられたときには前記濾板に対向する前記ダイアフラム(4)の面から離れて外方に変形し、内側方から圧力が加えられたときには前記濾板に対向する前記ダイアフラム(4)の面に向けて内方に変形するように構成され、
前記内側シールリップ(8)は、内側方から圧力が加えられたときには前記濾板に対向する前記ダイアフラム(4)の面から離れて外方に変形し、外側方から圧力が加えられたときには前記濾板に対向する前記ダイアフラム(4)の面に向けて内方に変形するように構成されていることを特徴とする濾板組立体。
【請求項5】
請求項3または4に記載の濾板組立体(1)において、前記外側シールリップ(7)は第1の非対称な水平剛性をもち、前記内側シールリップ(8)は第2の非対称な水平剛性をもち、
前記内側シールリップ(8)は、前記外側方から加えられる圧力に対する前記内側シールリップ(8)の横方剛性と比較して、前記内側方から加えられる圧力に対する水平剛性が大きく、
前記外側シールリップ(7)は、内側方から加えられる圧力に対する前記外側シールリップ(7)の横方剛性と比較して、外側方から加えられる圧力に対する水平剛性が大きいことを特徴とする濾板組立体。
【請求項6】
請求項3~5のいずれかに記載の濾板組立体(1)において、前記外側シールリップ(7)の断面プロファイルは外側方峰部(7b)と中間側方峰部(4c)の間に外側シールリップ棟部(7a)を画定し、前記内側シールリップ(8)の断面プロファイルは内側方峰部(8b)と前記中間側方峰部(4c)の間に内側シールリップ棟部(8a)を画定することを特徴とする濾板組立体。
【請求項7】
請求項6に記載の濾板組立体(1)において、
前記ダイアフラム(4)の一般面に直交する方向に沿って前記内側シールリップ棟部(8a)の横方向中心点を通過して延伸する垂直線(8’)の外側方に在る前記内側シールリップ(8)の断面プロファイル部分は、前記線(8’)の内側方に在る前記内側シールリップ(8)の断面プロファイル部分よりも大きな区域を占め、
前記ダイアフラム(4)の一般面に直交する方向に沿って前記外側シールリップ棟部(7a)の横方向中心点を通過して延伸する垂直線(7’)の内側方に在る前記外側シールリップ(7)の断面プロファイル部分は、前記線(7’)の外側方に在る前記外側シールリップ(7)の一部分よりも大きな区域を占めることを特徴とする濾板組立体。
【請求項8】
請求項6または7に記載の濾板組立体(1)において、
前記外側シールリップ(7)の断面プロファイルの傾斜は、前記中間側方峰部(4c)と前記外側シールリップ棟部(7a)の間よりも前記外側方峰部(7b)と前記外側シールリップ棟部(7a)の間の方が大きく、
前記内側シールリップ(8)の断面プロファイルの傾斜は、前記中間側方峰部(4c)と前記内側シールリップ棟部(8a)の間よりも前記内側方峰部(8b)と前記内側シール棟部(8a)の間の方が大きいことを特徴とする濾板組立体。
【請求項9】
請求項6~8のいずれかに記載の濾板組立体(1)において、
前記外側シールリップ(7)の外側壁がその棟部(7a)に隣接する傾斜は、前記外側シールリップ(7)の内側壁がその棟部(7a)に隣接する傾斜よりも大きく、
前記内側シールリップ(8)の内側壁がその棟部(8a)に隣接する傾斜は、前記内側シールリップ(8)の外側壁がその棟部(8a)に隣接する傾斜よりも大きいことを特徴とする濾板組立体。
【請求項10】
請求項6~9のいずれかに記載の濾板組立体(1)において、前記外側シールリップ(7)は、前記濾板に対向する前記ダイアフラム(4)の面から外向きに、前記中間側方峰部(4c)から前記ダイアフラム(4)の一般面に垂直な方向に延伸する第1の高さをとり、前記内側シールリップ(8)は、前記濾板に対向する前記ダイアフラム(4)の面から外向きに、前記中間側方峰部(4c)から前記ダイアフラム(4)の一般面に垂直な方向に延伸する第2の高さをとり、
第1の高さは、第2の高さよりも少なくとも10%大きいことを特徴とする濾板組立体。
【請求項11】
請求項6~10のいずれかに記載の濾板組立体(1)において、前記外側シールリップ(7)は、前記濾板に対向する前記ダイアフラムの面から外向きに、前記中間側方峰部(4c)から前記ダイアフラム(4)の一般面に垂直な方向に延伸する第1の高さをとり、前記内側シールリップ(8)は、前記濾板に対向する前記ダイアフラム(4)の面から外向きに、前記中間側方峰部から前記ダイアフラム(4)の一般面に垂直な方向に延伸する第2の高さをとり、
第2の高さは、第1の高さの少なくとも30%であることを特徴とする濾板組立体。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の濾板組立体(1)において、前記濾板(3)から前記濾枠(2)に設けられた開口部(2c)を貫通する複数のピン(9a、9b)を備え、
前記ピン(9a、9b)は前記濾枠の限定的な移動行程と平行であり、
少なくとも1つのピン(9a)はその遠位端に、前記濾枠(2)の最下位置を限定するストッパ(10)を備えることを特徴とする濾板組立体。
【請求項13】
請求項12に記載の濾板組立体(1)において、前記ストッパ(10)を設けた前記ピン(9a)はその遠位端に雄ねじを備え、
前記ストッパ(10)は前記ねじ付きのピン(9a)に螺合されることを特徴とする濾板組立体。
【請求項14】
請求項12または13に記載の濾板組立体において、前記ストッパ(10)を備えた前記ピン(9a)はさらに、前記ストッパ(10)と前記濾板(3)の間に設けられたスリーブ(11)を備え、
該スリーブ(11)は、関連付けられた前記ピン(9a)に対応する開口部(2c)を貫通し、
前記濾枠(2)の限定的な移動行程は前記スリーブ(11)に沿って延びていることを特徴とする濾板組立体。
【請求項15】
前記請求項1~13のいずれかに記載の濾板組立体を複数備えることを特徴とするフィルタプレス。
【発明の詳細な説明】
【開示の分野】
【0001】
本開示は、残留内容液を濾過ケーキから搾り出すダイアフラムを備えたフィルタプレス、例えばタワープレスに関する。本開示はさらに、そのようなフィルタプレス用の濾板組立体に関する。
【開示の背景】
【0002】
フィルタプレス、特にタワープレスなどの横型フィルタプレスでは、濾枠と濾板とを含む隣り合った濾板組立体間に水平方向に延伸したフィルタチャンバが形成され、この濾板組立体の内部にフィルタダイアフラムも設けられる。ダイアフラムは、通常、その縁部で濾枠に取り付けられ、フィルタダイアフラムと濾板の間に形成されるダイアフラムチャンバとして知られる空間を塞ぐよう、濾板に対して締結される。
【0003】
使用時には、ダイアフラムチャンバは加圧媒体を供給し、フィルタチャンバ内に形成された濾過ケーキに対してダイアフラムを押圧して、濾過ケーキから残留内容液を搾出することができる。さらに、濾過ケーキ除去中に隣り合う濾枠アセンブリが互いに離隔している(すなわち、フィルタチャンバが開放している)ときに、フィルタダイアフラムと濾板の間の空間内に低圧媒体を取り込んでもよい。このような取込みにより、フィルタダイアフラムが隣り合う濾枠アセンブリ間の空間にはみ出して濾過ケーキの排出を阻害することを防止する。
【0004】
しかしながら、フィルタ装置の不適切な使用または不具合によって、隣り合うフレームアセンブリが互いに離隔しているときにダイアフラムとプレートの間に加圧媒体が入り込む場合がある。これはさらに、離隔している隣り合った濾板組立体間の空間内でフィルタダイアフラムが過度に膨張する可能性をもたらし、これによりフィルタダイアフラムの損傷、またはその壊滅的な故障につながることさえある。
【開示の簡単な説明】
【0005】
本開示の目的は、隣り合う濾板組立体が離隔しているとき(すなわち、関連付けられたフィルタチャンバが開放されているときに、ダイアフラムチャンバ(すなわち、フィルタダイアフラムと濾板の間の空間)の偶発的な過加圧を防止しながら残留内容液を濾過ケーキから搾り出すダイアフラムを有し、さらに、ダイアフラムチャンバ内に入る負圧によりフィルタダイアフラムを維持して濾過ケーキの排出を促進することができる濾板組立体を提供することである。
【0006】
本開示のさらなる目的は、そのような濾板組立体を組み込んだフィルタプレスを提供することである。
【0007】
本開示の目的は、独立請求項に記載されていることを特徴とする濾板組立体およびフィルタプレスによって達成される。本開示の好適な実施形態は、従属請求項に開示されている。
【0008】
本開示は、濾枠と濾板の間での限定的な垂直移動が果たされるように、濾枠上に配置された濾板を設けるという着想に基づく。さらに、ダイアフラムには濾枠と濾板の間に第1のシールリップと第2のリップを有するシールビードが設けられ、前者は後者よりも高い位置にある。
【0009】
特に、ダイアフラムチャンバ内で加えられる圧力に耐え、ダイアフラムを用いて濾過ケーキから残留内容液を搾り出すことを可能にする密封は、濾枠が垂直移動行程の最上位置にあるとき(すなわち、濾過中にフィルタチャンバが閉じられているとき)、第1および第2のシールリップの両方が濾板と密着することによって、ダイアフラムと濾板の間で果たされる。
【0010】
さらに、濾枠がその限定的移動行程の最下位置にあるとき(すなわち、ケーキ排出のためにフィルタチャンバが開放されるときなど)には、第2のシールリップを濾板との接触から解放することが可能である。これにより、フィルタチャンバが開放されているときのダイアフラムチャンバの偶発的な過加圧が防止される。このような過加圧は潜在的に、ダイアフラムおよび/または濾板組立体の損傷、またはさらにはその壊滅的な故障につながる可能性がある。同時に、濾枠が最下位置にあるときでさえ濾板と接触したままである第1のシールリップは、ダイアフラムチャンバ内に低圧媒体を取り込むことによってダイアフラムを上方に引き上げることを可能にする。すなわち、第1のシールリップはそれ単独でダイアフラムを上方に引き上げるのに必要とされる十分な低圧に備えて封止するように構成され、これにより濾過ケーキの排出を促進する。同時に、第1のシールリップは、ダイアフラムまたは濾板組立体に損傷を引き起こすほど十分高い過圧を漏出させるように構成されているため、フィルタチャンバが開放されたときのダイアフラムチャンバの偶発的な過加圧を防止する。
【0011】
本開示の第1の態様によれば、フィルタプレスに用いる濾板組立体が提供される。有利には、対応付けられたフィルタプレスは、水平に並べられた濾板およびフィルタチャンバにより構成される横型フィルタプレス、例えばタワープレスである。
【0012】
濾板組立体は、開放空間を区切る閉周囲を画定する濾枠と、濾枠上に支持され、開放空間の上方に延在する濾板とを備える。
【0013】
濾板に対向する濾枠の面には、保持溝が設けられる。最適には、保持溝は濾枠の縁部に、好ましくは切れ目なく延在している。
【0014】
濾板組立体はさらに、濾枠と濾板の間で、開放空間の上方に延在し濾板組立体に取り付けられるダイアフラムを備える。最適には、ダイアフラムは可撓性構造をとるシート状の本体を有する。すなわち、ダイアフラムは使用時に、加圧下で変形して濾過ケーキが搾出されるよう、十分に撓むことができるのが好ましい。
【0015】
ダイアフラムはさらに、濾枠に対向する面上に、ダイアフラムを濾板に対して封止するシールビードを備える。最適には、シールビードはダイアフラムの周縁に沿ってまたは周縁から距離をおいて、好ましくは切れ目なく延在している。すなわち、シールビードは、一続きのビードとして、または一続きのビードを形成する複数の別個のビード部分として設けられてもよい。ダイアフラムはさらに、濾板に対向する面上に、ダイアフラムが濾枠と濾板の間の位置に保持されるように保持溝内に受容される保持ビードを備える。最適には、保持ビードはダイアフラムの周縁に沿ってまたは周縁から距離をおいて、好ましくは切れ目なく延在している。すなわち、保持ビードは、一続きのビードとして、または一続きのビードを形成する複数の別個のビード部分として設けられてもよい。
【0016】
使用時には、濾枠はフィルタチャンバの側壁を形成する。最適には、濾枠は前述のチャンバ内に広がる濾過圧力によって生じる濾過力の水平成分に対する耐荷重要素として作用する。
【0017】
さらに、シールビードは第1のシールリップおよび第2のシールリップを含み、第1のシールリップは第2のシールリップよりも垂直に高い位置にある。最適には、第1および第2のシールリップは互いに対して平行かつ水平方向に離隔して延伸している。
【0018】
濾枠が濾板に対して限定的に垂直移動できるように濾板が濾枠上に配置され、これにより濾枠は最下位置および最上位置をとることとなる。最下位置では第1のシールリップのみが濾板と接触する一方で、最上位置では第1のシールリップおよび第2のシールリップのいずれもが濾板と接触する。
【0019】
本開示の第1の態様に係る実施形態において、シールビードの内側では、濾板とダイアフラムの間にダイアフラムチャンバが形成される。濾板組立体は、濾枠が最下位置にあるとき、ダイアフラムチャンバが環境圧力よりも低い圧力である状態に相当する第1の差圧に対して第1のシールリップが封止をして、ダイアフラムを引き上げるように構成されている。これとともに、濾板組立体はさらに、ダイアフラムチャンバが環境圧力よりも高い圧力である状態に相当する第2の差圧の下では第1のシールリップが漏圧をさせて、ダイアフラムを膨張させるように構成されている。
【0020】
この場合において、第1の差圧の絶対値は、第2の差圧の絶対値よりも小さい。
【0021】
本開示の第2の態様によるさらなる実施形態では、第1のシールリップは第2のシールリップの外側方に配置され、これに対応して、第2のシールリップは第1のシールリップの内側方に配置される。
【0022】
必須ではないが好適には、外側シールリップは、外側方から圧力が加えられたときには濾板に対向するダイアフラムの面から離れて外方に変形し、内側方から圧力が加えられたときには濾板に対向するダイアフラムの面に向けて内方に変形するように構成されている。さらに、内側シールリップは、内側方から圧力が加えられたときには濾板に対向するダイアフラムの面から離れて外方に変形し、外側方から圧力が加えられたときには濾板に対向するダイアフラムの面に向けて内方に変形するように構成されている。
【0023】
必須ではないが好適には、外側シールリップは第1の非対称な水平剛性をもち、内側シールリープは第2の非対称な水平剛性をもつ。このような場合、内側シールリップは、外側方から加えられる圧力に対する内側シールリップの横方剛性と比較して、内側方から加えられる圧力に対する水平剛性が大きい。これに対応して、外側シールリップは、内側方から加えられる圧力に対する外側シールリップの横方剛性と比較して、外側方から加えられる圧力に対する水平剛性が大きい。
【0024】
必須ではないが好適には、外側シールリップの断面プロファイルは外側方峰部と中間側方峰部の間に外側シールリップ棟部を画定し、内側シールリップの断面プロファイルは内側方峰部と中間側方峰部の間に内側シールリップ棟部を画定する。
【0025】
このような場合、ダイアフラムの一般面に直交する方向に沿って内側シールリップ棟部の横方向中心点を通過して延伸する垂直線の外側方に在る内側シールリップの断面プロファイル部分は、有利には、同線の内側方に在る内側シールリップの断面プロファイル部分よりも大きな区域を占める。これに対応して、ダイアフラムの一般面に直交する方向に沿って外側シールリップ棟部の横方向中心点を通過して延伸する垂直線の内側方に在る外側シールリップの断面プロファイル部分は、有利には、同線の外側方に在る外側シールリップの一部分よりも大きな区域を占める。
【0026】
代替的または追加的に、外側シールリップの断面プロファイルの傾斜は、中間側方峰部と外側シールリップ棟部の間よりも外側方峰部と外側シールリップ棟部の間の方が大きくても構わない。さらに、内側シールリップの断面プロファイルの傾斜は、中間側方峰部と内側シールリップ棟部の間よりも内側方峰部と内側シールリップ棟部の間の方が大きくても構わない。
【0027】
代替的または追加的に、外側シールリップの外側壁がその棟部に隣接する傾斜は、外側シールリップの内側壁がその棟部に隣接する傾斜より大きくても構わない。さらに、内側シールリップの内側壁がその棟部に隣接する傾斜は、内側シールリップの外側壁がその棟部に隣接する傾斜より大きくても構わない。
【0028】
代替的または追加的に、外側シールリップは、濾板に対向するダイアフラムの面から外向きに、中間側方峰部からダイアフラムの一般面に垂直な方向に延伸する第1の高さをとっても構わない。これに対応して、内側シールリップは、濾板に対向するダイアフラムの面から外向きに、中間側方峰部からダイアフラムの一般面に垂直な方向に延伸する第2の高さをとっても構わない。特に、第1の高さは、第2の高さよりも少なくとも10%大きいことが好ましい。
【0029】
代替的または追加的に、外側シールリップは、濾板に対向するダイアフラムの面から外向きに、中間側方峰部からダイアフラムの一般面に垂直な方向に延伸する第1の高さをとっても構わない。これに対応して、内側シールリップは、濾板に対向するダイアフラムの面から外向きに、中間側方峰部からダイアフラムの一般面に垂直な方向に延伸する第2の高さをとっても構わない。特に、第2の高さは、第1の高さの少なくとも30%であることが好ましい。
【0030】
本開示の第1の態様によるさらなる実施形態では、濾板組立体は、濾板から濾枠に設けられた開口部を貫通する複数のピンを備える。好適には、このようなピンは濾枠の限定的な移動行程と平行であり、少なくとも1つのピンはその遠位端に、濾枠の最下位置を限定するストッパを備える。このようなストッパは、濾枠が所望の限定的な垂直移動をできるよう、濾板から適切な距離をとって設けられる。
【0031】
必須ではないが好適には、ストッパを設けた少なくとも1つのピンは、その遠位端に雄ねじを備える。このような場合、ストッパはピンに螺合されることが好ましい。例えば、少なくとも1つのストッパを有するスタッドがボルトまたはスタッドボルトとして設けられてもよく、ストッパがナットとして設けられてもよい。
【0032】
必須ではないが好適には、ストッパを備えたピンはさらに、ストッパと濾板の間に設けられたスリーブを備える。このようなスリーブ1は、関連付けられたピンに対応する濾枠の開口部を貫通する。さらに、濾枠の限定的な移動行程は、スリーブに沿って延びている。好適には、このようなスリーブはストッパと一体的に設けられてもよい。あるいは、このようなスリーブは、ストッパと濾板の間に固定された別個の構成要素として設けられ、関連付けられたピンを囲繞してもよい。
【0033】
加えて、関連付けられたストッパを有さないピンを設けて、さらに、限定的な移動行程に沿って濾枠を案内することもできる。このように付設されたピンもまた、濾板から突き出して設けられ、濾枠の限定的な移動行程と平行に、濾枠に設けられた開口部を通過して延在する。
【0034】
上述のように、本開示の第1の態様は2つ以上の実施形態の任意の組合せ、またはその変形例を包含することに留意されたい。
【0035】
本開示の第2の態様によれば、フィルタプレスが提供される。具体的には、フィルタプレスは本開示の第1の態様による濾板組立体を複数備える。
【0036】
本開示の第2の態様による一実施形態において、フィルタプレスは、隣り合う濾板組立体によってフィルタチャンバが形成される閉鎖位置まで互いに向けて、および、隣り合う濾板が互いに離隔する開放位置まで互いから離れるように移動可能に構成された複数の濾板を備える。濾板を互いに向けて移動させてフィルタチャンバを形成するとともに、互いに離してフィルタチャンバを開放する並進装置が設けられる。
【0037】
フィルタプレスはさらに、隣り合う濾板組立体間に配置されるフィルタ媒体と、フィルタチャンバ内にスラリを供給する供給装置と、フィルタチャンバ内で形成された濾過ケーキを排出する排出装置とを備える。
【0038】
とりわけ、1枚以上の濾板は濾液槽を備え、これにより近隣のフィルタチャンバからの濾液が濾液槽によって受容されるようにする。
【0039】
さらに、フィルタプレスは、タワープレスなどの横型フィルタプレスとして提供されてもよい。すなわち、水平に延在した構成で濾板を備えていても構わない。しかしながら、垂直に延在した構成で濾板を備えていても構わない。
【0040】
上述のように、本開示の第2の態様は2つ以上の実施形態の任意の組合せまたはその変形例を包含することに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
以下において、本開示を好適な実施形態を用いて添付図面を参照しながらより詳細に説明する。
【
図1】本発明の一実施形態による濾板組立体を、濾板組立体の側方から見た部分切断図として示す。
【
図2】
図1のダイアフラムシールビードの詳細図を示す。
【
図3】濾枠がその最下位置にある本開示の実施形態による濾板組立体を、ストッパを備えたピンに対応する箇所で濾板組立体の側方から見た部分切断図として示す。
【
図5】濾枠がその最上位置にある本開示の実施形態による濾板組立体を、ストッパを備えたピンに対応する箇所で濾板組立体の側方から見た部分切断図として示す。
【
図7】別のストッパ構成を備えた、
図4と同様の詳細図を示す。
【
図8】別のストッパ構成を備えた、
図6と同様の詳細図を示す。
【
図9】濾枠がその最下位置にある本開示の実施形態による濾板組立体を、ストッパを備えていないピンに対応する箇所で濾板組立体の側方から見た部分切断図として示す。
【開示の詳細な説明】
【0042】
図1には、本発明の一実施形態に係る濾板組立体1が、その側方から見た部分断面図として示されている。濾枠2上に濾板3が支持され、その結果、板3は、濾枠2によって形成された閉周囲によって水平方向に区切られた開放空間2aを覆う。濾枠は濾板3を支持するとともに、動作中に開放空間2a内に広がる側方力に対する耐荷重部材として作用する。濾板2は、以下においてより詳細に説明するように、濾板3に結合され限定的な垂直移動をする。
【0043】
濾枠2と濾板3の間には、開放空間2aの上方に延在するダイアフラム4が設けられ、これによりダイアフラムチャンバ6(すなわち、ダイアフラム4と濾板3の間の空間)が形成される。ダイアフラムは、濾枠2に対向する面上に、ダイアフラム4の縁周りに延在している保持ビード4bを備えている。保持ビード4bは、濾板に対向する濾枠2の面上で、開放空間2aの周囲に延在する濾枠2上に形成された対応する保持溝2b内に受容される。ダイアフラムはさらに、ダイアフラム4の濾板3に対向する面上に、ダイアフラムの縁周りに縁部から距離をおいて延在しているシールビード4aを備える。すなわち、シールビード4aは、ダイアフラムチャンバ6を取り囲むダイアフラム4と濾板3との間の界面を封止する。
【0044】
図2は、
図1のダイアフラムシールビードの詳細図を示す。特に、シールビード4は第1のシールリップ7および第2のシールリップ8を有し、第1のシールリップ7は、第2のシールリップよりも高い位置にある。特に、
図2は、濾枠2が最下位置にあり、第1のシールリップ7のみが濾板3と接触している状態を概略的に表している。これによって、濾枠2の限定的な垂直移動に伴い、濾枠2が最上位置にあるときには第1および第2のシールリップ7、8の両方が濾枠と接触し、濾枠2が最下位置にあるときには第1のシールリップ7のみが濾板3と接触する。
【0045】
特に、図面に示される実施形態では、第1のシールリップ7は第2のシールリップ8の外側で横向きに配置され、対応するように、第2のシールリップ8は第1のシールリップの内側で横向きに配置されている。
【0046】
さらに、外側シールリップ7は、外側方から加圧されたときには濾板に対向するダイアフラム4の面から離れて外方に変形し、内側方から加圧されたときには濾板に対向するダイアフラム4の面に向けて内方に変形するように構成された平面および立体形状を採っている。これに対応して、内側シールリップ8は内側方から加圧されたときには濾板に対向するダイアフラム4の面から外方に変形し、外側方から加圧されたときには濾板に対向するダイアフラム4の面に向けて内方に変形するように構成されている。
【0047】
さらに、外側シールリップ7および内側シールリップ8の立体および平面形状は、外側シールリップ7が第1の非対称な水平剛性を備え、内側シールリップ8が第2の非対称な水平剛性を備えるように構成される。内側シールリップ8は、外側方から加えられる圧力よりも内側方から加えられる圧力に対して、より良好に変形に抗うことができる。これに対応して、外側シールリップ7は、内側方から加えられる圧力よりも外側方から加えられる圧力に対して、より良好に変形に抗うことができる。
【0048】
特に、
図2の構成では、外側シールリップ7の断面プロファイルが外側方峰部7bと中間側方峰部4cの間にある外側シールリップ棟部7aを画定し、内側シールリップ8の断面プロファイルは内側方峰部8bと中間側方峰部4cの間にある内側シールリップ棟部8aを画定する。換言すれば、外側シールリップ7および内側シールリップ8はダイアフラムの周縁領域より高い位置にあり、それらのリップの間に中間峰部4cが形成される。
【0049】
さらに、ダイアフラム4の一般面に直交する方向に沿って(すなわち、垂直方向に沿って)内側シールリップ棟部8aの横方向中心点を通過して延びている垂直線8’の外側方に存在する内側シールリップ8の断面プロファイル部分は、線8’の内側方に存在する内側シールリップ8の断面プロファイル部分よりも大きな空間を占める。それに対応して、ダイアフラム4の一般面に垂直な方向に沿って外側シールリップ棟部7aの横方向中心点を通過して延びている垂直線7’の内側方に存在する外側シールリップ7の断面プロファイル部分は、線7’の外側方に存在する外側シールリップ7の部分よりも大きな空間を占める。すなわち、外側シールリップ7のより多くの部分はその内側方に存在し、外側シールリップ7が外側方から加えられる圧力に対してより良好に変形に抗うことができる。そして、内側シールリップ8のより多くの部分は外側方に存在し、内側シールリップ8が内側方から加えられる圧力に対してより良好に変形に抵抗できるようにする。
【0050】
また、
図2の構成では、外側シールリップ7の断面形状は、中間側方峰部4cと外側シールリップ棟部7aの間の傾斜よりも、外側方リップ峰部7bと外側シールリップ棟部7aの間の傾斜の方が大きいことが示されている。これに対応して、内側シールリップ8の断面プロファイルは、中間側方峰部4cと内側シールリップ棟部8aの間の傾斜よりも、内側方峰部8bと内側シールリップ棟部8aの間の傾斜の方が大きい。このようなシールリップ7、8の立体および平面形状は、上述のように、さまざまな圧力シナリオ下における所期の特性をさらに改善する。
【0051】
図2はさらに、外側シールリップ7の外側壁がその棟部7aに隣接する傾斜は、外側シールリップ7の内側壁がその棟部7aに隣接する傾斜よりも大きいことを示す。同様に、内側シールリップ8の内側壁が棟部8aに隣接する傾斜は、内側シールリップ8の外側壁が棟部8aに隣接する傾斜よりも大きい。この場合も、このようなシールリップ7、8の立体および平面形状は上述のように、さまざまな圧力シナリオ下における所期の特性をさらに改善する。
【0052】
図3は、ストッパ10を備えたピン9aに対応する箇所を濾板組立体の側方から見た部分切断図として、
図1のものと同様の濾板組立体を示す。特に、
図3は、濾枠2がその限定的な垂直移動行程の最下位置にあることを示す。この最下位置は、隣り合う濾板が後退して互いに離れることによって関連付けられたフィルタプレスのフィルタチャンバが開放された状態に相当する。また、濾板3からは、濾枠に設けられた孔2cを介してピン9aが延設されている。ピン9aの遠位端にはストッパ10が設けられ、ストッパ10は、枠2の孔2cの径よりも大径のフランジを有する。さらに、ストッパ10は、濾枠2が濾板3から脱離することを防ぎつつ、濾枠2が所望の限定的な垂直移動をできるように濾板3から距離をおいて設けられる。
【0053】
図4は、
図3のピン9aおよびストッパ10をより詳細に示す。特に、ピン9aは、濾枠2の対応付いた孔2cを通過して延在している。ストッパ10と連結し、ストッパ10から濾板3にかけて延在している一体型スリーブ11が設けられている。スリーブ11が孔2c内に在ることにより、これに沿って濾枠2が限定的な垂直行程で移動することができる摺動面を備えることとなる。また、
図4は、濾枠2と濾板3の間に形成された隙間を示している。
【0054】
続いて、
図5および
図6は、濾枠2が最上位置にある状態における、
図3および
図4と同様の視点による濾枠組立体を示している。この最上位置は、隣り合う濾板を互いに向けて押圧することにより対応付けられたフィルタプレスのフィルタチャンバが閉じた状態に相当する。また、濾枠2が最上位置にあるため、ストッパ10のストッパ面と開口部2cを囲繞する枠2の面との間には、枠2の限定的な垂直移動行程に対応する隙間が形成される。
【0055】
図7および
図8は、ストッパ10およびスリーブ11が別個の構成要素として設けられていることを除いて、
図4および
図6に示されている構成と同様の構成を示している。特に、
図7および
図8は、ピン9aにねじ込まれたナットとしてストッパ10が設けられ、ストッパ1から濾板3にかけてスタッド9aを覆って挿入したブッシングとしてスリーブ11が設けられている実施形態を示している。
【0056】
図3~
図8の実施形態では、濾板3を貫通するボルトとしてピン9aが設けられている。しかしながら、他の実施形態を採ってもよい。例えば、ピン9aは濾板3を貫通するスタッドボルトとして設けられてもよく、濾板3に固定されたスタッドとして設けられてもよい。
【0057】
続いて
図9は、ストッパを備えていないピン9bに対応する箇所を濾板組立体1の側方から見た部分切断図として、濾枠2がその最下位置にある本開示の実施形態による濾板組立体1を示す。特に、ストッパを備えたピン9aに加えてこのようなストッパ無しのピン9bを使用することにより、さらに、有限の垂直移動行程に沿って濾枠2を案内することができる。これにより、適切な水平方向の位置合わせが確実に維持される。
【0058】
使用時には、重ね合わされた濾板組立体は互いに押圧され、フィルタ媒体(不図示)はこのように隣り合った2つの濾板組立体の間に介在することとなる。これによって、フィルタチャンバ5は、水平方向では枠2内に、垂直方向ではダイアフラム4と前述の隣り合って重ね合わされた濾板組立体(隣接する濾板組立体は不図示)間に介在するフィルタ媒体(不図示)との間に区分されている開放空間2a内に形成される。すなわち、作動中に加圧スラリがフィルタチャンバ5内に供給され、その内容液(すなわち、濾液)は濾液媒体(図示せず)を通り抜けて、フィルタチャンバの下方にある濾板組立体の濾板上に設けられた濾液槽上に染み透る。固形分は、フィルタチャンバ5内に残留することによって、濾過ケーキともいう固体堆積物を形成する。このとき、加圧媒体をダイアフラムチャンバ6内に取り込むことによって、残留内容液を濾過ケーキからさらに抽出することができる。この結果、ダイアフラム4がフィルタチャンバ5の方向に変形し、これにより濾過ケーキから残留内容液を搾り出す。濾過ケーキはその後、濾板組立体を互いから離れるように後退させ(すなわち、フィルタチャンバ5を開放する)、濾過ケーキが排出されるようフィルタ媒体を前進させることによって、フィルタチャンバ5から除去される。ダイアフラムチャンバ6に負圧をかけることによってダイアフラム4に吸引力を加え、ダイアフラムを引き上げて濾過ケーキの排出径路から遠ざけることによって、濾過ケーキの排出を促進することができる。
【0059】
濾枠2は、濾板3に結合され、限定的に垂直移動する。すなわち、フィルタチャンバが閉じられ、隣り合う濾板組立体が互いに押圧されると、濾枠2は制限された移動行程の最上位置をとり、ダイアフラムのシールビード4aが濾板3にきつく押圧される(すなわち、第1のシールリップ7および第2のシールリップ8の両方が濾板に係合される)。これにより、濾過ケーキから残留内容液を圧搾するのに十分な圧力が確実にダイアフラムチャンバ6内に伝えられることとなる。他方、隣り合う濾板組立体が互いに引き込まれたとき(すなわち、フィルタチャンバ5が開放されたとき)、濾枠2は重力に従って有限の移動行程の最下位置をとり、最下位置では枠は濾板3から離隔し、シールビード4aは濾板とほんの僅かに接触する(すなわち、第1のシールリップ7のみが濾板3と係合する。これにより、フィルタチャンバが開放されたときに、ダイアフラムチャンバ6の意図しない過圧は確実に周囲環境に漏れ出るようになる)一方で、減圧によりダイアフラム4を引き上げてケーキ排出を促進する。
【0060】
本開示は、濾液板組立体が水平型フィルタチャンバを有するフィルタプレス用に構成されている実施形態を示す図面を参照しながら上述されているが、本開示は垂直型フィルタチャンバを有するフィルタプレスなど他の型式のフィルタプレス形状用に構成されている実施形態も包含する。
【参照符号一覧】
【0061】
1 濾板組立体
2 濾枠
2a 開放空間
2b 保持溝
2c 開口部
3 濾板
4 ダイアフラム
4a シールビード
4b 保持ビード
4c 中間側方峰部
5 フィルタチャンバ
6 ダイアフラムチャンバ
7 第1のシールリップ
7a 外側シールリップ棟部
7b 外側方峰部
8 第2のシールリップ
8a 内側シールリップ棟部
8b 内側方峰部
9a ねじ付きピン
9b ピン
10 ストッパ
11 スリーブ
【国際調査報告】