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特表2024-505877ルックアップテーブルベースのアナログ‐デジタルコンバータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ルックアップテーブルベースのアナログ‐デジタルコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H03M 1/10 20060101AFI20240201BHJP
   H03M 1/50 20060101ALI20240201BHJP
   H03M 1/46 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H03M1/10 A
H03M1/50
H03M1/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545228
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 US2022013802
(87)【国際公開番号】W WO2022164841
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】17/158,526
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスヴェスヴァラヤ アッパラ ペンタコタ
(72)【発明者】
【氏名】ナラシムハン ラジャゴパル
(72)【発明者】
【氏名】チラグ チャンドラハス シェッティ
(72)【発明者】
【氏名】プラサンス ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ニーラジ シュリヴァスタヴァ
(72)【発明者】
【氏名】イーシャン ミグラニ
(72)【発明者】
【氏名】ジャガンナサン ヴェンカタラマン
【テーマコード(参考)】
5J022
【Fターム(参考)】
5J022AA11
5J022AA15
5J022AB02
5J022BA01
5J022BA05
5J022BA06
5J022CD01
5J022CF08
(57)【要約】
アナログ‐デジタルコンバータシステム(10)が、デジタル入力コードに基づいて較正電圧を生成するためのデジタルアナログコンバータ(32)と、デジタルアナログコンバータ(32)から較正電圧を受け取り、サンプリングされた電圧を受け取り、較正電圧に基づいてデジタル出力コードを生成し、サンプリングされた電圧に基づいてデジタル出力コードを生成するために、デジタルアナログコンバータ(32)に接続されたアナログ‐デジタルコンバータ(18)とを含む。アナログ‐デジタルコンバータシステム(10)は、第1のデジタル出力コードを、デジタル入力コードに関連して格納するために、アナログ‐デジタルコンバータ(18)に接続されたルックアップテーブル(20)を有し得る。アナログ‐デジタルコンバータシステム(10)を較正するための方法も説明される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ‐デジタルコンバータシステムであって、
デジタルコード入力と前記デジタルコード入力に基づく較正電圧出力とを有する較正回路要素と、
前記較正電圧出力又はサンプリングされた電圧に接続されるように動作可能な入力を有する第1のアナログ‐デジタルコンバータ(ADC)と、
を含み、
前記第1のアナログ‐デジタルコンバータが、前記較正電圧出力に基づいて第1のデジタル出力コードを出力し、前記サンプリングされた電圧及び前記第1のデジタル出力コードに基づいて第2のデジタル出力コードを出力するように動作可能である、
アナログ‐デジタルコンバータシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のアナログ‐デジタルコンバータシステムであって、前記較正回路要素がデジタルアナログコンバータを含み、前記アナログ‐デジタルコンバータシステムが第1のマルチプレクサを更に含み、前記第1のマルチプレクサが、前記較正電圧出力及びサンプリングされた電圧を前記アナログ‐デジタルコンバータに選択的に送信するために、前記デジタルアナログコンバータ及び前記アナログ‐デジタルコンバータに接続される、アナログ‐デジタルコンバータシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のアナログ‐デジタルコンバータシステムであって、較正コントローラを更に含み、前記較正コントローラが、前記デジタルコード入力を前記デジタルアナログコンバータに送信するため、及び、前記デジタルコード入力が前記デジタルアナログコンバータに送信される一方で前記マルチプレクサに前記較正電圧出力を前記アナログ‐デジタルコンバータに送信させるために、前記デジタルアナログコンバータ及び前記第1のマルチプレクサに接続される、アナログ‐デジタルコンバータシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のアナログ‐デジタルコンバータシステムであって、第2のアナログ‐デジタルコンバータを更に含み、前記第2のアナログ‐デジタルコンバータが、前記デジタルアナログコンバータから前記較正電圧出力を受け取り、前記サンプリングされた電圧を受け取り、前記較正電圧出力及び前記サンプリングされた電圧に基づいてデジタル出力コードを生成するために、前記デジタルアナログコンバータに接続される、アナログ‐デジタルコンバータシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のアナログ‐デジタルコンバータシステムであって、第2のマルチプレクサを更に含み、前記第2のマルチプレクサが、前記較正電圧出力を前記第2のアナログ‐デジタルコンバータに選択的に送信するために前記デジタルアナログコンバータ及び前記第2のアナログ‐デジタルコンバータに接続される、アナログ‐デジタルコンバータシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のアナログ‐デジタルコンバータシステムであって、前記第1のデジタル出力コードを前記デジタルコード入力に関連して格納するためのルックアップテーブルを更に含む、アナログ‐デジタルコンバータシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のアナログ‐デジタルコンバータシステムであって、前記アナログ‐デジタルコンバータが、電圧を遅延信号に変換し、前記遅延信号に基づいて前記第1及び第2のデジタル出力コードを生成するための回路を含む、アナログ‐デジタルコンバータシステム。
【請求項8】
ルックアップテーブルベースのアナログ‐デジタルコンバータシステムであって、
デジタルコード入力と前記デジタルコード入力に基づく較正電圧出力とを有するデジタルアナログコンバータと、
前記較正電圧出力とサンプリングされた電圧入力とに結合される第1のアナログ‐デジタルコンバータであって、前記較正電圧出力に基づいて第1のデジタル出力コードを出力し、前記サンプリングされた電圧入力に基づいて第2のデジタル出力コードを出力するように動作可能である前記第1のアナログ‐デジタルコンバータと、
前記第1のデジタル出力コードを前記デジタルコード入力に関連して格納するために前記アナログ‐デジタルコンバータに接続されるルックアップテーブルと、
を含む、ルックアップテーブルベースのアナログ‐デジタルコンバータシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のルックアップテーブルベースのアナログ‐デジタルコンバータシステムであって、第1のマルチプレクサを更に含み、前記第1のマルチプレクサが、前記較正電圧出力及び前記サンプリングされた電圧入力のうちの1つを前記アナログ‐デジタルコンバータに選択的に送信するために、前記デジタルアナログコンバータ及び前記アナログ‐デジタルコンバータに接続される、ルックアップテーブルベースのアナログ‐デジタルコンバータシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のルックアップテーブルベースのアナログ‐デジタルコンバータシステムであって、較正コントローラを更に含み、前記較正コントローラが、前記デジタルコード入力を前記デジタルアナログコンバータに送信するため、及び、前記デジタルコード入力が前記デジタルアナログコンバータに送信される一方で、前記マルチプレクサに前記較正電圧出力を前記アナログ‐デジタルコンバータに送信させるために、前記デジタルアナログコンバータ及び前記第1のマルチプレクサに接続される、ルックアップテーブルベースのアナログ‐デジタルコンバータシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のルックアップテーブルベースのアナログ‐デジタルコンバータシステムであって、第2のアナログ‐デジタルコンバータを更に含み、前記第2のアナログ‐デジタルコンバータが、前記デジタルアナログコンバータから前記較正電圧出力を受け取り、前記サンプリングされた電圧入力を受け取り、前記較正電圧出力及び前記サンプリングされた電圧入力に基づいてデジタル出力コードを生成するために、前記デジタルアナログコンバータに接続される、ルックアップテーブルベースのアナログ‐デジタルコンバータシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のルックアップテーブルベースのアナログ‐デジタルコンバータシステムであって、第2のマルチプレクサを更に含み、前記第2のマルチプレクサが、前記較正電圧出力を前記第2のアナログ‐デジタルコンバータに選択的に送信するために、前記デジタルアナログコンバータ及び前記第2のアナログ‐デジタルコンバータに接続される、ルックアップテーブルベースのアナログ‐デジタルコンバータシステム。
【請求項13】
請求項8に記載のルックアップテーブルベースのアナログ‐デジタルコンバータシステムであって、前記アナログ‐デジタルコンバータが、電圧を遅延信号に変換し、前記遅延信号に基づいて前記第1及び第2のデジタル出力コードを生成するための回路を含む、ルックアップテーブルベースのアナログ‐デジタルコンバータシステム。
【請求項14】
アナログ‐デジタルコンバータシステムを較正する方法であって、
デジタルアナログコンバータによって、デジタル入力コードに基づいて較正電圧を生成することと、
第1のアナログ‐デジタルコンバータによって、前記較正電圧に基づいて第1のデジタル出力コードを生成することと、
前記第1のアナログ‐デジタルコンバータによって、サンプリングされた電圧に基づいて第2のデジタル出力コードを生成することと、
前記第1のデジタル出力コードを前記デジタル入力コードに関連してルックアップテーブルに格納することと、
を含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の較正方法であって、前記較正電圧及び前記サンプリングされた電圧のうちの1つを前記アナログ‐デジタルコンバータに選択的に送信するように第1のマルチプレクサを用いることを更に含む、較正方法。
【請求項16】
請求項15に記載の較正方法であって、前記デジタル入力コードを前記デジタルアナログコンバータに送信することと、前記デジタル入力コードが前記デジタルアナログコンバータに送信される一方で、前記較正電圧を前記アナログ‐デジタルコンバータに送信することとを更に含み、較正方法
【請求項17】
請求項16に記載の較正方法であって、第2のアナログ‐デジタルコンバータに、前記デジタルアナログコンバータから前記較正電圧を受け取らせ、前記較正電圧及び前記サンプリングされた電圧に基づいてデジタル出力コードを生成させることを更に含む、較正方法。
【請求項18】
請求項14に記載の較正方法であって、前記アナログ‐デジタルコンバータが、電圧を遅延信号に変換するための回路を含み、前記第1及び第2のデジタル出力コードが前記遅延信号に基づいて生成される、較正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アナログ‐デジタル(A/D)コンバータ(ADC)は、アナログ信号を表すデジタルコードを生成するために用いられ得る。無線周波数サンプリングレシーバにおいて信号をデジタル化するためのアナログ‐デジタルコンバータは、高速で動作することが必要とされ得る。アナログ‐デジタルコンバータは、米国特許出願公開番号2012/0212358(Shiら)、2015/0244386(El-Chammas)、2019/0007071(Nagarajanら)、及び2019/0280703(Naruら)に記載されている。
【特許文献1】米国特許出願公開番号 2012/0212358
【特許文献2】米国特許出願公開番号 2015/0244386
【特許文献3】米国特許出願公開番号 2019/0007071
【特許文献4】米国特許出願公開番号 2019/0280703
【0002】
幾つかのアナログ‐デジタルコンバータは、一つ又は複数の電圧‐遅延(V2D)構成要素を有し、少なくとも部分的に、遅延ドメインにおいて動作する。遅延ベースのアナログ‐デジタルコンバータは、米国特許出願番号16/217,643(Soundararajanら、2018年12月12日出願)(米国公開番号2020/0195268(2020年6月18日))、16/410,698(Dusadら、2019年5月13日出願)(米国特許第10,673,456号(2020年6月2日))、及び16/517,796(Pentakotaら、2019年7月22日出願)(米国特許第10,673,453号(2020年6月20日))に記載されている。米国特許出願番号16/217,643、16/410,698及び16/517,796全体が参照として本明細書にとして組み込まれる。更に、下の表1に識別される5件の米国特許出願の開示全体が参照として本明細書に組み込まれる。遅延ベースのアナログ‐デジタルコンバータは、所望される場合、面積及び電力要件が低減され高速で動作され得る。
【特許文献5】米国特許出願番号 16/217,643
【特許文献6】米国特許出願番号16/410,698
【特許文献7】米国特許出願番号16/517,796
【表1】
【発明の概要】
【0003】
本記載はアナログ‐デジタルコンバータシステムに関し、特に、デジタル入力コードに基づいて較正電圧を生成するためのデジタルアナログコンバータと、デジタルアナログコンバータに接続され、デジタルアナログコンバータから較正電圧を受け取り、サンプリングされた電圧を受け取り、較正電圧に基づいてデジタル出力コードを生成し、サンプリングされた電圧に基づいてデジタル出力コードを生成するためのアナログ‐デジタルコンバータとを有するアナログ‐デジタルコンバータシステムに関する。
【0004】
本記載はまた、ルックアップテーブルベースのアナログ‐デジタルコンバータシステムに関し、特に、デジタル入力コードに基づいて較正電圧を生成するためのデジタルアナログコンバータと、デジタルアナログコンバータに接続され、較正電圧を受け取り、サンプリングされた電圧を受け取り、較正電圧に基づいて第1のデジタル出力コードを生成し、サンプリングされた電圧に基づいて第2のデジタル出力コードを生成するためのアナログ‐デジタルコンバータと、アナログ‐デジタルコンバータに接続され、第1のデジタル出力コードをデジタル入力コードに関連して格納するためのルックアップテーブルとを有するルックアップテーブルベースのアナログ‐デジタルコンバータシステムに関する。
【0005】
本記載はまた、アナログ‐デジタルコンバータシステムを較正する方法に関する。この方法は、デジタルアナログコンバータに、デジタル入力コードに基づいて較正電圧を生成させることと、アナログ‐デジタルコンバータに、デジタルアナログコンバータから較正電圧を受け取らせ、較正電圧に基づいて第1のデジタル出力コードを生成させ、サンプリングされた電圧に基づいて第2のデジタル出力コードを生成させることと、第1のデジタル出力コードをデジタル入力コードに関連してルックアップテーブルに格納することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】遅延ベースのアナログ‐デジタルコンバータシステムのブロック図である。
【0007】
図2図1のアナログ‐デジタルコンバータシステムのルックアップテーブルのポピュレート及び使用方法の図である。
【0008】
図3図1のアナログ‐デジタルコンバータシステムのブロック図であり、並列に配置された2つのアナログ‐デジタルコンバータ及び2つのルックアップテーブルを示す。
【0009】
図4図1のアナログ‐デジタルコンバータシステムのブロック図であり、並列に配置された3つのアナログ‐デジタルコンバータを示す。
【0010】
図5図1のアナログ‐デジタルコンバータのバックエンドのブロック図である。
【0011】
図6図5に示されるマルチビット段をシングルビット段の最初の1つに接続するための結合器のブロック図である。
【0012】
図7図5のバックエンドの、それぞれ、ANDゲート及び遅延比較器によって生成されるANDゲート遅延及び比較器遅延を示すグラフであり、ANDゲート遅延及び比較器遅延は入力信号遅延の関数である。
【0013】
図8】出力信号遅延を図7の入力信号遅延の関数として示すグラフである。
【0014】
図9図5のバックエンドのためのサインアウト回路及び遅延アウト回路に併合された比較器回路の一例の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本記載に従って構築されたアナログ‐デジタルコンバータシステム10を示す。システム10は、入力ライン16上で、サンプリングされた電圧VINを受け取るためのアナログマルチプレクサであり得る少なくとも第1及び第2のマルチプレクサ12及び14と、ライン17上で第1のマルチプレクサ12からの出力電圧Vを受け取るためのアナログ‐デジタルコンバータ18と、ルックアップテーブル(LUT)20とを有する。これ以降に更に詳細に説明するように、ルックアップテーブル20は、デジタルメモリ回路で構築され得、メモリ/デジタルプロセッサシステム300(図4)の一つ又は複数の部分を構成し得る。ルックアップテーブル20は較正モードでポピュレートされる。ポピュレートされたテーブル20は、その後、アナログ‐デジタル変換(又はミッション)モードで情報リソースとして用いられる。
【0016】
アナログ‐デジタルコンバータシステム10はまた、第3のマルチプレクサ22(図1)を有し、第3のマルチプレクサ22は、ライン24上でアナログ‐デジタルコンバータ18からデジタルコードを受け取り、そのデジタルコードをルックアップテーブル20に適用するためのデジタルマルチプレクサであり得る。これ以降に更に詳細に説明するように、第3のマルチプレクサ22は、それぞれ、読み出し及び書き込み経路26及び28上で較正モード及びアナログ‐デジタル変換(又はミッション)モードで動作する。第1及び第2のマルチプレクサ12及び14及び第3のマルチプレクサ22は、較正コントローラ30によって動作される。デジタルアナログ(D/A)コンバータ(DAC)32もまた、較正コントローラ30によって動作される。デジタルアナログコンバータ32は、較正電圧VDACをライン34上で第1及び第2のマルチプレクサ12及び14に印加する。較正電圧VDACは、ライン36上で較正コントローラ30によってデジタルアナログコンバータ32(図1)に適用されるデジタル入力コード100(図2)に基づいてデジタルアナログコンバータ32によって生成される。
【0017】
第1のマルチプレクサ12、アナログ‐デジタルコンバータ18、及び第3のマルチプレクサ22は、較正モード及びアナログ‐デジタル変換モードで、共に動作され得る。較正モードにおいて、較正コントローラ30は、ライン36(図1)上に一連の2N(2)デジタルコード100(図2)を発行して、デジタルアナログコンバータ32に、対応する一連の2Nの異なる電圧VDAC=Vr/(2N)をライン34上に印加させる。ここで、Vrは、ライン16上でサンプリングされ入力されるよう予期されるサンプリングされた電圧VINの最低値から最高値の入力範囲であり、Nビットは第1のアナログ‐デジタルコンバータ18の分解能である。従って、例えば、VINが0Vから5Vの範囲内にあると予期される場合、Vrは5V付近の値である。
【0018】
較正モードでは、図2において例(N=9)として示されているように、較正コントローラ30(図1)は、ライン36上に一連の29=512の入力コード100(図2)を発行して、デジタルアナログコンバータ32(図1)に、対応する較正電圧VDACを生成させる。較正電圧VDACは、第1のマルチプレクサ12によって、ライン17上で、出力電圧Vとして第1のアナログ‐デジタルコンバータ18に送信される。第1のアナログ‐デジタルコンバータ18は、較正電圧VDAC(V)を、N+nビットの対応する出力コード102(図2)に変換する。ルックアップテーブルをポピュレートするために、出力コード102は、第3のマルチプレクサ22(図1)及び書き込み経路26を介してルックアップテーブル20に記録される。
【0019】
図2に示される例では、第1のアナログ‐デジタルコンバータ18の非線形性に適応するためにN+n>N(即ち、n>0)である。図示された例において、アナログ‐デジタルコンバータ18によって出力され得る可能な出力コード102の総数(N+n)は、ルックアップテーブル20内に格納されている入力コード100の実際の数(N)よりも大きくなければならない。その理由は、動作において、アナログ‐デジタルコンバータ18によって生成される出力コードとライン36上で送信される対応する入力コードとの関係が、線形になることが予期されないからである。図示された例において、N=9、2=512であり、ルックアップテーブル20に格納される入力コード100は、0から511までの範囲であり、各入力コード100の最下位ビット(LSB)はライン17上の1ミリボルト(mv)を表し、一方、N+n=11、211=2048であり、アナログ‐デジタルコンバータ18によって出力され得る異なるコード102の総数は、0から2047の範囲である。
【0020】
ルックアップテーブル20では、較正モードにおいて、アナログ‐デジタルコンバータ18によって実際に生成される2N出力コード102は、較正コントローラ30によってデジタルアナログコンバータ32に送信される2N入力コード100と相関される。入力コード100から、記録された出力コード102までの経験的に開発された伝達関数104(図2)は非線形であるが、単調であり、各入力コード100に対して一意である。図示された例において、伝達関数104は、較正モードにおいて、デジタルアナログコンバータ32に異なる入力コード100が入力されることに応答して、アナログ‐デジタルコンバータ18の出力を観察することによって経験的に確立される。また、ルックアップテーブル20をポピュレートする図示された方法は、特定の入力コードの値(例えば、5)を出力コードの値(例えば、14)にマッピングすることが、前の入力コードの値(例えば、4)に依存しないという意味においてメモリレスである。所望される場合、出力コードの各取り込みは、アナログ‐デジタルコンバータ18から複数のコードを取り込み、それらのコードを平均化して、マッピングの前にノイズを除去することを含み得る。
【0021】
図2にも例として図示されているアナログ‐デジタル変換(又はミッション)モードにおいて、第1のマルチプレクサ12(図1)は、サンプリングされた電圧VINをライン16上で受け取る。第1のマルチプレクサ12は、較正コントローラ30の制御下で、サンプリングされた電圧VIN(V)をアナログ‐デジタルコントローラ18に出力し、アナログ‐デジタルコントローラ18は、対応するコードを第3のマルチプレクサ22に出力する。較正コントローラ30は、第3のマルチプレクサ22に、読み出し経路28を介してコードをルックアップテーブル20に適用させる。
【0022】
未知のサンプリングされた電圧VIN(V)各々について、アナログ‐デジタルコンバータ18のN+nビット出力がルックアップテーブル20内で検索され、その較正された値(Nビットの入力コードにおける)がライン50上に出力される。図2に基づいて、未知の電圧VIN(V)がアナログ‐デジタルコンバータ18に37ユニット(例えば)に対するコードを出力させる場合、10ユニットに対するコードを出力ライン50上に出力するようにルックアップテーブル20が用いられる。図示された例では、ミッションモードにおいて、対応する出力コードがアナログ‐デジタルコンバータ18によって出力されるコードに最も近い格納された入力コードを選択するためにルックアップテーブル20が用いられるが、アナログ‐デジタルコンバータ18によって出力されるコードが、2つの格納された出力コード間の等距離にある場合は、ルックアップテーブル20が用いられて、その格納された出力コードが2つの格納された出力コードのうちの小さい方である格納された入力コードを選択する。従って、図2に図示された例では、37は、34と40との間で等距離であり、34は40より小さいので、選択された格納された入力コードは34である。
【0023】
具体的な図示例は、較正コントローラ30が較正モードにおいて10ユニットに対して入力コード100を発行したとき、デジタルアナログコンバータ32が10ユニットの電圧VDAC(V)を印加し、その電圧が、アナログ‐デジタルコンバータ18によって、34ユニットに対する出力コード102に変換され、出力コード100(34ユニット)が10ユニットに対する入力コード102に相関されてルックアップテーブル20内に記録された状況を指す。言い換えると、システム10が較正されたとき、10ユニットの入力コードと34ユニットの出力コードとの間の相関が観察され、観察された出力コード(34ユニット)が入力コード(10ユニット)に関連付けられてルックアップテーブル20に格納されている。伝達関数104は較正に基づき、ルックアップテーブル20内に格納された相関関係は、実験(即ち、観察)によって作成される。しかしながら、本記載は、図示された例に限定されない。
【0024】
図示された構成において、デジタルアナログコンバータ32は、アナログ‐デジタルコンバータ18の入力範囲Vrを網羅する較正電圧VDACを生成するために用いられる。較正モードにおいて、デジタルアナログコンバータ32の線形出力VDACは、アナログ‐デジタルコンバータ18に入力される。そのような入力コード100の各々に対して、Vr/(2N)の段階的な間隔で、N+nビットの出力コード102がアナログ‐デジタルコンバータ18によって出力される。ルックアップテーブル20はデジタル状回路のメモリ要素を含み得る。図示された例では、較正モードにおけるライン24、28上の出力コード102は、ルックアップテーブル20のメモリ要素に格納される。
【0025】
従って、較正モードの間、アナログ‐デジタルコンバータ18(回路ブロック)の非線形の入力‐出力特性は既知の入力コード100を用いて取得される。ルックアップテーブル20がポピュレートされる較正プロセスは、定期的であるが長い間隔で実施される比較的時間がかかるプロセスであり得る。その後、アナログ‐デジタル変換モードの間、未知のサンプリングされた電圧VINに対して、システム10は、出力コード102をサンプリングされた電圧VINにデジタル的にマッピングする。アナログ‐デジタルコンバータ18によって実施される非線形処理は、高速で実施され得、その間、非線形ブロックの出力コードは、較正モードにおいて取得されたブロックの伝達関数104(図2)の反転を介して渡され、線形出力(例えば、ライン50上に出力されたコード)を取得する。図示された構成において、較正プロセス及びアナログ‐デジタル変換プロセスは、複雑な算術的関数又はかなりの空間と電力を必要とするハードウェアを用いずに有利に実施され得る。
【0026】
所望される場合、アナログ‐デジタルコンバータ18は、例として、図5図9に関連して説明されるように、図示のように構築され得る。アナログ‐デジタルコンバータ18は、2ビットのデジタル情報を生成するために並列に動作される、遅延回路及び遅延比較器を有し得る。マルチビット段からの遅延の残りは、結合器によって結合され得、一連のシングルビット段に適用され得る。所望される場合、第1、第2、及び第3~第iのシングルビット段は、連続する段で構築及び動作され得、デジタル情報のそれぞれのビットをルックアップテーブル20に提供する。これ以降に説明されるシステムにおいて用いられるタイプの時間ベースのユニットを設計し、時間ベースのユニットを高速で動作させることは可能であるが、それらは、本質的に非線形である。図5図9に関連してこれ以降に説明される遅延ベースの信号処理の例において、各段において渡される残りは単調であるが、非線形である。
【0027】
ここで図3及び図4を参照すると、アナログ‐デジタルコンバータシステム10は、2、3、4、又はそれ以上のチャネルを有し得る。図3には2つのチャネルが示されている。図4には3つのチャネルが示されている。図3に示されるように、第2のチャネルは、第2のアナログ‐デジタルコンバータ110、第2のルックアップテーブル112、及び結合器回路114を有する。第2のアナログ‐デジタルコンバータ110は、両方ともほぼ同じ構成に配置された本質的に同じ構成要素からできているという意味で、第1のアナログ‐デジタルコンバータ18と本質的に同じである。それにもかかわらず、製造における差によって、2つのアナログ‐デジタルコンバータ18及び110は異なる伝達関数104を有し得、その結果、これら2つの機器18及び110を個別に較正することが望ましい場合がある。図1に示される第3のマルチプレクサ22と同様の第4のマルチプレクサが、第2のアナログ‐デジタルコンバータ110と第2のルックアップテーブル112との間に配置される。第3及び第4のマルチプレクサ22は、本質的に同じように構築及び動作され得、図を明確にするために図3には示されていない。
【0028】
図3は、第1のチャネルが較正モードで動作され、第2のチャネルがアナログ‐デジタル変換モードで動作されていることを示している。従って、第1のマルチプレクサ12は、(MUX12出力、Vを介して)較正電圧VDACを第1のアナログ‐デジタルコンバータ18に送信して第1のルックアップテーブル20をポピュレートするところを示され、一方、第2のマルチプレクサ14は、(MUX14出力、Vを介して)サンプリングされた電圧VINvを第2のアナログ‐デジタルコンバータ110に送信して出力コードを生成し、その出力コードが、第2のアナログ‐デジタルコンバータ110のための第2のルックアップテーブル112に記録された伝達関数の反転を受けて、較正されたコードを生成し、その較正されたコードが結合器回路114を介して、ライン50に出力されるところを図示されている。
【0029】
所望される場合、アナログ‐デジタルコンバータシステム10は、第1のチャネルがアナログ‐デジタル変換モードで動作される間に、第2のチャネルが較正モードで動作され得る。その場合、第2のマルチプレクサ14は、較正電圧VDAC(V)を第2のアナログ‐デジタルコンバータ110に送信して、第2のルックアップテーブル112をポピュレートし、一方、第1のマルチプレクサ12は、サンプリングされた電圧VIN(V)を第1のアナログ‐デジタルコンバータ18に送信して出力コードを生成し、その出力コードが、第1のルックアップテーブル20に記録された伝達関数の反転を受けて、較正されたコードを生成し、そのコードが結合器回路114を介してライン50上に出力される。図示された構成において、結合器回路114は、較正コントローラ30の制御下で選択的に動作される
【0030】
図4を参照すると、第3のチャネルには、第3のアナログ‐デジタルコンバータ200及び第5のマルチプレクサ202が備えられ得、第5のマルチプレクサ202はデジタルマルチプレクサである。3つのチャネルの各々において、バッファ204、206、及び208は、それぞれのマルチプレクサ12、14、及び202とそれぞれのアナログ‐デジタルコンバータ18、110、及び200との間に配置される。図を明確にするために、バッファ204、206、及び208は、図1及び図3には示されていない。同様に、3つのアナログ‐デジタルコンバータ18、110、及び200とメモリ/デジタルプロセッサシステム300との間に適切なデジタルマルチプレクサが配置され得る。第1及び第2のチャネルに対するルックアップテーブル20及び112は、第3のチャネルに対する同様のルックアップテーブルと同様に、メモリ/デジタルプロセッサシステム300の一部である。3つのルックアップテーブルの各々は、第1のチャネルのルックアップテーブル20に関連して上述したように動作する。
【0031】
図4に示されるように、第2のサンプリングされた電圧VIN2(2)が、第2及び第3のチャネルのマルチプレクサ14及び202に印加され、第1のサンプリングされた電圧VIN(1)は、第1及び第2のチャネルのマルチプレクサ12及び14に印加され、較正電圧VDAC(D)は3つのチャネル全てのマルチプレクサ12、14、及び202に印加される。所望される場合、アナログ‐デジタルコンバータシステム10は、それぞれ、第1及び第4のマルチプレクサ12及び202に印加される第3及び第4のサンプリングされた電圧(0)及び(3)を受け取り処理するように構成され得る。3つのチャネル及びデジタルアナログコンバータ32は全て、較正コントローラ30の制御下で動作され、較正コントローラ30は、明確にするために図4には示されていない。
【0032】
従って、所望される場合、アナログ‐デジタルコンバータシステム10のチャネルの内の一つが較正され得、その間、他のチャネルの一つ又は複数がアナログ‐デジタル変換に用いられる。マルチチャネル構成は比較的簡単に拡張できるという利点を有する。図示された構成において、単一のデジタルアナログコンバータ32のみを用いてチャネルの全てが較正され得、システム毎のチャネル数は、高線形性ブロックにおける比例的増加なしに、増加され得、従って、電力及び面積が節約され得る。また、異なるチャネル間の要件を一致させる必要がない。図示された構成において、各アナログ‐デジタルコンバータ18、100、及び200は、独立して較正され得、それによって、バックグラウンド推定及び較正アルゴリズムに対する要件を軽減又は排除する。
【0033】
本記載の別の態様に従って、非線形アナログ‐デジタルコンバータがミッションモードから出られない場合、同じタイプの補助アナログ‐デジタルコンバータがラウンドロビン方式で用いられ得る。すなわち、第1のアナログ‐デジタルコンバータが較正位相にある間、他のアナログ‐デジタルコンバータがミッションモードで動作し、その逆も同様である。本記載のこの態様において、入力及びデジタルアナログコンバータ出力は第1のアナログ‐デジタルコンバータ及び補助アナログ‐デジタルコンバータに多重化される。
【0034】
所望される場合、本明細書で説明されるデバイス及びシステムの要素の幾つか又は全てが、集積回路(IC)内に集積され得るか又は種々の半導体及び/又は他のプロセスに従って単一の半導体ダイ(図には示されていない)上又はその上に形成され得る。導電線は、半導体ダイの上の絶縁層に形成された金属構造、半導体ダイに形成されたドープされた領域(シリサイド化され得る)、又は半導体ダイの上に形成されたドープされた半導体構造(シリサイド化され得る)であり得る。幾つかの例の回路構造を実装するために用いられるトランジスタは、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)又は金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)であり得、n型又はp型であり得る。集積デバイス及び要素は、抵抗器、キャパシタ、論理ゲート、及び明確にするために図示されていない他の適切な電子デバイスも含み得る。
【0035】
アナログ‐デジタルシステム10は、良好な信号対雑音比(SNR)を有し得、高速で動作し、下位技術ノードと共に機能し得る。本記載の一態様に従うと、高度に非線形な遅延ベースの構成要素(例えば、図5に示されたタイプ)を有するが、面積及び電力要件が緩和され、高速で動作し、技術ノードを用いて良好に拡張可能である線形アナログ‐デジタルコンバータシステムを提供することにより利点が達成される。要約すると、本記載は、デジタル回路に動作可能に接続された本質的に非線形のアナログブロックを用いる、高度に線形の高速アナログ‐デジタルコンバータシステム10を提供するために用いられ得る。
【0036】
スケーラビリティの点では、デジタル集積回路の性能は、CMOSスケーリングとともに大きく向上したが、これはアナログ集積回路に対して適用可能ではなかった。本記載に従って、CMOSスケーリングは、時間ドメイン(又は遅延ドメイン)信号処理を用いることにより、アナログ集積回路における性能を改善するために用いられ得る。従って、時間‐デジタルコンバータ(TDC)を用いるアナログ‐デジタルコンバータシステムが有利である。時間‐デジタルコンバータは、本質的に非線形であり得るが、メモリレス及び単調になるように設計され得、重要なフィードバックループを必要としないので、非常に高速で、非常に優れたビットエラー率(BER)性能を有し得る。これらの有利な特性は、所望される場合、メモリレスデバイスを用いて、図5図9に図示されるような、アナログ‐デジタルコンバータ18のバックエンドを構築することによって達成され得る。上記で示されたように、本記載の一態様に従うと、特定の入力コードの値(例えば、5)を出力コードの値(例えば、14)にマッピングすることは、前の入力コードの値(例えば、4)に依存しない。また、アナログ‐デジタルコンバータ18のバックエンドは、較正の間、入力コード(ライン36上)が増加するたびに、対応する出力コード(ライン24上)もまた増加するように構築され得るが、必ずしも線形である必要はない。
【0037】
本記載は多くの利点を提供する。そのような利点の一つは、結合された制約を切り離す機能である。特に、効果的に高速で線形のアナログ‐デジタルコンバータシステムは、少なくとも次の3つの構成要素、即ち、(1)線形で低速のデジタルアナログコンバータ32、(2)高速アナログブロックで形成された一つ又は複数の非線形デジタルアナログコンバータ18、110、及び200、及び(3)一つ又は複数の高速デジタル状ルックアップテーブル20及び112を有するメモリ/デジタル処理システム300を組み合わせることによって構築され得る。
【0038】
本明細書に説明されるアーキテクチャを用いると、高い線形性要件が、アナログ‐デジタルコンバータ18、110、及び200の代わりにデジタルアナログコンバータ32に渡され得る。これは、線形性及び精度を備えた低速で動作するアナログ回路を設計及び実装するのは比較的難しくないため利点となる。本記載に従って、一つ又は複数のアナログ‐デジタルコンバータ18、110、及び200は、線形性を妥協することによって高速で動作するように設計され得る。しかしながら、アナログ‐デジタルコンバータ18、110、及び200は、ルックアップテーブル20及び112と結合して、線形アナログ‐デジタルコンバータのように動作し得る。同様に、メモリ20及び122は、デジタル回路内に実装され、高速用に構成され得る。
【0039】
外部アナログ信号を高速デジタル処理コアにインタフェースすることは、概して、アナログ‐デジタルコンバータを必要とする。データ伝送の高速化に伴い、良好な信号対雑音比を備えて非常に高速で動作するために、アナログ‐デジタルコンバータが必要とされ得る。本記載の利点がなければ、そのような制約は、サポートする集積回路に対して大きな電力損失及び大きな面積の必要性をもたらし得る。これらの問題は、性能を制限し得るアナログの非理想性のために、Ghzのレートで特に顕著になり得る。本記載は、ルックアップテーブルベースのアナログ‐デジタルコンバータアプローチを提供することで、本質的に非線形であるが、高度に線形のアナログ‐デジタルコンバータの優れた性能を提供するように較正され得る一つ又は複数のアナログ‐デジタルコンバータを用いて、幅広いアーキテクチャを開き得る。
【0040】
図1に示されるアナログ‐デジタルコンバータ18は、フロントエンド及びバックエンドを有し得る。フロントエンドは電圧‐遅延機能を実施し得る。バックエンドは、遅延‐デジタル機能を実施し得る。本記載の一態様に従って、アナログ‐デジタルコンバータ18のフロントエンドは、ライン17上のアナログ信号をライン488及び490(図5)上の遅延信号A及びBに変換するための一つ又は複数の電圧‐遅延デバイスを含み得、遅延信号A及びBがライン17上の電圧Vを表すようにする。入力電圧Vに基づいて、遅延信号A及びBを生成するために用いられ得るフロントエンドの電圧‐遅延デバイスは、例えば、米国特許第10,673,456号(米国特許出願番号16/410,698に基づく)に記載されるように構築及び動作され得る。電圧‐遅延デバイスは、例えば、米国特許第10,673,456号に記載される変換及び折り畳み回路を含み得、これは、電圧信号を遅延信号に変換するためのプリアンプを含む電圧‐遅延コンバータブロックと、遅延信号のうち早く到着するものと遅く到着するものとを選択するためのプリアンプに結合された論理ゲートを含む折り畳みブロックとを含む。
【0041】
アナログ‐デジタルコンバータ18のフロントエンド内で用いられ得、入力電圧Vに基づいて遅延信号A及びBを生成するために用いられ得る電圧‐遅延デバイスの例が、2020年12月23日出願の米国特許出願番号17/131,981に示されている。米国特許出願番号17/131,981に従って構築された電圧‐遅延デバイスが、例えば、入力電圧Vを表す相補電圧を搬送する第1及び第2のラインに接続された第1及び第2の比較器を有し得、相補電圧が適切な閾値電圧に到達すると、アクティブ位相の間に、第1及び第2の出力信号を生成して、出力信号間の遅延が入力電圧Vを表すようにする。しかしながら、本記載は、本明細書内で詳細に説明されるデバイス及びプロセスに限定されない。他の適切なデバイスが、アナログ‐デジタルコンバータ18のフロントエンド内で適切な電圧‐遅延機能を実施し得る。上述のように、米国特許第10,673,456号及び米国特許出願番号17/131,981は、全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【特許文献8】米国特許出願番号 17/131,981
【0042】
アナログ‐デジタルコンバータのバックエンドの一例が、例として図5図9に示されている。バックエンドは、例えば、マルチビット段798と、マルチビット段798に直列に接続された第1から第iのシングルビット段7102及び7104とを有し得る。所望される場合、バックエンドは、そのようなシングルビット段を3つ、4つ、又はそれ以上(i=3、4、又はそれ以上)を有し得る。図5に示されたシングルビット段7102及び7104は、連続する非線形段の例である。バックエンドは、フロントエンドの電圧‐遅延回路から遅延信号A及びBを受信する。遅延信号A及びBのタイミングはライン17上の電圧Vを表す遅延を有する。バックエンドは、較正エンジン/コントローラ740とともに機能し、ライン24(図1)上に出力される対応するマルチビットデジタルコードを生成する。従って、ライン24上のデジタルコードは、ライン17上の電圧Vに非常に近い値に予想可能に対応する。
【0043】
マルチビット段798(図5)は、ライン330、332、334、及び336上にMビットのデジタル情報を生成するために並列に動作する、遅延回路及び遅延比較器を有し得る。図示された例において、M=2である。しかしながら、Mは2よりも大きく成り得る。本記載は図示された例に限定されない。マルチビット段798からの遅延の残りは、結合器304によって結合され得、第1のシングルビット段7102に適用され得る。所望される場合、第1~第iのシングルビット段7102及び7104は、デジタル情報のそれぞれのビットを較正エンジン/コントローラ740に提供するように、連続する段として構築され、動作され得る。
【0044】
第1の段798は、例えば、4つの遅延比較器306、308、310、及び312を有し得、結合器304に接続される。しかしながら、本記載は、示された例の詳細に限定されない。本記載は、所望される場合、4より少ない又は多い遅延比較器を有し得る第1の段を用いて実装され得る。図に示される構成において、第1の段798は、較正エンジン/コントローラ740のための2ビットのデジタル情報を生成する。図示された実施例において、連続する段7102及び7104の各々が、較正エンジン/コントローラ740のためのシングルビットのデジタル情報を生成する。
【0045】
図示された例において、ライン490上の信号Bの立ち上がりエッジは、ライン488上の信号Aの立ち上がりエッジに先行する。第1の信号Aは遅延比較器306、308、310、及び312の閾値入力494に印加される。図示された構成において、一例として、遅延比較器306、308、310、及び312は互いに本質的に同一である。第2の信号Bは、4つの異なる遅延回路314、316、318、及び320に印加され、遅延回路314、316、318、及び320は、それぞれのライン322、324、326、及び328上に4つの対応する信号B04、B03、B02、及びB01を生成する。
【0046】
対応する信号B04、B03、B02、及びB01のタイミングは、ライン490上の信号Bのタイミングに対して、フロントエンドの最大利得に等しいかそれよりも小さい異なる既知の量だけ遅延される。遅延された信号B04、B03、B02、及びB01は、それぞれの遅延比較器306、308、310、及び312の第1の入力492に印加される。第1の遅延比較器306は、どの信号(B04又はA)が第1の遅延比較器306に最初に到達するかを表す符号信号をライン330上に発行する。同様に、第2の遅延比較器308は、どの信号(B03又はA)が第2の遅延比較器308に最初に到達するかを表す符号信号をライン332上に発行する。同様に、第3及び第4の遅延比較器310及び312は、どの信号が第3及び第4の遅延比較器310及び312に最初に到達するかを表す符号信号をライン334及び336上に発行する。
【0047】
遅延回路314、316、318、及び320が互いに異なるため、遅延された信号B04、B03、B02、及びB01の立ち上がりエッジのタイミングは互いに異なる。遅延比較器306、308、310、及び312の各々は、較正エンジン/コントローラ740へのそれぞれのデジタルライン330、332、334、及び336上に、符号信号を発行する。ライン330、332、334、及び336上の符号信号は、入力信号A及びBの立ち上がりエッジ間における差に機能的に関連し、従って、ライン17上の電圧Vに機能的に関連する。
【0048】
4つの遅延比較器306、308、310、及び312によって提供される遅延の量は互いに異なるので、符号信号330、332、334、及び336は、出力の2ビットを判定するための4つのバイナリデータポイントを提供する。例えば、BがAに先行し、B01がAに先行する場合、較正エンジン/コントローラ740は、信号AとBのタイミング間の遅延は4つの遅延回路320によってもたらされる遅延よりも大きいと判定する。同様に、BがAに先行し、AがB02、B03、及びB04に先行する場合、較正エンジン/コントローラ740は、信号AとBのタイミング間の遅延は、第3、第2、及び第1の遅延回路318、316、及び314によってもたらされる遅延の各々よりも小さいと判定する。
【0049】
所望される場合、遅延比較器306、308、310、及び312の構造及び動作は、これ以降に説明される遅延比較器482のそれらと同じであり得る。動作において、遅延比較器306、308、310、及び312は、それぞれの出力ライン338、340、342、及び344上にそれぞれの遅延信号IN、IN、IN、及びINを生成する。遅延信号IN、IN、IN、及びINは出力ライン338、340、342、及び344によって結合器304に印加される。図示された構成において、遅延回路314、316、318、及び320は、互いに異なり、遅延の量の差をもたらし、一方、遅延比較器306、308、310、及び312は本質的に同じである。従って、遅延信号IN、IN、IN、及びINの立ち上がりエッジのタイミングは、互いに異なる。
【0050】
図6に示された例において、結合器304は、2つの第5の遅延回路350及び352、2つのANDゲート354及び356、及び第6の遅延回路358を有する。図示された構成において、第5の遅延回路350及び352は互いに本質的に同じである。しかしながら、本記載は、本明細書に図示され説明される構造の詳細に限定されない。第3及び第4の遅延信号IN及びINは導電線342及び344上で第5の遅延回路350及び352に印加され、第1及び第2の遅延信号IN及びINは導電線338及び340上でANDゲート354及び356に印加される。第5の遅延回路350及び352からの出力信号もまた、それぞれ、導電線362及び364上でANDゲート354及び356に印加される。一方のANDゲート356からの出力信号は、導電線360上で第6の遅延回路358に印加され、他方のANDゲート354は導電線488A1上に信号Aを生成する。第6の遅延回路358は、導電線490B1上に信号Bを生成する。
【0051】
動作において、第5及び第6の遅延回路350、352、及び358から導電線362、364、及び490上に出力される信号の立ち上がりエッジのタイミングは、遅延回路350、352、及び358に入力される信号の立ち上がりエッジのそれぞれのタイミングに対して遅延される。ライン488A1及び360上のANDゲート354及び356から出力される信号の立ち上がりエッジのタイミングは、ANDゲート354及び356に入力される信号の遅く到着するそれぞれのタイミングに対応する。ライン488A1及び490B1上の信号A及びBの立ち上がりエッジの相対的なタイミングは、ライン17(図1)上の電圧V1に機能的に(例えば、予測可能に)関連する。言い換えると、遅延回路350、352、及び358、及び論理ゲート354及び356は、入来信号IN、IN、IN、及びINの遅延と、第1及び第2の信号A及びBの遅延との間に伝達関数を確立する。
【0052】
図示された構成の場合、伝達関数は次のようになる。[A]ライン338上の信号のタイミングが、ライン362上の信号のタイミングに先行する(ライン362上の信号のタイミングが第5の遅延回路350によって遅延されたライン342上の信号のタイミングに対応する)場合、ライン488A1上の信号のタイミングがライン362上の信号のタイミングに対応するが、ライン362上の信号のタイミングがライン338上の信号のタイミングに先行する場合、ライン488A1上の信号のタイミングはライン338上の信号のタイミングに対応する。[B]ライン340上の信号のタイミングがライン364上の信号のタイミングに先行する(ライン364上の信号のタイミングが第5の遅延回路352によって遅延されたライン344上の信号のタイミングに対応する)場合、ライン360上の信号のタイミングがライン364上の信号のタイミングに対応するが、ライン364上の信号のタイミングがライン340上の信号のタイミングに先行する場合、ライン360上の信号のタイミングがライン340上の信号のタイミングに対応する。[C]ライン490B1上の信号のタイミングが、第6の遅延回路358によって遅延されたライン360上の信号のタイミングに対応する。
【0053】
遅延要素350、352、及び358がそれらを介して送信される信号を遅延させる量は、第1及び第2の信号A及びBの利得を可能な限り最大化又は改善するように選択され得る。結合器304は、利得が(電圧ではなく)遅延に関連する遅延モードで動作する。第1及び第2の信号A及びBの利得が低すぎる場合、即ち、第1及び第2の信号A及びBが互いに近すぎる場合、これらの信号の相対的なタイミングによって表される情報は分解するのが困難になり得る。
【0054】
本記載の一つの態様は、ライン488A1及び490B1上の信号のタイミングが、ライン338、340、342、及び344上の信号のタイミングと機能的に(例えば、予測可能に)関連することである。ライン338、340、342、及び344上の信号タイミングの或るセットが、ライン488A1及び490B1上の信号タイミングの第1のセットとなる場合、ライン338、340、342、及び344上で同じセットの信号タイミングが発生するときは必ず、ライン488A1及び490B1上で同じ第1のセットの信号タイミングが発生することが予期され得る。同様に、ライン338、340、342、及び344上の信号タイミングの別のセットがライン488A1及び490B1上の信号タイミングの第2のセットとなる場合、ライン338、340、342、及び344上で別のセットの信号タイミングが発生するときは必ず、ライン488A1及び490B1上で同じ第2のセットの信号タイミングが発生することが予期され得る。また、ライン338、340、342、及び344上の信号のタイミングは電圧Vに機能的に(例えば、予測可能に)関連しているので、ライン488A1及び490B1上の信号のタイミングもまた電圧Vに機能的に関連する。
【0055】
図5を再び参照すると、結合器304によって生成された信号A及びBは出力ライン488A1及び490B1上の第2の段7102に印加される。第2の段(これは第1の残りの段である)7102は、(結合器304を介して)第1の段798に結合され、第iの段7104(これは図示された例において第2の残りの段である)は、第2の段7102に結合される。
【0056】
図示された例において、第2から第iの段7102及び7104は各々、ANDゲート(段7102のためのANDゲート476及び段7104のためのANDゲート478等)と、遅延比較器(段7102のための遅延比較器482及び段7104のための遅延比較器484等)とを含む。しかしながら、図示されたANDゲートは、本記載に従って採用され得る論理ゲートの単なる例である。所望される場合、本記載は、ANDゲートの有無及び/又はANDゲート以外のゲートの有無にかかわらず実装され得る。
【0057】
また、図示された構成において、ANDゲート476及び478は互いに本質的に同一であり得、遅延比較器482及び484は互いに本質的に同一であり得る。結合器304からの導電性出力ライン488A1及び490B1は、第1のANDゲート476及び遅延比較器482の入力に結合される。具体的には、導電線488A1は、遅延比較器482の第1の入力492に結合され、導電線490B1は遅延比較器482の閾値入力494に結合される。
【0058】
ANDゲート476からの出力ライン488A2が、ANDゲート478の入力の1つ及び遅延比較器484の入力492に電気的に結合される。第1の遅延比較器482からの導電線490B2がANDゲート478の入力の他の1つ及び遅延比較器484の閾値入力494に電気的に結合される。第2及び第3の段7102及び7104によって生成されるパターンは、任意の所望数の付加的段に対して継続し得る。連続する各段は、第2及び第3の段7102及び7104のANDゲート及び遅延比較器と本質的に同一のANDゲート及び遅延比較器を有し、同じように、先行する段のANDゲート及び遅延比較器に電気的に結合される。
【0059】
動作において、信号A及びB(それぞれ、段7102及び7104...に対してN=1、2、3...)がANDゲート476及び478のそれぞれに印加されて、ANDゲート476及び478に、対応する信号AN+1を生成させる。ANDゲート476及び478の各々について、信号AN+1の立ち上がりエッジのタイミングは、信号A及びBのうちの後で到着するものの立ち上がりエッジのタイミングを追跡する。特に、ANDゲート476及び478の各々について、信号AN+1の立ち上がりエッジのタイミングは、信号A及びBのうちの先に到着するものの立ち上がりエッジのタイミングに、信号A及びBのうちの後で到着するものの立ち上がりエッジが、信号A及びBのうちの先に到着するものの立ち上がりエッジからどの程度遅れるかに関連する時間の量を加算したものに等しい。図7に示されているように、それぞれのANDゲートによってもたらされたAND-ゲート遅延7100は、入力信号遅延T_INの絶対値に線形に関連し、入力信号遅延T_INは、それぞれのANDゲートに入力される信号AとBとの間のタイミングの差である。図示された構成において、ANDゲート遅延7100対入力信号遅延T_INの関係は、A又はBが先か後かに関係なく線形である。
【0060】
信号A及びBはまた、それぞれ、遅延比較器482及び484の入力492及び閾値入力494に印加されて、遅延比較器482及び484に、対応する信号BN+1を生成させる。遅延比較器482及び484の各々について、信号BN+1の立ち上がりエッジのタイミングは、信号A及びBのうちの先に到着したものの立ち上がりエッジのタイミングを追跡する。特に、遅延比較器482及び484の各々1つについて、信号BN+1の立ち上がりエッジのタイミングは、(1)信号A及びBのうちの先に到着したものの立ち上がりエッジのタイミングに(2)入力信号遅延T_INの絶対値に対数的に反比例する比較器遅延7102(図7)を加算したものに等しい(言い換えると、入力値が類似すると、比較器遅延は大きくなり、比較器に対する2つの入力間の差が大きくなると、比較器遅延は小さくなる)。
【0061】
比較器遅延7102からANDゲート遅延7100を減算すると、任意の所与のシングルビット段7102及び7104に対する出力信号遅延T_OUT(図8)が得られる。入力信号遅延T_INの絶対値が閾値遅延T_THRESよりも小さい場合、出力信号遅延T_OUTは正の値である(これは、それぞれの遅延比較器482及び484によって生成される信号BN+1の立ち上がりエッジがそれぞれのANDゲート476及び478によって生成される信号AN+1の立ち上がりエッジに先行することを意味する)。一方、入力信号遅延T_INの絶対値が閾値遅延T_THRESよりも大きい場合、出力信号遅延T_OUTは負の値である(これは、信号BN+1の立ち上がりエッジが、対応する信号AN+1の立ち上がりエッジよりも遅れることを意味する)。出力信号遅延T_OUTの正の又は負の特性は、後続の遅延比較器の信号ライン上で較正エンジン/コントローラ740に報告される。
【0062】
動作において、第1の遅延比較器482は、較正エンジン/コントローラ740へのデジタルライン408(デジタル出力の一例)上に第1の符号信号(「1」又は「0」)を発行する。第1の符号信号(本記載に従ったデジタル信号の一例)は、信号A及びBの立ち上がりエッジのどちらが第1の遅延比較器482によって最初に受信されるかに基づき、その結果、第1の符号信号は、遅延比較器482の第1の入力492及び閾値入力494に印加される信号A及びBの立ち上がりエッジの順序を反映する。ANDゲート476及び遅延比較器482は、第3の段104のANDゲート478及び遅延比較器484に印加される信号A及びBを生成する。遅延比較器484は、較正エンジン/コントローラ40への第2のデジタルライン412上に第2の符号信号(「1」又は「0」)を出力する。第2の符号信号は、信号A及びBの立ち上がりエッジのどちらが第2の遅延比較器484によって最初に受信されるかに基づき、その結果、第2の符号信号は、第2の遅延比較器484の入力492及び494に印加される信号A及びBの立ち上がりエッジの順序を反映する。
【0063】
信号AとBの間の遅延は、入力電圧Vの関数として予測され得、またその逆も同様であり、また、後続の段によって出力される信号AN+1とBN+1の間の遅延は、先行段から受信された信号A及びBの関数として予測され得、またその逆も同様であるため、段のカスケードの遅延比較器によって出力される符号信号は、電圧Vの関数として予測され得、またその逆も同様である。従って、符号信号からなるコードは、入力電圧Vの近似を判定するために、事前定義された相関関係と確実に比較され得る。動作において、ライン488A1及び490B1上の信号のタイミングは、上述のように、ライン488及び490上の信号のタイミングと機能的に(例えば、予測可能に)関連する。ライン488A2及び490B2上の信号のタイミングは、ライン488A1及び490B1上の信号のタイミングと機能的に(例えば、予測可能に)関連する。ライン488A3及び490B3上の信号のタイミングは、ライン488A2及び490B2上の信号のタイミングと機能的に(例えば、予測可能に)関連する、等である。
【0064】
また、ライン488及び490上の信号タイミングの或るセットが、ライン488A1、490B1、488A2、490B2、488A3、490B3、等の上の信号タイミングの第1のセットとなる場合、ライン488及び490上で同じセットの信号タイミングが発生するときは必ず、ライン488A1、490B1、488A2、490B2、488A3、490B3、等の上で同じ第1のセットの信号タイミングが発生することが予期され得る。同様に、ライン488及び490上の信号タイミングの別の異なるセットが、ライン488A1、490B1、488A2、490B2、488A3、490B3、等の上の信号タイミングの第2のセットとなる場合、ライン488及び490上で別のセットの信号タイミングが発生するときは必ずライン488A1、490B1、488A2、490B2、488A3、490B3、等の上で同じ第2のセットの信号タイミングが発生することが予期され得る。また、ライン488及び490上の信号のタイミングは入力電圧Vに機能的に(例えば、予測可能に)関連しているので、出力コードの符号信号を判定するライン488A1、490B1、488A2、490B2、488A3、490B3、等の上の信号のタイミングもまた入力電圧Vと機能的に関連する。
【0065】
ここで図9を参照すると、遅延比較器482は比較器回路2083を有し、比較器回路2083は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び第8のトランジスタ2400、2402、2404、2406、2408、2410、2412、及び2414を有する。図示された例において、遅延比較器482のタイミングは、導電線2122上の第1及び第4のトランジスタ2400、2406のゲートに適用されたクロック(CLK)からの信号によって制御される。ライン488A1及び490B1上の第1及び第2の信号A、Bは、それぞれ、第6及び第5のトランジスタ2410及び2408のゲートに印加される。第1、第2、及び第5のトランジスタ2400、2402、及び2408のドレインは、互いに電気的に接続され、また第1の導電線2416を介して第3及び第8のトランジスタ2404及び2414に電気的に接続される。第3、第4、及び第6のトランジスタ2404、2406、及び2410のドレインは、同様に互いに電気的に接続され、また第2の導電線2418を介して第2及び第7のトランジスタ2402及び2412に電気的に接続される。
【0066】
比較器回路2083の第1及び第2の導電線2416及び2418は、それぞれの第3及び第4の導電線2422及び2424を介してサインアウト回路2420に電気的に接続される。図9に示されるように、サインアウト回路2420は、比較器回路2083と併合される。サインアウト回路2420は、第1、第2、第3、及び第4のトランジスタ2426、2428、2430、及び2432を有する。第3の導電線2422は、それぞれ、サインアウト回路2420の第1及び第2のトランジスタ2426及び2428のゲート及びソースに電気的に接続され、一方、第4の導電線2424は、それぞれ、サインアウト回路2420の第1及び第2のトランジスタ2426及び2428のソース及びゲートに電気的に接続される。
【0067】
動作において、遅延比較器482は、ライン2122上のクロック信号によって有効にされると、符号信号がライン408上のサインアウト回路2420内で生成される。符号信号は、ライン408上で較正エンジン/プロセッサ40に転送され、出力信号A及びBが遅延比較器482の第1及び閾値入力492及び494に到達する順序を表す。サインアウト回路2420の動作は、サインアウト回路2420の第3及び第4のトランジスタ2430及び2432のゲートに印加される反転クロック信号CLKZによって制御される。反転クロック信号CLKZは、ライン2122上の比較器回路2083の第1及び第4のトランジスタ2400及び2406のゲートに印加されるクロック信号の反転バージョンである。
【0068】
第3及び第4の導電線2422及び2444は、遅延アウト回路2450にも電気的に接続される。図9に示されるように、遅延アウト回路2450は比較器回路2083と併合される。遅延アウト回路2450は、第1、第2、及び第3のトランジスタ2442、2444、及び2446を有する。第3の導電線2422は、それぞれ、遅延アウト回路2450の第1及び第2のトランジスタ2442及び2444のゲート及びソースに電気的に接続され、一方、第4の導電線2424は、それぞれ、遅延アウト回路2450の第1及び第2のトランジスタ2442及び2444のソース及びゲートに電気的に接続される。
【0069】
動作において、遅延信号Bが、遅延アウト回路2450の第1及び第2のトランジスタ2442及び2444の両方のドレインに電気的に接続されるライン490B2上で生成される。入力492及び494上の信号A及びBの立ち上がりエッジのうちの先に到着するもののタイミングに関するライン490B2上の遅延信号Bの立ち上がりエッジのタイミングは、比較器遅延7102(図7)である。遅延アウト回路2450(図9)の動作は、サインアウト回路2420の第3及び第4のトランジスタ2430、2432に印加される同じ反転クロック信号CLKZによって制御される。反転クロック信号CLKZは、遅延アウト回路2450の第3のトランジスタ2446のゲートに印加される。遅延アウト回路2450の第3のトランジスタ2446のドレインは、遅延アウト回路2450の第1及び第2のトランジスタ2442、2444のドレインに電気的に接続される。
【0070】
上記で説明したものは例である。本記載は、添付の特許請求の範囲を含む本出願の範囲内に入る、本記載に記載の主題に対する変更、改変、及び変形を包含する。所望される場合、例えば、一つ又は複数のクロックレス遅延比較器がアナログ‐デジタルコンバータ18のバックエンドに用いられ得る。
【0071】
本明細書で用いられるように、用語「含む」は、~を含むがそれに限定されないことを意味する。用語「基づく」は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。また、明細書又は特許請求の範囲が「或る」、「第1の」、又は「別」の要素、又はその同等物を指す場合、それは、一つ又は複数のそのような要素を含み、2つ又はそれ以上のそのような要素を必要としたり排除したりするものではない。
【0072】
新規として請求され、保護されることを望まれるものは以下のとおりである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】