(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】注型用型よりも大きい注型部品
(51)【国際特許分類】
B29C 44/12 20060101AFI20240201BHJP
B29C 39/24 20060101ALI20240201BHJP
B29C 39/10 20060101ALI20240201BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20240201BHJP
B29C 44/36 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B29C44/12
B29C39/24
B29C39/10
B29C44/00 A
B29C44/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023545239
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 EP2022050225
(87)【国際公開番号】W WO2022161754
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521358224
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ポリウレタンズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】BASF Polyurethanes GmbH
【住所又は居所原語表記】Elastogranstrasse 60, 49448 Lemfoerde, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ハイカウス,クリスティアン マッティアス
(72)【発明者】
【氏名】リヒター,アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4F204
4F214
【Fターム(参考)】
4F204AA42
4F204AB02
4F204AC05
4F204AD08
4F204AR12
4F204EA01
4F204EB01
4F204EB11
4F214AA42
4F214AB02
4F214AC05
4F214AD08
4F214AR12
4F214UA01
4F214UB11
(57)【要約】
本発明は、1つ以上の接続要素を介して互いに可動式に連結された少なくとも2つのセグメントからなる部品であって、注型用型の注型空間に注型される注型品又は注型品の一部からなる部品、及び部品が、軸Aに沿って最大長さLになるように可動の接続要素を介して部品が整列されたときに、その注型空間の最大範囲よりも長い部品、及びその製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の接続要素を介して互いに接続された少なくとも2つのセグメントを含む部品を製造する方法であって、
第1の工程において、注型品が注型用型の注型空間に注型され、そして
a) 前記注型品は、前記接続要素及び前記部品のセグメントを含むか、又は
b) 前記注型品は、注型後に処理されて前記接続要素及び前記部品のセグメントを含み、
そして第2の工程において、前記部品は前記接続要素のところで曲げられて、軸Aに沿ったその最大長さLに達し、且つこの最大長さLは前記注型空間の最大範囲Mよりも長くなる、方法。
【請求項2】
前記注型用型の前記注型空間が、3つの空間方向に最大高さh、最大幅b及び最大深さtを有し、そして前記部品の最大長さLが、以下の条件の1つ:
【数1】
に従う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
深さtが幅b以下であり、且つ幅bが高さh以下であり、そして前記部品の最大長さLが、次の条件:
【数2】
に従う、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記部品の最大長さLが、さらに以下の条件:
【数3】
に従う、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記注型用型の前記注型空間が、3つの空間方向に最大高さh、最大幅b及び最大深さtを有し、そして前記部品の最大長さLが、深さt、幅b又は高さhのいずれかの少なくとも2倍の長さである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
深さtが幅b以下であり、且つ幅bが高さh以下であり、そして前記部品の最大長さLが、高さhの少なくとも2倍である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
個別のセグメント又は接続要素、又はセグメント及び接続要素が、前記注型品をサイズに切断することによって得られる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記部品が長方形の注型品から製造されたものである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記長方形の注型品をサイズに切断して長方形のセグメントを得、少なくとも2つのセグメントが少なくとも1つの接続要素を介して接続されたままとなるようにする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの接続要素が、他の長方形の注型品の表面から突き出ている、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの接続要素が、曲げた平面に対して直角の断面において楕円又は半円である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記部品がマイクロセルラーポリウレタンからなる、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法によって製造された部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注型用型の注型空間の最大空間範囲よりも長い部品と、その製造方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
成形品の注型は、高度に自動化された方法で行うことができるので、部品の大量生産に非常に効率的な方法である。要求の多種多様な異なるプロファイルを持つ注型品(casting)の生産は、例えばDE102005008263A1又はUS1,220,072から公知である。しかし、注型用型の範囲を超える部品が必要になる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】DE102005008263A1
【特許文献2】US1,220,072
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の目的は、部品が注型空間の寸法よりも長くなるように、注型品から部品を作成することであった。
驚くべきことに、この目的は、注型品を分割し、そしてこのセグメント(segment)を、可動の接続要素を介して接続することで達成された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
よって本発明は、請求項1に記載の注型品を製造するための方法、及びそのように製造された請求項13に記載の注型品を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【0007】
図1aは、ビーズを有する注型品の側面図を示し、そのビーズは、断面が半円形であり且つ点線に沿って注型品がサイズに切断された後に接続要素として残り、そのようにして注型品がサイズに切断されたことにより形成された2つのセグメントを接続する。
【0008】
図1bは、突き出た接続要素を持つ注型品の上面図を示し、そして
図1cは透視図を示す。
【
図2】
図2は、
図1に示す注型品を点線に沿って切り開いて製造された部品を示し、その部品は2つのセグメントからなり、これらセグメントは、ビーズから形成された接続要素を介して互いに接続され、軸Aに沿って折り返されて部品がその最大長さLに達し、そして
図1に示す注型品の幅の2倍を超える長さとなる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の主題は、実施形態1において、1つ以上の接続要素を介して、好ましくは可動式に互いに接続された少なくとも2つのセグメントからなる部品を製造する方法であり、第1の工程において、注型品が注型用型の注型空間に注型され、そして
a) 注型品は、接続要素及び部品のセグメントを含むか、又は
b) 注型品は、注型後に処理されて接続要素及び部品のセグメントを含み、
そして第2の工程において、部品は接続要素のところで曲げられて、軸Aに沿ったその最大長さLに達し、且つこの最大長さLは注型空間の最大範囲Mよりも長くなる。個別のセグメントのみで構成された部品と比較すると、個別のセグメントからではあるが接続要素によって接続されている本発明の方法による部品には、多くの利点がある。本発明の方法による部品は、多くの適用分野で取り扱いがより容易であることが多い。例として、2つに分かれたセグメントで構成された部品と比較すると、例えば部品を接続して部品を結合させることができ、その結果、複数の作業、例えば接着剤塗布を省くことが可能となる場合があるので、接続要素を用いて部品の組み立てをより簡易にすることができる。接続要素を介してセグメントを接続することにより、セグメント間で力が伝達される。これはとりわけ、部品に接着結合剤が塗布されている場合、接続要素の領域におけるセグメントの端の接着性の向上に利用できる。接続要素は、隣接する領域の負荷を解放するのにも利用される。
【0010】
接続要素の長さは、2つのセグメント間の定義された距離を確立するために使用することができ、特に、結合作業であっても変化しない。
接続要素から生じる間隙は、とりわけ、ケーブル又は導管の通路に利用してよい。
接続要素自体、及びセグメントも、様々な構成を有してよい。
好ましい実施形態では、接続要素は円又は楕円である。他の好ましい実施形態では、接続要素は層状である。接続要素は、隣接する端の途中でセグメントを接続する場合もあるが、セグメントの片側に近い場合もある。これは、例えばセグメントが表面に接着結合されている場合に利点となり得る。接続要素は直接結合面上にある場合も、同様に接着接合することができる。これは、セグメント複合品の表面への接着結合性がより容易且つより良好であるという利点がある。このことは特に、接続要素が層状形態であり、これら層状物がセグメント間で表面にも結合できるものである場合、好ましい実施形態において利点を有する。利点は、例えば、セグメント複合品のより良好な接着、より容易な加工性、汚れ土壌又は水分の浸透からの結合部位のより良好な保護である。
【0011】
セグメントは、部品の要求に応じて、本発明の方法により構成される。反対側の表面は、同じ形状でも異なる形状でもよい。好ましい部品のセグメントは、平坦な土台上での固定を容易にする少なくとも1つの平面を有する。他の好ましい実施形態では、部品の表面構成は、部品の設置場所に関して一致する。好ましい実施形態では、セグメントはさらなる構成要素、例として、例えば固定するための穴、エンボス、表面構成等を含む。
本方法は、少なくとも2つのセグメントが接続要素を介して互いに接続され部品となるように設計されている。しかしながら本方法は、部品が、接続要素を介して互いに接続された2つを超えるセグメントからなる場合もあるように設計してもよい。接続要素を介して接続されたセグメントは、セグメント複合品とも呼ばれる。
【0012】
本方法の好ましい実施形態2は、実施形態1又は該方法の好ましい実施形態の任意のあらゆる特徴を含み、注型用型の注型空間が、3つの空間方向に最大高さh、最大幅b及び最大深さtを有し、そして部品の最大長さLは、以下の条件の1つに従う:
【数1】
【0013】
本方法の好ましい実施形態3は、実施形態2又は該方法の好ましい実施形態の任意のあらゆる特徴を含み、そして、さらに、深さtが幅b以下であり、且つ幅bが高さh以下であり、部品の最大長さLは、以下の条件に従う:
【数2】
【0014】
本方法の好ましい実施形態4は、実施形態2又は該方法の好ましい実施形態の任意のあらゆる特徴を含み、部品の最大長さLは、さらに以下の条件に従う:
【数3】
【0015】
本方法の好ましい実施形態5は、実施形態1又は該方法の好ましい実施形態の任意のあらゆる特徴を含み、注型用型の注型空間が、3つの空間方向に最大高さh、最大幅b及び最大深さtを有し、そして部品の最大長さLは、深さt、幅b又は高さhのいずれかの少なくとも2倍の長さである。
【0016】
本方法の好ましい実施形態6は、実施形態2又は該方法の好ましい実施形態の任意のあらゆる特徴を含み、さらに、深さtが幅b以下、幅bが高さh以下であり、部品の最大長さLは、高さhの少なくとも2倍である。
セグメント複合品は、接続要素を介して接続された2つを超えるセグメントが1つの注型から生成されるという点で、前述の最大長の何倍もの長さを有してもよい。ここでは、個別のセグメントの適切な構成を介して、セグメント複合品のあらゆる可能な中間長を生成することも可能である。好ましい実施形態では、個別のセグメント及び接続要素は均一に生成される。セグメント複合品の長さは簡単に、好ましくはセグメント複合品の外側のセグメントの長さを調整することによって、調整してよい。これが一般的に最も簡単な方法である。好ましい実施形態では、特定の設置条件において、セグメント複合品の様々なセグメントが異なる形状であり、及び/又は異なる長さを有することが必要となる場合がある。
【0017】
本方法の好ましい実施形態7は、先行する実施形態の任意又は該方法の好ましい実施形態の任意のあらゆる特徴を含み、注型空間内の注型注型品は既にセグメント及び接続要素を有する。これらのセグメント及び接続要素は、好ましくは、完成した部品内のものと既に対応している。これらは、未処理の形態で、又はさらなる処理作業のために、完成した部品のセグメント及び接続要素の特定の形態をとり得る。この製造プロセスには、それほどの追加作業がなくても部品が既に使用可能な状態であるという利点がある。無論、注型端又は注型チャネルの除去などの慣習的な処理は避けることができない。安価な生産を目的として、注型後に最小限の追加作業工程が必要とされる処理作業が好ましい。それにもかかわらず、除去された注型品の個別の構成要素に部品を追加しなければならない場合があり、その部品は、注型用型への取り付けが不釣り合いなほど高レベルに複雑である。ここでは、例として、且つ好ましくは、穴、エンボス、ダイカット、又はサイズへの切断、又はそれらの組み合わせについて言及される。
【0018】
本方法の好ましい実施形態8は、先行する実施形態1から6の任意又は該方法の好ましい実施形態の任意のあらゆる特徴を含み、個別のセグメント又は接続要素、又はセグメント及び接続要素が、注型品をサイズに切断することによって得られる。この製造方法は、注型用型の製造コストを節約でき、注型用型の充填作業が、微細な突出部を有する注型品の場合よりも速く構成される可能性があるという利点がある。同時に、この実施形態には、実施形態7と比較して、少なくとも1つの追加の作業工程(注型品の準備)が自動的に必要とされる。
注型品の準備は、サイズ切断(cutting-to-size)とも呼ばれる。サイズ切断とは、任意の準備方法と理解される。好ましいサイズ切断法は、切断具とも呼ばれる鋭利な物品を用いた切断である。好ましい切断具は、ナイフ、鋏、トング、のこぎり、電気アーク、レーザー、水噴射又は圧縮空気である。様々な切断具を組み合わせて使用してもよい。好ましい切断具は水噴射である。水噴射の利点は、切り口が非常に清浄であるので、材料の過熱が実質的にないことである。さらに、水噴射の使用により、造形の自由度が大きく広がる。
品目数及び製造コストに依存して、実施形態7及び実施形態8の両方が有利となる場合がある。両実施形態において、上述のようにセグメント及び接続要素の実質的に任意の形状を生成することが原則として可能である。
【0019】
本方法の好ましい実施形態9は、先行する実施形態8又は該方法の好ましい実施形態の任意のあらゆる特徴を含み、部品は長方形の注型品から製造されたものである。長方形の注型品は、非常に簡単に生産でき、そして以下に示す部品の好ましい準備形態では、使用される材料の無駄がほとんど生じないという利点がある。
【0020】
本方法の好ましい実施形態10は、先行する実施形態9又は該方法の好ましい実施形態の任意のあらゆる特徴を含み、長方形の注型品が準備され、少なくとも2つのセグメントが少なくとも1つの接続要素を介して接続されたままになるように、好ましくは水噴射でサイズに切断された好ましくは長方形のセグメントが得られる。長方形セグメント形状により特に、長方形注型からの準備作業における無駄が少なくなる。長方形セグメント製造のための断面は、好ましくは注型品の表面の1つに平行にする。
【0021】
本方法の好ましい実施形態11は、先行する実施形態8から10の任意又は該方法の好ましい実施形態の任意のあらゆる特徴を含み、接続要素は他の長方形の注型品の表面から突き出ている。この突き出ている接続要素はビーズとも呼ばれる。原理的には、好ましくは長方形の注型品を準備することにより接続要素を製造することも可能であろう。他の長方形の本体から突き出ている接続要素はビーズとも呼ばれ、容易に生産でき、つまり、対応する切り出しを注型用型に容易に組み込むことができ、そして高い機械的強度を特徴とする。後の接続要素は、好ましくは、接続要素を介して接続されたままとなるセグメントの側面の端上にビーズとして配置される。
【0022】
本方法の好ましい実施形態12は、先行する実施形態11又は該方法の好ましい実施形態の任意のあらゆる特徴を含み、少なくとも1つの接続要素は、注型品の表面に対して直角の断面において楕円又は半円である。これは、このようなビーズ形状が生産しやすく、特に安定しているという利点がある。
【0023】
原則として、部品は任意の注型可能な材料からなり、ポリマーが好ましい。好ましい例には、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、セルロイド、ゴム、ポリアミド(PA)、ポリラクテート(PLA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)、ポリビニルクロリド(PVC)が含まれる。ポリアミド、ポリウレタン及びポリスチレンが好ましい。ポリアミド、ポリウレタン及びポリスチレンが好ましい。ポリウレタンが非常に特別に好ましい。材料は発泡させてもよい。特に好ましい発泡材料は、マイクロセルラーポリウレタンである。
ポリウレタンの製造は公知であり、特に、マイクロセルラーポリウレタンの製造については、例えば、WO2009/037207、WO2016/033307か、又はWO2018/087387に記載されている。
【0024】
これに関連して「マイクロセルラー」が意味するところは、気泡が好ましくは0.01mm~0.5mm、より好ましくは0.01mm~0.15mmの直径を有するということである。
【0025】
マイクロセルラーポリウレタンは、より好ましくは、以下の材料特性:DIN EN ISO1183-1Aによる密度が200~1300kg/m3、好ましくは270~1200kg/m3、DIN53504(DIN EN ISO527に準拠)による引張強さが≧20N/mm2、好ましくは>40N/mm2、より好ましくは20~80N/mm2、DIN53504(DIN EN ISO527に準拠)による破断伸びが≧200%、好ましくは≧230%、より好ましくは300%~700%、及び/又はDIN ISO34-1B(b)による裂傷伝播抵抗が≧6N/mm、好ましくは≧8N/mm、より好ましくは≧10N/mm、のうち少なくとも1つを有する。さらに好ましい実施形態では、マイクロセルラーポリウレタンは、これらの材料特性のうち2つ、さらに好ましくは3つを有し、特に好ましい実施形態は、言及した4つの材料特性の全てを有する。
【0026】
マイクロセルラーポリウレタンをベースとするエラストマーは典型的には型内で製造され、その型内で反応性の出発成分を混合し、次いで互いに反応させる。ここで使用できる型は、一般に通常の型、例えば金属製型であり、その形状によって注型が本発明の3次元形状を有することが保証される。
【0027】
ポリウレタンは、周知のプロセスにより、例えば、1段階又は2段階プロセスにおいて、以下の出発材料:
(a) イソシアナート、
(b) イソシアナートに対して反応性の化合物、
(c) 水
を、任意に
(d) 触媒、
(e) 発泡剤、
(f) 補助剤及び/又は添加剤
の存在下で使用することにより、製造することができる。
【0028】
マイクロセルラーポリウレタンの製造は、有利には、NCO/OH比0.85~1.20で行い、加熱した出発成分を混合し、そして所望の成形密度に相当する量で注型用型に導入する。
注型品は最大60分で硬化する。
注型用型に導入する反応混合物の量は、好ましくは、得られた成形品が既に記載した密度を有するような量である。
【0029】
出発成分は、好ましくは、15℃~120℃、好ましくは30℃~110℃の温度で注型用型に導入する。注型品を製造するための圧縮度は1.1~8、好ましくは2~6である。
【0030】
マイクロセルラーポリウレタンは、低圧法の助けによる「ワンショット」プロセス、又は特に反応性射出成形(RIM)技術によって、開放型又は好ましくは閉鎖型の注型用型で適切に製造される。反応は特に閉鎖型の注型用型での圧縮によって行われる。反応性射出成形技術は、例えばH.Piechota and H.Roehr、「Integralschaumstoffe」[一体型フォーム]、Carl Hanser-Verlag,Munich,Vienna 1975年;D.J.Prepelka and J.L.Wharton、Journal of Cellular Plastics、1975年3月/4月、第87~98頁、及びU.Knipp、Journal of Cellular Plastics、1973年3月/4月、第76~84頁に記載されている。
【0031】
使用されるイソシアナート(a)は、一般的に知られている脂環式、脂肪族及び/又は芳香族ポリイソシアナートであってよい。本発明の複合品要素の製造に特に好適であるのは、芳香族ジイソシアナート、好ましくはジフェニルメタン2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジイソシアナート(MDI)、ナフチレン1,5-ジイソシアナート(NDI)、トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアナート(TDI)、テトラメチレンキシレン2,4-ジイソシアナート(TMXDI)、3,3’-ジメチルジフェニルジイソシアナート、ジフェニルエタン1,2-ジイソシアナート、p-フェニレンジイソシアナート(PPDI)、及び/又は(シクロ)脂肪族イソシアナート、例えば好ましくはヘキサメチレン1,6-ジイソシアナート(HDI)、ジシクロヘキシルメタン4,4’-、2,4’-及び2,2’-ジイソシアナート(H12MDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、及び/又はポリイソシアナート、例えばポリフェニルポリメチレンポリイソシアナートである。イソシアナートは、純粋な化合物の形態で、混合物及び/又は修飾された形態で、例えば、ウレジオン、イソシアヌレート、アロファネート又はビウレットの形態で、好ましくは、イソシアナートプレポリマーと呼ばれる、ウレタン及びイソシアナート基を含有する反応生成物の形態で、使用することができる。任意に修飾されたジフェニルメタン2,2’-,2,4’-及び/又は4,4’-ジイソシアナート(MDI)、ナフチレン1,5-ジイソシアナート(NDI)、トリレン2,4-,2,6-ジイソシアナート(TDI)及び/又は3,3’-ジメチルジフェニルジイソシアナート及び/又はこれらのイソシアナートの混合物を使用することが好ましい。
【0032】
イソシアナート反応性化合物(b)は、統計平均で少なくとも1.8個、及び最大で3.0個のツェレヴィチノフ活性水素原子を有し、この数はイソシアナート反応性化合物(b)の官能価とも呼ばれ、モル量から1つの分子について理論的に計算された分子内のイソシアナート反応性基の量を示す。官能価は、好ましくは1.8~2.6であり、さらに好ましくは1.9~2.2、及び特に2である。
【0033】
特に好ましいのは、ポリエステルジオール、好ましくはポリカプロラクトン、及び/又はポリエーテルポリオール、好ましくはポリエーテルジオール、より好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドをベースとするもの、好ましくはポリプロピレングリコールである。特に好ましいポリエーテルはポリテトラヒドロフラン(PTHF)である。
【0034】
特に好ましくは、以下の群:アジピン酸、コハク酸、ペンタン二酸、セバシン酸又はそれらの混合物をベースとするコポリエステル、1,2-エタンジオールと1,4-ブタンジオールとの混合物、アジピン酸、コハク酸、ペンタン二酸、セバシン酸又はそれらの混合物をベースとするコポリエステル、1,4-ブタンジオールと1,6-ヘキサンジオールとの混合物、アジピン酸をベースとするポリエステル、及び3-メチル-1,5-ペンタンジオール及び/又はポリテトラメチレングリコール(ポリテトラヒドロフラン、PTHF)からのポリエステロール(polyesterols)である。特に好ましくは、アジピン酸をベースとするコポリエステル、エタン-1,2-ジオールとブタン-1,4-ジオールとの混合物、又はアジピン酸、コハク酸、ペンタン二酸、セバシン酸、又はそれらの混合物をベースとするポリエステル及びポリテトラメチレングリコール(PTHF)をである。
マイクロセルラーポリウレタンのさらに重要な構成成分は水である。水は発泡剤として作用する。水は単独で使用することも、他の発泡剤と併用することもできる。水を唯一の発泡剤として使用することが好ましい。
【0035】
反応を促進するために、一般的に既知の触媒(e)を、プレポリマーの調製と、任意にプレポリマーと架橋剤成分との反応との両方において、反応混合物に加えることが可能である。触媒(e)は個別に、及び互いとのブレンドで添加してよい。これらは好ましくは、有機金属化合物、例えば有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えばスズ(II)ジオクトエート、スズ(II)ジラウレート、ジブチルスズジアセテート及びジブチルスズジラウレート、又はビスマス塩、好ましくはカルボン酸のビスマス塩であり、ビスマスは、好ましくは2又は3、特に3の酸価状態である。使用されるカルボン酸は、好ましくは、6~14個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を有するカルボン酸である。好適なビスマス塩の例は、ビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2-エチルヘキサノエート及びビスマスオクタノエート、及び第3級アミン、例えばテトラメチルエチレンジアミン、N-メチルモルホリン、ジエチルベンジルアミン、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジアザビシクロオクタン、N,N’-ジメチルピペラジン、N-メチル,N’-(4-N-ジメチルアミノ)ブチルピペラジン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレンジアミン等である。
【0036】
さらなる有用な触媒には、アミジン、例えば2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、トリス(ジアルキルアミノアルキル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、特にトリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、アルカリ金属ヒドロキシド、例えば水酸化ナトリウム、アルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシド及びカリウムイソプロポキシド、及び10~20個の炭素原子及び任意にペンダント状OH基を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩である。
【0037】
確立される反応性に応じて、触媒(e)はプレポリマーに対して0.001%質量%~0.5質量%の量で使用される。
【0038】
ポリウレタン製造で慣習的な発泡剤(f)を使用することが任意に可能である。好適な例には、発熱重付加反応の影響下で蒸発する低沸点の液体が含まれる。好適な液体は、有機ポリイソシアナートに対して不活性であり、100℃未満の沸点を有するものである。この種の液体で好ましく使用されるものの例として、ハロゲン化、好ましくはフッ素化された炭化水素、例えばメチレンクロリド及びジクロロモノフルオロメタン、過フッ素化又は一部フッ素化された炭化水素、例えばトリフルオロメタン、ジフルオロメタン、ジフルオロエタン、テトラフルオロエタン及びヘプタフルオロプロパン、炭化水素、例えばn-及びイソブタン、n-及びイソペンタン、さらにこれらの炭化水素の技術グレードの混合物、プロパン、プロピレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロブタン、シクロペンタン及びシクロヘキサン、ジアルキルエーテル、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル及びフラン、カルボン酸エステル、例えば、ギ酸メチル及びギ酸エチル、ケトン、例えばアセトン、及び/又はフッ素化及び/又はペルフルオロ化された第3級アルキルアミン、例えばペルフルオロジメチルイソプロピルアミンが挙げられる。これらの低沸点液体の互いとの混合物及び/又は他の置換又は非置換炭化水素との混合物を使用することも可能である。
【0039】
尿素基を結合した形態で含むエラストマーから構成されたこのようなセルラー弾性成形体の製造に最適な低沸点液体の量は、達成すべき意図された密度、及び好ましくは追加的に使用される水の量に依存する。一般に、成分(b)の質量に対して1質量%~15質量%、好ましくは2質量%~11質量%の量で、十分な結果が得られる。より好ましくは、発泡剤として水(d)のみを用いる。
【0040】
成形品の本発明による製造において、補助剤(g)を使用することが可能である。これらには例えば、一般的に知られている表面活性物質、フォーム安定剤、気泡調整剤、充填剤、難燃剤、核形成剤、酸化防止剤、安定剤、抗菌剤、潤滑及び離型助剤、染料及び顔料が含まれる。
【0041】
有用な表面活性物質には、例えば、出発材料の均質化を促進するのに使用され、そして任意に気泡構造の調節にも好適な化合物が含まれる。例として、乳化剤、例えばヒマシ油硫酸のナトリウム塩又は脂肪酸のナトリウム塩、及び脂肪酸のアミンとの塩、例えばジエチルアミンオレアート、ジエタノールアミンステアラート、ジエタノールアミンリシノレアート、スルホン酸の塩、例えばドデシルベンゼン-又はジナフチルメタンジスルホン酸及びリシノール酸のアルカリ金属又はアンモニウム塩、フォーム安定剤、例えばシロキサン-オキシアルキレンコポリマー及び他の有機シロキサン、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化脂肪アルコール、パラフィン油、ヒマシ油エステル又はリシノール酸エステル、ロート油及び落花生油、及び気泡調節剤、例えばパラフィン、脂肪アルコール及びジメチルポリシロキサンが挙げられる。乳化作用、気泡構造及び/又はその安定化を改善するために、ポリオキシアルキレン及びフルオロアルカン基を側基として有するオリゴマーポリアクリラートも好適である。表面活性物質は、典型的には、高分子量ポリヒドロキシル化合物(b)の100質量部に対して0.01~5質量部の量で使用される。
【0042】
充填剤、特に補強充填剤は、慣習的な既知の有機及び無機充填剤、補強剤及び増量剤を意味すると理解される。具体例には、無機充填剤、例えばケイ質鉱物、例として層状シリケート、例えばアンティゴライト、蛇紋岩、ホルンブレンド、角閃石、クリソタイル、タルク、金属オキシド、例えばカオリン、酸化アルミニウム、アルミニウムシリケート、酸化チタン及び酸化鉄、金属塩、例えばチョーク、重晶石、及び無機顔料、例えば硫化カドミウム、硫化亜鉛、さらにはガラス粒子が含まれる。有用な有機充填剤の例には、カーボンブラック、メラミン、膨張黒鉛、ロジン、シクロペンタジエニル樹脂及びグラフトポリマーが含まれる。
【0043】
用いられる補強充填剤には、好ましくは繊維、例えば炭素繊維又はガラス繊維が含まれ、それは特に高い耐熱性又は非常に高い剛性が要求される場合であり、この場合、繊維に接着促進剤及び/又はサイズを提供してよい。
【0044】
無機及び有機充填剤は、個別に又は混合物として使用してよく、形成成分(a)~(c)の質量に対して、典型的には0.5質量%~50質量%、好ましくは1質量%~30質量%の量で反応混合物に組み込まれる。
【0045】
好適な難燃剤として、例えば、トリクレシルホスファート、トリス(2-クロロエチル)ホスファート、トリス(2-クロロプロピル)ホスファート、トリス(1,3-ジクロロプロピル)ホスファート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスファート及びテトラキス(2-クロロエチル)エチレンジホスファートが挙げられる。
【0046】
本発明により製造されたセルラーPUエラストマーの難燃に使用できるのは、既に述べたハロゲン置換ホスファートとは別に、無機難燃剤、例えば赤リン、酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、三酸化ヒ素、アンモニウムポリホスファート及び硫酸カルシウム又はシアヌル酸誘導体、例えばメラミン、又は少なくとも2つの難燃剤、例えばアンモニウムホスファート及びメラミンの混合物、及び任意にデンプン及び/又は膨張黒鉛である。一般に、述べた難燃剤又は混合物の5~50質量部、好ましくは5~25質量部を、形成成分(a)~(c)の100質量部ごとに使用するのが適切であることが見出された。
【0047】
使用される核形成剤は、例えば、タルク、フッ化カルシウム、ナトリウムフェニルホスフィネート、酸化アルミニウム及び微細に分割されたポリテトラフルオロエチレンであり、形成成分(a)~(c)の総質量に対して最大5質量%であってよい。
【0048】
本発明のセルラーPUエラストマーに添加してよい好適な酸化防止剤及び熱安定剤には、例えば周期表のI族の金属のハロゲン化物、例えばハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化カリウム、ハロゲン化リチウムを、ハロゲン化銅(I)、例えば塩化、臭化又はヨウ化銅(I)と任意に組み合わせたもの、立体障害フェノール、ヒドロキノン、さらにはこれらの群の置換化合物及びそれらの混合物が含まれ、好ましくは、形成成分(a)~(c)の質量に対して最大で1質量%の濃度で使用する。
【0049】
加水分解安定剤の例として、様々な置換カルボジイミド、例えば2,2’,6,6’-テトライソプロピルジフェニルカルボジイミド又は1,3-ビス(1-メチル-1-イソシアナトエチル)ベンゼンをベースにしたカルボジイミドが挙げられ、例えば文献DE-A19821668、DE-A19821666、DE-A10004328、DE-A19954500、DE-A19809634又はDE-A4318979に記載されており、一般に、形成成分(a)~(c)の質量に対して最大で2.0質量%の量で使用する。
【0050】
潤滑及び離型剤は、一般に形成成分(a)~(c)の質量に対して最大で1質量%の量で同様に添加され、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸エステル及びステアラミド、さらにペンタエリトリトールの脂肪酸エステルである。
【0051】
さらに、有機染料、例えばニグロシン、顔料、例えば二酸化チタン、硫化カドミウム、セレン化硫化カドミウム、フタロシアニン、ウルトラマリンブルー又はカーボンブラックを添加することも可能である。
【0052】
上記の他の慣習的な補助剤及び添加剤に関するさらなる詳細は、技術文献に見出すことができる。
【0053】
本方法の好ましい実施形態13は、先行する実施形態の任意又は該方法の好ましい実施形態の任意のあらゆる特徴を含み、構成成分はマイクロセルラーポリウレタンからなる。
【0054】
本発明の主題のさらなる部分及び実施形態14は、先行する実施形態1から13又は該方法の好ましい実施形態の任意による方法によって製造された部品である。
【国際調査報告】