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特表2024-505886セクレトームを調製する方法及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】セクレトームを調製する方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/22 20060101AFI20240201BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 38/39 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 38/18 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 38/24 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 38/48 20060101ALI20240201BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 31/568 20060101ALI20240201BHJP
   A61P 5/38 20060101ALI20240201BHJP
   A61P 5/26 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20240201BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240201BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20240201BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240201BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240201BHJP
   C12N 5/0735 20100101ALN20240201BHJP
【FI】
A61K38/22 ZNA
A61K38/16
A61K38/39
A61K38/18
A61K38/20
A61K38/24
A61K38/48
A61P21/00
A61K31/573
A61K31/568
A61P5/38
A61P5/26
A61K9/16
A61P43/00 111
A61P43/00 105
A61K47/26
C07K14/47
C12N15/12
C12P21/02 A
C12N5/0735
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545273
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 US2022013834
(87)【国際公開番号】W WO2022164854
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】63/169,203
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/142,456
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/177,346
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523281401
【氏名又は名称】イミュニス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ペインター, ジェシー シルバ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064CA10
4B064DA01
4B065AA93X
4B065AC14
4B065BA30
4B065CA24
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA31
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC09
4C076CC26
4C076CC29
4C076CC30
4C076DD67R
4C076FF39
4C076FF61
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA44
4C084DA18
4C084DA25
4C084DB01
4C084DB49
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4C084DB54
4C084DB55
4C084DB58
4C084DB60
4C084DB61
4C084DB62
4C084DC09
4C084DC50
4C084MA02
4C084MA41
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA941
4C084ZB211
4C084ZC411
4C086AA01
4C086DA09
4C086DA11
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZC08
4C086ZC10
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA72
(57)【要約】
薬学的組成物及びそれらを生成する方法が、記載されている。薬学的組成物は、(A)フォリスタチンタンパク質またはそのバリアント、及び(B)フェチュインAタンパク質またはその断片もしくはバリアントを含み得、(B)が、TGF-βに結合することが可能であり、(A)及び(B)の総量が、組成物中の総タンパク質の10%超である。セクレトーム組成物を調製する方法は、トレハロースを含むタンパク質不含培地中で幹細胞を培養することと、試料から上清を採取し、上清を、トレハロースを含む新鮮なタンパク質不含培地と置き換えることと、採取した上清を合わせてセクレトーム組成物を調製することと、を含み得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)フォリスタチンタンパク質またはそのバリアント、及び(B)フェチュインAタンパク質(アルファ-2-HS糖タンパク質)またはその断片もしくはバリアントを含む、薬学的組成物であって、(B)が、TGF-βに結合することが可能であり、(A)及び(B)の総量が、前記組成物中の総タンパク質の約10%超である、前記薬学的組成物。
【請求項2】
前記フォリスタチンタンパク質が、配列番号1~13からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記フォリスタチンタンパク質の前記バリアントが、配列番号1~13のうちのいずれか1つに対して少なくとも75%の配列同一性を有する、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記フォリスタチンタンパク質の前記バリアントが、フォリスタチンN末端(FOLN)ドメインを含む、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記FOLNドメインが、配列番号14~16からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号14~16のうちのいずれか1つに対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記FOLNドメインが、配列番号14~16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記フェチュインAタンパク質が、配列番号17~20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記フェチュインAタンパク質の前記断片または前記バリアントが、配列番号27のアミノ酸配列、または配列番号27に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項7に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記フェチュインAタンパク質の前記断片または前記バリアントが、一本鎖または二本鎖タンパク質である、請求項7に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記(A)が、配列番号1~13からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、前記(B)が、配列番号17~20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または配列番号27の断片を含む配列番号17~20のうちのいずれか1つの断片である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
(A)及び(B)の前記総量が、前記組成物中の総タンパク質の約20%超である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記総タンパク質が、筋形成アンタゴニスト因子を約20%を超えて含まず、前記筋形成アンタゴニスト因子が、IGFBP-3(インスリン様成長因子結合タンパク質3)及びDkk-3(dickkopf WNTシグナル伝達経路阻害剤3)を含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記筋形成アンタゴニスト因子が、ペリオスチン、TGFb1、IL-6、FGF-21、TGFb2、TNFb、TGFb3、アクチビンA、TGFb1、及びTGFaをさらに含む、請求項12に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
1つ以上の筋形成誘発性因子をさらに含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
前記筋形成誘発性因子が、OPN、IGFBP-4、MMP-1、TSP-1、GROa、MMP-10、bIG-H3、hCGb、RGM-B、VEGF、Cripto-1、HGF、BMP-5、bFGF、IGF-2、PDGF-AA、FGF-19、及びWISP-1のうちの1つ以上を含む、請求項14に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記筋形成誘発性因子の総量及び前記筋形成アンタゴニスト因子の総量が、3:1超の比を有する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
患者の筋肉量、筋力、または筋機能を改善するための方法であって、
(A)フォリスタチンタンパク質またはそのバリアント、及び(B)フェチュインAタンパク質(アルファ-2-HS糖タンパク質)またはその断片もしくはバリアントを含む、薬学的組成物を前記患者に投与するステップであって、(B)が、TGF-βに結合することが可能であり、(A)及び(B)の総量が、前記組成物中の総タンパク質の約10%超である、前記ステップを含む、前記方法。
【請求項18】
前記投与が、筋肉内、静脈内、または皮下である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記患者が、筋損傷、筋萎縮、筋機能不全、または筋線維症に罹患している、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
セクレトーム組成物を調製する方法であって、
約5%~25%w/vの濃度でトレハロースを含むタンパク質不含培地中で幹細胞を培養するステップと、
前記試料から上清を採取し、前記上清を、約5%~25%w/vの濃度でトレハロースを含む新鮮なタンパク質不含培地と置き換えるステップと、
前記採取した上清を合わせて、前記セクレトーム組成物を調製するステップと、を含む、前記方法。
【請求項21】
タンジェンシャルフロー濾過を使用して、前記合わせた採取した上清の体積を低減するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記タンジェンシャルフロー濾過による前記体積低減が、50:1~100:1である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記タンジェンシャルフロー濾過が、1~5kDaのカットオフ膜を利用する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記採取した上清から生細胞を除去するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
セクレトーム組成物を調製する方法であって、前記方法が、
bFGF及びアクチビンAを含む培養培地中で、約3日間~約7日間、多能性幹細胞を増殖させるステップと、
トレハロースを含むタンパク質不含培地に前記多能性幹細胞を曝露させるステップであって、前記トレハロース濃度が、5%~25%である、前記ステップと、
前記培養上清を毎日採取し、約1日間~約10日間、トレハロースを含む追加のタンパク質不含培地と置き換えるステップと、
前記採取した培養上清を合わせて、合わせた培養上清のプールを形成するステップと、
前記合わせた培養上清のプールを均質化して、均質化された合わせた培養上清のプールを形成するステップと、
前記均質化された合わせた培養上清のプールを膜フィルターに通して濾過して、濾過された均質化された合わせたプールを形成するステップと、を含む、前記方法。
【請求項26】
タンジェンシャルフロー濾過を使用して、前記濾過された均質化された合わせたプールの体積を低減するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記タンジェンシャルフロー濾過による前記体積低減が、50:1~100:1である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記タンジェンシャルフロー濾過が、1~5kDaのカットオフ膜を利用する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記濾過された均質化された合わせたプールから生細胞を除去するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
セクレトーム組成物であって、
フェチュインA、フォリスタチン、及びフォリスタチン様-1からなる群から選択される少なくとも2つの筋形成アゴニストを含み、
前記少なくとも2つの筋形成アゴニストの合わせた濃度が、約1~約20pmol/mLである、前記セクレトーム組成物。
【請求項31】
前記少なくとも2つの筋形成アゴニストが、OPN、IGFBP-4、MMP-1、TSP-1、GROa(CXCL1)、MMP-10、bIG-H3、hCGb、RGM-B、VEGF、Cripto-1、HGF、BMP-5、bFGF、IGF-2、PDGF-AA、FGF-19、WISP-1、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記組成物が、少なくとも2つの筋形成アンタゴニストをさらに含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
前記組成物が、約1pmol/mL未満の前記少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの濃度を有する、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記少なくとも2つの筋形成アンタゴニストが、アクチビンA及びTGFb1を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項35】
前記少なくとも2つの筋形成アゴニスト対前記少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの濃度の比が、約4:1~約8:1である、請求項32に記載の組成物。
【請求項36】
前記少なくとも2つの筋形成アゴニスト対前記少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの濃度の比が、約5:1~約8:1である、請求項32に記載の組成物。
【請求項37】
前記少なくとも2つの筋形成アゴニスト対前記少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの濃度の比が、約5:1~約200:1である、請求項32に記載の組成物。
【請求項38】
薬学的組成物であって、
フェチュインA、フォリスタチン、及びフォリスタチン様-1からなる群から選択される少なくとも2つの筋形成アゴニストであって、前記少なくとも2つの筋形成アゴニストの合わせた濃度が、約1~約20pmol/mLである、前記少なくとも2つの筋形成アゴニストと、
薬学的に許容される担体と、
薬学的に許容される防腐剤と、を含む、前記薬学的組成物。
【請求項39】
前記薬学的に許容される担体が、7.0~7.8のpHを有する生理学的緩衝液である、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記薬学的に許容される防腐剤が、トレハロースである、請求項38に記載の組成物。
【請求項41】
前記薬学的組成物が、凍結乾燥方法によって保存された粉末である、請求項38に記載の組成物。
【請求項42】
前記薬学的組成物が、ガンマ線照射によって滅菌される、請求項38に記載の組成物。
【請求項43】
前記薬学的組成物が、単回用量ガラス容器に充填されるか、または単回用量シリンジを使用する準備ができている、請求項38に記載の組成物。
【請求項44】
前記薬学的組成物が、コルチコステロイドをさらに含む、請求項38に記載の組成物。
【請求項45】
前記薬学的組成物が、アナボリックステロイドをさらに含む、請求項38に記載の組成物。
【請求項46】
筋肉を治療するための方法であって、前記方法が、
フェチュインA、フォリスタチン、及びフォリスタチン様-1からなる群から選択される少なくとも2つの筋形成アゴニストであって、前記少なくとも2つの筋形成アゴニストの合わせた濃度が、約1~約20pmol/mLである、前記少なくとも2つの筋形成アゴニストと、薬学的に許容される担体と、薬学的に許容される防腐剤と、を含む、組成物を対象に投与するステップを含む、前記方法。
【請求項47】
前記組成物が、注射によって投与される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記注射が、筋肉内、静脈内、または皮下に投与される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記組成物が、1回、毎日、毎週、または毎月投与される、請求項47に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119(e)条の下、全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、2021年1月27日出願の米国仮出願第63/142,456号、2021年3月31日出願の米国仮出願第63/169,203号、及び2021年4月20日出願の米国仮出願第63/177,346号からの優先権の利益を主張する。
【0002】
本明細書に記載の主題は、概して、セクレトームを調製する方法、及び老化に関連する状態を含む様々な状態の治療のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
病気、損傷、または手術からの回復の結果として老化すると、多くの場合、筋肉廃用期間が生じる(1~3)。これらの廃用事象は、多くの場合、骨格筋筋肉量の急速な萎縮及び衰弱をもたらし、予後不良、及び再入院またはさらなる損傷のリスク増加に関連付けられる(4)。老化に関連する筋肉量及び筋力の損失(5)は、可動性及び生活の質の減少を生じながら、また、他の併存疾患のリスク及び死亡率も増加させる(6~8)。さらに、多くの場合、老化した筋肉では廃用性萎縮からの回復が弱まり、以前のベースラインの筋肉サイズ及び筋機能の品質を完全に達成することはない(9、10)。したがって、老化中の骨格筋を標的とし、筋萎縮を緩和するのに十分に有効でありながら、廃用後の筋肉回復を改善する、新規の療法が必要とされている。
【0004】
老化中の筋機能不全に関連する一般的に研究されている機序は、骨格筋における線維化、すなわち細胞外マトリックス(特にコラーゲン)の蓄積である(11、12)。過度の筋肉コラーゲン沈着は、力を生成する機能的能力を損なう(6、7、9、13)。最近のエビデンスは、老化したマウスの筋肉中のコラーゲンの存在量が、若いマウスのそれと比較してほぼ2倍であることを実証している(14)が、これが、コラーゲン発現の増加またはターンオーバー不良と相関するかは明らかではない(15)。げっ歯類における筋肉廃用性は、コラーゲンの蓄積にさらに寄与し(16、17)、したがって、過度の線維化が、老化中の筋肉回復が最適に至らないことに関与し得るという懸念を高めている。老化に関連する筋線維症に付随する現象は、筋肉が損傷から回復する能力に重要である、筋衛星細胞プールの低下である(18、19)。さらに、老化は、筋形成の継続に必要である損傷中の筋形成衛星細胞(myogenic satellite cell)の数及び活性の低下に関連付けられる(19~21)。したがって、衛星細胞機能の変化及びコラーゲン沈着は、廃用及び回復中の老化中の筋肉の質の低下に部分的に寄与する可能性が高いとみなすのが妥当である。
【0005】
多くの研究は、老化における筋線維症及び衛星細胞機能の機序を調べてきたが、この表現型に向かう筋肉の老化、ならびに廃用性萎縮及び回復状態中の悪化を促進するものについての理解には依然として大きなギャップが存在する。1つの可能性は、老化に関連付けられる機能不全の免疫系であり(22、23)、損傷または廃用性萎縮から回復中の骨格筋の再生または再成長は、衛星細胞の活性化及び増殖ならびに適切なECMリモデリングを確実にするために、厳密に制御された炎症誘発性及び抗炎症性局所環境を促進する免疫細胞(例えば、好中球、マクロファージ)の注意深くタイミングを合わせて調整された事象を必要とする(24)。我々の研究室及び他の研究室は、廃用性萎縮の回復中に炎症誘発性マクロファージ応答を損なった、老化した骨格筋が存在することに注目している(2、25)。損傷または廃用性萎縮から回復中のマクロファージ活性の枯渇(化学的または遺伝的アプローチ)は、筋線維症及び不完全な筋肉回復をもたらし(26~30)、したがって、筋肉の適切な再成長のためのマクロファージ機能の重要性を強調している。
【0006】
老化した骨格筋の廃用性萎縮及び回復中の介入を採用した研究はほとんどなく、その結果は両義的である(13、31~33)。これらの研究は、筋肉サイズ及び筋機能に十分に有効ではないが、衛星細胞の活性化を含む、筋肉細胞成長に関与する様々な細胞経路を強調している(13、31、32、34~36)。したがって、廃用及び回復中の老化した骨格筋の筋肉量及び筋機能を促進する療法に対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題に対処するために、廃用及び回復中の老化した骨格筋の筋肉量及び筋機能を促進するためのセクレトーム産生物(STEMと称される)の有効性を生じさせ、研究した。STEMは、廃用中の骨格筋萎縮を軽減し、回復中の再成長を改善することが見出された。STEMはまた、老化した筋肉マクロファージ及び衛星細胞表現型を向上させながら、また筋線維症を低減した。
【0008】
高齢者は、廃用性萎縮の期間を経験するリスクがあり、その結果、遅く、不完全な筋肉回復に直面する。廃用中の筋肉量損失を軽減し、回復を改善するためにいくつかの療法が採用されているが、両方に有効であることが証明されているものはほとんどない。したがって、この研究の目的は、廃用及び回復中の老化した骨格筋の筋肉量及び筋機能に対する、独自に開発されたセクレトーム産生物(STEM)の有効性を調べることであった。老化した(22ヵ月)の雄のC57BL/6を、PBSまたはSTEM治療(n=30)に分割した。各治療内で、歩行可能な対照(14日間の正常なケージ歩行)、14日間の後肢免荷(HU)、または14日間の後肢免荷、続いて7日間の回復のいずれかに、マウスを割り当てた。マウスに、それぞれの治療群の期間の間、1日おきに、PBSまたはSTEMのいずれかの後肢筋肉への筋肉内送達を与えた。STEM治療は、対照及び回復(なぜ活用されたのか?)中にヒラメ筋筋肉量、線維CSA(定義)、及び握力を増加させながら、HU中の萎縮及び衰弱を減弱させることが見出された。筋肉炎症誘発性(CD68+)及び抗炎症性(CD163+)マクロファージは、歩行可能な対照マウスで増加したが、炎症誘発性のみは、STEM投与を伴うHU及び回復中に増加した。さらに、STEMは、全ての治療群にわたってコラーゲンターンオーバー及びPax7+細胞を増加させた。筋肉に対するSTEMの細胞自律的な役割を調べるためのフォローアップとして、C2C12筋管に4%のSTEMまたは4%のウマ血清培地を与えて、筋管融合/サイズ、及び筋肉遺伝子ネットワークに対する影響を調べた。STEM治療C2C12筋管は、より大きく、より高い融合指数を有し、細胞外マトリックスリモデリングに関連付けられる定義された経路に関連付けられる遺伝子の発現の上昇に関連していた。結果は、STEMが、様々な老化に関連する状態にわたって骨格筋を改善する翻訳可能性を有し得る、強力な同化、免疫調節、及び細胞骨格リモデリング特性を有する独自のカクテルであることを実証している。
【0009】
薬学的組成物及びそれらを生成する方法が、記載されている。薬学的組成物は、(A)フォリスタチンタンパク質またはそのバリアント、及び(B)フェチュインAタンパク質またはその断片もしくはバリアントを含み得、(B)が、TGF-βに結合することが可能であり、(A)及び(B)の総量が、組成物中の総タンパク質の10%超である。セクレトーム組成物を調製する方法は、トレハロースを含むタンパク質不含培地中で幹細胞を培養することと、試料から上清を採取し、上清を、トレハロースを含む新鮮なタンパク質不含培地と置き換えることと、採取した上清を合わせてセクレトーム組成物を調製することと、を含み得る。
【0010】
前述の要約、ならびに本発明の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて閲読するとより良好に理解されるであろう。本発明は、図面に示される正確な実施形態に限定されないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】様々な実験のタイムラインを示す。
【0012】
図2A】14日間の正常なケージ歩行中の、老化した骨格筋に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
図2B】14日間の正常なケージ歩行中の、老化した骨格筋に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
図2C】14日間の正常なケージ歩行中の、老化した骨格筋に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
図2D】14日間の正常なケージ歩行中の、老化した骨格筋に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
図2E】14日間の正常なケージ歩行中の、老化した骨格筋に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
図2F】14日間の正常なケージ歩行中の、老化した骨格筋に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
【0013】
図3A】14日間の後肢免荷中の、老化した骨格筋に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
図3B】14日間の後肢免荷中の、老化した骨格筋に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
図3C】14日間の後肢免荷中の、老化した骨格筋に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
図3D】14日間の後肢免荷中の、老化した骨格筋に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
図3E】14日間の後肢免荷中の、老化した骨格筋に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
図3F】14日間の後肢免荷中の、老化した骨格筋に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
【0014】
図4A】7日間の回復中の、老化した骨格筋に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
図4B】7日間の回復中の、老化した骨格筋に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
図4C】7日間の回復中の、老化した骨格筋に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
図4D】7日間の回復中の、老化した骨格筋に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
図4E】7日間の回復中の、老化した骨格筋に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
図4F】7日間の回復中の、老化した骨格筋に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
【0015】
図5A】C2C12筋管融合、サイズ、及びRNA配列決定に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
図5B】C2C12筋管融合、サイズ、及びRNA配列決定に対するセクレトームの実験からの結果を示す。
【0016】
図6A】ELISAによって同定されたセクレトームにおいて発現した因子を示す。
図6B】ELISAによって同定されたセクレトームにおいて発現した因子を示す。
図6C】ELISAによって同定されたセクレトームにおいて発現した因子を示す。
【0017】
図7-1】フォリスタチンタンパク質及びそのバリアントの例示的な配列を示す。
図7-2】フォリスタチンタンパク質及びそのバリアントの例示的な配列を示す。
図7-3】フォリスタチンタンパク質及びそのバリアントの例示的な配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で言及される全ての参考文献及び刊行物は、全ての目的のために、それらの全体が参照により明示的に組み込まれる。
【0019】
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別段文脈が明らかに指定しない限り、複数の指示対象を含むことに留意する必要がある。したがって、例えば、「ペプチド」への言及は、複数のペプチドを含む。
【0020】
数値表記、例えば、範囲を含む温度、時間、量、及び濃度の前で使用される場合、「約」という用語は、(+)または(-)10%、5%、または1%変動し得る近似値を示す。
【0021】
図1。実験設計。3つの実験の日数単位での各々の長さ。黒丸は、STEM/PBSの筋肉内注射及び筋力測定が行われた時点を示す。
【0022】
図2A~2F。14日間の正常なケージ歩行中の老化した骨格筋に対するSTEM。パネルは、ベースライン時(治療の前日)、ならびに通常のケージ歩行の13日目(組織採取の前日)に繰り返した、PBS及びSTEM治療マウスの握力(図2A)を表す。正常なケージ歩行の14d後のSTEM及びPBS治療マウスの、ヒラメ筋筋肉量(mg)(図2B)及びヒラメ筋断面積(CSA;um2)(図2C)。正常なケージ歩行の14d後のSTEM及びPBS治療マウスの、ヒラメ筋BCHP/COLIV比(図2D)、ならびにCD68+及びCD163+存在量(図2E)、ならびにPAX7+存在量(図2F)。代表的な免疫組織化学画像を、各パネルの隣に示す。ACは、歩行可能な対照を示す。N=各群に5匹のマウス。結果は、(図2A)で使用した平均2元配置分散分析繰り返し測定値の標準誤差を伴う平均である。PBSとSTEMとの間のT検定。†=全ての群とは異なる。*=PBSとは異なる。
【0023】
図3A~3F。14日間の後肢免荷中の老化した骨格筋に対するSTEM効果。パネルは、ベースライン時(治療の前日)、HU(後肢免荷)の7日目及びHUの13日目(組織採取の前日)に繰り返した、PBS及びSTEM治療マウスの握力(図3A)を表す。HUの14d後の、STEM及びPBS治療マウスにおけるヒラメ筋筋肉量(mg)(図3B)、ならびにPBS及びSTEM治療マウスにおけるヒラメ筋断面積(CSA;um2)(図3C)。HUの14d後のSTEM及びPBS治療マウスの、ヒラメ筋BCHP/COLIV比(図3D)、ならびにCD68+及びCD163+存在量(図3E)、ならびにPAX7+存在量(図3F)。N=各群に5匹のマウス。結果は、平均値の標準誤差を伴う平均である。PBSとSTEMとの間のT検定。***=全てのPBS群は互いに異なる。*=PBSとは異なる。
【0024】
図4A~4F。7日間の回復中の老化した骨格筋に対するSTEMの効果。パネルは、ベースライン時(治療の前日)、HU(後肢免荷)の14日目、及びRLの6日目(再荷重、組織採取の前日)に繰り返した、PBS及びSTEM治療マウスの握力(図4A)を表す。回復の7d後のPBS及びSTEM治療マウスにおける、ヒラメ筋筋肉量(mg)(図4B)及びヒラメ筋断面積(CSA;um2)(図4C)。回復の7d後のPBS及びSTEM治療した歩行可能な対照マウスにおける、ヒラメ筋BCHP/COLIV(図4D)、ならびにCD68+及びCD163+存在量(図4E)、ならびにPAX7+存在量(図4F)。N=各群に5匹のマウス。結果は、(図4A)で使用した平均2元配置分散分析繰り返し測定値の標準誤差を伴う平均である。PBSとSTEMとの間のT検定。***=全てのPBS群は互いに異なる。†=全ての群とは異なる。*=PBSとは異なる。
【0025】
図5A~5B。STEMは、C2C12筋管融合、サイズ、及びRNA配列決定に影響を及ぼす。パネルは、対照(2%及び4%のウマ血清)及び2~24%のSTEM治療C2C12筋管の、筋核融合(%)及び筋管サイズの定量を表す(図5A)(方法を参照されたい)。筋核融合及び筋管面積パーセントについての4%のウマ血清及びSTEMの代表的な画像。(図5B)4%のウマ血清(対照)と比較した4%のSTEM治療筋管における、遺伝子が有意に増加及び減少した火山プロット及び表の上段。結果は、平均1元配置分散分析の標準誤差を伴う平均である。*=実線の下にない全ての群とは異なる。
【0026】
図6A~6C。Multiplex ELISAによって同定されたSTEMにおける上位発現因子。上位に同定された成長因子(図6A)、免疫調節因子(図6B)、及び細胞骨格因子(図6C)。全ての値は、平均値の標準誤差を伴う平均である。値は、3つの別々の試料からMultiplex ELISAを介して得、pg/mlで報告した。分類は、Reactomeを使用して支援した。
【0027】
図7は、フォリスタチンタンパク質及びそのバリアントの例示的な配列である。
【0028】
材料及び方法
動物
National Institute on Aging mouse colonyによって寛大にも提供された22ヵ月齢の30匹の老化した雄C57BL/6(B6)を、PBSまたはSTEM治療群(n=15/群)に分割した。次いで、各治療内のマウスを、3つの実験群:a)歩行可能な対照(14日間の正常なケージ歩行)(CON;n=5)、b)14日間の後肢免荷として定義される廃用(HU;n=5)、またはc)14日間の後肢免荷、続いて7日間の回復として定義される廃用からの回復(回復;n=5)のうちの1つに割り当てた(図1)。自由に餌及び水へアクセスさせて動物を収容し、12時間の明/暗サイクルで維持した。全ての実験手順は、University of UtahのInstitutional Animal Care and Use Committee(IACUC)によって設定されたガイドラインに従って行った。
【0029】
歩行可能な対照及び後肢免荷及び回復実験
ケージ歩行可能な対照を14d間追跡し、2~3匹のマウス/ケージの群に収容した。廃用実験のために、いくつかの追加の改変を伴う、げっ歯類における廃用性萎縮を研究するための従来のMorey-Holton設計に基づく改変した免荷方法(37)を使用して、尾懸垂を介して、動物に後肢免荷を施した(2匹の動物/ケージ)。14日間の後肢免荷に続いて、動物を5時間絶食させ、次いで組織分析のために安楽死させた。廃用からの回復実験では、動物に14dの後肢免荷を施し、その後、懸垂装置から取り外し、次いで、7日間の歩行可能性回復のために個々のケージに収容した。マウスが栄養失調または脱水症に起因する過度の体重損失を経験していないことを確実にするために、各実験の間、隔日に体重を監視した。各治療群の完了時に、左右の後肢からの下肢三頭筋群(ヒラメ筋、足底筋、腓腹筋)を慎重に解剖し、秤量し、免疫組織化学の準備をし、液体窒素冷却イソペンタン中で瞬間凍結させた。
【0030】
STEMの特徴評価及び投与
STEMは、免疫調節、細胞骨格リモデリング、及び成長因子媒介性同化シグナル伝達に関与する多数の因子で構成される部分分化胚性幹細胞に由来するセクレトームバイオロジクスである。部分分化多能性幹細胞によって分泌される因子を含有する、USPグレードのタンパク質、アミノ酸、ビタミン、及びミネラルの滅菌及び非発熱性水溶液である。溶液は、生細胞、または任意の細胞断片を含有せず、細胞の可溶性分泌物のみを含有する。因子は、Quantibody Multiplex ELISAプラットフォーム(ヒトサイトカインアレイQ440)を使用して、第三者(RayBiotech)によって3つの独立した試料において決定した。各群における標的の測定量をピコモル(pmol/mL)に変換し、各群について平均化した。図6は、セクレトームにおいて高度に発現された、測定された因子を列挙する。因子は、Reactomeを使用して分類した。
【0031】
多能性幹細胞は、ABSTEM(FUJIFILM Irvine Scientific)を使用して、動物性物質を含まない試薬及び組換え成長因子(bFGF及びアクチビンA)を使用するGMP条件で増殖させる。増殖の後、成長因子を除去し、2日後に、培養物を、4.7%のトレハローゼ、及びUSPグレードの塩、アミノ酸、ビタミン、及び緩衝液を含有する、あつらえたタンパク質不含培地に曝露させる。培養上清を毎日収集し、新鮮な培地と置き換える。7日間にわたって収集した生成物をプールして均質化し、次いで、0.22um滅菌膜フィルターに通して濾過する。濾過した生成物に、1kDaのカットオフ膜を用いてタンジェンシャルフロー濾過を施し、体積を100倍低減する。次いで、BCAアッセイ及び定量的ELISAを使用して、タンパク質濃度を50ug/mLのフォリスタチンに対して標準化する。フォリスタチンは、ミオスタチンの周知のアンタゴニストであり、筋肉成長の促進因子である。フォリスタチンタンパク質及びそのバリアントの配列を、図7に列挙する。フォリスタチン及びフォリスタチンバリアント配列を、以下の表1に列挙する。シグナル配列は除外しており、フォリスタチン-N末端ドメインには下線を引いている。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0032】
フェチュインAを多量に添加した組成物の分析は、TGFb/BMP結合ドメインを有する多機能分子(https://escholarship.org/content/qt59r439q2/qt59r439q2_noSplash_a6f18bfe32c670e635cee8e229ba7cd2.pdf)が、TGFb1及びBMP2活性を阻害し、Caに対して特定の親和性を有するミネラル結合ドメインを有することを明らかにし、したがって、Caリザーバまたは石灰化防止構造とみなされる。TGFb及びBMP2を阻害することによって、フェチュインAは、骨格筋分化を促進することができる(http://genesdev.cshlp.org/content/15/22/2950.abstract)(https://bmcdevbiol.biomedcentral.com/articles/10.1186/1471-213X-11-44)。フェチュインAタンパク質アイソフォームを、以下の表2に列挙する。シグナル配列は除外しており、TGF-ベータ結合ドメインには下線を引いている。
【表2-1】
【表2-2】
【0033】
STEM組成物中に見出される他の筋形成アゴニスト及びアンタゴニストは、以下の表3及び表4に含まれる:
【表3】
【表4】
【0034】
筋肉の成長及び分化についてのアゴニストとアンタゴニストとのモル比は、3つの異なる製造ロットで平均6.65:1であった。筋肉再生のためにSTEMを使用するための理論的な指標に対して行った、筋形成誘発性因子の優位性。
【0035】
Dumont and Frenetteによって報告されたのと同様の注射戦略(38)を使用して、PBSまたはSTEMのいずれか(2μLのSTEM/100μLのPBS)の100μlの筋肉内注射を、各治療群に1日おきにマウスの右下肢三頭筋群に投与した。歩行可能な対照及び後肢免荷マウスは、それぞれの14日間の治療群期間にわたって合計6回の注射を受けた。筋肉の回復/再成長に対するSTEMの効果を効果的に調べるために、後肢免荷及び回復を施したが、治療の7日間の回復フェーズ中にのみ送達された動物に、合計3回の注射を与えた。安楽死させる前日に、全てのマウスに最終治療注射を施して、急な治療効果を回避した。
【0036】
後肢免荷及び回復
後肢免荷及び再荷重群には、いくつかの追加の改変を伴う、げっ歯類における廃用性萎縮を研究するための従来のMorey-Holton設計に基づく改変した免荷方法(38)を使用して、尾懸垂を介して、動物に後肢免荷を施した(2匹の動物/ケージ)。マウスが栄養失調または脱水症に起因する過度の体重損失を経験していないことを確実にするために、隔日に体重を監視した。14日間の後肢免荷に続いて、動物を5時間絶食させ、次いで組織分析のために安楽死させた。マウスの別々の群では、動物に14dの後肢免荷を施し、その後、懸垂装置から取り外し、次いで、7日間の歩行可能性回復のために個々のケージに収容した。ケージ歩行可能な対照を14d間追跡し、2~3匹のマウス/ケージの群に収容した。各治療群の完了時に、左右の後肢からの下肢三頭筋群(ヒラメ筋、足底筋、腓腹筋)を慎重に解剖し、秤量し、免疫組織化学の準備をし、液体窒素冷却イソペンタン中で瞬間凍結させた。
【0037】
握力
全身筋力を評価するために、げっ歯類握力計(Columbus Instruments,Columbus OH)での握力分析をマウスに施した。マウスに、前肢及び後肢で力変換器グリッドを握らせ、同じ研究者によってグリッドを横切って尾を優しく引っ張った。5秒の休止期間を伴う5回の反復を平均して、各動物の握力を決定した。歩行可能な対照マウスでは、PBSまたはSTEM治療を開始する前日、及び組織採取の前日の13日目の2回、握力を決定した。廃用実験マウスを、治療の前日、7日目、及び再び組織採取の前日の13日目の3回、試験した。廃用からの回復実験マウスも、後肢免荷の前日、後肢免荷の終了時、及び回復期間の6日目の3回、試験した(図1)。注射の交絡作用を回避するために、全ての測定は注射の前に行った。
【0038】
免疫蛍光
OCTに埋入させ、液体窒素冷却イソペンタン中で凍結することによって、右(治療済み)ヒラメ筋を組織学のために準備した。いくつかの冷凍切片を10μmの厚さで切断し、細胞膜(ラミニンまたはジストロフィン(1:100;Santa Cruz Biotechnology、Dallas,TX))を使用して、筋線維断面積(CSA)を染色するために使用した。ImageJソフトウェアとともにMATLAB(登録商標)アプリケーション(SMASH)である組織学的セグメンテーションを伴う半自動筋肉分析を使用して、筋線維CSAを測定した(25、39)。マクロファージ存在量を評価するために、一次抗体抗ラットCD68(炎症誘発性様、1:100 Bio-Rad、Hercules,CA)、及び抗ウサギCD163(抗炎症性様、1:100、Bio-Rad、Hercules,CA)を使用した。抗ラット二次抗体(1:250、AF555、Invitrogen)、抗マウス二次抗体(1:500、A488、Invitrogen)、及び抗ウサギ二次抗体(1:500、AF647、Invitrogen)を適用し、次いで、DAPI含有実装媒体(Vector)に実装した。Pax7(1:1000、Cell Signaling、Danvers,MA)を使用して、筋衛星細胞を染色した。線維症を評価するために、ビオチンコラーゲンハイブリダイジングペプチド(1:100、コラーゲン分解のためのBCHP-マーカ、3Helix、Salt Lake City,UT)及びコラーゲンIV(1:100、コラーゲン合成のためのCOLIV-マーカ、Abcam、Cambridge,MA)を使用して、凍結切片を染色した。これら2つの染色の比は、全体的なコラーゲンターンオーバー、したがって筋肉の線維化の指標である。全ての染色スライドは、10倍または20倍対物レンズを備えた全自動広視野光学顕微鏡(Nikon、Tokyo,Japan)で観察した。高感度Clara CCDカメラ(Belfast,UK)を使用して、画像を撮影した。
【0039】
C2C12筋形成指数、筋線維サイズ、及びRNA配列決定
C2C12筋芽細胞を6つのウェルプレートに配置し、約95%のコンフルエンシーを達成したら、2%のウマ血清及びペニシリン/ストレプトマイシンを補充した分化培地DMEMを5日間使用して、筋芽細胞を筋管へと分化させた。5日間の完了時に、分化培地を除去し、24時間の間、ウマ血清の代わりに様々なパーセンテージのSTEM(2、4、8、12、及び24%)を含有する培地と置き換えた。対照ウェルは、2%のウマ血清または4%のウマ血清を含有する普通の分化培地のいずれかを含有した。血清を含まない対照も利用した。24時間後、細胞を固定し、MF20(DSHB、Iowa City,Iowa)及びDAPIを使用して染色した。次いで、University of Utah Imaging Core施設のNikon Eclipse Ti広視野走査顕微鏡で、細胞を撮像した。各ウェルについて10×10の視野画像を得、ImageJ(NIH,Bethesda,MD)を使用して分析した。筋核融合は、画像視野における、筋管内の核/全核として定義する。筋管面積パーセントは、筋管によって覆われた画像の面積パーセントとして定義した。
【0040】
対照として4%のウマ血清、及び4%のSTEMを利用した別々の細胞群を、ウェル当たり1mlのキアゾールを使用して総RNAについて収集し、(miRNAeasy Mini Kitを使用して)精製した。次いで、RNAをTURBO DNase(ThermoFisher)で処理し、RNA Clean and Concentrator 5 Columns(Zymo Research)を使用して精製した。Illumina TruSeq Stranded Total RNA Library Prep Ribo-Zero Gold(Genome Builds mm10、M_musculus_Dec_2011、GRCm38)でライブラリを調製し、Illumina NovaSeq Reagent Kit v1.5 150×150bp Sequencing(100M読み取り対)を使用してRNAを配列決定した。
【0041】
統計分析及びバイオインフォマティクス分析。
結果は、平均±標準誤差として報告する。必要な場合、反復測定を伴うT検定、1元配置分散分析、または2元配置分散分析を採用した。適切な場合、TukeyまたはStudent-Newman-Keuls方法で、事後分析を実施した。全ての分析では、許容される有意性のレベルをp<0.05に設定した。統計分析は、Prism GraphPad 7(GraphPad Software Inc.、La Jolla,CA)を使用して実施した。RNA配列決定には、DESeq2バージョン1.26.00で5%の偽発見率を使用して、差異的に発現された遺伝子を同定した。データは、Gene Expression Omnibusに見出すことができる。火山プロットは、Y軸上に-Log10(調整済みP値)を取り、X軸上にLog2倍率変化に対してプロットすることによって生成した。上位20の有意に減少した遺伝子、及び上位20の増加した遺伝子を、全ての有意に変化した転写物(調整済みP値≦0.05)を採用し、次いでlog2倍率変化によって選別することによって同定した。値は、表に提示するためにlog 2から変換した。
【0042】
結果
歩行可能な対照マウスにおけるヒラメ筋及び筋力に対するSTEMの効果
1つの目標は、老齢マウスにおける14日間の正常なケージ歩行中の後肢の筋肉量及び筋力に対するSTEMの影響を決定することであった。廃用中の筋萎縮に対するその感受性、及び第2に、我々の実験の過程の間、STEMによって影響を最も受けた筋肉であったことに起因して、ヒラメ筋を調べた(例えば、足底筋のサイズはSTEMで増加した一方で、腓腹筋は影響を受けなかった)。驚くべきことに、14日間の正常なケージ歩行の過程にわたって単一の肢へのSTEM送達は、ベースラインレベルを上回って全身握力を増加させた(p=0.008)(図2A)。さらに、STEMは、PBS治療マウスを上回ってヒラメ筋筋肉量を増加させた(p=0.0001)(図2B)。ヒラメ筋筋肉量の増加と一致して、STEMはまた、線維断面積(CSA)を増加させた(p=.02)(図2C)。さらに、STEMは、BCHPを増加させ、COLIVを減少させ(データは示さず)、BCHP/COLIV比の増加を生じ(p=004)(図2D)、全体的なヒラメ筋コラーゲン含有量の減少を示唆している。
【0043】
次に、STEMカクテル独自の免疫調節組成を考慮して、治療が、ヒラメ筋の炎症誘発性及び抗炎症性様マクロファージに影響を及ぼしたかどうかを決定した。凍結切片の免疫染色は、STEMが、CD68+/DAPI+細胞(炎症誘発性M1様マクロファージ)(p=0.0002)及びCD163+/DAPI+(抗炎症性M2様マクロファージ)(p=0.0002)マクロファージサブタイプを増加させたことを示した(図2E)。さらに、STEMは、PBSと比較して、歩行可能な対照マウスにおけるPax7+細胞含有量を3倍にした(p=0.0001)(図2F)。まとめると、これらの結果は、老化したマウスにおける14日間のケージ歩行中に、STEMが、ヒラメ筋のサイズ、筋力を改善し、筋線維症を低減し、マクロファージ浸潤を増加させ、Pax7+細胞を増加させたことを示唆している。
【0044】
後肢免荷中のヒラメ筋及び筋力に対するSTEMの効果
第2の実験は、STEM投与が、筋萎縮及び筋衰弱を軽減するかどうかを決定し、これを、14日間の後肢免荷の結果としてモデル化する。後肢免荷の14日後、PBSで治療したHUマウスと比較すると、STEM治療は、7及び14日HUの握力の損失を完全に防止することが見出された(p=0.004)(図3A)。同様に、STEM治療は、HU中のヒラメ筋萎縮を防止した(p=0.006)(図3B)。筋肉量データと一致して、STEMは、PBSと比較して、ヒラメ筋における線維CSA萎縮を減衰させた(p=0.002)(図3C)。STEMはまた、BCHPを増加させ、COLIVを減少させ(データは示さず)、これは、HUマウスのヒラメ筋におけるBCHP対COLIVの比の増加をもたらす(p=0.04)(図3D)。最後に、実験マウスのSTEM注射は、PBS治療と比較すると、体重に影響を与えなかった(データは示さず)。これらの結果は、STEMが、廃用誘発性萎縮を軽減し、老化したヒラメ筋のコラーゲンターンオーバーを改善することが可能であることを実証している。
【0045】
次に、STEMが免荷筋肉におけるマクロファージ浸潤及びPax7細胞含有量を調節したかどうかを決定した。STEMは、PBS治療HUマウスと比較して、ヒラメ筋におけるCD68+/DAPI+細胞(炎症誘発性M1様マクロファージ)を増加させた(p=0.0009)が、CD163+/DAPI+細胞(抗炎症性M2様マクロファージ)を増加させなかったことが見出された(図3E)。最後に、HU中のPBS対照と比較すると、STEMが、ヒラメ筋におけるPax7+細胞含有量を2倍にした(p=0.0004)ことが決定された(図3F)。まとめると、これらの結果は、STEMが、廃用性萎縮中の老化したヒラメ筋において炎症誘発性マクロファージを増加させながら、また、総衛星細胞(Pax7+)含有量を増加させることが可能であることを示唆している。
【0046】
廃用後のヒラメ筋及び筋力の回復に対するSTEMの効果
次に、STEMが、廃用性萎縮(14日間のHU)後の筋肉及び筋力の回復を向上するかどうかを決定した。7日間の回復過程にわたるSTEMのわずか3回の筋肉内注射で、握力が、ベースラインレベルまで完全に回復し(p=0.0001)、PBS治療群とは対照的であった(図4A)。さらに、STEMは、PBS治療マウスと比較して、ヒラメ筋筋肉量を回復させた(p=0.001)(図4B)。筋肉量データと同様に、STEMは、PBS治療マウスを上回ってヒラメ筋線維CSA(p=0.003)を増加させ(図4C)、第1の実験からの歩行可能な対照マウスの線維CSAと同様であった。STEMはまた、BCHP/COLIVの比の増加(p=0.0009)によって留意された、コラーゲンの蓄積を低減し(図4D)、これは、再びBCHPの増加及びCOLIVの減少に起因した(データは示さず)。これらの結果は、STEMが、老化したヒラメ筋筋肉量を改善し、廃用性萎縮からの回復中に筋線維の成長を促進したことを実証している。追加的に、STEMは、コラーゲンターンオーバーを増加させ、コラーゲン含有量における全体的な正味を減少させたように思われた。
【0047】
最後に、廃用から回復中の筋肉マクロファージ及び衛星細胞に対するSTEMの効果を調べた。PBS治療マウスと比較すると、STEMは、7日間の回復中のヒラメ筋ではCD68+/DAPI+細胞(炎症誘発性M1様マクロファージ)を増加させた(p=0.0056)が、CD163+/DAPI+細胞(抗炎症性M2様マクロファージ)は増加させなかった(図4E)。STEMはまた、PBS治療マウスと比較すると、7日間の回復中に、マウスのヒラメ筋におけるPax7+細胞を2倍にした(p=0.0005)(図4F)。まとめると、これらの結果は、STEMが、回復中の老化した筋肉において、マクロファージ浸潤を増加させ、衛星細胞プールを向上したことを実証している。
【0048】
C2C12筋管融合及びサイズに対するSTEMの影響
骨格筋に対するSTEMの独立した効果をさらに評価するために、5日間の分化後のC2C12筋管に、変動する濃度のSTEMを施した。対照(2%及び4%のウマ血清培地ならびに血清を含まない培地)と比較すると、2、4、8、及び12%のSTEMでの、筋核融合(プレート当たりの筋管における核のパーセンテージ)(p=0.0001)及び筋管面積パーセント(サイズ;p=0.0002)の堅牢な誘発が留意された(図5A)。これらの結果の代わりに、4%のウマ血清を対照として、4%のSTEMを治療群として使用した、C2C12筋管の別々のコホートで実験を繰り返し、STEMが、分子レベルでC2C12にどのように影響を与え得るかについての洞察を提供するためにRNA配列決定分析を実施した。STEMは、細胞成長及び細胞外マトリックスのリモデリングに関連する転写プログラムを誘発することが見出された(図5B)。制御された留意すべき遺伝子は、コラーゲン合成、分解、及び成長因子(IGF結合タンパク質3、Col23a1、Col14a1、Mt2、Mt1、及びFmod)に関係していた。全体的に、これらの結果は、成長因子に関連する遺伝子の制御及び細胞外マトリックスリモデリングの促進を通じて、STEMが、C2C12筋管における筋形成を改善したことを示唆している。
【0049】
考察
STEMは、老化したマウスにおいて、わずか7日の回復の後に、廃用中のヒラメ筋筋肉量及び線維断面積の損失を減弱させながら、また、量及び断面積を増加させることが見出された。さらに、これらの所見は、改善された握力及び筋肉コラーゲンターンオーバーによって裏付けられた。STEMの独自のセクレトーム組成物は、全ての治療群にわたる筋肉マクロファージの浸潤の増加及び衛星細胞の蓄積によって留意されるように、免疫調節が可能であることも見出された。最後に、筋細胞培養実験では、STEMは、筋管のサイズ及び融合に強力な効果を有しながら、また、堅牢な細胞外マトリックスリモデリングによって留意される転写シグネチャを促進することが示された。まとめると、これらの結果は、STEMが、老化したマウスにおいて、廃用及び回復中の筋肉サイズ及び筋力を向上し、線維症を低減することができる、新規の治療薬であることを示唆している。
【0050】
骨格筋は、荷重刺激の変化に応答して、そのサイズ及び機能的能力を調節することが可能な、高度に適応性のある組織である(40)。後肢免荷によって誘発されるげっ歯類における筋肉廃用は、堅牢な萎縮及び衰弱を誘発し、ヒトにおける廃用性萎縮及び回復をモデル化するために頻繁に使用される(1、3、10、41)。老化は、廃用中の筋肉量損失を加速させない(42、43)が、老化は、そのような損傷後の回復を悪化させ(43~45)、特に、虚弱及びサルコペニアなどの、低い筋肉リザーブを有する老化した個人には懸念事項である。限定的な筋肉サイズ及び筋機能的リザーブは、生活の質の減少をもたらし得るので、これらの障害は、深刻な予想外の結果を有し得る(45)。本明細書で論じられる主要な所見は、STEM投与が、様々な老化に関連する状態のヒラメ筋筋肉量及び断面積を増加させること:歩行可能な対照の老化したマウスにおいて、2週間後にヒラメ筋サイズを増加させること、廃用性萎縮を鈍らせること、及び回復中に筋肉サイズを増幅させることが可能であることを実証しており、これらの全てが、サルコペニア、筋肉廃用、及び廃用からの回復後の老化に関連する障害に対する適用性を有する。興味深いことに、全身握力は、全ての治療群にわたって改善された。これは、STEMが単一の肢に筋肉内に投与されたにもかかわらず、循環器への拡散を通じて全身的効果が生じ得ることを示唆している。さらに、インビトロ分析は、ウマ血清対照と比較すると、STEMが、筋管肥大及び融合を誘発することによって、筋肉に直接影響を与えることができることを実証した。フォリスタチン、インスリン、IGF結合タンパク質2、及びIGF結合タンパク質-6などの成長因子のSTEMの様々な組成(方法の表を参照)(46~50)を考慮すると、この化合物が肥大を促進することが可能であったことは論理的である。
【0051】
別の主要な所見は、3つ全ての実験において、STEMが、筋肉コラーゲンターンオーバーを増加させ(したがって線維症を低減し)、炎症誘発性様マクロファージ浸潤を増加させたことであった。老化した骨格筋の一般的な不具合は、コラーゲン含有量の上昇であり、これが、廃用性萎縮からの機能障害及び再成長に寄与すると広く考えられている(11、12、51、52)。最近のエビデンスは、老化した免疫系が、廃用及び回復中の両方の骨格筋の障害に寄与し得ることを示唆している(22、23、25、52)。常在する炎症誘発性の機能不全及び抗炎症性マクロファージの蓄積は、老化した骨格筋の不十分なリモデリングを強調し得る(22、23、25)。炎症誘発性様マクロファージは、衛星細胞増殖を増加させ、筋芽細胞分化を阻害する特定のサイトカインプロファイルを分泌する(53~55)。他方では、抗炎症性マクロファージは、筋芽細胞分化を促進し、増殖を阻害しながら(54、56)、また、コラーゲン合成を増加させるサイトカイン及び成長因子を分泌する(57)。さらに、抗炎症性マクロファージは、老化した筋肉において、衛星細胞がより線維化誘発性の表現型に移行することを促進する(19、21、22)。この研究では、STEMが、全ての実験治療群にわたって、Cd68+炎症誘発性様マクロファージを増加させることが実証された。これは、健康な骨格筋及び老化した骨格筋における炎症誘発性マクロファージ浸潤を向上し、したがって、廃用及び損傷からの筋肉の再成長を向上するのに有効である、免疫療法の成功と言える(58~60)。これらの所見は、廃用及び回復中のSTEM投与が、炎症誘発性マクロファージの浸潤を促進し、コラーゲンターンオーバーの増加及び全体的な線維化筋肉の低下に関連し得ることを示唆している。STEMで治療されたC2C12筋管におけるトランスクリプトーム分析はまた、骨格筋リモデリング及びコラーゲン合成に関連する遺伝子ネットワークにおける明らかな変化を裏付けている。STEMの投与によるマクロファージの浸潤は、様々なサイトカイン及び免疫細胞調節分子がカクテル中に存在する証拠である。調べた唯一の免疫細胞はマクロファージであったが、カクテルは、筋肉再成長に重要な多数の免疫細胞(例えば、好中球、T細胞)を調節することによって、間接的に筋肉に影響を及ぼし得る。
【0052】
最後に、STEM投与は、全ての治療群にわたって、老化した筋肉におけるPax7+細胞の総量を堅牢に増加させることが見出された。衛星細胞は、損傷後の骨格筋の維持及び再生に不可欠であり、老化中の骨格筋では低減しているかまたは機能不全である(61~63)。最近の研究では、筋肉幹細胞環境の調節因子として、老化中の免疫系が強調されている(22)。例えば、若いマウスへの古い骨髄細胞の移植は、骨格筋Pax7+細胞を減少させ、それらをより線維性の細胞系統に向かって偏らせた(22)。したがって、マクロファージ観察と組み合わせると、これらの結果は、STEMが、老化した骨格筋免疫細胞を調節し、それによって、筋肉微小環境及び衛星細胞ニッチを改善し得ることを示唆している。
【0053】
要約すると、本明細書で論じられる結果は、セクレトームであるSTEMが、廃用性萎縮及び回復中の老化した骨格筋の筋肉量及び筋力を改善したことを示唆している。正確な作用機序を決定することは困難であるが、STEMの独自の同化及び筋形成誘発性成長因子特性、ならびにサイトカインプロファイルは、コラーゲンターンオーバーに影響を与える可能性があり得る、免疫細胞及び衛星細胞を調節し得る。STEMはまた、他の後肢筋肉群と比較して、ヒラメ筋において単離された利点を有することが見出された。STEMは、インスリン及び成長因子に対する筋肉の感受性(64~66)、ならびに高いマクロファージ含有量(67)に起因して、優先的にヒラメ筋を標的とし得るが、歩行可能な対照マウス及び廃用性萎縮中の足底筋サイズ(腓腹筋ではない)において、STEM治療によるいくつかの改善が留意された。これは、老化中の筋肉の将来の治療薬としてSTEMを前進させるために、投与及び送達アプローチのさらなる最適化が必要であろうことを示唆している。
【0054】
STEM構成成分の定量的評価
【0055】
標準化された製造方法によって生成した3ロットのSTEMの試料を、Multiplex ELISAアッセイのために第三者研究機関に送った。アッセイは、Quantikineアレイを使用し、作業は、RayBiotechによるGLPの下で実施した。成長因子、サイトカイン、ケモカイン、酵素、及び細胞外マトリックス構成成分を含む合計400の標的を分析した。RayBiotechによって実施されたMultiplex ELISAの結果を、表5に含める。
【0056】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【0057】
タンジェンシャルフロー濾過(TFF)による濃縮を施した3つの追加のロットからの試料を、フォリスタチン、フェチュインA、及びアクチビンAについて特定のELISAキットを使用してさらに試験した。標準に対して2回の反復及び各試料に対して3回の反復を使用して、ELISA試験を実施した。結果を、表6に提示する。
【0058】
【表6】
【0059】
効力アッセイ
STEMの筋形成誘発性効果は、理論的には、フォリスタチンなどの筋形成誘発性因子におけるその含有量に起因し得る。これらの因子は、一般に、アクチビンAのアンタゴニストであり、したがって、STEMバッチの効力を試験するための簡単なアッセイは、MPC-11細胞株などの感受性細胞株におけるアクチビンA中和を評価することである。アッセイ開発は、アッセイに最も応答した細胞密度を見出すことを含んだ。典型的なSTEMロットによって中和されたアクチビンA範囲を使用して、アクチビンA IC50を決定し、これをさらに、STEMのアクチビンA中和単位に翻訳することができた。
【0060】
実行のために、アッセイは、代謝的に活性な細胞の存在をシグナル伝達するATPの存在の定量化に基づいて、培養物中の生存細胞の数を決定する、Promega CellTiter Gloの均質な方法を使用した。
【0061】
MPC11供給培地中1:10のSTEM(9mLの供給培地及び1mLのSTEM)を使用して、完全な培地を作製した。主にMPC-11培養物からの細胞懸濁液の試料を、Nexcelom AO/PI標準化アッセイを使用して計数を施した。主な培養物は、2.82×10個の生存細胞/mLを含有し、100万個の細胞を含有する体積(約30mL)を抽出し、300Gで5分間遠心分離した。ペレットを2.4mLの培地に再懸濁させ、様々な濃度で細胞を試験プレートにプレーティングし、COインキュベーター内で4日間成長させた。
【0062】
【表7】
【0063】
細胞の各濃度としては、400ng/mLのアクチビンAストック溶液を使用し、1:3の希釈進行で連続希釈した、0.001ng/mL~120ng/mLの範囲のアクチビンAを試験した。
【0064】
CellTiter Gloアッセイは、製品指示に従って、及びPromega Glomax Explorerマイクロプレートリーダーによって提供されるアッセイテンプレートを使用して、実施した。
【0065】
結果
最良のアッセイ感度(細胞生存率に比例する最大発光)を、ウェル当たり5,000個の細胞を使用して見出した。他の2つの群(ウェル当たり10,000及び20,000個の細胞)は、細胞濃度に比例して発光が減少した。これは、細胞密度が高いことが、一般に、培養条件を限定する要因であったことを示唆している。
【0066】
【表8】
【0067】
アクチビンAに対するフォリスタチンの中和モル比は2:1であることが知られている。アクチビンAの分子量は26.2kDaであり、フォリスタチンの分子量は31.7kDaである。したがって、アッセイにおけるフォリスタチンの理論的な中和量を、表9に提示する。
【0068】
【表9】
【0069】
アッセイ結果をELISAによる定量的フォリスタチン測定と比較すると、MPC-1アッセイに示されるその生物学的活性とELISAによるその定量的測定との間に大きな相違が存在した(表6を参照されたい)。
【0070】
重要な所見は、STEMと組み合わせたアクチビンAが、約3.7ng/mLの刺激誘発性ピーク、次いで約20ng/mLのIC50を有する阻害効果の、二相効果を有することである。
【0071】
結論
決定された同等なフォリスタチン生体活性は、定量的ELISAによって決定された量よりもはるかに大きい。
【0072】
STEMと低濃度のアクチビンAとの組み合わせは、MPC-11細胞に予想外の刺激効果を有した。
【0073】
このデータは、フォリスタチンが、MPC-11細胞系に対するSTEMの生物学的効果を担う唯一の構成成分ではないことを示唆している。この所見は、個々の構成成分ではなく、全体としてのSTEMに基づく評価を裏付けている。
【0074】
この所見はまた、治療用量のSTEMが、インビボで存在する少量のアクチビンAによって増強され得ることを示唆しており、これは、比較的低用量のSTEMが有意な生物学的効果を発揮した、以前の動物実験で観察された効果を説明し得る。
【0075】
本主題の様々な態様は、以下の実施形態の相互関係及び互換性に重点を置いて、これまでに記載された実施形態を検討し、及び/またはこれを補完するために以下に記載される。言い換えれば、実施形態の各特徴は、別段明示的に記載されない限り、または論理的に妥当である限り、各全ての他の特徴と組み合わせることができるという事実に重点が置かれている。本明細書に記載の実施形態は、図面を明示的に参照することなく、以下の段落で再び記述及び拡張されている。
【0076】
多くの方法では、セクレトームを調製する方法が記載されている。方法は、bFGF及びアクチビンAを含む培養培地中で多能性幹細胞を増殖させるステップと、トレハロースを含むタンパク質不含培地に多能性幹細胞を曝露させるステップと、培養上清を毎日採取し、トレハロースを含む追加のタンパク質不含培地と置き換えるステップと、採取した培養上清を合わせて、合わせた培養上清のプールを形成するステップと、合わせた培養上清のプールを均質化して、均質化された合わせた培養上清のプールを形成するステップと、均質化された合わせた培養上清のプールを膜フィルターに通して濾過して、濾過された均質化された合わせたプールを形成するステップと、を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、多能性幹細胞は、約3日間~約7日間増殖され得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、タンパク質不含培地中のトレハロースの濃度は、約5%~約25%である。
【0079】
いくつかの実施形態では、培養上清は、毎日採取され、約1日間~約10日間、トレハロースを含む追加のタンパク質不含培地と置き換えられる。
【0080】
いくつかの実施形態では、方法は、タンジェンシャルフロー濾過を使用して濾過された均質化された合わせたプールの体積を低減するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、タンジェンシャルフロー濾過による体積低減は、50:1~100:1である。いくつかの実施形態では、タンジェンシャルフロー濾過は、1~5kDaのカットオフ膜を利用する。
【0081】
多くの実施形態では、本明細書に記載の方法によって得られるセクレトーム組成物が記載されている。
【0082】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも2つの筋形成アゴニストを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、フェチュインA、フォリスタチン、及びフォリスタチン様-1からなる群から選択される少なくとも2つの筋形成アゴニストを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アゴニストは、フォリスタチン、フォリスタチンバリアント、またはフォリスタチンの断片を含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アゴニストの合わせた濃度は、約1~約20pmol/mLである。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アゴニストは、OPN、IGFBP-4、MMP-1、TSP-1、GROa(CXCL1)、MMP-10、bIG-H3、hCGb、RGM-B、VEGF、Cripto-1、HGF、BMP-5、bFGF、IGF-2、PDGF-AA、FGF-19、WISP-1のうちのいずれか1つ以上、またはそれらの組み合わせをさらに含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、生細胞は、セクレトーム組成物から除去されている。
【0084】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも2つの筋形成アンタゴニストをさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約1pmol/mL未満の少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの濃度を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アンタゴニストは、アクチビンA及びTGFb1を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アゴニスト対少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの濃度の比は、約4:1~約8:1である。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アゴニスト対少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの濃度の比は、約5:1~約8:1である。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アゴニスト対少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの濃度の比は、約5:1~約200:1である。
【0086】
多くの実施形態では、本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかに記載のセクレトーム組成物と、薬学的に許容される担体と、薬学的に許容される防腐剤と、を含む、薬学的組成物が記載されている。
【0087】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、7.0~7.8のpHを有する生理学的緩衝液である。
【0088】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される防腐剤は、トレハロースである。
【0089】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、凍結乾燥方法によって保存された粉末である。
【0090】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、ガンマ線照射によって滅菌される。
【0091】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、単回用量ガラス容器に充填されるか、または単回用量シリンジを使用する準備ができている。
【0092】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、コルチコステロイドをさらに含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、アナボリックステロイドをさらに含む。
【0094】
多くの実施形態では、筋肉を治療するための方法も記載されている。方法は、前述の特許請求の範囲のうちのいずれかまたは適用の他の箇所に記載の組成物を対象に投与することを含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、組成物は、注射によって投与される。いくつかの実施形態では、注射は、筋肉内、静脈内、または皮下に投与される。
【0096】
いくつかの実施形態では、組成物は、1回、毎日、毎週、または毎月投与される。
【0097】
多くの実施形態では、筋肉を治療するための方法が記載されている。方法は、部分分化胚性幹細胞由来の治療有効量のセクレトームであって、セクレトームが、少なくとも約5:1の比で筋形成アゴニスト及び筋形成アンタゴニストを含み、筋形成アゴニストが、フェチュインAを含む、セクレトームと、薬学的に許容される担体と、を含む、組成物を対象に投与するステップを含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、セクレトームは、bFDF及びアクチビンAを含む細胞培養培地中で部分分化胚性幹細胞を培養することによって得られる細胞条件培地の形態であり、生細胞が、除去されている。
【0099】
いくつかの実施形態では、セクレトームは、約5~約15pmol/mL、あるいは約1~約20pmol/mLの濃度でフェチュインAを含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、筋形成アゴニスト対筋形成アンタゴニストの比は、約4:1~約8:1、あるいは約5:1~約7:1、あるいは約6:1~約7:1、あるいは約5:1~約50:1、あるいは約5:1~約100:1、あるいは約5:1~約150:1、あるいは約5:1~約200:1である。
【0101】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、PBSである。
【0102】
いくつかの実施形態では、組成物は、約1pmol/mL未満の筋形成アンタゴニストの濃度を有する。いくつかの実施形態では、筋形成アンタゴニストは、アクチビンAを含む。いくつかの実施形態では、筋形成アンタゴニストは、TGFb1を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、筋形成アゴニストは、フォリスタチン、GROa、オステオポンチン(OPN)、IGFBP-4、及び/またはMMPタンパク質(MMP-10など)をさらに含む。
【0104】
多くの実施形態では、少なくとも5:1の比で筋形成アゴニストと筋形成アンタゴニストとの混合物を含む、胚性幹細胞に由来するセクレトームが記載されており、筋形成アゴニストが、フェチュインAを含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、セクレトームは、bFDF及びアクチビンAを含む細胞培養培地中で部分分化胚性幹細胞を培養することによって得られる細胞条件培地の形態であり、生細胞が、除去されている。
【0106】
いくつかの実施形態では、生細胞は、細胞条件培地から除去されている。
【0107】
いくつかの実施形態では、セクレトームは、約5~約15pmol/mL、あるいは約1~約20pmol/mLの濃度でフェチュインAを含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、筋形成アゴニスト対筋形成アンタゴニストの比は、約4:1~約8:1、あるいは約5:1~約7:1、あるいは約6:1~約7:1、あるいは約5:1~約50:1、あるいは約5:1~約100:1、あるいは約5:1~約150:1、あるいは約5:1~約200:1である。
【0109】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、PBSである。
【0110】
いくつかの実施形態では、筋形成アンタゴニストは、アクチビンAを含む。いくつかの実施形態では、筋形成アンタゴニストは、TGFb1を含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、筋形成アゴニストは、フォリスタチン、GROa、オステオポンチン(OPN)、IGFBP-4、及び/またはMMPタンパク質(MMP-10など)をさらに含む。
【0112】
多くの実施形態では、筋肉を治療するための方法が記載されている。方法は、部分分化胚性幹細胞由来の治療有効量のセクレトームであって、セクレトームが、フェチュインA、IGFBP4、アクチビンA、及びフォリスタチンを含む、セクレトームと、薬学的に許容される担体と、を含む、組成物を対象に投与するステップを含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、セクレトームは、bFDF及びアクチビンAを含む細胞培養培地中で部分分化胚性幹細胞を培養することによって得られる細胞条件培地の形態であり、生細胞が、除去されている。
【0114】
いくつかの実施形態では、フェチュインAの濃度は、約5~約15pmol/mL、あるいは約1~約20pmol/mLである。
【0115】
いくつかの実施形態では、セクレトームは、GROa、オステオポンチン(OPN)、及び/またはMMPタンパク質(MMP-10など)をさらに含む。
【0116】
多くの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アゴニスト及び少なくとも2つの筋形成アンタゴニストを含む、胚性幹細胞に由来するセクレトームが記載される。
【0117】
いくつかの実施形態では、セクレトームは、約1pmol/mL未満の少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの濃度を有する。
【0118】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アンタゴニストは、アクチビンA及びTGFb1を含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アゴニスト対少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの比は、約4:1~約8:1、あるいは約5:1~約7:1、あるいは約6:1~約7:1、あるいは約5:1~約50:1、あるいは約5:1~約100:1、あるいは約5:1~約150:1、あるいは約5:1~約200:1である。
【0120】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アゴニストは、フェチュインAを含み、フェチュインAの濃度が、約5~約15pmol/mL、あるいは約1~約20pmol/mLである。
【0121】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アンタゴニストは、アクチビンAを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アンタゴニストは、TGFb1を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アゴニストは、フォリスタチン、GROa、オステオポンチン(OPN)、IGFBP-4、及び/またはMMPタンパク質(MMP-10など)をさらに含む。
【0123】
多くの実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも2つの筋形成アゴニスト及び少なくとも2つの筋形成アンタゴニストを含む、胚性幹細胞に由来するセクレトームと、薬学的に許容される担体と、薬学的に許容される防腐剤と、を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、セクレトームは、約1pmol/mL未満の少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの濃度を有する。
【0125】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アンタゴニストは、アクチビンA及びTGFb1を含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アゴニスト対少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの比は、約4:1~約8:1、あるいは約5:1~約7:1、あるいは約6:1~約7:1、あるいは約5:1~約50:1、あるいは約5:1~約100:1、あるいは約5:1~約150:1、あるいは約5:1~約200:1である。
【0127】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アゴニストは、フェチュインAを含み、フェチュインAの濃度が、約5~約15pmol/mL、あるいは約1~約20pmol/mLである。
【0128】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アンタゴニストは、アクチビンAを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アンタゴニストは、TGFb1を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アゴニストは、フォリスタチン、GROa、オステオポンチン(OPN)、IGFBP-4、及び/またはMMPタンパク質(MMP-10など)をさらに含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、7.0~7.8のpHを有する生理学的緩衝液である。
【0131】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される防腐剤は、トレハロースである。
【0132】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、凍結乾燥方法によって保存された粉末である。
【0133】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、ガンマ線照射によって滅菌される。
【0134】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、単回用量ガラス容器に充填されるか、または単回用量シリンジを使用する準備ができている。
【0135】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、コルチコステロイドをさらに含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、アナボリックステロイドをさらに含む。
【0137】
多くの実施形態では、薬学的組成物は、(A)フォリスタチンタンパク質またはそのバリアント、及び(B)フェチュインAタンパク質(アルファ-2-HS糖タンパク質)またはその断片もしくはバリアントを含み、(B)が、TGF-βに結合することが可能であり、(A)及び(B)の総量が、組成物中の総タンパク質の10%超である。フォリスタチンタンパク質及びそのバリアントの配列を、図7に列挙する。
【0138】
いくつかの実施形態では、フォリスタチンタンパク質は、配列番号1~13からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、フォリスタチンタンパク質のバリアントは、配列番号1~13のうちのいずれか1つに対して、少なくとも75%の配列同一性、または好ましくは、少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%の配列同一性を有する。
【0140】
いくつかの実施形態では、フォリスタチンタンパク質のバリアントは、フォリスタチン-N末端(FOLN)ドメインを含む。いくつかの実施形態では、FOLNドメインは、配列番号14~16からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号14~16のうちのいずれか1つに対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、FOLNドメインは、配列番号14~16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、フェチュインAタンパク質は、配列番号17~20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、フェチュインAタンパク質の断片またはバリアントは、配列番号27のアミノ酸配列、または配列番号27に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、フェチュインAタンパク質の断片またはバリアントは、一本鎖または二本鎖タンパク質である。
【0144】
いくつかの実施形態では、(A)は、配列番号1~13からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、(B)は、配列番号17~20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または配列番号27の断片を含む配列番号17~20のうちのいずれか1つの断片である。
【0145】
いくつかの実施形態では、(A)及び(B)の総量は、組成物中の総タンパク質の20%超、または好ましくは25%、30%、35%、もしくは40%超である。
【0146】
いくつかの実施形態では、総タンパク質は、筋形成アンタゴニスト因子を20%を超えて含まず、筋形成アンタゴニスト因子が、IGFBP-3(インスリン様成長因子結合タンパク質3)及びDkk-3(dickkopf WNTシグナル伝達経路阻害剤3)を含む。いくつかの実施形態では、筋形成アンタゴニスト因子は、ペリオスチン、TGFb1、IL-6、FGF-21、TGFb2、TNFb、TGFb3、アクチビンA、TGFb1、及びTGFaをさらに含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、1つ以上の筋形成誘発性因子をさらに含む。いくつかの実施形態では、筋形成誘発性因子は、OPN、IGFBP-4、MMP-1、TSP-1、GROa、MMP-10、bIG-H3、hCGb、RGM-B、VEGF、Cripto-1、HGF、BMP-5、bFGF、IGF-2、PDGF-AA、FGF-19、及びWISP-1のうちの1つ以上を含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、筋形成誘発性因子の総量及び筋形成アンタゴニスト因子の総量は、3:1超、または好ましくは4:1、5:1、6:1、7:1、もしくは8:1超の比を有する。
【0149】
多くの実施形態では、患者の筋肉量、筋力、または筋機能を改善するための方法は、本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかの薬学的組成物を患者に投与するステップを含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、投与は、筋肉内、静脈内、または皮下である。
【0151】
いくつかの実施形態では、患者は、筋損傷、筋萎縮、筋機能不全、または筋線維症に罹患している。
【0152】
多くの実施形態では、セクレトーム組成物を調製する方法は、5%~25%w/vの濃度でトレハロースを含むタンパク質不含培地中で幹細胞を培養するステップと、試料から上清を採取し、上清を、5%~25%w/vの濃度でトレハロースを含む新鮮なタンパク質不含培地と置き換えるステップと、採取した上清を合わせて、セクレトーム組成物を調製するステップと、を含む。
【0153】
多くの実施形態では、薬学的組成物は、(A)フォリスタチンタンパク質またはそのバリアント、及び(B)フェチュインAタンパク質(アルファ-2-HS糖タンパク質)またはその断片もしくはバリアントを含み、(B)が、TGF-βに結合することが可能であり、(A)及び(B)の総量が、組成物中の総タンパク質の10%超である。
【0154】
いくつかの実施形態では、フォリスタチンタンパク質は、配列番号1~13からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フォリスタチンタンパク質のバリアントは、配列番号1~13のうちのいずれか1つに対して少なくとも75%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、フォリスタチンタンパク質のバリアントは、フォリスタチン-N末端(FOLN)ドメインを含む。いくつかの実施形態では、FOLNドメインは、配列番号14~16からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号14~16のうちのいずれか1つに対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、FOLNドメインは、配列番号14~16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、フェチュインAタンパク質は、配列番号17~20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フェチュインAタンパク質の断片またはバリアントは、配列番号27のアミノ酸配列、または配列番号27に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、フェチュインAタンパク質の断片またはバリアントは、一本鎖または二本鎖タンパク質である。
【0156】
いくつかの実施形態では、(A)は、配列番号1~13からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、(B)は、配列番号17~20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または配列番号27の断片を含む配列番号17~20のうちのいずれか1つの断片である。
【0157】
いくつかの実施形態では、(A)及び(B)の総量は、組成物中の総タンパク質の20%超である。
【0158】
いくつかの実施形態では、総タンパク質は、筋形成アンタゴニスト因子を20%を超えて含まず、筋形成アンタゴニスト因子が、IGFBP-3(インスリン様成長因子結合タンパク質3)及びDkk-3(dickkopf WNTシグナル伝達経路阻害剤3)を含む。いくつかの実施形態では、筋形成アンタゴニスト因子は、ペリオスチン、TGFb1、IL-6、FGF-21、TGFb2、TNFb、TGFb3、アクチビンA、TGFb1、及びTGFaをさらに含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の筋形成誘発性因子をさらに含む。いくつかの実施形態では、筋形成誘発性因子は、OPN、IGFBP-4、MMP-1、TSP-1、GROa、MMP-10、bIG-H3、hCGb、RGM-B、VEGF、Cripto-1、HGF、BMP-5、bFGF、IGF-2、PDGF-AA、FGF-19、及びWISP-1のうちの1つ以上を含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、筋形成誘発性因子の総量及び筋形成アンタゴニスト因子の総量は、3:1超の比を有する。
【0161】
多くの実施形態では、患者の筋肉量、筋力、または筋機能を改善するための方法は、(A)フォリスタチンタンパク質またはそのバリアント、及び(B)フェチュインAタンパク質(アルファ-2-HS糖タンパク質)またはその断片もしくはバリアント、を含む、薬学的組成物を患者に投与するステップを含み、(B)が、TGF-βに結合することが可能であり、(A)及び(B)の総量が、組成物中の総タンパク質の10%超である。
【0162】
いくつかの実施形態では、投与は、筋肉内、静脈内、または皮下である。
【0163】
いくつかの実施形態では、患者は、筋損傷、筋萎縮、筋機能不全、または筋線維症に罹患している。
【0164】
多くの実施形態では、セクレトーム組成物を調製する方法は、5%~25%w/vの濃度でトレハロースを含むタンパク質不含培地中で幹細胞を培養するステップと、試料から上清を採取し、上清を、5%~25%w/vの濃度でトレハロースを含む新鮮なタンパク質不含培地と置き換えるステップと、採取した上清を合わせて、セクレトーム組成物を調製するステップと、を含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、方法は、タンジェンシャルフロー濾過を使用して濾過された均質化された合わせたプールの体積を低減するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、タンジェンシャルフロー濾過による体積低減は、50:1~100:1である。いくつかの実施形態では、タンジェンシャルフロー濾過は、1~5kDaのカットオフ膜を利用する。
【0166】
いくつかの実施形態では、方法は、採取した上清から生細胞を除去するステップをさらに含む。
【0167】
多くの実施形態では、セクレトーム組成物を調製する方法であって、方法が、bFGF及びアクチビンAを含む培養培地中で、約3日間~約7日間、多能性幹細胞を増殖させるステップと、トレハロースを含むタンパク質不含培地に多能性幹細胞を曝露させるステップであって、トレハロース濃度が、5%~25%である、ステップと、培養上清を毎日採取し、約1日~約10日間、トレハロースを含む追加のタンパク質不含培地と置き換えるステップと、採取した培養上清を合わせて、合わせた培養上清のプールを形成するステップと、合わせた培養上清のプールを均質化して、均質化された合わせた培養上清のプールを形成するステップと、均質化された合わせた培養上清のプールを膜フィルターに通して濾過して、濾過された均質化された合わせたプールを形成するステップと、を含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、方法は、タンジェンシャルフロー濾過を使用して濾過された均質化された合わせたプールの体積を低減するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、タンジェンシャルフロー濾過による体積低減は、50:1~100:1である。いくつかの実施形態では、タンジェンシャルフロー濾過は、1~5kDaのカットオフ膜を利用する。
【0169】
いくつかの実施形態では、濾過された均質化された合わせたプールから生細胞を除去するステップをさらに含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、セクレトーム組成物は、フェチュインA、フォリスタチン、及びフォリスタチン様-1からなる群から選択される少なくとも2つの筋形成アゴニストを含み、少なくとも2つの筋形成アゴニストの合わせた濃度が、約1~約20pmol/mLである。
【0171】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アゴニストは、OPN、IGFBP-4、MMP-1、TSP-1、GROa(CXCL1)、MMP-10、bIG-H3、hCGb、RGM-B、VEGF、Cripto-1、HGF、BMP-5、bFGF、IGF-2、PDGF-AA、FGF-19、WISP-1、またはそれらの組み合わせをさらに含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも2つの筋形成アンタゴニストをさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約1pmol/mL未満の少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの濃度を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アンタゴニストは、アクチビンA及びTGFb1を含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アゴニスト対少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの濃度の比は、約4:1~約8:1である。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アゴニスト対少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの濃度の比は、約5:1~約8:1である。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの筋形成アゴニスト対少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの濃度の比は、約5:1~約200:1である。
【0174】
多くの実施形態では、薬学的組成物は、フェチュインA、フォリスタチン、及びフォリスタチン様-1からなる群から選択される少なくとも2つの筋形成アゴニストであって、少なくとも2つの筋形成アゴニストの合わせた濃度が、約1~約20pmol/mLである、少なくとも2つの筋形成アゴニストと、薬学的に許容される担体と、薬学的に許容される防腐剤と、を含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、7.0~7.8のpHを有する生理学的緩衝液である。
【0176】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される防腐剤は、トレハロースである。
【0177】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、凍結乾燥方法によって保存された粉末である。
【0178】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、ガンマ線照射によって滅菌される。
【0179】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、単回用量ガラス容器に充填されるか、または単回用量シリンジを使用する準備ができている。
【0180】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、コルチコステロイドをさらに含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、アナボリックステロイドをさらに含む。
【0182】
いくつかの実施形態では、筋肉を治療するための方法であって、方法が、フェチュインA、フォリスタチン、及びフォリスタチン様-1からなる群から選択される少なくとも2つの筋形成アゴニストであって、少なくとも2つの筋形成アゴニストの合わせた濃度が、約1~約20pmol/mLである、少なくとも2つの筋形成アゴニストと、薬学的に許容される担体と、薬学的に許容される防腐剤と、を含む、組成物を対象に投与するステップを含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、組成物は、注射によって投与される。
【0184】
いくつかの実施形態では、注射は、筋肉内、静脈内、または皮下に投与される。
【0185】
いくつかの実施形態では、組成物は、1回、毎日、毎週、または毎月投与される。
【0186】
上の実施形態のうちのいずれにおいても、組成物は、フォリスタチン、フォリスタチンバリアント、またはフォリスタチンの断片を含み得る。上の実施形態のうちのいずれにおいても、組成物は、フェチュインA、フェチュインAバリアント、またはフェチュインAの断片を含み得る。
【0187】
条項
例示的な実施形態は、以下の付番された条項に示される。
条項1.(A)フォリスタチンタンパク質またはそのバリアント、及び(B)フェチュインAタンパク質(アルファ-2-HS糖タンパク質)またはその断片もしくはバリアントを含む、薬学的組成物であって、(B)が、TGF-βに結合することが可能であり、(A)及び(B)の総量が、前記組成物中の総タンパク質の10%超である、前記薬学的組成物。
条項2.前記フォリスタチンタンパク質が、配列番号1~13からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、条項1に記載の薬学的組成物。
条項3.前記フォリスタチンタンパク質の前記バリアントが、配列番号1~13のうちのいずれか1つに対して少なくとも75%の配列同一性を有する、条項2に記載の薬学的組成物。
条項4.前記フォリスタチンタンパク質の前記バリアントが、フォリスタチンN末端(FOLN)ドメインを含む、条項3に記載の薬学的組成物。
条項5.前記FOLNドメインが、配列番号14~16からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号14~16のうちのいずれか1つに対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、条項4に記載の薬学的組成物。
条項6.前記FOLNドメインが、配列番号14~16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、条項4に記載の薬学的組成物。
条項7.前記フェチュインAタンパク質が、配列番号17~20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、条項1に記載の薬学的組成物。
条項8.前記フェチュインAタンパク質の前記断片または前記バリアントが、配列番号27のアミノ酸配列、または配列番号27に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、条項7に記載の薬学的組成物。
条項9.前記フェチュインAタンパク質の前記断片または前記バリアントが、一本鎖または二本鎖タンパク質である、条項7に記載の薬学的組成物。
条項10.前記(A)が、配列番号1~13からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、前記(B)が、配列番号17~20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または配列番号27の断片を含む配列番号17~20のうちのいずれか1つの断片である、条項1に記載の薬学的組成物。
条項11.前記(A)及び前記(B)の前記総量が、前記組成物中の総タンパク質の20%超である、条項1に記載の薬学的組成物。
条項12.前記総タンパク質が、筋形成アンタゴニスト因子を20%を超えて含まず、前記筋形成アンタゴニスト因子が、IGFBP-3(インスリン様成長因子結合タンパク質3)及びDkk-3(dickkopf WNTシグナル伝達経路阻害剤3)を含む、条項1に記載の薬学的組成物。
条項13.前記筋形成アンタゴニスト因子が、ペリオスチン、TGFb1、IL-6、FGF-21、TGFb2、TNFb、TGFb3、アクチビンA、TGFb1、及びTGFaをさらに含む、条項12に記載の薬学的組成物。
条項14.1つ以上の筋形成誘発性因子をさらに含む、条項1に記載の薬学的組成物。
条項15.前記筋形成誘発性因子が、OPN、IGFBP-4、MMP-1、TSP-1、GROa、MMP-10、bIG-H3、hCGb、RGM-B、VEGF、Cripto-1、HGF、BMP-5、bFGF、IGF-2、PDGF-AA、FGF-19、及びWISP-1のうちの1つ以上を含む、条項14に記載の薬学的組成物。
条項16.前記筋形成誘発性因子の総量及び前記筋形成アンタゴニスト因子の総量が、3:1超の比を有する、条項1に記載の薬学的組成物。
条項17.患者の筋肉量、筋力、または筋機能を改善するための方法であって、
(A)フォリスタチンタンパク質またはそのバリアント、及び(B)フェチュインAタンパク質(アルファ-2-HS糖タンパク質)またはその断片もしくはバリアントを含む、薬学的組成物を前記患者に投与するステップであって、(B)が、TGF-βに結合することが可能であり、(A)及び(B)の総量が、前記組成物中の総タンパク質の10%超である、前記ステップを含む、前記方法。
条項18.前記投与が、筋肉内、静脈内、または皮下である、条項17に記載の方法。
条項19.前記患者が、筋損傷、筋萎縮、筋機能不全、または筋線維症に罹患している、条項17に記載の方法。
条項20.セクレトーム組成物を調製する方法であって、
5%~25%w/vの濃度でトレハロースを含むタンパク質不含培地中で幹細胞を培養するステップと、
試料から上清を採取し、前記上清を、5%~25%w/vの濃度でトレハロースを含む新鮮なタンパク質不含培地と置き換えるステップと、
前記採取した上清を合わせて、前記セクレトーム組成物を調製するステップと、を含む、前記方法。
条項21.タンジェンシャルフロー濾過を使用して、前記濾過された均質化された合わせたプールの体積を低減するステップをさらに含む、条項20に記載の方法。
条項22.前記タンジェンシャルフロー濾過による前記体積低減が、50:1~100:1である、条項21に記載の方法。
条項23.前記タンジェンシャルフロー濾過が、1~5kDaのカットオフ膜を利用する、条項22に記載の方法。
条項24.前記採取した上清から生細胞を除去するステップをさらに含む、条項20に記載の方法。
条項25.セクレトーム組成物を調製する方法であって、前記方法が、
bFGF及びアクチビンAを含む培養培地中で、約3日間~約7日間、多能性幹細胞を増殖させるステップと、
トレハロースを含むタンパク質不含培地に前記多能性幹細胞を曝露させるステップであって、前記トレハロース濃度が、5%~25%である、前記ステップと、
前記培養上清を毎日採取し、約1日間~約10日間、トレハロースを含む追加のタンパク質不含培地と置き換えるステップと、
前記採取した培養上清を合わせて、合わせた培養上清のプールを形成するステップと、
前記合わせた培養上清のプールを均質化して、均質化された合わせた培養上清のプールを形成するステップと、
前記均質化された合わせた培養上清のプールを膜フィルターに通して濾過して、濾過された均質化された合わせたプールを形成するステップと、を含む、前記方法。
条項26.タンジェンシャルフロー濾過を使用して、前記濾過された均質化された合わせたプールの体積を低減するステップをさらに含む、条項25に記載の方法。
条項27.前記タンジェンシャルフロー濾過による前記体積低減が、50:1~100:1である、条項26に記載の方法。
条項28.前記タンジェンシャルフロー濾過が、1~5kDaのカットオフ膜を利用する、条項26に記載の方法。
条項29.前記濾過された均質化された合わせたプールから生細胞を除去するステップをさらに含む、条項25に記載の方法。
条項30.セクレトーム組成物であって、
フェチュインA、フォリスタチン、及びフォリスタチン様-1からなる群から選択される少なくとも2つの筋形成アゴニストを含み、
前記少なくとも2つの筋形成アゴニストの合わせた濃度が、約1~約20pmol/mLである、前記セクレトーム組成物。
条項31.前記少なくとも2つの筋形成アゴニストが、OPN、IGFBP-4、MMP-1、TSP-1、GROa(CXCL1)、MMP-10、bIG-H3、hCGb、RGM-B、VEGF、Cripto-1、HGF、BMP-5、bFGF、IGF-2、PDGF-AA、FGF-19、WISP-1、またはそれらの組み合わせをさらに含む、条項30に記載の組成物。
条項32.前記組成物が、少なくとも2つの筋形成アンタゴニストをさらに含む、条項30に記載の組成物。
条項33.前記組成物が、約1pmol/mL未満の前記少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの濃度を有する、条項32に記載の組成物。
条項34.前記少なくとも2つの筋形成アンタゴニストが、アクチビンA及びTGFb1を含む、条項32に記載の組成物。
条項35.前記少なくとも2つの筋形成アゴニスト対前記少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの濃度の比が、約4:1~約8:1である、条項32に記載の組成物。
条項36.前記少なくとも2つの筋形成アゴニスト対前記少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの濃度の比が、約5:1~約8:1である、条項32に記載の組成物。
条項37.前記少なくとも2つの筋形成アゴニスト対前記少なくとも2つの筋形成アンタゴニストの濃度の比が、約5:1~約200:1である、条項32に記載の組成物。
条項38.薬学的組成物であって、
フェチュインA、フォリスタチン、及びフォリスタチン様-1からなる群から選択される少なくとも2つの筋形成アゴニストであって、前記少なくとも2つの筋形成アゴニストの合わせた濃度が、約1~約20pmol/mLである、前記少なくとも2つの筋形成アゴニストと、
薬学的に許容される担体と、
薬学的に許容される防腐剤と、を含む、前記薬学的組成物。
条項39.前記薬学的に許容される担体が、7.0~7.8のpHを有する生理学的緩衝液である、条項38に記載の組成物。
条項40.前記薬学的に許容される防腐剤が、トレハロースである、条項38に記載の組成物。
条項41.前記薬学的組成物が、凍結乾燥方法によって保存された粉末である、条項38に記載の組成物。
条項42.前記薬学的組成物が、ガンマ線照射によって滅菌される、条項38に記載の組成物。
条項43.前記薬学的組成物が、単回用量ガラス容器に充填されるか、または単回用量シリンジを使用する準備ができている、条項38に記載の組成物。
条項44.前記薬学的組成物が、コルチコステロイドをさらに含む、条項38に記載の組成物。
条項45.前記薬学的組成物が、アナボリックステロイドをさらに含む、条項38に記載の組成物。
条項46.筋肉を治療するための方法であって、前記方法が、
フェチュインA、フォリスタチン、及びフォリスタチン様-1からなる群から選択される少なくとも2つの筋形成アゴニストであって、前記少なくとも2つの筋形成アゴニストの合わせた濃度が、約1~約20pmol/mLである、前記少なくとも2つの筋形成アゴニストと、薬学的に許容される担体と、薬学的に許容される防腐剤と、を含む、組成物を対象に投与するステップを含む、前記方法。
条項47.前記組成物が、注射によって投与される、条項46に記載の方法。
条項48.前記注射が、筋肉内、静脈内、または皮下に投与される、条項47に記載の方法。
条項49.前記組成物が、1回、毎日、毎週、または毎月投与される、条項47に記載の方法。

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図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7-1】
図7-2】
図7-3】
【配列表】
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【国際調査報告】