(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】アミド形成によるサルカプロジン酸の新規合成
(51)【国際特許分類】
C07C 231/02 20060101AFI20240201BHJP
C07C 233/83 20060101ALI20240201BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240201BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
C07C231/02
C07C233/83
A61K47/18
A61K9/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023545920
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 EP2022052022
(87)【国際公開番号】W WO2022162132
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クログスガード-ラーセン, ニールス
(72)【発明者】
【氏名】ラウンクジャー, ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ライジンガー, クリスティアン ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】トーニング, ロルフ ヘイル
(72)【発明者】
【氏名】コムナトニー, ヴィタリー
【テーマコード(参考)】
4C076
4H006
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA95
4C076BB01
4C076CC29
4C076DD52
4C076FF68
4C076GG01
4H006AA02
4H006AB20
4H006AC47
4H006AC53
4H006AD17
4H006BB14
4H006BE10
4H006BJ50
4H006BN30
4H006BS10
4H006BS70
4H006BV72
(57)【要約】
本発明は、固形医薬組成物に使用される送達剤である、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸ナトリウム(SNAC)を作製するプロセスに有用な、化合物8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸またはその誘導体の合成のための化学プロセスに関する。本発明は、より少ない有害化学物質、および/または生産規模でより扱いやすい再現可能なプロセスを使用した効率的な合成を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】
(式中、R
1が、水素、C
1-C
6-アルキル、フェニル、ベンジル、Mg
2+、Ca
2+、Li
+、Na
+、およびK
+から選択される)を生成するための方法であって、
式(II)の化合物
【化2】
(式中、R
2が、水素、C
1-C
6-アルキル、フェニル、ベンジル、Mg
2+、Ca
2+、Li
+、Na
+、およびK
+から選択される)
および式(III)の化合物
【化3】
(式中、Xが、O-アルキル、O-フェニル、O-ベンジル、およびNHSから選択される)を反応させる工程を含む、方法。
【請求項2】
R
1が、水素またはK
+である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R
2が、水素またはK
+である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Xが、O-メチルまたはO-エチルなどのO-アルキルである、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
Xが、O-メチルである、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
式(I-a)の化合物
【化4】
を生成するための方法であって、
式(II-a)の化合物
【化5】
および式(III-a)の化合物
【化6】
を反応させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記式(I)の化合物が、式(I-b)の8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウム
【化7】
である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
式(I-a)の化合物
【化8】
を生成するための方法であって、
a)式(II-a)の化合物
【化9】
および式(III-a)の化合物
【化10】
を反応させて、式(I-b)の化合物
【化11】
を中間体として得る工程と、
b)前記式(I-a)の化合物を析出によって得る工程と、を含む、方法。
【請求項9】
前記方法が、バッチモードで実施される、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、連続プロセスとして実施される、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を生成するための方法であって、請求項1~10のいずれかに記載の8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を生成する工程を含む、方法。
【請求項12】
N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を生成するための方法であって、
a)請求項1~9のいずれかに記載の8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を生成する工程と、
b)a)で得られた8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの前記式(I)の化合物を使用して、N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を生成する工程と、を含む、方法。
【請求項13】
N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を生成するための方法であって、
a)請求項1~10のいずれかに記載の8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を生成する工程と、
b)a)で得られた8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を、2-プロパノールおよび水性水酸化ナトリウムと混合する工程と、
c)b)の前記混合物からN-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を析出する工程と、を含む、方法。
【請求項14】
固形医薬組成物を生成する方法であって、
a)請求項1~10のいずれかに記載の8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を生成する工程と、
b)a)で得られた8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの前記式(I)の化合物を使用して、N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を生成する工程と、
c)前記固形医薬組成物を、工程b)で得られた前記N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウムを使用して調製する工程と、を含む、方法。
【請求項15】
N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を含む固形医薬組成物を生成する方法であって、
a)請求項11~13のいずれかに記載のN-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を生成する工程と、
b)前記固形医薬組成物を、工程a)で得られた前記N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を使用して調製する工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸の製造のための改善された化学プロセスに関し、これは、生物学的および化学的に活性な薬剤の送達に有用な化合物である。
【背景技術】
【0002】
時に8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸ナトリウム(SNAC)と呼ばれる、N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウムは、生物活性成分の経口バイオアベイラビリティを刺激するタンパク質およびペプチド系医薬品などの、化学的および生物学的な活性剤の送達剤として使用される化合物である。
【0003】
特許文献1は、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸からSNACを生成するための方法を提供する。
【0004】
したがって、化合物8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸は、SNACの製造において重要な中間体である。
【0005】
8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸の一般的な調製物は、特許文献2および特許文献3に記載され、さらなる製造プロセスは、特許文献4および特許文献5に提供されている。
【0006】
しかしながら、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸の調製のためのプロセスを改善する余地は残っており、これは理想的には、経済的に効率的、安全、持続可能、かつ大規模生産により適しているべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第08028859号
【特許文献2】国際公開第00/46182号
【特許文献3】国際公開第00/59863号
【特許文献4】米国特許第5962710号
【特許文献5】中国特許第1446795号
【発明の概要】
【0008】
本発明は、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸またはこの誘導体の製造プロセスを提供する。方法は、反応の出発物質、溶媒、および/または副生成物に関して環境に優しい。また、または代替的に、本発明は、生産規模によく適した8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸またはこの誘導体を生成する、コスト効率が高く、かつ持続可能な手段を提供する。
【0009】
これは、式(II)、好ましくは式(II-a)の化合物から出発し、それを式(III)、好ましくは式(III-a)の化合物と反応させて、以下に図示され、かつ本明細書に定義される式(I)、好ましくは式(I-a)の化合物を得ることによって達成される。
【0010】
全体的な反応は、以下のスキーム1および2に図示される。
【化1】
【化2】
【0011】
本発明の第1の態様では、8-アミノカプリル酸またはその誘導体をサリチル酸誘導体と反応させる工程を含む、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸またはその誘導体を生成するための方法が提供される。
【0012】
本発明の第2の態様では、式(I)の化合物を生成するための方法であって、
【化3】
(式中、R
1が、水素、C
1-C
6-アルキル、フェニル、ベンジル、Li
+、Na
+、およびK
+から選択される)
式(II)の化合物
【化4】
(式中、R
2が、水素、C
1-C
6-アルキル、フェニル、ベンジル、Li
+、Na
+、およびK
+から選択される)
および式(III)の化合物
【化5】
(式中、Xが、O-アルキル、O-フェニル、O-ベンジル、およびNHSから選択される)を反応させる工程を含む、方法が提供される。
【0013】
いくつかの実施形態では、R1は、水素、C1-C6-アルキル、フェニル、ベンジル、Li+、Na+、およびK+から選択される。
【0014】
いくつかの実施形態では、R2は、水素、C1-C6-アルキル、フェニル、ベンジル、Li+、Na+、およびK+から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、Xは、O-アルキル、O-フェニル、O-ベンジル、およびNHSから選択される。
【0016】
また、または代替的に、本発明の第3の態様では、式(I)、好ましくは式(I-a)の化合物を生成するための方法であって、
【化6】
式(II)、好ましくは式(II-a)の化合物
【化7】
および式(III)、好ましくは式(III-a)の化合物
【化8】
を反応させる工程を含む、方法が提供される。
【0017】
式(I)、好ましくは式(I-a)の化合物の製造のためのこのプロセスの利点は、容易に入手可能な出発物質により経済的に効率的であるということである。もう1つの利点は、本発明を大きい生産規模によく適したものにする、安全な出発物質を利用することである。また、または代替的に、本発明の別の利点は、有害廃棄物の生成なしに、式(I)、特に式(I-a)の化合物を製造する持続可能な手段を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、連続フロー合成に使用されるプラグフロー反応器のセットアップを示す。システムは、入口(C)および(E)、接続点(T字部品)またはミキサー(D)、反応器コイル(F)、背圧レギュレーター(G)、ならびに出口(H)を備える。ユニットは、層流または乱流を可能にするチューブまたは他のチャネル形成材料の使用によって接続され得る。2つの入口(C)および(E)を使用して、反応物または溶液を(D)に注入して、構成要素の適切な混合を確実にすることができる。
【
図2】
図2は、連続フロー合成における析出および単離に使用されるセットアップを示す。反応混合物(JまたはHからの出口)は、(L)からの水性塩基と(K)中で混合され、反応器コイル(M)を経て、攪拌器を備えたCSTR(N)に通される。溶液(水性酸)は、入口(O)を介して連続的に添加され得る。得られた生成物混合物は、CSTRから連続的に除去され、単離のためにフィルターまたは遠心分離機(P)に移される。固形生成物は、乾燥前に洗浄される(Q)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一般条件
以下において、ギリシャ文字は、それらの記号または対応する名称によって表されてもよく、例えば、αがアルファであり、βがベータであり、εがイプシロンであり、γがガンマであり、ωがオメガであるといった具合である。また、μのギリシャ文字は「u」によって表されてもよく、例えば、μLはuLであるか、またはμMはuMである。
【0020】
別段の指示がない限り、単数形で示した用語は、複数の状態も含む。
【0021】
「化合物」という用語は、本明細書では分子実体を指すために使用され、したがって、「化合物」は、各化合物または化合物群について定義された最小要素以外に異なる構造要素を有し得る。
【0022】
本明細書にはまた、化合物および方法が記載されており、「含む(comprises)」および「含む(comprising)」のような非限定的な用語は、「から成る(consists of)」、「から成る(consisting of)」などの限定的な用語と置き換えられる。
【0023】
複数形が化合物、出発物質、中間体、塩などに使用される場合、1つ(好ましい)またはそれ以上の単一の化合物、塩、中間体などを意味することを意図し、単数形または不定冠詞(「a」、「an」)が使用される場合、これは、複数形を排除することを意図せず、「1つ」を意味することが好ましいに過ぎない。
【0024】
化合物名8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸は、名称N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸と交換可能に使用され得る。
【0025】
化合物名N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)は、名称8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸ナトリウムと交換可能に使用され得る。
【0026】
アルキルは、直鎖または分岐鎖(1回、または望ましくかつ可能な場合、それ以上)の炭素部分として定義され、特にC1-C7-アルキル、好ましくはC1-C6-アルキル、より好ましくはC1-C4-アルキルである。代替として、同じことが、-C1-7、-C1-6、および-C1-4によって説明される。
【0027】
「C1-C7-」および「C1-C6-」という用語はそれぞれ、それぞれ最大7個または6個を含むそれ以下の炭素原子を有する部分を定義し、当該部分は、分岐鎖(1回以上)または直鎖であり、末端または非末端の炭素を介して結合されている。アルキルの非限定的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、イソ-ペンチル、1-エチルプロピル、1-メチル-イソ-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、tert-ペンチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルである。
【0028】
フェニルという用語は、C6-炭化水素およびC6-(R)-炭化水素などの芳香族炭化水素に由来するアリール基を指し、ここで、Rは、アルキル、フェニル、NO2、NH3
+、CF3、CCl3、CHO、C(O)アルキル、COOH、C(O)NH2、SO3H、CN、F、CI、Br、I、NHC(O)アルキル、NHC(O)フェニル、NH2、OHなどであるがこれらに限定されない、置換基である。
【0029】
ベンジルという用語は、フェニル-CH2-を指す。カルボキシルという用語は、-CO2Hを指す。フェノールという用語は、ヒドロキシ(-OH)基に直接結合したベンゼン環を指す。
【0030】
金属という用語は、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、またはマグネシウムもしくはカルシウムなどのアルカリ金属である。
【0031】
ハロまたはハロゲンは、好ましくはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードであり、最も好ましくはクロロ、ブロモまたはヨードである。
【0032】
遊離形態およびそれらの塩の形態の化合物間の緊密な関係を考慮すると、本明細書の「化合物」、「出発物質」、および「中間体」への任意の言及は、その化合物、出発物質、または中間体の1つ以上の塩に言及するものとしても理解されるべきである。
【0033】
塩基性基もしくは酸性基などの塩形成基が存在し、例えば、水溶液中、もしくは水および有機溶媒の混合物中で2~12のpH範囲で、少なくとも部分的に解離形態で存在することができるか、または特に固体形態、特に結晶形態で単離され得る、塩が形成され得る。そのような塩は、例えば、有機酸または無機酸を用いて、塩基性窒素原子(例えば、アミノ)を含む本明細書で言及される化合物または中間体のいずれかから形成される。好適な無機塩は、例えば、塩酸などの鉱酸であるが、これに限定されない。好適な有機塩は、例えば、酢酸などの基を含有するカルボン酸塩であるが、これに限定されない。カルボキシ基などの負に荷電した基の存在下では、塩はまた、塩基、例えば、アンモニウム塩または金属塩、例えば、限定されないが、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩で形成され得る。塩基性基および酸基が同じ分子中に存在する場合、本明細書で言及される中間体および化合物のいずれかはまた、両性イオンなどの内部塩を形成し得る。
【0034】
「保護基」という用語は、窒素またはカルボキシル官能基などの官能基を可逆的に保護することができる任意の基を含む。好適な保護基は、従来的に使用されており、例えば、J.F.W.McOmie,“Protective Groups in Organic Chemistry”,Plenum Press,London and New York,1973などの標準参考書の関連する章に記載されている。窒素保護基は、窒素官能基を可逆的に保護することができる任意の基、好ましくはアミンおよび/またはアミド保護基を含む。カルボキシル保護基は、当該技術分野で既知の任意の基、特にエチルまたはメチルなどのC1-C6-アルキル、またはベンジルなどのC6-C10-アリール-C1-C6-アルキルであり得る。
【0035】
本発明は、容易に入手可能な化学物質および/または軽度の反応条件を使用し、かつより少ない有害廃棄物を生成することによる、反応の出発物質、溶媒、および/および副生成物との関連で環境に優しいアプローチを使用した、化合物8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸の製造プロセスを提供する。また、または代替的に、本発明は、生産規模によく適した、式(I)、特に式(I-a)の化合物を生成するコスト効率が高く、かつ持続可能な手段を提供する。
【0036】
これは、以下に図示され、本明細書に定義されるように、式(II)、好ましくは式(II-a)の化合物から出発し、それを式(III)の化合物、またはその塩、エステル、溶媒和物、複合体、もしくは別の誘導体、好ましくは式(III-a)の化合物と反応させて、式(I)の化合物、またはその塩、エステル、溶媒和物、複合体、もしくは別の誘導体、好ましくは式(I-a)の化合物を得ることによって達成される。
【0037】
反応物および生成物
上述の反応または方法は、合成手順および析出手順に分割され得る。合成手順では、異なる反応物を使用して、式(I)の化合物などの所望の生成物を得ることができる。方法の合成部分は、反応とも呼ばれる。
【0038】
本発明の第1の態様では、8-アミノカプリル酸またはその誘導体をサリチル酸メチルまたはその誘導体と反応させる工程を含む、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸またはその誘導体を生成するための方法が提供される。
【0039】
本発明の第2の態様では、式(I)の化合物を生成するための方法であって、
【化9】
(式中、R
1が、水素、C
1-C
6-アルキル、フェニル、ベンジル、Mg
2+、Ca
2+、Li
+、Na
+、およびK
+から選択される)
式(II)の化合物
【化10】
(式中、R
2が、水素、C
1-C
6-アルキル、フェニル、ベンジル、Mg
2+、Ca
2+、Li
+、Na
+、およびK
+から選択される)
および式(III)の化合物
【化11】
(式中、Xが、O-アルキル、O-フェニル、O-ベンジル、およびNHSから選択される)を反応させる工程を含む、方法が提供される。
【0040】
本発明の実施形態では、式(I)の化合物は、式(II)の化合物から得られる。本発明の別の実施形態では、式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させて、式(I)の化合物を得る。
【0041】
本発明の別の実施形態では、式(II)の化合物を使用して、式(I)の化合物を得る。
【0042】
本発明の別の実施形態では、式(III)の化合物を使用して、式(I)の化合物を得る。
【0043】
本発明の別の実施形態では、式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させて、式(I)の化合物を得る。
【0044】
また、または代替的に、本発明の第3の態様では、式(I)の化合物を生成するための方法であって、
【化12】
(式中、R
1が、水素、C
1-C
6-アルキル、フェニル、ベンジル、Mg
2+、Ca
2+、Li
+、Na
+、およびK
+、好ましくは式(I-a)から選択される)
【化13】
式(II)の化合物
【化14】
(式中、R
2が、水素、C
1-C
6-アルキル、フェニル、ベンジル、Mg
2+、Ca
2+、Li
+、Na
+、およびK
+から選択される)、
好ましくは式(II-a)の化合物、
【化15】
および式(III)の化合物
【化16】
(式中、Xが、O-アルキル、O-フェニル、O-ベンジル、およびNHSから選択される)、好ましくは式(III-a)の化合物
【化17】
を反応させる工程を含む、方法が提供される。
【0045】
本発明の一実施形態では、式(I)、好ましくは式(I-a)の化合物は、式(II)、好ましくは式(II-a)の化合物から得られる。本発明の別の態様では、式(II)、好ましくは式(II-a)の化合物を式(III)、好ましくは式(III-a)の化合物と反応させて、式(I)、好ましくは式(I-a)の化合物を得る。
【0046】
本発明の別の実施形態では、式(I-a)の化合物は、式(II-a)の化合物から得られる。本発明の別の態様では、式(II-a)の化合物を式(III-a)の化合物と反応させて、式(I)、好ましくは式(I-a)の化合物を得る。
【0047】
本発明の別の実施形態では、式(II)、好ましくは式(II-a)の化合物を使用して、式(I-a)、好ましくは式(I-a)の化合物を得る。
【0048】
本発明の別の実施形態では、式(III)、好ましくは式(III-a)の化合物を使用して、式(I-a)、好ましくは式(I-a)の化合物を得る。
【0049】
本発明の別の実施形態では、式(II-a)の化合物を式(III-a)の化合物と反応させて、式(I-a)の化合物を得る。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態では、R1は、水素、C1-C6-アルキル、フェニル、ベンジル、Li+、Na+、およびK+の群から選択され得る。いくつかの実施形態では、R2は、水素、C1-C6-アルキル、フェニル、ベンジル、Li+、Na+、およびK+の群から選択され得る。いくつかの実施形態では、R1およびR2は互いに独立して、水素、C1-C6-アルキル、フェニル、ベンジル、Li+、Na+、およびK+の群から選択される。本発明のいくつかの実施形態では、R1は、水素、C1-C6-アルキル、フェニル、およびベンジルから選択される。本発明のいくつかの実施形態では、R2は、水素、C1-C6-アルキル、フェニル、およびベンジルから選択される。本発明のいくつかの実施形態では、R1は、水素またはK+である。本発明のいくつかの実施形態では、R2は、水素またはK+である。本発明のいくつかの実施形態では、R1およびR2は、水素またはK+である。いくつかの実施形態では、R1は、水素である。いくつかの実施形態では、R2は、水素である。いくつかの実施形態では、R1およびR2は、水素である。いくつかの実施形態では、R1は、K+である。いくつかの実施形態では、R2は、K+である。
【0051】
いくつかの実施形態では、Xは、O-アルキル、O-フェニル、O-ベンジル、およびNHSの群から選択される。いくつかの実施形態では、Xは、O-C1-6、O-C1-5、O-C1-4、またはO-C1-3などのO-アルキルである。いくつかの実施形態では、Xは、O-メチルまたはO-エチルなどのO-アルキルである。いくつかの実施形態では、Xは、O-メチルである。
【0052】
また、または代替的に、式(III)の化合物は、反応の結果が修飾なしの場合と同じであるように、反応に関与せず、反応後に除去され得る、芳香族基上の置換基などの修飾を含み得る。
【0053】
また、または代替的に、式(III)の化合物は、フェノールのヒドロキシル基の修飾を含んでもよく、例えば、保護基などの修飾は、反応後にヒドロキシル基に変換され得、これにより、反応の結果は、修飾なしの場合と同じである。
【0054】
また、または代替的に、別の実施形態では、式(II)、好ましくは式(II-a)の化合物、および式(III)、好ましくは式(III-a)の化合物を反応させる工程を含む、式(I)、好ましくは式(I-a)の化合物を生成するための方法が提供される。
【0055】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物は、8-アミノカプリル酸(II-a)である。いくつかの実施形態では、式(III)の化合物は、サリチル酸メチル(III-a)である。
【0056】
一実施形態では、式(I-a)の化合物を生成するための方法であって、
【化18】
式(II-a)の化合物
【化19】
および式(III-a)の化合物
【化20】
を反応させる工程を含む、方法が提供される。
【0057】
塩基
反応または方法の合成部分を実施するために、当該技術分野で既知の異なる塩基が使用され得る。
【0058】
本発明の一実施形態では、反応は、塩基の存在下で生じる。反応の一実施形態では、式(II)、好ましくは式(II-a)の化合物および式(III)の化合物、好ましくは化合物(III-a)は、塩基と反応する。
【0059】
また、または代替的に、別の実施形態では、式(I-a)の化合物を生成するための方法であって、
【化21】
式(II-a)の化合物
【化22】
および式(III-a)の化合物
【化23】
を塩基と反応させる工程を含む、方法が提供される。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態では、塩基は、NH2-アルキル、NH-(アルキル)2、N-(アルキル)3、H2N-アルキル-NH2、ピペリジン、ピロリジン、アゼパン、アゾカン、金属-OH、金属-O-アルキル、NaH、LiH、KH、Li-N(アルキル)2、Li-アルキルの群から選択される。別の実施形態では、塩基は、金属-O-アルキルである。別の実施形態では、塩基は、カリウムメトキシド、KOMeである。
【0061】
溶媒
上記の反応は、反応物、すなわち、式(II)および式(III)の化合物を溶解するために溶媒を使用した溶液中で実施され得る。特定の反応条件に応じて、当該技術分野で既知の異なる溶媒が使用され得る。
【0062】
本発明の一実施形態では、8-アミノカプリル酸またはその誘導体をサリチル酸メチルまたはその誘導体と反応させる工程を含む、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸またはその誘導体を生成するための方法が提供され、反応は、溶液中で生じる。
【0063】
また、または代替的に、本発明の別の実施形態では、方法は、式(II)、好ましくは式(II-a)の化合物の溶液を、式(III)、好ましくは式(III-a)の化合物の溶液と混合することを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、溶媒は、プロトン性もしくは非プロトン性、またはそれらの混合物である。
【0065】
いくつかの実施形態では、溶媒は、アルコール、ニトロメタン、アセトニトリル、DMSO、スルホラン、DMF、NMP、ケトン、ハロゲン化溶媒、エステル系溶媒、エーテルおよび炭化水素、ならびにそれらの混合物の群から選択される。いくつかの実施形態では、溶媒は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、およびDMSOまたはDMF、ならびにそれらの混合物などのアルコールの群から選択される。いくつかの実施形態では、溶媒は、メタノールである。
【0066】
析出および単離手順
上記のように、反応または方法は、合成手順および析出手順に分割され得る。合成手順に続いて、異なるアプローチを使用して、式(I)、好ましくは式(I-a)の所望の化合物を析出および単離し得る。
【0067】
一実施形態では、式(I-a)の化合物を生成するための方法であって、
【化24】
a)式(II-a)の化合物
【化25】
および式(III-a)の化合物
【化26】
を反応させて、式(I-b)の化合物
【化27】
を中間体として得る工程と、
b)式(I-a)の化合物を得る工程と、を含む、方法が提供される。
【0068】
一実施形態では、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸、この誘導体、または式(I)の化合物は、析出によって得られる。
【0069】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸またはその誘導体の精製は、バッチモードで、または連続析出によって実施される。
【0070】
本明細書に記載される方法の一実施形態では、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸の塩などの中間体が形成される。
【0071】
一実施形態では、式(I-b)の化合物
【化28】
は、反応における中間体として形成される。
【0072】
一実施形態では、反応または方法は、式(I)、好ましくは式(I-a)の化合物を得るための析出工程を含み得る。一実施形態では、式(I)、好ましくは式(I-a)の化合物は、水からの、または水および有機溶媒の混合物からの析出によって形成される。一実施形態では、式(I)、好ましくは式(I-a)の化合物は、7未満のpHでの、水からの、または水および有機溶媒の混合物からの析出によって形成される。一実施形態では、pHは、6未満である。一実施形態では、pHは、5未満である。一実施形態では、pHは、4未満である。
【0073】
一実施形態では、析出は、
a)水性塩基を添加する工程、および/または
b)水性酸を用いてpHを低下させる工程を含む。
【0074】
一実施形態では、水性塩基は、中間体塩を含む溶液に添加される。一実施形態では、水性塩基は、水酸化カリウム、KOHである。
【0075】
いくつかの実施形態では、析出および精製は、バッチモードで、または連続析出によってのいずれかで実施され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、式(I-a)の化合物、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸またはその誘導体は、管出口において連続モードで収集される。いくつかの実施形態では、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸またはその誘導体は、濾過によって単離される。
【0077】
装置
上述の反応は、当該技術分野で既知の様々なタイプのプロセスおよび装置を使用して実施され得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、反応は、バッチモードで実施される。いくつかの実施形態では、反応は、連続プロセスとして実施される。
【0079】
いくつかの実施形態では、方法は、バッチモードで実施される。いくつかの実施形態では、方法は、連続プロセスとして実施される。
【0080】
本明細書で使用される場合、「バッチモード」という用語は、中間体および生成物が、個別の単位操作で取り扱われ、個別の量で中間体および生成物を得るプロセスを意味する。
【0081】
本明細書で使用される場合、「連続プロセス」という用語は、1つの単位操作の排出が中断することなく次の単位操作の投入である、一連の個別の単位操作を意味する。
【0082】
いくつかの実施形態では、方法は、反応器コイルなどのプラグフロー反応器(PFR)における連続プロセスとして実施される。いくつかの実施形態では、反応は、反応器コイル内で実施される。一実施形態では、テフロン管が、反応器コイルとして使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの連続攪拌タンク反応器(CSTR)が、反応器コイルの前または後に配置されている。
【0083】
いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも、反応器コイル内で、8-アミノカプリル酸の溶液をサリチル酸メチルの溶液と混合する工程を含む、連続プロセスとして実施される。
【0084】
いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも、反応器コイル内で、式(II)、好ましくは式(II-a)の化合物およびKOMeの溶液を、式(III)、好ましくは式(III-a)の化合物の溶液と混合する工程を含む、連続プロセスとして実施される。
【0085】
いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも、反応器コイル内で、8-アミノカプリル酸およびKOMeの溶液をサリチル酸メチルの溶液と混合する工程を含む、連続プロセスとして実施される。
【0086】
連続フロープロセスにおける反応物の適切な変換および生成物の形成は、反応物の濃度、反応物流量間の比、滞留時間、温度、および圧力によって制御される。
【0087】
反応条件
上述の反応は、当該技術分野で既知の様々な反応条件を使用して実施され得、反応条件は、各特定の反応に対して最適化され得、当業者によって使用される特定の反応物、塩基、溶媒、および装置に応じて異なり得る。上記のように、反応または方法は、バッチモードで、または連続プロセスとしてのいずれかで実施され得る。本明細書に記載されるように、2つの反応物(式IIの化合物および化合物式III)は、一実施形態では、溶液中で組み合わせられて反応混合物を形成する。本発明のいくつかの実施形態では、反応は、20℃~160℃の温度で起こる。
【0088】
いくつかの実施形態では、反応混合物は、加熱還流する。本発明のいくつかの実施形態では、反応は、50℃~100℃の温度で起こる。いくつかの実施形態では、反応は、50℃~90℃の温度で起こる。いくつかの実施形態では、反応は、60℃~90℃の温度で起こる。反応または方法がバッチモードで実施される本発明のいくつかの実施形態では、反応は、窒素(N2)の雰囲気下など、不活性雰囲気下で起こる。
【0089】
反応または方法がフローシステムで実施されるいくつかの実施形態では、反応器コイルの温度は、20℃~180℃の範囲内である。いくつかの実施形態では、反応器コイルの温度は、100℃~180℃の範囲内である。いくつかの実施形態では、反応器コイルの温度は、100℃~150℃の範囲内である。いくつかの実施形態では、反応器コイルの温度は、120℃~150℃の範囲内である。いくつかの実施形態では、反応器コイルの温度は、110℃~130℃の範囲内である。いくつかの実施形態では、反応器コイルの温度は、少なくとも100℃、例えば120℃である。
【0090】
いくつかの実施形態では、反応器コイルの圧力は、5バール~50バールの範囲内である。いくつかの実施形態では、反応器コイルの圧力は、10バール~25バールの範囲内である。いくつかの実施形態では、反応器コイルの圧力は、10バール~20バールの範囲内である。いくつかの実施形態では、反応器コイルの圧力は、10バール~15バールの範囲内である。いくつかの実施形態では、反応器コイルの圧力は、12バールである。
【0091】
本明細書で使用される「滞留時間」という用語は、反応器容積を流量で割ったものとして定義される。
【0092】
いくつかの実施形態では、反応器コイル内の滞留時間は、2分~120分の範囲内である。いくつかの実施形態では、反応器コイル内の滞留時間は、20分~90分の範囲内である。いくつかの実施形態では、反応器コイル内の滞留時間は、20分~60分の範囲内である。いくつかの実施形態では、反応器コイル内の滞留時間は、20分~40分の範囲内である。いくつかの実施形態では、滞留時間は、60分である。いくつかの実施形態では、反応器コイル内の滞留時間は、30分である。いくつかの実施形態では、滞留時間は、15分である。
【0093】
いくつかの実施形態では、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸またはその誘導体は、連続モードで収集される。いくつかの実施形態では、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸またはその誘導体の精製は、バッチモードで、または連続析出によって実施される。
【0094】
いくつかの実施形態では、生成物は、水、有機溶媒、または水および有機溶媒の混合物から析出する。いくつかの実施形態では、生成物は、7未満のpHで、水から、または水および有機溶媒の混合物から析出する。いくつかの実施形態では、生成物は、6未満のpHで、水から、または水および有機溶媒の混合物から析出する。いくつかの実施形態では、生成物は、5未満のpHで、水から、または水および有機溶媒の混合物から析出する。いくつかの実施形態では、生成物は、4未満のpHで、水から、または水および有機溶媒の混合物から析出する。
【0095】
N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)、およびSNACを含む組成物
N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)は、タンパク質系およびペプチド系の医薬品など、化学的および生物学的な活性剤などの活性医薬成分のバイオアベイラビリティを高めるために、医薬組成物中で使用される賦形剤である。SNACは、当該技術分野で既知の方法によって、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸から調製され得る。
【0096】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載される8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を生成する工程を含む、N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を生成するための方法に関する。
【0097】
一実施形態では、方法は、
a)本明細書に記載される8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を生成することと、
b)a)で得られた8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を使用して、N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を生成することと、を含む。
【0098】
一実施形態では、方法は、
a)本明細書に記載される8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を生成する工程と、
b)a)で得られた8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を、2-プロパノールおよび水性水酸化ナトリウムと混合する工程と、
c)b)の混合物からN-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を析出する工程と、を含む。
【0099】
さらなる態様では、本発明は、固形医薬組成物を生成する方法に関し、方法は、
a)本明細書に記載される8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を生成する工程と、
b)a)で得られた8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を使用して、N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を生成する工程と、
c)当該固形医薬組成物を、工程b)で得られたN-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウムを使用して調製する工程と、を含む。
【0100】
特定の実施形態
1.8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸またはその誘導体を生成するための方法であって、8-アミノカプリル酸またはその誘導体をサリチル酸誘導体と反応させる工程を含む、方法。
2.式(I)の化合物を生成するための方法であって、
【化29】
(式中、R
1が、水素、C
1-C
6-アルキル、フェニル、ベンジル、Mg
2+、Ca
2+、Li
+、Na
+、およびK
+から選択される)
式(II)の化合物
【化30】
(式中、R
2が、水素、C
1-C
6-アルキル、フェニル、ベンジル、Mg
2+、Ca
2+、Li
+、Na
+、およびK
+から選択される)
および式(III)の化合物
【化31】
(式中、Xが、O-アルキル、O-フェニル、O-ベンジル、およびNHSから選択される)を反応させる工程を含む、方法。
3.R
1が、水素、C
1-C
6-アルキル、フェニル、およびベンジルから選択される、実施形態2に記載の方法。
4.R
2が、水素、C
1-C
6-アルキル、フェニル、およびベンジルから選択される、実施形態2または3に記載の方法。
5.R
1が、水素またはK
+である、実施形態2~4のいずれかに記載の方法。
6.R
2が、水素またはK
+である、実施形態2~5のいずれかに記載の方法。
7.R
1が、水素である、実施形態2~6のいずれかに記載の方法。
8.R
2が、水素である、実施形態2~7のいずれかに記載の方法。
9.R
1およびR
2が、水素である、実施形態2~4に記載の方法。
10.R
1が、K
+である、実施形態2~6および8のいずれかに記載の方法。
11.R
2が、K
+である、実施形態2~7および9~10のいずれかに記載の方法。
12.Xが、O-メチルまたはO-エチルなどのO-アルキルである、実施形態2~11のいずれかに記載の方法。
13.Xが、O-メチルである、実施形態12に記載の方法。
14.式(II)の化合物が、8-アミノカプリル酸(式II-a)である、実施形態2に記載の方法。
【化32】
15.式(III)の化合物が、サリチル酸メチル(式III-a)である、実施形態2または14に記載の方法。
【化33】
16.式(I)の化合物が、式(I-a)の8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸である、実施形態2、14、または15に記載の方法。
【化34】
17.式(I)の化合物が、式(I-b)の8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムである、実施形態2、14、または15に記載の方法。
【化35】
18.式(I)の化合物
【化36】
(式中、R
1が、水素、C
1-C
6-アルキル、フェニル、ベンジル、Mg
2+、Ca
2+、Li
+、Na
+、およびK
+から選択される)、好ましくは(I-a)の化合物を生成するための方法であって、
【化37】
式(II)の化合物
【化38】
(式中、R
2が、水素、C
1-C
6-アルキル、フェニル、ベンジル、Mg
2+、Ca
2+、Li
+、Na
+、およびK
+から選択される)、好ましくは式(II-a)の化合物
【化39】
および式(III)の化合物
【化40】
(式中、Xが、O-アルキル、O-フェニル、O-ベンジル、およびNHSから選択される)、
好ましくは式(III-a)の化合物
【化41】
を反応させる工程を含む、方法。
19.式(I-a)の化合物を生成するための方法であって、
【化42】
式(II-a)の化合物
【化43】
および式(III-a)の化合物
【化44】
を反応させる工程を含む、方法。
20.反応が、塩基の存在下で生じる、実施形態1~19のいずれかに記載の方法。
21.塩基が、NH
2-アルキル、NH-(アルキル)
2、N-(アルキル)
3、H
2N-アルキル-NH
2、ピペリジン、ピロリジン、アゼパン、アゾカン、金属-OH、金属-O-アルキル、NaH、LiH、KH、Li-N(アルキル)
2、Li-アルキルの群から選択される、実施形態20に記載の方法。
22.塩基が、メチル-O-アルキルである、実施形態20に記載の方法。
23.塩基が、カリウムメトキシド(KOMe)である、実施形態20に記載の方法。
24.8-アミノカプリル酸をサリチル酸メチルと反応させる工程を含む、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸を生成するための、実施形態1に記載の方法。
25.反応が、溶液中で生じる、実施形態1~24のいずれかに記載の方法。
26.方法が、式(II)、好ましくは式(II-a)の化合物の溶液を、式(III)、好ましくは式(III-a)の化合物の溶液と混合することを含む、実施形態1~25のいずれかに記載の方法。
27.式(II)、好ましくは式(II-a)の化合物の溶液が使用される、実施形態1~26のいずれかに記載の方法。
28.式(III)、好ましくは式(III-a)の化合物の溶液が使用される、実施形態1~27のいずれかに記載の方法。
29.反応物(式(II)の化合物および式(III)の化合物)が、1つ以上の溶媒に溶解される、実施形態1~28のいずれかに記載の方法。
30.溶媒が、プロトン性もしくは非プロトン性、またはそれらの混合物である、実施形態26~29に記載の方法。
31.溶媒が、アルコール、ニトロメタン、アセトニトリル、DMSO、スルホラン、DMF、NMP、ケトン、ハロゲン化溶媒、エステル系溶媒、エーテルおよび炭化水素、ならびにそれらの混合物の群から選択される、実施形態26~29に記載の方法。
32.溶媒が、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、およびDMSOまたはDMF、ならびにそれらの混合物などのアルコールの群から選択される、実施形態26~29に記載の方法。
33.溶媒が、メタノールである、実施形態26~29に記載の方法。
34.8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸またはその誘導体の析出または精製が、バッチモードで、または連続析出によって実施される、実施形態1~33のいずれかに記載の方法。
35.式(I-b)の化合物のような8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸の塩が、中間体として形成される、式(I-a)の化合物を生成するための実施形態1~34のいずれかに記載の方法。
36である。式(I)、好ましくは式(I-a)の化合物が、析出によって得られる、実施形態1~35のいずれかに記載の方法。
37.式(I-a)の化合物を生成するための方法であって、
【化45】
a)式(II-a)の化合物
【化46】
および式(III-a)の化合物
【化47】
を反応させて、式(I-b)の化合物
【化48】
を中間体として得る工程と、
b)式(I-a)の化合物を析出によって得る工程と、を含む、方法。
38.式(I)、好ましくは式(I-a)の化合物が、水からの、または水および有機溶媒の混合物からの析出によって形成される、実施形態36または37に記載の方法。
39.式(I)、好ましくは式(I-a)の化合物が、7未満のpHでの、水からの、または水および有機溶媒の混合物からの析出によって形成される、実施形態36または37に記載の方法。
40.析出が、
a)水性塩基を添加する工程、および/または
b)水性酸を用いてpHを低下させる工程を含む、実施形態36~39のいずれかに記載の方法。
41.水性塩基が、水酸化カリウム、KOHである、実施形態40に記載の方法。
42.式(I)の化合物、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸またはその誘導体が、管出口において連続モードで収集される、実施形態1~41のいずれかに記載の方法。
43.式(I)の化合物、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸またはその誘導体が、濾過によって単離される、実施形態1~42のいずれかに記載の方法。
44.方法が、バッチモードで実施される、実施形態1~43のいずれかに記載の方法。
45.反応が、20℃~160℃の温度で行われる、実施形態44に記載の方法。
46.反応が、50℃~100℃の温度で行われる、実施形態44に記載の方法。
47.反応が、50℃~90℃の温度で行われる、実施形態44に記載の方法。
48.反応が、60℃~90℃の温度で行われる、実施形態44に記載の方法。
49.反応混合物が、加熱還流する、実施形態44に記載の方法。
50.反応が、窒素(N
2)の雰囲気下で行われる、実施形態1~49のいずれかに記載の方法。
51.方法が、連続プロセスとして実施される、実施形態1~50のいずれかに記載の方法。
52.反応が、反応器コイルなどのプラグフロー反応器で行われる、実施形態1~51のいずれかに記載の方法。
53.テフロン管が、反応器コイルとして使用される、実施形態50に記載の方法。
54.少なくとも1つの連続攪拌タンク反応器(CSTR)が、反応器コイルの前または後に配置されている、実施形態49または50に記載の方法。
55.方法が、少なくとも、反応器コイル内で、式(II)、好ましくは式(II-a)の化合物の溶液を、式(III)、好ましくは式(III-a)の化合物の溶液と混合する工程を含む、連続プロセスとして実施される、実施形態1~54のいずれかに記載の方法。
56.方法が、少なくとも、反応器コイル内で、8-アミノカプリル酸の溶液をサリチル酸メチルの溶液と混合する工程を含む、連続プロセスとして実施される、実施形態1~55のいずれかに記載の方法。
57.方法が、少なくとも、反応器コイル内で、式(II)、好ましくは式(II-a)の化合物およびKOMeの溶液を、式(III)、好ましくは式(III-a)の化合物の溶液と混合する工程を含む、連続プロセスとして実施される、実施形態1~56のいずれかに記載の方法。
58.方法が、少なくとも、反応器コイル内で、8-アミノカプリル酸およびKOMeの溶液をサリチル酸メチルの溶液と混合する工程を含む、連続プロセスとして実施される、実施形態1~55のいずれかに記載の方法。
59.反応器コイルの温度が、20℃~180℃の範囲内である、実施形態49~56のいずれかに記載の方法。
60.反応器コイルの温度が、100℃~180℃の範囲内である、実施形態49~56のいずれかに記載の方法。
61.反応器コイルの温度が、100℃~150℃の範囲内である、実施形態49~56のいずれかに記載の方法。
62.反応器コイルの温度が、120℃~150℃の範囲内である、実施形態49~56のいずれかに記載の方法。
63.反応器コイルの温度が、110℃~130℃の範囲内である、実施形態49~56のいずれかに記載の方法。
64.反応器コイルの温度が、少なくとも100℃、例えば120℃である、実施形態49~56のいずれかに記載の方法。
65.反応器コイルの圧力が、5バール~50バールの範囲内である、実施形態49~62のいずれかに記載の方法。
66.反応器コイルの圧力が、10バール~25バールの範囲内である、実施形態49~62のいずれかに記載の方法。
67.反応器コイルの圧力が、10バール~20バールの範囲内である、実施形態49~62のいずれかに記載の方法。
68.反応器コイルの圧力が、10バール~15バールの範囲内である、実施形態49~62のいずれかに記載の方法。
69.反応器コイルの圧力が、12バールである、実施形態49~62のいずれかに記載の方法。
70.反応器コイル内の滞留時間が、2分~120分の範囲内である、実施形態49~67のいずれかに記載の方法。
71.反応器コイル内の滞留時間が、20分~90分の範囲内である、実施形態49~67のいずれかに記載の方法。
72.反応器コイル内の滞留時間が、20分~60分の範囲内である、実施形態49~67のいずれかに記載の方法。
73.反応器コイル内の滞留時間が、20分~40分の範囲内である、実施形態49~67のいずれかに記載の方法。
74.反応器コイル内の滞留時間が、60分である、実施形態49~67のいずれかに記載の方法。
75.反応器コイル内の滞留時間が、30分である、実施形態49~67のいずれかに記載の方法。
76.反応器コイル内の滞留時間が、15分である、実施形態49~67のいずれかに記載の方法。
77.N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を生成するための方法であって、実施形態1~76のいずれかに記載の、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を生成する工程を含む、方法。
78.N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を生成するための方法であって、
a)実施形態1~74のいずれかに記載の、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を生成する工程と、
b)a)で得られた8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を使用して、N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を生成することと、を含む、方法。
79.N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を生成するための方法であって、
a)実施形態1~74のいずれかに記載の、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を生成する工程と、
b)a)で得られた8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を、2-プロパノールおよび水性水酸化ナトリウムと混合する工程と、
c)b)の混合物からN-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を析出する工程と、を含む、方法。
80.固形医薬組成物を生成する方法であって、
a)実施形態1~74のいずれかに記載の、8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を生成する工程と、
b)a)で得られた8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸などの式(I)の化合物を使用して、N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を生成する工程と、
c)当該固形医薬組成物を、工程b)で得られたN-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウムを使用して調製する工程と、を含む、方法。
81.N-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を含む固形医薬組成物を生成する方法であって、
a)実施形態75~77のいずれかに記載のN-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を生成する工程と、
b)当該固形医薬組成物を、工程a)で得られたN-(8[2-ヒドロキシベンゾイル]-アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)を使用して調製する工程と、を含む、方法。
【実施例】
【0101】
以下の実施例は、本発明を、その範囲を限定することなく例示する役割を果たすが、一方で、それらは、本発明の反応工程、中間体、および/またはプロセスの好ましい実施形態を表す。
【表1】
【0102】
NMRデータの引用には、以下の略語が使用される。
【表2】
【0103】
実施例において、化合物1などの化合物の番号は、単に系列的に明確にするための(I)または(II)などの本明細書および特許請求の範囲の化合物を表す番号とは異なることに留意されたい。
【0104】
一般的な調製方法
8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸の合成は、バッチ手順(方法Aに記載されるパートA1およびA2)、または連続フロープロセス(方法Bに記載されるパートB1およびB2)、または方法AおよびBに記載される手順の組み合わせのいずれかを介して、異なる2つの方法で実施された。
【0105】
プラグフロー反応器のセットアップ
連続フロープロセスとして実施される反応については、プラグフロー反応器のセットアップが使用される。
【0106】
図1は、連続フロー合成に使用されるプラグフロー反応器のセットアップを示す(以下に記載される方法BのパートB1)。
【0107】
図2は、連続フローの合成における析出および単離に使用されるセットアップを示す(以下のBに記載される方法のパートB2)。
【0108】
バッチ手順の一般的な方法A:
パートA1-合成:
【化49】
8-AOA誘導体(化合物II、1.00当量)を、窒素(N
2)の雰囲気下で、塩基(3.20当量)および有機溶媒の溶液に懸濁した。混合物を適切な温度に加熱し、サリチル酸(SA)誘導体(化合物III、1.25当量)を一度に添加した。化合物(I)の満足のいく収率がIPC(HPLC)によって得られるまで、混合物をこの温度で攪拌した。
【0109】
生成物混合物を、方法A2または方法B2(以下の説明を参照されたい)のいずれかを使用することによってさらに処理した。
【0110】
パートA2-析出および単離:
【化50】
方法A1またはB1のいずれかからの生成物混合物の温度を適切な温度に調整し、Milli-Q水を混合物に添加した。析出を促進するために溶媒交換が必要な場合、混合物に水を添加し、真空中で濃縮し、目的の有機溶媒を添加し、続いて析出前に温度を調整した。水性酸析出化合物(I-a)を使用してpH値を調整した。得られた懸濁液を濾過し、単離された固体をMilli-Q水で連続的に洗浄した。フィルター上で粗乾燥させた後、所望の化合物を、一定重量になるまで40℃で乾燥させた。
【0111】
連続フロープロセスの一般的な方法B:
パートB1-フロー合成:
【化51】
連続処理を使用した化合物(I)の合成を、反応器コイル(F)で実施した。テフロン管を使用して装置を組み立てた。反応器コイル(F)は、油浴中に現れた。
【0112】
8-AOA誘導体(II)(1.00当量)を塩基(2.5当量)に溶解し、溶媒を供給槽内で混合し、適切な温度に加熱した。混合物は、入口(C)を介してシステムに入り、適切な温度で、T字部品の入口(E)を介したサリチル酸(SA)誘導体(III)(1.10当量)と混合された後、生成物の十分な形成を可能にする適切な滞留時間を伴う反応温度で、反応器コイル(F)を通過した。システム内の一定の圧力を維持するために、背圧レギュレーター(G)を取り付けた。
【0113】
その後、化合物(I)を、方法A2または方法B2を使用してさらに処理するために、出口(H)を介して収集した。
【0114】
パートB2-フロー析出および単離:
【化52】
連続処理を使用した化合物(I)の合成を、反応器コイル(M)で実施した。テフロン管を使用して装置を組み立てた。過剰なサリチル酸(SA)誘導体の加水分解に使用される反応器コイル(M)は、油浴中に現れた。
【0115】
方法A1または方法B1のいずれかから得られた反応混合物(1当量)は、入口(J)を介してシステムに入り、T字部品(K)の入口(L)を介してシステムに入る水性塩基(2.70当量)と混合された。混合物を適切な温度で反応器コイル(M)に通し、十分な保持時間を可能にするCSTR(N)中に収集した。所望のpHを維持しながら、水性酸を、入口(O)を介してCSTRに連続的に添加した。得られた懸濁液をフィルター(P)に移し、粗生成物を濾過によって単離した。単離された固体を、入口(Q)を介してMilli-Q水で連続的に洗浄した。フィルター上で粗乾燥させた後、生成物を、一定重量に達するまで40℃で乾燥させた。
【0116】
特性評価
NMR分光法
NMR測定を、BBO 5mmクライオプローブを備えたBruker AV neo 400MHz装置で実施した。観察可能な磁化を作るために、プロトンについて32スキャン、5秒の遅延時間(D1)、および30度のパルスを使用して、298Kでスペクトルを記録した。
【0117】
LC-MS
試料を、水性MeCN(50:50 MeCN:MilliQ水、0.01mg/mL)に溶解し、その後、HR LC-MSに供した。分析を、HESI源を備えたQ Exactive plus(ThermoFischer)で実施した。70000の分解能で、95~700ダルトンの陽イオンモードスキャンにおいて、イオン源を操作した。窒素をシースおよび補助ガスとして使用した。4.0m/zの単離幅および15、30、45の正規化された段階的衝突エネルギーを使用したHCD活性化によって、MS/MSを実施した。
【0118】
実施例1:方法A1を使用することによる:8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウム(I-b)のバッチ合成:
【化53】
手順1:
8-AOA(II-a)(1000g、6.15mol(アッセイ補正済み)、1.00当量)を20L反応器に量り分け、N
2の雰囲気下で一晩(18時間)保存した。固体を、MeOH(4.00L、13.5mol、2.20当量)中、25%のKOMeに懸濁し、新しい反応器(反応器2)に移した。反応器1を、MeOH(1.82L、6.16mol、1.00当量)中、25%のKOMeで洗浄し、得られた懸濁液を反応器2に移した。混合物を40℃に加熱し、2分間にわたってMeSA(III-a)(1.00L、7.69mol、1.25当量)を添加した。混合物を加熱還流させ、反応をHPLCによって監視しながら、N
2の雰囲気下で23時間攪拌した。化合物(I-b)の収率は、HPLCによって測定して95%であることがわかった(MeSA、SA、および化合物(I-b)に基づく)。
【0119】
手順2:
8-AOA(II-a)(1000g、6.28mol、1.00当量)を、N2の雰囲気下で、30L反応器内のMeOH(3.00L、10.17mol、1.62当量)中、25%のKOMeの溶液に懸濁した。MeOH(2.94L、9.92mol、1.58当量)中、さらに25%のKOMeを添加した。混合物を40℃に加熱し、2分間にわたってMeSA(III-a)(1.02L、7.69mol、1.25当量)を添加した。混合物を60℃に加熱し、反応をHPLCによって監視しながら、N2の雰囲気下で23時間攪拌した。化合物(I-b)の収率は、HPLCによって測定して94%であることがわかった(MeSA、SA、および化合物(I-b)に基づく)。
【0120】
実施例2:方法A2を使用することによる8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸(I-a)のバッチ析出:
【化54】
手順1:
方法A1からの生成物の温度を50℃に低下させ、5分間にわたってMilli-Q水(8.15L)を添加した。混合物を好適な容器(20L)に移し、真空中で濃縮する。圧力:95~160mBar、水温度:8.0Lの容積になるまで50℃)。混合物を20L反応器に移し、i-PrOH(2.37L、全容積の30%)を添加した。室温(ジャケット温度:25℃)で、40分間にわたって、濃度塩酸(1.75L)を使用して、pH値をpH13.3から3.2に調整した。混合物を、N
2の雰囲気下で、25℃において一晩(18時間)攪拌した。析出物を、Buchner漏斗(d:24cm、h:12cm)を通して、1分間未満で濾過した。反応器をMilli-Q水(900mL)で洗浄し、これもフィルターに通した。析出物洗浄液をMilli-Q水に懸濁し、3回(3×5.0Lの水)濾過し、続いて、2時間吸引し続けながら、フィルター上で粗乾燥させた。析出物をトレイに移し、40℃で18時間、および21℃で72時間乾燥させて、わずかにオフホワイト色の固体として化合物(I-a)(1643g、95%)を得た。
【0121】
方法A1(実施例1、手順1)+方法A2(実施例2、手順1)を使用する複合ワークフローにおいて、全収率95%の化合物(I-a)を得た。
【0122】
手順2:
方法A1からの生成物の温度を50℃に低下させ、10分間にわたってMilli-Q水(1.95L)を添加した。HPLCが過剰なMeSAのサリチル酸への満足のいく変換を示すまで、混合物を50℃で5時間攪拌した。室温で、粗反応混合物を、水(1.70L)およびMeOH(3.25L)の混合物の添加によって希釈した後、90分間にわたって濃縮HCl(1.80L)を使用して、pH値をpH13.5から3.2に調整した。N2の雰囲気下で25℃において水(0.12L)をさらに添加した後、混合物を一晩(18時間)攪拌した。Buchner漏斗を通して析出物を濾過した。フィルターケーキを再スラリー化し、反応器に移し、水/MeOH=1:1(w/w%)-混合物(8.50L)で粉砕した。Buchner漏斗を通して懸濁液を濾過した。濾過ケーキを再スラリー化し、反応器に移し、水(10L)で粉砕した後、最終濾過し、続いて、フィルター上で粗乾燥させた。析出物をトレイに移し、40℃で48時間乾燥させて、わずかにオフホワイト色の固体として化合物(I-a)(1535g、88%)を得た。
【0123】
方法A1(実施例1、手順2)+方法A2(実施例2、手順2)を使用する複合ワークフローにおいて、全収率88%の化合物(I-a)を得た。
【0124】
実施例2によって得られた化合物1-aの特性評価
LC-MS[M+H]+による正確な質量=280,1541Da(C15H22O4N+に対応する)。
【0125】
DMSO-d6;δ 1.30(6H,m),1.54(4H,m),2.20(2H,t,3JHH=7.4Hz),3.30(2H,q,3JHH=6.6Hz),6.90(2H,m),7.39(H,td,3JHH=7.7,1.5Hz),7.85(H,dd,3JHH=7.4,1.4Hz),8.80(H,t,3JHH=5.5Hz),12.00(H,bs),12.74(H,s).
【0126】
実施例3:方法B1を使用することによる:8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウム(I-b)の連続フロー合成:
【化55】
手順1:
8-AOA(II-a)(14.0g、87.9mmol、1.00当量)を、MeOH(63.7mL、220mmol、2.50当量)中、25%のKOMeに溶解し、MeOH(18.8mL)を添加した。反応前に、混合物を50℃に加熱した。8-AOAおよび塩基の混合物(477μL/分、0.40mmol/分、1.00当量/分、50℃)を、50℃のT字部品内でMeSA(III-a)(56.8μL/分、0.44mmol/分、1.10当量/分、21℃)と混合し、120℃および30分の滞留時間で、反応器コイルを通してポンプ注入した。12バールの背圧を印加した。
【0127】
生成物の収率は、HPLCによって測定して定常状態で85%であることがわかった(MeSA、SA、および生成物に基づく)。
【0128】
手順2:
8-AOA(II-a)(201.3g、1.26mol、1.00当量)を、MeOH(697mL、3.16mol、2.50当量)中、32%のKOMeに溶解し、MeOH(374mL)を添加した。反応前に、混合物を周囲温度に維持した。8-AOAおよび塩基の混合物(9.01mL/分、9.01mmol/分、1.00当量/分)を、180℃のT字部品内でMeSA(III-a)(1.40mL/分、10.8mmol/分、1.20当量/分)と混合し、180℃および5分の滞留時間で、反応器コイルを通してポンプ注入した。26~27バールの背圧を印加した。
【0129】
生成物の収率は、HPLCによって測定して定常状態で99%であることがわかった(8-AOAに基づく)。
【0130】
実施例4:方法B2を使用することによる8-[(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸(I-a)の連続析出:
【化56】
方法A1から得られた反応混合物(0.60mM、1.00当量、2.01mL/分)を、T字部品内で、水性KOH(7.00mM、3.54当量、0.61mL/分)と連続的に混合した。合わせた混合物を、2.62mL/分の流量および60分の滞留時間で、60℃において反応器コイルに通した。出口を、500rpmの攪拌速度を有する90mLのCSTRに収集し、15分の平均生成物滞留時間を得た。水性HCl(3.77mM、10.56当量、3.38mL/分)をCSTRに連続的に添加した。生成物混合物(懸濁液)を、6.00mL/分の流量で、CSTR出口において連続的に収集した。懸濁液を濾過し、単離された固体をMilli-Q水(3×5容積)で連続的に洗浄した。フィルター上で粗乾燥させた後、所望の化合物を、一定重量になるまで40℃で乾燥させた。定常状態でランを実行した場合に、生成物の定量的収率を得た。
【0131】
方法A1+方法B2の複合ワークフローにおいて、全収率81%の化合物(I-a)を得た。
【0132】
本発明のある特定の特徴が本明細書に例示および記載されているが、ここで、多くの修正、代用、変更、塩、および均等物が当業者に想到されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が本発明の真の趣旨の範囲内に含まれる全ての修正および変更を包含するよう意図されていることを理解されたい。
【国際調査報告】