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特表2024-505919半導体デバイスの時間領域光計測および検査
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】半導体デバイスの時間領域光計測および検査
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545944
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 IB2022050774
(87)【国際公開番号】W WO2022162617
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】63/142,971
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/199,884
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】515037896
【氏名又は名称】ノヴァ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVA LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001830
【氏名又は名称】弁理士法人東京UIT国際特許
(72)【発明者】
【氏名】バラク・ギラド
(72)【発明者】
【氏名】サーギヴ・アミル
(72)【発明者】
【氏名】シュレイバー・イシャイ
(72)【発明者】
【氏名】オフェック・ヤコブ
(72)【発明者】
【氏名】ゴロホフスキー・ズヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ペイメル・ダフナ
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA04
4M106CA38
4M106DJ11
(57)【要約】
半導体デバイス計測は,半導体デバイスのパターン化構造によって反射された光の波長領域測定データの時間領域表現を作成し,上記時間領域表現の関連部分と非関連部分を選択し,上記時間領域表現の関連部分を用いてモデルベース処理を実行することによって,上記パターン化構造の関心ある一または複数のパラメータの一または複数の測定値を決定することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスのパターン化構造によって反射された光の波長領域測定データの時間領域表現を作成し,
時間領域表現の一または複数の関連部分および上記時間領域表現の少なくとも一つの非関連部分を選択し,
上記時間領域表現の一または複数の関連部分を用いて処理を実行することによって,上記パターン化構造の関心ある一または複数パラメータの一または複数の測定値を決定する,
半導体デバイス計測方法。
【請求項2】
上記半導体デバイスは,様々なz軸位置に配置される,上記パターン化構造を構成する複数の半導体デバイス部分を備えている,請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記選択が,少なくとも部分的に,上記半導体デバイス内の上記複数の半導体デバイス部分のうちの少なくとも一つの関連部分のz軸位置に基づくものである,請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上記選択が,少なくとも部分的に,上記複数の半導体デバイス部分のうちの少なくとも一つの部分の少なくとも一つの属性に基づくものである,請求項2に記載の方法。
【請求項5】
上記選択が,少なくとも部分的に,上記複数の半導体デバイス部分のうちの少なくとも一つの半導体デバイス部分の少なくとも一つの属性に対する上記方法の感度に基づくものである,請求項2に記載の方法。
【請求項6】
上記選択が,少なくとも部分的に,上記関心ある一または複数のパラメータのうちの少なくとも一つのパラメータに基づくものである,請求項2に記載の方法。
【請求項7】
上記選択が,少なくとも部分的に,少なくとも一つの測定条件に基づくものである,請求項2に記載の方法。
【請求項8】
一または複数の選択基準を取得することを含み,上記選択が一または複数の選択基準を適用することを含む,請求項2に記載の方法。
【請求項9】
上記取得が一または複数の選択基準を決定することを含む,請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記一または複数の選択基準が,少なくとも一つの非関連半導体デバイス部分の少なくとも一つの属性によって互いに異なる様々な基準半導体デバイスの計測のシミュレーションに基づいて決定され,上記様々な基準半導体デバイスが少なくとも一つの半導体デバイス部分を備えているものである,請求項8に記載の方法。
【請求項11】
上記一または複数の選択基準が,少なくとも一つの非関連半導体デバイス部分の少なくとも一つの属性によって互いに異なる様々な基準半導体デバイスの計測測定値に基づいて決定され,上記様々な基準半導体デバイスが少なくとも一つの半導体デバイス部分を備えているものである,請求項8に記載の方法。
【請求項12】
上記一または複数の選択基準が,少なくとも一つの非関連半導体デバイス部分の少なくとも一つの属性によって互いに異なる様々な基準半導体デバイスの実際の計測測定値または推定された計測測定値に基づいて決定され,上記様々な基準半導体デバイスが短ループ半導体デバイスおよび長ループ半導体デバイスを備え,上記様々な基準半導体デバイスが少なくとも一つの半導体デバイス部分を備えているものである,請求項8に記載の方法。
【請求項13】
上記一または複数の選択基準が,様々な基準半導体デバイスのそれぞれに含まれる半導体デバイス部分によって互いに異なる基準半導体デバイスの実際の計測測定値または推定された計測測定値に基づいて決定される,請求項8に記載の方法。
【請求項14】
上記一または複数の選択基準が,基準半導体デバイスのパターン化構造によって反射される光のサイドローブの測定データに基づいて決定され,上記光のサイドローブが,上記基準半導体デバイスのパターン化構造上に上記光のメインローブが衝突する前に,上記基準半導体デバイスの上記パターン化構造上に衝突するものである,請求項8に記載の方法。
【請求項15】
上記時間領域表現の作成が波長領域から時間領域への変換を適用することを含み,上記波長領域から時間領域への変換が,光の様々な波長成分の透過深度に基づいて設定されるものである,請求項1に記載の方法。
【請求項16】
上記パターン化構造の関心ある一または複数のパラメータの一または複数の測定値の決定が,追加情報にも応答するものである,請求項1に記載の方法。
【請求項17】
他の半導体デバイスのパターン化構造の関心ある一または複数のパラメータの一または複数の測定値を取得し,(a)上記他の半導体デバイスのパターン化構造の関心ある一または複数のパラメータの一または複数の測定値を,(b)上記半導体デバイスのパターン化構造の関心ある一または複数のパラメータの一または複数の測定値と比較する,請求項1に記載の方法。
【請求項18】
半導体デバイスのパターン化構造によって反射された光の波長領域測定データの時間領域表現を作成し,
時間領域表現の一または複数の関連部分および上記時間領域表現の少なくとも一つの非関連部分を選択し,
上記時間領域表現の一または複数の関連部分を用いて処理を実行することによって,上記パターン化構造の一または複数の関心あるパラメータの一または複数の測定値を決定する,
ための命令を記憶する,
非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項19】
プロセッサおよびメモリユニットを備え,
上記プロセッサが,
半導体デバイスのパターン化構造によって反射された光の波長領域測定データの時間領域表現を作成し,
上記時間領域表現の一または複数の関連部分および少なくとも一つの非関連部分を選択し,
上記時間領域表現の一または複数の関連部分を用いて処理を実行することによって上記パターン化構造の関心ある一または複数のパラメータの一または複数の測定値を決定する,
ように構成されている,
計測ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,2021年1月28日出願の米国仮特許出願番号63/142,971号および2021年1月29日出願の米国仮特許出願番号63/199,884号からの優先権を主張するもので,これらの両方が全体的に参照によってこの明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ロジック・デバイスやメモリ・デバイスなどの半導体デバイスは,典型的には半導体ウェハ上に一連の層を積層することによって製造され,層の一部または全部にパターン化構造が含まれる。半導体デバイスの様々な層によって反射された光を測定し,上記測定光スペクトルを所定のモデルまたは他の基準(参照)データに対して解釈することによって半導体デバイスの特性を評価する(特徴づける)ために,しばしば光散乱法(optical scatterometry)が用いられている。光散乱法は,一般的なメモリ・デバイスのような周期的なパターン構造のみを有する半導体デバイスに特に適している。しかしながら,半導体デバイスの中には,メモリ回路のような周期的構造を持つ上層およびロジック回路のような非周期構造を持つ下層を有するものがあり,このようなデバイスについては,既存の光散乱測定技術を用いて特性を評価するのは困難であるかまたは不可能である。
【発明の開示】
【0003】
半導体デバイスの時間領域光(光学)計測および検査のためのシステム,方法および非一時的コンピュータ読み取り可能媒体が提供される。
【0004】
様々な側面が,添付図面と併せた以下の詳細な記載からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】この発明の実施形態にしたがって構築されかつ動作する,半導体デバイスの時間領域光計測および検査のためのシステムの簡略化された概念図である。
図1B】この発明の実施形態にしたがって構築されかつ動作する,半導体デバイスの時間領域光計測および検査のためのシステムの簡略化された概念図である。
図1C】この発明の実施形態にしたがって構築されかつ動作する,半導体デバイスの時間領域光計測および検査のためのシステムの簡略化された概念図である。
図1D】この発明の実施形態にしたがって構築されかつ動作する,半導体デバイスの時間領域光計測および検査のためのシステムの簡略化された概念図である。
図2A】この発明の実施形態の理解に有用な簡略化されたグラフである。
図2B】この発明の実施形態の理解に有用な簡略化されたグラフである。
図2C】この発明の実施形態の理解に有用な簡略化されたグラフである。
図3A図1Aのシステムの動作の例示的な方法の簡略化されたフローチャートである。
図3B図1Bのシステムの動作の例示的な方法の簡略化されたフローチャートである。
図3C図1Cのシステムの動作の例示的な方法の簡略化されたフローチャートである。
図3D図1Dのシステムの動作の例示的な方法の簡略化されたフローチャートである。
図4A】方法の一例を示す。
図4B】方法の一例を示す。
図4C図4Aの方法のステップの一例を示す。
図5】方法の一例を示す。
図6】パターン化構造,照明放射および反射放射の一例を示す。
【実施例
【0006】
一の観点では,半導体デバイス計測方法(semiconductor device metrology)が提供され,この方法は,半導体デバイスのパターン化構造によって反射される光の波長領域測定データ(wavelength-domain measurement data)の時間領域表現(time-domain representation)を作成し,上記時間領域表現の時間的に遅い(後ろの)部分(later-in-time portion)を除く上記時間領域表面の時間的に早い(前の)部分(earlier-in-time)を選択し,上記時間領域表現の上記時間的に早い部分を用いてモデルベース処理を実行することによって上記パターン化構造の関心ある(interest)一または複数のパラメータの一または複数の測定値を決定することを含む。
【0007】
別の観点では,上記所定のモデルが,パターン化構造の理論的測定値に対応してパターン化構造によって反射されると予想される光の理論的波長領域測定データの時間領域表現を決定するように構成されている。
【0008】
別の態様では,所定のモデルが,上記時間領域表現の上記時間的に早い部分に対応する上記パターン化構造の一または複数の上層(upper layers)をモデル化したものである。
【0009】
別の観点では,所定のモデルが,上記パターン化構造の他のすべての層を除いて上記パターン化構造の一または複数の上層をモデル化したものである。
【0010】
他の観点では,上記波長領域測定データがスペクトル(分光)振幅およびスペクトル位相を含み,上記作成が上記スペクトル振幅およびスペクトル位相の両方を用いて上記時間領域表現を作成することを含む。
【0011】
別の観点において,半導体デバイス計測方法が提供され,この方法は,半導体デバイスのパターン化構造によって反射される光の波長領域測定データの時間領域表現を作成し,上記時間領域表現の時間的に遅い部分を除く上記時間領域表現の時間的に早い部分を選択し,上記時間領域表現の選択された時間的に早い部分を時間フィルタリングされた波長領域測定データに変換し,上記時間フィルタリングされた波長領域測定データを用いてモデルベース処理を実行することによって上記パターン構造の関心ある一または複数のパラメータの一または複数の測定値を決定するものである。
【0012】
別の観点では,所定のモデルが,パターン化構造の理論的測定値に対応して上記パターン化構造によって反射されると予想される光の理論的波長領域測定データを決定するように構成される。
【0013】
別の観点では,所定のモデルが,上記時間フィルタリングされた波長領域測定データに対応するパターン化構造の一または複数の上層をモデル化したものである。
【0014】
別の観点では,所定のモデルが,上記パターン化構造の他のすべての層を除いて上記パターン化構造の一または複数の上層をモデル化したものである。
【0015】
他の観点では,上記波長領域測定データがスペクトル振幅およびスペクトル位相を含み,上記作成が上記スペクトル振幅およびスペクトル位相の両方を用いて上記時間領域表現を作成することを含む。
【0016】
別の観点では,半導体デバイス測定方法が提供され,上記方法は,半導体デバイスのパターン化構造上の第1のターゲット位置(対象位置)(target location)によって反射される光の第1の波長領域測定データの第1の時間領域表現を作成し,上記半導体デバイスの上記パターン化構造上の第2のターゲット位置によって反射される光の第2の波長領域測定データの第2の時間領域表現を作成し,上記第1のターゲット位置の高さに対応する第1の時間領域表現中の第1の点を特定(識別)し,上記第2のターゲット位置の高さに対応する上記第2の時間領域表現中の第2の点を特定(識別)し,上記第1のターゲット位置の高さと上記第2のターゲット位置の高さの間の高さの差(高低差)(height differential)を決定するものである。
【0017】
別の観点では,上記第1の波長領域測定データが上記第1のターゲット位置に関するスペクトル振幅およびスペクトル位相を含み,上記第2の波長領域測定データが上記第2のターゲット位置に関するスペクトル振幅およびスペクトル位相を含み,上記第1の時間領域表現の作成が上記第1の波長領域測定データの上記スペクトル振幅およびスペクトル位相の両方を用いて上記第1の時間領域表現を作成することを含み,上記第2の時間領域表現の作成が上記第2の波長領域測定データのスペクトル増幅およびスペクトル位相の両方を用いて上記第2の時間領域表現を作成するものである。
【0018】
別の観点において,半導体デバイス検査方法が提供され,この方法は,半導体デバイスのパターン化構造によって反射される光の波長領域測定データの時間領域表現を作成し,上記時間領域表現を基準パターン化構造によって反射される光の基準時間領域表現と比較し,上記時間領域表現間に差が存在する場合に上記半導体デバイスにおける構造異常を特定(識別)するものである。
【0019】
別の観点では,上記波長領域測定データはスペクトル振幅およびスペクトル位相を含み,上記作成が上記スペクトル振幅およびスペクトル位相の両方を用いて上記時間領域表現を作成するものである。
【0020】
別の観点において,半導体デバイス計測システムが提供され,このシステムは,半導体デバイスのパターン化構造によって反射される光の波長領域測定データの時間領域表現を作成し,上記時間領域表現の時間的に遅い部分を除く上記時間領域表現の時間的に早い部分を選択するように構成されるスペクトル処理ユニットと,上記時間領域表現の上記時間的に早い部分を用いてモデルベースの処理を実行することによって上記パターン化構造の関心ある一または複数のパラメータの一または複数の測定値を決定するように構成される計測ユニットを含み,上記スペクトル処理ユニットおよび上記計測ユニットが,a)コンピュータ・ハードウェアおよび非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に具現化されるコンピュータ・ソフトウェアのいずれかに実装される。
【0021】
別の観点では,所定のモデルが,上記パターン化構造の理論的測定値に対応して上記パターン化構造によって反射されると予想される光の理論的波長領域測定データの時間領域表現を決定するように構成されている。
【0022】
別の観点では,所定のモデルが,上記時間領域表現の上記時間的に早い部分に対応する上記パターン化構造の一または複数の上層をモデル化したものである。
【0023】
別の観点では,所定のモデルが,上記パターン化構造の他のすべての層を除いて上記パターン化構造の一または複数の上層をモデル化したものである。
【0024】
別の観点では,上記波長領域測定データがスペクトル振幅およびスペクトル位相を含み,上記スペクトル処理ユニットが上記スペクトル振幅およびスペクトル位相の両方を用いて上記時間領域表現を作成するように構成されている。
【0025】
別の観点において,半導体デバイス計測システムが提供され,上記システムは,半導体デバイスのパターン化構造によって反射される光の波長領域測定データの時間領域表現を作成し,上記時間領域表現の時間的に遅い部分を除く上記時間領域表現の時間的に早い部分を選択し,上記時間領域表現の上記選択された時間的に早い部分を,時間フィルタリングされた波長領域測定データに変換するように構成されるスペクトル処理ユニット,および上記時間フィルタリングされた波長領域測定データを用いてモデルベース処理を実行することによって上記パターン化構造の関心ある一または複数のパラメータの一または複数の測定値を決定するように構成される計測ユニットを含み,上記スペクトル処理ユニットおよび上記計測ユニットが,a)コンピュータ・ハードウェアおよび非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に具現化されるコンピュータ・ソフトウェアのいずれかに実装される。
【0026】
別の観点において,所定のモデルが,パターン化構造の理論的測定値に対応して上記パターン化構造によって反射されると予想される光の理論的波長領域測定データを決定するように構成される。
【0027】
別の観点において,所定のモデルが,上記時間フィルタリングされた波長領域測定データに対応するパターン化構造の一または複数の上層をモデル化したものである。
【0028】
別の観点において,所定のモデルが,上記パターン化構造の他のすべての層を除いて上記パターン化構造の一または複数の上層をモデル化したものである。
【0029】
別の観点において,上記波長領域測定データがスペクトル振幅およびスペクトル位相を含み,上記スペクトル処理ユニットが上記スペクトル振幅およびスペクトル位相の両方を用いて上記時間領域表現を作成することを含む。
【0030】
別の観点において,半導体デバイス計測システムが提供され,上記システムは,半導体デバイスのパターン化構造上の第1のターゲット位置によって反射される光の第1の波長領域測定データの第1の時間領域表現を作成し,上記半導体デバイスの上記パターン化構造上の第2のターゲット位置によって反射される光の第2の波長領域測定データの第2の時間領域表現を作成するように構成されるスペクトル処理ユニット,ならびに上記第1のターゲット位置の高さに対応する第1の時間領域表現中の第1の点を特定(識別)し,上記第2のターゲット位置の高さに対応する上記第2の時間領域表現中の第2の点を特定(識別)し,上記第1のターゲット位置の高さと上記第2のターゲット位置の高さの間の高さ差(height differential)を決定するように構成される計測ユニットを含み,上記スペクトル処理ユニットおよび上記計測ユニットが,a)コンピュータ・ハードウェアおよび非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に具現化されるコンピュータ・ソフトウェアのいずれかに実装される。
【0031】
別の観点において,上記第1の波長領域測定データが上記第1のターゲット位置に関するスペクトル振幅およびスペクトル位相を含み,上記第2の波長領域測定データが上記第2のターゲット位置に関するスペクトル振幅およびスペクトル位相を含み,上記スペクトル処理ユニットが,上記第1のターゲット位置に関する波長領域測定データの上記スペクトル振幅およびスペクトル位相の両方を用いて上記第1の時間領域表現を作成するように構成され,上記スペクトル処理ユニットが,上記第2のターゲット位置に関する波長領域測定データのスペクトル増幅およびスペクトル位相の両方を用いて上記第2の時間領域表現を作成するように構成される。
【0032】
別の観点において,半導体デバイス検査システムが提供され,このシステムは,半導体デバイスのパターン化構造によって反射される光の波長領域測定データの時間領域表現を作成するように構成されるスペクトル処理ユニット,および上記時間領域表現を基準パターン化構造によって反射される光の基準時間領域表現と比較し,上記時間領域表現間に差が存在する場合に上記半導体デバイスにおける構造異常を特定するように構成される構造異常検出器を含み,上記スペクトル処理ユニットおよび上記構造異常検出器が,a)コンピュータ・ハードウェアおよび非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に具現化されるコンピュータ・ソフトウェアのいずれかに実装される。
【0033】
別の観点において,上記波長領域測定データがスペクトル振幅およびスペクトル位相を含み,上記スペクトル処理ユニットが上記スペクトル振幅およびスペクトル位相の両方を用いて上記時間領域表現を作成するように構成される。
【0034】
図1A図1Dを参照して,これらはこの発明の一実施態様によって構築されかつ動作する,半導体デバイスの時間領域光計測および検査のためのシステムの簡略化された概念図である。図1Aのシステムは,イスラエル国レホボトのノヴァ メジャリング インスツルメンツ社から市販されているPRIZM(商標)のような,または米国特許第10,161,885号に記載されているような光計測ツール100が採用されており,従来技術にしたがって,半導体ウェハ106上のような半導体デバイス104のパターン化構造102によって反射される光を測定し,反射光のスペクトル振幅およびスペクトル位相の両方を好ましくは含む対応する波長領域測定データ108を生成する。光計測ツール100は,パターン化構造102の製造中または製造後の任意の時点においてパターン化構造102によって反射された光を測定する。
【0035】
図2Aに示す波長領域測定データ108の例は,パターン化構造102のようなものについてのスペクトル反射率グラフ(spectral reflectance graph)200を示している。上記パターン化構造102が比較される基準として機能する比較パターン化構造のスペクトル反射率グラフ202も示されている。上記比較パターン構造は,半導体デバイス104上にも配置される「テスト」パターン化構造110であってもよく,スペクトル反射率グラフ202はスペクトル反射率グラフ200と同じ方法で作成される。これらのグラフは約430nmまでは実質的に同一であるが,それ以降はかなり大幅に異なっている。
【0036】
また,図1Aにはスペクトル処理ユニット112が示されており,これは好ましくは光計測ツール100に統合される。スペクトル処理ユニット112は,好ましくは,波長領域測定データ108のスペクトル振幅およびスペクトル位相の両方を使用するといった,従来技術にしたがって波長領域測定データ108の時間領域表現1(time-domain representation)114を作成するように構成されている。
【0037】
図2Bは,スペクトル反射率グラフ200の時間領域表現200’を示すもので,パターン化構造102を照明した後,反射光が光計測ツール100によって受光される時間を表している。比較のために,スペクトル反射率グラフ202の時間領域表現202’も示している。ここで,これらのグラフは,X軸に沿う約10フェムト秒まで実質的に同一であり(Y軸は時間領域における任意の既知のタイプの単位における信号振幅を表している),これは,下層よりも早く光を反射するパターン化構造102の上層およびテストパターン化構造110の上層が,同様にして実質的に同一であることを示している。
【0038】
図1Aのスペクトル処理ユニット112は,好ましくは,時間領域表現114の時間的に早い(前の)部分116を選択し,時間領域表現114の時間的に遅い(後ろの)部分を除外するように構成される。この選択は,人のオペレータがスペクトル処理ユニット112に指示してもよいし,または,反射光の最初のn(nは任意のあらかじめ決められる所定値)フェムト秒のみを含む時間領域表現114の部分を時間的に早い部分116として選択するなど,所定の基準にしたがってスペクトル処理ユニット112によって自動的に実行してもよい。したがって,たとえば,スペクトル処理ユニット112は,図2Bの時間領域表現200'の時間的に早い部分204を選択して,時間領域表現200'の時間的に遅い部分206を除外することができる。
【0039】
図1Aにはまた計測ユニット118も示されており,これは好ましくは光計測ツール100に統合される。一実施態様では,計測ユニット118は,波長領域測定データ108の時間領域表現114の上記選択された時間的に早い部分116を用いてモデルベース処理を実行することによってパターン化構造102の関心あるパラメータ(たとえば,OCD,SWA,高さなど)の一または複数の測定値を決定するように構成される。この実施態様では,所定の(事前定義された)モデル120は,パターン化構造102の理論的測定に対応してパターン化構造102によって反射されると予想される光の理論的波長領域測定データの時間領域表現を決定するように構成される。所定のモデル120は,好ましくは,時間領域表現114の選択された時間的に早い部分116に対応するパターン化構造102の一または複数の上層をモデル化し,所定のモデル120は,好ましくは,パターン化構造102の他のすべての層を除外する。モデルベースの処理は,好ましくは,所定のモデル120を使用して,理論的測定値のセットを与えられたパターン化構造102によって反射されると予想される光の理論的波長領域測定データのモデルベースの時間領域表現をもたらすパターン化構造102の理論的測定値セットを決定し,それによって、モデルベースの時間領域表現が時間領域表現114の選択された時間的に早い部分116と予め定義された許容範囲内で実質的に同一であるパターン化構造102の測定値を実際に決定する,半導体計測学において一般的に使用されるようなモデルフィッティング技術を採用する。
【0040】
図1Bに示す別の実施態様では,スペクトル処理ユニット112は,時間領域表現114の選択された時間的に早い部分116を時間フィルタリング波長領域測定データ(time-filtered wavelength-domain measurement data)122に変換する。計測ユニット118は次に,時間フィルタリングされた波長領域測定データ122を使用してモデルベース処理を実行することによってパターン化構造102の一または複数の測定値を決定する。この実施形態では,所定のモデル120は,パターン化構造102の理論的測定値に対応するパターン化構造102によって反射されると予想される光の理論的波長領域測定データを決定するように構成される。所定のモデル120は,好ましくは,時間フィルタリングされた波長領域測定データ122に対応するパターン化構造102の一または複数の上層をモデル化し,所定のモデル120は好ましくはパターン化構造102の他のすべての層を除外する。
【0041】
図1Cに示す別の実施態様では,光計測ツール100を使用して,パターン化構造102上の第1のターゲット位置124によって反射される光を測定し,上述したように対応する波長領域測定データ(wavelength-domain measurement data)126を生成する。光計測ツール100は次に,パターン化構造102上の第2のターゲット位置128によって反射される光を測定し,上述したように対応する波長領域測定データ130を生成する。第1のターゲット位置124および第2のターゲット位置128の例が図2Cに示されており,これは,ONO(SiO2/SiN/SiO2)階段208がSi02 210で満たされたVNAND階段アプリケーション(VNAND staircase application)を示している。化学機械研磨(chemical-mechanical polishing)(CMP)は階段212の最上部まで行われるので,第1のターゲット位置124と第2のターゲット位置128の上記測定は,それぞれ第1のターゲット位置214と第2のターゲット位置216で行われ,第2のターゲット位置216は好ましくは階段212のちょうど頂部である(just above the top of the staircase 212)。
【0042】
スペクトル処理ユニット112は,第1のターゲット位置124によって反射される光の第1の波長領域測定データ126の第1の時間領域表現132および第2のターゲット位置128によって反射される光の第2の波長領域測定データ130の第2の時間領域表現134を作成する。第1のターゲット位置124と第2のターゲット位置128が異なる高さである場合,ターゲット位置124と128の両方を測定するときに基準(参照)ミラーの位置が同じであれば,それらの反射光は,それらの時間領域表現において異なる時点に現れる。計測ユニット118は,第1のターゲット位置124の高さに対応する第1の時間領域表現132における第1の点と,第2のターゲット位置128の高さに対応する第2の時間領域表現134における第2の点とを特定するように構成される。次に計測ユニット118は第1のターゲット位置の高さと第2のターゲット位置の高さとの間の高さの差を決定し,この情報をONO階段208のCMPを制御するために用いることができる。
【0043】
図1Dに示す別の実施例では,上述のように光計測ツール100を使用して,半導体デバイス104のパターン化構造102によって反射される光を測定し,対応する波長領域測定データ108を生成し,そこからスペクトル処理ユニット112が時間領域表現114を作成する。好ましくは光計測ツール100に統合される構造異常検出器136は,時間領域表現114を,基準(参照)パターン化構造によって反射される光のような基準(参照)時間領域表現(reference time-domain representation)138と比較し,時間領域表現114,138間に差異が存在する場合に,構造異常,たとえば半導体デバイス104内のボイド(空隙)または他の構造欠陥を識別するように構成される。
【0044】
ここで図3Aを参照して,図3Aは,この発明の一実施態様にしたがって動作する,図1Aのシステムの動作の例示的な方法の簡略化されたフローチャートである。図3Aの方法では,光計測ツールを用いて,半導体デバイスのパターン構造によって反射される光を測定し,反射光のスペクトル振幅およびスペクトル位相の両方を含む対応する波長領域測定データを生成する(ステップ300)。波長領域測定データの時間領域表現が,波長領域測定データのスペクトル振幅およびスペクトル位相の両方を用いて作成される(ステップ302)。上記時間領域表現の時間的に早い部分が選択され,上記時間領域表現の時間的に遅い部分が除かれる(ステップ304)。パターン化構造の測定値が,上記時間領域表現の選択された時間的に早い部分を用いてモデルベース処理を実行することによって決定される(ステップ306)。
【0045】
ここで図3Bを参照して,図3Bは,この発明の一実施態様にしたがって動作する,図1Bのシステムの動作の例示的な方法の簡略化されたフローチャートである。図3Bの方法においては,光計測ツールを用いて,半導体デバイスのパターン構造によって反射された光を測定し,反射光のスペクトル振幅とスペクトル位相の両方を含む,対応する波長領域測定データを生成する(ステップ310)。波長領域測定データのスペクトル振幅とスペクトル位相の両方を使用して,波長領域測定データの時間領域表現が作成される(ステップ312)。時間領域表現の時間的に早い部分が選択され,時間領域表現の時間的に遅い部分が除外される(ステップ314)。選択された時間領域表現の時間的に早い部分が,時間フィルタリングされた波長領域測定データに変換される(ステップ316)。パターン化構造の測定値は,上記時間フィルタリングされた波長領域測定データを使用してモデルベース処理を実行することによって決定される(ステップ318)。
【0046】
ここで図3Cを参照して,図3Cはこの発明の一実施態様にしたがって動作する,図1Cのシステムの動作の例示的な方法の簡略化されたフローチャートである。図3Cの方法では,光計測ツールを用いて,半導体デバイスのパターン構造上の第1および第2の位置によって反射される光を測定し,反射光のスペクトル振幅およびスペクトル位相の両方を含む,対応する第1および第2の波長領域測定データを生成する(ステップ320)。波長領域測定データのスペクトル振幅とスペクトル位相の両方を使用して,上記第1および第2の波長領域測定データの第1および第2の時間領域表現が作成される(ステップ322)。第1の時間領域表現における第1の点と第2の時間領域表現における第2の点が、第1および第2のターゲット位置の高さに対応して特定される(ステップ324)。そして、第1のターゲット位置の高さと第2のターゲット位置の高さとの間の高さの差(height differential)が決定される(ステップ326)。
【0047】
次に図3Dを参照して,図3Dは,この発明の一実施態様にしたがって動作する,図1Dのシステムの動作の例示的な方法の簡略化されたフローチャートである。図3Dの方法では,光計測ツールを用いて,半導体デバイスのパターン化構造によって反射された光を測定し,反射光のスペクトル振幅とスペクトル位相の両方を含む,対応する波長領域測定データを生成する(ステップ330)。波長領域測定データのスペクトル振幅およびスペクトル位相の両方を用いて,波長領域測定データの時間領域表現が作成される(ステップ332)。上記時間領域表現が基準(参照)時間領域表現と比較される(ステップ334)。上記時間領域表現(複数)に差があれば(ステップ336),半導体デバイスにおける構造異常(structural anomaly)が識別(特定)される(ステップ338)。
【0048】
光限界寸法(Optical Critical Dimensions)(OCD)計測が,製造工程における半導体デバイスの寸法特性評価の主流となっている。
【0049】
OCDは光散乱測定法(optical scatterometry)に基づくもので,さまざまな条件(波長,偏光,入射角など)における測定パターンの光反射率特性の高品質な測定,および高度なアルゴリズム,モデリング,機械学習法を用いた反射率情報の解釈を行う。
【0050】
OCD法の使用における重要な複雑さ(critical complication)は,OCD法の重要な強みの一つでもある。光は測定構造の奥深くまで達しかつ相互作用し,スタック全体の寸法および材料に対する感度が得られる。現代のSC構造は非常に薄く,光は通常,パターン化構造の複数層の奥深くまで達し,これらすべての領域から寸法や材料特性の影響を受ける。測定構造の様々な部分に対する感度を分離することは,しばしば極めて困難である。
【0051】
このような感度にはいくつかの意味(implications)があり,それは,(a)モデルのセットアップの複雑性と解決までの時間,(b)多数のパラメータに対する感度とパラメータ相関の分解能,(c)ソリューションのロバスト性,特に下層(アンダーレイヤー)の変動に対するロバスト性,(d)設計変更に対するレジリエンスを可能にする,R&D(研究開発)環境におけるOCD,(e)機械学習(ML)ソリューションを使用する能力,および参照数の削減,(f)複雑な構造の計測,特にインダイ(In-die)計測,(g)共通のトップ領域を共有する異なるサイト(sites)に対する単一レシピ,および(h)ショートループ(short-loop)からフルループ(full-loop)へのソリューション転送に関する問題,を含む。
【0052】
モデルのセットアップの複雑性および解決までの時間(time-to-solution)(TTS)
a. OCDソリューションを確立する最初の段階ではOCD“レシピ”を設定する。この段階では,測定構造(または散乱特性を正しく表現するのに十分な類似性を持つ簡略化された構造)のシミュレーション表現が確立される。シミュレーションされる構造は,シミュレーションが測定されたスタックの主要な属性を正しく表すまで,測定情報と参照特性に基づいて更新および改良され,測定値の解釈に適合/回帰アプローチ(fitting/regression)を使用できるようになる。主要な属性は,たとえば信号に大きく影響する属性など,関心ある属性(attribute)のことである。属性は任意の物理的属性および/または幾何学的属性とすることができる。
b. 複雑な多層構造の場合,このようなシミュレーション表現の構築とその改良には数日,場合によっては数週間を要することもある。これらの構造には非常に複雑な要素が含まれているため,得られた解が不正確であることが多く,単純化した仮定を使用する必要がある。多くの場合,このプロセスは,有用な解に収束させるために高度に熟練したエンジニアを必要とする。
【0053】
多数のパラメータに対する感度とパラメータ相関の分解能
a. 複雑な構造は一般的に多数のパラメータによって記述されるが,そのうちのいくつかは,パラメータの変化に対する測定信号の感度に起因して,解決するのが難しい場合がある(弱パラメータ)(weak parameters)。
b. 複数のパラメータを評価する場合,2つ以上のパラメータの変化のスペクトルシグネチャー(spectral signature)が類似していることがある。このような場合,個々のパラメータの正確な値を決定することは困難である(パラメータ相関)(parameter correlations)。
【0054】
ソリューションのロバスト性,特に下層(アンダーレイヤー)の変動に対するもの
a. OCDソリューションは,その開発に使用された構造と大きく異なる構造に使用された場合,無効となる(invalid)。明らかに,構造要素の追加(層,大幅な形状の変更),材料の変更,さらには大幅な寸法の変更は,開発されたスタックのシミュレーション記述や機械学習に基づく記述を無効にする。
b. OCDの広範な感度は,測定されるスタックのどの部分においても,その変化が計測品質の有害な劣化を引き起こす可能性があることを意味する。この点においてOCDソリューションは非常にデリケートであり,その「有効性」領域からの逸脱を識別するために様々な防御メカニズムが一般的に使用されている。
c. 下層(または他の層)が非周期的であったり,OCDソリューションを得るために必要な他の制約に従わない場合があったりする。このような場合,下層(または他の層)が関心あるパラメータを含んでいないとしても,所望の層における関心あるパラメータを得ることができない。
【0055】
設計変更に対するレジリエンスを可能にする,R&D環境におけるOCD
a. R&D環境では,先の課題をさらに悪化させるような極端な状況が生じる。製造プロセス開発中,設計変更は頻繁に行われる。そのような変更が行われるたびに,通常は,関連するOCDソリューションはすべて適用できなくなり,新しい設計に適用できるようにするためにソリューションを再開発(または少なくとも調整)する必要がある。
b. 説明したように,埋もれた下層における設計変更が行われる場合でも,これらの光学方法の広範な感度のために,その上の層の計測ソリューションはしばしば変更されなければならない。
【0056】
機械学習(ML)ソリューションを使用する能力,および参照数の削減
a. 近年,OCD計測の解釈においてMLソリューションが重要な役割を担うようになってきている。この手法では,正確な基準(参照)データ(たとえばTEMのような別の計測方法を通じて得られるもの)を持つサンプルに対して一連のOCD計測が行われる。MLソリューションは,この“トレーニング”情報を使用して,類似構造からの測定値をどのように解釈するかを学習する(測定値と基準(参照)データのみを使用するか,シミュレーションツールからの追加情報を使用する)。
b. 今日まで,非常に強力なMLツールが開発されてきたが,それらはすべて,本質的に,かなりの「トレーニング」測定と基準(参照)のセットを必要とする。この膨大なセットは,MLソリューションが,関心あるパラメータ(POI)の変動と,スタック内の他のパラメータからの変動を解読しかつ分離する方法を学習するために必要である。もしMLソリューションが,それが学習されたスタックと著しく異なるスタックに使用された場合,たとえばトレーニングセッション中に変動しなかったパラメータの変動を含む場合,それは一般的に失敗する。
c. 繰り返しになるが,OCDの広範な感度は,トレーニングデータセットが非常に多くのサンプルを含み,幅広い次元パラメータのバリエーションを包含する必要があるという点で,重大な複雑さを生み出す。感度をスタック内の特定の領域に限定することができれば,参照データポイントの数を大幅に減らすことができる。さらに,このような感度の低減は,この感度を除去するための数学的フィルタリング・ソリューションを見つける必要がなくなるので,MLツールを非常に強固で安定したものにする。
【0057】
複雑な構造の計測,特にインダイ計測
a. 一般的に,OCDソリューションは,専用領域,つまり最終的な機能性には使用されないウェハの犠牲領域(典型的にはウェハの「スクライブライン」)で使用されることが多い。これにより測定パターンをある程度単純化することができ,信頼性の高いOCDソリューションとより良いTTSを可能にし,かつ重要なことであるが測定構造の下にどのようなパターンを配置するかを制御することができる。これらのパターンには機能的な役割がないため,OCD測定に矛盾や混乱をきたさないように設計することができるからである。多くの場合,平坦な金属バッファ層,単純な非パターン層,または単純化されたパターンを含む下層が使用される。
b. 近年,実際のプロセスをより代表する場所,特にインダイ(in-die),つまりSCダイの機能領域において,後に機能動作に使用される実際のパターン上でOCDを測定する必要性が高まっている。この傾向は,プロセス制御の要求がますます厳しくなっているために対象デバイスにより近い計測が必要になっていることに起因している。スクライブライン測定とは逆に,これらの領域は,本来,デバイス設計によって規定される複雑さを含む下層で構築されており,これらを単純化することはできない。
c. このような下地構造(underlying structures)に対するOCDの感度はしばしば禁止的(prohibitive)であり,ダイ内計測操作(in-die metrology operation)はできない。これは,下層が非周期的である場合に顕著であり,その場合,モデルベースのOCDソリューションは不可能である。
【0058】
共通のトップ領域を共有する異なるサイトに対する単一レシピ
a. 上述したように,製造中に半導体スタックは多層構造になり,様々な機能素子が互いの上面に配置される。これは特に複数のメタル・インターコネクト・レベル(metal-interconnect levels)について典型的であり,特にロジック・インターコネクト(logic interconnects)では14レベル以上が典型的になってきている。
b. 上述した下層に対して敏感であることに起因して,同じトップレイヤーレイアウトを共有する異なるサイト(場所)であっても,下層の構造が異なれば,別々の専用OCDソリューションが必要となる。このような複数のサイト(場所)に一つのソリューションを使用する機能は,OCDソリューションに柔軟性と汎用性の両方を提供し,大きな価値がある。下層に対する感度を大幅に下げることができれば,たとえ感度を完全になくすことができなくても,最小限の調整で異なるサイト間でレシピを簡単に移行できるようになる。
【0059】
ショートループからフルループへのソリューション転送
a. 「ショートループ」という用語は,加工前の(またはシンプルな)基板上の特定層の製造に関連するもので,最終的な製品では下層上に存在する。ショートループ・ウェハを使用することで,研究開発中のサイクルタイムを短縮し,下層を完全に製造することなく,製造プロトコルを最適化する重要な方法を提供することができる。
b. しかしながら,OCDの場合,ショートループとフルループのスタックでは,下層との光の相互作用の結果として,通常,非常に異なる反射率データが得られる。その結果,OCDソリューションはショートループ用とフルループ用に別々に開発されるのが一般的であり,多額の投資オーバヘッドを必要とする。
【0060】
関心ある一または複数の半導体デバイス(semiconductor device)(SD)部分に関連する信号を選択するための一または複数の追加の態様を選択することは有益な追加態様であり得る。この選択は,たとえば上述の方法が不正確である場合を含む様々な場合に使用することができる。
【0061】
さまざまな文章部分において層(layers)について言及しているが,これらは単にSD部分の一例にすぎない。複数のSD部分は様々なz軸位置に配置されてもよく,複数のSD部分はパターン化構造を含んでもよく,一または複数の層を含んでもよく,および/または層ではない一または複数の部分を含んでもよく,2つのSD部分は同じz軸位置に配置されてもよいなどである。
【0062】
さまざまな文章部分において,関連SD部分(relevant SD portions)である一または複数の上層,および非関連SD部分(irrelevant SD portions)である一または複数の下層について言及されるが,これらは関連SD部分および非関連SD部分の単なる非限定的な例である。
【0063】
下層に対する測定感度を低減し,解釈された結果と望ましくない層(下層など)の特性との相関を低減することができるソリューション(解決策)が提供される。このソリューションは,弱パラメータ(弱は,スペクトルにわずかな影響を与えるもので,アプリケーションおよび被照明構造要素に依存する)に対する感度を高め,かつ一般的な意味におけるパラメータ相関を解決するために使用することができる。
【0064】
このソリューションは,関連する半導体部分に対する感度を上げ,関連しない(非関連)半導体部分に対する感度を下げることができ,その結果,実際の半導体デバイスを基準(参照)として使用する必要がなくなるか,または少なくとも使用頻度が減り,結果として計測コストが削減される。
【0065】
このソリューションは,半導体デバイスのパターン化構造によって反射された光の波長領域測定データの時間領域表現の一または複数の関連部分を選択し,一または複数の非関連部分を選択することを含むことができる。
【0066】
上記測定データは,広帯域波長範囲における反射スペクトル振幅およびスペクトル位相を含み得る。あるいは,上記測定データは反射スペクトル振幅を含むもので,他方においてスペクトル位相は任意の方法で推定するようにしてもよい。
【0067】
時間領域表現では,半導体デバイス内の様々な深さ(または様々な高さ,または様々なz軸値)の層に関連する寄与(contributions related to layers of different depth (or different height or different z-axis value) in a semiconductor device)は,通常,時間領域表現において異なる時間に位置する。
【0068】
測定構造の高さが数ミクロンである場合,その上部(top)領域からの反射と下部(bottom)領域からの反射は,時間領域表現において十分に(well)分離される。
【0069】
しかしながら,このソリューションによって解決される課題は,数十ナノメートル,さらには数十ナノメートル以下の間隔で配置された層からの寄与を分離することができる,非常に優れた垂直(z軸)分解能を必要とする高度なハイエンド構造にも適用可能である。少なくとも一つの層はナノメートルスケールの深さを持つ薄層であってもよい。
【0070】
上記方法は,一または複数の目標を達成するために,たとえば非関連半導体デバイス(irrelevant semiconductor device)(「SD」)部分(無関係な下層など)の属性(attributes)に対する感度を低減し,一または複数の関連SD部分と少なくとも一つの非関連SD部分との間の相関に対する感度を低減するために,時間領域表現(time domain representation)(「TD部分」)の一または複数の関連部分を選択することができる。これに加えてまたは代えて,一または複数の関連SD部分の一または複数の属性に対する感度の低下を最小限に抑えるように上記選択を行うことができる。
【0071】
一または複数の関連SD部分の一または複数の属性に対するソリューションの感度と,少なくとも一の非関連SD部分の一または複数の属性に対するソリューションの感度との間で,任意のトレードオフを提供することができる。
【0072】
以下に詳述する全ての技術は,各測定特徴(each measured feature)に対して個別に実施することができる(および/または,照明および/または収集の様々な波長範囲に対して個別に適用することができる)ことに留意すべきである。測定特徴の例としては,偏光,入射角,集光角,方位角などの少なくとも一つを挙げることができる。
【0073】
上記選択は,一または複数の方法において得られる一または複数の選択基準(selection criteria)を適用して行うことができる。
【0074】
たとえば,シミュレーションを使用することができる。たとえば,モデルベースの決定を適用することによって,光-物質相互作用(light-matter interaction)を記述するためのシミュレーションツール(たとえば,有限要素法の厳密結合波解析(rigorous coupled-wave analysis)(RCWA)など)を使用して,半導体デバイスから予想(期待)反射電界(expected reflected fields)を計算することを含むことができる。複数のシミュレーションが実行され,半導体デバイスの様々な寸法および材料特性(上記様々な寸法および材料特性が,様々な基準(参照)半導体デバイス(reference semiconductor devices)によって表される)に対する反射スペクトル(および対応する時間領域結果)が提供される。これには,様々な下層デザインに対して実行可能な複数の計算を実行することも含まれる。シミュレーションの結果が評価され,一または複数の選択基準が提供される。上記評価には,上述した目標のいずれかを達成する分離を見つけることが含まれる。
【0075】
さらに別の例として,上記決定は実測ベースとすることもできる。一または複数の選択基準を,基準(参照)データを有する半導体デバイスのセットを用いて特定することができる。たとえば,上記セットの半導体デバイスは,関連する上層を共有しかつ下層において互いに異なるものとすることができる。
【0076】
上記一または複数の選択基準の決定は,シミュレーションおよび実測に基づくものであってもよい。
【0077】
上記ソリューションは,関連するTD部分を一つ以上選択することができる。
【0078】
各関連TD部分によって,半導体デバイスの様々な部分および/または側面(aspects)を個別に解釈することができる。たとえば,一つの関連部分がスタックトップ(最上層)に配置された寸法特性に対する優れた選択性を提供することがあり,そのパラメータについて高品質の計測が可能になる。この第一パラメータが解釈されると,第二のTD部分が選択され,半導体デバイスの下層に配置された属性に対する感度が,下層に対する感度をわずかに高めつつも高くなる。
【0079】
これによって追加の解釈が可能になるが,トップSD部分が前のステップから既知となり,かつ上記ソリューションに入れられているので,この第2の解釈はかなり信頼性高くかつロバストに行うことができる。
【0080】
関連するTD部分を選択する別の方法は,半導体デバイスに入射する光の放射パターンに基づくものとすることができる。
【0081】
放射パターンが一つのメインローブ(a main lobe)と一または複数のサイドローブ(sidelobes)を含み,半導体デバイスの最上層(または最上層の一部)が最初に特定のサイドローブによって照らされ,その後に初めてメインローブによって照らされるとする。検出器において,あるサイドローブからの反射が現れるとき,半導体デバイスの他の層からの他の反射はないことがある。検出器において,メインローブからの反射が現れるときに,半導体の他の層からの他の信号も現れることがあり,検出器は様々な層からの信号の合計(a sum)を感知する。
【0082】
あるサイドローブからの反射はメインローブからの反射より弱いが,サイドローブで最上層を照らした光の反射を含み,メインローブからの反射を除くTDを選択することによって,実質的に最上層のみからの情報を得ることができる。
【0083】
一または複数の関連TD部分の選択に続いて,非関連TD部分の信号のフィルタリング,非関連TD部分の信号に対する重みを小さくするなどをすることができる。
【0084】
たとえば,時間領域のカットオフはステップ関数である必要はなく,むしろ領域t<t<tの外側の寄与が無視される窓フィルタである。このような窓フィルタは,関連SD部分の所望の属性に対する感度を高め,非関連SD部分の属性に対する相関を低減することができる。
【0085】
パラメータ感度を高め,パラメータ相関を解決するために,時間領域において様々な幅および/または中心を持つ多数の窓フィルタを用いることができる。
【0086】
ソリューションの一または複数の特徴,たとえば波長領域から時間領域への変換それ自体,および任意の測定パラメータは,たとえば上述した目標のいずれかを達成するために,任意の方法で決定することができる。
【0087】
ソリューション機能の選択によって,垂直解像度,ソリューションの堅牢性,および/または様々なSD部分間の分離能力が,大幅に向上することがある。
【0088】
このソリューションの特徴の決定は,シミュレーションおよび/または測定に基づくことができる。ソリューションの一または複数の目標に適合するように,ソリューションの結果に対する一または複数の特徴の一または複数の値の影響を評価して決定することができる。
【0089】
上記特徴の決定には,たとえば,放射光および/または検出光のスペクトルの前処理を含んでもよい。
【0090】
スペクトル中の様々な波長範囲はスタック中への浸透深さが異なるものであり,本質的に何らかの所望の垂直選択性を提供する。したがって,スペクトル範囲を狭めることを分析に使用することができる。また,スペクトルに重み付けを行い,特にスペクトルの端(UVとIRの部分)にフィルタを適用することによってTD変換の性能を向上させることもできる。
【0091】
図4Aは,半導体デバイス計測のための方法400の一例である。
【0092】
方法400はステップ410によってスタートし,このステップでは,半導体デバイスのパターン化構造によって反射された光の波長領域測定データの時間領域表現が作成される。
【0093】
この半導体デバイスは,測定半導体デバイス(measured semiconductor device)とも呼ばれる。
【0094】
ステップ410中に用いられる波長領域から時間領域への変換(「変換」)はどのようなやり方で決定してもよい。たとえば,上記変換を,光の様々な波長成分の(上記測定半導体デバイス中の)透過深さ(透過深度)に基づいて決定することができる。
【0095】
どの波長が半導体デバイスの各部分を透過するかを決定するために,様々な透過深度を使用することができる。たとえば,ある波長が関連部分のみを透過する場合,この特定の波長を使用することが有益になる。様々な波長の透過深度は,(評価される半導体デバイスに入射する光から)波長を除去するために,および/または,波長領域測定データの様々な波長に重みを適用する(または他の方法で重要度を増減する)ために使用することができる。
【0096】
方法400はステップ430も含み,このステップ430では,ステップ420中に用いられる一または複数の選択基準を受信する,および/または決定する。
【0097】
ステップ410および430にステップ420が続く。
【0098】
ステップ420は,一または複数の関連TD部分(relevant TD portions)および少なくとも一つの非関連TD部分(irrelevant TD portion)の選択を含む。
【0099】
一または複数の関連TD部分の選択は,一または複数の選択基準の適用を含むことができる。一または複数の選択基準は一または複数のルール(規則)であってもよいし,機械学習プロセス,ニューラルネットワークなどを用いることによる適用であってもよい。
【0100】
z軸は半導体デバイスの深さに沿って伝播する(propagates)。たとえば,様々な層は様々なz軸座標に位置する。
【0101】
ステップ420は任意の数の関連TD部分を選択することを含むことができる。
【0102】
ステップ420は,一または複数の関連TD部分を選択するために適用される一または複数の選択基準を取得すること(ステップ430)を含んでもよいし,事前に行ってもよい。
【0103】
ステップ420で行われる選択は,少なくとも部分的には,以下のうちの一または複数に基づくことができる。
a.半導体デバイス中の複数のSD部分のうちの少なくとも一つの関連SD部分のz軸位置。たとえば,この方法は,一または複数の関連SD部分の一または複数のz軸位置を受信し,それに応じて選択を実行することができる。たとえば,前述の例では,SDの一または複数の上層を選択し,SDの一または複数の下層を無視するために,カットオフに基づく選択が行われた。
b.一または複数のSD部分デバイスの一または複数の属性。
c.一または複数のSD部分の一または複数の属性に対する方法400の感度。
d.関心ある一または複数のパラメータのうちの少なくとも一つのパラメータ。
e.少なくとも一つの測定条件(照明条件および/または収集条件,たとえば偏光など)。
【0104】
ステップ420で行われる選択は,一または複数の選択基準を適用することを含んでもよい。選択基準は,たとえば,シミュレーションに基づいて,実測に基づいて,など,任意の方法において決定することができる。
【0105】
属性は,方法400によって受信されてもよいし,たとえばシミュレーション,実測に基づくなど,任意の方法で決定されてもよい。
【0106】
ステップ420にステップ490が続き,ここでは一または複数の関連TD部分を用いて処理を実行することによってパターン化構造の関心ある一または複数のパラメータの一または複数の測定値を決定する。
【0107】
一または複数の非関連TD部分に含まれる信号は無視してもよい。これに代えて,それらを考慮し,しかしながら一または複数の関連TD部分の信号よりも低い重要度を与えてもよい。
【0108】
図4Bは,半導体デバイス計測のための方法401の一例である。
【0109】
方法401は,追加情報を受信するステップ411を含む点において方法400と異なる。上記追加情報は,たとえば,ステップ410などの提供で実行されない,半導体デバイスの計測値であってもよい。
【0110】
ステップ411およびステップ420に続くステップ492では,時間領域表現の一または複数の関連部分を用い,かつ上記追加情報を用いて処理を実行することによってパターン化構造の関心ある一または複数のパラメータの一または複数の計測値を決定する。
【0111】
図4Cは方法400のステップ430の一例を示している。
【0112】
ステップ430は,一または複数の基準(参照)半導体デバイスの計測のシミュレーションに基づく一または複数の選択基準を決定するステップ450を含む。
【0113】
上記シミュレーションは,たとえば,一または複数のSD部分(たとえば非関連SD部分)の一または複数の属性によって互いに異なる基準(参照)半導体デバイスを用いたものとすることができる。
【0114】
様々な基準(参照)半導体デバイスは,測定半導体デバイスのモデルにおいて(少なくとも一または複数の非関連SD部分に)変更(changes)を導入することによって決定することができる。
【0115】
上記変更は,たとえば,少なくとも一つのSD部分の材質を変更すること,少なくとも一つのSD部分の一または複数の要素の形状およびサイズの少なくとも一方を変更すること,少なくとも一つのSD部分の位置を変更すること,一または複数の要素を省略すること,一または複数の要素を追加することなどを含む。
【0116】
様々な属性をシミュレーションすることによって,上記シミュレーションは,一または複数のSD部分の一または複数の属性に対する方法400の感度を見出すことができる。
【0117】
ステップ450は,(a)ステップ490において測定される関心ある様々なパラメータのシミュレーション(ステップ452),および(b)少なくとも一つの測定条件の様々な値のシミュレーション(ステップ454)のうちの少なくとも一つによる測定のシミュレーションを含むことができる。測定条件は,照明条件,収集条件,またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0118】
ステップ452および/またはステップ454は,一または複数の基準(参照)半導体デバイスをシミュレーションするときに適用してもよい。
【0119】
任意の基準(参照)半導体デバイスは,一または複数の側面において測定半導体デバイスと異なることがあるが,少なくとも他の一つの側面においては類似することができる。たとえば,一または複数の関連SD部分は同じままであり,他方において一または複数の非関連SD部分に一または複数の相違が導入されたものとすることができる。
【0120】
ステップ430は,少なくとも一つの非関連SD部分の少なくとも一つの属性によって互いに異なる様々な基準(参照)半導体デバイスの計測測定値(metrology measurements)に基づいて,一または複数の選択基準を決定するステップ460を含むことができる。上記様々な基準半導体デバイスは,測定半導体デバイスのパターン化構造の少なくとも一部を含んでもよい。
【0121】
ステップ430は,少なくとも一つの非関連SD部分の少なくとも一つの属性によって互いに異なる様々な基準半導体デバイスの実際の計測測定値または推定された計測測定値に基づいて,一または複数の選択基準を決定するステップ470を含むことができる。
【0122】
上記様々な基準半導体デバイスは,短ループ半導体デバイス(a short loop semiconductor device)および長ループ半導体デバイス(a long loop semiconductor device)を含んでもよい。短ループ半導体デバイスおよび長ループ半導体デバイスの両方は,測定半導体デバイスのパターン化構造の少なくとも一部を含んでもよい。短ループ半導体デバイスは,(a)半導体デバイスのパターン化構造の少なくとも一部と基板とから本質的に構成されてもよい。長ループ半導体デバイスは測定半導体デバイスの実質的に全体部分を含むことができる。
【0123】
ステップ440は,半導体デバイスからの放射の様々なローブの実際の反射または推定反射に基づいて一または複数の選択基準を決定するステップ480を含むことができる。
【0124】
上記ローブは,放射のシミュレートされたローブであってもよいし,放射の実際のローブであってもよい。半導体デバイスのパターン化構造によって反射される光は様々なローブを含むことがある。
【0125】
たとえば,ステップ480は,半導体デバイスのパターン化構造の少なくとも一部からの光のサイドローブの反射の測定データを含む関連TD部分を選択するための選択基準を決定することを含むことができる。
【0126】
上記光のサイドローブは,光のメインローブが半導体デバイスのパターン化構造の少なくとも一部に衝突する前に,上記半導体デバイスのパターン化構造の少なくとも一部に衝突する。
【0127】
上記選択基準は,半導体デバイスのパターン化構造によって反射されるメインローブの測定データを無視することを含んでもよい。
【0128】
図5は,複数の測定半導体デバイスを比較するための方法500を示している。
【0129】
方法500は,ステップ510,520および530を含む。
【0130】
ステップ510は,第1の測定半導体デバイス(first measured semiconductor device)のパターン化構造の関心ある一または複数のパラメータの一または複数の測定値を取得することを含む。関心ある一または複数のパラメータの一または複数の測定値は,方法400および401のいずれか一つを用いて生成される。
【0131】
ステップ520は,第2の測定半導体デバイスのパターン化構造の関心ある一または複数のパラメータの一または複数の測定値を取得することを含む。関心ある一または複数のパラメータの一または複数の測定値は,方法400および401のいずれか一つを用いて生成される。
【0132】
ステップ510および520に続くステップ530では,(a)上記第1の半導体デバイスのパターン化構造の関心ある一または複数のパラメータの一または複数の測定値と,(b)上記第2の半導体デバイスのパターン化構造の関心ある一または複数のパラメータの一または複数の測定値とが比較される。上記比較によって一または複数の比較結果が提供される。
【0133】
上記比較は,2つの以上の半導体デバイスのパターン化構造の一または複数の関心ある一または複数のパラメータの一または複数の測定値間で行うことができる。
【0134】
比較結果は,たとえば,半導体デバイス間の相違,潜在的な欠陥または故障の提示,プロセス変動の提示などを決定するために処理することができる。
【0135】
図6は,半導体デバイスのパターン化構造460の一例を示すもので,入射放射(impinging radiation)610,パターン化構造460の上面642(および上層641)から反射された第1の反射放射620,および下面644(および下層643)から反射された第2の反射放射630を示している。
【0136】
入射放射610は,初期(early)入射サイドローブ616,入射メインローブ614,および後期(late)入射サイドローブ612を有する。第1の反射放射620は,初期第1のサイドローブ622,第1のメインローブ624,および後期第1のサイドローブ626を有する。第2の反射放射630は,初期第2のサイドローブ632,第2のメインローブ634,および後期第2のサイドローブ636を有する。
【0137】
初期第1のサイドローブ622と第2の反射放射630との間にはタイミングの重なりがなく,他方において第1のメインローブ624と第2の反射放射630との間にはタイミングの重なりがある(特に,第1のメインローブ624と初期第2のサイドローブ632との間に重なりがある)。オーバーラップがないことに起因して,初期第1のサイドローブ622は,上面(および上層641)に関する信頼できる情報を提供することができる。
【0138】
同じ理由により,後期第2のサイドローブ636は,下面644(および下層643)に関する信頼できる情報を提供することができることに留意すべきである。
【0139】
放射パターンがメインローブと一または複数のサイドローブを含み,半導体デバイスの最上層(または最上層の一部)が最初にあるサイドローブによって照らされ,その後に初めてメインローブによって照らされるとする。検出器において,あるサイドローブからの反射が現れるときに,半導体デバイスの他の層からの他の反射はないことがある。検出器において,メインローブからの反射が現れるときに,半導体の他の層からの他の信号も現れることがあり,検出器は様々な層からの信号の合計を感知する。
【0140】
あるサイドローブからの反射はメインローブからの反射より弱いが,サイドローブで最上層を照らすことで反射された光を含み,メインローブからの反射を除いたTDを選択することによって,実質的に最上層のみからの情報を得ることができる。
【0141】
周波数拡張
計測のための時間領域(TD)アプローチを使用する方法では大幅な改善を提供することができる。具体的には,上述したような方法は,広帯域フィールド反射率(すなわち複素反射率)の測定値を使用して,構造の時間領域インパルス応答(time-domain impulse response)(TDIR)を推論する。
【0142】
TDIRの様々な部分が様々な時間に起こった反射に関連しており,測定スタックにおける様々な領域からの反射との関連付けをすることができる。
【0143】
このような方法によって,下層に対する感度を下げ,関心ある領域についての計測を改善することができる。
【0144】
これらの方法の属性の一つは,取得される垂直分解能(vertical resolution)である。一般に,垂直分解能ΔLはスペクトル帯域幅によって決まり,(大まかな近似としては)以下の式によって推定することができる。
【0145】
【数1】
【0146】
ここでneffは構造に関連する実効屈折率(effective refractive index),λminおよびλmaxは最小波長および最大波長である。様々な方法を用いてneffを推定することができる。
【0147】
ΔLよりも小さい垂直分離を有するスタック中の領域は,TD法を使用して容易に分離することができず,その適用性が大幅に制限される。UV-IRスペクトル範囲を使用する標準的な散乱測定では,典型的な垂直分離が数十nmから数百nmであることを推論することができ,これは,今日の多くのハイエンド半導体構造の厚さがTD法のアクセス以下であることを意味する。
【0148】
提案するソリューション(解決策)は,垂直制限に対処して,その結果得られる解像度を上記の理論的限界を超えて向上させるアルゴリズム的な方法を提供するものである。
【0149】
上述したように,TD法の分解能限界は,測定スペクトルの帯域幅によって決まる(式1)。現在のソリューション(解決策)は人為的外挿(artificial extrapolation)を用いて測定スペクトルを拡張することができ,これは,測定構造に関する追加的な洞察は得られないものの,TD(垂直)分解能を向上させることができる。
【0150】
正確な外挿(accurate extrapolation)を提供することによって,誤ったスペクトル拡張を防止し,最終的に利益よりも害が大きくなるTD法全体の機能低下を防ぐ必要がある。
【0151】
UV領域(紫外領域)およびIR(赤外領域)の両方に対するスペクトル外挿は有利であるが,紫外領域に対するスペクトル拡張の方が,期待される解像度の向上が顕著になるので,かなり重要であることに留意すべきである(式1参照)。
【0152】
このようなスペクトル外挿を行うには,モデルに基づく外挿,参照に基づく外挿,物理的論拠に基づく外挿など,いくつかの方法がある。
【0153】
上記モデルに基づく外挿(モデルベースの外挿)は,ほとんどの場合,測定構造が(ほぼ)既知の形状の要素の周期的配列であり,それに対して光-物質シミュレーションを用いてモデルに基づく反射率スペクトルを推測できるという事実を利用する一または複数の方法を含むことができる。
【0154】
公称スタック記述(nominal stack description)を使用することで,測定範囲を超える波長までシミュレーション・スペクトルを拡張し,その結果を測定データセットに追加することができる。測定帯域幅を超える波長へのモデルの拡張は簡単である(ただ,これらの波長におけるスタック材料の光学特性に関する情報が必要であり,これは多くの場合入手可能であるか,物理的考察から得ることができる)。
【0155】
このアプローチを素朴に実装すると,シミュレーションしたスペクトルと測定スペクトルの間に不連続性が生じることがある。このような非現実的な拡張を避けるために,外挿スペクトルが測定スペクトル(あるいは測定スペクトルとその局所微分)を連続的に拡張するように修正される平滑化アルゴリズムを実装することができる。
【0156】
この拡張について使用されるモデルを,測定値そのものを使って改良することができ,スタックの大まかな特徴付けを行う予備的な解釈を実行して,導き出された寸法をモデルに基づく外挿の基礎として使用することができる。明らかに,この最初のステップは,下層からの「汚染」に悩まされることになるが,近似的なものであればよいので,誘発される誤差は限定的であろう。
【0157】
また,再帰的に行うことも可能である。あるスタック記述に対する予備的な推測が,最初にスペクトル拡張の計算に使用されて測定に追加される。解釈回帰プロセスの各ポイント(スタックパラメータが変更され,計算結果が測定値と比較されることを意味する)において,スペクトルは非常に広いスペクトル範囲でシミュレートされる。測定範囲を超えるスペクトル部分が測定値に追加される。これで,シミュレートされたスペクトルと測定されたスペクトルの両方が(測定されたスペクトルがシミュレーションによって拡張された状態で)VTSを通過して比較される。このアプローチによって結果を改善することができる。
【0158】
参照ベースの外挿-ここでは単一の外挿(a single extrapolation)がすべての測定に用いられる(最初のケースと同様に,「公称スタックを使用」)。しかしながら,この公称の選択はレシピ作成段階に行われ,そのような「公称」スタックの大規模なセットが計算されて参照サンプルのセットの分析に用いられる。最良の結果をもたらす選択公称値は,その後の外挿に用いることができる。
【0159】
ここでの参照は実際の寸法値を意味する。より単純な方法としては,同一ウェハ上に異なるサンプル,あるいは部位があり,下層のみが意図的に変更されている場合(ショート/フルループ)である。これらも「基準(参照)」としての役割を果たすことができ(外寸測定がなくても),外挿のための「最良のスペクトル」は,同じ下層を持つすべてのサンプルに最も類似した結果を提供するように選択される(すなわち最良の下層非依存性)。
【0160】
物理的な議論に基づく外挿-電界の反射率(field reflectivity)は,いくつかの特定の特性を満たさなければならないことが示されている。そのような要件の一つは,反射磁場(reflected field)の実部と虚部がKK(クラマース・クローニッヒ)(Kramers-Kronig)関係を満たすことである。この積分関係は,測定領域から知られるデータに基づいて外挿スペクトルに制限を課す。(上記の方法またはその他の方法で)外挿近似を求めた後,KK関係を使って外挿を補正することによって,全体的な外挿誤差を減らすことができる。
【0161】
このKK関係は,スペクトル外挿のための追加入力なしに使用することもできる。KK関係を満たす基底関数セット(a base function set)に測定データセットを投影することによって,外挿を簡単に行うことができる(A.B. Kuzmenko, 'Kramers-Kronig Constrained Variational Analysis of Optical Spectra', Review of Scientific Instruments 76, 083108 (2005)に詳述されている)。
【0162】
特に「長波長」(long-wavelength)領域に外挿する場合,いくつかのスタックを近似的な記述で扱うことができる。中IR(mid-IR)では,「有効媒質」(effective medium)または他の簡略化されたアプローチを高精度化することができ,上記スタックの詳細な記述を必要としない。このアプローチによって,MIR固有の低感度を利用して,高精度のスペクトル外挿を得ることができる。
【0163】
上述したように,スペクトル範囲の拡張(拡大)は,TD分析における垂直分解能の向上をもたらし,スタックの様々な部分からの寄与を分離する優れた能力を可能にする。このような改善は,[従前のIPを参照]において広範に説明したように,全体的な計測性能,プロセス変動への耐性,さらには単一のソリューションスキームを使用したさまざまな下層を持つパターンへの適用性など,一連の大きな利点につながる。
【0164】
具体的な例としては,3D-NAND計測にTD法を用いることが挙げられる。この場合,スタック全体の高さは数ミクロンであるので,3D-NAND構造のスタック上部と下部からの反射を分離することに,解像度の課題はない。しかしながら,3D-NAND構造の底面からの反射と,その下に配置されたCMOS構造からの反射を分離することに関心がある場合,必要な垂直分解能は大幅に向上する。
【0165】
ここに説明する方法は,この能力を可能にするものである。
【0166】
この明細書で説明する任意の態様は,従来技術にしたがって,非一時的コンピュータ読み取り可能な媒体において具現化されたコンピュータ・ハードウェアおよび/またはコンピュータ・ソフトウェアにおいて実施することができ,コンピュータ・ハードウェアは,従来技術にしたがって相互運用する一または複数のコンピュータ・プロセッサ,コンピュータ・メモリ,I/Oデバイス,およびネットワーク・インタフェースを含む。
【0167】
この明細書で使用する「プロセッサ」または「デバイス」という用語は,たとえばCPU(中央処理装置)および/または他の処理回路を含むものなど,任意の処理デバイスを含むことを意図していることを理解されたい。また,「プロセッサ」または「デバイス」という用語は,複数の処理デバイスを指すことがあり,処理デバイスに関連する様々な要素が他の処理デバイスによって共有される場合があることも理解されたい。
【0168】
この明細書で使用する「メモリ」という用語は,たとえばRAM,ROM,固定メモリ・デバイス(たとえばハードドライブ),リムーバブルメモリデバイス(たとえばディスケット),フラッシュメモリなど,プロセッサまたはCPUに関連するメモリを含むことを意図している。このようなメモリは,コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とみなすことができる。
【0169】
さらに,この明細書で使用される「入力/出力デバイス」または「I/Oデバイス」という語句は,たとえば、処理ユニットにデータを入力するための一または複数の入力デバイス(たとえばキーボード,マウス,スキャナなど),および/または処理ユニットに関連する結果を提示するための一または複数の出力デバイス(たとえばスピーカ,ディスプレイ,プリンタなど)を含むことを意図している。
【0170】
この発明の実施形態は,システム,方法,および/またはコンピュータプログラム製品を含むことができる。コンピュータプログラム製品は,この発明の態様をプロセッサに実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム命令を有するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(またはメディア)を含むことができる。
【0171】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は,命令実行装置によって使用される命令を保持および記憶することができる有形装置とすることができる。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は,たとえば電子記憶装置,磁気記憶装置,光学記憶装置,電磁気記憶装置,半導体記憶装置,またはこれらの任意の適切な組み合わせであってもよく,これらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体のより具体的な例の非網羅的リストには,ポータブルコンピュータディスケット,ハードディスク,ランダムアクセスメモリ(RAM),リードオンリーメモリ(ROM),消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ),スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM),ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM),デジタル多用途ディスク(DVD),メモリスティック,フロッピーディスク,パンチカードまたはその上に記録された命令を有する溝内の隆起構造のような機械的に符号化されたデバイス,および上述の任意の適切な組み合わせが含まれる。この明細書で使用されるコンピュータ読み取り可能記憶媒体は,電波または他の自由に伝播する電磁波,導波管または他の伝送媒体(たとえば光ファイバーケーブルを通過する光パルス)を介して伝播する電磁波,またはワイヤを介して伝送される電気信号などの一過性の信号そのものであると解釈されるものではない。
【0172】
この明細書で説明するコンピュータ読み取り可能なプログラム命令は,コンピュータ読み取り可能な記憶媒体から,またはネットワーク,たとばインターネット,ローカルエリアネットワーク,ワイドエリアネットワークおよび/またはワイヤレスネットワークを介して,外部コンピュータまたは外部記憶装置に,またはそれぞれのコンピューティング/処理デバイスにダウンロードすることができる。ネットワークは,銅線伝送ケーブル,光伝送ファイバ,無線伝送,ルータ,ファイアウォール,スイッチ,ゲートウェイコンピュータおよび/またはエッジサーバから構成されてもよい。各コンピューティング/処理デバイス内のネットワークアダプタカードまたはネットワーク・インタフェースは,ネットワークからコンピュータ読み取り可能なプログラム命令を受信し,各コンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するために,コンピュータ読み取り可能なプログラム命令を転送する。
【0173】
この発明の動作を実行するためのコンピュータ読み取り可能なプログラム命令は,アセンブラ命令,命令セットアーキテクチャ(ISA)命令,機械命令,機械依存命令,マイクロコード,ファームウェア命令,状態設定データ,またはJava,Smalltalk,C++などのオブジェクト指向プログラミング言語,および「C」プログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む一または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかであってもよい。
【0174】
コンピュータ読み取り可能なプログラム命令は,ユーザのコンピュータ上で完全に実行されてもよいし,スタンドアロンソフトウェアパッケージとしてユーザのコンピュータ上で部分的に実行されてもよいし,ユーザのコンピュータ上で部分的に実行され,リモートコンピュータ上で部分的に実行されてもよいし,リモートコンピュータまたはサーバ上で完全に実行されてもよい。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは,ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよいし,(たとえばインターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを介して)外部のコンピュータに接続されてもよい。いくつかの実施形態では,たとえば,プログラマブル論理回路,フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA),またはプログラマブル論理アレイ(PLA)を含む電子回路が,この発明の態様を実行するために,コンピュータ読み取り可能なプログラム命令の状態情報を利用してコンピュータ読み取り可能なプログラム命令を実行して,電子回路をパーソナライズする。
【0175】
この明細書では,この発明の実施形態による方法,装置(システム),およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して側面(aspects)について説明している。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック,ならびにフローチャート図および/またはブロック図のブロックの組み合わせは,コンピュータ読み取り可能なプログラム命令によって実施できることが理解されよう。
【0176】
これらのコンピュータ読み取り可能なプログラム命令は,コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が,フローチャートおよび/またはブロック図のブロックまたはブロックで指定された機能/行為を実施するための手段を作成するように,汎用コンピュータ,特殊用途コンピュータ,または他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されて,機械を生成することができる。これらのコンピュータ可読プログラム命令は,コンピュータ,プログラム可能なデータ処理装置,および/または他の装置に特定の態様で機能するように指示することができるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶することもでき,そこに記憶された命令を有するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は,フローチャートおよび/またはブロック図ブロックまたはブロックで指定された機能/行為の態様を実施する命令を含む製造品を構成する。
【0177】
コンピュータ読み取り可能なプログラム命令は,コンピュータ,他のプログラマブルなデータ処理装置,または他の装置にロードして,コンピュータ,他のプログラマブルな装置,または他の装置上で実行される命令が,フローチャートおよび/またはブロック図のブロックまたはブロックで指定された機能/行為を実施するように,コンピュータ実装プロセスを生成するための一連の動作ステップをコンピュータ,他のプログラマブルな装置,または他の装置上で実行させることもできる。
【0178】
図面のフローチャート図およびブロック図は,この発明の様々な実施形態によるシステム,方法,およびコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ,機能性,および動作を示している。これに関して,フローチャート図またはブロック図の各ブロックは,指定された論理機能を実装するための一または複数の実行可能なコンピュータ命令からなる,コンピュータ命令のモジュール,セグメントまたは部分を表すことができる。いくつかの代替的な実装では,ブロックに記された機能は,図面に記された順序から外れて発生することがある。たとえば,連続して示されている2つのブロックは,実際には,実質的に同時に実行されることも可能であり,ブロックは,関係する機能に応じて,時には逆の順序で実行されることも可能である。また,フローチャート図およびブロック図の各ブロック,ならびにそのようなブロックの組み合わせは,指定された機能または行為を実行する特別な目的のハードウェアベースおよび/またはソフトウェアベースのシステムによって実装できることに留意されたい。
【0179】
この発明の様々な実施形態の説明は,説明目的で提示されたが,開示された実施形態を網羅したり限定したりすることを意図するものではない。たとえばこの明細書に記載されたシステムおよび方法は,半導体ウェハ上のあらゆるタイプの構造に適用可能である。説明した実施形態の範囲および精神から逸脱することなく,多くの修正および変形が当業者には明らかであろう。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5
図6
【国際調査報告】