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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】非晶質二価金属炭酸塩を含む粒子
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/10 20060101AFI20240201BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240201BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 33/30 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 33/26 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 33/34 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20240201BHJP
   A61K 33/32 20060101ALI20240201BHJP
   A61P 3/12 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240201BHJP
   A61P 7/08 20060101ALI20240201BHJP
   A23L 33/16 20160101ALI20240201BHJP
【FI】
A61K33/10
A61K9/10
A61K47/04
A61K47/10
A61K47/24
A61K47/12
A61K33/30
A61K33/26
A61K33/34
A61K33/24
A61K33/32
A61P3/12
A61K9/14
A61P7/08
A23L33/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545985
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 IL2022050122
(87)【国際公開番号】W WO2022162667
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】63/142,631
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/243,770
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523285177
【氏名又は名称】アモールフィカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ベン,ヨッシー
(72)【発明者】
【氏名】ブラム,イーガル
(72)【発明者】
【氏名】イロス,ロニ アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】アシュケナージ,ベン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD01
4B018MD04
4B018MD05
4B018MD06
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4C086HA08
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4C086HA10
4C086HA11
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4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA23
4C086MA52
4C086NA03
4C086ZC21
(57)【要約】
本発明は、粒子を含む組成物を提供し、粒子は第1の二価金属の炭酸塩種及び第2の二価金属の炭酸塩種を含み、粒子は、非晶質であり、第1の二価金属及び第2の二価金属は、+2の酸化状態にあり;かつ第1の二価金属及び第2の二価金属は、それぞれ独立して、Ca、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、Mg及びCrから選択される。さらに提供されるのは、その任意の誘導体を含む二価金属炭酸塩と、少なくとも1種の安定剤とを含む組成物であり、二価金属は、Zn、Cu、Co、Mn、Mg、及びNiから選択され、任意に、20~200m/gのBETにより特徴づけられる。開示される粒子の組成物を含む医薬組成物又は栄養補助食品組成物もまた、提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の粒子を含む組成物であって、前記複数の粒子の各々が第1の二価金属、第2の二価金属、及び炭酸塩種を含み、前記粒子が5~500nmの粒径を有し、かつ前記炭酸塩種の総重量の少なくとも70%が非晶質であり;
前記第1の二価金属及び前記第2の二価金属のいずれか一方が、Ca、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、及びCrを含む群から選択され;かつ
前記第1の二価金属と前記第2の二価金属のモル比が、10:0.05~1:1である、
複数の粒子を含む組成物。
【請求項2】
前記粒子が、安定剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記粒子内の前記安定剤と前記第1の二価金属のモル比が、1:100~25:100である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記安定剤が、ポリリン酸、ホスホセリン、アデノシン三リン酸、アデノシン二リン酸、フィチン酸、クエン酸、エチドロン酸、ピロリン酸、エタノール、及びそれらの任意の組み合せからなる群から選択される、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリリン酸が、二リン酸、三リン酸、トリメタリン酸、ヘキサメタリン酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
第3の金属をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記粒子内の前記第1の二価金属のw/w濃度が、20~55%であり、かつ前記第1の二価金属及び前記第2の二価金属が、前記粒子内で実質的に均一に分布される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物内の炭酸塩種の総重量の少なくとも90%、又は少なくとも95%が、非晶質である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記第1の二価金属が、Caであり、かつ前記第2の二価金属が独立して、Zn、Fe、Cr、Mn、及びMg、又はそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
粉末の形態であり、かつ前記炭酸塩種の総重量の少なくとも95%が、適切な条件下で少なくとも1ヶ月間前記組成物の保存時に非晶質のままである、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物の含水率が、1~30重量%である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記第1の二価金属及び前記第2の二価金属が、Ca、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mg、Mn及びCrからなる群から選択され;かつ
前記第1の二価金属と前記第2の二価金属のモル比が、少なくとも1%である、
請求項2~9のいずれか一項に記載の組成物及び医薬として許容される液体担体。
【請求項13】
前記液体担体が、水溶液であり、かつ前記組成物が、懸濁液の形態である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記炭酸塩種の総重量の少なくとも約80%が、少なくとも1dの期間前記組成物内で非晶質のままである、請求項12及び13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
複数の粒子を含む、組成物であって、前記複数の粒子の各々がその任意の誘導体を含む二価金属炭酸塩、および少なくとも1種の安定剤を含み、前記粒子が、5~500nmの直径を有し、かつ前記二価金属炭酸塩の少なくとも70重量%が、非晶質であり;
前記二価金属が、Zn、Cu、Co、Ni、及びMgを含む群から選択され;かつ
前記二価金属と前記少なくとも1種の安定剤のモル比が、100:1~100:25である、
組成物。
【請求項16】
前記二価金属がMgであるならば、前記複数の粒子が、最大200m/gのBET表面積により特徴づけられる、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記安定剤が、ポリリン酸、ホスホセリン、アデノシン三リン酸、アデノシン二リン酸、フィチン酸、クエン酸、エチドロン酸、ピロリン酸、エタノール、及びそれらの任意の組み合せからなる群から選択される、請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
前記ポリリン酸が、二リン酸、三リン酸、トリメタリン酸、ヘキサメタリン酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記二価金属炭酸塩又はその水和物が、Zn又はMgである、請求項15~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記粒子内の前記二価金属の重量含有量が、20~60%である、請求項15~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物内の前記二価金属炭酸塩の少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%が、非晶質である、請求項15~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
医薬として許容される担体をさらに含む、請求項15~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記医薬として許容される担体が、液体担体でありかつ前記組成物が、懸濁液の形態である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記懸濁液が、少なくとも1時間実質的に安定である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記二価金属が、Zn又はMgである、請求項15~21のいずれか一項に記載の組成物及び医薬として許容される液体担体。
【請求項26】
前記二価金属炭酸塩の総重量の少なくとも約80%が、少なくとも1dの期間前記液体組成物内で非晶質のままである、請求項23~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
粉末の形態であり、かつ前記二価金属炭酸塩の総重量の少なくとも95%が、適切な条件下で少なくとも1ヶ月間前記組成物の保存時に非晶質のままである、請求項15~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記粉末の含水率が、1~30重量%である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
複数の粒子を含む組成物であって、前記複数の粒子の各々が第1の二価金属、第2の二価金属、炭酸塩種及び安定剤を含み、前記粒子が5~500nmの粒径を有し、かつ前記組成物内の前記炭酸塩種の総重量の少なくとも70%が非晶質であり;
前記第1の二価金属が、Ca、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、及びCrからなる群から選択され;
前記第2の二価金属が、Mgであり;かつ
前記第1の二価金属と前記第2の二価金属のモル比が、10:0.0.05~10.0:9.9である、
複数の粒子を含む組成物。
【請求項30】
前記粒子内の前記安定剤と前記第1の二価金属のモル比が、1:100~25:100である、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記安定剤が、ポリリン酸、ホスホセリン、アデノシン三リン酸、アデノシン二リン酸、フィチン酸、クエン酸、エチドロン酸、ピロリン酸、エタノール、及びそれらの任意の組み合せからなる群から選択される、請求項29又は30に記載の組成物。
【請求項32】
前記ポリリン酸が、二リン酸、三リン酸、トリメタリン酸、ヘキサメタリン酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記粒子内の前記第1の二価金属のw/w濃度が、20~55%である、請求項29~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記第1の二価金属とMgのモル比が、10:0.05~1:1、又は10:0.05~10:3である、請求項29~33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
医薬として許容される担体をさらに含む、請求項29~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記医薬として許容される担体が、液体担体でありかつ前記組成物が、懸濁液の形態である、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記懸濁液が、少なくとも1時間実質的に安定である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記炭酸塩種の総重量の少なくとも約80%が、少なくとも1dの期間前記組成物内で非晶質のままである、請求項36又は37に記載の組成物。
【請求項39】
前記組成物の含水率が、1~30重量%である、請求項29~35のいずれか一項記載の組成物。
【請求項40】
粉末の形態であり、かつ前記炭酸塩種の総重量の少なくとも95%が、適切な条件下で少なくとも1ヶ月間前記組成物の保存時に非晶質のままである、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記粒子が、20~200m/gのBET表面積により特徴づけられる、請求項1~40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
前記安定剤が、前記粒子内で実質的に均一に分布される、請求項2~41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
前記二価金属が、二価金属塩、水酸化物、ヒドロキシル、酸化物、水和物又はそれらの任意の組み合わせの形態である、請求項1~42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
前記複数の粒子の少なくとも一部が、凝集体又は凝集物の形態である、請求項1~43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
前記凝集体又は凝集物が、0.1~200μmの平均粒径を有することにより特徴づけられる、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
前記粒子の全二価金属含有量に対する前記炭酸塩種のモル比が、0.1:1~1:1である、請求項1~45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
前記炭酸塩種が、(i)前記第1の二価金属の金属炭酸塩、(ii)前記第2の二価金属の金属炭酸塩又は(i)と(II)の両方の形態である、請求項1~46のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
医薬組成物又は栄養補助食品組成物である、請求項1~47のいずれか一項記載の組成物。
【請求項49】
前記粒子の治療的有効量又は栄養補助食品的有効量を含む、請求項48に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年1月28日に出願した「非晶質二価金属炭酸塩を含む粒子」と題する米国仮特許出願第63/142,631号、及び2021年9月14日に出願した「非晶質二価金属炭酸塩を含む粒子」と題する米国仮特許出願第63/243,770号の優先権の利益を主張する。両出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は一般に、非晶質二価金属炭酸塩を含むナノ粒子の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
局所的又は全身性のアシドーシス状態(pH<7.35)は、広範囲の重篤な疾患及び身体エネルギーストレスの直接的で有害な結果であり、それらは疾患進行及び身体ストレスを増強する。このような塩基性物質を過剰反応させて望ましくないアルカローシス状態(pH>7.45)を生成することなく、制御された様式で、安全にかつ「ちょうどいいタイミング」の適時で、過剰な酸性度を中和する能力は、アシドーシス療法として非常に望まれている。二価金属炭酸塩の固体ナノ粒子、及びある程度に、より高い原子価の金属炭酸塩は、主に二価金属炭酸塩と均一に会合して、それらの溶解度がpH6.5~7.35の範囲で十分であるならば、かつナノ粒子が血液又は他の体液に直接送達されるか、又は粘膜を介した融合により送達され得るならば、この所望される能力を提供できる。
【0004】
いくつかの非アルカリ金属イオンは、Ca、Mg、Fe、Zn、Cr、Cu、Co、Mn、及びNiを含み、生物種が必要とする栄養素として高度に又は軽度に必要とされる。後者の主な機能は、酵素の活性中心における補因子としてのそれらの関与であり、したがって、全体の金属含有量の1%をはるかに下回る微量レベルで必要である。このような金属は、それらが体液によって容易に洗い流されず、かつそれらがゆっくりと放出されるならば、より良好に吸収され得る。そのような金属炭酸塩及びそれらの組み合わせのナノメートル粒子は、それらのナノメートル形態で血液系に輸血でき、その時初めて金属イオンの利用を最大化するためにゆっくりと放出される。
【0005】
さらなる利点が、溶解速度及び患部の最終pHを制御できれば、得られる。そのような活性は、低速又は高速の放出、標的化された放出、及びニーズの条件ごとに制御された放出を可能にする。炭酸イオンは、アシドーシスのpH範囲で、主に、非常に生物に必須な重炭酸イオンへと、又はより少ない程度にCOへと変換する非常に効率的な中和剤として機能し得る。したがって、中和生成物は、それ自体が身体機能に非常に有用であるか、又は通常の呼吸もしくは腎体機能により取り込まれおよび除去される。
【0006】
炭酸アニオンの使用は、胃代謝状態でのみそれらの治療活性について考慮された。通常のpH<7.35の細胞外酸性度レベル、すなわちアシドーシス状態、を有する身体の他の部分に炭酸イオンを送達するための固体であるが効率的な供給源として二価金属の炭酸塩を利用することは、考慮されなかった。
【0007】
このような二価金属炭酸塩の溶解速度は、所望の二価炭酸塩の好ましい相が非晶質である場合、炭酸塩を構成する選択された金属又は金属の組み合せ、その結晶性の段階及び相、並びに組み込まれる様々な安定剤に基づき調整できる。
【0008】
炭酸アニオンの使用は、胃代謝状態でのみそれらの治療活性について考慮された。通常のpH<7.35の細胞外酸性度レベル、すなわちアシドーシス状態、を有する身体の他の部分に炭酸イオンを送達するための固体であるが効率的な供給源として二価金属の炭酸塩を利用することは、考慮されなかった。
【0009】
このような二価金属炭酸塩の溶解速度は、所望の二価炭酸塩の好ましい相が非晶質である場合、炭酸塩を構成する選択された金属又は金属の組み合せ、その結晶性の段階及び相、並びに組み込まれる様々な安定剤に基づき調整できる。
【0010】
Fe、及びZnなどの二価金属原子は、細胞、タンパク質、及び生化学的レベルでの機能を含む、人体の様々な生体系において重要な役割を果たす。したがって、それらの金属と炭酸塩の両方の実体を徐放様式で放出できる、ナノメートルの二価金属及び混合された金属炭酸塩としてそれらを標的組織及び身体系に運ぶ能力を有することは、都合がよい。
【0011】
非晶質でかつナノメートルのジビニル金属炭酸塩及び混合されたジビニル金属炭酸塩は通常、不安定であり、特に懸濁液に入れられるか、又は湿気及び高温にさらされると、急速に結晶化する傾向がある。合成、処理、及び保存は、特に二価金属炭酸塩の懸濁液の形態において、重大な課題であることが見出された。結晶化は主に、水と湿気の存在下で速い。したがって、このような所望のナノメートル組成物を安定化することが望まれる。
【0012】
関連技術の前述の例及びそれに関連する制限は、例示であり、排他的ではないと意図される。関連技術の他の制限は、本明細書を読むと当業者には明らかになるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
第1の態様により、第1の二価金属の炭酸塩種及び第2の二価金属の炭酸塩種を含む粒子を含む組成物が提供され;粒子は、5~500nm、又は5~200nmの平均直径を有し、組成物の少なくとも70重量%は、非晶質であり;第1の二価金属及び第2の二価金属のいずれか一方は、Ca、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、及びCrからなる群から選択され;第1の二価金属と第2の二価金属のモル比は、10:0.1~3:1である。
【0014】
別の態様により、その任意の誘導体を含む二価金属炭酸塩と、少なくとも1種の安定剤を含む組成物が提供され;粒子は、5~500nm、又は5~200nmの平均直径を有し、二価金属炭酸塩の少なくとも70重量%は、非晶質であり;二価金属は、Zn、Cu、Co、Ni、及びMnからなる群から選択され;二価金属と少なくとも1種の安定剤のモル比は、100:1~100:25である。
【0015】
別の態様により、本明細書に開示される複数の粒子、及び許容される担体を含む組成物が提供される。
【0016】
いくつかの実施形態において、粒子は、安定剤をさらに含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、粒子内の安定剤と第1の二価金属のモル比は、1:100~25:100である。
【0018】
いくつかの実施形態において、安定剤は、ポリリン酸、ホスホセリン、アデノシン三リン酸、アデノシン二リン酸、フィチン酸、クエン酸、エチドロン酸、ピロリン酸、エタノール、及びそれらの任意の組み合せからなる群から選択される。
【0019】
いくつかの実施形態において、ポリリン酸は、二リン酸、三リン酸、トリメタリン酸、ヘキサメタリン酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0020】
いくつかの実施形態において、組成物の含水率は、1~30重量%である。
【0021】
いくつかの実施形態において、粒子内の第1の二価金属のw/w濃度は、20~40%である。
【0022】
いくつかの実施形態において、粒子は、適切な条件下で少なくとも24時間安定である。
【0023】
ある実施形態において、二価金属炭酸塩又はその水和物は、Znである。
【0024】
いくつかの実施形態において、粒子内の二価金属の重量含有量は、20~60%である。
【0025】
いくつかの実施形態において、複数の粒子の少なくとも一部は、凝集体又は凝集物の形態である。
【0026】
いくつかの実施形態において、凝集体又は凝集物は、0.1~10μmの平均直径を有することを特徴とする。
【0027】
いくつかの実施形態において、組成物は、(i)固体組成物又は(ii)懸濁液の形態である。
【0028】
いくつかの実施形態において、組成物は、医薬組成物又は栄養補助食品組成物である。
【0029】
別の態様により、複数の粒子を含む組成物が提供され、複数の粒子の各々は、その任意の誘導体を含む二価金属炭酸塩と、少なくとも1種の安定剤を含み、粒子は、5~500nmの直径を有し、二価金属炭酸塩の少なくとも70重量%は、非晶質であり;二価金属は、Zn、Cu、Co、Ni、Mn、及びMgからなる群から選択され;二価金属と少なくとも1種の安定剤のモル比は、100:1~100:25である。
【0030】
いくつかの実施形態において、二価金属は、Mgであり、次いで複数の粒子は、最大200m/gのBET表面積を特徴とする。
【0031】
いくつかの実施形態において、安定剤は、ポリリン酸、ホスホセリン、アデノシン三リン酸、アデノシン二リン酸、フィチン酸、クエン酸、エチドロン酸、ピロリン酸、エタノール、及びそれらの任意の組み合せからなる群から選択される。
【0032】
いくつかの実施形態において、ポリリン酸は、二リン酸、三リン酸、トリメタリン酸、ヘキサメタリン酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0033】
いくつかの実施形態において、二価金属炭酸塩又はその水和物は、Zn又はMgである。
【0034】
いくつかの実施形態において、粒子内の二価金属の重量含有量は、20~60%である。
【0035】
いくつかの実施形態において、組成物内の二価金属炭酸塩の少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%は、非晶質である。
【0036】
いくつかの実施形態において、組成物は、医薬として許容される担体をさらに含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、医薬として許容される担体は、液体担体であり、組成物は、懸濁液の形態である。
【0038】
いくつかの実施形態において、懸濁液は、少なくとも1時間、実質的に安定である。
【0039】
いくつかの実施形態において、組成物は、本発明の粒子及び医薬として許容される液体担体を含み、二価金属は、Zn、及びMgからなる群から選択される。
【0040】
いくつかの実施形態において、二価金属炭酸塩の総重量の少なくとも約80%は、少なくとも1dの期間、液体組成物内で非晶質のままである。
【0041】
いくつかの実施形態において、組成物は、粉末の形態であり、二価金属炭酸塩の総重量の少なくとも95%は、適切な条件下で少なくとも1ヶ月間、組成物の保存の際に非晶質のままである。
【0042】
いくつかの実施形態において、粉末の含水率は、1~30重量%である。
【0043】
別の態様により、複数の粒子を含む組成物が提供され、複数の粒子の各々は、第1の二価金属、第2の二価金属、炭酸塩種及び安定剤を含み;粒子は、5~500nmの粒径を有し、組成物内の炭酸塩種の総重量の少なくとも70%は、非晶質であり;第1の二価金属は、Ca、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、及びCrからなる群から選択され;第2の二価金属は、Mgであり;第1の二価金属と第2の二価金属とのモル比は、10:0.0.05~10.0:9.9である。
【0044】
いくつかの実施形態において、粒子内の安定剤と第1の二価金属のモル比は、1:100~25:100である。
【0045】
いくつかの実施形態において、安定剤は、ポリリン酸、ホスホセリン、アデノシン三リン酸、アデノシン二リン酸、フィチン酸、クエン酸、エチドロン酸、ピロリン酸、エタノール、及びそれらの任意の組み合せからなる群から選択される。
【0046】
いくつかの実施形態において、ポリリン酸は、二リン酸、三リン酸、トリメタリン酸、ヘキサメタリン酸、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0047】
いくつかの実施形態において、粒子内の第1の二価金属のw/w濃度は、20~55%である。
【0048】
いくつかの実施形態において、第1の二価金属とMgのモル比は、10:0.05~1:1、又は10:0.05~10:3である。
【0049】
いくつかの実施形態において、組成物は、医薬として許容される担体をさらに含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、医薬として許容される担体は、液体担体であり、組成物は、懸濁液の形態である。
【0051】
いくつかの実施形態において、懸濁液は、少なくとも1時間、実質的に安定である。
【0052】
いくつかの実施形態において、炭酸塩種の総重量の少なくとも約80%は、少なくとも1dの期間、組成物内で非晶質のままである。
【0053】
いくつかの実施形態において、組成物の含水率は、1~30重量%である。
【0054】
いくつかの実施形態において、組成物は、粉末の形態であり、炭酸塩種の総重量の少なくとも95%は、適切な条件下で少なくとも1ヶ月間、組成物の保存の際に非晶質のままである。
【0055】
いくつかの実施形態において、粒子は、20~200m/gのBET表面積を特徴とする。
【0056】
いくつかの実施形態において、安定剤は、粒子内で実質的に均質に分布される。
【0057】
いくつかの実施形態において、二価金属は、二価金属塩、水酸化物、ヒドロキシル、酸化物、水和物又はそれらの任意の組み合わせの形態である。
【0058】
いくつかの実施形態において、複数の粒子の少なくとも一部は、凝集体又は凝集物の形態である。
【0059】
いくつかの実施形態において、凝集体又は凝集物は、0.1~200μmの平均粒径を有することを特徴とする。
【0060】
いくつかの実施形態において、粒子の全二価金属の含有量に対する炭酸塩種のモル比は、0.1:1~1:1である。
【0061】
いくつかの実施形態において、炭酸塩種は、(i)第1の二価金属の金属炭酸塩、(ii)第2の二価金属の金属炭酸塩又は(i)と(ii)の両方の形態である。
【0062】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、医薬組成物又は栄養補助食品組成物である。
【0063】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、粒子の治療的有効量又は栄養補助食品として有効な量を含む。
【0064】
上記の例示的な態様及び実施形態に加えて、さらなる態様及び実施形態が、以下の詳細な説明の研究によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1図1は、10~100nmの範囲の凝集した一次ナノ粒子からなるACC、AMC、AZC、及びメタ-ACCを含む凝集した非晶質金属炭酸塩ナノ粒子のSEM画像を表す顕微鏡写真を含む。
図2図2は、本発明の例示的な組成物のTGA曲線を表すグラフを含む。M-ACC-TPは、次の最大率の温度:約90℃(吸着水の喪失);約240℃(複合水及びトラップ水の喪失);約400℃(-OH基の縮合による水);約680℃(炭酸塩分解によるCO)、での重量減少の4つの顕著な領域を明らかにする。
図3図3は、本発明の例示的な非晶質金属炭酸塩及び金属含有ACCのXRDパターンを表すグラフを含む。
図4図4は、本発明の例示的な非晶質金属炭酸塩の固体状態13C NMR分析を表すグラフを含む。
図5図5は、合成中に添加した三リン酸安定剤の関数(カルシウムに対するモル比)として、本発明の例示的な組成物の炭酸塩の割合(カルシウムに対するモル比)を表すグラフを含む。
図6図6は、Ca/PSモル比の関数として、全ACC粒子中へのホスホセリン(PS)安定剤の組み込み及び/又は粒子の外表面への吸着を示すグラフを含む。
図7図7は、Ca/TPPモル比の関数として、全ACC粒子中へのトリポリリン酸(TPP)安定剤の組み込み及び/又は粒子の外表面への吸着を示すグラフを含む。
図8図8は、タンパク質濃度を示すグラフを含む。A549細胞を、異なる処理で3継代増殖させた。3継代後に、細胞を、3重でカテプシンBアッセイに供した。各処理から50μlを、アッセイのために採取した。AFC(7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン)蛍光マーカーを使用して、カテプシンB活性についての標準曲線を作成する(O.D=光学密度を活性に変換する)。****P値<0.0001。
図9図9は、バンクからの倍数変化として提示されるタンパク質濃度を示すグラフを含む。A549細胞を、異なる処理で3継代増殖させた。3継代後に、細胞を、3重でカテプシンBアッセイに供した。各処理から50μlを、アッセイのために採取した。通常の一元配置ANOVA、****P値<0.0001。
【発明を実施するための形態】
【0066】
詳細な説明
一態様により、複数の粒子を含む組成物が提供され、各粒子は、第1の二価金属及び第2の二価金属を含む炭酸塩種を含み;組成物中の炭酸塩種の少なくとも70重量%は、非晶質であり;第1の二価金属及び第2の二価金属のいずれか一方は、Ca、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、又はCrから選択される。いくつかの実施形態において、第2の二価金属は、1以上の金属を含む。
【0067】
別の態様により、複数の粒子を含む組成物が提供され、各粒子は、第1の金属及び第2の金属を含む炭酸塩種を含み;組成物中の炭酸塩種の少なくとも70重量%、又は少なくとも99重量%は、非晶質であり;第1の金属及び第2の金属のいずれか一方は、Ca、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、又はCrから選択される。
【0068】
別の態様により、複数の粒子を含む組成物が提供され、各粒子は、第1の金属及び第2の金属を含む炭酸塩種を含み、さらに安定剤を含み;組成物中の炭酸塩種の少なくとも70重量%、又は少なくとも99重量%は、非晶質であり;第1の二価金属及び第2の二価金属のいずれか一方は、Ca、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、Mg、又はCrから選択され、複数の粒子は、最大500m/g、又は最大200m/gのBET表面積を特徴とする。
【0069】
粒子
いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、5~200nmの平均粒径を有するナノ粒子である。いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、5~900nmの平均粒径を有するナノ粒子である。いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、二価金属炭酸塩種を含む。いくつかの実施形態において、二価金属炭酸塩種は、炭酸塩基と二価金属を含む。いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、単一の金属炭酸塩種を含む。いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、単一の二価金属種を含む。いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、単一の二価金属炭酸塩種を含み、組成物内の炭酸塩種の少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%は、それらの間の任意の範囲を含み、非晶質である。いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、非晶質金属炭酸塩粒子である。いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、ナノ粒子である。いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、非晶質金属炭酸塩ナノ粒子であり、金属は、二価金属、三価金属、又は四価金属を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、金属(例えば、二価金属)は、複数の化学的に異なる金属種を含む。いくつかの実施形態において、二価金属は、第1の金属原子及び第2の金属原子を含み、第1の金属原子及び第2の金属原子は独立して、Ca、Mg、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、又はCrから選択され、第1の金属原子がCaである場合、第2の金属原子は、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、Cr、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0071】
いくつかの実施形態において、用語「二価金属炭酸塩種」及び「炭酸塩種」は、本明細書において互換的に使用される。
【0072】
いくつかの実施形態において、二価金属炭酸塩種は、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、又はCrから選択される単一の二価金属を含む。いくつかの実施形態において、二価金属炭酸塩種は、複数の二価金属を含み、複数の二価金属は、第1の金属原子及び第2の金属原子を含み、第1の金属原子及び第2の金属原子は独立して、Ca、Mg、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、又はCrから選択され、第1の金属原子がCaである場合、第2の金属原子は、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、Cr、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0073】
いくつかの実施形態において、本発明の二価金属炭酸塩種は、本明細書に記載の通りである。いくつかの実施形態において、本発明の非晶質金属炭酸塩種又は非晶質多価金属炭酸塩は、追加の安定剤によりさらに安定化される。
【0074】
いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、追加の金属原子(例えば、残りの一価金属原子、例えば、Na、Li、K及びSr、又はより高い原子価の金属、例えば、Cr(III)、Mn(IV)、Fe(III)、Co(III)及びNi(IV)をさらに含む。いくつかの実施形態において、追加の金属原子は、非活性成分である。いくつかの実施形態において、追加の金属原子は、本発明の粒子内に微量で存在する。
【0075】
いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、追加の金属(一価金属、二価金属、三価金属、又はそれらの任意の組み合わせなど)を実質的に欠く。いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、炭酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、及びリン酸ナトリウムなどの、その任意の塩を含む微量の一価金属を含む。
【0076】
本明細書で使用される、用語「二価金属」は、酸化状態(II)にある金属を指す。本明細書で使用される、用語「一価金属」は、酸化状態(I)にある金属を指す。より高い原子価の金属は、「三価」及び「四価」金属であり得る。いくつかの実施形態において、本発明の二価金属は、本質的にIIの酸化状態の金属からなり、金属は、本明細書に記載の元素から選択される。
【0077】
いくつかの実施形態において、本明細書の粒子の金属含有量の少なくとも70重量%、80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも87重量%、少なくとも90重量%、少なくとも92重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%は、1以上の二価金属(複数可)で構成され、1以上の二価金属(複数可)は、本明細書に記載の通りである。
【0078】
いくつかの実施形態において、本明細書の組成物の金属含有量の少なくとも70重量%、80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも87重量%、少なくとも90重量%、少なくとも92重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、又は少なくとも99重量%は、1以上の二価金属(複数可)で構成され、1以上の二価金属(複数可)は、本明細書に記載の通りである。
【0079】
いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、安定剤をさらに含む。用語「安定剤(stabilizing agent)」及び「安定剤(stabilizer)」は、本明細書において互換的に使用され、製造、製剤化、保存及び/又は使用中に、粒子内の二価金属炭酸塩を非晶質状態に保つことに寄与する任意の物質(例えば、有機又は無機分子、及び/又はその塩)を指す。ある実施形態において、安定剤は、単一の薬剤である。他の実施形態において、いくつかの安定剤の使用が、包含される。いくつかの実施形態において、安定剤は、有機もしくは無機のオリゴマー又はポリマーである。
【0080】
いくつかの実施形態において、本発明の炭酸塩種は、非晶質状態にあり、少なくとも1種の安定剤によって安定化され、非晶質は、本明細書以下に記載される通りである。いくつかの実施形態において、本発明の二価金属炭酸塩種は、非晶質状態にあり、第2の二価金属種によって少なくとも部分的に安定化される。
【0081】
安定剤は、限定されないが、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、アミン基、ホスフィノ基、ホスホノ基、リン酸基、スルホニル基、硫酸基又はスルフィノ基から選択される1以上の官能基を有する分子を含み得る。水酸化物と組み合わされたヒドロキシ含有化合物は、任意にまた、カルボキシルなどのような他の官能基も含有するが、ヒドロキシルはエステル化されない。
【0082】
いくつかの実施形態により、安定剤は、哺乳動物細胞又は生物、特にヒトに対して低い毒性を有するか又は全く毒性を有しない。いくつかの実施形態により、安定剤は、食品、栄養補助食品又は医薬品グレードのものである。いくつかの実施形態において、安定剤は、有機酸、リン酸化、ホスホン化、硫酸化又はスルホン酸化された有機化合物、ヒドロキシカルボン酸のリン酸エステル又は硫酸エステル、グルコース及びその誘導体、多糖、リン酸化アミノ酸、ビスホスホン酸、ポリホスホン酸、有機ポリリン酸、無機ポリリン酸、ヒドロキシル含有有機化合物及びポリオール、タンパク質、その誘導体、二価金属原子(例えば、Mg、Mn、Zn、Fe)、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0083】
いくつかの実施形態において、安定剤は、ポリリン酸、ホスホセリン、アデノシン三リン酸、アデノシン二リン酸、フィチン酸、クエン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、エチドロン酸、ピロリン酸、エタノール、及びそれらの任意の組み合せからなる群から選択される。
【0084】
いくつかの実施形態において、安定剤は、各出現において独立して、10有機酸、リン酸化、ホスホン酸化、硫酸化又はスルホン化された有機化合物、ヒドロキシルカルボン酸のリン酸エステル又は硫酸エステル、有機アミン化合物、ヒドロキシルを含む有機化合物、有機リン化合物又はその塩、リン酸化アミノ酸及びその誘導体、ビスホスホン酸化合物、有機リン化合物、有機ホスホン酸化合物、無機亜リン酸、上で定義される複数の官能基を有する有機化合物、無機リン酸化合物及び無機ポリリン酸化合物、ポリリン酸鎖を有する有機化合物、有機界面活性剤、生体必須無機イオン、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0085】
いくつかの実施形態において、安定剤は、有機酸である。いくつかの実施形態において、有機酸は、アスコルビン酸、クエン酸、乳酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、グルタコン酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、アコニット酸から選択され、かつ任意に、少なくとも2つのカルボキシル基を有し、分子量が250g/モル以下の化合物、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などを含む。いくつかの実施形態において、安定剤は、クエン酸である。
【0086】
いくつかの実施形態において、ヒドロキシルカルボン酸のリン酸エステルは、ホスホエノールピルビン酸である。いくつかの実施形態において、ヒドロキシルカルボン酸のリン酸エステル又は硫酸エステルは、アミノ酸、例えば、リン酸化アミノ酸を含む。そのようなエステルの例は、ホスホセリン、ホスホスレオニン、スルホセリン、スルホスレオニン及びホスホクレアチンである。
【0087】
いくつかの実施形態において、水酸化物と組み合わされたヒドロキシル含有化合物は、例えば、スクロースのような単糖、二糖、三糖、オリゴ糖、及び多糖類、又はグリセロールのような他のポリオールを含む。いくつかの実施形態において、ヒドロキシル含有化合物は、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などのようなヒドロキシ酸、又はセリンもしくはスレオニンなどのヒドロキシル含有アミノ酸をさらに含み得る。それぞれの可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0088】
安定剤のいくつかの具体的な限定されない例としては、フィチン酸、クエン酸、二塩基性ピロリン酸ナトリウム、アデノシン5'-モノリン酸(AMP)ナトリウム塩、アデノシン5 5'-二リン酸(ADP)ナトリウム塩及びアデノシン5'-三リン酸(ATP)二ナトリウム塩水和物、ホスホセリン、リン酸化アミノ酸、食品グレードの界面活性剤、ステアロイル乳酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0089】
いくつかの実施形態において、安定剤は、ヒドロキシルカルボン酸のリン酸エステル又は硫酸エステル、例えば、ホスホエノールピルビン酸、ホスホセリン、ホスホスレオニン、スルホセリン又はスルホスレオニン、並びに単糖、二糖、三糖、オリゴ糖及び多糖から選択されるヒドロキシル含有有機化合物、例えば、スクロース、マンノース、グルコースから選択される少なくとも1種の成分を含む。ヒドロキシル含有化合物は、少なくとも1種の水酸化アルカリ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどをさらに含み得る。リン酸化酸は、オリゴペプチド及びポリペプチド中に存在し得る。いくつかの実施形態において、安定剤は、モノカルボン酸又は複数のカルボン酸から選択される有機酸、例えば、ジカルボン酸又はトリカルボン酸である。それぞれの可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。いくつかの実施形態において、有機酸は、上記の通りである。
【0090】
いくつかの実施形態において、安定剤は、リン酸化アミノ酸、ポリオール及びそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態において、二価金属炭酸塩種は、リン酸化化合物によって安定化され、リン酸化は、有機化合物のヒドロキシル基上で行われる。いくつかの実施形態において、二価金属炭酸塩種は、クエン酸、ホスホセリン、ホスホスレオニン又はそれらの任意の組み合わせから選択される化合物によって安定化される。リン酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基及びそれらの塩又はエステルを含有する安定剤の非限定的な例としては、フィチン酸、ジメチルリン酸、トリメチルリン酸、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸テトラエチル、リブロースビスリン酸、エチドロン酸及び他の医療用ビスホスホン酸、3-ホスホグリセリン酸、グリセルアルデヒド3-リン酸、1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸ナトリウム塩、ジエチレントリアミンペンタキス(メチルホスホン酸)、30-ニトリロトリ(メチルホスホン酸)、5-ホスホ-D-リボース1-二リン酸五ナトリウム塩、アデノシン5'-二リン酸ナトリウム塩、アデノシン5'-三リン酸二ナトリウム塩水和物、α-D-ガラクトサミン1-リン酸、2-ホスホ-L-アスコルビン酸三ナトリウム塩、α-D-ガラクトース1-リン酸二カリウム塩五水和物、α-D-ガラクトサミン1-リン酸、O-ホスホリルエタノールアミン、2ナトリウム塩水和物、2,3-ジホスホ-D-グリセリン酸五ナトリウム塩、ホスホ(エノール)ピルビン酸一ナトリウム塩水和物、D-グリセルアルデヒド3-リン酸、sn-グリセロール3-リン酸リチウム塩、D-(-)-3-ホスホグリセリン酸二ナトリウム塩、D-グルコース6-リン酸ナトリウム塩、ホスファチジン酸、イバンドロン酸ナトリウム塩、5-ホスホノ酢酸、DL-2-アミノ-3-ホスホノプロピオン酸又はそれらの組み合わせが挙げられる。生体必須無機イオンは、とりわけ、酸化物の相中のNa、K、Mg、Zn、Fe、P、S、N、PもしくはS、又はアンモニアもしくはニトロ基としてのNを含み得る。
【0091】
いくつかの実施形態において、安定剤は、ポリリン酸又はその医薬として許容される塩である。いくつかの実施形態において、ポリリン酸は、ポリリン酸のナトリウム、カリウム、及び任意の他の必須の塩からなる群から選択される生理学的に適合性のある水溶性ポリリン酸である。いくつかの実施形態において、ポリリン酸は、有機又は無機のポリリン酸である。本明細書で使用される用語「ポリリン酸」は、リン酸(PO 3-)のポリマーエステルを指す。いくつかの実施形態において、ポリリン酸は、ポリリン酸ナトリウム及びカリウムからなる群から選択される生理学的に適合性のある水溶性ポリリン酸塩である。いくつかの実施形態において、ポリリン酸は、無機ポリリン酸又はその医薬として許容される塩である。
【0092】
そのような塩の非限定的な例としては、Na、K、及びNHカチオンが挙げられる。いくつかの実施形態により、無機リン酸は、2~10個のリン酸基、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のリン酸基を含む。いくつかの実施形態において、ポリリン酸は、ピロリン酸、三リン酸、及びヘキサメタリン酸から選択される。いくつかの実施形態において、安定剤は、ピロリン酸又はその医薬として許容される塩、例えば、ピロリン酸ナトリウムである。いくつかの実施形態において、安定剤は、三リン酸又はその医薬として許容される塩、例えば、三リン酸ナトリウムである。用語「三リン酸」及び「トリポリリン酸」は、本明細書において互換的に使用される。いくつかの実施形態において、安定剤は、ヘキサメタリン酸又はその医薬として許容される塩、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウムである。
【0093】
いくつかの実施形態において、安定剤は、ビスホスホン酸又はその医薬として許容される塩である。このような塩の非限定的な例としては、Na、K、及びNHカチオンが挙げられる。
【0094】
本明細書で使用される用語「ビスホスホン酸」は、2つのホスホン酸(PO(OH))基を有する有機化合物を指す。この用語はさらに、PO-有機-POの骨格を有する化合物に関する。最も一般的なのは、骨粗鬆症を治療するための医薬品として使用される一連のビスホスホン酸である。いくつかの実施形態において、ビスホスホン酸は、エチドロン酸、ゾレドロン酸、メドロン酸、アレンドロン酸及びその医薬として許容される塩からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、安定剤は、エチドロン酸又はその医薬として許容される塩である。いくつかの実施形態において、安定剤は、ゾレドロン酸又はその医薬として許容される塩である。いくつかの実施形態において、安定剤は、メドロン酸又はその医薬として許容される塩である。いくつかの実施形態において、安定剤は、アレンドロン酸又はその医薬として許容される塩である。
【0095】
いくつかの実施形態において、安定剤は、リン酸化されたアミノ酸である。いくつかの実施形態において、リン酸化されたアミノ酸は、ホスホセリンである。いくつかの実施形態において、リン酸化されたアミノ酸は、ホスホスレオニンである。
【0096】
いくつかの実施形態において、本発明の二価金属炭酸塩種は、2種以上の安定剤、例えば、2種又はそれより多くの安定剤によって安定化された、非晶質状態にある(本明細書において「非晶質炭酸塩種」としても使用される)。いくつかの実施形態において、本発明の粒子及び/又はそれを含む組成物のいずれかは、単一の非晶質炭酸塩種を含む。いくつかの実施形態において、本発明の粒子及び/又は組成物中の非晶質炭酸塩種は、化学的に同一である(図4に例示されるような固体NMRデータに基づく)。
【0097】
いくつかの実施形態において、2種以上の安定剤、例えば、2、3又は4種の化学的に異なる安定剤種が、含まれる。いくつかの実施形態において、粒子は、第1の安定剤及び第2の安定剤を含む。いくつかの実施形態において、第1の安定剤及び第2の安定剤は、同じである。いくつかの実施形態において、第1の安定剤及び第2の安定剤は、異なる安定剤である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の安定剤はそれぞれ独立して、本明細書で上に記載される通りである。いくつかの実施形態において、非晶質炭酸塩種は、3種以上の安定剤を含み、1種以上の安定剤は、本発明の粒子の形成及び沈殿の間にそれに添加される。
【0098】
いくつかの実施形態において、非晶質炭酸塩種は、ホスホセリンとクエン酸の組み合わせによって安定化される。いくつかの実施形態において、非晶質炭酸塩種は、三リン酸とクエン酸の組み合わせによって安定化される。
【0099】
いくつかの実施形態において、非晶質炭酸塩種は、三リン酸によって安定化される。
【0100】
いくつかの実施形態において、二価金属炭酸塩種(例えば、非晶質炭酸塩種)の少なくとも一部は、安定剤に結合される。いくつかの実施形態において、二価金属炭酸塩種と安定剤は、本明細書に記載されるように、共有結合及び/又は非共有結合により結合される。いくつかの実施形態において、安定剤は、二価金属炭酸塩種(例えば、非晶質炭酸塩種)中に組み込まれる。いくつかの実施形態において、安定剤は、二価金属炭酸塩種(例えば、非晶質炭酸塩種)内で均一に分布される。
【0101】
いくつかの実施形態において、安定剤は、リン酸ベースの安定剤(例えば、本明細書の上で定義される一リン酸、二リン酸もしくは三リン酸、ポリリン酸、又はビスホスホン酸など)であり、粒子内の安定剤のP原子と二価金属原子(例えば、第1の二価金属)のモル比(P:Mモル比)は、1:100~50:100、1:100~3:100、3:100~5:100、5:100~10:100、10:100~15:100、15:100~20:100、20:100~30:100、30:100~40:100であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。それぞれの可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0102】
いくつかの実施形態において、P:Mモル比は、4:100~15:100、4:100~8:100、8:100~10:100、10:100~12:100、12:100~15:100であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。それぞれの可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0103】
いくつかの実施形態において、粒子(例えば、単一の金属炭酸塩ベースの粒子)内の安定剤と二価金属原子(例えば、第1の二価金属)のモル比は、1:100~15:100、1:100~3:100、3:100~5:100、5:100~8:100、8:100~10:100、10:100~12:100、12:100~15:100、15:100~20:100、20:100~25:100、25:100~30:100であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。いくつかの実施形態において、安定剤と二価金属原子のモル比は、少なくとも0.5%、少なくとも0.8%、少なくとも1%、少なくとも1.1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも8%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。いくつかの実施形態において、安定剤と二価金属原子の重量比は、少なくとも5%、少なくとも8%、少なくとも10%、少なくとも20%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。それぞれの可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。特定の理論に縛られることなく、少なくとも8重量%、又は少なくとも10重量%の安定剤(金属に対して)が、本発明の安定な粒子(例えば、単一の金属粒子)を得るために必要であると仮定され、用語「安定な」は、本明細書に記載されるとおりである(例えば、乾燥粒子及び/又はそれを含む粉末状組成物が、適切な条件下で少なくとも1ヶ月間、非晶質状態で二価金属炭酸塩(混合金属炭酸塩も含む)の総重量の少なくとも80%、又は少なくとも95%を保持する能力を指す)。
【0104】
いくつかの実施形態において、安定剤は、その任意の塩を含む三リン酸であるか又は三リン酸を含む。
【0105】
いくつかの実施形態において、安定剤は、ピロリン酸、三リン酸、ヘキサメタリン酸又はその医薬として許容される塩などの、ポリリン酸であり、P:Mモル比は、本明細書に記載の通りである(例えば、4:100~15:100)。いくつかの実施形態において、安定剤は、アレンドロン酸、エチドロン酸、ゾレドロン酸又はメドロン酸などの、ビスホスホン酸であり、P:Mモル比は、本明細書に記載の通りである(例えば、4:100~15:100)。
【0106】
いくつかの実施形態において、本発明の安定剤の少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも87重量%、少なくとも90重量%、少なくとも92重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、又は少なくとも99重量%は、本明細書の上で記載される通りであるか、又はそれらの間の任意の値及び範囲である。それぞれの可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0107】
いくつかの実施形態において、本発明の粒子又はナノ粒子(本明細書では「一次粒子」としても使用される)は、5~900nm、5~900nm、5~10nm、10~50nm、20~80nm、20~150nm、50~100nm、100~200nm、200~300nm、300~400nm、400~500nm、500~700nm、700~900nmの、それらの間の任意の範囲又は値を含む平均サイズ(例えば、平均直径)を有する。いくつかの実施形態において、本発明の粒子、又はナノ粒子(本明細書では「一次粒子」としても使用される)は、5~200nm、5~200nm、5~10nm、10~50nm、20~80nm、20~150nm、50~100nm、100~200nmの、それらの間の任意の範囲又は値を含む平均サイズ(例えば、平均直径)を有する。それぞれの可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。いくつかの実施形態において、用語「平均サイズ」及び用語「平均粒径」は、本明細書において互換的に使用される。
【0108】
本明細書で使用される用語「一次」は、合成中に形成される塩基性粒子を指し、これはさらに、より大きな粒子及び粒子のネットワーク(例えば、二次粒子)へと融合、凝集(agglomerate)、及び/又は凝集(aggregate)され得る。
【0109】
本明細書で使用される用語「直径」又は「サイズ」は、所与の粒子の一方の側から他方の側への最大距離を指す。円形又は円形に近い粒子(例えば、球状又は長方形の粒子)では、サイズ及び直径は、本明細書の下で記載されるように、数学的に等しい。いくつかの実施形態において、用語「粒径」は、ナノ粒子の平均断面サイズを指す。用語「乾燥直径」は、当技術分野において認識されており、本明細書では物理的直径を指すために使用される。粒子のサイズは、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査型電子顕微鏡(SEM)イメージングを用いて評価され得る。凝集がない場合、粒径と分布を定義するための他の技術がある。
【0110】
いくつかの実施形態において、本発明の粒子の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%は、5~900nm、5~900nm、5~10nm、10~50nm、20~80nm、20~150nm、20~200nm、10~200nm、20~60nm、20~40nm、40~60nm、50~100nm、100~200nm、200~300nm、300~400nm、400~500nm、500~700nm、又は700~900nmの、それらの間の任意の範囲又は値を含む粒径(例えば、一次粒子の平均サイズ)を有する。いくつかの実施形態において、本発明の粒子の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%は、5~200nm、5~200nm、5~10nm、10~50nm、20~80nm、20~150nm、50~100nm、100~200nmの、それらの間の任意の範囲又は値を含む粒径(例えば、一次粒子の平均サイズ)を有する。それぞれの可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0111】
いくつかの実施形態において、用語「平均断面サイズ」は、粒子の少なくとも例えば、80%、90%、もしくは95%の平均、又はいくつかの実施形態において、複数のナノ粒子の中央値サイズのいずれかを指し得る。いくつかの実施形態において、用語「平均断面サイズ」は、複数のナノ粒子の数平均を指す。いくつかの実施形態において、用語「平均断面サイズ」は、実質的に球状の粒子の平均直径を指し得る。
【0112】
本明細書で使用される用語「粒子」は、本発明の別々のサブミクロン粒子又はナノ粒子、及びそれらの凝集体又は凝集物を指す。いくつかの実施形態において、用語「粒子」は、一次粒子を指す。いくつかの実施形態において、一次粒子は、凝集でき、凝集体(又は二次粒子)の形成をもたらす。本発明の粒子は、球、楕円体、長方形、又は不定形の形状などの、任意の三次元幾何学的形状を有し得る。いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、実質的に同じ幾何学的形状又は異なる形状を有する。いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、均一な幾何学的形状を欠く。
【0113】
いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、固体状態にある。いくつかの実施形態において、本発明の粒子を含む組成物は、粉末の形態(例えば、本明細書に記載の含水率を有する乾燥粉末)である。
【0114】
いくつかの実施形態において、二価金属炭酸塩種は、炭酸カルシウムであるか又は炭酸カルシウムを含む。いくつかの実施形態において、二価金属炭酸塩種は、炭酸マンガンである。いくつかの実施形態において、第1の二価金属の炭酸塩種は、炭酸亜鉛である。いくつかの実施形態において、第1の二価金属の炭酸塩種は、第1の二価金属と第2の二価金属の混合物、及び任意に第3の金属(複数可)を含む。
【0115】
いくつかの実施形態において、粒子は実質的に、均一である。いくつかの実施形態において、第1の二価金属、第2の二価金属、及び任意に第3の金属は、本発明の粒子内で均一に分布される。いくつかの実施形態において、粒子は、粒子体積全体にわたり実質的に均質であり、用語「均質な」は、粒子及び/又はそれを含む組成物の全体積内の(i)安定剤;並びに/又は(ii)金属(例えば、第1の二価金属、第2の二価金属及び/又は第3の金属(複数可))の実質的に均質な分布を指す。いくつかの実施形態において、安定剤は、粒子の全体積内に位置する。
【0116】
いくつかの実施形態において、安定剤及び1種以上の二価金属(複数可)は、粒子全体内で均一に混合される。いくつかの実施形態において、安定剤は、非晶質金属(複数可)の炭酸塩により形成されるマトリックス内で実質的に均一に分布される。いくつかの実施形態において、安定剤は、共有結合により及び/又はイオン結合により金属カチオン(複数可)に化学的に結合される。
【0117】
いくつかの実施形態において、粒子は、粒子体積全体にわたって実質的に均質であり、シェルを欠く。いくつかの実施形態において、粒子は、外部マトリックスを欠く。いくつかの実施形態において、粒子は実質的に、層を欠く。
【0118】
いくつかの実施形態において、粒子は、シェルをさらに含み、シェルは、安定剤及び/又は第2の非晶質金属炭酸塩(例えば、第2の金属の炭酸塩及び/又は追加の金属の炭酸塩)を実質的に含む。いくつかの実施形態において、安定剤及び又は第2の金属は、粒子の外側部分に(例えば、シェル内に)位置する。いくつかの実施形態において、安定剤及び/又は第2の金属は、粒子の全体積内及び粒子の外側部分(例えば、シェル)に位置する。本発明者らによって得られた実験的証拠(実施例6参照)に基づいて、安定剤及び/又は第2の金属は、粒子の内部及び外側部分に位置すると結論付けられた。
【0119】
さらに、工業的規模の合成のためには、粒子全体への安定剤の実質的な組み込みを容易にするために、製造工程中に十分な量の安定剤(本明細書に開示されるような)を組み入れることが非常に重要である。これと対照的に、外側部(シェル)に吸着された安定剤を有する粒子は、乾燥工程中の非晶質炭酸塩の結晶化などにより、安定性に劣るという特徴がある。
【0120】
いくつかの実施形態において、本発明の安定な粒子は、粒子の全体(又はコア)部分に位置する安定剤を実質的に含む。いくつかの実施形態において、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%の、それらの間の任意の範囲を含む重量%の安定剤が、粒子の全部分(コア)に位置する。
【0121】
いくつかの実施形態において、粒子は、コアシェル粒子であり、コアは、実質的に均質であり、本明細書に記載のように、1以上の非晶質二価金属(複数可)の炭酸塩と、安定剤とを含む。いくつかの実施形態において、シェルは、実質的に及び任意に、安定剤、非晶質金属炭酸塩、金属酸化物/金属水酸化物を含む。いくつかの実施形態において、コアは、第1の二価金属を含み、シェルは、第2の二価金属及び任意に安定剤を実質的に含む。
【0122】
いくつかの実施形態において、コア内の安定剤、炭酸塩と二価金属(複数可)の比は、本明細書に(「粒子」節で)記載される通りである。いくつかの実施形態において、コアシェル粒子は、外側シェルを含み、シェルは実質的に、安定剤及び/又は第2のもしくはそれより多い金属炭酸塩を含む。コアシェル粒子は、方法の節で記載されるように、二段階の安定剤及び又は第2のもしくはそれより多い金属の添加の結果として得られると推測される。さらに、外側シェルは、粒子全体に水分バリアを提供し、そのため粒子の溶解及び/又は不安定化を(例えば、非晶質金属炭酸塩の結晶状態への変換によって)阻害すると想定される。したがって、外側シェルは、長期保存時及び/又は水溶液(例えば、懸濁液中の)との接触時に粒子の安定性を延長すると推測される。
【0123】
いくつかの実施形態において、コアとシェルのw/w比は、1000:1~10:1、1000:1~100:1、1000:1~500:1、500:1~100:1、100:1~50:1、50:1~10:1、50:1~30:1、30:1~10:1であり、それらの間の任意の範囲を含む。
【0124】
いくつかの実施形態において、コア内の安定剤とシェル内の安定剤のw/w比は、20:1~1:1、20:1~10:1、10:1~5:1、5:1~3:1、3:1~1:1、5:1~2:1、2:1~1:1、20:1~1:20であり、それらの間の任意の範囲を含む。
【0125】
いくつかの実施形態において、シェルの少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも99重量%は、安定剤及び/又はその塩で構成される。
【0126】
いくつかの実施形態において、粒子はさらに、金属塩を含む。いくつかの実施形態において、金属塩は、金属カチオン(例えば、二価、一価、及び/又は三価の金属)並びにアニオン(例えば、対アニオン)を含む。いくつかの実施形態において、アニオンは、ハロゲン化物(例えば、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物)、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0127】
いくつかの実施形態において、粒子はさらに、アニオンを含む。いくつかの実施形態において、アニオンは、ハロゲン化物(例えば、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物)、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0128】
いくつかの実施形態において、粒子はさらに、(i)第1の二価金属及び/又は第2の金属又は同じ種類の金属を有する金属の1つ、及び任意に第3の金属のメタ-酸素-金属結合(meta-oxygen-metal bond)(本明細書では金属酸化物とも呼ばれる);(ii)第1の二価金属及び/又は第2の金属、及び任意に第3もしくはそれ以上の金属のヒドロキシル(本明細書では、金属水酸化物とも呼ばれる)、又は(i)と(ii)の両方を含む。いくつかの実施形態において、粒子内及び/又はそれを含む組成物内の金属酸化物及び/又は金属水酸化物のいずれかのw/w含有量は、粒子中の金属の総量の1~30モル%である。
【0129】
いくつかの実施形態において、二価金属炭酸塩種の少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも87重量%、少なくとも90重量%、少なくとも92重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、それらの間の任意の範囲又は値を含む重量%は、非晶質である。それぞれの可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0130】
いくつかの実施形態において、組成物の少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも87重量%、又は少なくとも90重量%、又はそれらの間の任意の値及び範囲は、非晶質である。それぞれの可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される金属炭酸塩組成物の結晶化度は、X線粉末回折(XRD)によって決定される。いくつかの実施形態において、用語「非晶質」は、非結晶性組成物(例えば、結晶格子を欠く)を指す。いくつかの実施形態において、非晶質相は、結晶相において組織化された秩序のようなものが観察されたが結晶X線回折パターン又は電子回折パターンには顕著な特徴がないか又は全くない、1~nmの範囲のドメインを含む。
【0131】
いくつかの実施形態において、第1の二価金属の非晶質炭酸塩種を含む本発明の組成物は、二価金属炭酸塩の結晶格子の対応するピークを実質的に欠くXRDパターンにより特徴づけられる。いくつかの実施形態において、本発明の組成物(例えば、粉末状組成物)のXRDパターンは、本明細書の下で記載のように得られる(材料及び方法を参照されたい)。いくつかの実施形態において、組成物の結晶化の割合は、ナノメートルサイズ結晶粒を示す、それらの基部で幅が広い右位置の対応するピークを有するXRDパターンを表す。
【0132】
「対応するピークを実質的に欠く」は、本発明の組成物のXRDパターンが、XRD分析計によって積分され得る結晶相の少なくとも1つの主な対応ピークを含まず、かつ完全に非晶質相と物質の対応する結晶相の様々な比を混合することにより確立された実験曲線の30%を超えて積分されないことを意味する。別の実施形態において、「実質的に欠く」は、結晶性二価金属炭酸塩の30、20重量%、又は10重量%以下を意味する。別の実施形態において、「実質的に欠く」は、結晶性二価金属炭酸塩の5重量%以下を意味する。別の実施形態において、「実質的に欠く」は、結晶性二価金属炭酸塩の1重量%以下を意味する。
【0133】
いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、粒子の1~30重量%、1~5重量%、5~8重量%、8~10重量%、10~15重量%、15~18重量%、18~20重量%、20~30重量%、それらの間の任意の範囲又は値を含む含水率を有する。
【0134】
いくつかの実施形態において、粒子の含水率は、それらの間の任意の範囲又は値を含み粒子の最大でも20重量%、最大でも18重量%、最大でも15重量%、最大でも10重量%、最大でも8重量%である。
【0135】
本明細書で使用する用語「含水率」は、本発明の粒子に物理的又は化学的に結合された(例えば、金属原子と水の複合体もしくは付加物を形成するか、又は水素結合によって結合された)任意の水分子を指す。いくつかの実施形態において、含水率は、静電結合、親水性結合、又は水素結合により粒子の外表面に物理的に吸着された水分子を含む。そのような水分子は、室温~150℃の温度範囲で気化され得る。それは、粒子内のナノメートル細孔に閉じ込められるか、又は炭酸塩分子ネットワークの金属原子のいくつかと複合体化される(付加物を形成する)か、又はヒドロキシル原子もしくは酸素原子と水素結合を形成する水分子であり得る。このような水は通常、150~250℃で気化される。いくつかの実施形態において、含水率は、組成物の金属、リン又は炭素原子のいずれかに結合されたヒドロキシ基に由来し、これは縮合され、通常200~350℃で水分子を放出しながらM-O-C、M-O-P及びM-O-M結合を形成し得る。
【0136】
いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、非晶質金属炭酸塩を含み、金属は、1~30モル%のヒドロキシル基に結合される(本明細書では「含水率」とも呼ばれる)。いくつかの実施形態において、ヒドロキシル基は、例えば、Mg-OH又はZn-OH結合を形成するように、金属に共有結合される。いくつかの実施形態において、金属は、リン(P-OH)、硫黄(S-OH)、炭素(C-OH)、有機酸(C-OH)、及び/又はカルボキシル基に由来する官能基、又はそれらの任意の組み合わせを含む有機ヒドロキシ化合物に由来するヒドロキシル基に結合される。
【0137】
いくつかの実施形態において、粒子は、ヒドロキシル、金属原子に結合された複合水(「水和された」、「付加物」、「リガンド」)、酸化物又はオキソ基及びオキソ結合からなる粒子の分子ネットワークに組み込まれた化学基を含む。いくつかの実施形態において、含水率は、本発明の粒子内に吸着された又は埋め込まれた任意の水分子をさらに含む。水及び/又は酸化物の含有量は、それぞれの種の正確な含有量(吸着水、複合水、ヒドロキシル化金属含有量など)の推定を含む、熱重量分析(TGA)により検出できる。
【0138】
いくつかの実施形態において、本発明の粒子は実質的に、中空粒子を欠く。いくつかの実施形態において、本発明の粒子は実質的に、メソポーラス粒子を欠く。いくつかの実施形態において、本発明の粒子は実質的に、非多孔質である。いくつかの実施形態において、形成されたナノ細孔は、閉じた気孔の形態であり、すなわち、それらは、周囲条件下で気体及び液体の吸着又は脱着を起こしにくい。いくつかの実施形態において、粒子の多孔度は、0.1~30体積%、1~5体積%、5~10体積%、10~20体積%であり、それらの間の任意の範囲を含む。
【0139】
いくつかの実施形態において、粒子及び/又はそれを含む組成物は、最大でも200m/g、最大でも150m/g、最大でも100m/g、最大でも50m/gの、それらの間の任意の範囲を含むBET表面積により特徴づけられる。
【0140】
いくつかの実施形態において、粒子及び/又はそれを含む組成物は、20~200m/g、30~150m/g、20~150m/g、20~110m/g、30~150m/g、30~100m/g、100~110m/g、110~150m/g、150~200m/gの、それらの間の任意の範囲を含むBET表面積により特徴づけられる。
【0141】
いくつかの実施形態において、粒子及び/又はそれを含む組成物は、0.5~10nm、1~5nm、2~10nm、2~3nm、1~3nmの、それらの間の任意の範囲を含む平均細孔サイズにより特徴づけられる。
【0142】
いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、合成の非晶質二価金属炭酸塩を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される非晶質二価金属炭酸塩は、合成の二価金属炭酸塩である。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される非晶質二価金属炭酸塩は、本明細書に開示される方法のいずれか1つに従って製造される。いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、天然の非晶質二価金属炭酸塩を実質的に欠く。
【0143】
いくつかの実施形態において、本発明の粒子(粉末の形態で)は、少なくとも50d、少なくとも100d、少なくとも200d、少なくとも300d、少なくとも1年(y)、少なくとも2y、少なくとも3yの、それらの間の任意の範囲又は値を含む期間、安定である。
【0144】
いくつかの実施形態において、水性製剤(懸濁液など)の形態の本発明の粒子(例えば、金属に対して少なくとも0.5モル%、又は少なくとも1モル%の安定剤を含む)は、少なくとも24時間、少なくとも2日間(d)、少なくとも7d、少なくとも10d、少なくとも20d、少なくとも30d、少なくとも40d、少なくとも50dの、それら間の任意の範囲又は値を含む期間、安定である。
【0145】
いくつかの実施形態において、水性製剤中で「安定な」と言われる本発明の粒子は、二価金属炭酸塩の総重量の少なくとも約80%が、少なくとも24時間、少なくとも2日(d)、少なくとも7d、それらの間の任意の範囲又は値を含む期間、40℃未満、又は35℃未満、30℃未満又は周囲温度(約20~約25℃)での水性製剤の保存の際に、非晶質のままであることを示す。
【0146】
その任意の文法的形態を含む用語「安定な」(又は安定な粒子という用語)は、本明細書で使用されるように、炭酸カルシウムが、粒子及び/又はそれを含む組成物の総重量の約30%、約20%、約15%、約10%、約5%又はそれら未満の結晶性二価金属炭酸塩を有する固体形態で、長期間(本明細書に記載の適切な条件下で)非晶質形態で維持されることを示す。具体的には、その任意の文法的形態を含む用語「安定な」(又は安定な粒子という用語)は、本明細書で使用されるように、二価金属炭酸塩の総重量の少なくとも80%、又は少なくとも95%が、少なくとも1ヶ月、少なくとも100d、少なくとも200d、少なくとも300d、少なくとも1年(y)、少なくとも2y、少なくとも3yの、それらの間の任意の範囲又は値を含む期間、適切な条件下での組成物の保存時に、非晶質のままであることを示す。
【0147】
いくつかの実施形態において、安定な粒子は、二価金属炭酸塩種の崩壊、凝集、及び/又は結晶化を実質的に欠く。いくつかの実施形態において、安定な粒子は、その物理的及び/又は化学的特性を実質的に保持する。いくつかの実施形態において、安定な粒子は、その構造及び/又は幾何学的形状を実質的に保持する。いくつかの実施形態において、安定な粒子は、そのサイズ又は他の任意の物理的パラメータを実質的に保持する。いくつかの実施形態において、安定な粒子は、粒子の化学的安定性を指す(例えば、酸化を欠いている)。いくつかの実施形態において、安定な粒子は、化学的に不活性な粒子である。
【0148】
いくつかの実施形態において、粒子は、本明細書に記載の期間、適切な条件下での保存時に安定である。いくつかの実施形態において、適切な条件は、最大でも40℃、最大でも30℃、最大でも10℃、最大でも0℃、最大でも-10℃の、それらの間の任意の範囲又は値を含む温度を含む。いくつかの実施形態において、適切な条件は、-80℃~50℃の、それらの間の任意の範囲又は値を含む温度を含む。
【0149】
いくつかの実施形態において、適切な条件は、保存条件を含む。いくつかの実施形態において、適切な条件は、棚上の条件を含む。いくつかの実施形態において、適切な条件は、エンドユーザが本明細書に開示される組成物を保存する又は保持する条件を含む。
【0150】
いくつかの実施形態において、適切な条件は、本明細書に開示される組成物の活性が保持される又は維持される条件を含む。いくつかの実施形態において、適切な条件は、粒子が閉鎖され乾燥した条件(例えば、30%未満、20%未満、又は10%未満などの湿度含有量)で保たれ、真空、水スカベンジャーの分離容器、例えば、シリカゲル、モレキュラーシーブ、又はエアロゾルを使用して維持される条件を含む。
【0151】
いくつかの実施形態において、適切な条件は、少なくとも7.5、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10の、それらの間の任意の範囲又は値を含むpHでの懸濁液を含む。
【0152】
いくつかの実施形態において、粒子(例えば、一次粒子及び/又は二次粒子)は、上述したpHレベルに達するまで、9、8、7又は6未満のpHでわずかな溶解を受ける。
【0153】
いくつかの実施形態において、適切な条件は、それらの間の任意の範囲又は値を含む10~60%の範囲の相対湿度を含む。
【0154】
いくつかの実施形態において、粒子の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%は、安定であり、安定とは、本明細書で上に記載した通りである。
【0155】
いくつかの実施形態において、本発明の安定な粒子は、粒子の20重量%未満、18重量%未満、15重量%未満、13重量%未満、10重量%未満の、それらの間の任意の範囲又は値を含む含水率により特徴づけられ、安定とは、本明細書に記載の通りである。
【0156】
非晶質の単一の二価金属炭酸塩の粒子
本発明の一態様において、各粒子が二価金属炭酸塩種(例えば、任意のさらなる種類の結合を伴いまたは伴わず)を含む本発明の複数の粒子(本明細書では単一の二価金属粒子とも呼ばれる)、及び本発明の安定剤が提供され;二価金属炭酸塩(本明細書において「炭酸塩種」とも呼ばれる)の少なくとも70重量%は、非晶質状態にあり、二価金属は、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、及びCrからなる群から選択され;二価金属と安定剤のモル比は、100:1~4:1である。いくつかの実施形態において、単一の二価金属粒子は、Zn、Cu、Co、Ni、Mn、及びCrからなる群から選択される単一の二価金属種を含む。いくつかの実施形態において、単一の二価金属粒子は、本明細書に記載の単一の二価金属種と、少なくとも5重量%、少なくとも8重量%、少なくとも10重量%の安定剤とを含み、安定剤は、本明細書に記載の通りである。いくつかの実施形態において、本発明の二価金属は、+2の酸化状態にある金属であるか又はそれを含む。
【0157】
本発明の別の態様において、各粒子が二価金属炭酸塩種(例えば、任意のさらなる種類の結合を伴いまたは伴わず)を含む本発明の複数の単一の二価金属粒子、及び本発明の安定剤が提供され;二価金属炭酸塩の少なくとも70重量%は、非晶質状態にあり、二価金属は、Mg、Zn、Cu、Co、Ni、Mn、及びCrからなる群から選択され;二価金属と安定剤のモル比は、100:1~4:1であり;複数の粒子は、最大でも500m/g、最大でも200m/g、最大でも100m/g、又は少なくとも25m/g、少なくとも50m/g、少なくとも100メートルm/gの、それらの間の任意の範囲を含むBET表面積によって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、単一の二価金属粒子は、Mg、Zn、Cu、Co、Ni、Mn、及びCrからなる群から選択される単一の二価金属種を含み、最大でも500m/g、最大でも200m/g、最大でも100m/g、又は少なくとも25m/g、少なくとも50m/g、少なくとも100m/gの、それらの間の任意の範囲を含むBET表面積によって特徴付けられる。
【0158】
いくつかの実施形態において、単一の二価金属粒子内の二価金属と安定剤のモル比は、100:1~100:25、100:1~100:5、100:5~100:7、100:5~100:25、100:3~100:25、100:7~100:15、100:7~100:10、100:10~100:20、100:10~100:15、100:15~100:25、100:20~100:25であり、それらの間の任意の範囲を含む。
【0159】
いくつかの実施形態において、安定剤と二価金属のモル比は、少なくとも1%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも10%であり、それらの間の任意の範囲を含む。
【0160】
いくつかの実施形態において、全二価金属含有量(例えば、第1の二価金属、及び1以上の第2の二価金属(複数可)を含む)と安定剤の重量比は、5~20%、5~8%、8~10%、8~20%、10~20%、20~30%であり、それらの間の任意の範囲を含む。
【0161】
いくつかの実施形態において、二価金属炭酸塩は、炭酸塩種及び二価金属原子を含む。いくつかの実施形態において、二価金属原子は、単一の二価金属である。
【0162】
いくつかの実施形態において、粒径は、本明細書で上に記載される通りである。
【0163】
いくつかの実施形態において、粒子は、安定剤を含み、安定剤は、本明細書に記載の通りである。いくつかの実施形態において、粒子内の第1の二価金属と安定剤のモル比は、本明細書で上に記載される通りである。いくつかの実施形態において、二価金属と安定剤のモル比は、本明細書で上に記載される通りである。
【0164】
いくつかの実施形態において、二価金属は、Znであり、二価金属と安定剤(例えば、三リン酸)のモル比は、本明細書に記載の通りである。
【0165】
いくつかの実施形態において、粒子内の安定剤と二価金属のw/w比は、本明細書に記載の通りである。
【0166】
いくつかの実施形態において、粒子の含水率は、本明細書に記載の通り(例えば、1~30重量%)である。
【0167】
いくつかの実施形態において、粒子内の二価金属のw/w濃度は、粒子の全乾燥重量の20~70%、20~30%、30~35%、35~38%、38~40%、40~50%、50~60%、60~70%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0168】
いくつかの実施形態において、単一の二価金属粒子内の炭酸塩のw/w濃度は、粒子の全乾燥重量の1~40%、1~10%、10~40%、10~20%、20~40%、20~30%、30~40%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0169】
いくつかの実施形態において、単一の二価金属粒子内の炭酸塩と二価金属のモル比は、10:1~1:1、10:1~8:1、10:1~5:1、8:1~5:1、5:1~3:1、3:1~1:1であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0170】
いくつかの実施形態において、粒子の全金属含有量に対する二価金属のw/w比は、粒子の全乾燥重量の50~99%、50~60%、60~70%、70~80%、80~85%、85~90%、90~92%、92~95%、95~97%、97~99%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0171】
いくつかの実施形態において、粒子は、二価の金属酸化物を実質的に欠く。いくつかの実施形態において、粒子内の二価金属酸化物の含有量は、二価金属の重量含有量に対し、最大で10%、最大で8%、最大で5%、最大で1%、最大で0.1%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0172】
いくつかの実施形態において、単一の二価金属粒子は、本明細書に記載されるように、適切な条件下にて乾燥状態で、少なくとも1ヶ月、少なくとも3m、少なくとも6m、少なくとも12mの期間、実質的に安定である。
【0173】
いくつかの実施形態において、単一の二価金属粒子は、本明細書に記載の適切な条件下にて水性懸濁液中で少なくとも1日、少なくとも2d、少なくとも3d、少なくとも1週間、少なくとも1ヶ月間、実質的に安定である。
【0174】
いくつかの実施形態において、乾燥状態及び/又は懸濁液中の粒子を安定化させるために十分な単一の二価金属粒子内の安定剤の含有量(例えば、モル比、又はw/w比)は、本明細書に記載の通りである。
【0175】
いくつかの実施形態により、単一の二価金属粒子の製造の方法が提供され、方法は、二価金属カチオン(例えば、ハロゲン化物(例えば、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物)、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、又はそれらの任意の組み合わせなどの、炭酸塩でない対アニオンを含む、解離した二価金属塩の形態で)を含む第1の水性組成物と炭酸アニオンを含む第2の水性組成物を適切な条件下で接触させること、それにより単一の二価金属粒子を取得することを含む。いくつかの実施形態において、接触させることは、混合物の形成をもたらす。いくつかの実施形態において、第1の水性組成物及び/又は第2の水性組成物は、その中に溶解された又は分散された安定剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、接触させる工程に続いて又はそれと同時に混合物に安定剤溶液を添加することをさらに含む。
【0176】
いくつかの実施形態において、本方法は、単一の二価金属粒子を取得するために、水溶液から粒子を分離することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、本明細書に開示されるような含水率(最大で30重量%)により特徴づけられる、本発明の乾燥した単一の二価金属粒子を取得するのに十分な条件下で粒子を乾燥させることをさらに含む。
【0177】
いくつかの実施形態において、接触させることは、混合すること、攪拌すること、振盪すること、又は当技術分野で公知の任意の他の方法によって行われる。いくつかの実施形態において、適切な条件は、3~50℃、3~10℃、3~30℃、3~25℃、10~50℃、10~30℃、10~40℃、3~10℃、10~20℃、20~50℃、20~30℃の、それらの間の任意の範囲を含む温度を含む。いくつかの実施形態において、適切な条件は、少なくとも1秒、少なくとも1分の、又はそれより多い接触させる時間を含む。いくつかの実施形態において、接触させる時間は、本発明の粒子を形成するために十分である。いくつかの実施形態において、接触させる時間は、第1の水性組成物内の最初の二価金属含有量の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%(それらの間の任意の範囲又は値を含む)、又はそれより多くと炭酸塩を反応させるために十分である。いくつかの実施形態において、接触させる時間は、最初の二価金属の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%(それらの間の任意の範囲又は値を含む)、又はそれより多くを非晶質二価金属炭酸塩(例えば、本発明の粒子の形態で)に変換するために十分である。変換は、当技術分野で公知の任意の分析技術(例えば、ICP、NMRなど)によってモニターできる。さらに、変換は、混合物を形成する粒子の沈殿をモニターすることによりモニターできる。そのため、粒子形成工程の終点は、沈殿の実質的な停止により示される。
【0178】
いくつかの実施形態において、第1の水性組成物及び第2の水性組成物は、水溶液である。いくつかの実施形態において、第1の水性組成物及び第2の水性組成物は、それぞれ十分な量の二価金属及び/又は炭酸塩を含む。いくつかの実施形態において、第1の水性組成物中の二価金属カチオンの濃度は、1mM~10M、1mM~10mM、10mM~100mM、100mM~500mM、100mM~300mM、300mM~500mM、500mM~1Mであり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。いくつかの実施形態において、第2の水性組成物中の炭酸塩の濃度は、1mM~10M、1mM~10mM、10mM~100mM、100mM~500mM、100mM~300mM、300mM~500mM、500mM~1Mであり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0179】
いくつかの実施形態において、混合物内の二価金属に対する安定剤のモル比は、0.5~30%、0.5~10%、0.5~1%、1~30%、1~5%、5~10%、10~30%、少なくとも0.5%、少なくとも0.8%、少なくとも1%、少なくとも1.1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも8%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0180】
いくつかの実施形態において、混合物内の二価金属に対する炭酸塩のモル比は、約0.5:1~約2:1、約0.5:1~約0.7:1、約0.7:1~約1:1、約1:1~約1:1.5、約1:1.5~約1:2であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0181】
混合された非晶質金属炭酸塩粒子
本発明の別の態様において、本発明の粒子は、第1の二価金属炭酸塩と第2の二価金属炭酸塩の混合物を含み、第1の二価金属及び第2の二価金属はそれぞれ独立して、Ca、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、又はCrから選択され、粒子及び/又は組成物内の炭酸塩(又は金属炭酸塩)の少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%は、非晶質である。本発明の別の態様において、本発明の粒子は、第1の二価金属、第2の二価金属と炭酸塩種の混合物を含み、第1の二価金属及び第2の二価金属はそれぞれ独立して、Ca、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、又はCrから選択され、粒子内の炭酸塩種の少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%は非晶質であり、第1の二価金属及び第2の二価金属は、化学的に異なる金属種である。
【0182】
いくつかの実施形態において、第1の二価金属炭酸塩と第2の二価金属炭酸塩の混合物を含む本発明の粒子は、本明細書では混合された粒子と呼ばれる。いくつかの実施形態において、混合された粒子は、非晶質金属炭酸塩粒子である。いくつかの実施形態において、混合された粒子は、非晶質金属炭酸塩ナノ粒子である。いくつかの実施形態において、第1の二価金属は、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Co(II)、Ni(II)、Mn(II)、及びCr(II)を含む群から選択される。いくつかの実施形態において、第2の二価金属は、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)、Co(II)、Ni(II)、Mn(II)、及びCr(II)を含む群、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態において、本発明の第2の二価金属及び第1の二価金属は、+2の酸化状態の金属である。
【0183】
いくつかの実施形態において、乾燥状態及び/又は懸濁液中の粒子を安定化させるために十分な混合された粒子内の第2の二価金属の含有量(例えば、モル比、又はw/w比)は、本明細書に記載の通りである。
【0184】
いくつかの実施形態において、本発明の混合された粒子は、安定剤を欠き、粒子内の第1の二価金属と第2の二価金属のモル比は、10:0.3~10:2、10:0.3~10:0.4、10:0.4~10:0.5、10:0.5~10:0.7、10:0.7~10:0.8、10:0.8~10:1、10:1~10:2であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0185】
いくつかの実施形態において、混合された粒子内の第2の二価金属と第1の二価金属のモル比は、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%である、又はそれより多く、それらの間の任意の範囲又は値を含む。いくつかの実施形態において、混合された粒子内の第2の二価金属と第1の二価金属の重量比は、0.5~40%、1~30%、5~20%、10~40%、0.5~30%、10~20%、10~25%、5~20%、20~40%、20~30%、30~40%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0186】
いくつかの実施形態において、混合された粒子内の第2の二価金属と第1の二価金属の重量比は、少なくとも6%、少なくとも8%、少なくとも10%である、又はそれより多く、それらの間の任意の範囲又は値を含む。いくつかの実施形態において、混合された粒子内の第2の二価金属と第1の二価金属の重量比は、6~40%、6~30%、6~10%、8~40%、8~40%、8~10%、10~30%、10~20%、10~25%、8~20%、20~40%、20~30%、30~40%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0187】
いくつかの実施形態において、本発明の混合された粒子は、本明細書に記載の通りであり、粒子内の第1の二価金属に対する第2の二価金属の重量比は、少なくとも6%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。10~20重量%の第2の二価金属の含有量(第1の二価金属に対して)を有する例示的な混合された粒子が、うまく合成され、乾燥固体状態におけるそれらの安定性が、確認された。本発明者らは、第2の金属の重量比が6%未満になると、安定性が劣る粒子をもたらす、かつ/又は工業的規模の用途には向かないと推測している。
【0188】
いくつかの実施形態において、第1の二価金属は、Caであり、第2の二価金属は、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、又はCrから選択される。いくつかの実施形態において、第1の二価金属は、Caを欠き、第2の二価金属は、Mg、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、又はCrから選択される。
【0189】
別の実施形態により、本発明の粒子(本明細書では「混合され安定化された粒子」とも呼ばれる)は、第1の金属及び第2の金属を含む炭酸塩種を含み、さらに安定剤を含み;組成物内の炭酸塩種の少なくとも70重量%、又は少なくとも99重量%(間の任意の範囲を含む)は、非晶質であり;第1の二価金属及び第2の二価金属のいずれか一方が、Ca、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、Mg、及びCr、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態において、複数の混合され安定化された粒子を含む組成物(例えば、液体の又は粉末状の組成物)が、提供される。いくつかの実施形態において、第1の金属は、Ca、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、及びCrから選択され、第2の金属は、Mgであり、混合され安定化された粒子内の安定剤と第1の二価金属のモル比は、間の任意の範囲を含む1:100~25:100である。
【0190】
いくつかの実施形態において、粒子(例えば、安定化され混合された粒子)内の第2の二価金属と第1の二価金属の重量比は、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも5%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0191】
いくつかの実施形態において、安定化され混合された粒子内の二価金属と第1の二価金属の重量比は、1~40%、1~30%、1~10%、10~30%、1~20%、2~10%、2~30%、2~20%、10~25%、8~20%、20~40%、20~30%、30~40%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0192】
いくつかの実施形態において、安定化され混合された粒子は、安定剤をさらに含み、安定剤は、本明細書に記載の通りである。いくつかの実施形態において、安定化され混合された粒子内の第1の二価金属と安定剤のモル比は、本明細書の上で記載される通りである。安定剤は、水性製剤(例えば、懸濁液又は分散液)中の及び/又は非常に湿った環境における粒子の安定性を実質的に増強すると仮定される。安定剤は、大規模製造中に、特にスケーリングされた製品の乾燥工程中に粒子の安定性を実質的に高めると仮定される。
【0193】
いくつかの実施形態において、混合され安定化された粒子内の安定剤と第1の二価金属のw/w比は、間の任意の範囲を含む少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%である。
【0194】
いくつかの実施形態において、混合され安定化された粒子内の安定剤と全金属含有量(第1の金属及び第2の金属)のモル比は、間の任意の範囲を含む少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも10%である。
【0195】
いくつかの実施形態において、混合され安定化された粒子内の安定剤と全金属含有量(第1の金属及び第2の金属)の重量比は、間の任意の範囲を含む少なくとも8%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも10%である。
【0196】
いくつかの実施形態において、第1の二価金属は、Caであり、Caと安定剤(例えば、三リン酸)のモル比は、100:1~100:30、100:1~20、100:0.5~100:10、100:1~100:10、100:2~100:10であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0197】
いくつかの実施形態において、混合され安定化された粒子内の安定剤と第1の二価金属のw/w比は、0.1:10~2.5:10、0.1:10~0.7:10、0.7:10~0.9:10、0.9:10~1.1:10、1.1:10~1.5:10、1.5:10~2:10、2:10~2.5:10であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0198】
いくつかの実施形態において、粒子内の安定剤と第1の二価金属(例えば、混合され安定化された粒子)のw/w比は、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0199】
いくつかの実施形態において、粒子内の安定剤と第1の二価金属(例えば、混合され安定化された粒子)のモル比は、少なくとも0.5%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0200】
いくつかの実施形態において、本発明の粒子(例えば、混合され安定化された粒子)は、第1の二価非晶質金属炭酸塩と第2の又はそれより多い非晶質金属炭酸塩の混合物を含み、第1の二価金属は、Caであり、第2の二価金属は、Mgであり;粒子は、本発明の安定剤をさらに含み;粒子は、本明細書の上で記載されるBET表面積により特徴づけられ;かつ粒子は、非晶質金属炭酸塩粒子である。いくつかの実施形態において、第1の二価金属は、Caであり、第2の二価金属は、Mgであり、MgとCaのモル比は、少なくともlモル%であり、粒子は、本明細書の上で記載されるBET表面積により特徴づけられる。
【0201】
いくつかの実施形態において、第1の二価金属は、Caであり、第2の二価金属は、Mgであり、粒子(例えば、混合され安定化された粒子又は混合された粒子)は、本明細書の上で記載されるBET表面積により特徴づけられ、CaとMgのモル比は、間の任意の範囲を含む5:1~2:1、5:1~3:1、5:1~4:1、4:1~2:1、4:1~3:1、3:1~2:1である。
【0202】
いくつかの実施形態において、第1の二価金属は、Caであり、第2の二価金属は、Mgであり、粒子(例えば、混合され安定化された粒子又は混合された粒子)は、本明細書の上で記載されるBET表面積により特徴づけられ、CaとMgのモル比は、5:1~2:1であり;粒子は、適切な条件(例えば、間の任意の範囲を含む-15~40℃、又は0~25℃、又は5~40℃、又は0~30℃の温度)下にて粉末形態での保存の際に、間の任意の範囲を含む少なくとも1m、少なくとも1yの間、安定である。
【0203】
いくつかの実施形態において、第1の二価金属は、Caであり、第2の二価金属は、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、又はCrから選択される。いくつかの実施形態において、第1の二価金属は、Caを欠き、第2の二価金属は、Mg、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、又はCrから選択される。
【0204】
いくつかの実施形態において、第1の二価金属及び第2の二価金属は、本明細書の上で記載される通りである。いくつかの実施形態において、第1の二価金属及び第2の二価金属は独立して、Ca、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、又はCrから選択され;第1の二価金属と第2の二価金属は、異なる金属である。いくつかの実施形態において、第1の二価金属及び第2の二価金属は独立して、Mg、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、又はCrから選択され;第1の二価金属と第2の二価金属は、異なる金属である。
【0205】
いくつかの実施形態において、第1の二価金属は、Caである。いくつかの実施形態において、第1の二価金属は、Caであり、第2の二価金属は、Zn及び/又はFeである。いくつかの実施形態において、第1の二価金属は、Caであり、第2の二価金属は、Zn、Fe、Cr及びMgから選択される。いくつかの実施形態において、第1の二価金属は、Mgであり、第2の二価金属は、Zn及び/又はFeである。いくつかの実施形態において、第1の二価金属は、Znであり、第2の二価金属は、Ca、Mg、及び/又はFeである。
【0206】
いくつかの実施形態において、第1の二価金属は、単一の二価金属であるか又はそれを含む。いくつかの実施形態において、粒子(例えば、混合された粒子)は、第3の金属をさらに含む。いくつかの実施形態において、第3の金属は、Ca、Zn、Fe、Cu、Co、Ni、Mn、Mg及びCrのいずれか、又はそれらの組み合わせを含む。
【0207】
いくつかの実施形態において、第1の二価金属及び第2の金属の二価金属炭酸塩種は、粒子内で結合され、結合は、共有結合及び/又はイオン結合によるものである。いくつかの実施形態において、第1の二価金属及び第2の金属は、粒子内で均一に分布される。いくつかの実施形態において、粒子は、1以上の二価金属又は1以上の安定剤に富む領域からなる複合体の形態である。いくつかの実施形態において、粒子は、複合体の形態であり、複合体の構造は、コアシェル構造の形態である。いくつかの実施形態において、第1の二価金属及び第2の二価金属、及び炭酸塩種は、複合体を形成するように互いに結合される。いくつかの実施形態において、複合体は、本発明の複数の粒子の形態である。
【0208】
いくつかの実施形態において、第二の金属の存在は、各々個々に調製された金属炭酸塩と比較して、粒子及び/又はそれを含む組成物の全体的な水性溶解度(又は分散性)に影響を及ぼす。いくつかの実施形態において、第2の金属(例えば、第2の二価金属)は、粒子を安定化させるために十分な量で粒子内に存在し、十分な量は任意に、第2の金属の化学組成によりあらかじめ決定される。いくつかの実施形態において、十分な量は、特定の金属原子及び/又はその酸化状態に応じて変化し得る。いくつかの実施形態において、十分な量は、本明細書に記載の通りである(例えば、粒子又は組成物中の第1の金属含有量に対して少なくとも0.5モル%、又は少なくともlモル%)。
【0209】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、第1の二価金属の炭酸塩種及び第2の二価金属の炭酸塩種を含む本発明の複数の混合粒子を含み、組成物の少なくとも一部は、非晶質である。いくつかの実施形態において、非晶質は、本明細書に記載の通りである。いくつかの実施形態において、本発明の組成物及び/又は粒子は、第1の二価金属及び第2の又はそれより多い二価金属を含む混合された二価金属炭酸塩種を含み、混合された二価金属炭酸塩種の少なくとも一部は、非晶質である。
【0210】
いくつかの実施形態において、第1の二価金属の炭酸塩種は、本発明の粒子内にマトリックス(又は分子ネットワーク)を形成する。いくつかの実施形態において、第2の二価金属(又は第2の二価金属の炭酸塩種)は、粒子のマトリックス内に包み込まれるか又は埋め込まれる。いくつかの実施形態において、第2の二価金属は、マトリックス内に組み込まれる。いくつかの実施形態において、第2の二価金属は、マトリックス内で均一に分布される。いくつかの実施形態において、マトリックスは、第2の二価金属原子でドープされる。いくつかの実施形態において、第1の二価金属を有する粒子は、第2の二価金属原子で被覆されてコアシェル粒子を形成する。
【0211】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、化学的に同一の粒子、又は化学的に異なる粒子を含む。
【0212】
いくつかの実施形態において、粒子(例えば、混合された粒子及び/又は安定化され混合された粒子)内の第1の二価金属と第2の二価金属のモル比は、10:0.1~10:3、10:0.1~10:0.2、10:0.2~10:0.5、10:0.5~10:0.7、10:0.7~10:0.9、10:0.9~10:1、10:1~10:1.5、10:1.5~10:2、10:2~10:3、10:0.7~10:5、10:0.7~10:4、10:0.7~10:3であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。いくつかの実施形態において、粒子(例えば、混合された粒子及び/又は安定化され混合された粒子)内の第2の二価金属と第1の二価金属のモル比は、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも10%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0213】
いくつかの実施形態において、粒子(例えば、混合された粒子及び/又は安定化され混合された粒子)内の第2の二価金属と第1の二価金属のモル比は、8~33%、6~50%、6~40%、8~40%、8~35%、8~33%、8~30%、10~40%、8~10%、10~20%、10~30%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0214】
いくつかの実施形態において、安定な混合された粒子及び/又は安定化され混合された粒子は、第1の二価金属炭酸塩及び第2の二価金属炭酸塩を含み、粒子内の第2の二価金属と第1の二価金属のモル比は、6~50%、8~50%、8~40%、8~35%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含み、「安定な」は、本明細書に開示されるような粉末状組成物の安定性を指す。
【0215】
いくつかの実施形態において、粒子内の第1の二価金属と第2の二価金属のw/w比は、10:0.1~10:2、10:0.1~10:0.2、10:0.2~10:0.5、10:0.5~10:0.7、10:0.7~10:0.9、10:0.9~10:1、10:1~10:1.5、10:1.5~10:2であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。いくつかの実施形態において、粒子内の第1の二価金属と第2の二価金属のw/w比は、10:0.1~10:1.5であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0216】
いくつかの実施形態において、混合され安定化された粒子又は混合された粒子の粒径は、本明細書の上で(「粒子」節で)記載される通りである。
【0217】
いくつかの実施形態において、複数の粒子(例えば、混合され安定化された粒子又は混合された粒子)は、最大でも500m/g、又は最大でも200m/g、又は最大でも100m/gのBET表面積により特徴づけられる。
【0218】
いくつかの実施形態において、本発明の粒子(例えば、混合された粒子)は、第1の二価非晶質金属炭酸塩と第2の非晶質二価金属炭酸塩の混合物を含み、第1の二価金属は、Caであり、第2の二価金属は、Mgであり;粒子は、本明細書の上で記載されるBET表面積により特徴づけられ;粒子は、非晶質金属炭酸塩粒子である。いくつかの実施形態において、第1の二価金属は、Caであり、第2の二価金属は、Mgであり、MgとCaのモル比は、少なくともlモル%であり、粒子は、本明細書の上で記載されるBET表面積により特徴づけられる。
【0219】
いくつかの実施形態において、混合された粒子(例えば、混合された粒子又は安定化され混合された粒子)内の炭酸塩のw/w濃度は、粒子の全乾燥重量の1~40%、1~10%、10~40%、10~20%、20~40%、20~30%、30~40%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0220】
いくつかの実施形態において、混合された粒子(例えば、混合された粒子又は安定化され混合された粒子)内の炭酸塩と第1の二価金属のモル比は、10:1~1:1、10:1~8:1、10:1~5:1、8:1~5:1、5:1~3:1、3:1~1:1であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0221】
いくつかの実施形態において、本発明の粒子(例えば、混合された粒子、及び/又は混合され安定化された粒子)のいずれか1つは、粉末状組成物の形態で安定であり、安定なとは本明細書に記載の通りである。いくつかの実施形態において、本発明の粒子(例えば、混合された粒子及び/又は混合され安定化された粒子)のいずれか1つは、水性製剤の形態で、1分(min)~24h、1分~1h、1分~10分、1分~30分、1分~48h、1分~2h、1分~10h、1分~15h、1分~20h、10~24h、10~48h、それらの間の任意の範囲又は値を含む期間、安定である。
【0222】
いくつかの実施形態において、混合された粒子及び/又は混合され安定化された粒子は、第3の金属をさらに含む。いくつかの実施形態において、粒子内の第1の二価金属と第3の金属のモル比は、10:0.1~10:1、10:0.3~10:0.4、10:0.4~10:0.5、10:0.5~10:0.7、10:0.7~10:0.8、10:0.8~10:1であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0223】
いくつかの実施形態において、安定化され混合された粒子の安定な分散体が提供され、粒子は、(i)第1の二価金属炭酸塩と第2の二価金属炭酸塩、および任意に第3の又はそれより多い金属を含み、粒子内の第2の二価金属と第1の二価金属のモル比は、1~50%、5~50%、5~40%、5~35%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含み;少なくとも0.5%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1%、少なくとも5%の、それらの間の任意の範囲又は値を含む%の安定剤と第一の金属のモル比で安定剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、混合された粒子の分散安定性は、本明細書に開示されるような水性分散体の安定性を指す(例えば、少なくとも7日の期間、少なくとも約80%の非晶質金属炭酸塩の保持)。
【0224】
いくつかの実施形態において、乾燥粒子の含水率は、本明細書に記載の通りである(例えば、1~30重量%)。
【0225】
いくつかの実施形態において、粒子内の第1の二価金属のw/w濃度は、粒子の全乾燥重量の20~70%、20~30%、30~35%、35~38%、38~40%、40~50%、50~60%、60~70%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0226】
いくつかの実施形態において、粒子の全金属含有量に対する第1の二価金属のw/w比は、粒子の全乾燥重量の50~99%、50~60%、60~70%、70~80%、80~85%、85~90%、90~92%、92~95%、95~97%、97~99%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0227】
いくつかの実施形態において、粒子内の第2の二価金属のw/w濃度は、粒子の全乾燥重量の0.1~40%、0.1~30%、0.5~20%、1~10%、3~5%、5~10%、10~40%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0228】
いくつかの実施形態において、粒子は、金属酸化物又は金属-オキソ結合を実質的に欠く。いくつかの実施形態において、粒子内の金属酸化物結合の含有量は、二価金属の重量含有量に対して、最大で10%、最大で8%、最大で5%、最大で1%、最大で0.1%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0229】
いくつかの実施形態において、乾燥粒子(混合された粒子及び混合され安定化された粒子)は、本明細書の上で記載される適切な条件下で保存される場合、乾燥状態で少なくとも1ヶ月、少なくとも6m、少なくとも12mの間、安定である。
【0230】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、二価金属炭酸塩前駆体(例えば、炭酸塩でない対イオンを含む二価金属塩)を含む第1の区画;及び一価炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、又は任意のアルカリ金属炭酸塩)を含む第2の区画を含むキットの形態である。いくつかの実施形態において、キット内の二価金属炭酸塩前駆体の二価金属と一価炭酸塩のw/w比は、約0.5:1~約2:1、約0.5:1~約0.7:1、約0.7:1~約1:1、約1:1~約1:1.5、約1:1.5~約1:2であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0231】
いくつかの実施形態において、第1の区画及び/又は第2の区画は、安定剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、キット内の二価金属炭酸塩前駆体の二価金属と安定剤のモル比は、0.5~30%、0.5~10%、0.5~1%、1~30%、1~5%、5~10%、10~30%、少なくとも0.5%、少なくとも0.8%、少なくとも1%、少なくとも1.1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも8%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0232】
いくつかの実施形態において、二価金属炭酸塩前駆体は、単一の二価金属種を含む。いくつかの実施形態において、二価金属炭酸塩前駆体は、複数の二価金属種(例えば、本明細書に開示される第1の二価金属及び第2の二価金属)を含む。
【0233】
いくつかの実施形態において、キット内の第1の二価金属と第2の二価金属のモル比は、本明細書に記載の通りである(例えば、間の任意の範囲を含む10:0.05~1:1)。
【0234】
いくつかの実施形態により、本発明の混合された粒子を製造する方法が提供され、方法は、適切な条件下で、第1の二価金属のカチオン及び第2の二価金属のカチオン(例えば、炭酸塩でない対アニオン、そのようなハロゲン化物(例えば、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物)、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、又はそれらの任意の組み合わせを含む、解離した二価金属塩の形態で)を含む第1の水性組成物と、炭酸アニオンを含む第2の水性組成物を接触させること、それにより本発明の混合された粒子を取得することを含む。
【0235】
いくつかの実施形態において、本発明の混合され安定化された粒子を製造する方法が提供され、方法は、適切な条件下で、第1の二価金属のカチオン及び第2の二価金属のカチオン(例えば、炭酸塩でない対アニオン、そのようなハロゲン化物(例えば、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物)、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、又はそれらの任意の組み合わせを含む、解離した二価金属塩の形態で)を含む第1の水性組成物と、炭酸アニオンを含む第2の水性組成物を接触させること、それにより本発明の混合され安定化された粒子を取得することを含み、第1の水性組成物及び/又は第2の水性組成物は、その中に溶解された又は分散された安定剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1の水性組成物及び/又は第2の水性組成物は、安定剤を実質的に欠き、本方法は、接触させる工程に続いて又はそれと同時に混合物に安定剤溶液を添加することをさらに含む。
【0236】
いくつかの実施形態において、本方法は、本発明の混合された粒子(及び/又は安定化され混合された粒子)を取得するために、水溶液から粒子を分離することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、本明細書に開示されるような含水率(最大30重量%)を特徴とする、本発明の乾燥した混合された粒子(及び/又は安定化され混合された粒子)を取得するのに十分な条件下で粒子を乾燥させることをさらに含む。
【0237】
いくつかの実施形態において、接触させることは、混合すること、攪拌すること、振盪すること、又は当技術分野で公知の任意の他の方法により行われる。いくつかの実施形態において、適切な条件は、間の任意の範囲を含む、3~50℃、3~10℃、3~30℃、3~25℃、10~50℃、10~30℃、10~40℃、3~10℃、10~20℃、20~50℃、20~30℃の温度を含む。いくつかの実施形態において、適切な条件は、少なくとも1秒、少なくとも1分の、又はそれより多い接触させる時間を含む。いくつかの実施形態において、接触させる時間は、本発明の粒子を形成するために十分である。いくつかの実施形態において、接触させる時間は、第1の水性組成物内の最初の二価金属含有量の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%(それらの間の任意の範囲又は値を含む)、又はそれより多くと炭酸塩を反応させるために十分である。いくつかの実施形態において、接触させる時間は、最初の二価金属の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%(それらの間の任意の範囲又は値を含む)、又はそれより多くを非晶質二価金属炭酸塩(例えば、本発明の粒子の形態の)へと変換するために十分である。いくつかの実施形態において、最初の二価金属は、第1の水性組成物中の第1の二価金属及び第2の二価金属の最初の重量含有量を指す。
【0238】
変換は、当技術分野で公知の任意の分析技術(例えば、ICP、NMRなど)によってモニターできる。さらに、変換は、混合物を形成する粒子の沈殿をモニターすることによりモニターできる。そのため、粒子形成工程の終点は、実質的な沈殿の停止により示される。
【0239】
いくつかの実施形態において、第1の水性組成物及び第2の水性組成物は、水溶液である。いくつかの実施形態において、第1の水性組成物及び第2の水性組成物は、十分な量の各二価金属及び/又は炭酸塩を含む。いくつかの実施形態において、第1の水性組成物内の二価金属カチオン(本明細書に開示される第1及び第2の二価金属)の濃度はそれぞれ独立して、1mM~10M、1mM~10mM、10mM~100mM、100mM~500mM、100mM~300mM、300mM~500mM、500mM~1Mであり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。いくつかの実施形態において、第2の水性組成物内の炭酸塩の濃度は、1mM~10M、1mM~10mM、10mM~100mM、100mM~500mM、100mM~300mM、300mM~500mM、500mM~1Mであり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0240】
いくつかの実施形態において、混合物内の二価金属に対する安定剤のモル比は、0.5~30%、0.5~10%、0.5~1%、1~30%、1~5%、5~10%、10~30%、少なくとも0.5%、少なくとも0.8%と、少なくとも1%、少なくとも1.1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも8%であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0241】
いくつかの実施形態において、混合物内の二価金属に対する炭酸塩のモル比は、約0.5:1~約2:1、約0.5:1~約0.7:1、約0.7:1~約1:1、約1:1~約1:1.5、約1:1.5~約1:2であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0242】
いくつかの実施形態において、第1の水性組成物内の第1の二価金属と第2の二価金属のモル比は、10:0.05~1:1、10:0.05~1:0.1、10:0.1~1:0.2、10:0.2~1:1、10:0.2~1:0.1、10:0.2~1:0.5、10:0.2~1:0.3、10:0.3~10:2、10:0.3~10:0.4、10:0.4~10:0.5、10:0.5~10:0.7、10:0.7~1:0.8、10:0.8~10:1、10:1~10:2であり、それらの間の任意の範囲又は値を含む。
【0243】
組成物
いくつかの実施形態において、本発明の複数の粒子(例えば、単一の二価金属粒子、混合された粒子、混合され安定化された粒子、それらの任意の組み合わせを含む)を含む組成物が提供される。いくつかの実施形態において、組成物は、実質的に、単一の粒子種又は複数の化学的に異なる粒子を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、治療的有効量の本発明の粒子を含む医薬組成物である。いくつかの実施形態において、組成物は、治療的有効量の非晶質二価金属炭酸塩を含む医薬組成物である。いくつかの実施形態において、組成物は、栄養補助食品として有効な量の本発明の粒子を含む栄養補助食品組成物である。いくつかの実施形態において、組成物は、栄養補助食品として有効な量の非晶質二価金属炭酸塩を含む栄養補助食品組成物である。
【0244】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、本発明の複数の粒子を含む。いくつかの実施形態において、本発明の複数の粒子は、組成物中の凝集体の形態である(例えば、粉末状組成物)。いくつかの実施形態において、本発明の複数の粒子は、本明細書で二次粒子としても称される、粒子クラスター又は凝集体の形態である。
【0245】
いくつかの実施形態において、二次粒子は安定であり、安定は、本明細書に記載の通りである。いくつかの実施形態において、二次粒子は、固体の形態である。
【0246】
いくつかの実施形態において、二次粒子は、間の任意の範囲を含む0.1~500μm、0.5~1μm、1~2μm、2~5μm、0.1~10μm、1~100μmの範囲の粒径により特徴づけられる。いくつかの実施形態において、粉末状組成物は、複数の二次粒子を含む。
【0247】
いくつかの実施形態において、粉末状組成物は、生物活性でない又は治療的もしくは栄養的でない添加剤又は賦形剤(例えば、固結防止剤、乾燥剤、抗酸化剤、防腐剤など)をさらに含む。いくつかの実施形態において、粉末状組成物は、乾燥製剤である。いくつかの実施形態において、粉末状組成物は、投与のために封入される(例えば、カプセル又はゲルの内部に)。いくつかの実施形態において、粉末状組成物は、投与のために錠剤へと圧縮される。いくつかの実施形態において、粉末状組成物は、内部及び局所使用を含む様々な投与のために懸濁液、液体又は半液体で製剤化される。いくつかの実施形態において、粉末状組成物は、細胞培地中で製剤化される。
【0248】
いくつかの実施形態において、組成物内の添加剤のw/w濃度は、間の任意の範囲を含む0.01~20%である。
【0249】
いくつかの実施形態において、粉末状組成物の含水率は、30、20又は10%w/w未満である。いくつかの実施形態において、粉末状組成物の含水率は、5%w/w未満である。いくつかの実施形態において、粉末状組成物の含水率は、2%w/w未満である。いくつかの実施形態において、粉末状組成物の含水率は、1%w/w未満である。
【0250】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、本発明の複数の粒子と、許容される担体とを含む。いくつかの実施形態において、許容される担体は、医薬的に許容される担体である。いくつかの実施形態において、許容される担体は、栄養補助食品として許容される担体である。いくつかの実施形態において、許容される担体は、細胞培養に許容される担体である。いくつかの実施形態において、許容される担体は、生理学的に許容される液体である。いくつかの実施形態において、許容される担体は、生理食塩水である。いくつかの実施形態において、許容される担体は、血清である。
【0251】
いくつかの実施形態において、組成物内の担体のw/w濃度は、間の任意の範囲を含む1~99%である。
【0252】
いくつかの実施形態において、組成物は、製剤である。いくつかの実施形態において、組成物は、懸濁液である。「懸濁液」及び「分散」という言葉は、本明細書で交換可能である。いくつかの実施形態において、粒子(例えば、一次粒子及び/又は二次粒子)は、水溶液に懸濁される。いくつかの実施形態において、組成物は、安定な懸濁液である。いくつかの実施形態において、粒子は、水性溶媒中で安定な分散液を形成する。いくつかの実施形態において、安定な分散液は、粒子の実質的な凝集を実質的に欠く。いくつかの実施形態において、安定な分散液は、少なくとも10分間、粒子の沈殿を実質的に欠く。
【0253】
いくつかの実施形態において、組成物は、本発明の混合され安定化された粒子を含む水性製剤である。いくつかの実施形態において、混合され安定化された粒子を含む水性製剤は、間の任意の範囲を含む40℃未満、30℃未満、25℃未満の温度で保存した場合、少なくとも48時間、少なくとも7d、少なくとも1ヶ月、少なくとも2m、少なくとも3m、少なくとも6mの間、安定である。
【0254】
いくつかの実施形態において、組成物は、本発明の混合された粒子を含む、水性製剤である。いくつかの実施形態において、安定化された粒子を含む水性製剤は、間の任意の範囲を含む40℃未満、30℃未満、25℃未満の温度で保存される場合、少なくとも24h、少なくとも48h、少なくとも72hの間、安定である。
【0255】
いくつかの実施形態において、組成物は、その中に分散された本発明の粒子の治療的有効量を含む、水性製剤である。
【0256】
いくつかの実施形態において、組成物は、極性溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態において、極性溶媒は、水混和性溶媒である。
【0257】
いくつかの実施形態において、許容される担体は、水を含む。いくつかの実施形態において、許容される担体は、水性緩衝溶液を含む。
【0258】
いくつかの実施形態において、組成物は、水性組成物(例えば、分散液)であり、水性組成物は、間の任意の範囲を含む少なくとも7、少なくとも7.5、少なくとも8のpH値で安定である。
【0259】
いくつかの実施形態において、水性組成物は、少なくとも70%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、水性組成物は、少なくとも75%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、水性組成物は、少なくとも85%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、水性組成物は、少なくとも90%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、水性組成物は、少なくとも95%w/wの水を含む。いくつかの実施形態において、水性組成物は、少なくとも99%w/wの水を含む。
【0260】
いくつかの実施形態において、担体は、生理学的に許容される担体である。一実施形態において、互換的に使用される語句「生理学的に許容される担体」及び「医薬として許容される担体」は、生物に著しい刺激を引き起こさず、かつ投与された化合物の生物学的活性及び特性を阻害しない担体又は希釈剤を指す。アジュバントはこれらの語句に含まれる。一実施形態において、「賦形剤」は、活性成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性物質を指す。一実施形態において、賦形剤は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖及びデンプンの種類、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油及びポリエチレングリコールを含む。
【0261】
本明細書で使用される用語「担体」、「賦形剤」、又は「アジュバント」は、活性剤でない医薬組成物の任意の成分を指す。本明細書で使用される、用語「医薬として許容される担体」は、無毒で不活性な固体、半固体、液体の充填剤、希釈剤、封入材料、任意の種類の製剤補助剤、又は単に生理食塩水などの滅菌水性媒体を指す。医薬として許容される担体として機能できる物質のいくつかの例としては、糖、例えば、ラクトース、グルコース及びスクロース、デンプン、例えば、コーンスターチ及びバレイショデンプン、セルロース及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース;粉末トラガカント;麦芽、ゼラチン、タルク;賦形剤、例えば、ココアバター及び坐剤ワックス;油類、例えば、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油;グリコール、例えば、プロピレングリコール、ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール;エステル類、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル、寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張生理食塩水、リンゲル溶液;エチルアルコール及びリン酸緩衝液、並びに医薬製剤に使用される他の非毒性適合性物質が挙げられる。本明細書で担体として機能できる物質のいくつかの非限定的な例としては、糖、デンプン、セルロース及びその誘導体、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、植物油、ポリオール、アルギン酸、発熱物質を含まない水、等張生理食塩水、リン酸緩衝溶液、カカオバター(坐剤基剤)、乳化剤並びに他の医薬製剤において使用される他の非毒性の医薬として適合性のある物質が挙げられる。湿潤剤及び滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、並びに着色剤、香味剤、賦形剤、安定剤、抗酸化剤、及び防腐剤もまた、存在してよい。任意の非毒性、不活性、及び有効な担体が、本明細書で企図される組成物を製剤化するために使用されてよい。この点に関して適切な医薬として許容される担体、賦形剤、及び希釈剤は、当業者に周知であり、例えば、The Merck Index,第13版,Budavariら(編),Merck&Co.,Inc.,Rahway,N.J.(2001);the CTFA(化粧品、トイレタリー、フレグランス協会)国際化粧品成分辞書及びハンドブック(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)、第10版(2004);及び「不活性成分ガイド(Inactive Ingredient Guide)」米国食品医薬品局(FDA)医薬品評価研究センター(CDER)管理局に記載のものであり、これらの全ての内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本組成物中の有用な医薬として許容される賦形剤、担体及び希釈剤の例としては、蒸留水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、ハンクス溶液、及びDMSOが挙げられる。これらの追加の不活性成分、及び有効な製剤及び投与手順は、当技術分野で周知であり、標準的なテキストブック、例えば、Goodman及びGoodmanの:「治療の薬理学的基礎(The Pharmacological Bases of Therapeutics)」、第8版、Gilmanら(編)Pergamon Press(1990);レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、第18版、Mack Publishing Co.,Easton,Pa.(1990);及びRemington:科学と薬学の実践(The Science and Practice of Pharmacy),第21版,Lippincott Williams&Wilkins,Philadelphia,Pa.,(2005)に記載されており、それらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の組成物はまた、人工的に作製された構造、例えば、リポソーム、ISCOMS、徐放性粒子、及び血清中のペプチド又はポリペプチドの半減期を増加させる他のビヒクルに含まれてもよい。リポソームは、エマルション、フォーム、ミセル、不溶性単分子膜、液晶、リン脂質分散液、ラメラ層などを含む。本明細書に記載のペプチドとの使用のためのリポソームは、中性のおよび負に帯電したリン脂質及びステロール、例えば、コレステロールを一般に含む、標準的な小胞形成脂質から形成される。脂質の選択は一般に、リポソームサイズ及び血液中の安定性などの考慮事項により決定される。例えば、Coligan,J.E.ら,タンパク質科学の最新プロトコル(Current Protocols in Protein Science),1999,John Wiley & Sons,Inc.,New Yorkにより概説されるような、リポソームを調製するための様々な方法が利用可能であり、米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,837,028号、及び同第5,019,369号も参照されたい。
【0262】
いくつかの実施形態において、組成物は、栄養補助食品組成物である。いくつかの実施形態において、栄養補助食品組成物は、食品添加物をさらに含む。食品添加物の非限定的な例は、フラボノイド、カルニチン、コリン、ビタミン、疎水性ビタミン、多価不飽和脂肪酸、コエンザイムQ、クレアチン、ジチオールチオン、フィトステロール、多糖類、栄養補助食品、抗酸化剤、植物エストロゲン、グルコシノレート、ポリフェノール、アントシアニン、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0263】
いくつかの実施形態により、活性薬剤を対象に補充する方法が提供され、方法は、本発明の組成物の栄養補助食品として有効な量を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、活性剤は、第1の二価金属、第2の二価金属、又はその両方を含む。いくつかの実施形態において、活性剤は、炭酸塩種を含む。いくつかの実施形態において、活性剤は、第1の二価金属炭酸塩、第2の二価金属炭酸塩、又はその両方を含む。
【0264】
いくつかの実施形態によると、細胞におけるカテプシン活性を調節する又はそれに影響を与えることを含む方法が、提供される。いくつかの実施形態において、本方法は、本明細書に開示される粒子、又は本明細書に開示される粒子を含む組成物の有効量と細胞を接触させることを含む。
【0265】
いくつかの実施形態において、細胞は、対象の細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、対象から得られるか、又は対象に由来する。いくつかの実施形態において、細胞は、対象中にある。
【0266】
いくつかの態様において、細胞は、対象中にあり、接触させることは、本明細書に開示される粒子、又は本明細書に開示される粒子を含む医薬組成物の治療的有効量を対象に投与することを含む。
【0267】
いくつかの実施形態において、それを必要とする対象におけるカテプシンに関連するもしくは関連付けられる疾患又は障害を治療すること、予防すること、改善すること、又はそれらの任意の組み合わせを含む方法が、提供される。
【0268】
いくつかの実施形態により、疾患又は障害の治療における使用のための、本明細書に開示される粒子を含む医薬組成物が、提供される。
【0269】
いくつかの実施形態において、疾患又は障害は、それを必要とする対象におけるカテプシンに関連するかもしくは関連付けられる疾患又は障害である。
【0270】
いくつかの実施形態において、カテプシンに関連するかもしくは関連付けられる疾患又は障害は、細胞増殖関連疾患を含む。
【0271】
いくつかの実施形態において、細胞増殖関連疾患は、癌を含む。
【0272】
いくつかの実施形態において、癌は、肺癌を含む。
【0273】
いくつかの実施形態において、肺癌は、肺細胞腫を含む。
【0274】
本明細書で使用される場合、用語「カテプシンに関連するかもしくは関連付けられる疾患又は障害」は、カテプシンの発現及び/又は活性が、疾患もしくは障害の病因及び/又は病態生理学において、関与する、増殖する、増加する、生じる、誘導する、関与する、それらの任意の組み合わせ、又はそれらの任意の等価物である任意の疾患又は障害を包含する。
【0275】
いくつかの実施形態において、発現は、mRNA転写、タンパク質翻訳、又はその両方を含む。
【0276】
いくつかの実施形態において、調節すること又は影響を与えることは、カテプシンの活性を阻害する、低下させる、遮断する、低減する、減少させる、その任意の等価物、又はそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、カテプシンは、好酸性カテプシンを含む。いくつかの実施形態において、カテプシンは、複数のカテプシンを含む。いくつかの実施形態により、本発明は、それを必要とする対象における好酸性カテプシンの活性を低下させる方法を提供する。
【0277】
いくつかの実施形態において、カテプシンは、B、K、A、G、C、F、H、L、O、V、W、X、D、E、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0278】
いくつかの実施形態において、カテプシンは、カテプシンB、カテプシンK、又はその両方を含むか、又はそれらである。
【0279】
いくつかの実施形態において、治療することは、対象において、又は対象から得られるもしくは由来する細胞において、好酸性カテプシンの活性を低下させることを含む。
【0280】
本明細書で使用される用語「カテプシン」は、細胞タンパク質代謝回転において重要な役割を有するリソソームプロテアーゼのグループに属するタンパク質を指す。本明細書で使用される用語「カテプシン」は、セリンプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、及びシステインプロテアーゼを包含する。それらの触媒機構に基づいて、カテプシンは、セリン(A及びG)、システイン(B、C、F、H、K、L、O、S、V、W及びX)並びにアスパラギン酸プロテアーゼ(D及びE)に細分される。カテプシンのほとんどは、好酸性カテプシンであり、例えば、弱酸性~酸性の環境において最も活性が高い。例外は、カテプシンSであり、それは非好酸性カテプシンであり、生理学的条件下で、さらには弱アルカリ性条件下で活性がある。いくつかの実施形態により、カテプシンは、ヒトカテプシンである。
【0281】
いくつかの実施形態により、本方法は、カテプシンBの活性を低下させることを含む。他の実施形態により、本方法は、カテプシンKの活性を低下させることを含む。別の実施形態により、本方法は、カテプシンB及びKの活性を低下させることを含む。
【0282】
本明細書で使用される、疾患、障害、もしくは状態の「治療」又は「治療すること」という用語は、その少なくとも1種の症状の緩和、その重症度の低下、又はその進行の阻害を包含する。治療は、病気、障害、又は状態が完全に治癒することを意味する必要はない。有効な治療であるために、本明細書の有用な組成物は、疾患、障害、又は状態の重症度を低下させること、それと関連付けられる症状の重症度を低下させること、患者又は対象の生活の質を改善すること、又は患者のもしくは患者から他者への感染性の可能性を低下させることしか必要としない。
【0283】
本明細書で使用される、疾患、障害、又は状態の「予防」という用語は、疾患、障害、もしくは状態の発症の遅延、予防、抑制、又は阻害を包含する。本明細書に記載の主題に従い使用される、用語「予防」は、対象が、疾患/障害プロセスの誘発又は発症に先立ち本明細書に記載の組成物(複数)又は組成物に曝露される、予防のプロセスに関する。用語「抑制」は、疾患/障害プロセスがすでに始まっているが状態の明らかな症状がまだ認められていない、状態を説明するために使用される。そのため、個体の細胞は、疾患/障害を有する可能性があるが、疾患/障害の外部徴候はまだ、臨床的に認められていない。いずれの場合も、予防という用語は、予防と抑制の両方を包含するために適用できる。逆に、用語「治療」は、臨床症状が患者において既に認められている既存の状態と戦うための活性剤の臨床適用を指す。
【0284】
本明細書で使用される、「治療すること」は、改善すること及び/又は防止することを含む。
【0285】
いくつかの実施形態において、改善することは、本明細書に記載の疾患と関連付けられる少なくとも1種の症状を緩和することを含む。
【0286】
本明細書で使用される、用語「投与すること」、「投与」及び同様の用語は、健全な医療行為において、治療効果が提供されるような様式で対象に活性薬剤を含有する組成物を送達する、任意の方法を指す。
【0287】
本明細書で使用される、用語「対象」又は「個体」又は「動物」又は「患者」又は「哺乳動物」は、治療が望まれる任意の対象、特に哺乳動物対象、例えば、ヒトを指す。
【0288】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物の治療的有効用量が、投与される。用語「治療的有効量」は、哺乳動物における疾患又は障害を治療するために有効な薬物の量を指す。用語「治療的有効量」は、所望の治療的又は予防的結果を達成するために、必要な投薬量で及び期間の間有効な量を指す。正確な剤形と投薬計画は、患者の状態に応じて医師によって決定される。
【0289】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物の栄養補助食品として有効な用量が、投与される。用語「栄養補助食品として有効な量」は、活性剤を対象に補充するために有効な活性剤の量を指す。用語「治療的有効量」は、対象の体内で濃度を高めるために、任意に活性剤の所定の濃度を達成するように、必要な投薬量で及び期間の間有効な量を指す。正確な投薬量は、活性剤の所望の所定の濃度及び生物内の活性剤の初期量に依存して変化し得る。
【0290】
投与される投薬量は、レシピエントの年齢、健康状態、及び体重、同時治療の種類、もしあれば、治療の頻度、及び所望の作用の性質に依存するであろう。医薬組成物の投与経路は、治療される疾患又は状態に依存する。適切な投与経路は、非経口注射、例えば、皮内、静脈内、筋肉内、病変内、皮下、くも膜下腔内、及び当技術分野で公知の任意の他の注射様式を含むが、これらに限定されない。他の経路によって投与されるペプチドのバイオアベイラビリティは、好適な組成物を使用することにより、非経口注射を介して投与される場合よりも低くなり得るが、経皮、経口、直腸、膣、局所、経鼻、吸入及び眼の治療様式を介して本発明の組成物を投与することが可能であることが想定される。加えて、脳室内及び髄腔内注射を含む、任意の適切な経路により本発明の医薬組成物を導入することが望ましい場合があり;脳室内注射は、例えば、リザーバーに取り付けられた脳室内カテーテルにより容易になり得る。
【0291】
いくつかの実施形態において、組成物は、経口的に送達される。いくつかの実施形態において、組成物は、経口組成物である。いくつかの実施形態において、組成物はさらに、経口的に許容される担体、賦形剤、又は希釈剤を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、経口送達用に製剤化される。
【0292】
全般
本明細書で使用される、用語「約」は、±10%を指す。
【0293】
用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する」及びそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない」を意味する。用語「からなる」は、「含み、それらに限定される」ことを意味する。用語「本質的にからなる」は、組成物、方法又は構造が追加の成分、工程及び/又は部分を含み得ることを意味するが、追加の成分、工程及び/又は部分が特許請求される組成物、方法又は構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変えない場合に限る。
【0294】
言葉「例示的」は、本明細書において、「例、実例又はイラストとして役立つ」ことを意味するために使用される。「例示的」として記載される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではなく、かつ/又は他の実施形態からの特徴の組み込みを排除するものではない。
【0295】
言葉「任意に」は、本明細書において、「いくつかの実施形態で提供され、他の実施形態では提供されない」ことを意味するために使用される。本発明の任意の特定の実施形態は、そのような特徴が矛盾しない限り、複数の「任意の」特徴を含み得る。
【0296】
本明細書で使用される、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」」及び「その」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形の参照を含む。例えば、「化合物」又は「少なくとも1つの化合物」という用語は、それらの混合物を含む、複数の化合物を含み得る。
【0297】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に」は、それらの間の任意の範囲又は値を含む、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%を指す。
【0298】
本出願全体を通して、本発明の様々な実施形態は、範囲形式で提示されてよい。範囲形式での記述は単に便宜と簡潔さのためであり、本発明の範囲に柔軟な制限がないと解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記述は、全ての可能なサブ範囲及びその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると考えるべきである。例えば、1~6などの範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などのサブ範囲、並びにその範囲内の個々の数字、例えば、1、2、3、4、5、及び6を具体的に開示していると考えるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0299】
数値範囲が本明細書に示されるときはいつでも、示される範囲内の任意の引用される数字(少数又は整数)を含むことを意味する。第1の指示番号と第2の指示番号「の範囲(ranging)/範囲(ranges)」及び第1の指示番号「から」第2の指示番号「までの範囲(ranging)/範囲(ranges)」という語句は、本明細書では互換的に使用され、第1及び第2の指示された数、並びにそれらの間の全ての小数及び整数を含むことを意味する。
【0300】
本明細書で使用される、用語「方法」は、化学の、薬理学の、生物学の、生化学の及び医学の分野の実践者により知られているか、又は既知の様式、手段、技術及び手順から容易に開発された様式、手段、技術及び手順を含むが、これらに限定されない、所与のタスクを達成するための様式、手段、技術及び手順を指す。
【0301】
本明細書で使用される、用語「治療すること」は、状態を無効にする、実質的に阻害する、その進行を遅らせる又は逆転させること、状態の臨床的もしくは美学的症状を実質的に改善すること、又は状態の臨床的もしくは美学的症状の出現を実質的に防止することを含む。
【0302】
「A、B、及びCなどの少なくとも1つ」に類似した慣例が使用される場合、一般にそのような構成は、当業者が慣例を理解するという意味で意図される(例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを一緒に、AとCを一緒に、BとCを一緒に、及び/又はAとBとCを一緒に、などを有するシステムを含むが、それらに限定されない)。2以上の別の用語を提示する事実上任意の離接的な単語及び/又は語句は、説明、特許請求の範囲、又は図面のいずれにおいても、用語の1つ、用語のいずれか、又は両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきであることを当業者ならさらに理解するであろう。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「AとB」の可能性を含むと理解される。
【0303】
本明細書で使用される他の用語は、当技術分野においてそれらの周知の意味により定義されると意図される。
【0304】
本発明のさらなる目的、利点、及び新規の特徴は、限定することを意図しない以下の実施例の検討時に当業者に明らかになるであろう。さらに、本明細書の上で詳述した及び以下の特許請求の範囲の節で請求される本発明の様々な実施形態及び態様のそれぞれは、以下の実施例において実験的な支持を得る。
【0305】
実施例
材料と方法
非晶質炭酸亜鉛(AZC)の調製;10%TPで任意に安定化される1%Zn懸濁液
典型的な手順で、塩化亜鉛溶液(100mlの水、5.21gの塩化亜鉛、38.2ミリモル)、炭酸ナトリウム溶液(100mlの水、4.05gの炭酸ナトリウム、38.2ミリモル)及びトリポリリン酸ナトリウム(STPP)溶液(50mlの水、0.53gのトリポリリン酸ナトリウム、1.4ミリモル)を、攪拌機を用いて室温で混合して、トリポリリン酸で安定化された非晶質炭酸亜鉛(AZC)を沈殿させた。溶液の混合を、以下の順序で行った:最初にSTPP溶液(上記実施例1に記載)をそれぞれ2等分した(25mlの水、0.27gのトリポリリン酸ナトリウム)。一部を、攪拌しながら塩化亜鉛溶液に添加し、AZCナノ粒子を形成させた。一方で、STPP溶液の第2の部分を、AZCナノ粒子の形成後に添加し、AZC-STPP安定化乳白色懸濁液を得た。AZCを、ブフナーを用いて濾過し、多量のエタノールで洗浄し、30分未満の間100℃で換気弁付きオーブンにより乾燥させて、収量2.7gで粉末を得た。
【0306】
様々な割合のSTPPを有するAZCを、安定剤の最適レベルを特定するために、同じ手順に従い合成した。AZCを、ブフナーを用いて濾過し、大量のエタノールで洗浄し、30分未満の間100℃で換気弁付きオーブンにより乾燥させて、収量4.4gで粉末を得た。エタノールを、この一連の実施例において、発達する非晶質相を迅速に乾燥させるための効率的な手段として使用した。しかし、大規模で保存可能な粉末を達成するためのそのような生成物を乾燥させる他のモードが、実行可能である。
【0307】
この手順に従って得られた粉末を、X線回折、ICP、TGA、DSC、SEMを用いて分析した。懸濁液と選択された乾燥粉末の両方を、それらの短期の(懸濁液)及び長期の(粉末)安定性について分析した。懸濁液の安定性はまた、短期間内に発達する非晶質相をスクリーニングし評価するための優れた手法でもある。懸濁液をまた、それらの本来のpHレベル及び懸濁液の安定性(すなわち、粒子が容器の底に沈降するのにかかる時間、及び時間がたっても懸濁されたまま残る粒子の一部があるかどうか)についても試験した。
【0308】
あるいは、非晶質炭酸亜鉛を、安定剤を添加することなく、本明細書の上で記載される方法に従い調製した。
【0309】
トリポリリン酸ナトリウム(STPP)により安定化される、ACC中の混合された非晶質金属炭酸塩と金属封入体の調製のための例示的方法
A:ACC合成の間及び後の第2の金属及び安定剤の組み込み
典型的な手順は、(1)塩化カルシウム二水和物溶液(80mlの水、7.35gの塩化カルシウム二水和物;50.0ミリモル);(2)炭酸ナトリウム溶液(80mlの水、5.3gの炭酸ナトリウム;50.0ミリモル);及び任意に(3)トリポリリン酸ナトリウム(STPP)溶液である、典型的な安定剤(0.74gのトリポリリン酸ナトリウム;2.0ミリモル;10%w/wのCaCl.2HO);(4)M/Ca試薬の様々な重量比で異なる濃度にて添加した、第2の金属(M)溶液、を混合することからなる。FeSOとして添加したFeを除いて、ほとんどの金属を、塩化物化合物の水和物として添加した。例えば、Ca炭酸塩中にZn、Mg及びFeを含むACCを、M/Caの様々な試薬の重量分率w/wで合成し、他の比率を、カルシウム試薬含有量と比較したw/wで与える。
【0310】
反応液を混合する一つの方法は、以下の通りであった。安定剤を、第2の金属との混合物として添加し、混合溶液の最終体積を、2等分した。第1の部分を、炭酸ナトリウム水溶液と混合する前に塩化カルシウム二水和物溶液に添加し、第2の部分を、攪拌される塩化カルシウム二水和物溶液に炭酸ナトリウム溶液を添加した後で、及びナノ粒子凝集体の沈殿後に添加した。混合された溶液の最終体積を、w/vにより計算して、懸濁液中のカルシウムの0.45%、1%又は他の濃度を得るように調整した。低い割合の第2の金属(最大で10重量%)の場合、炭酸イオンは、カルシウムイオンと比較して等モル量で存在した。
【0311】
安定化されたM-ACCを、ブフナーを用いて濾過し、大量のエタノールで洗浄し、30分未満の間100℃で換気弁付きオーブンにより乾燥させて、収量4~5gの範囲で粉末を得た。より大規模な生成量の場合、エタノール洗浄を、省く。しかし、大規模で保存可能な粉末を得るためのそのような生成物を乾燥させる他のモードが、実行可能である。
【0312】
この手順に従って得られた粉末を、X線回折、ICP、TGA、DSC、SEMを用いて分析した。懸濁液と選択された乾燥粉末の両方を、それらの短期の(懸濁液)及び長期の(粉末)安定性について分析した。懸濁液の安定性は、短期間内に発達する非晶質相をスクリーニングし評価するための優れた手法でもある。懸濁液をまた、それらの本来のpHレベル及び懸濁液の安定性(すなわち、粒子が容器の底に沈降するのにかかる時間、及び時間がたっても懸濁されたまま残る粒子の一部があるかどうか)についても試験した。
【0313】
B:ACCナノ粒子の形成の間の第2の金属の組み込み
Aと同じ溶液を、調製した。しかし、この場合、第2の金属溶液を、他の試薬溶液の添加の前に塩化カルシウム溶液に完全に添加した。次いで、炭酸ナトリウム溶液を、金属溶液に素早く添加し、続いて、反応溶液に添加する最後の溶液として安定剤(例えば、STPP)を直ちに添加した。得られた金属炭酸塩粉末の単離、乾燥及び分析を、Aでのように行った。
【0314】
C:ACCナノ粒子の形成の後の第2の金属の組み込み
Aと同じ溶液を、調製した。しかし、この場合、安定剤溶液を、塩化カルシウム溶液に最初に添加した。次いで、炭酸ナトリウム溶液を、第1の溶液に素早く添加し、続いて、反応溶液に添加する最後の溶液として第2の金属溶液を直ちに添加した。得られた金属炭酸塩粉末の単離、乾燥及び分析を、Aでのように行った。
【0315】
D:ACCの形成の前の第2の金属及び形成の間と後に添加される安定剤の組み込み
Aと同じ溶液を、調製した。しかし、この場合、第2の金属溶液を、他の任意の試薬溶液を添加する前に、塩化カルシウム溶液に完全に添加した。次いで、安定剤の半分を、混合された金属溶液に添加した。次の工程で、炭酸ナトリウム溶液を、金属溶液に急速に添加して、混合された粒子(ACC及び第2の金属を含む)を形成させ、続いて、安定剤溶液(例えば、STPP)の第2の半分を直ちに添加した。得られた金属炭酸塩粉末の単離、乾燥及び分析を、Aでのように行った。
【0316】
さらに、安定化されない混合された金属炭酸塩を、安定剤の添加なしに、本明細書で上に記載される方法に従い調製した。
【0317】
本発明の非晶質粒子の合成のために、Aで開示される塩化カルシウム(又は任意の他の金属塩化物)は、任意の好適な水溶性金属塩、例えば、硫酸金属及び/又は硝酸金属で置き換えられてよいことは、明らかなはずである。さらに、Na-、K-、及び/又はNH4-炭酸塩並びにジメチル炭酸塩などの有機炭酸塩などの、任意の炭酸塩源が、利用され得る。
【0318】
実施例1
合成されたACC、AMC、AZC、及びM-ACCの主要元素の分析
表1は、上記の材料及び方法において使用される試薬の導入時の量に基づくCa:M:Pモル比を要約し、誘導結合プラズマ(ICP)分析を用いて、最終乾燥非晶質粉末において分析された実際の比とこれらの比を比較する。得られた非晶質材料の大部分は、ACCフレームワーク中への他の金属の封入によって提供されるいくらかの安定化に加えて、安定剤としての三リン酸により安定化される。
【0319】
図1は、本明細書に記載の手順のいずれかに従って得られた、非晶質金属炭酸塩ナノ粒子クラスターの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。全体的なパターンは、大きなクラスター粒子へと凝集した(aggregate)/凝集した(agglomerate)一次ナノ粒子からなり、ナノ粒子(二次粒子)間で様々な程度のネッキングがある。ナノ粒子サイズの範囲は、10~100nmである。
【0320】
表1.安定化された非晶質金属及び混合された金属炭酸塩と安定化されない非晶質金属及び混合された金属炭酸塩の計算値に対する元素分析
合成名を解読する方法:「1%Ca-6%w/w Zn(int)/Ca-10%TP(ext)」は、懸濁液中の総カルシウム1%;カルシウムと比較した金属(亜鉛)の割合は6重量%であり;カルシウムと比較した安定剤の割合(TP)は10重量%であり;Zn溶液を、最初の反応で加え、かつTPを、沈殿後に添加した、ことを意味する。int.又はext.が言及されない場合は、金属溶液を、最初にカルシウム溶液に添加し、安定剤を、炭酸塩の形成中に半分添加し、最初の沈殿後に半分添加した。
実験の命名法:ACC=非晶質炭酸カルシウム、AMC=非晶質炭酸マグネシウム、AZC=非晶質炭酸亜鉛;安定剤:TP=三リン酸、PS=ホスホセリン、CA=クエン酸;int=カルシウム溶液と炭酸塩溶液の最初の混合中の試薬の添加、ext=最初のACC沈殿後の試薬の添加;w/w=重量対重量比;X%TP又は別の安定剤は、金属試薬の重量と比較したトリポリリン酸ナトリウムの重量%を意味する。
【表1】
【0321】
さらに、25℃で(40℃でインキュベートした場合を除く)乾燥条件下にて保存された、合成された非晶質金属炭酸塩(乾燥粉末の形態で)の長期安定性を、評価した。結果を下の表1Aにまとめる。
【表2】
【0322】
数ヶ月間室温にて「乾燥」粉末の形態(通常、8~15重量%の水を含む)で保存した、追加の非晶質金属炭酸塩(すなわち、本発明の単一の二価粒子)及び混合された金属炭酸塩(すなわち、混合された粒子及び混合され安定化された粒子)の長期安定性を、XRD分析に基づいて評価した。
【0323】
この目的のために、本発明者らは、(i)本発明の単一の二価粒子:約10%w/wの安定剤(金属に対して)を有するAZC、AMC;及び(ii)本発明の混合された二価粒子及び安定化され混合された二価粒子:安定剤を有するCa/Zn[Caに対して2~10%w/wのZn]、Znは粒子の内部又は外部に位置する;安定剤を含まないCa/Zn[約10~20%w/wのZn];安定剤を含まないCa/Mg(Caに対して10~20%w/wのMg)、約10%w/wの安定剤を有するCa/Mg(Caに対して5~10%w/wのMg);安定剤を含むCa/Fe(II)(Caに対して約2~4%w/wのFe);安定剤なしのCa/Fe(II)(Caに対して10~20%w/wのFe)、の良好な合成及び長期安定性(少なくとも3ヶ月、及び最大で12ヶ月以上)を実証した。
【0324】
実施例2
例示的な非晶質金属及び混合された金属炭酸塩の組成
表2は、材料及び方法の節で得られた非晶質金属及び混合された金属炭酸塩の組成を要約する。材料の組成の近似分析は、ICP分析と熱重量分析(TGA)の組み合わせに基づく。これらの材料の典型的なTGAは、重量損失が(a)軽く吸着された水;(b)しっかりと吸着された水(分子構造に複合体化され、かつ/又はナノメートルの細孔に閉じ込められている);(c)ぶら下がっているヒドロキシル基(M-O-H、P-OH及びC-O-H)の高温縮合中に発生した水、その際2つの-OH基が縮合してM-O-M、M-O-P及びM-O-C結合を形成し、水分子が放出される;及び(d)炭酸塩の金属酸化物への高温分解によるCOの放出及び放出されるCO、と関連付けられる温度の範囲を示す。
【0325】
図2は、そのような典型的なTGAの2つの例を表す。上記の範囲はいずれも広いので、それらは、それらの化学的活性において重複していることに留意すべきである。したがって、割り当てられた重量損失は、ある程度の範囲にある。図2で表されるように、M-ACC-TPのTGAは、次の最大速度温度での重量損失の4つの顕著な領域を明らかにする:約90℃(吸着水の損失);約240℃(複合体化されトラップされた水の損失);約400℃(-OH基の縮合による水);約68℃(炭酸塩分解によるCO)。
【0326】
表2.ICP及びTGA分析に基づく材料と方法で得られた非晶質金属炭酸塩及び混合された金属炭酸塩の組成
【表3】








【0327】
実験データに基づいて、本発明者らは、粒子が、粒子の第1の金属含有量に対し、1~30モル%の範囲の量でなどの、金属酸化物(複数可)をさらに含むと仮定した。特定の理論に縛られることなく、金属水酸化物(表2)の少なくともいくらかは、金属酸化物の形態、又は混合された金属酸化物/金属水酸化物の形態であり得ることが推定される。
【0328】
実施例3
それらの反応懸濁液中で調製される際の、安定化された非晶質金属炭酸塩の懸濁液の安定性
水性液体中の非晶質金属炭酸塩の安定性は、非常に限られている。懸濁液中の非晶質金属炭酸塩の安定性の持続時間を延長することは重要である。それにもかかわらず、乾燥粉末で得られる長期安定性と比較して、より短い懸濁液の安定性の期間は、材料の安定性を迅速にスクリーニングする優れた方法を提供する。表3は、それらの反応溶液中で調製された、様々な非晶質金属炭酸塩の懸濁液の一連の安定性試験を示す。非晶質金属炭酸塩の典型的なXRDを、図3に提示する。
【0329】
非晶質金属炭酸塩を、本明細書の上で開示されるように合成した。一般的な非限定的な手順に従って、合成を、合計1モル当量の金属塩化物及び/又は硫酸金属を含む溶液に1当量の炭酸ナトリウムを添加することにより行った。安定剤としてポリ三リン酸ナトリウムの溶液を、ほとんどの場合添加し、安定剤の半分を炭酸ナトリウムと共に添加し、および半分を沈殿の直後に添加する様式で主に添加した。
【0330】
場合によっては、塩化亜鉛溶液を、(a)塩化カルシウムと共に(int)、ACC沈殿後に(ext.)又は(c)組み合わせた様式で(int/ext)、ほとんどのACC合成に添加した。場合によっては、安定剤を添加しなかった。金属の符号の前の%数字は、懸濁液中のこの金属の総重量%を示す。
【0331】
表3.XRD分析によりモニターされる、懸濁液の安定性試験
【表4】
【0332】
さらに、本発明者らは、約10%の安定剤を含むCa/Mg(約5~10%w/wのMg)、4モル%の安定剤を含む又は含まないCa/Mg(約10~30モル%のMg);安定剤を含む又は含まないCa/Zn(約5~10%w/wのZn);4モル%の安定剤を含むCa/Zn(約10~30モル%のZn);AZC(約10%の安定剤を含む);約10%の安定剤を含むCa/Fe(II)(約5~10%w/wのFe);約4モル%の安定剤を含むCa/Fe(II)(約30モル%w/wのFe);約10%の安定剤を含むCa/Cr(II)(約5~10%w/wのCr);約10%の安定剤を含むCa/Mn(約5~10%w/wのMn)などの、本発明の様々な非晶質金属炭酸塩粒子の懸濁液の安定性(少なくとも7日間)を良好に確認した。
【0333】
さらに、本発明者らは、3種の二価金属粒子:85%のCa:10%のMg:5%のZn、および10%のTPを含むCa/Mg/Zn非晶質炭酸塩の懸濁液の安定性(少なくとも7日間)を良好に確認した。
【0334】
本発明の追加の単一の二価の混合された粒子/混合され安定化された粒子を、本明細書の下に記載のように合成した。続いて、合成した粒子の水性懸濁液の安定性を検討した。長期安定性試験の結果を、表3Aに要約する。
【0335】
第1の金属としてCaを含み、かつ金属(M)(M=Zn、Fe、Cr、Mg、Mn)及び安定剤(トリポリリン酸ナトリウム(STPPもしくはTPP)又はホスホセリン(PS)をさらに含む安定化され混合された粒子の調製のための一般的方法
【0336】
典型的な手順で、金属塩又は混合された金属塩(好ましくは、塩化物、硝酸塩又は硫酸塩)溶液(0.05モルの金属イオンを含む80mlの水)を、炭酸ナトリウム溶液(80mlの水、5.3gの炭酸ナトリウム、0.05モル)と混合する。
【0337】
場合によって、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)溶液(通常0.74gのトリポリリン酸ナトリウム;重量で10%w/wの金属試薬又はその5モル%として通常添加される)を、金属溶液を炭酸塩溶液と混合する間に、混合する後で、又は混合する間と後での両方で、安定剤として添加する。他の場合では、ホスホセリン(PS)を溶液形態で添加する(通常0.925gのホスホセリン、0.005モルのPS、10%モル/モルの組み合わされた金属)。
【0338】
多くの場合、金属(M)を、異なる濃度で、以下の比率M/Ca(例えば、Ca中のZn、Ca中のFe、Ca中のMg、又はCa中のCr)で、一次金属のモルの様々な重量%又はモル%にて、以下の濃度範囲:一次金属(例えば、カルシウム)の1~30%モル/モルで添加した。
【0339】
混合された安定剤は時には、安定剤1、2又はそれより多い安定剤の混合物のいずれかとして添加され、そのうちのそれらの最終体積を、2等分し、第1の部分を、金属及び炭酸塩試薬を混合する前に反応溶液の1つに連続して添加した。次いで第2の部分を、金属塩溶液(混合された安定剤の第1の部分を含む)に炭酸ナトリウム溶液を添加した直後に添加した。このプロセスを、「4パック」反応又は内部/外部として定義する。典型的な反応では、混合された安定剤溶液の最終容量は40mlの容量に達する必要があるため、最終反応容量は、約1~2%w/vの金属濃度を達成するために200mlを超えない。
【0340】
別の方法は、金属炭酸塩の形成前に、反応物溶液の1つに安定剤(複数可)を添加することを含む。この場合、安定剤を、「内部」として定義する。あるいは、安定剤溶液は、最初の反応及び大部分の金属炭酸塩の沈殿の後に添加されてよい。その際安定剤を、「外部」として定義する。
【0341】
試薬として用いられる金属イオンの合計は、炭酸イオンと比較して等モル量である。非晶質金属炭酸塩の最終生成物を、ブフナーを用いて真空濾過し、大量のエタノールで洗浄し、30分未満の間100℃で換気弁付きオーブンにより乾燥させた。同等の工業プロセスでは、膨大な量を、様々な工業用乾燥機及びオーブンにより乾燥でき、安全性、環境及びコストの目的のために、エタノールで洗浄する必要はない。上で得られた粉末を、X線回折、ICP、TGA、DSC、SEM、BETを用いて、いくつかの場合TEMにより分析した。
【0342】
表3A:ホスホセリンにより安定化された、様々な非晶質金属炭酸塩の懸濁液の安定性
【表5】
【0343】
さらに、5%モルのMg(Caに対して)を有するCa/Mg粒子及び30モル%のPSで安定化されたCa/Mg粒子の懸濁液の安定性を、検討した。得られた懸濁液は、少なくとも約24時間、実質的に安定であった。
【0344】
表3Aは、安定剤を2等分する(それぞれ2.5モル%)典型的な「4パック」合成に添加されるカルシウム及び炭酸塩試薬の量と比較した、5モル%のホスホセリンで安定化された、選択された非晶質金属炭酸塩の安定性を要約する。次いで一部を、反応が始まる前に、塩化カルシウム溶液又は水酸化ナトリウム溶液のいずれかに添加する。安定剤の半分(2.5モル%)を、塩化カルシウムとの混合前に炭酸ナトリウム溶液に添加し、半分を、カルシウム及び炭酸試薬の完了後2分以内に添加した。
【0345】
命名法:「ACC-懸濁液-0.45%Ca-5%モルのPS-30%モルのMg-4PACKS-Tz」は、0.45%カルシウムを含有し、5モル%のホスホセリンにより安定化されたACC懸濁液であり、そのうち、カルシウムと比較して30モル%が存在することを意味する。安定剤を、4パックプロセス(上記の通り)において添加した。Tz=時間ゼロ;1日、2日などは、XRD分析の前に保存された懸濁液の日数を意味する。ACC=非晶質炭酸亜鉛;AZC=非晶質炭酸亜鉛;AMC=非晶質炭酸マグネシウム。
【0346】
表3Aにより表されるように、ホスホセリン及びポリ三リン酸はいずれも、本発明の粒子の水性懸濁液を安定化できる。特に、Znとの組み合わせで、PSは非常に安定な非晶質炭酸塩粒子をもたらす。懸濁液の安定性を、懸濁液から粉末を濾過し乾燥させること、およびXRDにより非晶質状態を測定することにより分析した。
【0347】
特定の理論に縛られることなく、実験データに基づいて、本発明者らは、追加の安定化化合物を含まない非晶質水性製剤は、水性懸濁液の形態で保存される場合限られた安定性しか有しないと仮定した。非晶質金属炭酸塩の水性懸濁液は、ほとんどの場合、約24時間安定であることが観察された。
【0348】
特定の理論に縛られることなく、実験データに基づいて、本発明者らは、金属試薬の重量に対して約10重量%の安定剤(又は第1の金属に対して少なくとも1モル%)が、水性懸濁液中の試験された金属炭酸塩の非晶質相を安定化させるのに十分であると仮定した。合成された非晶質金属炭酸塩のほとんどは、実質的な懸濁液の安定性を示し、50日を超える期間の間非晶質状態で金属炭酸塩の少なくとも95%を保持した。
【0349】
第1の金属としてCaを有し、追加の二価金属をさらに含む混合された(及び/又は混合され安定化された)粒子の非晶質相の安定性は、基本的な合成法により提供される類似の形態を明らかにした。Caに対し1~30モル%の第2の二価金属を含有する組成物は、効率的に合成された。第1の二価金属に対し0.5モル%未満、又は1モル%未満の第2の二価金属は、不安定な粒子をもたらすか、又は工業プロセスに適用できないであろう(例えば、金属炭酸塩の結晶化をもたらす)ということが、さらに仮定される。
【0350】
実施例4
様々な割合のZn及び三リン酸により安定化された非晶質Zn-ACCの調製時の懸濁液の安定性
一連のZn-ACC-TP組成物を、最初の沈殿反応中又はそれが起こった後のいずれかに、Zn試薬及び/又は三リン酸を組み込むことによって合成した。安定性の結果を、表4に提示する。反応懸濁液は、以前の実施例で使用した、通常の10%TPよりもCaに対する低いTPの比率にもかかわらず、全ての場合において十分な安定性を示す。したがって、Znはそれ自体で安定化効果を示すと結論付けられる。実際に、より高い安定性が、Znの割合が2倍になると、得られる。
【0351】
表4.TPにより安定化されたZN-ACCを含む懸濁液の安定性
【表6】
【0352】
したがって、表4で示される実験データに基づいて、本発明の混合され安定化された粒子内の第1の金属に対する安定剤の最小重量比は、約6%以下であると仮定される。
【0353】
実施例5
培地中の酸性化血清に対する様々なACC及びCCC懸濁液の効果
本発明者らは、異なる安定剤と共に製剤化される安定剤を含む及び含まないACC、AMC、AZC及び様々なM-ACCの、10%(v/v)血清を補充した培地のpHに影響を及ぼす能力を評価した。この実施例は、血清が腫瘍及び炎症の周りに見られるレベルで酸性化されたときの迅速なpH応答を実証する。それはまた、最終的なpHレベルの制御が処方の組成により実行可能であることも実証し、ここで金属と安定剤の種類及び量がそれらのpH調節能力に影響する。この実施例はまた、どのように様々な製剤が、(a)調製時の新鮮な懸濁液中でそれらの安定性を維持するか、(b)懸濁液の初期pHに影響するか、かつ(c)様々な製剤の非晶質相の安定性を維持するか、を記録する。
【0354】
18mlの培地DMEM/F12(Biological Industries,Beit Haemek,Israel)に、2mlのウシ胎児血清(FBS,Biological Industries,Beit Haemek,Israel)を添加した。溶液を、滅菌組織試料カップ内に置き、穴を、カップの上部に開け、そこへpHプローブを挿入した。カップを、マグネチック攪拌機(JB-10 stirrer,Inesa,China)に置き、溶液を、測定中に絶えず攪拌した。pHメーター(MesuLab,PXSJ-216F ion meter,MRC,Israel)を、PCに接続し、pH測定値のデータロギングを、ソフトウェアREXDC2.0を使用して行った。
【0355】
システムを設定し、pH測定及びデータロギングを開始した後、20.5μl量の乳酸を、pHをわずかに酸性のpHに低下させるために、溶液に添加した。数秒後、及びpHの安定化後に、新たに調製した3ml量のACC懸濁液を、溶液に添加した。
【0356】
下の表5は、懸濁液の組成の関数としてpH曲線の即時及び長期の変化を要約する。この表はまた、時間の関数として様々な製剤の非晶質相の安定性を示す。
【0357】
表5.本発明の様々な粒子の添加時の血清の時間依存的pH
【表7】
合成名を解読する方法:「1%Ca-6%w/w Zn(int)/Ca-10%TP(ext)」は、懸濁液中1%の総カルシウム;カルシウムと比較した金属(亜鉛)の割合が、6重量%であり、カルシウムと比較した安定剤の割合(TP)が、10重量%であり;Zn溶液を、反応初期に加え、TPを、沈殿後に添加した、ことを意味する。int.又はext.が言及されない場合、金属溶液を、最初にカルシウム溶液に添加し、安定剤を、炭酸塩の形成中に半分を添加し、最初の沈殿後に半分を添加した。
【0358】
実施例6
本発明者らは、安定剤がACC粒子のバルク中に組み込まれることを実証した。
【0359】
ACCの典型的な合成において、ポリ三リン酸(3つのリン酸のみの鎖を有する「TP」又はトリポリリン酸ナトリウムを表す、「STPP」)を、ACCの形成の間及び後に添加し、添加されるTPの量は、様々であった:合成に添加されるカルシウム試薬の量と比較して5、10及び15モル%。TPのこれらの量を、以下のように添加した:(a)半分(0.50)を、炭酸塩溶液と同時に反応溶液に導入し;(b)半分(0.50)を、懸濁液の非常に急速な形成の完了直後に添加した。ACCの低い溶解度に基づき、ACC形成は数秒以内に完了すると仮定され、なぜなら懸濁及びその色の濃さは、カルシウムと炭酸塩の透明溶液を混合して数秒以内に達成されるからである。
【0360】
上記の懸濁液で得られた粉末を、十分に洗浄し、乾燥させ、100%非晶質であることを確認した。洗浄手順により、ACCと化学的に相互作用していないSTPPを含むいかなる微量な試薬。
【0361】
試料を、ICP(Ca、P、Na及びClの定量的レベルを決定するため)、TGA(放出されたCOの測定による炭酸塩の定量的決定のため)、固体NMR(図4を参照されたい)、SEM(図1を参照されたい)及びTEMに供した。
【0362】
ICPとTGAの組み合わされた分析の結果を、図5にまとめた。特定の理論に縛られることなく、図5に表されるグラフのみに基づき、本発明者らは、以下のように結論付けた:
(1)TPの組み込みは、定量的であり、ほぼ直線的であり、その濃度が増加するにつれてわずかに速度が低下する。これは、別の試薬と反応する際に試薬(この場合は炭酸イオン)間で競合がある場合の、典型的な状況である。
(2)TPの組み込みは定量的であるが、それは、両工程で反応中に導入される、STPPの合計量にならない。ACCと相互作用していない残留する可溶性TPの大部分は、第2工程に由来し、粉末としてのACCの単離中に洗い流されると想定される。
(3)同時に、炭酸塩の量は、定量的に、また、STPP濃度と直線的な関係で、低下される。しかし、炭酸塩当量の低下は、組み込まれたTPの当量の約5~6倍である。これは、TP分子の各リン酸単位が、2.5のCa:TP能力のうち、平均して、1.5~2個のカルシウムイオンを占めることを意味する。表面で吸着されたTPは、カルシウムイオンにそれほど結合しないと予想される。
(4)低濃度のSTPPでは、炭酸塩の低下は、わずかに湾曲しており、最初はACC粒子表面へのTPの化学結合吸着が、TPの単層による表面の飽和が達成されるまで、より優勢であることを示唆している。
【0363】
上記の観察は、本発明の非晶質金属炭酸塩粒子の分子ネットワーク内部への安定剤の組み込みの強力な証拠を与える。これらの結論はまた、次の観察結果により裏付けられる:(i)SEM分析とTEM分析の両方(図1及び5)は、凝集した球状の一次粒子の類似の均質な形態を明らかにする;(ii)TEMを用いて行ったマッピングは、Caの分布のような粒子内のPの均一な分布を明らかにする。粒子の表面で観察されるより高い強度のPはなく、TPが全粒子内で及び粒子の表面で実質的に均一に分布されることを示す。
【0364】
図6及び7は、(a)安定剤の種類、(b)添加された安定剤の量、及び(c)安定剤が添加される様式(合成の一部として、合成の後で又はその両方)、の関数として、本発明の全粒子内に及び/又はその表面でホスホセリン及びトリポリリン酸安定剤を組み込むレベルを示す。並行して、実験結果に基づき、本発明者らは、CO3含有量の低下があると仮定した。PSとTPPの両方はわずかに異なる挙動を示すが、安定剤は比較的速く表面積を飽和させることができ、かつ炭酸アニオンを置換することにより構造中に取り込まれることが明らかである。安定剤が合成の一部として添加されるほど、それは、粒子中にますます取り込まれた。特定の理論に縛られることなく、TPPは、PSと比較して全体的に顕著に高い割合で組み込まれ、およびまた、はるかに多くの炭酸塩単位を置き換えると仮定される。
【0365】
さらに、安定剤の位置は、とりわけ、非晶質金属炭酸塩に対する安定剤の比率によって予め定められることが観察された(図6及び7により表されるように)。特に、本発明の粒子の合成中に3モル%を超える安定剤を加えることにより、安定剤は主として粒子の内部に位置付けられると仮定される。安定剤の位置は、とりわけ(i)製造プロセス(例えば、安定剤が金属炭酸塩粒子形成と同時に又はその後に添加されたかどうか);(ii)製造プロセスにおける安定剤の濃度及び(iii)安定剤の化学組成、によりあらかじめ決定されるとさらに仮定される。
【0366】
実施例7
BET測定
多数の非晶質金属炭酸塩粉末を、それらの多孔度及びBET表面積を決定するために分析した。表6は、BETにより測定した表面積を要約する。
【0367】
表6:本発明の例示的な粉末状組成物のBET表面
【表8】

【0368】
全ての様々な純粋な及び混合された金属炭酸塩の表面積の範囲は、34~106m/gの範囲である。全体で、Fe(II)を含まない本発明の全ての試験した様々な非晶質炭酸塩粒子(例えば、単一の二価金属粒子及び混合された金属粒子/混合され安定化された金属粒子)の表面積は、30~70m/gの範囲であり、SEM及びTEM分析によって実際に決定されるように、20~60nmの範囲の平均粒径を有するナノ粒子を示す。Fe(II)を含有する本発明の例示的な粒子は、70~105m/gの表面積を提供し、20nm未満の平均粒径を有するナノ粒子を示す。
【0369】
ACC 6重量%のSTPPのBJH細孔径及び細孔容積分析は、これらのナノ粒子が、約1~2nmの細孔径直径を有し、0.06~0.10cc/gのレベルで非常に低い開孔率を有することを明らかにする。
【0370】
実施例8
非晶質金属炭酸塩の固体NMR及びTEM分析
本発明の例示的な単一の100%非晶質金属炭酸塩粒子及び混合された粒子(ACC内の第2の金属)の固体13C NMR分析を、安定剤としてポリ三リン酸を用いて、又は安定剤なしで行った。炭酸塩の蓄積された及び全体のA単一ピークが、図4に示すように、全ての材料について観察される。ACC及びACC内に組み込まれた全金属は、168.5±1.0ppmの範囲に最大の高さを有する炭酸塩の広いピークを示す。これは、方解石の炭酸塩ピークが現れるのと同じ場所である。しかし、後者のピークは、非晶質炭酸塩よりはるかに鋭い。
【0371】
一リン酸及び二リン酸(ピロリン酸)によって安定化されたACCの炭酸塩ピークは、同じppm範囲及び幅にあった。ホスホセリンで安定化されたACCの炭酸塩もまた、168.6ppmに最大ピークを有することに留意すべきである。したがって、炭酸塩のピーク位置は、安定剤の種類及びACCマトリックス内の追加の金属の存在により著しく影響されない。
【0372】
Mg及びZnなどの金属を含有する本発明の追加の例示的な単一の金属炭酸塩粒子の炭酸塩ピークは、わずかにシフトした、単一のブロードな炭酸塩ピークも有する。非晶質Mg炭酸塩とZn炭酸塩の場合の最大ピークは、それぞれ、166.1と165.3である。
【0373】
本発明の例示的な組成物のCa及びPのエネルギー分散型X線分光法(EDS)マッピングを含む、様々な合成金属炭酸塩の高分解能透過型電子顕微鏡(HR-TEM)分析を、行った。
【0374】
TEM分析に基づいて、本発明者らは、いくらかの粒子が2~10nmの範囲の、最小の多孔性、おそらく密な多孔性により特徴づけられると結論付けた。そのような密な多孔性は、本発明の例示的な組成物のTGA分析によって示されるように、単なる吸着を超えて水を捕捉すると予想される。
【0375】
さらに、TEM分析に基づいて、本発明者らは、本発明の例示的な粒子が、多孔性を実質的に欠いていると結論付けた(非晶質炭酸マグネシウム(AMC)、又は10%トリポリリン酸により安定化された非晶質亜鉛AZCなど)。Ca(赤)元素とP(青)元素のEDSマッピングは、粒子にわたるPの均一な分布を示す。そのような均一な分布は、粒子の内部分子構造内のリン酸安定剤の均一な組み込みの別の証拠である。
【0376】
実施例9
カテプシン活性に対する安定化された非晶質炭酸塩金属の影響
材料と方法
培地
全ての材料を、別段の定めがない限り、Sartorius-Biological Industries,Beit Haemek,Israelから購入した。完全培地は、90%ダルベッコ改変イーグル培地-栄養混合物F-12(DMEM-F12)カルシウム除去、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)、2mMグルタミン、ペニシリンGナトリウム塩:10,000ユニット/mL、硫酸ストレプトマイシン:10mg/mL(Pen/Strep)で構成された。1mMの最終濃度で塩化カルシウムを、バンク増殖用の又は他の金属炭酸塩試験用の培地に添加した。
【0377】
解凍と培養
全ての手順を、層流フード中で、無菌条件下で行った。A549癌細胞の1つの凍結アンプルを、37℃の水浴中で解凍し、5mlの完全培地及び1mMの塩化カルシウムを補充した2つのT-25フラスコ(Corning Inc,NY,USA)に播種した。翌日、培地を交換した。次いで、培地を、週に2回交換した。細胞がコンフルエントに達した後、細胞を、新しいT-25フラスコ中に1:10の分割比で継代培養した。細胞を、9グループに分けた。
【0378】
試験したグループ:(1)1mMの塩化カルシウム(CaCl)を添加した完全培地(カルシウム除去)(本明細書ではバンク);(2)完全培地(カルシウム除去)2mMのCa+2及び結晶性炭酸カルシウム=CCCに由来する炭酸塩を有する培地(本明細書ではCCC試験グループ)。1mlの培地中への40μlの懸濁液;(3)完全培地(カルシウム除去)CaClからの1mMの塩化カルシウム(CaCl)及びAMCからの1.2mMのMg+2と炭酸塩を添加した培地(本明細書ではAMC試験グループ)。1mlの培地中への24μlの懸濁液;(4)完全培地(カルシウム除去)CaClからの1mMの塩化カルシウム(CaCl)及びAZCからの10μMのZn+2と炭酸塩を添加した培地(本明細書ではAZC試験グループ)。1mlの培地中への0.2μlの懸濁液;(5)完全培地(カルシウム除去)ACCからの1.8mMの塩化カルシウム(CaCl)及びACC-AMC(ACMC)からの0.2mMのMg+2と炭酸塩を添加した培地(本明細書ではACMC試験グループ)。1mlの培地中への40μlの懸濁液;(6)完全培地(カルシウム除去)ACCからの1.99mMの塩化カルシウム(CaCl)及びACC-AZC(ACZC)からの10μMのZn+2と炭酸塩を添加した培地(本明細書ではACZC試験グループ)。1mlの培地中への40μlの懸濁液;(7)完全培地(カルシウム除去)ACCからの1.79mMの塩化カルシウム(CaCl)及びACC-AMC-AZC(ACMZC)からの0.2mMのMg+2と10μMのZn+2と炭酸塩を添加した培地(本明細書ではACMZC試験グループ)。1mlの培地中への40μlの懸濁液。
【0379】
各グループは、2つの複製(重複)を含んだ。培養を、3~5継代続け、次いで、細胞の一部(各グループからの)を、凍結バンクを作製するために拡張し、他の細胞を、カテプシンB活性試験のために採取した。培地を、処理を含み、新しい培地と週に2回交換した。全ての処理溶液:ACC、CCC、AMC、AZC、ACMC、ACZC、ACMZC、MgCl、ZnCl及びCaClを、週に1回新たに調製した。細胞がコンフルエントに達したら、細胞を、同じ個々の処理を含み、新しい培地で週に2回、希釈比1:10で新しいフラスコ中に継代培養した。全ての処理を、一緒に継代培養した。
【0380】
3~5継代後、細胞を、カテプシンB溶解緩衝液中で溶解し、各試料についてのタンパク質量/濃度を、595nmの分光光度計でブラッドフォード試薬を用いて測定し及び決定した。全グループのカテプシンB活性を、測定した。アッセイのために、20マイクロリットルを、各グループから採取し、タンパク質量に応じて結果の正規化を、行った。
【0381】
測定を、Abcam(Cambridge,UK)によるカテプシンB活性アッセイキット(Fluorometric)(ab65300)を用いて行った。溶解物を、キット説明書に従って処理した、すなわちカテプシンB基質と1時間、37℃でインキュベートして、リソソームタンパク質の活性を特定した。カルシウム、マグネシウム、亜鉛及び炭酸塩のサプリメント供給源と濃度は、上記の試験グループで詳しく説明されている。
【0382】
A549ヒト肺癌細胞におけるカテプシンB活性に対する非晶質金属炭酸塩の効果を、CCC及び無処理と比較した。結果を、炭酸塩を添加した場合と添加しない場合の、同じ追加の金属及び濃度での継代培養の一対を比較するグラフにプロットした。データを、平均±SEMとして提示する(図8~9)。
【0383】
ストック溶液の調製
塩化カルシウム二水和物-CaCl・2HO-容量1L。0.9Lの二回蒸留した水(DDW)に、18.35gのCaCl・2Hを量り入れ、十分に混合する。DDWを加えて1Lの容量にする。
【0384】
炭酸ナトリウム-NaCO-容量1L。0.9LのDDWに、13.23gのNaCOを量り入れ、十分に混合する。DDWを加えて1Lの容量にする。
【0385】
ペンタ三リン酸ナトリウム(TP)-容量0.5L。0.4LのDDWに、1.836gのTPを量り入れ、十分に混合する。DDWを加えて0.5Lの容量にする。
【0386】
塩化亜鉛(ZnCl)-容量1L。0.9LのDDWに、17.04gのZnClを量り入れ、十分に混合する。DDWを加えて1Lの容量にする。
【0387】
塩化マグネシウム(MgCl)-容量1L。0.9LのDDWに、25.41gのMgClを量り入れ、十分に混合する。DDWを加えて1Lの容量にする。
【0388】
懸濁液及び溶液の調製
懸濁液を、滅菌マグネット攪拌機を用いてきれいな容器中で、下の表1~10に見られる以下の工程に従いストック溶液から調製した。
表7:ストック溶液からのCCC溶液の調製
【表9】
均一なコロイド乳白色溶液が得られるまで、少なくとも30秒間十分に混合する。
表8:ストック溶液からのAMC溶液の調製
【表10】
均一なコロイド乳白色溶液が得られるまで、少なくとも30秒間十分に混合する。
表9:ストック溶液からのAZC溶液の調製
【表11】
均一なコロイド乳白色溶液が得られるまで、少なくとも30秒間十分に混合する。
表10:ストック溶液からのACC-AMC(ACMC)溶液の調製
【表12】
均一なコロイド乳白色溶液が得られるまで、少なくとも30秒間十分に混合する。
表11:ストック溶液からのACC-AZC(ACZC)溶液の調製
【表13】
均一なコロイド乳白色溶液が得られるまで、少なくとも30秒間十分に混合する。
表12:ストック溶液からのACC-AMC-AZC(ACMZC)溶液の調製
【表14】
均一なコロイド乳白色溶液が得られるまで、少なくとも30秒間十分に混合する。
【0389】
細胞培地サプリメントとして製剤化されるナノメトリックCCC懸濁液の調製
36mlの2.0688%の塩化カルシウム二水和物を、24mlの滅菌水と混合する。次いで、40mlの1.299%の炭酸ナトリウム溶液を、添加してCCCを沈殿させる。得られたCCC懸濁液(調製の1時間後)を、培養液へのサプリメントとして使用する。懸濁液を、最終濃度2mMのカルシウムイオンに添加する(1ml培地中に40μlのACC懸濁液)。
【0390】
結果は、非晶質金属炭酸塩が、陰性対照及びCCCと比較して、カテプシンの量及び/又は活性を顕著に低下させたことを示す。特に、ACMC、ACZC、及びACMZCなどの、2又は3種の金属炭酸塩の組み合わせは、この程度まで効力が高いことが示された(図8~9)。
【0391】
本発明者らは現在、一般に知られている模擬消化プロトコルに基づいて実験的研究を行っている。簡単に説明すると、本発明の粒子を、pH1.5でHCl溶液と接触させる。本発明の粒子(例えば、混合された金属炭酸塩粒子)を、HCl溶液と接触する前に秤量する。続いて、溶液相中の金属カチオンの濃度を、金属カチオンの濃度により示される非晶質炭酸塩粒子の溶解を評価するために、推定する(例えば、ICPによって)。粒子の溶解は、活性剤を含む(例えば、1以上の二価金属カチオン及び/又は炭酸アニオンを含む)粒子の潜在的なバイオアベイラビリティを示すはずである。
【0392】
本発明者らによって得られた予備データに基づいて、固体粒子の少なくとも部分的な溶解が、観察された。さらに、HCl溶液のpHが上昇し(pH1.5から)、定常状態のpHを形成することが観察された。
【0393】
本発明のある特徴が本明細書に記載されているが、多くの修正、置換、変更、及び均等物を当業者なら思いつくであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨の範囲内にある全てのそのような修正及び変更を包含すると意図されることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】