(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】回転波エネルギー吸収装置
(51)【国際特許分類】
F03B 13/16 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
F03B13/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546013
(86)(22)【出願日】2022-02-02
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 GB2022050273
(87)【国際公開番号】W WO2022167792
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514114529
【氏名又は名称】マリン パワー システムズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】フォスター グラハム
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA02
3H074BB10
3H074CC02
3H074CC16
(57)【要約】
波エネルギー吸収装置が、波エネルギー変換装置と共に使用するために設けられ、吸収装置は、水域の波からの水流に流体力学的に係合するように構成される1又はそれ以上の本体部分を備え、1又はそれ以上の本体部分は、本体部分が回転するように構成される回転軸を備え、本体部分は、回転軸まわりに非対称である。本発明は、吸収装置によって生成される圧力差を許容するWECと共に使用するために、エネルギー獲得を向上させる部材を提供することを目的とし、最終的に、圧力差は、有用なエネルギーに変換され、これは、より小さくより軽い構造を用いて実施される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波エネルギー吸収装置であって、
水域の波から水流に流体力学的に係合するように構成された1又はそれ以上の本体部分を備え、
前記1又はそれ以上の本体部分は、前記本体部分が回転するように構成される回転軸を各々備えると共に、前記回転軸まわりに非対称である、
ことを特徴とする吸収装置。
【請求項2】
前記1又はそれ以上の本体部分を波エネルギー変換装置(WEC)に結合するよう構成されたリンク機構を更に備え、前記1又はそれ以上の本体部分は、前記リンク機構に対して前記回転軸まわりに回転可能である、
請求項1に記載の波エネルギー吸収装置。
【請求項3】
前記リンク機構は、前記回転軸の周期的軌道を画定するように構成される、
請求項2に記載の波エネルギー吸収装置。
【請求項4】
前記周期的軌道は、環状軌道である、
請求項3に記載の波エネルギー吸収装置。
【請求項5】
前記1又はそれ以上の本体部分は、前記回転軸まわりの複数の回転角度を備え、前記回転角度は、前記回転軸まわりの前記本体部分の回転円弧を画定する、
請求項3又は4に記載の波エネルギー吸収装置。
【請求項6】
前記複数の回転角度の各々は、前記本体部分の流れ係合表面上に衝突する水の流れの流れ方向に対応する、
請求項5に記載の波エネルギー吸収装置。
【請求項7】
前記本体部分は、前記衝突する水の流れの方向にしたがって、前記回転軸まわりに回転位置をとるように形付けられる、
請求項6に記載の波エネルギー吸収装置。
【請求項8】
前記本体部分は、前記回転角度の所定のアレイを備え、前記アレイにおける各々の前記回転角度は、周期的軌道に沿う前記回転軸の位置に関連付けられる、
請求項5又は6に記載の波エネルギー吸収装置。
【請求項9】
前記回転角度にしたがって、前記本体部分の回転を促すように構成される調整部材を備え、前記回転角度は、前記所定のアレイから選ばれる、
請求項8に記載の波エネルギー吸収装置。
【請求項10】
前記調整部材による前記回転は、制御装置によって制御されるように構成される、
請求項9に記載の波エネルギー吸収装置。
【請求項11】
前記1又はそれ以上の浮揚性本体部分は、水中翼形状を備える、
請求項1~10のいずれか1項に記載の波エネルギー吸収装置。
【請求項12】
前記吸収装置の前記1又はそれ以上の本体部分は、
第1縦軸を有する第1本体部分と、
第2縦軸を有する第2本体部分と、を備え、
前記第1及び第2本体部分の各々は、互いに対して前記回転軸まわりに回転可能である、
請求項1~11のいずれか1項に記載の波エネルギー吸収装置。
【請求項13】
前記第1及び第2本体部分は、前記回転軸上のそれぞれの第1及び第2位置まわりに回転するように構成され、
前記第1及び第2位置は、互いにまとめて置かれる或いは近接している、
請求項12に記載の波エネルギー吸収装置。
【請求項14】
前記吸収装置は、前記第1及び第2縦軸が非平行である第1位置と、前記第1及び第2縦軸が実質的に平行である第2位置と、の間で第1及び第2本体部分を回転させるように構成される回転アクチュエータを備える、
請求項12又は13に記載の波エネルギー吸収装置。
【請求項15】
波エネルギーを有用なエネルギーに変換するように構成される波エネルギー変換(WEC)システムであって、
浮揚性プラットフォームと、
前記浮揚性プラットフォーム上に取り付けられ且つ波エネルギーを獲得及び変換するように構成される駆動アセンブリと、を備え、
前記駆動アセンブリは、請求項1~14のいずれか1項に記載の波エネルギー吸収装置を備える、
ことを特徴とする波エネルギー変換システム。
【請求項16】
前記波エネルギー吸収装置の前記本体部分の前記回転軸は、前記浮揚性プラットフォームの上面に対する位置に位置決めされる、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記駆動アセンブリは、周期的軌道に沿って前記位置を調整するように構成される、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記周期的軌道は、環状軌道である、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記駆動アセンブリによる前記位置の前記調整は、前記駆動アセンブリの作業ストロークから独立している、
請求項17又は18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波エネルギー変換(WEC)装置のための回転吸収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
世界が、再生可能エネルギーへと移り変わり、この移り変わりは、全てのエネルギー形態の又は再生可能なエネルギーの開発に、地球が必要とするエネルギーを地球に提供することを必要とするであろう。1つの可能性のある再生可能エネルギー資源が、波力であり、全世界の広大な海洋及び海で利用可能な豊富な及び安定したエネルギー資源である。このため、波力獲得の効率及び費用対効果を向上するための手段が必要とされる。
【0003】
いくつかの現在の波エネルギー変換(WEC)装置は、環状波エネルギー吸収装置を利用し、例えば、典型的には、国際公開第2013/068748号及び国際公開第2019/002864号において説明されるように実質的に円筒形又は球形の形状である。この形状は、波方向に対して垂直な軸に沿って線対称であり従って波によって生成される水流の回転方向に関するあらゆる方向において、同等な流体力学的反応を有することから、この形状が選択される。このアプローチは、波エネルギーの獲得に効果的だが、大きい体積が球形/円筒型の形状によって含まれる或いは取り込まれるという不利な点を有する。大きい内部体積は、周囲の水が含まれ/取り混まれる場合には対応する大きい質量に、或いは大きい体積の空気がその形状の内部に含まれる場合には高浮力につながる。それらの場合の両方において、高質量又は高浮力(又は両方の組み合わせ)は、エネルギー変換駆動システムによって管理される必要がある力及び力の流れを増加させ、コスト、複雑さ、及びダメージに対する影響の受けやすさを増加させる。
【0004】
波の方向に対する線対称の形状によって、球形/円筒型の吸収装置の大きい体積及び表面積は、大きな波の残存率が向上するように波にもたらされる面積/体積を減少させるパーク型又は類似の構成をもつ能力を有していない(全吸収装置は、国際公開第2019/002864号に説明されるように、吸収装置上の力を減ずるために水中のより深い深さまで沈められてもよいが、この力の減少は、より深い深さにおけるより少ない波エネルギーの結果であって、吸収装置の流体力学的性質の結果ではない)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2013/068748号
【特許文献2】国際公開第2019/002864号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ、より小さく、軽く且つ嵐に関するダメージに対してより影響を受けにくいものでありながら、大きい内部体積を含み或いは取り込むことなく波エネルギーの獲得を最大にする波エネルギー変換装置のための吸収装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、波エネルギーを獲得するために、波エネルギー獲得(WEC)装置の一部として水域に沈められるように構成される波エネルギー吸収装置に向けられる。
【0008】
波が吸収装置を通過する時に水流の方向が360°にわたって動くので、非対称の形状(波方向に対して)は、環状軌跡をたどる水面下の波エネルギー吸収装置には歴史上使用されてこなかった。吸収装置は、波周期中に効率よく全方向から均等に上手くエネルギーを利用することが必要とされる。これが、円柱(波方向に整列された)又は球体が、波エネルギーを利用するとき、環状経路をたどる吸収装置として典型的に過去において選択されてきた理由である。
【0009】
本発明において開示される吸収装置は、水流の結果としてその上に作用する流体力学的力を増加又は減少させるために、波によって引き起こされる周期的な水流の向きに従ってその回転状態を変化させるために構成される。特に本発明は、吸収装置の回転軸まわりの吸収装置の回転が、吸収装置を水流に対して所望の方向に位置決めすることができるように、回転軸について非回転対称である波エネルギー吸収装置に向けられたものである。
【0010】
吸収装置は、水流に対して受動的にその方向を維持することができてもよく、例えば、吸収装置は、波によって引き起こされる水流方向に対して、風見の役をするように構成されてもよい。上記の受動的な方向付けは、好ましくは、回転軸及び水流方向に対する圧力又は抵抗の中心の安定した位置を有することによって可能とされる。
【0011】
用語「風見の役をする」は、再生可能エネルギー利用の技術における一般用語として当業者によって理解され、本発明の文脈では、回転軸に対して安定した均衡位置(または角度の位置決め)を達成し或いはとるために、その上に衝突する水流の方向の力のもとでその回転軸まわりの方向又は回転位置を変化させることを意味するものと理解されるであろう。この回転位置又は方向の移行は、回転軸まわりのトルクの利用及び生成とは異なると理解されるであろう。
【0012】
さらに、吸収装置は、好ましくは、その非回転対称の形状の結果として、流体力学的揚力を生成してもよく、更には、流体力学的揚力が吸収装置の水流との相互作用の主たる結果であるように、水中翼形状であってもよい。流体力学的揚力が、吸収装置及び水流方向の間で流体力学的相互作用の重要な要素を構成するとき、吸収装置の回転は、好ましくは、水流方向に対する吸収装置の入射角及び迎え角を最適化することができる。入射/迎え角は、アクチュエータによって能動的に、或いは任意の所与の水流方向に対する最適且つ安定した迎え角をもたらす、揚力の中心、抗力の中心及び回転軸の間の関係を有することによって受動的に、達成され得る。
【0013】
非軸対称又は翼形状の吸収装置は、同じ流体力学的力を生成する軸対称の円筒形又は球形の吸収装置と比較したとき、そのような大きい体積の水又は空気を含まないまたは取り込まない形状であることができる。本発明の背景で説明されるように、吸収装置によって動かされる電力変換機のサイズ、コスト及び複雑さを減ずるために、吸収装置の体積、質量及び/又は浮力を減ずることが高く望まれる。非翼形状の非対称の吸収装置は、ほとんど又は全く水又は空気を含まず且つ比較的少量の水を取り混む膜又は板型構造であることができる(この取り込まれた水は、追加質量として参照されることもある)。翼形状の吸収装置は、明白に、円筒形よりも実質的に平らで、小さい体積形状であり、これはより少ない質量及び浮力をもたらす。そして、低抵抗などの翼の流体力学的性質によって、取り込まれた水の結果としての追加の質量もまた、非翼形状の吸収装置に対して望ましく小さい。
【0014】
本発明の吸収装置は、回転可能であるが、回転吸収装置ではなく、具体的には、波からのエネルギー獲得の機構は回転軸まわりのトルクの生成及び利用によるものではないということは留意されるべきである。エネルギー獲得の機構は、吸収装置によって獲得されたエネルギーを有用な力に変換する駆動アセンブリを作動させるために、回転軸の移行、好ましくは、環状経路を通じたものである(国際公開第2013/068748号において開示される環状吸収装置を利用するWECのエネルギー獲得の機構に類似する)。
【0015】
それゆえに、本発明の第1態様によれば、波エネルギー吸収装置は、水域の波による水流に流体力学的に係合するように構成される1又はそれ以上の本体部分を備え、1又はそれ以上の本体部分は、本体部分がその周りを回転するように構成される回転軸を各々備え、本体部分は、回転軸に対して非対称の形状である。
【0016】
本発明の吸収装置は、好ましくは、WECシステムのための吸収装置である。1又はそれ以上の本体部分は、前端と、前端から離れて正反対に延びる後端と、を備えてもよく、1又はそれ以上の本体部分の非回転対称は、好ましくは、後端より前端により近く配置される回転軸によって設けられてもよい。1又はそれ以上の本体部分は、好ましくは、表面上に衝突する水の流れに係合するように構成された水流係合表面をそれぞれ備える。
【0017】
1又はそれ以上の本体部分の形状は、水流の任意の所与の方向に対して、吸収装置が、自動的に位置決めする、受動的に位置される又は回転軸に対して安定した平衡位置(又は角度位置決め)を達成し又はとるために、回転軸の周りで風見の役をすることが好ましい。
【0018】
吸収装置は、好ましくは、水流の方向が変化すると吸収装置(又はそれに対応する本体部分)が、新しい水流方向に対する平衡位置へそれ自体を受動的に再位置決めできるように、回転軸まわりに自由に回転可能である。
【0019】
水流方向が頻繁に又は常に変化する代表的な例においては、水流方向は波周期中に変化するので、吸収装置(又はそれに対応する本体部分)は、それに従って、位置決め又は回転軸まわりの回転位置を頻繁に又は常に変化させてもよい。位置決め又は回転位置は、例えば、波が吸収装置を通り過ぎ且つ係合するときに、すべての前記波に対して360度回転を通して変化してもよい。
【0020】
他の実施形態では、吸収装置又はその本体部分が、本明細書で説明されるように別の能動的又は受動的手段によって、回転軸まわりに回転されることが可能である。
【0021】
回転軸は、好ましくは、吸収装置を波エネルギー変換装置(WEC)に結合するように構成されるリンク機構に回転自在に取り付けられる。1又はそれ以上の本体部分は、好ましくは、リンク機構に対して回転軸まわりに回転可能である。リンク機構は、好ましくは、回転軸、したがって吸収装置が、リンク機構によって決められた軌道又は経路を通って動くことを可能にする。リンク機構は、例えば、回転円弧に沿う支点まわりの往復運動をするように構成される第1の剛性の又は可撓性のレバーアームを備え、レバーアームは、回転軸が円弧を通って又は円弧に沿って動くことを可能する。代替的に、リンク機構は、回転軸、したがって吸収装置が任意の方向に平行移行又は移動できるように構成される任意の適切なリンク機構であってもよい。
【0022】
リンク機構は、好ましくは、第1レバーアームの支点に回転自在に取り付けられる一端を有する第2のレバーアームを備えてもよく、それにより、回転軸、したがって吸収装置の任意の方向における回転軸及び吸収装置の平行移行又は移動を可能にするように構成される、一組の対向する2つ折りレバーアームを提供する。そのような構成は、好ましくは、波に応答して吸収装置の任意の円又は往復の運動経路又は軌道を可能にする。最も好ましいリンク機構は、吸収装置のための環状経路を可能にし、これが、波の環状エネルギー流れに最もよく結合し且つ最適なエネルギー獲得を提供することが、見出された。
【0023】
リンク機構は、いくつかの実施形態において、吸収装置によって獲得される波エネルギーが有用なエネルギーに変換されることができるように、1又はそれ以上のエネルギー変換装置を作動させてもよい。1又はそれ以上のエネルギー変換装置は、吸収装置によるエネルギー獲得を最適化するため且つ好ましくは吸収装置の動く経路又は軌道を最適化するために、吸収装置の軌道又は経路を制御するように構成されてもよい。例えば、エネルギー変換装置は、沖合の再生可能エネルギーシステムのように、エネルギー変換装置構造のパーツとの機械的衝突を避けるために吸収装置の経路又は軌道を制御してもよい。リンク機構は、それゆえに、沖合の再生可能エネルギーシステムの駆動アセンブリの少なくとも一部を形成してもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、リンク機構は、好ましくは、回転軸の周期的軌道を画定するように構成される。リンク機構がエネルギーを吸収装置から波エネルギー変換装置へと伝達するように構成される実施形態において、リンク機構は、周期的にエネルギー変換装置の作業ストロークを駆動するように構成されてもよく、これは、ローターの回転(例えば回転発電機)又は別の適切な往復運動によるものでもよい。そのような実施形態では、リンク機構は、吸収装置の動きの軌道を画定してもよく、本質的に、軌道は周期的か、そうでなければ往復移動である。いくつかの実施形態において、周期的軌道は好ましくは、環状軌道である。いくつかの実施形態において、1又はそれ以上の本体部分は、好ましくは、回転軸まわりの複数の回転角を備え、回転角は、回転軸まわりの本体部分の回転円弧を画定する。
【0025】
いくつかの実施形態において、複数の回転角度の各々は、好ましくは、流れ係合表面に衝突する水の流れの流れ方向に対応する。回転角度は、それゆえに流れ方向の水の流れの方向力下において、1又はそれ以上の本体部分によって受動的にとられる。非回転対称的な本体部分の回転軸の位置決めは、好ましくは、ひもが凧に取り付けられる位置に応じて凧が風の流れ方向へその角度を保持するのと類似した手段で、最適な迎え角が流れ方向に対して達成されるように、1又はそれ以上の本体部分が、複数の回転角の回転角を受動的にとることを可能にする。いくつかの実施形態において、本体部分(流れ係合表面のように本体部分の一部であってもよい)は、好ましくは、衝突する水の流れの方向による回転軸まわりの回転位置をとるために形づくられる。そのような実施形態において、1又はそれ以上の本体部分は、好ましくは、水中翼形状を備える。
【0026】
いくつかの実施形態において、本体部分は好ましくは、回転角度の所定のアレイを備え、アレイの各回転角は、周期的軌道に沿って回転軸の位置に関連付けられる。いくつかの実施形態において、装置は、好ましくは、回転角、所定のアレイから選ばれた回転角したがって本体部分の回転を促すように構成される調整部材を更に備える。そのような実施形態において、調整部材は、周期的軌道に沿う対応点にしたがって、1又はそれ以上の本体部分が、複数の回転角度のうちの特定の回転角度をとるように促すように構成されてもよい。
【0027】
海又は海洋のような深い水域における水粒子の流れ方向は、水の全波周期中で、全波周期中で環状軌道を描くように、典型的に360度にわたって移動する。波周期中の水粒子の360度にわたる移動中に水の流れから最大限のエネルギーを獲得するために、1又はそれ以上の本体部分の流れ係合表面が、流れ方向と実質的に反対に向けられるように、調整部材は、回転軸まわりの1又はそれ以上の本体部分の回転角度を調整するように構成されてもよい。
【0028】
したがって、そのような実施形態において、本発明は、好ましくは、全波周期中の、波形の垂直方向及び水粒子の流れ方向から利用可能な方向力の両方を利用することによって、利用可能な波エネルギーの獲得を最大限にするように構成されてもよい。獲得は、全波周期中の1又はそれ以上の本体部分の受動的な回転又は、能動的な回転による結果として行われてもよい。本発明の文脈において、”受動的”の用語は、電気エネルギーの入力が無いことを意味するように理解され、”能動的”として本明細書に対照的に参照される。
【0029】
いくつかの実施形態において、調整部材による回転は、好ましくは制御装置によって制御されるように構成されてもよい。実施形態は、制御装置が自動であり、メモリと、メモリに保存されるデータ及び/又は命令にしたがって回転を制御するように構成されたプロセッサを備えてもよいことが理解されるであろう。データは、いくつかの実施形態において、例えば、駆動アセンブリによって保存されるエネルギーの量と特定の水の流れ方向中の本体部分の回転角度との間の相関関係に基づいて、回転の制御を最適化するために使用されるモデルを教育するためにプロセッサによって使用されてもよい。
【0030】
好ましい実施形態において、制御装置は、回転の制御を行うためにWECシステムから電力を受け取るように構成されてもよく、電力はWECシステムによって変換された波エネルギーから少なくとも一部供給され、波エネルギーは、波エネルギー吸収装置によって獲得される。したがって、波エネルギー吸収装置は、WECシステムに向かってエネルギーを提供してもよく、エネルギーは、装置の制御装置に動力を供給するために使用されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、水の流れは、好ましくは、1回目の第1主方向と、2回目の第2主方向と、を備え、第1及び第2主方向の各々は、各自1回目及び2回目の水の流れによって流れ係合表面に加えられる大部分の方向力によって画定され、本体部分は、本体部分の流れ係合表面が1回目の第1主方向の水の流れに係合する第1位置と、本体部分の流れ係合表面が、2回目の第2主方向の水の流れに係合する第2位置と、の間で回転軸を中心に回転するように構成される。
【0032】
いくつかの実施形態において、1又はそれ以上の本体部分は、好ましくは、本体部分と、そこから延び且つ本体部分を本体部分の回転軸に結合する付属品と、を備える。従って、本発明の1又はそれ以上の本体部分の回転軸は、付属品によって画定された1又はそれ以上の本体部分から距離を空けて位置決めされてもよく、全てのそのような実施形態において、本体部分の回転軸は、縦軸に沿う対応する点に対して本体部分の後端より本体部分の前端に近い位置に、前記本体部分の縦軸に対して位置決めされる。
【0033】
好ましい実施形態において、1又はそれ以上の本体部分は水中翼形状を備える。そのような好ましい実施形態における吸収装置は、したがって、水中翼であり、波による水の流れとの吸収装置の流体力学的相互作用が、好ましくは、流体力学的揚力の生成につながる。水中翼は、例えば、回転軸と吸収装置(水中翼)の揚力の中心との間で正確な関係を有することによって、受動的に、水流方向に対する吸収装置の最適な迎え角又は入射角を達成してもよい。この水中翼吸収装置の受動的自己位置会わせは、好ましくは、ひもが凧に取り付けられる位置に応じて、凧が風の流れ方向へその角度を保持する方法に類似している。上述のように、水中翼は、好ましくは、波周期中に常時/連続的に自動位置合わせをし、これは、各波が波エネルギー変換装置を通過すると、水中翼の完全な回転を生じさせる。
【0034】
上述のように、水中翼形状の吸収装置は、また、アクチュエータ及び制御装置と共に能動的に水流方向に対して位置合わせされてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、吸収装置の1又はそれ以上の本体部分は、第1本体部分と、第2本体部分と、を備え、第1及び第2本体部分の各々は、一方に対して回転軸まわりに回転可能である。いくつかの好ましい実施形態において、第1及び第2本体部分は、実質的に平面であってもよく且つそれゆえに実質的に平面なシート又はプレートをそれぞれ備えてもよい。
【0036】
第1及び第2本体部分を備えるいくつかの実施形態において、第1及び第2本体部分は、好ましくは、回転軸上にあってもよいそれぞれの第1及び第2位置まわりに回転するように構成され、第1及び第2位置は、まとめて置かれる或いは互いに近接している。第1及び第2位置は回転軸上に位置決めされない実施形態が、理解されるであろう。
【0037】
いくつかの実施形態において、第1及び第2本体部分は、第1及び第2縦軸をそれぞれ備える。そのような実施形態において、吸収装置は、好ましくは、第1及び第2縦軸が非平行である第1位置と、第1及び第2縦軸が実質的に平行である第2位置と、の間で、第1及び第2本体部分を回転させるように構成される回転アクチュエータを更に備える。第1及び第2本体部分のそのような平行位置合わせは、例えば、それぞれの本体部分上に作用する力を最小化するために使用されてもよく、これは嵐残存構成において使用されてもよい。そのような実施形態において、第1及び第2本体部分は、それゆえに、波による水流方向と共に風見の役をするように構成されてもよく且つ好ましくは水流に対するほとんど抵抗を提供しない実質的平坦方向と、好ましくは水流に対するより大きな抵抗を提供する実質的に「v」形状方向と、の間で変動するように構成されてもよい。
【0038】
本発明の第2態様によれば、波エネルギーを有用なエネルギーに変換する用に構成されたWECシステムが提供され、システムは、浮揚性プラットフォームと、浮揚性プラットフォーム上に取り付けられ且つ波エネルギーを獲得し変換するように構成された駆動アセンブリと、を備え、駆動アセンブリは、第1態様による波エネルギー吸収装置を備える。
【0039】
いくつかの実施形態において、波エネルギー吸収装置の本体部分の回転軸は、好ましくは、浮揚性プラットフォームの上面に対する位置に位置決めされる。駆動アセンブリは、好ましくは、周期的軌道に沿って位置を調整するように構成される。好ましい実施形態において、周期的軌道は、本明細書で説明されるように、環状軌道である。
【0040】
いくつかの実施形態において、駆動アセンブリは、浮揚性プラットフォームに対する使用中高さと、浮揚性プラットフォームに対するドッキング高さとの間の位置を調整するように構成されてもよく、使用中高さは、ドッキング高さよりも高い。いくつかのそのような実施形態において、使用中高さは、波エネルギー吸収装置が、波エネルギーを獲得してもよい高さであり、ドッキング高さにおいては、波エネルギー吸収装置は、波エネルギーを獲得しなくてもよい。そのようなドッキング高さは、輸送及びメンテナンス構成の間或いは嵐残存構成の間のいくつかの実施形態において、使用されてもよい。
【0041】
好ましい実施形態において、制御装置による回転の調整又は駆動アセンブリによる位置は、駆動アセンブリの作業ストロークから独立している。それゆえ、そのような実施形態において、回転及び/又は位置調整が駆動アセンブリが機能する能力を低下させることがないように、回転及び/又は位置調整が起こる間、駆動アセンブリは、波エネルギーの獲得及び波エネルギーの有用なエネルギーへの変換時に機能し続けてもよい。
【0042】
好ましい実施形態において、システムは、駆動アセンブリの浮揚性プラットフォーム及び波エネルギー吸収装置が水域に沈められる使用中構成を備え、好ましくは、波エネルギー吸収装置は、使用中高さにおいて位置決めされる。使用中構成において、波エネルギー吸収装置の1又はそれ以上の本体部分は、本体部分が、作用する波力によって決められる周期的(且つ好ましくは、環状の)軌道に沿って水域へ動いて駆動アセンブリの作業ストロークを駆動するように、波力に抵抗するように構成されてもよい。好ましい実施形態において、環状軌道に沿う位置において、1又はそれ以上の本体部分の回転は、所望の方向における1又はそれ以上の本体部分上に作用する流体力学的力を最大限にするために、水流方向又はシステムの調整部材によって受動的にであるか制御装置によって能動的にであるかに関わらず調整されてもよい。力は、軌道に沿う1又はそれ以上の本体部分を駆動するように使用され、それによって駆動アセンブリの作業ストロークを駆動するのに貢献する。
【0043】
海の状態の変動の間、1又はそれ以上の本体部分の回転は、海の状態の変動にしたがって制御装置によって直接的に調整されてもよい実施形態が理解されるであろう。例えば、第1期の間の海の状態が穏やかな海の状態を構成するのならば、回転は、水流方向における1又はそれ以上の本体部分の流体力学的性質を最小化するために調整部材によって調整されてもよく、それにより、最大流力が、1又はそれ以上の本体部分の流れ係合表面上に作用することを可能にし、それによって穏やかな海の状態の間の利用可能なエネルギーの獲得を最大限にする。海の状態が、第2期の間により荒い或いは嵐の海の状態に変化するのならば、制御装置は、減少した流力の割合が、1又はそれ以上の本体部分の流れ係合表面上に作用することが可能にするように、1又はそれ以上の本体部分の回転を調整してもよい。減少した流力の割合は、波又は流れエネルギーの獲得のときに操作するのに十分な吸収装置のための流力を備えてもよいが、ダメージ又は過度の摩耗が吸収装置又は吸収装置へ取り付けられるエネルギー変換システムに加えられるかもしれない安全な波又は流力閾値を超えない。
【0044】
いくつかの好ましい実施形態において、システムは、駆動アセンブリの浮揚性プラットフォーム及び波エネルギー吸収装置が水域に沈められる嵐の構成を備え、1又はそれ以上の本体部分の回転は、1又はそれ以上の本体部分上に作用する流体力学的力を最小化するように制御装置によって調整される。
【0045】
いくつかの実施形態において、システムは、駆動アセンブリによって変換されたエネルギーを受け取り且つ保存するように構成されるエネルギー保存装置を備え、制御装置は、調整を行うために保存されたエネルギーを受け取り且つ使用するように構成される。制御装置は、それゆえに、吸収装置によって獲得された保存さエネルギーによって動力供給されてもよく、任意の他の外部の動力供給を必要としなくてもよい。
【0046】
本発明の1又はそれ以上の態様及び実施形態への組み込みのために適当であるように本明細書で説明される特徴は、本発明の任意の且つすべての態様及び実施形態にわたって一般化されることが意図されることは理解されるであろう。
【0047】
本発明の実施形態が、例としてのみ且つ添付の図面に参照して、今、説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】第1態様による波エネルギー吸収装置を備える第2態様によるWECシステムの例の側面図を示す。
【
図2】
図1の実施形態の波エネルギー吸収装置の周期的(環状)軌道の例を示す。
【
図3A】
図2の軌道に沿う第1ポイントにおける波形のスナップショット及びスナップショットにおける波の伝播力と水流方向力の両方を示す。
【
図4A】
図2の軌道に沿う第2ポイントにおける波形のスナップショット及びスナップショットにおける波の伝播力と水流方向力の両方を示す。
【
図5A】
図2の軌道に沿う第3ポイントにおける波形のスナップショット及びスナップショットにおける波の伝播力と水流方向力の両方を示す。
【
図6A】
図2の軌道に沿う第4ポイントにおける波形のスナップショット及びスナップショットにおける波の伝播力と水流方向力の両方を示す。
【
図7】第1態様による波エネルギー吸収装置を備える、第2態様に従って変動するWECシステムの例の側面図を示す。
【
図8】
図2で示される軌道に類似した軌道に沿う波形のスナップショットにおける
図7のシステムの配置の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
現在説明される全ての実施形態は、第2態様によるWECシステムの一部として第1態様による波エネルギー吸収装置を備える。本実施形態は、本明細書で簡単に要約される実質的に同等の一般構造を各々有している。システムは、システムの上面で駆動アセンブリを支持する円筒形の浮揚性プラットフォームを備える。駆動アセンブリは、プラットフォームの上面の中央に位置決めされる下部ヒンジの一端において結合される、対向する細長い剛性のレバーアームの第1下部ペアを備える。第1下部ペアの各々のレバーアームの他端は、レバーアームの第2上部ペアの対応する剛性のレバーアームの一端に回転可能に取り付けられる。レバーアームの第2上部ペアは、上部ヒンジに結合される。駆動アセンブリは、更に、第1態様による波エネルギー吸収装置を備え、上部ヒンジに取り付けられる。レバーアームの第1下部ペアの各々のレバーアームは、エネルギー変換装置に取り付けられ、例示を目的として、自動揚水機の形態をとるが、回転発電機のような任意の適切なエネルギー変換装置を備えてもよい。
【0050】
使用中、プラットフォーム及び波エネルギー吸収装置は、係留及び投錨システム(図示せず)を使用して水域に沈められる。使用中構成において、波エネルギー吸収装置は、波エネルギー吸収装置上に衝突する波力の結果として実質的に環状軌道をたどり動くように構成される。波エネルギー吸収装置が動くにつれ、結果として起こるレバーアームの動きは、対応するエネルギー変換装置を駆動する。
【0051】
波エネルギーを獲得するための波エネルギー吸収装置の能力の程度は、一般的に装置上に作用する波力の利用可能性に比例する。波エネルギー吸収装置においては、波力は、波周期の頂上期及び谷期による垂直成分と、波の伝播方向による水平成分とを含む。使用中に水中に沈められるように設計される波エネルギー吸収装置においては、波力はまた、波の表面下で起こる水粒子の流れの方向に対応する追加の方向成分も含み、この追加の方向成分は、典型的に、波周期中に環状軌道を取る。利用可能な波エネルギーの獲得を最大限にするために、本発明は、利用可能な方向力の全ての成分の使用を最適にすることを目的とする。
【0052】
図1及び
図2を参照すると、本発明の第1実施形態100が示され、上述のように実質的に機能する。実施形態100は、WECシステム100の上面に取り付けられる駆動アセンブリ104を支持する浮揚性プラットフォーム102を備える第2態様によるWECシステム100を備える。駆動アセンブリ104は、前述のように、剛性レバーアーム106の第1下部ペアと、合成レバーアーム108の第2上部ペアと、を含む。駆動アセンブリ104は、レバーアーム106の下部ペアに取り付けられたエネルギー変換装置110を備える。レバーアーム108の第2ペアに結合され、駆動アセンブリ104は、波エネルギー吸収装置112を更に備える。示される実施形態100において、吸収装置112は、プラス方向の本体114を有する単一の水中翼本体部分と、水中翼本体114の前縁117により近い位置から延びる細長い金属の付属品116と、を備える。吸収装置112は、制御装置により電気駆動されるように構成されるモータを備える調整機構(図示せず)を更に備える。
図1で示される使用中構成において、調整機構のモータは、その回転軸121まわりの本体部分114、116の回転を駆動させるように構成される。示される使用中構成において、水中翼本体114の回転位置は、前縁に衝突する水の水流方向115に対して最適な迎え角を提供し、本体114は、本体114が回転軸を上向きの動作で駆動させる流体力学的揚力119を最大限にするようになっており、エネルギー変換装置110を駆動させるために駆動アセンブリ104のレバーアーム106,108が延びる。
【0053】
迎え角は、示される一方向性の流れ115の間に安定平衡に達することが期待されるが、水流は波によって生成されるので、水面下の水流の方向は、円形又は旋回のパターンで常に変化している。それゆえに、本体114は、回転軸121まわりに回転することができ、水流を用いて安定した迎え角を維持する。
【0054】
水中翼本体114は、同方向に回転軸121を引っ張る揚力を生成し、揚力の方向は、波(及び対応する水面下の流れ)によって引き起こされる円形周期で変化するので、回転軸121は、
図2に示されるように環状経路で動かされる。この環状の動きは、電力を生成するために駆動アセンブリ104によって利用される。
【0055】
図2を参照すると、本体部分114、116の回転軸121の全体的な予想される環状軌道120が示され、それに伴って、回転軸121は、システム100が沈められる水域の波周期中に移動する。
【0056】
実施形態100は、
図3Aから
図6Bにおいて使用中にて示される。
図3A、4A、5A及び6Aは、波周期中の特定のポイントにおける、実施形態100が沈められる水域の波形のスナップショットを図示する。
図3A、4A、5A及び6Aを通して、波形122は、主水平方向に連続的に伝播124される一方で、水面下の水粒子の流れ方向126は、円形又は環状のパターンをたどって波周期中に変化する。
図3B、4B、5B、及び6Bは、スナップショットにおける実施形態100の対応する位置をそれぞれ示し且つスナップショットにおいて及び波周期中に作用する波力によって示される場合の位置を示す。
【0057】
図3Aを参照すると、波形122は、水面下の水粒子の流力126が主垂直上方向に作用するようになっており、流体力学的揚力が、環状軌道120に沿って吸収装置112の回転軸121を左に駆動させる左方向(示される描写に対して)に設けられるように、吸収装置112の
図3Bにおける水中翼本体114は、主方向力126に対向して位置決めされる前縁117の流れ係合表面に向けられるようになっている。そのような吸収装置112の動きは、駆動アセンブリ104の対応する動きと、動きの程度に対して対応するエネルギー変換装置110の作業ストロークの一部の結果として起こる駆動を引き起こす。
【0058】
図4Aを参照すると、波形122は、水面下の水粒子の流力126が、主水平右方向に作用するようになっており、主方向力対向して位置決めされる前縁117の流れ係合表面と共に向けられるようになっており、流体力学的揚力が、環状軌道120に沿って吸収装置112の回転軸121を上方に駆動させる上方向(示される描写に対して)に提供されるようになっており、かくして、回転軸121の環状軌道120の半周期が完成する。そのような吸収装置112の動きは、駆動アセンブリ104の対応する動き及び動きの程度に対して対応するエネルギー変換装置110の作業ストロークの一部の結果としての駆動を引き起こす。
【0059】
図5Aを参照すると、波形122は、水面下の水粒子の流力126が、主垂直下方向に作用するようになっており、吸収装置112の
図5Bにおける水中翼本体114は、主方向力126に対向して位置決めされる前縁117の流れ係合表面と共に向けられるようになっており、流体力学的揚力は、環状軌道120に沿って吸収装置112の回転軸121を右に駆動させる右方向(示される描写に対して)に提供されるようになっている。そのような吸収装置112の動きは、駆動アセンブリ104の対応する動き及び動きの程度に対して対応するエネルギー変換装置110の作業ストロークの一部の結果としての駆動を引き起こす。
【0060】
図6Aを参照すると、波形122は、水面下の水粒子の流力126が、主水平左方向に作用するようになっており、吸収装置112の
図6Bにおける水中翼本体114は、主方向力126に対向して位置決めされる前縁117の流れ係合表面と共に向けられるようになっており、流体力学的揚力は、環状軌道120に沿って吸収装置112の回転軸121を下方に駆動させる下方向(示される描写に対して)に提供されるようになっており、かくして、回転軸121の環状軌道120の1周期が完成する。そのような吸収装置112の動きは、駆動アセンブリ104の対応する動き及び動きの程度に対して対応するエネルギー変換装置110の作業ストロークの一部の結果としての駆動を引き起こす。
【0061】
本実施形態における吸収装置112の動きを説明するときに、左、右、上方及び下方の用語が使用されている。これらの用語は、本図面に示される例としての二次元描写の意味において理解され、そのような用語は、使用中の三次元の吸収装置に対応する任意の相対的な方向におけるより複雑な動きを実際には参照しているということは理解されるであろう。
【0062】
示される実施形態100は、モータを作動させる制御装置(図示せず)によって回転される本体114を有する。制御装置は、環状経路120に沿う回転軸121の対応する位置に基づいてモータによって本体114を回転させるように構成される。それによって、制御装置は、必要な方向に流体力学的揚力を最大限にすることによって、作業ストロークの駆動を最適化するように構成される。他の実施形態は、制御装置に水流方向を通知してもよい流れ方向センサを含んでもよく、回転の対応する調整は、所望の方向に流体力学的揚力を最適化するために行われてもよい。更に、吸収装置112の過度な又は無秩序な動きを通して、駆動アセンブリにダメージをもたらすかもしれない過度な海の力を検知するように構成される海況モニタ又は波力センサを備える実施形態が構想されてもよい。そのような実施形態において、回転の動的な調整は、過度な波力を吸収装置112うけさせないよう流体力学的揚力の安全窓内で操作しながら、作業ストロークを駆動させるために十分な流体力学的揚力を提供するために行われてもよい。そのような実施形態は、嵐残存構成を提供するのには有利である。
【0063】
示される例100において、本体114又は本体部分112は、付属品116により回転軸121から距離がある。実施形態は、回転軸が本体自身上に位置決めされるということは理解されるであろう。
【0064】
本発明の第2実施形態200が、
図7及び
図8に示される。第2実施形態200は、
図1から
図6Bに実質的に示されるようにWECシステムを備えるが、第1本体部分204及び第2本体部分206を有する波力吸収装置202を有し、第1本体部分204及び第2本体部分206は、第1端において共通の回転軸208に取り付けられる細長いバーで各々構成される。第1及び第2本体部分204,206は、
図1の実施形態100において説明されるものと同じ方法でモータ(図示せず)を駆動する制御装置によって回転軸208まわりに回転されるように構成される。制御装置は、カスタム流れ係合表面が、必要に応じて本体部分204,206で構成されてもよいように、互いに独立した本体部分204,206の回転210を駆動するように構成されてもよく、それによって、必要とされる動的流体力学及び揚力調整能力を有する実施形態を提供する。
【0065】
図7に示される構成において、非対称の「v」形状の吸収装置202の本体部分204、206が示される。「v」形のポイントにおける共通の回転軸208は、吸収装置202が流れ方向に向く「v」のポイントに、水流方向に自然と整列する傾向があるであろう。
【0066】
本明細書で説明されるように、水流212の方向は、波周期と共に変化するので、吸収装置202は、水流方向212にそれ自体を連続的に整列させ、これは、波周期中においては、波によって描かれる円形経路をたどるであろう。
【0067】
吸収装置202の上を通る水流は、吸収装置202の流れ係合表面上に水流方向212に向かう圧力を引き起こし、この圧力は、吸収装置202を、流れ方向212に対応する回転軸208まわりに回転させる。吸収装置202からの合力の円形経路方向は、回転軸208を、環状運動で動かし、この環状運動は、
図1の実施形態100で説明された類似の方法で、電力を生成するために取り付けられる駆動アセンブリによって利用される。
【0068】
「v」の角度は、吸収装置202上の圧力及び波から吸収されるエネルギーの量を調整するように制御装置によって調整可能である。これは、小さい波におけるエネルギー獲得を最適化し且つ大きい波の間に吸収装置202に衝突する力を制限するために使用されることが可能である。
【0069】
図8を参照すると、本体部分204、206は、縦軸が、実質的に平行であるように、制御装置によって近づくことが可能である。そのような構成は、嵐の間に吸収装置202に衝突する波力を劇的に減ずるために使用されてもよい。これは、いくつかの実施形態において、駆動アセンブリを使用して、吸収装置202を更に水中の、プラットフォームの近くに引っ込めることと更に組み合わせることができる。
【0070】
上述されていない本発明の範囲内の更なる実施形態が予想され、例えば、浮揚性プラットフォームが、説明目的のみのために全ての説明される実施形態において、固定ブロックとして図示されるが、プラットフォームが、エネルギー吸収装置に対して水域において相対的に静止するように構成される任意の適切な構造である実施形態が、理解されるであろう。例えば、プラットフォームは、海底につながれる浮揚性のある水面下のプラットフォーム又は海底に直接固定する任意の浮揚性/非浮揚性構造を備えてもよい。
【0071】
全ての説明される実施形態においてエネルギー変換装置は、説明目的のみのために、分離ばねユニットと組み合わされた単純化された液圧シリンダであることが示される。エネルギー変換装置の任意の適切な形態が使用されてもよい実施形態が理解され、例えば、リニア発電機、回転電気又は水力発電機、又はラック及びピニオンのような回転運動を直線運動に変換する機構を併用してもよい任意の種類の回転発電機であってもよい。
【0072】
説明される調整部材は、回転を駆動させるモータの形態をとる。油圧機構、ラック及びピニオン装置又はラチェット及び爪機構のような、任意の適切な機械的機構を含む任意の適切な調整機構が、理解されるであろう。
【0073】
説明される実施形態の本体部分は、水中翼又は細長いバー形の形態をとるが、任意の形状の本体部分が使用されてもよい実施形態が理解されるであろう。
【0074】
本発明は、説明された特定の例又は構造に限定されず、添付の請求項の範囲に含まれる任意の実施形態であることが理解されるであろう。
【国際調査報告】