(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤
(51)【国際特許分類】
C08G 77/395 20060101AFI20240201BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20240201BHJP
G02C 7/04 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
C08G77/395
C08F290/06
G02C7/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546044
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 IB2022051112
(87)【国際公開番号】W WO2022172154
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520000722
【氏名又は名称】アルコン インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】チャン,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ホーランド,トロイ・バーノン
(72)【発明者】
【氏名】タン,ハウリアン
(72)【発明者】
【氏名】スニアディ,アダム・ケー
【テーマコード(参考)】
2H006
4J127
4J246
【Fターム(参考)】
2H006BB01
2H006BB03
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2H006BC07
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4J246HA57
(57)【要約】
本発明は、ある部類の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤を提供する。本発明の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤のそれぞれは、(1)ジメチルシロキサン単位及び1つのメチル置換基とホスホリルコリン部分を有する1つの有機置換基とをそれぞれ有する親水化シロキサン単位を含むポリジオルガノシロキサンセグメント;(2)エチレン性不飽和基を含む。本発明はまた、そのような部類の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤の少なくとも1つの繰り返し単位を含む架橋ポリマー材料を含む、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを提供する。本発明は、そのような部類の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤の少なくとも1つを含む重合性組成物から親水化コンタクトレンズを製造する方法を更に提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ジメチルシロキサン単位及び1つのメチル置換基と1つのホスホリルコリン部分を有する1つの有機置換基とを有する少なくとも1つの親水化シロキサン単位を含むポリジオルガノシロキサンセグメントと;
(2)エチレン性不飽和基と
を含む、親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【請求項2】
前記ポリジオルガノシロキサンセグメントは、6~500のジメチルシロキサン単位を含む、請求項1に記載の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【請求項3】
前記ポリジオルガノシロキサンセグメントは、3~80の親水化シロキサン単位を含む、請求項1又は2に記載の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【請求項4】
前記エチレン性不飽和基は(メタ)アクリロイル基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【請求項5】
前記親水化シロキサン単位対前記ジメチルシロキサン単位のモル比は、約0.002~約0.50である、請求項1~4のいずれか一項に記載の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【請求項6】
前記親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、少なくとも1000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【請求項7】
前記親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、式(1)又は(2)
【化1】
[式中:
υ1は6~500の整数であり;
ω1は3~80の整数であり;
γ1は1~78の整数であり;
E
1は、
【化2】
の一価基であり;
E
2は、
【化3】
の一価基であり;;
R
0は、水素又はメチルであり;
a1は、ゼロ又は1であり;
X
0は、O又はNR
N1であり;
R
N1は、水素又はC
1~C
6アルキルであり;
L
0は、C
2~C
8アルキレン二価基であるか、又は
【化4】
の二価基であり;
L
0‘は、C
2~C
8アルキレン二価基であり;
L
0‘‘は、C
3~C
8アルキレン二価基であり;
X
1は、-O-、-NR
N1-、-NHCOO-、-OCONH-、-CONR
N1-、又は-NR
N1CO-であり;
q1は1~20の整数であり;
R
PCは、
【化5】
の一価基であり;
L
eは、
【化6】
の二価基であり;;
R
1は、線状若しくは分岐状C
1~C
10アルキレン二価基であり;
R
2は、線状若しくは分岐状C
3~C
10アルキレン二価基であり;
R
3は、直接結合又は線状若しくは分岐状C
1~C
4アルキレン二価基であり;
nは1~5の整数であり;
R’及びR’’は、互いに独立して、C
1~C
8アルキル又はC
1~C
8ヒドロキシアルキルであり;
R’’’はC
1~C
8アルキレン二価基であり;
T
1は、水素、ヒドロキシル基又はC
1~C
4アルコキシであり;
T
2は、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8ヒドロキシアルキル、R
4-O-R
5-、又は-R
PC-T
1であり;
R
4は、C
1~C
4アルキルであり;
R
5は、C
2~C
8アルキレン二価基である]
によって定義される、請求項1~6のいずれか一項に記載の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【請求項8】
式(1)又は(2)において、υ1は10~450の整数である、請求項7に記載の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【請求項9】
式(1)又は(2)において、ω1は5~70の整数である、請求項7又は8に記載の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【請求項10】
前記親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は式(1)で表される、請求項7~9のいずれか一項に記載の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【請求項11】
式(1)において、a1はゼロである、請求項10に記載の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【請求項12】
式(1)において、X
0はOである、請求項11に記載の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【請求項13】
式(1)において、X
0はNR
N1である、請求項11に記載の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【請求項14】
前記親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は式(2)で表される、請求項7~9のいずれか一項に記載の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【請求項15】
式(2)において、X
0はOである、請求項14に記載の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【請求項16】
式(2)において、X
0はNR
N1である、請求項15に記載の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤の単位を含む架橋ポリマー材料を含む、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つのメチル置換基と1つのホスホリルコリン部分を有する1つの有機置換基とを有する1つ以上の親水化シロキサン単位をそれぞれ有する親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤並びにシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの作製でのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ソフトシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、それらの高い酸素透過性及び心地良さのためにますます普及している。「ソフト」コンタクトレンズは、目の形状とぴったり合うことができ、したがって酸素は、レンズを容易にくぐり抜けることができない。角膜は、他の組織のように血液供給から酸素を受け取らないので、ソフトコンタクトレンズは、周囲空気からの酸素(即ち、酸素)が角膜に達することを可能にしなければならない。十分な酸素が角膜に達しない場合、角膜膨潤が起こる。長期の酸素欠乏は、角膜における血管の望ましくない成長を引き起こす。高い酸素透過性を有することによって、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、十分な酸素がレンズを通して角膜へ透過すること、及び角膜の健康への悪影響を最小限にすることを可能にする。
【0003】
シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを作製する際に広く使用されるレンズ形成材料の1つは、ポリジオルガノシロキサン(例えば、ポリジメチルシロキサン)ビニル架橋剤であり、それは、得られるコンタクトレンズに高い酸素透過性を付与することができる。しかし、ポリジメチルシロキサンビニル架橋剤は、得られるコンタクトレンズの機械的特性、例えば、弾性率に影響を及ぼし得る。例えば、低分子量のポリジメチルシロキサンビニル架橋剤(<2,000g/mol)は、所望の酸素透過性を達成するために比較的高い弾性率を、得られるコンタクトレンズに付与し得る。比較的高い分子量のポリジメチルシロキサンビニル架橋剤が、典型的には、高い酸素透過性及び低い弾性率の両方を達成するために使用される。しかしながら、その疎水性のために、ポリジメチルシロキサンビニル架橋剤、とりわけ高分子量のものは、例えば、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド(VMA)、又は内部湿潤剤などの、レンズ配合物中の親水性成分と相溶性ではない。そのようなポリジメチルシロキサンビニル架橋剤の使用から均一なレンズ配合物(即ち、透明なレンズ配合物)を得ることは困難であろう。
【0004】
シリコーンは疎水性であり、空気に曝されているレンズ表面に移行する傾向が大きいので、コンタクトレンズ材料へのシリコーンの組み込みはまた、コンタクトレンズの生体適合性に望ましくない影響を及ぼす。結果として、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、一般に、コンタクトレンズのシリコーンの露出を排除する又は最小限にするための及び生体適合性表面を維持するための表面改質プロセスを必要とする。
【0005】
それ故に、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造するために好適な新規の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤が必要とされている。
【0006】
米国特許第4260725号明細書、同第5034461号明細書、同第5346946号明細書、同第5416132号明細書、同第5449729号明細書、同第5486579号明細書、同第5512205号明細書、同第5760100号明細書、同第5994488号明細書、同第6858218号明細書、同第6867245号明細書、同第7671156号明細書、同第7744785号明細書、同第8129442号明細書、同第8163206号明細書、同第8501833号明細書、同第8513325号明細書、同第8524850号明細書、同第8835525号明細書、同第8993651号明細書、同第9187601号明細書、同第10081697号明細書、同第10449740号明細書、同第10866344号明細書及び同第10875967号明細書などの文献は、1つ以上の親水化ポリジシロキサン架橋剤を含む(溶媒含有配合物か、又は無溶媒配合物かのどちらかである)様々なレンズ配合物がシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを作製するために使用できることを開示している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一態様では、ポリシロキサンビニル架橋剤を提供する。本発明のポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、ジメチルシロキサン単位及び1つのメチル置換基とホスホリルコリン部分を有する1つの有機置換基とを有する親水化シロキサン単位を含むポリジオルガノシロキサンセグメントと;エチレン性不飽和基とを含む。
【0008】
別の態様では、本発明は、本発明のポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤の単位(上記の)を含む架橋ポリマー材料を含むソフトコンタクトレンズを提供する。
【0009】
本発明は、前述の及び他の特徴を提供し、本発明の利点は、添付の図と併せて読まれる、本好ましい実施形態の以下の詳細な説明から更に明らかになるであろう。詳細な説明及び図は、添付の特許請求の範囲及びその同等物によって定義される、本発明を単に例示するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書で用いられる命名法及び実験手順は、よく知られており、当技術分野において一般的に用いられている。当技術分野及び様々な一般参考文献において提供されるものなどの、従来の方法が、これらの手順のために用いられる。用語が単数形で与えられている場合、本発明者らはまた、その用語の複数形も想定している。本明細書で用いられる命名法及び以下で記載される実験手順は、当技術分野においてよく知られており、一般的に用いられているものである。
【0011】
「約」は、本出願において本明細書で用いられる場合、「約」として言及される数は、その列挙された数のプラス又はマイナス1~10%の列挙された数を含むことを意味する。
【0012】
「コンタクトレンズ」は、装着者の目上又は目内に配置することができる構造体を指す。コンタクトレンズは、使用者の視力を矯正する、改善する又は変更することができるが、そうである必要はない。
【0013】
「シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ」は、シリコーンハイドロゲル材料をバルク材料として含むコンタクトレンズを指す。
【0014】
「ハイドロゲル」又は「ハイドロゲル材料」は、3次元ポリマーネットワーク(即ち、ポリマーマトリックス)を有し、水に不溶性であるが、完全に水和した(又は平衡した)ときに少なくとも10重量%の水をそのポリマーマトリックス中に保持することができる架橋ポリマー材料を指す。
【0015】
「シリコーンハイドロゲル」は、少なくとも1つのシリコーン含有モノマー及び/又はシリコーン含有ビニル架橋剤の繰り返し単位と、少なくとも親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含むシリコーン含有ハイドロゲルを指す。それは、典型的には、少なくとも1つのシリコーン含有モノマー及び/又はシリコーン含ビニル架橋剤と少なくとも1つの親水性ビニルモノマーとを含む重合性組成物の共重合によって形成される。
【0016】
本出願で用いられる場合、「非シリコーンハイドロゲル」という用語は、理論上ケイ素を含まないハイドロゲルを指す。
【0017】
「親水性」は、本明細書で用いられる場合、脂質とよりも水とより容易に会合するであろう材料又はその一部を表す。
【0018】
「ビニルモノマー」は、1つの唯一のエチレン性不飽和基を有し、溶媒に可溶性であり、化学線的に又は熱的に重合することができる化合物を指す。
【0019】
溶媒における化合物又は材料に関連して、「可溶性」という用語は、化合物又は材料が室温(即ち、約21℃~約27℃の温度)で溶媒に溶解して少なくとも約0.5重量%の濃度の溶液を与えることができることを意味する。
【0020】
溶媒における化合物又は材料に関連して、「不溶性」という用語は、化合物又は材料が室温(上に定義されたような)で溶媒に溶解して約0.01重量%未満の濃度の溶液を与えることができることを意味する。
【0021】
「エチレン性不飽和基」という用語は、本明細書では広い意味で用いられ、少なくとも1つの>C=C<基を含有する任意の基を包含することが意図する。例示的なエチレン性不飽和基には、限定なしに、(メタ)アクリロイル(
【化1】
)、アリル、ビニル、スチレニル、又は他のC=C含有基が含まれる。
【0022】
本明細書で用いられる場合、重合性組成物、プレポリマー又は材料の硬化、架橋又は重合に関連して「化学線的に」は、硬化(例えば、架橋及び/又は重合)が、例えば、UV照射、イオン化放射線(例えば、ガンマ線又はX線照射)、マイクロ波照射等などの、化学線照射によって行われることを意味する。熱硬化又は化学線硬化方法は、当業者によく知られている。
【0023】
「アクリルモノマー」は、1つの唯一の(メタ)アクリロイル基を有するビニルモノマーを指す。アクリルモノマーの例としては、(メタ)アクリルオキシ[又は(メタ)アクリロイルオキシ]モノマー及び(メタ)アクリルアミドモノマーが挙げられる。
【0024】
「(メタ)アクリルオキシモノマー」又は「(メタ)アクリロイルオキシモノマー」は、
【化2】
の1つの唯一の基を有するビニルモノマーを指す。
【0025】
「(メタ)アクリルアミドモノマー」は、
【化3】
(式中、R
oは、H又はC
1~C
4アルキルである)
の1つの唯一の基を有するビニルモノマーを指す。
【0026】
「(メタ)アクリルアミド」という用語は、メタクリルアミド及び/又はアクリルアミドを指す。
【0027】
「(メタ)アクリレート」という用語は、メタクリレート及び/又はアクリレートを指す。
【0028】
「N-ビニルアミドモノマー」は、アミド基の窒素原子に直接結合しているビニル基(-CH=CH2)を有するアミド化合物を指す。
【0029】
「エン基」という用語は、酸素若しくは窒素原子又はカルボニル基に共有結合していないCH2=CH-又はCH2=CCH3-の一価基を指す。
【0030】
「エンモノマー」は、1つの唯一のエン基を有するビニルモノマーを指す。
【0031】
「親水性ビニルモノマー」、「親水性アクリルモノマー」、「親水性(メタ)アクリルオキシモノマー」、又は「親水性(メタ)アクリルアミドモノマー」は、本明細書で用いられる場合、それぞれ、ビニルモノマー、アクリルモノマー、(メタ)アクリルオキシモノマー、又は(メタ)アクリルアミドモノマーを指し、それは、典型的には水溶性である又は少なくとも10重量パーセントの水を吸収することができるホモポリマーをもたらす。
【0032】
「疎水性ビニルモノマー」、「疎水性アクリルモノマー」、「疎水性(メタ)アクリルオキシモノマー」、又は「疎水性(メタ)アクリルアミドモノマー」は、本明細書で用いられる場合、それぞれ、ビニルモノマー、アクリルモノマー、(メタ)アクリルオキシモノマー、又は(メタ)アクリルアミドモノマーを指し、それは、典型的には水に不溶性である、及び10重量%未満の水を吸収することができるホモポリマーをもたらす。
【0033】
本出願で用いられる場合、「ビニル架橋剤」という用語は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する有機化合物を指す。「ビニル架橋剤」は、700ダルトン以下の分子量を有するビニル架橋剤を指す。
【0034】
多くの場合にシリコーンとも記載される、シロキサンは、各Si原子が2つの有機基を置換基として持っている-Si-O-Si-の少なくとも1つの部分を有する分子を指す。
【0035】
「シリコーン含有ビニルモノマー若しくは架橋剤」又は「シロキサン含有ビニルモノマー若しくは架橋剤」は、同じ意味で、-Si-O-Si-(ここで、各Si原子は少なくとも2つの置換基(有機基)を持っている)の少なくとも1つの部分を有するビニルモノマー若しくは架橋剤を指す。
【0036】
「ポリシロキサンセグメント」又は「ポリジオルガノシロキサンセグメント」は、同じ意味で、
【化4】
[式中、SNは3以上の整数であり、R
S1及びR
S2のそれぞれは、互いに独立して、C
1~C
10アルキル;フェニル;C
1~C
4アルキル置換フェニル;C
1~C
4アルコキシ置換フェニル;フェニル-C
1~C
6アルキル;C
1~C
10フルオロアルキル;C
1~C
10フルオロエーテル;アリール;アリールC
1~C
18アルキル;-アルク-(OC
2H
4)
γ1-OR
o(ここで、アルクは、C
1~C
6アルキレン基であり、R
oは、H又はC
1~C
4アルキルであり、γ1は、1~10の整数である);ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、アミノ基(-NR
N1R
N1’)、-NR
N1-のアミノ結合、-CONR
N1-のアミド結合、-CONR
N1R
N1’のアミド、-OCONH-のウレタン結合、及びC
1~C
4アルコキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有するC
2~C
40有機基、又は線状の親水性ポリマー鎖からなる群から選択され、ここで、R
N1及びR
N1’は、互いに独立して、水素又はC
1~C
15アルキル;及びホスホリルコリン部分を有する有機基である]のポリマー鎖セグメント(即ち、二価基)を指す。
【0037】
「ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤」又は「ポリシロキサンビニル架橋剤」は、同じ意味で、少なくとも1つのポリシロキサンセグメントと少なくとも2つのエチレン性不飽和基とを含む化合物を指す。
【0038】
本出願において用いられる場合、「ホスホリルコリン部分」という用語は、
【化5】
(式中、nは1~5の整数であり、R’及びR’’は、互いに独立して、C
1~C
8アルキル又はC
1~C
8ヒドロキシアルキルであり、R’’’はC
1~C
8アルキレン二価基であり、T
0は、水素、ヒドロキシル基、C
1~C
4アルコキシ、又は共有結合である)の双性イオン部分を指す。
【0039】
「流体」という用語は、本明細書で用いられる場合、材料が液体のように流れ得ることを示す。
【0040】
本出願で用いられる場合、重合性組成物に関連して「透明」という用語は、重合性組成物が400~700nmの範囲において85%以上(好ましくは90%以上)の光透過性を有する透明な溶液又は液体混合物であることを意味する。
【0041】
本出願で用いられる場合、「ポリマー」という用語は、1つ以上のモノマー若しくはマクロマー若しくはプレポリマー又はそれらの組み合わせを重合させる/架橋させることによって形成される材料を意味する。
【0042】
「マクロマー」又は「プレポリマー」は、エチレン性不飽和基を含有し、700ダルトン超の数平均分子量を有する化合物又はポリマーを指す。
【0043】
本出願で用いられる場合、ポリマー材料(モノマー材料又はマクロマー材料を含む)の「分子量」という用語は、特に明記がない限り又は試験条件が特に示さない限り、数平均分子量を指す。当業者は、公知の方法、例えば、屈折率検出器、低角レーザー光散乱検出器、マルチアングルレーザー光散乱検出器、示差粘度測定検出器、UV検出器、及び赤外線(IR)検出器のうちの1つ以上を持ったGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー);MALDI-TOF MS(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析)、1H NMR(プロトン核磁気共鳴)分光法等に従ってポリマーの分子量を決定する方法を知っている。
【0044】
「一価基」という用語は、有機化合物から水素原子を除去することによって得られる、及び有機化合物中の1つの他の基と1つの結合を形成する有機基を指す。例としては、限定なしに、アルキル(アルカンからの水素原子の除去による)、アルコキシ(又はアルコキシル)(アルキルアルコールのヒドロキシル基からの1つの水素原子の除去による)、チイル(アルキルチオールのチオール基からの1つの水素原子の除去による)、シクロアルキル(シクロアルカンからの水素原子の除去による)、シクロヘテロアルキル(シクロヘテロアルカンからの水素原子の除去による)、アリール(芳香族炭化水素の芳香環からの水素原子の除去による)、ヘテロアリール(任意の環原子からの水素原子の除去による)、アミノ(アミンからの1つの水素原子の除去による)等が挙げられる。
【0045】
「二価基」という用語は、有機化合物から2つの水素原子を除去することによって得られる、及び有機化合物中の他の2つの基と2つの結合を形成する有機基を指す。例えば、アルキレン二価基(即ち、アルキレニル)は、アルカンからの2つの水素原子を除去により得られ、シクロアルキレン二価基(即ち、シクロアルキレニル)は、環状環からの2つの水素原子の除去により得られる。
【0046】
本出願において、アルキル又はアルキレニルに関連して「置換された」という用語は、アルキル又はアルキレニルが、アルキル又はアルキレニルの1つの水素原子と置き換わる、並びにヒドロキシル(-OH)、カルボキシル(-COOH)、-NH2、スルフヒドリル(-SH)、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4アルキルチオ(アルキルスルフィド)、C1~C4アシルアミノ、C1~C4アルキルアミノ、ジ-C1~C4アルキルアミノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を含むことを意味する。
【0047】
「末端エチレン性不飽和基」という用語は、当業者に公知であるように、有機化合物の主鎖(又は骨格)の2つの末端の1つにおける1つのエチレン性不飽和基を指す。
【0048】
「ブレンディングビニルモノマー」は、重合性組成物の親水性及び疎水性成分の両方を溶解させて溶液を形成することができるビニルモノマーを指す。
【0049】
フリーラジカル開始剤は、光開始剤か又は熱開始剤かのどちらかであることができる。「光開始剤」は、光の使用によりフリーラジカル架橋/重合反応を開始する化学物質を指す。「熱開始剤」は、熱エネルギーの使用によりラジカル架橋/重合反応を開始する化学物質を指す。
【0050】
シリコーンハイドロゲルバルク材料又はSiHyコンタクトレンズに関連して、「硬化後表面処理」は、SiHyレンズ配合物を硬化させる(即ち、熱的に又は化学線的に重合させる)ことによってシリコーンハイドロゲルバルク材料又はSiHyコンタクトレンズが形成された後に行われる表面処理プロセスを意味する。
【0051】
「シリコーンハイドロゲルレンズ配合物」又は「SiHyレンズ配合物」という用語は、同じ意味で、当業者によく知られているように、シリコーンハイドロゲル(SiHy)コンタクトレンズ又はSiHyレンズバルク材料を製造するための全ての必要な重合性成分を含む重合性組成物を指す。
【0052】
一般に、本発明は、それぞれ(1)ジメチルシロキサン単位及び1つのメチル置換基とホスホリルコリン部分を有する1つの有機置換基とを有する親水化シロキサン単位を含むポリジオルガノシロキサンセグメントと、(2)エチレン性不飽和基とを含む部類の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤を指向する。
【0053】
シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの作製での本発明の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤の使用に関連したいくつかの潜在的なユニークな特徴が存在する。
【0054】
第一に、本発明の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、親水性のイオンホスホリルコリン部分が、ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤の各親水化シロキサン単位の2つの置換基の一つとして組み込まれているので、典型的な重合性組成物(即ち、レンズ配合物)中の他の重合性成分との相溶性がより高い。様々な溶媒含有又は無溶媒のレンズ配合物を調製するのに好適である。
【0055】
第二に、本発明の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、ジメチルシロキサン単位を依然として含むので、それは、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを作製するのに現在使用されている他のポリジメチルシロキサンビニル架橋剤のように、得られるコンタクトレンズに比較的高い酸素透過性を与えることができる。より高い酸素透過性を達成するために、ポリジオルガノシロキサンは、少なくとも5つのジメチルシロキサン単位を連続的に有するべきあると考えられる。本発明の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤における親水化シロキサン単位のジメチルシロキサン単位との比を十分に低く制御することによって、得られるポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤が、5つ超の連続するジメチルシロキサン単位からなる十分なシロキサンセグメントを有することができることを確実にすることができる。そのようなポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、他の重合性成分とのその相溶性に悪影響を及ぼすことなく、シロキサン単位当たり比較的高い酸素透過性を効率的に付与するために使用され得る。
【0056】
第三に、本発明の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、改善された表面特性のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造するために使用することができる。ホスホリルコリン部分はポリジオルガノシロキサンセグメントのパーツであるので、それらは、シリコーンがレンズ表面に移行するにつれて、本発明の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤を含むレンズ配合物から作製された、得られたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの表面に移行するであろう。結果として、得られたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、レンズ表面で富んだホスホリルコリン部分を有することができる。
【0057】
ホスホリルコリンは、生体適合性を改善する、タンパク質吸着を低減する、及び炎症反応を低減するために医療機器において一般的に使用されている。リン脂質を含有する表面は、防汚特性を有することが示されている(Goda,T.;Ishihara,K.;Expert Review of Medical Devices 2006,3(2),167-174を参照されたい)。コンタクトレンズにおいて、ホスホリルコリンはまた、脂質及びタンパク質の沈着を防ぎながら、水和を維持するのに役立つ。これらの観察結果のために、ホスホリルコリン基を含有するモノマー又はポリマーは、コンタクトレンズオン-アイ性能を改善するために、コンタクトレンズ配合物(例えば、Liu,Y.Polymerizable contact lens formulations and contact lenses obtained therefrom.米国特許出願公開第2009/0182067 A1号明細書、2009年7月16日を参照されたい)、潤滑点眼薬(例えば、Sakurai,S.;Miyamoto,K.;Shimamura,Y.;Takahashi,M.;Matsuoka,Y.;Yamamoto,N.Eye drops.国際公開第2016/140242号パンフレット、2016年9月9日を参照されたい)、コンタクトレンズ表面(例えば、Takahashi,M.;Sato,K.;Sakurai,T.;Nakajima,M.;Matsuoka,Yamamoto,N.Contact lens having phosphorylcholine group-containing hydrophilic polymer on surface thereof.特開2017-146334号公報、2017年8月24日を参照されたい)、及びパッケージング生理食塩水(Sakura,T.;Sato,K.;Takahashi,M.;Nakajima,M.;Matsuoka,Y.;Shimamura,Y.;Miyamoto,K.;Yamamoto,N.Solutions for soft contact lenses.特開2017-151437号公報、2017年8月31日を参照されたい)に添加されてきた。
【0058】
その結果として、得られたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、より生体適合性があり、且つ脂質沈着に抵抗性があることができる。
【0059】
本発明は、一態様では、親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤を提供する。本発明の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、(1)ジメチルシロキサン単位及び1つのメチル置換基とホスホリルコリン部分を有する1つの有機置換基とを有する少なくとも1つの親水化シロキサン単位を含むポリジオルガノシロキサンセグメントと、(2)エチレン性不飽和基(好ましくは(メタ)アクリロイル基)とを含む。
【0060】
好ましい実施形態では、ポリジオルガノシロキサンセグメントは、6~500(好ましくは10~450、より好ましくは15~400、更により好ましくは20~350)のジメチルシロキサン単位と、3~80(好ましくは5~70、より好ましくは7~60、更により好ましくは9~50)の親水化シロキサン単位とを含む。
【0061】
好ましい実施形態では、親水化シロキサン単位対ジメチルシロキサン単位のモル比は、約0.002~約0.50(好ましくは約0.002~約0.20、より好ましくは約0.004~約0.1、更により好ましくは約0.004~約0.05)である。
【0062】
別の好ましい実施形態では、本発明の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、少なくとも1000ダルトン(好ましくは1500ダルトン~80000ダルトン、より好ましくは2000~50000ダルトン、更により好ましくは2500~25000ダルトン)の数平均分子量を有することができる。
【0063】
本発明に従って、親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、好ましくは、式(1)又は(2)
【化6】
[式中:
υ1は、6~500(好ましくは10~450、より好ましくは15~400、更により好ましくは20~350)の整数であり;
ω1は、3~80(好ましくは5~70、より好ましくは7~60、更により好ましくは9~50)の整数であり;
γ1は、1~78(好ましくは3~68、より好ましくは5~58、更により好ましくは7~48)の整数であり;
E
1は、
【化7】
の一価基であり;
E
2は、
【化8】
の一価基であり;
R
0は、水素又メチルであり;
a1は、ゼロ又は1であり;
X
0は、O又はNR
N1であり;
R
N1は、水素又はC
1~C
6アルキルであり;
L
0は、C
2~C
8アルキレン二価基であるか、又は
【化9】
の二価基であり;
L
0’は、C
2~C
8アルキレン二価基であり;
L
0’’は、C
3~C
8アルキレン二価基であり;
X
1は、-O-、-NR
N1-、-NHCOO-、-OCONH-、-CONR
N1-又は-NR
N1CO-であり;
q1は1~20の整数であり;
R
PCは、
【化10】
の一価基であり;
L
eは、
【化11】
の二価基であり;
R
1は、線状若しくは分岐状C
1~C
10アルキレン二価基であり;
R
2は、線状若しくは分岐状C
3~C
10アルキレン二価基であり;
R
3は、直接結合又は線状若しくは分岐状C
1~C
4アルキレン二価基であり;
nは1~5の整数であり;
R’及びR’’は、互いに独立して、C
1~C
8アルキル又はC
1~C
8ヒドロキシアルキルであり;
R’’’は、C
1~C
8アルキレン二価基であり;
T
1は、水素、ヒドロキシル基又はC
1~C
4アルコキシであり;
T
2は、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8ヒドロキシアルキル、R
4-O-R
5-、又は-R
PC-T
1であり;
R
4は、C
1~C
4アルキルであり;
R
5は、C
2~C
8アルキレン二価基である]
によって定義される。
【0064】
好ましい実施形態では、式(1)において、a1はゼロであり、そのときE
1は、
【化12】
の一価基である。
【0065】
別の好ましい実施形態では、ω1/υ1は、約0.002~約0.50(好ましくは約0.002~約0.20、より好ましくは約約0.004~約0.1、更により好ましくは約0.004~約0.05)である。
【0066】
式(1)の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、3ステッププロセスにおいて調製することができる。
【0067】
第1のステップにおいて、式(3)のヒドロシロキサン含有ポリジオルガノシロキサンは、式(4)
【化13】
(式中、E
1、υ1、ω1、及びL
eは、式(1)について上で定義されたとおりである)
で表されるようなペンダント反応性官能基を有するポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤を形成するために、当業者に公知の白金触媒によるヒドロシリル化反応においてヒドロキシ基を含有するエンモノマーと反応させられる。
【0068】
式(3)のヒドロシロキサン含有ポリジオルガノシロキサンは、当業者に公知の任意の方法に従って調製することができる。
【0069】
例示的な例として、式(3)のヒドロシロキサン含有ポリジオルガノシロキサンは、鎖末端ブロックとしての1,3-ビス(E1基)末端テトラメチルジシロキサン(例えば、1,3-ビス[3-(メタ)アクリルオキシプロピル]テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス[3-(メタ)アクリルアミドプロピル]テトラメチルジシロキサン等)の存在下で及び触媒の存在下でオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)と1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン(H4)との混合物の重合から調製することができる。D4対H4のモル比を制御することによって、υ1/ω1の所望の値を得ることができる。1,3-ビス(E1基)末端テトラメチルジシロキサンは、1,3-ビス(ヒドロキシアルキル)テトラメチルジスロキサン(例えば、1,3-ビス(ヒドロキシプロピル)テトラメチルジスロキサン)又は1,3-ビス(アミノアルキル)テトラメチルジスロキサン(例えば、1,3-ビス(アミノプロピル)テトラメチルジスロキサン)から調製できることが理解される。
【0070】
エンモノマーが1つの唯一のヒドロキシル基を含む限り、任意のエンモノマーを、式(4)のポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤を調製する際に使用することができる。1つの唯一のヒドロキシル基を有する様々なエンモノマーは、商業的供給業者から入手することができるか、又は公知の方法に従って調製することができる。
【0071】
市販のヒドロキシル含有エンモノマーの例としては、限定なしに、アリルアルコール、2-メチル-2-プロペン-1-オール、3-ブテン-1-オール、3-ブテン-2-オール、3-メチル-3-ブテン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチル-3-ブテン-1-オール、1-ペンテン-3-オール、4-ペンテン-1-オール、4-ペンテン-2-オール、1-ヘキセン-3-オール、5-ヘキセン-1-オール、5-ヘキセン-2-オール、3-メチル-1-ヘキセン-3-オール、5-メチル-1-ヘキセン-3-コール、1-ヘプテン-3-オール、アリロキシエタノール、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)モノアリルエーテル、アリロキシプロパノール、1-アリロキシ-2-プロパノール、4-アリロキシ-1-ブタノール、1-ビニルシクロヘキサノール、2-ビニルシクロヘキサノール、4-ビニルシクロヘキサノール、1-アリルシクロヘキサノール、2-アリルシクロヘキサノール、4-アリルシクロヘキサノール、4-ビニルフェノール、(4-ビニルフェニル)メタノール、(4-ビニルフェニル)エタノール、3-(4-ビニルフェニル)-1-プロパノール、1-(4-ビニルフェニル)-2-メチル-2プロパノール等が挙げられる。
【0072】
第2のステップにおいて、式(4)のポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、式(4)のポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤のペンダント基L
eのそれぞれ上へエチレンホスフェート基
【化14】
(即ち、2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホラン)を結合させるために塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下でエチレンホスホロクロリド(即ち、2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホラン)と反応させられる。
【0073】
或いはまた、式(4)のポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、式(4)のポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤のペンダント基L
eのそれぞれ上へ1つ以上のブロモアルキルホスフェート基
【化15】
を結合させるために、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で、ブロモアルキルホスホリルクロリデート(それは、オキシ塩化リンをブロモアルコール、HO-(CH2)
nBrと反応させることによって得ることができる)と反応させ、これに酸加水分解が続くことができる。
【0074】
第3のステップにおいて、ペンダントエチレンホスフェート基又はブロモアルキルホスフェート基を含む、得られたポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、順繰りに、ホスホリルコリン基へ変換する、即ち、式(1)の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤を形成するために、第三級アミン、NR1’R2’R3’で処理することができる。
【0075】
同様に、式(2)の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、3ステッププロセスにおいて調製することができる。
【0076】
第1のステップにおいて、式(5)のヒドロシロキサン含有ポリジオルガノシロキサンは、式(5)
【化16】
(式中、E
1、υ1、ω1、及びL
eは、式(2)について上で定義されたとおりである)
で表されるようなペンダント反応性官能基を有するポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤を形成するために、当業者に公知であるように白金触媒によるヒドロシリル化反応においてヒドロキシ基を含有するエンモノマーと反応させられる。
【0077】
式(5)のヒドロシロキサン含有ポリジオルガノシロキサンは、当業者に公知の任意の方法に従って調製することができる。
【0078】
例示的な例として、式(5)のヒドロシロキサン含有ポリジオルガノシロキサンは、鎖末端ブロックとしての1,3-ビス(T2基)末端テトラメチルジシロキサン(例えば、1,3-ビス(3-ヒドロキシエトオキシプロピル)テトラメチルジシロキサン等)の存在下で及び触媒の存在下でオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)と1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン(H4)との混合物の重合から調製することができる。D4対H4のモル比を制御することによって、υ1/ω1所望の値を得ることができる。
【0079】
第2のステップにおいて。式(6)のポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、式(6)のポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤のペンダント基L
eのそれぞれ上へエチレンホスフェート基
【化17】
(即ち、2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホリルオキシ基)を結合させるために塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下でエチレンホスホロクロリド(即ち、2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホラン)と反応させられる。
【0080】
或いはまた、式(6)のポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、式(6)のポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤のペンダント基L
eのそれぞれ上へ1つ以上のブロモアルキルホスフェート基
【化18】
を結合させるために、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で、ブロモアルキルホスホリルクロリデート(それは、オキシ塩化リンをブロモアルコール、HO-(CH2)
nBr)と反応させることによって得ることができる)と反応させ、これに酸加水分解が続くことができる。
【0081】
第3のステップにおいて、ペンダントエチレンホスフェート基又はブロモアルキルホスフェート基を含む、得られたポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、順繰りに、ホスホリルコリン基へ変換する、即ち、式(2)の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤を形成するために、第三級アミン、NR1’R2’R3’で処理ことができる。
【0082】
本発明の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤(上で定義されたような式(1)及び(2))は、ポリマー、好ましくはシリコーンハイドロゲルポリマー材料の調製に特定の用途を見つけることができ、それは、本発明の別の態様である。当業者は、任意の公知の重合機構に従って、重合性組成物からポリマー又はシリコーンハイドロゲルポリマー材料を調製する方法を知っている。
【0083】
別の態様では、本発明は、本発明の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤の繰り返し単位を含む架橋ポリマー材料を含むシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ(上述されたような)を提供する。
【0084】
好ましい実施形態では、本発明のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、完全に水和されているときに、少なくとも約40バラー(好ましくは少なくとも約60バラー、より好ましくは少なくとも約70バラー、更により好ましくは少なくとも約80バラー)の酸素透過係数(Dk)、約15重量%~約70重量%(好ましくは約20重量%~約70重量%、より好ましくは約25%~約65%、更により好ましくは約30重量%~60%)の含水量、約0.20MPa~約1.8MPa(好ましくは約0.25MPa~約1.5MPa、より好ましくは約0.3MPa~約1.2MPa、更により好ましくは約0.4MPa~約1.0MPa)の弾性率を有する。
【0085】
当業者は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの酸素透過性、酸素透過率(oxygen transmissibility)、含水量、及び弾性率を測定する方法をよく知っている。これらのレンズ特性は、それらのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ製品について全ての製造業者によって報告されている。
【0086】
本発明のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズはまた、少なくとも1つのシリコーン含有重合性成分の単位と、少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの単位とを含む。
【0087】
本発明に従って、本発明の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤以外のシリコーン含有重合性成分は、シリコーン含有ビニルモノマー、ポリシロキサンビニル架橋剤、又はそれらの組み合わせであることができる。
【0088】
本発明に従って、シリコーン含有ビニルモノマーは、当業者に公知の任意のシリコーン含有ビニルモノマーであることができる。好ましいシリコーン含有ビニルモノマーの例としては、限定なしに、ビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル基又はトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基をそれぞれが有するビニルモノマー、ポリシロキサンビニルモノマー、3-メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、t-ブチルジメチル-シロキシエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、及びトリメチルシリルメチルビニルカーボネート、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0089】
式(M1)のものを含めて好ましいポリシロキサンビニルモノマーは、本出願で後述され、商業的供給業者(例えば、信越化学工業、Gelest等)から入手することができ;例えば、米国特許第5070215号明細書、同第6166236号明細書、同第6867245号明細書、同第8415405号明細書、同第8475529号明細書、同第8614261号明細書、及び同第9217813号明細書に記載の手順に従って調製することができ;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミド若しくは(メタ)アクリルオキシポリエチレングリコールをモノエポキシプロピルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができ;グリシジル(メタ)アクリレートをモノカルビノール末端ポリジメチルシロキサン、モノアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン、若しくはモノエチルアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができ;又は当業者に周知のカップリング反応に従ってイソシアナトエチル(メタ)アクリレートをモノカルビノール末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができる。
【0090】
式(M2)のものを含めて、ビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル基又はトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基をそれぞれが有する好ましいシリコーン含有ビニルモノマーは、本出願で後述され、商業的供給業者(例えば、信越化学工業、Gelest等)から入手することができるか、又は米国特許第5070215号明細書、同第6166236号明細書、同第7214809号明細書、同第8475529号明細書、同第8658748号明細書、同第9097840号明細書、同第9103965号明細書、及び同第9475827号明細書に記載の手順に従って調製することができる。
【0091】
任意の好適なポリシロキサンビニル架橋剤を本発明で使用することができる。好ましいポリシロキサンビニル架橋剤の例は、ジ-(メタ)アクリロイル末端ポリジメチルシロキサン;ジビニルカーボネート末端ポリジメチルシロキサン;ジビニルカルバメート末端ポリジメチルシロキサン;N,N,N’,N’-テトラキス(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロピル)-アルファ,オメガ-ビス-3-アミノプロピル-ポリジメチルシロキサン;米国特許第5,760,100号明細書に記載されているマクロマーA、マクロマーB、マクロマーC、及びマクロマーDからなる群から選択されるポリシロキサン含有マクロマー;米国特許第4136250号明細書、同第4153641号明細書、同第4182822号明細書、同第4189546号明細書、同第4343927号明細書、同第4254248号明細書、同第4355147号明細書、同第4276402号明細書、同第4327203号明細書、同第4341889号明細書、同第4486577号明細書、同第4543398号明細書、同第4605712号明細書、同第4661575号明細書、同第4684538号明細書、同第4703097号明細書、同第4833218号明細書、同第4837289号明細書、同第4954586号明細書、同第4954587号明細書、同第5010141号明細書、同第5034461号明細書、同第5070170号明細書、同第5079319号明細書、同第5039761号明細書、同第5346946号明細書、同第5358995号明細書、同第5387632号明細書、同第5416132号明細書、同第5451617号明細書、同第5486579号明細書、同第5962548号明細書、同第5981675号明細書、同第6039913号明細書、及び同6762264号明細書に開示されているポリシロキサン含有マクロマー;米国特許第4259467号明細書、同第4260725号明細書、及び同第4261875号明細書に開示されているポリシロキサン含有マクロマーである。
【0092】
1つの部類の好ましいポリシロキサンビニル架橋剤は、ジメチルシロキサン単位及び1つのメチル置換基と2~6つのヒドロキシル基を有する1つの一価C4~C40有機ラジカル置換基とをそれぞれ有する親水化シロキサン単位を有するジ-(メタ)アクリロイルオキシ末端ポリシロキサンビニル架橋剤、より好ましくは式(I)のポリシロキサンビニル架橋剤であり;本出願で後述され、米国特許第10081697号明細書に開示されている手順に従って調製することができる。
【0093】
別の部類の好ましいポリシロキサンビニル架橋剤は、それらのそれぞれが1つの唯一のポリジオルガノシロキサンセグメントと、2つの末端(メタ)アクリロイル基とを含むビニル架橋剤であり、それは、商業的供給業者から入手することができ;グリシジル(メタ)アクリレート(メタ)アクリロイルクロリドをジアミノ末端ポリジメチルシロキサン若しくはジヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができ;イソシアナトエチル(メタ)アクリレートをジヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができ;カップリング剤(カルボジイミド)の存在下でアミノ含有アクリルモノマーをジカルボキシル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができ;カップリング剤(カルボジイミド)の存在下でカルボキシル含有アクリルモノマーをジアミノ末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができるか;又はジイソシアネート若しくはジエポキシカップリング剤の存在下でヒドロキシル含有アクリルモノマーをジヒドロキシ末端ポリジシロキサンと反応させることによって調製することができる。
【0094】
他の部類の好ましいポリシロキサンビニル架橋剤は、それらのそれぞれが、ポリジオルガノシロキサンセグメントの各対と、2つの末端エチレン性不飽和基との間のリンカーによって結合された少なくとも2つのポリジオルガノシロキサンセグメントを有する鎖延長ポリシロキサンビニル架橋剤であり;それは、米国特許第5034461号明細書、同第5416132号明細書、同第5449729号明細書、同第5760100号明細書、同第7423074号明細書、同第8529057号明細書、同第8835525号明細書、同第8993651号明細書、同第10301451号明細書、及び同第10465047号明細書に記載されている手順に従って調製することができる。
【0095】
任意の親水性ビニルモノマーを本発明で使用することができる。好ましい親水性ビニルモノマーの例は、アルキル(メタ)アクリルアミド(本出願で後述されるような)、ヒドロキシル含有アクリルモノマー(以下に記載されるような)、アミノ含有アクリルモノマー(本出願で後述されるような)、カルボキシル含有アクリルモノマー(本出願で後述されるような)、N-ビニルアミドモノマー(本出願で後述されるような)、メチレン含有ピロリドンモノマー(即ち、3-又は5-位でピロリドン環に結合したメチレン基をそれぞれが有するピロリドン誘導体)(本出願で後述されるような)、C1~C4アルコキシエトキシ基を有するアクリルモノマー(本出願で後述されるような)、ビニルエーテルモノマー(本出願で後述されるような)、アリルエーテルモノマー(本出願で後述されるような)、ホスホリルコリン含有ビニルモノマー(本出願で後述されるような)、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL)、N-カルボキシビニル-α-アラニン、及びそれらの組み合わせである。
【0096】
本発明のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズはまた、少なくとも1つの疎水性ビニルモノマー、少なくとも1つの非シリコーンビニル架橋剤、又はそれらの組み合わせの単位を更に含むこともできる。
【0097】
本発明に従って、いずれの疎水性ビニルモノマーも本発明内にあることができる。好ましい疎水性ビニルモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、スチレン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル、1-ブテン、ブタジエン、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、パーフルオロヘキシルエチル-チオ-カルボニル-アミノエチル-メタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0098】
本発明に従って、いずれの非シリコーンビニル架橋剤も本発明内であることができる。好ましい非シリコーンビニル架橋剤の例は、本出願で後述される。
【0099】
本発明に従って、本発明のシリコーンハイドロゲル(SiHy)コンタクトレンズは、任意のレンズ製造プロセスに従って製造することができる。当業者は、SiHyコンタクトレンズを作製する方法を非常によく知っている。例えば、SiHyコンタクトレンズは、例えば米国特許第3408429号明細書に記載されているような、従来の「スピン鋳型」において、又は米国特許第4347198号明細書、同第5508317号明細書、同第5583463号明細書、同第5789464号明細書、及び同第5849810号明細書に記載されているような、静的形態での完全キャスト成形プロセス、若しくはカスタマイズされたコンタクトレンズの作製に使用されるようなポリマー材料ボタンの旋盤切断によって製造することができる。キャスト成形において、重合性組成物(即ち、SiHyレンズ配合物)は、典型的には、金型に分配され、SiHyコンタクトレンズを作製するために金型中で硬化させられる(即ち、重合及び/又は架橋させられる)。
【0100】
SiHyコンタクトレンズなどのコンタクトレンズを作製するためのレンズ金型は、当業者によく知られており、例えば、キャスト成形又はスピンキャスティングに用いられる。例えば、金型(キャスト成形用の)は、一般に、少なくとも2つの金型片(若しくは部分)又は金型半体、即ち第1及び第2の金型半体を含む。第1の金型半体は、第1の成形(又は光学)面を画定し、第2の金型半体は、第2の成形(又は光学)面を画定する。第1及び第2の金型半体は、第1の成形面と第2の成形面との間にレンズ形成キャビティが形成されるように、互いに受け入れるように構成される。金型半体の成形面は、金型のキャビティ形成面であり、重合性組成物と直接接触する。
【0101】
コンタクトレンズをキャスト成形するための金型部分を製造する方法は、一般に当業者によく知られている。本発明のプロセスは、金型を形成する任意の特定の方法に限定されない。実際に、金型を形成する任意の方法を本発明で使用することができる。第1及び第2の金型半体は、射出成形又は旋盤などの、様々な技法により形成することができる。金型半体を形成するための好適なプロセスの例は、米国特許第4444711号明細書、同第4460534号明細書、同第5843346号明細書、及び同第5894002号明細書に開示されている。
【0102】
金型を製造するための当技術分野で公知の事実上全ての材料を、コンタクトレンズを作製するための金型を製造するために使用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PMMA、Topas(登録商標)COCグレード8007-S10(Frankfurt,Germany及びSummit,New JerseyのTicona GmbH製の、エチレンとノルボルネンとの透明な非晶質コポリマー)等などの、ポリマー材料を使用することができる。石英ガラス及びサファイアなどの、UV光透過を可能にする他の材料を使用することができよう。
【0103】
本発明に従って、重合性組成物は、任意の公知の方法に従って、金型によって形成されたキャビティ中へ導入する(分配する)ことができる。
【0104】
重合性組成物が金型中へ分配された後に、それは、SiHyコンタクトレンズを生成するために重合させられる。架橋は、好ましくは重合性組成物中の重合性成分を架橋させるために金型中の重合性組成物を化学線の空間的制限に曝すことによって、熱的に又は化学線的に開始することができる。
【0105】
成形されたSiHyコンタクトレンズを金型から取り外すことができるように金型を開けることは、それ自体公知の方法で行われ得る。
【0106】
成形されたSiHyコンタクトレンズは、未重合の重合性成分及び形成されたオリゴマーを除去するために、液体抽出媒体でのレンズ抽出にかけることができる。本発明に従って、抽出液体媒体は、乾燥コンタクトレンズ中の有機溶媒、未重合の重合性材料、及びオリゴマーを溶解させることができる任意の溶媒である。水、当業者に公知の任意の有機溶媒、又はそれらの混合物を本発明で使用することができる。好ましくは、抽出液体媒体に使用される有機溶媒は、水、緩衝食塩水、C1~C3アルキルアルコール、1,2-プロピレングリコール、約400ダルトン以下の数平均分子量を有するポリエチレングリコール、C1~C6アルキルアルコール、又はそれらの組み合わせである。
【0107】
抽出後に、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、当業者に公知の任意の方法に従って、液体抽出媒体を置き換えるために水又は水溶液中で水和させることができる。
【0108】
水和されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、例えば、表面処理、当業者によく知られているパッケージング溶液でのレンズパッケージにおけるパッケージング;118~124℃で少なくとも約30分間のオートクレーブなどの滅菌等などの、更なるプロセス更にかけることができる。
【0109】
レンズパッケージ(又は容器)は、ソフトコンタクトレンズをオートクレーブ処理し、保存することに関して当業者によく知られている。任意のレンズパッケージを本発明で使用することができる。好ましくは、レンズパッケージは、ベースとカバーとを含むブリスターパッケージであり;ここで、カバーは、ベースに着脱可能なように密封され、ここで、ベースは、滅菌パッケージング溶液とコンタクトレンズとを受け入れるためのキャビティを含む。
【0110】
レンズは、個別のパッケージにパッケージングされ、密封され、使用者に分配される前に(例えば、加圧下に少なくとも30分間約120℃以上でオートクレーブにより)滅菌される。当業者は、レンズパッケージを密封する及び滅菌する方法をよく理解するであろう。
【0111】
SiHyコンタクトレンズ配合物はまた、当業者に公知であるような、フリーラジカル開始剤(例えば、熱重合開始剤、光開始剤)、UV吸収ビニルモノマー、高エネルギー紫外線(「HEVL」)吸収ビニルモノマー、可視性着色剤(例えば、反応染料、重合性染料、顔料、抗菌剤(例えば、好ましくは銀ナノ粒子)、生物活性剤、浸出性ポリマー湿潤剤(例えば、非重合性の親水性ポリマー等)、浸出性涙安定剤(例えば、リン脂質、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、糖脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴ脂質、スフィンゴ-糖脂質等)、及びそれらの混合物などの、当業者に公知の他の必要な成分を含むことができる。
【0112】
任意の熱重合開始剤を本発明で使用することができる。好適な熱重合開始剤は、当業者に公知であり、例えば、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、アゾ-ビス(アルキル-又はシクロアルキルニトリル)、過硫酸塩、ペルカーボネート、又はそれらの混合物を含む。好ましい熱重合開始剤の例としては、限定なしに、ベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシド、t-アミルペルオキシベンゾエート、2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、ビス(1-(tert-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジ-t-ブチル-ジペロキシフタレート、t-ブチルヒドロペルオキシド、t-ブチルペルアセテート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、アセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(Perkadox 16S)、ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、t-ブチルペルオキシピバレート(Lupersol 11);t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(Trigonox 21-C50)、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、ジクミルペルオキシド、過酢酸、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(VAZO 33)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩(VAZO 44)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(VAZO 50)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(VAZO 52)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO 64又はAIBN)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(VAZO 67)、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO 88);2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(メチルイソブチレート)、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、熱開始剤は、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN又はVAZO 64)である。
【0113】
好適な光開始剤は、ベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン並びにDarocur及びIrgacurタイプ、好ましくはDarocur 1173(登録商標)及びDarocur 2959(登録商標)、ゲルマニウム系のノリッシュI型光開始剤(例えば、米国特許第7,605,190号明細書に記載されているもの)である。ベンゾイルホスフィン開始剤の例としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-N-プロピルフェニルホスフィンオキシド;及びビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-N-ブチルフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。例えば、マクロマー中へ組み込むことができる又は特殊なモノマーとして使用することができる反応性光開始剤も好適である。反応性光開始剤の例は、欧州特許第632329号明細書に開示されているものである。好ましくは、SiHyコンタクトレンズを作製するためのSiHyレンズ配合物は、ベンゾイルホスフィンオキシド光開始剤、ゲルマニウム系ノリッシュI型光開始剤、又はそれらの組み合わせなどの、可視光によって開始することができる少なくとも1つの光開始剤を含む。
【0114】
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)は、当業者に公知であるように、全ての重合性成分と他の必要な成分とを混合することによって調製される無溶媒の透明な液体、又は水と、水と混和性の1つ以上の有機溶媒との混合物、有機溶媒、若しくは1つ以上の有機溶媒の混合物などの、任意の好適な溶媒中に所望の成分の全てを溶解させることによって調製される溶液であることができる。「溶媒」という用語は、フリーラジカル重合反応に関与することができない化学物質を指す。
【0115】
無溶媒レンズSiHyレンズ配合物は、典型的には、無溶媒SiHyレンズ配合物の全ての他の重合性成分を溶解させるための反応性溶媒として少なくとも1つのブレンディングビニルモノマーを含む。好ましいブレンディングビニルモノマーの例は、本出願で後述される。好ましくは、メチルメタクリレートが、無溶媒SiHyレンズ配合物を調製する際にブレンディングビニルモノマーとして使用される。
【0116】
任意の溶媒を本発明で使用することができる。好ましい有機溶媒の例としては、限定なしに、テトラヒドロフラン、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールn-ブチルエーテル、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸i-プロピル、塩化メチレン、2-ブタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、メントール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール及びエキソノルボルネオール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、3-メチル-2-ブタノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、2-ノナノール、2-デカノール、3-オクタノール、ノルボルネオール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、2-メチル-2-ペンタノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3-メチル-3-ペンタノール、1-メチルシクロヘキサノール、2-メチル-2-ヘキサノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-クロロ-2-メチル-2-プロパノール、2-メチル-2-ヘプタノール、2-メチル-2-オクタノール、2-2-メチル-2-ノナノール、2-メチル-2-デカノール、3-メチル-3-ヘキサノール、3-メチル-3-ヘプタノール、4-メチル-4-ヘプタノール、3-メチル-3-オクタノール、4-メチル-4-オクタノール、3-メチル-3-ノナノール、4-メチル-4-ノナノール、3-メチル-3-オクタノール、3-エチル-3-ヘキサノール、3-メチル-3-ヘプタノール、4-エチル-4-ヘプタノール、4-プロピル-4-ヘプタノール、4-イソプロピル-4-ヘプタノール、2,4-ジメチル-2-ペンタノール、1-メチルシクロペンタノール、1-エチルシクロペンタノール、1-エチルシクロペンタノール、3-ヒドロキシ-3-メチル-1-ブテン、4-ヒドロキシ-4-メチル-1-シクロペンタノール、2-フェニル-2-プロパノール、2-メトキシ-2-メチル-2-プロパノール、2,3,4-トリメチル-3-ペンタノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、2-フェニル-2-ブタノール、2-メチル-1-フェニル-2-プロパノール及び3-エチル-3-ペンタノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルプロピオンアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルプロピオンアミド、N-メチルピロリドン、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0117】
SiHyレンズ配合物(即ち、重合性組成物)は、好ましくはコンタクトレンズのキャスト成形用の金型中で、当業者に公知であるように熱的に又は化学線的に硬化させる(重合させる)ことができる。
【0118】
熱重合は、例えば、25~120℃、好ましくは40~100℃の温度で、都合よく実施される。反応時間は、広い範囲内で変動し得るが、好都合には、例えば1~24時間又は好ましくは2~12時間である。重合反応に使用される成分及び溶媒を予め脱気すること、及び不活性雰囲気下で、例えば窒素又はアルゴンの雰囲気下で前記共重合反応を実施することが有利である。
【0119】
次いで、化学線重合は、化学線、例えば光、特に好適な波長のUV光又は可視光によって引き起こすことができる。必要に応じて、好適な光増感剤の添加により、スペクトル要件を適切に制御することができる。
【0120】
本発明の様々な実施形態が、特定の用語、デバイス、及び方法を用いて記載されてきたが、そのような記載は、例示目的のみのためである。用いられる語は、限定の語よりもむしろ説明の語である。以下の特許請求の範囲において明記される、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく当業者によって変更及び変動が行われ得ることが理解されるべきである。加えて、以下に例示されるように、様々な実施形態の態様は、全体的にか若しくは部分的にかのどちらかで交換され得るか、又はいずれかの様式で組み合わせる及び/若しくは一緒に使用することができることが理解されるべきである:
【0121】
実施形態1.親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤であって、
(1)ジメチルシロキサン単位及び1つのメチル置換基と1つのホスホリルコリン部分を有する1つの有機置換基とを有する少なくとも1つの親水化シロキサン単位を含むポリジオルガノシロキサンセグメントと;
(2)エチレン性不飽和基と
を含む架橋剤。
【0122】
実施形態2.ポリジオルガノシロキサンセグメントは、6~500のジメチルシロキサン単位を含む、実施形態1の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0123】
実施形態3.ポリジオルガノシロキサンセグメントは、10~450のジメチルシロキサン単位を含む、実施形態1の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0124】
実施形態4.ポリジオルガノシロキサンセグメントは、15~400のジメチルシロキサン単位を含む、実施形態1の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0125】
実施形態5.ポリジオルガノシロキサンセグメントは、20~350のジメチルシロキサン単位を含む、実施形態1の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0126】
実施形態6.ポリジオルガノシロキサンセグメントは、3~80の親水化シロキサン単位を含む、実施形態1~5のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0127】
実施形態7.ポリジオルガノシロキサンセグメントは、5~70の親水化シロキサン単位を含む、実施形態1~5のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0128】
実施形態8.ポリジオルガノシロキサンセグメントは、7~60の親水化シロキサン単位を含む、実施形態1~5のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0129】
実施形態9.ポリジオルガノシロキサンセグメントは、9~50の親水化シロキサン単位を含む、実施形態1~5のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0130】
実施形態10.エチレン性不飽和基は、(メタ)アクリロイル基である、実施形態1~9のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0131】
実施形態11.親水化シロキサン単位対ジメチルシロキサン単位のモル比は、約0.002~約0.50である、実施形態1~10のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0132】
実施形態12.親水化シロキサン単位対ジメチルシロキサン単位のモル比は、約0.002~約0.20である、実施形態1~10のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0133】
実施形態13.親水化シロキサン単位対ジメチルシロキサン単位のモル比は、約0.004~約0.1である、実施形態1~10のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0134】
実施形態14.親水化シロキサン単位対ジメチルシロキサン単位のモル比は、約0.004~約0.05である、実施形態1~10のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0135】
実施形態15.親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、少なくとも1000ダルトンの数平均分子量を有する、実施形態1~14のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0136】
実施形態16.親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、1500ダルトン~80000ダルトンの数平均分子量を有する、実施形態1~14のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0137】
実施形態17.親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、2000~50000ダルトンの数平均分子量を有する、実施形態1~14のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0138】
実施形態18.親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、2500~25000ダルトンの数平均分子量を有する、実施形態1~14のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0139】
実施形態19.親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、式(1)又は(2)
【化19】
[式中:
υ1は6~500の整数であり;
ω1は3~80の整数であり;
γ1は1~78の整数であり;
E
1は、
【化20】
の一価基であり;
E
2は、
【化21】
の一価基であり;
R
0は、水素又メチルであり;
a1は、ゼロ又は1であり;
X
0は、O又はNR
N1であり;
R
N1は、水素又はC
1~C
6アルキルであり;
L
0は、C
2~C
8アルキレン二価基であるか、又は
【化22】
の二価基であり;
L
0’は、C
2~C
8アルキレン二価基であり;
L
0’’は、C
3~C
8アルキレン二価基であり;
X
1は、-O-、-NR
N1-、-NHCOO-、-OCONH-、-CONR
N1-、又は-NR
N1CO-であり;
q1は1~20の整数であり;
R
PCは、
【化23】
の一価基であり;
L
eは、
【化24】
の二価基であり;
R
1は、線状若しくは分岐状C
1~C
10アルキレン二価基であり;
R
2は、線状若しくは分岐状C
3~C
10アルキレン二価基であり;
R
3は、直接結合又は線状若しくは分岐状C
1~C
4アルキレン二価基であり;
nは1~5の整数であり;
R’及びR’’は、互いに独立して、C
1~C
8アルキル又はC
1~C
8ヒドロキシアルキルであり;
R’’’は、C
1~C
8アルキレン二価基であり;
T
1は、水素、ヒドロキシル基又はC
1~C
4アルコキシであり;
T
2は、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8ヒドロキシアルキル、R
4-O-R
5-、又は-R
PC-T
1であり;
R
4は、H又はC
1~C
4アルキルであり;
R
5は、C
2~C
8アルキレン二価基である]
によって定義される、実施形態1~18のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0140】
実施形態20.式(1)又は(2)において、υ1は10~450の整数である、実施形態19の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0141】
実施形態21.式(1)又は(2)において、υ1は15~400の整数である、実施形態19に記載の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0142】
実施形態22.式(1)又は(2)において、υ1は20~350の整数である、実施形態19の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0143】
実施形態23.式(1)又は(2)において、ω1は5~70の整数である、実施形態19~22のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0144】
実施形態24.式(1)又は(2)において、ω1は7~60の整数である、実施形態19~22のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0145】
実施形態25.式(1)又は(2)において、ω1は9~50の整数である、実施形態19~22のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0146】
実施形態26.親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、式(1)で表される、実施形態19~25のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0147】
実施形態27.式(1)において、a1はゼロである、実施形態26の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0148】
実施形態28.式(1)において、X0はOである、実施形態27の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0149】
実施形態29.式(1)において、X0はNRN1である、実施形態27の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0150】
実施形態30.親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は式(2)で表される、実施形態19~25のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0151】
実施形態31.式(2)において、X0はOである、実施形態30の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0152】
実施形態32.式(2)において、X0はNRN1である、実施形態30の親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤。
【0153】
実施形態33.実施形態1~32のいずれか一つの親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤の単位を含む架橋ポリマー材料を含む、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0154】
実施形態34.シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、完全に水和されたときに、少なくとも約40バーラーの酸素透過係数(Dk)、約15重量%~約70重量%の含水量、及び約0.20MPa~約1.8MPaの弾性率を有する、実施形態33のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0155】
実施形態35.シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、完全に水和されたときに、少なくとも約60バーラーの酸素透過係数(Dk)を有する、実施形態33又は34のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0156】
実施形態36.シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、完全に水和されたときに、少なくとも約70バーラーの酸素透過係数(Dk)を有する、実施形態33又は34のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0157】
実施形態37.シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、完全に水和されたときに、少なくとも約80バーラーの酸素透過係数(Dk)を有する、実施形態33又は34のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0158】
実施形態38.シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、完全に水和されたときに、約20重量%~約70重量%の含水量を有する、実施形態33~37のいずれか一つのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0159】
実施形態39.シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、完全に水和されたときに、約25重量%~約65重量%の含水量を有する、実施形態33~38のいずれか一つのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0160】
実施形態40.シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、完全に水和されたときに、約30重量%~約60重量%の含水量を有する、実施形態33~38のいずれか一つのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0161】
実施形態41.親水化シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、完全に水和されたときに、約0.25MPa~約1.5MPaの弾性率を有する、実施形態33~40のいずれか一つのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0162】
実施形態42.親水化シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、完全に水和されたときに、約0.3MPa~約1.2MPaの弾性率を有する、実施形態33~40のいずれか一つのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0163】
実施形態43.親水化シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、完全に水和されたときに、約0.4MPa~約1.0MPaの弾性率を有する、実施形態33~40のいずれか一つのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0164】
実施形態44.シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、少なくとも1つのシリコーン含有重合性成分の単位と少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの単位とを含む、実施形態33~43のいずれか一つのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0165】
実施形態45.シリコーンハイドロゲルコンタクト材料は、ビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル基を有するビニルモノマー、トリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基を有するビニルモノマー、ポリシロキサンビニルモノマー、3-メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、t-ブチルジメチル-シロキシエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、及びトリメチルシリルメチルビニルカーボネート、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのシリコーン含有ビニルモノマーの繰り返し単位を含む、実施形態33~44のいずれか一つのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0166】
実施形態46.シリコーンハイドロゲルコンタクト材料は、式(M1)又は(M2)
【化25】
[式中:a
M1は、ゼロ又は1であり;R
M0は、H又はメチルであり;X
M0は、O又はNR
M1であり;L
M1は、C
2~C
8アルキレン二価基又は
【化26】
の二価基であり;L
M1’は、ゼロ若しくは1つのヒドロキシル基を有するC
2~C
8アルキレン二価基であり;L
M1’’は、ゼロ若しくは1つのヒドロキシル基を有するC
3~C
8アルキレン二価基であり;X
M1は、O、NR
M1、NHCOO、OCONH、CONR
M1、又はNR
M1COであり;R
M1は、H又は0~2のヒドロキシル基を有するC
1~C
4アルキルであり;R
t1及びR
t2は、互いに独立して、C
1~C
6アルキルであり;X
M1’は、O又はNR
1であり;v1は1~30の整数であり、v2は0~30の整数であり;n1は3~40の整数であり;r1は、2又は3である]
の少なくとも1つのシリコーン含有ビニルモノマーの繰り返し単位を含む、実施形態33~44のいずれか一つのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0167】
実施形態47.前記少なくとも1つのシリコーン含有ビニルモノマーは、トリス(トリメチルシリルオキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、[3-(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ]プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、[3-(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ]プロピルビス(トリメチルシロキシ)ブチルシラン、3-(メタ)アクリルオキシ-2-(2-ヒドロキシエトキシ)-プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、3-(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、N-[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]-(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシ-3-(3-(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシ-3-(3-(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)-プロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシ-3-(3-(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)-2-メチルアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシ-3-(3-(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)(メタ)アクリルアミド、N-[トリス(ジメチルプロピルシロキシ)シリルプロピル]-(メタ)アクリルアミド、N-[トリス(ジメチルフェニルシロキシ)-シリルプロピル](メタ)アクリルアミド、N-[トリス(ジメチルエチルシロキシ)-シリルプロピル](メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)-プロピルオキシ)プロピル]-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)-プロピル](メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)-プロピルオキシ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N-[2-ヒドロキシ-3-(3-(t-ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)-プロピル]-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N-[2-ヒドロキシ-3-(3-(t-ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(t-ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N-2-(メタ)アクリルオキシエチル-O-(メチル-ビス-トリメチルシロキシ-3-プロピル)シリルカルバメート、3-(トリメチルシリル)プロピルビニルカーボネート、3-(ビニルオキシカルボニルチオ)-プロピル-トリス(トリメチルシロキシ)シラン、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態45又は46のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0168】
実施形態48.前記少なくとも1つのシリコーン含有ビニルモノマーは、α-(メタ)アクリルオキシプロピル末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-(2-ヒドロキシル-メタクリロキシプロピルオキシプロピル)-ω-C1~C4アルキル-デカメチルペンタシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルオキシエトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルオキシ-プロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルオキシイソプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルオキシブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルオキシエチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルオキシプロピルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリロキシ-ブチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-(メタ)アクリロキシ(ポリエチレンオキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-エトキシプロピル]末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル-N-エチルアミノプロピル]末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル-アミノプロピル]末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-(ポリエチレンオキシ)プロピル]末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-(メタ)アクリロイルアミドプロピルオキシプロピル末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-N-メチル-(メタ)アクリロイルアミドプロピルオキシプロピル末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルアミドエトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-プロピル]末端ω-C1~C4アルキルポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルアミドプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルアミドイソプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルアミドブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリロイルアミド-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-C1~C4アルキルポリジメチルシロキサン、α-[3-[N-メチル-(メタ)アクリロイルアミド]-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、N-メチル-N’-(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)(メタ)アクリルアミド、N-(2,3-ジヒドロキシプロパン)-N’-(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルアミドプロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン、α-ビニルカーボネート末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-ビニルカルバメート末端ω-C1~C4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、又はそれらの混合物を含む、実施形態45~47のいずれか一つのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0169】
実施形態49.シリコーンハイドロゲル材料は、少なくとも1つのポリシロキサンビニル架橋剤の繰り返し単位を含む、実施形態33~48のいずれか一つのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0170】
実施形態50.前記少なくとも1つのポリシロキサンビニル架橋剤は、ジ(メタ)アクリロイル末端ポリジメチルシロキサン、ジビニルカーボネート末端ポリジメチルシロキサン、ジビニルカルバメート末端ポリジメチルシロキサン、N,N,N’,N’-テトラキス(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロピル)-アルファ,オメガ-ビス-3-アミノプロピル-ポリジメチルシロキサン、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態49のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0171】
実施形態51.前記少なくとも1つのポリシロキサンビニル架橋剤は、式(I)
【化27】
[式中:
d2/d1が約0.035~約0.15(好ましくは約0.040~約0.12、更により好ましくは約0.045~約0.10)であることを条件として、d1は30~500の整数であり、d2は1~75の整数であり;
X
01は、O又はNR
INであり、ここで、R
INは、水素又はC
1~C
10アルキルであり;
R
I0は、水素又はメチルであり;
R
I1及びR
I2は、互いに独立して、置換若しくは非置換C
1~C
10アルキレン二価基又は-R
I4-O-R
I5-の二価基であり、ここでR
I4及びR
I5は、互いに独立して、置換又は非置換C
1~C
10アルキレン二価基であり;
R
I3は、式(Ia)~(Ie)
【化28】
のいずれか一つの一価基であり;
k1は、ゼロ又は1であり;m1は2~4の整数であり;m2は1~5の整数であり;m3は3~6の整数であり;m4は2~5の整数であり;
R
I6は、水素又はメチルであり;
R
I7は、(m2+1)の価数を有するC
2~C
6炭化水素基であり;
R
I8は、(m4+1)の価数を有するC
2~C
6炭化水素基であり;
R
I9は、エチル又はヒドロキシメチルであり;
R
I10は、メチル又はヒドロメチルであり;
R
I11は、ヒドロキシル又はメトキシであり;
X
I1は、-S-の硫黄結合又は-NR
I12-の第三級アミノ結合であり、ここでR
I12は、C
1~C
1アルキル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、又は2,3-ジヒドロキシプロピルであり;
X
I2は、
【化29】
のアミド結合であり、ここでR
I13は、水素又はC
1~C
10アルキルである]
のビニル架橋剤を含む、実施形態49又は50のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0172】
実施形態52.前記少なくとも1つのポリシロキサンビニル架橋剤は、(1)1つの唯一のポリジオルガノシロキサンセグメントと、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニルカーボネート基、ビニルカルバメート基からなる群から選択される2つの末端エチレン性不飽和基とを含むビニル架橋剤、並びに/又は(2)少なくとも2つのポリジオルガノシロキサンセグメント、及びポリジオルガノシロキサンセグメントの各対と(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニルカーボネート基、ビニルカルバメート基からなる群から選択される2つの2つの末端エチレン性不飽和基との間の共有結合リンカーを含む鎖延長ポリシロキサンビニル架橋剤を含む、実施形態49~51のいずれか一つのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0173】
実施形態53.前記少なくとも1つのポリシロキサンビニル架橋剤は、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシエトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシ-イソプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドエトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドイソプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシエチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシプロピルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシブチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルアミドエチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-プロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドプロピルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミド-ブチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-エトキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル-N-エチルアミノプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル-アミノプロピル]-ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-(ポリエチレンオキシ)プロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシエチルアミノ-カルボニルオキシ-エトキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシエチルアミノ-カルボニルオキシ-(ポリエチレンオキシ)プロピル]末端ポリジメチルシロキサン、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態49~52のいずれか一つのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0174】
実施形態54.シリコーンハイドロゲル材料は、少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの繰り返し単位を含む、いずれか一つの実施形態33~53のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0175】
実施形態55.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、(1)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるアルキル(メタ)アクリルアミド;(2)N-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500以下の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500以下の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるヒドロキシル含有アクリルモノマー;(3)2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、3-(メタ)アクリルアミドプロピオン酸、5-(メタ)アクリルアミドペンタン酸、4-(メタ)アクリルアミドブタン酸、3-(メタ)アクリルアミド-2-メチルブタン酸、3-(メタ)アクリルアミド-3-メチルブタン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2メチル-3,3-ジメチルブタン酸、3-(メタ)アクリルアミドヘキサン酸、4-(メタ)アクリルアミド-3,3-ジメチルヘキサン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるカルボキシル含有アクリルモノマー;(4)N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルアンモニウム 2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート塩酸塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ含有アクリルモノマー;(5)N-ビニルピロリドン(N-ビニル-2-ピロリドンとしても知られている)、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン(N-ビニル-2-ピペリドンとしても知られている)、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム(N-ビニル-2-カプロラクタムとしても知られている)、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるN-ビニルアミドモノマー;(6)1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-n-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-tert-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるメチレン含有ピロリドンモノマー;(7)C1~C4アルコキシエトキシ基を有する並びにエチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、1500以下の数平均分子量を有するC1~C4アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500以下の数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるアクリルモノマー;(8)エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるビニルエーテルモノマー;(9)エチレングリコールモノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、エチレングリコールメチルアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるアリルエーテルモノマー;(10)(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-(ビニルカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ブテノイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるホスホリルコリン含有ビニルモノマー;(11)アリルアルコール;(12)N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート;(13)N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL);(14)N-カルボキシビニル-α-アラニン;(15)又はそれらの組み合わせを含む、実施形態54のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0176】
実施形態56.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態54又は55のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0177】
実施形態57.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドを含む、実施形態54~56のいずれか一つのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0178】
実施形態58.前記少なくとも1つの親水性ビニルモノマーは、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態54~57のいずれか一つのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0179】
実施形態59.シリコーンハイドロゲル材料は、少なくとも1つの非シリコーンビニル架橋剤の繰り返し単位を含む、実施形態33~58のいずれか一つのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0180】
実施形態60.前記少なくとも1つの非シリコーンビニル架橋剤は、エチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、グリセロールジ-(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ-(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ-(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ-(メタ)アクリレート、グリセロール1,3-ジグリセロレートジ-(メタ)アクリレート、エチレンビス[オキシ(2-ヒドロキシプロパン-1,3-ジイル)]ジ-(メタ)アクリレート、ビス[2-(メタ)アクリルオキシエチル]ホスフェート、トリメチロールプロパンジ-(メタ)アクリレート、及び3,4-ビス[(メタ)アクリロイル]テトラヒドロフラン、ジアクリルアミド、ジメタクリルアミド、N,N-ジ(メタ)アクリロイル-N-メチルアミン、N,N-ジ(メタ)アクリロイル-N-エチルアミン、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジヒドロキシエチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-プロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-2-ヒドロキシプロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-2,3-ジヒドロキシブチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,3-ビス(メタ)アクリルアミドプロパン-2-イルリン酸二水素塩、ピペラジンジアクリルアミド、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメチロプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、N-アリル-メタアクリルアミド、N-アリル-アクリルアミド、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態59のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0181】
実施形態61.シリコーンハイドロゲル材料は、少なくとも1つのブレンディングビニルモノマーの繰り返し単位を含む、実施形態33~60のいずれか一つのシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0182】
実施形態62.前記少なくとも1つのブレンディングビニルモノマーは、C1~C10アルキル(メタ)アクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、スチレン、4,6-トリメチルスチレン(TMS)、t-ブチルスチレン(TBS)、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロ-イソプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態61のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0183】
実施形態63.前記少なくとも1つのブレンディングビニルモノマーは、メチルメタクリレートを含む、実施形態61又は62のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0184】
上記開示は、当業者が本発明を実施することを可能にするであろう。様々な修正、変形、及び組み合わせを本明細書に記載される様々な実施形態に対して行うことができる。読者が特定の実施形態及びそれの利点を理解することをよりよく可能にするために、以下の実施例への参照が提案される。本明細書及び実施例は、例示的であると考えられることが意図される。
【実施例】
【0185】
実施例1
酸素透過係数の測定
明記しない限り、レンズ及びレンズ材料の酸素透過係数(Dk/t)、固有の(又はエッジ補正された)酸素透過係数(Dki又はDkc)は、ISO 18369-4に記載される手順に従って測定する。
【0186】
平衡含水量
コンタクトレンズの平衡含水量(EWC)は、以下のとおりに測定する。
【0187】
生理食塩水中で完全に平衡化される、水和ハイドロゲルコンタクトレンズ中に存在する水の量(重量パーセントとして表される)は、室温で測定する。レンズを迅速に積み重ね、レンズを布において拭った後にレンズスタックを分析天びん上のアルミパンに移す。各試料パンについてのレンズの数は、典型的には、5つである。パン+レンズの水和重量を記録する。パンをアルミ箔で被う。パンを100±2℃での実験室用オーブン中に入れて16~18時間乾燥させる。パン+レンズをオーブンから取り出し、デシケーター中で少なくとも30分間冷却する。デシケーターからただ一つのパンを取り出し、アルミ箔を捨てる。パン+乾燥レンズ試料を分析天びんで秤量する。全てのパンについて繰り返す。レンズ試料の湿潤重量及び乾燥重量は、空の秤量パンの重量を差し引くことで計算することができる。
【0188】
弾性率
コンタクトレンズの弾性率は、MTSインサイト機器を使用して測定する。コンタクトレンズを、先ずPrecision Conceptの2ステージカッターを使用して幅3.12mmのストリップへカットする。5つの厚さ値を6.5mmゲージ長以内で測定する。ストリップを機器グリップに取り付け、21±2℃に制御された温度でPBS(リン酸緩衝生理食塩水)中に沈める。典型的には、5Nロードセルを試験のために使用する。試料が破損するまで、一定の力及び速度を試料に加える。力及び変位データをTestWorksソフトウェアによって収集する。弾性率値は、TestWorksソフトウェアによって計算され、それは、弾性変形領域における、ゼロの伸び近傍での応力対ひずみ曲線の傾き又は接線である。
【0189】
実施例2
ペンダント反応性官能基(例えば、第一級ヒドロキシル基)を有するポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤を、スキーム1に示される手順に従って調製する。
【化30】
【0190】
前駆体の合成
275.9gのオクタメチルシクロテトラシロキサン(M.W.296.62)、12.0gの1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン(M.W.240.51)、15.3gの1,3-ビス(3-メタクリルオキシプロピル)テトラメチルジシロキサン(M.W.386.63)、及び0.9gのトリフルオロメタンスルホン酸(M.W.150.08)を、500mLの丸底フラスコに量り入れる。35℃で24h反応させた後、170mLの0.5%炭酸水素ナトリウムを加える。集めた有機部分を、脱イオン水で更に5回抽出する(1サイクル当たり170mL)。無水MgSO4、続いて約350mLの追加のCHCl3を集めた有機溶液に加え、次いで溶液を一晩攪拌する。濾過後に、Rotovap、続いて高真空により溶媒を除去する。102gの最終生成物(前駆体)が得られる。
【0191】
アリルオキシエタノールを使ったヒドロシリル化反応
小さい反応器をヒーター及び乾燥管付き空気凝縮器に接続する。21gのトルエン、15gの上記前駆体、及び3.88gのアリルオキシエタノールを反応器に加える。溶液温度が30℃で安定した後、152μLのKarstedt触媒(キシレン中の2Pt%)を加える。2時間後に、IRに基づいて100%のSi-Hの変換が達成される。次いで、溶液をフラスコに移し、Rotovopを使用して濃縮し、これに3回のアセトニトリル/水混合物(75/25)中での沈澱が続く。Rotovopによる溶媒の除去、続いて高真空の後に、10gの濁った液体が得られる。分子量は、H1NMR分光法によって決定する。
【0192】
実施例3
親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤を、スキーム2に示される手順に従って調製する。
【化31】
【0193】
親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤1の合成を、低温(例えば、約-10℃)でTHF(又は適合性溶媒)中でヒドロキシル基含有PDMS 2を市販の2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホラン(COP)と反応させて中間体3を生成し、それを順繰りにわずかに高い温度(例えば、50℃)でTHF(又は適合性溶媒)中でトリメチルアミンと反応させることによって成し遂げる。親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤の調製のための反応条件は、2-(メタクリロイルオキシ)エチル-2-(トリメチルアンモニウム)エチルホスフェート(MPC)の合成に関する文献(Takashi Umeda,Tadao Nakaya,Minoru Imoto,Makromol.Chem.,Rapid Commun.3,457-459(1982)及びKazuhiko Ishihara,Tomoko Ueda,Nobuko Nakabayashi,Polymer Journal,22,355-360(1990)を参照されたい)に記載されているものに類似の手順及びエチレン環状ホスフェート含有PDMS 3-Aとジメチルアミノプロピルメタリルアミドとの間の反応に関与するそれらの手順を除いて実施例4に例示されるそれらの手順に従うことができる。
【0194】
次いで、親水化ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、実施例4に記載される実験手順に従って精製し、キャラクタリゼーションすることができる。
【0195】
実施例4
実施例4において実施される反応は、下のスキーム3にまとめられる。
【化32】
【0196】
機械撹拌機、熱電対、窒素供給口(凝縮器に取り付けされた)、セプタム及び凝縮器を備えた500mLのジャケット付き反応器を-10℃に冷却し、100mL/分の速度において60分間窒素でパージする。
【0197】
ヒドロキシル基含有PDMS 2-A(6.10g、MW約10,000g/mol、x=88、y=23)を、磁気攪拌機を備えた三角フラスコ中に装入し、フラスコにゴムセプタムで蓋をする。無水THF(75mL)を、セプタムを通してフラスコにカヌーレ挿入する。フラスコの内容物を、全てのポリマーが溶解するまで室温で撹拌するに任せ、次いでそれを反応器にカヌーレ挿入する。トリエチルアミン(1.45g、14.33mmol)を注射器によって反応器に加える。
【0198】
2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホラン(COP)(2.03g、14.25mmol)を30mLのTHFに溶解させ、20インチのステンレス鋼針を備えた500mLのHamilton Gas Tight注射器に装入する。注射器をHarvard PHD Infusion注射器ポンプに固定し、ゴムセプタムを通してステンレス鋼針を反応器へ挿入する。
【0199】
THF中のCOPの溶液を、50分にわたって注射器ポンプによって加え、この時間中、反応器の温度を-10℃~-8℃に維持する。COPの添加後に、反応混合物を約-8℃で2h更に撹拌してエチレン環状ホスフェート含有PDMS 3-Aを形成する。この時間中に、かなりの量のトリエチルアンモニウム塩酸塩が沈澱する。-8℃で2時間撹拌した後、反応の温度を25℃に上げ、20mLのTHF中のジメチルアミノプロピルメタクリアミド(0.45g、2.64mmol)を反応器に加える。反応の温度を50℃に上げ、それを18時間撹拌するに任せる。次いで反応混合物を0℃に冷却し、THF中のトリメチルアミン(THF中の1.0M、20mL、20mmol)を注射器によって加える。それを50℃で6時間撹拌するに任せ、次いで反応器の温度を0℃に下げ、追加量のTHF中のトリメチルアミン溶液を加える(10mL)。反応の温度を50℃に上げ、それを追加の23時間撹拌するに任せる。
【0200】
反応器の内容物をビーカーに移す。第1ステップにおいて沈澱したトリエチルアンモニウム塩酸塩を濾別し、THFで洗浄する。1-プロパノールを濾液に加え、それを回転蒸発にかける。蒸発及び1-プロパノールの徐々の添加は、全てのTHFが蒸発するまで続いた。1-プロパノール中の修飾ポリマーを1kDa MWCO Regenerated Cellulose Membrane(再生セルロース膜)における透析によって精製する。透析は、50:50の1-プロパノール/水溶媒系でスタートし、徐々に純DI水に切り替える。透析後に、436gのポリマー水溶液を集める。Porosity 3 Schott漏斗を通して溶液を濾過し、1.8%固形分に達するまでロータリーエバポレーターで濃縮する。合計250gの1.8%溶液が蒸発後に得られる。
【0201】
1.8%ポリマー水溶液の更なる濃縮は、白色のゴムのような塊としてポリマーの沈澱をもたらす。1-プロパノール/水の添加は、それを溶解し戻すが、再溶解は長時間を要し、これ故に、溶液がわずかに濁るようになり始めるときにポリマーの濃縮を停止することが勧められる。
【0202】
所望の生成物の形成は、31P NMR(-0.09ppmにおけるピーク)と、1H NMR(5.637及び5.390ppmにおけるピーク(メタクリルアミド)並びに3.126及び3.113ppm(-N+(CH3)3及び(-N+(CH3)2-CH2-)とによって確認される。
【0203】
本明細書において上で引用された、全ての刊行物、特許、及び公開特許公報は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
【国際調査報告】