(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】歪んだ形状を有する深部構造の正確な測定のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20240201BHJP
G01B 15/04 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G01B15/04 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546290
(86)(22)【出願日】2022-02-02
(85)【翻訳文提出日】2023-08-31
(86)【国際出願番号】 US2022015001
(87)【国際公開番号】W WO2022173634
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘンチ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ズィウラ サディアス ジェラード
【テーマコード(参考)】
2F067
4M106
【Fターム(参考)】
2F067AA22
2F067AA24
2F067AA52
2F067BB04
2F067CC17
2F067EE04
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2F067RR31
2F067RR35
4M106AA01
4M106CA39
4M106DB02
4M106DB07
4M106DH25
4M106DH34
4M106DJ20
(57)【要約】
X線スキャトロメトリ測定に基づき、高アスペクト比の半導体構造の面内歪み形状を特徴付ける幾何学パラメータの値を推定する方法とシステムが本明細書で提示される。パラメータ化された幾何学モデルは、穴形状の面内非楕円歪みの散乱シグネチャーを捉える。穴構造の面内形状を記述するために採用する独立したパラメータの数を増やすことにより、高アスペクト比構造の実際の形状に対するモデルの適合性が向上する。一態様では、幾何学的にパラメータ化された測定モデルは、測定された構造の面内形状を特徴付けるために2つ以上の自由度を含む。いくつかの実施形態では、幾何学モデルは、3自由度以上を有する閉曲線を含む。いくつかの実施形態では、幾何学モデルは、2つ以上の円錐断面の区分的集合体を含む。独立した幾何学モデルパラメータは、深さの関数として表現され、構造物を通る形状変化を捕捉する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハ上に作製された1つ以上の構造を含む測定スポットに向けてある量のX線照明光を提供するステップと、
前記X線照明光の量に応答して、前記半導体ウェハから反射または前記半導体ウェハを透過したX線光の量を検出するステップと、
前記検出されたX線光量に基づいて、1つ以上の構造の幾何学的にパラメータ化された応答モデルに関連する1つ以上の対象のパラメータの値を決定するステップであって、前記幾何学的にパラメータ化された応答モデルは、2つ以上の自由度を有する幾何学モデルを用いて、前記1つ以上の構造の面内形状を特徴付ける、ステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記1つ以上の対象のパラメータの値を決定するステップは、前記幾何学的にパラメータ化された応答モデルによる前記検出されたX線光量のフィッティング解析を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記幾何学モデルは、3つ以上の独立したパラメータによって2次元平面上で定義される形状を有する閉曲線を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記幾何学モデルは、2つ以上の円錐断面の区分的集合体を含む閉曲線を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記2つ以上の円錐断面の区分的集合体は、複数の楕円断面を含み、前記複数の楕円断面のそれぞれは、独立した半径および楕円パラメータによって記述されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、
前記2つ以上の円錐断面の区分的集合体は、それぞれ独立した2つのパラメータで記述される複数の放物線断面を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記1つ以上の構造は、3次元NAND構造またはダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)構造を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記1つ以上の対象のパラメータの値は、前記1つ以上の構造の製造プロセスフローのプロセスステップで決定され、前記1つ以上の対象のパラメータの値の指示は、製造ツールに伝達され、前記プロセスステップで前記製造ツールの1つ以上のプロセス制御パラメータの値を前記製造ツールに調整させることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記幾何学モデルの独立した値は、測定中の前記1つ以上の構造への深さの関数として変化することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記ある量のX線照明光は、複数の入射角、方位角、またはその両方で前記測定スポットに向けられることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記ある量のX線照明光は、複数の異なるエネルギーレベルで前記測定スポットに向けられることを特徴とする方法。
【請求項12】
半導体ウェハ上に作製された1つ以上の構造を含む測定スポットに向けてある量のX線照明光を提供するように構成された照明源と、
前記X線照明光の量に応答して、前記半導体ウェハから反射された、または前記半導体ウェハを透過したX線光の量を検出するように構成された検出器と、
検出されたX線光量と前記1つ以上の構造の幾何学的にパラメータ化された応答モデルとのフィッティング解析に基づいて、1つ以上の対象のパラメータの値を決定するように構成されたコンピューティングシステムであって、前記幾何学的にパラメータ化された応答モデルは、2つ以上の自由度を有する幾何学モデルを用いて、前記1つ以上の構造の面内形状を特徴付ける、コンピューティングシステムと、
を含むことを特徴とする、システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、
前記幾何学モデルは、3つ以上の独立したパラメータによって2次元平面上で定義される形状を有する閉曲線を含むことを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項12に記載のシステムであって、
前記幾何学モデルは、2つ以上の円錐断面の区分的集合体を含む閉曲線を含むことを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムであって、
前記2つ以上の円錐断面の区分的集合体は、複数の楕円断面を含み、前記複数の楕円断面のそれぞれは、独立した半径および楕円パラメータによって記述されることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項14に記載のシステムであって、
前記円錐断面の区分的集合体は、それぞれ独立した2つのパラメータで記述される複数の放物線断面を含むことを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項12に記載のシステムであって、
前記1つ以上の構造は、3次元NAND構造またはダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)構造を含むことを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項12に記載のシステムであって、
前記1つ以上の対象のパラメータの値は、前記1つ以上の構造の製造プロセスフローのプロセスステップで決定され、前記1つ以上の対象のパラメータの値の指示は、製造ツールに伝達され、前記プロセスステップで前記製造ツールの1つ以上のプロセス制御パラメータの値を前記製造ツールに調整させることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項12に記載のシステムであって、
前記幾何学モデルの独立した値は、測定中の前記1つ以上の構造への深さの関数として変化することを特徴とするシステム。
【請求項20】
半導体ウェハ上に作製された1つ以上の構造を含む測定スポットに向けてある量のX線照明光を提供するように構成された照明源と、
前記X線照明光の量に応答して、前記半導体ウェハから反射された、または前記半導体ウェハを透過したX線光の量を検出するように構成された検出器と、
1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、前記検出されたX線光量と前記1つ以上の構造の幾何学的にパラメータ化された応答モデルとのフィッティング解析に基づいて、1つ以上の対象のパラメータの値を決定させる命令を記憶する非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体であって、前記幾何学的にパラメータ化された応答モデルは、2つ以上の自由度を有する幾何学モデルを用いて、前記1つ以上の構造の面内形状を特徴付ける、コンピュータ読み取り可能媒体と、
を含むことを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記載された実施形態は、計測システムおよび方法に関し、より詳細には、繰り返されるリソグラフィおよびエッチング作製プロセスステップによって作製される深部半導体構造の改善された測定のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本特許出願は、米国特許法119条に基づき、2021年2月10日に出願された「Accurate Modelling of Lithographic and Etch Shapes using Distorted Ellipses」という名称の米国仮出願第63/147,758号の優先権を主張し、その主題はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
論理およびメモリ素子等の半導体素子は、典型的には、試料に適用される一連の処理ステップによって製造される。半導体素子についての様々な特徴および複数の構造レベルが、これらの処理ステップによって形成される。例えば、中でもリソグラフィは、半導体ウェハ上にパターンを生成することを含む1つの半導体製造プロセスである。半導体製造プロセスの追加例としては、化学機械研磨、エッチング、堆積およびイオン注入が挙げられるが、これらに限定されない。複数の半導体素子が、単一の半導体ウェハ上に製造され、次いで、個々の半導体素子に分離されてもよい。
【0004】
計測プロセスは、ウェハ上の欠陥を検出してより高い歩留まりを促進するために半導体製造プロセス中の様々なステップにおいて使用される。スキャトロメトリおよびリフレクトメトリ実装ならびに関連分析アルゴリズムを含むいくつかの計測ベースの技術が、ナノスケール構造物の限界寸法、膜厚、構成物、および他のパラメータを特徴付けるために広く使用される。X線スキャトロメトリ技術は、サンプル破壊のリスクなしに高スループットの可能性を提供する。
【0005】
従来、光学スキャトロメトリ限界寸法(SCR)測定は、薄膜および/または反復周期構造物からなる目標物に対して実施される。デバイス製造中、これらの膜および周期構造は、一般的に実際のデバイスの形状および材料構造、または中間設計を表している。デバイス(例えば、論理およびメモリデバイス)がより小さいナノメートルスケールの寸法へ向かうにつれて、特徴付けはより難しくなる。複雑な3次元ジオメトリおよび多様な物理的性質を有する材料を組み込むデバイスが、特徴付けの難しさに寄与する。例えば、現代のメモリ構造物は、多くの場合、光放射が下層まで透過することを困難にする高アスペクト比の3次元構造物である。赤外-可視光を利用する光計測ツールは、半透明材料の多くの層を透過することができるが、良好な透過深さを提供するより長い波長は、小さな異常に対して十分な感受性を提供しない。加えて、複雑な構造物(例えば、FinFET)を特徴付けるために必要とされるますます多くのパラメータが、パラメータ相関の増加をもたらす。結果として、目標物を特徴付けるパラメータは、多くの場合、利用可能な測定と確実に切り離すことができない。
【0006】
1つの例においては、より長い波長(例えば、近赤外)が、積層内の交互の材料のうちの1つとしてポリシリコンを利用する3Dフラッシュデバイスの場合に、透過問題を克服する試みで用いられている。しかしながら、3Dフラッシュのミラー様構造は、本質的に、照明が膜積層内へより深く透過するにつれて光強度の減少を引き起こす。これが、深さにおける感受性損失および相関問題を引き起こす。この状況では、光学SCDは、高感受性および低相関を有する計測次元の減少したセットをうまく抽出することができるにすぎない。
【0007】
別の例では、不透明な高k材料が、現代の半導体構造物においてますます用いられる。光放射は、多くの場合、これらの材料で構築される層を透過することができない。その結果、楕円偏光計または反射率計などの薄膜スキャトロメトリツールを用いた測定は、ますます困難になっている。
【0008】
これらの課題に応じて、より複雑な光計測ツールが開発されている。例えば、複数の照明角、より短い照明波長、より広い範囲の照明波長、および反射信号からのより完全な情報取得(例えば、より従来的な反射率または偏光解析信号に加えて複数のミュラー行列要素を測定する)を有するツールが開発されている。しかしながら、これらの手法は、多くの高度な目標物(例えば、複雑な3D構造物、10nmよりも小さい構造物、不透明材料を用いた構造物)の測定、および測定用途(例えば、ラインエッジラフネスおよびラインウィズスラフネス測定)に関連した根本的な課題を確実に克服しているわけではない。
【0009】
光学的方法は、プロセスステップ間のプロセス変数の非破壊追跡を提供することができるが、光学的方法が独自に区別することができないプロセスドリフトに直面して精度を維持するためには、破壊的方法による定期的な校正が必要である。
【0010】
原子間力顕微鏡(AFM)および走査トンネル顕微鏡(STM)は、原子分解能を達成することができるが、それらは、試料の表面を探査することしかできない。加えて、AFMおよびSTM顕微鏡は、長い走査時間を要する。走査電子顕微鏡(SEM)は、中間の分解能レベルを達成するが、十分な深さまで構造物を透過することができない。したがって、高アスペクト比の孔は、十分に特徴付けられない。加えて、試料の必要な投入が、撮像性能に悪影響を及ぼす。X線反射率計もまた、高アスペクト比構造を測定する際の有効性を制限する透過問題に悩まされている。
【0011】
透過深さ問題を克服するために、TEM、SEMなどの従来の撮像技術は、集束イオンビーム(FIB)加工、イオンミリング、ブランケットまたは選択エッチングなどの破壊的なサンプル透過技術と共に用いられる。例えば、透過電子顕微鏡(TEM)は、高分解能レベルを達成し、任意の深さを探査することができるが、TEMは、試料の破壊的切片を必要とする。材料除去および測定の数回の反復が、一般的に、3次元構造物全体にわたって重要な計測パラメータを測定するために必要とされる情報を提供する。しかし、これらの技術は、サンプル破壊および長いプロセス時間を要する。測定結果は、測定中のウェハでプロセスが完了してからずっと後に利用可能になるため、複雑性、およびこれらの種類の測定を完了するための時間が、エッチングのドリフトおよび計測ステップに起因して大きな誤差をもたらす。したがって、測定結果は、さらなる処理および遅延フィードバックからのバイアスの影響を受ける。加えて、これらの技術は、登録誤差をもたらす多数の反復を必要とする。要約すると、デバイスの歩留まりは、SEMおよびTEM技術に必要な長時間の破壊的なサンプル準備によって悪影響を受ける。
【0012】
一般に、光学、音響、および電子ビームツールを組み合わせたプロセス監視の方法は数多くある。これらの技術は、デバイスを直接測定したり、特別に設計された目標物を測定したり、または特定のモニターウェハを測定したりする。しかし、高アスペクト比構造の対象のパラメータをコスト効率よくタイムリーに測定することができないため、特にウェハのメモリセクターでは歩留まりが低くなる。
【0013】
硬X線エネルギーレベル(>15keV)の光子を使用する透過型小角X線スキャトロメトリ(T-SAXS)システムは、困難な測定アプリケーションに対処する有望性を示している。限界寸法(CD-SAXS)およびオーバーレイ(OVL-SAXS)の測定へのSAXS技術の応用の様々な側面は、1)ZhuangおよびFieldenによる米国特許第7,929,667号(名称「High-brightness X-ray metrology」)、2)Bakeman、Shchegrov、Zhao、およびTanによる米国特許公開第2014/0019097号(名称「Model Building And Analysis Engine For Combined X-Ray And Optical Metrology」)3)Veldman、Bakeman、Shchegrov、およびMieherによる米国特許公開第2015/0117610号(名称「Methods and Apparatus For Measuring Semiconductor Device Overlay Using X-Ray Metrology」)、4)U.Hench、Shchegrov、およびBakemanによる米国特許公開第2016/0202193号(名称「Measurement System Optimization For X-Ray Based Metrology」)、5)Dziura、Gellineau、およびShchegrovによる米国特許公開第2017/0167862号(名称「X-Ray Metrology For High Aspect Ratio Structures」)、および6)Gellineau、Dziura、Hench、Veldman、およびZalubovskyによる米国特許公開第2018/0106735号(名称「FullBeam Metrology for X-Ray Scatterometry Systems」)に記載されており、これらの各文書の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。前述の特許文書は、米国カリフォルニア州ミルピタスのKLA-Tencor Corporationに譲渡されている。さらに、「X-ray scatterometry apparatus」と題されたMazorらに対する米国特許第9,606,073号には、SAXS技術の半導体構造への応用に関する様々な側面が記載されており、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0014】
SAXSは、材料の特性評価およびその他の非半導体関連用途にも応用されている。Xenocs SAS(www.xenocs.com)、Bruker Corporation(www.bruker.com)、およびRigaku Corporation(www.rigaku.com/en)を含むいくつかの企業によって、例示的なシステムが商業化されている。BrukerとRigakuは、それぞれ「Nanostar」と「Nanopix」と名付けられた小角X線スキャトロメトリシステムと広角X線スキャトロメトリシステムを提供している。これらのシステムには、調整可能な試料-検出器間距離が含まれている。
【0015】
半導体構造のCD-SAXS計測に関する研究も科学文献に記載されている。ほとんどの研究グループは高輝度X線シンクロトロン光源を採用しているが、この光源は巨大なサイズやコストなどの理由から、半導体製造施設での使用には適していない。このようなシステムの一例は、Lemaillet、Germer、Klineらによる「Intercomparison between optical and x-ray scatterometry measurements of FinFET structures」と題する論文、Proc. SPIE、 v.8681、p.86810Q(2013年)に記載されており、これらの各文書の内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。より最近では、米国標準技術研究所(NIST)のグループが、米国特許第7,929,667号に記載されているものと同様の小型で明るいX線源を用いた研究を開始した。この研究は、「X-ray scattering critical dimensional metrology using a compact x-ray source for next generation semiconductor devices」と題する論文、(J. Micro/Nanolith. MEMS MOEMS 16(1),014001 (Jan-Mar 2017))に記載されており、これらの各文書の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0016】
X線スキャトロメトリに基づく計測技術は、被測定試料の物理的特性を測定する間接的な方法である。ほとんどの場合、生の測定信号を使用して試料の物理特性を直接決定することはできない。その代わりに、生の測定信号に基づいて、被測定構造を特徴付ける1つ以上の対象のパラメータの値を推定する測定モデルが採用される。一般に、生の測定信号(例えば、検出された強度、Imeas)に基づいて試料の物理的特性を決定するには、物理学ベースの測定モデルまたは機械学習ベースの測定モデルが必要である。
【0017】
いくつかの例では、1つ以上のモデルパラメータの想定値に基づいて生の測定信号を予測しようとする物理学ベースの測定モデルが作成される。式(1)に示すように、測定モデルには、測定ツール自体に関連するパラメータ、例えばシステムパラメータ(Psystem)、および測定中の試料に関連するパラメータが含まれる。対象のパラメータを解くとき、一部の試料パラメータは固定値(Pspec-fixed)として扱われ、その他の対象の試料パラメータは浮動値(Pspec-float)、すなわち生の測定信号に基づいて分解される。
Imodel=f(Psystem,Pspec-fixed,Pspec-float)(1)
【0018】
システムパラメータは、計測ツール(例えば、X線スキャトロメトリ)を特徴付けるために使用されるパラメータである。例示的なシステムパラメータには、入射角(AOI)、方位角(Az)、照明波長などが含まれる。試料パラメータは、試料を特徴付けるために使用されるパラメータである(例えば、測定対象の構造を特徴付ける材料および幾何学的パラメータ)。薄膜試料の場合、例示的な試料パラメータには、屈折率、誘電関数テンソル、全層の公称層厚、層順序などが含まれる。CD試料の場合、例示的な試料パラメータには、異なる層に関連する幾何学的パラメータ値、異なる層に関連する屈折率などが含まれる。測定目的のために、システムパラメータおよび多くの試料パラメータは、既知の固定値パラメータとして扱われる。しかし、1つ以上の試料パラメータの値は、未知の、対象の浮動パラメータとして扱われる。
【0019】
いくつかの例では、理論的予測値と実験データとの間に最良の適合をもたらす反復プロセス(例えば、回帰)によって、対象の浮動パラメータの値が解決される。対象の未知の浮動パラメータの値を変化させ、モデル出力値(例えば、Imodel)を計算し、モデル出力値と実験的に測定された値との間に十分に近い一致をもたらす試料パラメータ値のセットが決定されるまで、反復的に生の測定データImeasと比較する。他のいくつかの例では、浮動パラメータは、最も近い一致を見つけるために事前に計算された解のライブラリを通して検索することによって解決される。
【0020】
最近の論文では、最新の半導体製造装置によって製造された深いチャネル穴で観察された多くの幾何学的歪みが報告されている。このような深いチャネル穴は、NANDおよびDRAMメモリデバイスの一般的な構造要素である。その一例として、「Plasma etching of high aspect ratio features in SiO2 using Ar/C4F8/O2 mixtures: A computational investigation」と題されたShuo Huangらによる論文があり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0021】
デバイスに比較的深い円筒状の穴をエッチングしようとすると、様々なタイプの歪みが生じる。いくつかの歪みには、限界寸法(CD)の変動、および高さの関数としての穴プロファイルの向きの変動が含まれる。その他の歪みには、事実上非楕円形状の面内穴形状をもたらす面内形状の歪みが含まれる。
図1は、「Plasma etching of high aspect ratio features in SiO2 using Ar/C4F8/O2 mixtures: A computational investigation」と題された前述の論文に存在する図(
図21)の一部の図である。
【0022】
図1は、穴構造の5つの画像10A-Eを描いている。各画像は、穴構造の表面から異なる深さにおける穴構造の水平スライスである。穴構造は、反射防止コーティングの材料層を通して作製されている。画像10Aは、フォトレジスト材料を通してエッチングされた穴の形状を示す。画像10B-Eは、酸化シリコン材料を通してエッチングされた穴の形状を示す。
図1に描かれているように、穴構造の形状は深さの関数として変化し、さらに重要なことに、実際の面内穴形状は、特に穴構造内の深さが深いほど非楕円形である。
【0023】
図1に描かれているように、非楕円形の歪みは穴の深さの関数として大きくなる傾向がある。エッチングされた穴構造の上部付近では、穴は円としてよく近似される。しかし、エッチングされた穴構造の底部付近では、穴は、単純な楕円形状では穴の形状を厳密に近似できないほど、大きく歪んでいる。
【0024】
通常、X線スキャトロメトリに基づく測定に関連する測定モデルは、半導体デバイス内のエッチングされた穴の形状を単純な楕円として記述する。デバイス内の任意の所与の高さにおいて、楕円は、公称正準軸(例えば、x軸またはy軸)における偏心量e、中心位置(例えば、x0およびy0)、およびx軸に対する回転θによって記述される。これらのパラメータは、ウェハ表面に垂直な高さzの関数として変化する。このようにして、このモデルは、構造の高さの関数として面内形状の変化を捉える。
【0025】
直交xとyで記述される正準軸を持つ原点を中心とする楕円形状の単純な記述は、式(2A)-(2B)で示される。
x=recosθ(2A)
y=rsinθ(2B)
式(2A)-(2B)で示されるように、楕円の伝統的なモデルは、2つの自由度、すなわち2次元平面上の曲線の形状を定義する2つの独立したパラメータを持つ閉曲線である。この例では、2つの自由度は公称半径rと偏心量eである。
【0026】
残念なことに、式(2A)-(2B)に示されるモデルのような楕円形状モデルは、非楕円形状の面内歪みを考慮しておらず、また、公称楕円形状からの偏差を意味のある方法でパラメータ化することもできない。現在の測定モデルの実装では、非線形成分が存在する場合、信号残差にシステム誤差が生じる。いくつかの例では、これらのシステム誤差はパラメトリック回帰の解にバイアスをかける。これによって、構造物の対象のパラメータ(例えば、重要な寸法)の推定値の再現性、一致性、精度が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
要約すると、特徴サイズの継続的な縮小と多くの半導体構造の深さの増加は、計測システムに困難な要件を課している。したがって、高アスペクト比構造を測定して高いデバイス歩留まりを維持するには、改良された計測システムと方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0029】
X線スキャトロメトリに基づき、高アスペクト比の半導体構造の面内歪み形状を特徴付ける幾何学パラメータの値を推定する方法とシステムが本明細書で提示される。いくつかの実施形態では、測定対象の1つ以上の構造は、一連のリソグラフィステップおよびエッチングステップによって作製された深い穴構造である。
【0030】
いくつかの例では、スキャトロメトリに基づく計測ツールは、穴形状の面内、非楕円形の歪みを含む、穴構造の深さ全体にわたる穴形状の小さな変化に敏感である。測定モデルには、歪んだ形状の散乱シグネチャーを捉えるパラメータ化された幾何学モデルが含まれる。穴構造の面内形状を記述するために採用されるパラメータの数を増やすことによって、得られる幾何学モデルは、非理想的なリソグラフィプロセスおよびエッチングプロセスによって誘発される形状誤差を含む穴構造の実際の形状に適合する。
【0031】
1つの態様では、スキャトロメトリに基づく測定モデルは、測定された構造の面内形状を特徴付けるために2つ以上の自由度を有する幾何学的にパラメータ化された測定モデルを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、特定の深さにおける測定された穴構造の面内形状を特徴付けるために採用される幾何学モデルは、3自由度以上を有する閉曲線を含み、すなわち、3つ以上の独立したパラメータが、2次元平面における曲線の形状を定義する。
【0033】
いくつかの実施形態では、特定の深さにおける測定された穴構造の面内形状を特徴付けるために採用される幾何学モデルは、2つ以上の円錐断面、例えば楕円断面、放物線断面、双曲線断面の区分的集合体を含む閉曲線である。これらの実施形態では、各円錐断面は、少なくとも1つの独立したパラメータによって定義される、すなわち、各円錐断面は、少なくとも1つの自由度を有する。さらに、2つ以上の独立したパラメータの合計、すなわち2つ以上の自由度によって定義される円錐断面の区分的集合体は、特定の深さにおける1つ以上の穴構造の面内形状を記述するために採用される。
【0034】
一般に、面内穴形状を記述する幾何学モデルの独立パラメータは、構造を通る深さの関数として表現される。このようにして、幾何学モデルは、深さの関数として処理された半導体デバイスの面内形状の実際の変化を捕捉する。典型的なパターニングプロセスでは、レジスト中の穴はほぼ円形で、歪みは最小か非常に小さい。しかし、エッチングツールのプロセス制御には限界がある。その結果、エッチングプロセスがリソグラフィパターンを半導体層に転写するにつれて、歪みは深さとともに変化する。深さの関数として形状の変化を正確に記述する能力は、モデルと測定データ間のより正確な適合につながり、その結果、形状パラメータ値の推定値が改善される。
【0035】
別の態様では、プロセス修正は、対象のパラメータの測定値に基づいて決定され、修正はプロセスツールに伝達されて、プロセスツール(例えば、リソグラフィツール、エッチングツール、堆積ツールなど)の1つ以上のプロセス制御パラメータを変更する。
【0036】
上記は要約であり、したがって、必然的に、簡略化、一般化および詳細の省略を含み、その結果、当業者は、要約が単なる例示であり、決して限定的ではないことを理解するであろう。本明細書に記載されるデバイスおよび/またはプロセスの他の態様、発明の特徴、および利点は、本明細書に記載される非限定的な詳細な説明において明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、ウェハ表面から異なる深さにおける穴構造の複数の水平スライスの画像を示す図である。
【
図2】
図2は、ウェハ上に配置された半導体構造のX線スキャトロメトリ測定に基づいてエッチングプロセスを監視するための例示的なウェハ測定システム100を示す図である。
【
図3】
図3は、例示的なモデル構築および解析エンジン180を示す図である。
【
図4】
図4は、一実施例における1次円関数および2次円関数によって記述される形状を示す図である。
【
図5】
図5は、一実施例における検出器での信号誤差の3次元プロットを示す図である。
【
図6】
図6は、一実施例における、1次円関数、2次円関数、および4つの円錐断面の区分的集合体によって記述される形状を示す図である。
【
図7A】
図7Aは、本明細書に記載されるような測定の対象となる典型的な3Dフラッシュメモリデバイスの等角図である。
【
図7B】
図7Bは、本明細書に記載されるような測定の対象となる典型的な3Dフラッシュメモリデバイスの上面図である。
【
図7C】
図7Cは、本明細書に記載されるような測定の対象となる典型的な3Dフラッシュメモリデバイスの断面図である。
【
図8】
図8は、ウェハ上に配置された半導体構造の反射X線スキャトロメトリ測定に基づいてエッチングプロセスを監視するための例示的なウェハ処理システム200を示す図である。
【
図9】
図9は、小角X線スキャトロメトリ測定に基づいて高アスペクト比構造を測定するための方法300のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
次に、本発明の背景例およびいくつかの実施形態を詳細に参照するが、それらの例は添付の図面に示されている。
【0039】
本明細書では、X線スキャトロメトリ測定に基づいて高アスペクト比半導体構造を特徴付ける幾何学パラメータの値を推定するための方法およびシステムを提示する。より具体的には、スキャトロメトリに基づく測定を実行するために採用される測定モデルには、測定対象の1つ以上の穴構造の面内の歪んだ形状を特徴付けるパラメータ化された幾何学モデルが含まれる。
【0040】
最新の小角X線スキャトロメトリ(SAXS)測定ツールは、穴形状の面内、非楕円形の歪みを含む、穴構造の深さ全体にわたる穴形状の小さな変化に敏感である。従来、多くの半導体デバイス、例えばDRAM構造、3D NAND構造などの形状を、構造内の任意の所与の高さで記述するための基本的な形状関数として、単純な楕円が採用されている。残念ながら、多くの実デバイスの面内形状は、単純な楕円の形状から大きく歪んでいる。その結果、従来の測定モデルでは、最新のSAXS測定ツールによって生成される測定信号に存在する、このような歪んだ形状の散乱シグネチャーを捉えることができない。
【0041】
公称円形エッチおよびリソグラフィ特徴の実際の歪んだ面内形状をより正確に捉える幾何学モデルを採用することにより、その深さ全体にわたって穴形状構造の測定精度が大幅に改善される。穴形状構造の面内形状を正確にモデル化することで、DRAMおよびVNANDメモリのような深い構造に対して、より安定したパラメトリック追跡とともに、モデル化された信号と測定された信号との間の適合性が改善される。本明細書で説明するように、穴構造の面内形状を記述するために採用する独立したパラメータの数を増やすことで、得られる幾何学モデルは、非理想的なリソグラフィプロセスおよびエッチングプロセスによって誘発される形状誤差を含め、穴構造の実際の形状に適合する。
【0042】
一般に、高アスペクト比構造のX線スキャトロメトリ測定は、製造プロセスフローの1つ以上のステップで実行される。例示的なプロセスステップには、エッチング、蒸着、およびリソグラフィプロセスが含まれる。測定は、進行中の半導体製造プロセスフローの歩留まり改善を可能にするために、迅速かつ十分な精度で実行される。高アスペクト比構造は、入射X線を効率的に散乱させるのに十分な全体散乱体積および材料コントラストを含む。収集された散乱X線により、測定対象デバイスの対象の構造パラメータを正確に推定することができる。X線のエネルギーは、信号の汚染を最小限に抑えながら、シリコンウェハと光路内のプロセスガスを透過するのに十分に高い。
【0043】
先端半導体製造ノードのデバイス歩留まりは、特に複雑で高アスペクト比(深さ、3次元)の構造のデバイス歩留まりに苦しみ続けている。X線スキャトロメトリに基づくリアルタイムの監視およびプロセス制御は、SEM、TEMなどの従来の破壊的手法と比較して、コスト効率の高い方法で高アスペクト比構造の製造のプロセス制御を可能にする。
【0044】
X線スキャトロメトリは、測定中の試料を破壊することなく、高スループットで高アスペクト比構造の対象の構造パラメータを正確に推定する。測定感度は侵入深さに大きく影響されないため、測定された半導体構造の垂直スタックの奥深くに位置する構造を正確に測定することができる。
【0045】
1つの態様では、SAXSに基づく測定モデルには、測定対象の1つ以上の構造の幾何学的にパラメータ化された応答モデルが含まれる。幾何学的にパラメータ化された応答モデルは、2つ以上の自由度を有する幾何学モデルで測定された構造の面内形状を特徴付ける。いくつかの実施形態では、測定対象の1つ以上の構造は、一連のリソグラフィステップおよびエッチングステップによって作製された深い穴構造である。
【0046】
いくつかの実施形態では、特定の深さにおける測定された穴構造の面内形状を特徴付けるために採用される幾何学モデルは、3自由度以上を有する閉曲線を含み、すなわち、3つ以上の独立したパラメータが、2次元平面における曲線の形状を定義する。3自由度を有する曲線の例は、3次関数、例えば3次スプラインによって定義される曲線である。いくつかの他の実施形態では、特定の深さにおける測定された穴構造の面内形状を特徴付けるために採用される幾何学モデルは、2つ以上の円錐断面、例えば楕円、放物線、双曲線断面の区分的集合体を含む閉曲線を含む。これらの実施形態では、各円錐断面は、少なくとも1つの独立したパラメータによって定義される、すなわち、各円錐断面は、少なくとも1つの自由度を有する。さらに、2つ以上の独立したパラメータの合計、すなわち2つ以上の自由度によって定義される円錐断面の区分的集合体は、特定の深さにおける1つ以上の穴構造の面内形状を記述するために採用される。例えば、4つの異なる形状の楕円曲線の区分的集合体は、閉曲線を記述する最大8つの独立したパラメータ、すなわち、4つの楕円曲線のそれぞれを記述する2つの独立したパラメータを有し得る。円錐断面は、2次の関数、例えば2次関数によって定義される曲線の例である。
【0047】
曲線の区分的集合体を含む閉曲線は、開放曲線の集合体として形状を定義し、各開放曲線の各端点は、集合体の別の曲線の端点に結合して、連続的な閉曲線を形成する。いくつかの実施形態では、端点の1つ以上における勾配は滑らかであり、すなわち、2つの曲線が結合される位置における1次空間導関数は、両方の曲線について同じである。
【0048】
図2は、ウェハ上に配置された半導体構造のX線スキャトロメトリ測定を実行するための例示的なウェハ測定システム100を示す図である。描かれている実施形態では、測定システムは透過型小角スキャトロメトリ(T-SAXS)計測システムである。いくつかの実施形態では、対象のパラメータ122の測定値は、製造プロセスツール、例えば、エッチングプロセスツール、リソグラフィプロセスツール、堆積ツールなどを制御するためのフィードバックとして提供される。
【0049】
ウェハ測定システム100は、真空環境103を含む真空チャンバ104を含む。半導体ウェハ101は真空チャンバ104内に配置される。ウェハ101はウェハチャック105に取り付けられ、ウェハステージ140によってX線スキャトロメトリに対して位置決めされる。
【0050】
いくつかの実施形態では、ウェハステージ140は、X線スキャトロメトリによって提供される照明に対してウェハ101を位置決めするために、回転運動と並進運動(例えば、X方向の並進運動とY軸を中心とする回転運動)とを組み合わせることによって、XY平面内でウェハ101を移動させる。いくつかの他の実施形態では、ウェハステージ140は、2つの直交する並進運動(例えば、X方向およびY方向の運動)を組み合わせて、X線スキャトロメトリによって提供される照明に対してウェハ101を位置決めする。いくつかの実施形態では、ウェハステージ140は、X線スキャトロメトリによって提供される照明に対するウェハ101の位置を6自由度で制御するように構成される。一般に、試料位置決めシステム140は、ゴニオメータステージ、ヘキサポッドステージ、角度ステージ、およびリニアステージを含むがこれらに限定されない、所望の線形および角度位置決め性能を達成するための機械要素の任意の適切な組合せを含み得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、ウェハ測定システム100は、ウェハステージ140を含まない。これらの実施形態では、ウェハ搬送ロボット(図示せず)が真空チャンバ104内のウェハチャック105上にウェハ101を位置決めする。ウェハ101は、ウェハ搬送ロボットから真空環境103に適合する静電ウェハチャック105上に搬送される。これらの実施形態において、X線スキャトロメトリによって実行される測定は、ウェハ101をウェハチャック105上にクランプした後、X線スキャトロメトリの視野内のウェハ101の部分に限定される。この意味で、ウェハステージ140はオプションである。この制限を克服するために、ウェハ測定システム100は、複数のX線スキャトロメトリシステムを含み、それぞれがウェハ101の異なる領域を測定することができる。
【0052】
図2に描かれているように、X線スキャトロメトリの光学素子は真空チャンバ104の外部に配置されている。しかし、他のいくつかの実施形態では、X線スキャトロメトリの光学素子は真空チャンバ104の内部に配置される。
【0053】
描かれた実施形態では、SAXS計測システムは、X線照明源110、集束光学素子111、ビーム発散制御スリット112、中間スリット113、およびビーム整形スリット機構120を含むX線照明サブシステム125を含む。X線照明源110は、T-SAXS測定に適したX線放射を発生するように構成される。いくつかの実施形態において、X線照明源110は、0.01ナノメートル~1ナノメートルの波長を生成するように構成される。一般に、高スループットのインライン計測を可能にするのに十分な放射束レベルで高輝度X線を生成することができる任意の好適な高輝度X線照明源が、T-SAXS測定のためのX線照明を供給することが企図され得る。いくつかの実施形態において、X線源は、X線源が異なる選択可能な波長でX線放射を送達することを可能にする可変型モノクロメータを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、15keVを超える光子エネルギー、または17keVを超える光子エネルギーを有する放射線を放出する1つ以上のX線源が、デバイス全体ならびにウェハ基板および任意の介在要素への十分な透過を可能にする波長でX線源が光を供給することを確実にするために用いられる。介在要素には、1つ以上の窓(例えば、ベリリウム、サファイア、ダイヤモンドなどで作られた窓)が含まれることがある。介在要素には、ウェハ101と検出器119との間の散乱X線の経路にある構造(ウェハチャック105、ロードポート、またはステージ140の要素など)も含まれる。構造的なプラスチック材料を透過することにより、散乱信号が過度に汚染される危険性はない。ウェハチャック105、ステージ140、またはロードポートの構造要素を通る開口部または窓を採用して、信号の汚染を最小限に抑えることができる。例えば、ウェハにおけるX線スポットは、50-200マイクロメートルと小さくてもよい。ウェハの近くに位置する素子では、散乱オーダーの汚染を最小にするために必要な開口サイズは最小である。しかしながら、必要な開口サイズは、目的の散乱次数に関連する有限の散乱角のため、ウェハからの距離が長くなるにつれて大きくなる。
【0055】
例示的なX線源としては、X線放射を刺激するために固体または液体目標物に照射するように構成される電子ビーム源が挙げられる。高輝度の液体金属X線照明を生成するための方法およびシステムは、KLA-Tencor Corp.に対する2011年4月19日に発行の米国特許第7,929,667号に記載され、その全体を本願に引用して援用する。
【0056】
非限定的な例として、X線照明源110は、粒子加速器源、液体陽極源、回転陽極源、静止固体陽極源、マイクロフォーカス源、マイクロフォーカス回転陽極源、プラズマベース源、および逆コンプトン源のいずれかを含み得る。1つの例において、Lyncean Technologies,Inc.,Palo Alto,California(USA)から入手可能な逆コンプトン源が企図され得る。逆コンプトン源は、光子エネルギーの範囲にわたってX線を生成することができ、それによりX線源が異なる選択可能な波長でX線放射を送達することを可能にするというさらなる利点を有する。
【0057】
いくつかの実施例では、コンピューティングシステム130は、X線照明源110に所望のエネルギーレベルでX線放射を放出させるコマンド信号137をX線照明源110に伝達する。エネルギーレベルは、測定中の高アスペクト比構造に関するより多くの情報を有する測定データを取得するために変更される。
【0058】
X線照明源110は、有限の横方向寸法(すなわち、ビーム軸に直交する非ゼロ寸法)を有する源領域にわたってX線放出を生成する。集束光学素子111は、試料101上に位置する計測目標物上に源放射の焦点を合わせる。有限の横方向源寸法は、源のエッジから入る線117によって画定される目標物上の有限のスポットサイズ102を結果としてもたらす。いくつかの実施形態において、集束光学素子111は、楕円形状の集束光学素子を含む。
【0059】
ビーム発散制御スリット112は、集束光学素子111とビーム整形スリット機構120との間のビーム経路内に位置する。ビーム発散制御スリット112は、測定下の試料に提供される照明の発散を制限する。追加の中間スリット113は、ビーム発散制御スリット112とビーム整形スリット機構120との間のビーム経路内に位置する。中間スリット113は、追加のビーム整形を提供する。しかしながら、一般に、中間スリット113は任意選択的である。
【0060】
ビーム整形スリット機構120は、試料101の前のビーム経路内に位置する。いくつかの実施形態において、ビーム整形スリット機構120は、複数の、独立して作動されるビーム整形スリットを含む。1つの実施形態において、ビーム整形スリット機構120は、4つの、独立して作動されるビーム整形スリットを含む。これら4つのビーム整形スリットは、入ってくるビーム115の部分を効果的にブロックし、箱型の照明断面を有する照明ビーム116を生成する。
【0061】
一般に、X線光学素子は、X線放射を形作り、それを試料101へと向ける。いくつかの例において、X線光学素子は、試料101に入射するX線ビームを単色化するためにX線モノクロメータを含む。いくつかの例において、X線光学素子は、多層X線光学素子を使用して1ミリラド未満の発散まで、X線ビームを試料101の測定領域102上へ、コリメートするか、または焦点を合わせる。これらの例において、多層X線光学素子は、ビームモノクロメータとしても機能する。いくつかの実施形態において、X線光学素子は、1つ以上のX線コリメートミラー、X線絞り、X線ビームストップ、屈折X線光学素子、ゾーンプレートなどの回折光学素子、モンテル光学素子、斜入射楕円面鏡などの鏡面X線光学素子、中空キャピラリX線導波管などのポリキャピラリ光学素子、多層光学素子もしくはシステム、またはそれらの任意の組合せを含む。さらなる詳細は、米国特許公開第2015/0110249号に記載され、その内容は、その全体を本願に引用して援用する。
【0062】
いくつかの実施形態では、X線照明源110、集束光学素子111、スリット112および113、またはそれらの任意の組合せは、制御された大気環境(例えば、ガスパージ環境)に維持される。しかしながら、いくつかの実施形態では、これらの要素の間および要素内の光路長が長く、空気中のX線散乱が検出器上の画像にノイズを与える。したがって、いくつかの実施形態では、X線照明源110、集束光学素子111、およびスリット112、113のいずれかが、局所的な真空環境に維持される。
図2に描かれている実施形態では、集束光学素子111、スリット112、113、およびビーム整形スリット機構120は、真空化されたフライトチューブ118内の制御された環境(例えば、真空)に維持される。照明ビーム116は、真空チャンバ104の窓106に入射する前に、フライトチューブ118の端部の窓122を通過する。いくつかの実施形態では、フライトチューブ118は真空チャンバ104と一体化される。
【0063】
ウェハ101に入射した後、散乱X線放射114は窓107を通って真空チャンバ104から出る。いくつかの実施形態では、真空チャンバ104と検出器119との間の光路長(すなわち、収集ビーム路)が長く、空気中のX線散乱が検出器上の画像にノイズを与える。したがって、好ましい実施形態では、真空チャンバ104と検出器119との間の収集ビーム経路長の大部分は、真空窓(例えば、真空窓124)によって環境から分離された局所的な真空環境に維持される。いくつかの実施形態では、真空チャンバ123は、真空チャンバ123内に維持される真空環境から真空環境103を分離する窓を有する真空チャンバ104と一体化される。いくつかの実施形態では、X線検出器119は、真空チャンバ104と検出器119との間のビーム経路長と同じ局所的真空環境に維持される。例えば、
図2に描かれているように、真空チャンバ123は、検出器119を取り囲む局所的な真空環境と、真空チャンバ104と検出器119との間のビーム経路長の大部分とを維持する。
【0064】
他のいくつかの実施形態では、X線検出器119は、制御された大気環境(例えば、ガスパージ環境)に維持される。これは、検出器119から熱を除去するのに有利であり得る。しかしながら、これらの実施形態では、真空チャンバ104と検出器119との間のビーム経路長の大部分を、真空チャンバ内の局所的な真空環境に維持することが好ましい。一般に、真空窓は、X線放射に対して実質的に透明な任意の適切な材料(例えば、カプトン、ベリリウムなど)で構成することができる。
【0065】
X線検出器119は、試料101から散乱されたX線放射114を収集し、T-SAXS測定様式に従って、入射X線放射に感応する試料101の特性を示す出力信号135を生成する。いくつかの実施形態において、散乱X線114は、試料位置決めシステム140が、角度分解散乱X線を生成するために試料101を位置付けおよび配向する間に、X線検出器119によって集められる。
【0066】
いくつかの実施形態において、T-SAXSシステムは、高ダイナミックレンジ(例えば、105超)を有する1つ以上の光子計数検出器を含む。いくつかの実施形態において、単一の光子計数検出器が、検出される光子の位置および数を検出する。
【0067】
いくつかの実施形態において、X線検出器は、1つ以上のX線光子エネルギーを分解し、試料の性質を示す各X線エネルギー成分について信号を生成する。いくつかの実施形態において、X線検出器119は、CCDアレイ、マイクロチャネルプレート、フォトダイオードアレイ、マイクロストリップ比例計数管、ガス充填比例計数管、シンチレータ、または蛍光材料のいずれかを含む。
【0068】
この様式では、検出器内のX線光子相互作用は、画素位置およびカウント数に加えてエネルギーによって判別される。いくつかの実施形態において、X線光子相互作用は、X線光子相互作用のエネルギーを所定の上位しきい値および所定の下位しきい値と比較することによって判別される。1つの実施形態において、この情報は、さらなる処理および記憶(例えば、メモリ190に)のために出力信号135を介してコンピューティングシステム130に通信される。
【0069】
さらなる態様において、T-SAXSシステムは、散乱光の1つ以上の回折次数に基づいて試料の性質(例えば、構造パラメータ値)を決定するために用いられる。
図2に描かれているように、システム100は、検出器119によって生成された信号135を取得し、取得された信号に少なくとも部分的に基づいて試料の特性を決定し、決定された対象のパラメータ122をメモリ(例えば、メモリ190)に格納するために採用されたコンピューティングシステム130を含む。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム130は、測定モデルを使用して、ウェハのスキャトロメトリ測定に基づいて1つ以上の対象のパラメータの値を直接推定するプロセス制御計測エンジンとして構成される。
【0070】
別の態様において、T-SAXSに基づいた計測は、測定されたデータを用いた所定の測定モデルの逆解法によってサンプルの寸法を決定することを伴う。測定モデルは、数個(10程度)の調整可能なパラメータを含み、試料のジオメトリおよび光学的性質、ならびに測定システムの光学的性質を表す。逆解法の方法は、モデルベースの回帰、断層写真術、機械学習、またはそれらの任意の組合せを含むが、これらに限定されない。この様式では、目標物プロファイルパラメータは、測定された散乱X線強度とモデル化された結果との間の誤差を最小限にするパラメータ化測定モデルの値を求めることによって推定される。
【0071】
いくつかの実施形態において、測定モデルは、測定中の目標物からの散乱を表す画像を生成する測定の電磁モデル(例えば、ボルン波モデル)である。モデル化された画像は、プロセス制御パラメータ(例えば、エッチング時間、エッチング傾斜、エッチング選択性、堆積速度など)によってパラメータ化することができる。モデル化された画像は、測定された高アスペクト比の構造の構造パラメータ(例えば、高さ、異なる高さでの直径、他の構造に対する穴の位置合わせ、穴構造の真直度、穴構造の同心性、深さの関数としての堆積層の厚さ、特定の穴構造にわたるまたは異なる穴構造間の堆積層の均一性など)によってパラメータ化することもできる。
【0072】
測定された散乱画像は、逆解析を実行することにより、対象の1つ以上のパラメータの値を推定するために使用される。これらの例では、逆解法により、測定画像に最も近いモデル散乱画像を生成するプロセスパラメータ、幾何学的パラメータ、またはその両方の値を解く。いくつかの例では、散乱画像の空間は、回帰分析法(例えば、勾配降下など)を使用する測定モデルを使用して検索される。いくつかの例では、事前に計算された画像のライブラリが生成され、ライブラリが検索されて、モデル化された画像と測定された画像との間で最良の一致をもたらす対象の1つ以上のパラメータの値を見つける。
【0073】
他のいくつかの例では、測定モデルは、散乱画像の多くのサンプルと既知のプロセス条件、幾何学的パラメータ値、またはその両方を関連付けるように、機械学習アルゴリズムによって訓練される。このようにして、訓練された測定モデルは、測定された散乱画像をプロセスパラメータ、幾何学的パラメータ、またはその両方の推定値にマッピングする。いくつかの例では、訓練された測定モデルは、実際の測定値と対象のパラメータとの間の直接的な機能的関係を定義する信号応答測定(SRM)モデルである。
【0074】
一般に、本明細書で説明される訓練されたモデルのいずれかは、ニューラルネットワークモデルとして実装される。他の例では、訓練されたモデルのいずれかは、線形モデル、非線形モデル、多項式モデル、応答曲面モデル、サポートベクターマシンモデル、決定木モデル、ランダムフォレストモデル、深層ネットワークモデル、畳み込みネットワークモデル、または他のタイプのモデルとして実装することができる。
【0075】
いくつかの例では、本明細書で説明される訓練されたモデルのいずれかは、モデルの組合せとして実装され得る。モデル訓練の追加の説明および半導体測定のための訓練された測定モデルの使用は、Pandevらによる米国特許公開第2016/0109230号で提供されており、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
測定されたパラメータ値の精度と正確さを高めるために、入射角と方位角の広い範囲で測定を実行することが望ましい。このアプローチは、分析に使用できるデータセットの数と多様性を拡張して、様々な大角度の面外方向を含めることにより、パラメータ間の相関を減らす。例えば、通常の向きでは、T-SAXSは構造の限界寸法を解決することができるが、構造の側壁角度と高さにはほとんど影響を受けない。ただし、広範囲の面外角度方向にわたって測定データを収集することにより、構造の側壁角度と高さを解決することができる。他の例では、入射角と方位角の広い範囲で行われた測定は、十分な解像度と透過の深さを提供し、深さ全体を通して高アスペクト比の構造を特徴付ける。
【0077】
ウェハ表面法線に対するX線入射角の関数としての回折放射の強度の測定値が収集される。複数の回折次数に含まれる情報は通常、検討中の各モデルパラメータ間で一意である。したがって、X線散乱により、小さい誤差および減少したパラメータ相関で対象のパラメータの値の推定結果が得られる。
【0078】
図3は、コンピューティングシステム130によって実装される例示的なモデル構築および解析エンジン180を例示する図である。
図3に描かれているように、モデル構築および解析エンジン180は、試料の測定された構造の構造モデル182を生成する構造モデル構築モジュール181を含む。いくつかの実施形態では、構造モデル182は、試料の材料特性も含む。構造モデル182は、T-SAXS応答関数構築モジュール183への入力として受け取られる。T-SAXS応答関数構築モジュール183は、構造モデル182に少なくとも部分的に基づいてT-SAXS応答関数モデル184を生成する。いくつかの実施例では、T-SAXS応答関数モデル183はX線フォームファクタに基づく。
【0079】
【0080】
ここで、Fはフォームファクタであり、qは散乱ベクトルであり、ρ(r)は球座標における試料の電子密度である。次に、X線散乱強度は数2式で与えられる。
【0081】
【0082】
T-SAXS応答関数モデル184は、フィッティング解析モジュール185への入力として受け取られる。フィッティング解析モジュール185は、モデル化されたT-SAXS応答を対応する測定データ135と比較し、試料の幾何学的特性と材料特性を決定する。
【0083】
いくつかの例では、モデル化されたデータの実験データへの適合は、カイ二乗値を最小化することによって達成される。例えば、T-SAXS測定では、カイ二乗値を次のように定義することができる。
【0084】
【0085】
ここで、
【数4】
は、"チャネル"jにおいて測定されたT-SAXS信号126であり、インデックスjは、回折次数、エネルギー、角度座標などのようなシステムパラメータのセットを記述する。
【数5】
は、構造(目標物)パラメータV
1,...,V
Lのセットに対して評価される、"チャネル"jのモデル化されたT-SAXS信号S
jであり、これらのパラメータは、幾何学的(CD、側壁角度、オーバーレイなど)および材料(電子密度など)を記述する。σ
SAXS,jは、j番目のチャネルに関連する不確かさである。N
SAXSは、X線計測におけるチャネルの総数である。Lは、計測対象を特徴付けるパラメータの数である。
【0086】
式(5)は、異なるチャネルに関連する不確実性が無相関であると仮定している。異なるチャネルに関連する不確実性が相関している例では、不確実性間の共分散を計算することができる。このような例では、T-SAXS測定のカイ二乗値は次のように表すことができる。
【0087】
【0088】
ここで、VSAXSはSAXSチャネルの不確実性の共分散行列であり、Tは転置行列を示す。
【0089】
いくつかの実施例では、フィッティング解析モジュール185は、T-SAXS応答モデル184を用いてT-SAXS測定データ135のフィッティング解析を実行することにより、少なくとも1つの試料パラメータ値を解決する。いくつかの実施例では、
【数7】
が最適化される。
【0090】
本明細書で前述したように、T-SAXSデータのフィッティングは、カイ二乗値の最小化によって達成される。しかし、一般に、T-SAXSデータのフィッティングは、他の関数によって達成されてもよい。
【0091】
T-SAXS計測データのフィッティングは、対象の幾何学的パラメータおよび/または材料パラメータに対する感度を提供する任意のタイプのT-SAXS技術にとって有利である。T-SAXSビームと試料の相互作用を記述する適切なモデルが使用される限り、試料パラメータは、決定論的(CD、SWAなど)または統計的(側壁粗さのrms高さ、粗さ相関長など)であり得る。
【0092】
一般に、コンピューティングシステム130は、リアルタイムクリティカルディメンショニング(RTCD)を用いて、リアルタイムでモデルパラメータにアクセスするように構成されるか、または、コンピューティングシステム130は、試料101と関連付けられた少なくとも1つの試料パラメータ値の値を決定するための事前計算モデルのライブラリにアクセスし得る。一般に、いくつかの形態のCDエンジンが、試料の割り当てられたCDパラメータと測定された試料と関連付けられたCDパラメータとの間の差を評価するために使用され得る。試料パラメータ値を計算するための例示的な方法およびシステムは、KLA-Tencor Corp.に対する2010年11月2日に発行の米国特許第7,826,071号に記載され、その全体を本願に引用して援用する。
【0093】
いくつかの実施例では、モデル構築および解析エンジン180は、フィードサイドウェイ解析、フィードフォワード解析、および並列解析の任意の組合せによって、測定されたパラメータの精度を向上させる。フィードサイドウェイ解析とは、同じ試料の異なる領域について複数のデータセットを取り、解析のために第1のデータセットから決定された共通パラメータを第2のデータセットに渡すことを指す。フィードフォワード解析とは、異なる試料のデータセットを取得し、段階的な正確なパラメータのコピーフィードフォワードアプローチを使用して、共通パラメータを後続の解析に渡すことを指す。パラレル解析とは、非線形フィッティング手法を複数のデータセットに並行または同時に適用することであり、少なくとも1つの共通パラメータがフィッティング中に結合される。
【0094】
複数ツールおよび構造解析とは、回帰、ルックアップテーブル(すなわち、「ライブラリ」マッチング)、または複数のデータセットの別のフィッティング手順に基づくフィードフォワード、フィードサイドウェイ、または並列解析を指す。複数のツールおよび構造解析のための例示的な方法およびシステムは、KLA-Tencor Corp.に対して2009年1月13日に発行された米国特許第7,478,019号に記載されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0095】
別の態様では、1つ以上のSAXSシステムは、ウェハの複数の異なる領域を測定するように構成される。いくつかの実施形態では、対象の各測定対象パラメータに関連するウェハ均一性値は、ウェハにわたる対象の各パラメータの測定値に基づいて決定される。
【0096】
いくつかの実施形態では、複数の計測システムがプロセスツールと統合され、計測システムは、プロセス中にウェハにわたる異なる領域を同時に測定するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセスツールと統合された単一の計測システムは、プロセス中にウェハの複数の異なる領域を連続的に測定するように構成される。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明される半導体デバイスのSAXSベースの計測のための方法およびシステムは、メモリ構造の測定に適用される。これらの実施形態により、周期構造および平面構造の限界寸法(CD)、膜、および組成計測が可能になる。
【0098】
本明細書に説明されるようなスキャトロメトリ測定は、様々な半導体構造物の特性を決定するために使用され得る。例示的な構造物としては、FinFET、ナノワイヤまたはグラフェンなどの低次元構造物、サブ10nm構造物、リソグラフィ構造物、貫通基板ビア(TSV)、DRAM、DRAM 4F2、FLASH、MRAM、および高アスペクト比メモリ構造物などのメモリ構造物が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な構造特性としては、ラインエッジラフネス、ラインウィズスラフネス、孔サイズ、孔密度、側壁角、プロファイル、限界寸法、ピッチ、厚さ、オーバーレイなどの幾何パラメータ、ならびに、電子密度、構成物、結晶粒組織、形態学、応力、歪み、および元素同定などの材料パラメータが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、計測目標物は、周期構造物である。いくつかの他の実施形態において、計測目標物は、非周期的である。
【0099】
いくつかの例では、スピン転移トルクランダムアクセスメモリ(STT-RAM)、3次元NANDメモリ(3D-NAND)または垂直NANDメモリ(V-NAND)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、3次元フラッシュメモリ(3D-FLASH)、抵抗ランダムアクセスメモリ(Re-RAM)、および相変化ランダムアクセスメモリ(PC-RAM)を含むがこれらに限定されない、高アスペクト比半導体構造の限界寸法、厚さ、オーバーレイ、および材料特性の測定は、本明細書に記載のT-SAXS測定システムを用いて行われる。
【0100】
いくつかの例において、測定モデルは、米国カリフォルニア州ミルピタス所在のKLA-Tencor Corporationから入手可能なSpectraShape(登録商標)限界寸法計測システムの要素として実施される。このようにして、システムにより散乱画像が収集された直後の使用のために測定モデルが生成および準備される。
【0101】
いくつかの他の例において、測定モデルは、例えば、米国カリフォルニア州ミルピタス所在のKLA-Tencor Corporationから入手可能なAcuShape(登録商標)ソフトウェアを実装するコンピューティングシステムによりオフラインで実施される。結果として得られるモデルは、計測を実行する計測システムによるアクセスが可能なAcuShape(登録商標)ライブラリの要素として組み込むことができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、特定の深さにおける測定された穴構造の面内形状を特徴付けるために採用される幾何学モデルは、3つ以上の自由度を有する閉曲線を含み、すなわち、3つ以上の独立したパラメータが、2次元平面における曲線の形状を定義し、その例は、式(7A)~(7B)によって例示される。式(7A)~(7B)に示されるように、面内穴形状のモデル、例えば、2次円形関数は、4つの自由度、すなわち、関数によって記述される形状を決定するために採用される4つの独立したパラメータを含む。4つの独立したパラメータには、公称半径r、1次偏心量e、2次偏心量ex、2次偏心量eyが含まれる。
【0103】
【0104】
面内形状のパラメータ化を4自由度に増やすことにより、閉曲線によって記述される形状がわずかに歪む可能性がある。
【0105】
図4は、一例として楕円関数と2次円関数によって記述される形状を描いている。プロットライン210は、2つの自由度、rおよびeの非ゼロ値を有する式(2A)-(2B)によって図示される楕円関数によって記述される形状を図示している。プロットライン211は、r、eおよびe
yの非ゼロ値を有する式(7A)~(7B)によって図示されるy方向の2次円関数によって記述される形状を図示している。
図4に描かれているように、2次の円関数によって記述される形状は、y方向に歪んでいる。
【0106】
図5は、一実施例における検出器での信号誤差の3次元プロットを示している。
図5に描かれた例では、信号誤差は、検出器における測定信号と、穴形状の楕円関数モデルを使用してモデル化された信号との間の重み付けされた差として決定される。重み付けは対数関数である。対数関数は検出器全体の誤差信号を正規化する。一般的に、これは強く散乱した次数の誤差、すなわち検出器の中心から遠い信号を強調し、低次の誤差、すなわち検出器の中心に近い誤差を強調しない。
図5に描かれているように、低次の散乱次数で有意な誤差が存在するが、貴重な形状情報が配置される傾向がある高次の散乱次数でも有意な誤差が存在する。これらの誤差は、検出器において測定された強度およびモデル化された強度との間の一致度が低いことを示している。
【0107】
いくつかの他の実施形態では、特定の深さにおいて測定された穴構造の面内形状を特徴付けるために採用される幾何学モデルは、2つ以上の円錐断面、例えば楕円断面、放物線断面、双曲線断面の区分的集合体を含む。
【0108】
一実施例では、式(7A)~(7B)で示される2次円関数によって記述される歪んだ楕円は、各々が独自の半径パラメータおよび楕円パラメータを有する4つの純粋な楕円四分円の区分的集合体によって密接に近似される。それらの線形パラメータは、式(8A)~(8B)、(9A)~(9B)、(10A)~(10B)、および(11A)~(11B)で示されるように、式(7A)~(7B)の非線形項を重み付けするパラメトリック定数によって決定することができる。
【0109】
北東の四分円、すなわち、x軸から反時計回りに測定して0度から90度までのθについて
【数9】
【0110】
北西の四分円、すなわち、x軸から反時計回りに測定して90度から180度までのθについて
【数10】
【0111】
南西の四分円、すなわち、x軸から反時計回りに測定して180度から270度までのθについて
【数11】
【0112】
南東の四分円、すなわち、x軸から反時計回りに測定して270度から360度までのθについて
【数12】
【0113】
図6は、一実施例において、楕円関数、2次円関数、および4つの円錐断面の区分的集合体によって記述される形状を示している。プロットライン230は、2つの自由度、rおよびeの非ゼロ値を有する式(2A)-(2B)によって示される1次円関数によって記述される形状を示す。プロットライン231は、r、eおよびe
yの非ゼロ値を有する式(7A)~(7B)によって図示されるy方向の2次円関数によって記述される形状を図示している。プロットライン232A-Dは、それぞれが異なる1次楕円関数によって記述される4つの楕円断面の区分的集合体を示している。プロットライン232Aは、式(8A)~(8B)によって記述され、プロットライン232Bは、式(9A)~(9B)によって記述され、プロットライン232Cは、式(10A)~(10B)によって記述され、プロットライン232Dは、r、e、e
x、およびe
yの非ゼロ値について、式(11A)~(11B)によって記述される。
図6に描かれているように、楕円関数の区分的集合体によって記述される形状は、2次円関数によって記述される形状と密接に一致する。さらに、楕円関数の区分的集合体によって記述される形状は、1次円関数によって記述される形状の約20%の歪みである。
【0114】
一般に、面内穴形状を記述する独立したパラメータは、深さの関数として処理された半導体デバイスの面内形状の実際の変化を記述するために、構造を通る深さ、すなわちz方向の関数として表される。典型的なパターニングプロセスでは、レジスト中の穴はほぼ円形で、歪みは最小か非常に小さい。しかし、エッチングツールのプロセス制御には限界がある。その結果、エッチングプロセスがリソグラフィパターンを半導体層に転写するにつれて、歪みは深さとともに変化する。深さの関数として形状の変化を正確に記述する能力は、モデルと測定データ間のより正確な適合につながり、その結果、形状パラメータ値の推定値が改善される。
【0115】
楕円曲線を記述するために採用された前述のパラメータ化は、半径、線形偏心、および2次偏心パラメータの観点から記述されている。しかしながら、一般に、楕円曲線を記述するために他のパラメータ化を同じ結果で採用することができ、そのようなパラメータ化は本特許文書の範囲内で企図される。非限定的な例として、長軸および短軸パラメータによるパラメータ化は、本特許文書の範囲内で企図されている。
【0116】
楕円歪みの前述のパラメータ化は、2次の楕円項で説明されているが、一般に、より高次の項は、本特許文書の範囲内で企図されている。しかしながら、べき乗近似の数学およびエッチング物理学は、形状を記述するためのパラメータ化の寄与の大きさは、誤差の次数に比例して低下することを示唆している。したがって、2次の歪みは高次の歪みなどよりも面内形状のばらつきをより多く捉える。
【0117】
一般に、測定された構造を記述するために採用される任意の面内形状の任意の平行移動および回転は、本特許文書の範囲内で企図される。非限定的な例として、楕円軸はGivenの回転を使用して回転させることができる。同様に、楕円軸は、楕円がデカルト平面内の任意の位置に配置されるようにシフトされてもよい。
【0118】
一般に、より高次の歪みは、任意の数の円錐断面、例えば楕円断面の区分的集合体によって等価的に記述することができる。例えば、三角形状の穴構造を記述するために、3つまたは6つの楕円断面を採用することができる。別の例では、8つの楕円断面が四角形または八角形の穴構造を表現するために採用されてもよい。このように、本特許文献内では、測定された構造体の形状を記述するために、1より大きい任意の数の円錐断面を隣接させてもよいことが企図されている。
【0119】
測定された構造の形状を近似するための円錐断面の区分的集合体の利点は、すべての曲線が、他の円錐断面または線形曲線との交差のための既知の解析式を有することである。利用可能な解析解は、米国カリフォルニア州ミルピタスのKLA-Tencor Corporationから入手可能なAcuShape(登録商標)ソフトウェアによって既に実行された計算と互換性がある。
【0120】
逆に、曲線の2次または高次の記述の使用から生じる困難は、2次または高次の曲線間の交点の計算が数値解を必要とすることであり、これはモデルの計算負担を増加させる。
【0121】
一般に、計測目標物は、計測目標物の最大高さ寸法(すなわち、ウェハ表面に垂直な寸法)を最大横方向寸法(すなわち、ウェハ表面に整列した寸法)で割ったものとして定義されるアスペクト比によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、測定中の計測目標物は、少なくとも20のアスペクト比を有する。いくつかの実施形態では、計測目標物は少なくとも40のアスペクト比を有する。
【0122】
図7A-7Cは、本明細書に記載の方法で測定される典型的な3Dフラッシュメモリデバイス195の等角図、上面図、および断面図をそれぞれ示す。メモリデバイス195の全高(または同等の深さ)は、1から数マイクロメートルの範囲である。メモリデバイス195は、垂直に製造されたデバイスである。メモリデバイス195などの垂直に製造されたデバイスは、従来の平面メモリデバイスを本質的に90度回転させ、ビット線およびセルストリングを垂直に(ウェハ表面に垂直に)配向させる。十分なメモリ容量を提供するために、異なる材料の多数の交互層がウェハ上に堆積される。これには、最大横方向の広がりが100ナノメートル以下の構造の場合、数ミクロンの深さまで良好に機能するパターニングプロセスが必要である。その結果、25対1または50対1のアスペクト比は珍しくない。
【0123】
別の態様では、プロセス修正は、対象のパラメータ(例えば、限界寸法、オーバーレイ、高さ、側壁角など)の測定値に基づいて決定され、修正はプロセスツールに伝達されて、プロセスツール(例えば、リソグラフィツール、エッチングツール、堆積ツールなど)の1つ以上のプロセス制御パラメータを変更する。いくつかの実施形態では、プロセスが測定された構造で実行されている間に、SAXS測定が実行され、プロセス制御パラメータが更新される。いくつかの実施形態では、特定のプロセスステップおよびそのプロセスステップに関連するプロセス制御パラメータが、そのプロセスステップによる将来のデバイスの処理のために更新された後に、SAXS測定が実行される。一部の実施形態では、特定のプロセスステップおよび後続プロセスステップに関連するプロセス制御パラメータが、後続プロセスステップによる測定デバイスまたは他のデバイスの処理のために更新された後に、SAXS測定が実行される。
【0124】
いくつかの例では、本明細書に記載の測定方法に基づいて決定された測定パラメータの値をエッチングツールに伝達して、所望のエッチング深さを達成するためにエッチング時間を調整できる。同様に、エッチングパラメータ(例えば、エッチング時間、拡散率など)または堆積パラメータ(例えば、時間、濃度など)を測定モデルに含めて、それぞれエッチングツールまたは堆積ツールにアクティブフィードバックを提供することができる。いくつかの例では、測定されたデバイスパラメータ値に基づいて決定されたプロセスパラメータの修正は、プロセスツールに通信され得る。一実施形態では、コンピューティングシステム130は、計測システム101から受信した測定信号135に基づいて、プロセス中に対象の1つ以上のパラメータの値を決定する。さらに、コンピューティングシステム130は、対象の1つ以上のパラメータの決定された値に基づいて、制御コマンドをプロセスコントローラに通信する。制御コマンドは、プロセスコントローラにプロセスの状態を変更させる(例えば、エッチングプロセスの停止、拡散率の変更など)。一例では、制御コマンドは、所望のエッチング深さが測定されると、プロセスコントローラにエッチングプロセスを停止させる。別の例では、制御コマンドは、プロセスコントローラにエッチング速度を変更させて、CDパラメータの測定されたウェハ均一性を改善させる。
【0125】
図2は、透過型SAXS測定システムを示しているが、一般に、反射型SAXS測定システムを使用して、本明細書で説明されるように特徴を測定することができる。
【0126】
図8は、半導体構造のX線スキャトロメトリ測定のための例示的なウェハ測定システム200を示す。いくつかの実施形態では、対象のパラメータ222の測定値は、製造プロセスツール、例えば、エッチングプロセスツール、リソグラフィプロセスツール、堆積ツールなどを制御するためのフィードバックとして提供される。
【0127】
ウェハ測定システム200は、真空環境203および反射型X線スキャトロメトリを含む真空チャンバ204を含む。半導体ウェハ201は真空チャンバ204内に配置される。ウェハ201はウェハチャック205に取り付けられ、ウェハステージ240によって真空チャンバ204およびX線スキャトロメトリに対して位置決めされる。
【0128】
図示の実施形態では、SAXS計測システムは、
図2を参照した照明源110の説明に類似した、反射型SAXS測定に適したX線放射を生成するように構成されたX線照明源210を含む。
【0129】
いくつかの例では、コンピューティングシステム130は、コマンド信号237をX線照明源210に伝達し、X線照明源210に所望のエネルギーレベルでX線放射を放出させる。エネルギーレベルを変更して、測定中の高アスペクト比構造に関する詳細情報を含む測定データを取得する。
【0130】
照射ビーム216は、真空チャンバ204の窓206を通過し、測定スポット201上の試料201を照射する。ウェハ201に入射後、散乱X線214は窓207を通って真空チャンバ204から出る。いくつかの実施形態では、真空チャンバ204と検出器219との間の光路長(すなわち収集ビーム路)が長く、空気中のX線散乱が検出器上の画像にノイズを与える。したがって、好ましい実施形態では、真空チャンバ204と検出器219との間の収集ビーム経路長の大部分は、局所的な真空環境に維持される。
【0131】
X線検出器219は、試料201から散乱されたX線放射214を収集し、反射SAXS測定様式に従って、入射X線放射に感応する試料201の特性を示す出力信号235を生成する。いくつかの実施形態において、散乱X線214は、コンピューティングシステム230から試料位置決めシステム240に通信されるコマンド信号239に従って、試料位置決めシステム240が試料201を位置決めおよび配向して角度分解散乱X線を生成している間に、X線検出器219によって収集される。
【0132】
さらなる態様では、コンピューティングシステム230を使用して、散乱光の1つ以上の回折次数に基づいてウェハ201の特性(例えば、構造パラメータ値)を決定する。
図8に示されるように、システム200は、検出器219によって生成された信号235を取得し、取得された信号に少なくとも部分的に基づいて試料の特性を決定し、対象のパラメータの決定された値の指示222をメモリ(例えば、メモリ290)に保存するために使用されるコンピューティングシステム230を含む。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステム230は、本明細書に記載されるような測定モデルを使用して、プロセス中のウェハのスキャトロメトリ測定に基づいて、対象の1つ以上のパラメータの値を直接推定するプロセス制御計測エンジンとして構成される。
【0133】
図9は、少なくとも1つの新規な側面における高アスペクト比構造の計測測定を実行する方法300を示す。方法300は、本発明の
図2および
図8に示されるSAXS計測システムなどの計測システムによる実施に適している。一態様では、方法300のデータ処理ブロックは、コンピューティングシステム130、コンピューティングシステム230、または任意の他の汎用コンピューティングシステムの1つ以上のプロセッサによって実行される事前にプログラムされたアルゴリズムを介して実行できることが認識される。本明細書では、
図2および
図8に示される計測システムの特定の構造的側面は制限を表すものではなく、単なる例示として解釈されるべきことが認識される。
【0134】
ブロック301では、ある量のX線照明光が、半導体ウェハ上に作製された1つ以上の構造を含む測定スポットに向けられる。
【0135】
ブロック302において、半導体ウェハから反射されたまたは半導体ウェハを透過したX線光の量は、X線照明光の量に応じて検出される。
【0136】
ブロック303では、検出されたX線光量に基づいて、1つ以上の構造の幾何学的にパラメータ化された応答モデルに関連する1つ以上の対象のパラメータの値が決定される。幾何学的にパラメータ化された応答モデルは、2つ以上の自由度を有する幾何学モデルを用いて、1つ以上の構造の面内形状を特徴付ける。
【0137】
さらなる実施形態では、システム100は、本明細書に記載の方法に従って収集されたスキャトロメトリ測定データに基づいて半導体構造の測定を実行するために使用される1つ以上のコンピューティングシステム130を含む。1つ以上のコンピューティングシステム130は、1つ以上の検出器、能動光学素子、プロセスコントローラなどに通信可能に結合することができる。一態様では、1つ以上のコンピューティングシステム130は、ウェハ101の構造のスキャトロメトリ測定に関連する測定データを受信するように構成される。
【0138】
本開示全体にわたって説明される1つ以上のステップは、単一のコンピュータシステム130または代替として複数のコンピュータシステム130によって実行され得ることを認識されたい。さらに、システム100の異なるサブシステムは、本明細書に記載のステップの少なくとも一部を実行するのに適切なコンピュータシステムを含み得る。したがって、前述の説明は、本発明に対する限定として解釈すべきではなく、単なる例示として解釈されるべきである。
【0139】
さらに、コンピュータシステム130は、当技術分野で知られている任意の方法で分光計に通信可能に結合することができる。例えば、1つ以上のコンピューティングシステム130は、散乱計に関連付けられたコンピューティングシステムに結合されてもよい。別の例では、散乱計は、コンピュータシステム130に結合された単一のコンピュータシステムによって直接制御されてもよい。
【0140】
システム100のコンピュータシステム130は、有線部分および/または無線部分を含み得る伝送媒体によってシステムのサブシステム(例えば、散乱計など)からデータまたは情報を受信および/または取得するように構成され得る。このようにして、伝送媒体は、コンピュータシステム130とシステム100の他のサブシステムとの間のデータリンクとして機能し得る。
【0141】
システム100のコンピュータシステム130は、有線部分および/または無線部分を含み得る伝送媒体によって他のシステムからデータまたは情報(例えば、測定結果、モデリング入力、モデリング結果など)を受信および/または取得するように構成され得る。このようにして、伝送媒体は、コンピュータシステム130と他のシステム(例えば、メモリ搭載システム100、外部メモリ、または他の外部システム)との間のデータリンクとして機能し得る。例えば、コンピューティングシステム130は、データリンクを介して記憶媒体(すなわち、メモリ132または外部メモリ)から測定データを受信するように構成され得る。例えば、本明細書に記載の散乱計を使用して取得された散乱画像は、永続的または半永続的なメモリデバイス(例えば、メモリ132または外部メモリ)に保存され得る。これに関して、スキャトロメトリ画像は、オンボードメモリまたは外部メモリシステムからインポートすることができる。さらに、コンピュータシステム130は、伝送媒体を介して他のシステムにデータを送ることができる。例えば、コンピュータシステム130によって決定された測定モデルまたは推定パラメータ値は通信され、外部メモリに保存されてもよい。この点に関して、測定結果は別のシステムにエクスポートすることができる。
【0142】
コンピューティングシステム130は、パーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、画像コンピュータ、並列プロセッサ、または当技術分野で知られている任意の他のデバイスを含むことができるが、これらに限定されない。一般に、「コンピューティングシステム」という用語は、メモリ媒体からの命令を実行する1つ以上のプロセッサを備えた任意のデバイスを包含するように広く定義することができる。
【0143】
本明細書に記載されているものなどの方法を実装するプログラム命令134は、有線、ケーブル、または無線伝送リンクなどの伝送媒体を介して伝送され得る。例えば、
図1に示すように、メモリ132に格納されたプログラム命令134は、バス133を介してプロセッサ131に送信される。プログラム命令134は、コンピュータ可読媒体(例えば、メモリ132)に格納される。例示的なコンピュータ可読媒体には、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気または光学ディスク、または磁気テープが含まれる。要素231-234を含むコンピューティングシステム230は、本明細書で説明されるように、それぞれ要素131-134を含むコンピューティングシステム130に類似している。
【0144】
本明細書に記載するように、用語「限界寸法」は、構造についてのいずれかの限界寸法(例えば、底部限界寸法、中間限界寸法、上部限界寸法、側壁角、格子高さ等)、いずれか2つ以上の構造の間の限界寸法(例えば、2つの構造の間の距離)、および2つ以上の構造の間の変位(例えば、格子が上に重なっている構造の間のオーバーレイ変位等)を含む。構造は、3次元構造、パターン付き構造、オーバーレイ構造等を含んでもよい。
【0145】
本明細書に記載するように、用語「限界寸法適用」または「限界寸法測定適用」は、いずれかの限界寸法測定を含む。
【0146】
本明細書に記載するように、用語「計測システム」とは、限界寸法計測、オーバーレイ計測、焦点/用量計測および組成計測等の測定適用を含むいずれかの側面で、試料を特徴付けるために少なくとも部分的に使用される任意のシステムを含む。しかし、技術についてのそのような用語は、本明細書に記載するような用語「計測システム」の範囲を限定するものではない。加えて、計測システムは、パターン付きウェハおよび/またはパターン付きでないウェハの測定のために構成されてもよい。計測システムは、LED検査ツール、エッジ検査ツール、背面検査ツール、マクロ検査ツールまたはマルチモード検査ツール(同時に1つ以上のプラットフォームからのデータを含んでいる)、および限界寸法データに基づいたシステムパラメータの校正から利益を得る任意の別の計測または検査ツールとして構成されてもよい。
【0147】
様々な実施形態が、半導体測定システムについて本明細書に記載されており、当システムは、任意の半導体プロセスツール(例えば、検査システムまたはリソグラフィシステム)内で試料を測定するために使用されてもよい。用語「試料」とは、当技術分野で公知の手段によって処理(例えば、プリント、または欠陥を検査)されてもよい、ウェハ、レチクルまたは任意の別のサンプルを指すために本明細書で使用される。
【0148】
本明細書で使用するように、用語「ウェハ」とは、半導体または非半導体材料から形成された基板を概して指す。例として、単結晶シリコン、ヒ化ガリウムおよびリン化インジウムが挙げられるが、これらに限定されない。そのような基板は、半導体製造設備内で一般的に見られてもおよび/または処理されてもよい。場合によっては、ウェハは、基板だけ(すなわち、ベアウェハ)を含んでもよい。代替として、ウェハは、基板上に形成された異なる材質の1つ以上の層を含んでもよい。ウェハ上に形成された1つ以上の層は、「パターン付き」または「パターン無し」であってもよい。例えば、ウェハは、繰返し型パターン特徴を有する複数のダイを含んでもよい。
【0149】
「レチクル」とは、レチクル製造プロセスのいずれかの段階でのレチクル、または半導体製造設備内での使用のために解放されてもよいもしくは解放されなくてもよい完成レチクルであってもよい。レチクルまたは「マスク」とは、実質的に透明な基板であって、その上に実質的に不透明な領域が形成され、あるパターンに構成された基板であると概して規定される。基板は、例えば、非晶質SiO2等のガラス材料を含んでもよい。レチクルが、リソグラフィプロセスの露光ステップ中にレジスト被覆ウェハ上に配設されることにより、レチクル上のパターンがレジストまで転写されてもよい。
【0150】
ウェハ上に形成された1つ以上の層は、パターン付きでもパターン無しでもよい。例えば、ウェハは、それぞれが繰返し型パターン特徴を有する複数のダイを含んでもよい。材料のそのような層の形成および処理が、最終的に完成素子をもたらしてもよい。多くの異なるタイプの素子が、ウェハ上に形成されてもよく、本明細書で使用するような用語ウェハは、当技術分野で公知の任意のタイプの素子が上に製造されているウェハを含むことが意図されている。
【0151】
1つ以上の例示的な実施形態では、記載した機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはその任意の結合で実装されてもよい。機能がソフトウェアに実装される場合、コンピュータ可読媒体上に記憶されてもよく、或いはコンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令またはコードとして伝送されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体の両方を含み、これらは、1つの場所から別の場所までのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む。記憶媒体は、汎用または専用コンピュータによってアクセスされてもよい任意の利用可能媒体であってもよい。例であって限定ではなく、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは別の光学ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置もしくは別の磁気記憶装置または任意の別の媒体を備えてもよく、これらは、命令またはデータ構造の形式の所望のプログラムコード手段を伝達または記憶するために使用されてもよく、そして、汎用もしくは専用コンピュータ、または汎用もしくは専用プロセッサによってアクセスされてもよい。また、いずれの接続も、正しくはコンピュータ可読媒体と呼ばれる。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL)、または赤外線、ラジオおよびマイクロ波等の無線技術を使用してウェブサイト、サーバまたは別のリモート源から送信されるならば、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSLまたは赤外線、ラジオおよびマイクロ波等の無線技術が、媒体の定義内に含まれる。本明細書で使用するような、ディスク(diskおよびdisc)とは、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスクおよびブルーレイディスクを含み、この場合、diskは、通常、磁気によってデータを複写し、一方、discは、レーザによって光学的にデータを複写する。上記の結合も、また、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれなければならない。
【0152】
ある特定の実施形態が教示的目的のために上記されているが、本特許文献の教示は、一般的な適用性を有し、上記の特定の実施形態に限定されない。したがって、記載した実施形態の様々な特徴についての様々な修正、適応および結合が、特許請求の範囲で述べられるような本発明の範囲から逸脱することなく実施されてもよい。
【国際調査報告】