(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】角質除去用スクラブクリーム
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20240201BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A61K8/34
A61Q19/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546319
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 CN2022075361
(87)【国際公開番号】W WO2022166951
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】202110167083.3
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】スン ユイリン
(72)【発明者】
【氏名】西島 義人
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC532
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD111
4C083CC05
4C083DD28
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE12
(57)【要約】
本発明は、角質除去用スクラブクリームであって、スクラブ剤としての糖アルコール、基剤としてのポリオール、および増粘剤を含有し、前記糖アルコールは、エリスリトールおよびキシリトールからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記ポリオールは、25℃で液体であるポリオールであり、前記角質除去用スクラブクリームの総量に基づいて、前記糖アルコールの含有量は、15~70重量%であり、前記増粘剤は、分子中に下式(1)で表される構造単位を含有する増粘剤であり、前記角質除去用スクラブクリームには実質的に水を含有しない、角質除去用スクラブクリームを提供する。本発明の角質除去用スクラブクリームは、使用時に優れた使用感を有するとともに、製品性能が安定し、長期間保管しても外観や性能の低下が発生しにくい。
(式中、Xは、OH、ONa、OK、OR
1またはR
2であり、R
1は、炭素数1~30のアルキル基、アミノ基または置換アミノ基であってもよく、R
2は、アミノ基、置換アミノ基、ジメチルタウリンナトリウム基、ジメチルタウリンカリウム基またはジメチルタウリンアンモニウム基であってもよい。)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角質除去用スクラブクリームであって、スクラブ剤としての糖アルコール、基剤としてのポリオール、および増粘剤を含有し、
前記糖アルコールは、エリスリトールおよびキシリトールからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記ポリオールは、25℃で液体であるポリオールであり、
前記角質除去用スクラブクリームの総量に基づいて、前記糖アルコールの含有量は、15~70重量%であり、
前記増粘剤は、分子中に下式(1)で表される構造単位を含有する増粘剤であり、
前記角質除去用スクラブクリームには実質的に水を含有しない。
【化1】
(式中、Xは、OH、ONa、OK、OR
1またはR
2であり、R
1は、炭素数1~30のアルキル基、アミノ基または置換アミノ基であり、R
2は、アミノ基、置換アミノ基、ジメチルタウリンナトリウム基、ジメチルタウリンカリウム基またはジメチルタウリンアンモニウム基である。)
【請求項2】
前記ポリオールは、グリセリン、ポリエチレングリコール、ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびジグリセリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記請求項1に記載の角質除去用スクラブクリーム。
【請求項3】
前記増粘剤は、カルボマー、(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)クロスポリマー、ポリアクリレートクロスポリマー-11、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー、ポリアクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30)、アクリロイルジメチルタウリンナトリウム、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマーおよび(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/アクリル酸カルボキシエチル)クロスポリマーからなる群から選ばれる増粘剤である、請求項1または請求項2に記載の角質除去用スクラブクリーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料分野に関し、具体的には、角質除去用スクラブクリームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体の皮膚は、外部刺激を防御および緩和して人体を保護する重要な器官であると同時に、人々のイメージを表現する重要な要素でもある。皮膚の最外層は角質層であり、その代謝更新周期は一般的に4週間前後であって、タイムリーに更新しないと、角質層の増殖が深刻になってしまい、皮膚の美しさに影響を与えるだけでなく、病原菌の繁殖をもたらして皮膚病変の問題を引き起し得る。したがって、日常生活では、皮膚の余分の角質層を除去する必要がある。角質層の除去方法としては、スクラブ剤を含有するスクラブクリームで皮膚をマッサージし、物理的な摩擦によって余分の角質層を除去する方法が最も一般的に用いられている。
【0003】
化粧料分野において、角質を除去するためのスクラブクリームは、通常、スクラブ剤およびその担体としての基剤を含む。角質除去用スクラブクリームとして、一方では余分の角質を効果的に除去できることが求められており、もう一方では、使用時および使用後に良好な使用感が体験できるなどをユーザからさらに期待されている。これらの需要に対し、様々なスクラブクリームが開発されてきた。
【0004】
例えば、特許文献1(CN111346024A)には、エリトリトールおよびセルローズをスクラブ剤とし、油性溶剤を基剤とする顔面角質除去用スクラブクリームが開示されており、特許文献2(CN103462816A)には、食用糖類又は天然植物スクラブ微粒子をスクラブ剤とし、且つ、油性基剤を用いた角質除去リップクリームが開示されており、特許文献3(CN103349642A)には、スクラブ剤として糖を使用し、且つ、水性基剤を使用したスクラブクリームが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】CN111346024A
【特許文献2】CN103462816A
【特許文献3】CN103349642A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1および特許文献2で開示された製品には油性基剤が使用されており、これらの製品を使用した場合は、ユーザに不愉快な感触、例えば、ベタつきや油っこい感を与えるので、ユーザの使用感を低下させてしまう。また、特許文献2および特許文献3で開示された製品には、スクラブ剤として大量の食用糖が使用されており、糖類は、細菌など微生物の栄養物質として、微生物が繁殖しやすく、製品保管に不利であるという問題があった。
【0007】
一方、糖アルコール類スクラブ剤は微生物が繁殖しにくいが、溶解性の理由から、スクラブ剤の粒状性を保持するために油性基剤が一般的に用いられており、水性基剤を用いると、スクラブ剤粒子が容易に溶解したり凝集したりするなど、長期保管に不利であるという問題があった。
【0008】
また、化粧料業界の激烈な競争環境に直面し、化粧料のメーカーとしても、自社製品の使用感をよりいっそう向上させて、競争の激しい市場で優位を獲得できることを望んでいる。
【0009】
従って、本発明の目的は、十分な角質除去の効果を有し、ユーザが快適な使用感を感じることができると同時に、保管しやすくて良好な安定性を有する、角質除去用スクラブクリームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、従来の技術に存在する問題に対して検討を重ねた結果、スクラブ剤としてエリスリトールおよび/又はキシリトール粒子を使用し、基剤としてポリオールを使用し、且つ、スクラブクリームの組成中に実質的に水を含有させない場合、良好な使用感を実現するとともに、長期間保管してもその特性を保持することができることを見い出して、上記の課題を解決した。さらに、本発明者らの驚くべき発見として、本発明の特定組成を有するスクラブクリームは、ユーザが使用時に顕著な発熱感を感じることができ、これは、ユーザの使用時の快適感を向上させることができるだけでなく、皮膚の微小循環に寄与し、皮膚のむくみ等の問題を解消することに有利である。また、ユーザは洗浄時に涼しさを感じることができる。そして、洗浄が完了した後、ユーザは顕著なうるおい感を感じることができる。本発明者は、上記の発見によって本発明を完成することに至った。
【0011】
本発明は、具体的には以下の態様に関する。
【0012】
[1]角質除去用スクラブクリームであって、スクラブ剤としての糖アルコール、基剤としてのポリオール、および増粘剤を含有し、前記糖アルコールは、エリスリトールおよびキシリトールからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記ポリオールは、25℃で液体であるポリオールであり、前記角質除去用スクラブクリームの総量に基づいて、前記糖アルコールの含有量は、15~70重量%であり、前記増粘剤は、増粘剤の分子に下式(1)で表される構造単位を導入した増粘剤であり、前記角質除去用スクラブクリームには実質的に水を含有しない。
【化1】
(式中、Xは、OH、ONa、OK、OR
1またはR
2であり、R
1は、炭素数1~30のアルキル基、アミノ基または置換アミノ基であってもよく、R
2は、アミノ基、置換アミノ基、ジメチルタウリンナトリウム基、ジメチルタウリンカリウム基またはジメチルタウリンアンモニウム基であってもよい。)
【0013】
[2]前記ポリオールは、グリセリン、ポリエチレングリコール、ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびジグリセリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[1]に記載の角質除去用スクラブクリーム。
【0014】
[3]前記増粘剤は、カルボマー、(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)クロスポリマー、ポリアクリレートクロスポリマー-11、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー、ポリアクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30)、アクリロイルジメチルタウリンナトリウム、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマーおよび(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/アクリル酸カルボキシエチル)クロスポリマーからなる群から選ばれる増粘剤である、前記[1]又は[2]に記載の角質除去用スクラブクリーム。
【発明の効果】
【0015】
[発明の効果]
本発明の角質除去用スクラブクリームによれば、使用時にベタつきや油っこい感を感じることがなく、且つ、製品性能が安定し、長期間保管しても外観や性能の低下が発生しにくい。また、本発明のスクラブクリームを使用する時、ユーザは発熱を感じることができ、皮膚の微小循環に寄与し、むくみ等皮膚の不快を解消することに有利である。それに、スクラブ剤として糖アルコール類を用いたため、使用完了し洗浄した後は、さらにユーザに清涼的な感覚を与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の角質除去用スクラブクリームの組成および効果について詳しく説明する。
【0017】
本発明の角質除去用スクラブクリームは、スクラブ剤としての糖アルコール、基剤としてのポリオール、および増粘剤を含有し、前記糖アルコールは、エリスリトールおよびキシリトールからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記ポリオールは、25℃で液体であるポリオールであり、前記角質除去用スクラブクリームの総量に基づいて、前記糖アルコールの含有量は、15~70重量%であり、前記増粘剤は、分子中に上記式(1)で表される構造単位を含有する増粘剤であり、前記増粘剤は、スクラブクリーム体系の粘度を所要のレベルとするために用いられ、最終製品の特性に対する需要に応じて増粘剤の用量を適切に決定することができ、前記角質除去用スクラブクリームには実質的に水を含有しない。
【0018】
(A)スクラブ剤
本発明においてエリスリトールおよび/又はキシリトール粒子をスクラブ剤として選んで使用するのは、一方では、エリスリトールおよびキシリトール自体が室温で固態であり、その粒子が角質除去用スクラブ剤に適した硬度および強度を有するためであり、もう一方では、エリスリトールおよびキシリトール自体が保湿効果を有し、使用後、たとえ水で洗浄したとしても、ユーザにうるおい感および清涼感を与えることができるためである。
【0019】
本発明の角質除去用スクラブクリームでは、スクラブ剤の含有量に関して、スクラブクリームの総量を100重量%とする場合、スクラブ剤の含有量範囲が、15~70重量%であり、好ましくは20~60重量%であり、より好ましくは30~50重量%である。
【0020】
スクラブ剤の含有量を上記範囲とすることで、スクラブクリームが充分な角質除去能力を有し、且つ、安定したスクラブクリームが容易に得られるようにすることができる。
【0021】
本発明で使用されているスクラブ剤粒子の粒径については、特に限定されず、角質除去効果や使用感の観点から、好ましくは50~2000μm、より好ましくは100~1000μmの範囲である。
【0022】
(B)基剤
本発明の角質除去用スクラブクリームでは、ポリオールを基剤として使用し、ポリオールが親水性であることから、使用時には油っこい感やベタつきなど不愉快な感触を感じすることがない。且つ、ポリオール自体が保湿剤の効果を有するので、ユーザは使用後に皮膚のうるおい感および清涼感を保持することができる。特に、本発明で使用されているスクラブ剤も保湿の効果を有することから、ユーザが使用した後、たとえ水で洗浄しても十分なうるおい感および清涼感を感じられることを可能にした。
【0023】
このようなポリオールとしては、25℃で液体であるポリオールであれば、特別な制限がない。例えば、二価アルコール、三価および三価以上のポリオールを使用することができる。
【0024】
二価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオールなどが挙げられる。三価および三価以上のポリオールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリンなどが挙げられる。これらのポリオールは、単独的に1種類を使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0025】
そのうち、使用感および安定性の観点からは、ポリエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、グリセリンが好ましい。また、これらのポリオールおよび上記スクラブ剤を含有する本発明のスクラブクリームは、ユーザがスクラブクリームを使用して皮膚をマッサージする時に、顕著な発熱感を感じることができ、ユーザにより快適な使用感を感じさせるだけでなく、さらに皮膚の微小循環の改善に寄与し、皮膚のむくみなどの不快を解消することにも有利である。
【0026】
なお、本文における「基剤」とは、スクラブ剤を担持する担体として用いられる溶剤成分を指している。
【0027】
本発明では、上記ポリオールを基剤として使用し、且つ、スクラブクリームには実質的に水を含有しない。ここで、「実質的に水を含有しない」とは、スクラブクリームにおける水の含有量が5重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満であることを指している。何故なら、本発明で使用されているスクラブ剤は、水溶性を有するエリスリトールおよび/又はキシリトールであり、スクラブクリームにおける水含有量が多すぎると、スクラブ剤粒子の溶解を促すか、粒子の部分的溶解-再析出によって粒子の凝集を引き起こすので、スクラブクリームの安定性を低下させ、スクラブクリームの保管に不利となるからである。また、ここの水含有量は、独立してスクラブクリームに添加した水を表すだけでなく、他の成分が水溶液である場合における当該溶液に含有されている水分をも含む。
【0028】
(C)増粘剤
本発明のスクラブクリームにおいて、増粘剤は、スクラブクリーム体系の粘度を所要のレベルとするために用いられ、最終製品の特性に対する需要に応じて増粘剤の用量を適切に決定することができる。また、本発明で使用されているスクラブ剤および基剤の両方ともアルコール類に属するため、スクラブクリームの外観および保存安定性の観点から、本発明で使用されている増粘剤は、増粘剤の分子に下記式(1)で表される構造単位を導入した増粘剤である。
【化2】
(式中、Xは、OH、ONa、OK、OR
1またはR
2であり、R
1は、炭素数1~30のアルキル基、アミノ基または置換アミノ基であってもよく、R
2は、アミノ基、置換アミノ基、ジメチルタウリンナトリウム基、ジメチルタウリンカリウム基またはジメチルタウリンアンモニウム基であってもよい。)
【0029】
本発明のスクラブクリームで使用できる増粘剤の具体例としては、アクリル酸構造を有するカルボマー(Carbopol(登録商標)、Lubrizol Special Chemicals)、アクリルアミド構造を有する(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)クロスポリマー(SUpolymer G-1、東邦化学)、アクリレート構造を有するポリアクリレートクロスポリマー-11(Aristoflex(登録商標)Velvet、クラリアントジャパン株式会社)、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー(Aristoflex(登録商標)HMB、クラリアントジャパン株式会社)、ポリアクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30)(Ultrez、Carbopol(登録商標)、Lubrizol Special Chemicals)、アクリロイルジメチルタウリンナトリウム(Aristoflex(登録商標)silk、クラリアントジャパン株式会社)、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー(Aristoflex(登録商標)AVC、クラリアントジャパン株式会社)、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/アクリル酸カルボキシエチル)クロスポリマー(Aristoflex(登録商標)TAC、クラリアントジャパン株式会社)が挙げられる。また、ポリアクリル酸に制限されず、中和後のポリアクリル酸塩をも含む。
【0030】
増粘剤の使用量について説明すべきこととして、スクラブクリームにおける増粘剤の添加量はスクラブ剤粒子の含有量と関係があり、スクラブクリームの最終粘度を化粧料使用要求の粘度と一致させることができればよく、実際の需要に応じて調節することができるため、ここでは増粘剤の含有量を具体的に限定しない。ただし、例示的な増粘剤の含有量範囲としては、例えば、スクラブクリーム全体に対して、1.75重量%以下の範囲、0.2~10重量%の範囲、0.4~0.6重量%の範囲などが挙げられる。
【0031】
(D)他の成分
本発明では、上記の成分に加えて、一般的に化粧料で使用されている成分を、本発明の効果を損なわない限りにおいて配合することができる。他の成分としては、例えば、界面活性剤、スキンコンディショナー、保湿剤、防腐剤、金属イオンキレート剤、色素、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、香料などが挙げられる。これらの成分およびその添加量は、実際の需要に応じて選択することができる。
【0032】
本発明のスクラブクリームの製造方法に関しては特別な限定がなく、例えば、上記の各成分を均一に混合してスクラブクリームを形成する方法が挙げられる。本発明のスクラブクリームの外観は、透明または半透明の流体状、透明または半透明のゲル状、湿った粒状とすることができる。
【0033】
本発明のスクラブクリームは、通常の方法に従って使用することができる。例えば、スクラブクリームを直接皮膚に塗布して一定時間マッサージを行った後、水でスクラブクリームを洗い落とすことができる。好ましくは、先に皮膚を洗浄してから、あるいは、水で皮膚を濡らした後にスクラブクリームを使用する。
【実施例】
【0034】
[実施例]
以下、具体的な実施例によって本発明をより詳しく説明するが、本発明は、下記の具体的な実施例に限定されるものではない。
【0035】
<スクラブクリームの調製>
下表1および表2で示されている成分および配合量に従って各成分を量り取り、次いで、各成分を均一に混合して均一な組成物を形成することで、実施例1~5および比較例1~5を得た。下表における各成分の含有量を「重量%」で示した。そして、得られた組成物を下記の評価方法に基づいて評価し、評価結果を表3および表4に示した。実施例で使用されている各原料はすべて市販品を採用した。
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
<使用感の評価>
20名のレビュアーが試料を使用した。試料を皮膚に塗布し、マッサージを行い、そして、試料を洗い落とした。使用時および使用後の感触についてアンケートを行い、下記の基準に従って評価を行った。
(使用時の熱感について):16名以上のレビュアーが熱感を感じた場合は「○」と評価し、10~15名のレビュアーが熱感を感じた場合は「△」と評価し、9名以下のレビュアーが熱感を感じた場合は「×」と評価する。
(使用時の粒状感について):16名以上のレビュアーが明らかな粒状感を感じた場合は「○」と評価し、10~15名のレビュアーが粒状感を感じた場合は「△」と評価し、9名以下のレビュアーが粒状感を感じた場合は「×」と評価する。
(洗浄時の冷感について):16名以上のレビュアーが明らかな冷感を感じた場合は「○」と評価し、10~15名のレビュアーが冷感を感じた場合は「△」と評価し、9名以下のレビュアーが冷感を感じた場合は「×」と評価する。
(洗浄後のしっとり感について):16名以上のレビュアーが明らかなしっとり感を感じた場合は「○」と評価し、10~15名のレビュアーがしっとり感を感じた場合は「△」と評価し、9名以下のレビュアーがしっとり感を感じた場合は「×」と評価する。
(洗浄後にべたつき感がないことについて):16名以上のレビュアーがべたつき感を感じなかった場合は「○」と評価し、10~15名のレビュアーがべたつき感を感じなかった場合は「△」と評価し、9名以下のレビュアーがべたつき感を感じなかった場合は「×」と評価する。
【0040】
<安定性の評価>
試料を透明ガラス瓶に入れ、60℃のオーブンの中で7日間放置した後に取り出し、室温に戻し、目視で状態を観察した。瓶の中の試料を取り出してブラックボードに塗布し、粒子状態を観察し、下記の基準に従って評価を行った。
明らかな変化が確認されなかった場合は「○」と評価する。
粒子の融解、あるいは粒子の凝集沈降が発生した場合は「×」と評価する。
【0041】
上記の表1~3から分かるように、本発明のスクラブクリームを使用した場合、被験者は優れた使用感を感じることができ、且つ、スクラブクリームは優れた保存安定性を有する。
【0042】
また、ソルビットを基剤として使用した比較例1の場合では、被験者が発熱感を感じられず、且つ、スクラブクリームが不均一になった。トレハロースをスクラブ剤として使用した比較例2の場合では、粒状感が弱く、且つ、高温保存後に粒子が融解した。体系における水含有量を増やした比較例3の場合では、組成物が白濁化し、本発明の使用感が実現できなかった。キサンタンガムを増粘剤として使用した比較例4の場合では、組成物が白濁化し、本発明の使用感が実現できなかった。パルミチン酸デキストリンを増粘剤として使用した比較例5の場合では、増粘剤が溶解できず、組成物が本発明の使用感を実現できなかった。
【0043】
以上、具体的な実施例を以て本発明の組成および効果を説明したが、当業者は、本発明の思想に基づき、本発明の思想から懸け離れない場合において、成分、含有量の置換および変更を行うことができ、これらの置換および変更された技術案も本発明の範囲に含まれる。
【国際調査報告】