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特表2024-505967(4-メチル-2-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-フェニル)-[(R)-3-(3-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-ベンジル)-モルホリン-4-イル]-メタノンの結晶形
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  • 特表-(4-メチル-2-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-フェニル)-[(R)-3-(3-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-ベンジル)-モルホリン-4-イル]-メタノンの結晶形 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】(4-メチル-2-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-フェニル)-[(R)-3-(3-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-ベンジル)-モルホリン-4-イル]-メタノンの結晶形
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/14 20060101AFI20240201BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240201BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240201BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240201BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240201BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
C07D413/14 CSP
A61K31/5377
A61K47/38
A61K9/20
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/14
A61K47/04
A61P25/22
A61P25/28
A61P25/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546457
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 EP2022051992
(87)【国際公開番号】W WO2022167330
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/052373
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517248845
【氏名又は名称】イドーシア ファーマシューティカルズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IDORSIA PHARMACEUTICALS LTD
【住所又は居所原語表記】HEGENHEIMERMATTWEG 91, 4123 ALLSCHWIL, SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】マルクス フォン ラウマー
【テーマコード(参考)】
4C063
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB06
4C063CC54
4C063DD42
4C063EE01
4C076AA36
4C076BB01
4C076DD29
4C076DD38
4C076DD47
4C076EE16
4C076EE31
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC73
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA05
4C086ZA15
(57)【要約】
本発明は、(4-メチル-2-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-フェニル)-[(R)-3-(3-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-ベンジル)-モルホリン-4-イル]-メタノンの結晶形、その製造方法、それを有する医薬組成物、並びに、過食性障害(BED)等の種々のオレキシン受容体-介在障害の予防及び/又は治療における、オレキシン受容体アンタゴニストとしてのその使用に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:10.5°、14.2°及び18.4°におけるピークの存在により特徴づけられる、(4-メチル-2-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-フェニル)-[(R)-3-(3-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-ベンジル)-モルホリン-4-イル]-メタノンの結晶形。
【請求項2】
粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:7.8°、10.5°、14.2°、18.4°及び21.8°におけるピークの存在により特徴づけられる、請求項1に記載の結晶形。
【請求項3】
粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:7.8°、10.5°、12.5°、13.7°、14.2°、14.6°、18.4°、21.4°、21.8°及び25.1°におけるピークの存在により特徴づけられる、請求項1に記載の結晶形。
【請求項4】
図1に示す粉末X線回折パターンを本質的に示す、請求項1に記載の結晶形。
【請求項5】
示差走査熱量測定により決定される約117.6℃の融点により特徴づけられる、請求項1~4のいずれか1項に記載の結晶形。
【請求項6】
下記の工程を有する方法により得ることができる、請求項1~5のいずれか1項に記載の結晶形:
a. (4-メチル-2-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-フェニル)-[(R)-3-(3-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-ベンジル)-モルホリン-4-イル]-メタノンを溶媒中に溶解させる工程であって、当該溶媒が1又は2種以上の低級アルコールを有する工程;
b. 固体生成物の形成を待つ工程;及び
c. 上記固体生成物を単離する工程。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の結晶形を製造する方法であって、当該方法が、溶媒中における(4-メチル-2-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-フェニル)-[(R)-3-(3-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-ベンジル)-モルホリン-4-イル]-メタノンの再結晶化を有し、当該溶媒が1又は2種以上の低級アルコールを有する、方法。
【請求項8】
有効成分として、請求項1~6のいずれか1項に記載の結晶形を有し、さらに少なくとも1種の薬学的に許容される担体を有する医薬組成物。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか1項に記載の結晶形を有する固体剤形。
【請求項10】
経口使用用の錠剤の形態の請求項8に記載の医薬組成物であって、
- 約3%w/w~約40%w/wの当該有効成分;
- 約30%w/w~約70%w/wの微結晶セルロース;
- 約15%w/w~約60%w/wのマンニトール;
- 約3%w/w~約10%w/wのクロスポビドン;
- 約0.2%w/w~約4%w/wのフマル酸ステアリルナトリウム;及び
- 約0.5%w/w~約5%w/wの水和コロイダルシリカ;
を有する、医薬組成物。
【請求項11】
経口使用用の錠剤の形態の請求項8に記載の医薬組成物であって、
- 22%~25%w/wの当該有効成分;
- 39%~44%w/wの微結晶セルロース;
- 24%~30%w/wのマンニトール;
- 4%~6%w/wのクロスポビドン;
- 0.5%~1.5%w/wのフマル酸ステアリルナトリウム;及び
- 1.5%~2.5%w/wの水和コロイダルシリカ;
又は、
- 10%~13%w/wの当該有効成分;
- 47%~52%w/wの微結晶セルロース;
- 29%~34%w/wのマンニトール;
- 4%~6%w/wのクロスポビドン;
- 0.5%~1.5%w/wのフマル酸ステアリルナトリウム;及び
- 1%~2%w/wの水和コロイダルシリカ;
又は、
- 6%~8%w/wの当該有効成分;
- 48%~54%w/wの微結晶セルロース;
- 31%~35%w/wのマンニトール;
- 4%~6%w/wのクロスポビドン;
- 0.5%~1.5%w/wのフマル酸ステアリルナトリウム;及び
- 1%~2%w/wの水和コロイダルシリカ;
又は、
- 5%~7%w/wの当該有効成分;
- 50%~55%w/wの微結晶セルロース;
- 30%~35%w/wのマンニトール;
- 4%~6%w/wのクロスポビドン;
- 0.5%~1.5%w/wのフマル酸ステアリルナトリウム;及び
- 0.5%~2%w/wの水和コロイダルシリカ;
を有する、医薬組成物。
【請求項12】
医薬として使用するための、請求項1~6のいずれか1項に記載の結晶形又は請求項8、10又は11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
不安障害、嗜癖障害、気分障害、食欲障害、認知機能障害又は睡眠障害の予防及び/又は治療において使用するための、請求項1~6のいずれか1項に記載の結晶形又は請求項8、10又は11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
過食性障害(BED);神経性過食症(BN);神経性無食欲症(AN);異食症;他の特定される食行動障害または摂食障害(OSFED);特定不能の食行動障害または摂食障害(UFED);特定不能の摂食障害(EDNOS);強迫性食べ過ぎ(CO);制御不能な(LOC)摂食;並びにプラダーウィリ症候群(PWS)に関連する食欲亢進及び/又は過食を有する群より選択される摂食障害の予防及び/又は治療において使用するための、請求項1~6のいずれか1項に記載の結晶形又は請求項8、10又は11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
過食性障害(BED)の予防及び/又は治療において使用するための、請求項1~6のいずれか1項に記載の結晶形又は請求項8、10又は11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分、(4-メチル-2-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-フェニル)-[(R)-3-(3-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-ベンジル)-モルホリン-4-イル]-メタノン(この有効成分は、本明細書においてACT-539313とも記載される。)の新規な結晶形、その製造方法、当該結晶形を有する医薬組成物、並びに、不安障害、嗜癖障害及び摂食障害等の種々のオレキシン受容体-介在疾患、障害及び/又は病気の予防及び/又は治療における、オレキシン受容体アンタゴニストとしてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ACT-539313(CAS RN 1435480-40-2)及びそのオレキシン受容体アンタゴニスト活性は以前にWO2013068935中に開示されている。ACT-539313は、臨床試験(NCT02702648、NCT03363984及びNCT04753164)で試験された強力で選択的なオレキシン-1受容体アンタゴニストである。この化合物の特定の臨床的側面は、Kaufmann Pら、Br J Clin Pharmacol.2020;86(7):1377-1386;Berger、Bら、J Clin Pharmacol.2020;60(7):931-941;及びKaufmann Pら、Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry.2021;108:110166により論じられている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の要約
本明細書に開示されるACT-539313の結晶形は、非吸湿性であるため、より長い貯蔵寿命を有する;貯蔵中の凝集傾向が低い;包装/取り扱いがより簡易である;及び、秤量/調剤中の質量変化が限定的である等の有利な物理的特性を示すであろう。熱力学的に安定性が低く又は準安定な他の形態と比べて、本結晶形は熱力学的に安定であろう。本結晶形は、粉体密度及び流動性等の有利なバルク特性を有するであろう。本明細書に開示される多形体は、十分に高い融点等の有利な粉末流動挙動(powder flow behavior)及び好ましい圧縮特性を有するため、錠剤等の固体剤形の製造に適しているであろう。さらに、本発明の結晶形を有する特定の医薬組成物は、カプセル剤及び錠剤の両方の製造に特に適している等の有利な特性を有するであろう。また、この結晶形は、特定の溶媒中で容易に形成されるのに対し、他の溶媒中では結晶化に実質的により長い時間がかかる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1は、結晶形1のACT-539313の粉末X線回折ダイアグラムを示し、この粉末X線回折ダイアグラムはCu Kα照射に対して示す。X線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータにおける、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(5-35°の範囲の2シータからの、10%の又は10%より大きな相対強度を有する選択したピークを報告する。):7.8°(35%)、10.5°(37%)、12.5°(13%)、13.7°(22%)、14.2°(59%)、14.6°(17%)、15.6°(15%)、15.8°(13%)、18.4°(100%)、21.4°(18%)、21.8°(60%)、23.8°(19%)、24.1°(17%)、24.8°(14%)、25.1°(43%)及び25.5°(18%)。図1のX線回折ダイアグラムにおいて、屈折角2シータ(2θ)を横軸にプロットし、カウントを縦軸にプロットする。いかなる疑義をも避けるために、上記のピークは、図1に示す粉末X線回折の実験結果を記述する。上記のピークのリストとは対照的に、本発明の各結晶形のACT-539313を完全に及び明確に特徴づけるためには、選択された特徴的なピークのみが必要であることが理解されるべきである。
図2図2は、非晶質状態のACT-539313の粉末X線回折ダイアグラムを示し、この粉末X線回折ダイアグラムはXRPD法1を用いて測定され、Cu Kα照射に対して示す。ダイアグラムにおいて、屈折角2θを横軸にプロットし、カウントを縦軸にプロットする。
図3図3は、結晶形1のACT-539313の示差走査熱量測定サーモグラムを示す。温度[℃]をx軸上に示す。熱流量[mW](吸熱は下向き(endo down))をy軸上に示す。
図4図4は、結晶形1のACT-539313の25℃における重量測定蒸気吸着等温線を示す。[%]で表した相対湿度(25℃)をx軸上に示す。y軸上には[%乾燥量基準]で表した質量変化を示す。
図5図5は、非晶質状態のACT-539313の25℃における重量測定蒸気吸着等温線を示す。[%]で表した相対湿度(25℃)をx軸上に示す。y軸上には[%乾燥量基準]で表した質量変化を示す。
【0005】
態様の記載
1) 本発明の第1の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:10.5°、14.2°及び18.4°におけるピークの存在により特徴づけられる、(4-メチル-2-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-フェニル)-[(R)-3-(3-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-ベンジル)-モルホリン-4-イル]-メタノン(ACT-539313)の結晶形に関する。
【0006】
態様1)に従う結晶形は、遊離塩基(すなわち塩の形態ではない)の結晶形のACT-539313を包含するものと理解される。さらに、当該結晶形は非配位及び/又は配位溶媒を有してよい。配位溶媒は、本明細書において、結晶性溶媒和物についての用語として使用される。同様に、非配位溶媒は、本明細書において、物理吸着又は物理捕捉溶媒についての用語として使用される(Polymorphism in the Pharmaceutical Industry(Ed.R.Hilfiker、VCH、2006)、Chapter 8:U.J.Griesser:The Importance
of Solvatesによる定義)。本明細書に開示するACT-539313の結晶形は、配位水を有さないが、非配位水又は別の非配位溶媒を有してよい。
【0007】
2) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:7.8°、10.5°、14.2°、18.4°及び21.8°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様1)に従うACT-539313の結晶形に関する。
【0008】
3) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:7.8°、10.5°、12.5°、13.7°、14.2°、14.6°、18.4°、21.4°、21.8°及び25.1°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様1)に従うACT-539313の結晶形に関する。
【0009】
4) 別の態様は、図1に示す粉末X線回折パターンを本質的に示す、態様1)に従うACT-539313の結晶形に関する。
【0010】
5) 別の態様は、本明細書に記載する方法を用いて示差走査熱量測定(DSC)によ
り決定される約117.6℃の融点により特徴づけられる、態様1)~4)のいずれか1つに従うACT-539313の結晶形に関する。
【0011】
別の態様は、本明細書に記載する方法を用いて示差走査熱量測定(DSC)により決定される117.6±2℃の融点により特徴づけられる、ACT-539313の結晶形に関する。
【0012】
6) 別の態様は、図3に示す示差走査熱量測定プロファイルを本質的に示す、態様1)~5)のいずれか1つに従うACT-539313の結晶形に関する。
【0013】
7) 別の態様は、下記の工程を有する方法により得ることができる、態様1)~6)のいずれか1つに従うACT-539313の結晶形に関する:
a. (特に、約1mL~約20mLの溶媒中に約1gのACT-539313の濃度にて)ACT-539313を溶媒中に溶解させる工程であって、当該溶媒が1又は2種以上の低級アルコール(特に、1-プロパノール、2-プロパノール、エタノール又はこれらの混合物から選択される;とりわけ2-プロパノール)を有する工程;
b. (特に約24h未満の間)固体生成物の形成を待つ工程;及び
c. 上記固体生成物を単離する工程。
【0014】
本明細書に定義する単離工程は、固体沈殿物を液体から分離するための、当該技術分野において既知のいかなる方法により行ってもよく、好ましくはろ過により行う。
【0015】
本明細書で使用される「低級アルコール」という用語は、1、2又は多価(特に1又は2価;とりわけ1価)アルコール、すなわち、1、2又は3個以上のヒドロキシル基(特に1又は2個;とりわけ1個のヒドロキシル基)を有し、当該ヒドロキシル基が1又は2個以上の水素原子の置換によりC1-5-アルカンに結合するアルコールを意味する。「C1-5-アルカン」という用語は、1~5個の炭素原子からなる直鎖又は分岐の飽和炭化水素鎖を意味する。本明細書で使用される低級アルコールの例は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、イソブタノール、2-メチル-プロパン-2-オール、2-メチル-プロパン-1-オール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール;特に、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール;とりわけ、エタノール、1-プロパノール及び2-プロパノールである。態様7)又は本明細書に開示する態様のいずれかに定義する、ACT-539313を溶解させるために使用される溶媒は、少なくとも50%(特に少なくとも75%;とりわけ本質的に100%)の当該1又は2種以上の低級アルコールを有する。
【0016】
8) 別の態様は、態様1)~6)のいずれか1つに従うACT-539313の結晶形を製造する方法に関し、当該方法は(特に約1mL~約20mLの溶媒中に約1gのACT-539313の濃度における)溶媒中におけるACT-539313の再結晶化を有し、当該溶媒は1又は2種以上の低級アルコール(特に、1-プロパノール、2-プロパノール、エタノール又はこれらの混合物から選択される;とりわけ2-プロパノール)を有し;特に、当該方法は下記の工程を有する:
a. (特に、約1mL~約20mLの溶媒中に約1gのACT-539313の濃度にて)ACT-539313を溶媒中に溶解させる工程であって、当該溶媒が1又は2種以上の低級アルコール(特に、1-プロパノール、2-プロパノール、エタノール;とりわけ2-プロパノール)を有する工程;
b. (特に約24h未満の間)固体生成物の形成を待つ工程;及び
c. 上記固体生成物を単離する工程。
【0017】
いかなる疑義をも避けるために、上記態様の1つが、「粉末X線回折ダイアグラムにおける、以下の屈折角2θにおけるピーク」に言及する場合は常に、当該粉末X線回折ダイアグラムは、Kα2を除去することなく、結合Cu Kα1及びKα2照射(combined Cu Kα1 and Kα2 radiation)を用いて得られたものであり;そして本明細書で提供される2θ値の精度は+/-0.1~0.2°の範囲内であることが理解されるべきである。特に、本発明の態様及び請求項中でピークに対する屈折角2シータ(2θ)を特定する場合、記載された上記2θ値は、当該値-0.2°から当該値+0.2°(2θ+/-0.2°)の間;そして好ましくは当該値-0.1°から当該値+0.1°(2θ+/-0.1°)の間と理解されるべきである。
【0018】
化合物、固体、医薬組成物、疾患等について複数形が使用される場合は、単数の化合物、固体、医薬組成物、疾患等をも意味することが意図されている。
【0019】
ここに記載される定義は、態様1)~8)のいずれか1つに定義される主題に対して一律に適用されるものであり、特段の定義によってより広い又はより狭い定義が与えられない限り本明細書及び請求項を通じて必要な変更を加えて適用される。当然ながら、ある用語又は表現の定義又は好ましい定義が、ここに定義されるいずれか又は他のすべての用語又は表現のいずれか又は好ましい定義におけるそれぞれの用語又は表現を、独立して(及びそれらと共に)定義し置き換えるものであってよい。
【0020】
例えば、粉末X線回折ダイアグラムにおけるピークの存在を定義する場合、通常の方法は、S/N比(S=シグナル、N=ノイズ)の点からこれを行うことである。この定義に従えば、粉末X線回折ダイアグラムにピークが存在しなければならないと述べる場合、粉末X線回折ダイアグラムのピークは、x(xは1より大きい数値である。)より大きい、通常は2より大きい、特に3より大きいS/N比(S=シグナル、N=ノイズ)を持つことにより定義されるものと理解される。
【0021】
本発明において、結晶形が図1に表される粉末X線回折パターンを本質的に示すと述べる場合、「本質的に」という用語は、当該図に表されるダイアグラムの少なくとも主要なピーク、すなわち、ダイアグラムにおける最も強いピークと比べ、20%を超える、特に10%を超える相対強度を有するピークが存在しなければならないことを意味する。しかしながら、粉末X線回折の当業者は、粉末X線回折ダイアグラムの相対強度が、好ましい配向効果に起因する強い強度変動に付され得ることを認識しているはずである。
【0022】
温度に関して使用されていない場合には、数値「X」の前に置かれる「約」という用語は、本出願において、X-Xの10%からX+Xの10%にわたる間、好ましくはX-Xの5%からX+Xの5%にわたる間、最も好ましくはXを意味する。温度の特定の場合には、温度「Y」の前に置かれる「約」の用語は、本出願において、温度Y-10℃からY+10℃にわたる間、好ましくはY-5℃からY+5℃にわたる間を意味する。室温は約25℃の温度を意味する。
【0023】
数値範囲を記述するために「間」又は「から(~)」の語が使用される場合は常に、示された範囲の末端の点は明示的にその範囲に含まれるものとする。例えば:温度範囲が40℃から80℃の間(又は40℃から(~)80℃)であると記述される場合、末端の点である40℃と80℃はその範囲に含まれることを意味し、あるいは、可変数が1から4の間(又は1から(~)4)の整数であると定義される場合、可変数は整数の1、2、3又は4であることを意味する。
【0024】
態様1)~7)のいずれか1つに従うACT-539313の結晶形は、医薬として、例えば、(例えば特に経口等の)経腸投与のための医薬組成物の形態で使用することがで
きる。
【0025】
9) 従って、別の態様は、医薬として使用するための、態様1)~7)のいずれか1つに従うACT-539313の結晶形に関する。
【0026】
態様1)~7)のいずれか1つに従うACT-539313の結晶性固体は、単独の成分として、又は、ACT-539313の他の結晶形若しくは非晶質形との混合物として使用してよい。
【0027】
10) さらなる態様は、有効成分として、態様1)~7)のいずれか1つに従うACT-539313の結晶形を有し、さらに少なくとも1種の薬学的に許容される担体材料を有する医薬組成物に関する。特に、上記組成物は、固体医薬組成物、特に経口使用用の固体医薬組成物、とりわけ(経口使用用の)錠剤である。
【0028】
好ましい態様において、態様1)~7)のいずれか1つに従うACT-539313の結晶形は(経口使用用の)固体剤形中に含有される。特に上記固体剤形は、錠剤、カプセル剤、スフィア(sphere)、顆粒剤、凍結乾燥剤、薄膜剤(thin film)であり;とりわけ上記固体剤形は(経口使用用の)錠剤又はカプセル剤であり;殊に(経口使用用の)錠剤である。
【0029】
医薬組成物の製造は、いずれの当業者にもよく知られた様式で(例えば、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、21st Edition(2005)、Part5、「Pharmaceutical Manufacturing」[Lippincott Williams&Wilkinsにより出版]参照。)、本発明の結晶形を、任意にその他の治療的に有益な物質と組み合わせて、適切な無毒の不活性な薬学的に許容される固体又は液体の担体材料及び必要に応じて、通常の薬学的アジュバントと共に、製剤投与形態とすることにより遂行することができる。
【0030】
11) さらなる態様は、
- 約3%w/w~約40%w/wの当該有効成分;
- 約30%w/w~約70%w/wの微結晶セルロース;
- 約15%w/w~約60%w/wのマンニトール;
- 約3%w/w~約10%w/wのクロスポビドン(crosspovidone);- 約0.2%w/w~約4%w/wのフマル酸ステアリルナトリウム;及び
- 約0.5%w/w~約5%w/wの水和コロイダルシリカ(silica colloidal hydrated);
[当該組成物(特に錠剤又はカプセル剤;とりわけ錠剤)の上記成分の合計は100%である。];
を有する;
又は、特に、
- 約4%w/w~約35%w/w当該有効成分;
- 約35%w/w~約60%w/wの微結晶セルロース;
- 約20%w/w~約40%w/wのマンニトール;
- 約3%w/w~約8%w/wのクロスポビドン;
- 約0.5%w/w~約3%w/wのフマル酸ステアリルナトリウム;及び
- 約1%w/w~約3%w/wの水和コロイダルシリカ;
[当該組成物(特に錠剤)の上記成分の合計は100%である。];
を有する;
又は、とりわけ、
- 約5%w/w~約25%w/wの当該有効成分;
- 約38%w/w~約55%w/wの微結晶セルロース;
- 約24%w/w~約35%w/wのマンニトール;
- 約4%w/w~約6%w/wのクロスポビドン;
- 約0.5%w/w~約2%w/wのフマル酸ステアリルナトリウム;及び
- 約1%w/w~約2.5%w/wの水和コロイダルシリカ;
[当該組成物(特に錠剤)の上記成分の合計は100%である。];
を有する;
態様10)に従う医薬組成物(特に経口使用用の錠剤又はカプセル剤;とりわけ経口使用用の錠剤)に関する。
【0031】
12) さらなる態様は、
- 22%~25%w/wの当該有効成分;
- 39%~44%w/wの微結晶セルロース;
- 24%~30%w/wのマンニトール;
- 4%~6%w/wのクロスポビドン;
- 0.5%~1.5%w/wのフマル酸ステアリルナトリウム;及び
- 1.5%~2.5%w/wの水和コロイダルシリカ;
[当該組成物(特に錠剤又はカプセル剤;とりわけ錠剤)の上記成分の合計は100%である。];
又は、
- 10%~13%w/wの当該有効成分;
- 47%~52%w/wの微結晶セルロース;
- 29%~34%w/wのマンニトール;
- 4%~6%w/wのクロスポビドン;
- 0.5%~1.5%w/wのフマル酸ステアリルナトリウム;及び
- 1%~2%w/wの水和コロイダルシリカ;
[当該組成物(特に錠剤又はカプセル剤;とりわけ錠剤)の上記成分の合計は100%である。];
又は、
- 6%~8%w/wの当該有効成分;
- 48%~54%w/wの微結晶セルロース;
- 31%~35%w/wのマンニトール;
- 4%~6%w/wのクロスポビドン;
- 0.5%~1.5%w/wのフマル酸ステアリルナトリウム;及び
- 1%~2%w/wの水和コロイダルシリカ;
[当該組成物(特に錠剤又はカプセル剤;とりわけ錠剤)の上記成分の合計は100%である。];
又は、
- 5%~7%w/wの当該有効成分;
- 50%~55%w/wの微結晶セルロース;
- 30%~35%w/wのマンニトール;
- 4%~6%w/wのクロスポビドン;
- 0.5%~1.5%w/wのフマル酸ステアリルナトリウム;及び
- 0.5%~2%w/wの水和コロイダルシリカ;
[当該組成物(特に錠剤又はカプセル剤;とりわけ錠剤)の上記成分の合計は100%である。];
を有する、態様10)に従う医薬組成物(特に経口使用用の錠剤又はカプセル剤;とりわけ経口使用用の錠剤)に関する。
【0032】
本明細書で使用される「成分」という用語は、前記有効成分、前記各賦形剤(例えば、微結晶セルロース、マンニトール等)、及び、存在するかもしれないが、対応する医薬組成物の本質的な特徴に実質的に影響を及ぼさないさらなる成分(例えば少量の不純物等)を意味するものとする。態様11)及び12)並びに各請求項において使用される「を有する」という用語は、状況に応じて「から本質的になる」という用語に置き換えてよい。
【0033】
13) さらなる態様は、(固体)医薬組成物の製造において使用するための態様1)~7)のいずれか1つに従うACT-539313の結晶形に関し、当該医薬組成物は、有効成分としてACT-539313を有し、さらに少なくとも1種の薬学的に許容される担体材料を有する。
【0034】
14) 本発明のさらなる態様は、オレキシン性機能不全に関連する疾患又は障害;特に少なくとも1種のオレキシン受容体の遮断(特にOX1受容体の遮断)が必要とされる疾患又は障害の予防及び/又は治療において使用するための、態様1)~7)のいずれか1つに従うACT-539313の結晶形又は態様10)~12)のいずれか1つに従う医薬組成物(特に経口使用用の錠剤)に関する。
【0035】
オレキシン性機能不全に関連する障害は、ヒトオレキシン受容体の、特にOX1受容体のアンタゴニストが必要とされる疾患又は障害であり、特に、オレキシン性機能不全が関与する精神保健疾患又は障害である。上記の障害は特に、不安障害、嗜癖障害、気分障害又は食欲障害並びに認知機能障害又は睡眠障害を包含するものと定義してよい。特に、上記の障害は、不安障害、嗜癖障害及び気分障害、とりわけ不安障害及び嗜癖障害を包含する。
【0036】
不安障害は、恐怖の主たる対象又は特異性により区別することができ、全般性不安障害におけるようなむしろ漠然としたものから、恐怖症性不安(PHOB)又は心的外傷後ストレス障害(PTSD)において見られるように限定的なものまでにわたる。従って、不安障害は、全般性不安障害(GAD)、強迫性障害(OCD)、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、パニック発作を包含するパニック不安障害(PAD)、恐怖症性不安(PHOB)、単一恐怖、社会恐怖(社会不安障害)、回避性障害、心気症を包含する身体表現性障害、分離不安障害、一般身体疾患に起因する不安障害及び物質誘発不安障害を包含するものとして定義してよい。副態様において、限定的な恐怖が誘発する不安障害の特定の例は、恐怖症性不安又は心的外傷後ストレス障害である。特に、不安障害は、全般性不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、パニック発作、恐怖症性不安及び回避性障害を包含する。
【0037】
嗜癖障害は、1又はそれ以上の報酬刺激に対する依存、特に1の報酬刺激に対する依存と定義してよい。そのような報酬刺激は、天然物に由来するものであっても、合成物に由来するものであってもよい。そのような報酬刺激の例は、(コカイン、アンフェタミン、(天然又はモルヒネ若しくはヘロイン等の(半)合成物由来の)阿片剤、カンナビス、エタノール、メスカリン、ニコチン等の天然物由来又は合成物由来の)物質/薬物であり、これらの物質/薬物は単独で消費しても組み合わせて消費してもよく;又は(食物、甘味物、脂肪又はセックス等の)天然物由来の、又は(ギャンブル又は(ゲームを過度に行うこと又はソーシャルネットワークサイト若しくはブログへの不適切な関与のような)インターネット/IT等の)合成物由来の他の報酬刺激である。副態様において、向精神薬の使用、乱用、探索及び再燃に関する嗜癖障害は、すべてのタイプの心理的又は身体依存並びにそれらに関連する耐性及び依存因子と定義される。物質関連嗜癖障害は特に、物質依存、物質渇望及び物質乱用等の物質使用障害;物質中毒、物質離脱及び物質誘発性せん妄等の物質誘発障害を包含する。「依存症の予防又は治療」(すなわち、依存症である又は依存症になるリスクがあると診断された患者の予防的又は治療的処置)という表現は、依
存を減じること、特に依存症の発症を減じて、その維持を弱め、離脱を促進し、節制を促進し、又は依存の再燃が起こるのを弱め、減らし若しくは予防すること(特に、依存症の発症を減らし、離脱を促進し、又は依存の再燃が起こるのを弱め、減らし若しくは予防すること)を意味する。
【0038】
気分障害は、大うつ病エピソード、躁病エピソード、混合性エピソード及び軽躁病エピソード;大うつ病性障害、気分変調性障害を包含するうつ病性障害;I型双極性障害、II型双極性障害(軽躁病エピソードを伴う反復性大うつ病エピソード)、循環病を包含する双極性障害;(うつ病的特徴を伴う、大うつ病様エピソードを伴う、躁病的特徴を伴う、及び混合性の特徴を伴うサブタイプを包含する)一般身体疾患に起因する気分障害、(うつ病的特徴を伴う、躁病的特徴を伴う、及び混合性の特徴を伴うサブタイプを包含する)物質誘発気分障害を包含する気分障害を包含する。そのような気分障害は特に、大うつ病エピソード、大うつ病性障害、一般身体疾患に起因する気分障害;及び物質誘発気分障害である。
【0039】
食欲障害は、摂食障害及び摂水障害(drinking disorders)を包含する。摂食障害は、過度の食物摂取に関連する摂食障害及びそれに関連した合併症;拒食症;強迫性摂食障害;(遺伝的又は環境的等いかなる原因によるかを問わない)肥満;過食及び2型(インシュリン非依存型)糖尿病患者で観察される肥満を包含する肥満関連傷害;神経性過食症を包含する過食症;悪液質;とりわけ、過食性障害又は神経性過食症を包含するものとして定義してよい。特に、摂食障害は、代謝機能不全;食欲調節不全;強迫的肥満;過食症又は神経性無食欲症を包含する。副態様において、摂食障害は、特に、神経性無食欲症、神経性過食症、悪液質、過食性障害又は強迫的肥満を、最も好ましくは過食性障害及び/又は神経性過食症を包含するものと定義してよい。摂水障害は、精神障害における多飲症及びすべての他のタイプの過剰液体摂取を包含する。この摂食の病理学的変形は、食欲障害(食物に対する誘惑又は嫌悪);エネルギーバランスの変調(摂取vs消費)、食品品質についての知覚障害(高脂肪又は高炭水化物、良味覚);食物入手可能性障害(無制限節食又は遮断)又は水分平衡障害から生じるかもしれない。
【0040】
認知機能障害は、精神、神経、神経変性、心臓血管及び免疫疾患において一時的に又は慢性的に生じ、また正常な、健康な、若年の、成人の又は特に老齢の集団において一時的に又は慢性的に生じる、注意、学習及び特に記憶機能における欠損を包含する。認知機能障害は特に、(特に、宣言的又は手続的)記憶の減少を症状として有する疾患又は障害(特に、前頭側頭型認知症又はレビー小体型認知症又は(特に)アルツハイマー病等の認知症)を有し、あるいはそのような疾患又は障害にかかるリスクがあると診断された患者の記憶の増強又は維持に関連する。特に、「認知機能障害の予防又は治療」という用語は、特に、前頭側頭型認知症又はレビー小体型認知症又は(特に)アルツハイマー病等の認知症と関連付けられた、宣言的記憶の欠損として発現する認知機能障害の臨床症状を有する患者の記憶の増強又は維持に関する。さらに、「認知機能障害の予防又は治療」という用語はまた、上記の患者群のいずれかにおいて、記憶固定を改善することに関連する。
【0041】
睡眠障害は、睡眠失調、睡眠時随伴症、一般身体疾患(general medical condition)と関連する睡眠障害及び物質誘発睡眠障害を包含する。特に、睡眠失調は、内因性睡眠障害(特に、不眠症、呼吸関連睡眠障害、周期性四肢運動障害及び下肢静止不能症候群)、外因性睡眠障害及び概日リズム睡眠障害を包含する。睡眠失調はとりわけ、不眠症、原発性不眠症、特発性不眠症、うつ、情緒/気分障害、加齢、アルツハイマー病又は認知機能障害に関連する不眠症;REM睡眠中断;呼吸関連睡眠障害;睡眠時無呼吸;周期性四肢運動障害(夜間ミオクロヌス)、下肢静止不能症候群、概日リズム睡眠障害;交代勤務睡眠障害;及び時差ぼけ症候群を包含する。睡眠時随伴症は、興奮障害及び睡眠覚醒移行障害を包含し;特に、睡眠時随伴症は、悪夢障害、睡眠驚愕障害
及び睡眠時遊行症を包含する。一般身体疾患と関連する睡眠障害は特に、精神障害、神経障害、神経因性疼痛並びに心及び肺疾患等の疾患と関連する睡眠障害である。物質誘発睡眠障害は特に、サブタイプである不眠症型、睡眠時随伴症型及び混合型を包含し、特に副作用としてREM睡眠の減少を引き起こす薬物に起因する状態を包含する。睡眠障害は特に、すべてのタイプの不眠症、睡眠関連ジストニア;下肢静止不能症候群;睡眠時無呼吸;時差ぼけ症候群;交代勤務睡眠障害、睡眠相遅延又は前進症候群又は精神障害に関連する不眠症を包含する。加えて、睡眠障害はさらに、加齢と関係付けられる睡眠障害;慢性不眠の間歇治療;環境による一過性の不眠症(新しい環境、騒音)又はストレス;悲嘆;疼痛若しくは病気による短期間の不眠症を包含する。
【0042】
15) さらなる態様は、嗜癖障害、不安障害、食欲障害、認知機能障害及び気分障害(特に、嗜癖障害、不安障害及び食欲障害;とりわけ食欲障害;殊に過食性障害)から選択される疾患又は障害の予防及び/又は治療において使用するための、態様1)~7)のいずれか1つに従うACT-539313の結晶形又は態様10)~12)のいずれか1つに従う医薬組成物(特に経口使用用の錠剤)に関する。
【0043】
16) さらなる態様は、摂食障害の予防及び/又は治療において使用するための、態様1)~7)のいずれか1つに従うACT-539313の結晶形又は態様10)~12)のいずれか1つに従う医薬組成物(特に経口使用用の錠剤)に関し、上記摂食障害は強迫性過食行動(compulsive, binge eating behavior)を包含する摂食障害である。
【0044】
「強迫性過食行動を包含する摂食障害」という用語は、過食の再発エピソード、すなわち、対象が、短期間の間にほとんどの人が類似の状況下で食べるよりも明らかに多い食物を食べる場合の再発エピソードを有し、制御の欠如の感覚を特徴とするエピソードを伴う障害を意味するものとする。強迫性過食行動を包含する摂食障害は、大量の食物を食べることにより、(しばしば不快になるまで)速く食べることにより、及び、もはや空腹ではない場合にさえも食べることにより特徴付けられる。
【0045】
17) さらなる態様は、摂食障害の予防及び/又は治療において使用するための、態様1)~7)のいずれか1つに従うACT-539313の結晶形又は態様10)~12)のいずれか1つに従う医薬組成物(特に経口使用用の錠剤)に関し、上記摂食障害は、過食性障害(Binge-Eating Disorder)(BED);神経性過食症(Bulimia Nervosa)(BN);神経性無食欲症(Anorexia Nervosa)(AN)(特に、過食(binge-eating)/排出型(purging type)神経性無食欲症;とりわけ過食型(binge-eating type)神経性無食欲症);異食症(Pica);他の特定される食行動障害または摂食障害(Other Specified Feeding and Eating Disorders)(OSFED)[特に、非定型神経性過食症、頻度が低い及び/又は期間が短い(low frequency and/or limited duration)過食性障害、頻度が低い及び/又は期間が短い神経性過食症又は夜間食行動異常症候群(Night Eating Syndrome)(NES)];特定不能の食行動障害または摂食障害(Unspecified Feeding or Eating Disorder)(UFED);特定不能の摂食障害(Eating Disorder
Not Otherwise Specified)(EDNOS);及び強迫性食べ過ぎ(Compulsive Overeating)(CO)を有する群より選択され;摂食障害はさらに、制御不能な(LOC)摂食(Loss of Control (LOC) Eating);そして特に、プラダーウィリ症候群(Prader-Willi Syndrome)(PWS)に関連する食欲亢進(hyperphagia)及び/又は過食を有する群より選択される。
【0046】
18) さらなる態様は、摂食障害の予防及び/又は治療において使用するための、態様1)~7)のいずれか1つに従うACT-539313の結晶形又は態様10)~12)のいずれか1つに従う医薬組成物(特に経口使用用の錠剤)に関し、上記摂食障害は、過食性障害(BED)、神経性過食症(BN)又は過食型神経性無食欲症である。特に過食性障害(BED)である。
【0047】
アメリカ精神医学会の精神障害の診断と統計マニュアル(The American Psychiatric Association’s Diagnostic and
Statistical Manual of Mental Disorders)(DSM-5(登録商標)、又は、本明細書においてはDSM-5とも記載する。)は、特定の食行動及び摂食障害の診断基準を提供している。
【0048】
過食性障害(BED)は、短期間の間に、ほとんどの人が類似の状況下で食べるよりも明らかに多い食物を食べることの再発エピソードと定義され、制御の欠如の感覚を特徴とするエピソードを伴う。過食性障害を有する場合、たとえ空腹でなくても、非常に速く食べることがある。罪悪、羞恥又は嫌悪の感覚を持つ場合があり、その行動を隠すために一人でむちゃ食いすることがある。BEDは、著しい苦悩及び顕著な身体的、感情的及び社会的な健康上のリスク(最も一般的なものでは、例えば、肥満及び極度の体重増加及び睡眠時無呼吸、癌、心臓疾患、高血圧、2型糖尿病、関節炎等の広範な関連疾患)と関連する。
【0049】
DSM-5(登録商標)、307.51(F50.8)によれば、過食性障害について下記の診断基準が提供されている:
A. 過食の再発エピソード。過食のエピソードは以下の両方により特徴付けられる:1. 他とはっきり区別される時間帯に(例えば、1日の何時でも2時間以内)、ほとんどの人が同じような時間に同じような環境下で食べる量よりも明らかに多い食物を食べること;2. そのエピソードの間における食べ過ぎに対する制御の欠如の感覚(例えば、食べることをやめることができない、又は、何を、またはどれほど多く、食べているかを制御できないという感じ)。
【0050】
B. この過食エピソードは下記の3つ(又はそれより多く)と関連する:1. 通常よりずっと速く食べる;2. 不快なほど満腹を感じるまで食べる;3. 身体的に空腹を感じていないときに大量の食物を食べる;4. どんなに多く食べているか恥ずかしく感じるため1人で食べる;5. 後になって、自己嫌悪、抑うつ気分又は強い罪悪感を感じる;C. 過食に関して明らかな苦悩が存在する;D. 過食が、平均して3カ月間にわたって少なくとも週1回は生じている。
【0051】
E. その過食は、神経性過食症の場合のように反復する不適切な代償行動とは関係せず、神経性過食症又は神経性無食欲症の経過の間にのみに起こるのではない。
【0052】
加えて、DSM-5(登録商標)は、BEDの完全及び部分寛解及びその重症度の基準を特定している。すなわち、部分BED寛解以下のように定義される:以前に過食障害の基準(A~E)を完全に満たした後、継続した期間の間、週当たり1エピソードに満たない平均頻度で過食が起こる。完全寛解においては:以前に過食障害の基準を完全に満たした後、継続した期間の間、基準のいずれをも満たさない。
【0053】
BEDの重症度の最小レベルは過食のエピソードの頻度に基づく。下記の重症度のレベルが定義されている:軽度:週当たり1~3回の過食エピソード。中等度:週当たり4~7回の過食エピソード。重度:週当たり8~13回の過食エピソード。極度:週当たり1
4回以上の過食エピソード。
【0054】
神経性過食症(BN)は、単に過食症としても知られており、過食、それに続く、体重増加を避けるための自己誘発代償行動(排出)により特徴付けられる摂食障害である。排出は、嘔吐又は下剤の服用、利尿剤の使用、興奮剤、水断食,(water fasting)等により誘発されることがある。過食症は、他の精神障害、例えば、うつ病、不安症、薬物又はアルコールに関する問題並びに高い自殺及び自傷のリスクとしばしば関連する。DSM-5(登録商標)診断基準は、神経性過食症を有する人々は週に1回は過食及び代償行動(排出)を示すものとその頻度を設定している。
【0055】
神経性無食欲症(AN)は本来、思春期の少女及び若い女性に悪影響を及ぼし、歪んだボディ・イメージ、及び、太ることへの病的な恐れを伴い、重篤な体重減少を引き起こす過度のダイエットにより特徴付けられる。この病気は生命を脅かす生理学的効果を及ぼす可能性があり、持続的な心理的動揺を引き起こす。
【0056】
DSM-5におけるANの診断基準は下記のものを含む:I) 必要量に対するエネルギー摂取を制限し、年齢、性別、成長曲線及び身体的健康状態の観点から著しく低い体重に至る;顕著に低い体重は、正常の下限より低い体重であり、子供及び青年の場合は、最低限期待される体重より低い体重と定義される;II) 患者の体重が既に著しく低いにも関わらず、体重増加又は太ることに対する強い恐れ又は体重増加を妨げる持続的な行動;III) 自分の体重又は体型の感じ方における障害、自己評価に対する体重又は体型の過度な影響、又は現在の低体重の深刻さに対する認識の一貫した欠如。
【0057】
神経性無食欲症(AN)のサブタイプは、過食/排出型ANである。DSM-5に対する構造的臨床面接基準(the Structured Clinical Interview for DSM-5)((DSM-5(登録商標)に対する)SCID-RV、Version 1.0.0)に規定された診断基準によれば、ANを患う患者は、さらに過食又は排出行動(すなわち、自己誘発嘔吐又は下剤、利尿剤若しくは浣腸の濫用)の再発エピソードを3ヶ月間有する場合、このサブタイプに該当する。
【0058】
他の特定される食行動障害または摂食障害(OSFED)は、AN、BN、BED又は異食症の診断基準を満たさない臨床的重症度の食行動及び摂食障害である。これらは、非定型AN、非定型BN、頻度が低い及び/又は期間が短いBED及び夜間食行動異常症候群(NES)を包含してよい。特に、本明細書で言及する他の特定される食行動障害または摂食障害(OSFED)の群は、非定型BN;頻度が低い及び/又は期間が短いBED;及び夜間食行動異常症候群(NES)を包含する。
【0059】
特定不能の食行動障害または摂食障害(UFED)が該当するのは、ある個体の症状が別の障害の症状の基準を満たさない場合、又は、より具体的な診断を決定するための十分な情報が単に存在しない場合である。UFEDは、(DSM-5より古い)DSMの過去の版において特定不能の摂食障害(EDNOS)として以前知られていた、他の特定される食行動障害または摂食障害(OSFED)の範囲に該当すると考えられる。「キャッチオール」な分類とみなされるが、OSFED/EDNOSは、深刻な生命を脅かす治療可能な摂食障害である。このカテゴリーは、AN又はBNの厳格な診断基準を満たさないが、なお著しい摂食障害を有する個体を含めるために発展した。地域社会の診療所では、歴史的に大多数の個体がEDNOSと診断された。
【0060】
DSM-5(登録商標)においては、OSFEDを有する者は、臨床的に著しい苦悩及び障害を引き起こすが、他の障害のいずれの基準も完全には満たさない食行動又は摂食挙動を示す。OSFEDの例を以下に示す:非定型AN:体重減少が著しいものの、個体の
体重は正常範囲内であるか又はそれより多い点を除いては、ANのすべての基準を満たす;頻度が低い及び/又は期間が短いBED:低頻度及び/又は3月未満である点を除いては、BEDのすべての基準を満たす;頻度が低い及び/又は期間が短いBN:過食及び不適切な代償行動の発生が低頻度及び/又は3月未満である点を除いては、BNのすべての基準を満たす;排出性障害(Purging Disorder):過食を欠いた、体重又は体型に影響する反復排出行動。夜間食行動異常症候群:夜間食行動の再発エピソード。睡眠から覚醒した後の食行動、又は、夕食後の過度の食物消費。環境の影響又は社会規範によってはその行動に対するよりよい説明ができない。その行動が著しい苦悩/障害を引き起こす。他の精神保健障害(例えばBED)によってはその行動に対するよりよい説明ができない。
【0061】
(食物依存症としても知られる)強迫性食べ過ぎ(CO)は、大量の食物を相対的に短い期間内に消費する強い衝動又は強迫的な欲求(衝動的な行動)を有する人々に対して普通に用いられる用語である。COはBEDと同義的に使用してよい。
【0062】
異食症は他の食行動及び摂食障害と組み合わさって存在してよい。異食症に対するDSM-5(登録商標)の基準は下記の通りである:1) 少なくとも1ヶ月間にわたる栄養がなく食品でない物質の持続的な摂食;2) そのような物質の摂食がその個体の発達レベルに不適切であること;3) その摂食行動が文化的に支持され又は社会的に標準的な慣習の一部ではないこと;4) その行動が別の精神障害又は健康状態(例えば、統合失調症、自閉症又は妊娠)との関連内で起こる場合、独立した臨床的関与が妥当なほど十分に重篤であること。
【0063】
制御不能な(LOC)摂食: 過食エピソードの間のLOCの感覚はBEDの本質的特徴である。「制御不能な摂食(LOC eating)」という用語は、これらのエピソードを記述するために使用されるが、個々人の広い範囲にわたって生じるLOCの感覚を伴う過食様摂食行動を記述するために、文献を通じてより広い意味でも使用される。上記範囲は特に、BEDの特徴のいくつかを示すが、この障害の診断基準を完全には満たさない個体(すなわち閾値下BED)、及び、他の摂食障害(神経性過食症、神経性無食欲症
過食/排出サブタイプ)を有する個体を包含する。LOC摂食を示すと記述されるこれらの範囲には、肥満外科手術後の患者及び幼児等、特有な理由により閾値下BEDの診断が困難な個体もが包含される。
【0064】
プラダーウィリ症候群(PWS)は、15番染色体上の特定の遺伝子の機能の喪失により遺伝的に決定される神経発達障害である。この障害は特に、重症の肥満を引き起こす食欲亢進、並びに、思春期及び成人期に障害性の身体及び発達障害を引き起こす可能性のある他の行動上の問題と関連している。PWSにおける食欲亢進は、食物に対する執着、食物摂取に対する極端な衝動、食物に関連する行動上の問題及び正常な満腹感の欠如を伴う強く持続的な空腹感として現れる。PWS-関連食欲亢進は、過食性障害及び執着的-強迫性な特徴(食物に対する執着)と重複性を有する;(例えば、Heymsfield SBら、Obesity.2014;22(S1):S1-17.doi.org/10.1002/oby.20646;及びSchwartz Lら、J Neurodev
Disord.2021 Jun 21;13(1):25.doi:10.1186/s11689-021-09373-2)。
【0065】
疾患/障害/病気に関連して使用される「治療する」又は「治療」又は「治療すること」という用語は、当該疾患/障害/病気が対象において治癒されること;又は、対象がその疾患により悪影響を受け続けているものの、当該疾患の症状の一部又は全部が軽減されているか又は除かれていること;のいずれかを意味する。
【0066】
本明細書で使用される「予防」という用語は、本出願において言及した障害の長期治療による効果の維持を意味し、例えば、この用語は、過食(及び関連行動)の将来のエピソードの低減又は予防を意味してよい。本明細書で使用される「予防」という用語は、本明細書に開示した障害の再燃(relapse)/再発(recurrence)の低減又は予防を意味してよい。特に、この用語は、本明細書に開示した(摂食障害、例えば、BED、BN及び過食型神経性無食欲症等の)障害の再燃の予防を意味する。障害の再燃/再発のかかる低減又は予防は、うつ病等の精神病の分野では普通であり(例えば、うつ病の再燃又は精神病の再発の予防)、これは、薬剤が再燃を低減又は予防し、効果を維持することを示す研究により明らかである[例えば、Hudsonら、JAMA Psychiatry.2017 Sep 1;74(9):903-910.(PMID: 28700805);Romanoら、Am J Psychiatry.2002 Jan;159(1):96-102.doi:10.1176/appi.ajp.159.1.96.(PMID:11772696);及びDobsonら、J Consult
Clin Psychol.2008 Jun;76(3):468-77.(PMID:18540740)]。「再燃」という用語は、一旦寛解した(過食)症状が-回復が維持される前に-完全にぶり返すことと定義される。「再発」という用語は、回復が達成された後の、(過食)行動の別のエピソードを意味する。「予防(prevention)」という用語は「予防(prophylaxis)」という用語と同義であると理解してよい。
【0067】
「対象」、及び同様に「患者」という用語は、哺乳動物、特にヒトを意味する。
【0068】
いかなる疑義をも避けるために、ACT-539313の結晶形がある疾患の予防及び/又は治療に有用であると記載されている場合には、そのようなACT-539313の結晶形は、同様に当該疾患の予防又は治療のための医薬の製造における使用に適している。
【0069】
19) さらなる態様は、態様14)~18)のいずれか1つに従う(特に態様18)に従う)疾患/障害の予防及び/又は治療方法であって、当該予防及び/又は治療を必要とする対象に、有効量の上記有効成分、(4-メチル-2-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-フェニル)-[(R)-3-(3-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-ベンジル)-モルホリン-4-イル]-メタノン又は態様10)~12)のいずれか1つに従う医薬組成物(特に経口使用用の錠剤)を投与することを有し;当該有効成分が態様1)~7)のいずれか1つに従う結晶形である、予防及び/又は治療方法に関する。
【0070】
20) さらなる態様は、上記量が、約20mg/日~約250mg/日;約20mg/日~約225mg/日;約20mg/日~約200mg/日;約20mg/日~約175mg/日;約20mg/日~約150mg/日;約20mg/日~約125mg/日;約20mg/日~約100mg/日;約20mg/日~約75mg/日;約20mg/日~約80mg/日;約20mg/日~約60mg/日;又は約20mg/日~約50mg/日である、請求項19)の方法に関する。特に、上記量は、約20mg/日~約150mg/日;約20mg/日~約100mg/日;又は約20mg/日~約80mg/日である。とりわけ、上記量は約20mg/日~約200mg/日である。
【0071】
21) さらなる態様は、上記量が、約30mg/日に等しく;約35mg/日に等しく;約40mg/日に等しく;約45mg/日に等しく;約50mg/日に等しく;約55mg/日に等しく;約60mg/日に等しく;約65mg/日に等しく;約70mg/日に等しく;約75mg/日に等しく;約80mg/日に等しく;約100mg/日に等しく;約125mg/日に等しく;又は約150mg/日に等しい、態様19)に従う方法に関する。特に上記量は約60mg/日に等しい。
【0072】
22) 本発明の別の側面は、態様14)~18)のいずれか1つに従う(特に態様18)に従う)疾患/障害の予防及び/又は治療において使用するための、態様1)~7)のいずれか1つに従う結晶形の有効成分、(4-メチル-2-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-フェニル)-[(R)-3-(3-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-ベンジル)-モルホリン-4-イル]-メタノン又は態様10)~12)のいずれか1つに従う医薬組成物(特に経口使用用の錠剤)に関し、当該結晶形は態様20)及び21)に従う量で対象に投与される。
【0073】
23) 本発明の別の側面は、態様14)~18)のいずれか1つに従う(特に態様18)に従う)疾患/障害の予防及び/又は治療のための(医薬の製造における)、態様1)~7)のいずれか1つに従う結晶形の有効成分、(4-メチル-2-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-フェニル)-[(R)-3-(3-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-ベンジル)-モルホリン-4-イル]-メタノン又は態様10)~12)のいずれか1つに従う医薬組成物(特に経口使用用の錠剤)の使用に関し、当該結晶形は態様20)及び21)に従う量で対象に投与される。
【0074】
本発明の別の側面は、前記有効成分が、[任意の結晶形、非晶質状態又はこれらの混合物の]4-メチル-2-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-フェニル)-[(R)-3-(3-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-ベンジル)-モルホリン-4-イル]-メタノン(ACT-539313)である、態様9)~18)のいずれか1つに従う医薬組成物に関する。
【0075】
本発明の別の態様は、態様14)~18)のいずれか1つに従う(特に態様18)に従う)疾患/障害の予防及び/又は治療方法であって、当該予防及び/又は治療を必要とする対象に、有効量の態様9)~18)のいずれか1つに従う医薬組成物(特に経口使用用の錠剤)を投与することを有し;当該有効成分が、[任意の結晶形、非晶質状態又はこれらの混合物の](4-メチル-2-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-フェニル)-[(R)-3-(3-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-ベンジル)-モルホリン-4-イル]-メタノン(ACT-539313)である、予防及び/又は治療方法に関する。
【0076】
本発明のなお別の態様は、態様14)~18)のいずれか1つに従う(特に態様18)に従う)疾患/障害の予防及び/又は治療における使用のための、態様9)~18)のいずれか1つに従う医薬組成物(特に経口使用用の錠剤)であって、当該有効成分が、[任意の結晶形、非晶質状態又はこれらの混合物の](4-メチル-2-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-フェニル)-[(R)-3-(3-[1,2,3]トリアゾール-2-イル-ベンジル)-モルホリン-4-イル]-メタノン(ACT-539313)である、医薬組成物(特に経口使用用の錠剤)に関する。
【0077】
従って、先に開示した異なる態様1)~23)の従属関係に基いて、下記の態様が可能であり、意図されており、そして個々の形態としてここに具体的に開示される:
2+1、3+1、4+1、5+1、6+1、6+2+1、6+3+1、6+4+1、6+5+1、7+1、7+2+1、7+3+1、7+4+1、7+5+1、7+6+1、7+6+2+1、7+6+3+1、7+6+4+1、7+6+5+1、8+1、8+2+1、8+3+1、8+4+1、8+5+1、8+6+1、8+6+2+1、8+6+3+1、8+6+4+1、8+6+5+1、9+1、9+2+1、9+3+1、9+4+1、9+5+1、9+6+1、9+6+2+1、9+6+3+1、9+6+4+1、9+6+5+1、9+7+1、9+7+2+1、9+7+3+1、9+7+4+1、9+7+5+1、9+7+6+1、9+7+6+2+1、9+7+6+3+1、9+7+6+4+1、9+
7+6+5+1、10+1、10+2+1、10+3+1、10+4+1、10+5+1、10+6+1、10+6+2+1、10+6+3+1、10+6+4+1、10+6+5+1、10+7+1、10+7+2+1、10+7+3+1、10+7+4+1、10+7+5+1、10+7+6+1、10+7+6+2+1、10+7+6+3+1、10+7+6+4+1、10+7+6+5+1、5+2+1、5+3+1、5+4+1、6+1、6+2+1、6+3+1、6+4+1、6+5+1、6+5+2+1、6+5+3+1、6+5+4+1、7+1、7+2+1、7+3+1、7+4+1、7+5+1、7+5+2+1、7+5+3+1、7+5+4+1、7+6+1、7+6+2+1、7+6+3+1、7+6+4+1、7+6+5+1、7+6+5+2+1、7+6+5+3+1、7+6+5+4+1、8+1、8+2+1、8+3+1、8+4+1、8+5+1、8+5+2+1、8+5+3+1、8+5+4+1、8+6+1、8+6+2+1、8+6+3+1、8+6+4+1、8+6+5+1、8+6+5+2+1、8+6+5+3+1、8+6+5+4+1、9+1、9+2+1、9+3+1、9+4+1、9+5+1、9+5+2+1、9+5+3+1、9+5+4+1、9+6+1、9+6+2+1、9+6+3+1、9+6+4+1、9+6+5+1、9+6+5+2+1、9+6+5+3+1、9+6+5+4+1、9+7+1、9+7+2+1、9+7+3+1、9+7+4+1、9+7+5+1、9+7+5+2+1、9+7+5+3+1、9+7+5+4+1、9+7+6+1、9+7+6+2+1、9+7+6+3+1、9+7+6+4+1、9+7+6+5+1、9+7+6+5+2+1、9+7+6+5+3+1、9+7+6+5+4+1、10+1、10+2+1、10+3+1、10+4+1、10+5+1、10+5+2+1、10+5+3+1、10+5+4+1、10+6+1、10+6+2+1、10+6+3+1、10+6+4+1、10+6+5+1、10+6+5+2+1、10+6+5+3+1、10+6+5+4+1、10+7+1、10+7+2+1、10+7+3+1、10+7+4+1、10+7+5+1、10+7+5+2+1、10+7+5+3+1、10+7+5+4+1、10+7+6+1、10+7+6+2+1、10+7+6+3+1、10+7+6+4+1、10+7+6+5+1、10+7+6+5+2+1、10+7+6+5+3+1、10+7+6+5+4+1、11+10+1、11+10+2+1、11+10+3+1、11+10+4+1、11+10+5+1、11+10+5+2+1、11+10+5+3+1、11+10+5+4+1、11+10+6+1、11+10+6+2+1、11+10+6+3+1、11+10+6+4+1、11+10+6+5+1、11+10+6+5+2+1、11+10+6+5+3+1、11+10+6+5+4+1、11+10+7+1、11+10+7+2+1、11+10+7+3+1、11+10+7+4+1、11+10+7+5+1、11+10+7+5+2+1、11+10+7+5+3+1、11+10+7+5+4+1、11+10+7+6+1、11+10+7+6+2+1、11+10+7+6+3+1、11+10+7+6+4+1、11+10+7+6+5+1、11+10+7+6+5+2+1、11+10+7+6+5+3+1、11+10+7+6+5+4+1、12+10+1、12+10+2+1、12+10+3+1、12+10+4+1、12+10+5+1、12+10+5+2+1、12+10+5+3+1、12+10+5+4+1、12+10+6+1、12+10+6+2+1、12+10+6+3+1、12+10+6+4+1、12+10+6+5+1、12+10+6+5+2+1、12+10+6+5+3+1、12+10+6+5+4+1、12+10+7+1、12+10+7+2+1、12+10+7+3+1、12+10+7+4+1、12+10+7+5+1、12+10+7+5+2+1、12+10+7+5+3+1、12+10+7+5+4+1、12+10+7+6+1、12+10+7+6+2+1、12+10+7+6+3+1、12+10+7+6+4+1、12+10+7+6+5+1、12+10+7+6+5+2+1、12+10+7+6+5+3+1、12+10+7+6+5+4+1、
13+1、13+2+1、13+3+1、13+4+1、13+5+1、13+5+2+1、13+5+3+1、13+5+4+1、13+6+1、13+6+2+1、13+6+3+1、13+6+4+1、13+6+5+1、13+6+5+2+1、13+6+5
+3+1、13+6+5+4+1、13+7+1、13+7+2+1、13+7+3+1、13+7+4+1、13+7+5+1、13+7+5+2+1、13+7+5+3+1、13+7+5+4+1、13+7+6+1、13+7+6+2+1、13+7+6+3+1、13+7+6+4+1、13+7+6+5+1、13+7+6+5+2+1、13+7+6+5+3+1、13+7+6+5+4+1、14+10+1、14+10+2+1、14+10+3+1、14+10+4+1、14+10+5+1、14+10+5+2+1、14+10+5+3+1、14+10+5+4+1、14+10+6+1、14+10+6+2+1、14+10+6+3+1、14+10+6+4+1、14+10+6+5+1、14+10+6+5+2+1、14+10+6+5+3+1、14+10+6+5+4+1、14+10+7+1、14+10+7+2+1、14+10+7+3+1、14+10+7+4+1、14+10+7+5+1、14+10+7+5+2+1、14+10+7+5+3+1、14+10+7+5+4+1、14+10+7+6+1、14+10+7+6+2+1、14+10+7+6+3+1、14+10+7+6+4+1、14+10+7+6+5+1、14+10+7+6+5+2+1、14+10+7+6+5+3+1、14+10+7+6+5+4+1、14+11+10+1、14+11+10+2+1、14+11+10+3+1、14+11+10+4+1、14+11+10+5+1、14+11+10+5+2+1、14+11+10+5+3+1、14+11+10+5+4+1、14+11+10+6+1、14+11+10+6+2+1、14+11+10+6+3+1、14+11+10+6+4+1、14+11+10+6+5+1、14+11+10+6+5+2+1、14+11+10+6+5+3+1、14+11+10+6+5+4+1、14+11+10+7+1、14+11+10+7+2+1、14+11+10+7+3+1、14+11+10+7+4+1、14+11+10+7+5+1、14+11+10+7+5+2+1、14+11+10+7+5+3+1、14+11+10+7+5+4+1、14+11+10+7+6+1、14+11+10+7+6+2+1、14+11+10+7+6+3+1、14+11+10+7+6+4+1、14+11+10+7+6+5+1、14+11+10+7+6+5+2+1、14+11+10+7+6+5+3+1、14+11+10+7+6+5+4+1、14+12+10+1、14+12+10+2+1、14+12+10+3+1、14+12+10+4+1、14+12+10+5+1、14+12+10+5+2+1、14+12+10+5+3+1、14+12+10+5+4+1、14+12+10+6+1、14+12+10+6+2+1、14+12+10+6+3+1、14+12+10+6+4+1、14+12+10+6+5+1、14+12+10+6+5+2+1、14+12+10+6+5+3+1、14+12+10+6+5+4+1、14+12+10+7+1、14+12+10+7+2+1、14+12+10+7+3+1、14+12+10+7+4+1、14+12+10+7+5+1、14+12+10+7+5+2+1、14+12+10+7+5+3+1、14+12+10+7+5+4+1、14+12+10+7+6+1、14+12+10+7+6+2+1、14+12+10+7+6+3+1、14+12+10+7+6+4+1、14+12+10+7+6+5+1、14+12+10+7+6+5+2+1、14+12+10+7+6+5+3+1、14+12+10+7+6+5+4+1、
15+10+1、15+10+2+1、15+10+3+1、15+10+4+1、15+10+5+1、15+10+5+2+1、15+10+5+3+1、15+10+5+4+1、15+10+6+1、15+10+6+2+1、15+10+6+3+1、15+10+6+4+1、15+10+6+5+1、15+10+6+5+2+1、15+10+6+5+3+1、15+10+6+5+4+1、15+10+7+1、15+10+7+2+1、15+10+7+3+1、15+10+7+4+1、15+10+7+5+1、15+10+7+5+2+1、15+10+7+5+3+1、15+10+7+5+4+1、15+10+7+6+1、15+10+7+6+2+1、15+10+7+6+3+1、15+10+7+6+4+1、15+10+7+6+5+1、15+10+7+6+5+2+1、15+10+7+6+5+3+1、15+10+7+6+5+4+1、
15+11+10+1、15+11+10+2+1、15+11+10+3+1、15+11+10+4+1、15+11+10+5+1、15+11+10+5+2+1、15+11+10+5+3+1、15+11+10+5+4+1、15+11+10+6+1、15+11+10+6+2+1、15+11+10+6+3+1、15+11+10+6+4+1、15+11+10+6+5+1、15+11+10+6+5+2+1、15+11+10+6+5+3+1、15+11+10+6+5+4+1、15+11+10+7+1、15+11+10+7+2+1、15+11+10+7+3+1、15+11+10+7+4+1、15+11+10+7+5+1、15+11+10+7+5+2+1、15+11+10+7+5+3+1、15+11+10+7+5+4+1、15+11+10+7+6+1、15+11+10+7+6+2+1、15+11+10+7+6+3+1、15+11+10+7+6+4+1、15+11+10+7+6+5+1、15+11+10+7+6+5+2+1、15+11+10+7+6+5+3+1、15+11+10+7+6+5+4+1、15+12+10+1、15+12+10+2+1、15+12+10+3+1、15+12+10+4+1、15+12+10+5+1、15+12+10+5+2+1、15+12+10+5+3+1、15+12+10+5+4+1、15+12+10+6+1、15+12+10+6+2+1、15+12+10+6+3+1、15+12+10+6+4+1、15+12+10+6+5+1、15+12+10+6+5+2+1、15+12+10+6+5+3+1、15+12+10+6+5+4+1、15+12+10+7+1、15+12+10+7+2+1、15+12+10+7+3+1、15+12+10+7+4+1、15+12+10+7+5+1、15+12+10+7+5+2+1、15+12+10+7+5+3+1、15+12+10+7+5+4+1、15+12+10+7+6+1、15+12+10+7+6+2+1、15+12+10+7+6+3+1、15+12+10+7+6+4+1、15+12+10+7+6+5+1、15+12+10+7+6+5+2+1、15+12+10+7+6+5+3+1、15+12+10+7+6+5+4+1、
16+10+1、16+10+2+1、16+10+3+1、16+10+4+1、16+10+5+1、16+10+5+2+1、16+10+5+3+1、16+10+5+4+1、16+10+6+1、16+10+6+2+1、16+10+6+3+1、16+10+6+4+1、16+10+6+5+1、16+10+6+5+2+1、16+10+6+5+3+1、16+10+6+5+4+1、16+10+7+1、16+10+7+2+1、16+10+7+3+1、16+10+7+4+1、16+10+7+5+1、16+10+7+5+2+1、16+10+7+5+3+1、16+10+7+5+4+1、16+10+7+6+1、16+10+7+6+2+1、16+10+7+6+3+1、16+10+7+6+4+1、16+10+7+6+5+1、16+10+7+6+5+2+1、16+10+7+6+5+3+1、16+10+7+6+5+4+1、16+11+10+1、16+11+10+2+1、16+11+10+3+1、16+11+10+4+1、16+11+10+5+1、16+11+10+5+2+1、16+11+10+5+3+1、16+11+10+5+4+1、16+11+10+6+1、16+11+10+6+2+1、16+11+10+6+3+1、16+11+10+6+4+1、16+11+10+6+5+1、16+11+10+6+5+2+1、16+11+10+6+5+3+1、16+11+10+6+5+4+1、16+11+10+7+1、16+11+10+7+2+1、16+11+10+7+3+1、16+11+10+7+4+1、16+11+10+7+5+1、16+11+10+7+5+2+1、16+11+10+7+5+3+1、16+11+10+7+5+4+1、16+11+10+7+6+1、16+11+10+7+6+2+1、16+11+10+7+6+3+1、16+11+10+7+6+4+1、16+11+10+7+6+5+1、16+11+10+7+6+5+2+1、16+11+10+7+6+5+3+1、16+11+10+7+6+5+4+1、16+12+10+1、16+12+10+2+1、16+12+10+3+1、16+12+10+4+1、16+12+10+5+1、16+12+10+5+2+1、16+12+10+5+3+1、16+12+10+5+
4+1、16+12+10+6+1、16+12+10+6+2+1、16+12+10+6+3+1、16+12+10+6+4+1、16+12+10+6+5+1、16+12+10+6+5+2+1、16+12+10+6+5+3+1、16+12+10+6+5+4+1、16+12+10+7+1、16+12+10+7+2+1、16+12+10+7+3+1、16+12+10+7+4+1、16+12+10+7+5+1、16+12+10+7+5+2+1、16+12+10+7+5+3+1、16+12+10+7+5+4+1、16+12+10+7+6+1、16+12+10+7+6+2+1、16+12+10+7+6+3+1、16+12+10+7+6+4+1、16+12+10+7+6+5+1、16+12+10+7+6+5+2+1、16+12+10+7+6+5+3+1、16+12+10+7+6+5+4+1、
17+10+1、17+10+2+1、17+10+3+1、17+10+4+1、17+10+5+1、17+10+5+2+1、17+10+5+3+1、17+10+5+4+1、17+10+6+1、17+10+6+2+1、17+10+6+3+1、17+10+6+4+1、17+10+6+5+1、17+10+6+5+2+1、17+10+6+5+3+1、17+10+6+5+4+1、17+10+7+1、17+10+7+2+1、17+10+7+3+1、17+10+7+4+1、17+10+7+5+1、17+10+7+5+2+1、17+10+7+5+3+1、17+10+7+5+4+1、17+10+7+6+1、17+10+7+6+2+1、17+10+7+6+3+1、17+10+7+6+4+1、17+10+7+6+5+1、17+10+7+6+5+2+1、17+10+7+6+5+3+1、17+10+7+6+5+4+1、17+11+10+1、17+11+10+2+1、17+11+10+3+1、17+11+10+4+1、17+11+10+5+1、17+11+10+5+2+1、17+11+10+5+3+1、17+11+10+5+4+1、17+11+10+6+1、17+11+10+6+2+1、17+11+10+6+3+1、17+11+10+6+4+1、17+11+10+6+5+1、17+11+10+6+5+2+1、17+11+10+6+5+3+1、17+11+10+6+5+4+1、17+11+10+7+1、17+11+10+7+2+1、17+11+10+7+3+1、17+11+10+7+4+1、17+11+10+7+5+1、17+11+10+7+5+2+1、17+11+10+7+5+3+1、17+11+10+7+5+4+1、17+11+10+7+6+1、17+11+10+7+6+2+1、17+11+10+7+6+3+1、17+11+10+7+6+4+1、17+11+10+7+6+5+1、17+11+10+7+6+5+2+1、17+11+10+7+6+5+3+1、17+11+10+7+6+5+4+1、17+12+10+1、17+12+10+2+1、17+12+10+3+1、17+12+10+4+1、17+12+10+5+1、17+12+10+5+2+1、17+12+10+5+3+1、17+12+10+5+4+1、17+12+10+6+1、17+12+10+6+2+1、17+12+10+6+3+1、17+12+10+6+4+1、17+12+10+6+5+1、17+12+10+6+5+2+1、17+12+10+6+5+3+1、17+12+10+6+5+4+1、17+12+10+7+1、17+12+10+7+2+1、17+12+10+7+3+1、17+12+10+7+4+1、17+12+10+7+5+1、17+12+10+7+5+2+1、17+12+10+7+5+3+1、17+12+10+7+5+4+1、17+12+10+7+6+1、17+12+10+7+6+2+1、17+12+10+7+6+3+1、17+12+10+7+6+4+1、17+12+10+7+6+5+1、17+12+10+7+6+5+2+1、17+12+10+7+6+5+3+1、17+12+10+7+6+5+4+1、
18+10+1、18+10+2+1、18+10+3+1、18+10+4+1、18+10+5+1、18+10+5+2+1、18+10+5+3+1、18+10+5+4+1、18+10+6+1、18+10+6+2+1、18+10+6+3+1、18+10+6+4+1、18+10+6+5+1、18+10+6+5+2+1、18+10+6+5+3+1、18+10+6+5+4+1、18+10+7+1、18+10+
7+2+1、18+10+7+3+1、18+10+7+4+1、18+10+7+5+1、18+10+7+5+2+1、18+10+7+5+3+1、18+10+7+5+4+1、18+10+7+6+1、18+10+7+6+2+1、18+10+7+6+3+1、18+10+7+6+4+1、18+10+7+6+5+1、18+10+7+6+5+2+1、18+10+7+6+5+3+1、18+10+7+6+5+4+1、18+11+10+1、18+11+10+2+1、18+11+10+3+1、18+11+10+4+1、18+11+10+5+1、18+11+10+5+2+1、18+11+10+5+3+1、18+11+10+5+4+1、18+11+10+6+1、18+11+10+6+2+1、18+11+10+6+3+1、18+11+10+6+4+1、18+11+10+6+5+1、18+11+10+6+5+2+1、18+11+10+6+5+3+1、18+11+10+6+5+4+1、18+11+10+7+1、18+11+10+7+2+1、18+11+10+7+3+1、18+11+10+7+4+1、18+11+10+7+5+1、18+11+10+7+5+2+1、18+11+10+7+5+3+1、18+11+10+7+5+4+1、18+11+10+7+6+1、18+11+10+7+6+2+1、18+11+10+7+6+3+1、18+11+10+7+6+4+1、18+11+10+7+6+5+1、18+11+10+7+6+5+2+1、18+11+10+7+6+5+3+1、18+11+10+7+6+5+4+1、18+12+10+1、18+12+10+2+1、18+12+10+3+1、18+12+10+4+1、18+12+10+5+1、18+12+10+5+2+1、18+12+10+5+3+1、18+12+10+5+4+1、18+12+10+6+1、18+12+10+6+2+1、18+12+10+6+3+1、18+12+10+6+4+1、18+12+10+6+5+1、18+12+10+6+5+2+1、18+12+10+6+5+3+1、18+12+10+6+5+4+1、18+12+10+7+1、18+12+10+7+2+1、18+12+10+7+3+1、18+12+10+7+4+1、18+12+10+7+5+1、18+12+10+7+5+2+1、18+12+10+7+5+3+1、18+12+10+7+5+4+1、18+12+10+7+6+1、18+12+10+7+6+2+1、18+12+10+7+6+3+1、18+12+10+7+6+4+1、18+12+10+7+6+5+1、18+12+10+7+6+5+2+1、18+12+10+7+6+5+3+1又は18+12+10+7+6+5+4+1。
【0078】
上記の表中、数字は上記の番号に応じた態様を意味し、「+」は他の態様への従属関係を表す。種々の態様は読点により個々に分けられている。換言すると、例えば「6+2+1」は、態様6)であって、態様2)に従属し、態様1)に従属することを意味し、すなわち、態様「6+2+1」は、態様2)及び6)の特徴によりさらに特徴付けられた態様1)に相当する。
【0079】
本明細書に開示する態様において使用される「量」という用語は、「全量」又は「用量」又は「全用量」又は「投与量」又は「全投与量」を意味し;特に当該用語は全量又は全用量を意味する。本明細書で使用される「量」、「全量」、「用量」、「全用量」、「投与量」、「全投与量」という用語は、有効成分の量を意味する同義語であるものと理解される。当該用語は本発明の文脈内で交換可能に使用されてよく、状況に応じて相互に置き換えてよい。
【0080】
本出願において、数値「X」の前に置かれる「約」という用語は、X-Xの10%からX+Xの10%にわたる間、特にX-Xの5%からX+Xの5%にわたる間を意味し、とりわけ当該用語はXを意味する。これは、本出願において数値「X」が、それ自体パーセント(%)で記載される場合においても適用され、例えば、Xが「約0.5%」と記載される場合には、0.45%~0.55%;特に0.475%~0.525%にわたる間;とりわけ0.5%を意味する。
【0081】
疑義を避けるために、本明細書に開示する態様において「mg」で記載された有効成分の量は、24時間の期間内に患者に投与される当該結晶性有効成分の全量を意味するものとする(例えば、60mg/日は、60mgの有効成分の全量が24時間以内に患者に投与されることを意味する。)。
【0082】
本明細書の態様において使用される「mg/日」という用語は、1日当たりのミリグラムを意味し、下記の用語のいずれかで置き換えてよい:状況に応じて、「24時間の期間内のmg(mg within a twenty-four-hour period)」、「24時間内のmg(mg within twenty-four hours)」、「24時間当たりのmg(mg per twenty-four hours)」、「毎日のmg(mg daily)」、「1日当たりのmg(mg per day)」。
【0083】
「対象」、及び同様に「患者」という用語は、哺乳動物、特にヒトを意味する。
【0084】
実験手法
(本明細書で使用される)略語:
DSC 示差走査熱量測定
DCM ジクロロメタン
DVS 動的蒸気吸着
H-NMR プロトン核磁気共鳴
L リットル
min 分
mL ミリリットル
Ph.Eur. 欧州薬局方(European Pharmacopeia)
RH 相対湿度
RT 室温
XRPD 粉末X線回折
【0085】
全ての溶媒及び試薬は、特に断らない限り、商業的供給元から得られたままで使用される。温度は摂氏温度(℃)で示す。特に断らない限り、反応は室温(RT)で行われる。
【0086】
粉末X線回折分析(XRPD)
XRPD法1:粉末X線回折パターンは、反射モード(結合2シータ/シータ)において作動するLynxeye検出器を備えたBruker D8 AdvanceX線回折計上で収集した。典型的には、Cu X-線チューブを40kV/40mAで走査させた。3~50°の2θの走査範囲にわたって、0.02°(2θ)のステップサイズ及び76.8秒のステップタイムを適用した。発散及び抗分散スリット(antiscatter
slit)は固定的に0.3°に設定した。粉末を、0.5mmの深さのシリコン単結晶サンプルホルダー内にわずかにプレスし、測定の間、サンプルをそれ自体のプレイン中で回転させた。回折データはCu Kα(λ=1.5418Å)照射を用いてレポートされる。これまでに記録された粉末X線回折パターンが一般的にそうであるように、本明細書で提供される2θ値の精度は、+/-0.1~0.2°の範囲内である。
【0087】
動的蒸気吸着(DVS)
水分吸着等温線は、25℃においてステッピングモードで作動するマルチサンプル装置SPS-100n(Projekt Messtechnik、ウルム、ドイツ)上で収集した。予め規定された湿度プログラム(40-0-95-0-95-40%RH、5%R
Hのステップ及び各ステップ毎に最大24時間の平衡化時間を適用した。)を開始する前に、サンプルを40%RHで平衡化した。各サンプルを約20~30mg使用した。本明細書に開示する吸湿性の分類は、European Pharmacopeia Technical Guide(1999、86頁)に従って行い、すなわち、本明細書に開示するDVS法により測定される質量増加が0.2%未満の場合には、物質は「吸湿性ではない」又は「非吸湿性」に分類され;質量増加が2%未満で0.2%mass/mass以上の場合には、物質はわずかに吸湿性に分類され;最後に、質量増加が15%未満で2%mass/mass以上の場合には、物質は吸湿性に分類される。最初の吸着スキャンにおける40%相対湿度と80%相対湿度との間の質量変化を考慮した。示したデータは最初の上昇サイクルからのものである。
【0088】
示差走査熱量測定(DSC)
DSCデータは、34ポジションのオートサンプラーを備えたMettler Toledo STARe System(DSC822eモジュール、セラミックセンサー付きの測定用セル及びSTARソフトウェア version 9.20)上で収集した。装置は、インジウム標品を用いてエネルギー及び温度について校正した。典型的には、1~5mgの各サンプル(参照実施例1については5~6mg)を、自動的に削孔されるアルミニウムパン内で、特に断らない限り-20℃から280℃に、10℃ min-1(参照実施例1については20℃ min-1)で加熱した。サンプル上で窒素パージを20mL min-1で維持した。融点についてピーク温度をレポートする。
【0089】
かさ密度(Bulk density)及びタップ密度(tapped density)
かさ及びタップ密度は、10mLガラスシリンダーを用い、いかなる処理も行っていない粉末を用いて、MatecのDensi-tapタップ装置上で測定した。タップ密度については、3750タップ後の値を報告する。
【実施例
【0090】
ACT-539313は、WO2013068935の実施例27に記載の手順に従って製造してよい。当該手順により非晶質状態のACT-539313が得られる。
【0091】
実施例1
0.05mLの1-プロパノールを、4mL標準ガラスバイアル内の50mgの非晶質状態のACT-539313に加える。蓋をして室温にて1日貯蔵した後、固体物質を単離し、それは結晶形1のACT-539313のXRPDダイアグラム(図1)を示す。
【0092】
実施例2
0.05mLのエタノールを、4mL標準ガラスバイアル内の50mgの非晶質状態のACT-539313に加える。蓋をして室温にて1日貯蔵した後、固体物質を単離し、それは結晶形1のACT-539313のXRPDダイアグラム(図1)を示す。
【0093】
実施例3
0.3mLの2-プロパノールを、4mL標準ガラスバイアル内の300mgの非晶質状態のACT-539313に加える。蓋をして室温にて1日貯蔵した後、固体物質を単離し、それは結晶形1のACT-539313のXRPDダイアグラム(図1)を示す。
【0094】
【表1】
【0095】
実施例4
約450gのACT-539313を4Lの2-プロパノール中に70℃にて溶解させた。約1Lの溶媒を溜去し、残った溶液を4Lの容器内に移し、約113gの結晶形1のACT-539313でシードしながら50℃にて撹拌した。シード物質は、適宜なスケールアップの後、実施例1~3に記載の手順に従って製造することができる。次いで、この溶液を50℃にて約1h撹拌し、その間に固体生成物が沈殿した。加熱を止め、懸濁液を放置して室温に冷まし、一晩撹拌することにより、506g(90%)の結晶形1のACT-539313が得られた。結晶性生成物は、本明細書に記載の方法に従って測定された、0.31g/mLのかさ密度及び0.46g/mLのタップ密度を有していた。
【0096】
実施例5
ヒトへの投与に適切な特定の医薬組成物(25、30、50、100mgAPI)を表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】
カプセル剤製造方法:ACT-539313、微結晶セルロース、マンニトール、クロスポビドン及びフマル酸ステアリルナトリウムをRRM-ミキサー内で37rpmにて5min混合し;ふるいにかけ(0.8mmのふるい(screen));37rpmにて5minさらに混合した。得られた内相ブレンドを乾式造粒し(7.5kN/5rpm)、37rpmにて10minさらに混合した。ふるいにかけ(0.8mmのふるい)、水和コロイダルシリカを加え、ブレンドを37rpmにて5minさらに混合し、次いで、ふるいにかけた(0.8mmのふるい)フマル酸ステアリルナトリウムを加え、37rpmにて5minの最終混合を行った。得られた最終ブレンドを、Modu-C LS機器を用いて0号ハードゼラチンカプセル内にカプセル封入した。錠剤製造方法:驚くべきことに、カプセル剤の製造に使用した最終ブレンド(25mg、50mg及び100mgAPI)は、組成を実質的に変えることなく、異なるサイズ(例えば、10、12、13及び17mm)の丸形及び/又は楕円形の錠剤に問題なく打錠することができた。
【0099】
参照実施例
参照実施例1
50mLのDCMを、2L丸底フラスコ内の10gのACT-539313に加え、溶媒を、55℃及び5mbarで作動するロータリー・エバポレーターで、固体残渣が完全に乾燥するまで除いた。固体物質のXRPDダイアグラムを図2に示す。得られた非晶質ACT-539313は、本明細書に記載の方法に従って測定された、0.06g/mLのかさ密度及び0.13g/mLのタップ密度を有していた。
【0100】
【表3】
【0101】
参照実施例2
それぞれが約10mgのACT-539313を含む19個のバイアルを用意し、DCMストック溶液からのバイアル中での蒸発により、バイアル内に透明な(すなわち非晶質)フィルムが形成された。2-プロパノールの添加体積(0.01、0.02、0.04、0.08、0.16、0.30及び0.5mL)、並びに、結晶化に通常使用される別の有機溶媒(メタノール、エタノール、酢酸エチル、水、tert-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、アセトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、トルエン及びジメチルスルホキシド)の0.02mLの添加体積の影響を体系的に調べた。30min以内にのみ、0.01mL~0.16mLの範囲の最小体積の2-プロパノールからのサンプルは結晶化の兆候を示した(クロスニコル(crossed polars)を用いた光学実体顕微鏡下で観察。)。これとは対照的に、エタノールは1.25h後にのみ結晶化の最初の兆候を示した。約6hでは他の溶媒は結晶化の兆候を示さず、3日後に目視で調べた場合にのみ、水、tert-ブチルメチルエーテル及びメチルイソブチルケトンから結晶化が観察された。
【0102】
本明細書に記載するACT-539313の結晶形1は非晶質ACT-539313よりも吸湿性が小さい(図4及び5;並びに表1及び3を参照されたい。)。さらに、50-70℃の範囲のガラス転移温度を有する非晶質物質と比べ、当該結晶形は約118℃で溶融する。また、非晶質ACT-539313のかさ密度(0.06g/mL)は結晶形1のACT-539313のかさ密度(0.31g/ml)よりも著しく小さい。低密度の物質は軽いため、取り扱いがより難しい(例えばより大きな処理容器が必要となる。)。測定したタップ及びかさ密度に基づいて、バルク物質の流動性を、そのハウスナー比(HR)(タップとかさ密度の間の比)により表して計算することができる。ACT-539313の結晶形1(実施例4)のHRは1.47であり、この物質の粉体流動のタイプは「不良」(1.46~1.59のHR)に分類されることが示唆される。しかしながら、非晶質物質(参照実施例1)のHRは約150%高く、すなわち2.26であり、流動のタイプは「極めて不良」(HR>1.60)に分類されることが示唆される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】