(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】免疫調節剤としてのビフェニル系化合物とその製造方法及び応用
(51)【国際特許分類】
C07D 519/00 20060101AFI20240201BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240201BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240201BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
C07D519/00 311
C07D519/00 CSP
A61P35/00
A61P37/02
A61K31/437
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546481
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 CN2022074183
(87)【国際公開番号】W WO2022161421
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】202110137428.0
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519108051
【氏名又は名称】深▲セン▼微芯生物科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN CHIPSCREEN BIOSCIENCES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】21F-24F, Building B, Zhigu Industrial Park, Shuguang Community, Xili Street, Nanshan District, Shenzhen Guangdong 518057, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楊 千▲ジャオ▼
(72)【発明者】
【氏名】山 松
(72)【発明者】
【氏名】辛 利軍
(72)【発明者】
【氏名】潘 徳思
(72)【発明者】
【氏名】王 暁亮
(72)【発明者】
【氏名】宋 永連
(72)【発明者】
【氏名】黄 卉雲
(72)【発明者】
【氏名】魏 奇
(72)【発明者】
【氏名】李 志斌
(72)【発明者】
【氏名】魯 先平
【テーマコード(参考)】
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C072MM02
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB05
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZB07
4C086ZB26
(57)【要約】
式(I)で示されるビフェニル系化合物、その製造方法及びその応用、ならびに前記化合物を有効成分として含む医薬組成物が提供される。前記化合物は、経口吸収特性に優れた新規な小分子免疫調節剤であり、免疫に関連する様々な疾患を治療及び/又は予防するのに用いられる。
【化1】
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)で示される化合物、その立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体、又は代謝産物。
【化1】
(式中、
R
1及びR
2は、同一または異なり、C
1~C
6アルキル基、シアノ基、およびハロゲンからなる群から選ばれ、
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルケニルC
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルキニルC
1~C
6アルキル基、ハロゲン化C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシC
1~C
6アルキル基、モノC
1~C
6アルキルアミノC
1~C
6アルキル基、ビスC
1~C
6アルキルアミノC
1~C
6アルキル基、ハロゲン化C
1~C
6アルコキシC
1~C
6アルキル基、C
3~C
14シクロアルキル基、3員~14員のヘテロシクロアルキル基、C
3~C
14シクロアルキルC
1~C
4アルキル基、および3員~14員のヘテロシクロアルキルC
1~C
4アルキル基からなる群から選ばれ、
R
4は、水素又はC
1~C
6アルキル基であり、ただし、前記C
1~C
6アルキル基は、ヒドロキシ基、カルボキシ基及びハロゲンからなる群から選ばれた1つ又は複数の置換基で任意選択的に置換されていて、
Xは、-O-又は-S-であり、
R
5~R
26は、水素原子であり、
R
27~R
30は、水素原子であり、
ここで、R
1~R
30を定義するための前記の各基における少なくとも1つの水素原子は、重水素(D)で置換されている。)
【請求項2】
R
1及びR
2は、同一または異なり、メチル基、メチル-d
3(CD
3)、シアノ基、フッ素、塩素、及び臭素からなる群から選ばれ、
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルケニルC
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルキニルC
1~C
6アルキル基、ハロゲン化C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシC
1~C
6アルキル基、モノC
1~C
6アルキルアミノC
1~C
6アルキル基、ビスC
1~C
6アルキルアミノC
1~C
6アルキル基、ハロゲン化C
1~C
6アルコキシC
1~C
6アルキル基、C
3~C
14シクロアルキル基、3員~14員のヘテロシクロアルキル基、C
3~C
14シクロアルキルC
1~C
4アルキル基、及び3員~14員のヘテロシクロアルキルC
1~C
4アルキル基からなる群から選ばれ、
R
4は、水素又はC
1~C
6アルキル基であり、ただし、該C
1~C
6アルキル基は、ヒドロキシ基及びハロゲンから選ばれた1つ又は複数の置換基で任意選択的に置換されていて、
Xは、-O-であり、
R
5~R
26は、水素原子であり、ただし、それらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R
27~R
30は、水素原子であり、好ましくは、それらのうちの少なくとも1つの水素原子が対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置に重水素(D)で置換されている、請求項1に記載の化合物、その立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物。
【請求項3】
R
1及びR
2は、同一または異なり、メチル基、メチル-d
3(CD
3)、シアノ基、フッ素、塩素、及び臭素からなる群から選ばれ、
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルケニルC
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルキニルC
1~C
6アルキル基、ハロゲン化C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシC
1~C
6アルキル基、モノC
1~C
6アルキルアミノC
1~C
6アルキル基、ビスC
1~C
6アルキルアミノC
1~C
6アルキル基、ハロゲン化C
1~C
6アルコキシC
1~C
6アルキル基、C
3~C
14シクロアルキル基、3員~14員のヘテロシクロアルキル基、C
3~C
14シクロアルキルC
1~C
4アルキル基、及び3員~14員のヘテロシクロアルキルC
1~C
4アルキル基からなる群から選ばれ、
R
4は、水素又はC
1~C
6アルキル基であり、ただし、該C
1~C
6アルキル基は、ヒドロキシ基及びハロゲンから選ばれた1つ又は複数の置換基で任意選択的に置換されていて、
Xは、-O-であり、
R
5~R
26は、水素原子であり、好ましくは、それらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R
27~R
30は、水素原子であり、ただし、それらのうちの少なくとも1つの水素原子が対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置に重水素(D)で置換されている、請求項1に記載の化合物、その立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物。
【請求項4】
R
1及びR
2は、同一または異なり、メチル基、メチル-d
3(CD
3)、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれ、
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルケニルC
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルキニルC
1~C
6アルキル基、ハロゲン化C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシC
1~C
6アルキル基、モノC
1~C
6アルキルアミノC
1~C
6アルキル基、ビスC
1~C
6アルキルアミノC
1~C
6アルキル基、ハロゲン化C
1~C
6アルコキシC
1~C
6アルキル基、C
3~C
14シクロアルキル基、及び3員~14員のヘテロシクロアルキル基からなる群から選ばれ、ただし、それらの基における少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R
4は、水素又はC
1~C
6アルキル基であり、ただし、該C
1~C
6アルキル基はハロゲンで任意選択的に置換されていて、
Xは、-O-であり、
R
5~R
26は、水素原子であり、好ましくは、それらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R
27~R
30は、水素原子であり、好ましくは、それらのうちの少なくとも1つの水素原子が対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置に重水素(D)で置換されている、請求項1に記載の化合物、その立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物。
【請求項5】
R
1及びR
2は、同一または異なり、メチル基、メチル-d
3(CD
3)、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれ、
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルケニルC
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルキニルC
1~C
6アルキル基、ハロゲン化C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシC
1~C
6アルキル基、及びハロゲン化C
1~C
6アルコキシC
1~C
6アルキル基からなる群から選ばれ、
R
4は、水素又はC
1~C
6アルキル基であり、ただし、該C
1~C
6アルキル基はハロゲンで任意選択的に置換されていて、
Xは、-O-であり、
R
5~R
26は、水素原子であり、且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R
27~R
30は、水素原子であり、好ましくは、それらのうちの少なくとも1つの水素原子が対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置に重水素(D)で置換されている、請求項1に記載の化合物、その立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物。
【請求項6】
R
1及びR
2は、同一または異なり、メチル基、メチル-d
3、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれ、
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルケニルC
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルキニルC
1~C
6アルキル基、ハロゲン化C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシC
1~C
6アルキル基、及びハロゲン化C
1~C
6アルコキシC
1~C
6アルキル基からなる群から選ばれ、
R
4は、水素又はC
1~C
6アルキル基であり、ただし、該C
1~C
6アルキル基はハロゲンで任意選択的に置換されていて、
Xは、-O-であり、
R
5~R
26は、水素原子であり、好ましくは、それらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R
27~R
30は、水素原子であり、且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置に重水素(D)で置換されている、請求項1に記載の化合物、その立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物。
【請求項7】
R
1及びR
2は、同一または異なり、メチル基、メチル-d
3(CD
3)、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれ、
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルケニルC
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルキニルC
1~C
6アルキル基、ハロゲン化C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシC
1~C
6アルキル基、及びハロゲン化C
1~C
6アルコキシC
1~C
6アルキル基からなる群から選ばれ、ただし、それらの基における少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R
4は、水素であり、
Xは、-O-であり、
R
5~R
26は、水素原子であり、好ましくは、それらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R
27~R
30は、水素原子であり、好ましくは、それらのうちの少なくとも1つの水素原子が対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置に重水素(D)で置換されている、請求項1に記載の化合物、その立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物。
【請求項8】
R
1及びR
2は、同一または異なり、メチル基、シアノ基、およびハロゲンからなる群から選ばれ、
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルケニルC
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルキニルC
1~C
6アルキル基、ハロゲン化C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシC
1~C
6アルキル基、及びハロゲン化C
1~C
6アルコキシC
1~C
6アルキル基からなる群から選ばれ、ただし、それらの基における少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R
4は、水素又はC
1~C
6アルキル基であり、
Xは、-O-であり、
R
5~R
26は、水素原子であり、
R
27~R
30は、水素原子である、請求項1に記載の化合物、その立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物。
【請求項9】
R
1及びR
2は、同一または異なり、メチル基、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれ、
R
1及びR
2は、同一または異なり、メチル基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれたものが好ましく、
R
1及びR
2は、同一または異なり、メチル基又は塩素であることがより好ましい、請求項8に記載の化合物、その立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物。
【請求項10】
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基及びハロゲン化C
1~C
6アルキル基からなる群から選ばれ、ただし、それらの基における少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R
3はC
1~C
6アルキル基であり、ただし、該C
1~C
6アルキル基における少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていることが好ましく、
R
3はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基からなる群から選ばれ、ただし、それらの基における少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていることがより好ましい、請求項8に記載の化合物、その立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物。
【請求項11】
R
3で定義される基における1~15個、好ましく1~9個の水素原子が重水素(D)で置換されている、請求項10に記載の化合物、その立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物。
【請求項12】
R
4は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基からなる群から選ばれ、
R
4は水素であることが好ましい、請求項8に記載の化合物、その立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物。
【請求項13】
前記化合物が、
4-(2-(2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2-クロロ-2’-フルオロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2’-クロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2-クロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2-クロロ-2’-フルオロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2-クロロ-2’-フルオロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2-クロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2-クロロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2’-クロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2’-クロロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d
6)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2-クロロ-2’-フルオロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d
6)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2’-クロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d
6)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2-クロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d
6)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d
6)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2-クロロ-2’-フルオロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d
6)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2’-クロロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d
6)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2-クロロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d
6)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2’-クロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-(メチル-d
3)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d
6)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2-クロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2’-(メチル-d
3)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d
6)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、
4-(2-(2-((2-クロロ-2’-フルオロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d
6)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸、及び
4-(2-(2-((2-クロロ-2’-フルオロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d
6)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸からなる群から選ばれる、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物。
【請求項14】
1)下記の式(I-a)で示される化合物を第1の溶媒中に第1の酸、第1の塩基又は接触水素化分解により保護基P
1を除去し、得られた生成物を単離精製せずに、さらに第2の溶媒中に第1の触媒及び第2の塩基の存在下で下記の式(I-b)で示される化合物とSuzuki反応させて、下記の式(I-c)で示される化合物を得る工程と、
2)第3の溶媒中に、下記の式(I-c)で示される化合物と下記の式(I-d)で示される化合物とを第1の還元剤の存在下で還元的アミノ化反応させて下記の式(I-e)で示される化合物を得るか、又は、
第4の溶媒中に、下記の式(I-c)で示される化合物と下記の式(I-d’)で示される化合物とを第3の塩基の存在下で求核置換反応させて下記の式(I-e)で示される化合物を得る工程と、
3)第5の溶媒中に、下記の式(I-e)で示される化合物と下記の式(I-f)で示される化合物とを第2の還元剤の存在下で還元的アミノ化反応させて式(I)で示される化合物としての下記の式(I’)で示される化合物を得るか、又は、
第6の溶媒中に、下記の式(I-e)で示される化合物と下記の式(I-f’)で示される化合物とを第4の塩基の存在下で求核置換反応させて式(I)で示される化合物としての下記の式(I’)で示される化合物を得る工程とを含み、
任意選択的に、
4)第5の塩基の存在下で、該式(I’)で示される化合物をエステルの加水分解反応させて下記の式(I’’)で示される化合物を得る工程をさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物の製造方法。
【化2】
(式中、
X、R
1~R
30は、請求項1~13のいずれか1項に記載されるように定義されていて、
R
4’は、R
4と同様に定義されているが水素ではなく、
R
4’’は、水素であり、
Mは、ボロン酸エステル又はボロン酸であり、好ましくは、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン、ビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)B(OBu-n)
3、及びB(OPr-i)
3からなる群から選ばれるか、又は、
Mは、臭素、ヨウ素、塩素、フッ素、及びCF
3SO
3-(OTf)からなる群から選ばれ、
Wは、ボロン酸エステル又はボロン酸であり、好ましくは、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン、ビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)B(OBu-n)
3、及びB(OPr-i)
3からなる群から選ばれるか、又は、
Wは、臭素、ヨウ素、塩素、フッ素、及びCF
3SO
3-(OTf)からなる群から選ばれ、
P
1及びP
2は保護基であり、同一であっても異なっていてもよく、好ましくは、tert-ブトキシカルボニル基(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)、N-ベンジルオキシカルボニル基(Cbz)、メタンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、アセチル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、((2-トリメチルシリル)エトキシ)メチル基(SEM)、及びテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル(THP)からなる群から選ばれる。)
【請求項15】
前記第1の酸が、好ましくは、トリフルオロ酢酸(TFA)、塩酸(HCl)、酢酸(HOAc)、及び臭化水素酸(HBr)からなる群から選ばれ、
前記第1の塩基が、好ましくは、ピペリジン又はジエチルアミンであり、
前記第1の溶媒が、好ましくは、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジクロロエタン、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(MeCN)、及びN,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)からなる群から選ばれ、
前記第1の触媒が、好ましくは、1,1’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(PdCl
2(dcypf))、酢酸パラジウム(Pd(OAc)
2)、二塩化パラジウム(PdCl
2)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd
2(dba)
3)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(PdCl
2(dppf))、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムのジクロロメタン錯体(PdCl
2(dppf)・CH
2Cl
2)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh
3)
4)、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスホフィン)パラジウム(PdCl
2(P(Cy)
3)
2)、及び2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(SPhos)からなる群から選ばれ、
前記第2の塩基が、好ましくは、トリエチルアミン(TEA)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、酢酸カリウム(KOAc)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOBu-t)、カリウムtert-ブトキシド(KOBu-t)、水素化ナトリウム(NaH)、リン酸三カリウム(K
3PO
4)、炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)、炭酸カリウム(K
2CO
3)、水酸化リチウム(KOH)、及び水酸化ナトリウム(NaOH)などの有機塩基及び無機塩基類からなる群から選ばれ、
前記第2の溶媒が、好ましくは、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(MeCN)、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、及びこれらの溶媒と水との異なる割合で形成された混合溶媒からなる群から選ばれ、
第1の還元剤及び第2の還元剤が、好ましくは、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、及びシアノ水素化ホウ素ナトリウムからなる群から選ばれ、
前記第3の溶媒及び第5の溶媒が、好ましくは、ジクロロメタン(DCM),1,2-ジクロロエタン、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(MeCN)、及びN,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)からなる群から選ばれ、
前記第4の溶媒及び第6の溶媒が、好ましくは、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジクロロエタン、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(MeCN)、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、及びピリジン(Py)からなる群から選ばれ、
前記第3の塩基及び第4の塩基が、好ましくは、トリエチルアミン(TEA)、N,N’-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、ピリジン(Py)、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOBu-t)、カリウムtert-ブトキシド(KOBu-t)、水素化ナトリウム(NaH)、炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)、炭酸カリウム(K
2CO
3)、水酸化リチウム(KOH)、及び水酸化ナトリウム(NaOH)からなる群から選ばれ、
前記第5の塩基が、好ましくは、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化リチウム(KOH)、及び水酸化ナトリウム(NaOH)からなる群から選ばれる、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
下記の式(I-a)で示される化合物から保護基P
1を除去し、得られた生成物を単離精製せずにさらに下記の式(I-b)で示される化合物とSuzuki反応させて下記の式(I-c)で示される化合物を得る工程と、
下記の式(I-c)で示される化合物を下記の式(I-f)で示される化合物と還元的アミノ化反応させて下記の式(I-h)で示される化合物を得るか、又は下記の式(I-c)で示される化合物を下記の式(I-f’)で示される化合物と求核置換反応させて下記の式(I-h)で示される化合物を得る工程と、
下記の式(I-h)で示される化合物を脱保護してから下記の式(I-d)で示される化合物と還元的アミノ化反応させて最終生成物(I)としての下記の式(I’-1)で示される化合物を得るか、又は下記の式(I-h)で示される化合物を脱保護してから下記の式(I-d’)で示される化合物と求核置換反応させて最終生成物(I)としての下記の式(I’-1)で示される化合物を得る工程とを含み、
任意選択的に、下記の式(I’-1)で示される化合物をさらにエステルの加水分解反応させて下記の式(I’’-1)で示される化合物を得る工程とをさらに含む(ただし、各工程における前記の脱保護反応、Suzuki反応、還元的アミノ化反応、求核置換反応、エステルの加水分解反応は、請求項14又は15に記載されている通りである)、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物の製造方法。
【化3】
(式中、各置換基は、請求項14又は15に記載されているように定義されている。)
【請求項17】
下記の式(I-a)で示される化合物から保護基P
1を除去し、得られた生成物を単離精製せずにさらに下記の式(I-b)で示される化合物とSuzuki反応させて下記の式(I-c)で示される化合物を得る工程と、
下記の式(I-c)で示される化合物を下記の式(I-f)で示される化合物と還元的アミノ化反応させて下記の式(I-h)で示される化合物を得るか、又は下記の式(I-c)で示される化合物を下記の式(I-f’)で示される化合物と求核置換反応させて下記の式(I-h)で示される化合物を得る工程と、
下記の式(I-h)で示される化合物をさらにエステルの加水分解反応させて下記の式(I-i)で示される化合物を得る工程と、
下記の式(I-i)で示される化合物を脱保護してから下記の式(I-d)で示される化合物と上記のような還元的アミノ化反応させて最終生成物(I)としての下記の式(I’’’)で示される化合物を得るか、又は下記の(I-i)で示される化合物を脱保護してから下記の式(I-d’)で示される化合物と求核置換反応させて最終生成物(I)としての下記の式(I’’’)で示される化合物を得る工程とを含む(各工程における前記の脱保護反応、Suzuki反応、還元的アミノ化反応、求核置換反応、エステルの加水分解反応は、請求項14又は15に記載されている条件の下で行われることが好ましい)、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物の製造方法。
【化4】
(式中、各置換基は、請求項14又は15に記載されているように定義されている。)
【請求項18】
【化5】
から選ばれる、化合物。
【請求項19】
請求項18に記載の化合物の、式(I)で示される化合物の製造における使用。
【請求項20】
請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物と、任意選択的な医薬的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項21】
請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物、或いは請求項20に記載の医薬組成物の、標的PD-L1に関連する疾患を治療及び/又は予防するための医薬品の製造における使用、又は
PD-L1活性を阻害するための医薬品の製造における使用、又は
PD-L1阻害剤としての医薬品の製造における使用、又は
PD-L1シグナル経路を標的とする免疫調節剤としての医薬品の製造における使用。
【請求項22】
前記標的PD-L1に関連する疾患が、腫瘍、がん、及び他の免疫関連疾患からなる群から選ばれる、請求項21に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本出願は、2021年2月1日に中国国家知識産権局に提出された、発明の名称が「免疫調節剤としてのビフェニル系化合物とその製造方法及び応用」である中国特許出願202110137428.0に基づいた優先権を主張し、その全内容は、援用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、医薬化学の分野に属し、免疫調節剤としてのビフェニル系化合物とその製造方法及び応用に関する。
【背景技術】
【0003】
腫瘍免疫療法は、人体の免疫系を刺激して自身の抗腫瘍免疫力を増強することにより、腫瘍細胞を阻害又は死滅させる新しい治療法として知られている。この療法は、100年以上の努力の末に画期的な進歩を遂げた。腫瘍免疫療法は、2013年、「Science」誌に年間10大科学的業績のトップ1として挙げられ(Couzin-Frankel J., 2013, Science, 342: 1432-1433)、最も見通し良いの抗腫瘍治療分野の1つとなっている。
【0004】
腫瘍細胞は正常細胞と比較して様々な遺伝的及びエピジェネティックな変化を有するので、免疫系は腫瘍細胞により産生される表面抗原を利用して腫瘍細胞と正常細胞を区別し、それによって抗腫瘍免疫応答を引き起こすことができる。T細胞による抗腫瘍免疫過程では、T細胞受容体(T cell receptor,TCR)に媒介される抗原認識シグナルにより活性化された後、共刺激及び共抑制シグナルを通じて、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(Cytotoxic T-lymphocyte associated antigen 4,CTLA4)や、プログラム細胞死受容体1(Programmed death protein 1,PD-1)、T細胞活性化免疫グロブリン阻害V型ドメイン(V-domain immunoglobulin suppressor of T-cell activation,VISTA)、T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有分子3(T cell immunoglobulin and mucin domain-containing-3,TIM3)、リンパ球活性化遺伝子3(Lymphocyte activation gene 3,LAG3)などの抑制シグナルの抑制受容体、及びCD28、CD134(OX40)や、グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質(Glucocorticoid-induced TNFR-related protein,GITR)、CD137、CD27、HVEMなどの刺激シグナルの活性化受容体を含むT細胞の効果を包括的に制御する(Mellman I.,Coukos G.,Dranoff G.,2011,Nature,480:480-489)。通常の生理学的条件下で、免疫チェックポイントは一方では自己抗原に対する免疫耐性の維持と自己免疫疾患の回避に関与しており、他方では免疫応答の過剰な活性化による組織損傷を回避する。ところが、腫瘍細胞は、免疫チェックポイントを通じてT細胞の活性化を抑制して、免疫による傷害を回避することができる。従って、腫瘍免疫療法を実現するには、共刺激シグナルを活性化し(「アクセル」を踏む)、共抑制シグナルを抑制する(「ブレーキ」を解除する)ことにより、腫瘍細胞を攻撃するようにT細胞を再活性化する必要がある。
【0005】
PD-1は、活性化されたT細胞、B細胞及び骨髓細胞に発現され、CD28ファミリーに属し、T細胞上の1型膜貫通糖タンパク質であり、288個のアミノ酸から構成されている。PD-1の分子構造は、免疫グロブリンIgV様(35~145番目のアミノ酸)を有する細胞外領域、膜貫通領域、シグナルペプチドをつなぐ機能を有する細胞質尾部領域から構成されており、その上の細胞外領域がリガンドに結合して重要な役割を果たしている(Cheng X., Veverka V., Radhakrishnan A., et al. 2013, J. Biol. Chem., 288:11771-11785)。プログラム細胞死リガンド1(Programmed death protein ligand 1,PD-L1)はPD-1のリガンドの1つであり、B7ファミリーに属し、様々な腫瘍細胞、T細胞、抗原提示細胞(APC)及び様々な非造血細胞に継続的に発現され、1型膜貫通糖タンパク質でもあり、290個のアミノ酸で構成されている。PD-1とPD-L1の相互作用によりT細胞の活性化を抑制することは、正常な生体の免疫耐性を維持するのに重要であるが、腫瘍細胞中及びウイルス感染の場合には、T細胞でのPD-1の高発現が誘導され、PD-L1の発現がアップレギュレートされることで、PD-1シグナル経路が継続的に活性化されてT細胞の増殖が抑制され、その結果、腫瘍細胞及び病原体の免疫逃避が引き起こされる(Fuller M.J., Callendret B., Zhu B., et al. 2013, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 110: 15001-15006; Dolan D.E., Gupta S., 2014, Cancer Control, 21: 231-237; Chen L., Han X., 2015, J. Clin. Invest., 125: 3384-3391; Postow M.A., Callahan M.K., Wolchok J.D., 2015, J. Clin. Oncol., 33: 1974-1982)。PD-1/PD-L1の相互作用を遮断することが腫瘍の免疫療法及び他の多くの免疫関連疾患において非常に効果的な治療手段であることは、近年市販されているPD-1及びPD-L1の幾つの抗体医薬品によって十分に証明されている。
【0006】
研究によると、PD-L1はCD80と相互作用してPD-1とPD-L1の結合を抑制することができ、T細胞の活性化を抑制する機能を持っているということが発見された。従って、CD80/PD-L1相互作用に起因する免疫活性化を遮断することにより、T細胞の活性の増加を促進する可能性もあり、免疫相関疾患に新しい治療チャンスを提供する(Sugiura D., Maruhashi T., Okazaki ll-mi, et al. 2019, Science, 364: 558-566)。
【0007】
これまでのところ、PD-1/PD-L1を標的とする抗体医薬品において大きな進歩を遂げた。しかしながら、すべての抗体医薬品は注射により投与される必要があり、様々なADMET問題、免疫系に関連する重篤な副作用などを有する。小分子免疫調節剤は、抗体医薬品と比較して、経口投与や、組織浸透性の向上、薬理学的特性を調整することにより副作用を最小限に抑えることなどの特定の利点を持っている。また、小分子阻害剤は、より安価、より良好な服薬コンプライアンスという利点を有する。
【0008】
PD-1/PD-L1抗体医薬品の臨床研究によると、ニボルマブはT1/2が25.2日、投与頻度が2週間に1回であり、ペムブロリズマブはT1/2が25日、投与頻度が3週間に1回であり、アテゾリズマブはT1/2が27日、投与頻度が3週間に1回であった。上記の薬物の投与頻度は薬物の半減期よりも短いことは、このような標的薬物を持続的に体内で曝露することが理想的な臨床治療効果を得る鍵であることを示している。しかし、既存の小分子免疫調節剤は体内での曝露量が比較的低く、持続曝露時間が比較的短いので、臨床治療効果が悪影響を受ける。従って、より高い活性とともにより良好な経口吸収特性、特に十分な体内曝露量と持続曝露時間を有し、腫瘍組織に対してもっと標的化された新規な小分子PD-L1免疫調節剤を開発することは、臨床ニーズを満たすのに重要である。
【発明の概要】
【0009】
本発明の一側面では、PD-L1を標的とする可能な小分子ビフェニル系化合物、或いはその異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物に関する。
本発明の他の側面では、本明細書における化合物の製造方法に関する。
【0010】
本発明の更に他の側面では、本発明化合物を有効成分として含む医薬組成物、ならびに標的PD-L1に関連する疾患を治療及び/又は予防するための医薬品の調製における本発明にかかる化合物又は医薬組成物の用途に関する。
【0011】
小分子であるPD-L1阻害剤は、抗体類と比較すれば、標的結合強度及び体内持続曝露時間から最適化することにより、抗体類からの潜在的な薬効差を減少する必要がある。従って、発明者らは、臨床ニーズを満たすために、より高い活性とともにより良好な経口吸収特性、特に十分な体内曝露量と持続曝露時間を有し、腫瘍組織に対してもっと標的化された新規な小分子PD-L1免疫調節剤の開発を図っている。
【0012】
本発明は、既存のPD-1/PD-L1抗体医薬品が注射投与を必要とするという欠点を克服し、良好な経口吸収特性を有する新規な小分子免疫調節剤を提供するものである。特に、本発明による化合物は、理想的な体内曝露量と持続曝露時間を有し、同時に腫瘍組織を標的とし、腫瘍組織で濃化してより高い腫瘍組織への曝露濃度を形成することができ、治療中に抗腫瘍活性をより効果的に発揮し、より良好な治療効果を達成するのに有利である。
【0013】
本発明の上記目的は、本発明による式(I)で示される化合物、その異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物を提供することにより達成される。
【0014】
そこで、第1の側面で、本発明は、式(I)で示される化合物、その異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物に関する。
【化1】
式中、
R
1及びR
2は、同一または異なり、C
1~C
6アルキル基、シアノ基、およびハロゲンからなる群から選ばれ、
R
3は、水素、C
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルケニルC
1~C
6アルキル基、C
2~C
6アルキニルC
1~C
6アルキル基、ハロゲン化C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシC
1~C
6アルキル基、モノC
1~C
6アルキルアミノC
1~C
6アルキル基、ビスC
1~C
6アルキルアミノC
1~C
6アルキル基、ハロゲン化C
1~C
6アルコキシC
1~C
6アルキル基、C
3~C
14シクロアルキル基、3員~14員のヘテロシクロアルキル基、C
3~C
14シクロアルキルC
1~C
4アルキル基、および3員~14員のヘテロシクロアルキルC
1~C
4アルキル基からなる群から選ばれ、
R
4は、水素又はC
1~C
6アルキル基であり、ただし、前記C
1~C
6アルキル基は、ヒドロキシ基、カルボキシ基及びハロゲンからなる群から選ばれた1つ又は複数の置換基で任意選択的に置換されていて、
Xは、-O-又は-S-であり、
R
5~R
26は、水素原子であり、
R
27~R
30は、水素原子であり、
ここで、R
1~R
30を定義するための前記の各基における少なくとも1つの水素原子は、重水素(D)で置き換えられている。
【0015】
いくつかの実施形態において、R1及びR2は、同一であっても異なってもよく、メチル基、シアノ基、およびハロゲンからなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R1及びR2は、同一であっても異なってもよく、メチル基、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R1は、C1~C6アルキル基、シアノ基、およびハロゲンからなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R2は、C1~C6アルキル基又はハロゲンである。
いくつかの実施形態において、R1は、メチル基、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R2は、メチル基又は塩素である。
いくつかの実施形態において、R3は、C1~C6アルキル基又はハロゲン化C1~C6アルキル基であり、ただし、これらの置換基における少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置き換えられている。
いくつかの実施形態において、R3は、C1~C6アルキル基又はフルオロC1~C6アルキル基であり、ただし、これらの置換基における少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置き換えられている。
いくつかの実施形態において、R3は、メチル基、エチル基、及び-CHF2からなる群から選ばれ、ただし、これらの置換基における少なくとも1つの水素原子は重水素(D)で置き換えられている。
いくつかの実施形態において、R4は、水素又はC1~C6アルキル基である。
いくつかの実施形態において、R4は、水素又はメチル基である。
いくつかの実施形態において、Xは、-O-である。
いくつかの実施形態において、R5~R26は、水素原子であり、好ましくは、それらの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置き換えられている。
いくつかの実施形態において、R5~R26は、すべて水素原子である。
いくつかの実施形態において、R5~R26は、水素原子であり、ただし、それらの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置き換えられている。
いくつかの実施形態において、R27~R30は、水素原子であり、又は水素原子であり且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置き換えられていて、重水素の置換位置は、対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置にあってもよい。
いくつかの実施形態において、R27~R30は、水素原子である。
いくつかの実施形態において、R27~R30は、水素原子であり、且つそれらの少なくとも1つの水素原子は重水素(D)で置き換えられていて、重水素の置換位置は、対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置にあってもよい。
【0016】
別の側面では、本発明が、上記の式(I)で示される化合物、その異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物に関し、
R1及びR2は、同一であっても異なってもよく、メチル基、メチル-d3(CD3)、シアノ基、フッ素、塩素、及び臭素からなる群から選ばれ、
R3は、水素、C1~C6アルキル基、C2~C6アルケニルC1~C6アルキル基、C2~C6アルキニルC1~C6アルキル基、ハロゲン化C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基、モノC1~C6アルキルアミノC1~C6アルキル基、ビスC1~C6アルキルアミノC1~C6アルキル基、ハロゲン化C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基、C3~C14シクロアルキル基、3員~14員のヘテロシクロアルキル基、C3~C14シクロアルキルC1~C4アルキル基、および3員~14員のヘテロシクロアルキルC1~C4アルキル基からなる群から選ばれ、
R4は、水素又はC1~C6アルキル基であり、ただし、前記C1~C6アルキル基は、ヒドロキシ基及びハロゲンから選ばれた1つ又は複数の置換基で任意選択的に置換されていて、
Xは、-O-であり、
R5~R26は、水素原子であり、且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R27~R30は、水素原子であるか、又は水素原子であり且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、重水素の置換位置は、対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置にあってもよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、R1及びR2は、同一であっても異なってもよく、メチル基、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R1は、メチル基、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R2は、メチル基又は塩素である。
いくつかの実施形態において、R3は、C1~C6アルキル基、又はハロゲン化C1~C6アルキル基である。
いくつかの実施形態において、R3は、C1~C6アルキル基、又はフルオロC1~C6アルキル基である。
いくつかの実施形態において、R3は、メチル基、エチル基、及び-CHF2からなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R4は、水素又はC1~C6アルキル基である。
いくつかの実施形態において、R4は、水素又はメチル基である。
いくつかの実施形態において、R27~R30は、水素原子であるか、又は水素原子であり且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、重水素の置換位置は、対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置にあってもよい。
いくつかの実施形態において、R27~R30は、水素原子である。
いくつかの実施形態において、R27~R30は、水素原子であり、且つそれらの少なくとも1つの水素原子は重水素(D)で取置換され、重水素の置換位置は、対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置にあってもよい。
【0018】
別の側面では、本発明が、上記の式(I)で示される化合物、その異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物に関し、
R1及びR2は、同一であっても異なってもよく、メチル基、メチル-d3(CD3)、シアノ基、フッ素、塩素、及び臭素からなる群から選ばれ、
R3は、水素、C1~C6アルキル基、C2~C6アルケニルC1~C6アルキル基、C2~C6アルキニルC1~C6アルキル基、ハロゲン化C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基、モノC1~C6アルキルアミノC1~C6アルキル基、ビスC1~C6アルキルアミノC1~C6アルキル基、ハロゲン化C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基、C3~C14シクロアルキル基、3員~14員のヘテロシクロアルキル基、C3~C14シクロアルキルC1~C4アルキル基、および3員~14員のヘテロシクロアルキルC1~C4アルキル基からなる群から選ばれ、
R4は、水素又はC1~C6アルキル基であり、ただし、前記C1~C6アルキル基は、ヒドロキシ基及びハロゲンから選ばれた1つ又は複数の置換基で任意選択的に置換されていて、
Xは、-O-であり、
R5~R26は、水素原子であるか、又は水素原子であり且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R27~R30は、水素原子であり、且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、重水素の置換位置は、対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置にあってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、R1及びR2は、同一であっても異なってもよく、メチル基、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R1は、メチル基、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R2は、メチル基又は塩素である。
いくつかの実施形態において、R3は、C1~C6アルキル基、又はハロゲン化C1~C6アルキル基である。
いくつかの実施形態において、R3は、C1~C6アルキル基、又はフルオロC1~C6アルキル基である。
いくつかの実施形態において、R3は、メチル基、エチル基、及び-CHF2からなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R4は、水素又はC1~C6アルキル基である。
いくつかの実施形態において、R4は、水素又はメチル基である。
いくつかの実施形態において、R5~R26は、水素原子であり、又は水素原子から選ばれ且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されている。
いくつかの実施形態において、R5~R26は、水素原子である。
いくつかの実施形態において、R5~R26は、水素原子であり、且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されている。
【0020】
好ましい側面では、本発明が、上記の式(I)で示される化合物、その異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物に関し、ここで、
R1及びR2は、同一であっても異なってもよく、メチル基、メチル-d3(CD3)、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれ、
R3は、水素、C1~C6アルキル基、C2~C6アルケニルC1~C6アルキル基、C2~C6アルキニルC1~C6アルキル基、ハロゲン化C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基、モノC1~C6アルキルアミノC1~C6アルキル基、ビスC1~C6アルキルアミノC1~C6アルキル基、ハロゲン化C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基、C3~C14シクロアルキル基、及び3員~14員のヘテロシクロアルキル基からなる群から選ばれ、ただし、それらの基における少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R4は、水素又はC1~C6アルキル基であり、ただし、前記C1~C6アルキル基はハロゲンで任意選択的に置換されていて、
Xは、-O-であり、
R5~R26は、水素原子であるか、又は水素原子であり且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R27~R30は、水素原子であるか、又は水素原子であり且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、重水素の置換位置は、対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置にあってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、R1は、メチル基、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R2は、メチル基又は塩素である。
いくつかの実施形態において、R3は、C1~C6アルキル基、又はハロゲン化C1~C6アルキル基であり、ただし、これらの置換基における少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されている。
いくつかの実施形態において、R3は、C1~C6アルキル基、又はフルオロC1~C6アルキル基であり、ただし、これらの置換基における少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されている。
いくつかの実施形態において、R3は、メチル基、エチル基、及び-CHF2からなる群から選ばれ、ただし、これらの置換基における少なくとも1つの水素原子は重水素(D)で置換されている。
いくつかの実施形態において、R4は、水素又はC1~C6アルキル基である。
いくつかの実施形態において、R4は、水素又はメチル基である。
いくつかの実施形態において、R5~R26は、水素原子であるか、又は水素原子であり且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されている。
いくつかの実施形態において、R5~R26は、水素原子である。
いくつかの実施形態において、R5~R26は、水素原子であり、且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されている。
いくつかの実施形態において、R27~R30は、水素原子であるか、又は水素原子であり且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、重水素の置換位置は、対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置にあってもよい。
いくつかの実施形態において、R27~R30は、水素原子である。
いくつかの実施形態において、R27~R30は、水素原子であり、且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、重水素の置換位置は、対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置にあってもよい。
【0022】
別の好ましい側面では、本発明が、上記の式(I)で示される化合物、その異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物に関し、ここで、
R1及びR2は、同一であっても異なってもよく、メチル基、メチル-d3(CD3)、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれ、
R3は、水素、C1~C6アルキル基、C2~C6アルケニルC1~C6アルキル基、C2~C6アルキニルC1~C6アルキル基、ハロゲン化C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基、及びハロゲン化C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基からなる群から選ばれ、
R4は、水素又はC1~C6アルキル基であり、ただし、前記C1~C6アルキル基はハロゲンで任意選択的に置換されていて、
Xは、-O-であり、
R5~R26は、水素原子であり、且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R27~R30は、水素原子であるか、又は水素原子であり且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、重水素の置換位置は、対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置にあってもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、R1は、メチル基、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R2は、メチル基又は塩素である。
いくつかの実施形態において、R3は、C1~C6アルキル基、又はハロゲン化C1~C6アルキル基である。
いくつかの実施形態において、R3は、C1~C6アルキル基、又はフルオロC1~C6アルキル基である。
いくつかの実施形態において、R3は、メチル基、エチル基、及び-CHF2からなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R4は、水素又はC1~C6アルキル基である。
いくつかの実施形態において、R4は、水素である。
いくつかの実施形態において、R27~R30は、すべて水素原子であるか、又は水素原子であり且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、重水素の置換位置は、対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置にあってもよい。
いくつかの実施形態において、R27~R30は、水素原子である。
いくつかの実施形態において、R27~R30は、水素原子であり、且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、重水素の置換位置は、対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置にあってもよい。
【0024】
別の好ましい側面では、本発明が、上記の式(I)で示される化合物、その異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物に関し、ここで、
R1及びR2は、同一であっても異なってもよく、メチル基、メチル-d3(CD3)、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれ、
R3は、C1~C6アルキル基、C2~C6アルケニルC1~C6アルキル基、C2~C6アルキニルC1~C6アルキル基、ハロゲン化C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基、及びハロゲン化C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基からなる群から選ばれ、
R4は、水素又はC1~C6アルキル基であり、ただし、前記C1~C6アルキル基はハロゲンで任意選択的に置換されていて、
Xは、-O-であり、
R5~R27は、水素原子であるか、又は水素原子であり且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R28~R30は、水素原子であり、且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、重水素の置換位置は、対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置にあってもよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、R1は、メチル基、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R2はメチル基又は塩素である。
いくつかの実施形態において、R3は、C1~C6アルキル基、又はハロゲン化C1~C6アルキル基である。
いくつかの実施形態において、R3は、C1~C6アルキル基、又はフルオロC1~C6アルキル基である。
いくつかの実施形態において、R3は、メチル基、エチル基、及び-CHF2からなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R4は水素又はC1~C6アルキル基である。
いくつかの実施形態において、R4は水素である。
いくつかの実施形態において、R5~R26は、すべて水素原子であるか、又は少なくとも1つは重水素(D)である。
いくつかの実施形態において、R5~R26はすべて水素原子である。
いくつかの実施形態において、R5~R26の少なくとも1つは重水素(D)である。
【0026】
特に好ましい側面では、本発明が、上記の式(I)で示される化合物、その異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物に関し、ここで、
R1及びR2は、同一であっても異なってもよく、メチル基、メチル-d3(CD3)、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれ、
R3は、C1~C6アルキル基、C2~C6アルケニルC1~C6アルキル基、C2~C6アルキニルC1~C6アルキル基、ハロゲン化C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基、及びハロゲン化C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基からなる群から選ばれ、ただし、それらの基における少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R4は、水素であり、
Xは、-O-であり、
R5~R27は、水素原子であるか、又は水素原子であり且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R28~R30は、水素原子であるか、又は水素原子であり且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、重水素の置換位置は、対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置にあってもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、R1は、メチル基、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R2はメチル基又は塩素である。
いくつかの実施形態において、R3は、C1~C6アルキル基、又はハロゲン化C1~C6アルキル基であり、ただし、これらの置換基における少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されている。
いくつかの実施形態において、R3は、C1~C6アルキル基、又はフルオロC1~C6アルキル基であり、ただし、これらの置換基における少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されている。
いくつかの実施形態において、R3は、メチル基、エチル基、及び-CHF2からなる群から選ばれ、ただし、これらの置換基における少なくとも1つの水素原子は重水素(D)で置換されている。
いくつかの実施形態において、R5~R26は、水素原子であるか、又は水素原子であり且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されている。
いくつかの実施形態において、R5~R26は水素原子である。
いくつかの実施形態において、R5~R26は、水素原子であり、且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されている。
いくつかの実施形態において、R27~R30は、水素原子であるか、又は水素原子であり且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、重水素の置換位置は、対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置にあってもよい。
いくつかの実施形態において、R27~R30は、水素原子である。
いくつかの実施形態において、R27~R30は、水素原子であり、且つそれらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、重水素の置換位置は、対応する脂肪族環及び脂肪族複素環の上の任意の位置にあってもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、R1及びR2は、同一又は異なり、メチル基、シアノ基、およびハロゲンからなる群から選ばれ、
R3は、水素、C1~C6アルキル基、C2~C6アルケニルC1~C6アルキル基、C2~C6アルキニルC1~C6アルキル基、ハロゲン化C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基、及びハロゲン化C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基からなる群から選ばれ、ただし、それらの基における少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されていて、
R4は、水素又はC1~C6アルキル基であり、
Xは、-O-であり、
R5~R26は、水素原子であり、
R27~R30は、水素原子である。
【0029】
いくつかの実施形態において、R1及びR2は、同一又は異なり、メチル基、シアノ基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R1及びR2は、同一又は異なり、メチル基、フッ素、及び塩素からなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R1及びR2は、同一又は異なり、メチル基又は塩素である。
【0030】
いくつかの実施形態において、R3は、水素、C1~C6アルキル基及びハロゲン化C1~C6アルキル基からなる群から選ばれ、ただし、それらの基における少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されている。
いくつかの実施形態において、R3は、C1~C6アルキル基であり、これらの少なくとも1つの水素原子は重水素(D)で置換されている。
いくつかの実施形態において、R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基からなる群から選ばれ、ただし、それらのうちの少なくとも1つの水素原子が重水素(D)で置換されている。
【0031】
いくつかの実施形態において、R3で定義される基における1~15個の水素原子が重水素(D)で置換されている。
いくつかの実施形態において、R3で定義される基の1~9個の水素原子は重水素(D)で置換されている。
【0032】
いくつかの実施形態において、R4は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基からなる群から選ばれる。
いくつかの実施形態において、R4は水素である。
【0033】
本発明は、上記の式(I)で示される化合物に関し、以下の化合物から選ばれたものが好ましい。
【表1】
各用語の定義
【0034】
本明細書の各部には、本発明に開示される化合物の置換基が、基の種類又は範囲に従って開示されている。本発明では、これらの基の種類及び範囲内の個々のメンバーの個々の独立したサブコンビネーションを含むことが特に意図されている。例えば、用語「C1~C6アルキル基」とは、具体的に、独立して開示されるメチル基、エチル基、C3アルキル基、C4アルキル基、C5アルキル基及びC6アルキル基、或いは独立して開示される「C1~C4アルキル基」、或いは独立して開示される「C1~C3アルキル基」を指す。
【0035】
本発明に記載されている「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、好ましくは、フッ素又は塩素又は臭素である。
【0036】
本発明に記載されている「アルキル基」は、直鎖又は分枝鎖のアルキル基を含む。本発明に記載されているC1~C6アルキル基とは、炭素数1~6のアルキル基を意味し、メチル基、エチル基、n-プロピル基若しくはイソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基又はtert-ブチル基であることが好ましい。本発明による化合物におけるアルキル基は、アルキル基や、ハロゲン、アルコキシ基、ハロアルキル基、シアノ基、ヒドロキシ基などの置換基で置換されてもよく、又は置換されなくてもよい。本発明におけるアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。
【0037】
本発明に記載されている「アルケニル基」は、2~12個の炭素原子、又は2~8個の炭素原子、又は2~6個の炭素原子、又は2~4個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖の一価炭化水素基であって、少なくとも1つの位置が不飽和状態、即ち1つのC-Cがsp2二重結合であるものを表す。アルケニル基は、本発明に記載されている1つ又は複数の置換基で独立して任意選択的に置換されてもよく、「トランス」、「シス」又は「E」、「Z」の配向を有する場合もある。アルケニル基は、C2~C6アルケニル基であってもよく、具体的な例としては、ビニル基(-CH=CH2)、プロペニル基(-CH2CH=CH2)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本発明に記載されている「アルキニル基」は、2~12個の炭素原子、又は2~8個の炭素原子、又は2~6個の炭素原子、又は2~4個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖の一価炭化水素基であって、少なくとも1つの位置が不飽和状態、即ち1つのC-Cがsp三重結合であるものを表す。アルキニル基は、本発明に記載されている1つ又は複数の置換基で独立して任意選択的に置換されてもよい。アルキニル基は、C2~C6アルキニル基であってもよく、具体的な例としては、エチニル基(-C≡CH)、プロパルギル基(-CH2C≡CH)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
本発明に記載されている「アルコキシ基」とは、上記アルキル基を酸素原子に連結して形成された基を指し、ここで、酸素原子は、自由に化学結合を形成する能力を有し、例えば、「C1~C6アルコキシ基」であり、具体的に、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、イソプロポキシ基、tert-ブトキシ基、シクロプロピルオキシ基などであってもよい。
【0040】
本発明に記載されている「アルキルアミノ基」とは、上記アルキル基をアミノ基に連結して形成された基を指し、例えば、「C1~C6アルキルアミノ基」であり、具体的に、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルイソプロピルアミノ基などであってもよい。
【0041】
本発明に記載されている「ハロゲン化C1~C6アルキル基」及び「ハロゲン化C1~C6アルコキシ基」とは、前記アルキル基及びアルコキシ基における1つ又は複数の水素原子がハロゲン原子、特にフッ素又は塩素原子で置換されたことを意味する。いくつかの実施形態においては、フッ素化されたことが好ましく、例えば、-CF3、-CHF2、-CH2F、-CH2CH2F、-CH2CHF2、-CH2CF3、-OCF3、-OCHF2、-OCH2F、-OCH2CH2F、-OCH2CHF2又は-OCH2CF3である。
【0042】
本発明に記載されている「シクロアルキル基」とは、所定の環炭素数を有する炭化水素系の単環式構造であって、二重結合などの不飽和結合を含まない基であり、C3~C14シクロアルキル基、C3~C6シクロアルキル基を包含し、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基である。本発明による化合物におけるシクロアルキル基は、アルキル基や、ハロゲン、アルコキシ基、ヒドロカルビル基、ヒドロキシ基などの置換基で置換されてもよく、又は置換されなくてもよい。
【0043】
本発明に記載されている「複素環」とは、1つ又は複数のヘテロ原子を含む非置換又は置換の単環式又は多環式非芳香族環系、部分不飽和又は完全飽和の環系を指す。好ましいヘテロ原子としては、N、O及びSが挙げられる。単環式複素環としては、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、テトラヒドロフラニル基、ジヒドロイミダゾリル基、ジヒドロフラニル基、ピペリジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ホモピペラジニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。多環式ヘテロシクリル基としては、スピロ環、橋かけ環、縮合環のヘテロシクリル基が挙げられる。前記ヘテロシクリル基環は、アリール、ヘテロアリール又はシクロアルキル環に縮合してもよい。
【0044】
上述したすべての説明から当業者が自明するように、それらの名称は複合名と命名された任意の基である。例えば、「C2~C6アルケニルC1~C6アルキル基」とは、それから誘導体化される部分、例えばC2~C6アルケニル基で置換されたC1~C6アルキル基から構築されるものを意味するべきであり、ただし、C2~C6アルケニル基及びC1~C6アルキル基は、上記に定義したとおりである。「C2~C6アルキニルC1~C6アルキル基」、「C3~C14シクロアルキルC1~C4アルキル基」などの他の類似する複合名は、上記の内容を参照して理解すればいい。
【0045】
特に定義がない限り、本明細書における「置換された」、「置換の」、「置き換えられている」とは、基の1つ又は複数の水素原子が対応する数の置換基で独立して置換されることができることを意味する。置換位置は、当業者であれば、過度の努力をすることなく、可能か不可能を決定(実験又は理論によって)し得る。前記「置換された」、「置換の」、「置き換えられている」に言及される置換基としては、シアノ基、カルボキシ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1~C6アルキル基、C2~C6アルケニル基、C2~C6アルキニル基、C1~C6アルコキシ基、モノC1~C6アルキルアミノC1~C6アルキル基、ビスC1~C6アルキルアミノC1~C6アルキル基、ハロゲン化C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基、ハロゲン化C1~C6アルコキシC1~C6アルキル基、C3~C14シクロアルキル基、3員~14員のヘテロシクロアルキル基、C3~C14シクロアルキルC1~C4アルキル基、3員~14員のヘテロシクロアルキルC1~C4アルキル基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書における化合物における立体異性体は、化学名で特に(R)-又は(S)-異性体としてされる場合、それぞれ(R)-異性体と(S)-異性体を主な立体配置としたものである理解されるべきである。(R)-、(S)-又は(R、S)-立体配置、特に(R)-又は(S)-立体配置には、任意の不斉炭素原子が存在し得る。
【0047】
本発明に記載されている「薬学に許容される塩」とは、本発明による化合物と薬学的に許容される酸とを反応させて得られた酸付加塩、又は酸性基を有する化合物と塩基性化合物との反応により生成された塩を指す。ここで、前記酸は、無機酸(塩酸や、硫酸、リン酸、臭化水素酸など)、及び有機酸(シュウ酸や、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、リジン、ヒスチジン、クエン酸、安息香酸など)から選ばれたものが好ましい。前記塩基性化合物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸水素カリウムなどからなる群から選ばれたものが好ましい。上記の薬学的に許容される塩は、分離されやすく、溶媒抽出や、希釈、再結晶、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィーなどの従来の分離方法で精製することができる。
【0048】
別段の指定がない限り、本明細書における「水素原子」は、一般に、質量数が1である水素の同位体形態1Hを意味する。
【0049】
本発明の別の側面は、また、上記の化合物、又はその異性体、薬学的に許容される塩、前駆体若しくは代謝産物を有効成分として含む医薬組成物にも関する。
【0050】
本発明に記載されている化合物は、他の1つ又は複数の有効成分と併用してもよい。各成分の用量及び比率は、具体的な病状、患者の具体的な状態、及び臨床的な必要性に従って当業者が調整し得るものである。
【0051】
本発明に記載されている一般式(I)で示される化合物、その異性体、薬学的に許容される塩、前駆体又は代謝産物は、当業者が(経験又は参考文献により)調製し得るものである。
【0052】
本発明に記載されている一般式(I)で示される化合物は、構造式が命名と一致しない場合、構造式が優先する。
【0053】
そして、本発明の別の側面は、本発明による上記化合物の製造方法をさらに提供する。
【0054】
本発明の式(I)で示される化合物の製造方法は、以下の合成経路により説明する。以下の合成概略図に示されている原料や、試薬、触媒、溶媒などは、有機化学分野で当業者に周知の方法によって調製されるか又は市販されることができる。本発明のすべての最終誘導体は、概略図に記載されている有機化学分野で当業者に周知されている方法又はそれに類似する方法により調整されることができる。これらの概略図に示されている変量は、本明細書に定義されている通りである。
製造方法
【0055】
以下の各変量の定義は、前記の通りであるが、新しく出る変量は、この節で説明されているとおりである。また、一般式(I)で示される化合物及び関連する中間体は、例えば、抽出や、再結晶、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの通常の分離方法により精製することができる。青島海洋化工場により製造された200-300メッシュのシリカゲル及び薄層クロマトグラフィー用シリカゲルプレートを使用した。化学試薬として分析用規格又は化学用規格のような一般用試薬の市販製品を精製せずに使用した。
【0056】
本発明は、以下の工程1)~工程3)を含む、一般式(I)で示される化合物の製造方法を提供する。
【化2】
【0057】
1)式(I-a)で示される化合物を第1の溶媒中に第1の酸、第1の塩基又は接触水素化分解により保護基P1を除去し、得られた生成物を単離精製せずに、さらに式(I-b)で示される化合物と第2の溶媒中に、第1の触媒及び第2の塩基の存在下でSuzuki反応させて式(I-c)で示される化合物を得る工程;
【0058】
2)第3の溶媒中に、式(I-c)で示される化合物と式(I-d)で示される化合物とを第1の還元剤の存在下で還元的アミノ化反応させて式(I-e)で示される化合物を得るか、又は、
第4の溶媒中に、式(I-c)で示される化合物と式(I-d’)で示される化合物とを第3の塩基の存在下で求核置換反応させて式(I-e)で示される化合物を得る工程;
【0059】
3)第5の溶媒中に、式(I-e)で示される化合物と式(I-f)で示される化合物とを第2の還元剤の存在下で還元的アミノ化反応させて式(I)で示される化合物を得るか、又は、
第6の溶媒中に、式(I-e)で示される化合物と式(I-f’)で示される化合物とを第4の塩基の存在下で求核置換反応させて式(I)で示される化合物を得る工程。
【0060】
任意選択的には、前記製造方法が、4)第5の塩基の存在下で、式(I’)で示される化合物をエステルの加水分解反応させて式(I’’)で示される化合物を得る工程をさらに含んでもよい。
【0061】
上述したように、式(I’)で示される化合物は、最終生成物(I)の1つの形態になる。また、式(I’)で示される化合物は、さらにアルカリ条件下でエステルの加水分解反応を経させて式(I’’)で示される化合物が得られる。前記式(I’’)で示される化合物は、最終生成物(I)のもう1つの形態になる。
【0062】
ここで、
X、R1~R30は前記の通りに定義されていて、
R4は前記の通りに定義されていて、
R4’は、R4と同様に定義されているが水素ではなく、
R4’’は水素であり、
Mは、ボロン酸エステル又はボロン酸であり、例えば、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン、ビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)B(OBu-n)3、B(OPr-i)3が挙げられるが、これらに限定されないか、又は、
Mは、臭素、ヨウ素、塩素、フッ素、及びCF3SO3-(OTf)からなる群から選ばれ、
Wは、ボロン酸エステル又はボロン酸であり、例えば、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン、ビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)B(OBu-n)3、及びB(OPr-i)3からなる群から選ばれたものが好ましいか、又は、
Wは、臭素、ヨウ素、塩素、フッ素、及びCF3SO3-(OTf)からなる群から選ばれ、
P1及びP2は保護基であり、同一であっても異なっていてもよく、例えば、Boc(tert-ブトキシカルボニル基)、Fmoc(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基)、Cbz(N-ベンジルオキシカルボニル基)、メタンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、アセチル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、((2-トリメチルシリル)エトキシ)メチル基(SEM)、及びテトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル(THP)からなる群から選ばれたものが好ましい。
【0063】
いくつかの実施形態において、前記第1の酸としては、トリフルオロ酢酸(TFA)、塩酸(HCl)、酢酸(HOAc)、及び臭化水素酸(HBr)からなる群から選ばれたものが好ましく、
前記第1の塩基としては、ピペリジン又はジエチルアミンが好ましく、
前記第1の溶媒としては、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジクロロエタン、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(MeCN)、及びN,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)からなる群から選ばれたものが好ましい。
【0064】
いくつかの実施形態において、前記第1の触媒としては、1,1’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(PdCl2(dcypf))、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)、二塩化パラジウム(PdCl2)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd2(dba)3)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(PdCl2(dppf))、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムのジクロロメタン錯体(PdCl2(dppf)・CH2Cl2)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh3)4)、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスホフィン)パラジウム(PdCl2(P(Cy)3)2)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(SPhos)からなる群から選ばれたものが好ましく、
前記第2の塩基としては、例えば、トリエチルアミン(TEA)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、酢酸カリウム(KOAc)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOBu-t)、カリウムtert-ブトキシド(KOBu-t)、水素化ナトリウム(NaH)、リン酸三カリウム(K3PO4)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、水酸化リチウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)などの有機塩基及び无機塩基類が挙げられ、
前記第2の溶媒としては、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(MeCN)、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、及びこれらの溶媒と水との異なる割合で形成された混合溶媒からなる群から選ばれたものが好ましい。
【0065】
いくつかの実施形態において、前記第1の還元剤及び第2の還元剤としては、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、及びシアノ水素化ホウ素ナトリウムからなる群から選ばれたものが好ましく、
前記第3の溶媒及び第5の溶媒としては、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジクロロエタン、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(MeCN)、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)からなる群から選ばれたものが好ましい。
【0066】
いくつかの実施形態において、前記第4の溶媒及び第6の溶媒としては、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジクロロエタン、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(MeCN)、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、及びピリジン(Py)からなる群から選ばれたものが好ましく、
前記第3の塩基及び第4の塩基としては、トリエチルアミン(TEA)、N,N’-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、ピリジン(Py)、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOBu-t)、カリウムtert-ブトキシド(KOBu-t)、水素化ナトリウム(NaH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、水酸化リチウム(KOH)、及び水酸化ナトリウム(NaOH)からなる群から選ばれたものが好ましい。
【0067】
いくつかの実施形態において、前記第5の塩基としては、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化リチウム(KOH)、及び水酸化ナトリウム(NaOH)からなる群から選ばれたものが好ましい。
【0068】
具体的には、式(I-a)で示される化合物を適切な溶媒下で適切な酸、塩基又は接触水素化分解により保護基P1を除去し、得られた生成物を単離精製せずに、さらに式(I-b)で示される化合物と適切なアルカリ条件及び溶媒下で、触媒下でSuzuki反応させて式(I-c)で示される化合物を得る。前記脱保護のための適切な溶媒としては、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジクロロエタン、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(MeCN)、及びN,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)からなる群から選ばれたものが好ましい。前記酸としては、トリフルオロ酢酸(TFA)、塩酸(HCl)、酢酸(HOAc)、及び臭化水素酸(HBr)からなる群から選ばれたものが好ましい。前記塩基としては、ピペリジン又はジエチルアミンが好ましい。前記触媒としては、1,1’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(PdCl2(dcypf))、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)、二塩化パラジウム(PdCl2)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd2(dba)3)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(PdCl2(dppf))、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムのジクロロメタン錯体(PdCl2(dppf)・CH2Cl2)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh3)4)、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスホフィン)パラジウム(PdCl2(P(Cy)3)2)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(SPhos)からなる群から選ばれたものが好ましい。前記アルカリ条件の試薬としては、有機塩基及び无機塩基類が挙げられ、トリエチルアミン(TEA)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、酢酸カリウム(KOAc)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOBu-t)、カリウムtert-ブトキシド(KOBu-t)、水素化ナトリウム(NaH)、リン酸三カリウム(K3PO4)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、水酸化リチウム(KOH)、及び水酸化ナトリウム(NaOH)からなる群から選ばれたものが好ましい。前記Suzuki反応のための溶媒としては、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(MeCN)、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、及びこれらの溶媒と水との異なる割合で形成された混合溶媒からなる群から選ばれたものが好ましい。
【0069】
式(I-c)で示される化合物と式(I-d)で示される化合物とを適切な溶媒及び還元剤の存在下で還元的アミノ化反応させて式(I-e)で示される化合物を得る。前記還元剤としては、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、及びシアノ水素化ホウ素ナトリウムからなる群から選ばれるものが好ましい。前記溶媒としては、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジクロロエタン、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(MeCN)、及びN,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)が挙げられるが、これらに限定されない。
或いは、式(I-c)で示される化合物と式(I-d’)で示される化合物とを適切な溶媒及び塩基の存在下で求核置換反応させて式(I-e)で示される化合物を得る。前記塩基としては、トリエチルアミン(TEA)、N,N’-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、ピリジン(Py)、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOBu-t)、カリウムtert-ブトキシド(KOBu-t)、水素化ナトリウム(NaH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、水酸化リチウム(KOH)、及び水酸化ナトリウム(NaOH)からなる群から選ばれるものが好ましい。前記溶媒としては、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジクロロエタン、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(MeCN)、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、ピリジン(Py)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
式(I-e)で示される化合物を適切な溶媒下で適切な酸、塩基又は接触水素化分解により保護基P2を除去し、得られた生成物を単離精製せずに、さらに式(I-f)で示される化合物と適切な溶媒及び還元剤の存在下で還元的アミノ化反応させて式(I’)で示される化合物を得る。前記酸としては、トリフルオロ酢酸(TFA)、塩酸(HCl)、酢酸(HOAc)、及び臭化水素酸(HBr)からなる群から選ばれるものが好ましい。前記塩基としては、ピペリジン、ジエチルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。前記還元剤としては、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、及びシアノ水素化ホウ素ナトリウムからなる群から選ばれるものが好ましい。前記溶媒としては、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジクロロエタン、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(MeCN)、及びN,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)が挙げられるが、これらに限定されない。
或いは、式(I-e)で示される化合物を適切な溶媒下で適切な酸、塩基又は接触水素化分解により保護基P2を除去し、得られた生成物を単離精製せずに、さらに式(I-f’)で示される化合物と適切な溶媒及び塩基の存在下で求核置換反応させて式(I’)で示される化合物を得る。前記塩基としては、トリエチルアミン(TEA)、N,N’-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、ピリジン(Py)、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOBu-t)、カリウムtert-ブトキシド(KOBu-t)、水素化ナトリウム(NaH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、水酸化リチウム(KOH)、及び水酸化ナトリウム(NaOH)からなる群から選ばれるものが好ましい。前記溶媒としては、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジクロロエタン、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(MeCN)、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、及びピリジン(Py)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
上記式(I’)で示される化合物は、最終生成物(I)の1つの形態になる。また、式(I’)で示される化合物は、さらにアルカリ条件下でエステルの加水分解反応を経させて式(I’’)で示される化合物を得ることもできる。式(I’’)で示される化合物は、最終生成物(I)のもう1つの形態になる。前記塩基としては、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化リチウム(KOH)、及び水酸化ナトリウム(NaOH)からなる群から選ばれたものが好ましい。
【0072】
Mは、ボロン酸エステル又はボロン酸であることが好ましく、例えば、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン、ビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)B(OBu-n)3、B(OPr-i)3が挙げられるが、それらに限定されないか、又は、
Mは、臭素、ヨウ素、塩素、フッ素、及びCF3SO3-(OTf)からなる群から選ばれるものが好ましい。
Wは、ボロン酸エステル又はボロン酸であることが好ましく、例えば、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン、ビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)B(OBu-n)3、B(OPr-i)3が挙げられるが、これらに限定されないか、又は、
Wは、臭素、ヨウ素、塩素、フッ素、及びCF3SO3-(OTf)からなる群から選ばれたものが好ましい。
P1及びP2は保護基であり、同一であっても異なっていてもよく、Boc(tert-ブトキシカルボニル基)、Fmoc(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基)、Cbz(N-ベンジルオキシカルボニル基)、メタンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、アセチル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、((2-トリメチルシリル)エトキシ)メチル基(SEM)、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル(THP)から選ばれたものが好ましい。
【0073】
或いは、以下に示すように、本発明による化合物の製造方法は、式(I-a)で示される化合物から保護基P
1を除去し、得られた生成物単離精製せずに、さらに式(I-b)で示される化合物と上記のようなSuzuki反応させることにより式(I-c)で示される化合物を得る工程と、式(I-c)で示される化合物を式(I-f)で示される化合物と上記のような還元的アミノ化反応させて式(I-h)で示される化合物を得るか、又は式(I-c)で示される化合物を式(I-f’)で示される化合物と上記のような求核置換反応させることにより式(I-h)で示される化合物を得る工程と、式(I-h)で示される化合物を脱保護してから式(I-d)で示される化合物と上記のような還元的アミノ化反応させて式(I’)で示される化合物を得るか、又は(I-h)で示される化合物を脱保護してから式(I-d’)で示される化合物と上記のような求核置換反応させて式(I’-1)で示される化合物を得る工程とを含む。また、前記の製造方法は、式(I’-1)で示される化合物を上記のようなエステルの加水分解反応させて式(I’’-1)で示される化合物を得る工程をさらに含んでも良い。
【化3】
【0074】
ここで、式(I’-1)で示される化合物は、最終生成物(I)の1つの形態になる。また、式(I’)で示される化合物は、さらにアルカリ条件下でエステルの加水分解反応を経させて式(I’’-1)で示される化合物を得ることもできる。式(I’’-1)で示される化合物は、最終生成物(I)のもう1つの形態になる。
ここで、各置換基は、前記の通りに定義されている。
【0075】
或いは、本発明による化合物の製造方法は、式(I-a)で示される化合物から保護基P
1を除去し、得られた生成物を単離精製せずに、さらに式(I-b)で示される化合物と上記のようなSuzuki反応させることにより式(I-c)で示される化合物を得る工程と、式(I-c)で示される化合物を式(I-f)で示される化合物と上記のような還元的アミノ化反応させて式(I-h)で示される化合物を得るか、又は式(I-c)で示される化合物を式(I-f’)で示される化合物と上記のような求核置換反応させることにより式(I-h)で示される化合物を得る工程と、式(I-h)で示される化合物をさらに上記のようなエステルの加水分解反応させて式(I-i)で示される化合物を得る工程と、式(I-i)で示される化合物を脱保護してから式(I-d)で示される化合物と上記のような還元的アミノ化反応させて式(I’’’)で示される化合物を得るか、又は式(I-i)で示される化合物を脱保護してから式(I-d’)で示される化合物と上記のような求核置換反応させて式(I’’’)で示される化合物を得る工程とを含む。
【化4】
【0076】
ここで、上記式(I’’’)で示される化合物は、最終生成物(I)とすることができる。
ここで、各置換基は、前記の通りに定義されている。
【0077】
また、本発明は、以下の工程を含む、一般式(I)で示される化合物の製造過程に使用される式(I-a)の製造方法をさらに提供する。
【化5】
【0078】
式(I-a)で示される化合物は、式(I-a-1)と式(I-a-2)とを第6の塩基及び第7の溶媒の作用下でアンモノリシス反応させることにより得られる。
ここで、各置換基は、前記の通りに定義されている。
【0079】
いくつかの実施形態において、前記第6の塩基としては、カリウムtert-ブトキシド(KOBu-t)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOBu-t)、水素化ナトリウム(NaH)、n-ブチルリチウム、ナトリウムメトキシド(MeONa)、ナトリウムエトキシド(EtONa)から選ばれたものが好ましい。
いくつかの実施形態において、前記第7の溶媒としては、無水テトラヒドロフラン(THF)、無水1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、無水アセトニトリル(MeCN)から選ばれたものが好ましい。
【0080】
また、本発明は、以下の工程を含む、一般式(I)で示される化合物の製造過程に使用される式(I-b)の製造方法をさらに提供する。
【化6】
【0081】
式(I-b)で示される化合物の製造方法は、上記の式(I-a)の製造方法と同じである。
ここで、各置換基は、前記の通りに定義されている。
【0082】
また、本発明は、以下の工程1)~工程3)を含む、一般式(I-a)で示される化合物の製造過程に使用される式(I-a-1)の製造方法をさらに提供する。
【化7】
【0083】
1)式(I-a-1-1)で示される化合物と式(I-a-1-2)で示される化合物とを第7の塩基の作用下で反応させて式(I-a-1-3)で示される化合物を得る工程。
いくつかの実施形態において、前記第7の塩基としては、カリウムtert-ブトキシド(KOBu-t)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOBu-t)、水素化ナトリウム(NaH)、n-ブチルリチウム、ナトリウムメトキシド(MeONa)、ナトリウムエトキシド(EtONa)から選ばれたものが好ましい。
【0084】
2)式(I-a-1-3)をさらにカルボニル挿入反応させて(I-a-1-4)で示される化合物を得る工程。
3)式(I-a-1-4)をエステル化反応させて(I-a-1)で示される化合物を得る工程。
ここで、各置換基は、前記の通りに定義されている。
【0085】
より具体的には、式(I-a-1-1)で示される化合物と式(I-a-1-2)で示される化合物とを適切な塩基の作用下で反応させて式(I-a-1-3)で示される化合物を得る。ここで、前記塩基としては、カリウムtert-ブトキシド(KOBu-t)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOBu-t)、水素化ナトリウム(NaH)、n-ブチルリチウム、ナトリウムメトキシド(MeONa)、ナトリウムエトキシド(EtONa)から選ばれるものが好ましい。その後、式(I-a-1-3)をn-ブチルリチウムの作用下でさらにCO2(ドライアイス)とカルボニル挿入反応させて式(I-a-1-4)で示される化合物を得る。最後に、式(I-a-1-4)を酸塩化物の活性化形態を介してメタノール(MeOH)と反応させるか、又はメタノール(MeOH)/濃硫酸の作用下で式(I-a-1)で示される化合物を得る。
【0086】
また、本発明は、以下の工程1)~工程9)を含む、一般式(I-a)で示される化合物の製造過程に使用される式(I-a-1)の製造方法をさらに提供する。
【化8】
【0087】
1)式(I-a-1-1)で示される化合物と式(I-a-1-2)で示される化合物とを第8の塩基の作用下で反応させて式(I-a-1-3)で示される化合物を得る工程。
2)さらに第3の還元剤により式(I-a-1-3)のニトロ基をアミノ基に還元して式(I-a-1-4)で示される化合物を得る工程。
3)式(I-a-1-4)を環形成反応させて式(I-a-1-6)で示される化合物を得る工程。
4)さらに還元反応させるために、式(I-a-1-6)を第4級アンモニウム塩に形成して式(I-a-1-8)で示される化合物を得る工程。
5)式(I-a-1-8)を第4の還元剤の作用下で還元して式(I-a-1-9)で示される化合物を得る工程。
6)式(I-a-1-9)からP3を除去して式(I-a-1-10)で示される化合物を得る工程。
7)さらに式(I-a-1-10)で示される化合物を保護して式(I-a-1-11)で示される化合物を得る工程。
8)さらに式(I-a-1-11)をカルボニル挿入反応させて式(I-a-1-12)で示される化合物を得る工程。
9)式(I-a-1-12)をエステル化反応させて式(I-a-1)で示される化合物を得る工程。
【0088】
ここで、P3とは、次の還元反応を促進するとともに、第4級アンモニウム塩を形成できる断片を指し、例として、ベンジル基(Bn)、p-メトキシベンジル基(PMB)、p-メトキシカルボニルベンジル基、プロペニル基が挙げられるすが、これらに限定されない、
他の各置換基は請求項9又は10に定義されている通りである。
【0089】
一実施形態において、前記第8の塩基としては、炭酸カリウム(K2CO3)、カリウムtert-ブトキシド(KOBu-t)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOBu-t)、水素化ナトリウム(NaH)、n-ブチルリチウム、ナトリウムメトキシド(MeONa)、及びナトリウムエトキシド(EtONa)からなる群から選ばれたものが好ましい。
【0090】
一実施形態において、前記第3の還元剤としては、鉄粉、亜鉛粉、二塩化スズ(SnCl2)、硫化ナトリウム(Na2S)、及びヒドラジン水和物からなる群から選ばれたものが好ましい。
【0091】
一実施形態において、前記第4の還元剤としては、ベンジル基(Bn)、p-メトキシベンジル基(PMB)、p-メトキシカルボニルベンジル基、及びプロペニル基からなる群から選ばれたものが好ましい。
【0092】
より具体的には、式(I-a-1-1)で示される化合物と式(I-a-1-2)で示される化合物とを適切な塩基の作用下で反応させて式(I-a-1-3)で示される化合物を得る。ここで、前記塩基としては、炭酸カリウム(K2CO3)、カリウムtert-ブトキシド(KOBu-t)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOBu-t)、水素化ナトリウム(NaH)、n-ブチルリチウム、ナトリウムメトキシド(MeONa)、及びナトリウムエトキシド(EtONa)からなる群から選ばれたものが好ましい。その後、還元剤の作用下で式(I-a-1-3)のニトロ基をアミノ基に還元して式(I-a-1-4)で示される化合物を得る。ここで、前記還元剤としては、鉄粉、亜鉛粉、二塩化スズ(SnCl2)、硫化ナトリウム(Na2S)、及びヒドラジン水和物からなる群から選ばれたものが好ましい。さらに、式(I-a-1-4)を環形成反応させて式(I-a-1-6)で示される化合物を得、その後第4級アンモニウム塩を形成して式(I-a-1-8)で示される化合物を得、そして還元剤の作用下で式(I-a-1-9)で示される化合物を得る。前記還元剤としては、ベンジル基(Bn)、p-メトキシベンジル基(PMB)、p-メトキシカルボニルベンジル基、プロペニル基からなる群から選ばれるものが好ましい。さらに、P3を除去して式(I-a-1-10)で示される化合物を得た後、P1による保護、カルボニル挿入反応、エステル化反応を経て式(I-a-1)で示される化合物を得る。
【0093】
一般式(I-b)で示される化合物の製造過程に使用される式(I-b-1)は、本発明で提供されるその製造方法が上記の式(I-a-1)の製造方法と同じである。
【0094】
また、本発明は一般式(I)で示される化合物の製造に使用される今まで報告されることもない中間体I-2a-1(I-a-1)、I-1d(I-d)、I-2a-2(I-a-2)、I-3a-2(I-a-2)、I-4a-2(I-a-2)、I-5a-2(I-a-2)を提供する。これらの中間体としては、以下に挙げられるが、これらに限定されない。
【化9】
【0095】
本発明は、以下の工程1)~3)を含む、上記中間体I-1d(I-d)の製造方法を提供する。
【化10】
【0096】
1)式(I-1d-1)を第5の還元剤により還元して式(I-1d-2)を得る工程。
2)重水素化メチル化試薬を使用して式(I-1d-2)を重水素化メチル化反応させて式(I-1d-3)を得る工程。
3)最後に、式(I-1d-3)を第2の酸性条件下で脱保護して式(I-1d)を得る工程。
【0097】
ここで、前記第5の還元剤としては、水素化アルミニウムリチウム(LAH)、ボラン(BH3)、NaBH4/AlCl3からなる群から選ばれたものが好ましい。
ここで、前記メチル化試薬としては、重水素化ヨードメタン(CD3I)が好ましい。
ここで、前記第2の酸としては、トリフルオロ酢酸(TFA)、塩酸(HCl)、酢酸(HOAc)、及び臭化水素酸(HBr)からなる群から選ばれたものが好ましい。
【0098】
本発明は、以下の工程1)~6)を含む、上記の中間体I-2a-2(I-a-2)の製造方法を提供する。
【化11】
【0099】
1)式(I-2a-2-1)を臭素化試薬の作用下で臭素化反応させて式(I-2a-2-2)を得る工程。
2)式(I-2a-2-2)を第2の触媒の作用下でC-Nカップリング反応させて式(I-2a-2-4)を得る工程。
3)式(I-2a-2-4)を第3の酸性条件下で脱保護して式(I-2a-2-5)を得る工程。
4)式(I-2a-2-5)を塩素化試薬の作用下で塩素化反応させて式(I-2a-2-6)を得る工程。
5)式(I-2a-2-6)をジアゾ化反応させて式(I-2a-2-7)を得る工程。
6)式(I-2a-2-7)を第6の還元剤の作用下でニトロ基を還元して(I-2a-2)を得る工程。
【0100】
ここで、前記臭素化試薬としては、N-ブロモスクシンイミド(NBS)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)、臭素酸ナトリウム(NaBrO3)、及び臭素酸カリウム(KBrO3)からなる群から選ばれたものが好ましい。
ここで、前記第2の触媒としては、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(Xantphos)、1,1’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(PdCl2(dcypf))、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)、二塩化パラジウム(PdCl2)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd2(dba)3)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(PdCl2(dppf))、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムのジクロロメタン錯体(PdCl2(dppf)・CH2Cl2)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh3)4)、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスホフィン)パラジウム(PdCl2(P(Cy)3)2)、及び2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(SPhos)からなる群から選ばれたものが好ましい。
ここで、前記第3の酸としては、トリフルオロ酢酸(TFA)、塩酸(HCl)、酢酸(HOAc)、及び臭化水素酸(HBr)からなる群から選ばれたものが好ましい。
ここで、前記塩素化試薬としては、N-クロロスクシンイミド(NCS)から選ばれたものが好ましい。
ここで、前記第6の還元剤としては、鉄粉、亜鉛粉、二塩化スズ(SnCl2)、硫化ナトリウム(Na2S)、及びヒドラジン水和物からなる群から選ばれたものが好ましい。
【0101】
また、本発明は、以下の工程1)と工程2)を含む、上記の中間体I-3a-2(I-a-2)の製造方法を提供する。
【化12】
【0102】
1)式(I-2a-2-7)をフッ素化試薬の作用下でフッ素化反応させて式(I-3a-2-1)得る工程。
2)式(I-3a-2-1)を第7の還元剤の作用下でニトロ基を還元して(I-3a-2)を得る工程。
【0103】
ここで、前記フッ素化試薬としては、フッ化カリウム又はフッ化セシウムが好ましい。
ここで、前記第7の還元剤としては、鉄粉、亜鉛粉、二塩化スズ(SnCl2)、硫化ナトリウム(Na2S)、及びヒドラジン水和物からなる群から選ばれたものが好ましい。
【0104】
本発明は、以下の工程1)~工程5)を含む、上記の中間体I-4a-2(I-a-2)の製造方法を提供する。
【化13】
【0105】
1)式(I-2a-2-2)のニトロ基を第8の還元剤の作用下で還元して式(I-4a-2-1)を得る工程。
2)式(I-4a-2-1)をジアゾ化反応させて式(I-4a-2-2)を得る工程。
3)式(I-4a-2-2)を求電子置換反応させて式(I-4a-2-3)を得る工程。
4)式(I-4a-2-3)を第3の触媒の作用下でC-Nカップリング反応させて式(I-4a-2-4)を得る工程。
5)式(I-4a-2-4)を第4の酸性条件下で脱保護して式(I-4a-2)を得る工程。
【0106】
ここで、前記第8の還元剤としては、鉄粉、亜鉛粉、二塩化スズ(SnCl2)、硫化ナトリウム(Na2S)、及びヒドラジン水和物からなる群から選ばれたものが好ましい。
ここで、前記第3の触媒としては、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(Xantphos)、1,1’-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(PdCl2(dcypf))、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)、二塩化パラジウム(PdCl2)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd2(dba)3)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(PdCl2(dppf))、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムのジクロロメタン錯体(PdCl2(dppf)・CH2Cl2)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh3)4)、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスホフィン)パラジウム(PdCl2(P(Cy)3)2)、及び2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(SPhos)からなる群から選ばれたものが好ましい。
ここで、前記第4の酸としては、トリフルオロ酢酸(TFA)、塩酸(HCl)、酢酸(HOAc)、及び臭化水素酸(HBr)からなる群から選ばれたものが好ましい。
【0107】
また、本発明は、前記の化合物又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体若しくは代謝産物、又は前記の医薬組成物の、標的PD-L1に関連する疾患を治療及び/又は予防するための医薬品の製造における使用、或いは
PD-L1活性を阻害するための医薬品の製造における使用、或いは
PD-L1阻害剤としての医薬品の製造における使用、或いは
PD-L1シグナル経路を標的とする免疫調節剤としての医薬品の製造における使用を提供する。
【0108】
いくつかの実施形態において、前記標的PD-L1に関連する疾患には、腫瘍、がん又は他の免疫関連疾患が含まれる。
【0109】
別の側面では、本発明が、標的PD-L1に関連する疾患を治療及び/又は予防するための、或いは
PD-L1活性を阻害するための、或いは
PD-L1阻害剤としての、或いは
PD-L1シグナル経路を標的とする免疫調節剤としての、前記の化合物又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体若しくは代謝産物、又は前記の医薬組成物を提供する。
【0110】
いくつかの実施形態において、前記標的PD-L1に関連する疾患には、腫瘍、がん又は他の免疫関連疾患が含まれる。
【0111】
また別の側面では、本発明が、標的PD-L1に関連する疾患を治療及び/又は予防する方法であって、前記の化合物又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体若しくは代謝産物、或いは前記の医薬組成物を、必要とする被検者に治療及び/又は予防に有効な量で投与することを含む方法を提供する。
【0112】
また、本発明は、PD-L1活性を阻害する方法であって、前記の化合物又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体若しくは代謝産物、或いは前記の医薬組成物を細胞(例えば、哺乳類細胞)に有効量で投与することを含む方法を提供する。
【0113】
いくつかの実施形態において、前記標的PD-L1に関連する疾患には、腫瘍、がん又は他の免疫関連疾患が含まれる。
【0114】
本発明における「被検者」としては、脊椎動物である。ある実施形態において、脊椎動物は哺乳動物である。前記哺乳動物としては、ウシ科動物、ウマ科動物、ヒツジ科動物、ブタ科動物、イヌ科動物、ネコ科動物、げっ歯類動物、霊長類動物が挙げられ、例えば、ヒト、ネコ、イヌ、又はブタである。哺乳動物としては、家畜(例えばウシ)、ペット(例えばネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類動物、マウス及びラットが挙がられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0115】
本発明において、用語「治療有効量」又は「予防有効量」とは、合理的な医学的判断の範囲内で、患者の疾患を治療又は予防するのに十分であるが、重篤な副作用(合理的な利益/リスク比)を回避できるのに十分に低い量を指す。化合物の治療有効量は、選択される特定の化合物(例えば、化合物の効力、有効性及び半減期を考慮する)、選択される投与経路、治療される疾患、治療される疾患の重症度、治療される患者の年齢、体格、体重及び身体的疾患、治療される患者の病歴、治療持続時間、併用療法の性質、所望の治療効果等の要因によって変化するが、当業者が通常の方法により決定し得るものである。
【0116】
なお、異なる患者に対する前記化合物又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、前駆体若しくは代謝産物の具体的な用量及び使用方法は、患者の年齢、体重、性別、自然健康状態、栄養状態、薬物の活性強度、服用時間、代謝速度、病状の重症度及び治療医師の主観的な判断などの多くの要因に依存するものである。ここでは、好ましい用量は、0.001~1000mg/kg体重/日の範囲である。
【0117】
本発明は、免疫関連疾患を治療又は予防するのに使用される、経口吸収特性に優れている新規なビフェニル系の小分子免疫阻害剤を提供する。また、これらの化合物又はそれらを有効成分として含む医薬組成物などによれば、安全な治療範囲内でこれらの疾患に対する臨床治療効果を最大化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【
図1】
図1は、18日間投与後のhPD1/hPD-L1マウスにおける化合物I-1の組織分布(50mg/kg、PO)を示す。
【
図2】
図2は、マウスにおける血漿に対する化合物I-1、例示17、化合物14(INCB086550)及び実施例180の組織分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0119】
本発明で提供される実施例及び製造例には、本発明に記載されている化合物及びその製造方法について例を挙げながらさらに説明する。なお、下記の製造例及び実施例は、本発明の範囲を何かで限定するものではないことを理解されたい。
【0120】
LC-MSの分析方法:
質量分析条件
機器:Thermo MSQ Plus、イオン源:ESI(EA+EA-)、コーン電圧:30V、キャピラリー電圧:3.00KV、ソース温度:350°C
クロマトグラフィー測定条件
機器:Thermo U3000、検出器:DAD-3000(RS)(ダイオードアレイ検出器)、カラム:島津社製Inertsil ODS-HL HP 3μm 3.0×100mm、流速:0.4mL/min、カラム温度:30°C、移動相:CH3OH/H2O/HCOOH(75/25/0.2)
【0121】
HPLC分析方法(一):
機器:Thermo U3000、検出器:VWD-3×00(RS)(紫外可視検出器)、カラム:島津社製Shim-pack GIST C8 5μm 4.6×250mm、流速:1.0mL/min、カラム温度:30°C、移動相:CH3OH/H2O/TEA/HOAc(80/20/0.2/0.1)
【0122】
HPLC分析方法(二):
機器:Thermo U3000、検出器:VWD-3×00(RS)(紫外可視検出器)、カラム:島津社製Shim-pack GIST C8 5μm 4.6×250mm、流速:1.0mL/min、カラム温度:30°C、移動相:CH3OH/pH4.5 HCOONH4(85/15)
【0123】
1H-NMR分析方法:
1H-NMRには、室温下でBRUKER AVANCE-400 MHzの核磁気共鳴装置を使用してDMSO-d6又はCDCl3などでTMSを内部標準として測定を行い、シグナルピークとしてs(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、m(マルチプレット)、dd(ダブルダブレット)で表される。カップリング定数(J)の単位はヘルツ(Hz)である。
【0124】
【0125】
上記の方法に従って、本発明では、代表的な化合物I-1~I-15(表1に示す)を調製した。
【表3】
【0126】
以下、具体的な例により本発明をさらに説明するが、本発明の保護範囲はこれらの例に限定されない。本発明に記載されているパーセントは、特に指定がない限り、重量パーセントを指す。本明細書における計測単位、反応条件、化合物の物理的状態又はパーセント等の数値範囲は、明確な書面参照を提供するのに使用されているが、当業者は本発明を実施する時に、その範囲の以外又はある一つの数値と異なる温度、濃度、数量、炭素数などを使用しても所望の結果を得る可能性もある。また、以下の実施例における原料は、特に指定がない限り、市販品として入手することができ、例えば、Bide Pharmatech Ltd.、Jiangsu Aikon Biopharmaceutical R&D Co.,Ltd.、PharmaBlock Sciences(Nanjing),Inc.、Shanghai Shaoyuan Co.Ltd.、He Chun Biological Technology(Shanghai)Co.,Ltd.から購入することができる。
【0127】
中間体I-1aである2-((3-ブロモ-2-クロロフェニル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
【化14】
I-1a-1(16.02g,54.24mmol,1.0eq)及びI-1a-2(11.2g,54.24mmol,1.0eq)を無水THF(30mL)に溶解させ、5分間攪拌した後、KOBu-t(18.26g,162.72mmol,3.0eq)の無水THF(20mL)溶液を加え、周囲温度下で1時間攪拌した。飽和食塩水(200mL)で反応をクエンチし、EtOAc(200mL)で2回抽出した。有機相を合わせ、無水Na
2SO
4で乾燥させ、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-Hep/EtOAc(v/v)=3/1)にかけて単離し、淡黄色固体としてI-1aを得た(23.70g,収率93.0%)。LC-MS MS-ESI(m/z)469.1[M+H]
+。
【0128】
中間体I-2aである2-((3-ブロモ-2-クロロフェニル)カルバモイル)-1-メチル-d
3-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
【化15】
市販品のI-2a-1-1(10.00g,44.8mmol,1.0eq)、NaH(2.69g,112.0mmol,2.5eq)、THF(40mL)を0°Cで0.5時間攪拌し、I-2a-1-2(10.00g,69.0mmol,1.5eq)を加えてまた16時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(EtOAc,60mL)で希釈し、飽和食塩水で1回洗浄した。有機相を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=98/2)にかけて単離し、淡黄色油状物としてI-2a-1-3を得た(7.00g,収率64.5%)。LC-MS MS-ESI(m/z)241.2[M+H]
+。
【0129】
自製のI-2a-1-3(7.00g,28.9mmol,1.0eq)、n-ブチルリチウム(2.5M,13.9mL,1.2eq)、無水THF(80mL)を-50°C以下で1時間攪拌し、CO2ガスを導入しながら1時間攪拌した。反応液を室温まで昇温し、水(4mL)を加え、70°Cまで昇温して1時間攪拌した。反応液を濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=10/1)にかけて単離し、黄色固体としてI-2a-1-4を得た(6.50g,収率79.2%)。LC-MS MS-ESI(m/z)285.2[M+H]+。
【0130】
自製のI-2a-1-4(2.00g,7.03mmol,1.0eq)、塩化オキサリル(1.07g,8.44mmol,1.2eq)、触媒量のDMF、及びDCM(10mL)を室温下で1.5時間攪拌し、MeOH(2mL)を加えた。反応液を濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=98/2)にかけて単離し、黄色固体としてI-2a-1を得た(700.00mg,収率33.4%)。LC-MS MS-ESI(m/z)299.2[M+H]+。
【0131】
自製のI-2a-1(700.00mg,2.35mmol,1.0eq)、I-1a-2(485.21mg,2.35mmol,1.0eq)、KOBu-t(659.18mg,5.88mmol,2.5eq)、THF(40mL)を0°Cで0.5時間攪拌して形成した反応液をEtOAc(60mL)で希釈し、飽和食塩水で1回洗浄した。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc(v/v)=5/1)にかけて単離し、白色固体としてI-2aを得た(300.00mg,収率27.0%)。LC-MS MS-ESI(m/z)472.1[M+H]+。
【0132】
中間体I-2a-1である5-(tert-ブチル)2-メチル1-メチル-d
3-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2,5-ジカルボン酸エステルの別の調製方法
【化16】
市販のI-2a-1-1(15.85g,100.0mmol,1.0eq)をイソプロパノール(150mL)に溶解させ、K
2CO
3(41.46g,300.0mmol,3.0eq)を加え、氷浴で冷却し、重水素化メチルアミン塩酸塩I-2a-1-2(10.57g,150.0mmol,1.5eq)をバッチで加え、室温下で2時間機械的に攪拌した。反応液を水(150mL)で希釈し、DCMで抽出し(150mL×3)、飽和NaHCO
3水で1回洗浄した。有機相を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮して黄色固体としてをI-2a-1-3得(12.50g,収率80%)、そのままに次の反応に使用した。LC-MS MS-ESI(m/z)157.1[M+H]
+。
【0133】
I-2a-1-3(9.50g,80.0mmol,1.0eq)をメタノール(100mL)とギ酸(20mL)の混合溶液に溶解させ、室温下で市販の還元鉄粉(22.34g,400.0mmol,1.5eq)をバッチでゆっくり加え、2時間機械的に攪拌し、吸引濾過し、ろ液をスピン乾燥させ、淡褐色固体としてI-2a-1-4を得(8.50g,収率84.2%)、そのままに次の反応に使用した。LC-MS MS-ESI(m/z)127.1[M+H]+。
【0134】
I-2a-1-4(8.50g,67.36mmol,1.0eq)をオルトギ酸トリエチル(100mL)に懸濁し、ギ酸(1mL)を加え、反応液を100oCに加熱して3時間反応させ、反応液を濃縮して粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH (v/v)=20/1)にかけて単離し、淡黄色固体としてI-2a-1-6を得た(6.40g,収率69.7%)。LC-MS MS-ESI(m/z)137.1[M+H]+。
【0135】
I-2a-1-6(6.40g,47.0mmol,1.0eq)をDCM(20mL)に溶解させ、臭化ベンジル(BnBr)(8.04g,47.0mmol,1.0eq)を加え、室温下で3時間反応させた時、反応液を濃縮して泡沫状固体としてI-2a-1-8を得(15.50g,収率を100%とした)、そのままに次の反応に使用した。LC-MS MS-ESI(m/z)227.1[M+H]+。
【0136】
I-2a-1-8(15.50g,47.0mmol,1.0eq)をメタノール(50mL)に溶解させ、NaBH4(5.33g,141.0mmol,3.0eq)をゆっくり加え、室温下で2時間反応させ、水で希釈し(100mL)、DCMで抽出し(100mL)て得られた有機相を濃縮して透明粘稠油状物としてI-2a-1-9を得、そのままに次の反応に使用した。(16.20g,収率を100%とした)。LC-MS MS-ESI(m/z)231.1[M+H]+。
【0137】
I-2a-1-9(16.20g,47.0mmol,1.0eq)をメタノール(100mL)に溶解させ、ギ酸アンモニウム(29.64g,470.0mmol,10.0eq)及び水酸化パラジウム(20wt%,3.24g)を加え、反応液を80oCに加熱して4時間反応させ、室温まで冷却し、吸引濾過し、ろ液を濃縮して透明粘稠油状物としてI-2a-1-10を得(14.50g,収率を100%とした)、そのままに次の反応に使用した。LC-MS MS-ESI(m/z)141.1[M+H]+。
【0138】
I-2a-1-10(14.50g,47.0mmol,1.0eq)をDCM(80mL)に溶解させ、飽和NaHCO3溶液(60mL)を加え、室温下で16時間反応させ、分液し、有機相を濃縮して粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH (v/v)=20/1)にかけて単離し、透明粘稠油状物としてI-2a-1-11を得た(8.20g,収率72.6%)。LC-MS MS-ESI(m/z)241.2[M+H]+。
【0139】
I-2a-1-11(8.20g,34.1mmol,1.0eq)をTHF(80mL)に溶解させ、反応液をドライアイス/エタノール浴でマイナス70度以下に冷却し、n-ブチルリチウム(2.5M,27.3mL,68.2mmol,2.0eq)を滴下し、滴下完了後、温度を維持して30分間攪拌し続け、反応液にCO2を導入し、30分間反応させ、クエンチのために水を滴下し(5mL)、ゆっくり室温に戻し、有機相を濃縮して粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=7/1)にかけて単離し、淡黄色固体としてI-2a-1-12を得た(4.50g,収率46.4%)。LC-MS MS-ESI(m/z)285.2[M+H]+。
【0140】
I-2a-1-12(4.50g,15.8mmol,1.0eq)をDCM(80mL)に溶解させ、反応液を氷浴で冷却し、DMF(0.1mL)を加え、塩化オキサリル(4.01g,31.6mmol,2.0eq)を滴下し、滴下完了後、室温下で30分間攪拌し、さらに氷塩浴で零度以下に冷却し、反応液にメタノール(10mL)を加え、さらにTEA(5mL)を加え、10分間攪拌し、水で希釈し、分液し、有機相を濃縮して粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=10/1)にかけて単離し、米白色固体としてI-2a-1を得た(3.60g,収率76.2%)。LC-MS MS-ESI(m/z)299.2[M+H]+。
【0141】
中間体I-2a-2である3-ブロモ-2-クロロベンゼン-4,5,6-d
3-アミンの調製
【化17】
市販のI-2a-2-1(25.00g,195.0mmol,1.0eq)、NaBrO
3(29.40g,195.0mmol,1.0eq)を濃硫酸(100mL)と水(100mL)の混合溶媒に加え、40~45°Cで攪拌した後、この温度に維持しながらK
2SO
4(241.00mg,1.39mmol,0.007eq)をゆっくり加え、その後、この反応液をこの温度下で16時間攪拌した。反応が完了したことがHPLCによりモニタリングされた後、、20°CでNa
2CO
3で反応液のpHを7~8に調整した。反応液をEtOAcで抽出し(3000mL×2)て得られた有機相を合わせて飽和食塩水で1回洗浄した。有機相を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮して黄褐色固体としてI-2a-2-2を得た(36.50g,収率90.8%)。
【0142】
I-2a-2-2(36.50g,177.0mmol,1.0eq)、Xantphos(10.30g,17.7mmol,0.1eq)、Cs2CO3(115.00g,354.0mmol,2.0eq)、Pd2(dpa)3(9.73g,10.6mmol,0.06eq)、市販のI-2a-2-3(24.90g,213.0mmol,1.2eq)をトルエン(60mL)に溶解させ、100°Cで16時間攪拌した。反応が完了したことがLC-MSによりモニタリングされた後、反応液を25°Cに冷却して水(1500mL)で希釈し、その後、EtOAcで抽出し(1500mL×3)て得られた有機相を合わせて飽和食塩水で1回洗浄した。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc(v/v)=100/1-90/10)にかけて単離し、黄色固体としてI-2a-2-4を得た(49.50g,粗生成物)。
【0143】
I-2a-2-4(49.50g,204.3mmol,1.0eq)をDCMに溶解させた後、TFA(349.45g,3.06mol,15eq)を加え、この反応液を40°Cで16時間攪拌した。原料が反応したことがTLCによりモニタリングされた後、水で反応をクエンチし、次に1MのNaOHで反応液のpHを9に調整した。反応液をEtOAcで抽出し(1000mL×2)て得られた有機相を合わせて飽和食塩水で1回洗浄した。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc(v/v)=100/1-92/8)にかけて単離し、黄色固体としてI-2a-2-5を得た(18.00g,収率61.9%)。
【0144】
I-2a-2-5(18.00g,127.0mmol,1.0eq)をN-クロロスクシンイミド(NCS,16.9g,127.0mmol,1.0eq)のDMF(50mL)溶液に加え、この反応液を75°Cで1時間攪拌し。反応が完了したことがTLCでモニタリングされた後、水で反応をクエンチした後、反応液をEtOAcで抽出し(100mL)て得られた有機相を合わせて飽和食塩水で洗浄した。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc(v/v)=100/1-90/1)にかけて単離し、黄色固体としてI-2a-2-6を得た(15.50g,収率69.7%)。
【0145】
25°Cで、亜硝酸tert-ブチル(12.8g,124.0mmol,1.5eq)をCuBr2(22.2g,99.2mmol,1.2eq)のアセトニトリル(MeCN,100mL)溶液に加えて形成した混合物を65°Cに昇温した。それに自製のI-2a-2-6(14.5g,82.6mmol,1.0eq)のMeCN(50mL)溶液を加え、この反応液をこの温度下で1時間攪拌した。反応が完了したことがTLCでモニタリングされた後、反応液を25°Cに冷却し、NaHCO3(500mL)水溶液で反応をクエンチし、反応液をEtOAcで抽出し(500mL×2)て得られた有機相を合わせてチオ硫酸ナトリウム水溶液(300mL)及び飽和食塩水(500mL)で洗浄した。有機相を無水MgSO4で乾燥させ、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE/ EtOAc(v/v)=100/1)にかけて単離し、白色固体としてI-2a-2-7を得た(9.30g,収率47.0%)。
【0146】
I-2a-2-7(9.88g,41.3mmol,1.0eq)をエタノール(EtOH,90mL)と水(30mL)の混合溶媒に溶解させ、それにFe粉(6.91g,124mmol,3.0eq)及びHOAc(13.2mL,230mmol,5.6eq)を加え、この反応液を30°Cで16時間攪拌した。反応が完了したことがTLCでモニタリングされた後、5MのNaOHで反応液のpHを7~8に調整し、反応液をさらに水(100mL)で希釈した後、EtOAcで抽出し(200mL)て得られた有機相を合わせて飽和食塩水で洗浄した。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮して黄褐色油としてI-2a-2を得た(8.50g,収率97.8%)。1H-NMR (400MHz,CDCl3)δ ppm 4.18(s,2H).
【0147】
中間体I-3aである2-((3-ブロモ-2-クロロフェニル-4,5,6-d
3)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
【化18】
前記調製したI-2a-2(1.05g,5.0mmol,1.0eq)及びI-2a-1(1.49g,5.0mmol,1.0eq)を無水THF(50mL)に溶解させ、KOBu-t(1.12g,10.0mmol,2.0eq)を加え、N
2保護下で室温下で1時間攪拌し、飽和食塩水で(100mL)反応をクエンチし、EtOAc(80mL)で2回抽出した。有機相を合わせ、無水Na
2SO
4で乾燥させ、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/hexane(v/v)=1/3)にかけて単離し、白色固体としてI-3aを得た(950.00mg,収率39.9%)。LC-MS MS-ESI(m/z)475.1[M+H]
+。
【0148】
中間体I-3a-2である3-ブロモ-2-フルオロベンゼン-4,5,6-d
3-アミンの調製
【化19】
前記調製したI-2a-2-7(21.60g,89.8mmol,1.0eq)、フッ化カリウム(10.40g,178.0mmol,2.0eq)及びフッ化セシウム(13.60g,89.8mmol,1.0eq)をDMF(200mL)に溶解させ、反応液を140°Cで5時間攪拌し、反応が完了したことがLC-MSによりモニタリングされた後た後、反応液を25°Cに冷却して水(100mL)で希釈し、EtOAc(150mL×2)で抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水で5回洗浄して有機相を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE)にかけて単離し、濃縮して得られた化合物をさらに分取HPLC(カラムモデル:Welch Xtimate C18 10μm 250×50mm;移動相:水(1000分の1のアンモニア水+1000分の1の重炭酸アミン)-アセトニトリル;B%:25%~65%,23min)にかけて単離し、濃縮して黄色液体としてI-3a-2-1を得た(14.50g,収率72.4%)。
【0149】
I-3a-2-1(13.00g,58.2mmol,1.0eq)をEtOH(120mL)と水(40mL)の混合溶媒に溶解させ、それに鉄粉(9.80g,174.0mmol,3.0eq)及びHOAc(19.60g,325.0mmol,5.6eq)を加え、反応液を30°Cで16時間攪拌し、反応が完了したことがLC-MSによりモニタリングされた後、吸引濾過し、濃縮した後、この混合物をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc(v/v)=100/1-90/10)にかけて単離し、濃縮して得られた化合物をさらに分取HPLC(カラムモデル:Phenomenex luna C18 10μm 250×80mm;移動相:水(1000分の1の重炭酸アミン)-アセトニトリル;B%:20%-60%,25min)にかけて単離し、濃縮して黄色油状物としてI-3a-2を得た(5.1g,収率44.8%)。1H-NMR (400MHz,DMSO)δ ppm 7.11(s,2H).
【0150】
中間体I-14aである2-((3-ブロモ-2-クロロフェニル-4,5,6-d
3)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
【化20】
白色固体としてI-14aは、市販のI-1a-1(788.32mg,2.67mmol,1.0eq)、前記調製したI-2a-2(560.00mg,2.67mmol,1.0eq)及びKOBu-t(593.91mg,5.53mmol,2.0eq)を使用して中間体I-3aの製造と同様な工程に従って調製した(780.00mg,収率61.9%)。LC-MS MS-ESI (m/z)472.1[M+H]
+。
【0151】
中間体I-4a-2である3-ブロモ-2-メチルベンゼン-4,5,6-d
3-アミンの調製
【化21】
前記調製したI-2a-2-2(11.00g,53.3mmol,1.0eq)をEtOH(120mL)と水(90mL)の混合溶媒に溶解させ、それに鉄粉(17.80g,320.0mmol,6.0eq)及びNH
4Cl(17.10g,320.0mmol,6.0eq)を加え、反応液を60°Cで16時間攪拌し、反応が完了したことがTLCでモニタリングされた後、吸引濾過し、濃縮してEtOAcで洗浄した後(600mL×3)、濃縮して黄色油状物としてI-4a-2-1を得た(45.0g,収率78.0%)。
【0152】
I-4a-2-1(19.00g,107.0mmol,1.0eq)、(1R)-(-)-10-カンファースルホン酸(30.00g,129.0mmol,1.2eq)、亜硝酸tert-ブチル(13.3g,129.0mmol,1.2eq)をTBAB(69.5g,215.0mmol,2.0eq)及びCuBr2(241.00mg,1.08mmol,0.01eq)のアセトニトリル(MeCN,200mL)溶液に加え、この反応混合物を60°Cで3時間攪拌し、反応が完了したことがHPLCによりモニタリングされた後、反応液を濃縮してNaHCO3(500mL)水溶液でpHを8に調整し、反応液をMTBEで抽出し(100mL×3)て得られた有機相を合わせて無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮して粗生成物を得、減圧下で蒸留(146°C,オイルポンプ)した後、黄色液体としてI-4a-2-2を得た(22.00g,収率42.4%)。
【0153】
三口フラスコ中で、I-4a-2-2(7.50g,31.2mmol,1.0eq)及びCH3I(4.88g,34.3mmol,1.1eq)を無水THFに溶解させ、アルゴンガス保護下で、この反応液を-78°Cに冷却してLDA(2M,21.8mL)をゆっくり加え、この温度に維持しながら1時間攪拌した。反応から71%の生成物を得たことがHPLCで検出した後、中性水で反応をクエンチし、その後EtOAcで抽出し(300mL×3)、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮して赤色液体としてI-4a-2-3(8.70g,粗生成物)を得た。
【0154】
I-4a-2-3(7.00g,27.6mmol,1.0eq)、Xantphos(1.60g,2.77mmol,0.1eq)、Cs2CO3(18.00g,55.3mmol,2.0eq)、Pd2(dpa)3(1.52g,1.7mmol,0.06eq)及び市販のI-2a-2-3をトルエン(60mL)に溶解させ、100°Cで16時間攪拌した。反応が完了したことがHPLCによりモニタリングされた後、、反応液を25°Cに冷却して水で希釈した後、EtOAcで抽出し(100mL×2)て得られた有機相を合わせて飽和食塩水で1回洗浄した。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc(v/v)=98/1-2/1)にかけて単離し、黄色固体としてI-4a-2-4を得た(3.80g,47.4%)。
【0155】
I-4a-2-4(3.80g,13.1mmol,1.0eq)をEtOAc(10mL)に溶解させた後、HCl/EtOAc(1.16g,13.1mmol,1.0eq)を加え、この反応液を40°Cで24時間攪拌した。原料反応が完了したことがHPLCによりモニタリングされた後、反応液を吸引濾過し、フィルターケーキをEtOA(10mL)で洗浄し、濃縮して白色固体としてI-4a-2の塩酸塩を得た(2.77g,収率93.4%)。1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ ppm 2.28(s,3H)。
【0156】
中間体I-1bである2-((2-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
【化22】
市販のI-1a-1(1.41g,4.77mmol,1.0eq)及び市販のI-1b-2(1.21g,4.77mmol,1.0eq)を無水THF(30mL)に溶解させ、5分間攪拌した後、KOBu-t(1.61g,14.31mmol,3.0eq)の無水THF(20mL)溶液を加え、周囲温度下で1時間攪拌した。飽和食塩水で(200mL)反応をクエンチし、EtOAc(200mL)で2回抽出した。有機相を合わせ、無水Na
2SO
4で乾燥させ、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-Hep/EtOAc(v/v)=3/1)にかけて単離し、白色固体としてI-1bを得た(2.23g,収率90.5%)。LC-MS MS-ESI(m/z)517.2[M+H]
+。
【0157】
中間体I-2bである2-((2-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)カルバモイル)-1-メチル-d
3-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
【化23】
前記調製したI-2a-1(700.00mg,2.35mmol,1.0eq)、I-1b-2(595.73mg,2.35mmol,1.0eq)、KOBu-t(659.18mg,5.88mmol,2.5eq)、THF(40mL)を0°Cで0.5時間攪拌し、反応液をEtOAc(60mL)で希釈し、飽和食塩水で1回洗浄した。有機相を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE/ EtOAc (v/v) = 5/1)にかけて単離し、白色固体としてI-2bを得た(460.00mg,収率35.0%)。LC-MS MS-ESI(m/z)520.2[M+H]
+。
【0158】
中間体I-3b-2である2-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル-4,5,6-d
3-アミンの調製
【化24】
前記調製したI-2a-2(2.09g,10.0mmol,1.0eq)、ビス(ピナコラト)ジボロン(3.81g,15.0mmol,1.5eq)、Pd(dppf)Cl
2・CH
2Cl
2(408.32mg,0.5mmol,0.05eq)、無水酢酸カリウム(2.94g,30.0mmol,3.0eq)及び1,4-ジオキサン(50mL)の混合液をN
2保護下で100
oCに加熱して3時間攪拌し、周囲温度まで冷却した。反応液を濃縮して粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/hexane(v/v)=1/4)にかけて単離し、白色固体としてI-3b-2を得た(1.83g,収率71.3%)。LC-MS MS-ESI(m/z)257.2[M+H]
+。
【0159】
中間体I-3bである2-((2-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル-4,5,6-d
3)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
【化25】
前記調製したI-3b-2(1.28g,5.0mmol,1.0eq)及びI-2a-1(1.49g,5.0mmol,1.0eq)を無水THF(50mL)に溶解させ、KOBu-t(1.12g,10.0mmol,2.0eq)を加え、N
2保護下で室温下で1時間攪拌し、飽和食塩水で(100mL)反応をクエンチし、EtOAc(80mL)で2回抽出した。有機相を合わせ、無水Na
2SO
4で乾燥させ、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/hexane(v/v)=1/3)にかけて単離し、灰白色固体としてI-3bを得た(660.00mg,収率25.2%)。LC-MS MS-ESI(m/z)523.3[M+H]
+。
【0160】
中間体I-7bである2-((2-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
【化26】
白色固体の中間体I-7bは、市販のI-7b-2(1.00g,4.20mmol,1.0eq)、前記調製した中間体I-2a-1(1.24g,4.20mmol,1.0eq)及びKOBu-t(935.71mg,8.40mmol,2.0eq)を使用して中間体I-3bの製造と同様な工程に従って調製した(1.00g,収率47.2%)。LC-MS MS-ESI(m/z)504.3[M+H]
+。
【0161】
中間体I-9bである1-(メチル-d
3)-2-((2-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
【化27】
白色固体の中間体I-9bは、市販のI-9b-2(1.50g,6.44mmol,1.0eq)、前記調製した中間体I-2a-1(1.90g,4.44mmol,1.0eq)及びKOBu-t(1.44g,12.88mmol,2.0eq)を使用して中間体I-3bの製造と同様な工程に従って調製した(1.80g,収率56.0%)。LC-MS MS-ESI(m/z)500.3[M+H]
+。
【0162】
中間体I-14b-2である2-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル-4,5,6-d
3-アミンの調製
【化28】
白色固体の中間体I-14b-2は、前記調製したI-3a-2(1.00g,5.2mmol,1.0eq)、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.97g,7.77mmol,1.5eq)、Pd(dppf)Cl
2・CH
2Cl
2(409.11mg,0.5mmol,0.1eq)、無水酢酸カリウム(1.52g,30.2mmol,3.0eq)を使用して中間体I-3b-2の製造と同様な工程に従って調製した(880.00mg,収率70.5%)。LC-MS MS-ESI(m/z)241.2[M+H]
+。
【0163】
中間体I-14bである2-((2-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル-4,5,6-d
3)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
【化29】
白色固体である中間体I-14bは、前記調製した中間体I-14b-2(880.00mg,3.65mmol,1.0eq)、市販の中間体I-1a-1(1.08g,3.65mmol,1.0eq)及びKOBu-t(813.66mg,7.30mmol,2.0eq)を使用して中間体I-3aの製造と同様な工程に従って調製した(1.00g,収率54.4%)。LC-MS MS-ESI(m/z)504.3[M+H]
+。
【0164】
中間体I-1dである2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)アセトアルデヒドの調製
【化30】
市販のI-1d-1(300.0g,1.31mol,1.0eq)をTHF(2.5L)に溶解させ、窒素保護下で反応液を0°Cに冷却し、BH
3-Me
2S(1.57mol,157.0mL,1.2eq)を滴下した。滴下後、反応液を20°Cまで自然昇温し、16時間攪拌した。TLCにより反応が完了したことが示された後、反応液を0°Cに冷却し、MeOH(500mL)を滴下して反応をクエンチした。滴下後、反応液をそのまま濃縮して乾固して無色油状物としてI-1d-2を得た(280.00g,収率99.4%)。
1H-NMR (400MHz,CDCl
3)δ ppm 4.48(t,J=5.5hz,1H),3.82(s,2H),3.32(s,6H),1.81(d,2H),1.32-1.58(m,10H).
【0165】
I-1d-2(20.00g,93.3mmol,1.0eq)をDMF(150mL)に溶解させ、酸化銀(Ag2O,64.88g,280.0mmol,3.0eq)及び重水素化ヨードメタン(CD3I,50.00g,344.9mmol,3.7eq)を加え、添加完了後、CD3Iの流出を防ぐために風船で覆い、20°Cで32時間攪拌した。気相モニタリングにより原料反応が30%残ることが示された時に、反応液をろ過して不溶物を除去し、ろ液に水(150mL)を加え、メチル-tert-ブチルエーテル(MTBE,300mL×2)で抽出し、飽和食塩水(100mL×3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧下で離溶し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-Hep/ EtOAc (v/v)=100/1~30/1)にかけて単離し、黄色油状物としてI-1d-3を得た(14.00g,収率64.8%)。1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ ppm 4.47 (t, J = 5.5hz,1H),3.42 (s,2H),3.31 (s,6H),1.81 (d, J = 5.5hz,2H),1.22-1.60 (m,10H)。
【0166】
I-1d-3(14.00g,60.5mmol,1.0eq)をアセトン(アセトン,50mL)に溶解させ、3Mの塩酸(60.52mL,3.0eq)を加えた。反応液を20°Cで16時間攪拌した。TLCにより反応が完了したことが示された後、濃縮してアセトンを除去し、さらに水を加えた後、MTBE(100mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-Hep/ EtOAc (v/v)=100/1~30/1)にかけて単離し、無色液体としてI-1dを得た(7.47g,66.6%)。1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ ppm 9.81 (t,1H),3.43 (s,2H),2.57 (d,2H),1.35-1.65 (m,10H).
【0167】
中間体I-2dである2-(4-((メトキシ)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)アセトアルデヒドの調製
【化31】
市販のI-2d-1(300.00g,1.31mol,1.0eq)をTHF(2.5L)に溶解させ、窒素保護下で反応液を0°Cに冷却し、ボラン-ジメチルスルフィド錯体(1.57mol,157mL,1.2eq)を滴下した。滴下後、反応液を20°Cまで自然昇温し、16時間攪拌した。TLCにより反応が完了したことが示された後、反応液を0°Cに冷却し、MeOH(500mL)を滴下して反応をクエンチした。滴下後、反応液をそのまま濃縮乾固して無色油状物としてI-2d-2(280.00g,収率99.4%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl
3) δ ppm 4.48 (t, J = 5.5hz,1H),3.82 (s,2H),3.32 (s,6H),1.81 (d,2H),1.32-1.58 (m,10H).
【0168】
I-2d-2(5.00g,23.33mmol,1.0eq)をN,N’-ジメチルホルムアミド(50mL)に溶解させ、それにヨードメタン(33.12g,233.30mmol,10.0eq)及びAg2O(16.22g,70.00mmol,3.0eq)を順次加えた。反応液を20°Cで16時間攪拌した。TLCにより少量の原料が残り、主な点が生成したことが示された。反応液を水(50mL)に注ぎ、MTBE(50mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(30mL×3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-Hep/ EtOAc(v/v)= 100/1~10/1)にかけて単離し、無色油状物としてI-2d-3(4.50g,収率84.5%)を得た。1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ ppm 4.47 (t, J = 5.5hz,1H),3.37 (s,3H),3.42 (s,2H),3.30 (s,6H),1.82 (d, J = 5.5hz,2H),1.22-1.60 (m,10H).
【0169】
I-2d-3(4.50g,19.71mmol,1.0eq)をアセトン(40mL)に溶解させ、2Mの塩酸(29.56mL,3.0eq)を加えた。反応液を25°Cで4時間攪拌した。TLCにより反応が完了したことが示された後、濃縮してアセトンを除去し、さらに水(30mL)を加え、MTBE(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-Hep/ EtOAc (v/v)= 100/1~10/1)にかけて単離し、無色液体としてI-2d(2.31g,収率64.3%)を得た。1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ ppm 9.81 (t,1H),3.43 (s,2H),3.41 (s,3H),2.56(d,2H),1.39-1.68(m,10H)。
【実施例】
【0170】
実施例1
4-(2-(2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸I-1
【化32】
【0171】
中間体I-1cである2-((2,2’-ジクロロ-3’-(1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
2-((3-ブロモ-2-クロロフェニル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルI-1a(530.0mg,1.13mmol,1.0eq)をDCM(10mL)に溶解させ、TFA(10mL)を加え、周囲温度下で1時間攪拌した。反応液を濃縮して得られた残留物を1,4-ジオキサン(10mL)に溶解させ、2-((2-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルI-1b(583.08mg,1.13mmol,1.0eq)、PdCl2(dcypf)(83.05mg,0.11mmol,0.1eq)、無水Na2CO3(359.34mg,3.39mmol,3.0eq)及び水(5mL)を加え、得られた混合液をマイクロ波で110°Cに加熱して1時間反応させ、周囲温度まで冷却した。水(100mL)で反応をクエンチし、DCM(100mL)で3回抽出し、有機相を合わせ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=10/1)にかけて単離し、黄色固体としてI-1cを得た(363.0mg,収率47.3%)。LC-MS MS-ESI(m/z)679.2[M+H]+。
【0172】
中間体I-1hである2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
I-1c(2.40g,3.53mmol,1.0eq)をDCM(60mL)に溶解させ、TEA(3mL)及び4-(2-オキソエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸メチルI-1f(1.04g,5.29mmol,1.5eq)を加え、得られた混合液を周囲温度下で1時間攪拌した後、NaBH(OAc)3(4.49g,21.18mmol,6.0eq)を加えて16時間攪拌した。反応液を飽和NaHCO3溶液でクエンチし、DCM/MeOH(10/1,300mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=20/1)にかけて単離し、黄色固体としてI-1hを得た(2.76g,収率92.1%)。LC-MS MS-ESI(m/z)859.3[M+H]+。
【0173】
中間体I-1iである4-(2-(2-((3’-(5-(tert-ブトキシカルボニル基)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2,2’-ジクロロ-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸の調製
THF(300mL)に溶解した中間体I-1h(2.67g,3.11mmol,1.0eq)を、水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O,2.61g,62.20mmol,20.0eq)の水(300mL)溶液に一括的に加え、得られた混合液を周囲温度下で16時間攪拌した。濃縮してTHFを除去した後、1M希塩酸でpHを5~6に調整した。固体をろ過して収集し、加熱乾燥させて淡黄色固体としてI-1iを得た(1.84g,収率69.9%)。LC-MS MS-ESI(m/z) 845.3[M+H]+。
【0174】
化合物I-1である4-(2-(2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸の調製
DCM(30mL)に溶解した中間体I-1i(1.84g,2.17mmol,1.0eq)をTFA(30mL)に加え、得られた溶液を周囲温度下で1時間攪拌した。反応液を濃縮して得られた残留物をDCM(60mL)に溶解させ、再度濃縮して得られた黄色固体をそのままに次の段階に使用した。得られたトリフルオロ酢酸塩をDCM(60mL)に溶解させ、それにTEA(3mL)及び2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)アセトアルデヒドI-1d(602.23mg,3.25mmol,1.5eq)を加えた。得られた混合液を周囲温度下で1時間攪拌した後、NaBH(OAc)3(2.76g,13.02mmol,6.0eq)を加え、16時間攪拌した。反応液を飽和NaHCO3溶液でクエンチし、DCM/MeOH(10/1,300mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH (v/v)=15/1)にかけて単離し、類白色固体としてI-1を得た(1.24g,収率62.4%)。LC-MS MS-ESI (m/z) 914.5 [M+H]+。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 12.00 (s,1H), 9.90 (s,2H),8.37 (d, J = 8.2hz,2H),7.49 (t, J = 7.9 Hz,2H),7.14 (d, J = 7.5hz,2H),3.90 (s,6H),3.46-3.43 (m,4H),3.32 (s,2H),2.80 (s,4H),2.68 (s,4H),2.58 (s,4H),1.88-1.81 (m,2H),1.73-1.69 (m,4H),1.57-1.21 (m,16H),1.12 (s,2H).
【0175】
実施例2
4-(2-(2-((2-クロロ-2’-フルオロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸I-2
【化33】
【0176】
化合物I-2である4-(2-(2-((2-クロロ-2’-フルオロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸の調製
淡黄色固体I-2は、中間体4-(2-(2-((3’-(5-(tert-ブトキシカルボニル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-クロロ-2’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸I-2i(400.00mg,0.48mmol,1.0eq,その合成については中間体I-1iの製造方法を参照のこと)、TFA(5mL),TEA(1mL),2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)アセトアルデヒドI-1d(133.20mg,0.72mmol,1.5eq)及びNaBH(OAc)3(610.56mg,2.88mmol,6.0eq)を使用して化合物I-1の製造と同様な工程に従って調製した(95.00mg,収率22.0%)。LC-MS MS-ESI(m/z)898.5[M+H]+。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 9.93 (s,1H), 9.78 (s,1H),8.34 (d,J = 8.3hz,1H),8.07 (t, J = 7.3hz,1H),7.48 (t, J = 7.9 Hz,1H),7.31 (t, J = 7.9 Hz,1H),7.21 (d, J = 7.5hz,1H),7.16 (t, J = 6.7 Hz,1H),3.89 (s,3H),3.87 (s,3H),3.41-3.39 (m,4H),3.32 (s,2H),2.78-2.71 (m,4H),2.68-2.60 (m,4H),2.56-2.51 (m,4H),1.90-1.81 (m,2H),1.72-1.69 (m,4H),1.59-1.19 (m,16H),1.11 (s,2H)。
【0177】
実施例3
4-(2-(2-((2’-クロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸I-3
【化34】
【0178】
化合物I-3である4-(2-(2-((2’-クロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸の調製
淡黄色固体I-3は、中間体4-(2-(2-((3’-(5-(tert-ブトキシカルボニル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2’-クロロ-2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸I-3i(400.00mg,0.48mmol,1.0eq,その合成については中間体I-1iの製造方法を参照のこと)、TFA(5mL),TEA(1mL),2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)アセトアルデヒドI-1d(133.2mg,0.72mmol,1.5eq)及びNaBH(OAc)3(610.56mg,2.88mmol,6.0eq)を使用して化合物I-1の製造と同様な工程に従って調製した(71.00mg,収率16.5%)。LC-MS MS-ESI (m/z)894.5[M+H]+。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.90 (s,1H),9.73 (s,1H),8.34 (d, J = 7.1hz,1H),7.73 (d, J = 7.9 Hz,1H),7.45 (t, J = 7.9 Hz,1H),7.29 (t, J = 7.8 Hz,1H),7.06 (d, J = 6.5hz,1H),7.00 (d, J = 7.5hz,1H),3.89 (s,3H),3.86 (s,3H),3.40 (d, J = 3.8 Hz,4H),3.32 (s,2H),2.79-2.70 (m,4H),2.68-2.61 (m,4H),2.56-2.50 (m,4H),1.98 (s,3H),1.91-1.80 (m,2H),1.73-1.67 (m,4H),1.58-1.17 (m,16H),1.11 (s,2H)。
【0179】
実施例4
4-(2-(2-((2-クロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸I-4
【化35】
【0180】
化合物I-4である4-(2-(2-((2-クロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸の調製
淡黄色固体I-4は、中間体4-(2-(2-((3’-(5-(tert-ブトキシカルボニル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-クロロ-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸I-4i(400.00mg,0.48mmol,1.0eq,合成については参照中間体I-1iの製造方法を参照のこと)、TFA(5mL),TEA(1mL),2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)アセトアルデヒドI-1d(133.2mg,0.72mmol,1.5eq)及びNaBH(OAc)3(610.56mg,2.88mmol,6.0eq)を使用して化合物I-1の製造と同様な工程に従って調製した(64.00mg,収率14.9%)。LC-MS MS-ESI (m/z) 894.5[M+H]+。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.90 (s,1H), 9.72 (s,1H),8.35 (dd, J = 8.2,1.4hz,1H),7.73 (d, J = 7.8 Hz,1H),7.45 (t, J = 7.9 Hz,1H),7.29 (t, J = 7.8 Hz,1H),7.06 (dd, J = 7.6,1.5hz,1H),7.00 (d, J = 7.6hz,1H),3.89 (s,3H),3.86 (s,3H),3.40 (s,4H),3.32 (s,2H),2.78-2.70 (m,4H),2.69-2.60 (m,4H),2.56-2.50 (m,4H),1.98 (s,3H),1.91-1.80 (m,2H),1.71-1.67 (m,4H),1.58-1.19 (m,16H),1.12 (s,2H).
【0181】
実施例5
4-(2-(2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸I-5
【化36】
【0182】
中間体I-2cである2-((2,2’-ジクロロ-3’-(1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
DCM(10mL)に溶解した2-((3-ブロモ-2-クロロフェニル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルI-2a(1.10g,2.33mmol,1.0eq)をTFA(10mL)に加え、周囲温度下で30分間攪拌した。反応液を濃縮して得られた残留物を1,4-ジオキサン(10mL)に溶解させ、2-((2-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルI-2b(950.00mg,1.82mmol,1.0eq)、PdCl2(dcypf)(137.51mg,0.18mmol,0.1eq)、無水Na2CO3(866.40mg,8.19mmol,4.5eq)及び水(5mL)を加え、中間体I-1cの調製と同様な工程に従って調製して白色固体としてI-2cを得た(620.00mg,収率49.7%)。LC-MS MS-ESI(m/z)685.4[M+H]+。
【0183】
中間体I-2hである2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
DCM(20mL)に溶解したI-2c(620.00mg,0.89mmol,1.0eq)にTEA(1mL)及び4-(2-オキソエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸メチルI-1f(350.80mg,1.78mmol,2.0eq)を加え、得られた混合液を周囲温度下で30分間攪拌した後、NaBH(OAc)3(954.00mg,4.50mmol,5.0eq)を加え、中間体I-1hの調製と同様な工程に従って調製して白色固体としてI-2hを得た(490.00mg,収率63.6%)。LC-MS MS-ESI(m/z)865.4[M+H]+。
【0184】
中間体I-2iである4-(2-(2-((3’-(5-(tert-ブトキシカルボニル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2,2’-ジクロロ-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸の調製
LiOH・H2O(239.40mg,5.70mmol)を秤量し、水(20mL)に溶解させた。中間体I-2h(490.00mg,0.57mmol,1.0eq)をTHF(20mL)に溶解させてから上記水酸化リチウム溶液を加え、室温下で一晩攪拌した。濃縮してTHFを除去し、1M希塩酸でpHを5~6に調整し、EtOAc(30mL)で2回抽出した。有機相を合わせ、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮して中間体I-2iを得た(300.00mg,収率57.2%)。LC-MS MS-ESI(m/z)920.6[M+H]+。
【0185】
化合物I-5である4-(2-(2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸の調製
DCM(5mL)に溶解した中間体I-2i(200.00mg,0.22mmol,1.0eq)をTFA(5mL)に加え、得られた溶液を周囲温度下で30分間攪拌した。反応液を濃縮して得られた残留物をDCMに溶解させ、再度濃縮して得られた黄色固体をそのままに次の段階に使用した。得られたトリフルオロ酢酸塩をDCMに溶解させ、それにTEA(1mL)及び2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)アセトアルデヒドI-1d(119.90mg,0.44mmol,2.0eq)を加えた。得られた混合液を周囲温度下で1時間攪拌し後、NaBH(OAc)3(237.01mg,1.10mmol,5.0eq)を加え、16時間攪拌した。反応液を水でクエンチし、有機相を分離し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物を分取TLC(DCM/MeOH(v/v)=10/1)にかけて単離し、I-5を得た(105.00mg,収率51.8%)。LC-MS MS-ESI (m/z) 920.5 [M+H]+。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.89 (s,2H),8.38 (d, J = 7.5hz,2H),7.48 (t, J = 7.9 Hz,2H),7.14 (dd, J = 7.6hz,1.4hz,2H),3.46-3.38 (m,4H),3.32 (s,2H),2.77-2.71 (m,4H),2.69-2.59 (m,4H),2.56-2.51 (m,4H),1.91-1.80 (m,2H),1.76-1.64 (m,4H),1.57-1.18 (m,16H),1.12(s,2H).
【0186】
実施例6
4-(2-(2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸I-6
【化37】
【0187】
化合物I-6である4-(2-(2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸の調製
中間体I-2i(100.00mg,0.11mmol,1.0eq)をDCM(5mL)に溶解させ、TFA(5mL)を一度に加え、室温下で30分間攪拌し、反応液をスピン乾燥させて得られた淡黄色透明油状物をDCMに溶解させ、TEA(1mL)及び2-(4-((メトキシ)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)アセトアルデヒドI-2d(60.00mg,0.22mmol,2eq)を加え、室温下で30分間攪拌し、NaBH(OAc)3(166.5mg,0.55mmol,5.0eq)を加え、化合物I-5の調製と同様な工程に従って調製して化合物I-6を得た(50.00mg,収率49.5%)。LC-MS MS-ESI (m/z) 917.5 [M+H]+。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.89 (s,2H),8.38 (d, J = 7.8 Hz,2H),7.48 (t, J = 7.9 Hz,2H),7.14 (d, J = 6.5hz,2H),3.38-3.43 (m,4H),3.32 (s,2H),3.23 (s,3H),2.79-2.70 (m,4H),2.69-2.59 (m,4H),2.56-2.51 (m,4H),1.91-1.80 (m,2H),1.76-1.64 (m,4H),1.57-1.20 (m,16H),1.11 (s,2H).
【0188】
実施例7
4-(2-(2-((2-クロロ-2’-フルオロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸I-7
【化38】
【0189】
中間体I-7cである2-((2’-クロロ-2-フルオロ-3’-(1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
DCM(10mL)に溶解した2-((3-ブロモ-2-クロロフェニル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルI-2a(718.7mg,1.52mmol,1.0eq)をTFA(10mL)に加え、周囲温度下で30分間攪拌した。反応液を濃縮して得られた残留物を1,4-ジオキサン(10mL)に溶解させ、自製の2-((2-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルI-7b(766.54mg,1.52mmol,1.0eq)、PdCl2(dcypf)(114.59mg,0.152mmol,0.1eq)、無水Na2CO3(722.00mg,6.80mmol,4.5eq)を加え、中間体I-1cの調製と同様な工程に従って調製してI-7cを得た(625.00mg,収率59.2%)。LC-MS MS-ESI(m/z)669.3[M+H]+。
【0190】
中間体I-7hである2-((2’-クロロ-2-フルオロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
DCM(20mL)に、I-7c(625.00mg,0.94mmol,1.0eq)を溶解させ、TEA(1mL)及び4-(2-オキソエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸メチルI-1f(370.50mg,1.88mmol,2.0eq)を加え、得られた混合液を周囲温度下で30分間攪拌した後、NaBH(OAc)3(996.00mg,4.7mmol,5.0eq)を加え、中間体I-1hの調製と同様な工程に従って調製して黄色固体としてI-7hを得た(600.00mg,収率75.1%)。LC-MS MS-ESI(m/z)849.4[M+H]+。
【0191】
中間体I-7iである4-(2-(2-((3’-(5-(tert-ブトキシカルボニル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-クロロ-2’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸の調製
黄色の中間体I-7iは、中間体I-7h(600.00mg,0.71mmol,1.0eq)及びLiOH・H2O(314.77mg,7.10mmol))を使用して中間体I-2iの製造と同様な工程に従って調製した(450.00mg,収率75.9%)。LC-MS MS-ESI(m/z)835.4[M+H]+。
【0192】
化合物I-7である4-(2-(2-((2-クロロ-2’-フルオロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸の調製
白色化合物I-7は、中間体I-7i(225mg,0.27mmol,1.0eq)、TFA(5mL)、TEA(1mL)、2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)アセトアルデヒドI-1d(147.15mg,0.54mmol,2.0eq)及びNaBH(OAc)3(290.88mg,1.35mmol,5.0eq)を使用して化合物I-5の製造と同様な工程に従って調製した(120.00mg,収率49.1%)。LC-MS MS-ESI (m/z)904.5 [M+H]+。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.94 (s,1H), 9.79 (s,1H),8.34 (d, J = 8.0 Hz,1H),8.06 (t, J = 7.4hz,1H),7.49 (t, J = 7.9 Hz,1H),7.31 (t, J = 7.9 Hz,1H),7.21 (d, J = 7.5hz,1H),7.16 (t, J = 6.8 Hz,1H),3.45-3.36 (m,4H),3.32 (s,2H),2.77-2.71 (m,4H),2.69-2.59 (m,4H),2.57-2.52 (m,4H),1.91-1.80 (m,2H),1.76-1.64 (m,4H),1.58-1.19 (m,16H),1.12 (s,2H).
【0193】
実施例8
4-(2-(2-((2-クロロ-2’-フルオロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸I-8
【化39】
【0194】
化合物I-8である4-(2-(2-((2-クロロ-2’-フルオロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸の調製
白色の化合物I-8は、中間体I-7i(225.00mg,0.27mmol,1.0eq)、TFA(5mL)、TEA(1mL)、2-(4-((メトキシ)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)アセトアルデヒドI-2d(143.05mg,0.54mmol,2.0eq)及びNaBH(OAc)3(290.88mg,1.35mmol,5.0eq)を使用して化合物I-5の製造と同様な工程に従って調製した(120.00mg,収率50.1%)。LC-MS MS-ESI (m/z)901.5[M+H]+。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.93 (s,1H), 9.79 (s,1H),8.34 (d, J = 8.2hz,1H),8.06 (t, J = 7.8 Hz,1H),7.49 (t, J = 8.0 Hz,1H),7.31 (t, J = 7.7 Hz,1H),7.21 (d, J = 7.3hz,1H),7.16 (t, J = 6.8 Hz,1H),3.44-3.38 (m,4H),3.33 (s,2H),3.23 (s,3H),2.77-2.71 (m,4H),2.69-2.61 (m,4H),2.56-2.51 (m,4H),1.91-1.80 (m,2H),1.76-1.64 (m,4H),1.61-1.20(m,16H),1.12(s,2H).
【0195】
実施例9
4-(2-(2-((2-クロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸I-9
【化40】
【0196】
中間体I-9cである2-((2’-クロロ-2-メチル-3’-(1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
黄色固体の中間体I-9cは、I-2a(1.34g,3.60mmol,1.0eq)、中間体I-9b(1.80g,3.60mmol,1.0eq)、PdCl2(dcypf)(271.40mg,0.36mmol,0.1eq)、無水Na2CO3(1.72g,16.2mmol,4.5eq)を使用して中間体I-1cの製造と同様な工程に従って調製した(1.40g,収率58.5%)。LC-MS MS-ESI(m/z)665.3[M+H]+。
【0197】
中間体I-9hである2-((2’-クロロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
黄色の中間体I-9hは、中間体I-9c(700.00mg,1.05mmol,1.0eq)、4-(2-オキソエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸メチルI-1f(414.70mg,2.10mmol,2.0eq)、TEA(1mL)及びNaBH(OAc)3(1.12g,5.3mmol,5.0eq)を使用して中間体I-1hの製造と同様な工程に従って調製した(650.00mg,収率73.2%)。LC-MS MS-ESI(m/z)845.4[M+H]+。
【0198】
中間体I-9iである4-(2-(2-((3’-(5-(tert-ブトキシカルボニル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-クロロ-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸の調製
黄色中間体I-9iは、中間体I-9h(650.00mg,0.77mmol,1.0eq)及びLiOH・H2O(340.86mg,7.70mmol)を使用して中間体I-2iの製造と同様な工程に従って調製した(460.00mg,収率71.9%)。LC-MS MS-ESI(m/z)831.4[M+H]+。
【0199】
化合物I-9である4-(2-(2-((2-クロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸の調製
白色の化合物I-9は、中間体I-9i(230.00mg,0.28mmol,1.0eq)、TFA(5mL)、TEA(1mL)、2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)アセトアルデヒドI-1d(153.35mg,0.56mmol,2.0eq)及びNaBH(OAc)3(310.28mg,1.40mmol,5.0eq)を使用して化合物I-5の製造と同様な工程に従って調製した(125.00mg,収率49.6%)。LC-MS MS-ESI (m/z) 900.5 [M+H]+。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.90 (s,1H), 9.72 (s,1H),8.34 (dd, J = 8.2,1.3hz,1H),7.73 (d, J = 7.9 Hz,1H),7.45 (t, J = 7.9 Hz,1H),7.29 (t, J = 7.8 Hz,1H),7.06 (dd, J = 7.6,1.4hz,1H),7.00 (d, J = 7.4hz,1H),3.42-3.38 (m,4H),3.32 (s,2H),2.77-2.70 (m,4H),2.68-2.60 (m,4H),2.55-2.50 (m,4H),1.98 (s,3H),1.91-1.80 (m,2H),1.76-1.65 (m,4H),1.57-1.21 (m,16H),1.12 (s,2H).
【0200】
実施例10
4-(2-(2-((2-クロロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2’-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸I-10
【化41】
【0201】
白色の化合物I-10は、中間体I-9i(230.00mg,0.28mmol,1.0eq)、TFA(5mL)、TEA(1mL)、2-(4-((メトキシ)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)アセトアルデヒドI-2d(151.12mg,0.56mmol,2.0eq)、及びNaBH(OAc)3(310.28mg,1.40mmol,5.0eq)を使用して化合物I-5の製造と同様な工程に従って調製した(124.00mg,収率49.3%)。LC-MS MS-ESI(m/z)897.5[M+H]+。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6) δ ppm 9.90 (s,1H), 9.73 (s,1H),8.34 (d, J = 6.9 Hz,1H),7.72 (d, J = 8.2hz,1H),7.45 (t, J = 7.9 Hz,1H),7.30 (t, J = 8.0 Hz,1H),7.06 (dd, J = 7.6,1.4hz,1H),7.00 (d, J = 7.7 Hz,1H),3.44-3.37 (m,4H),3.33 (s,2H),3.24 (s,3H),2.79-2.70 (m,4H),2.69-2.60 (m,4H),2.56-2.51 (m,3H),1.98 (s,3H),1.91-1.80 (m,2H),1.74-1.65 (m,4H),1.57-1.21 (m,16H),1.12 (s,2H).
【0202】
実施例11
4-(2-(2-((2’-クロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸I-11
【化42】
【0203】
中間体I-11eである2-((2’-クロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
中間体I-9c(350.00mg,0.53mmol,1.0eq)及び2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)アセトアルデヒドI-1d(194.60mg,1.05mmol,2.0eq)をDCM(20mL)に溶解させ、TEA(1mL)を加え、室温下で30分間攪拌し、NaBH(OAc)3(560.00mg,2.7mmol,5.0eq)を加え、室温下で一晩反応させた。水(20mL)で反応をクエンチし、分離した有機相をスピン乾燥させて粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH (v/v)=20/1)にかけて単離し、中間体I-9eを得た(325.00mg,収率74.2%)。LC-MS MS-ESI(m/z)834.5[M+H]+。
【0204】
中間体I’-11である4-(2-(2-((2’-クロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸メチルの調製
DCM(5mL)に溶解した中間体I-9e(325.00mg,0.39mmol,1.0eq)をTFA(5mL)に一括的に加え、室温下で30分間攪拌し、反応液をスピン乾燥させて得られた淡黄色透明油状物をDCMに溶解させ、TEA(1mL)及び4-(2-オキソエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸メチルI-1f(212.55mg,0.77mmol,2.0eq)を加え、室温下で30分間攪拌し、NaBH(OAc)3(420.14mg,1.95mmol,5.0eq)を加え、室温下で一晩反応させた。水(20mL)で反応をクエンチし、有機相を分離し、乾燥させてスピン乾燥させ、粗生成物を分取TLC(DCM/MeOH(v/v)=10/1)にかけて単離し、中間体I’-11を得た(210.00mg,収率58.9%)。LC-MS MS-ESI(m/z)914.5[M+H]+。
【0205】
化合物I-11である4-(2-(2-((2’-クロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸の調製
LiOH・H2O(95.82mg,2.3mmol)を秤量して水(10mL)に溶解させてLiOH・H2O溶液を得た。THF(10mL)に溶解した中間体I’-11(210.00mg,0.23mmol,1.0eq)をLiOH・H2O溶液に加え、室温下で一晩攪拌した。スピン乾燥よりTHFを除去し、水相のpHを弱酸性に調節し、EtOAc(30mL)で2回抽出した。有機相を合わせて無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、粗生成物を得た。この粗生成物を分取TLC(DCM/MeOH(v/v)=10/1)にかけて単離し、化合物I-11を得た(122.00mg,収率58.9%)。LC-MS MS-ESI(m/z)900.5[M+H]+。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.90(s,1H),9.73 (s,1H),8.34(d,J = 8.3hz,1H),7.73 (d, J = 8.1hz,1H),7.45 (t, J = 8.0 Hz,1H),7.30 (t, J = 8.0 Hz,1H),7.06 (d, J = 6.5hz,1H),7.00 (d, J = 7.4hz,1H),3.43-3.37 (m,4H),3.32 (s,2H),2.79-2.70 (m,4H),2.70-2.61 (m,4H),2.56-2.51 (m,4H),1.98 (s,3H),1.92-1.79 (m,2H),1.77-1.65 (m,4H),1.59-1.20 (m,16H),1.12 (s,2H).
【0206】
実施例12
4-(2-(2-((2’-クロロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸I-12
【化43】
【0207】
中間体I-12eである2-((2’-クロロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
DCM(20mL)に溶解した中間体I-9c(350.00mg,0.53mmol,1.0eq)及び2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)アセトアルデヒドI-2d(191.12mg,1.05mmol,2.0eq)をTEA(1mL)に加え、室温下で30分間攪拌し、NaBH(OAc)3(560.00mg,2.7mmol,5.0eq)を加え、室温下で一晩反応させた。水(20mL)で反応をクエンチし、有機相を分離し、乾燥させてスピン乾燥させ、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=20/1)にかけて単離し、中間体I-12eを得た(324.3mg,収率72.6%)。LC-MS MS-ESI(m/z)831.5[M+H]+。
【0208】
中間体I’-12である4-(2-(2-((2’-クロロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸メチルの調製
中間体I-9e(324.03mg,0.39mmol,1.0eq)をDCM(5mL)に溶解させ、TFA(5mL)を一度に加え、室温下で30分間攪拌し、反応液をスピン乾燥させて得られた淡黄色透明油状物をDCMに溶解させ、TEA(1mL)及び4-(2-オキソエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸メチルI-1f(212.55mg,0.77mmol,2.0eq)を加え、室温下で30分間攪拌し、NaBH(OAc)3(420.14mg,1.95mmol,5.0eq)を加え、室温下で一晩反応させた。水(20mL)で反応をクエンチし、有機相を分離し、乾燥させてスピン乾燥させ、粗生成物を分取TLC(DCM/MeOH(v/v)=10/1)にかけて単離し、中間体I’-12を得た(208.00mg,収率58.5%)。LC-MS MS-ESI(m/z)911.5[M+H]+。
【0209】
化合物I-12である4-(2-(2-((2’-クロロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸の調製
LiOH・H2O(100.85mg,2.43mmol)を秤量し、水(10mL)に溶解させ、中間体I’-12(215.00mg,0.24mmol,1.0eq)をTHF(10mL)に溶解させ、さらに上記LiOH・H2O溶液を加え、室温下で一晩攪拌し、THFをスピン乾燥させ、水相でpHを弱酸性に調整し、EtOAc(30mL)で2回抽出した。有機相を合わせ、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮して粗生成物を分取TLC(DCM/MeOH (v/v) = 10/1)にかけて単離し、化合物I-12を得た(10.00mg,収率4.64%)。LC-MS MS-ESI (m/z) 897.5 [M+H]+。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.98 (s,1H), 9.72 (s,1H),8.33 (d, J = 8.2hz,1H),7.72 (d, J = 7.5hz,1H),7.45 (t, J = 7.9 Hz,1H),7.30 (t, J = 7.8 Hz,1H),7.06 (d, J = 7.6hz,1H),7.00 (d, J = 7.4hz,1H),3.44-3.38 (m,4H),3.32 (s,2H),3.24 (s,3H),2.78-2.70 (m,4H),2.68-2.62 (m,4H),2.55-2.51 (m,4H),1.98 (s,3H),1.91-1.79 (m,2H),1.75-1.64 (m,4H),1.56-1.19 (m,16H),1.11 (s,2H).
【0210】
実施例13
4-(2-(2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d
3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d
6)カルバモイル)-1-(メチル-d
3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸I-13
【化44】
【0211】
中間体I-13cである2-((2,2’-ジクロロ-3’-(1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d6)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
2-((3-ブロモ-2-クロロフェニル-4,5,6-d3)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルI-3a(950.00mg,1.99mmol,1.0eq)をDCM(10mL)に溶解させ、TFA(10mL)を加え、周囲温度下で30分間攪拌した。反応液を濃縮して得られた残留物を1,4-ジオキサン(10mL)に溶解させ、2-((2-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル-4,5,6-d3)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルI-3b(660.00mg,1.26mmol,1.0eq)、PdCl2(dcypf)(95.20mg,0.13mmol,0.1eq)、無水Na2CO3(400.60mg,3.78mmol,3.0eq)及び水(5mL)を加え、得られた混合液をマイクロ波で110°Cに加熱して3時間反応させ、周囲温度まで冷却した。反応液を濃縮して粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH (v/v) = 10/1)にかけて単離し、白色固体としてI-13cを得た(420.00mg,収率48.2%)。LC-MS MS-ESI (m/z)691.4[M+H]+。
【0212】
中間体I-13hである2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d6)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
DCM(20mL)に、I-13c(420.00mg,0.60mmol,1.0eq)を溶解させ、TEA(1mL)及び4-(2-オキソエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸メチルI-1f(130.10mg,0.66mmol,1.1eq)を加え、得られた混合液を周囲温度下で30分間攪拌した後、NaBH(OAc)3(636.00mg,3.0mmol,5.0eq)を加え、室温下で一晩反応させた。水(20mL)で反応をクエンチし、有機相を分離してスピン乾燥させることにより粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH (v/v)=20/1)にかけて単離し、黄色固体としてI-13hを得た(390.00mg,収率73.7%)。LC-MS MS-ESI(m/z)871.5[M+H]+。
【0213】
中間体I’-13である4-(2-(2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d6)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸メチルの調製
DCM(5mL)に溶解した中間体I-13h(390.00mg,0.44mmol,1.0eq)をTFA(5mL)に一括的に加え、室温下で30分間攪拌し、反応液をスピン乾燥させて淡黄色透明油状物を得た。この淡黄色透明油状物をDCM/MeOH(v/v,10/1)に溶解させ、TEA(1mL)及び4-(2-オキソエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸メチルI-1f(99.45mg,0.53mmol,1.2eq)を加え、室温下で30分間攪拌し、NaBH(OAc)3(474.13mg,2.23mmol,5.0eq)を加え、室温下で一晩反応させた。水(20mL)で反応をクエンチし、有機相を分離してスピン乾燥させることにより粗生成物を得た。この粗生成物を分取TLC(DCM/MeOH(v/v)=20/1)にかけて単離し、中間体I’-13を得た(140.00mg,収率33.2%)。LC-MS MS-ESI(m/z)940.6[M+H]+。
【0214】
化合物I-13である4-(2-(2-((2,2’-ジクロロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-(メチル-d3)-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d6)カルバモイル)-1-(メチル-d3)-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸の調製
LiOH・H2O(210.00mg,5.00mmol)を秤量し、水(50mL)に溶解させ、溶液に調製した。THF(20mL)に溶解した中間体I’-13(140.00mg,0.14mmol,1.0eq)を上記LiOH・H2Oの溶液(20mL)を加え、室温下で一晩攪拌し、THFを濃縮して水相のpHを弱酸性に調整し、白色固体を析出させ、吸引濾過し、加熱乾燥させてI-13を得た(84.00mg,収率60.9%)。LC-MS MS-ESI (m/z) 926.6 [M+H]+。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.89 (s,2H),3.42-3.30 (m,6H),2.79-2.70 (m,4H),2.69-2.62 (m,4H),2.55-2.51 (m,4H),1.90-1.79 (m,2H),1.75-1.66 (m,4H),1.56-1.43 (m,8H),1.40 (s,2H),1.36-1.22 (m,6H),1.11 (s,2H).
【0215】
実施例14
4-(2-(2-((2-クロロ-2’-フルオロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d
3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d
6)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸I-14
【化45】
【0216】
中間体I-14cである2-((2’-クロロ-2-フルオロ-3’-(1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d6)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチルの調製
黄色の中間体I-14cは、中間体I-14a(780.0mg,1.65mmol,1.0eq)、中間体I-14b(766.78mg,1.52mmol,1.0eq)、PdCl2(dcypf)(114.62mg,0.15mmol,0.1eq)、無水Na2CO3(724.00mg,6.8mmol,4.5eq)を使用して中間体I-1cの製造と同様な工程に従って調製した(625.65mg,収率59.2%)。LC-MS MS-ESI(m/z)669.3[M+H]+。
【0217】
中間体I-14hである2-((2’-クロロ-2-フルオロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d6)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-カルボン酸tert-ブチル
黄色の中間体I-14hは、中間体I-14c(625.65mg,0.94mmol,1.0eq)、市販の4-(2-オキソエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸メチルI-1f(370.80mg,1.88mmol,2.0eq)、TEA(1mL)及びNaBH(OAc)3(996.7mg,4.7mmol,5.0eq)を使用して中間体I-1hの製造と同様な工程に従って調製した(601.08mg,収率75.1%)。LC-MS MS-ESI(m/z)849.4[M+H]+。
【0218】
中間体I-14iである4-(2-(2-((3’-(5-(tert-ブトキシカルボニル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-2-クロロ-2’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d6)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸
黄色の中間体I-14iは、中間体I-9h(601.08mg,0.71mmol,1.0eq)及びLiOH・H2O(315.86mg,7.10mmol)を使用して中間体I-2iの製造と同様な工程に従って調製した(451.32mg,収率75.9%)。LC-MS MS-ESI(m/z)835.4[M+H]+。
【0219】
化合物I-14である4-(2-(2-((2-クロロ-2’-フルオロ-3’-(5-(2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d6)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸の調製
白色の化合物I-14は、中間体I-14i(225.00mg,0.27mmol,1.0eq)、TFA(5mL),TEA(1mL)、2-(4-((メトキシ-d3)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)アセトアルデヒドI-1d(147.15mg,0.54mmol,2.0eq)及びNaBH(OAc)3(290.88mg,1.35mmol,5.0eq)を使用して化合物I-5の製造と同様な工程に従って調製した(60.00mg,収率24.6%)。LC-MS MS-ESI(m/z)904.5[M+H]+。1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.93 (s,1H), 9.78 (s,1H),3.89 (s,3H),3.87 (s,3H),3.42-3.38 (m,4H),3.32 (s,2H),2.78-2.70 (m,4H),2.69-2.61(m,4H),2.57-2.51 (m,4H),1.91-1.80 (m,2H),1.76-1.65 (m,4H),1.56-1.21 (m,16H),1.11 (s,2H).
【0220】
実施例15
4-(2-(2-((2-クロロ-2’-フルオロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d
6)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸I-15
【化46】
【0221】
化合物I-15である4-(2-(2-((2-クロロ-2’-フルオロ-3’-(5-(2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)エチル)-1-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-2-カルボニルアミノ)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル-4,4’,5,5’,6,6’-d6)カルバモイル)-1-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロ-5H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-5-イル)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-カルボン酸の調製
白色の化合物I-15は、中間体I-14i(225.00mg,0.27mmol,1.0eq)、TFA(5mL)、TEA(1mL)、2-(4-(メトキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)アセトアルデヒドI-2d(143.05mg,0.54mmol,2eq)及びNaBH(OAc)3(290.88mg,1.35mmol,5.0eq)を使用して化合物I-5の製造と同様な工程に従って調製した(60.00mg,収率25.0%)。LC-MS MS-ESI(m/z)901.5[M+H]+。1H-NMR (400MHz,DMSO-d6) δ ppm 9.94 (s,1H), 9.79 (s,1H),3.90 (s,3H),3.87 (s,3H),3.43-3.38 (m,4H),3.33 (s,2H),3.24 (s,3H),2.78-2.70 (m,4H),2.69-2.60 (m,4H),2.57-2.51 (m,4H),1.91-1.81 (m,2H),1.77-1.65(m,4H),1.58-1.22 (m,16H),1.12 (s,2H).
【0222】
インビトロ生物学的評価
この検出方法は、本発明に係る化合物のインビトロ生物学的活性を評価するために使用され、インビトロでのタンパク質レベル結合阻害活性の評価方法及び細胞レベル生物学的機能活性の評価方法を包含した。
この検出は、様々な化合物がインビトロで液相中のPD-1とPD-L1との結合及びCD80とPD-L1との結合に対して示す阻害活性、及び細胞モデルでPD-1とPD-L1とが結合するとT細胞活性化シグナルを阻害することに対して示す遮断影響を総合的に評価することを目的とした。
【0223】
実施例A インビトロでのPD-1とPD-L1の結合阻害活性の評価
実験の主な原理
ホモジニアス時間分解蛍光法(HTRF)には、それぞれに相互作用可能なリガンド及び受容体である、融合発現したhFcタグの組換えヒトPD-L1タンパク質及び融合発現したHisタグの組換えヒトPD-1タンパク質を使用した。上記の2つのタグに対応して結合するためにEu元素キレート標識物を含有するanti-hFc抗体及びXL665フルオレセイン標識を含有するanti-His抗体をそれぞれ使用し、320nm波長のレーザーで励起すると、リガンド-受容体の結合によりエネルギーがEu元素からXL665フルオレセインに移動できるので、励起されると、665nm波長で発光した。一方、PD-L1とPD-1との相互作用に対する阻害剤を添加すると、リガンドと受容体の結合が破壊され、EuとXL665の距離が遠くなり、エネルギーの移動はできなくなり、XL665は励起されなくなる。
【0224】
実験材料及び設備
Hisタグ付き組換えヒトPD-1タンパク質(His-PD-1タンパク質、カタログ番号:10377-H08H-50)、組換えヒトPD-L1-Fc融合タンパク質(PD-L1-Fc融合タンパク質、カタログ番号:10084-H02H-100)は、Sino Biological Inc.から購入された。anti-hFc-Eu3+抗体、anti-His-XL665抗体はCisbio社から購入された。希釈用バッファー(Diluent buffer 5、カタログ番号:62DL5DDC)、検出用バッファー(PPI-Europium detection buffer、カタログ番号:61DB9RDF)などの他の関連試薬はCisbio社から購入された。蛍光検出器Tecan(Spark 10M)はスイスTecan社から購入された。
【0225】
主な実験手順
実験手順は、検出キットの取扱説明書で規定されているプロトコールに従って行った。プロトコールは以下の通りである。
(1)実験の準備:希釈用バッファーで被験化合物を異なる濃度勾配(20μLの最終反応系での最高最終濃度を10μMとした)に希釈し、His-PD-1タンパク質を800nM(20μLの最終反応系で最終濃度を100nMとした)に希釈し、PD-L1-Fc融合タンパク質を16nM(最終濃度を2nMとした)に希釈した。検出用バッファーで試薬の要求に従ってanti-His-XL665抗体及びanti-hFc-Eu3+抗体をそれぞれ20倍及び100倍希釈した。
【0226】
(2)被験化合物5μL、PD-L1-Fc融合タンパク質2.5μL及びHis-PD-1タンパク質溶液2.5μLを均一に混合した後、室温下で15分間インキュベートしした。その後、この系に5μLのanti-His-XL665抗体と5μLのanti-hFc-Eu3+抗体を加え、3時間インキュベートした後、検出を行った。
【0227】
(3)検出反応には、被験化合物を添加しない0%阻害陽性対照、PD-1タンパク質を添加しない100%阻害陰性対照を含む対照群が同時に設けられた。全ての検出には、重複穴を採用した。
【0228】
(4)蛍光検出器Tecan(Spark 10M)を使用して各ウェルの蛍光シグナルを検出し、励起波長を320nmとし、検出された発光波長がそれぞれ620nm及び665nmであった。PD-1とPD-L1との相互結合の強度は、蛍光シグナル比Em665/Em620を参照した。
【0229】
(5)被験化合物の結合阻害率の計算式:阻害率(%)=[1-(検出ウェルの蛍光シグナル比-100%阻害陰性対照の蛍光シグナル比)]/(0%阻害陽性対照の蛍光シグナル比-100%阻害陰性対照の蛍光シグナル比)×100%。異なる濃度勾配の被験化合物について、それぞれPD-1/PD-L1結合阻害率を計算した後、50%阻害濃度(IC50)を計算した。本発明の代表的な化合物がインビトロでPD-1とPD-L1との結合を阻害するのIC50データを以下の表2に示す。
【0230】
【0231】
上記の結果から、本発明に係る化合物はインビトロでのPD-1/PD-L1への阻害活性が良好であり、そして本発明に係る一般式(I)で示される化合物は同様にPD-1/PD-L1への阻害活性を有することが明らかになった。
【0232】
実施例B インビトロでのCD80とPD-L1との結合への阻害活性の評価
実験の主な原理
PD-1のほかには、PD-L1がCD80と結合することにより免疫阻害活性を発揮することもある。同様に、インビトロでのCD80とPD-L1との結合又は結合への阻害に関する実験も、ホモジニアス時間分解蛍光法(HTRF)により検出することができる。anti-hFc-Eu3+抗体及びanti-His-XL665抗体を使用してPD-L1に融合発現されたhFCタグ及びCD80に融合発現されたHisタグにそれぞれ結合し、320nm波長のレーザーで励起すると、PD-L1とCD80の結合によりエネルギーがEu元素からXL665フルオレセインに伝達され得、後者は励起されて発光した。PD-L1とCD80の相互作用の阻害剤を添加すると、両者の結合が破壊され、EuとXL665の距離が遠くなり、エネルギーの伝達ができなくなり、XL665は励起されなくなる。
【0233】
実験材料及び設備
Hisタグ付き組換えヒトCD80タンパク質(His-CD80タンパク質,カタログ番号:10698-H08H-100)、組換えヒトPD-L1-Fc融合タンパク質(PD-L1-Fc融合タンパク質,カタログ番号:10084-H02H-100)は、Sino Biological Inc.から購入された。anti-hFc-Eu3+抗体、anti-His-XL665抗体は、Cisbio社から購入された。希釈用バッファー(Diluent buffer 5,カタログ番号:62DL5DDC)、検出用バッファー(PPI-Europium detection buffer,カタログ番号:61DB9RDF)などの他の関連試薬は、いずれもCisbio社から購入された。蛍光検出器Tecan(Spark 10M)はスイスTecan社から購入された。
【0234】
主な実験手順
実験手順は、検出キットの取扱説明書で規定されているプロトコールに従って行った(インビトロジェン)。プロトコールは以下の通りである。
(1)実験の準備:希釈用バッファーで被験化合物を異なる濃度勾配(20μLの最終反応系での最高最終濃度は10μM)に希釈し、His-CD80タンパク質を800nM(20μLの最終反応系での最終濃度100nM)に希釈し、PD-L1-Fc融合タンパク質を16nM(最終濃度は2nM)に希釈し、検出用バッファーで試薬の要件に従ってanti-His-XL665抗体及びanti-hFc-Eu3+抗体をそれぞれ20倍及び100倍希釈した。
【0235】
(2)被験化合物5μL、His-CD80タンパク質2.5μL及びPD-1-Fc融合タンパク質溶液2.5μLを均一に混合した後、室温下で15分間インキュベートしした。その後、この系に5μLのanti-His-XL665抗体と5μLのanti-hFc-Eu3+抗体を加え、3時間インキュベートした後に検出を行った。
【0236】
(3)検出反応には、被験化合物を添加しない0%阻害陽性対照、CD80タンパク質を添加しない100%阻害陰性対照を含む対照群が同時に設けられた。全ての検出には、重複ウィルを採用した。
【0237】
(4)蛍光検出器Tecan(Spark 10M)を使用して各ウェルの蛍光シグナルを検出し、励起波長を320nmとし、検出された発光波長がそれぞれ620nm及び665nmであった。CD80/PD-L1の相互結合の強度は、蛍光シグナル比Em665/Em620を参照した。
【0238】
(5)被験化合物の結合阻害率計算式:阻害率(%)=[1-(検出ウェルの蛍光シグナル比-100%阻害陰性対照の蛍光シグナル比)]/(0%阻害陽性対照の蛍光シグナル比-100%阻害陰性対照の蛍光シグナル比)×100%。異なる濃度勾配の被験化合物について、それぞれCD80/PD-L1結合阻害率を計算した後、50%阻害濃度(IC50)を計算した。本発明の代表的な化合物がインビトロでCD80とPD-L1との結合を阻害するのIC50データを表3に示す。
【0239】
【0240】
上記の結果から、本発明にかかる化合物は、インビトロでCD80/PD-L1への阻害活性が良好であり、そして本発明にかかる一般式(I)で示される化合物は、同様にCD80/PD-L1への阻害活性を有することが明らかになった。
【0241】
実施例C 細胞レベル免疫チェックポイントPD-1及びPD-L1に媒介されるT細胞活性化シグナルへの阻害の評価
免疫チェックポイント分子としてのPD-1は主に活性化されたT細胞の表面で発現され、そのリガンドPD-L1は広く発現される。樹状細胞や、マクロファージ、B細胞等の抗原提示細胞の他には、多くの腫瘍細胞もPD-L1の発現をアップレギュレートすることで抗腫瘍免疫効果を阻害することができる。正常な免疫応答では、抗原提示細胞は、免疫共刺激分子を介してT細胞を活性化することに加えて、活性化されたT細胞の表面でのPD-1分子に結合するPD-L1リガンド分子なども発現するので、T細胞の活性化を阻害し、T細胞の過剰な増殖と活性化による周囲の正常組織への損傷が回避される。
【0242】
実験の主な原理
PD-1とPD-L1との相互作用が免疫応答におけるT細胞活性化シグナルに与える影響を検出するために、ヒトPD-L1分子と抗CD3単鎖抗体(ScFv)を安定的に発現するCHO-PD-L1-CD3L細胞、及びヒトPD-1分子とNFATレポーター遺伝子を安定的に発現するJurkat-PD-1-NFAT細胞を構築した。2種類の細胞を同時インキュベートすると、CHO細胞表面の抗CD3ScFvとJurkat細胞の膜CD3分子が結合し、活性化シグナルがJurkat細胞内に伝達される一方、CHO細胞表面のPD-L1とJurkat細胞表面のPD-1分子が同時に結合しているため、活性化阻害シグナルが内部に伝達され、ルシフェラーゼレポーター遺伝子が発現できないようにした。免疫チェックポイント抗体又は小分子阻害剤を添加すると、PD-1とPD-L1との結合が遮断され、CD3ScFv抗体とCD3の架橋により媒介されたT細胞活性化シグナルにより活性化されたNFAT経路は、阻害シグナルの影響を受けなくなり、下流のルシフェラーゼレポーター遺伝子が発現し始める。触媒基質を添加することにより、レポーター遺伝子の活性化に比例する化学発光シグナルを検出することが可能になる。
【0243】
実験材料及び設備
ヒトPD-L1分子と抗CD3単鎖抗体(ScFv)を発現するCHO-PD-L1-CD3L細胞、及びヒトPD-1分子とNFATレポーター遺伝子を安定的に発現するJurkat-PD-1-NFAT細胞は、陳博博士(Keymed Biosciences Inc.)によって独自に構築されて寄贈された。トランスフェクション細胞の安定培養用のピューロマイシン(カタログ番号 540411)及びハイグロマイシンB(カタログ番号 V900372)はSigma社から購入された。PMA(カタログ番号 P1585)はSigma社から購入し、抗ヒトPD-L1抗体(カタログ番号 GMP-A066)はNovoprotein社から購入された。ルシフェラーゼの基質溶液(カタログ番号 E6485)及びルシフェラーゼ特異的細胞溶解液5×(カタログ番号 E1531)はプロメガ社から購入された。蛍光検出器Tecan(Spark 10M)はスイスTecan社から購入された。
【0244】
主な実験手順
(1)実験前日に、96ウェル細胞培養プレートに100μLのCHO-PD-L1-CD3L細胞(約4×104個/ウェル)を播種し、10%FBS、8μg/mLのピューロマイシン及び200μg/mLのハイグロマイシンBを含むDMEM/F12培地に、37°Cで一晩培養した。
【0245】
(2)0.1%PBSTを使用して様々な濃度勾配に希釈した被験化合物を96ウェルプレートに加え、30分間予備インキュベートした。10%FBS、8μg/mLのピューロマイシン及び200μg/mLのハイグロマイシンBを含有するRPMI1640完全培地を使用してJurkat-PD-1-NFAT細胞計数を2×105個/mLに調整したとともに、T細胞活性化シグナルを増幅するために100ng/mLのPMA(DMSOを使用して濃度10mg/mLのストック溶液を調製した)を加えた。100μLの上記Jurkat-PD-1-NFAT細胞を96ウェルプレートの各ウェルに加え、共培養を行った。
【0246】
(3)検出反応には、被験化合物を添加しない溶媒対照及び抗ヒトPD-1抗体を添加した実験系としての陽性対照という対照群が同時に設けられた。全ての検出には、重複ウイルを採用した。
【0247】
(4)37°Cで6時間インキュベートし続けた後、40μLの5×細胞溶解液を直接加え、均一に混合した後に室温下で10分間放置することにより細胞を完全に溶解した。50μLの溶解した細胞溶液を蛍光検出プレートに移し、30μLのルシフェラーゼ基質溶液を加え、すぐに蛍光検出器で化学発光検出プログラムにより測定を行った。
【0248】
(5)被験化合物の細胞レベルでのT細胞活性化シグナルの阻害率の計算式:T細胞活性化シグナルの阻害率(%)=(検出ウェルの化学発光の元の値-溶媒対照)/(化合物検出ウェルで測定された最高化学発光の元の値-溶媒対照)×100%。様々な濃度勾配の被験化合物について、それぞれT細胞活性化シグナルの阻害率を計算した後、さらに50%阻害濃度(EC50)を計算した。本発明による化合物がPD-1及びPD-L1に媒介されるT細胞活性化阻害シグナルを遮断するのEC50データを表4に示す。
【0249】
【0250】
上記の結果から、本発明に係る化合物は、免疫チェックポイントに媒介されるT細胞活性化阻害シグナルを細胞レベルで効果的に遮断する活性を有し、そして本発明に係る一般式(I)で示される化合物は、同様にPD-1/PD-L1に媒介されるT細胞活性化シグナル阻害を遮断する活性を有することが明らかになった。
【0251】
実施例D 薬物動態試験
Biocytogen JiangSu Co.,Ltd.から購入された、6~8週齢のB-hPD-1/hPD-L1 mice雌マウスを24匹採取した。各グループに6匹ずつ、ランダムに4グループに分けた。I-1、並びに3つの対照分子である例示17、化合物14(INCB086550)及び実施例180が包含されている被験化合物を5%DMSO、60%PEG400及び35%精製水を含有する溶媒に調製した。化合物を1回/日で50mg/kg経口投与し、18日目の投与後の15min、30min、1h、2h、4h、8h、24h及び32hの採血時点で眼底静脈叢により交互に採血した。約0.1mLの血液を遠心分離管に収集し(抗凝固のためにヘパリンナトリウムを添加した)、5000rpmで5分間遠心分離して血漿を分離した後、測定するまで-20°Cで凍結保存した。血漿サンプルを処理した後、血漿中の化合物の濃度を液体クロマトグラフィー質量分析併用装置(LC-MS/MS)により測定した。Phoenix WinNonlin 7.0を使用して薬物動態パラメータを計算した。データを表5にまとめた。
【0252】
【0253】
a例示17は、Incyte社が特開WO2019/217821の64ページに記載されている化合物であり、発明者がその合成方法を参照して合成したものであり、対照分子として使用した。例示17の化学構造は、LC-MS MS-ESI(m/z)911.4[M+H]
+により確認された。なお、構造を確認するためには、例示17の溶解度が低いから、溶解を容易にする水酸化ナトリウム溶液(例示17と水酸化ナトリウムのモル比は1:2)を核磁気サンプルに加え、そしてMeODを加えた。
1H-NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 8.45 (dd, J = 8.3,1.2hz,2H),7.43 (t, J = 8.0 Hz,2H),7.12-7.07 (m,2H),3.95 (d, J = 14.4hz,6H),3.55 (s,4H),2.96-2.84 (m,4H),2.72-2.82 (m,4H),2.70-2.62 (m,4H),2.00- 1.88 (m,4H),1.87-1.78 (m,4H),1.66-1.37 (m,16H)。構造を確認したところ、この化合物の構造式は以下の通りであった。
【化47】
【0254】
b化合物14(INCB086550)は、Incyte社が特開CN110267953Aの表2に記載されている化合物であり、発明者がその合成方法を参照して合成したものであり、対照分子として使用した。化合物14(INCB086550)は、臨床に最も早く進んだ小分子PD-L1阻害剤であり、第2相研究中になっている。
化合物14(INCB086550)の化学構造は、LC-MS MS-ESI(m/z) 694.2[M+H]
+及び
1H-NMR (400 MHz, DMSO) δ ppm 9.31 (s,1H),8.84 (s,1H),8.48 (d, J = 8.0 Hz,1H),8.17 (s,1H),8.13 (d, J = 7.7 Hz,1H),8.09-8.03 (m,2H),7.83 (s,1H),7.54 (t, J = 7.7 Hz,1H),7.43 (d, J = 7.4hz,1H),7.34 (t, J = 7.9 Hz,1H),7.18 (d, J = 5.8 Hz,1H),6.91 (d, J = 7.4hz,1H),4.76 (s,1H),4.26-4.18 (m,1H),3.85-3.65 (m,4H),2.84-2.69 (m,3H),2.69-2.60 (m,2H),2.58-2.46 (m,3H),2.45 (s,3H),2.38 (dd, J = 9.6,3.6hz,1H),2.08 (s,3H),2.05-1.95 (m,2H),1.94-1.83 (m,1H),1.63-1.52 (m,1H)の結果により確認された。この化合物の構造式は以下の通りであった。
【化48】
【0255】
c実施例180は、Incyte社が特開CN110267953Aに記載されている実施例であり、発明者がその合成方法を参照して合成したものであり、対照分子として使用した。実施例180の化学構造は、LC-MS MS-ESI (m/z) 775.0 [M+H]
+及び
1H-NMR (400 MHz, DMSO) δ ppm 9.90 (s,2H),8.38 (dd, J = 7.6,2.7 Hz,2H),7.49 (t, J = 8.0 Hz,2H),7.14 (d, J = 7.7 Hz,2H),3.90 (s,6H),3.57 (t, J = 6.0 Hz,2H),3.51-3.46 (m,4H),2.85-2.77 (m,4H),2.70-2.64 (m,4H),2.64-2.59 (m,4H),1.90-1.76 (m,2H),1.68-1.55 (m,2H),1.54-1.22 (m,6H)の結果により確認された。この化合物の構造式が以下の通りであった。
【化49】
【0256】
上記の結果から、本発明に記載されている代表的な化合物は50mg/kgで反復投与された後、3つの対照分子よりもマウスの体内血漿曝露量(AUC(0-t))、体内平均滞留時間(MRT)及び半減期(T1/2)がいずれも有意に高かったことが明らかになった。反復投与により、臨床治療条件下での薬物動態特徴をより良く反映する可能性がある。対照分子と比較して、本発明による化合物は反復投与された後の体内曝露量及び持続曝露時間(AUC/T1/2)が予想外の改善を示し、臨床治療において抗腫瘍活性をより良く発揮するのに役立つ。
【0257】
実施例E 腫瘍組織分布試験
Biocytogen JiangSu Co.,Ltd.から購入された、6~8週齢のB-hPD-1/hPD-L1 miceヒト化雌マウスを16匹採取し、1週間に適応させた後、MC38-PD-L1細胞を2×10
6個/部位で皮下接種し、腫瘍が約200m
3に成長した後、各グループに4匹ずつに4グループに分けた。I-1、並びに3つの対照分子である例示 17、化合物14(INCB086550)及び実施例180を包含されている被験化合物を5%DMSO、60%PEG400及び35%精製水を含む溶媒に調製した。それらの化合物を1回/日で50mg/kg経口投与し、18日目の投与後の4時、24時点で血液及び腫瘍組織を採取した。一定量の組織を計量し、リン酸塩緩衝塩(PBS)溶液を加えて均質化するようにサンプルを処理した後、LC-MS/MS分析を行い、血漿及び組織中の化合物の濃度を測定した。実験結果を表6、
図1及び
図2に示す。
【0258】
【0259】
上記の結果から、本発明に記載されている代表的な化合物は、反復投与された後、腫瘍組織中の濃度が血漿のよりも有意に高く、即ち、4時及び24時で腫瘍組織濃度が血漿の4~6倍及び17~27倍になったことが明らかになった。また、4時及び24時での腫瘍組織濃度が、同様な条件下で投与された対照分子に対する5~8倍及び7~30倍になった。それは、本発明による化合物は腫瘍組織への標的性が良好であったことを示した。本発明による化合物は、対照分子と比較して、腫瘍組織に対して予想外の濃化及び標的化効果を有することが分かった。
【0260】
工業上の利用可能性
本発明に係るビフェニル系化合物は、PD-L1阻害活性に優れていて、この作用に関連する疾患を治療又は予防するための医薬品になる可能性がある。
【0261】
上記は、本発明の好ましい実施形態にすぎず、当業者であれば、本発明の原理から逸脱することなく、いくつかの改良及び修正を行い得、これらの改良及び修正も本発明の保護範囲とみなされるべきであることに留意されたい。
【国際調査報告】