(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】アクティブイメージングシステム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20240201BHJP
G01S 17/10 20200101ALI20240201BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20240201BHJP
【FI】
H04N23/60 500
G01S17/10
H04N23/56
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546532
(86)(22)【出願日】2022-02-02
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 EP2022052506
(87)【国際公開番号】W WO2022167496
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】306032578
【氏名又は名称】レオナルド・ユーケー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Leonardo UK Ltd
【住所又は居所原語表記】1 Eagle Place,St.James’s,London,SW1Y 6AF,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】バー、ジョン
【テーマコード(参考)】
5C122
5J084
【Fターム(参考)】
5C122DA15
5C122EA61
5C122FH09
5C122GG05
5C122GG14
5C122GG21
5C122HA88
5C122HB05
5C122HB09
5J084AA05
5J084AC02
5J084AC03
5J084AC04
5J084AD01
5J084BA05
5J084BA08
(57)【要約】
システムは、ターゲットを含むシーンを照明するために第1及び第2のレーザ照明器を備える。第1のレーザ照明器から放出される光のパルスは、第2のレーザ照明器からの光のパルスと比較して、相対的に広いスペクトル線幅及び相対的に長いパルス持続時間を有する。カメラシステムは、シーンの第1の画像を得るために第1のレーザ照明器から戻りを受信するのに、相対的に長いゲート期間を使用し、シーン内のターゲットではない要素を選択的に排除したターゲットの第2の画像を得るために第2のレーザ照明器からの戻りを受信するのに、ターゲットの距離情報と共に相対的に短いゲート期間を使用する。画像処理により、第2の画像は、第1の画像から、ターゲットではない要素を選択的に除去するためにテンプレートとして使用される。このようにして、最終画像は、第1の照明器の戻りからの可能な限り高い画像品質と、第2のレーザ照明器の戻りからの良好なクラッタ除去とから利益を得る。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブイメージングシステムであって、
ターゲットを含むシーンを光のパルスで照明するように各々が適合された、第1のレーザ照明器及び第2のレーザ照明器と、ここで、前記第1のレーザ照明器から放出される光の前記パルスは、前記第2のレーザ照明器からの光のパルスと比較して、相対的に広いスペクトル線幅及び相対的に長いパルス持続時間を有し、
前記シーンによって反射された、前記第1のレーザ照明器と前記第2のレーザ照明器の両方からの光を受信するように配置されたカメラシステムと、ここで、前記カメラシステムは、
前記ターゲットを含む前記シーンの第1の画像を得るために前記第1のレーザ照明器からの戻りを受信するのに、相対的に長いゲート期間を使用するように適合され、
前記シーン内のターゲットではない要素を選択的に排除した前記ターゲットの第2の画像を得るために前記第2のレーザ照明器からの戻りを受信するのに、相対的に短いゲート期間を使用するように適合されており、
前記第1の画像から前記ターゲットではない要素を選択的に除去するためにテンプレートとして前記第2の画像を使用するように適合された画像処理手段と、
を備える、アクティブイメージングシステム。
【請求項2】
前記第1のレーザ照明器が、前記第2のレーザ照明器より高いパルス繰り返し率で動作するように構成される、請求項1に記載のアクティブイメージングシステム。
【請求項3】
前記第1のレーザ照明器が、少なくとも2KHzのパルス繰り返し率で動作するように配置される、請求項2に記載のアクティブイメージングシステム。
【請求項4】
前記アクティブイメージングシステムが、異なる時間で前記シーンを照明するように前記第1及び第2のレーザ照明器を動作させるように適合される、請求項1又は2に記載のアクティブイメージングシステム。
【請求項5】
前記第1及び第2のレーザ照明器が、実質的に同じ中心波長で動作する、請求項4に記載のアクティブイメージングシステム。
【請求項6】
前記第1及び第2のレーザ照明器が、異なる中心波長で動作する、請求項1から4のいずれか一項に記載のアクティブイメージングシステム。
【請求項7】
前記カメラシステムが、前記第1及び第2の画像を得るために前記第1のレーザ照明器と前記第2のレーザ照明器の両方からの戻りをキャプチャする単一の検出器を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のアクティブイメージングシステム。
【請求項8】
前記アクティブイメージングシステムが、前記シーンを同時に照明するように前記第1及び第2のレーザ照明器を動作させるように適合される、請求項6又は7に記載のアクティブイメージングシステム。
【請求項9】
前記カメラシステムが、前記第1のレーザ照明器からの戻りをキャプチャするように適合された第1のカメラと、前記第2のレーザ照明器からの戻りをキャプチャするように配置された第2のカメラとを備える、請求項6又は8に記載のアクティブイメージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
遠隔物体の検出(取得)、トラッキング、および識別のうちの1つまたは複数の目的で、いくつかのセンサを使用してローカル環境を監視するために、観察システムが使用されている。
【0002】
図1は、システム1の場所から100mから20km以上の範囲内に位置し得るローカル環境内の物体を検出するように設計された代表的な従来技術の観察システム1の概略図を示す。システム1は、航空機もしくは他の空中プラットフォーム内、陸上車両上、または航洋船上に取り付けられ得る。
【0003】
観察システム1は、インターフェース2と、制御および処理サブシステム3と、取得およびトラックシステム4とを備える。
【0004】
制御および処理サブシステム3は、インターフェース2を介して、システム状況データならびに処理された画像、トラックデータ、およびターゲット情報を出力する。
【0005】
インターフェース2は、たとえば、分析およびアクションのために人の観察者に画像を提示するためのディスプレイを備え得る。代替的にまたは追加的に、インターフェースは、人の介入無しに、観察システム1からの出力データ、たとえば画像または一連の画像を処理し、適切なアクションをとることができる自律式システムに入力を提供する出力部を備え得る。
【0006】
制御および処理サブシステム3は、3つのシステム、すなわちターゲット検出センササブシステム5と、粗トラッキングサブシステム6と、アクティブイメージングサブシステム7とを備える取得およびトラックシステム4を制御する。サポートアンビリカル8は、制御および処理サブシステム3を取得およびトラックシステム4のサブシステムに相互接続し、電力およびデータケーブル(バス)、ならびに必要な場合(たとえば空気または液体の冷却)に熱管理サービスを備える。
【0007】
粗トラッキングサブシステム6は、ターゲットをトラッキングするための1つまたは複数のセンサを備える。センサは、広範囲の角度を検出することができ、限定された空間分解能でターゲットを素早く検出するのに有用である広視野(WFOV)トラッキングセンサと、ターゲットの分類、および場合によっては識別のために高い分解能を有する狭視野(NFOV)トラッキングセンサとを含み得る。正確な値は、システムアプリケーションによって決定される。
【0008】
広視野センサは、次の帯域、すなわち紫外光(UV)、可視光、近赤外光(NIR)、短波赤外光(SWIR)、中波赤外光(MWIR)、および長波赤外光(LWIR)の1つまたは複数内で動作する1つまたは複数のカメラまたは検出器を含み得る。
【0009】
狭視野センサは、次の帯域、すなわち紫外光(UV)、可視光、近赤外光(NIR)、短波赤外光(SWIR)、中波赤外光(MWIR)、および長波赤外光(LWIR)の1つまたは複数内で動作する1つまたは複数のカメラまたは検出器を含み得る。
【0010】
粗トラッキングサブシステム6はまた、レンジファインダ、たとえばレーザレンジファインダを含み得る。レンジファインダは、ターゲットの優先付けまたは識別を助け得る距離情報をターゲットに提供する。
【0011】
粗トラッキングサブシステム6は、たとえば、さまざまなセンサが固定されたジンバルシステムを制御するためにモータを使用して操縦可能である。動眼視野(FoR)は、取得およびトラックシステム4が見ることができる空間内のすべての可能な方向を包含し、視野(FoV)は、どの時点においても実際に見ることができる空間内の方向のより小さいセットを説明する。
【0012】
ターゲット検出センササブシステム5は、潜在的なターゲット物体を観察システム1が探し始めること可能にするための空間内の方向を導出するために、観察システム1の内部5Aおよび/または外部5Bであり得る多くの可能なセンサ5A、5Bの1つまたは複数からデータを得る。外部センサ5Bからのデータは、インターフェース2を通して受信される。代替的な配置では、ターゲット検出センササブシステム5の機能は、外部システムと、インターフェース2を通して受信されたその入力によって実行され得る。
【0013】
潜在的なターゲットが外部センサの1つまたは複数の出力から識別されるとき、制御および処理サブシステムは、潜在的なターゲットが粗トラッキングサブシステム6のシステムの動眼視野(FoR)内にあることを確認する。そうでない場合、制御および処理サブシステム3は、何もせず、別様では、粗トラッキングサブシステム6に、潜在的なターゲットがそのセンサの視野(FoV)の少なくとも1つ内にあるようにそのシステム自体が向くように命令する。ターゲットの位置における測定エラーが、NFoVトラッキングセンサの動眼視野より小さいことが重要である。WFoVおよびNFoVトラッキングセンサは、いくつかの知られているプロセスの1つを使用して位置合わせされるため、それらの視線は、調和または共照準合わせされる。
【0014】
外部ターゲット検出センサ5Bは、観察システム固有のものであってもよく、またはこれらは、観察システムから遠隔であってもよく、たとえば別個のプラットフォーム上もしくは近くの別個の観察システム上にあってもよい。カメラと称される、またはIRカメラの場合はFLIRS(順方向赤外線センサ)と称されるサブセットを有する外部ターゲット検出センサは、人の視野、レーダシステム、赤外線(IR)または熱カメラ、短波IRカメラ、可視光カメラ、紫外線(UV)センサおよび/またはカメラ、ならびに音響センサの1つまたは複数を備え得る。
【0015】
例示的な観察システムは、赤外線対策(IRCM)システムである。IRCMシステムは、しばしば、ミサイル発射警報装置(MLW)としても知られている遠隔ターゲット検出センサで構成される。MLWは、ミサイルの発射サインを検出し、そしてMLWプラットフォームに対する発射サイトの場所を提供するために、UVカメラおよびIRカメラを使用し得る。この配置では、MLWは、観察システムの完全に外部にある。MLWは、制御および処理サブシステム3の役割を果たすプロセッサに発射の場所を報告する。プロセッサは、同じプラットフォーム上の別個の場所にあるタレットに、そのFOVがMLWによって識別されたミサイルの場所に向くように回転するように命令する。タレットは、粗トラッキングモジュール6に等しいFLIRを含む。FLIRは、ミサイルの噴煙を検出することができ、したがって、ミサイルを取得し、トラッキングすることができる。プロセッサは、タレット上のセンサからのデータを分析する。
【0016】
図1を再度参照すれば、通常、ターゲットは、WFoVセンサ内に存在することになり、ターゲットがWFoV内で中心揃えされるように制御および処理サブシステム3が粗トラッキングサブシステム6の向きに対して小さい補正を施すことを可能にして、このシステムが連続的にターゲットをトラッキングできるようにする。ターゲットを検出し、トラッキングすることを開始した後、場合によってはまだこれを識別することなく、制御および処理サブシステム3は、WFoVセンサと共照準合わせされているためにこれもまたターゲットを見ることができるNFoVセンサからの出力を分析する。NFoVセンサによって提供される空間分解能が良好になると、制御および処理サブシステム3はターゲットを識別することができ得る。識別は、制御および処理サブシステム内の適切な自動ターゲット識別アルゴリズム(ATI)によって、またはインターフェース2を介して識別のために人ユーザに画像を提示することによって達成され得る。この段階で、制御および処理サブシステム3または人は、ターゲットをそのミッションの関心対象か、ミッションの関心対象ではないかを分類する。潜在的なターゲットが関心対象ではない場合、制御および処理サブシステム3は、この潜在的なターゲットをクラッタとして分類する。ターゲットが関心対象である場合、これは、そのミッションが完了するまで物体をトラッキングし続けるように粗トラッキングサブシステム6に命令する。
【0017】
粗トラッキングサブシステム6のNFoVセンサが十分な空間分解能で潜在的なターゲットの画像を提供できないために、潜在的なターゲットを識別できない状況となる場合があり、この場合、アクティブイメージングサブシステム7が開始される。アクティブイメージングサブシステム7は、潜在的なターゲットのさらなる画像を得るために、アクティブ照明として知られている技術を使用する。
【0018】
アクティブイメージングは、光源、通常は連続波(CW)レーザ、またはより好ましくはパルス式レーザが遠隔物体を照明するために使用される技術である。適切なカメラが、物体によって反射された光を撮像する。最も現実的なターゲットは、ターゲットが構造化され、また異なる表面処理を有する多くの材料で構成される場合があるという点で複雑であるため、これらから反射された光は、同じターゲットから鏡面反射および拡散反射を受ける。反射された光はまた、いくらか偏光解消され得る。アクティブイメージングの利点は、以下の通りである。
1.レーザがWFoVおよびNFoV熱センサより短い波長を使用する場合、WFoVまたはNFoVセンサからよりも良好な空間分解能でキャプチャされた画像を得ることが可能であり、これはターゲットの認識の向上を助け得る。
2.カメラに達した光をレーザ波長周りの小範囲の波長にフィルタリングすることが可能であり、これによって、カメラ感度が向上し、カメラのFoV全体内でターゲットを局所化することが支援される。
3.アクティブイメージングは、局所的な熱サインによって制限される場合、熱画像と比較してイメージングコントラストを向上させることを可能にする。たとえば、早朝および夕方では、シーンの温度はほぼ等温になり得、それによって、いずれのターゲットも検出または識別するには背景に対するコントラストが低すぎることになる。アクティブイメージングは、シーン温度とは無関係のターゲットイメージングを可能にする。
4.アクティブイメージングは、ターゲットと比較してカメラにより近いおよび/またはカメラからより遠く離れた物体を画像から除去するために、タイムゲーティングイメージングを実施するために使用され得る。このプロセスは、しばしばクラッタ低減またはクラッタ除去と呼ばれる。これは、たとえば、綱ベースのカモフラージュ(netting based camouflage)内でまたは部屋内で観察者がターゲットを見ることを可能にするために使用され得る。
【0019】
タイムゲートイメージングは、ある時点(レーザ発射時間)にパルス式レーザを動作させ、レーザ発射時間より遅延したゲート開放時間にカメラゲートを開放することによって達成される。カメラゲートは、レーザ発射時間よりさらに遅延したゲート閉鎖時間に閉鎖される。
【0020】
このタイプのタイムゲートイメージングは、カメラピクセルサイズによって定められた空間分解能を有する二次元フォーマットで強度情報を提供する。これは、二次元(2D)イメージングと称され得る。
【0021】
レーザパルスの長さがターゲットと比較して短い場合、識別を助け得る、ターゲット形状についてのさらなる情報を取得することが可能である。この特徴は、ピクセルレベルレンジファインダに等しいピクセル単位ベースで、反射された光の到達時間に関する情報をカメラが提供することを必要とし、ターゲットサイズおよび形状の情報を提供するために分析され得る距離分解能のポイントクラウドを生成することが可能となる。時間分解能のタイムゲートカメラのこうした使用は、しばしば三次元情報(3D)を提供するものとみなされ、この場合二次元は、ピクセルによる強度データであり、三次元は、信号の到達時間である。
【0022】
2Dタイムゲートカメラはまた、3D情報を発展させるために使用され得る。1つの手法は、レーザ発射時間に対してわずかに異なる遅延で(ゲート開放時間に)ターゲットに問い合わせするためにいくつかのレーザパルスを使用することである。
【0023】
CWレーザ照明器もまた、カメラの自然なフレームレートを通して2D画像を生み出すために使用され得る。各画像は、カメラのフレームレート(典型的には0.5から5msまたはそれ以上)にわたって統合される。レーザによって照明されたすべての物体は、照明されたシーン内で見ることができ、これは、意図されるターゲットではない物体を前景または背景に含むことがある。このタイプのカメラの出力は、時間に基づくクラッタ除去を可能にしない。
【0024】
図2を参照すると、アクティブイメージングサブシステム7は、アクティブイメージングコントローラ7Aと、照明レーザ7Bと、プログラム可能な遅延発生器7Cと、タイムゲートカメラ7Dとを備える。
【0025】
アクティブイメージングコントローラ7Aは、バス8を介して制御および処理サブシステムから命令を受信し、次いで、内部バス7Eを介して第1のパルス式照明レーザ7B、プログラム可能な遅延7C、およびタイムゲートカメラ7Dを制御するように適合される。
【0026】
アクティブイメージングコントローラ7Aから受信した信号に応答して、照明レーザ7Bは、アクティブイメージングサブシステム7の第1の開口7Fを介して、パルス光10でターゲット9を照明する。照明レーザ7Bはまた、時間遅延信号、すなわちゲート開放信号をゲートカメラ7Dに提供するプログラム可能な時間遅延発生器7Cにタイミング信号を提供する。ゲート開放信号の受信に応答して、カメラ7Dは、第2の開口7Gを通してターゲット9から反射された光11を収集するために、そのゲートを開放する。カメラ7Dは、ゲート開放信号から所定の時間にそのゲートを閉鎖するようにプログラムされる。
【0027】
図3を参照すると、レーザ7Bは、記号ではT
FWHMである、半値全幅FWHMによって説明される持続時間を有する光パルス10を生み出す。多くの用途において、T
FWHMについて5から50nsの値が通常であるが、より長いパルスとより短いパルスの両方が使用されてもよい。安全上の理由により、照明レーザ7Bの好ましい波長は、1.5μmから1.8μmの範囲であるが、良好な大気透過率を有する他の波長が使用されてもよい。時間で測定されたレーザパルス長さは、光の速度、c=3×10
8ms
-1(近似値)をかけることによって物理的パルス長さに変換され得る。5nsから50nsまでの範囲の物理的持続時間は、約1.5mから15mに対応する。
【0028】
レーザ7Bは、レーザパルス繰り返し期間Tpによって繰り返しパルス化され得る。パルス繰り返し期間は、必要に応じて変えられ得る。Tpの典型的な値は、100msから500μsの範囲内にある。レーザ7Bとタイムゲートカメラ7Dとの間のタイミング精度の向上のために、任意選択により、レーザ7B出力の小部分が、T0検出器7Hに導かれてもよく、T0検出器7Hは、これに応答して、プログラム可能な遅延7Cに入力を提供する、レーザパルス10の放出に同期された信号を生成する。レーザパルスの放出時間は、T0と称され得る。
【0029】
レーザパルスは、距離Lにあるターゲット9に伝播する。Lの値は、たとえば、粗トラッキングサブシステム6内のレンジファインダを使用することによって、観察システム1に知られ得る。そのような場合、パルスが時間T0+L/cにおいてターゲット9に達し、反射された光11が時間To+2L/cにおいてタイムゲートカメラ7Dに達することが知られている。コントローラ7Aは、プログラム可能な遅延7cを2L/c-t0のT0に対する時間に設定するため、カメラゲートは、反射された光がカメラ7Dに到達する前に開放する。カメラゲートは、時間t0+tcがゲート開放時間となるように、反射された光のパルスが2L/c+tcのT0に対する時間にカメラ7Dに達した後に閉鎖する。ゲート時間は、T0の測定値における不確実性を可能にするためにパルス持続時間、TFWHMより長くなければならないが、システムのノイズに対する信号を向上させるために最小限にされ得る。
【0030】
カメラ7Dは、第2の開口7Gに入る光を収集し、これを焦点面アレイ(FPA)71上に撮像するレンズシステム70を備える。焦点面アレイ71は、十分な感度でレーザ光を検出することができる、適切にピクセル構成された検出器材料上に構成される。焦点面アレイ71上の各ピクセルは、接続された読み取り集積回路(ROIC)72上の電子装置によって処理される。ROIC72は、各ピクセルからの光電流を収集および統合し、FPA71の感度がゲート開放時間にしたがって低感度から高感度、高感度から低感度に効果的に時間切り替えされるようなゲート回路を実装する。ゲート開放時間中に収集された画像データは、連番付けされ、バス7Eを介して制御および処理サブシステム3に渡される。
【0031】
ゲートカメラDはまた、焦点面アレイ71に達する非レーザ光の量を最小限にするために狭帯域フィルタ73を含む。たとえば、アクティブイメージングシステム7は、1nm未満の線幅を有するソリッドステートレーザ7Bと、約1nmの通過帯域を有する狭帯域フィルタ73とを含み得る。代替的に、25nm未満の線幅を有する半導体レーザ7Bが、約25nmの通過帯域を有するフィルタ73と共に使用されてもよい。これらの例の両方のフィルタは、背景ノイズに関して、典型的には0.6から1.7μmのスペクトル範囲に敏感であるInGaAsベースの短波赤外線検出器に非常にひけをとらないものである。
【0032】
図2に示されるアクティブイメージングシステムは、レーザ7Bおよびタイムゲートカメラ7Dが別々の送信および受信開口7F、7Gを有する場合のバイスタティックアーキテクチャを示す。
【0033】
モノスタティックとして知られている代替の光アーキテクチャが、
図4に概略的に示される。この変形のアクティブイメージングシステム7は、レーザ光の送信およびターゲットからの反射された光の受信の両方に使用される単一の光開口7Gを備える。レーザ波長において大きく反射する鏡7Jが、レーザビーム10を開口7Gに向かわせるように操縦するために使用される。偏光または開口共有などの光を空間的に多重化するための知られている技術を使用し得る光コンポーネント7Kが、送信されたレーザビーム10と反射された光11の経路を組み合わせる。
【0034】
図5は、
図4のシステムを使用するクラッタ除去のプロセスを示すが、
図2および3のシステムもまた、同様に使用され得る。ターゲット9(この例ではタンク)が、レーザ7Bによって照明され、その戻りが、タイムゲートカメラ7Dによって収集され、処理され、インターフェース2を介して、第1の画像20または第2の画像21としてユーザに提示される。第1の画像20を得るとき、ゲートオンタイムは、レーザパルス持続時間と比較すると長く、したがって、画像は、ターゲット9の図に加えて、前景のいくらかおよび背景のいくらかの詳細を含む。その反対に、ゲート開放時間がターゲットの物理的深さに匹敵する場合、レーザパルス持続時間は、ゲートオンタイムより短く、ターゲットは、そのゲート開放時間内に正しく置かれ、その後、第2の画像21が得られる。第2の画像21内に表現されるターゲット9は、前景および背景からきれいに分けられる。物理的レーザパルス持続時間がターゲット寸法全体よりかなり短く、カメラ7Dが3D可能である場合、画像21内の構造、たとえば、ターゲット9がタンクである場合にガンバレルの長さが測定されることが可能であり、これはターゲット識別に対する助けとなり得る。
【0035】
アクティブイメージングシステム7の有用性は、アクティブイメージングを観察システム1に統合することによって発生する追加コストと比較した、結果として得られる画像の品質に依存する。レーザ7Bとカメラ7Dの両方が、生み出される画像の品質に寄与することが知られている。さらに、たとえば半導体レーザと比較して、レーザタイプの種類などの選択、たとえばソリッドステートレーザ(たとえばNd:YAG、Er:Yag、またはHo:Yag)間の選択は、異なる電源要件をもたらす。ソリッドステートレーザはまた、波長および線幅が変えられ得る半導体レーザと比較して、相対的に固定された波長および相対的に狭い線幅になる。
【0036】
アクティブイメージングの理想的なレーザ源は、以下の特性を有する。
a.自然光の特性を模倣し、画像上のスペックルの影響を低減するために、大きい線幅、たとえば5nmから50nmまたはそれ以上を有するビームを生み出すことができる。
b.対象の物体がシステムの場所から100mから20km、またはそれ以上に位置する長距離観察用途で安全に使用できる。この要件は、1.5μmから1.8μmの範囲内の波長を使用することによって最も容易に満たされる。
c.レーザ波長に適切な感度を有するタイムゲートカメラが使用できる。
d.ポイントcで特定されたカメラを用いて、ポイントaで特定された線幅で使用されるとき、ポイントbにおいて特定された、対象のターゲットに達するのに十分な1パルスあたりのエネルギーを生み出すことができる。典型的には、そのようなレーザは、使用に合わせて選択された正確なカメラに応じて、1パルスあたり10から100mJの範囲内のパルスエネルギーを必要とする。そのようなレーザのパワーは、P=E/Tp=Evpとして、レーザの繰り返し率を使用して算出されてもよく、式中、Pはワット単位の電力であり、Eはジュール単位のパルスエネルギーであり、Tpは、パルス繰り返し期間であり、パルス周波数は、vp=1/Tpであり、Hzで測定される。具体的なレーザ選択について、20Hzから2000Hzまで繰り返し率を増大させると、出力電力および電力消費は、100倍増大し得る。
e.レーザは、観察システム内の電力消費および熱負荷を最小限にするのに十分に電気的に効率的でなければならない。現在利用可能な最適な壁プラグの効率は、パッケージ化された半導体レーザから40%超である(個々の半導体デバイスは、50%超の電力から光パワーへの変換を有し得る)。他方で、標準的なソリッドステートレーザは、2から5%未満の範囲の壁プラグ効率で動作する。壁プラグ効率は、レーザを動作させるために外部電源から導出される電力である。この数字は、即座の電気から光の変換ステップだけではなく、レーザのすべてのコンポーネント部分によって使用される電力を含む。したがって、壁プラグ効率は、レーザサブシステムを動作させるのに必要とされる任意の電子制御カード、レーザの一部によって必要とされる任意の熱制御、およびレーザ内の内部電圧変換もしくは電力調節における損失ならびに電気から光への変換における損失を含むが、それだけに限定されないこともある。通常、壁プラグ効率は、システムの動作温度範囲にわたって変化する。
f.物理的レーザパルス持続時間は、ターゲットが前景および背景からきれいに分けられ得るようにターゲットの寸法より(距離的に)短くなければならない。数多くの用途では、これは、3mから7.5mのパルス長さに等しい10から25nsの範囲内のパルス持続時間を必要とする。ターゲットの3D画像データが必要である場合、0.3mから1mの範囲内の空間分解能を提供するために、たとえば1nmから3nsの範囲内のより短いパルス持続時間がしばしば必要とされる。
h.レーザは、たとえば、長距離イメージングにおいて大気乱流によって引き起こされる画像劣化を最小限にするために、相対的に高い繰り返し率(1000Hz以上)で動作する。ポイントdにおいて留意されるように、これは、数10Hzで動作する標準的なレーザ源よりも、電力消費がかなり増大することを表している。
i)レーザは、低コストである。
【0037】
表1は、条件cを満たす知られている市販のさまざまなレーザタイプを示し、アクティブイメージング源に関して検討された基準とそれらの特性を比較している。
【0038】
【0039】
短いパルス、高い電気効率、および大きい線幅を同時に提供することができる低コストレーザが、現在存在していないことが分かる。これらの要件を満たすように思われるこれらおよび他のレーザの短いパルス、高い繰り返し率の例は存在し得るが、一般的に、これらは実験室レベルでの実証であり、手頃な価格で効率的な信頼高いパッケージとしてすぐに利用可能にはなり得ない。
【発明の概要】
【0040】
本発明は、上記で説明された観察システムにおいて使用するための改良されたアクティブイメージングシステムを提供するために考えられた。
【0041】
本発明の第1の態様によれば、アクティブイメージングシステムであって、ターゲットを含むシーンを光のパルスで照明するように各々が適合された、第1のレーザ照明器および第2のレーザ照明器と;第1のレーザ照明器から放出される光のパルスは、第2のレーザ照明器からの光のパルスと比較して、相対的に広いスペクトル線幅および相対的に長いパルス持続時間を有する;シーンによって反射された、第1のレーザ照明器と第2のレーザ照明器の両方からの光を受信するように配置されたカメラシステムと、ここにおいて、カメラシステムは、ターゲットを含むシーンの第1の画像を得るために第1のレーザ照明器からの戻りを受信するのに、相対的に長いゲート期間を使用し、シーン内のターゲットではない要素を選択的に排除したターゲットの第2の画像を得るために第2のレーザ照明器からの戻りを受信するのに、ターゲットの距離情報と共に相対的に短いゲート期間を使用するように適合される;第1の画像からターゲットではない要素を選択的に除去するためにテンプレートとして第2の画像を使用するように適合された画像処理手段とを備える、アクティブイメージングシステムが提供される。
【0042】
ポイントaからiにおいてリストされた要件を同時に満たすことは、従来技術の単一のレーザでは実行可能ではないことを認識して、本発明は、ターゲットの2つのソース画像のための画像データを得るために2つの照明器源を使用することによって、また、前景および背景クラッタを有さず、第1の画像によって提供されるターゲットの高い画像品質を備えるさらなる画像になるように画像データを合成するためにイメージング処理を使用することによって、理想的なレーザを複製する。
【0043】
そのより広い線幅により、より高い品質の画像、すなわちスペックルが少ない画像が、第2のレーザ照明器からの戻りよりも、第1のレーザ照明器からの戻りを使用して生み出され得る。第2の照明器のより短いパルス持続時間は、より良好なクラッタ除去、そして十分に短い場合はターゲットの3D画像詳細を可能にする。
【0044】
第1のレーザ照明器は、ターゲットの第1の画像、ひいては結果として得られる合成された画像が、大気乱流によって引き起こされるノイズをより少なく含むようにするために、第2のレーザ照明器と比較してより高い繰り返し率で動作してもよい。
【0045】
さらに有利には、広い線幅、短いパルス持続時間、および高い繰り返し率をレーザ単独で生み出す必要はないため、2つの比較的安価なレーザが使用可能であり、これらのレーザは、2つあるにも関わらず、すべての所望の特性を有する単一のレーザより、アクティブイメージングシステム内に実装するのに依然としてより安価であることができる。たとえば、システムは、(表1の)タイプBのレーザ、すなわち光パラメトリック発振器(OPO)付きQスイッチ式Nd:YAGを第1のレーザとして、タイプDのレーザ、すなわち複数の共パッケージ化された半導体レーザを第2のレーザとして備えてもよい。
【0046】
第1および第2のレーザ照明器の具体的な線幅および繰り返し率は、具体的な用途に応じて選択されるが、たとえば、第1のレーザ照明器は、少なくとも10nm、好適には少なくとも25nmの線幅で動作してもよい。第1のレーザ照明器は、結果として得られる画像内の大気ノイズを低減するために、少なくとも1kHz、好適には少なくとも2KHzの繰り返し率で動作してもよい。
【0047】
第2の画像内の大気ノイズは懸念することはない。第2のレーザ照明器は、1KHzを下回る、任意選択により100Hz未満の繰り返し率で動作してもよい。これにより、第2のレーザについては比較的高価でないレーザの選択が可能になる。
【0048】
第2のレーザは、数メートル以下程度のサイズでターゲットを解像するために20nm以下のパルス持続時間で動作してもよい。
【0049】
第2のレーザは、2nm以下の線幅で動作してもよい。
【0050】
レーザパルスエネルギーは、レーザ距離方程式に基づいて標準的な技術を使用して推定されてもよい。典型的には、これは、カメラ感度、ターゲット距離、ターゲットの反射性および偏光性、背景光、たとえば狭帯域フィルタ範囲内の太陽照明およびこの範囲外からの漏れ、レーザ分岐、受信開口サイズ、大気透過率、ならびにフィルタおよび他の光コンポーネント内の損失によって制御される。その結果、パルスエネルギーは、大きく変化することができる。実際的な経験により、短距離用途の1mJから長距離用途の100mJまでの範囲のパルスエネルギーが有用なパフォーマンスを提供することが提案されている。
【0051】
アクティブイメージングシステムは、異なる時間において第1および第2のレーザ照明器を動作させるように適合されてもよい。
【0052】
カメラシステムは、第1および第2の画像を得るために、第1および第2のレーザ照明器からの戻りをキャプチャするために単一のカメラを備えてもよい。代替的には、システムは、第1のレーザ照明器からの戻りをキャプチャするように適合された第1のカメラと、第2の照明器からの戻りをキャプチャするように配置された第2のカメラとを備えてもよい。
【0053】
第1および第2のレーザ照明器からの光のパルスは、実質的に同じ中心波長を有してもよい。代替的には、第1および第2のレーザ照明器からの光のパルスは、重複しない線幅を有する異なる中心波長のものであってもよい。
【0054】
第1および第2のレーザ照明器が異なる中心波長で動作する場合、システムは、2つのレーザからの戻りを、これらが異なるカメラに導かれ得るように空間的に分離するために、光要素、たとえばダイクロイックスプリッタを備えてもよい。
【0055】
1つのカメラが使用される場合、第1および第2のレーザ照明器が、同じ波長で動作し、戻りが時間多重化式にキャプチャされることが好適である。これにより、カメラを非常に狭帯域のフィルタに合わせることが可能になり、それによって、レーザ光に対するカメラの感度が増大され、たとえば他の発光源からの背景光が低減される。
【0056】
代替的には、第1および第2のレーザ指示装置が、両方の波長をキャプチャするように適合された単一のカメラと共に、またはレーザ照明器の1つからの戻りをキャプチャするように各々が配置された2つのカメラと共に異なる波長で動作する場合、パルスおよび戻りは、同時に検出されてもよい。
【0057】
このシステムは、1m未満程度の長さスケールでの空間分解能を提供するために、たとえば約2nsの第2のレーザ照明器のものより小さい持続時間の光パルスでシーンを照明するように適合された第3のレーザ照明器を備えてもよい。
【0058】
第3のレーザ照明器からの戻りは、第1または第2のカメラの1つによって、または第3のカメラによって受信されてもよい。
【0059】
次に、本発明は、以下の図を参照しながら例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図2】
図1の従来技術の観察システムのアクティブイメージングシステムの概略図。
【
図3】追加の詳細を示す、
図2のアクティブイメージングシステムの概略図。
【
図4】従来技術の変形のアクティブイメージングシステムの概略図。
【
図5】クラッタ除去のプロセスを示す従来技術の変形のアクティブイメージングシステムの概略図。
【
図6】バイスタティック配置の2つのレーザ照明器および単一のタイムゲートカメラを含むアクティブイメージングシステムの概略図。
【
図7】テンプレートとして第2の画像を使用して第1の画像内でターゲットを分離するためのフィルタ機能を適用するためのアルゴリズムを示す図。
【
図8】バイスタティック配置の2つの照明器および2つのタイムゲートカメラを備えるアクティブイメージングシステムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図6は、インターフェース110と、制御および処理サブシステム120と、アクティブイメージングサブシステム130とを備える観察システム100を示す。処理機能を備える制御および処理サブシステム120は、改良されたアクティブイメージングアルゴリズムを実行するように適合される。
【0062】
観察システム100はまた、典型的には、これまでに説明されたように各々が機能する、
図1のターゲット検出センササブシステムおよび粗トラッキングサブシステムを含む。
【0063】
アクティブイメージングサブシステム130は、コントローラ131と、第1のパルス式照明レーザ132と、第2のパルス式照明レーザ133と、第1の開口134と、第2の開口135と、プログラム可能な遅延136と、タイムゲートカメラ137とを備える。
【0064】
第1のレーザ132は、第2のレーザ133によって放出されるレーザパルスと比較して相対的に長い持続時間のレーザパルスを放出するように適合される。
【0065】
第1のレーザ132は、少なくとも2KHzの繰り返し率で動作するように適合される。第2のレーザ133は、2KHzを下回る、好適には1KHzを下回る、たとえば数100MHz未満の繰り返し率で動作するように適合される。
【0066】
動作において、それぞれの第1および第2のレーザ132、133からの光150、160のパルスは、第1の開口134を通してターゲット(図示されず)に導かれる。第2の別個の開口135は、シーンからの反射されたレーザ光150A、160Aを収集し、その光を、両方のレーザ132、133の戻り150A、160Aの波長を検出するように適合されたゲートカメラ137の焦点面アレイ(図示されず)上に導く。
【0067】
第1および第2のレーザの波長および線幅に適切な狭帯域フィルタ(図示されず)が、タイムゲートカメラ137の正面に配置される。
【0068】
第1および第2のレーザ132、133は、同じ中心波長または異なる中心波長を有する光のパルスを放出してもよい。第1および第2のレーザ132、133が同じまたは同様の波長のパルスを放出する場合、2つのレーザのパルスは、第2の開口135において同時に受信されないようにインターリーブ(時間多重化)される。パルスが異なる中心波長を有する場合、カメラが、スペクトル分離できず、スペクトル的に別々のパルスを受信するために異なるゲート時間を適用することができない限り、パルスをインターリーブ(時間多重化)することが、依然として通常好ましい。
【0069】
コントローラ131の制御下で動作するプログラム可能な遅延発生器136は、それぞれのレーザ132、133からの反射された光戻りを検出するためにタイムゲートカメラ137のゲートの開放にタイミングを合わせるために、いずれかのレーザ照明器132、133からの放出によってトリガされる。この遅延は、観察システム100に知られているターゲットまでの距離Lを使用して決定される。
【0070】
ゲート開放時間は、レーザ照明器パルス持続時間を使用して、ゲート開放時間の全持続時間を、これがパルス持続時間より長いことを確実にしながら最小限にするように導出される。したがって、ゲート開放時間は、第1のレーザ照明器132からの戻りを受信するときの方が、レーザ照明器133からの戻りを受信する場合よりも長い。
【0071】
コントローラ301は、第2のレーザ照明器133によって生成されたレーザパルスごとに、第1のレーザ照明器132によって生成された1つまたは複数のパルスが存在し得るように、レーザ132、133を動作させてもよい。
【0072】
各戻りからの検出された画像は、タイムゲートカメラ137から、コントローラ131を介して制御および処理サブシステム120に渡される。
【0073】
第2のレーザ133の相対的に短いパルス持続時間により、第2のレーザ2からの戻りから導出されたターゲットの画像(これ以後、第2の画像または複数の第2の画像と称される)は、シーン内に、背景および前景の特徴の情報をあったとしても比較的少なく含む。
【0074】
対照的に、第1のレーザ132からの戻りから導出されたターゲットの画像(これ以後、第1の画像または複数の第1の画像と称される)は、第1のレーザのより長いパルス時間により、シーンの背景および前景特徴の情報をより多く含む。しかし、第1のレーザの相対的に広いスペクトル線幅および高い繰り返し率により、第1の画像は、空間ノイズをより少なく含み、したがって第2のレーザからのものよりも高品質になり得る。
【0075】
制御および処理サブシステム120は、第2の画像内に現れていない、シーンのターゲットでない特徴を、1つまたは複数の第1の画像から削除またはフィルタリングするためにテンプレートとして第2の画像を使用するアルゴリズム200(
図7を参照)を実行するように適合された画像プロセッサ121を備える。
【0076】
当業者によく知られている光機械式設計の原理は、通常、第1の照明器が第2の照明器に、典型的にはレーザ発散角の1/5から1/20であり得る許容可能なレベルで共照準合わせされるように、標準的な技術を使用してシステムを構築し、位置合わせすることを可能にする。好適には、各照明器132、133は、通常の光機械許容値、たとえばレーザ発散角の1/5内で同じ発散角および方向を有さなければならない。ここでも、これを達成するための標準的な技術は、知られており、必要とされる精度に到達可能である。さらに、ターゲット上の照明スポットが明確に見えるため、カメラ自体が、実際にこの位置合わせが達成されているかを確認する。
【0077】
各照明器レーザの発射時間は、これまで説明されたように、反射された光がカメラ137に、これが開いている間に到達することを確実にするために、カメラのゲート時間に同期される。ゲート時間は、各照明器について異なっていてもよい(通常、第1の照明器132の方が第2の照明器133より長い)。ゲート開放前の各レーザ132、133の適切な発射時間は、レーザレンジファインダから導出された、ターゲットまでの知られている距離から算出される。
【0078】
図7は、例示的なアルゴリズムを示す。具体的なケースが考えられ、ここでは、maxsの第1の照明器パルスが存在し、ここでmaxsは、maxnの1ごとに1以上であり、maxnは、1以上の第2の照明器パルスであり、それによってmaxnとmaxsのパルスを掛け合わせるシーケンスを生み出す。通常、maxsはmaxnより大きい。
【0079】
ループ1の開始時、システムは、第2のレーザ照明器133、B(n=1)を使用して画像を取得する。画像処理機能が、いくつかの可能な画像処理技術を使用してこの画像をテンプレートTB(n=1)に変換するために呼び出される。
【0080】
テンプレート、TB(n=1)を取得した後、第1のレーザ照明器132を使用して一連のmaxs画像が取得され、背景および前景を除去するためにTB(n=1)を使用して処理され、次いで、画像として出力される。
【0081】
レーザ照明器1を使用して一連のmaxs画像を完成させた後、第2のレーザ照明器2の画像が取得され、次のmaxs画像を処理するために使用されるTB(n=2)に変換され、その後同様に続けられる。
【0082】
このアルゴリズムを実施するために、画像プロセッサ121は、テンプレート発生器122およびフィルタ123の機能を備える。
【0083】
テンプレート発生器122は、ターゲットを含むシーンのアクティブイメージングサブシステム130から第2の画像200を受信し、テンプレート250を作成するようにこの画像を処理するように適合される。このプロセスの例示的な方法は、第2の画像の各ピクセルに1または0の値を割り当てることを備える。意味のある値を保持する各ピクセルには、値1が割り当てられ、予想される背景ノイズ以外の値を実質的に保持しない各ピクセルには値0が割り当てられる。結果として得られるテンプレート250は、したがって、ターゲットのシルエットとして考えられ得る。
【0084】
テンプレート250は、フィルタ123に出力される。フィルタ123は、テンプレート250とのピクセル乗算によって、第1のレーザ照明器312によって生成された同じシーンの対応する第1の画像300を処理する。このプロセスは、値0を有するテンプレート250のピクセルにマッピングした第1の画像300のすべてのピクセルの値をゼロにし、それによって、出力された画像400内にターゲットのみを残すように第1の画像300からすべての背景および前景クラッタを除去する。このプロセスは、テンプレート250のシルエット内に含まれるピクセルの値には影響を与えず、したがって、結果として得られる画像400は、第1の画像300の高品質を保持する。
【0085】
ここで概説される具体的なテンプレート作成プロセスは、説明のためにすぎず、たとえばエッジ検出プロセスを含む、画像の対を操作するいくつかの他の方法が使用されてもよい。
【0086】
処理に続いて、背景および前景が除去された最終画像400が、インターフェース110を介して、たとえば人ユーザまたは自律システムに出力される。
【0087】
図8は、アクティブイメージングサブシステムの変形アーキテクチャを示す。この変形は、これが第1のプログラム可能な遅延136および第2のプログラム可能な遅延136’と、第1のタイムゲートカメラ137および第2のタイムゲートカメラ137’とを備える点において、
図6の実施形態とは異なる。
【0088】
第1のレーザ照明器132および第2のレーザ照明器133の波長は異なり、それらの線幅は重複しない。
【0089】
第1のレーザ132からの放出の小部分が、第1のプログラム可能な遅延136によって受信され、第2のレーザ133からの放出の小部分が、第2のカメラ137’のゲート開放時間を設定するために第2のプログラム可能な遅延136’によって受信される。
【0090】
第2の開口135において受信された2つのレーザ132、133からの反射された戻り150A、160Aは、第2のレーザ照明器133の波長用の高い反射性と、第1のレーザ照明器132の波長用の高い透過率とを有する鏡138に導かれる。これは、第1のレーザ照明器132からの戻り150Aが第1のカメラ137において受信され、第2のレーザ照明器133からの戻り160Aが第2のカメラ137’によって受信されるように、戻りを分割する。
【0091】
この配置により、戻り150A、160Aが同時に受信されるように、第1および第2のレーザ照明器132、133が同時に発射することが可能になる。
【0092】
1つまたは複数のフィルタ(図示されず)が、鏡138において受信された光を第1および第2のレーザ照明器132、133の波長に制限するために含まれてもよい。
【0093】
良好なフィルタリングを提供するために、各カメラ137、137’のピクセル間の位置合わせが知られていなければならない。たとえば、第1のタイムゲートカメラにおけるピクセルサイズが第2のタイムゲートカメラの場合よりも小さい場合、ピクセルの数およびサイズは、補間法または他の標準的な画像処理技術を使用して修正された画像を作成することによって、等しくされ得る。
【0094】
第1のタイムゲートカメラおよび第2のゲートカメラから導出された画像は、第1のゲートカメラから導出された画像を処理するために使用されるテンプレートを第2のレーザ照明器2の戻りから生成するように、前述されたようなやり方で処理される。
【0095】
第1のゲートカメラ137のFoVが第2のタイムゲートカメラ137’のFoVに許容可能な程度で重複することを確実にすることは、当業者によく知られている設計原理を使用して達成され得る。カメラ間のピクセルサイズが異なる場合、各タイムゲートカメラ上の等しいピクセルが定められ得るようにデータを補間するために、光または処理技術が使用されてもよい。最後に、第1のゲートカメラ内のピクセルが第2のタイムゲートカメラ内のどのピクセルに対応するかをシステムが知ることを確実にする必要がある。これは、受動的位置合わせによって一貫的に達成されにくいため、アクティブ共照準合わせプロセスを使用する必要があり得る。たとえば、2つのタイムゲートカメラがシーンを受動的に見て、ピクセル対ピクセルの関係の正確なマップを導出するのに適切な特徴を相関付け得るような例が知られている。
【国際調査報告】