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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】統合型積層造形装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/209 20170101AFI20240201BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20240201BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240201BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240201BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240201BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240201BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20240201BHJP
   B29C 64/357 20170101ALI20240201BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20240201BHJP
   A61J 3/06 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B29C64/209
B29C64/118
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B33Y80/00
B29C64/393
B29C64/357
B29C64/106
A61J3/06 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547199
(86)(22)【出願日】2022-02-03
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 GB2022050281
(87)【国際公開番号】W WO2022167799
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】2101534.2
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598097622
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ストラスクライド
【氏名又は名称原語表記】University of Strathclyde
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】アリ アハメド アンワー
(72)【発明者】
【氏名】ギャヴィン ウィリアム ハルバート
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ロバートソン
【テーマコード(参考)】
4C047
4F213
【Fターム(参考)】
4C047CC15
4C047LL09
4F213AC01
4F213AC04
4F213AR02
4F213AR06
4F213AR14
4F213WA25
4F213WB01
4F213WF51
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL74
4F213WL85
(57)【要約】
組成物(111)を分注するよう構成される分注装置(200)は、組成物(111)を受け入れるように構成される少なくとも1つの入口(251)と、前記組成物(111)を分注するように構成される少なくとも1つの出口(252)と、前記少なくとも1つの入口(251)と前記少なくとも1つの出口(252)と間に位置する少なくとも1つの指向性フローバルブ(250)と、及びそれぞれの指向性フローバルブ(250)に流体連通する少なくとも1つの調節モジュール(260)を備え、前記少なくとも1つの調節モジュール(260)は、少なくとも1つの出口(252)への前記組成物(111)の流れを制御及び/又は調節されるように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物を分注するように構成された分注装置であって、
医薬組成物を受けるように構成される少なくとも1つの入口と、
前記組成物を分注するように構成される少なくとも1つの出口と、
前記少なくとも1つの入口と前記少なくとも1つの出口との間に位置する少なくとも1つの指向性フローバルブと、及び
それぞれの指向性フローバルブに流体連通して、少なくとも1つの出口への前記組成物の流れを制御及び/又は調節するように構成される少なくとも1つの調節モジュールと、
を備える、分注装置。
【請求項2】
請求項1に記載の分注装置において、前記調節モジュールは容積調節モジュールである、分注装置。
【請求項3】
医薬組成物を分注するように構成された分注装置であって、
医薬組成物を受けるように構成される少なくとも1つの入口と、
前記組成物を分注するように構成される少なくとも1つの出口と、
前記少なくとも1つの出口への前記組成物の流れを容積形で制御及び/又は調節するように構成される少なくとも1つの容積調節モジュールと、
を備える、分注装置。
【請求項4】
請求項3に記載の分注装置において、さらに、前記少なくとも1つの入口と前記少なくとも1つの出口との間に位置する少なくとも1つの指向性フローバルブを備え、また前記少なくとも1つの容積調節モジュールは、それぞれの指向性フローバルブに流体連通する、分注装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の分注装置であって、前記少なくとも1つの入口は、前記組成物を溶融状態で供給するように構成される供給装置と流体連通するように配置される、分注装置。
【請求項6】
請求項5に記載の分注装置において、前記供給装置は押出装置を含む、分注装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の分注装置において、前記少なくとも1つの出口は、造形装置又は該造形装置の一部に流体連通するように配置される、分注装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の分注装置において、前記少なくとも1つの指向性フローバルブは、入口/前記入口と出口/前記出口との間での前記組成物の流路を制御するように構成される、分注装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の分注装置において、前記指向性フローバルブ又は前記指向性フローバルブの各々は複数の構成を有する、分注装置。
【請求項10】
請求項9に記載の分注装置において、前記指向性フローバルブ又は前記指向性フローバルブの各々は、前記入口又はそれぞれの入口から前記調節モジュール又はそれぞれの調節モジュールへ前記組成物が流れることを可能にする第1構成すなわち「送給」構成と、前記調節モジュール又はそれぞれの調節モジュールから前記出口又はそれぞれの出口へ前記組成物が流れることを可能にする第2構成すなわち「分注」構成を有する、分注装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の分注装置において、前記指向性フローバルブ又は前記指向性フローバルブの各々は、前記入口/入口から再循環出口への前記組成物の流れを可能にするように構成される第3構成すなわち「再循環」構成を有し、前記再循環出口は、前記供給装置の供給入口に流体連通する、又は関連付けられる、分注装置。
【請求項12】
請求項9~11のいずれかに記載の分注装置において、前記指向性フローバルブ又は前記指向性フローバルブの各々は、前記入口から排出ポートへの前記組成物の流れを可能にするように構成される第4構成すなわち「排出」構成を有する、分注装置。
【請求項13】
請求項9~12のいずれかに記載の分注装置において、前記分注装置内部での前記組成物の流れを妨げるように構成される第5構成すなわち「閉鎖」構成を有する、分注装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の分注装置において、前記調節モジュール又は前記調節モジュールの各々は、前記組成物を受けるように構成されるチャンバを備える、分注装置。
【請求項15】
請求項14に記載の分注装置において、前記チャンバは、それぞれの指向性フローバルブと流体連通するチャンバ入口を有する、分注装置。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の分注装置において、前記調節モジュール又は前記調節モジュールの各々は、前記チャンバへの前記組成物の充填、及び/又は、前記チャンバからの前記組成物の分注を作動させるように構成される調節アクチュエータを含む、分注装置。
【請求項17】
請求項14~16のいずれかに記載の分注装置において、前記調節モジュール又は前記調節モジュールの各々は、1つ以上の圧力センサ及び/又は温度センサを含む、分注装置。
【請求項18】
請求項14~17のいずれかに記載の分注装置において、前記調節モジュール又は前記調節モジュールの各々は、前記調節モジュールの構成及び/又は前記調節アクチュエータの位置を検出するように構成される少なくとも1つの位置決めセンサを含む、分注装置。
【請求項19】
請求項14~18のいずれかに記載の分注装置において、該分注装置は、前記組成物の1つ以上のパラメータを監視及び/又は分析する分析手段を備える、又は関連付けられる、分注装置。
【請求項20】
固体医薬剤形を製造するシステムであって、
医薬組成物を供給するように構成される少なくとも1つの供給装置と、
少なくとも1つの造形装置又はその一部と、及び
前記少なくとも1つの供給装置と前記少なくとも1つの造形装置又はその一部との間に設けられる請求項1~19のいずれかに記載の少なくとも1つの分注装置と、を備える、システム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムにおいて、前記供給装置は、前記組成物を溶融状態で供給するように構成される押出装置を含む、システム。
【請求項22】
医薬組成物を分注する方法であって、
少なくとも1つの入口から少なくとも1つの指向性フローバルブを介して少なくとも1つの調節モジュールへ流れる医薬組成物を受け入れるステップと、
前記少なくとも1つの調節モジュールから前記少なくとも1つの指向性フローバルブを介して前記少なくとも1つの出口へ流れる前記組成物を分注するステップと、
を備える、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記少なくとも1つの調節モジュールを介して少なくとも1つの出口への前記組成物の流れを制御及び/又は調節するステップを備える、方法。
【請求項24】
医薬組成物を分注する方法であって、
少なくとも1つの入口から少なくとも1つの容積調節モジュールへ流れる医薬組成物を受け入れるステップと、及び
前記少なくとも1つの容積調節モジュールから少なくとも1つの出口へ流れる前記組成物を容積形で分注するステップと、
を備える、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、前記少なくとも1つの入口から少なくとも1つの指向性フローバルブを介する前記少なくとも1つの容積調節モジュールへの前記組成物の流れを受け入れるステップと、及び
前記少なくとも1つの容積調節モジュールから前記少なくとも1つの指向性フローバルブを介する前記少なくとも1つの出口への前記組成物の流れを分注するステップと、を備える、方法。
【請求項26】
請求項24又は25に記載の方法であって、前記容積調節モジュールを介する少なくとも1つの出口への前記組成物の流れを制御及び/又は調節するステップを備える、方法。
【請求項27】
固体医薬剤形を製造する方法であって、請求項1~19のいずれかに記載の分注装置、請求項20~21のいずれかに記載のシステム、若しくは請求項22~26のいずれかに記載の方法を用いて、医薬組成物を造形装置及び/又は造形プラットフォームへ分注するステップを備える、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法を用いて製造される固体医薬剤形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組成物を分注する装置に関し、またとくに限定しないが、例えば、積層造形によって医薬組成物を分注して固体医薬剤形を調製する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積層造形(AM)は、様々な材料を使用して材料を層ごと(すなわち、付加的に)材料を造形(プリント)することによって3D物体を構築する技術を表す名称である。AM及び3D造形(プリンティング)は広く同義的に用いられている。とはいえ前者が広くてすべてを含む用語である一方、後者は特に材料の層を構築することによる物体の生成を含む。積層造形は、材料の付加による物体の生成を含み、材料の付加は層単位であってもよいし、層単位でなくてもよい。
【0003】
3Dプリンタは一般的に、個々の部品の3次元的な動きと所望の形態を生成する材料の流れをも制御するコンピュータに基づくシステムを用いて操作される。フィラメント溶解製法(FFF)プリンタは、材料が貫流する内蔵の加熱プリンタヘッドでこの方法を利用する。その材料は、(固有の寸法及び機械的特性を有する)固体フィラメントとして送給され、加熱及び融解されることで移動するので、その材料はノズルを貫流することが可能となる。ノズルを出る材料は、表面上に順次層ごとに堆積される。その表面上では、その材料は3D物体を作製するように固化する。
【0004】
最近の開発は、経口剤形薬のような医薬製品を作製するのにFFFプリンタを用いるようになってきた。しかしこの方法は、錠剤(又は他の剤形)を造形できるようにするため、薬剤装荷フィラメントの予調製を必要とし、その予調製は、最初にフィラメントを作製してその後そのフィラメントを3Dプリンタに送給することを必要とする。初期の仕事は、薬剤溶媒溶液中に浸漬された予作成フィラメント、及び、その浸出によるフィラメントへの薬剤堆積を利用した。より最近の取り組みは、加熱溶融押出法(HME:Hot Melt Extrusion)を用いてきた。一般的にはポリマーと医薬品有効成分(API:Active Pharmaceutical Ingredient)の混合物が押出機へ送給され、次にその混合物は続いて加熱され、混錬され、搬送され、かつダイを介して流体として押し出され、その後固体フィラメントを形成するように冷却される。フィラメントは3Dプリンタ内へ送給され、この3Dプリンタでフィラメントは再加熱されて3D物体、例えば錠剤の形態として堆積される。ツァン(Zhang)氏らによる非特許文献1を参照のこと。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Zhang氏ら、「Coupling 3D Printing with Hot-Melt Extrusion to Produce Controlled-Release Tablets」,国際薬学誌、第519巻、pp. 186-197 、2017年
【非特許文献2】Hanpin Lim, Stephen W Hoag., Plasticizer Effects on Physical-Mechanical Properties of Solvent Cast Soluplus(登録商標) フィルム、2013年5月、AAPS PharmSciTech
【非特許文献3】「Improving Consistency for a Mefenamic Acid Immediate Release Formulation」、Elke Prasad John Robertson & Gavin W.Halbert、Journal of Pharmaceutical Sciences、第109巻、第11号、2020年11月、ページ3462-3470
【非特許文献4】「Effect of Sorbitol Plasticizer on the Structure and Properties of Melt Processed Polyvinyl Alcohol Films」Huafeng Tian, Di Liu, Yuanyuan Yao, Songbai Ma, Xing Zhang, Aimin Xiang.を参照)。J Food Sci. 2017 Dec; 82(12):2926-2932.)
【発明の概要】
【発明が解決しようする課題】
【0006】
そのような技術の主な制約の一つは、フィラメントへの薬剤装荷は非常にわずかな量しかできないことである。HMEに基づく方法(その方法によってフィラメント中間体が作製される)では、FFF 3Dプリンタが動作して、かつ、堆積速度を制御できるようにするようにフィラメントは、極めて高い特異性、及び特別な寸法特性(特に直径)を有することを必要とする。さらにフィラメントは、たとえば脆性破壊による破断又は柔らかすぎる結果としての変形を起こすことなくFFFプリンタを経て送給できるように、極めて高い機械的特異性を有しなければならない。これらの欠点は、これらの技術を利用する際の顕著な制約となることを意味する。形成されたフィラメントはまた、経時的な使用を可能にするために適切な安定特性を有する必要もある。
【0007】
これらの制約の結果、薬剤装荷及び医薬製剤成分(特にポリマー)の選択は制限される。なぜなら最終的な製剤は、基本ユニットの操作にわたり処理中に受ける制約によって駆動されるからである。本発明の目的は、従来技術に係る複数の問題のうちの少なくとも1つを対処又は軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様によると、組成物を分注するように構成された分注装置が提供され、当該分注装置は、
組成物を受けるように構成される少なくとも1つの入口と、
前記組成物を分注するように構成される少なくとも1つの出口と、
前記少なくとも1つの入口と前記少なくとも1つの出口との間に位置する少なくとも1つの指向性フローバルブと、及び
それぞれの指向性フローバルブに流体連通して、少なくとも1つの出口への前記組成物の流れを制御及び/又は調節するように構成される少なくとも1つの調節モジュールを備える。
【0009】
有利には前記調節モジュールは、容積調節モジュールであってよい。そのよう設けることによって、前記調節モジュールは、前記少なくとも1つの出口への前記組成物の流れを容積形で制御及び/又は調節することが可能となる。
【0010】
第2態様によると、組成物を分注するように構成される分注装置が供される。当該分注装置は、
組成物を受けるように構成される少なくとも1つの入口と、
前記組成物を分注するように構成される少なくとも1つの出口と、
前記少なくとも1つの出口への前記組成物の流れを容積形で制御及び/又は調節するように構成される容積調節モジュールを備える。
【0011】
当該装置は、前記少なくとも1つの入口と前記少なくとも1つの出口との間に位置する少なくとも1つの指向性フローバルブをさらに備えることができる。前記少なくとも1つの調節モジュールは、それぞれの指向性フローバルブと流体連通できる。
【0012】
当業者は、以下の特徴は本開示の第1態様又は第2態様のいずれにも等しく適用可能であり、簡明を期すために各々の態様では繰り返さないことを理解する。
【0013】
典型的には前記少なくとも1つの入口は、前記組成物を流体状態-典型的には液体状態及び/又は溶融状態-で受けるように構成され得る。
【0014】
前記少なくとも1つの入口は、前記組成物を供給するように構成される供給装置と流体連通するように配置され得る。典型的には前記供給装置は、前記組成物を液体状態、たとえば溶融状態又は可溶化状態で供給するように構成され得る。
【0015】
前記供給装置は、製造装置、たとえば前記組成物を溶融状態で調製及び/又は供給するように構成される装置であり得る。前記供給装置は、押出装置、たとえば押出機であり得る。これは特に、前記組成物が医薬組成物であるときに特に有利となり得る。たとえばこれは、医薬組成物のフィラメントの予調製の必要性を回避することができ、この予調製には、前記フィラメントの機械的特性、フィラメントの寸法、及び前記フィラメント中のAPIの量/濃度に関する上述の制約が付随する。たとえば当該装置は、これまで可能であったよりもポリマー/賦形剤に対するAPIの割合が大きい様々な剤形の医薬組成物の造形及び/又はより広範な製剤成分の使用を可能にし得る。
【0016】
典型的には当該装置は1つの入口を備えてよい。
【0017】
前記少なくとも1つの出口は、前記組成物を流体状態、典型的には液体状態及び/又は溶融状態で分注するように構成され得る。
【0018】
前記少なくとも1つの出口は、造形装置又はその一部、たとえば3Dプリンタ又は3Dプリンタのプラットフォームと流体連通するように配置され得る。
【0019】
よって当該装置は、押出装置と造形装置又はその一部との間に設けられるように配置され得る。
【0020】
当然のことながら、前記造形装置は、造形ヘッド又はノズル及び造形プラットフォームのような複数の別個の部分で設けることができる。そのような場合、当然のことながら、前記造形装置の部分、たとえば造形ヘッド及び/又はノズルは、前記分注装置内に設ける、又は前記分注装置内に組み込むことができる。
【0021】
前記分注装置は、システム、たとえば集積システムの一部を構成し得る。当該システムは、
少なくとも1つの供給装置と、
少なくとも1つの造形装置又はその一部と、及び
前記少なくとも1つの供給装置と前記少なくとも1つの造形装置又はその一部との間に設けられる少なくとも1つの分注装置と、
を備える。
【0022】
当該システムは、典型的には1つの供給装置、たとえば押出装置を備え得る。そのような場合では、前記分注装置は1つの入口を備え得る。
【0023】
当該システムは複数の供給装置、たとえば押出装置を備え得る。そのような場合では、前記分注装置は複数の入口を備え得る。たとえば各入口はそれぞれの供給装置、たとえば押出装置に関連付けられる。
【0024】
当該システムは1つの造形装置又はその一部を備える。そのような状況では、前記分注装置は1つの出口を備え得る。
【0025】
当該システムは複数の造形装置又はその一部を備える。そのような状況では、1つ以上の分注装置を設けることができる。各分注装置は1つ以上の出口を備え得る。ある実施形態では、分注装置は、それぞれの造形装置に関連付けられる、及び/又は流体連通する1つの出口を備え得る。他の実施形態では、分注装置は複数の出口を備え得る。各出口は、それぞれの造形装置に関連付けられる、及び/又は流体連通する。
【0026】
前記分注装置は1つ以上の指向性フローバルブを備え得る。
【0027】
前記分注装置が1つの指向性フローバルブを備えるとき、前記分注装置は典型的には、前記指向性フローバルブと流体連通する1つの出口と、前記指向性フローバルブと流体連通する1つの調節モジュールを備え得る。
【0028】
そのような状況では、前記分注装置は典型的には、前記指向性フローバルブと流体連通する1つの出口を備え得る。しかし前記分注装置はその代わりに、前記指向性フローバルブと流体連通する複数の出口を備え得る。各出口は、それぞれの造形装置に関連付けられるように構成され得る。そのような状況では、前記分注装置は、単一の調節モジュールから複数の3Dプリンタに同時に送給するように構成することができ、このことは、低体積の医薬剤形を造形するのに適し得る
【0029】
前記分注装置が複数の指向性フローバルブを備えるとき、前記分注装置は、典型的には、前記指向性フローバルブと流体連通する1つの入口を備える、又は各々がそれぞれの指向性フローバルブと流体連通する複数の入口を備えることができる。
【0030】
前記分注装置が複数の指向性フローバルブを備えるとき、前記分注装置は典型的には、各々がそれぞれの指向性フローバルブと流体連通する複数の出口を備え得る。各出口は典型的には、それぞれの造形装置に関連付けられるように構成され得る。そのような状況では、前記分注装置は、互いに独立して、あるいは互いに結合して複数の3Dプリンタに送給するように構成することができ、それにより物体の調製、たとえば医薬剤形の連続的、準連続的、又はバッチ的な3D造形が可能となる。
【0031】
たとえばある実施形態では、調節モジュールは、それぞれの指向性フローバルブ、及び、それぞれの造形装置又はその一部に接続されるように構成されるそれぞれの入口に関連付けられ得る。そのような状況では、各調節モジュールは、組成物をそれぞれの出口及びそれぞれの造形装置へ分注するように構成され得る。それにより前記造形装置からの複数の層を造形することによって剤形を造形することが可能となる。
【0032】
たとえば他の実施形態では、調節モジュールは、それぞれの指向性フローバルブ、及び、それぞれの造形装置又はその一部に接続されるように構成されるそれぞれの入口に関連付けられ得る。しかしコンベヤシステムが、各層の間で一の造形装置から他の造形装置への用量形態の移動を可能にし得る。よって剤形の各層は、特定の造形装置によって造形され得る。
【0033】
前記分注装置は1つ以上の調節モジュールを備えてよい。
【0034】
前記分注装置が1つの調節モジュールを備えるとき、前記分注装置は典型的には、前記調節モジュールと流体連通する1つの指向性フローバルブを備え得る。
【0035】
前記分注装置が複数の調節モジュールを備えるとき、前記分注装置は典型的には、複数の指向性フローバルブを備え得る。各調節モジュールはそれぞれの指向性フローバルブと流体連通する。
【0036】
入口(複数可)、出口(複数可)、指向性フローバルブ(複数可)、及び/又は調節モジュール(複数可)の個数並びに構成に依存して、前記組成物は、前記分注装置によって連続的に、準連続的に、又はバッチ的に分注され得る。よって前記分注装置が1つ以上の造形装置に関連付けられるとき、当該装置及び/又はシステムは、組成物、たとえば医薬組成物の造形たとえば3D造形を連続的に、準連続的に、又はバッチ的に行うことを可能にし得る。
【0037】
前記指向性フローバルブは、入口と出口との間に設けられ得る。前記調節モジュール-容積調節モジュール-は、それぞれの指向性フローバルブと流体連通し得る。
【0038】
有利には、前記指向性フローバルブは、入口と出口との間で前記組成物の流路を制御するように構成され得る。
【0039】
指向性フローバルブは複数の構成を有し得る。
【0040】
指向性フローバルブは少なくとも、第1構成すなわち「送給(feed)」構成及び第2構成すなわち「分注(dispense)」構成を有し得る。
【0041】
指向性フローバルブは、入口から調節モジュールへ前記組成物が流れることを可能にする第1構成すなわち「送給」構成を有し得る。前記第1構成すなわち「送給」構成では、前記指向性フローバルブは、調節モジュールの充填を可能にし得る。
【0042】
指向性フローバルブは、調節モジュールから出口へ前記組成物が流れることを可能にする第2構成すなわち「分注」構成を有し得る。前記第2構成すなわち「分注」構成では、前記指向性フローバルブは、調節モジュールに前記組成物を調節モジュールから出口へ分注させることを可能にし得る。
【0043】
典型的には前記第1構成すなわち「送給」構成と前記第2構成すなわち「分注」構成は相互背反であってよい。つまり前記組成物は、それぞれの入口からそれぞれの調節モジュールへ、又は、それぞれの調節モジュールからそれぞれの出口へのいずれかを流れ得る。
【0044】
あるいはその代わりに前記第1構成すなわち「送給」構成と前記第2構成すなわち「分注」構成は組み合わせ可能であり、たとえば相互に排他的でなくてよい。つまり前記組成物は、それぞれの入口からそれぞれの調節モジュールへ流れ、かつ、それぞれの調節モジュールからそれぞれの出口へも流れ得る。そのような状況では、前記分注装置は、前記指向性フローバルブを介して入口から前記調節モジュールへの前記組成物の流れを可能にし、かつ、前記指向性フローバルブを介して前記調節モジュールから出口への前記組成物の流れをも可能にし得る。
【0045】
指向性フローバルブは随意的に、入口から再循環出口への前記組成物の流れを可能にするように構成される第3構成すなわち「再循環」構成を有し得る。前記再循環出口は、押出装置の供給用入口と流体連通するか、あるいは関連付けられるように構成され得る。そのように設けることによって、たとえば前記組成物の1つ以上の特性(たとえば圧力、温度、均一度、及び/又は粘度)が最適ではないとき、かつ/あるいは、前記調節モジュールの充填が必須でも望ましくもないときには、前記組成物は前記押出装置へ流入するように再循環可能となる。
【0046】
指向性フローバルブは、随意的に、前記入口から排出ポートへの前記組成物の流れを可能にするように構成される第4構成すなわち「排出」構成を有し得る。(複数の)前記排出ポートは、前記入口の導管及び/又は前記指向性フローバルブと流体連通し得る。そのように設けることによって、たとえば前記組成物の1つ以上の特性(たとえば圧力、温度、均一度、及び/又は粘度)が最適ではないとき、かつ/あるいは、前記調節モジュールの充填が必須でも望ましくもないときには、前記組成物は前記分注装置から排出可能となる。
【0047】
指向性フローバルブは随意的に、前記分注装置内部での前記組成物の流れを妨げるように構成される第5構成すなわち「閉鎖」構成を有し得る。換言すると前記第5構成すなわち「閉鎖」構成では、前記組成物は前記入口(複数可)から出口(複数可)へ流れることができない。
【0048】
当然のことながら、前記指向性フローバルブは、当該システムの構成及び要件に応じて、前記第3構成、前記第4構成、及び前記第5構成のうちの1つ、2つ、すべてを有してよい、又はいずれも有さなくてもよい。
【0049】
前記入口と指向性フローバルブとの間に注入導管を設けることができる。
【0050】
前記分注装置が1つの入口と1つの指向性フローバルブを備えるとき、前記1つの入口と前記1つの指向性フローバルブとの間に1つの注入導管を設けることができる。
【0051】
前記分注装置が1つの入口と複数の指向性フローバルブを備えるとき、前記入口とそれぞれの指向性フローバルブとの間に注入導管を設けることができる。
【0052】
前記分注装置が複数の入口と複数の指向性フローバルブを備えるとき、各々は入口とそれぞれの指向性フローバルブとの間に位置する複数の注入導管を設けることができる。
【0053】
指向性フローバルブと出口との間に出口導管を設けることができる。
【0054】
前記分注装置が1つの出口と1つの指向性フローバルブを備えるとき、出口導管を前記指向性フローバルブと出口との間に設けることができる。
【0055】
前記分注装置が1つの指向性フローバルブと複数の出口を備えるとき、各々は前記指向性フローバルブとそれぞれの出口との間に位置する複数の出口導管を設けることができる。
【0056】
前記分注装置が複数の出口と複数の指向性フローバルブを備えるとき、各々は各指向性フローバルブとそれぞれの出口との間に位置する複数の出口導管を設けることができる。
【0057】
指向性フローバルブと調節モジュールとの間に調節導管を設けることができる。
【0058】
前記分注装置が1つの指向性フローバルブと1つの調節モジュールを備えるとき、前記指向性フローバルブと前記調節モジュールとの間に調節導管が設けることができる。
【0059】
前記分注装置が複数の指向性フローバルブと調節モジュールを備えるとき、各々は各指向性フローバルブとそれぞれの調節モジュールとの間に位置する複数の調節導管を設けることができる。
【0060】
随意的に、再循環導管は入口と再循環出口との間、又は、指向性フローバルブと再循環出口との間に設けることができる。
【0061】
随意的に、排出導管が入口と排出ポートとの間、又は、指向性フローバルブと排出ポートとの間に設けることができる。
【0062】
指向性フローバルブは、アクチュエータを備える、又はアクチュエータに関連付けることができる。前記アクチュエータは、動力手段、たとえばモータ-と、前記モータがそれぞれのフローバルブを作動させることを可能にするアクチュエータ、たとえばシャフトを備えることができる。指向性フローバルブは、該バルブの作動を制御するように構成されるそれぞれのバルブ制御手段を含む、又は関連付けることができる。たとえば前記バルブ制御手段は、それぞれのフローバルブを所望の構成に移動させるようにそれぞれのモータを作動させるように構成され得る。
【0063】
前記バルブ制御手段は、たとえばユーザによって手動で制御されてよい。代わりに又は加えて前記バルブ制御手段は、たとえば前記分注装置において測定される1つ以上のパラメータ、たとえば圧力、温度、粘度、ピストンの位置等に基づいて、たとえばコンピュータによって自動で制御されてよい。
【0064】
調節モジュールは、前記組成物を受けるように構成されるチャンバを備えてよい。
【0065】
前記チャンバは、それぞれの指向性フローバルブ及び/又は調節モジュール導管と流体連通するチャンバ入口を有し得る。
【0066】
前記調節モジュールは、前記チャンバへの前記組成物の充填、及び/又は、前記チャンバからの前記組成物の分注を作動させるように構成される調節アクチュエータを有することができる。
【0067】
前記調節アクチュエータは、ピストン又はスクリューを含むか、あるいはピストン又はスクリューであってよい。前記調節アクチュエータは、モータ、たとえばピストン駆動モータ-によって操作され得る。
【0068】
前記調節アクチュエータは、前記調節モジュールの作動を制御するように構成されるそれぞれの調節制御手段を含む、又は調節制御手段に関連付けることができる。たとえば前記調節制御手段は、それぞれのアクチュエータ-ピストン-を移動させるようにモータ、たとえばピストン駆動モータを作動させるように構成され得る。
【0069】
前記調節制御手段は、たとえばユーザによって手動で制御されてよい。代わりに又は加えて前記調節制御手段は、たとえば前記分注装置において測定される1つ以上のパラメータ、たとえば圧力、温度、組成物の均一度、及び/又は粘度、ピストンの位置等に基づいて、たとえばコンピュータによって自動で制御されてよい。
【0070】
前記チャンバの容積は、前記チャンバ入口とは反対側の前記チャンバの端部で前記ピストンの端部によって部分的に画定され得る。
【0071】
前記分注装置は1つ以上のセンサを備え得る。
【0072】
前記分注装置は1つ以上の温度センサを備えることができる。前記分注装置は、入口に又は入口近傍に、たとえば入口導管に沿って設けられる少なくとも1つの圧力センサを備えることができる。
【0073】
前記分注装置は1つ以上の温度センサを備えることができる。前記分注装置は、入口又は入口近傍に、たとえば入口導管に沿って設けられる少なくとも1つの温度センサを備えることができる。
【0074】
前記分注装置は、調節モジュール入口、又は入口近傍に、たとえば調節モジュール導管に沿って及び/又は調節チャンバ又はその近傍に設けられる少なくとも1つの温度センサを備えることができる。
【0075】
前記分注装置は、出口又は出口近傍に、たとえば出口導管に沿って-に設けられる少なくとも1つの温度センサを有することができる。
【0076】
前記分注装置は、前記調節モジュールの構成及び/又は前記調節アクチュエータ、たとえばそれぞれのチャンバ内でのピストンの位置を検出するように構成される少なくとも1つの位置決めセンサを備えることができる。
【0077】
前記分注装置は、前記組成物の1つ以上のパラメータ、たとえば粘度、均一度、化学組成物等を監視及び/又は分析する分析手段、たとえばプロセス解析装置(PAT)又は分光装置のような分析装置を備える、及び/又は分析手段に関連付けることができる。
【0078】
前記バルブ制御手段、調節制御手段、及び/又はコンピュータは、前記圧力センサ、温度センサ、位置決めセンサ、及び/又は分析手段のうちの1つ以上と通信し得る。
【0079】
前記分注装置は、該分注装置内部での前記組成物の温度を制御及び/又は調節する1つ以上の加熱部材を備え得る。
【0080】
前記調節モジュールは、該調節モジュール内部での前記組成物の温度を制御及び/又は調節する1つ以上の加熱部材を備えることができる。それぞれの調節チャンバ付近に少なくとも1つの加熱部材を設けることができる。ある実施形態では、各調節モジュールは、それぞれの加熱部材に関連付けることができる。そのように設けることによって、前記組成物の温度は、前記組成物が前記出口へ分注される前に短時間で制御可能となる。
【0081】
前記調節モジュールは、該調節モジュール、たとえば前記調節アクチュエータ(たとえばピストン及び/又はモータ)の1つ以上の部材の温度を制御及び/又は調節する1つ以上のヒートシンクを備えることができる。
【0082】
前記組成物は医薬組成物を含み得る。前記医薬組成物は、少なくとも1つの医薬品有効成分(API:active pharmaceutical ingredient)と少なくとも1つの賦形剤を含み得る。
【0083】
前記少なくとも1つの賦形剤は、結合剤又は他の任意な従来の賦形剤を含み得る。
【0084】
前記少なくとも1つの賦形剤は、少なくとも1つのポリマー成分、たとえば熱可塑性ポリマーを含み得る。前記少なくとも1つの賦形剤は、1つ以上の付加ポリマーを含み得る。
【0085】
前記少なくとも1つの賦形剤は、以下のリストから選ばれる1つ以上のポリマーを含み得る。
- N-ビニル-2-ピロリダンとビニルアセテートのランダム共重合体(たとえばアシュランドのプラスドン(Plasdone)(S630)(商標))
- メチルセルロース型ポリマー、たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(たとえばデュポンのアフィニゾル(Affinisol)(商標))
- ポリビニルアセテート
- ポリビニルアルコール
- ポリビニルカプロラクタム・ポリビニルアセテート・ポリエチレングリコールグラフト共重合体、たとえばBASFのソルプラス(Soluplus)(商標)
【0086】
第3態様によると、固体医薬剤形を製造するシステムが提供され、この当該システムは、
医薬組成物を供給するように構成される少なくとも1つの供給装置と、
少なくとも1つの造形装置又はその一部と、及び
前記少なくとも1つの供給装置と前記少なくとも1つの造形装置又はその一部との間に設けられる少なくとも1つの分注装置と、を備える。
【0087】
典型的には前記供給装置は、前記組成物を液体状態、たとえば溶融状態又は可溶状態で供給するように構成され得る。
【0088】
前記供給装置は、製造装置、たとえば前記組成物を溶融状態で調製及び/又は供給するように構成される装置を含む、又は製造装置であってもよい。前記供給装置は、押出装置、たとえば押出機-を含む、又は押出装置であってもよい。
【0089】
前記少なくとも1つの分注装置は、第1態様又は第2態様による装置であってよい。従って第1態様又は第2態様による分注装置に関して説明された特徴は、第3態様によるシステムにも適用可能であるため、単に簡明を期すためという理由で繰り返さない。
【0090】
前記少なくとも1つの押出装置は、一つの材料又は複数の材料の混合物を受け入れるように構成される少なくとも1つのホッパーを備え得る。典型的には前記組成物は、固体状、たとえば粉末、微粒、ペースト等で前記ホッパーに供給することができる。
【0091】
各々が特定の材料、たとえば前記組成物の一つの成分を受け入れるように構成される複数のホッパーが設けられてよい。あるいはその代わりに前記組成物の様々な成分は、事前に混合されて単一のホッパーに供給されてよい。
【0092】
1つ以上のホッパーは、たとえば閉塞を回避する攪拌手段又は混合手段を備え得る。1つ以上のホッパーは、量、たとえば前記押出装置(たとえば押出機)へ供給されている材料の重量及び/又は体積を測定及び/又は監視する制御装置を備え得る。
【0093】
前記少なくとも1つの押出装置は、押出機、たとえば溶融押出機を含むことができる。
【0094】
前記押出機は、1つ以上のホッパーから組成物を受けるように構成される少なくとも1つの漏斗を備えることができる。
【0095】
前記少なくとも1つの漏斗は、前記押出機へ前記組成物を供給するように構成することができる。
【0096】
前記押出機は、内部チャンバ内部で前記組成物を運搬するように構成される移動手段を備え得る。前記移動手段は典型的には、1つ以上のスクリュー、たとえば単一スクリュー又は2つのスクリューを含み得る。前記移動手段は、他の任意の適切な装置、たとえばベルト又は振動手段を含み得る。
【0097】
前記少なくとも1つの押出装置は、前記押出機に沿った1つ以上の位置での温度を測定する1つ以上の温度センサを備えることができる。前記少なくとも1つの押出装置は、前記押出機内部での前記組成物の温度を調節及び/若しくは制御する1つ以上の加熱並びに/又は冷却部を備えることができる。
【0098】
当該システムは、該システムの1つ以上の要素、たとえば少なくとも1つの供給装置、少なくとも1つの造形装置、及び/又は少なくとも1つの分注装置の作動及び/又は動作を制御するように構成される制御手段、たとえば制御ユニットを備えることができる。前記制御手段は手動で操作されてよい。前記制御手段は自動で操作されてよい。前記制御手段はコンピュータを含むことができる。
【0099】
本開示の第4態様によれば、組成物を分注する方法が提供され、当該方法は、
少なくとも1つの入口から少なくとも1つの指向性フローバルブを介して少なくとも1つの調節モジュールへ流れる組成物を受け入れるステップと、
前記少なくとも1つの調節モジュールから前記少なくとも1つの指向性フローバルブを介して前記少なくとも1つの入口へ流れる組成物を分注するステップと、
を備える。
【0100】
前記少なくとも1つの指向性フローバルブは、前記少なくとも1つの入口と前記少なくとも1つの出口との間に設けることができる。
【0101】
前記少なくとも1つの調節モジュールは、それぞれの指向性フローバルブと流体連通し得る。
【0102】
当該方法は、前記調節モジュールを介した少なくとも1つの出口への前記組成物の流れを制御及び/又は調整するステップを備えることができる。
【0103】
有利となるように前記調節モジュールは容積調節モジュールであってよい。そのように設けることによって、当該方法は、前記少なくとも1つの出口への前記組成物の流れを容積形で制御及び/又は調整するステップを有することができる。
【0104】
当該方法は、第1態様による分注装置を用いるステップを備えることができる。
【0105】
本開示の第5態様によれば、組成物を分注する方法が提供され、当該方法は、
少なくとも1つの出口から少なくとも1つの容積調節モジュールへ流れる組成物を受け入れるステップと、
前記少なくとも1つの容積調節モジュールから少なくとも1つの出口までの前記組成物の流れを容積形で分注するステップと、
を備える。
【0106】
当該方法は、前記少なくとも1つの入口から少なくとも1つの指向性フローバルブを介して前記少なくとも1つの容積調節モジュールへ流れる前記組成物を受け入れる段階を備えることができる。
【0107】
当該方法は、前記少なくとも1つの容積調節モジュールから前記少なくとも1つの指向性フローバルブを介して前記少なくとも1つの出口へ流れる前記組成物を分注するステップを備えることができる。
【0108】
前記少なくとも1つの指向性フローバルブは、前記少なくとも1つの入口と前記少なくとも1つの出口との間に設けることができる。
【0109】
当該方法は、前記容積調節モジュールを介した少なくとも1つの出口への前記組成物の流れを制御及び/又は調節するステップを備えることができる。そのように設けることによって、当該方法は、前記少なくとも1つの出口への前記組成物の流れを容積形で制御及び/又は調整するステップを備えることができる。
【0110】
当該方法は、第2態様による分注装置を用いるステップを備えることができる。
【0111】
第6態様によると、対象物を製造する方法が提供され、当該方法は、第1態様若しくは第2態様による分注装置又は第4態様若しくは第5態様による方法を用いて造形装置及び/又は造形プラットフォームへ分注するステップを備える。
【0112】
当該方法は第3態様によるシステムを用いるステップを備えることができる。
【0113】
前記造形装置は、3Dプリンタ若しくはその一部を含む、又は3Dプリンタ若しくはその一部であってよい。
【0114】
前記造形プラットフォームは、3Dプリンタの造形プラットフォームであってよい。
【0115】
当該方法は前記物体を3D造形するステップを備えることができる。
【0116】
前記組成物は医薬組成物を含み得る。前記医薬組成物は、少なくとも1つの医薬品有効成分(API)と少なくとも1つの賦形剤を含み得る。
【0117】
前記少なくとも1つの賦形剤は、結合剤又は他の任意な従来の賦形剤を含み得る。
【0118】
前記少なくとも1つの賦形剤は、少なくとも1つのポリマー成分、たとえば熱可塑性ポリマーを含み得る。前記少なくとも1つの賦形剤は、1つ以上の付加ポリマーを含み得る。
【0119】
前記少なくとも1つの賦形剤は、以下のリストから選ばれる1つ以上のポリマーを含み得る。
- N-ビニル-2-ピロリダンとビニルアセテートのランダム共重合体(たとえばアシュランドのプラスドン(S630)(商標))
- メチルセルロース型ポリマー-たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(たとえばデュポンのアフィニゾル(商標))
- ポリビニルアセテート
- ポリビニルアルコール
- ポリビニルカプロラクタム・ポリビニルアセテート・ポリエチレングリコールグラフト共重合体-たとえばBASFのソルプラス(商標)
【0120】
当該方法は、医薬組成物を造形するステップを備えることができる。有利には、当該方法は、医薬組成物を剤形、たとえば錠剤、丸薬等に造形するステップを備えることができる。
【0121】
当該方法は、前記医薬組成物を包装物品、たとえばブリスターパック、カプセル、消化可能な容器等の内部/上に造形するステップを備えることができる。
【0122】
当該方法は、押出装置から前記分注装置へ前記組成物を送給するステップを備えることができる。
【0123】
本開示の第7態様によると、第6態様による方法を用いて製造される物体が提供される。
【0124】
有利には、前記対象物は剤形をとる医薬組成物とすることができる。
【0125】
前記物体、たとえば医薬剤形は、包装物品、たとえばブリスターパック、カプセル、消化可能な容器、等々内に設けることができる。
【0126】
当然のことながら、任意の態様に関連して説明された特徴は、他の態様にも適用され得るので、単に簡明を期すために繰り返されない。
【図面の簡単な説明】
【0127】
ここで本開示の実施形態が、単なる例示として、また添付図面を参照して提示される。
図1】ある実施形態によるシステムの概略図である。
図2図1のシステムの分注装置の断面図である。
図3図2の分注装置の線A-Aに沿った断面図である。
図4】第1構成における図2の分注装置の調節モジュールの断面図である。
図5】第2構成における図2の分注装置の調節モジュールの断面図である。
図6】第3構成における図2の分注装置の調節モジュールの断面図である。
図7】別の実施形態による分注装置である。
図8図7の分注装置の線B-Bに沿った断面図である。
図9図7の分注装置の線C-Cに沿った断面図である。
図10図1のシステムの造形(プリンティング)装置の正面図である。
図11図10のシステムの造形装置の上昇した位置での側面図である。
図12】再循環ユニットを含む他の実施形態によるシステムである。
図13図12の押出装置の再循環ユニットの拡大図である。
【0128】
図1を参照すると、第1の実施形態によるシステム5が示されている。システム5は、押出装置100と、3D造形(プリンティング)装置300と、押出装置100と造形装置300の造形プラットフォーム310との間に設けられた分注装置200とを含む。
【0129】
システム5はまた、より詳細に後述するように、システム5の1つ以上のセンサから情報を受信する、および/または温度、送給速度、圧力、フローバルブ、調節モジュールなどを含むシステム5の1つ以上のパラメータを制御および/または調節するための制御ユニット400、例えばコンピュータを含む。
【0130】
押出装置100は、材料又は材料の混合物110を受け入れるように構成されたホッパー112を含み、この材料は、本実施形態では、粉末又は顆粒のような固体形態で提供される。ホッパー112は、混合を改善し、また凝集及び/又は閉塞を回避するように、羽根車又は振動部材のような撹拌手段(図示せず)を有する。
【0131】
ホッパー112は、押出機101に送給される材料110の量、通常は重量を測定および/または監視できる測定装置(図示せず)を装備する。
【0132】
押出機101は、ホッパー112から材料110を受け入れるように構成された漏斗114を有する。漏斗114は、組成物111を押出機101に送給するように構成されている。
【0133】
押出機101は、その内部チャンバ内で組成物111を搬送するように構成された移動手段118を有する溶融押出機101である。本実施形態では、移動は、モータおよびトランスミッション116によって動力を与えられるツインスクリュー118の形態である。
【0134】
押出装置100は、その長さに沿って温度を測定するための多数の温度センサ124を有する。温度センサ124は、制御ユニット400と通信することができる。
【0135】
押出装置100はまた、押出機101内の温度または組成物111を、例えばその長さに沿って調節および/または調整するために、多数の加熱部材122および冷却部材121を有する。加熱/冷却部材121、122は、流体ジャケット、カートリッジヒータ、セラミックストリップヒータ、または可撓性加熱部材などの様々な形状およびサイズで提供され得るが、これらに限定されず、材料110を固体から流動化された流体状態に変換し、流路に沿った運動に対する抵抗を低減し、組成物111を3D造形に適するようにするために十分に高い温度に達することができる。加熱/冷却部材121、122は、制御ユニット400によって制御および/または調節され得る。
【0136】
当然のことながら、例えば組成物送給速度(composition feed rate)、回転速度、および温度を含む、押出装置100の精細な動作範囲および条件は、使用される材料110の特性に基づいて変動し、また依存することができ、この特性としては、材料(複数可)110の融点(複数可)、組成物111の溶融粘度および/またはレオロジー、材料(複数可)110の化学的安定性が挙げられる。
【0137】
押出装置100は、さらに、ポンプ126および送給管127を含み、押出機101の溶融領域への添加剤、典型的には液体添加剤の随意的な送給を可能にする。これにより液体可塑剤に限定されないが、そのような流体成分の取り込みを可能にすることができる。
【0138】
押出装置100は、さらにベントポート128を含み、このベントポート128は、あらゆる蓄積気体または望ましくない気体を外部環境に放出できるように構成される。
【0139】
組成物111は、典型的には溶融状態で、押出機出口129を介して押出機101に存在する。
【0140】
図2および図3を参照すると、図1のシステム5における分注装置200の断面図が示されている。
【0141】
分注装置200は、押出機出口129と流体連通するように構成された入口251を有する。これは、組成物111が医薬組成物である場合に特に有利である。例えばこれは、フィラメントの機械的特性、フィラメントの寸法、およびフィラメント中のAPIの量/濃度に関連する上述した制約を伴う、医薬組成物のフィラメントの予調製を不要にできる。例えば本装置は、従来可能であったよりも高いAPI対ポリマー/賦形剤の比を有する医薬組成物の種々の剤形の造形、および/またはより広い範囲の製剤成分の使用を可能にし得る。
【0142】
分注装置200はまた、組成物111を分注するように構成された出口252を有し、出口252は、造形装置300の造形ノズル252と流体連通している。
【0143】
分注装置200は、入口251と出口252との間に位置する指向性フローバルブ250を含む。
【0144】
分注装置200は、入口251と指向性フローバルブ250との間に入口導管231を画定する。
【0145】
分注装置200は、指向性フローバルブ250と出口252との間に出口導管232を画定する。
【0146】
分注装置200は、指向性フローバルブ250と流体連通する調節モジュール260を含む。分注装置200は、指向性フローバルブ250と調節モジュール260との間に調節導管233を画定し、調節導管233を通る組成物111の流れを可能にする。調節モジュール260は、出口252への組成物111の流れを制御および/または調節するように構成される。出口は、造形ノズル252と流体連通している。
【0147】
指向性フローバルブ250は、本実施形態では、駆動シャフト256に結合されたモータ255を含むアクチュエータに関連付けられ、モータ255が指向性フローバルブ250を作動させることを可能にする。
【0148】
バルブアクチュエータ255は、制御ユニット400と通信しており、制御ユニット400が、自動または手動(例えば、ユーザーによる)のいずれか一方または両方で、指向性フローバルブ250を作動させることができるようになっている。
【0149】
分注装置は、組成物111の温度および圧力をそれぞれ測定および/または監視するための温度センサ242および圧力センサ241を含む。有利には、温度センサ242および圧力センサ241は、制御ユニット400と通信している。
【0150】
分注装置は、分注部材、例えば入口導管231及び/又は出口導管232内の組成物の温度を制御、維持及び/又は調整するように構成された加熱部材235を含む。有利には、加熱部材235は、制御ユニット400と連通している。
【0151】
入口導管231と流体連通する排出ポート234が設けられる。第1排出ポート234は、例えば、組成物111の1つ以上の特性(例えば、圧力、温度、または粘度)が最適でない場合、及び/又は調節モジュール260の充填が必要でない、若しくは望まれない場合に、指向性フローバルブ250が組成物111を分配装置200から排出することを可能にし得る。
【0152】
指向性フローバルブ250及び/又は流路231、232と流体連通するアクセスポート236が設けられる。アクセスポートは、組成物111を監視および/または分析するために、分析手段、例えばプロセス分析ツール(PAT)または分光装置などの分析装置の使用を可能にし得る。
【0153】
使用時、指向性フローバルブ250は、分注装置200内の組成物111の流れを選択的に方向付けるための多数の構成を有する。
【0154】
指向性フローバルブ250は、入口251から調節モジュール260への組成物111の流れを可能にするように構成された第1構成すなわち「送給(feed)」構成を有する。第1構成すなわち「送給」構成では、指向性フローバルブ250は、調節モジュール260への組成物111の充填を可能にする。
【0155】
指向性フローバルブは、調節モジュール260から出口252への組成物111の流れを可能にするように構成された第2構成すなわち「分注(dispense)」構成を有する。第2構成すなわち「分注」構成では、指向性フローバルブ250は、調節モジュール260が組成物111を出口252に分注することを可能にし得る。
【0156】
第1構成または「送給」構成と、第2構成または「分注」構成とは、相互に排他的である。すなわち、組成物111は、入口251から調節モジュール260に流れるか、または調節モジュール260から出口252に流れるかのいずれかとすることができる。
【0157】
図1の実施形態には示されていないが、図12の実施形態に記載されているように、指向性フローバルブ250は、随意的に、後に詳細に説明されるように、入口251から再循環出口への組成物111の流れを可能にするように構成された第3構成すなわち「再循環」構成を有してもよい。
【0158】
本実施形態では、指向性フローバルブ250は、入口251から第1排出ポート234への組成物111の流れを可能にするように構成された第4構成すなわち「排出(discharge)」構成を有する。このような対策によって、組成物111は、例えば、組成物111の1つ以上の特性(例えば、圧力、温度、または粘度)が最適でない場合、及び/又は調節モジュール260の充填が必要でない、若しくは所望されない場合に、分注装置200から排出され得る。
【0159】
指向性フローバルブはまた、分注装置250内での組成物111の流れを防止するように構成された第5構成すなわち「閉鎖(closed)」構成を有する。換言すれば、第5構成すなわち「閉鎖」構成では、組成物111は、入口251からまたは出口252に流れることができない。
【0160】
次に、図2及び図3の分注装置200の調節モジュール260を、図4図6を参照してより詳細に説明する。
【0161】
図4に示すように、調節モジュール260は、組成物111を受容するように構成されたチャンバ262を有する。
【0162】
チャンバは、指向性フローバルブ250および調節モジュール導管233に流体連通するチャンバ入口263を有する。
【0163】
調節モジュール260は、チャンバ262への組成物111の充填およびチャンバ262からの組成物111の分注を作動させるように構成された調節アクチュエータ252を有する。
【0164】
調節アクチュエータ252は、チャンバ262内で往復運動するピストン270を駆動するモータを含む。調節アクチュエータ252は、例えば、圧力、温度、粘度、ピストン位置などのシステム5内で測定される1つ以上のパラメータに応答して、制御ユニット400に関連付けられ、制御および/または操作され得る。
【0165】
チャンバ262の容積は、チャンバ入口263とは反対側のチャンバ262の端部において、ピストン270の端部274によって部分的に画定される。
【0166】
調節モジュールは、調節チャンバ262に、または調節チャンバ262の近傍に設けられた温度センサ266を有する。有利には、温度センサ266は制御ユニット400と関連付ける。
【0167】
調節モジュール260はまた、調節モジュール260内の組成物111の温度を制御、調節および/または調整するように構成された加熱部材264を有する。有利には、加熱部材264は、例えば温度センサ266によって得られた情報に応答して、制御ユニット400に関連付けられ、制御および/または操作され得る。
【0168】
調節モジュール260はまた、冷却部材276(ここではヒートシンク)を有する。冷却部材276は、調節モジュール260内の組成物111の温度を制御、調節および/または調整するように構成され得る。代替的に、または追加的に、冷却部材276は、使用時に、アクチュエータ、例えばモータ252の過熱を防止するように構成されてもよい。有利には、冷却部材276は、例えば温度センサ266によって得られた情報に応答して、制御ユニット400に関連付けられ、制御および/または操作され得る。
【0169】
調節モジュール260は、チャンバ262内のピストンヘッド274の位置を検出するように構成された位置決めセンサ268を含む。例えば、チャンバ262が組成物111で満たされているとき、位置決めセンサ268は、ピストンヘッドがその完全に引き込まれた位置に到達したときを検出することができ、従って、チャンバ262が満杯であることを示す。有利には、位置決めセンサ268は、制御ユニット400に関連付けられる。制御ユニット400が位置決めセンサ268から信号を受信したことを検出すると、制御ユニット400は、アクチュエータ252にピストン270の移動を停止させるように動作することができる。
【0170】
図4を参照すると、調節モジュール260は、ピストン270が後退し、チャンバ262が空である第1構成で示されている。
【0171】
指向性フローバルブ250は、入口251から調節モジュール260のチャンバ262への組成物111の流れを可能にするように構成されたその第1構成すなわち「送給」構成にされる。チャンバ内の圧力が所定の値に達したとき、チャンバは装填され、また調節モジュール260は、図5に示されるように、組成物111を正確な容積形で分注する準備ができたとみなされる。
【0172】
従って指向性フローバルブ250は、組成物111の、チャンバ262から出口252への、つまりは造形装置300への調節モジュール260の流れを可能にするように、(例えば制御ユニット400によって)その第2構成すなわち「分注」構成に切り替えられる。このフェーズ中、アクチュエータ272は、組成物111を分注するようにチャンバ262内でピストン270を移動させるように(例えば、制御ユニット400からのコマンドを介して)作用する。ピストン270が完全に伸展したとき、および/またはピストンヘッド270がチャンバ262の入口端部263に到達したとき、アクチュエータ272は、例えば制御ユニット400からのコマンドを介して停止され得る。次いで、アクチュエータ272を逆転させて、ピストン262を後退させ、チャンバ262を開放し、フローバルブ250をその第1構成すなわち「送給」構成に移動させることによって、別な組成物111の装荷によって充填される準備ができるようにしてもよい。
【0173】
ピストン270の移動は、アクチュエータ272および制御ユニット400によって正確に制御され、組成物111の正確な体積変位、つまりは出口252への(つまりは造形装置300への)分注速度(dispensing rate)の制御を可能にする。
【0174】
ある実施形態において、分注装置200は、さらに、分注装置200内の組成物の少なくとも1つのパラメータを監視するように構成された分析装置(図示せず)を含み得る、またはそれと結合され得る。例えば分析装置は、分光学的または物理学的測定装置などの分析装置および/またはプロセス分析ツール(PAT)を含み得るが、これらに限定されない。これは、アクセスポート236のような開口部またはポートを使用して、分析装置との結合または関連付けを可能にすることによって可能となり得る。このような装置は、流路内の材料の均質性、混合物中の材料濃度、または他の種/特性の同定を検出するために使用することができるが、これらに限定されない。
【0175】
次に図7図9を参照すると、別の実施形態による分注装置500が示されている。分注装置500は、図2および図3の分注装置200と概ね同様であり、同様の部分は「300」を増分させた同様の数字で示されている。
【0176】
図2および図3と同様に、図7図9の分注装置500は、押出機出口129と流体連通するように構成された入口551を有する。しかしながら、この実施形態では、分注装置500は、それぞれが入口551と流体連通し、それぞれの入口導管531を画定する、4つの指向性フローバルブ550を含む。
【0177】
図9に最もよく示されているように、各指向性フローバルブ550は、例えば制御ユニット400によって、各指向性フローバルブ550が独立して制御および/または作動され得るように、それぞれのバルブアクチュエータ255と関連付けられている。
【0178】
図8に最もよく示されているように、各指向性フローバルブ550は、各指向性フローバルブ550と各出口552との間の各出口552および各出口導管532と関連付けられている。それぞれの出口552は、それぞれの造形ノズル552と流体連通している。
【0179】
各指向性フローバルブ550は、それぞれの調節モジュール560に関連付けられ、またそれと流体連通している。各調節モジュール560は、図4図6に関連して上述したように動作する。
【0180】
各ノズル552は、それぞれの造形プラットフォーム310に関連付けられるように構成される。
【0181】
複数の指向性フローバルブ550および関連する調節モジュール560を備える分注装置500を設けることにより、システム5は、連続的、半連続的またはバッチ的に組成物111を分注することができる。したがって分注装置500は、連続的、半連続的またはバッチ的に、組成物111、例えば剤形としての医薬組成物の造形、例えば3D造形を可能にする。
【0182】
図10および図11を参照すると、図1のシステム5における造形装置300の正面図および側面図が示されている。
【0183】
造形装置300は、造形プラットフォーム310を含む。造形プラットフォーム310は、分注装置200、500によって送給される造形ノズル(図示せず)によって造形される物体の支持体として機能するように構成されている。造形プラットフォーム310は、X軸、Y軸およびZ軸に沿って移動可能である。Z軸の運動を制御するために、リニアステッピングモータまたは他の従来の駆動機構381を有する。X軸の運動を制御するために、リニアステッピングモータまたは他の従来の駆動機構382を有する。またY軸の運動を制御するリニアステッピングモータ又は他の従来の駆動機構383も備えている。各モータは、その運動を制限し、相対位置の計算を可能にするそれぞれの適切なスイッチ384を有し、各スイッチ384は、コンピュータ(図示せず)などの適切な制御手段によって制御することができる。
【0184】
造形プラットフォーム310の温度は、温度センサ386に関連するヒータ部材385によって制御される。プラットフォーム310の温度は、ヒータ部材385および温度センサ386に関連付けられたコンピュータなどの適切な制御システムによって維持することができる。
【0185】
プラットフォーム310は、分注モジュール200、500によって送給されるノズル552を介してその上に堆積された材料111を受け取る。 堆積された材料111の重量は、ロードセル(複数可)または他の従来の計量センサ(複数可)などの適切な計量手段387によって決定される。
【0186】
ある実施形態では、造形プラットフォーム310上に堆積された材料111は、1つ以上のノズル配置および関連する分注装置200、500のいずれかを使用して、ブリスターパック(複数可)、カプセル(複数可)、消化可能容器(複数可)などの造形プラットフォーム310上に配置された適切な受け取り容器または包装(図示せず)に直接またはその上に堆積させることができる。
【0187】
プラットフォーム310は、制御ニット400によって制御することができる。
【0188】
幾つかの実施形態では、層は、約0.05mm~3mmの範囲内における厚さに設定することができ、製品のミクロからマクロにわたる構造を制御することができる。
【0189】
図12および図13を参照すると、別の実施形態によるシステム605が示されている。図12および13のシステム605は、図1のシステム5と概ね類似しており、同様の部品は同様の数字で示されているが、分注装置600に関しては「400」だけ増分されている。
【0190】
この実施形態では、システムは、分注装置600の入口651から押出機101への組成物111の再循環を可能にするように構成された再循環ユニット690を含む。
【0191】
このシステム605では、指向性フローバルブ650は、入口651から再循環出口659への組成物111の流れを可能にするように構成された「再循環」を有する。再循環出口659は、再循環ユニット690の流路691と流体連通する、またはそれに関連するように構成される。再循環ユニット690の流路691は、押出機101の再循環入口119と流体連通している。
【0192】
このような規定によって、組成物111は、例えば、組成物の1つ以上の特性(例えば、圧力、温度、または粘度)が最適でない場合、および/または調節モジュール660の充填が必要でない、若しくは望ましくない場合に、押出機101に再循環され得る。
【0193】
再循環ユニット690内の温度は、温度制御/加熱部材692および関連する温度センサ694によって維持される。温度制御/加熱部材692および関連する温度センサ694は、制御ユニット400と通信することができる。
【0194】
適切なポート696は、材料111を再循環ユニット690からパージするために使用することができる、および/または分析装置、例えばPATおよび/または分光機器などの周辺装置を接続するために使用することができる。
【実施例
【0195】
以下の実施例は、経口固形剤形の様々な組成物の調製を図示する例示的な実施形態である。
【0196】
医薬剤形は、上述した図1のシステムと同様のシステムを用いて調製した。
【0197】
[実施例1 プラスドンS630-アセトアミノフェン製剤の調製]
この実施例における成分の特定の製剤は、上記の「背景技術」で論じた制約のため、典型的には、既存の溶融フィラメント(FFF3DP)製法を用いた造形には適さない。特に、押出し後のプラスドンおよびプラスドン-アセトアミノフェン混合物は、フィラメント寸法および適切な機械的特性(例えば、曲げ弾性率)の良好な制御を必要とする既存のFFFプロセスで使用することを可能にするには、本質的に脆すぎる。さらに、HMEプロセスのダイから出る際、プラスドンおよびプラスドンアセトアミノフェン配合物のレオロジーは、従来の方法による押出物の寸法の制御に難題をもたらす。(例えば、これらの寸法および機械的制限について概説している、Prasad氏らの、「薬物を充填したアフィニソール(Affinisol)(商標)15LVフィラメントを製造するためのホットメルト押出(HME)プロセスの開発」。 Additive Manufacturing、第29巻、2019年10月参照)。
【0198】
[(1A) 系の調製]
アセトアミノフェンとプラスドン(商標)(アシュランド社のN-ビニル-2-ピロリドンと酢酸ビニル)を適当な粉末混合機で調製した(オフライン)。粉末ブレンド110が材料ホッパー112に装荷された。送給速度は、ホッパー112内の材料の重量損失を測定することによって制御した。送給速度は0.1kg/hrに設定された。
【0199】
溶融押出装置100の段階的加熱部材122は、漏斗入口114で20℃に設定され、漏斗状入口114から押出機101の長さに沿って搬送される材料111の温度をその排出端部129で180℃まで上昇させるのに適した温度プロファイルに設定された。
【0200】
スクリュー118の速度設定点は100rpmに設定された(駆動モータ(118)のコントローラーを使用して)。
【0201】
造形装置300の造形プラットフォーム610は、90℃に設定され、温度センサ386によって監視/制御された。
【0202】
CADソフトウェアを使用して、経口固形剤形が描画され(この場合、直径8mm×高さ3mmの円筒形錠剤の形状)、組成物111の造形中にプリンタプラットフォーム310のX-Y-Z運動および調節モジュール260のピストン270の堆積速度/運動を制御するためのGコードファイルが生成された。当該分野で知られているように、単数または複数の剤形がCADソフトウェアで描画され、空間的に設計されるように、複数の物体造形に適した3D造形Gコードが生成できることが理解されよう。
【0203】
ピストン270は、図4に示されるように、その引込み位置に設定され、すなわち、チャンバ262は、図2Cに示されるように、開放位置すなわち「充填」位置にあり、加熱部材264は、調節モジュール260内の組成物111の温度を維持するために180℃に設定された。
【0204】
指向性フローバルブ260は、組成物111が押出機出口129から調節モジュール260のチャンバ262に流れることを可能にするために、第1の「送給」構成に設定された。
【0205】
[(1B) 調節モジュールの充填]
押出機モジュールのスクリュー118を100rpmで回転させた。粉末送給混合物110が0.1kg/hrでシステムホッパー112に装荷された。この送給を継続し、これにより材料110は搬送され、分注装置200に向かって押出機110を通過した組成物111が搬送されると、押出装置100のヒータ部材122が受ける温度上昇により、組成物111は溶融し混合される。これは、分注装置200内の圧力は、調節モジュール206のチャンバ262がプラスドン-アセトアミノフェン組成物で満たされたことを示す2MPa(20バール)に達するまで続けられた。
【0206】
次いで、押出機101への材料110の送給および押出機スクリュー118の回転を一時停止した。
【0207】
[(1C) 剤形の造形]
造形フェーズの動作は、モータ381、382、383を介した造形プラットフォーム310のX-Y-Z運動および調節モジュール270のモータ272を介した材料堆積を制御するGコードの起動によって開始され、チャンバ262から組成物111を吐出分注させた。
【0208】
同時に、指向性フローバルブ250は、チャンバ262からノズル252への組成物の流路を形成するために、その第2構成すなわち「分注」構成に設定される。次いで、組成物111は、Gコードに支配される添加剤層の堆積によって造形される。堆積が開始されると、堆積された組成物111は、冷却されるにつれて固化され、経口固体剤形(複数可)を形成する。造形された剤形の重量は、重量センサ387によって確認される。その後、経口固形剤形は、造形プラットフォーム310から回収された。
【0209】
上記のステップを利用して、1つ以上の剤形が、造形段階の操作の繰り返しによって、および/または上記のように複数の対象物の造形を生成するために複数の剤形のCAD図面から生成された適切なGコードを使用することによって造形された。これは、必要とされる剤形の数(例えば、試験用の単一または少数の部対製造用の多数の部)に依存し得る。
【0210】
[(1D) 製造及び調節モジュールの再充填のための堆積及び造形の延長]
より多数の経口固形剤形が造形される場合(チャンバ262の材料保持容量を超える)、以下の追加ステップが取られた。
【0211】
組成物111の全量がモジュール260から分注されるにつれてチャンバ262が空になると、リミットスイッチ268が作動する。これにより、制御部400は、造形を一時停止するように命令する。この時点で、指向性フローバルブ250は、押出機出口129から調節チャンバ262への組成物111の流れを可能にするために、その第1構成すなわち「送給」構成に位置決めするように作動された。
【0212】
押出モジュールスクリュー118および送給モジュール112を再起動し、ピストン270を後退させて、チャンバ262に組成物111を再充填できるようにした。前述と同様に、充填は、チャンバ262内の圧力が、チャンバ262が満杯であることを示す2MPa(20バール)に達するまで続けられる。その後、押出機スクリュー118および送給モジュール112は、上記のように一時停止された。
【0213】
チャンバ262からノズル252への組成物の流れを可能にするために、指向性フローバルブ250が、第2構成すなわち「分注」構成に移動された。この時点で、段落1Cで上述したように造形が再開された。このサイクルは、十分な剤形が製造されるまで必要に応じて繰り返すことができる。
【0214】
システム5全体の温度制御の特定の条件、押出機101内のスクリュー118の回転速度、および他の操作パラメータは、特に使用される特定の組成物111に依存し得る操作の最適化の対象となることが理解されるべきである。
【0215】
上記の例において、システム5内で使用され得る条件の非限定的な例を例示するために、プラスドン-アセトアミノフェン組成物の変形が、以下に特定されるパラメータを使用して造形された。
【0216】
表1および表2は、条件および組成物の範囲にわたって3D造形された剤形を生成するために、押出機速度、押出機出力温度、および分注モジュール温度に関して使用される個々の設定点の非限定的な変更を例示する。
【表1】
【表2】
【0217】
[実施例2 プラスドンS630-アセトアミノフェン製剤の小袋/ブリスターパックなどの受け容器への造形]
【0218】
前の例と同様に、この成分の製剤は、典型的には既存の溶融フィラメント製造(FFF 3DP)法を用いた造形には適さないが、本発明のシステムおよび方法を用いれば造形できる製剤系の例示に用いられる。この例では、ブリスターパック/小袋容器に直接成膜し、それを製品の一次包装の構成部材として使用する方法を説明する。
【0219】
[(2A) システムの準備]
押出機101に関する準備は、実施例1で説明した準備と同様であったが、送給速度が0.11kg/hrに設定された。
【0220】
所定の適切な形状のブリスターパックが造形台310上に置かれて保持された。
【0221】
スクリュー118の速度設定値が100rpmに設定された(駆動モータ(118)のコントローラーを使用)。
【0222】
造形プラットフォームのベッド385、ひいては受け取り容器/ブリスターパックは30℃に設定され、温度センサ386によって監視/制御された。
【0223】
CADソフトウェアを使用して、経口固形剤形が描かれ(この場合、直径8mm×高さ3mmの円筒形錠剤)、組成物111の造形中にプリンタプラットフォーム310のX-Y-Z運動および調節モジュール260のピストン270の堆積速度/運動を制御するためのGコードファイルが生成された。当該分野で知られているように、単数または複数の剤形がCADソフトウェアで描画され、空間的に設計されることで、複数の物体造形に適した3D造形Gコードを生成できることが理解されよう。
【0224】
この場合、複数の剤形の同時造形を生成するために、図7図9に示される複数の造形床の構成が使用された。
【0225】
各モジュール560内のピストン570は、その引込み位置に設定され、加熱部材564は、調節モジュール560内の組成物111の温度を維持するために180℃に設定された。指向性フローバルブ560は、組成物111が押出機出口129から調節モジュール560のチャンバ562に流れることを可能にするために、その最初の「送給」構成に設定された。
【0226】
[(2B) 成膜モジュールの充填]
ステップ2Bは、粉末送給混合物110が0.11kg/hrでシステムホッパー112に装入されたことを除いて、上述のステップBと同様であった。各分注装置500内の圧力が2MPa(20バール)に達すると、材料110の押出機101への送給および押出機スクリュー118の回転が一時停止された。
【0227】
[(2C) 剤形の造形]
造形フェーズの動作はGコードの起動によって開始された。Gコードは、受入ブリスター/容器パッケージの形状を補正し各モータ381、382、383を介した造形プラットフォーム310のX-Y-Z運動を制御し、各調節モジュール570のモータ572を介した材料堆積を制御して、各チャンバ562から組成物111を分注する。同時に、指向性フローバルブ260は、チャンバ562からノズル552への組成物111の流路を形成するために、それらの第2構成または「分注」構成に設定された。次いで組成物111は、Gコードによって支配される添加剤層の堆積によって造形された。堆積が開始すると、堆積された組成物111は、冷却されるにつれて固化し、経口固体剤形を形成した。造形された剤形の重量は、重量センサ387によって確認された。その後、経口固形剤形が造形プラットフォーム310から回収された。
【0228】
上記のステップを利用して、造形段階の操作の繰り返し、および包装の幾何学的形状と組み合わせて複数の剤形のCAD図面から生成された適切なGコードの使用によって、複数の剤形が造形された。
【0229】
[(2D) 製造のための堆積および造形並びに堆積装置の再充填の拡張]
このステップは、各分注モジュール500について、上記段落1Dと同様に実行された。
【0230】
[実施例3 アフィノソール-アセトアミノフェン製剤の造形]
この実施例における成分の製剤は、既存の溶融フィラメント作製(FFF 3DP)法を用いた造形には適さないが、本発明のシステムおよび方法を用いて造形することができる製剤系を説明するために用いられる。
【0231】
アフィノソール(商標)(ヒドロキシル-プロピル-メチル-セルロース)-アセトアミノフェン製剤の押出し後の製剤は、薬物濃度が約20wt%未満および約40wt%以上の組成においてのみ、従来の3D-FFF造形に適した機械的特性を有し、一方、薬物濃度が約20wt%と40wt%との間の中間組成は、FFF法を可能にするには機械的強度および曲げ弾性率が不十分である。
【0232】
この実施例におけるステップ3A~3Dの順序は、以下を除いて、実施例1に関連して記載したステップ1A~1Dと概ね同様であった。
- ステップ3Aでは、押出機の送給速度を0.11kg/hrに設定した。
- ステップ3Bでは、分注装置200内の圧力が3MPa(30バール)に達するまで、押出機101からの組成物111の送給を継続した。
【0233】
送給速度および/またはピストンチャンバー262の最大「充填」圧力の調整は、例えばそのレオロジー特性を含む、使用される特定の組成物に依存することが理解されよう。
【0234】
このプロセスは、表3に示される以下のパラメータを有する、非限定的なアフィニソール-アセトアミノフェン混合組成物の範囲について実施された。
【表3】
【0235】
[実施例4 ソルプラス-メファナミック酸製剤の造形]
この実施例の成分配合は、既存の溶融フィラメント製造(FFF 3DP)法では造形できない配合系を説明するために使用する。ソルプラス(商標)(BASF社からのポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセテート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー)は、従来、可塑剤と混合される(例えば、非特許文献2を参照)。このため、ソルプラス(Soluplus)は従来のFFFによる製造や3DPが困難であった。ソルプラスおよびメファナミック酸系の有益な側面は、例えば、非特許文献3に記載されている。
【0236】
この実施例におけるステップ4A~4Dの順序は、以下を除いて、実施例1に関連して記載したステップ1A~1Dと概ね同様であった。
- ステップ4Aにおいて、
〇 溶融押出装置100の段階加熱部材122を、漏斗入口114で20℃に設定し、漏斗入口114から押出機101の長さに沿って搬送される材料111の温度を、その排出端部129で125℃まで上昇させるのに適した温度プロファイルに設定した。
〇 スクリュー118の速度設定点を50rpmに設定した(駆動モータ(18)のコントローラーを使用)。
〇 造形装置300の造形台610は100℃に設定され、温度センサ386によって監視/制御された。
〇 加熱部材264を125℃に設定し、調節モジュール260内の組成物111の温度を維持した。
- ステップ4Bにおいて
〇 押出機モジュールのスクリュー118を50rpmで回転させた。
〇 調剤装置200内の圧力が3MPa(30バール)に達するまで、押出機101からの組成物111の送給が継続された。
- ステップ4Dにおいて、分注装置200内の圧力が3MPa(30バール)に達するまで、組成物111の補充が継続された。
【0237】
[実施例5 PVA-アセトアミノフェン製剤の造形]
この実施例における成分の配合は、既存の溶融フィラメント製造(FFF 3DP)法を用いて造形することができない配合系を説明するために使用される。
【0238】
ポリビニルアルコール(PVA)は、押出後の取り扱いを可能にするため、従来はソルビトールなどの可塑剤と混合されている。(例えば非特許文献4)。これにより、PVA系製剤は、従来のFFF手段による作製および3DPが困難になる。
【0239】
本実施例におけるステップ5A~5Dのシーケンスは、以下を除いて、実施例1に関連して記載したステップ1A~1Dと概ね同様であった。
- ステップ5Aにおいて、
〇 アセトアミノフェンとPVAの粉末混合物(50:50wt%組成)が適当な粉末混合機で(オフラインで)調製された。
〇 溶融押出装置100の段階加熱部材122は漏斗入口114で20℃に設定され、漏斗入口114から押出機101の長さに沿って搬送される材料111の温度を、その排出端部129で135℃まで上昇させるのに適した温度プロファイルに設定された。
〇 スクリュー18の速度設定点を50rpmに設定した(駆動モータ(118)のコントローラーを使用)。
〇 造形装置300の造形台610は80℃に設定され、温度センサ386によって監視/制御された。
〇 加熱部材264は、調節モジュール260内の組成物111の温度を維持するように135℃に設定された。
- ステップ5Bにおいて
〇 押出機モジュールのスクリュー118を50rpmで回転させた。
〇 調剤装置200内の圧力が3MPa(30バール)に達するまで、押出機101からの組成物111の送給を継続した。
- ステップ5Dにおいて、分注装置200内の圧力が3MPa(30バール)に達するまで、組成物111の補充を継続した。
【0240】
上記の例は、説明のためのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
図1
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【国際調査報告】