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特表2024-505992接触分解反応器における混合のための装置
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  • 特表-接触分解反応器における混合のための装置 図1
  • 特表-接触分解反応器における混合のための装置 図2a
  • 特表-接触分解反応器における混合のための装置 図2b
  • 特表-接触分解反応器における混合のための装置 図3
  • 特表-接触分解反応器における混合のための装置 図4
  • 特表-接触分解反応器における混合のための装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】接触分解反応器における混合のための装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/08 20060101AFI20240201BHJP
   B01F 23/45 20220101ALI20240201BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20240201BHJP
   B01F 35/53 20220101ALI20240201BHJP
   B01F 25/431 20220101ALI20240201BHJP
   C10G 11/18 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B01J8/08
B01F23/45
B01F35/71
B01F35/53
B01F25/431
C10G11/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547253
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-08-03
(86)【国際出願番号】 US2022014687
(87)【国際公開番号】W WO2022169739
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】63/146,422
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023685
【氏名又は名称】シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ,ロバート・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】バスデン,マイケル・アレン
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
4G070
4H129
【Fターム(参考)】
4G035AB44
4G035AC05
4G035AE13
4G037AA02
4G037EA01
4G070AA03
4G070AB10
4G070BB11
4G070CA06
4G070CA16
4G070CA21
4G070CB05
4G070CB07
4G070CB17
4G070DA21
4H129AA02
4H129CA08
4H129DA04
4H129GA06
4H129NA21
4H129NA22
(57)【要約】
本発明は、触媒粒子流の通過を可能にするように構成された導管と、反応器の壁から内向きに延在し、供給材料を触媒粒子流中へと注入するように角度付けされた供給材料注入器のリングを含む注入ゾーンと、を備える、接触分解反応器であって、注入ゾーンの上流の当該反応器の内壁から反応器内へと突出する接触装置もまた備えることを特徴とする、接触分解反応器を提供する。本発明はまた、流動触媒粒子流を炭化水素供給材料と混合する方法であって、当該方法は、a)反応器中で流動触媒粒子流を生成する工程と、b)当該流動触媒粒子流を、当該反応器の内壁から反応器内へと突出している接触装置を通過させる工程と、c)続いて、反応器の壁から内向きに延在する供給材料注入器のリングを含む注入ゾーンを通して流動触媒粒子流を通過させ、当該供給材料注入器を通して提供される炭化水素供給材料と当該流動触媒粒子流とを接触させる工程と、d)炭化水素供給材料と接触させた流動触媒粒子流を反応器の下流区分に通過させて、触媒粒子の存在下で炭化水素供給材料を変換生成物に変換する工程と、含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒粒子流の通過を可能にするように構成された導管と、反応器の壁から内向きに延在し、供給材料を前記触媒粒子流中へと注入するように角度付けされた供給材料注入器のリングを含む注入ゾーンと、を備える、接触分解反応器であって、前記注入ゾーンの上流の前記反応器の前記内壁から前記反応器内へと突出する接触装置もまた備えることを特徴とする、接触分解反応器。
【請求項2】
前記接触装置が、耐火材料と金属構造体との複合材料を含む、請求項1に記載の接触分解反応器。
【請求項3】
前記接触装置の下流端部と前記供給材料注入器の上流端部又は下側との間の距離が、25インチ(63.5cm)以下である、請求項1又は2に記載の接触分解反応器。
【請求項4】
前記触媒粒子流の断面積が、前記接触装置の上流の前記反応器の断面積に基づいて、少なくとも10%及び35%以下だけ減少する、請求項1~3のいずれか一項に記載の接触分解反応器。
【請求項5】
前記反応器が、触媒粒子流の上方への通過を可能にするように構成された上昇管反応器である、請求項1~4のいずれか一項に記載の接触分解反応器。
【請求項6】
流動触媒粒子流を炭化水素供給材料と混合する方法であって、前記方法が、
a)反応器中で流動触媒粒子流を生成する工程と、
b)前記流動触媒粒子流を、前記反応器の前記内壁から前記反応器内へと突出している接触装置を通過させる工程と、
c)続いて、反応器の前記壁から内向きに延在する供給材料注入器のリングを含む注入ゾーンを通して前記流動触媒粒子流を通過させ、前記供給材料注入器を通して提供される炭化水素供給材料と前記流動触媒粒子流とを接触させる工程と、
d)炭化水素供給材料と接触させた前記流動触媒粒子流を前記反応器の下流区分に通過させて、前記触媒粒子の存在下で前記炭化水素供給材料を変換生成物に変換する工程と、を含む、方法。
【請求項7】
前記炭化水素流が高沸点炭化水素を含み、前記変換生成物が暖房用オイル、ガソリン又はより軽質の範囲で沸騰する、より軽質の炭化水素を含む、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応器内の流動固体中への液体の分散を改善する装置及びプロセスに関する。より詳細には、本発明は、炭化水素を流動触媒粒子流中へと分散させるための装置及びプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
流動固体触媒床技術を使用するプロセスにおいて、炭素質材料は、多くの場合、床内の触媒粒子上に堆積される。多くの場合、これらのプロセスは、使用済み触媒固体が反応器から除去され、炭素質材料が酸素含有環境下での燃焼によって除去される別の容器に搬送される、循環基準で実行される。これは、一旦反応器に戻された触媒の再使用を可能にする。
【0003】
この性質の重要なプロセスは、比較的高沸点の炭化水素を、暖房用オイル又はガソリン(又はより軽質の)範囲で沸騰する、より軽質の炭化水素に変換するための、流動接触分解(fluid catalytic cracking、FCC)プロセスである。本方法では、炭化水素供給材料を、炭化水素の変換に好適な条件下で、流動触媒床中において粒状分解触媒と接触させる。
【0004】
現代のFCCユニットは、典型的には、大きな、通常は垂直な上昇管の形態のパイプ型反応器を使用しており、その中でガス状媒体が触媒を流動状態で上方に輸送する。しかしながら、場合によっては、垂直反応器が同様に使用されるが、下方への流れを伴う。
【0005】
効率的なプロセスのために、炭化水素供給材料が、反応器を通って移動している触媒の流れ全体にわたって瞬間的に分散されることが望ましい。反応器の全断面にわたる供給材料の完全かつ瞬間的な分散は不可能であるが、高度に微粒化された供給材料を触媒粒子の予備促進化流中へと注入することによって、良好な結果が得られている。しかしながら、触媒粒子全体への供給材料の分散にはいくらかの時間がかかり、それによって、前述のように、供給材料と触媒との間にいくらかの不均一な接触が存在する。供給材料と触媒との不均一な接触は、供給材料の一部をより長い時間にわたって触媒に曝露し、これが次に熱分解を生じさせ、反応生成物の品質を低下させ得る。
【0006】
粒状触媒懸濁液中への炭化水素供給材料の分散を最大にするために、多くの異なる方法が使用される。供給材料を小滴へと分離することで、液体と固体との間の相互作用を増加させることによって供給材料の分散を改善する。好ましくは、液滴直径は、液体が固体と接触する前にその液体の気化を可能にするのに十分小さくなる。米国特許第4479870号などでは、触媒粒子を炭化水素供給材料と接触させる前にその触媒粒子を予備促進することもまた、周知である。
【0007】
炭化水素供給材料は、典型的には、反応器の周りの円周バンドに配置され、上昇管の中心に向かって供給材料を注入する複数の角度付けされた供給ノズルを通して、反応器内へと注入される。当該ノズルは、典型的には、反応器内へと突出している。
【0008】
米国特許第5554341号、米国特許第5173175号、米国特許第4832825号及び米国特許第3654140号は全て、供給材料をFCC上昇管内へと導入するための半径方向に向けられた供給材料注入ノズルの使用を示している。ノズルの配置は、供給材料注入ゾーン及び下流の上昇管区分にわたって実質的に開いた上昇管断面を維持する。角度付けされた供給ノズルは、上昇管の導管の中間部分で供給材料又はその他の流体を注入するために使用されるものの典型である。
【0009】
しかしながら、角度付けされた供給ノズルは、典型的には、反応器の壁から離れて触媒の流路内へと延在する。高速でノズル上に粒子を通過させることは、浸食をもたらし得る。更に、反応器中へのノズルの突出は、触媒が流れているが、制限された炭化水素供給材料が供給材料注入ゾーン内に提供される静止ゾーンをもたらし得る。
【0010】
ノズルを反応器の壁内へと完全に埋め込み、それらを触媒流路から除去することは望ましくない。この解決策は、供給材料注入器の先端部が、供給材料がノズルから出る際に供給材料注入のパターンを拡大することによって反応器の断面にわたる炭化水素供給材料の比較的均一な適用範囲を提供するように特に設計されているので、満足できるものではない。反応器の壁内に注入ノズルの先端部を完全に埋め込むことは、上昇管断面積の大部分にわたって噴霧パターンを得る能力を阻害する。
【0011】
米国特許第7101474号には、供給材料注入領域の下の上昇管壁の厚さを増大させて、ノズルを通過するより狭い触媒粒子流を提供する、改良されたFCC上昇管が記載されている。これは、新しい上昇管構造を必要とする。
【0012】
本発明の目的は、反応器の断面にわたって触媒及びオイルをより均一に分配するための簡易な装置及び方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】FCC上昇管における先行技術の注入ゾーンの実施例を示す。
図2a】本発明による接触装置を示す。
図2b】本発明による接触装置を示す。
図3】好適な接触装置を示す。
図4】好適な接触装置を示す。
図5】本発明の接触分解上昇管反応器の一部を示す。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、触媒粒子流の通過を可能にするように構成された導管と、反応器の壁から内向きに延在し、供給材料を触媒粒子流中へと注入するように角度付けされた供給材料注入器のリングを含む注入ゾーンと、を備える、接触分解反応器であって、当該反応器が、注入ゾーンの上流の当該反応器の内壁から反応器内へと突出する接触装置もまた備えることを特徴とする、接触分解反応器を提供する。
【0015】
本発明はまた、流動触媒粒子流を炭化水素供給材料と混合する方法を提供し、当該方法は、
a)反応器中で流動触媒粒子流を生成する工程と、
b)当該流動触媒粒子流を、当該反応器の内壁から反応器内へと突出している接触装置を通過させる工程と、
c)続いて、反応器の壁から内向きに延在する供給材料注入器のリングを含む注入ゾーンを通して流動触媒粒子流を通過させ、当該供給材料注入器を通して提供される炭化水素供給材料と当該流動触媒粒子流とを接触させる工程と、
d)炭化水素供給材料と接触させた流動触媒粒子流を反応器の下流区分に通過させて、触媒粒子の存在下で炭化水素供給材料を変換生成物に変換する工程と、含む。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明者らは、炭化水素供給材料が反応器に供給される供給材料注入器のリングの上流の反応器に接触装置を提供することにより、炭化水素供給材料と流動触媒粒子流との混合が改善されることを見出した。本発明は、流動触媒粒子流中への炭化水素供給材料の迅速かつ均一な分散を提供するという問題に対する、簡単な解決策を提供する。
【0017】
反応器は、好適には流動接触分解(FCC)プロセスで使用するための反応器である。このようなプロセスでは、超微粒子状の触媒粒子が反応器に供給され、流動化媒体の添加によって流動化される。触媒粒子は、新鮮な触媒粒子若しくは再生触媒粒子又はこれらの混合物であってもよい。流動化媒体は、炭化水素流の希釈剤材料、典型的には、水蒸気又は低分子量流動化ガスであってもよい。流動触媒流は反応器を通って流れる。反応器は、流動触媒流が反応器を通って下方に流れる「ダウナ」反応器であってもよい。好ましくは、反応器は上昇管反応器であり、流動触媒流は上昇管反応器を通って上方に流れる。
【0018】
本発明において、接触装置は、供給材料注入器のリングの上流の反応器に提供される。したがって、流動触媒流は、注入ゾーン内へと通過する前に、当該接触装置と接触させられる。
【0019】
接触装置は、反応器の壁にしっかりと固定された差込み部を含む。典型的には、接触装置は、反応器の内径と等しい外径を有する環状要素を備える。
【0020】
接触装置は、金属、セラミック、サーメット又はこれらの混合物を含んでもよい。本発明の一実施形態では、接触装置は、耐火材料と金属構造体との複合材料を含む。本実施形態では、金属構造体を反応器の外壁に接続して、温度衝撃にも関わらず接触装置の位置が動作中に変化しないことを確実にしてもよい。
【0021】
更に、金属構造体は、金属構造体と耐火材料との組み合わせに補強を提供し、それによってより強くなり、浸食されにくくなる。これは、反応器が内部耐火性ライニングを備えている場合に特に有利である。
【0022】
反応器混合物の腐食性を考慮して、耐火材料は、高い耐摩耗性を有するように適切に選択される。本材料はまた、接触装置の成形を容易にするために鋳造可能であることが好ましい。好適には、耐火材料は、アルミナ、シリカ、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄及びこれらの混合物からなる群から選択される。また、耐火物は酸化燐を含有してもよい。
【0023】
接触装置は、当業者が特定の用途に好適であると考える任意の断面形状であってもよい。当業者であれば、利点、特に乱流効果を最適化しつつ、圧力低下などのあらゆる欠点を最小限に抑えるであろう。特定の実施形態では、接触装置は、長方形の断面輪郭を有してもよい。その他の実施形態では、非長方形の断面が望ましい場合がある。例えば、反応器の内壁から外側に傾斜したテーパ状の形状が好適な場合がある。好適な装置は、米国特許第9283532号、国際公開第02017/003991号、及び国際公開第02008017660号に記載されている。
【0024】
接触装置が環の形状である場合、環全体が一体に組み立てられてもよい。しかしながら、このような環を2つ以上のモジュールに組み立てることが有利である。これは、組み立てがより容易であるだけではなく、局所的な修理の可能性をも提供する。本実施形態では、モジュールの数は、好適には4個~25個の範囲である。
【0025】
本発明の特別な利点は、このようにして構成された接触装置を反応器に追加導入することができ、大きな改造を必要とせずに既存の反応器の改良を可能にすることである。接触装置は、供給材料注入器のリングの上流に位置付けられる。典型的には、接触装置は、供給材料注入器のリングのすぐ上流に配置される。好ましくは、接触装置の下流端部と供給材料注入器の上流端部との間の距離は、25インチ(63.5cm)以下である。接触装置の下流端部と供給材料注入器の上流端部又は下側との間の距離は、反応器の形状、及び反応器がスエージ加工されているか否かに依存し、反応器内の形状及び流れ条件の両方に依存して変更され得る。
【0026】
供給材料注入器のリングの上流の接触装置の位置は、触媒粒子流をそらして、供給材料注入器からの炭化水素供給材料の分散に、より密接に適合させる。接触装置は、反応器内の通路を縮小させる。好ましくは、通路は、接触装置の上流の反応器の通路に基づいて、35パーセント以下だけ縮小される。好適には、通路の縮小は、接触装置の上流の反応器の通路に基づいて、少なくとも10パーセントである。
【0027】
供給材料注入器のリングの上流の接触装置の位置は、供給注入器自体を触媒粒子流によって引き起こされる浸食及び損傷から保護するという、更なる利点を提供する。
【0028】
供給材料注入器は、任意の好適な供給材料注入ノズルを含んでもよい。典型的なFCCの実施では、供給材料は、扇型パターンの噴霧としてノズルから出る。ノズルは通常、扇型パターンを下流方向に傾けるように角度付けられている。ノズルの角度は、典型的には、ノズルを通過する横断面に対して少なくとも20°~70°未満の範囲であり、液体は注入器に入る。
【0029】
注入ゾーン内で、流動触媒粒子は、供給材料注入器を通して供給される炭化水素供給材料と接触する。本発明は、触媒粒子全体にわたる供給材料の優れた迅速な分散を可能にする。
【0030】
次に、炭化水素供給材料と接触させた流動触媒粒子流を注入ゾーンの下流に通し、炭化水素供給材料を触媒粒子の存在下で変換生成物に変換する。これは、反応器を通る流れの一部として起こり得るか、又はいくつかの実施形態では、反応器の下流区分内に配置された触媒床内で少なくとも部分的に起こり得る。
【0031】
図面の詳細な説明
ここで、代表的で非限定的な図面を参照して、本発明を更に説明する。
【0032】
図1は、本発明によって克服されるべき問題を示す。図1は、注入ゾーンにおける上昇管反応器の断面を示す。多数の供給材料注入器(1)が、上昇管反応器(2)の内壁から突出している。典型的な反応器構成における組み合わされた噴霧パターン(3)が示されている。これは、注入ゾーンを通過する流動触媒粒子流が減少したレベルの供給材料と接触する静止ゾーン(4)をもたらす。
【0033】
図2a及び図2bは、本発明を示す。接触装置(5)は、注入ゾーンの上流に提供される。図2aでは、流動触媒粒子のための通路の面積は、接触装置の上流の上昇管反応器の通路に基づいて23%だけ接触装置によって減少される。図2bでは、流動触媒粒子のための通路の面積は、接触装置の上流の上昇管反応器の通路に基づいて31%だけ接触装置によって減少される。両方の図では、図1と比較した場合に、静止ゾーン(4)の面積が大幅に減少していることが明らかに分かる。
【0034】
図3は、上昇管反応器の内壁(6)を通る金属構造体(5b)を介して当該反応器の外側金属壁(7)に接続された耐火材料で構成された区分(5a)を含む、接触装置(5)を示す。
【0035】
図4は、同じ接触装置の異なる断面図を示す。
【0036】
図5は、供給材料注入器(1)の上流で反応器内へと突出する接触装置(5)を示す、反応器内の図を示す。流動触媒粒子流(8)の流れは、注入ゾーンの上流で接触装置を通過する。注入ゾーン内で、供給材料注入器(1)は炭化水素供給材料を提供し、当該炭化水素供給材料は当該流動触媒粒子と接触する。
【0037】
実施例
以下の非限定的な実施例は、本発明の更なる説明として提供される。
【0038】
数値流体力学(computational fluid dynamics、CFD)シミュレーションを使用して、本発明を試験した。標準的な上昇管反応器構成及びプロセス条件を表すように、モデル化を構成した。各概要について記載した変更を除いて、同じ基本的な上昇管反応器及びプロセス条件を、各概要について使用した。4つの異なる概要をモデル化した。概要1(基本ケース;比較)未改変の上昇管反応器をシミュレートした。概要2では、供給材料注入器の上流に接触装置を追加した。概要3(比較)は、供給ノズルの上流の上昇管反応器の直径の減少を伴っていた。概要4は、供給ノズルの上流に接触装置を追加して概要3を適合させた。シミュレーションの結果を、表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
概要2では、供給ノズルの上流に接触装置を追加することで、これらのシミュレーションにおいて、概要1と比較した場合に、注入されたオイルと高温流動触媒とのより良好な接触を通して2重量%を超えて供給材料気化を増加させることが明確に示された。本改善の全てではないが一部は、上昇管の下側区分をより小さい直径を有するものに交換することによって達成し得る(概要3)。しかしながら、接触装置の追加(例えば、概要2)は、上昇管の下側区分の交換を必要とせず、既存の反応器に追加導入され得る。
【0041】
より小さい下部上昇管と接触装置との組み合わせによって、更なる利点が実証された(概要4)。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
【国際調査報告】