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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】HA阻害剤化合物の塩及び結晶形
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/14 20060101AFI20240201BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
C07D413/14
A61P31/16
A61K31/4545
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547293
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-08-03
(86)【国際出願番号】 CN2022074368
(87)【国際公開番号】W WO2022166767
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】202110157185.7
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515230637
【氏名又は名称】四川海思科制▲薬▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】李 瑶
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 国彪
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲暁▼波
(72)【発明者】
【氏名】唐 平明
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 晨
(72)【発明者】
【氏名】▲厳▼ ▲パン▼科
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA05
4C063BB01
4C063CC52
4C063DD12
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC70
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA14
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA02
4C086NA03
4C086ZB33
(57)【要約】
HA阻害剤(1S,2S)-2-フルオロ-N-(2-(2-(4-((R)-(5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ホルミル)ピリジン-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミドの薬学的に許容される塩又はその塩の水和物又は溶媒和物、その製造方法および応用を開示した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物Aの塩又はその塩の水和物又は溶媒和物であって、
【化1】
ここで、前記塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩、コハク酸塩、クエン酸又はリンゴ酸塩である、化合物Aの塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項2】
前記塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩又はヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩であり、好ましくは、その塩は、結晶形で存在する、請求項1に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項3】
前記塩は、化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩であり、それは、Cu-Kα線を用いた結晶形であり、そのX-線粉末回折パターンは、5.3°±0.2°、13.4°±0.2°、17.4°±0.2°、18.5°±0.2°、20.4°±0.2°と23.6°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項2に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項4】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに7.0°±0.2°、9.8°±0.2°、10.6°±0.2°、12.7°±0.2°、14.8°±0.2°、22.2°±0.2°と23.1°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項3に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項5】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに14.1°±0.2°、16.0°±0.2°と21.5°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項4に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項6】
そのX-線粉末回折パターンは、基本的に図1に示される、請求項5に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項7】
前記塩は、化合物Aの塩酸塩であり、それは、Cu-Kα線を用いた結晶形であり、そのX-線粉末回折パターンは、5.9°±0.2°、11.2°±0.2°、11.7°±0.2°、17.6°±0.2°、18.2°±0.2°、21.9°±0.2°と26.8°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項2に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項8】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに7.1°±0.2°、16.3°±0.2°、18.6°±0.2°、22.3°±0.2°と23.8°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項7に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項9】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに13.3°±0.2°、14.2°±0.2°、15.7°±0.2°、20.3°±0.2°、21.3°±0.2°、24.8°±0.2°、25.4°±0.2°、27.2°±0.2°と27.7°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項8に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項10】
そのX-線粉末回折パターンは、基本的に図4に示される、請求項9に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項11】
前記塩は、化合物Aの臭化水素酸塩であり、それは、Cu-Kα線を用いた結晶形であり、そのX-線粉末回折パターンは、6.0°±0.2°、7.2°±0.2°、9.0°±0.2°、12.0°±0.2°、14.8°±0.2°と17.6°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項2に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項12】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに17.3°±0.2°、18.0°±0.2°、21.2°±0.2°、21.5°±0.2°、24.2°±0.2°と26.5°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項11に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項13】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに16.9°±0.2°、18.6°±0.2°、19.0°±0.2°、20.2°±0.2°、28.0°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項12に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項14】
そのX-線粉末回折パターンは、基本的に図7に示される、請求項13に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項15】
前記塩は、化合物Aの臭化水素酸塩であり、それは、Cu-Kα線を用いた結晶形であり、そのX-線粉末回折パターンは、6.5°±0.2°、7.3°±0.2°、12.2°±0.2°、12.9°±0.2°、16.0°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項2に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項16】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに6.1°±0.2°、17.4°±0.2°、18.3°±0.2°、20.4°±0.2°、22.4°±0.2°、24.8°±0.2°と28.2°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項15に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項17】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに13.8°±0.2°、14.5°±0.2°、15.2°±0.2°、19.1°±0.2°、19.9°±0.2°、21.4°±0.2°、21.8°±0.2°、23.1°±0.2°、23.6°±0.2°、25.5°±0.2°、26.0°±0.2°と26.5°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項16に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項18】
そのX-線粉末回折パターンは、基本的に図10に示される、請求項17に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項19】
前記塩は、化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩であり、それは、Cu-Kα線を用いた結晶形であり、そのX-線粉末回折パターンは、4.7°±0.2°、9.4°±0.2°、17.2°±0.2°、21.2°±0.2°と23.4°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項2に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項20】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに6.3°±0.2°、6.8°±0.2°、7.8°±0.2°、13.4°±0.2°、16.5°±0.2°、19.2°±0.2°と20.1°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項19に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項21】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに14.9°±0.2°、15.3°±0.2°、15.7°±0.2°、24.3°±0.2°、25.1°±0.2°と26.1°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項20に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項22】
そのX-線粉末回折パターンは、基本的に図11に示される、請求項21に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項23】
前記塩は、化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩であり、それは、Cu-Kα線を用いた結晶形であり、そのX-線粉末回折パターンは、5.6°±0.2°、11.2°±0.2°、14.1°±0.2°、16.0°±0.2°、22.8°±0.2°と26.8°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項2に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項24】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに4.5°±0.2°、6.2°±0.2°、6.8°±0.2°、8.4°±0.2°、10.4°±0.2°、15.3°±0.2°、15.6°±0.2°、19.0°±0.2°、19.6°±0.2°と25.5±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項23に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項25】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに12.4°±0.2°、12.7°±0.2°、16.7°±0.2°、17.2°±0.2°、17.5°±0.2°、18.0°±0.2°、20.8°±0.2°、21.8°±0.2°、23.5°±0.2°と24.3°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項24に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項26】
そのX-線粉末回折パターンは、基本的に図14に示される、請求項25に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項27】
化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩を製造する方法であって、
アモルファス化合物Aを溶媒1に溶解するステップ(1)と、
1,5-ナフタレンジスルホン酸を溶媒2に溶解するステップ(2)と、
室温攪拌条件で、ステップ(2)で得られた溶液をステップ(1)で得られた溶液に滴下し、攪拌して反応させるステップ(3)とを含み、
前記溶媒1は、イソプロピルアルコール、アセトン又はテトラヒドロフランから選ばれる1つであり、前記溶媒2は、単溶媒系又は二溶媒混合系であり、単溶媒系は、イソプロピルアルコール、アセトン又はテトラヒドロフランから選ばれる1つであり、二溶媒混合系は、テトラヒドロフラン-水混合液である、方法。
【請求項28】
化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩を製造する方法であって、
アモルファス化合物Aを溶媒3に溶解するステップ(1)と、
2-ナフタレンスルホン酸を溶媒4に溶解するステップ(2)と、
室温攪拌条件で、ステップ(2)で得られた溶液をステップ(1)で得られた溶液に滴下し、攪拌し、晶析し、遠心乾燥するステップ(3)とを含み、
前記溶媒3は、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸イソプロピル、1,4-ジオキサン、トルエン又はジメチルスルホキシドから選ばれる1つであり、前記溶媒4は、単溶媒系又は二溶媒混合系であり、単溶媒系は、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸イソプロピル、1,4-ジオキサン、トルエン又はジメチルスルホキシドから選ばれる1つであり、二溶媒混合系は、トルエン-メタノール混合液である、方法。
【請求項29】
化合物Aの塩酸塩を製造する方法であって、
アモルファス化合物Aを溶媒5に溶解するステップ(1)と、
塩酸を溶媒6に溶解するステップ(2)と、
室温攪拌条件で、ステップ(2)で得られた溶液をステップ(1)で得られた溶液に滴下し、攪拌して反応させるステップ(3)とを含み、
前記溶媒5、溶媒6は、それぞれ独立してイソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフランから選ばれる1つである、方法。
【請求項30】
化合物Aの臭化水素酸塩を製造する方法であって、
アモルファス化合物Aを溶媒7に溶解するステップ(1)と、
臭化水素酸を溶媒8に溶解するステップ(2)と、
室温攪拌条件で、ステップ(2)で得られた溶液をステップ(1)で得られた溶液に滴下し、攪拌して反応させるステップ(3)とを含み、
前記溶媒7、8は、それぞれ独立してイソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフランから選ばれる1つである、方法。
【請求項31】
薬物組成物であって、治療有効量の請求項1から26のいずれか一項に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物、及び薬学的に許容されるベクター又は賦形剤を含む、薬物組成物。
【請求項32】
請求項1から26のいずれか一項に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物、、又は請求項31に記載の薬物組成物の、インフルエンザを予防及び/又は治療するための薬物の製造における応用。
【請求項33】
インフルエンザを予防及び/又は治療する方法であって、必要のある被験者に治療有効量の請求項1から26のいずれか一項に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物、又は請求項31に記載の薬物組成物を投与することを含む、方法。
【請求項34】
インフルエンザを予防及び/又は治療するためのものである、請求項1から26のいずれか一項に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物又は請求項31に記載の薬物組成物。
【請求項35】
インフルエンザを予防及び/又は治療するための組成物であって、請求項1から26のいずれか一項に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物を含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、CN出願番号が202110157185.7であり、出願日が2021年2月4日である出願を基礎とし、その優先権を主張しており、該CN出願の開示内容は、ここに全体として本出願に取り込まれる。
【0002】
[技術分野]
本出願は、HA阻害剤化合物(1S,2S)-2-フルオロ-N-(2-(2-(4-((R)-(5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ホルミル)ピリジン-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミドの薬学的に許容される塩又は水和物、溶媒和物、及びその結晶形、製造方法又はその薬物組成物とそのHemagglutinin(HA)阻害剤薬物の製造における用途に関する。
【背景技術】
【0003】
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる急性呼吸器感染症であり、感染力が強く、伝播速度が速い病気でもある。現在、抗インフルエンザウイルス薬物の作用標的は、主にウイルスエンベロープに対するヘマグルチニン受容体、ノイラミニダーゼと基質タンパク質である。
【0004】
甲型インフルエンザウイルスは、表面抗原ヘマグルチニン(hemagglutinin、HA)とノイラミニダーゼ(neuraminidase、NA)タンパク質構造及びその遺伝子特性により、異なるサブタイプに分類され、これまでに発見されたヘマグルチニンは、計H1~H18の18種類のサブタイプがあるが、ノイラミニダーゼは、N1~N10の10種類のサブタイプがある。ウイルスの宿主細胞への侵入は、ウイルス複製サイクルが始まる最初の重要なステップであり、インフルエンザウイルスタンパク質ヘマグルチニンは、シアル酸(SA)(N-アセチルノイラミン酸)の宿主細胞の糖タンパク質上の潜在的な結合部位を認識することができる。ヒトに感染したインフルエンザウイルスに含まれるHAsは、α2-6SAに高い特異性を持つ。それが受容体に結合した後、ウイルスはエンドサイトーシスされるとともに、エンドサイトーシスの酸性pHは、HAタンパク質の配座を変化させることによって、ウイルスと受容体細胞の内融合を調節し、ウイルスのRNPsを細胞質に放出させる。そのため、HAを標的とし、HAと結合することによって低pH条件で引き起こしたHA2配座の変化を抑制し、さらにウイルスエンベロープと宿主内体膜の融合を抑制する過程は、抗インフルエンザウイルスの一つの新しいポリシーとなった。現在、HAに対する複数のワクチン品種、例えばCR9114(WO2013/007770)とCR6261(WO2008/028946)が臨床段階にある。インフルエンザの治療に用いられる種々の構造的特徴を有する小分子化合物もいくつかの文献で報告されている。WO2012/144752は、インフルエンザの治療における一連のベンゾイソコラゾール化合物の使用を報告している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2013/007770号
【特許文献2】国際公開第2008/028946号
【特許文献3】国際公開第2012/144752号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、HA阻害剤化合物(1S,2S)-2-フルオロ-N-(2-(2-(4-((R)-(5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ホルミル)ピリジン-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミドの薬学的に許容される塩又は水和物、溶媒和物、及びその結晶形、製造方法又はその薬物組成物とそのHemagglutinin(HA)阻害剤薬物の製造における用途に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願は、以下の構造(化合物Aと表記する):
【化1】
の塩、その塩の水和物又は溶媒和物又はその塩の結晶形を提供し、
薬物又はその組成物の製造において、化合物Aの塩、その塩の水和物、その塩の溶媒和物、又はその塩の結晶形は、遊離塩基化合物よりも良好な溶解性、安定性を有し、希釈剤(溶媒)の中で非常に安定に存在し、高温、高湿および強い光照射射に耐え、薬物剤形の製造に適している。同時に、遊離塩基化合物よりも優れた薬物動態および生物利用度を有する。
【0008】
具体的には、本出願は、式(I)に示される化合物:
【化2】
の塩、その塩の水和物又は溶媒和物を提供する。
【0009】
前記塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩、コハク酸塩、クエン酸、リンゴ酸塩から選ばれる。
【0010】
さらに、化合物Aの塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩、好ましくその結晶形から選ばれる。
【0011】
さらに、化合物Aの塩は、ヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩である。
【0012】
化合物Aの塩、その塩の水和物又は溶媒和物は、そのうちの塩は、以下の構造:
【化3】
から選ばれる。
【0013】
本出願は、化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩を製造する方法をさらに提供し、
アモルファス化合物Aを溶媒1に溶解するステップ(1)と、
1,5-ナフタレンジスルホン酸を溶媒2に溶解するステップ(2)と、
室温攪拌条件で、ステップ(2)で得られた溶液をステップ(1)で得られた溶液に滴下し、攪拌して反応させるステップ(3)とを含み、
前記溶媒1と2は、それぞれ独立して芳香族炭化水素系、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、脂環式炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ジオール誘導体系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アセトニトリルと水のうちの1つ又は2つ以上の混合溶媒から選ばれ、さらに、前記溶媒1は、イソプロピルアルコール、アセトン又はテトラヒドロフランから選ばれる1つであり、前記溶媒2は、単溶媒系又は二溶媒混合系であり、単溶媒系は、イソプロピルアルコール、アセトン又はテトラヒドロフランから選ばれる1つであり、二溶媒混合系は、テトラヒドロフラン-水混合液である。
【0014】
本出願は、化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩を製造する方法をさらに提供し、
アモルファス化合物Aを溶媒3に溶解するステップ(1)と、
2-ナフタレンスルホン酸を溶媒4に溶解するステップ(2)と、
室温攪拌条件で、ステップ(2)で得られた溶液をステップ(1)で得られた溶液に滴下し、攪拌して反応させるステップ(3)とを含み、
前記溶媒3と4は、それぞれ独立して芳香族炭化水素系、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、脂環式炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ジオール誘導体系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アセトニトリルと水のうちの1つ又は2つ以上の混合溶媒から選ばれ、さらに、前記溶媒3は、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸イソプロピル、1,4-ジオキサン、トルエン又はジメチルスルホキシドから選ばれる1つであり、前記溶媒4は、単溶媒系又は二溶媒混合系であり、単溶媒系は、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸イソプロピル、1,4-ジオキサン、トルエン又はジメチルスルホキシドから選ばれる1つであり、二溶媒混合系は、トルエン-メタノール混合液である。
【0015】
さらに、溶媒3と溶媒4とは、同じである。
【0016】
本出願は、化合物Aの塩酸塩を製造する方法をさらに提供し、
アモルファス化合物Aを溶媒5に溶解するステップ(1)と、
塩酸を溶媒6に溶解するステップ(2)と、
室温攪拌条件で、ステップ(2)で得られた溶液をステップ(1)で得られた溶液に滴下し、攪拌して反応させるステップ(3)とを含み、
前記溶媒5と6は、それぞれ独立して芳香族炭化水素系、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、脂環式炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ジオール誘導体系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アセトニトリルと水のうちの1つ又は2つ以上の混合溶媒から選ばれ、さらに、前記溶媒5、6は、それぞれ独立してイソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフランから選ばれる1つであり、さらに、溶媒5、6は、それぞれ独立してイソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフランから選ばれる1つであり且つ同じである。
【0017】
本出願は、化合物Aの臭化水素酸塩を製造する方法をさらに提供し、
アモルファス化合物Aを溶媒7に溶解するステップ(1)と、
臭化水素酸を溶媒8に溶解するステップ(2)と、
室温攪拌条件で、ステップ(2)で得られた溶液をステップ(1)で得られた溶液に滴下し、攪拌して反応させるステップ(3)とを含み、
前記溶媒7と8は、それぞれ独立して芳香族炭化水素系、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、脂環式炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ジオール誘導体系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アセトニトリルと水のうちの1つ又は2つ以上の混合溶媒から選ばれ、さらに、前記溶媒7、8は、それぞれ独立してイソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフランから選ばれる1つであり、さらに、前記溶媒7、8は、それぞれ独立してイソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフランから選ばれる1つであり且つ同じである。
【0018】
本出願は、製造化合物Aのベンゼンスルホン酸塩の方法をさらに提供し、
アモルファス化合物Aを溶媒9に溶解するステップ(1)と、
ベンゼンスルホン酸を溶媒10に溶解するステップ(2)と、
室温攪拌条件で、ステップ(2)で得られた溶液をステップ(1)で得られた溶液に滴下し、攪拌して反応させるステップ(3)とを含み、
前記溶媒9と10は、それぞれ独立して芳香族炭化水素系、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、脂環式炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ジオール誘導体系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アセトニトリルと水のうちの1つ又は2つ以上の混合溶媒から選ばれ、さらに、前記溶媒9は、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸イソプロピル、1,4-ジオキサン、トルエン又はジメチルスルホキシドから選ばれる1つであり、前記溶媒10は、単溶媒系又は二溶媒混合系であり、単溶媒系は、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸イソプロピル、1,4-ジオキサン、トルエン又はジメチルスルホキシドから選ばれる1つであり、二溶媒混合系は、トルエン-メタノール混合液であり、さらに溶媒9、10は、同じである。
【0019】
本出願は、化合物Aのp-メチルベンゼンスルホン酸塩を製造する方法をさらに提供し、
アモルファス化合物Aを溶媒11に溶解するステップ(1)と、
p-メチルベンゼンスルホン酸を溶媒12に溶解するステップ(2)と、
室温攪拌条件で、ステップ(2)で得られた溶液をステップ(1)で得られた溶液に滴下し、攪拌し、晶析し、遠心乾燥するステップ(3)とを含み、
前記溶媒11と12は、それぞれ独立して芳香族炭化水素系、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、脂環式炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ジオール誘導体系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アセトニトリルと水のうちの1つ又は2つ以上の混合溶媒から選ばれ、さらに、前記溶媒11は、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸イソプロピル、1,4-ジオキサン、トルエン又はジメチルスルホキシドから選ばれる一種であり、前記溶媒12は、単溶媒系又は二溶媒混合系であり、単溶媒系は、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸イソプロピル、1,4-ジオキサン、トルエン又はジメチルスルホキシドから選ばれる一種であり、二溶媒混合系は、トルエン-メタノール混合液であり、さらに溶媒11、12は、同じである。
【0020】
本出願は、製造化合物Aのp-メタンスルホン酸塩を製造する方法をさらに提供し、
アモルファス化合物Aを溶媒13に溶解するステップ(1)と、
メタンスルホン酸を溶媒14に溶解するステップ(2)と、
室温攪拌条件で、ステップ(2)で得られた溶液をステップ(1)で得られた溶液に滴下し、攪拌し、晶析し、遠心乾燥するステップ(3)とを含み、
前記溶媒13と14は、それぞれ独立して芳香族炭化水素系、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、脂環式炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ジオール誘導体系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アセトニトリルと水のうちの1つ又は2つ以上の混合溶媒から選ばれ、さらに、前記溶媒13は、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸イソプロピル、1,4-ジオキサン、トルエン又はジメチルスルホキシドから選ばれる1つであり、前記溶媒14は、単溶媒系又は二溶媒混合系であり、単溶媒系は、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸イソプロピル、1,4-ジオキサン、トルエン又はジメチルスルホキシドから選ばれる1つであり、二溶媒混合系は、トルエン-メタノール混合液であり、さらに溶媒13、14は、同じである。
【0021】
本出願は、化合物Aの酢酸塩を製造する方法をさらに提供し、
アモルファス化合物Aを溶媒15に溶解するステップ(1)と、
酢酸を溶媒16に溶解するステップ(2)と、
室温攪拌条件で、ステップ(2)で得られた溶液をステップ(1)で得られた溶液に滴下し、攪拌し、晶析し、遠心乾燥するステップ(3)とを含み、
前記溶媒15と16は、それぞれ独立して芳香族炭化水素系、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、脂環式炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ジオール誘導体系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アセトニトリルと水のうちの1つ又は2つ以上の混合溶媒から選ばれ、さらに、前記溶媒15は、単溶媒系又は二溶媒混合系から選ばれ、単溶媒系は、イソプロピルアルコール、メタノール、酢酸、アセトン、テトラヒドロフランのうちの1つから選ばれ、前記溶媒16は、単溶媒系又は二溶媒混合体系であり、単溶媒系は、イソプロピルアルコール、酢酸、アセトン、テトラヒドロフラン、メタノールのうちの1つから選ばれ、二溶媒混合系の第1の溶媒は、酢酸であり、第2の溶媒は、水、n-ヘプタン、メチル-tert-ブチルエーテルのうちの1つから選ばれる。
【0022】
本出願は、化合物Aのフマル酸塩を製造する方法をさらに提供し、
アモルファス化合物Aを溶媒17に溶解するステップ(1)と、
フマル酸を溶媒18に溶解するステップ(2)と、
室温攪拌条件で、ステップ(2)で得られた溶液をステップ(1)で得られた溶液に滴下し、攪拌し、晶析し、遠心乾燥するステップ(3)とを含み、前記溶媒17と18は、それぞれ独立して芳香族炭化水素系、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、脂環式炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ジオール誘導体系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アセトニトリルと水のうちの1つ又は2つ以上の混合溶媒から選ばれ、さらに、前記溶媒17、18は、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、エタノール、メタノール、酢酸イソプロピル、1,4-ジオキサン、トルエン又はジメチルスルホキシドのうちの1つから選ばれ、さらに溶媒17、18は、同じである。
【0023】
マロン酸、コハク酸、安息香酸、クエン酸、リンゴ酸、L-酒石酸は、化合物Aのフマル酸塩の製造方法と同じであり、該当する酸を選択してフマル酸塩の製造方法に従って製造して得られる。
【0024】
本出願に記載の化合物Aの塩を製造する方法では、抗溶媒を加えてもよく、前記抗溶媒は、イソプロピルエーテル、エチルエーテル、水、n-ヘプタンのうちの1つから選ばれてもよい。
【0025】
本出願に記載の化合物Aの塩を製造する方法では、化合物Aと酸とのモル比は、1:5~1:1.1であり、さらに1:2~1:1.2であり、さらに1:1.5~1:1.2である。
【0026】
本出願に記載の化合物Aの塩を製造する方法では、反応温度は、常温であり、さらに15-30℃である。
【0027】
本出願は、さらに化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩に関し、それは、Cu-Kα線を用いた結晶形(ヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩結晶形I)であり、そのX-線粉末回折パターンは、5.3°±0.2°、13.4°±0.2°、17.4°±0.2°、18.5°±0.2°、20.4°±0.2°と23.6°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0028】
さらに、本出願による化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩の結晶形Iは、そのX-線粉末回折パターンがさらに7.0°±0.2°、9.8°±0.2°、10.6°±0.2°、12.7°±0.2°、14.8°±0.2°、22.2°±0.2°と23.1°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0029】
さらに、本出願による化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩の結晶形Iは、そのX-線粉末回折パターンがさらに14.1°±0.2°、16.0°±0.2°と21.5°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0030】
さらに、本出願による化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩の結晶形Iは、そのX-線粉末回折パターンがさらに9.8°±0.2°、11.6°±0.2°、16.6°±0.2°、17.9°±0.2°、19.2°±0.2°、27.6°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0031】
さらに、本出願による化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩の結晶形Iは、そのX-線粉末回折パターンがさらに18.9°±0.2°、21.8°±0.2°、24.9°±0.2°、27.3°±0.2°、27.9°±0.2°、28.33°±0.2°、29.0°±0.2°、33.4°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0032】
本出願による化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩の結晶形Iは、そのX-線粉末回折パターンの2θ値と対応する強度が、表1に示され、2θの誤差範囲は、±0.2°である。
【0033】
【表1】
【0034】
さらに、本出願による化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩の結晶形IのX-線粉末回折パターンは、基本的に図1に示される。
【0035】
本出願による化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩の結晶形Iは、その示差走査熱量分析(DSC)は、吸熱曲線を示し、ここで、T開始=188.78℃であり、Tピーク=198.44℃であり、△H=46.09J/gである。
【0036】
本出願による化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩の結晶形Iは、その示差走査熱量分析(DSC)は、その融点が188.78℃であることを示す。
【0037】
本出願による化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩の結晶形Iは、その示差走査熱量分析(DSC)図が基本的に図2に示される。
【0038】
本出願による化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩の結晶形Iは、その熱重量分析(TGA)曲線は、150℃ までに4.017% の減量があり、分解温度が213.86℃であることを示す。
【0039】
本出願による化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩の結晶形Iは、その熱重量分析(TGA)曲線が基本的に図3に示される。
【0040】
本出願による化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩の結晶形Iは、無水物である。
【0041】
本出願は、化合物Aの塩酸塩をさらに提供し、それは、Cu-Kα線を用いた結晶形(塩酸塩結晶形I)であり、そのX-線粉末回折パターンは、5.9°±0.2°、11.2°±0.2°、11.7°±0.2°、17.6°±0.2°、18.2°±0.2°、21.9°±0.2°と26.8°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0042】
さらに、本出願による化合物Aの塩酸塩の結晶形Iは、そのX-線粉末回折パターンがさらに7.1°±0.2°、16.3°±0.2°、18.6°±0.2°、22.3°±0.2°、23.8°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0043】
さらに、本出願による化合物Aの塩酸塩の結晶形Iは、そのX-線粉末回折パターンがさらに13.3°±0.2°、14.2°±0.2°、15.7°±0.2°、20.3°±0.2°、21.3°±0.2°、24.8°±0.2°、25.4°±0.2°、27.2°±0.2°と27.7°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0044】
さらに、本出願による化合物Aの塩酸塩の結晶形Iは、そのX-線粉末回折パターンがさらに6.6±0.2°、8.1±0.2°、10.3±0.2°、12.9±0.2°、15.9±0.2°、21.3±0.2°、23.0±0.2°と23.6±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0045】
さらに、本出願による化合物Aの塩酸塩の結晶形Iは、そのX-線粉末回折パターンがさらに21.0±0.2°、24.3±0.2°、24.8±0.2°、26.4±0.2°、26.1±0.2°、27.2±0.2°、28.8±0.2°と29.8±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0046】
本出願による化合物Aの塩酸塩の結晶形Iは、そのX-線粉末回折パターンの2θ値と対応する強度が、表2に示され、2θの誤差範囲は、±0.2°である。
【0047】
【表2】
【0048】
さらに、本出願による化合物Aの塩酸塩の結晶形Iは、そのX-線粉末回折パターンが基本的に図4に示される。
【0049】
本出願による化合物Aの塩酸塩の結晶形Iの示差走査熱量分析(DSC)図は、吸熱曲線を示し、ここで、T開始=118.97℃であり、Tピーク=126.16℃であり、△H=23.18J/gである。
【0050】
さらに、本出願による化合物Aの塩酸塩の結晶形Iの示差走査熱量分析(DSC)図は、その融点が118.97℃であることを示す。
【0051】
さらに、本出願による化合物Aの塩酸塩の結晶形Iの示差走査熱量分析チャートは、基本的に図5に示される。
【0052】
本出願による化合物Aの塩酸塩の結晶形Iの熱重量分析(TGA)曲線は、150℃までに3.202%の減量があり、分解温度が171.90℃であることを示す。
【0053】
さらに、本出願による化合物Aの塩酸塩の結晶形Iの熱重量分析(TGA)曲線は、基本的に図6に示される。
【0054】
本出願による化合物Aの塩酸塩の結晶形は、溶媒和物の形式で存在してもよい。
【0055】
本出願は、化合物Aの臭化水素酸塩をさらに提供し、それは、Cu-Kα線を用いた結晶形(臭化水素酸塩結晶形I)であり、そのX-線粉末回折パターンは、6.0°±0.2°、7.2°±0.2°、9.0°±0.2°、12.0°±0.2°、14.8°±0.2°と17.6°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0056】
さらに、本出願の化合物Aの臭化水素酸塩の結晶形IのX-線粉末回折パターンは、さらに17.3°±0.2°、18.0°±0.2°、21.2°±0.2°、21.5°±0.2°、24.2°±0.2°と26.5°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0057】
さらに、本出願の化合物Aの臭化水素酸塩の結晶形IのX-線粉末回折パターンは、さらに16.9°±0.2°、18.6°±0.2°、19.0°±0.2°、20.2°±0.2°と28.0°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0058】
さらに、本出願の化合物Aの臭化水素酸塩の結晶形IのX-線粉末回折パターンは、さらに14.4°±0.2°、20.4°±0.2°、22.1°±0.2°、22.5°±0.2°、23.7°±0.2°、24.8°±0.2°、27.1°±0.2°と28.4°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0059】
さらに、本出願の化合物Aの臭化水素酸塩の結晶形IのX-線粉末回折パターンは、さらに26.1°±0.2°、27.1°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0060】
本出願による化合物Aの臭化水素酸塩の結晶形Iは、そのX-線粉末回折パターンの2θ値と対応する強度が表3に示され、2θの誤差範囲は、±0.2°である。
【0061】
【表3】
【0062】
さらに、本出願による化合物Aの臭化水素酸塩の結晶形IのX-線粉末回折パターンは、基本的に図7に示される。
【0063】
本出願による化合物Aの臭化水素酸塩の結晶形Iの示差走査熱量分析(DSC)曲線は、吸熱曲線を示し、ここで、T開始=179.68℃であり、Tピーク=187.40℃であり、△H=8.189J/gである。
【0064】
さらに、本出願による化合物Aの臭化水素酸塩の結晶形Iの示差走査熱量分析(DSC)図は、その融点が179.68℃であることを示す。
【0065】
さらに、本出願による化合物Aの臭化水素酸塩の結晶形Iの示差走査熱量分析(DSC)図は、基本的に図8に示される。
【0066】
本出願による化合物Aの臭化水素酸塩の結晶形Iの熱重量分析(TGA)曲線は、100℃までに3.584%の減量があり、100℃~150℃の間に7.033%の減量があり、分解温度が185.29℃であることを示す。
【0067】
さらに、本出願による化合物Aの臭化水素酸塩の結晶形Iの熱重量分析(TGA)曲線は、基本的に図9に示される。
【0068】
本出願は、さらに化合物Aの臭化水素酸塩に関し、それは、Cu-Kα線を用いた結晶形(臭化水素酸塩結晶形II)であり、そのX-線粉末回折パターンは、6.5°±0.2°、7.3°±0.2°、12.2°±0.2°、12.9°±0.2°、16.0°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0069】
さらに、本出願の化合物Aの臭化水素酸塩の結晶形IIのX-線粉末回折パターンは、さらに6.1°±0.2°、17.4°±0.2°、18.3°±0.2°、20.4°±0.2°、22.4°±0.2°、24.8°±0.2°と28.2°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0070】
さらに、本出願の化合物Aの臭化水素酸塩の結晶形IIのX-線粉末回折パターンは、さらに13.8°±0.2°、14.5°±0.2°、15.2°±0.2°、19.1°±0.2°、19.9°±0.2°、21.4°±0.2°、21.8°±0.2°、23.1°±0.2°、23.6°±0.2°、25.5°±0.2°、26.0°±0.2°と26.5°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0071】
本出願による化合物Aの臭化水素酸塩の結晶形IIは、そのX-線粉末回折パターンの2θ値と対応する強度が、表4に示され、2θの誤差範囲は、±0.2°である。
【0072】
【表4】
【0073】
さらに、本出願による化合物Aの臭化水素酸塩の結晶形IIのX-線粉末回折パターンは、基本的に図10に示される。
【0074】
本出願による化合物Aの臭化水素酸塩の結晶形は、溶媒和物の形式で存在してもよい。
【0075】
本出願による化合物Aの臭化水素酸塩の結晶形Iは、溶媒和物の形式で存在してもよい。
【0076】
本出願は、化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩をさらに提供し、それは、Cu-Kα線を用いた結晶形(2-ナフタレンスルホン酸塩結晶形I)であり、そのX-線粉末回折パターンは、4.7°±0.2°、9.4°±0.2°、17.2°±0.2°、21.2°±0.2°と23.4°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0077】
さらに、本出願による化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩の結晶形IのX-線粉末回折パターンは、さらに6.3°±0.2°、6.8°±0.2°、7.8°±0.2°、13.4°±0.2°、16.5°±0.2°、19.2°±0.2°と20.1°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0078】
さらに、本出願による化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩の結晶形IのX-線粉末回折パターンは、さらに14.9°±0.2°、15.3°±0.2°、15.7°±0.2°、24.3°±0.2°、25.1°±0.2°と26.1°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0079】
さらに、本出願による化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩の結晶形IのX-線粉末回折パターンは、さらに11.9°±0.2°、12.3°±0.2°、12.5°±0.2°、13.9°±0.2°、17.5°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0080】
さらに、本出願による化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩の結晶形IのX-線粉末回折パターンは、さらに18.4°±0.2°、19.7°±0.2°、21.9°±0.2°、23.8°±0.2°、26.1°±0.2°、27.3°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0081】
本出願による化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩の結晶形Iは、そのX-線粉末回折パターンの2θ値と対応する強度が、表5に示され、2θの誤差範囲は、±0.2°である。
【0082】
【表5】
【0083】
さらに、本出願による化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩の結晶形IのX-線粉末回折パターンは、基本的に図11に示される。
【0084】
本出願による化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩の結晶形Iの示差走査熱量分析(DSC)図は、吸熱曲線を示し、ここで、T開始=143.43℃であり、Tピーク=152.36℃であり、△H=46.11J/gである。
【0085】
さらに、本出願による化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩の結晶形Iの融点は、143.43℃である。
【0086】
さらに、本出願による化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩の結晶形Iの示差走査熱量分析(DSC)図は、基本的に図12に示される。
【0087】
本出願による化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩の結晶形Iの熱重量分析(TGA)曲線は、150℃までに12.17%の減量があり、分解温度が211.99℃であることを示す。
【0088】
本出願による化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩の結晶形Iの熱重量分析曲線は、基本的に図13に示される。
【0089】
本出願による化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩の結晶形Iは、無水和物である。
【0090】
本出願は、さらに化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩に関し、それは、Cu-Kα線を用いた結晶形(2-ナフタレンスルホン酸塩結晶形II)であり、そのX-線粉末回折パターンは、5.6°±0.2°、11.2°±0.2°、14.1°±0.2°、16.0°±0.2°、22.8°±0.2°と26.8°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0091】
本出願に記載の化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩の結晶形IIは、Cu-Kα線を用い、そのX-線粉末回折パターンは、さらに4.5°±0.2°、6.2°±0.2°、6.8°±0.2°、8.4°±0.2°、10.4°±0.2°、15.3°±0.2°、15.6°±0.2°、19.0°±0.2°、19.6°±0.2°と25.5±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0092】
本出願に記載の化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩の結晶形IIは、Cu-Kα線を用い、そのX-線粉末回折パターンは、さらに12.4°±0.2°、12.7°±0.2°、16.7°±0.2°、17.2°±0.2°、17.5°±0.2°、18.0°±0.2°、20.8°±0.2°、21.8°±0.2°、23.5°±0.2°と24.3°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0093】
本出願による化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩の結晶形IIは、そのX-線粉末回折パターンの2θ値と対応する強度が、表6に示され、2θの誤差範囲は、±0.2°である。
【0094】
【表6】
【0095】
本出願に記載の化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩の結晶形IIは、そのX-線粉末回折パターンが基本的に図14に示される。
【0096】
本出願の塩又は結晶形は、生薬の約5重量%~約100重量%で存在する。
【0097】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約10重量%~約100重量%で存在する。
【0098】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約15重量%~約100重量%で存在する。
【0099】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約20重量%~約100重量%で存在する。
【0100】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約25重量%~約100重量%で存在する。
【0101】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約30重量%~約100重量%で存在する。
【0102】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約35重量%~約100重量%で存在する。
【0103】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約40重量%~約100重量%で存在する。
【0104】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約45重量%~約100重量%で存在する。
【0105】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約50重量%~約100重量%で存在する。
【0106】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約55重量%~約100重量%で存在する。
【0107】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約60重量%~約100重量%で存在する。
【0108】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約65重量%~約100重量%で存在する。
【0109】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約70重量%~約100重量%で存在する。
【0110】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約75重量%~約100重量%で存在する。
【0111】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約80重量%~約100重量%で存在する。
【0112】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約85重量%~約100重量%で存在する。
【0113】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約90重量%~約100重量%で存在する。
【0114】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約95重量%~約100重量%で存在する。
【0115】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約98重量%~約100重量%で存在する。
【0116】
いくつかの実施形態において、本出願の塩又は結晶形は、生薬の約99重量%~約100重量%で存在する。
【0117】
いくつかの実施形態において、基本的にすべての生薬は、本出願の塩又は結晶形であり、即ち生薬は、基本的に相純度塩又は相純結晶体である。
【0118】
理解できるように、示差走査熱量分析(DSC)分野で良く知られており、DSC曲線の溶融ピークの高さは、サンプル製造と装置の幾何に関連する多くの要因に依存し、ピーク位置は、実験の詳細に敏感ではない。そのため、いくつかの実施形態において、本出願の結晶性化合物は、特徴的なピーク位置のDSC図を有し、本出願の図面によるDSC図と実質的に同じ特性を有し、誤差許容範囲は±3℃以内である。
【0119】
本出願は、さらに薬物組成物に関し、治療有効量の本出願の前記化合物Aの塩、その塩の水和物又は溶媒和物又はその塩の結晶形、及び薬学的に許容されるベクター又は賦形剤を含む。
【0120】
本出願は、さらに化合物Aの塩、その塩の水和物又は溶媒和物又はその塩の結晶形、又は前記薬物組成物の、インフルエンザを予防及び/又は治療するための薬物の製造における応用に関する。
【0121】
本出願は、さらにインフルエンザを治療及び/又は予防する方法に関し、前記方法は、必要のある被験者に治療及び/又は予防有効量の本出願の前記化合物Aの塩、その塩の水和物又は溶媒和物又はその塩の結晶形、又は前記薬物組成物を投与することを含む。
【0122】
本出願は、さらにインフルエンザを治療及び/又は予防するための化合物Aの塩、その塩の水和物又は溶媒和物又はその塩の結晶形又は前記薬物組成物に関する。
【0123】
本出願は、インフルエンザを治療及び/又は予防するための組成物をさらに提供し、化合物Aの塩、その塩の水和物又は溶媒和物又はその塩の結晶形又は前記薬物組成物を含む。
【0124】
別段の記述がない限り、明細書と特許請求の範囲に使用される用語は、次の意味を有する。
【0125】
本出願の前記基と化合物に関する炭素、水素、酸素、硫黄、窒素又はハロゲンは、いずれもそれらの同位体を含み、及び本出願の前記基と化合物に関する炭素、水素、酸素、硫黄、窒素又はハロゲンのいずれかは、さらにそれらに対応する1つ又は複数の同位体に置き換えられ、ここで、炭素の同位体は、12C、13Cと1jを含み、水素の同位体は、プロトン(H)、デューテリウム(D、重水素とも呼ばれる)、トリチウム(T、三重水素とも呼ばれる)を含み、酸素の同位体は、16O、17Oと18Oを含み、硫黄の同位体は、32S、33S、34Sと36Sを含み、窒素の同位体は、14Nと15Nを含み、フッ素の同位体は、19Fを含み、塩素の同位体は、35Clと37Clを含み、臭素の同位体は、79Brと81Brを含む。
【0126】
「有効量」とは、組織、系統又は被験者の生理的又は医学的反応を引き起こす化合物の量であり、この量は、求められたものであり、被治療者に投与される時に、治療された疾患又は病症の1つ又は複数の症状の発生を予防し又はある程度まで軽減するのに十分な化合物の量を含む。
【0127】
「IC50」とは、半数抑制濃度のことで、最大抑制効果の半分に達したときの濃度を指す。
【0128】
本出願において使用されるように、図を限定するための用語である「基本的に図……に示される」は、当業者に許容される逸脱を考慮して、当業者が、前記図が参照図と同じであると考えていることを示すことを目指す。このような逸脱は、機器、操作条件、人為的要因等に関連して当分野で知られている要因に起因する可能性がある。例えば、当業者は、示差走査熱量分析法(DSC)によって測定される吸熱開始温度とピーク温度が、実験によって大きく変化し得ることを理解することができる。いくつかの実施形態において、2つの図の特徴ピークの位置の変化が±5%、±4%、±3%、±2%又は±1%を超えない場合、この2つの図は、基本的に同じであると考えられる。例えば、当業者は、2つのX線回折チャートまたは2つのDSCチャートが実質的に同じであるか否かを容易に識別することができる。いくつかの実施形態において、2つのX線回折チャートの特徴ピークの2θ角度変化が±0.3°、±0.2°又は±0.1°を超えない場合、前記X線回折チャートが基本的に同じであると考えられる。
【0129】
本出願において使用されるように、用語「約」は、当分野の通常の公差範囲内であると理解されるべきであり、例えば「約」は、前記値の±10%、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±0.5%、±0.1%、±0.05%又は±0.01%以内であると理解されることができる。文脈から別途明らかでない限り、本出願によるすべての数値は、用語「約」によって修飾される。
【0130】
本出願において使用されるように、用語「薬学的に許容されるベクター又は賦形剤」とは、治療薬とともに投与される希釈剤、付加物、または媒介物を指し、且つその合理的な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または合理的な利益/リスク比に相当する他の問題または合併症なしに、ヒト及び/又は他の動物の組織に接触するのに適している。
【0131】
本出願の前記化合物Aの塩、その塩の水和物又は溶媒和物又はその塩の結晶形は、異なる患者に対する特定の用量および使用方法が、多くの要因によって決定され、患者の年齢、体重、性別、自然健康状態、栄養状態、化合物の活性度、服用期間、代謝速度、重症度、診療医の主観的判断を含む。ここで、用量は、0.01-1000mg/kg体重/日であることが好ましい。
【0132】
本出願の結晶形構造は、当業者に知られている種々の分析技術を用いて分析することができ、X線粉末回折(XRD)、示差走査熱量分析(DSC)及び/又は熱重量法(TG)を含むが、それらに限らない。
【0133】
熱重量分析(Thermogravimetric Analysis、TGA)は、熱重量法(Thermogravimetry、TG)とも呼ばれる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
図1】化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩結晶形IのX-線粉末回折図である。
図2】化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩結晶形IのDSC図である。
図3】化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩結晶形IのTGA曲線である。
図4】化合物Aの塩酸塩結晶形IのX-線粉末回折図である。
図5】化合物Aの塩酸塩結晶形IのDSC図である。
図6】化合物Aの塩酸塩結晶形IのTGA曲線である。
図7】化合物Aの臭化水素酸塩結晶形IのX-線粉末回折図である。
図8】化合物Aの臭化水素酸塩結晶形IのDSC図である。
図9】化合物Aの臭化水素酸塩結晶形IのTGA曲線である。
図10】化合物Aの臭化水素酸塩結晶形IIのX-線粉末回折図である。
図11】化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩結晶形IのX-線粉末回折図である。
図12】化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩結晶形IのDSC図である。
図13】化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩結晶形IのTGA曲線である。
図14】化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩結晶形IIのX-線粉末回折図である。
【発明を実施するための形態】
【0135】
以下では、具体的な実施例によって、本出願の実施過程及び発生する有益な効果を詳細に説明し、閲覧者が本出願の本質及び特徴をよりよく理解するのを助けることを目的としており、本件の実施可能な範囲を限定するものではない。
【0136】
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)及び/又は質量分析(MS)によって確定される。
【0137】
NMRの測定は、(Bruker ADVANCE III 400)核磁気計を用い、測定溶媒は、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d)、重水素化クロロホルム(CDCl)、重水素化メタノール(CDOD)であり、内部標準は、テトラメチルシラン(TMS)である。
【0138】
MSの測定は、(Agilent 6120B(ESI))を用いる。
【0139】
HPLCの測定は、アジレント1260DAD高圧液体クロマトグラフ(Zorba x SB-C18 100x4.6mm)を用いる。
【0140】
カラムクロマトグラフィーは、一般的にベクターとして煙台黄海シリカゲル200~300メッシュのシリカゲルを用いる。
計器:
【0141】
【表7】
【0142】
実施例には特に説明がない限り、溶液は、水溶液である。
【0143】
実施例には特に説明がない限り、反応の温度は、室温である。
【0144】
室温温度は、10℃~30℃である。
【0145】
略語の説明:
DDQ:2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン、
Pd(dppf)Cl:1,1’-ビスジフェニルホスフィンフェロセン二塩化パラジウム、
EA:酢酸エチル、
PE:石油エーテル;
THF:テトラヒドロフラン、
DEAD:アゾジカルボン酸ジエチル、
DMF:N,N-ジメチルカルボキサミド、
HATU:2-(7-オキソベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、
DIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン、
SBE-β-CD:スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン、
DMA:ジメチルアセトアミド、
MC:メチルセルロース、
DMSO:ジメチルスルホキシド。
【0146】
中間体1:4-(5-((tert-ブチルカーボネート)アミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)ピリジンカルボン酸メチル(中間体1)
【化4】
【0147】
ステップ1:tert-ブチル-(4-ヒドロキシ-3-ニトロフェニル)カルバメート(1b)の製造
既知の化合物1a(5.0g、32.5mmol)にテトラヒドロフラン(50mL)、ジ-t-ブチルジカーボネート(10.6g、48.7mmol)を順次加え、加え完了後に70℃まで昇温して16h反応させ、減圧濃縮してテトラヒドロフランを除去し、石油エーテル(100mL)を1時間スラリーした後に濾過し、濾過ケーキを採取し、乾燥して化合物1b(6.1g、74%)を得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ 8.25(d,1H),7.56(d,1H),7.06(d,1H),1.52(s,9H).
LC-MS(ESI):m/z=255.1[M+H]
【0148】
ステップ2:tert-ブチル-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)カルバメート(1c)の製造
室温で、化合物1b(6.1g、24.0mmol)を無水メタノール(60mL)に溶解し、Pd/C(2.1g、Pd含有量10%、水分50%)を加え、水素ガスを導入し、45℃まで昇温して5h反応させた。濾過し、濾液を濃縮して化合物1c(4.3g、80%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z=225.1[M+H]
【0149】
ステップ3:tert-ブチル(2-(2-ブロモピリジン-4-イル)-2,3-ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)カルバミン酸メチル(1d)の製造
化合物1c(4.3g、19.2mmol)をメタノール(50mL)に溶解し、2-ブロモピリジン-4ホルムアルデヒド(3.6g、19.2mmol)を加え、70℃まで昇温して15h攪拌した。反応液を室温まで冷却し、減圧濃縮してメタノールを除去した後、残留物にジクロロメタン(200mL)、DDQ(5.3g、23.0mmol)を順次加え、加え完了後に室温で2h攪拌し、飽和炭酸ナトリウム水溶液(100mL)を加え、10min攪拌して濾過し、濾液をジクロロメタン(200mL×2)で抽出し、合わせた有機相を水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮した後に残留物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤比EA/PE=10%~50%)で分離精製して化合物1d(4.1g、54%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z=392.1[M+H]
【0150】
ステップ4:4-(5-((tert-ブチルカーボネート)アミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)ピリジンカルボン酸メチル(中間体1)の製造
化合物1d(4.1g、10.5mmol)にメタノール(25mL)、ジクロロメタン(25mL)、Pd(dppf)Cl(804.0mg、1.1mmol)、トリエチルアミン(4.24g、42.0mmol)を順次加え、一酸素化炭素を導入した後、反応液を120℃まで昇温して14h攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、濾過し、濾液を減圧濃縮した後に残留物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤比EA/PE=10%~50%)で分離精製して中間体1(3.5g、90%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.95(d,1H),8.89(d,1H),8.26(d,1H),7.86(s,1H),7.54-7.47(m,2H),6.67(s,1H),4.08(s,3H),1.55(s,9H).
LC-MS(ESI):m/z=370.1[M+H]
【0151】
中間体2:(R)-4-((5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジントリフルオロ酢酸塩(中間体2)
【化5】
【0152】
ステップ1:4-((5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ギ酸tert-ブチル(2b)の製造
室温で化合物2a(580mg、2.0mmol)、5-メチルテトラゾール(185mg、2.2mmol)とトリフェニルホスフィン(787mg、3.0mmol)を乾燥したTHF(20mL)に溶解し、窒素ガス保護で0Cまで冷却し、そしてDEAD(520mg、3.0mmol)を滴下し、自然に室温まで上昇して一晩反応させ、減圧濃縮してカラムクロマトグラフィーにより化合物2b(440mg、61.0%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z=358.3[M+H]
【0153】
ステップ2:(R)-4-((5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ギ酸tert-ブチル(2c)の製造
化合物2bをキラルHPLC分割し、化合物2c(tR=1.78min、200mg、45.5%)を得た。
分割条件は、次のとおりである。
計器:MG II preparative SFC(SFC-1)、カラムの種類:ChiralCel OJ、250×30mm I.D.、5μm、移動相:Aは、COであり、Bは、エタノールであり、勾配:B15%、流速:60mL/min、背圧:100bar、カラム温度:38℃、カラム長さ:220nm、期間:~5min、サンプル製造:0.44gの化合物2bを4mLのジクロロとメタノールの混合溶媒に溶解し、サンプル注入:2mL/回。
【0154】
ステップ3:(R)-4-((5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジントリフルオロ酢酸塩(中間体2)の製造
室温で化合物2c(200mg、0.55mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(2.5mL)を滴下し、2時間攪拌を続け、反応液をスピンドライした後に中間体2の粗製物(300mg)を得、精製することなく、そのまま次の反応に投入された。
LC-MS(ESI):m/z=258.2[M+H]
【0155】
化合物A:(1S,2S)-2-フルオロ-N-(2-(2-(4-((R)-(5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ホルミル)ピリジン-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミド
【化6】
【0156】
ステップ1:4-(5-アミノベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)ピリジンカルボン酸メチル(3a)の製造
中間体1(600.0mg、1.62mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(2mL)を加え、加え完了後に室温で2時間攪拌した後、飽和炭酸ナトリウム水溶液でpH=8-9に調整し、ジクロロメタン(50mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、乾燥し、濾過し、濾液を濃縮して化合物3a(396.0mg、90%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z=270.1[M+H]
【0157】
ステップ2:4-(5-((1S,2S)-2-フルオロシクロプロパン-1-カルボキサミド)ベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)ピリジンカルボン酸メチル(3b)の製造
化合物3a(1.0g、3.71mmol)にDMF(50mL)、(1S,2S)-2-フルオロシクロプロパンカルボン酸(425mg、4.1mmol)、HATU(2.1g、5.58mmol)とDIEA(1.44g、11.16mmol)を順次加え、室温で5h攪拌した。水を加えてクエンチし、酢酸エチルで3回抽出し、飽和食塩無水で2回洗浄し、乾燥して有機相を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:EA/PE=1/2)で分離精製して化合物3b(1.1g、83.4%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z=356.3[M+H]
【0158】
ステップ3:4-(5-((1S,2S)-2-フルオロシクロプロパン-1-カルボキサミド)ベンゾオキサゾール-2-イル)ピリジンカルボン酸(3c)の製造
室温で、化合物3b(1g、3.1mmol)をメタノール(15mL)に溶解し、水酸化リチウム(700mg)を20mLの純水に溶解し、さらに水酸化リチウムの水溶液を反応液に加え、40℃で0.5時間攪拌し、そして2N塩酸でpH=6~7に調整し、固体を多量に析出させ、抽出濾過し、水洗(10mL×3)し、濾過ケーキを50℃で乾燥した後に化合物3c(1.0g、94.6%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z=342.1[M+H]
【0159】
ステップ4:(1S,2S)-2-フルオロ-N-(2-(2-(4-((R)-(5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ホルミル)ピリジン-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミド(化合物A)の製造
室温で化合物3c(170mg、0.5mmol)とDIPEA(130mg、1.0mmol)をDMF(5mL)に溶解し、そしてHATU(230mg、0.6mmol)を加え、3分攪拌した後に中間体2(300mg、約0.55mmol)を加え、室温で30分間反応を続けた。30mLの水を加え、酢酸エチル(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム(30mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した後にカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=30:1-15:1)により化合物A(130mg、44.8%)を得、化合物Aは、XPRDスペクトル図によりアモルファスであることが同定された。
LC-MS(ESI):m/z=581.3[M+H]
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.74-8.71(m,1H),8.31(s,1H),8.12-8.10(m,1H),8.01(s,1H),7.90-7.87(m,1H),7.56-7.51(m,4H),7.41-7.31(m,3H),5.55-5.52(m,1H),4.93-4.75(m,2H),3.91-3.88(m,1H),3.20-3.11(m,1H),2.91-2.80(m,2H),2.56-2.50(m,3H),1.94-1.84(m,2H),1.61-1.23(m,5H).
【0160】
実施例1化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩の製造
室温で、200mgのアモルファス化合物Aを取って16.60mLのイソプロピルアルコールに溶解し、溶液1aを得、150.94mgの1,5-ナフタレンジスルホン酸を取って1.80mLイソプロピルアルコールに溶解し、溶液1bを得、室温攪拌条件で、溶液1bを溶液1aに滴下し、溶液1cを得、溶液1cを攪拌し続け、直ちに固体を析出させ、懸濁液を得、懸濁液を攪拌して一晩反応させた後に遠心分離し、得られた固体を室温で真空乾燥し、化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩を得た。該化合物は、XRPD同定を経て、結晶体形態であり、化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩結晶形Iと命名された。
H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 10.48(s,1H),8.92-8.85(m,1H),8.84-8.77(m,1H),8.25(d,1H),8.18-8.11(m,2H),7.95(dd,1H),7.80(d,1H),7.69-7.53(m,3H),7.48-7.30(m,4H),5.93(dd,1H),5.07-4.82m,1H),4.50(d,1H),3.75-3.68(m,1H),3.08(t,1H),2.86(d,2H),2.46(d,3H),2.10-2.00(m,1H),1.75-1.60(m,1H),1.46-1.13(m,5H).
XRPD同定を経て、実施例1で得られた化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩結晶形Iは、結晶体形態であり、XRPDピークリストは、表1に示し、XRPDスペクトル図は、図1に示し、TGA図は、図3に示し、150℃までに4.017%の減量があり、分解温度が約213.86℃であることを示し、DSC図は、図2に示し、融点は、約188.78℃である。
【0161】
実施例2:化合物Aの塩酸塩の製造
室温で、100mgのアモルファス化合物Aを取って2.40mLのアセトンに溶解し、超音波で溶解し、溶液2aを得、20.17mg塩酸を取って2.66mLのアセトンに溶解し、溶液2bを得、室温攪拌条件で、溶液2bを溶液2aに滴下し、溶液2cを得、溶液2cを攪拌し続け、一晩反応させた後に固体を析出させ、懸濁液を得、懸濁液を遠心分離し、得られた固体を室温で真空乾燥し、化合物Aの塩酸塩を得た。該化合物は、XRPD同定を経て、結晶体形態であり、化合物Aの塩酸塩結晶形Iと命名された。
H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 10.54(s,1H),8.80(t,1H),8.25(d,1H),8.19-8.10(m,2H),7.80(d,1H),7.67-7.53(m,3H),7.47-7.28(m,3H),5.93(dd,1H),5.10-4.85(m,1H),4.50(d,1H),3.72(d,1H),3.08(t,1H),2.89-2.79(m,2H),2.45(d,3H),2.07-1.93(m,1H),1.75-1.60(m,1H),1.44-1.10(m,5H).
XRPD同定を経て、実施例2で得られた化合物Aの塩酸塩結晶形Iは、結晶体形態であり、XRPDピークリストは、表2に示し、XRPDスペクトル図は、図4に示し、TGA図は、図6に示し、150℃までに3.202%の減量があり、分解温度が約171.90℃であることを示し、DSC図は、図5に示し、融点は、約118.97℃である。
【0162】
実施例3:化合物Aの臭化水素酸塩の製造
方法1:
室温で、100mgのアモルファス化合物Aを取って2.40mLアセトンに溶解し、超音波で溶解し、溶液3aを得、40.50mgの臭化水素酸を2.33mLのアセトンに溶解し、溶液3bを得、室温攪拌条件で、溶液3bを溶液3aに滴下し、溶液3cを得、溶液3cを攪拌し続け、1h後に固体を析出させ、懸濁液を得、懸濁液を攪拌してから遠心分離し、得られた固体を室温で真空乾燥し、化合物Aの臭化水素酸塩を得た。該化合物は、XRPD同定を経て、結晶体形態であり、化合物Aの臭化水素酸塩結晶形Iと命名された。
【0163】
方法2:
室温で、30mgのアモルファス化合物Aを取って0.2mLのアセトンに溶解し、超音波で溶解し、溶液3a-1を得、12.32mgの臭化水素酸を取って0.7mLのアセトンに溶解し、溶液3b-1を得、室温攪拌条件で、溶液3b-1を溶液3a-1に滴下し、溶液3c-1を得、溶液3c-1を攪拌し続け、数分後に固体を析出させ、懸濁液を得、懸濁液を攪拌して一晩反応させた後に遠心分離し、得られた固体を室温で真空乾燥し、化合物Aの臭化水素酸塩を得、該化合物は、XRPD同定を経て、結晶体形態であり、化合物Aの臭化水素酸塩結晶形IIと命名された。
H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 10.50(s,1H),8.81(t,1H),8.25(d,1H),8.19-8.10(m,2H),7.80(d,1H),7.69-7.51(m,3H),7.46-7.27(m,3H),5.93(dd,1H),5.10-4.86(m,1H),4.50(d,1H),3.72(d,1H),3.08(t,1H),2.86(d,2H),2.45(d,3H),2.08-1.98(m,1H),1.75-1.61(m,1H),1.45-1.10(m,5H).
XRPD同定を経て、実施例3で得られた化合物Aの臭化水素酸塩結晶形Iは、結晶体形態であり、XRPDピークリストは、表3に示し、XRPDスペクトル図は、図7に示し、TGA図は、図9に示し、100℃までに3.584%の減量があり、100℃-150℃の間に7.033%の減量があり、分解温度が185.29℃であることを示し、DSC図は、図8に示し、融点は、約179.68℃である。
XRPD同定を経て、実施例3で得られた化合物Aの臭化水素酸塩結晶形IIは、結晶体形態であり、XRPDピークリストは、表4に示し、XRPDスペクトル図は、図10に示す。
【0164】
実施例4:化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩の製造
方法1:
室温で、約100mgのアモルファス化合物Aを取って0.67mLテトラヒドロフランに溶解し、溶液4aを得、40.27mgの2-ナフタレンスルホン酸を取って2.16mLテトラヒドロフランに溶解し、溶液4bを得、室温攪拌条件で、溶液4bを溶液4aに滴下し、溶液4cを得、溶液4cを攪拌し続け、数分後に固体を析出させ、懸濁液を得、懸濁液を攪拌して一晩反応させた後に遠心分離し、得られた固体を室温で真空乾燥し、化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩を得、該化合物は、XRPD同定を経て、結晶体形態であり、化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩結晶形Iと命名された。
【0165】
方法2:
室温で、30mgのアモルファス化合物Aを取って0.20mLの1,4-ジオキサンに溶解し、超音波で溶解し、溶液4dを得、12.0mgの2-ナフタレンスルホン酸を取って1.00mLの1,4-ジオキサンに溶解し、超音波で溶解し、溶液4eを得、室温攪拌条件で、溶液4eを溶液4dに滴下し、溶液4fを得、溶液4fを攪拌し続け、固体を析出させ、懸濁液を得、懸濁液を攪拌して一晩反応させた後に遠心分離し、得られた固体を室温に置いて真空乾燥し、化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩を得、該化合物は、XRPD同定を経て、結晶体形態であり、化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩結晶形Iと命名された。
【0166】
方法3:
室温で、30mgのアモルファス化合物Aを取って0.20mLのテトラヒドロフランに溶解し、超音波で溶解し、溶液4a-1を得、12.10mgの2-ナフタレンスルホン酸を0.65mLのテトラヒドロフランに溶解し、溶液4b-1を得、室温攪拌条件で、溶液4b-1を溶液4a-1に滴下し、溶液4c-1を得、溶液4c-1を攪拌し続け、2時間後に固体を析出させ、懸濁液を得、懸濁液を攪拌して一晩反応させた後に遠心分離し、得られた固体を室温に置いて真空乾燥し、化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩を得、該化合物は、XRPD同定を経て、結晶体形態であり、化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩結晶形IIと命名された。
H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 10.48(s,1H),8.84-8.77(m,1H),8.24(d,1H),8.19-8.10(m,3H),7.96(t,1H),7.93-7.84(m,2H),7.80(d,1H),7.72(dd,1H),7.66-7.49(m,5H),7.47-7.28(m,3H),5.93(d,1H),5.05-4.85(m,1H),4.50(d,1H),3.72(d,1H),3.08(t,1H),2.86(d,2H),2.45(d,3H),2.12-1.94(m,1H),1.76-1.60(m,1H),1.45-1.00(m,5H).
XRPD同定を経て、実施例4で得られた化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩結晶形Iは、結晶体形態であり、XRPDピークリストは、表5に示し、XRPDスペクトル図は、図11に示し、TGA図は、図13に示し、150℃までに12.17%の減量があり、分解温度が211.99℃であることを示し、DSC図は、図12に示し、融点は、約143.43℃である。
XRPD同定を経て、実施例4で得られた化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩結晶形Iは、結晶体形態であり、XRPDピークリストは、表6に示し、XRPDスペクトル図は、図14に示す。
【0167】
実施例5:化合物Aのベンゼンスルホン酸塩の製造
室温で、90mgのアモルファス化合物Aを取って7.50mLのイソプロピルアルコールに溶解し、溶液5aを得、30.0mgベンゼンスルホン酸を取って0.48mLのイソプロピルアルコールに溶解し、溶液5bを得、室温攪拌条件で、溶液5bを溶液5aに滴下し、溶液5cを得、溶液5cを攪拌し続け、1h後に固体を析出させ、懸濁液を得、懸濁液を攪拌して一晩反応させた後に遠心分離し、得られた固体を室温で真空乾燥し、化合物Aのベンゼンスルホン酸塩を得た。
H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 10.50(s,1H),8.80(t,1H),8.25(d,1H),8.19-8.11(m,2H),7.80(d,1H),7.67-7.53(m,5H),7.46-7.25(m,6H),5.93(dd,1H),5.02-4.74(m,1H),4.49(s,1H),3.71(d,1H),3.07(t,1H),2.84(d,2H),2.46(d,3H),2.09-1.98(m,1H),1.76-1.61(m,1H),1.45-1.11(m,5H).
【0168】
実施例6:化合物Aのメタンスルホン酸塩の製造
室温で、90mgのアモルファス化合物Aを取って0.60mLのアセトンに溶解し、溶液6aを得、18.0mgのメタンスルホン酸を取って1.80mLのアセトンに溶解し、溶液6bを得、室温攪拌条件で、溶液6bを溶液6aに滴下し、溶液6cを得、溶液6cを攪拌し続け、数分後に固体を析出させ、懸濁液を得、懸濁液を攪拌して一晩反応させた後に遠心分離し、得られた固体を室温で真空乾燥し、化合物Aのメタンスルホン酸塩を得た。
H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 10.50(s,1H),8.80(t,1H),8.25(d,1H),8.18-8.11(m,2H),7.80(d,1H),7.66-7.53(m,3H),7.46-7.29(m,3H),5.93(dd,1H),5.05-4.85(m,1H),4.49(s,1H),3.71(d,1H),3.07(t,1H),2.84(d,2H),2.45(d,3H),2.38(s,3H),2.11-2.00(m,1H),1.72-1.62(m,1H),1.44-1.11(m,5H).
【0169】
実施例7:化合物Aのp-トルエンスルホン酸塩
室温で、約90mgのアモルファス化合物Aを取って0.60mLのアセトンに溶解し、溶液7aを得、29.58mgのp-メチルベンゼンスルホン酸を取って2.04mLのアセトンに溶解し、溶液7bを得、室温攪拌条件で、溶液7bを溶液7aに滴下し、溶液7cを得、溶液7cを攪拌し続け、固体を析出させ、懸濁液を得、懸濁液を攪拌して一晩反応させた後に遠心分離し、得られた固体を室温で真空乾燥し、化合物Aのp-トルエンスルホン酸塩を得た。
H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 10.50(s,1H),8.80(t,1H),8.25(d,1H),8.18-8.11(m,2H),7.80(d,1H),7.65-7.59(m,2H),7.56(d,1H),7.51-7.45(m,2H),7.45-7.30(m,3H),7.12(d,2H),5.93(dd,1H),5.02-4.73(m,1H),4.49(s,1H),3.71(d,1H),3.07(t,1H),2.84(d,2H),2.46(d,3H),2.29(s,3H),2.08-2.00(m,1H),1.72-1.62(m,1H),1.46-1.07(m,5H).
【0170】
実施例8:化合物Aの酢酸塩、フマル酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、L-酒石酸塩の製造
実施例1-7の方法を参照して、表7の割合で投入し、該当する塩の製造を行う。
【0171】
【表8】
【0172】
試験結果:塩型又は安定な塩型を製造して得られなかった。
【0173】
1. 化合物Aの塩型の特徴付け
化合物Aの各種塩の関連性質は、表8に示す。
【0174】
【表9】
【0175】
2. 安定性研究:
サンプル:実施例1の化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩結晶形I、実施例2の化合物Aの塩酸塩結晶形I、実施例3の化合物Aの臭化水素酸塩結晶形I、実施例4の化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩結晶形I。
【0176】
実験:実施例1の化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩結晶形I、実施例2の化合物Aの塩酸塩結晶形I、実施例3の化合物Aの臭化水素酸塩結晶形I、実施例4の化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩結晶形Iをそれぞれ加速(開放放置、40℃、75%RH(相対湿度))、光照射(開放、25℃、総照度1.2×106Lux.hr以上、近紫外エネルギー200w.hr/m2以上)、高湿(開放、60℃乾燥ボックス)、長期(開放、25℃-60%RH)条件で放置し、安定性実験を行い、それぞれ0日目、5日目、10日目と15日目にサンプリングしてHPLC純度検出(パーセント表示)を行い、実験結果は、表9に示す。
【0177】
HPLC純度検出条件は、次のとおりである。クロマトグラフカラム:ChromCore 120 C18 5μm(4.6mm*100)、カラム温度:35℃、検出波長:220nm;移動相:10mmol/Lのギ酸アンモニウム水溶液:アセトニトリル=55:45(v/v);流速1.0mL/min。
【0178】
【表10】
【0179】
結論:実施例1-4の化合物は、高温、長期及び光照射条件で、10日後の純度にほとんど変化がなく、単不純物含有量の変化が少なく、安定性が優れた。また、実施例4の化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩結晶形Iについて加速条件で安定性テストを行ったところ、安定性が良好である。
【0180】
3. 実施例の化合物の薬物動態
3.1、ラットの薬物動態テスト
実験目的:単回用量の静脈と強制経口によりSDラットに被験物を投与し、ラット血漿中の被験物の濃度を測定し、被験物のラット体内における薬物動態特性と生物利用度を評価した。
【0181】
被験物:化合物Aと実施例1の化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩結晶形Iと実施例4の化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩結晶形I。
【0182】
実験動物:雄性SDラット、220g程度、6~8週齢、6匹/化合物。成都達碩実験動物有限公司から購入された。
【0183】
実験方法:試験当日、6匹のSDラットを体重に応じて無作為に群を分けた。投与1日前に禁水なしで12~14h絶食させ、投与後4hに給食した。表10に従って投与した。
【0184】
【表11】
【0185】
生物サンプル採取
投与前及び投与後にイソフルラン麻醉で眼窩から0.1mL採血し、EDTAK2遠心分離管に入れた。5000rpm、4Cで10min遠心分離し、血漿を採取した。
【0186】
G1、G2群のサンプル採取時点:0、5、15、30min、1、2、4、6、8、24h。
【0187】
分析検出前に、すべてのサンプルは、-80Cに保存されていた。
【0188】
サンプルの前処理
30μLの血漿サンプル、標準曲線サンプルと品質管理サンプルを取り、200μLの内部標準アセトニトリル含有溶液を加え、ボルテックスして均一に混合した後に、4℃、12000rpmで10min遠心分離した。170μLの上清を96ウェルプレートに入れ、LC-MS/MS分析を行い、サンプル注入量は、0.2μLである。
【0189】
主な薬物動態パラメータは、WinNonlin 8.0ソフトウェア非コンパートメントモデルで分析した。実験結果は、表11に示される。
【0190】
【表12】
【0191】
結論:本出願の化合物の塩型、例えば実施例1の化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩結晶形Iと実施例4の化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩結晶形Iは、ラットにおいて良好な薬物動態を有し、生物利用度が遊離状態の化合物Aに対して著しく向上した。
【0192】
3.2、フェレットの薬物動態テスト
実験目的:本試験は、単回用量の強制経口によりフェレットに被験物を投与し、異なる時点に血漿を採取し、フェレット血漿における被験物の濃度を測定し、被験物のフェレット体内での吸収状況を観察した。
【0193】
被験物:実施例1の化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩結晶形I。
【0194】
実験動物:健康な成年フェレット、800~1500g程度、6~10月齢、計6匹、雄性。無錫珊瑚礁生物科技有限公司から購入された。
【0195】
実験方法:試験は、雄性フェレットを選び、投与1日前に禁水なしで12~14h絶食させ、投与後4hに給食した。表12に従って投与した。
【0196】
【表13】
【0197】
採血時点:投与前と投与後0.0833、0.25、0.5、1、2、4、6、8、24hの計10時点で静脈血を遠心管に採取し(30min以内に遠心分離を完了)、遠心分離後の血漿を-80℃の冷蔵庫に貯蔵し、PK分析に供する。
【0198】
実験結果は、表13に示される。
【0199】
【表14】
【0200】
結論:本出願の化合物塩型、例えば実施例1の化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩結晶形Iは、フェレットにおいて良好な薬物動態データを有した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物Aの塩又はその塩の水和物又は溶媒和物であって、
【化1】
ここで、前記塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩、コハク酸塩、クエン酸又はリンゴ酸塩である、化合物Aの塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項2】
前記塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩又はヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩である、請求項1に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項3】
前記塩は、化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩であり、それは結晶形であって、Cu-Kα線を用いて測定したそのX-線粉末回折パターンは、5.3°±0.2°、13.4°±0.2°、17.4°±0.2°、18.5°±0.2°、20.4°±0.2°と23.6°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項2に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項4】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに7.0°±0.2°、9.8°±0.2°、10.6°±0.2°、12.7°±0.2°、14.8°±0.2°、22.2°±0.2°と23.1°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、及び/又は
そのX-線粉末回折パターンは、さらに14.1°±0.2°、16.0°±0.2°と21.5°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項5】
前記塩は、化合物Aの塩酸塩であり、それは結晶形であって、Cu-Kα線を用いて測定したそのX-線粉末回折パターンは、5.9°±0.2°、11.2°±0.2°、11.7°±0.2°、17.6°±0.2°、18.2°±0.2°、21.9°±0.2°と26.8°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項2に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項6】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに7.1°±0.2°、16.3°±0.2°、18.6°±0.2°、22.3°±0.2°と23.8°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、及び/又は
そのX-線粉末回折パターンは、さらに13.3°±0.2°、14.2°±0.2°、15.7°±0.2°、20.3°±0.2°、21.3°±0.2°、24.8°±0.2°、25.4°±0.2°、27.2°±0.2°と27.7°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項7】
前記塩は、化合物Aの臭化水素酸塩であり、それは結晶形であって、Cu-Kα線を用いて測定したそのX-線粉末回折パターンは、6.0°±0.2°、7.2°±0.2°、9.0°±0.2°、12.0°±0.2°、14.8°±0.2°と17.6°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項2に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項8】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに17.3°±0.2°、18.0°±0.2°、21.2°±0.2°、21.5°±0.2°、24.2°±0.2°と26.5°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、及び/又は
そのX-線粉末回折パターンは、さらに16.9°±0.2°、18.6°±0.2°、19.0°±0.2°、20.2°±0.2°、28.0°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項9】
前記塩は、化合物Aの臭化水素酸塩であり、それは結晶形であって、Cu-Kα線を用いて測定したそのX-線粉末回折パターンは、6.5°±0.2°、7.3°±0.2°、12.2°±0.2°、12.9°±0.2°、16.0°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項2に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項10】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに6.1°±0.2°、17.4°±0.2°、18.3°±0.2°、20.4°±0.2°、22.4°±0.2°、24.8°±0.2°と28.2°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、及び/又は
そのX-線粉末回折パターンは、さらに13.8°±0.2°、14.5°±0.2°、15.2°±0.2°、19.1°±0.2°、19.9°±0.2°、21.4°±0.2°、21.8°±0.2°、23.1°±0.2°、23.6°±0.2°、25.5°±0.2°、26.0°±0.2°と26.5°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項11】
前記塩は、化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩であり、それは結晶形であって、Cu-Kα線を用いて測定したそのX-線粉末回折パターンは、4.7°±0.2°、9.4°±0.2°、17.2°±0.2°、21.2°±0.2°と23.4°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項2に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項12】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに6.3°±0.2°、6.8°±0.2°、7.8°±0.2°、13.4°±0.2°、16.5°±0.2°、19.2°±0.2°と20.1°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、及び/又は
そのX-線粉末回折パターンは、さらに14.9°±0.2°、15.3°±0.2°、15.7°±0.2°、24.3°±0.2°、25.1°±0.2°と26.1°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項11に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項13】
前記塩は、化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩であり、それは結晶形であって、Cu-Kα線を用いて測定したそのX-線粉末回折パターンは、5.6°±0.2°、11.2°±0.2°、14.1°±0.2°、16.0°±0.2°、22.8°±0.2°と26.8°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項2に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項14】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに4.5°±0.2°、6.2°±0.2°、6.8°±0.2°、8.4°±0.2°、10.4°±0.2°、15.3°±0.2°、15.6°±0.2°、19.0°±0.2°、19.6°±0.2°と25.5±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、及び/又は
そのX-線粉末回折パターンは、さらに12.4°±0.2°、12.7°±0.2°、16.7°±0.2°、17.2°±0.2°、17.5°±0.2°、18.0°±0.2°、20.8°±0.2°、21.8°±0.2°、23.5°±0.2°と24.3°±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項13に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項15】
塩が、化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩であり、それは結晶形であって、そのX-線粉末回折パターンは、基本的に図1に示される、又は、
塩が、化合物Aの塩酸塩であり、それは結晶形であって、そのX-線粉末回折パターンは、基本的に図4に示される、又は、
塩が、化合物Aの臭化水素酸塩であり、それは結晶形であって、そのX-線粉末回折パターンは、基本的に図7に示される、又は、
塩が、化合物Aの臭化水素酸塩であり、それは結晶形であって、そのX-線粉末回折パターンは、基本的に図10に示される、又は、
塩が、化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩であり、それは結晶形であって、そのX-線粉末回折パターンは、基本的に図11に示される、又は、
塩が、化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩であり、それは結晶形であって、そのX-線粉末回折パターンは、基本的に図14に示される、請求項2に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物。
【請求項16】
化合物Aのヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩を製造する方法であって、
アモルファス化合物Aを溶媒1に溶解するステップ(1)と、
1,5-ナフタレンジスルホン酸を溶媒2に溶解するステップ(2)と、
室温攪拌条件で、ステップ(2)で得られた溶液をステップ(1)で得られた溶液に滴下し、攪拌して反応させるステップ(3)とを含み、
前記溶媒1は、イソプロピルアルコール、アセトン又はテトラヒドロフランから選ばれる1つであり、前記溶媒2は、単溶媒系又は二溶媒混合系であり、単溶媒系は、イソプロピルアルコール、アセトン又はテトラヒドロフランから選ばれる1つであり、二溶媒混合系は、テトラヒドロフラン-水混合液である、方法。
【請求項17】
化合物Aの2-ナフタレンスルホン酸塩を製造する方法であって、
アモルファス化合物Aを溶媒3に溶解するステップ(1)と、
2-ナフタレンスルホン酸を溶媒4に溶解するステップ(2)と、
室温攪拌条件で、ステップ(2)で得られた溶液をステップ(1)で得られた溶液に滴下し、攪拌し、晶析し、遠心乾燥するステップ(3)とを含み、
前記溶媒3は、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸イソプロピル、1,4-ジオキサン、トルエン又はジメチルスルホキシドから選ばれる1つであり、前記溶媒4は、単溶媒系又は二溶媒混合系であり、単溶媒系は、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸イソプロピル、1,4-ジオキサン、トルエン又はジメチルスルホキシドから選ばれる1つであり、二溶媒混合系は、トルエン-メタノール混合液である、方法。
【請求項18】
化合物Aの塩酸塩を製造する方法であって、
アモルファス化合物Aを溶媒5に溶解するステップ(1)と、
塩酸を溶媒6に溶解するステップ(2)と、
室温攪拌条件で、ステップ(2)で得られた溶液をステップ(1)で得られた溶液に滴下し、攪拌して反応させるステップ(3)とを含み、
前記溶媒5、溶媒6は、それぞれ独立してイソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフランから選ばれる1つである、方法。
【請求項19】
化合物Aの臭化水素酸塩を製造する方法であって、
アモルファス化合物Aを溶媒7に溶解するステップ(1)と、
臭化水素酸を溶媒8に溶解するステップ(2)と、
室温攪拌条件で、ステップ(2)で得られた溶液をステップ(1)で得られた溶液に滴下し、攪拌して反応させるステップ(3)とを含み、
前記溶媒7、8は、それぞれ独立してイソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフランから選ばれる1つである、方法。
【請求項20】
薬物組成物であって、治療有効量の請求項1から15のいずれか一項に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物、及び薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む、薬物組成物。
【請求項21】
請求項1から15のいずれか一項に記載の塩又はその塩の水和物又は溶媒和物を含む、インフルエンザを予防及び/又は治療するための組成物
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本出願は、製造化合物Aのp-メタンスルホン酸塩を製造する方法をさらに提供し、
アモルファス化合物Aを溶媒13に溶解するステップ(1)と、
メタンスルホン酸を溶媒14に溶解するステップ(2)と、
室温攪拌条件で、ステップ(2)で得られた溶液をステップ(1)で得られた溶液に滴下し、攪拌し、晶析し、遠心乾燥するステップ(3)とを含み、
前記溶媒13と14は、それぞれ独立して芳香族炭化水素系、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、脂環式炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ジオール誘導体系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アセトニトリルと水のうちの1つ又は2つ以上の混合溶媒から選ばれ、さらに、前記溶媒13は、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸イソプロピル、1,4-ジオキサン、トルエン又はジメチルスルホキシドから選ばれる1つであり、前記溶媒14は、単溶媒系又は二溶媒混合系であり、単溶媒系は、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸イソプロピル、1,4-ジオキサン、トルエン又はジメチルスルホキシドから選ばれる1つであり、二溶媒混合系は、トルエン-メタノール混合液であり、さらに溶媒13、14は、同じである。
【国際調査報告】