(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】車両の環境認識装置用の洗浄装置及び環境認識装置
(51)【国際特許分類】
B60S 1/48 20060101AFI20240201BHJP
B60S 1/62 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B60S1/48 Z
B60S1/62 110A
B60S1/62 100
B60S1/62 110B
B60S1/62 110C
B60S1/62 110D
B60S1/62 120B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547311
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-02
(86)【国際出願番号】 EP2022052672
(87)【国際公開番号】W WO2022167563
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】102021102620.2
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】ラドゥ-ジョルジュ、ブチェ
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA01
3D225AA11
3D225AC02
3D225AD02
3D225AD03
3D225AD22
3D225AF02
3D225AG79
(57)【要約】
本発明は、車両の環境認識装置(100)のための洗浄装置(10)に関し、環境認識装置(100)は、洗浄されるべき視覚窓(106)を有するセンサ(104)を備え、洗浄装置(10)は、視覚窓(106)の表面に洗浄液(1)を塗布するためのスプレーノズル(14)として設計される少なくとも1つの第1の洗浄要素(12)と、視覚窓(106)に作用する圧縮空気を生成するためのノズルとして設計される少なくとも1つの第2の洗浄要素(32)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の環境認識装置(100)のための洗浄装置(10)であって、前記環境認識装置(100)が、洗浄されるべき視覚窓(106)を含むセンサ(104)を備え、前記洗浄装置(10)が、前記視覚窓(106)の表面に洗浄液(1)を塗布するためのスプレーノズル(14)として実現される少なくとも1つの第1の洗浄要素(12)と、前記視覚窓(106)に作用する圧縮空気を生成するためのノズルとして実現される少なくとも1つの第2の洗浄要素(32)とを備える、洗浄装置(10)において、
前記少なくとも第1及び第2の洗浄要素(12,32)は、前記環境認識装置(100)のハウジング(102)上に配置されるように構成され、前記洗浄液(1)を噴射するための前記少なくとも1つの第1の洗浄要素(12)は、待機位置から動作位置へと前記視覚窓(106)に対して移動できるように配置され、前記少なくとも1つの第2の洗浄要素(32)は、前記視覚窓(106)に対して固定位置に配置されることを特徴とする洗浄装置(10)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第2の洗浄要素(32)は、前記圧縮空気を前記視覚窓(106)上へと案内するための平坦ノズル(24)を有し、前記平坦ノズル(24)の前記出口断面は、前記視覚窓(106)の幅(B)又は高さ(H)の全体にわたって延在し、前記平坦ノズル(24)は、前記視覚窓(106)上へと流れる圧縮空気が斜めの角度で前記視覚窓(106)に到達するように前記視覚窓(106)に対して位置合わせされることを特徴とする、
請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記平坦ノズル(24)は、ラジアル形態を有する圧縮空気ブロワ(28)の吐出側に供給ライン(26)によって接続されることを特徴とする、
請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記平坦ノズル(24)は、前記センサ(104)の検出領域の外側で、前記視覚窓(106)の上方又は隣に僅かな距離を隔てて配置されることを特徴とする、
請求項2又は3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1の洗浄要素(12)の前記スプレーノズル(14)が伸縮アーム(18)の一端に配置され、前記少なくとも1つの第1の洗浄要素(12)は、前記待機位置において前記センサ(104)の前記検出領域の外側で前記視覚窓(106)の上方に僅かな距離を隔てて配置されることを特徴とする、
請求項1から4のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記視覚窓(106)に対して同じ距離を隔てて互いに隣接して配置される幾つかの第1の洗浄要素(12)が設けられ、前記幾つかの第1の洗浄要素(12)は、前記視覚窓(106)の全幅(B)にわたって延在する保護ハウジング(16)の内側に配置されることを特徴とする、
請求項5に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1の洗浄要素(12)及び前記少なくとも1つの第2の洗浄要素(32)が前記視覚窓(106)の上方に配置され、前記少なくとも1つの第1の洗浄要素(12)は、前記視覚窓(106)に対して前記少なくとも1つの第2の洗浄要素(32)の上方に配置されることを特徴とする、
請求項6に記載の洗浄装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に従って実現される洗浄装置(10)を有する環境認識装置(100)。
【請求項9】
前記環境認識装置(100)の前記センサ(104)がハウジング(102)内に配置されるライダセンサであり、前記ハウジング(102)が前記ライダセンサ用の視覚窓(106)を有することを特徴とする、
請求項8に記載の環境認識装置。
【請求項10】
洗浄装置(10)のための構成要素が前記ハウジング(102)のための付属品として設計されることを特徴とする、
請求項8又は9に記載の環境認識装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、少なくとも部分的に自律的に、好ましくは完全に自律的に走行する車両の構成部分として使用される、車両の環境認識装置用の洗浄装置に関する。また、本発明は、本発明に従って設計される洗浄装置を備える環境認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102018105618号明細書は、請求項1の前文の特徴を有する車両の環境認識装置用の洗浄装置を開示する。既知の洗浄装置は、環境認識装置の視覚窓に洗浄液を噴射するための流体ノズルの形態を成す少なくとも1つの第1の洗浄要素と、例えば、既に噴射された洗浄流体を除去するために視覚窓の表面に作用するようにも設計される空気ノズルの形態を成す少なくとも1つの第2の洗浄要素とによって区別される。ここで、少なくとも1つの第1の洗浄要素及び少なくとも1つの第2の洗浄要素は、洗浄されるべき視覚窓も支持する環境認識装置のハウジングに横方向で隣接して配置されることが不可欠である。この場合、2つの洗浄要素は、環境認識装置のハウジングを例えばセンサの元の視野方向から90°回転させることを視覚窓の洗浄が必要とする限り、2つの洗浄要素が視覚窓に作用できるように、位置的に固定された態様で位置される。これは、ひいては、洗浄段階中に、視覚窓、したがって環境認識装置のセンサも、例えば、移動方向に向けられておらず、そのため、その使用が制限されることを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102018105618号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の特徴を有する車両の環境認識装置のための本発明に係る洗浄装置は、センサ及び視覚窓をそれらの元の位置から移動させる必要がなく、そのため、洗浄中に環境を監視できるようにするという利点を有する。同時に、機器に関して洗浄装置の比較的簡単な構造が可能になる。
【0005】
したがって、前述の利点を得るために、少なくとも1つの第1の洗浄要素及び少なくとも1つの第2の洗浄要素が、環境認識装置のハウジング上に配置されるように設計され、洗浄液を噴射するための少なくとも1つの第1の洗浄要素が、待機位置から動作位置へと視覚窓に対して調整可能であるように配置され、少なくとも1つの第2の洗浄要素が、視覚窓に対して固定位置に配置されるようにする。
【0006】
車両の環境認識装置のための本発明に係る洗浄装置の有利な改良点が従属請求項に記載される。
【0007】
少なくとも1つの第2の洗浄要素が圧縮空気を視覚窓上へと案内するための平坦ノズルを備え、平坦ノズルの出口断面が、視覚窓の幅又は高さの全体にわたって延在し、視覚窓上へと流れる圧縮空気が斜めの角度で視覚窓に衝突するように平坦ノズルが視覚窓に対して方向付けられれば、視覚窓に対する圧縮空気の特に効果的な作用が得られる。
【0008】
このように設計又は配置された平坦ノズルの改良形態では、平坦ノズルが供給ラインによってラジアルタイプの構造の圧縮空気ブロワの吐出側に接続されるようにする。これにより、平坦ノズルと圧力発生装置との間の空間的分離を特に簡単な態様で提供することが可能になる。
【0009】
更に、平坦ノズルは、センサの検出領域の外側で、視覚窓の上方又は側方に僅かな距離を隔てて配置されることが非常に特に好ましい。これにより、平坦ノズルの空気出口と視覚窓との間に最小距離を設けることが可能になり、その結果、圧縮空気の圧力の最小低下を達成することが可能になり、したがって、視覚窓に対する洗浄作用が最適化される。同時に、環境認識装置のセンサは、平坦ノズルがセンサの視野に入らないため、動作し続けることができる。
【0010】
洗浄液を塗布するためのスプレーノズルの構成に関して、少なくとも1つの第1の洗浄要素のスプレーノズルが伸縮アームの一端に配置され、待機位置において、少なくとも1つの第1の洗浄要素が、センサの検出領域の外側で視覚窓の上方に僅かな距離を隔てて配置されるようにすることが好ましい。
【0011】
そのような構成の改良形態では、特に、いずれの場合にも視覚窓から同じ距離を隔てて互いに隣接して配置される複数の第1の洗浄要素が設けられ、複数の第1の洗浄要素が、視覚窓の全幅にわたって延在する保護ハウジング内に配置されるようにする。
【0012】
改良形態では、少なくとも1つの第1の洗浄要素及び少なくとも1つの第2の洗浄要素が視覚窓の上方に配置される場合、及び少なくとも1つの第1の洗浄要素が視覚窓に対して少なくとも1つの第2の洗浄要素の上方に配置される場合、少なくとも2つの洗浄要素によると同時に洗浄装置のコンパクトな配置によって洗浄作用の最適化が達成される。特に、そのような配置は、視覚窓に塗布された洗浄液を、圧縮空気によってだけでなく重力の作用によっても視覚窓から除去できるようにする。
【0013】
更に、本発明は、本発明に従って設計される前述の洗浄装置を備える環境認識装置も備える。
【0014】
環境認識装置のセンサは、ハウジング内に配置されるライダセンサであることが非常に特に好ましく、ハウジングは、ライダセンサの視野を画定するライダセンサ用の視覚窓を備える。
【0015】
特に、洗浄装置の簡単な組み立て及び洗浄装置の任意の欠陥構成要素の簡単な交換を可能にするために、洗浄装置の構成要素は、好ましくは、環境認識装置のハウジングのための付属品として設計されるようにする。
【0016】
本発明の更なる利点、特徴及び詳細は、本発明の好ましい実施形態の以下の説明から及び図面を参照することにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】洗浄装置を備える環境認識装置を斜視図で示し、洗浄装置は待機位置に配置される。
【
図2】視覚窓に洗浄液を噴射するための洗浄装置の動作位置における、
図1による環境認識装置を同様に斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
同一の要素又は同一の機能を有する要素は、図において同じ参照番号により示される。
【0019】
車両(図示せず)のための環境認識装置100が図に示されており、前記環境認識装置は、特に、車両の少なくとも部分的に自律的な、好ましくは完全に自律的な走行動作を可能にする。この目的のために、環境認識装置100は、一般に、車両のルーフ上に、又は代替的には、車両の進行方向における車両の前方の領域を検出できるようにする車両の領域に配置される。
【0020】
一例として、環境認識装置100は、単に象徴的に示されるセンサ104がその内部に配置されたほぼ立方体形状のハウジング102を備える。特に、センサ104は、車両の進行方向に位置される物体を検出するために使用されるライダセンサである。この目的のために、ハウジング102は、センサ104の波長を透過する又は通す視覚窓106を更に備える。図示の例示的な実施形態において、視覚窓106は、センサ104の視野108を同時に画定する。一例として、視覚窓106は、ハウジング102の前端面のサブ領域に幅B及び高さHを伴う少なくともほぼ長方形の形態を有し、前記視覚窓が例えば湾曲形状を有することも想定し得る。
【0021】
視覚窓106を洗浄するための本発明に係る洗浄装置10は、環境認識装置100のハウジング102の上方、すなわちハウジング102のルーフ領域110上に配置される。以下でより詳細に説明する洗浄装置10の構成要素は、好ましくは、洗浄装置10の構成要素を簡単な態様で交換できる又は簡単な態様で組み立てることができる及び/又は取り外すことができるように、ハウジング102のための付属品として設計される。
【0022】
洗浄装置10は、少なくとも1つの第1の洗浄要素12、好ましくはそれぞれが視覚窓106に洗浄液1を塗布するための同一のスプレーノズル14の形態を成す複数の第1の洗浄要素12を備える。この目的のために、第1の洗浄要素12は、長尺で平坦な保護ハウジング16内に、例えばいずれの場合にも互いに同じ距離を隔てて視覚窓106の平面に平行に配置される。
【0023】
保護ハウジング16は伸縮アーム18の端部に配置され、伸縮アーム18は、伸縮ドライブ20によって伸縮アーム18の長手方向で両矢印22の方向に移動可能である。特に、伸縮ドライブ20は、第1の洗浄要素12又は保護ハウジング16を
図1に示される待機位置から
図2に示される動作位置に調整できるようにする。
【0024】
洗浄液1の供給源(図示せず)に接続されるスプレーノズル14は、作動時に待機位置で視覚窓106上に洗浄液1を噴射又は分配することができないが、伸縮ドライブ20は、待機位置から動作位置への調整中に既に、しかし少なくとも動作位置に達したときに、視覚窓106からセンサ素子104の視覚に影響を及ぼす汚れ又は同様の要素を除去するために、視覚窓106上へと洗浄液1を圧力下で噴射できるようにする。
【0025】
更に、環境認識装置100のハウジング102の上面と伸縮アーム18又は第1の洗浄要素12のための保護ハウジング16との間には、平坦ノズル24のハウジングが配置され、平坦ノズルは、供給ライン26によってラジアルブロワ28の形態を成す圧縮空気ブロワの吐出側に接続される。平坦ノズル24は、ハウジング102に対して位置的に固定されるように配置されるとともに、平坦ノズル24から流出する圧縮空気が視覚窓106上に位置される媒体を掻き取るべく斜めの角度で視覚窓106に衝突するように方向付けられる出口領域30を備える。
【0026】
平坦ノズル24は、第2の洗浄要素32を構成する。更に、平坦ノズル24は、視覚窓106又はハウジング102の幅B全体にわたって延在する。
【0027】
図1及び
図2に示される典型的な実施形態において、洗浄要素12、32のための保護ハウジング16及び平坦ノズル24は、視覚窓106の上方に配置される又はハウジング102の上面と平行に延在する。保護ハウジング16及び平坦ノズルが垂直方向に延びるように、洗浄要素12、32のための保護ハウジング16及び/又は平坦ノズル24をハウジング102上で視覚窓106の側に配置することも考えられることは言うまでもない。この場合、保護ハウジング16及び平坦ノズル24は、視覚窓106の両側に配置されてもよい。
【0028】
しかしながら、保護ハウジング16及び平坦ノズル24は、互いに近接した間隔を有するように、又は環境認識装置100のハウジング102の同じ領域に位置されるように配置されることが好ましい。言うまでもなく、使用されるセンサ104は、ライダセンサではなく、例えばカメラベースの装置などであることも考えられる。
【符号の説明】
【0029】
1 洗浄液
10 洗浄装置
12 第1の洗浄要素
14 スプレーノズル
16 保護ハウジング
18 伸縮アーム
20 伸縮ドライブ
22 両矢印
24 平坦ノズル
26 供給ライン
28 ラジアルブロワ
30 出口領域
32 第2の洗浄要素
100 環境認識装置
102 ハウジング
104 センサ
106 視覚窓
108 視野
110 ルーフ領域
B 幅
H 高さ
【国際調査報告】