(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】アミノ酸系ガラス、その製造方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07C 229/08 20060101AFI20240201BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240201BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240201BHJP
A61K 38/28 20060101ALI20240201BHJP
A61L 27/22 20060101ALI20240201BHJP
A61L 27/58 20060101ALI20240201BHJP
A61L 27/54 20060101ALI20240201BHJP
C07C 229/36 20060101ALI20240201BHJP
C07C 229/24 20060101ALI20240201BHJP
C07C 233/47 20060101ALI20240201BHJP
C07K 2/00 20060101ALN20240201BHJP
【FI】
C07C229/08
A61K47/18
A61K47/42
A61K38/28
A61L27/22
A61L27/58
A61L27/54
C07C229/36
C07C229/24
C07C233/47
C07K2/00 ZNA
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547384
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 CN2021121578
(87)【国際公開番号】W WO2023050121
(87)【国際公開日】2023-04-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509031567
【氏名又は名称】中国科学院過程工程研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF PROCESS ENGINEERING,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】NO.1 Zhongguancun North Second Street,Haidian District Beijing 100190,P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】イェン, シュエハイ
(72)【発明者】
【氏名】シン, ルイルイ
(72)【発明者】
【氏名】ユェン, チォンチェン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C084
4H006
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA94
4C076BB01
4C076BB32
4C076CC30
4C076DD51
4C076EE41
4C076FF32
4C076GG01
4C081BA16
4C081BB06
4C081CD11
4C081DA01
4C081EA01
4C081EA12
4C084BA44
4C084DB34
4C084MA34
4C084MA52
4C084MA67
4C084NA10
4C084ZC351
4C084ZC352
4H006AA01
4H006AB78
4H006AB99
4H006BJ50
4H006BS10
4H006BU32
4H006NB11
4H006NB16
4H006NB17
4H006NB23
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA11
4H045BA14
4H045EA01
4H045EA05
4H045EA34
4H045EA60
4H045FA10
(57)【要約】
本発明は、アミノ酸、ペプチド及びそれらの誘導体をベースとした生分解性ガラス、及びその製造方法並びに使用を開示するものであり、前記ガラスの主原料がアミノ酸、ペプチド及びその誘導体又はそれらの塩のうちの1種又は2種以上の組み合わせである。従来のガラスと比べて、本発明のガラスは、高い生体適合性、生分解可能、3Dプリンティング可能、堆肥可能等の明らかな利点を有し、その製造プロセスが簡単で、エコであり、従来のガラスの生態環境への影響を効果的に避けることができる。医薬、建築材料、化学産業、食品、電子、国防等の分野において広く適用され、組織工学、歯/骨修復、薬物徐放、細胞/タンパク質の隔離保管、光ファイバー通信、コート層、精密計器等を含むが、これらに限られない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸系ガラスであって、主原料が式(1)で示されるアミノ酸、ペプチド及びその誘導体又はそれらの塩のうちの1種又は2種以上の組み合わせであり、ガラス中の前記主原料の含有量が70wt%以上、好ましくは80wt%以上、さらに好ましくは90wt%以上であり、
【化1】
前記アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、トリプトファン、セリン、チロシン、システイン、フェニルアラニン、アスパラギン、グルタミン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、ヒスチジン、セレノシステイン及びピロリシンからなる群より選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであり、
前記ペプチドとは、n個の前記アミノ酸がペプチド結合により縮合してなる分子を指し、但し、n≧2であり、好ましくは2≦n≦10であり、
前記アミノ酸又はペプチドの誘導体とは、アミノ基P1及び/又はカルボキシ基P2上に保護基を有するアミノ酸又はペプチドを指し、
但し、前記アミノ基P1上の保護基が、Trt、Boc、Fmoc、Cbz/Z、Allyl、C
2-C
18アシル基、ベンゾイル基、ナフトイル基からなる群より選ばれるいずれか1種又は2種以上の組み合わせであり、
前記カルボキシ基P2上の保護基が、OFm、Otbu、OBzl、OAll、OMe、OEtからなる群より選ばれるいずれか1種又は2種以上の組み合わせであり、
前記アミノ基P1及びカルボキシ基P2のうち、一方が保護されているか、又は両方が保護されている、アミノ酸系ガラス。
【請求項2】
前記ガラスの全ては、前記アミノ酸、ペプチド及びそれらの誘導体で製造されてなることを特徴とする請求項1に記載のアミノ酸系ガラス。
【請求項3】
前記ガラスは、以下の単一種の分子で製造されてなるか、又は2種以上の分子の組み合せからなり、
前記単一種の分子は、単一種のアミノ酸分子、単一種のペプチド分子、単一種のアミノ酸誘導体又は単一種のペプチド誘導体であり、
前記組み合せは、アミノ酸分子の組み合せ、ペプチド分子の組み合せ、アミノ酸誘導体分子の組み合せ、ペプチド分子誘導体の組み合せ、アミノ酸分子とペプチド分子との組み合せ、アミノ酸とアミノ酸誘導体との組み合せ、アミノ酸とペプチド誘導体との組み合せ、ペプチドとアミノ酸誘導体分子との組み合せ、ペプチドとペプチド誘導体との組み合せ、アミノ酸誘導体とペプチド誘導体との組み合せ、アミノ酸とペプチドとアミノ酸誘導体との組み合せ、アミノ酸とペプチドとペプチド誘導体との組み合せ、アミノ酸とアミノ酸誘導体とペプチド誘導体との組み合せ、又はアミノ酸とペプチドとアミノ酸誘導体とペプチド誘導体との組み合せを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のアミノ酸系ガラス。
【請求項4】
前記ガラスは、副原料をさらに含み、前記副原料が清澄剤、融剤、乳白剤、着色剤から選ばれる1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1に記載のアミノ酸系ガラス。
【請求項5】
前記ガラスの硬度は、420~550HVの範囲であり、好ましくは、500~550HVの範囲であり、前記ガラスの透明度が30%以上であり、好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは80%~91%であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のアミノ酸系ガラス。
【請求項6】
前記ガラスの脆性指数(m)が10~100の範囲であり、好ましくは20~50の範囲であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のアミノ酸系ガラス。
【請求項7】
請求項1~6に記載のアミノ酸系ガラスの製造方法であって、前記原料を不活性ガス雰囲気下で融点温度(T
m)よりも高く昇温し、一定期間保温処理し、その後、室温以下まで降温し、降温後の試料をアニール炉に移転してアニール処理を行う工程を含むことを特徴とするアミノ酸系ガラスの製造方法。
【請求項8】
前記融点温度よりも高いというのは、融点温度よりも5~200K高い温度、好ましくは融点温度よりも10~50K高い温度であり、保温時間が5min~1hであり、好ましくは15~30minであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記アニール温度は、ガラス転移温度(T
g)よりも20~100K低い温度、好ましくはガラス転移温度(T
g)よりも20~50K低い温度であり、アニール処理時間が5min~3hであり、好ましくは15min~1hであることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1~6に記載のアミノ酸系ガラスの、付加製造、堆肥、組織工学、歯又は骨修復、薬物徐放、細胞又はタンパク質の隔離保管、光ファイバー通信、コート層又は精密計器への使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス材料、その製造方法及びその使用に関し、具体的にアミノ酸系生物分子ガラス、その製造方法及びその使用に関し、新規材料分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスは、一般にシリカ、炭酸カルシウム等の無機鉱物を主原料として製造されてなり、日常生活で最もよく使用される材料の1つである。ガラスは、自然条件においてほとんど分解できず、かつ、割れやすいので、汚染性、危害性、耐久性から見ると、ガラスは、環境、生態に対して大きな影響を与えている。
【0003】
従来、複数種のガラス材料、製品及びその製造方法が開示されており、例えば、珪酸塩ガラスの製造方法、珪酸塩ガラス及び珪酸塩ガラス用シリカ原料が開示されている(WO2015/129495 JA 2015.09.03)。β-石英またはβ-スポジュメン固溶体を主原料としたガラス製品が開示されている(WO2005/058766 EN 2005.06.30)。二価の金属酸化物を含むケイ酸リチウムガラスセラミックおよびケイ酸リチウムガラスが開示されている(WO2013/053864 DE 2013.04.18)。
【0004】
なお、1969年、フロリダ大学のL.L.ヘンチにより発明されたバイオガラスの主成分が45% Na2O、25% CaO、25% SiO2及び5% P2O5であり、バイオガラス(生物活性ガラスとも言われる)の例示的な組成及び使用が開示されている(US4478904A、US6338751B1、US7569105B2)。
【0005】
上記開示されているガラス材料及び製品の共通点は、原料がいずれも無機鉱物であることにある。従来、アミノ酸系生物分子ガラス材料及びその製造方法が開示されていない。
【0006】
アミノ酸は、タンパク質を組成する基本単位であり、ペプチドは2つ以上のアミノ酸がペプチド結合により連結してなる化合物である。アミノ酸とペプチドは、生命有機体の重要な組成部分であり、生命体の情報伝達、新陳代謝、疾患及び衰老等の面で極めて重要な役割を果たしている。アミノ酸系の生物分子は、極めて高い生体適合性を有し、生物体内での代謝メカニズムが明らかであり、生分解可能である。驚くべきことに、本発明者は、アミノ酸、ペプチド及びその誘導体を特定の製造プロセスで製造することにより、常温下でガラス質構造である生分解性のガラスを得ることができることを見出し、本発明は、正にこの見出しに基づいてなされたものである。本発明により見出されたアミノ酸系生物分子ガラスに基づき、新規材料として、医薬、建築材料、化学産業、食品、電子、国防等の分野で広く適用される見込みがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の最も重要な目的は、アミノ酸系生物分子ガラス及び製造方法を提供することにあり、このようなガラスは、生態環境に優しく、高い生体適合性、生分解可能、3Dプリンティング可能、堆肥可能であり、かつ、製造プロセスが簡単で、エコである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様において、上述したアミノ酸系ガラスは、主原料が式(1)で示されるアミノ酸、ペプチド及びその誘導体であり、ガラス中の前記主原料の含有量が70wt%以上であり、好ましくは80wt%以上であり、さらに好ましくは90wt%以上であり、
【化1】
前記アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン(メチオニン)、プロリン、トリプトファン、セリン、チロシン、システイン、フェニルアラニン、アスパラギン、グルタミン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、ヒスチジン、セレノシステイン及びピロリシンを含み、
前記ペプチドは、n個のアミノ酸がペプチド結合によって縮合されてなる分子であり、但し、n≧2であり、好ましくは、2≦n≦10であり、
前記誘導体は、アミノ基(P1)とカルボキシ基(P2)に対する保護基を有するアミノ酸、ペプチドであり、
P1での保護基は、Trt、Boc、Fmoc、Cbz/Z、Allyl、C
2-C
18アシル基、ベンゾイル基、ナフトイル基を含むが、これらに限られず、P2での保護基は、OFm、Otbu、OBzl、OAll、OMe、OEtを含むが、これらに限られず、
P1及びP2は、一方が保護されているか、又は両方が同時に保護されていることを特徴とする。
【0009】
前記誘導体は、上記アミノ酸分子又はペプチド分子又はその誘導体分子構造の骨格に類似する分子、異性体及びその塩をさらに含む。
【0010】
第2の態様において、上述したアミノ酸系ガラスであって、全てが上記のアミノ酸、ペプチド及びそれらの誘導体により製造されることを特徴とする。
【0011】
第3の態様において、上述したアミノ酸系ガラスであって、前記アミノ酸系ガラスは、以下の単一種の分子で製造されてもよく、2種以上の分子の組み合せで製造されてもよく、
前記単一種の分子は、単一種のアミノ酸分子、単一種のペプチド分子、単一種のアミノ酸誘導体又は単一種のペプチド誘導体を含み、
前記組み合せは、アミノ酸分子の組み合せ、ペプチド分子の組み合せ、アミノ酸誘導体分子の組み合せ、ペプチド分子誘導体の組み合せ、アミノ酸分子とペプチド分子との組み合せ、アミノ酸とアミノ酸誘導体との組み合せ、アミノ酸とペプチド誘導体との組み合せ、ペプチドとアミノ酸誘導体分子との組み合せ、ペプチドとペプチド誘導体との組み合せ、アミノ酸誘導体とペプチド誘導体との組み合せ、アミノ酸とペプチドとアミノ酸誘導体との組み合せ、アミノ酸とペプチドとペプチド誘導体との組み合せ、アミノ酸とアミノ酸誘導体とペプチド誘導体との組み合せ、又はアミノ酸とペプチドとアミノ酸誘導体とペプチド誘導体との組み合せを含むことを特徴とする。
【0012】
第4の態様において、上述したアミノ酸系ガラスであって、アミノ酸系ガラスは、上述した主原料に加えて、さらに副原料を添加してもよく、前記副原料は、清澄剤、融剤、乳白剤、着色剤から選ばれる1種又は2種以上の混合物を含むことを特徴とする。
【0013】
但し、副原料の割合が0~5wt%であり、好ましくは0~1wt%であり、
清澄剤は、酸化アンチモン、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウムのうちの1種又は2種以上の混合物を含み、
融剤は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、硝酸カリウムのうちの1種又は2種以上の混合物であり、
乳白剤は、氷晶石、ケイフッ酸ナトリウム、リン化スズのうちの1種又は2種以上の混合物であり、
着色剤は、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移元素の金属化合物である。
【0014】
第5の態様において、アミノ酸系ガラスの製造方法であって、上記した原料を不活性ガス雰囲気下で融点温度よりも高い温度に昇温して一定期間保温処理し、その後、室温以下に降温し、降温後の試料をアニール炉に移転してアニール処理を行う工程を含む。
【0015】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記融点温度(Tm)よりも高い温度とは、融点温度よりも5~200K高い温度、好ましくは融点温度よりも10~50K高い温度を指し、保温時間が5min~1hであり、好ましくは15~30minである。
【0016】
本発明の1つの好ましい実施形態において、前記アニール温度がガラス転移温度(Tg)よりも20~100K低い温度であり、好ましくは、ガラス転移温度(Tg)よりも20~50K低い温度であり、アニール処理時間が5min~3hであり、好ましくは15min~1hである。
【0017】
本発明の1つの実施形態において、前述したアミノ酸系ガラスは、単一種の分子のガラスであり、以下の製造工程を含む。
(1)一定質量のアミノ酸、ペプチド又は誘導体粉末を秤取して乳鉢内に入れて均一に研磨した後、坩堝に移転する。
(2)工程(1)において原料を入れた坩堝を不活性ガス雰囲気下で加熱装置内に放置する。
(3)工程(2)の装置に対して加熱処理を行い、S1の昇温速度で坩堝を室温からM1温度に昇温し、この温度でT1時間保温処理し、
但し、S1が1~50K min-1であり、好ましくは2~10K min-1であり、
M1がTmよりも5~200K高い温度であり、好ましくはTmよりも10~50K高い温度であり、
T1が5min~1hであり、好ましくは15~30minである。
(4)工程(3)の装置に対して降温処理を行い、S2の降温速度で坩堝をM2温度に降温し、
但し、S2が1~100K min-1であり、好ましくは50~100K min-1であり、
M2が273.15K(氷水混合物温度)又は293.15~298.15K(室温/常温)である。
(5)工程(4)の試料を温度M3のアニール炉内に移転し、T3時間保温し、ガラスのアニール処理を行い、
但し、M3がTgよりも20~100K低い温度であり、好ましくはTgよりも20~50K低い温度であり、
T3が5min~3hであり、好ましくは15min~1hである。
【0018】
2種以上の分子で混合してなるガラスの場合に、下記の改進した工程(1o)~(5o)を含むか、又は下記の工程(6o)~(8o)を含む。
(1o)それぞれ1つの成分の粉末を秤取し、それぞれ乳鉢に入れて均一に研磨した後、異なる坩堝内に移転する。
(2o)工程(2)~工程(3)に従う。
(3o)上記溶融した成分を所定割合で同一坩堝中で混合し、適切に撹拌して均一にし、混合割合が、好ましくは1:1:…である。
(4o)工程(3o)で得られた混合物を、M1温度下でTs時間保温処理する;
(5o)工程(4)~工程(5)に従う。
(6o)それぞれ各成分の粉末を秤取し、所定割合で撹拌して均一に混合し、混合割合が好ましくは1:1:…である。
(7o)均一に混合した粉末を乳鉢内に入れて均一に研磨した後、坩堝内に移転する。
(8o)工程(2)~工程(5)に従う。
【0019】
第6の態様において、アミノ酸系ガラスの製造方法であって、主原料に加えて、副原料を添加し、下記の工程を含むことを特徴とする。
(1)主原料と副原料とを秤取し、所定割合で混合して均一に撹拌し、坩堝内に移転する。
(2)第5の態様の工程(2)~工程(5)に従う。
【0020】
第7の態様において、前記Tm及びTgは、標準示差走査熱量測定(DSC)方法により測定される。
【0021】
DSCの昇温速度を好ましくは10K min-1に設置し、温度を横軸とし、熱流を縦軸とし、曲線を作成し、試料溶融の初期温度及び終了温度を測定し、初期温度及び終了温度の中点温度をTmとする。
【0022】
Tmよりも20K高い温度に昇温した後、10min保温処理する。
【0023】
DSCの降温速度を、好ましくは10K min-1に設置し、273.15Kに降温した後、10min保温処理する。
【0024】
2回目の昇温を行い、DSCの昇温速度を、好ましくは10K min-1にし、温度を横軸とし、熱流を縦軸とし、曲線を作成し、外挿接線によりガラス転移温度の初期温度及び終了温度を記録し、初期温度及び終了温度の中点温度をTgとする。
【0025】
アミノ酸系ガラスは、上述した方法により製造される。
【0026】
第8の態様において、本発明のアミノ酸系ガラス及びその製造方法は、下記の利点及び有益な効果を有する。
(1)本発明のアミノ酸系ガラスは、硬く、脆く、透明、透光等の性能を有し、硬度が420~550HVの範囲であり、好ましくは500~550HVの範囲であり、透明度が30%~91%の範囲、好ましくは80%~91%の範囲に分布している。
(2)本発明のアミノ酸系ガラスは、良好なガラス形成能力(GFA)を有し、アミノ酸系ガラスの脆性指数(m)が10~100の範囲、好ましくは10~50の範囲に分布している。
(3)本発明のアミノ酸系ガラスは、環境に優しく、高い生体適合性及び生分解性を有する。
(4)本発明のアミノ酸系ガラスは、製造プロセスが簡単で、繰り返し性が高く、エコロジーで環境配慮型のものである。
(5)本発明のアミノ酸系ガラスは、付加製造(3Dプリンティング)に利用可能である。
(6)本発明のアミノ酸系ガラスは、堆肥に利用可能であり、従来のガラスの生態環境への破壊を大幅に低減する。
【0027】
第9の態様において、本発明のアミノ酸系ガラスは、医薬、建築材料、化学産業、食品、電子、国防等の分野に利用可能であり、組織工学、歯/骨修復、薬物徐放、細胞/タンパク質の隔離保管、ファイバー通信、コート層、精密計器等の面を含むが、これらに限られない。
【0028】
第10の態様において、本発明のアミノ酸系ガラスは、溶融過程において薬物分子を溶解することができ、好ましくは、薬物分子は、半減期が短い薬物分子及び/又は不溶性薬物分子である。
【0029】
前記薬物分子は、腫瘍化学療法薬物分子、造影剤分子、解熱鎮痛抗炎症分子、漢方薬の単一成分化合物、免疫調節剤及びこれらのうちのいずれか1種又は2種以上の混合物を含む。
【0030】
化学療法薬物分子は、ペメトレキセド、フルオロウラシル、ドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、シスプラチン、タモキシフェン、メゲストロール、ゴセレリン及びこれらの類似物のうちのいずれか1種又は2種以上の混合物を含む。
【0031】
造影剤分子は、硫酸バリウム、ヨウ素製剤(ヨウ化ナトリウム、ガストログラフイン、ヨータラマートメグルミン、ヨーキサグル酸、ヨーヘキソール、ヨープロミド、イオパミロン、イオトロラン、ヨード化ケシ油、ヨーフェンジラート)、18FDG、Gd-DTPA、Mn-DPDP、SPIO及びこれらの類似物のうちのいずれか1種又は2種以上の混合物を含む。
【0032】
解熱鎮痛抗炎症分子は、アスピリン、ブルフェン、p-アセトアミノフェノール、イドメシン、ニメスリド、ロフェコキシブ、セレコキシブ及びこれらの類似物のうちのいずれか1種又は2種以上の混合物を含む。
【0033】
漢方薬の単一成分化合物分子は、クルクミン、ノビレチン、トリプトリド、黄蓍、カワラタケ多糖類及びこれらの類似物のうちのいずれか1種又は2種以上の混合物を含む。
【0034】
免疫調節剤は、糖タンパク、ピドチモド、チモシンα1、ムラミルジペプチド、インターフェロンγ、インターロイキン-2、レバミソール及びこれらの類似物のうちのいずれか1種又は2種以上の混合物を含む。
【0035】
その他、インスリン、パリペリドン、ニフェジピン、ラニチジン塩酸塩などの徐放が必要な薬物、及びこれらの類似物のうちのいずれか1種又は2種以上の混合物を含む。
【0036】
皮下包埋剤、経口剤、組織工学足場材料とすることができ、好ましくは、原料は、生物活性を有するアミノ酸、ペプチド又はその誘導体であることを特徴とし、アミノ酸系ガラスの生分解に伴い、薬物の局所、持続的放出を実現することを特徴とする。
【0037】
第11の態様において、本発明のアミノ酸系ガラスは、溶融過程においてその他の機能的製剤を溶解するか、又はコート層の形としてガラス材料の表面に塗布してある機能を発揮し、機能的製剤として導電剤、殺菌剤/防食剤、放射線保護剤を含むが、これらに限られない。
【0038】
導電剤は、酸化スズインジウム、黒鉛、ポリアセチレン及びこれらの類似物のうちのいずれか1種又は2種以上の混合物を含む。
【0039】
殺菌剤/防食剤は、ナノ銀、塩素製剤、過酸化物、有機硫黄、有機臭素及び窒素硫黄含有複素環化合物及びこれらの類似物のうちのいずれか1種又は2種以上の混合物を含む。
【0040】
放射線保護剤は、メラニン、ポリイミド及びこれらの類似物のうちのいずれか1種又は2種以上の混合物を含む。
【0041】
第12の態様において、本発明のアミノ酸系ガラスについて、溶融過程において薬物又は機能的製剤を溶解する方法は、粉末共溶融法を採用してもよく、薬物又は機能的製剤を予め良溶媒に溶解し、溶融状態のアミノ酸系ガラスとブレンドし、さらに溶媒を除去する製造方法を採用してもよく、
薬物分子の含有量が0.01~25wt%であり、好ましくは0.1~1wt%であり、
機能的分子の含有量が0.01~5wt%であり、好ましくは0.1~1wt%であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、実施例1で製造されたAc-Lysガラスの室温における実物の写真図であり、ガラスビーズ又はガラスコート層に加工可能である。
【
図2】
図2は、実施例1で製造されたAc-LysガラスのDSC-TGA図であり、その溶融温度T
m=536.70K、融点温度のときに、重量損失が顕著ではなく、Ac-Lysは、高温溶融するときに、分解が発生しなかったことを明らかにした。
【
図3】
図3は、実施例1で製造されたAc-LysガラスのDSC図であり、そのガラス転移温度がT
g=295.10Kである。
【
図4】
図4は、実施例2で製造されたZ-Phe-Pheガラスの核磁気共鳴水素スペクトルであり、Z-Phe-Phe原料と比較して、ピークが顕著に変化することがなく、ペプチド原料分子は、加熱溶融及びアニール処理を経た後、化学成分が変化しなかったことがわかる。
【
図5】
図5は、実施例2で製造されたZ-Phe-Pheガラスの透光性は、市販されるガラスに比肩できることがわかる。
【
図6】
図6は、実施例2で製造されたZ-Phe-PheガラスのDSCスペクトルであり、そのガラス転移温度がT
g=320.75Kである。
【
図7】
図7は、実施例3で製造されたBoc-Gly粉末及びBoc-Glyガラスの偏光顕微鏡における写真であり、形成されたガラスが非晶質であることが証明された。
【
図8】
図8は、実施例3で製造されたBoc-Glyガラスの生体適合性測定結果であり、上述したガラスを幅2cmの正方形コート層に加工し、3T3細胞をそれと共インキュベートし、MTT法により測定細胞の活性を測定する。
【
図9】
図9は、実施例4で製造されたBoc-Alaガラスの力学的性質の測定結果である。
【
図10】
図10は、実施例4で製造されたBoc-Alaガラスの堆肥土壤サンプルにおける生分解曲線であり、ガラスサンプルの初期質量が42.58mgである。
【
図11】
図11は、実施例5で製造された混合ガラスの性能測定結果である。
【
図12】
図12は、実施例5で製造された混合ガラスの人工胃液(中国薬典の製造方法に従う)中での分解状況である。
【
図13】
図13は、実施例5で製造された混合ガラスをマウスに胃内注入した後のマウスの体重変化を示すものである。マウス胃内注入の周期が5日/回であり、質量が5mg kg
-1であり、観察周期が30日であり、胃内注入の回数が合計5回である。
【
図14】
図14は、実施例6で製造された混合ガラスを3Dプリンティング装置によりプリントされたパターンである。混合粉末を3Dプリンティング装置のカートリッジ内に入れて、加熱温度を450Kにした。
【
図15】
図15は、実施例6で製造された混合ガラスを動物マウスモデル体内に埋め込んだ後の分解状況である。
【
図16】
図16は、実施例7で製造されたインスリンを載せたアミノ酸系ガラスを、マウス体内に皮下包埋した後の経時的な生分解状況である。
【
図17】
図17は、実施例7で製造されたインスリンを載せたアミノ酸系ガラスを経口により糖尿病マウスに胃内注入した後のマウスの血糖変化である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、実施例により本発明の技術的解決手段を詳しく説明するが、本発明が保護する内容はこれに限られない。
【0044】
実施例1
リシンをベースとしたガラスの製造方法は、下記の工程を含む。
(1)20mgのN-アセチル-L-リシン(Ac-Lys)粉末を秤取して乳鉢に入れて均一に研磨した後、坩堝内に移転する。
(2)工程(1)においてAc-Lys粉末を入れた坩堝をN2雰囲気下で加熱装置内に放置する。
(3)工程(2)の装置に対して加熱処理を行い、10K min-1の昇温速度で坩堝を室温から600Kに昇温し、この温度下で10min保温処理する。
(4)工程(3)の装置に対して降温処理を行い、10K min-1の降温速度で坩堝を273.15Kに降温する。
(5)工程(4)の試料を温度283.15Kのアニール炉内に移転し、20min定温処理し、ガラスのアニール処理を行い、Ac-Lysガラスを得る。
【0045】
図1は、実施例1で製造されたAc-Lysガラスの室温における実物の写真図であり、ガラスビーズ又はガラスコート層に加工することができる。
【0046】
図2は、実施例1で製造されたAc-LysガラスのDSC-TGA図であり、その溶融温度T
m=536.70Kであり、溶融温度のときに、重量損失が顕著ではなく、Ac-Lysは、高温溶融するときに、分解しなかったことを明らかにした。
【0047】
図3は、実施例1で製造されたAc-LysガラスのDSC図であり、そのガラス転移温度がT
g=295.10Kである。
【0048】
実施例2
フェニルアラニンをベースとしたペプチドガラスの製造方法は、下記の工程を含む。
(1)50mgのベンジルオキシカルボニル-フェニルアラニル-フェニルアラニル(Z-Phe-Phe)粉末を秤取して乳鉢内に入れて均一に研磨した後、坩堝内に移転する。
(2)工程(1)においてZ-Phe-Phe粉末を入れた坩堝をN2雰囲気下で加熱装置内に放置する。
(3)工程(2)の装置に対して加熱処理を行い、40K min-1の昇温速度で坩堝を室温から500Kに昇温し、この温度で20min保温処理する。
(4)工程(3)の装置に対して降温処理を行い、50K min-1の降温速度で坩堝を273.15Kに降温する。
(5)工程(4)の試料を温度283.15Kのアニール炉内に移転し、10min定温処理し、ガラスのアニール処理を行い、Z-Phe-Pheガラスを得る。
【0049】
図4は、実施例2で製造されたZ-Phe-Pheガラスの核磁気共鳴水素スペクトルであり、Z-Phe-Phe原料と比較して、ピークが顕著に変化することがなく、ペプチド原料分子は、熱溶融及びアニール処理を経た後、化学成分が変化しなかったことがわかる。
【0050】
図5は、実施例2で製造されたZ-Phe-Pheガラスの透光性であり、市販されるガラスに比肩することができる。
【0051】
図6は、実施例2で製造されたZ-Phe-PheガラスのDSCスペクトルであり、そのガラス転移温度がT
g=320.75Kである。
【0052】
実施例3
グリシンをベースとしたガラスの製造方法は、下記の工程を含む。
(1)30mgのN-tert-ブトキシカルボニル-L-グリシン(Boc-Gly)粉末を秤取して乳鉢内に入れて均一に研磨した後、坩堝内に移転する。
(2)工程(1)においてBoc-Glyを入れた坩堝をN2雰囲気下で加熱装置内に放置する。
(3)工程(2)の装置に対して加熱処理を行い、10K min-1の昇温速度で坩堝を室温から600Kに昇温し、この温度下で30min保温処理する。
(4)工程(3)の装置に対して降温処理を行い、10K min-1の降温速度で坩堝を273.15Kに降温する。
(5)工程(4)の試料を温度283.15Kのアニール炉に移転し、30min定温処理し、ガラスのアニール処理を行い、Boc-Glyガラスを得る。
【0053】
図7は、実施例3で製造されたBoc-Gly粉末及びBoc-Glyガラスの偏光顕微鏡における写真であり、形成されたガラスが非晶質であることが証明された。
【0054】
図8は、実施例3で製造されたBoc-Glyガラスの生体適合性測定結果であり、上記ガラスを幅2cmの正方形コート層に加工し、3T3細胞をそれと共インキュベートし、MTT法を採用して細胞の活性を測定する。なお、実施例3で製造されたガラスは、中性水溶液中で溶解しない。
【0055】
実施例4
アラニンをベースとしたガラスの製造方法は、下記の工程を含む。
(1)20mgのN-tert-ブトキシカルボニル-L-アラニン(Boc-Ala)粉末を秤取して乳鉢に入れて均一に研磨した後、坩堝内に移転する。
(2)工程(1)においてBoc-Ala粉末を入れた坩堝をN2雰囲気下で加熱装置内に放置する。
(3)工程(2)の装置に対して加熱処理を行い、5K min-1の昇温速度で坩堝を室温から650Kに昇温し、この温度下で5min保温処理する。
(4)工程(3)の装置に対して降温処理を行い、20K min-1の降温速度で坩堝を273.15Kに降温する。
(5)工程(4)の試料を温度283.15Kのアニール炉に移転し、10min定温処理し、ガラスのアニール処理を行い、Boc-Alaガラスを得る。
【0056】
図9は、実施例4で製造されたBoc-Alaガラスの力学的性質測定結果である。
【0057】
図10は、実施例4で製造されたBoc-Alaガラスの堆肥土壤サンプルにおける生分解曲線であり、ガラスサンプルの初期質量が42.58mgである。
【0058】
実施例5
フェニルアラニン及びグルタミン酸をベースとしたガラスの製造方法は、下記の工程を含む。
(1)10mgのL-フェニルアラニンエチルエステル粉末(Phe-OEt)及び10mgのN-tert-ブトキシカルボニル-L-グルタミン酸ジメチル(Boc-Glu-dME)粉末を秤取して乳鉢に入れて均一に研磨し、0.1wt%の硫酸銅粉末を添加し、均一に研磨した後に坩堝内に移転する。
(2)工程(1)において混合アミノ酸を入れた坩堝をN2雰囲気下で加熱装置内に放置する。
(3)工程(2)の装置に対して加熱処理を行い、10K min-1の昇温速度で坩堝を室温から550Kに昇温し、この温度下で10min保温処理する。
(4)工程(3)の装置に対して降温処理を行い、10K min-1の降温速度で坩堝を273.15Kに降温する。
(5)工程(4)の試料を温度283.15Kのアニール炉に移転し、10min定温処理し、ガラスのアニール処理を行い、Phe-OEt/Boc-Glu-dMEの混合ガラスを得る。
【0059】
図11は、実施例5で製造された混合ガラスの性能測定結果である。
【0060】
図12は、実施例5で製造された混合ガラスの人工胃液(中国薬典製造方法に従う)中での分解状況である。
【0061】
図13は、実施例5で製造された混合ガラスをマウスに胃内注入した後のマウスの体重変化である。マウス胃内注入の周期が5日/回であり、質量が5mg kg
-1であり、観察周期が30日であり、胃内注入の回数が合計5回である。
【0062】
実施例6
活性ペプチド及びアミノ酸誘導体をベースとしたガラスの製造方法は、下記の工程を含む。
(1)10mgの免疫活性ペプチドVal-Gln-Pro-Ile-Pro-Tyr粉末及び10mgのN-tert-ブトキシカルボニル-L-アルギニンメチルエステル(Boc-L-Arg-OMe)粉末を秤取して乳鉢に入れて均一に研磨した後に、坩堝内に移転する。
(2)工程(1)において混合粉末を入れた坩堝をN2雰囲気下で加熱装置内に放置する。
(3)工程(2)の装置に対して加熱処理を行い、10K min-1の昇温速度で坩堝を室温から450Kに昇温し、この温度下で20min保温処理する。
(4)工程(3)の装置に対して降温処理を行い、10K min-1の降温速度で坩堝を273.15Kに降温する。
(5)工程(4)の試料を温度283.15Kのアニール炉に移転し、10min定温処理し、ガラスのアニール処理を行い、混合ガラスを得る。
【0063】
図14は、実施例6で製造された混合ガラスを、3Dプリンティング装置によりプリントされたパターンである。混合粉末を3Dプリンティング装置のカートリッジ内に入れて、加熱温度を450Kにする。
【0064】
図15は、実施例6で製造された混合ガラスを動物マウスモデル体内に埋め込んだ後の分解状況である。
【0065】
実施例7
インスリンを載せたアミノ酸系ガラスの製造方法は、下記の工程を含む。
(1)50mgの免疫活性ペプチドVal-Gln-Pro-Ile-Pro-Tyr粉末を秤取して乳鉢に入れて均一に研磨した後に、坩堝内に移転する。
(2)工程(1)において混合粉末を入れた坩堝をN2雰囲気下で加熱装置内に放置する。
(3)工程(2)の装置に対して加熱処理を行い、10K min-1の昇温速度で坩堝を室温から450Kに昇温し、この温度下で10min保温処理した後、330Kに降温する。
(4)インスリン粉末を5mg秤取して乳鉢に入れて均一に研磨した後に、工程(3)の坩堝内に移転し、均一に撹拌し、この温度下で10min保温処理してそれを溶解させる。
(5)工程(4)の装置に対して降温処理を行い、20K min-1の降温速度で坩堝を273.15Kに降温する。
(6)工程(5)の試料を温度273.15Kのアニール炉に移転し、20min定温処理し、ガラスのアニール処理を行い、インスリンを載せたアミノ酸系ガラスを得る。
【0066】
図16は、実施例7で製造されたインスリンを載せたアミノ酸系ガラスをマウス体内に皮下包埋した後の経時的な生分解状況である。
【0067】
図17は、実施例7で製造されたインスリンを載せたアミノ酸系ガラスを経口により糖尿病マウスに胃内注入した後のマウスの血糖変化である。
【国際調査報告】