IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィジック インストゥルメント(ピーアイ)ゲーエムベーハー アンド ツェーオー.カーゲーの特許一覧

特表2024-506023予荷重装置及び予荷重装置を備えた駆動装置
<>
  • 特表-予荷重装置及び予荷重装置を備えた駆動装置 図1
  • 特表-予荷重装置及び予荷重装置を備えた駆動装置 図2
  • 特表-予荷重装置及び予荷重装置を備えた駆動装置 図3
  • 特表-予荷重装置及び予荷重装置を備えた駆動装置 図4
  • 特表-予荷重装置及び予荷重装置を備えた駆動装置 図5
  • 特表-予荷重装置及び予荷重装置を備えた駆動装置 図6
  • 特表-予荷重装置及び予荷重装置を備えた駆動装置 図7
  • 特表-予荷重装置及び予荷重装置を備えた駆動装置 図8
  • 特表-予荷重装置及び予荷重装置を備えた駆動装置 図9
  • 特表-予荷重装置及び予荷重装置を備えた駆動装置 図10
  • 特表-予荷重装置及び予荷重装置を備えた駆動装置 図11
  • 特表-予荷重装置及び予荷重装置を備えた駆動装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】予荷重装置及び予荷重装置を備えた駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 33/02 20060101AFI20240201BHJP
   F16F 1/18 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
F16H33/02 B
F16F1/18 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547470
(86)(22)【出願日】2022-01-23
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 EP2022051412
(87)【国際公開番号】W WO2022167237
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】102021102793.4
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505257752
【氏名又は名称】フィジック インストゥルメント(ピーアイ)ゲーエムベーハー アンド ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】トロール、ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】マルト、ハリー
【テーマコード(参考)】
3J059
【Fターム(参考)】
3J059AD01
3J059AD04
3J059BA19
3J059BC01
3J059EA20
(57)【要約】
本発明は、第1の端部(11、111)と、第2の端部(12、112)と、第2の端部(12、112)を第1の端部(11、111)にばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)に沿って接続する少なくとも1つのばね装置(F、F1、F2)とを有する予荷重装置(10、100、300)に関する。少なくとも1つのばね装置(F、F1、F2)は、各々がばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)に沿って延在する少なくとも1つの蛇行部(M1)から形成される。また、本発明は、予荷重装置(10、100、300)を備える駆動装置(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予荷重装置(10、100)であって、第1のばね装置(F1)と、第2のばね装置(F2)と、第1の端部(11、111)と、第2の端部(12、112)とを備え、前記第1のばね装置(F1)は、前記第1の端部(11)と前記第2の端部(12)とを第1のばね装置基準軸(RA1)に沿って接続しており、前記第2のばね装置(F2)は、前記第1の端部(11、111)と前記第2の端部(12、112)とを第2のばね装置基準軸(RA2)に沿って接続しており、
各ばね装置(F1、F2)は、それぞれ、2つの横断部(50、70;150、170;250、270)を有する蛇行部(M1、M2)を備え、各ばね装置の基準線または、ばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)から見て、横断部間の距離は、距離増加部において増加しており、前記2つの横断部は、前記距離増加部に続き、前記距離増加部よりも前記基準線または前記ばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)からより大きい距離にあるブリッジ部において互いに接続されている、予荷重装置(10、100)。
【請求項2】
各ばね装置(F1、F2)は、それぞれ、少なくとも1つの蛇行部(M1、M2)から形成されており、前記蛇行部(M1、M2)は、その経路において蛇行中心線(MM)を含んでおり、前記蛇行部(M1)は、蛇行部開始点(PA、PA1、PA2)から蛇行部終了点(PB、PB1、PB2)まで延びており、前記蛇行部開始点(PA、PA1、PA2)および前記蛇行部終了点(PB、PB1、PB2)は、それぞれ、前記ばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)上に位置しており、前記蛇行部(M1)は、
(A1)第1の横断部開始点(P1、P11、P21)から第1の横断部終了点(P2、P12、P22)まで延びる第1の横断部(50、150、250)であって、前記第1の横断部開始点(P1、P11、P21)が、前記蛇行部開始点(PA、PA1、PA2)と同一であるか、または前記第1の横断部開始点(P1、P11、P21)が開始部(80、180、280)によって前記蛇行部開始点(PA、PA1、PA2)から距離を置いて配置されており、前記第1の横断部(50、150、250)における前記蛇行中心線の経路が、前記蛇行中心線(MM)上の線点が前記第1の横断部開始点(P1、P11、P21)から前記第1の横断部終了点(P2、P12、P22)まで移動するとき、移動した前記線点の前記ばね装置基準軸RAへの垂直投影から得られる点が前記第1の端部(11、111)に近づくように定義されている、前記第1の横断部(50、150、250)と、
(A2)前記第1の横断部終了点(P2、P12、P22)から前記第2の端部(12、112)の方向にブリッジ部終了点(P4、P14、P24)まで延在するブリッジ部(60、160、260)と、
(A3)前記ブリッジ部終了点(P4、P14、P24)から、前記蛇行部終了点(PB、PB1、PB2)と同一であるか、または終了部(90、190、290)によって前記蛇行部終了点(PB、PB1、PB2)から距離を置いて位置する第2の横断部終了点(P6)まで延びる第2の横断部(70、170、270)であって、前記第2の横断部(70、170、270)における前記蛇行中心線の経路が、前記蛇行中心線上の線点が前記ブリッジ部終了点(P4、P14、P24)から前記第2の横断部終了点(P6、P16、P26)まで移動するときに、移動した前記線点の前記ばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)への垂直投影から得られる点が前記第1の端部(11、111)に近づくように定義されている、前記第2の横断部(70、170、270)と、からなる部分(A1)、(A2)、(A3)を含んでいる、請求項1に記載の予荷重装置(10、100)。
【請求項3】
前記第1の横断部終了点(P2、P12、P22)と前記ブリッジ部終了点(P4、P14、P24)との間の距離は、前記ばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)に平行に延びている、請求項2に記載の予荷重装置(10、100)。
【請求項4】
前記第1の横断部終了点(P2、P12、P22)と前記ブリッジ部終了点(P4、P14、P24)との間の前記少なくとも1つの蛇行部(M1、M2)の蛇行中心線(MM)の区間は、
(C1)直線経路と、
(C2)前記ばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)から見て、凹状である均一な曲率を有する湾曲経路と、のうちのいずれかの形状を有する、請求項2または3に記載の予荷重装置(10、100)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの蛇行部(M1、M2)は、前記第1の横断部開始点(P1)と前記第2の横断部終了点(P6、P16、P26)との間の前記蛇行中心線(MM、MM1、MM2)の区間が円弧線であるように成形され、円弧の中心点は、
(R1)前記第1の横断部(50、150、250)における前記第1の横断部開始点(P1、P11、P21)における前記蛇行中心線(MM、MM1、MM2)に対する接線上の垂線(SP1、SP11、SP21)と、
(R2)前記第2の横断部(70、170、270)における第2の蛇行終了点(P6、P16、P26)における前記蛇行中心線(MM、MM1、MM2)の接線に対する垂線(SP6、SP16、SP26)との交点によって定義されており、
2つの前記垂線(SP1、P11、P21、SP6、P16、P26)の間に延在する開き角度(φ)は、180度よりも大きく330度よりも小さい、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の予荷重装置(10、100)。
【請求項6】
前記第1のばね装置(F1)および前記第2のばね装置(F2)は、それぞれ、部分(A1)、(A2)、(A3)をそれぞれ備える少なくとも2つの蛇行部(M1、M2)を備え、個別のばね装置基準軸(RA1、RA2)に沿って前後に配置される、同じばね装置(F1、F2)における前記蛇行部(M1、M2)の前記ブリッジ部(60、160、260)は、個別のばね装置基準軸(RA1、RA2)に対して異なる側に周期的に交互に配置されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の予荷重装置(10、100)。
【請求項7】
前記ばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)は、前記ばね装置(F、F1、F2)の中心線である、請求項6に記載の予荷重装置(10、100)。
【請求項8】
各ばね装置(F1、F2)は、2つの蛇行部(M1、M2)を含んでおり、第1の蛇行部(M1)は、部分(A1)、(A2)、(A3)を含んでおり、
さらなる蛇行部(M2)は、定義(A1)による第1の横断部(50、150、250)を有する第1の蛇行部(M1)の第2の横断部(70、170、270)に接続されており、
前記さらなる蛇行部(M2)は、前記さらなる蛇行部(M2)の前記第1の横断部(50、150、250)に接続された、定義(A2)による前記ブリッジ部(60、160、260)を含んでおり、
前記さらなる蛇行部(M2)は、前記さらなる蛇行部(M2)の前記ブリッジ部(60、160、260)に接続された、定義(A3)による第2の横断部(70、170、270)を含んでおり、
前記第1の蛇行部(M1)の前記ブリッジ部(60)および前記さらなる蛇行部(M2)の前記ブリッジ部(60、160、260)は、前記ばね装置基準軸RAに対して互いに異なる側に配置されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の予荷重装置(10、100)。
【請求項9】
少なくとも1つの蛇行部(M1、M2)の厚さは、第1の横断部開始点(P1、P11、P21)と第2の横断部終了点(P6、P16、P26)との間の領域において蛇行中心線(MM)の経路に沿って連続的に増加し、最大厚さに達した後に減少しており、前記最大厚さは、前記ブリッジ部(60、160、260)の中間領域に存在している、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の予荷重装置(10、100)。
【請求項10】
前記予荷重装置(10、100)は、互いに直接隣接して位置する少なくとも2つの蛇行部(M1、M2)を備えており、
前記蛇行部(M1、M2)のうちの1つが終了部(90、190、290)を含んでおり、隣接する前記蛇行部(M1、M2)が開始部(80、180、280)を含んでおり、前記開始部(80、180、280)が前記終了部(90、190、290)に直接接続されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の予荷重装置(10、100)。
【請求項11】
前記終了部(90、190、290)に直接接続された前記開始部(80、180、280)は、前記終了部(90、190、290)に対して点対称に配置されている、請求項10に記載の予荷重装置(10、100)。
【請求項12】
前記第1のばね装置(F1)の前記第1のばね装置基準軸(RA1)および前記第2のばね装置(F2)の前記第2のばね装置基準軸(RA1)は、ばね装置の対称軸に対して互いに軸対称に配置されている、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の予荷重装置(10、100)。
【請求項13】
前記第1のばね装置(F1)の前記第1のばね装置基準軸(RA1)および前記第2のばね装置(F2)の前記第2のばね装置基準軸(RA1)は、互いに平行に延びている、請求項12に記載の予荷重装置(10、100)。
【請求項14】
第1の端部(11、111)と、第2の端部(12、112)と、前記第1の端部(11、111)を前記第2の端部(12、112)にばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)に沿って接続する少なくとも1つのばね装置(F、F1、F2)とを備える予荷重装置(10、100)であって、
少なくとも1つのばね装置(F1、F2)は、それぞれ、少なくとも1つの蛇行部(M1、M2)を含んでおり、各蛇行部(M1、M2)は、2つの横断部(50、70;150、170;250、270)を有しており、個別のばね装置の基準線または前記ばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)から見て、前記2つの横断部の距離は、互いから部分的に増加し、前記2つの横断部は、前記基準線または前記ばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)からより大きい距離にあるブリッジ部によって互いに接続されており、
前記第1の端部(11、111)または前記第2の端部(12、112)、または前記第1の端部(11、111)および前記第2の端部(12、112)の両方が、前記ばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)に対して横断方向に向けられる横力の影響を除去するための分離装置(30、130)を備えており、
分離装置(30、130)は、
(U)前記分離装置が、第1の回転軸を有する第1のピボットベアリング(131)と、第2の回転軸を有する第2のピボットベアリング(132)とを有し、前記第1の回転軸および前記第2の回転軸は、互いに対して横方向に延びており、
(V)前記分離装置(30、130)が、少なくとも1つの撓みヒンジまたは構造ヒンジを含んでいる、という特徴群(U)、(V)のうちの1つ、または前記特徴群(U)、(V)の両方を形成している、予荷重装置(10、100)。
【請求項15】
前記少なくとも1つのばね装置(F、F1、F2)は、少なくとも2つの蛇行部(M1、M2)から形成され、前記蛇行部(M1、M2)の各々は、
(B1)第1の横断部(50、150、250)と、
(B2)ブリッジ部(60、160、260)と、
(B3)第2の横断部(70、170、270)と、を有する蛇行ループの形状を形成しており、
前記ブリッジ部(60、160、260)は、前記第1の横断部(50、150、250)を前記第2の横断部(70、170、270)に接続し、垂直平面(VE)は、前記ブリッジ部(60、160、260)と少なくとも部分的に交差しており、
前記第1の横断部(50、150、250)は、前記第1の端部(11、111)に向かって少なくとも部分的に配向された少なくとも1つの第1の表面部(51)と、前記第1の表面部(41)とは反対側に配向された第2の表面部(52)とを有する第1の外面部(S50)を有しており、前記第1の表面部(51)と前記垂直平面(VE)との交差から生じる輪郭線と、個別のばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)との間の、前記第1の端部(11、111)の側端に開く第2の角度(α)は、少なくとも部分的に90度未満であり、
前記第2の横断部(70、170、270)は、前記第2の端部(12、112)に向かって少なくとも部分的に配向された少なくとも1つの第1の表面部(71)と、前記第1の表面部(71)とは反対側に配向された第2の表面部(72)とを有する第2の外面部(S70)を有しており、前記第1の表面部(71)と前記垂直平面(VE)との交点から生じる輪郭線と、個別のばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)との間の、前記第2の端部(12、112)の側に開く第2の角度(γ)は、少なくとも部分的に90度未満であり、
第2の蛇行部(M1、M2)の前記第1の横断部(50、150、250)は、第1の蛇行部(M1、M2)の前記第2の横断部(70、170、270)に接続されており、
前記ばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)に沿って前後に配置された前記蛇行部(M1、M2)の前記ブリッジ部(60、160、260)は、前記ばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)に対して異なる側に周期的かつ交互に配置されている、請求項14に記載の予荷重装置(10、100)。
【請求項16】
駆動装置(1)であって、
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の予荷重装置(10、200、300)と、
前記第1の端部(11、111)と前記第2の端部(12、112)との間に配置され、作動時に前記ばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)に沿って拡張または収縮するアクチュエータ(5)と、を備える駆動装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予荷重装置(Vorspann-Vorrichtung:preloading device)及び予荷重装置を備えた駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
予荷重装置は、特許文献1、特許文献2、および特許文献3により既知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10389276号明細書
【特許文献2】米国特許第5543670号明細書
【特許文献3】国際公開第2015/113998号
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、既知の予荷重装置および駆動装置の代替として設計された予荷重装置または駆動装置を提供することであり、この予荷重装置または駆動装置は、精度に関して、ならびに製造および組立に関して有利であり、特に高い予荷重力を達成することができる。
【0005】
この目的は、独立請求項の特徴によって達成される。さらなる実施形態は、それらの独立請求項を引用する従属請求項に記載されている。
本発明によれば、予荷重装置は、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部と第2の端部とをばね装置基準軸RAに沿って接続する少なくとも1つのばね装置とを備える。予荷重装置の少なくとも1つのばね装置、もしくは少なくとも1つのばね装置のうちのいくつかまたは各々は、少なくとも1つの蛇行部またはループ状部から形成され、これらの変形形態では、少なくとも1つの蛇行部またはループ状部は、ばね装置基準軸に沿ってまたは平行に延びる。一連のいくつかの蛇行部またはループ状部において、蛇行部は、ばね装置基準軸RAに整列され、互いに最も近くに、または隣接して配置された蛇行部またはループ状部は、互いに直接接続されるか、または中間部を介して互いに接続され得る。
【0006】
本明細書に記載の予荷重装置または駆動装置の他の全ての特徴を有する本発明による実施形態の各々において、蛇行部またはループ状部は、特に、2つの横断部を備え、個別のばね装置の基準線またはばね装置基準軸RAから見て、その互いの距離は、少なくとも部分的に増加し、かつ2つの横断部は、距離増加部を形成し、2つの横断部は、ブリッジまたは接続部に互いに接続され、ブリッジまたは接続部は、距離増加部に接続され、従って、基準線またはばね装置基準軸からより大きい距離に配置されている。従って、蛇行部またはループ状部は、特に、基準線またはばね装置基準軸RAに対して同じ側に延在する。
【0007】
本発明による全ての実施形態において、特に、同じ蛇行部の横断部間および/または異なる隣接する蛇行部の横断部間において、個別のばね装置の移動範囲の少なくとも一部または移動範囲全体において、基準線またはばね装置基準軸の方向に自由移動空間が存在している。その結果、個別のばね装置は、対応する外力が個別のばね装置がその間に延在する個別の端部に加えられた場合に、基準線またはばね装置基準軸の方向に収縮または拡張することができる。
【0008】
2つの端部の間にそれぞれ1つのばね装置または複数のばね装置を含み、それぞれが複数の蛇行部またはループ状部を有する本発明の各実施形態において、基準線またはばね装置基準軸に沿って互いに続く少なくとも2つの蛇行部が、基準線またはばね装置基準軸から互いに反対方向に延在するか、または基準線またはばね装置基準軸に対して互いに反対側に位置している。
【0009】
本明細書に記載の予荷重装置または駆動装置の他の全ての特徴と組み合わせて、1つまたは複数の蛇行部を有する本発明による予荷重装置の実施形態において、少なくとも1つの蛇行部が、その経路内に蛇行中心線を含み、かつ
(A1)第1の横断部開始点から第1の横断部終了点まで延びる第1の横断部であって、ここで、第1の横断部開始点が蛇行部開始点と同一であるか、または第1の横断部開始点が開始部によって蛇行部開始点から距離を置いて配置されており、ここで、第1の横断部における蛇行部中心線の経路が、蛇行部中心線上の線点が第1の横断部開始点から第1の横断部終了点まで移動するとき、移動した線点のばね装置基準軸RAへの垂直投影から得られる点が第1の端部に近づくように定義されている、第1の横断部と、
(A2)第1の横断部終了点から第2の端部の方向に延在するブリッジ部と、
(A3)ブリッジ部終了点から、蛇行部終了点と同一であるか、または終了部によって蛇行部終了点から距離を置いて位置する第2の横断部終了点まで延びる第2の横断部であって、ここで、第2の横断部における蛇行中心線の経路が、蛇行中心線上の線点がブリッジ部終了点から第2の横断部終了点まで移動するとき、移動した線点のばね装置基準軸RAへの垂直投影から得られる点が第1の端部に近づくように定義されている、第2の横断部とからなる部分(A1)、(A2)、(A3)から形成される。
【0010】
定義(A1)による第1の横断部に関して、蛇行中心線上で移動する蛇行中心線の線点は、第1の横断部における蛇行中心線の経路を定義するための仮想点である。特に、第1の横断部における蛇行中心線の経路は、仮想の線点が蛇行中心線上を第1の横断部開始点から第1の横断部終了点まで移動するとき、ばね装置基準軸RAに垂直な蛇行中心線上を移動した線点の投影から得られる投影点が、第2の端部から第1の端部に向かう方向に移動し、かつ同時にばね装置基準軸RAに沿って移動するように定義され得る。
【0011】
定義(A2)による第1の横断部に関して、蛇行中心線上で移動する蛇行中心線の線点は、第2の横断部における蛇行中心線の経路を定義するための仮想点である。特に、第2の横断部における蛇行中心線の経路は、仮想の線点が蛇行中心線上をブリッジ部終了点から第2の横断部終了点まで移動するとき、ばね装置基準軸RAに垂直な蛇行中心線上を移動した線点の投影から得られる投影点が、第2の端部から第1の端部に向かう方向に移動し、同時にばね装置基準軸RAに沿って移動するように定義され得る。
【0012】
線形予荷重は、本発明による予荷重装置によって実現される。
少なくとも1つのばね装置の幾何的形状または設計により、端部間に配置された部品、特にアクチュエータ、好ましくは圧電アクチュエータの強い予荷重、即ち、比較的大きな予張力の生成を実現することができる。端部の間に配置される部品は、端部に直接、または少なくとも中間部品を介して装着され得る。
【0013】
本発明による予荷重装置は、特に、本発明による予荷重装置を用いて比較的大きい結果としてのノッチ半径を実現することができるため、可撓性領域もしくは変形領域内で少なくとも1つのばね装置において発生する機械的応力、または少なくとも1つのばね装置の材料における機械的応力が、達成可能な伸びまたは達成可能な予荷重力に対して比較的小さく、その結果、少なくとも1つのばね装置における応力ピークの低減または制限を達成することができるという利点を有する。これらの効果は、ばね装置の目標とする形状によって柔軟に調整することもできる。
【0014】
本明細書に別途記載された他の全ての特徴及び任意選択的に代替的な特徴を有する、本発明による予荷重装置の各実施形態において、ばね装置基準軸RAは、ばね装置の中心線であるように、またはばね装置の中心線に対して平行に延びる。
【0015】
本明細書に別途記載された他の全ての特徴及び任意選択的に代替的な特徴を有する、本発明による予荷重装置の各実施形態において、少なくとも1つの蛇行部の蛇行中心線の区間は、第1の横断部終了点とブリッジ部終了点との間に、
(C1)直進経路と、
(C2)ばね装置基準軸RAから見て、凹状に湾曲した均一な曲率を有する円弧状曲線とからなる形態のうちの1つを有する。
【0016】
本明細書に記載された他の全ての特徴および必要に応じて選択的に代替的な特徴を有する本発明による予荷重装置の各実施形態において、少なくとも1つの蛇行部は、第1の横断部開始点と横断部終了点との間の蛇行中心線の区間が円弧線であるように形成され、円弧の中心は、
(R1)第1の横断部開始点における蛇行中心線の接線に対する垂線であって、ここで、蛇行中心線は第1の横断部に配置されている、垂線と、
(R2)第2の蛇行終了点における第2の横断部における蛇行中心線の接線に対する垂線であって、蛇行中心線は第2の横断部に配置されている、垂線とからなる2つの線の交点によって定義される。
【0017】
2つの垂線の間に延在する開き角度φは、180度よりも大きい。
加えて、2つの垂線(SP1、SP6)の間に延在する開き角度(φ)は、330度未満である。
【0018】
この点に関して、具体的には、第1の蛇行部(M1)の経路にわたる2つの垂線(SP1、SP6)の間の開き角度が180.5度よりも大きい。この点に関して、第1の蛇行部(M1)の経路にわたる2つの垂線(SP1、SP6)の間の開き角度は、350度未満、具体的には330度未満である。
【0019】
本明細書に記載された他の全ての特徴及び任意選択的に代替的な特徴を有する、本発明による予荷重装置の各実施形態において、ばね装置は2つ以上の蛇行部を備える。少なくとも1つの蛇行部は、部分(A1)、(A2)、(A3)を含み、ばね装置基準軸RAに沿って前後に配置された蛇行部のブリッジ部は、ばね装置基準軸RAに対して異なる側に周期的かつ交互に配置されている。少なくとも2つの蛇行部を有する本発明による予荷重装置の各実施形態において、特に、ばね装置基準軸RAに沿って前後に配置された蛇行部のブリッジ部が、ばね装置基準軸RAに対して異なる側に周期的に交互に配置されている。
【0020】
特に、本発明による予荷重装置のこれらの実施形態において、ばね装置基準軸RAがばね装置の中心線である。
特に、本明細書に記載された他の全ての特徴および適用可能であれば任意選択的な代替的特徴を有する、本明細書に係る予荷重装置のこれらの実施形態において、ばね装置は、少なくとも1つの第1の蛇行部および少なくとも1つのさらなる蛇行部を備え、これらは、ばね装置基準軸RAに沿って前後に配置され、この場合、互いに直接隣接するか、または中間部もしくは中間部品を介して互いに接続され得る。本明細書に別途記載される他の全ての特徴を有する、本発明による予荷重装置のこれらの実施形態において、予荷重装置は、
第1の蛇行部が、本明細書に記載の部分(A1)、(A2)、(A3)から形成されており、
さらなる蛇行部もまた、本明細書に記載の部分(A1)、(A2)、(A3)から形成されており、
さらなる蛇行部が、定義(A1)による第1の蛇行部の第2の横断部に続く第1の横断部を有しており、
さらなる蛇行部が、さらなる蛇行部の第1の横断部に続く、定義(A2)によるブリッジ部を有しており、
さらなる蛇行部(M2)が、さらなる蛇行部のブリッジ部に続く、定義(A3)による第2の横断部を有しており、
第1の蛇行部のブリッジ部およびさらなる蛇行部のブリッジ部は、ばね装置基準軸RAに対して互いに異なる側に配置されている。
【0021】
特に、さらなる蛇行部(M2)は、さらなる蛇行部(M2)の第1の横断部に隣接する、本明細書に記載された定義(A2)によるブリッジ部を備え得る。特に、さらなる蛇行部(M2)は、さらなる蛇行部のブリッジ部に隣接する、本明細書に記載された定義(A3)による第2の横断部を備える。特に、第1の蛇行部の第2の横断部およびさらなる蛇行部の第2の横断部は、それらの個別のブリッジ部終了点からそれらの個別の第2の横断部終了点の方向に延在するか、またはばね装置基準軸RAに対して互いに反対方向に延在する。
【0022】
本発明による予荷重装置の各実施形態において、少なくとも1つの蛇行部の少なくとも1つの蛇行部の厚さは、第1の横断部開始点と第2の蛇行終了点との間の領域において、蛇行中心線の経路に沿って連続的に増加し、最大厚さに達した後に減少しており、最大厚さは、ブリッジ部の中間領域で生じる。特に、厚さは、曲率半径がブリッジ部における蛇行中心線上にある平面または中心平面に対して横断方向または垂直方向に形成される。
【0023】
本明細書に別途記載される予荷重装置の他の特徴のうちの1つまたは複数を有する、本発明による蛇行部を有する予荷重装置の各実施形態において、予荷重装置の蛇行部が、開始部または終了部(90)、もしくは開始部および終了部の両方を含む。
【0024】
本明細書に別途記載される予荷重装置の他の特徴のうちの1つまたは複数を有する、本発明による複数の蛇行部を有する予荷重装置の各実施形態において、予荷重装置の複数の蛇行部のうちの少なくとも1つが、開始部または終了部、もしくは開始部および終了部の両方を含む。
【0025】
本発明による少なくとも1つの開始部を有する予荷重装置の各実施形態において、少なくとも1つの開始部の蛇行中心線が直線状に延びる。
本発明による少なくとも1つの終了部を有する予荷重装置の各実施形態において、少なくとも1つの終了部の蛇行中心線が直線状に延びる。
【0026】
本明細書に別途記載される予荷重装置の他の特徴のうちの1つまたは複数を有する、本発明による少なくとも2つの隣接する蛇行部を有する予荷重装置の各実施形態において、蛇行部のうちの1つが終了部を含んでおり、隣接する蛇行部が開始部を含んでおり、開始部が終了部に直接接続されている。この場合、特に、終了部分に直接隣接する開始部が、終了部に対して点対称に配置されている。
【0027】
少なくとも2つの連続する蛇行部を有するこれらの実施形態において、ばね装置基準軸RAは、終了部と、終了部に直接隣接する開始部とが互いに交わる共通点を通って延びる。
【0028】
本発明による予荷重装置の各実施形態において、予荷重装置は、第1の端部と第2の端部とを第1のばね装置基準軸RA1に沿って接続する第1のばね装置と、第1の端部と第2の端部とを第2のばね装置基準軸RA2に沿って接続する第2のばね装置とを備え、各ばね装置は、蛇行中心線を有し、かつ部分(A1)、(A2)、(A3)から形成される少なくとも1つの蛇行部から形成される。
【0029】
本発明のさらなる態様によれば、本発明による予荷重装置は、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部と第2の端部とをばね装置基準軸に沿って接続する少なくとも1つのばね装置とを備えることができる。
【0030】
この場合、本発明による他の全ての特徴を有する本発明による予荷重装置の実施形態は、少なくとも1つの蛇行部(M1、M2)を有する少なくとも1つのばね装置(F1、F2)を備えることができ、蛇行部(M1、M2)はそれぞれ、2つの横断部(50、70;150、170;250、270)を有し、横断部は、個別のばね装置の基準線またはばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)から見て、互いからの距離が部分的に増加し、横断部は、基準線またはばね装置基準軸(RA、RA1)からより大きい距離にあるブリッジ部により互いに接続されており、
第1の端部(11、111)または第2の端部(12、112)、または第1の端部(11、111)および第2の端部(12、112)の両方が、ばね装置基準軸(RA、RA1、RA2)に対して横断方向に向けられる横力の影響を除去するための分離装置(Entkopplungsvorrichtung:decoupling device)(30、130)を備えており、
分離装置(30、130)は、
(U)分離装置が、第1の回転軸を有する第1の回転ベアリング(131)と、第2の回転軸を有する第2の回転ベアリング(132)とを有し、第1の回転軸および第2の回転軸は、互いに横方向に延びており、
(V)分離装置(30、130)が、少なくとも1つの撓みヒンジまたは構造ヒンジを含んでいるという特徴群(U)、(V)のうちの1つ、または特徴群(U)、(V)の両方を形成している。
【0031】
さらに、本発明による他の全ての特徴を有する本発明による予荷重装置の実施形態は、少なくとも1つのばね装置(F1、F2)を備えることができ、ばね装置(F1、F2)はそれぞれ、全体的に細長い形状を有する少なくとも1つの蛇行部(M1、M2)を有し、少なくとも1つの蛇行部(M1、M2)は、
(B1)第1の横断部と、
(B2)ブリッジ部と、
(B3)第2の横断部と、を有する蛇行ループの形状を有しており、
ブリッジ部は、第1の横断部を第2の横断部に接続する。垂直平面VEは、個別のばね装置基準軸がこの平面内に位置し、かつブリッジ部と少なくとも部分的に交差するように定義され得る。
【0032】
この場合、第1の横断部は、第1の端部に向かって少なくとも部分的に配向された少なくとも1つの第1の表面部と、第1の表面部とは反対側に配向された第2の表面部とを有する第1の外面部を備えており、第1の表面部と鉛直平面VEとの交点から生じる輪郭線と、個別のばね装置基準軸との間の、第1の端部の側端に開く隣接角度αは、少なくとも部分的に90度未満であり、
第2の横断部は、第2の端部に向かって少なくとも部分的に配向された少なくとも1つの第1の表面部と、第1の表面部とは反対側に配向された第2の表面部とを有する第2の外面部を備えており、第1の表面部と鉛直平面(VE)との交点から生じる輪郭線と、個別のばね装置基準軸との間の、第2の端部の側に開く隣接角度γは、少なくとも部分的に90度未満である。
【0033】
本発明による予荷重装置のこの実施形態は、本明細書に別途記載されている他の全ての特徴および任意選択で代替的な特徴とともに実現することができる。
予荷重装置のこれらの実施形態において、ばね装置は、少なくとも2つの蛇行部を備え、蛇行部の各々は、部分(B1)、(B2)、(B3)を備えており、
第1の蛇行部の第2の横断部の後に、第2の蛇行部の第1の横断部が続いており、
ばね装置基準軸RA、RA1、RA2に沿って前後に配置された蛇行部のブリッジ部は、異なるRA、RA1、RA2上に周期的に交互に配置される。
【0034】
本明細書に別途記載される予荷重装置の他の特徴のうちの1つまたは複数を有する、本発明による予荷重装置の各実施形態において、予荷重装置は、少なくとも2つの蛇行部をそれぞれ有する第1のばね装置および第2のばね装置を備えており、ばね装置の各々の蛇行部の各々は、部分(A1)、(A2)、(A3)により形成されており、個別のばね装置基準軸に沿って前後に配置された同じばね装置の蛇行部のブリッジ部は、個別のばね装置基準軸に対して異なる側に周期的に交互に配置される。
【0035】
第1のばね装置および第2のばね装置を有する本発明による予荷重装置の各実施形態において、第1のばね装置および第2のばね装置が、ばね装置基準軸RAに対して平行に延びるばね装置の対称軸に対して互いに軸対称に配置されている。本発明による予荷重装置のこれらの実施形態において、特に、第1のばね装置の第1のばね装置基準軸RA1および第2のばね装置の第2のばね装置基準軸RA1が、ばね装置の対称軸に対して軸対称に配置される。本発明による予荷重装置のこれらの実施形態において、第1のばね装置の第1のばね装置基準軸RA1と第2のばね装置の第2のばね装置基準軸RA1とが互いに平行に延びる。本発明による予荷重装置のこれらの実施形態において、第1のばね装置の外側輪郭および第2のばね装置の外側輪郭が互いに本質的に同一である。
【0036】
本明細書に別途記載された予荷重装置の他の特徴のうちの1つ以上を有する、本発明による予荷重装置の各実施形態において、第1の端部または第2の端部または第1の端部および第2の端部の両方が、ばね装置基準軸RAに対して横断方向に向けられる横力の影響を除去するための分離装置を備える。横力は、特に、第1の端部または第2の端部、または第1の端部および第2の端部の両方に作用する横力であり得る。特に、分離装置は、個別の端部における2つの部分または部分ピースの間に位置して、これらの部分または部分ピースの間の横断方向の力を除去することができる。これらの部分は、個別のばね装置基準軸に沿って前後に配置されている。しかしながら、ユニバーサルジョイント装置を実現するために、部分または部分ピースが互いに重なり合うように、即ち、互いの上に、または上下に配置されることも想定される。
【0037】
少なくとも1つの分離装置は、横断方向の力、即ち、ばね装置基準軸RAに対して横断方向の力が、端部から少なくとも1つのばね装置に伝達されないか、または比較的小さい力のみが伝達されることを保証する。
【0038】
本発明による少なくとも1つの分離装置を有する予荷重装置の各実施形態において、分離装置が少なくとも1つのピボットベアリングまたは1つの傾斜ベアリングを備える。個別のピボットベアリングの場合、部分または部分ピースは、分離装置によって互いに回転可能に接続される。個別のピボットベアリングの場合、分離装置によって接続される部分または部分ピースは、互いに対して傾斜または旋回できるように接続される。
【0039】
本発明による少なくとも1つの分離装置を有する予荷重装置の各実施形態において、分離装置が、第1のピボット軸または傾斜軸または旋回軸を有する第1のピボットベアリングまたは傾斜ベアリングまたは旋回ベアリングと、第2のピボット軸または傾斜軸または旋回軸を有する第2のピボットベアリングまたは傾斜ベアリングまたは旋回ベアリングとを備え、第1のピボット軸または第1の傾斜軸または第1の旋回軸と、第2のピボット軸または第2の傾斜軸または第2の旋回軸とが、互いに対して横方向に延びている。
【0040】
本発明による少なくとも1つのピボットベアリングを有する少なくとも1つの分離装置を備えた予荷重装置の各実施形態において、ピボットベアリングは、撓みピボットベアリングまたは構造ピボットベアリングとして実現されるか、または撓みピボットベアリングまたは構造ピボットベアリングを含む。
【0041】
本発明による少なくとも1つの分離装置を有する予荷重装置の各実施形態において、分離装置は、ばね装置基準軸RAに対して擬塑性材料またはせん断減粘性材料の層を備える。
【0042】
概して、本明細書に記載のばね装置の各実施形態は、ワイヤ放電加工によって製造され得る。
本発明のさらなる態様によれば、本発明による予荷重装置の一実施形態と、第1の端部と第2の端部との間に配置され、作動時にばね装置基準軸RAに沿って拡張または収縮するアクチュエータとを備える駆動装置が提供される。
【0043】
アクチュエータは、特に圧電アクチュエータ、即ち圧電材料からなるアクチュエータとすることができる。概して、異なる電気機械材料から作製されたアクチュエータも想定される。
【0044】
分離装置を備える少なくとも1つの端部を有する駆動装置の実施形態において、端部が、横断方向の力、即ちばね装置基準軸RAに対して横断方向に向けられる力をアクチュエータに伝達しないか、または比較的小さい横断方向の力のみを伝達することが実現される。これは、駆動装置が端部間に設置される場合、および端部が例えば第1の適用部品および第2の適用部品を備える適用環境に装着される場合に、横力によるアクチュエータへの好ましくない曲げ負荷の発生を防止する。この場合、第1の適用部品および第2の適用部品は、互いに対して移動することができるように、応用運動学によって結合することができる。分離装置はまた、駆動装置の動作から生じ得るアクチュエータへの横力の低減または回避を確実にする。
【0045】
「沿う」という用語は、特に、基準方向または基準軸に関して、輪郭線または表面の経路、あるいは軸またはシャフトまたはそれらの中心軸などの部品または構造部品の方向にも関連し得る、本明細書で言及される方向に関する記述に関連して意味するものであり、局所的にまたは区間において明示的または暗黙的に指定された視線方向における、個別の輪郭線または個別の表面または方向に対する経路または接線の区間が、個別の方向情報が基づいている個別の基準方向または基準軸から最大45度、特に最大30度の角度で偏向していることを意味する。
【0046】
「横断方向」という用語は、特に、基準方向または基準軸に関して、輪郭線または表面の経路、あるいは軸またはシャフトまたはそれらの中心軸などの部品または構造部品の方向にも関し得る、本明細書で言及される方向に関する記述に関連して意味するものであり、局所的にまたは区間において明示的または暗黙的に指定された視線方向における、個別の輪郭線または個別の表面または方向に対する経路または接線の区間が、個別の方向情報が基づいている個別の基準方向または基準軸から45度から135度の間の角度、好ましくは67度から113度の間の角度で偏向していることを意味する。
【0047】
特に2つの表面間の「距離」という用語は、ここでは特に最短距離を意味するものと理解される。
より具体的には、特に2つの物体または2つの表面または基準点の間の「距離」は、本明細書では特に、2つの物体または表面または基準点の間の最短距離または最短間隔を意味すると理解することができ、最短距離または最短間隔は、この点に関して明示的に別段の定めがない限り、絶対値がゼロではない。
【0048】
「中心線」または「長手方向」または「基準軸」または他の基準線、特に中心軸または中心に延びる線など、少なくとも1つの構造部品または部品(特に蛇行部であり得る)の「中心線」または「長手方向」または「基準軸」または他の基準線は、本明細書では、構造部品または部品(特に蛇行部)の2つの決定または指定された基準線または決定されるか、または指定された2つの端部間の経路に沿った各点における個別の構造部品の個別の最小断面積の重心の接続線と同じ結果が得られるように定義することができる。しかしながら、本明細書における基準線の「中心線」は、当技術分野で知られている任意の他の定義に従って延在し得る。基準線が湾曲しているか、または少なくとも部分的に湾曲している場合、基準線上の点における基準方向は、一般に、局所的な長手方向として理解することができ、特に、この点に対する接線の方向を有することができる。
【0049】
しかしながら、ここで、基準軸は、湾曲した基準線および例えば中心線の直線的に定義された線または軸としても理解することができ、直線的な基準軸を決定するために、曲線および例えば中心線に対する配置が、合計においてこれらの線間の偏差の最小領域または偏差の最小領域をもたらす線を使用することができる。本明細書において、曲線から基準直線を導出する場合も同様である。
【0050】
特性または値に関する「実質的に」という用語は、本明細書では特に、特性が、特性またはその幾何学的特性もしくは値から20%、特に10%の偏差を含むことを意味するものと理解される。
【0051】
領域、特に表面に関する「配向」は、本明細書では、個別の表面に対する法線を意味するものと理解される。問題の表面が直線ではなく、例えば湾曲した表面である場合、同じ特性の直線表面に対する法線を使用して、湾曲した表面に対する相対的な位置が最小偏差の和で与えられる面法線を決定することができる。
【0052】
表面部の「延長」は、参照される表面部に沿って延び、両方の表面部間の偏差量の合計が最小であるような配置を有する平面表面部の方向を意味するものと理解される。表面部の延長の長さに関して、定義されるべき方向における同じ大きさの仮想表面部の長さを意味するものと本明細書では理解され、表面部の延長は、2つの表面部間のずれ量の合計が最小となるような、参照される表面部に対する配置を有する。
【0053】
「連続的」又は「連続的に接続された」という用語は、特に、表皮、板又は壁などの少なくとも1つの長手方向に延在する表面又は構造部品に関して、本明細書では、表面又は構造部品が途切れていないことを意味するものと理解される。
【0054】
線または縁部または表面の「連続的な経路」とは、基準方向に沿って見た表面が、基準方向に対して横断方向に延びる全幅にわたって角を含まない、即ち、微分可能な進行を有することを意味する。線または縁部または表面の「湾曲した経路」とは、基準方向に沿って見た表面が、基準方向に対して横断方向に延びる全幅にわたって角を有していないこと、即ち微分可能な経路を有することを意味する。
【0055】
ここで、「一様に湾曲した経路」とは、変曲点のない曲率を意味するものと理解される。
基準点などの点または物体の「位置」という用語は、本明細書では、表面座標/空間座標、特に基準点または物体などの点の位置の3つの空間座標を意味するものと理解される。物体の位置とは、本明細書では特に、物体の中心又は中点の位置、特に物体の重心の位置を意味するものと理解される。
【0056】
特に2つのパーツまたは部品の同一形状に関する「実質的に」という用語は、本明細書では、パーツまたは部品の最大15%の偏差、特に10%の偏差の単一の特徴またはいくつかの特徴の偏差を伴う同一性を意味するために使用される。
【0057】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して以下に説明される。本発明による実施形態の特徴または構成要素の説明は、本明細書では、本発明による関連する実施形態が、明示的に除外されない限り、別の実施形態の少なくとも1つの特徴を、この関連する実施形態の追加の特徴として、または問題のその実施形態の別の特徴を置き換える代替の特徴として、それぞれの場合に有することができるものとして理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】蛇行部を有するばね装置を有する、本発明による予荷重装置の一実施形態の側面図である。
図2】蛇行部を有するばね装置を有する、図1に係る本発明による予荷重装置の実施形態の変形形態の側面図である。
図3】2つのばね装置を備える本発明による予荷重装置のさらなる実施形態の側面図である。
図4図3の予荷重装置のさらなる実施形態のばね装置のうちの1つの部分の側面図である。
図5図3に示された本発明による予荷重装置のさらなる実施形態の斜視図である。
図6図3に示される本発明による予荷重装置のさらなる実施形態の上面図である。
図7図3に示す本発明による予荷重装置のさらなる実施形態のさらなる斜視図である。
図8図1および図3に示す実施形態と比較した、本発明による予荷重装置の別のさらなる実施形態の側面図である。
図9】2つのばね装置と、2つのばね装置の間に配置されたアクチュエータとを有する図3による予荷重装置を備える、本発明による駆動装置の一実施形態の側面図である。
図10図9に示される本発明による駆動装置の実施形態の上面図である。
図11】本発明による駆動装置の図9に示される実施形態の斜視図である。
図12】本発明による駆動装置の図9に示される実施形態の別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本発明による予荷重装置の実施形態は、図面に基づく特徴を有する変形実施形態および代替実施形態で説明される。さらなる代替実施形態が変形実施形態と異なる特徴は、本発明によれば、機能的に同一または機能的に類似の特徴の代替として、および追加の特徴として、本明細書に記載の実施形態の全てに存在することもできる。
【0060】
本発明による予荷重装置10は、第1の端部11と、第2の端部12と、少なくとも1つのばね装置Fとを備える。ばね装置Fは、第1の端部11と第2の端部12とをばね装置基準軸RAに沿って接続する。ばね装置Fは、ばね装置基準軸RAに沿ってばね行程(Federweg:spring travel)を提供する。ばね装置Fは蛇行部M1から形成されており、蛇行部M1の長手方向の経路は蛇行中心線MMによって規定されている。
【0061】
本発明によれば、本明細書で参照される第1の端部11は、図示されていない第1の適用部品に取り付けられるか、または装着されるように意図されており、本明細書で参照される第2の端部12は、図示されていない第2の適用部品に取り付けられるか、または装着されるように意図されている。本発明による予荷重装置10を使用する場合、端部11、12の間に配置され、かつ端部11、12をばね装置基準軸RAに沿って相対的に移動させるアクチュエータによって、個別のばね装置Fのばね力に抗して第1の適用部品を第2の適用部品に対して移動させることができる。本発明による予荷重装置10の代替的な適用例では、個別のばね装置Fによって第1の適用部品を第2の適用部品に対して予荷重するようにすることができる。
【0062】
第1の端部11は、ばね装置Fまたは蛇行部M1に面する第1の内面11aを備える。同様に、第2の端部12は、ばね装置Fまたは蛇行部M1に面する第2の内面12aを有する。従って、第1の内面11aおよび第2の内面12aは、互いに対向するように配向されている。従って、第1の内面11aおよび第2の内面12aは、予荷重装置10によって、特にばね装置Fによって予荷重される部品のベアリング面(lagerflaechen:bearing surface)として使用することができる。予荷重される部品は、第1の内面11aおよび第2の内面12aまたはこれらの内面のうちの一方に対して直接配置されるか、または弾性材料から形成することができる中間部品(ベアリング部品またはベアリングハウジングなど)を介して配置される。プリストレスが加えられる部品は、ばね装置Fに隣接して、ばね装置基準軸RAに沿って、またはばね装置基準軸RAに平行に配置されるのみならず、ばね装置基準軸RAに対して横断方向に配置され得る。
【0063】
このような部品は、特にアクチュエータ、具体的には圧電アクチュエータとすることができる。第1の内面11aと第2の内面12aとの間で予荷重装置10内に設置される圧電アクチュエータの機能は、個別のばね装置Fによって予荷重され、その結果、第1の端部11および第2の端部12、または第1の内面11aおよび第2の内面12aが、部品またはアクチュエータをその両側を圧縮する。
【0064】
本発明による予荷重装置10の本発明による実施形態が図1に示されている。予荷重装置10は、第1の端部11と、第2の端部12と、単一のばね装置Fとを備える。ばね装置Fは、第1の端部11と第2の端部12とをばね装置基準軸RAに沿って接続し、ばね装置基準軸RAに沿ってばね行程を提供する。長手方向軸X、垂直軸Y及び横軸Zを有する座標系が図1に示されている。予荷重装置10に対する座標系の位置は、特に、XY平面、即ちX軸およびY軸によって形成される平面が、ばね装置Fの中心平面に沿って延在するか、またはそれと同一であり、かつX軸がばね装置Fの中心線の方向にも延在するように定義され得る。
【0065】
第1の端部11は、第1の支持部13と第1の接続部21とを備えている。同様に、第2の端部12は、第2の支持部14と第2の接続部22とを備えている。第1の接続部21および第2の接続部22は、ばね装置Fが第1端E1で第1の端部11に接続されるとともに、第2端E2で第2の端部12に接続される接続装置20を形成する。
【0066】
この目的のために、第1の支持部13は、第1の端部15と、ばね装置基準軸RAに対して横断方向に第1の端部15とは反対側に位置する第2の端部17とを備える。第2の端部17は、第1の接続部21に接続されている。第1の支持部13および第1の接続部21は、一緒に、特に1つの部品として、または1つの部品から製造することができ、または互いに別個の部品として形成することができる。同様に、第2の支持部14は、第1の端部16と、ばね装置基準軸RAに対して横断方向に第1の端部16とは反対側に位置する第2の端部18とを備える。第2の端部18は、第2の接続部22に接続されている。第2の支持部14および第2の接続部22は、一緒に、特に1つの部品として、または1つの部品から製造することができ、または互いに別個の部品として形成することができる。
【0067】
第1の接続部21は、第1の端部23と、ばね装置基準軸RAに沿って第1の端部23とは反対側に位置し、かつばね装置Fの第1端E1に接続された第2の端部25とを備える。第2の端部25および第1端E1は、一緒に、特に1つの部品として、または1つの部品から製造することができ、または互いに別個の部品として形成することができる。同様に、第2の接続部22は、第1の端部24と、ばね装置基準軸RAに沿って第1の端部24とは反対側に位置し、かつばね装置Fの第2端E2に接続された第2の端部26とを備える。第2の端部26および第2端E2は、一緒に、特に1つの部品として、または1つの部品から製造することができ、または互いに別個の部品として形成することができる。
【0068】
第1の支持部13および第1の接続部21は、寸法的に安定するように共に形成されている。また、第1の接続部21およびばね装置Fの第1端E1も、寸法的に安定するように共に形成されている。同様に、第2の支持部14および第2の接続部22は、寸法的に安定するように共に形成されている。また、第2の接続部22およびばね装置Fの第2端E2も、寸法的に安定するように共に形成されている。
【0069】
ばね装置Fは、本発明による予荷重装置の各実施形態において、少なくとも1つの蛇行部Mから形成されている。少なくとも1つの蛇行部Mは、ばね装置基準軸RAに沿って部分的に、かつばね装置基準軸RAに対して横断方向に部分的に延在する。本発明において別様に記載される予荷重装置の他の特徴のうちの1つまたは複数を有する、本発明による予荷重装置の各実施形態において、本明細書において定義されるいくつかの蛇行部が、互いに直接隣接することができるか、または1つまたは個別の中間部を介して互いに接続されることができる。
【0070】
図1及び図2を参照して説明した予荷重装置10の実施形態において、ばね装置Fは、単一の蛇行部Mとして形成され、この蛇行部Mは、その経路において、蛇行中心線MMを含むとともに、
(A1)第1の横断部開始点P1から第1の横断部終了点P2まで延びる第1の横断部(Querabschnitt :transversal section)50であって、ここで、第1の横断部開始点P1が蛇行部開始点PAと同一であるか、または第1の横断部開始点P1が開始部80によって蛇行部開始点PAから距離を置いて配置されており、ここで、第1の横断部50における蛇行中心線の経路が、蛇行中心線MM上の線点が第1の横断部開始点P1から第1の横断部終了点P2まで移動するとき、移動した線点のばね装置基準軸RAへの垂直投影から得られる点が第1の端部11に近づくように定義されている、第1の横断部50と、
(A2)第1の横断部終了点P2から第2の端部12の方向にブリッジ部終了点P4まで延在するブリッジ部60または接続部と、
(A3)ブリッジ部終了点P14から、蛇行部終了点PBと同一であるか、または終了部190によって蛇行部終了点PBから距離を置いて位置する第2の横断部終了点P16まで延びる第2の横断部70であって、ここで、第2の横断部170における蛇行中心線の経路が、蛇行中心線上の線点がブリッジ部終了点P14から第2の横断部終了点P16まで移動するとき、移動した線点のばね装置基準軸RAへの垂直投影から得られる点が第1の端部11に近づくように定義されている、第2の横断部70と、からなる部分(A1)、(A2)、(A3)と、を含む。
【0071】
蛇行部開始点PAが第1の横断部開始点P1から距離を置いて位置する予荷重装置10の全ての実施形態において、特に、蛇行部開始点PAから第1の横断部開始点P1まで延びる中心線が、ばね装置基準軸RAに対して横断方向に延びる。
【0072】
これに関係なく、蛇行部終了点PBが第2の横断部終了点P6から距離を置いて位置する予荷重装置10の全ての実施形態において、特に、蛇行部終了点PBから第2の横断部終了点P6まで延びる中心線が、ばね装置基準軸RAに対して横断方向に延びる。
【0073】
特に、予荷重装置10の実施形態は、第1のばね装置F1と、第2のばね装置F2と、第1の端部11と、第2の端部12とを備えることができ、ここで、第1のばね装置F1は、第1の端部11と第2の端部12とを第1のばね装置基準軸RA1に沿って接続し、第2のばね装置F2は、第1の端部11と第2の端部12とを第2のばね装置基準軸RA2に沿って接続する。
【0074】
各ばね装置F1、F2は、蛇行部M1、M2を備え、蛇行部M1、M2はそれぞれ、2つの横断部50、70を有し、個別のばね装置の基準線またはばね装置基準軸RA、RA1、RA2から見たときの互いの距離は、部分的に増加し、2つの横断部50、70は、基準線またはばね装置基準軸RA、RA1、RA2からより大きい距離でブリッジ部によって互いに接続されている。
【0075】
本発明によるこれらの実施形態において、特に、同じ蛇行部の横断部間および/または異なる隣接する蛇行部の横断部間において、少なくとも個別のばね装置の移動範囲の実部または移動範囲全体において、基準線またはばね装置基準軸の方向に移動空間が存在する。
【0076】
図1に示す予荷重装置10の実施形態において、蛇行部Mの蛇行中心線MMは円弧線(Kreissegment-Linie:circle segment line)であり、円弧の中心点は、
(R1)第1の横断部開始点P1における第1の横断部50に位置する蛇行中心線の接線に対する垂線SP1と、
(R2)第2の蛇行終了点P6における第2の横断部70における蛇行中心線の接線に対する垂線SP6と、からなる2つの線の交点によって定義される。
【0077】
2つの垂線SP1、SP6の間に延在する開き角度は、180度よりも大きい。これは、概して180.5度又はそれ以上の値であり得る。この開き角度は、好ましくは345°未満、特に330°未満である。
【0078】
しかしながら、少なくとも1つの蛇行部Mの蛇行中心線MMが、円弧線から逸脱した幾何学的形状、特に弓形の幾何学的形状を含むことも想定される。
図2は、図1に示される予荷重装置10の実施形態の変形形態である、本発明による予荷重装置10のさらなる実施形態を示す。
【0079】
本発明による図2の予荷重装置10の実施形態は、図1を参照して説明した予荷重装置10の特徴の全ての組み合わせを含むことができる。加えて、図2の予荷重装置10は、第1の端部11および第2の端部12の両方が分離装置30を備えるという点で、図1の予荷重装置10とは異なる。分離装置30は、第1の端部11に中間層として配置された第1の分離層31として、および第2の端部12に中間層として配置された第2の分離層32として構成されている。図2の実施形態の変形形態では、予荷重装置10は、1つの分離層のみ、即ち分離層31のみ、または分離層32のみを備える。
【0080】
特に、分離装置は、個別の端部における2つの部分または部品の間に位置して、これらの部分または部品の間の横断方向の力を除去することができる。これらの部分は、個別のばね装置基準軸に沿って前後に配置されている。
【0081】
図2による本発明による予荷重装置10の実施形態において、第1の端部11は、個別のばね装置Fに面する側において第1の内面11aを形成する第1の部分または内側部分33を備える。さらに、第1の端部11は、ばね装置基準軸RAに沿って第1の部分33に隣接して位置する第2の部分または外側部分35を備え、第1の部分33と第2の部分35との間に第1の分離層31が配置されている。
【0082】
これと同様に、図2による本発明による予荷重装置10の実施形態において、第2の端部12は、個別のばね装置Fに面する側において第2の内面12aを形成する第1の部分または内側部分34を備える。さらに、第2の端部12は、ばね装置基準軸RAに沿って第1の部分34に隣接して位置する第2の部分または外側部分36を備え、第1の部分34と第2の部分36との間に第2の分離層32が配置されている。
【0083】
分離装置30は、第1の端部11および/または第2の端部12が適用装置の部品に連結されるときに、第1の端部11または第2の端部12に作用するか、または第1の端部11および第2の端部12の両方に作用する、ばね装置基準軸RAに対して横断方向に向けられた横断方向の力を低減または除去するように機能する。
【0084】
分離層31および/または分離層32は、特に、せん断減粘性材料から作製され得る。せん断減粘性材料は、個別の第1の部分33、34に作用する横断方向の力が同じ端部11、12の個別の第2の部分35、36に伝達されないように、第1の端部11または第2の端部12、または第1の端部11および第2の端部12の両方に一体化される。せん断減粘性材料は、ばね装置基準軸RAに沿って伝わる力のみを、同じ端部11、12の個別の第2の端部12から個別の第1の端部11に伝達する。
【0085】
分離装置30は、ばね装置基準軸RAに対して横断方向を向く横力の影響を除去するために、例えば、少なくとも1つのピボットベアリング、傾斜ベアリング、旋回ベアリング、撓みジョイント、または構造ジョイントとして、異なる方法で実現することもできる。
【0086】
図1および図2を参照して説明した予荷重装置10の特徴は、予荷重装置の他の実施形態の本明細書で別途説明した他の特徴のうちの1つまたは複数と組み合わせることができる。
【0087】
以下では、本発明による予荷重装置のさらなる実施形態が、参照符号「100」が割り当てられた図3図7を参照して説明される。同じ機能を有する特徴には、同じ参照符号が部分的に割り当てられる。これらの実施形態は、第1の端部111と、第2の端部112と、第1のばね装置F1と、図1では示されていない第2のばね装置F2とを備える。第1のばね装置基準軸RA1が規定される第1のばね装置F1と、第2のばね装置基準軸RA2が規定される第2のばね装置F2とは、ばね装置基準軸RA1、RA2に沿って延びるばね装置対称軸Sに関して、互いに軸対称に配置され得る。特に、ばね装置基準軸RA1、RA2は、ばね装置対称軸Sに対して対称に、かつ特に平行に延びる。第1のばね装置F1および第2のばね装置F2は、特に、それらのばね装置基準軸RA1、RA2に対して横断方向に、かつばね装置対称軸Sに対して横断方向に、ゼロに等しくない距離で配置され得る。
【0088】
予荷重装置100の第1の端部111は、第1の支持部113と、ばね装置基準軸RA1、RA2に対して横断方向にゼロに等しくない距離で配置された2つの第1の接続部121a、121bとを備える。同様に、予荷重装置100の第2の端部112は、第2の支持部114と、ばね装置基準軸RA1、RA2に対して横断方向にゼロに等しくない距離で配置された2つの第2の接続部122a、122bとを備える。第1のばね装置F1の第1端E11および第2のばね装置F2の第1端E12は、それぞれ第1の接続部121a、121bに接続されている。第1のばね装置F1の第2端E21および第2のばね装置F2の第2端E22は、それぞれ第2の接続部122a、122bに接続されている。従って、第2の接続部122a、122bは、接続デバイス120を形成し、この接続デバイス120によって、ばね装置F1、F2は、第1端E11、E12で第1の端部111に接続され、第2端E21、E22で第2の端部112に接続される。
【0089】
この目的のために、第1の支持部113は、2つの第1の端部115a、115bと、2つの第2の端部117a、117bとを備える。第1の端部115a、115bは、ばね装置基準軸RA1、RA2間の間隔の方向に互いに離れて位置している。また、2つの第2の端部117a,117bは、ばね装置基準軸RA1,RA2間の間隔の方向に互いに離れて位置している。この場合、第1の端部115a、115bのうちの1つは、上述の間隔とばね装置基準軸RA1、RA2のうちの1つとによって形成される平面に対して横断方向に延びる方向において、第2の端部117a、117bとは反対側に位置している。第2の端部117a,117bは、第1の接続部121a,121bにそれぞれ接続されている。第1の支持部113および第1の接続部121a、121bは、一緒に、特に1つの部品として、または1つの部品から製造することができ、または互いに別個の部品として形成することができる。
【0090】
同様に、第2の支持部114は、2つの第1の端部116a、116bと、2つの第2の端部118a、118bとを備える。第1の端部116a、116bは、ばね装置基準軸RA1、RA2間の間隔の方向に互いに離れて位置している。また、2つの第2の端部118a,118bは、ばね装置基準軸RA1,RA2間の間隔の方向に互いに離れて位置している。この場合、第1の端部116a、116bの各々は、上述の間隔とばね装置基準軸RA1、RA2のうちの1つとによって形成される平面に対して横断方向に延びる方向において、第2の端部118a、118bとは反対側に位置している。第2の端部118a,118bは、第2の接続部122a,122bにそれぞれ接続されている。第2の支持部114および第2の接続部122a、122bは、一緒に、特に1つの部品として、または1つの部品から製造することができ、または互いに別個の部品として形成することができる。
【0091】
第1の接続部121a、121bの各々は、第1の端部123aまたは123bと、第2の端部125aまたは125bとを備え、第2の端部125aまたは125bは、個別の第1の端部123a、123bとは反対側に位置し、かつ個別のばね装置F1またはF2に第1端E11、E12で接続されている。第2の端部125a、125bおよび個別の第1端E11またはE12は、一緒に、特に1つの部品として、または1つの部品から製造することができ、または互いに別個の部品として形成することができる。
【0092】
同様に、第2の接続部122a、122bはそれぞれ、第1の端部124aまたは124bと、第2の端部126aまたは126bとを備え、第2の端部126aまたは126bは、個別の第1の端部124a、124bとは反対側に位置し、かつ個別のばね装置F1またはF2に第2端E21、E22で接続されている。いずれの場合も、第2の端部126a、126bおよび個別の第2端E21またはE22は、一緒に、特に1つの部品として、もしくは1つの部品から製造することができ、または互いに別個の部品として形成することができる。
【0093】
第1の支持部113および第1の接続部121a、121bは、本質的に安定するように共に形成される。第1の接続部121a、121bおよびばね装置F1またはF2の個別の第1端E11、E12も、本質的に安定するように共に形成される。同様に、第2の支持部114および第2の接続部122a、122bは、本質的に安定するように共に形成される。第2の接続部122、122bおよびばね装置F1またはF2の個別の第2端E21、E22も、本質的に安定するように共に形成される。
【0094】
各ばね装置F1,F2は、3つの第1の蛇行部M1と、3つの第2の蛇行部M2とを備える。第1の蛇行部M1と第2のまたはさらなる蛇行部M2とは、互いに反対方向に延在している。蛇行中心線MMは、その経路においてこれらの各々に対して定義され得る。さらに、第1の蛇行部M1および第2のまたはさらなる蛇行部M2は、ばね装置基準軸RA1またはRA2に沿って延在する。
【0095】
概して、各ばね装置F1、F2は、蛇行部M1、M2またはいくつかの蛇行部M1、M2を備えることができる。ばね装置F1,F2が複数の蛇行部M1,M2を備える場合、第1の蛇行部M1および第2の蛇行部M2またはその逆は、個別のばね装置基準軸RA1またはRA2に沿って前後に配置される。
【0096】
各ばね装置F1,F2の蛇行部は幅bを有し、幅bは、個別のばね装置基準軸RA1またはRA2に沿って一定であり得るか、または変化し得る。
少なくとも1つの第1の蛇行部M1および少なくとも1つの第2の蛇行部M2はそれぞれ、部分(A1)、(A2)、(A3)を含み、これらは図1を参照して定義される。第1の蛇行部M1および第2の蛇行部M2の説明のために、同じ機能の特徴について第1のばね装置F1および第2のばね装置F2に関して同じ参照符号が使用される。
【0097】
第1の蛇行部M1は、
(A1)第1の横断部開始点P11から第1の横断部終了点P12まで延びる第1の横断部150であって、ここで、第1の横断部開始点P11が蛇行部開始点PA1と同一であるか、または第1の横断部開始点P11が開始部180によって蛇行部開始点PA1から距離を置いて配置されており、ここで、第1の横断部150における蛇行中心線の経路が、蛇行中心線MM上の線点が第1の横断部開始点P11から第1の横断部終了点P12まで移動するとき、移動した線点のばね装置基準軸RA1への垂直投影から得られる点が第1の端部111に近づくように定義されている、第1の横断部150と、
(A2)第1の横断部終了点P12から第2の端部112の方向にブリッジ部終了点P14まで延在するブリッジ部160と、
(A3)ブリッジ部終了点P14から、蛇行部終了点PB1と同一であるか、または終了部190によって蛇行部終了点PB1から距離を置いて位置する第2の横断部終了点P16まで延びる第2の横断部170であって、ここで、第2の横断部170における蛇行中心線の経路が、蛇行中心線上の線点がブリッジ部終了点P14から第2の横断部終了点P16まで移動するとき、移動した線点のばね装置基準軸RA1への垂直投影から得られる点が第1の端部11に近づくように定義されている、第2の横断部170と、を示す。
【0098】
図3図7に示される予荷重装置100の実施形態の第1の蛇行部M1において、蛇行部Mの蛇行中心線MMは円弧線であり、円弧の中心点は、
(R1)第1の横断部開始点P11における蛇行中心線に接する接線に対する垂線SP11であって、ここで、蛇行中心線は、第1の横断部150に配置されている、垂線SP11と、
(R2)第2の蛇行終了点P16に位置する蛇行中心線に接する接線に対する垂線SP16であって、ここで、蛇行中心線は、第2の横断部170に配置されている、垂線SP16と、からなる2つの線の交点によって定義される。
【0099】
第2の蛇行部M2は、
(A1)第1の横断部開始点P21から第1の横断部終了点P22まで延びる第1の横断部250であって、ここで、第1の横断部開始点P21が蛇行部開始点PA2と同一であるか、または第1の横断部開始点P21が開始部280によって蛇行部開始点PA2から距離を置いて配置されており、ここで、第1の横断部250における蛇行中心線の経路が、蛇行部中心線MM上の線点が第1の横断部開始点P21から第1の横断部終了点P22まで移動するとき、移動した線点のばね装置基準軸RA2への垂直投影から得られる点が第1の端部111に近づくように定義されている、第1の横断部250と、
(A2)第1の横断部終了点P22から第2の端部112の方向にブリッジ部終了点P24まで延在するブリッジ部260と、
(A3)ブリッジ部終了点P24から、蛇行部終了点PB2と同一であるか、または終了部290によって蛇行部終了点PB2から距離を置いて位置する第2の横断部終了点P26まで延びる第2の横断部270であって、ここで、第2の横断部270における蛇行中心線の経路が、蛇行中心線上の線点がブリッジ部終了点P24から第2の横断部終了点P26まで移動するとき、移動した線点のばね装置基準軸RA2への垂直投影から得られる点が第1の端部111に近づくように定義されている、第2の横断部270と、を備える。
【0100】
図3図7に示す予荷重装置100の実施形態の第2の蛇行部M2において、蛇行部Mの蛇行中心線MMは円弧線であり、円弧の中心点は、
(R1)第1の横断部開始点P21における蛇行中心線の接線に対する垂線SP21であって、ここで、蛇行中心線は、第1の横断部250に配置されている、垂線SP21と、
(R2)第2の蛇行終了点P26において蛇行中心線の接線に対する垂線SP26であって、ここで、蛇行中心線は、第2の横断部270にある、垂線SP26と、からなる2つの線の交点によって定義される。
【0101】
図3図7に示す予荷重装置100の実施形態において、第2の蛇行部M2は、定義(A1)による第1の横断部250が各第1の蛇行部M1の第2の横断部170に隣接している。
【0102】
本発明による予荷重装置、特に、本明細書に記載の予荷重装置10または100のうちの1つ、即ち、第1の端部11または111と、第2の端部12または112と、ばね装置基準軸RAまたはRA1またはRA2に沿って第1の端部11または111と第2の端部12または112とをそれぞれ接続する少なくとも1つのばね装置FまたはF1またはF2とを有する予荷重装置は、概して、少なくとも1つのばね装置FまたはF1またはF2によって形成される。本発明による予荷重装置は、本明細書に別途記載された予荷重装置の特徴とは独立して、少なくとも1つの蛇行部MまたはM1またはM2を有する少なくとも1つのばね装置F、F1、F2を備え、全体的に細長い形状を有するとともに、蛇行ループの形状を形成する蛇行部MまたはM1またはM2は、
(B1)第1の横断部50または150または250を有し、
(B2)ブリッジ部60又は160又は260を有し、
(B3)第2の横断部70または170または270を有している。
【0103】
蛇行部MまたはM1またはM2は、概して細長い形状を有する。第1の横断部50または150または250および第2の横断部70または170または270は共に、蛇行ループの形態の蛇行部MまたはM1またはM2を形成する。
【0104】
特に、第1の横断部50または150または250は、個別のばね装置基準軸RAまたはRA1またはRA2に対して横断方向に第1の横断部の端部領域まで少なくとも部分的に延在し、第2の横断部70または170または270は、個別のばね装置基準軸RAまたはRA1またはRA2に対して横断方向に第2の横断部の端部領域まで少なくとも部分的に延在する。
【0105】
ブリッジ部60または160または260は、第1の横断部50または150または250と第2の横断部70または70または270とを接続する。特に、ブリッジ部60または160または260の第1端が第1の横断部の端部領域に接続され、ブリッジ部60または160または260の第2端が第2の横断部の端部領域に接続される。個別のブリッジ部60または160または260は、個別のばね装置基準軸RAまたはRA1またはRA2の横に位置するように配置され得る。
【0106】
これに関連して、予荷重装置に対して、個別のばね装置基準軸RAまたはRA1またはRA2が位置し、かつ個別のブリッジ部60または160または260と交差する垂直平面VEが定義される。特に、個別の垂直平面VEは、個別のばね装置基準軸RAまたはRA1またはRA2に沿ったその長手方向の経路において同じ中心で交差する。この目的のために、具体的には、個別の垂直平面VEが、個別のばね装置基準軸RAまたはRA1またはRA2に沿ったその長手方向の経路において、個別のブリッジ部60または160または260と、本質的に中央で、特に中央で交差する。
【0107】
これらの変形形態の各々において、第1の横断部50または150または250は、
(T11)第1の端部11または111に向かって少なくとも部分的に配向された第1の表面部51と、
(T12)第1の表面部51とは反対側に配向され、かつ/または第2の端部12または112に向かって配向された第2の表面部53と、からなる一部分(T11)、(T12)のうちの少なくとも1つを有する第1の外面部、特に連続的に延在する外面部S50を備える。
【0108】
第1の横断部50または150または250もしくは第1の表面部51または第2の表面部52または両方の表面部51、52の上記で定義された一部分T11、T12のうちの少なくとも1つと組み合わせて、一部的な部分T11または第1の表面部51と垂直平面VEとの交差から生じる輪郭線と、個別のばね装置基準軸RAまたはRA1またはRA2との間の、第1の端部11または111の側端部に開く第2の角度αが、少なくとも部分的に90度未満である。さらに、一部的な部分T11または第2の表面部52と垂直平面VEとの交差から生じる輪郭線と、個別のばね装置基準軸RAまたはRA1またはRA2との間の、第2の端部12または112の側に開く第2の角度βが、少なくとも部分的に90度未満である。
【0109】
これと組み合わせて、しかしこれとは無関係に、第1の外面部S50は、第1の外面部S50と垂直平面VEとの交差から生じる輪郭線K51、K52が直線に延びるように設計され得る。
【0110】
第1の横断部50または150または250もしくは第1の表面部51または第2の表面部52または両方の表面部51、52の上記で定義された一部分T11、T12のうちの少なくとも1つと組み合わせて、またはこれらとは独立して、第2の横断部70または170または270が、
T21)第2の端部12または112に向かって少なくとも部分的に配向された第1の表面部71と、
(T22)第1の表面部71とは反対方向に配向され、かつ/または第2の端部12または112に向かって配向された第2の表面部72と、からなる一部分(T11)、(T12)のうちの少なくとも1つを有する第1の外面部、特に連続的に延在する外面部S50を備える。
【0111】
第2の横断部70または170または270もしくは第1の表面部71または第2の表面部72または両方の表面部71、72の上記で定義された一部分(T21)、(T22)のうちの少なくとも1つと組み合わせて、一部的な部分T21または第1の表面部71と垂直平面VEとの交差から生じる輪郭線と、個別のばね装置基準軸RAまたはRA1またはRA2との間の、第2の端部12または112の側に開く第2の角度γが、少なくとも部分的に90度未満である。さらに、一部的な部分(T22)または第2の表面部72と垂直平面VEとの交差から生じる輪郭線と、個別のばね装置基準軸RAまたはRA1またはRA2との間の、第1の端部11または111の側端部に開く第2の角度δは、少なくとも部分的に90度より大きい。
【0112】
これと組み合わせて、しかしこれとは無関係に、第2の外面部S70は、第2の外面部S70と垂直平面VEとの交差から生じる輪郭線K71、K72が直線に延びるように設計され得る。
【0113】
本発明による予荷重装置のこれらの実施形態において、一例として図3を参照して説明するように、
ばね装置F、F1、F2は、少なくとも2つの蛇行部M1、M2を備え、蛇行部M1、M2はそれぞれ、部分(B1)、(B2)、(B3)を備えており、
第1の蛇行部M1、M2の第2の横断部70、170、270の後に、第2の蛇行部M1、M2の第1の横断部50、150、250が続いており、
蛇行部M1、M2のブリッジ部60、160、260は、ばね装置基準軸RA、RA1、RA2に沿って前後に配置され、ばね装置基準軸RA、RA1、RA2に対して異なる側に周期的に交互に配置される。
【0114】
特に、個別のばね装置基準軸RA,RA1、RA2に沿って互いに連続する2つの蛇行部M1,M2は、互いに点対称に配置され得る。これにより、少なくとも1つのS字型の蛇行が形成される。
【0115】
図3図7に示す予荷重装置100の実施形態において、第1の蛇行部M1の第1の横断部150および第2の蛇行部M2の第1の横断部250は、個別の第1の横断部開始点P11またはP21からばね装置基準軸RAに対して互いに反対方向に延在している。
【0116】
図3図7に示す実施形態において、第1のばね装置F1および第2のばね装置F2は、互いに同一の方法で実現される。原理的には、第1のばね装置F1および第2のばね装置F2は、互いに異なる方法で実現され得る。
【0117】
第1の端部111は、ばね装置F1、F2に面する第1の内面111aを備える。同様に、第2の端部112は、ばね装置F1、F2に面する第2の内面112aを備える。従って、第1の内面111aおよび第2の内面112aとは、互いに対向するように配向されている。従って、第1の内面111aおよび第2の内面112aは、予荷重装置100によって、特にばね装置F1、F2によって予荷重される部品のベアリング面として使用することができる。予荷重される部品は、第1の内面111aおよび第2の内面112aまたはこれらの内面のうちの1つに対して直接配置されるか、または弾性材料から形成することができる中間部品(ベアリング部品またはベアリングハウジングなど)を介して配置される。ばね装置F1,F2の間には、予荷重されるべき部品が位置する。
【0118】
図3図7による本発明による予荷重装置100の実施形態において、予荷重装置10、100は、特に、第1のばね装置F1と、第2のばね装置F2と、第1の端部11、111と、第2の端部12、112とを備えることができ、ここで、第1のばね装置F1は、第1の端部11と第2の端部12とを第1のばね装置基準軸RA1に沿って接続し、第2のばね装置F2は、第1の端部11、111と第2の端部12、112とを第2のばね装置基準軸RA2に沿って接続する。
【0119】
各ばね装置F1、F2は、各場合において、それぞれ2つの横断部50、70;150、170;250、270を有する蛇行部M1、M2を備え、これらの横断部は、個別のばね装置の基準線またはばね装置基準軸RA、RA1、RA2から見て、互いからの距離を部分的に増加させ、基準線またはばね装置基準軸RA、RA1、RA2からの距離がより大きくなると、ブリッジ部によって互いに接続されている。
【0120】
図3図7の本発明による予荷重装置100の実施形態において、第1の端部111および第2の端部112の両方が、いずれの場合も、第1の端部111および第2の端部112に一体化された分離装置130を備える。図3図7の実施形態の変形形態では、端部の一方のみ、即ち、第1の端部111のみ、または第2の端部112のみが、分離装置130を備える。
【0121】
図3図7の予荷重装置100の実施形態は、分離装置130の各々が、第1の回転軸を有する第1のピボットベアリングと、第2の回転軸を有する第2のピボットベアリングとを備え、第1の回転軸および第2の回転軸が互いに対して横断方向に延びるように実現される。第1の端部111は、第1の回転軸を有する第1のピボットジョイント131と、第2の回転軸を有する第2のピボットジョイント133とを備え、第2の端部112は、第1の回転軸を有する第1のピボットジョイント132と、第2の回転軸を有する第2のピボットジョイント134とを備える。第1のピボットジョイント131、132および第2のピボットジョイント133、134はそれぞれ、撓みジョイントまたは構造ジョイントの形態の傾斜ベアリングまたはピボットベアリングとして実現される。
【0122】
図3図7による本発明による予荷重装置100の実施形態において、第1の端部111は、個別のばね装置Fに面する側において第1の内面111aを形成する、端部115a、117a、115b、117bを有する第1の部分または内側部分141を備える。さらに、第1の端部111は、第1の部分141に隣接して、またはそれに対して距離を置いてばね装置基準軸RAに沿って配置される第2の部分または外側部分143を備える。中間部145は、第1の部分141と第2の部分143との間に位置している。第1のピボットジョイント131は、第1の部分141と中間部145との間に形成または配置される。この結果、第1の部分141および中間部145は、互いに対して回転することができるように、特に、互いに対して傾斜または旋回することができるように支持される。第2のピボットジョイント133は、中間部145と第2の部分143との間に形成または配置される。この結果、第1の部分141および中間部145は、互いに対して回転することができるように、特に、互いに対して傾斜または旋回することができるように支持される。第1のピボットジョイント131および第2のピボットジョイント133の回転軸は、互いに垂直に延びている。
【0123】
ここで、図3図7を参照して説明する本発明による予荷重装置100の実施形態において、ピボットジョイント131、132はそれぞれソリッドステートジョイントで実現され得る。その結果、中間部145に対する第1の部分141の回転または傾斜の場合、または第2の部分143に対する中間部145の枢動または傾斜または旋回の場合、両方で復元トルクが生じる。
【0124】
用途に応じて、ピボットジョイント131またはピボットジョイント132を設けなくてもよく、その結果、中間部145が省略される。
上述したことと同様に、図3図7を参照して本明細書で説明する本発明による予荷重装置100の実施形態において、第2の端部112は、個別のばね装置Fに面する側において第2の内面112aを形成する、端部116a、118a、116b、118を有する第1の部分または内側部分142を備えることができる。さらに、第2の端部112は、ばね装置基準軸RAに沿って第1の部分142に隣接して位置するか、またはそこから距離を置いて位置する第2の部分または外側部分144を備える。中間部146は、第1の部分142と第2の部分144との間に位置している。第1のピボットジョイント132は、第1の部分142と中間部146との間に形成または配置される。この結果、第1の部分142および中間部146は、互いに対して回転することができるように、特に、互いに対して傾斜又は旋回することができるように支持される。第2のピボットジョイント134は、中間部146と第2の部分144との間に形成または配置される。この結果、第1の部分142および中間部146は、互いに対して回転することができるように、特に、互いに対して傾斜又は旋回することができるように支持される。第1のピボットジョイント132および第2のピボットジョイント134の回転軸は、互いに垂直に延びている。
【0125】
図3図7による本発明による予荷重装置100の実施形態において、ピボットジョイント133、134はそれぞれ撓みヒンジまたは構造ヒンジとして実現される。その結果、中間部146に対する第1の部分142の枢動または傾斜または旋回の場合、または第2の部分144に対する中間部146の枢動または傾斜または旋回の場合、復元トルクが生じる。
【0126】
用途によっては、ピボットジョイント132やピボットジョイント134を設けなくてもよく、その結果、中間部146が省略される。
本発明によれば、第1の端部111の一部としての第2の部分143は、図示されていない第1の適用部品に取り付けられるか、または装着されるように意図されており、第2の端部112の一部としての第2の部分144は、図示されていない第2の適用部品に固定されるか、または装着されるように意図されている。
【0127】
外側部分143は、外側部分143を適用環境の第1の適用部品に結合するための、または外側部分143を適用環境の第1の適用部品に装着するための装着デバイス147を備えることができる。装着デバイス147は、特に、少なくとも1つの装着穴または別の固定部品を備えることができる。図5図7の表現では、装着デバイス147は、2つの装着穴147a、147bを備える。
【0128】
外側部分144は、外側部分144を適用環境の第2の適用部品に結合するための、または外側部分144を適用環境の第2の適用部品に装着するための装着デバイス148を備えることができる。装着デバイス148は、特に、少なくとも1つの装着穴または別の固定部品を備えることができる。図5図7の表現では、装着デバイス148は、2つの装着穴148a、148bを備える。
【0129】
予荷重装置10が本発明に従って使用される場合、端部111、112の間に配置されたアクチュエータが端部111、112をばね装置基準軸RA1、RA2に沿って互いに想定的に移動させることによって、第1の適用部品が個別のばね装置F1、F2のばね力に抗して第2の適用部品に対して移動されるようにすることができる。本発明による予荷重装置100の代替的な適用例では、個別のばね装置Fによって第1の適用部品が第2の適用部品に対して予荷重されるようにすることができる。
【0130】
図3図7を参照して説明した予荷重装置100の特徴は、本明細書で別途説明する予荷重装置の他の実施形態の他の特徴のうちの1つまたは複数と組み合わせることができる。
【0131】
図8に示す予荷重装置300の実施形態は、各ばね装置F1、F2が第1の蛇行部M1および第2の蛇行部M2のみを備えているという点で、図3図7の予荷重装置100とは異なる。
【0132】
図9図12には、本発明による駆動装置1の実施形態が示されている。
概して、駆動装置1は、本明細書に記載の実施形態に従って実現される予荷重装置と、好ましくは圧電アクチュエータであるアクチュエータ5とを備える。アクチュエータ5は、予荷重装置の第1の端部と第2の端部との間に配置されている。この場合、アクチュエータ5は、特に、対応する電気的作動の場合に、ばね装置基準軸に沿って伸縮するように実現される。アクチュエータが駆動装置1において使用される場合、アクチュエータ5の両側からばね装置基準軸に沿ってアクチュエータ5に作用する横方向の予荷重によって、アクチュエータ5の機能が確立または改善されるように実現され得る。
【0133】
図9図12に示される本発明による駆動装置1の実施形態は、図3図7に示され、かつ本明細書において図3図7を参照して説明される予荷重装置100を備える。アクチュエータ5は、予荷重装置100の第1の端部111と第2の端部112との間に配置される。
【0134】
代替的に、駆動装置1は、本明細書で説明される別の予荷重装置、特に、図1および図2を参照して本明細書で説明される予荷重装置10の実施形態、または特に、図8を参照して本明細書で説明される予荷重装置300の実施形態を備えることができる。
【符号の説明】
【0135】
10…予荷重装置
11…第1の端部
11a…(第1の端部11の)第1の内面
12…第2の端部
12a…(第2の端部12の)第2の内面
13…(第1の端部11の)第1の支持部
14…(第2の端部12の)第2の支持部
15…(第1の支持部13の)第1の端部
16…(第2の支持部14の)第1の端部
17…(第1の支持部13の)第2の端部
18…(第2の支持部14の)第2の端部
20…接続装置
21…第1の接続部
22…第2の接続部
23…(第1の接続部21の)第1の端部
24…(第2の接続部22の)第1の端部
25…(第1の接続部21の)第2の端部
26…(第2の接続部22の)第2の端部
30…分離装置
31…(分離装置30の)分離層
32…(分離装置30の)分離層
33…(第1の端部11の)第1の部分
34…(第2の端部12の)第1の部分
35…(第1の端部11の)第2の部分
36…(第2の端部12の)第2の部分
50…(蛇行部Mの)第1の横断部
60…(蛇行部Mの)ブリッジ部
70…(蛇行部Mの)第2の横断部
80…(第1の横断部50の)開始部
90…(第2の横断部70の)終了部
100…予荷重装置
111…第1の端部
111a…(第1の端部111の)第1の内面
112…第2の端部
112a…(第2の端部112の)第2の内面
113…(第1の端部111の)第1の支持部
114…(第2の端部112の)第2の支持部
115a…(第1の支持部113の)第1の端部
115b…(第1の支持部113の)第1の端部
116a…(第2の支持部114の)第1の端部
116b…(第2の支持部114の)第1の端部
117a…(第1の支持部113の)第2の端部
117b…(第1の支持部113の)第2の端部
118a…(第2の支持部114の)第2の端部
118b…(第2の支持部114の)第2の端部
120…接続装置
121a…(第1の端部111の)第1の接続部
121b…(第1の端部111の)第1の接続部
122a…(第2の端部112の)第2の接続部
122b…(第2の端部112の)第2の接続部
123a…(第1の接続部121a、121bの)第1の端部
123b…(第1の接続部121a、121bの)第1の端部
124a…(第2の接続部122a、122bの)第1の端部
124b…(第2の接続部122a、122bの)第1の端部
125a…(第1の接続部121a、121bの)第2の端部
125b…(第1の接続部121a、121bの)第2の端部
126a…(第2の接続部122a、122bの)第2の端部
126b…(第2の接続部122a、122bの)第2の端部
130…分離装置
131…(第1の端部111の)第1のピボットジョイント
132…(第2の端部112の)第1のピボットジョイント
133…(第1の端部111の)第2のピボットジョイント
134…(第2の端部112の)第2のピボットジョイント
141…(第1の端部111の)第1の部分
142…(第2の端部112の)第1の部分
143…(第1の端部111の)第2の部分
144…(第2の端部112の)第2の部分
145…(第1の端部111の)中間部
146…(第2の端部112の)中間部
147…(第1の端部111の)第1の装着装置
147a…(第1の端部111の)装着穴
147b…(第1の端部111の)装着穴
148…(第2の端部112の)第2の装着装置
148a…(第2の端部112の)装着穴
148b…(第2の端部112の)装着穴
150…(第1の蛇行部M1の)第1の横断部
160…(第1の蛇行部M1の)ブリッジ部
170…(第1の蛇行部M1の)第2の横断部
180…(第1の横断部150の)開始部
190…(第2の横断部170の)終了部
250…(第2の蛇行部M2の)第1の横断部
260…(第2の蛇行部M2の)ブリッジ部
270…(第2の蛇行部M2の)第2の横断部
280…(第1の横断部250の)開始部
290…(第2の横断部250の)終了部
300…予荷重装置
A1…部分
A2…部分
A3…部分
E1…個別のばね装置の第1端
E2…個別のばね装置の第2端
E11…ばね装置F1の第1端
E12…ばね装置F1の第2端
E21…ばね装置F2の第1端
E22…ばね装置F2の第2端
F…ばね装置
F1…ばね装置
F2…ばね装置
M…蛇行部
MM…蛇行中心線
P1…第1の横断部開始点
P2…第1の横断部終了点
P4…ブリッジ部終了点
P6…第2の横断部終了点
P11…第1の横断部開始点
P12…第1の横断部終了点
P14…ブリッジ部終了点
P16…第2の横断部終了点
P21…第1の横断部開始点
P22…第1の横断部終了点
P24…ブリッジ部終了点
P26…第2の横断部終了点
PA…開始点
PA1…開始点
PA2…開始点
PB…終了点
PB1…終了点
PB2…終了点
RA…ばね装置基準軸
RA1…ばね装置基準軸
RA2…ばね装置基準軸
S…ばね装置の対称軸
SP1…蛇行中心線MMの接線に垂直
SP6…蛇行中心線MMの接線に垂直
SP11…蛇行中心線MMの接線に垂直
SP16…蛇行中心線MMの接線に垂直
SP21…蛇行中心線MMの接線に垂直
SP26…蛇行中心線MMの接線に垂直
X…長手方向軸
Y…垂直軸
Z…横軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】