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特表2024-506030電池加熱システム、方法、給電システム及び電気装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】電池加熱システム、方法、給電システム及び電気装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/633 20140101AFI20240201BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20240201BHJP
   H01M 10/6571 20140101ALI20240201BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20240201BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H01M10/633
H01M10/615
H01M10/6571
H02J7/04 L
H02J7/00 303C
H02J7/00 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547524
(86)(22)【出願日】2021-12-31
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 CN2021143908
(87)【国際公開番号】W WO2023123445
(87)【国際公開日】2023-07-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳新偉
(72)【発明者】
【氏名】顔▲ユー▼
(72)【発明者】
【氏名】但志敏
(72)【発明者】
【氏名】李占良
(72)【発明者】
【氏名】侯貽真
(72)【発明者】
【氏名】張偉
【テーマコード(参考)】
5G503
5H031
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503DA16
5G503FA06
5G503GB03
5G503GD03
5G503GD06
5H031CC09
5H031KK03
(57)【要約】
電池加熱システム、方法、給電システム及び電気装置である。当該電池加熱システム(100)は電圧変換ユニット(110)及び制御ユニット(120)を含み、前記電圧変換ユニット(110)は、電源(200)及び加熱される電池(300)にそれぞれ電気的に接続され、前記電源(200)の入力する第1電圧又は前記加熱される電池の入力する第2電圧を受信し、前記制御ユニット(120)は、前記電圧変換ユニット(110)の充放電頻度を取得し、前記充放電頻度に基づいて前記加熱される電池の電荷移動抵抗を決定し、前記電荷移動抵抗に基づいて前記加熱される電池の安全振幅電流を計算し、前記充放電頻度及び安全振幅電流に基づいて前記電圧変換ユニット(110)に制御信号を送信し、前記電圧変換ユニット(110)が前記制御信号に基づいて前記第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うために用いられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧変換ユニット及び制御ユニットを含む電池加熱システムであって、
電圧変換ユニットは、電源及び加熱される電池にそれぞれ電気的に接続され、前記電源の入力する第1電圧又は前記加熱される電池の入力する第2電圧を受信し、
制御ユニットは、前記電圧変換ユニットの充放電頻度を取得し、前記充放電頻度に基づいて前記加熱される電池の電荷移動抵抗を決定し、前記電荷移動抵抗に基づいて前記加熱される電池の安全振幅電流を計算し、前記充放電頻度及び安全振幅電流に基づいて前記電圧変換ユニットに制御信号を送信し、前記電圧変換ユニットが前記制御信号に基づいて前記第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うために用いられる、
ことを特徴とする電池加熱システム。
【請求項2】
温度監視ユニットを含み、
前記温度監視ユニットは、前記加熱される電池の温度を監視し、前記制御ユニットに前記温度を送信するために用いられ、
前記制御ユニットは、前記温度及び前記電圧変換ユニットの充放電頻度に基づいて、前記加熱される電池の電荷移動抵抗を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電池加熱システム。
【請求項3】
前記制御ユニットは更に、前記加熱される電池の荷電状態、前記温度及び前記充放電頻度に基づいて前記加熱される電池の電荷移動抵抗を決定するために用いられ、
前記制御ユニットは更に、前記加熱される電池のリチウム析出電位及び前記電荷移動抵抗に基づいて前記加熱される電池の安全振幅電流を計算するために用いられる、
ことを特徴とする請求項2に記載の電池加熱システム。
【請求項4】
前記制御ユニットには、前記加熱される電池の荷電状態、温度、充放電頻度及び安全振幅電流のマッピングテーブルが予め記憶され、
前記制御ユニットは更に、前記加熱される電池の荷電状態、前記温度及び前記充放電頻度に基づいて前記安全振幅電流のマッピングテーブルをクエリし、現在状態での前記加熱される電池の安全振幅電流を決定するために用いられる、
ことを特徴とする請求項2に記載の電池加熱システム。
【請求項5】
前記電圧変換ユニットは、前記加熱される電池の受信する充電電流を前記安全振幅電流よりも小さくするように、第1時間内に前記第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うために用いられる、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の電池加熱システム。
【請求項6】
前記電圧変換ユニットは、前記加熱される電池の出力する放電電流を前記安全振幅電流よりも小さくするように、第2時間内に前記第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うために用いられる、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の電池加熱システム。
【請求項7】
前記制御ユニットは更に、前記温度が第1予め設定された閾値よりも小さい場合、前記電圧変換ユニットに制御信号を送信し、前記温度が前記第1予め設定された閾値以上である場合、前記制御信号の出力を停止するために用いられる、
ことを特徴とする請求項2~4の何れか1項に記載の電池加熱システム。
【請求項8】
外部加熱源を含み、
前記制御ユニットは、前記温度が第2予め設定された閾値よりも小さい場合、前記外部加熱源を起動して前記加熱される電池を加熱し、前記温度が第2予め設定された閾値以上である場合、前記外部加熱源を切断するために用いられ、前記第1予め設定された閾値が前記第2予め設定された閾値よりも小さい、
ことを特徴とする請求項7に記載の電池加熱システム。
【請求項9】
加熱される電池が電圧変換ユニットを介して電源に電気的に接続される電池加熱方法であって、
電圧変換ユニットの充放電頻度を取得することと、
前記充放電頻度に基づいて加熱される電池の電荷移動抵抗を決定することと、
前記電荷移動抵抗に基づいて前記加熱される電池の安全振幅電流を計算することと、
前記電圧変換ユニットに前記安全振幅電流及び前記充放電頻度に基づいて制御信号を送信し、前記制御信号に基づいて前記加熱される電池の入力する第1電圧又は前記電源の入力する第2電圧を調節させることと、を含む、
ことを特徴とする電池加熱方法。
【請求項10】
前述の前記充放電頻度に基づいて加熱される電池の電荷移動抵抗を決定することは、
前記加熱される電池の温度を取得し、前記温度及び前記充放電頻度に基づいて前記加熱される電池の電荷移動抵抗を決定することを含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の電池加熱方法。
【請求項11】
前述の前記充放電頻度に基づいて加熱される電池の電荷移動抵抗を決定することは、
前記加熱される電池の荷電状態、前記温度及び前記充放電頻度に基づいて前記加熱される電池の電荷移動抵抗を決定することを含み、
前述の電荷移動抵抗に基づいて前記加熱される電池の安全振幅電流を計算することは、
前記加熱される電池のリチウム析出電位及び前記電荷移動抵抗に基づいて前記加熱される電池の安全振幅電流を計算することを含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の電池加熱方法。
【請求項12】
前述の電荷移動抵抗に基づいて前記加熱される電池の安全振幅電流を計算することは、
前記加熱される電池の荷電状態、温度、充放電頻度及び安全振幅電流のマッピングテーブルが予め記憶されることと、
前記加熱される電池の荷電状態、前記温度及び前記充放電頻度に基づいて前記安全振幅電流のマッピングテーブルをクエリし、現在状態での前記加熱される電池の安全振幅電流を決定することと、を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の電池加熱方法。
【請求項13】
前述の制御信号に基づいて前記加熱される電池の入力する第1電圧又は前記電源の入力する第2電圧を調節することは、
前記加熱される電池の受信する充電電流を前記安全振幅電流よりも小さくするように、第1時間内に前記第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うことを含む、
ことを特徴とする請求項9~12の何れか1項に記載の電池加熱方法。
【請求項14】
前述の制御信号に基づいて前記加熱される電池の入力する第1電圧又は前記電源の入力する第2電圧を調節することは、
前記加熱される電池の出力する放電電流を前記安全振幅電流よりも小さくするように、第2時間内に前記第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うことを含む、
ことを特徴とする請求項9~12の何れか1項に記載の電池加熱方法。
【請求項15】
前記方法は更に、
前記温度が第1予め設定された閾値よりも小さい場合、前記加熱される電池の入力する第1電圧又は前記電源の入力する第2電圧を調節し、前記温度が前記第1予め設定された閾値以上である場合、前記加熱される電池の入力する第1電圧又は前記電源の入力する第2電圧に対する調節を停止することを含む、
ことを特徴とする請求項9~12の何れか1項に記載の電池加熱方法。
【請求項16】
前記方法は更に、
前記温度が第2予め設定された閾値よりも小さい場合、外部加熱源を起動して前記加熱される電池を加熱し、前記温度が第2予め設定された閾値以上である場合、外部加熱源を切断することを含み、前記第1予め設定された閾値が前記第2予め設定された閾値よりも小さい、
ことを特徴とする請求項15に記載の電池加熱方法。
【請求項17】
請求項1~8の何れか1項に記載の電池加熱システムを含む給電システムであって、
前記電池加熱システムは、加熱される電池を加熱するために用いられ、
前記加熱される電池は、電源を提供するために用いられる、
ことを特徴とする給電システム。
【請求項18】
請求項17に記載の給電システムを含む電気装置であって、
前記給電システムは、電源を提供するために用いられる、
ことを特徴とする電気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池分野に関し、具体的には、電池加熱システム、方法、給電システム及び電気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーと排出削減は自動車産業の持続可能な発展の鍵であり、電気自動車は省エネルギーと環境保護における利点により、自動車産業の持続可能な発展の重要な部分となっている。電気自動車にとって、電池技術はその開発に関する重要な要素である。
【0003】
電池の幅広い適用に伴い、電池の性能を如何に向上させるかは電池技術の開発において益々解決すべき緊急課題となっている。本願の発明者らは、電池の性能に対する温度の影響が特に深刻であり、特に低温では、電池の利用可能な容量が大幅に減衰するため、低温条件では電池が放電でも充填でもできない状況につながり、電池の性能が著しく制限されていることを発見した。
【発明の概要】
【0004】
本願の実施例は、従来技術における上記問題を解決するために、電池加熱システム、方法、給電システム及び電気装置を提供する。
【0005】
一態様によれば、本願の実施例は、電圧変換ユニット及び制御ユニットを含む電池加熱システムを提供しており、電圧変換ユニットは、電源及び加熱される電池にそれぞれ電気的に接続され、前記電源の入力する第1電圧又は前記加熱される電池の入力する第2電圧を受信し、制御ユニットは、前記電圧変換ユニットの充放電頻度を取得し、前記充放電頻度に基づいて前記加熱される電池の電荷移動抵抗を決定し、前記電荷移動抵抗に基づいて前記加熱される電池の安全振幅電流を計算し、前記充放電頻度及び安全振幅電流に基づいて前記電圧変換ユニットに制御信号を送信し、前記電圧変換ユニットが前記制御信号に基づいて前記第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うために用いられる。
【0006】
本願の上記実施例は、電圧変換ユニットの充放電頻度及び電荷移動抵抗に基づいて安全振幅電流を決定し、当該充放電頻度及び安全振幅電流に基づいて電圧変換ユニットに制御信号を送信し、電圧変換ユニットが制御信号に基づいて当該第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うことで、電池の加熱効果を大幅に向上させ、加熱効率を向上させる。
【0007】
幾つかの実施例において、温度監視ユニットを含み、前記温度監視ユニットは、前記加熱される電池の温度を監視し、前記制御ユニットに前記温度を送信するために用いられ、前記制御ユニットは、前記温度及び前記電圧変換ユニットの充放電頻度に基づいて、前記加熱される電池の電荷移動抵抗を決定する。
【0008】
このような方法によって、加熱される電池の状態をリアルタイムに監視し、充放電電圧を修正することができることで、加熱される電池を常に最適な加熱効果にし、加熱効率を大幅に向上させる。
【0009】
幾つかの実施例において、前記制御ユニットは更に、前記加熱される電池の荷電状態、前記温度及び前記充放電頻度に基づいて前記加熱される電池の電荷移動抵抗を決定するために用いられ、前記制御ユニットは更に、前記加熱される電池のリチウム析出電位及び前記電荷移動抵抗に基づいて前記加熱される電池の安全振幅電流を計算するために用いられる。
【0010】
本願の実施例は、メーカーの設定した充電カットオフ電圧及び開回路電圧に依存せずに、黒鉛負極の平衡電位及び電荷移動抵抗に基づいて安全振幅電流を取得することで、充電される電池の実際の状態を最大限に反応することができ、メーカーの設定したカットオフ電圧の制限を突破し、加熱効率を大幅に向上させる。
【0011】
幾つかの実施例において、前記制御ユニットには、前記加熱される電池の荷電状態、温度、充放電頻度及び安全振幅電流のマッピングテーブルが予め記憶され、前記制御ユニットは更に、前記加熱される電池の荷電状態、前記温度及び前記充放電頻度に基づいて前記安全振幅電流のマッピングテーブルをクエリし、現在状態での前記加熱される電池の安全振幅電流を決定するために用いられる。
【0012】
加熱される電池の荷電状態、当該温度、当該充放電頻度及び安全振幅電流のマッピングテーブルを設定することで、充放電の安全振幅電流を迅速に取得することができ、加熱効率を向上させる。
【0013】
幾つかの実施例において、前記電圧変換ユニットは、前記加熱される電池の受信する充電電流を前記安全振幅電流よりも小さくするように、第1時間内に前記第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うために用いられる。
【0014】
幾つかの実施例において、前記電圧変換ユニットは、前記加熱される電池の出力する放電電流を前記安全振幅電流よりも小さくするように、第2時間内に前記第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うために用いられる。
【0015】
幾つかの実施例において、前記制御ユニットは更に、前記温度が第1予め設定された閾値よりも小さい場合、前記電圧変換ユニットに制御信号を送信し、前記温度が前記第1予め設定された閾値以上である場合、前記制御信号の出力を停止するために用いられる。
【0016】
加熱される電池の温度をリアルタイムに監視することで、加熱される電池の状態に基づいて加熱プロセスを適時に制御することができ、加熱効果が低い場合、加熱プロセスを適時に停止することができ、エネルギーを節約する。
【0017】
幾つかの実施例において、当該システムは外部加熱源を含み、前記制御ユニットは、前記温度が第2予め設定された閾値よりも小さい場合、前記外部加熱源を起動して前記加熱される電池を加熱し、前記温度が第2予め設定された閾値以上である場合、前記外部加熱源を切断するために用いられ、前記第1予め設定された閾値が前記第2予め設定された閾値よりも小さい。
【0018】
急速加熱モードと従来の外部加熱源による加熱モードとを組み合わせることで、加熱される電池の加熱効果を向上させ、加熱効率を向上させる。
【0019】
別の態様によれば、本願の実施例は、加熱される電池が電圧変換ユニットを介して電源に電気的に接続される電池加熱方法を更に提供しており、当該方法は、電圧変換ユニットの充放電頻度を取得することと、前記充放電頻度に基づいて加熱される電池の電荷移動抵抗を決定することと、前記電荷移動抵抗に基づいて前記加熱される電池の安全振幅電流を計算することと、前記電圧変換ユニットに前記安全振幅電流及び前記充放電頻度に基づいて制御信号を送信し、前記制御信号に基づいて前記加熱される電池の入力する第1電圧又は前記電源の入力する第2電圧を調節させることと、を含む。
【0020】
本願の上記実施例は、電圧変換ユニットの充放電頻度及び電荷移動抵抗に基づいて安全振幅電流を決定し、当該充放電頻度及び安全振幅電流に基づいて電圧変換ユニットに制御信号を送信し、電圧変換ユニットが制御信号に基づいて当該第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うことで、電池の加熱効果を大幅に向上させ、加熱効率を向上させる。
【0021】
幾つかの実施例において、前述の前記充放電頻度に基づいて加熱される電池の電荷移動抵抗を決定することは、前記加熱される電池の温度を取得し、前記温度及び前記充放電頻度に基づいて前記加熱される電池の電荷移動抵抗を決定することを含む。
【0022】
このような方法によって、加熱される電池の状態をリアルタイムに監視し、充放電電圧を修正することができることで、加熱される電池を常に最適な加熱効果にし、加熱効率を大幅に向上させる。
【0023】
幾つかの実施例において、前述の前記充放電頻度に基づいて加熱される電池の電荷移動抵抗を決定することは、前記加熱される電池の荷電状態、前記温度及び前記充放電頻度に基づいて前記加熱される電池の電荷移動抵抗を決定することを含み、前述の電荷移動抵抗に基づいて前記加熱される電池の安全振幅電流を計算することは、前記加熱される電池のリチウム析出電位及び前記電荷移動抵抗に基づいて前記加熱される電池の安全振幅電流を計算することを含む。
【0024】
本願の実施例は、メーカーの設定した充電カットオフ電圧及び開回路電圧に依存せずに、黒鉛負極の平衡電位及び電荷移動抵抗に基づいて安全振幅電流を取得することで、充電される電池の実際の状態を最大限に反応することができ、メーカーの設定したカットオフ電圧の制限を突破し、加熱効率を大幅に向上させる。
【0025】
幾つかの実施例において、前述の電荷移動抵抗に基づいて前記加熱される電池の安全振幅電流を計算することは、前記加熱される電池の荷電状態、温度、充放電頻度及び安全振幅電流のマッピングテーブルが予め記憶されることと、前記加熱される電池の荷電状態、前記温度及び前記充放電頻度に基づいて前記安全振幅電流のマッピングテーブルをクエリし、現在状態での前記加熱される電池の安全振幅電流を決定することと、を含む。
【0026】
加熱される電池の荷電状態、当該温度、当該充放電頻度及び安全振幅電流のマッピングテーブルを設定することで、充放電の安全振幅電流を迅速に取得することができ、加熱効率を向上させる。
【0027】
幾つかの実施例において、前述の制御信号に基づいて前記加熱される電池の入力する第1電圧又は前記電源の入力する第2電圧を調節することは、前記加熱される電池の受信する充電電流を前記安全振幅電流よりも小さくするように、第1時間内に前記第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うことを含む。
【0028】
幾つかの実施例において、前述の制御信号に基づいて前記加熱される電池の入力する第1電圧又は前記電源の入力する第2電圧を調節することは、前記加熱される電池の出力する放電電流を前記安全振幅電流よりも小さくするように、第2時間内に前記第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うことを含む。
【0029】
幾つかの実施例において、前記方法は更に、前記温度が第1予め設定された閾値よりも小さい場合、前記加熱される電池の入力する第1電圧又は前記電源の入力する第2電圧を調節し、前記温度が前記第1予め設定された閾値以上である場合、前記加熱される電池の入力する第1電圧又は前記電源の入力する第2電圧に対する調節を停止することを含む。
【0030】
加熱される電池の温度をリアルタイムに監視することで、加熱される電池の状態に基づいて加熱プロセスを適時に制御することができ、加熱効果が低い場合、加熱プロセスを適時に停止することができ、エネルギーを節約する。
【0031】
幾つかの実施例において、前記方法は更に、前記温度が第2予め設定された閾値よりも小さい場合、外部加熱源を起動して前記加熱される電池を加熱し、前記温度が第2予め設定された閾値以上である場合、外部加熱源を切断することを含み、前記第1予め設定された閾値が前記第2予め設定された閾値よりも小さい。
【0032】
急速加熱モードと従来の外部加熱源による加熱モードとを組み合わせることで、加熱される電池の加熱効果を向上させ、加熱効率を向上させる。
【0033】
本願の実施例の別の態様によれば、上記実施例により提供される電池加熱システムを含む給電システムを更に提供しており、当該電池加熱システムは加熱される電池を加熱するために用いられ、当該加熱される電池は電源を提供するために用いられる。
【0034】
本願の実施例の別の態様によれば、上記給電システムを含む電気装置を更に提供しており、当該給電システムは電源を提供するために用いられる。
【0035】
上記の説明は、本発明の技術的解決手段の概要に過ぎず、本発明の技術手段をより明らかに理解するために、明細書の内容に従って実施することができ、また、本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点をより明らかに分かりやすくするために、以下、本発明の具体的な実施形態が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
ここで説明する図面は、本願に対する更なる理解を提供し、本願の一部を構成するものであり、本願の例示的な実施例及びその説明は本願を解釈するものであり、本願を不正に限定するものではない。図面において、
図1】本願の実施例により提供される電気装置の模式図を示す。
図2】本願の実施例により提供される電気装置の加熱システムの模式図を示す。
図3】本願の実施例により提供される電池加熱システムの模式図を示す。
図4】本願の実施例により提供される電池内部抵抗の等価回路の模式図を示す。
図5】本願の実施例により提供される電池内部抵抗と充放電頻度との関係の模式図を示す。
図6】本願の実施例により提供される電池温度と安全電流との関係の模式図を示す。
図7】本願の実施例により提供される電池加熱システムの正方向充電の模式図を示す。
図8】本願の実施例により提供される電池加熱システムの逆方向放電の模式図を示す。
図9】本願の実施例により提供される低電圧電池加熱のトポロジー構造図を示す。
図10】本願の実施例により提供される高電圧電池及び低電圧電池加熱のトポロジー構造図を示す。
図11】本願の実施例により提供されるOBC、高電圧電池及び低電圧電池加熱のトポロジー構造図を示す。
図12】本願の実施例により提供されるOBC及び低電圧電池加熱のトポロジー構造図を示す。
図13】本願の実施例により提供される電池加熱システム及び外部熱源のトポロジー構造図を示す。
図14】本願の実施例により提供される電池加熱方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明らかにするために、以下、本願の実施例における図面と組み合わせて、本願の実施例における技術的解決手段を明確に説明し、明らかに、説明される実施例は本願の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。本願の実施例をもとに、当業者は創造的な労力を要することなく、得られた他の全ての実施例は、何れも本願の請求範囲に含まれている。
【0038】
別段定義しない限り、本願で使用される全ての技術と科学用語は、当業者に一般的に理解される意味と同じである。本願において、出願の明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものに過ぎず、本願を制限するものではない。本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面の説明における「含む」及び「有する」の用語並びにそれらの任意の変形は、非排他的包含をカバーすることを意図する。本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面における「第1」、「第2」等の用語は、様々なオブジェクトを区別するためのものであり、特定の順序又は主次関係を説明するものではない。
【0039】
本願における「実施例」への言及は、実施例に合わせて説明される特定の特徴、構造又は特性は、本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。明細書の様々な場所での当該語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と相互的に排他的、独立的又は選択的な実施例であるわけでもない。本願に記載される実施例と他の実施例とを組み合わせることができることは、当業者には明示的にも暗黙的にも理解できる。
【0040】
本願の記述において、説明すべきことは、別途明確な規定や限定がない限り、「取付」、「連結」、「接続」及び「付着」という用語は、広く理解する必要がある。例えば、固定するように接続されてもよく、着脱可能に接続されてもよく、又は一体的に接続されてもよい。直接連結してもよく、中間仲介部材によって間接的に連結してもよく、2つの素子内の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0041】
本願における「及び/又は」という用語は、関連するオブジェクトの関連関係を説明するものに過ぎず、3つの関係の存在を表す。例えば、A及び/又はBは、Aが存在する、AとBが同時に存在する、Bが存在するという3つの状況を表すことができる。また、本願の「/」という文字は、一般的に前後の関連するオブジェクトが「又は」の関係であることを意味する。
【0042】
本願における「複数」の出現は、2つ以上(2つを含む)を指し、同様に、「複数のグループ」とは2グループ以上(2グループを含む)を指し、「複数のシート」とは2シート以上(2シートを含む)を指す。
【0043】
本願において、電池単体は、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等を含んでもよく、本願の実施例はこれらに限定されない。電池単体は、円筒状、フラット状、長方体又はその他の形状等にしてもよく、本願の実施例はこれらに対しても限定されない。電池単体は一般的にパッケージの形式に応じて、円筒状電池単体、長方体電池単体及びソフトパッケージ電池単体という3つの種類に分けられ、本願の実施例はこれらに対しても限定されない。
【0044】
現在、技術の発展に伴い、パワーバッテリーの適用はますます広くなっている。パワーバッテリーは、水力発電、火力発電、風力発電及び太陽発電所等のエネルギー貯蔵電源システムに適用されるだけでなく、電気自転車、電気オートバイ、電気自動車等の電気交通工具、及び軍用機器並びに航空宇宙等の様々な分野にも広く適用される。パワーバッテリーの適用分野の継続的な拡大に伴い、その市場需要も絶えず増加している。
【0045】
本願の発明者は、電気自動車等の電池技術を動力源として使用する既存の電気装置では、電池が電気装置に動力を提供してもよく、ダッシュボード、車ライト及びレーダー機器等の低電圧システムに給電してもよいことに気付いた。現在、ほとんどの電池は電気エネルギー貯蔵のためにリチウムイオン電池を使用している。本願の発明者は、リチウムイオン電池が主に正極と負極との間でのリチウムイオンの移動によって化学エネルギーと電気エネルギーの変換を実現し、低温の条件で、電解液でのリチウムイオンの移動性が大幅に弱くなるため、リチウムイオン電池の性能に対する温度の影響が非常に深刻であり、特に低温では、電池の利用可能な容量が大幅に減衰するため、低温条件ではリチウム電池が充電でも放電でもできない状況につながり、且つ電池の倍率性能が深刻に減衰し、リチウム電池性能の発揮が大幅に制限されていることに気付いた。また、低温充電の条件では、電池の活性が低いため、リチウム析出反応が発生しやすく、電池内の短絡を引き起こし、深刻な安全リスクにつながっている。従って、低温条件では、使用する前に、まずリチウム電池を適切な温度に加熱する必要がある。
【0046】
現在、リチウムイオン電池の性能を確保するために、通常、加熱膜による加熱又はPTC水熱による加熱等の、外部加熱源によって電池を加熱する。加熱膜又はPTC水熱は何れも電池の表面との接触伝熱であり、その主な利点は加熱構造が簡単で、技術が成熟する。しかし、この方法は追加の加熱装置を設置する必要があると共に、追加の加熱装置に電源又は熱源を提供する必要があるため、構造が比較的複雑であり、コストが比較的高い。同時に、外部加熱源の方法は、温度上昇の速度が比較的低く、一般的には0.2~0.6℃/minであり、バッテリーセル間の加熱が不均一で、バッテリーセル内外の温度差が大きく、同時に、外部加熱源は熱伝導によって加熱されるため、熱は簡単に消散され、エネルギー利用率は比較的低い。
【0047】
上記の考慮事項に基づいて、電池を加熱する際の加熱効率が低く、構造が複雑であるという従来技術における問題を解決するために、本願の実施例は、電池加熱システム及び方法を提供しており、電池自体が充放電時に発熱する原理によって、低温条件での電池の内部抵抗が大きく、発熱しやすいという特性を利用し、電池パック間で頻繁に充放電を行い、異なる電池パック間で互いに負荷となり、制御ユニットは、電圧変換ユニットが異なる電池パックの入力と出力電圧を周期的に調節するように制御することで、電池回路全体が高周波数の交流電を生成し、当該交流電が低温電池を通過する場合、低温条件で形成された電池の高抵抗を利用して電池内部から直接発熱し、電池に対する急速加熱の目的を達成する。このような方法によって、電池は、自体が発生した熱を利用して直接発熱するため、追加の加熱装置を必要することなく、エネルギー利用率が高く、加熱速度が速い。
【0048】
本願の実施例で開示される電池加熱システム、方法及び給電システムは、電池管理システムの一部として電池管理システムに適用できる。当該電池管理システムは、車両、船舶又は宇宙船等の電気装置に適用できるが、これらに限定されず、電池を急速に加熱し、電池の性能を向上させるのに有利である。
【0049】
本願の実施例は、本願の実施例により提供される電池加熱システムを含む電池を電源として使用する電気装置を提供しており、電気装置は、携帯電話、タブレット、ラップトップ、電動玩具、電動工具、バッテリーカー、電気自動車、船舶、宇宙船等であってもよいが、これらに限定されない。ここで、電動玩具は、ゲーム機、電気自動車のおもちゃ、電気ボートのおもちゃ及び電気飛行機のおもちゃ等の固定式又は移動式の電動玩具を含んでもよく、宇宙船は、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙カプセル等を含んでもよい。
【0050】
以下の実施例では、説明しやすくするために、本願の一実施例は電気装置が車両1000であることを例として説明する。
【0051】
図1を参照し、図1は本願の実施例により提供される車両の構成図である。車両は、燃料車、ガス車両又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純粋な電気自動車、ハイブリッドカー又は拡張車両等であってもよい。車両の内部には電池2000が設置され、電池2000は、車両の底部又は頭部又は尾部に設置されてもよい。電池2000は車両に給電してもよく、例えば、電池2000は車両の操作電源として使用してもよい。車両は、電池管理システム1000とモーター3000を更に含み、電池管理システム1000は、電池2000がモーター3000に給電するように制御し、例えば、車両の起動、ナビゲーション及び走行時の動作電源として使用される。
【0052】
本願の幾つかの実施例において、電池2000は、車両の操作電源として使用するだけでなく、車両の駆動電源として、燃料又は天然ガスを代替又は一部代替して、車両に駆動動力を提供することもできる。
【0053】
本願の実施例で言及される電池2000は、より高い電圧及び容量を提供するために1つ又は複数の電池単体を含む単一の物理モジュールを指す。例えば、本願で言及される電池2000は、電池モジュール又は電池パック等を含んでもよい。電池単体は複数であってもよく、複数の電池単体間は直列接続又は並列接続又は混合接続されてもよく、混合接続は、複数の電池単体で直列接続と並列接続の両方が存在することを意味する。複数の電池単体間は、直接に直列接続又は並列接続又は混合接続された後、更に複数の電池単体で構成された全体をケース内に収容してもよいし、当然ながら、複数の電池単体が、まず直列接続又は並列接続又は混合接続されて電池モジュール形態の電池を構成し、複数の電池モジュールが直列接続又は並列接続又は混合接続されて1つの全体を形成し、ケース内に収容されてもよい。電池2000は他の構造を含んでもよい。例えば、当該電池2000は、複数の電池単体間の電気的接続を実現するための合流部材を更に含んでもよい。ここで、各電池単体は、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池であってもよいが、これらに限定されない。電池単体は、円筒状、フラット状、長方体又はその他の形状等にしてもよい。
【0054】
電池管理システム1000は、電池の中核となる電池を管理するシステムである。電池管理システムは、電圧、電流、温度及びSOC等のパラメータを収集して計算することによって、電池の充放電プロセスを制御し、電池に対する保護を実現し、電池の全体的な性能を向上させる管理システムであり、車載動力電池と電気自動車をつなぐ重要なリンクである。本願の実施例により提供される電池加熱システム100は、電池管理システム1000の構成部分である。図2に示すように、本願により提供される電池加熱システム100の適用構成図である。電気装置において、通常、高電圧電池500と低電圧電池700を含み、高電圧電池500は電圧変換ユニットにより降圧された後に低電圧電池700を充電し、低電圧電池700と一緒に低電圧システム全体を給電し、低電圧電池700は主に、ダッシュボード、車ライト及びレーダー等の電気装置の低電圧負荷に電源を提供し、低電圧電池700は、低電圧負荷600に直接接続される。
【0055】
本願の実施例により提供される電池加熱システム100は、制御ユニット120及び電圧変換ユニット110を含み、当該電圧変換ユニット110は、通常の動作状態では、電圧の変換処理を担当し、電池を加熱する必要がある場合、電圧変換ユニット110は、制御ユニット120の制御下で電池に対する昇圧又は降圧処理を行い、加熱される電池300に対する急速加熱を実現する。
【0056】
具体的には、本願の実施例により提供される電池加熱システム100は、図3に示すように、電圧変換ユニット110及び制御ユニット120を含み、当該電圧変換ユニット110は、電源200及び加熱される電池300にそれぞれ電気的に接続され、当該電源200の入力する第1電圧又は当該加熱される電池300の入力する第2電圧を受信する。当該制御ユニット120は、当該電圧変換ユニット110の充放電頻度を取得し、当該充放電頻度に基づいて当該加熱される電池300の電荷移動抵抗を決定し、当該電荷移動抵抗に基づいて当該加熱される電池300の安全振幅電流を計算し、当該充放電頻度及び安全振幅電流に基づいて当該電圧変換ユニット110に制御信号を送信し、当該電圧変換ユニット110が当該制御信号に基づいて当該第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うために用いられる。
【0057】
図3に示すように、本願の実施例により提供される電池加熱システム100の構成図である。制御ユニット120は当該電圧変換ユニット110に電気的に接続され、電圧変換ユニット110を制御するために用いられる。電圧変換ユニット110の両端は、電源200及び加熱される電池300にそれぞれ接続され、電源200の出力する電圧を変換するために用いられるか、又は、加熱される電池300の出力する電圧を変換するために用いられる。
【0058】
ここで、当該電源200は、加熱される電池300に入力を提供する担体であり、電気装置自体に組み立てられている高電圧電池500であってもよく、追加的に設置した低電圧電池700であってもよく、外部電源等であってもよく、加熱される電池300に電圧入力を提供することを目的とする。
【0059】
加熱される電池300は、電気装置自体に設置されている加熱を必要とする電池であり、低電圧電池700であってもよく、高電圧電池500であってもよい。当該加熱される電池300は通常、リチウム電池であり、当該加熱される電池300は比較的低い温度では、電池の利用可能な容量が大幅に減衰し、電池は放電でも充電でもできず、電池の倍率性能が深刻に減衰する。そして、当該電池は低温充電の条件では、リチウム析出反応が発生しやすく、電池内の短絡を引き起こし、深刻な安全リスクにつながっている。リチウムイオン電池の充電プロセスにおいて、リチウムイオンは正極から放出され、負極に挿入される。しかし、幾つかの場合、例えば低温で充電する場合では、正極から放出されたリチウムイオンが負極に挿入されず、リチウムイオンが負極の表面にのみ析出し、この現象は、リチウム析出反応と呼ばれる。リチウム電池にリチウム析出反応が発生すると、電池内の短絡を引き起こし、深刻な安全リスクにつながっている。
【0060】
本願の実施例において、低温条件で加熱される電池300を加熱するために、加熱される電池300を周期的に充放電することで、低温条件での加熱される電池300の抵抗が比較的高いという特徴と組み合わせて、加熱される電池自体の発熱によって自己加熱を行う。加熱される電池300に対する頻繁な充放電プロセスにおいて、充放電の電流が大きいほど、充放電の頻度が高くなり、充放電プロセスにおいて、加熱される電池300の発熱が多いほど、昇温の速度が速くなる。しかし、低温条件でリチウム電池を充放電する際に、リチウム析出反応が発生しやすいため、リチウム電池を充放電する際に、充放電頻度、安全振幅電流及び加熱効率の間の平衡関係を全体的に考慮する必要があり、加熱される電池300を迅速に加熱すると同時に、加熱プロセスにおいて、加熱される電池300のリチウム析出反応を回避する。
【0061】
図4に示すように、リチウムイオン電池の電池内部抵抗の等価回路の模式図を示す。リチウムイオン電池の等価回路は、Z1、Z2及びZ3を含む3つの部分で構成されている。ここで、Z1は電池内部集電体、活物質及び電解液等のオーム抵抗成分であり、Z2はQSEIとRSEIを含む固体電解質相界面(SEI)膜に対応する抵抗成分であり、Z3はQdlとRCTを含む活物質固液相界面の電荷移動抵抗である。
【0062】
ここで、QSEIとQdlは定位相要素(Constant Phase Element、CPE)に属し、定位相要素はCPE係数QとCPE指数nで表され、その抵抗の式は次の通りである。
【0063】
【数1】

ここで、QはCPE係数、nはCPE指数、jは虚数単位である。
【0064】
当該リチウムイオン電池の等価回路の電気抵抗の実数部の式は次の通りである。
【0065】
【数2】
ここで、QSEIとnSEIはそれぞれZ2部分の定位相要素のCPE指数とCPE係数、QdlとndlはそれぞれZ3部分の定位相要素のCPE指数とCPE係数であり、Rは等価回路のZ1部分のオーム抵抗、RSEIはSEI膜内部抵抗、RCTは電荷移動抵抗である。ωは電池の充放電の角周波数を表し、jは抵抗の虚数部を表す。上記の各パラメータは何れも温度に敏感であり、異なる温度で校正する必要があり、上記の各パラメータは何れもリチウムイオン電池の電気化学スペクトル(EIS)をフィッティングすることで取得できることに注意されるべきである。
【0066】
以上から分かるように、リチウムイオン電池の抵抗実数部ZReは周波数に関連する。図5に示すように、上記リチウム電池の内部抵抗の計算を簡略化した後のリチウム電池の電気化学スペクトル分析模式図であり、様々な充放電頻度でのリチウムイオン電池の抵抗を示している。ここで、横軸は電池の実数部抵抗を表し、縦軸は電池の虚数部抵抗を表す。電気化学スペクトルは電荷移動領域と物質移動領域に分けることができ、電荷移動領域と物質移動領域との間は混合領域である。
【0067】
電荷移動領域において、電池の充放電頻度が高いほど、電池は充放電プロセスに電荷移動のみが行われ、物質の拡散が起こらず、即ちリチウム析出反応が発生しない。極めて高周波数領域において、電池は純粋な電気抵抗特性を示し、その抵抗はZ=Rで表すことができる。物質移動領域において、充放電頻度が比較的低く、電荷移動と物質移動の両方が発生し、即ち電池は当該領域においてリチウム析出反応が発生し、物質移動領域内の充放電頻度が電荷移動領域の充放電頻度よりも低い。混合領域において、リチウムイオン電池は電荷移動から物質移動に移行し、この区間では、電荷移動と物質移動の両方が発生する。従って、以上から分かるように、充放電プロセスにおけるリチウム析出反応の発生を回避するために、充放電頻度はできる限り高くする必要がある。ここで、上記高周波数・低周波数の値については統一した基準がなく、一般的には、高周波数範囲を1KHz~10KHzに、中周波数・低周波数範囲を0.001Hz~1KHzにするように分けられている。説明すべきことは、上記周波数範囲は一定ではなく、電池温度及び電池状態の影響に応じて変化される。
【0068】
説明すべきことは、理論的には、電荷移動領域では充放電頻度が高いほど、充電される電池はリチウム析出反応が発生しにくくなるが、電池の充放電性能を最も効果的に保証するために、充放電頻度を高く設定する必要がある。しかし、実際的には、電圧変換ユニット110によって電池の充放電を制御する必要があり、電圧変換ユニット110は充電プロセスと放電プロセスとの間でスイッチによって切り替える必要があり、スイッチによる切り替えに時間がかかるため、充放電をより迅速に切り替えることが非常に困難になる。従って、電圧変換ユニット110の切り替え頻度は充放電頻度を制限する重要な要因となる。従って、本願において、電池加熱システム100の複雑度を低下させ、充放電効率を向上させるために、本願の発明者は、電圧変換ユニット110の最大切り替え頻度を当該電池加熱システム100の充放電頻度として直接使用することを提案する。
【0069】
上記に記載されるように、リチウムイオン電池を充放電する際に、充放電頻度、安全振幅電流及び加熱効率の間の平衡関係を全体的に考慮する必要があり、加熱される電池300を迅速に充電すると同時に、加熱される電池300のリチウム析出反応を回避する。充放電頻度が決定された後、当該充放電頻度に基づいて特定の温度条件での当該電池加熱システム100の安全振幅電流を決定する必要がある。
【0070】
図4に示す電池内部抵抗の等価回路の模式図を参照し続け、リチウムイオン電池の負極にリチウム析出反応が発生することを回避するために、負極粒子表面の固液相電位差がリチウム析出反応の平衡電位より大きくするように満たす必要がある。即ち、次の通りである。
【0071】
【数3】

ここで、φとφは固液両側の負極粒子表面の電位であり、Ue,2は、通常0Vと見なされる平衡電位である。
【0072】
リチウム析出反応が発生する場合、リチウムイオンは電子を獲得してリチウム金属に還元される必要がある。通常、リチウム析出反応は最初に黒鉛粒子の表面、即ち固体電解質相界面SEI膜内部で発生すると考えられる。SEI膜内部のリチウム挿入反応の過電圧は次の通りである。
【0073】
【数4】

ここで、Ue,1は、特定の電池荷電状態SOCでの黒鉛負極の平衡電位である。
【0074】
リチウムイオン電池抵抗スペクトルの導出プロセスに基づいて、Butler-Volmer方程式の線形化によって、SEI膜内部のリチウム挿入反応の過電圧は次のように近似できる。
【0075】
【数5】

ここで、ictはファラデー電流、Rctは電荷移動抵抗であり、充電時にictは負であり、即ち対応する黒鉛負極の等価回路は次の通りである。
【0076】
【数6】

ここで、Vは電荷移動抵抗Rctの両端の電圧であり、即ち図4に示す電池内部抵抗の等価回路におけるZ部分の両端の電圧である。
【0077】
特定の電池荷電状態SOCでの黒鉛負極の平衡電位はUe,1であるため、負極表面にリチウム析出反応が発生することを回避するために、電荷移動抵抗Rctの両端の電圧Vは下記の式を満たす必要がある。
【0078】
【数7】
【0079】
図4に示す電池内部抵抗の等価回路において、Z部分の全体的な抵抗と充放電頻度との関係は次の通りである。
【0080】
【数8】
【0081】
リチウムイオン電池に交流電励起を印加する場合、Zの両端の電圧振幅は次の通りである。
【0082】
【数9】
ここで、|Z|は、周波数に関連する電池内部抵抗の等価回路におけるZ部分の抵抗値であり、Iacは印加される交流電電流の振幅である。
【0083】
上記の式(1)と(2)から得られるように、リチウムイオン電池は交流電励起下で、リチウム析出が発生しない条件は次の通りである。
【0084】
【数10】
【0085】
リチウム析出反応の発生を回避するために、特定の電池荷電状態SOCにおいて、Z部分の両端の電圧振幅は常に黒鉛負極の平衡電位よりも小さい。
【0086】
以上から分かるように、本願の実施例において、電池変換ユニットの最大切り替え頻度を当該電池加熱システム100の充放電頻度として使用する場合、当該充放電頻度下で、図5から分かるように、Z部分の電気抵抗はリチウム電池の電荷移動抵抗Rctと等しい。即ち、次の通りである。
【0087】
【数11】
【0088】
従って、上記充放電頻度下での安全振幅電流をUe,1/Rctに決定することができる。即ち、加熱される電池を充放電するプロセスにおいて、その充電電流はUe,1/Rctよりも小さい。
【0089】
上記プロセスによれば、加熱される電池300を充放電する充放電頻度を決定し、充放電頻度に基づいて電荷移動抵抗を決定し、次に電荷移動抵抗に基づいて充放電の安全振幅電流を決定する。上記電荷移動抵抗及び対応する安全振幅電流は、温度、電池の荷電状態SOCに密接に関連し、一定ではなく、温度の変化に応じて絶えず変化されることに注意されるべきである。特定の温度及び特定荷電状態SOCでの電荷移動抵抗及びその対応する安全振幅電流は、充電される電池の電気化学スペクトルEISによってクエリして得られ、当該電気化学スペクトルEISを制御ユニット120に予め設置し、制御ユニット120が特定の条件でクエリして得ることができ、具体的なクエリ方法に関しては、ここでその説明を省略する。
【0090】
従来技術において、加熱される電池300については、電池メーカーは電池の出荷時に充電カットオフ電圧Vmasを設定し、充電カットオフ電圧に基づいて異なる充電電流を設定し、カットオフ電圧には異なる充電容量がある。当該充電カットオフ電圧は一般的に比較的保守的な値であり、そして一般的に直流の動作モードに適用され、交流の動作モードでは、電池の状態を実際に反映することができない。例えば、SOCが比較的低い場合、当該SOCでの開回路電圧Vocvは比較的小さいため、
【0091】
【数12】

数12の電流が大き過ぎて、電池のリチウム析出反応につながっている。SOCが比較的高い場合、当該SOCでの開回路電圧Vocvは比較的大きいため、
【0092】
【数13】

数13の電流が小さすぎて、電池の加熱効率が低過ぎて、加熱効果を大幅に低下させる。
【0093】
本願の実施例において、設定された充電カットオフ電圧及び開回路電圧に依存せずに、リチウム電池の黒鉛負極の平衡電位Ue,1及び電荷移動抵抗Rctに基づいて安全振幅電流を決定することで、充電される電池の実際の状態を最大限に反応することができ、メーカーの設定したカットオフ電圧の制限を突破し、加熱効率を大幅に向上させる。図6に示すように、本実施例により提供される方法の作用下で、加熱される電池300は、短時間内で迅速に昇温することができ、安全振幅電流も徐々に大きくなり、加熱される電池300の加熱効果を極めて大幅に向上させる。
【0094】
制御ユニット120は、加熱される電池300の充放電頻度及び安全振幅電流を決定した後、当該充放電頻度及び安全振幅電流に基づいて電圧変換ユニット110に制御信号を送信し、電圧変換ユニット110は制御信号に基づいて電源及び加熱される電池の第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行う。充放電頻度を最大の充放電頻度とし、安全振幅電流を最大の充放電電流とする。
【0095】
制御ユニット120は、当該充放電頻度及び安全振幅電流に基づいて第1時間内に電圧変換ユニット110に制御信号を送信し、電源200の出力する第1電圧を加熱される電池300の第2電圧よりも高くすることで、充電される電池に対する正方向充電を行う。第2時間内に、制御ユニット120は電圧変換ユニット110に制御信号を送信し、電源200の第1電圧を当該加熱される電池300の第2電圧よりも低くすることで、加熱される電池300を放電状態にする。第1時間及び第2時間内に、第1電圧の昇圧又は第1電圧の降圧処理の場合、第1電圧と第2電圧との間の電圧差を一定の範囲内に保持する必要があり、それにより、充電状態における加熱される電池300の最大充放電電流は決定された安全振幅電流よりも小さくなる。
【0096】
従って、以上から分かるように、本願の実施例は、制御ユニット120が電圧変換ユニット110の充放電頻度及び電荷移動抵抗に基づいて安全振幅電流を決定し、当該充放電頻度及び安全振幅電流に基づいて電圧変換ユニット110に制御信号を送信し、電圧変換ユニット110が制御信号に基づいて当該第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うことで、電池の加熱効果を大幅に向上させ、加熱効率を向上させる。
【0097】
幾つかの実施例において、当該電池加熱システム100は温度監視ユニット130を更に含み、温度監視ユニット130は、当該加熱される電池300の温度を監視し、制御ユニット120に当該温度を送信するために用いられ、当該制御ユニット120は、当該温度及び当該電圧変換ユニット110の充放電頻度に基づいて、当該加熱される電池300の電荷移動抵抗を決定する。
【0098】
図7に示すように、本願の実施例により提供される電池加熱システム100は温度監視ユニット130を更に含み、当該温度監視ユニット130は加熱される電池300に接続され、加熱される電池300の温度を監視し、監視した温度情報を制御ユニット120に送信するために用いられ、それによって制御ユニット120は、加熱される電池の温度情報に基づいて電圧変換ユニット110の充放電頻度及び充放電電流を制御する。
【0099】
当該温度監視ユニット130は温度センサであってもよく、当該温度センサは、熱電対、負温度係数温度センサ又は赤外線センサ等を含んでもよく、通常、当該加熱される電池300の周囲又は表面に設置され、それにより加熱される電池300の温度を正確に監視する。温度監視ユニット130は、当該加熱される電池300の温度情報を周期的に取得し、当該温度情報を制御ユニット120に送信し、当該制御ユニット120は、温度情報、加熱される電池300の荷電状態SOC及び電圧変換ユニット110の充放電頻度に基づいて、安全振幅電流を周期性に決定し、当該安全振幅電流に基づいて、電源200及び加熱される電池300の充放電電圧を調整する。
【0100】
このような方法によって、加熱される電池300の状態をリアルタイムに監視し、充放電電圧を修正することができ、加熱される電池300を常に最適な加熱効果にし、加熱効率を大幅に向上させる。
【0101】
幾つかの実施例において、当該制御ユニット120は更に、当該加熱される電池300の荷電状態SOC、温度及び充放電頻度に基づいて当該加熱される電池300の電荷移動抵抗を決定するために用いられ、当該制御ユニット120は更に、当該加熱される電池300のリチウム析出電位及び当該電荷移動抵抗に基づいて当該加熱される電池300の安全振幅電流を計算するために用いられる。
【0102】
当該制御ユニット120は加熱される電池300の荷電状態を予め取得し、ここで、様々な方法によって当該荷電状態SOCを取得することができる。電池の出荷時に、メーカーがSOCを校正し、特定の温度及び電圧での当該電池の荷電状態SOCが明記されることはその1つの方法である。アンペアアワー積算によってSOCを計算することもでき、即ち電池管理システムは電池を流れる電流を記録し、次に使用時間によって現在のSOCを計算する。上記の2種類の方法を組み合わせてSOCを取得することもできる。当然ながら、その他のSOC取得方法もあるが、ここでその説明を省略する。
【0103】
当該制御ユニット120は、当該加熱される電池300の荷電状態SOCを取得した後、当該温度監視ユニット130の取得する温度情報及び充放電頻度に基づいて、当該加熱される電池300の電気化学スペクトルEISによって、加熱される電池300の電荷移動抵抗RCTを決定する。
【0104】
当該制御ユニット120は、当該加熱される電池300のリチウム析出電位を更に取得し、ここで、当該リチウム析出電位は、特定荷電状態SOCでの加熱される電池300の黒鉛負極の平衡電位Ue,1であり、黒鉛負極の表面にリチウム析出反応が発生することを回避するために、電荷移動抵抗Rctの両端の電圧Vは下記の式を満たす必要がある。
【0105】
【数14】
【0106】
図4に示す電池内部抵抗の等価回路において、Z部分の全体的な抵抗と充放電頻度との関係は次の通りである。
【0107】
【数15】
【0108】
リチウムイオン電池に交流電励起を印加する場合、Zの両端の電圧振幅は次の通りである。
【0109】
【数16】

ここで、|Z|は、周波数に関連する電池内部抵抗の等価回路におけるZ部分の抵抗値であり、Iacは印加される交流電電流の振幅である。
【0110】
リチウムイオン電池は交流電励起下で、リチウム析出が発生しない条件は次の通りである。
【0111】
【数17】
【0112】
即ち、リチウムイオン電池黒鉛負極の等価回路において、特定の電池荷電状態SOC下で、Z部分の両端の電圧振幅は常に黒鉛負極の平衡電位よりも小さい。
【0113】
本願の実施例において、電池変換ユニットの最大切り替え頻度を当該電池加熱システム100の充放電頻度として使用する場合、当該充放電頻度下で、図5から分かるように、Z部分の電気抵抗はリチウム電池の電荷移動抵抗Rctと等しい。即ち、次の通りである。
【0114】
【数18】
【0115】
上記充放電頻度での安全振幅電流をUe,1/Rctに決定することができる。
【0116】
設定された充電カットオフ電圧及び開回路電圧に依存せずに、黒鉛負極の平衡電位及び電荷移動抵抗に基づいて安全振幅電流を取得することで、充電電池の実際の状態を最大限に反応することができ、メーカーの設定されたカットオフ電圧の制限を突破し、加熱される電池の加熱効率を大幅に向上させる。
【0117】
幾つかの実施例において、電池の加熱効率を向上させるために、当該制御ユニット120には当該加熱される電池300の荷電状態、温度、充放電頻度及び安全振幅電流のマッピングテーブルが予め記憶され、当該制御ユニット120は更に、当該加熱される電池300の荷電状態、当該温度及び当該充放電頻度に基づいて当該安全振幅電流のマッピングテーブルをクエリし、現在状態での当該加熱される電池300の安全振幅電流を決定するために用いられる。
【0118】
加熱される電池300の電気化学スペクトルEISに基づいて、特定の温度、充放電頻度及び荷電状態での電池の安全振幅電流は決定されたものであるため、制御ユニット120は、当該加熱される電池300の荷電状態、温度、充放電頻度及び安全振幅電流のマッピングテーブルを予め記憶し、加熱プロセスにおいて、取得した加熱される電池300の荷電状態及び温度に基づいて、対応する安全振幅電流をリアルタイムに決定することができる。表1に示すように、加熱される電池300の荷電状態、温度、充放電頻度及び安全振幅電流のマッピングテーブルを示す表である。
【0119】
【表1】
【0120】
加熱される電池300の加熱プロセスにおいて、充放電頻度、温度及び荷電状態が決定された場合、当該マッピングテーブルをクエリすることによって、安全振幅電流を適時に取得することができる。
【0121】
表1から分かるように、特定の周波数XHZ及び温度条件では、SOCが低いほど、許容される安全振幅電流が高くなり、加熱効果が向上する。特定の周波数XHZ及びSOC条件では、温度の上昇に伴い、許容される安全振幅電流も高くなり、一定の温度条件に達すると、許容される安全振幅電流は安定的に保持されている。
【0122】
幾つかの実施例において、当該電圧変換ユニット110は、当該加熱される電池300の受信する充電電流を当該安全振幅電流よりも小さくするように、第1時間内に当該第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うために用いられる。当該電圧変換ユニット110は更に、当該加熱される電池300の出力する放電電流を当該安全振幅電流よりも小さくするように、第2時間内に当該第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うために用いられる。
【0123】
7及び図8に示すように、電圧変換ユニット110が制御ユニット120の制御下で電源200によって加熱される電池300を加熱するトポロジー構造図を示し、ここで、制御ユニット120と電圧変換ユニット110との間はCANパス又はその他のパスを介して通信することができる。
【0124】
図7は、第1時間内に電源200が放電し、加熱される電池300に対する正方向充電の動作モード図を示す。初期条件では、制御ユニット120は、加熱される電池300の荷電状態SOCに基づいて、まず電圧変換ユニット110の充放電頻度K1及び安全振幅電流I1を決定する。この場合、電源200が放電し、加熱される電池300を充電し、電源200の出力電圧がUa、加熱される電池300の電圧がUbであり、電圧変換ユニット110は電源200の出力する電圧Uaを昇圧し、Uaは電圧変換ユニット110によってUa1に昇圧し、I1=(Ua1-Ub)/Rであり、ここで、Rは当該電池加熱システム100の等価抵抗値である。ここで、加熱される電池300の充電電流を安全振幅電流よりも小さくすることを保証し、加熱される電池300を充電すると同時に加熱される電池300にリチウム析出反応が発生しないことも保証するように、Ua1は制御ユニットが安全振幅電流I1に基づいて決定する必要がある。
【0125】
図8は、第2時間内に電圧変換ユニット110が制御ユニット120の制御下で加熱される電池300により放電され、電源200を充電する動作モード図を示す。図7の正方向充電と比べて、図8は逆方向放電であり、両者の方向は逆である。加熱される電池300の出力電圧はUb、電源200の電圧はUaであり、制御ユニット120は、電圧変換ユニット110がUaに対する降圧処理を行うように制御し、Uaは電圧変換ユニット110によって降圧した後にUa2となり、I1=(Ub-Ua2)/Rであり、ここで、Rは当該電池加熱システム100の等価抵抗値である。当該加熱される電池300の出力する放電電流は当該安全振幅電流よりも小さい。
【0126】
上記の正方向充電及び逆方向放電の変換周期は充放電頻度K1であり、即ち加熱される電池300及び電源200は、半分の時間が充電状態にあり、半分の時間が放電状態にあり、充電と放電との間に切り替える。電気抵抗の発熱の式は次の通りである。
【0127】
【数19】
【0128】
以上から分かるように、電流が大きいほど、発熱効果が高くなる。制御ユニット120は、電池の充放電に伴って、安全振幅電流を絶えず調整するため、充放電に伴って、電池の加熱効果はますます高くなる。
【0129】
本願の実施例により提供される電池加熱方法は、電気自動車等の様々な電気装置に適用され、電気装置は通常、一般的に電気装置に動力を提供するための高電圧電池500と、一般的に電気装置の低電圧デバイスに電源200を提供するための低電圧電池700と、を含む。加熱される電池300を加熱するために、様々な方法を電源200として使用して加熱される電池300に加熱電源を提供することができ、説明しやすくするために、以下に電動車両を例として説明する。
【0130】
図9に示すように、電気装置には高電圧電池500、第1電圧変換ユニット111、第1低電圧電池301及び低電圧負荷600が含まれ、そのうち、当該高電圧電池500は、一態様が電気装置に動力を提供し、別の態様が更に第1電圧変換ユニット111を介して第1低電圧電池301を充電し、第1低電圧電池301が低電圧負荷600に電源を提供する。第1低電圧電池301を迅速に加熱するために、当該電気装置において、第2低電圧電池302、第2電圧変換ユニット112、制御ユニット120及び温度監視ユニット130が設けられている。
【0131】
通常動作の場合では、高電圧電池500は、第1電圧変換ユニット111を介して第1低電圧電池301を充電し、第1低電圧電池301は、低電圧負荷600に電源200を提供する。温度監視ユニット130は第1低電圧電池301の温度が一定の閾値よりも小さいと監視した場合、第1低電圧電池301の性能は比較的大きな影響を受けており、まずそれを加熱する必要があり、当該制御ユニット120が当該第2電圧変換ユニット112に制御信号を送信し、当該第2電圧変換ユニット112が決定した充放電頻度及び安全振幅電流に従って、第1低電圧電池301及び第2低電圧電池302を絶えずに充放電し、第1低電圧電池301の温度を徐々に上昇することを制御し、第1低電圧電池301に対する急速加熱を実現する。
【0132】
図10は別の電池加熱のトポロジー図を示しており、高電圧電池500、第1電圧変換ユニット111、第1低電圧電池301、低電圧負荷600、制御ユニット120及び温度監視ユニット130を含み、当該制御ユニット120は、第1電圧変換ユニット111に接続され、第1電圧変換ユニット111が第1低電圧電池301を加熱するように制御する。当該トポロジー構造において、電池加熱システム100と電気装置の高電圧電池500は1つの電圧変換ユニットを共有し、元の電圧変換ユニットを改善することで、高電圧電池と低電圧電池との間の高周波数の相互作用を実現することができる。
【0133】
通常の動作状態では、高電圧電池500は電気装置に動力を提供すると同時に、第1電圧変換ユニット111を介して第1低電圧電池301を充電し、第1低電圧電池301は低電圧負荷600に電源を提供する。温度監視ユニット130は、第1低電圧電池301の温度が一定の閾値よりも小さいと監視した場合、第1低電圧電池301の性能は比較的大きな影響を受けており、まずそれを加熱する必要があり、当該制御ユニット120が当該第1電圧変換ユニット111に制御信号を送信し、当該第1電圧変換ユニット111が決定した充放電頻度及び安全振幅電流に従って、第1低電圧電池301と高電圧電池500との間を絶えず充放電し、第1低電圧電池301の温度を徐々に上昇することを制御し、第1低電圧電池301に対する急速加熱を実現する。このような方法によって高電圧電池と低電圧電池は1つの電圧変換ユニットを共有することで、構造を簡略化し、電気装置の複雑度を低下させる。
【0134】
図11は別の電池加熱のトポロジー図を示しており、電気装置の電池加熱システム100、高電圧電池500及び車載充電システムOBC(On Board Charger)を一体に集積する。図11に示すように、車載充電システムOBCは、交流コンセント803、補償ユニット801、交直流電圧変換ユニット802及び第1電圧変換ユニット111を含む。図11において、高電圧電池500、車載充電システムOBC及び当該電池加熱システムは、1つの第1電圧変換ユニット111を共有する。第1低電圧電池301を加熱する必要がある場合、高電圧電池500又は車載充電システムOBCを電源として第1低電圧電池301に加熱電源を提供することができる。
【0135】
車載充電システムOBCによって第1低電圧電池301を加熱する場合、通常の動作状態では、高電圧電池500は、第1電圧変換ユニット111を介して第1低電圧電池301を充電し、第1低電圧電池301は低電圧負荷600に電源を提供する。温度監視ユニット130は、第1低電圧電池301の温度が一定の閾値よりも小さいと監視した場合、第1低電圧電池301の性能は比較的大きな影響を受けており、まずそれを加熱する必要があり、車載充電システムOBCを第1電圧変換ユニット111に接続し、当該制御ユニット120が当該第1電圧変換ユニット111に制御信号を送信し、当該第1電圧変換ユニット111が決定した充放電頻度及び安全振幅電流に従って、第1低電圧電池301と車載充電システムOBCとの間を絶えず充放電し、第1低電圧電池301の温度を徐々に上昇することを制御し、第1低電圧電池301に対する急速加熱を実現する。このような方法によって車載充電システムOBCを使用して低電圧電池を加熱し、且つ車載充電システムOBC、高電圧電池及び低電圧電池が1つの電圧変換ユニットを共有することで、構造を簡略化し、電気装置の複雑度を低下させる。
【0136】
図12は別の電池加熱のトポロジー図を示しており、電気装置の電池加熱システム100及び車載充電システムOBCを一体に集積する。図12に示すように、高電圧電池500は、第1電圧変換ユニット111を介して第1低電圧電池301を充電する。当該車載充電システムOBCは、交流コンセント803、補償ユニット801、交直流電圧変換ユニット802及び第2電圧変換ユニット112を含む。図12において、車載充電システムOBC及び加熱システムは、1つの第2電圧変換ユニット112を共有し、車載充電システムOBCを電源として第1低電圧電池301に加熱電源を提供することができ、当該制御ユニット120は第2電圧変換ユニット112に接続される。
【0137】
通常の動作状態では、高電圧電池500は、第1電圧変換ユニット111を介して第1低電圧電池301を充電し、第1低電圧電池301は低電圧負荷600に電源を提供する。温度監視ユニット130は、第1低電圧電池301の温度が一定の閾値よりも小さいと監視した場合、第1低電圧電池301の性能は比較的大きな影響を受けており、まずそれを加熱する必要があり、当該制御ユニット120が当該第2電圧変換ユニット112に制御信号を送信し、当該第2電圧変換ユニット112が決定した充放電頻度及び安全振幅電流に従って、第1低電圧電池301と車載充電システムOBCシステムとの間を絶えず充放電し、第1低電圧電池301の温度を徐々に上昇することを制御し、第1低電圧電池301に対する急速加熱を実現する。このような方法によって、車載充電システムOBCを使用して低電圧電池を加熱し、且つ車載充電システムOBC及び低電圧電池が1つの電圧変換ユニットを共有することで、構造を簡略化し、電気装置の複雑度を低下させる。
【0138】
幾つかの実施例において、当該制御ユニット120は更に、当該温度が第1予め設定された閾値よりも小さい場合、当該電圧変換ユニットに制御信号を送信し、当該温度が当該第1予め設定された閾値以上である場合、当該制御信号の出力を停止するために用いられる。
【0139】
当該温度監視ユニット130は温度を監視し、当該加熱される電池300の温度が第1予め設定された閾値以上である場合、当該加熱される電池300の温度は当該電池の通常動作を保証することができることが示され、当該制御ユニット120は制御信号の出力を停止し、加熱される電池300に対する加熱を停止する。
【0140】
当然ながら、リチウム電池の内部抵抗は温度が比較的低い場合、内部抵抗は比較的大きくなるため、低温の場合では、このような方法によって加熱される電池を加熱すると、加熱効果が比較的明らかになる。リチウム電池の温度が一定の閾値に達した後、電池の内部抵抗は既に大幅に低下するため、この場合、当該電池加熱システムによって加熱すると、効果が大幅に低下し、従って、この場合、制御ユニット120は制御信号の出力を停止し、加熱される電池300に対する加熱を停止することができる。
【0141】
加熱される電池300の温度をリアルタイムに監視することで、加熱される電池300の状態に基づいて加熱プロセスを適時に制御することができ、加熱効果が低い場合、加熱プロセスを適時に停止することができ、エネルギーを節約する。
【0142】
幾つかの実施例において、当該電池加熱システム100は外部加熱源400を含み、当該制御ユニット120は、温度が第2予め設定された閾値よりも小さい場合、当該外部加熱源400を起動して当該加熱される電池300を加熱し、当該温度が第2予め設定された閾値以上である場合、当該外部加熱源400を切断するために用いられ、当該第1予め設定された閾値が当該第2予め設定された閾値よりも小さい。
【0143】
図12に示すように、当該電池加熱システム100は外部加熱源400を更に含み、当該外部加熱源400は加熱膜による加熱又はPTC水熱を含み、加熱膜又はPTC水熱は何れも電池の表面との接触伝熱であり、その主な利点は加熱構造が簡単で、技術が成熟する。本願の実施例はリチウム電池の特徴に合わせて、2つの加熱方法を組み合わせる。
【0144】
温度が第1予め設定された閾値よりも小さい場合、制御ユニット120は、電圧変換ユニットが加熱される電池300を加熱するように制御すると同時に、外部加熱源400を起動して加熱される電池300を加熱する。温度が第1予め設定された閾値以上である場合、電池の内部抵抗は既に大幅に低下するため、頻繁に充放電することにより、加熱効果が大幅に低下し、この場合、電池加熱システムは電池に対する加熱を停止したが、加熱される電池300の温度は予め設定された第2閾値に達していないため、この場合、当該加熱される電池300の温度が予め設定された第2閾値に達するまで、当該外部加熱源400は加熱される電池300に対する加熱を継続し、この場合、加熱される電池300の温度は正常に使用することができると、外部加熱源400を切断することができる。
【0145】
本願の実施例は、電池の自己加熱モードと従来の外部加熱源による加熱モードを組み合わせることで、加熱される電池の加熱効果を向上させ、加熱効率を向上させる。
【0146】
以上から分かるように、本願の実施例により提供される電池加熱システムは、制御ユニットが電圧変換ユニットの充放電頻度及び電荷移動抵抗に基づいて安全振幅電流を決定し、当該充放電頻度及び安全振幅電流に基づいて電圧変換ユニットに制御信号を送信し、電圧変換ユニットが制御信号に基づいて当該第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うことで、電池の加熱効果を大幅に向上させ、加熱効率を向上させる。
【0147】
本願の実施例の別の態様によれば、上記実施例により提供される電池加熱システムに適用する電池加熱方法を更に提供しており、具体的には図14に示されている。本願の実施例により提供される電池加熱方法は、
電圧変換ユニットの充放電頻度を取得するステップ1401と、
当該充放電頻度に基づいて加熱される電池300の電荷移動抵抗を決定するステップ1402と、
当該電荷移動抵抗に基づいて当該加熱される電池300の安全振幅電流を計算するステップ1403と、
当該電圧変換ユニットに当該安全振幅電流及び当該充放電頻度に基づいて制御信号を送信し、当該制御信号に基づいて当該加熱される電池300の入力する第1電圧又は当該電源200の入力する第2電圧を調節させるステップ1404と、を含む。
【0148】
ここで、加熱される電池が電圧変換ユニットを介して電源に電気的に接続され、当該電源は様々な形態であり、電気装置における高電圧電池、低電圧電池であってもよく、車載充電システムにより電圧を変換した後に提供される電源であってもよい。
【0149】
本願の上記実施例は、電圧変換ユニットの充放電頻度及び電荷移動抵抗に基づいて安全振幅電流を決定し、当該充放電頻度及び安全振幅電流に基づいて電圧変換ユニットに制御信号を送信し、電圧変換ユニットが制御信号に基づいて当該第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うことで、電池の加熱効果を大幅に向上させ、加熱効率を向上させる。
【0150】
幾つかの実施例において、当該充放電頻度に基づいて加熱される電池の電荷移動抵抗を決定することは、当該加熱される電池の温度を取得し、当該温度及び当該充放電頻度に基づいて当該加熱される電池の電荷移動抵抗を決定することを含む。
【0151】
このような方法によって、加熱される電池の状態をリアルタイムに監視し、充放電電圧を修正することができることで、加熱される電池を常に最適な加熱効果にし、加熱効率を大幅に向上させる。
【0152】
幾つかの実施例において、当該の当該充放電頻度に基づいて加熱される電池の電荷移動抵抗を決定することは、当該加熱される電池の荷電状態、当該温度及び当該充放電頻度に基づいて当該加熱される電池の電荷移動抵抗を決定することを含み、当該の電荷移動抵抗に基づいて当該加熱される電池の安全振幅電流を計算することは、当該加熱される電池のリチウム析出電位及び当該電荷移動抵抗に基づいて当該加熱される電池の安全振幅電流を計算することを含む。
【0153】
本願の実施例は、メーカーの設定した充電カットオフ電圧及び開回路電圧に依存せずに、黒鉛負極の平衡電位及び電荷移動抵抗に基づいて安全振幅電流を取得することで、充電される電池の実際の状態を最大限に反応することができ、メーカーの設定したカットオフ電圧の制限を突破し、加熱効率を大幅に向上させる。
【0154】
幾つかの実施例において、当該の電荷移動抵抗に基づいて当該加熱される電池の安全振幅電流を計算することは、当該加熱される電池の荷電状態、温度、充放電頻度及び安全振幅電流のマッピングテーブルが予め記憶されることと、当該加熱される電池の荷電状態、当該温度及び当該充放電頻度に基づいて当該安全振幅電流のマッピングテーブルをクエリし、現在状態での当該加熱される電池の安全振幅電流を決定することと、を含む。
【0155】
加熱される電池の荷電状態、当該温度、当該充放電頻度及び安全振幅電流のマッピングテーブルを設定することで、充放電の安全振幅電流を迅速に取得することができ、加熱効率を向上させる。
【0156】
幾つかの実施例において、当該の制御信号に基づいて当該加熱される電池の入力する第1電圧又は当該電源の入力する第2電圧を調節することは、当該加熱される電池の受信する充電電流を当該安全振幅電流よりも小さくするように、第1時間内に当該第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うことを含む。
【0157】
幾つかの実施例において、当該の制御信号に基づいて当該加熱される電池の入力する第1電圧又は当該電源の入力する第2電圧を調節することは、当該加熱される電池の出力する放電電流を当該安全振幅電流よりも小さくするように、第2時間内に当該第1電圧又は第2電圧に対する昇圧又は降圧処理を行うことを含む。
【0158】
幾つかの実施例において、当該方法は更に、当該温度が第1予め設定された閾値よりも小さい場合、当該加熱される電池の入力する第1電圧又は当該電源の入力する第2電圧を調節し、当該温度が当該第1予め設定された閾値以上である場合、当該加熱される電池の入力する第1電圧又は当該電源の入力する第2電圧に対する調節を停止することを含む。
【0159】
上記方式は、加熱される電池の温度をリアルタイムに監視することで、加熱される電池の状態に基づいて加熱プロセスを適時に制御することができ、加熱効果が低い場合、加熱プロセスを適時に停止することができ、エネルギーを節約する。
【0160】
幾つかの実施例において、当該方法は更に、当該温度が第2予め設定された閾値よりも小さい場合、外部加熱源を起動して当該加熱される電池を加熱し、当該温度が第2予め設定された閾値以上である場合、外部加熱源を切断することを含み、当該第1予め設定された閾値が当該第2予め設定された閾値よりも小さい。
【0161】
本願の実施例は、急速加熱モードと従来の外部加熱源による加熱モードとを組み合わせることで、加熱される電池の加熱効果を向上させ、加熱効率を向上させる。
【0162】
本願の実施例の別の態様によれば、上記実施例により提供される電池加熱システムを含む給電システムを更に提供しており、当該電池加熱システムは加熱される電池を加熱するために用いられ、当該加熱される電池は電源を提供するために用いられる。
【0163】
本願の実施例の別の態様によれば、上記給電システムを含む電気装置を更に提供しており、当該給電システムは電源を提供するために用いられる。当該電気装置は、携帯電話、タブレット、ラップトップ、電動玩具、電動工具、バッテリーカー、電気自動車、船舶、宇宙船等であってもよいが、これらに限定されない。ここで、電動玩具は、ゲーム機、電気自動車のおもちゃ、電気ボートのおもちゃ及び電気飛行機のおもちゃ等の固定式又は移動式の電動玩具を含んでもよく、宇宙船は、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙カプセル等を含んでもよい。
【0164】
最後に説明すべきことは、上記の実施例が本願の技術的解決手段を説明するものに過ぎず、それを制限するものではなく、上記の実施例を参照しながら、本願を詳しく説明しているが、当業者であれば、依然として上記の各実施例に記載される技術的解決手段を修正し、又はその技術的特徴の一部に対する同等置換を行うことができるが、これらの修正や置換により、対応する技術的解決手段の本質が本願の各実施例にかかる技術的解決手段の精神や範囲から逸脱することはないことが理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】