(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】精巣インプラントのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/02 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
A61F2/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547533
(86)(22)【出願日】2022-02-10
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 US2022016019
(87)【国際公開番号】W WO2022173979
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517268658
【氏名又は名称】メノヴァ インターナショナル,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリスト,ジェームズ,ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA30
4C097BB01
4C097CC01
4C097EE02
4C097EE06
(57)【要約】
精巣インプラントのデバイスおよび方法を提供する。精巣インプラントのデバイスは、陰嚢内に植え込まれるように構成された略球状の中空体と、精巣を受容するようにサイズ調節された内腔とを備える。略球状の中空体はネットシーティングの1つ以上の層を有することで、構造的剛性を精巣インプラントに与え、精巣インプラントを患者に縫合するのを容易にする。上記方法は、1つ以上の麻酔薬を、少なくとも1つの精巣および1つの陰嚢を有する患者に投与する工程と、陰嚢に切込みを入れて、精巣鞘膜を表出させる工程と、精巣鞘膜に切込みを入れる工程と、略球状の中空体とネットシーティングの1つ以上の層とを有する精巣インプラントを提供する工程と、精巣インプラントを少なくとも1つの精巣上に配置する工程と、精巣鞘膜にある切込みを閉じる工程と、精巣インプラントを精巣鞘膜に接合させる工程と、陰嚢を閉じる工程とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰嚢内に植え込まれるように構成されるとともにネットシートの1つ以上の層を有する略球状の中空体と、
精巣を受容するようにサイズ調節されるとともに内腔縁部を有する内腔と
を備える精巣インプラント。
【請求項2】
前記精巣インプラントは生体適合性材料から形成される、請求項1に記載の精巣インプラント。
【請求項3】
前記精巣インプラントは、ゲル状の材料、生理食塩水、大理石、または、医療用シリコーン、ポリエステル、および1つ以上のエアポケットの1つ以上から形成される1つ以上の内層から形成される、請求項1に記載の精巣インプラント。
【請求項4】
前記ネットシートの1つ以上の層は、ポリプロピレン、シリコーン、ウシ組織、または他の生体適合性材料から形成される、請求項1に記載の精巣インプラント。
【請求項5】
前記中空体は、生体適合性のある接合剤を使用して前記陰嚢内に取り付けられる、請求項1に記載の精巣インプラント。
【請求項6】
前記ネットシートの1つ以上の層は前記中空体を精巣鞘膜に取り付ける、請求項1に記載の精巣インプラント。
【請求項7】
前記ネットシートの1つ以上の層は、生体適合性のある接合剤を使用して前記中空体を前記精巣鞘膜に取り付ける、請求項6に記載の精巣インプラント。
【請求項8】
前記生体適合性のある接合剤は縫合糸である、請求項7に記載の精巣インプラント。
【請求項9】
1つ以上の機能層をさらに備える、請求項1に記載の精巣インプラント。
【請求項10】
前記1つ以上の機能層は、抗生物質層、抗菌層、抗細菌層、抗接着層、親水性コーティング、潤滑層、抗炎症層、制御放出層、および流体減少層のうち1つ以上を備える、請求項9に記載の精巣インプラント。
【請求項11】
前記中空体は少なくとも直径0.5インチである、請求項1に記載の精巣インプラント。
【請求項12】
陰嚢内に植え込まれるように構成されるとともにネットシートの1つ以上の層を有する略球状の中空体と、
精巣を受容するようにサイズ調節されるとともに内腔縁部を有する内腔であって、前記中空体が前記内腔縁部に沿って縫合糸を使用して前記陰嚢内に取り付けられる、内腔と
を備える精巣インプラント。
【請求項13】
1つ以上の麻酔薬を、少なくとも1つの精巣および1つの陰嚢を有する患者に投与する工程と、
前記陰嚢に少なくとも1.5インチの縦方向の切込みを入れて、精巣鞘膜を表出させる工程と、
前記精巣鞘膜に少なくとも1.5インチの縦方向の切込みを入れる工程と、
略球状の中空体およびネットシートの1つ以上の層を有する精巣インプラントを提供する工程と、
前記精巣インプラントを前記少なくとも1つの精巣上に配置する工程と、
前記精巣鞘膜にある前記少なくとも1.5インチの縦方向の切込みを閉じる工程と、
前記精巣インプラントを前記精巣鞘膜に接合させる工程と、
前記陰嚢を閉じる工程と
を含む、精巣インプラントの方法。
【請求項14】
前記精巣インプラントは、精巣を受容するようにサイズ調節された内腔をさらに備える、請求項13に記載の精巣インプラントの方法。
【請求項15】
前記精巣インプラントを前記少なくとも1つの精巣上に配置する工程は、前記内腔を前記少なくとも1つの精巣上に配置することをさらに含む、請求項14に記載の精巣インプラント。
【請求項16】
前記精巣インプラントを前記精巣鞘膜に接合させる工程は、前記精巣インプラントを前記精巣鞘膜に縫合することをさらに含む、請求項13に記載の精巣インプラントの方法。
【請求項17】
前記精巣インプラントを前記精巣鞘膜に縫合することは、前記ネットシートの1つ以上の層を前記精巣鞘膜に縫合することをさらに含む、請求項16に記載の精巣インプラントの方法。
【請求項18】
前記精巣インプラントを所望の形状に整える工程であって、前記所望の形状は前記少なくとも1つの精巣の大きさに基づく、工程をさらに含む、請求項13に記載の精巣インプラントの方法。
【請求項19】
1つ以上の抗生物質を用いて洗浄する工程をさらに含む、請求項13に記載の精巣インプラントの方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府契約)
適用不可
【0002】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2021年2月10日に出願された米国特許出願第17/172,506号の利益に依存する。この出願の内容は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
(連邦政府による資金提供を受けた研究/開発の記載)
適用不可
【0004】
(著作権および商標の掲示)
本特許文献の開示の一部は、著作権保護の対象となる資料を含み得る。本特許文献は、権利者のトレードドレスであるか権利者のトレードドレスになり得る事項を示し、かつ/または記載し得る。特許商標庁の特許ファイルまたは記録に見られるように、著作権およびトレードドレスの権利者は、特許文献または特許開示のいずれかによる複写に異議を唱えないが、そうでない場合、一切の著作権およびトレードドレス権を所有する。
【0005】
開示される主題は、概して、外科手術で植え込まれるデバイスならびに方法、および、より具体的には、睾丸ならびに陰嚢の外観を向上かつ増大させるための外科手術で植え込まれるプロテーゼに関する。
【背景技術】
【0006】
一般に、男性生殖器系の解剖学的構造は、陰茎および睾丸を含む。陰茎は、尿を体外に排出するための導管として働き、男性器としても機能する。一方、精巣(testes)(および個々に「精巣(testis)」)とも称される睾丸は、精子およびテストステロンが生成される腺である。陰嚢(scrotum)、または陰嚢(scrotal sac)は、睾丸、血管、および精索の一部を含有かつ保護する筋肉の嚢である。さらに、精巣鞘膜は、精巣を覆う漿膜の嚢である。陰嚢は、陰茎の裏側かつ下部に位置する。
【0007】
一部の個人は、小さくまたは不自然な見た目の陰嚢部を有する。例えば、外因性テストステロンを使用する個人は、睾丸の大きさの顕著な縮小をしばしば経験する。癌による一方または両方の睾丸の切除、精巣萎縮、停留精巣、および陰嚢と比較して元来からより小さな睾丸の大きさを含む他の疾病は、異常な形状または平均的な陰嚢の大きさよりも小さくなることにつながる。いずれにせよ、陰嚢の美観の外科矯正が必要とされるか求められる。そのため、いくつかの精巣インプラントがこの課題の解決を試みたが、成功は限られている。
【0008】
例えば、米国特許第5,662,709号は、精巣の大きさおよび形状を改良するための、陰嚢内に植え込まれ、精巣に取り付けられるように構成されるインプラントのデバイスを教示する。このインプラントは、小さな生殖腺または形状欠陥(malformity)を抱える男性患者に適している一方で、このデバイスは、該デバイスに構造を加えるようなネットシートの1つ以上の層を備えない。したがって、十分な剛性を有し、患者の生殖腺に容易に縫合され得るインプラントを提供しないため、この教示は不十分である。
【0009】
別の試みが米国特許第4,726,360号に関して見られ、この試みは、勃起不全の治療に適した陰茎プロテーゼを教示するものである。この開示は、陰茎の海綿体内への植込みのための細長く柔軟な部材と、流体を該部材に移すように構成される圧力バルブ(pressure bulb)とを提供する。本発明が提供するような睾丸の自然な外観および感触を提供しないため、この教示もまた不十分である。
【0010】
前述の試みはいずれも、本発明の利点を含まない。そのため、精巣ならびに/または陰嚢の大きさ、対称性、および外観を改良するための精巣インプラントが依然として必要とされる。
【発明の概要】
【0011】
本開示は、陰嚢の大きさを拡大し得、全体的な陰嚢の外観を向上させ得る精巣インプラントのデバイスを対象とする。より具体的には、精巣インプラントのデバイスは、左右非対称な睾丸を左右対称にし、睾丸の大きさを大きくすることによって、陰嚢の外観を改良し得る。さらに、精巣インプラントは、精巣インプラントが植え込まれていることを知らない第三者からして、外観および感触において自然に見え得る。
【0012】
要約の目的で、ある態様、利点、および新規の特徴が記載されている。そのような利点がすべて、任意の1つの特定の実施形態にしたがって達成され得る訳ではないことを理解されたい。したがって、開示される主題は、教示または示唆され得る利点をすべて達成することなく、1つの利点もしくはいくつかの利点を達成または最適化するように、具体化または実行され得る。
【0013】
一実施形態によれば、精巣インプラントは、略球状の中空体および内腔を備え得る。略球状の中空体は、陰嚢内に植え込まれるように構成され得、したがって、陰嚢手術によって陰嚢中に挿入されるようにサイズ調節され得る。内腔は、精巣を受容するようにサイズ調節され得、内腔縁部をさらに備え得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、精巣インプラントは、小さい睾丸、つまり、患者が所望するよりも小さいか平均よりも小さいものであり得る睾丸を有する陰嚢内に植込み可能であり得る。そのような実施形態では、精巣インプラントは、ホルモン生成などのいかなる精巣機能をも有することなく、精巣を増大させる働きをし得る。代替的な実施形態では、精巣インプラントは、形状および/または大きさにおいて左右非対称であり得る精巣を有する陰嚢内に植込み可能であり得る。これらの実施形態では、精巣インプラントは、既存の精巣を左右対称にする働きをし得る。なおさらなる実施形態では、精巣インプラントは、陰嚢内に植込み可能であり得、ここで、陰嚢は、垂れ下がっている場合があるか大きな陰嚢ウェブ(scrotal web)を含み得る。そのような実施形態では、精巣インプラントは、陰嚢を満たす働きをし得る。
【0015】
球状の中空体は、自然な精巣の形状を概して模倣するように形成され得る。このようにして、中空体は、陰嚢の大きさを拡大し得る。ある実施形態によれば、中空体は、直径およそ0.5インチから6インチの間、または直径およそ10mmから160mmの間の範囲であり得る。代替的な実施形態では、中空体は、直径6インチ以上、または直径160mm以上であり得る。当業者は、中空体が他の形状および大きさで形成され得ることを認識するであろう。例えば、中空体は、刻面(facetted surfaces)を有し得、かつ/または左右非対称の形状を有し得る。中空体は、部分的に中空であり得、そのため、部分的に満たされ得ることが理解されるであろう。
【0016】
さらに、中空体は、ネットシートの1つ以上の層を備え得る。ネットシートは、伸縮性であり、精巣インプラントに付加的な構造を与え得る。ネットシートは、ポリプロピレン、シリコーン、ウシ組織、大理石、糸、または他の生体適合性材料から形成され得る。ある実施形態では、ネットシートは、長方形格子状に配置され得る。ネットシートは、場合によっては、さらに、インプラントの陰嚢および/または既存の精巣への縫合を容易にし得る。このようにして、いくつかの実施形態では、ネットシートは、内腔縁部に沿って配置され得、そこで、内腔の内周にわたって広がる。ネットシートは、ガーゼまたはメッシュを備えるか、そうでなければ、ガーゼまたはメッシュと称され得る。非シート状の構成も考慮され得る。ネットシートは省かれ得ることが理解されるであろう。
【0017】
内腔は、凹型かつ概ね湾曲形状であり得る。いくつかの実施形態では、内腔は、精巣のための正確に十分な空間を備え得る。他の実施形態では、内腔は、精巣を受容するようにサイズ調節され、さらに、精巣を囲む付加的な空間を与え得る。精巣が取り除かれているか、そうでなければ通常よりも小さいなおさらなる実施形態では、内腔が有する空間は大幅に小さくなり得る。
【0018】
前述のように、内腔は内腔縁部を有し得る。内腔縁部は、内腔への進入手段として働き得る。この場合、精巣が付いたままであり得る実施形態では、精巣は、内腔縁部を通って、内腔中に収まり得る。あるいは、内腔縁部は(したがって、内腔も)、陰嚢の精索または他の部分を包含する。
【0019】
ある実施形態では、精巣インプラントは、生体適合性材料から形成され得る。例として、生体適合性材料は、医療用シリコーンおよび/または医療用ポリエステルを含み得る。あるいは、精巣インプラントは、ゲル状の材料から形成され得るか、生理食塩水、大理石、または他の材料を含み得る。加えて、精巣インプラントは、1つ以上のエアポケットを備え得る。さらに、精巣インプラントは、剛性を与え得る1つ以上の内層から形成され得る。精巣インプラントは、その表面部分に沿って柔らかく滑らかに感じられ得る。他の実施形態では、精巣インプラントは、その表面部分に沿って質感があるように感じられ得る。実際に、本発明の目的は、自然な感触および外観の精巣インプラントを提供することである。
【0020】
いくつかの実施形態では、精巣インプラントは1つ以上の機能層を備え得る。1つ以上の機能層のいずれか一層は、中空体、内腔、および/または内腔縁部に固定され得る。1つ以上の機能層によって果たされる支持される機能の数が企図される一方で、1つ以上の機能層は、抗菌層、抗細菌層、および/または抗生物質層を備え得る。他の実施形態では、1つ以上の機能層は、抗接着層、滑らかな(slick)層、もしくは潤滑層、抗炎症層、制御放出層、流体減少層、またはこれらの1つ以上の多機能組合わせでさえもあり得る。
【0021】
さらに、精巣インプラントは、抗細菌コーティング、抗菌コーティング、および/または抗生物質コーティングを、中空体の内面および外面の一方または両方に沿って備え得る。抗菌コーティング、抗生物質コーティング、および/または抗細菌コーティングは、植込みの最中または植込み後の手術部位または手術部位周辺の細菌からの感染を防ぎ得る。当業者に公知の任意の抗細菌コーティング、抗生物質コーティング、または抗菌コーティングが、精巣インプラントに施され得る。
【0022】
前述の特徴は、単独で、あるいは他のこれらの前述の特徴との任意の組合わせで、精巣インプラントに取り込まれ得る。具体的には、これらの特徴として、精巣インプラントが生体適合性材料から形成され得ること、精巣インプラントが、ゲル状の材料、生理食塩水、大理石、または、医療用シリコーン、ポリエステル、および1つ以上のエアポケットのうちの1つ以上から形成される1つ以上の内層から形成され得ること、ネットシートの1つ以上の層が、ポリプロピレン、シリコーン、ウシ組織、または他の生体適合性材料から形成され得ること、中空体が、陰嚢内に生体適合性のある接合剤を使用して取り付けられ得ること、ネットシートの1つ以上の層が、好ましくは生体適合性のある接合剤を使用して中空体を精巣鞘膜に取り付け得、より好ましくは、ここで、この生体適合性のある接合剤は縫合糸であり得ること、精巣インプラントが1つ以上の機能層を備え得、好ましくは、ここで、1つ以上の機能層は、抗生物質層、抗菌層、抗細菌層、抗接着層、親水性コーティング、潤滑層、抗炎症層、制御放出層、および流体減少層のうちの1つ以上の層を備え得ること、および、中空体が少なくとも直径0.5インチであることが挙げられる。
【0023】
本発明の一実施形態では、前述の精巣インプラントのデバイスを伴う方法は、陰嚢および精巣の美容上の外観を向上させるのに使用され得る。方法は、1つ以上の麻酔薬を、少なくとも1つの精巣および1つの陰嚢を有する患者に投与する工程と、陰嚢に少なくとも1.5インチ、または少なくとも35mmの縦方向の切込みを入れ、精巣鞘膜を表出させる工程と、精巣鞘膜に少なくとも1.5インチ、または少なくとも35mmの縦方向の切込みを入れる工程と、略球状の中空体およびネットシートの1つ以上の層を有する精巣インプラントを提供する工程と、精巣インプラントを少なくとも1つの精巣上に配置する工程と、精巣鞘膜にある少なくとも1.5インチ、または少なくとも35mmの縦方向の切込みを閉じる工程と、精巣インプラントを精巣鞘膜に接合させる工程と、陰嚢を閉じる工程とを含み得る。したがって、前述の方法で使用するための開示される精巣インプラントが存在する。状況によっては、1.5インチおよび/または35mmよりも小さい切込みが考慮され得ることが理解されるであろう。
【0024】
前述の方法、またはその精巣インプラントは、精巣インプラントが精巣を受容するようにサイズ調節された内腔をさらに備え得ること、ならびに、好ましくは、精巣インプラントを少なくとも1つの精巣上に配置する工程が、内腔を少なくとも1つの精巣上に配置することをさらに含み得ること、精巣インプラントを精巣鞘膜に接合させる工程が、精巣インプラントを精巣鞘膜に縫合することをさらに含み得ること、ならびに、好ましくは、精巣インプラントを精巣鞘膜に縫合する工程が、ネットシートの1つ以上の層を精巣鞘膜に縫合することをさらに含み得ること、方法が精巣インプラントを所望の形状に整える工程をさらに含み得、所望の形状は少なくとも1つの精巣の大きさに基づき得ること、および、方法が1つ以上の抗生物質を用いて洗浄する工程をさらに含み得ることといった特徴ならびに工程を、単体で、あるいはこれらの任意の組合わせで含み得ることが理解されるであろう。
【0025】
上記に開示される実施形態のうちの1つ以上は、特定の代案に加えて、添付の図面を参照して以下でさらに詳細に提供される。しかし、開示される主題は、開示される任意の特定の実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、精巣インプラントのデバイスの1つの実施形態の斜視図を示す。
【
図2】
図2は、精巣インプラントのデバイスの1つの実施形態の側面図を示す。
【
図3】
図3は、精巣インプラントのデバイスの1つの実施形態の斜視図を示す。
【
図4】
図4は、精巣インプラントのデバイスの1つの実施形態の断面図を示す。
【
図5】
図5は、精巣インプラントの方法の1つの実施形態を示す。
【0027】
開示される実施形態は、以下で提供されるように、添付の図面中の図を参照することでより良く理解され得る。添付の図面は、クレームされる方法およびシステムの実施可能要件(enabling description)を提供するための非限定的な例として提供される。しかし、添付図面は本発明の典型的な実施形態のみを例示し、よって、その範囲を限定するものと見なされるべきではないという事実に注意が向けられる。本発明は、そのような実施形態の完全な実施可能要件を提供するために含まれる詳細のいくつかを伴わずに実行され得ることを、当業者は理解するであろう。周知の構造および機能は、実施形態の記載を不必要に曖昧にすることを避けるために、詳細に示されておらず、記載もされていない。
【0028】
例示の簡素性および明確性のために、図面は構造の一般的な様式を例示し、周知の特徴ならびに技術の記載および詳細は、本発明を不必要に曖昧にすることを避けるために省かれ得る。さらに、図面中の要素の縮尺率は必ずしも正確ではない。例えば、図面中の要素のいくつかの寸法は、本発明の実施形態をより良く理解するために、他の要素に対して強調され得る。異なる図面中の同じ参照番号は、同じ要素を表す。
【0029】
明細書および特許請求の範囲における用語「第1の(first)」、「第2の(second)」、「第3の(third)」、「第4の(forth)」などは、存在する場合、類似の要素を区別するために使用されるが、特定の順序または時系列を記載するために必ずしも使用されるわけではない。そのように使用される用語は、本明細書で記載される実施形態が、例えば、本明細書に例示またはその他の方法で記載される以外の順序で動作可能となるように、適切な状況下で交換可能である。さらに、用語「含む(include)」、「有する(have)」、およびそれらのあらゆる変化形は、要素の列挙を含む、プロセス、方法、システム、物品、デバイス、または装置が、それらの要素に必ずしも限定されないが、明確に列挙されていない他の要素、またはそのようなプロセス、方法、システム、物品、デバイス、または装置に固有の他の要素を含み得るように、非排他的包含(non-exclusive inclusion)を網羅することを意図している。
【0030】
用語「連結する(couple)」、「連結される(coupled)」、「連結する(couples)」、「連結(coupling)」などは、広義に理解されるべきであり、かつ、電気的に、機械的に、またはその他の方法で2つ以上の要素または信号を接合させることを意味する。2つ以上の電気的要素は、電気的に連結され得るが、機械的またはその他の方法では連結されず、2つ以上の機械的要素は、機械的に連結され得るが、電気的またはその他の方法では連結されず、2つ以上の電気的要素は、機械的に連結され得るが、電気的またはその他の方法では連結されない。(機械的、電気的、またはその他の方法のいずれかによる)連結は、あらゆる期間、例えば、永久もしくは半永久、またはほんの一瞬の間で行われ得る。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示の様々な態様を要約してきたが、ここでは、図面に例示されるものを詳細に参照する。本開示がこれらの図面に関連して記載される一方で、本開示を本明細書で開示される実施形態(embodiment or embodiments)に限定する意図はない。むしろ、添付の特許請求の範囲によって定められる本開示の趣旨および範囲内に含まれる代替形態、改変形態、および等価物をすべて網羅することが意図される。
【0032】
図1~4を参照すると、いくつかの実施形態において陰嚢の自然な見た目および感触を保ちつつ、陰嚢の大きさを増大させ得る、精巣インプラント(10)が提供される。患者の陰嚢(30)の外観上の大きさを増大させ、全体的な陰嚢の外観を向上させることに加えて、精巣インプラント(10)は、精巣(testes)(個々に、精巣(testis)(40))を左右対称にする場合もある。さらに、精巣インプラント(10)は、垂れ下がった陰嚢または大きな陰嚢ウェブを有する患者向けに、陰嚢(30)を満たす場合がある。別の例として、精巣インプラント(10)は、患者の睾丸が先天的に停留しているまたは睾丸が小さい場合に植え込まれ得る。さらに、精巣インプラント(10)は、患者の自信、自己肯定感、および全体的な自己に対する満足度を向上させ得る。
【0033】
図1に示すように、精巣インプラント(10)は、略球状の中空体(20)および内腔(25)を備え得る。中空体(20)は、陰嚢(30)内に植え込まれるように構成され得る。したがって、中空体(20)は、陰嚢手術の間に埋め込まれると陰嚢(30)内に収まるようにサイズ調節され得る。中空体(20)は、生体適合性のある接合剤を使用して、陰嚢(30)または精巣(40)に取り付けられ得る。例えば、生体適合性のある接合剤は、縫合糸、接着剤、ホチキス針、または他のあらゆる生体適合性材料を含み得る。全体として、精巣インプラント(10)は、患者に精巣機能を与えない代わりに、審美的な有用性(aesthetic utility)をもたらす。そのような実施形態では、中空体(20)は、陰嚢(30)を十分に満たし、陰嚢によりふっくらとし、丸みを帯びた外観を与えるように、わずかに大きくなり得る。
【0034】
球状の中空体(20)は、カップ状かつ楕円形状であり得る。そのため、中空体(20)は、精巣(40)または精索(35)の周囲に配置されるように構成され得る。当然、前述のように、中空体(20)は、陰嚢(30)にも固定され得る。ある実施形態では、中空体(20)は、精巣(40)の形状を模倣するように構成され得る。例示によって、中空体(20)は、直径およそ0.5インチから6インチの間、または直径10mmから160mmの間の範囲であり得る。あるいは、中空体(20)は、直径6インチ以上、または直径160mm以上であり得る。全体として、中空体(20)は、患者の大きさおよび嗜好性に応じてより大きく、またはより小さくなり得る。さらに、いくつかの実施形態では、中空体(20)は、選択される物理的寸法にしたがって患者用に特別に成形され得る。
【0035】
図2~3でより詳細に示されるように、中空体(20)はまた、ネットシート(22)の1つ以上の層を備え得る。いくつかの実施形態では、ネットシート(22)は、中空体(20)の外面から見えない場合があることに留意されたい。そのような実施形態では、ネットシート(22)の1つ以上の層は、中空体(20)の(視界から見えない)内面内に埋め込まれ得る。本明細書で示されかつ記載されるように、ネットシート(22)の1つ以上の層は、中空体(20)の外面内に埋め込まれ得るので、ネットシート(22)は中空体(20)の外面から視認可能な場合がある。
【0036】
ネットシート(22)の1つ以上の層は、精巣インプラント(10)に剛性を与え得るとともに、伸縮可能でもある。ある実施形態にしたがって、ネットシート(22)の1つ以上の層は、ポリプロピレン、シリコーン、ウシ組織、大理石、または糸から形成され得る。当業者は、ネットシート(22)が、他の医学的に安全で生体適合性のある材料からも形成され得ることを理解するであろう。他の実施形態では、ネットシート(22)は、非生体適合性のある材料から形成され得る。
【0037】
ネットシート(22)は、クロスハッチングフィラメント、すなわち、長方形格子状に配置されたフィラメントから形成され得る。他の実施形態では、ネットシート(22)は、他の幾何学パターン、または非幾何学パターンからさえでも形成され得る。精巣インプラント(10)がネットシート(22)の1を超える層を備え得る実施形態では、各層は、中空体(20)に沿って間隔を空けて向かい合うような構成で配置され得、これにより、精巣インプラントをいずれの左右方向にも縫合しない。ある実施形態では、ネットシート(22)は、およそ1/32インチの厚みと1/32インチの間隔、またはおよそ0.8mmの厚みと0.8mmの間隔を有するフィラメントを備え得る。このようにして、ネットシート(22)は、精巣インプラント(10)の精巣(40)、精索(35)、または陰嚢(30)沿いの他の場所への縫合を容易にもし得る。
【0038】
図3を参照すると、ネットシート(22)の1つ以上の層は、メッシュリング(mesh ring)(24)を備え得る。メッシュリング(24)は、内腔縁部(27)沿いに配置され得る。つまり、メッシュリング(24)は、内腔(25)の内周に沿って延在し得る。そのような実施形態では、メッシュリング(24)は、精巣(40)と整列し、かつ精巣(40)を囲み得、精巣インプラント(10)の精巣(40)への縫合を容易にし得る。しかし、メッシュリング(24)は、一続きではない場合があり、例えば、内腔縁部(27)周辺で切れるか、または別個のパッチを形成する。メッシュリングは、ガーゼ、ネット、または縫合片を備え得るか、これらの名称で呼ばれ得る。ネットシート(22)の外層が省かれる場合であっても、実行可能な方法で、メッシュリング(24)は備えられ得る。
【0039】
図1~4のいずれかを注視すると、内腔(25)は内腔縁部(27)を備え得る。内腔縁部(27)は、内腔(25)の開口部を画定し得、よって、内腔(25)への進入手段を画定し得る。中空体(20)は、精巣(40)、陰嚢(30)、精索(35)、または内腔縁部(27)を介した他の場所に固定され得る。具体的には、中空体(20)は、生体適合性のある接合剤を使用するなどして、内腔縁部(25)に沿って患者に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、内腔縁部(27)の全体が患者に取り付けられ得る。他の実施形態では、内腔縁部(27)の一部のみが患者に取り付けられ得る。
【0040】
中空体(20)はカップ状であり得るため、内腔(25)は、それに対応して湾曲しかつ凹型であり得る。いくつかの実施形態では、内腔(25)は、精巣(40)を受容するようにサイズ調節され得る。それらの実施形態のいくつかによれば、内腔(25)は、精巣(40)を受容するようにサイズ調節され、精巣(40)を囲む付加的な空間を設け得る。この付加的な空間は、フィラーによって満たされ得る。あるいは、内腔(25)は、陰嚢(30)を満たすようにサイズ調節され得、それによって、精巣(40)のために正確に十分な空間を設け得る。
【0041】
精巣インプラント(10)は、柔らかく、滑らかで、伸縮可能な材料から形成され得る。あるいは、精巣インプラント(10)は質感のある材料から形成され得る。ある実施形態によれば、生体適合性材料である。例として、精巣インプラント(10)は、医療用のシリコーン、医療用のポリエステル、医療用のポリプロピレン、またはこれらの組合わせから形成され得る。精巣インプラント(10)は、他の医学的に安全な、生体適合性材料からも形成され得ることを、当業者は理解するであろう。
【0042】
さらなる実施形態によれば、精巣インプラント(10)は、ゲル状の材料、生理食塩水、大理石、または他の材料を含み得る。ある実施形態では、精巣インプラント(10)は、1つ以上の内層から形成され得る。さらに、1つ以上の内層は、1つ以上のエアポケットを備え得る。他の実施形態では、精巣インプラント(10)は、伸縮可能な材料を含み得る。全体として、本発明の目的は、見た目および感触において自然なインプラント(10)を提供することである。
【0043】
ある実施形態では、精巣インプラント(10)は、1つ以上の機能層から形成され得る。1つ以上の機能層によって果たされるか支持される例示的であるが限定的ではない多数の機能が企図される。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の機能層は、抗菌層、抗細菌層、および/または抗生物質層であり得る。そのような層は、抗生物質溶液、または、1つ以上の、当業者の間で、微生物を死滅させ、かつ/またはそれらの成長を止める働きをすることで知られる、とりわけ、銀、銅、亜鉛、および第二鉄アンモニウムコーティングなどの化学的な要素もしくは薬剤をも含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の機能層は、非接着性であり得る。そのような場合、1つ以上の機能層は、当業者に公知の親水性コーティングを備え得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の機能層は、シリコーンコーティングを備える滑らかな層、または潤滑層であり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の機能層は、ステロイドコーティングを備える抗炎症層であり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の機能層は、制御放出層であり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の機能層は、当業者に公知の水素化非晶質炭素コーティングなどの流体減少層であり得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、1つ以上の機能層は、前述の、とりわけ、当業者に公知の模範的な機能を組み合わせて実行する働きをする多機能コーティングを備え得ることさえも企図される。同様に、1つ以上の機能層によって果たされるか支持される1つ以上の機能は、本発明から逸脱することなく、組み合わせられるか、そうでなければ、積み重ねられ得る。これらの実施形態のいくつかでは、1つ以上の機能層は、精巣インプラント(10)内に埋め込まれるか植えつけられる。他の実施形態では、1つ以上の機能層は、精巣インプラント(10)が患者の陰嚢内に植え込まれる間に、中空体(20)、内腔(25)、または内腔縁部(27)に固定され得る。
【0045】
さらに、精巣インプラント(10)またはネットシート(22)の1つ以上の層のうちの1つ以上は、抗細菌コーティング、抗菌コーティング、または抗生物質コーティング(「コーティング」と総称する)のうちの1つ以上で被膜され得る。コーティングは、細菌の動きを止め、抗菌活性を絶え間なくもたらし、それによって、皮膚上の細菌が手術部位に感染するのを阻止することで、手術部位の感染リスクを軽減し得る。そのようなコーティングは、ヨウ素、活性塩素、濃アルコール、フェノール性物質、カチオン性物質、酸化剤、重金属、強酸およびアルカリを含み得る。
【0046】
図5を参照すると、本発明の一実施形態は、前述の精巣インプラントのデバイスを植え込む方法を伴い得る。
図5は、本発明の方法の一実施形態のフローチャートを例示する。この方法は、小さい睾丸、左右非対称な陰嚢、および他の関連する診断などの疾病を美容的に矯正することで陰嚢の外観を改良し得る。具体的には、方法は、睾丸に付加的な大きさを与え得、それによって、陰嚢の大きさを向上させる。さらに、方法は睾丸を左右対称にし得る。
【0047】
図5に論証するものを含むある実施形態では、方法は、1つ以上の麻酔薬を、少なくとも1つの精巣および1つの陰嚢を有する患者に投与する工程(ブロック(501))と、陰嚢に少なくとも1.5インチ、または少なくとも35mmの縦方向の切込みを入れて、精巣鞘膜を表出させる工程(ブロック(502))と、精巣鞘膜に少なくとも1.5インチ、または少なくとも35mmの縦方向の切込みを入れる工程(ブロック(503))と、略球状の中空体およびネットシートの1つ以上の層を有する精巣インプラントを提供する工程(ブロック(504))と、精巣インプラントを少なくとも1つの精巣上に配置する工程(ブロック(505))と、精巣鞘膜にある少なくとも1.5インチ、または少なくとも35mmの縦方向の切込みを閉じる工程(ブロック(506))と、精巣インプラントを精巣鞘膜に接合させる工程(ブロック(507))と、陰嚢を閉じる工程(ブロック(508))とを含み得る。
【0048】
最初に、1つ以上の麻酔薬が投与され得る(ブロック(501))。1つ以上の麻酔薬は、患者の意識を失わせるか、そうでなければ、患者の意識状態、施術による痛みの感覚および知覚を変えるか、または低下させ得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の麻酔薬は、一般的な麻酔または脊椎麻酔を含み得る。さらなる実施形態では、1つ以上の麻酔薬は、一般的な薄明麻酔(twilight anesthesia)を含み得る。これらの実施形態では、一般的な麻酔は、少ない投与量で投与され得、これにより、穏やかな鎮静作用および不安緩解を起こす。他の実施形態では、1つ以上の麻酔薬は局所麻酔薬を含み得る。例えば、1つ以上の麻酔薬は、陰嚢部分周辺に注射され得る。そのような実施形態では、1つ以上の麻酔薬は、リドカイン、他の長時間作用型の局所麻酔薬、またはこれらの組合わせなどの局所麻酔薬を含み得る。
【0049】
一度1つ以上の麻酔薬が投与されると(ブロック(501))、陰嚢に少なくとも1.5インチ、または少なくとも35mmの縦方向の切込みが入れられ得る(ブロック(502))。その結果、精巣鞘膜が表出させられ得る。1.5インチ、または少なくとも35mmの縦方向の切込みが入れられた(ブロック(502))後、精巣インプラントが提供され得る(ブロック(504))。いくつかの実施形態では、精巣インプラントは、精巣インプラントのデバイスに関して上記に記載されるものに類似するか、それと同一のものであり得る。さらに、ある実施形態では、精巣インプラントを提供する工程(ブロック(504))は、適切にサイズ調節された精巣インプラントを選択することをさらに含み得る。例えば、適切にサイズ調節された精巣インプラントは、患者の解剖学的構造または所望の結果に基づき得る。
【0050】
次に、精巣インプラントは、少なくとも1つの精巣上に配置されうる(ブロック(505))。上述のように、精巣インプラントは、少なくとも1つの精巣上に精巣インプラントの内腔縁部に沿って配置され得る。つまり、精巣インプラントの内腔は、少なくとも1つの精巣を受容し得、それによって、内腔縁部を精巣に当接させる。いくつかの実施形態では、内腔縁部の一部のみが、少なくとも1つの精巣に当接し、最終的には固定され得る。他の実施形態では、内腔縁部の全体が、精巣に当接かつ固定され得る。
【0051】
精巣インプラントが少なくとも1つの精巣上に配置された(ブロック(505))後、精巣鞘膜にある少なくとも1.5インチ、または少なくとも35mmの縦方向の切込みが閉じられ得る(ブロック(506))。ある実施形態によれば、1.5インチ、または少なくとも35mmの縦方向の切込みは、任意の生体適合性のある接合剤を使用して閉じられ得る。例として、生体適合性のある接合剤は、縫合糸、ホチキス針、または接着剤を含み得る。
【0052】
同様に、精巣インプラントは、その後、生体適合性のある接合剤を使用して精巣鞘膜に接合され得る(ブロック(507))。ある実施形態によれば、ネットシートの1つ以上の層は、精巣鞘膜に縫合され得る。最後に、陰嚢が閉じられ得る(ブロック(508))。ある実施形態では、陰嚢は、生体適合性のある接合剤を使用して同様に閉じられ得る。いくつかの実施形態では、同じ生体適合性のある接合剤が、精巣鞘膜にある1.5インチ、または少なくとも35mmの縦方向の切込みを閉じ(ブロック(506))、精巣インプラントを精巣鞘膜に接合させ(ブロック(507))、陰嚢を閉じる(ブロック(508))のに使用され得る。代替的な実施形態では、異なる生体適合性のある接合剤が使用され得る。
【0053】
さらなる実施形態では、精巣インプラントの方法は、精巣インプラントを所望の形状に整える工程も含み得る。所望の形状は、少なくとも1つの精巣の大きさに基づき得る。このようにして、所望の形状は、少なくとも1つの精巣の自然な形状および大きさを調節し得る。いくつかの実施形態では、所望の形状は、患者の要望にも基づき得る。
【0054】
なおさらなる実施形態では、精巣インプラントの方法は、1つ以上の抗生物質を用いて洗浄する工程をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の抗生物質は、リファンピシンを用いたトリプル抗生物質溶液を含み得る。代替的な実施形態では、1つ以上の抗生物質は、ミノサイクリン、またはリファンピシンとミノサイクリンの組合せと混合されたトリプル抗生物質溶液を含み得る。しかし、方法にしたがって、他の抗生物質または抗生物質溶液が適用され得る。実際に、当業者は、そのような適切な抗生物質を認識するであろう。1つ以上の抗生物質は、手術部位の細菌の成長を阻害するか遅らせ得る。
【0055】
上述の実施形態は考えられる実装形態の単なる例であることが強調されるべきである。多くの変形形態および改変形態が、本開示の原則から逸脱することなく、上述の実施形態に対して作られる。すべてのそのような改変および変形は、本開示の範囲内で本明細書に含まれ、以下の特許請求の範囲によって保護されることを意図する。
【0056】
さらに、本明細書に開示される実施形態および限定は、実施形態および/または限定が、(1)特許請求の範囲で明白に請求されていない場合、および(2)潜在的に、均等論の下で特許請求の範囲における明白な要素および/または限定に対応するものである場合に、公有の原則の下で公衆に向けられたものではない。
【0057】
結論、効果、および範囲
本発明のある実施形態が例示かつ記載される一方で、様々な変形形態が企図され、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく作られることができる。例えば、精巣インプラントのデバイスおよび方法は、患者が所望するよりも小さな睾丸または左右非対称な睾丸を有する場合に実装され得る。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲による場合を除いて、限定されないことが意図される。
【0058】
本明細書に開示される教示は、他のシステムに適用され得、本明細書に記載されるすべのものに必ずしも限定され得ない。上述の様々な実施形態の要素および作用を、さらなる実施形態を提供するために組み合わせることができる。添付の出願書類に列挙され得るすべてのものを含む、上記の特許ならびに出願および他の参考文献のすべては、参照によって本明細書に組み込まれる。必要であれば、本発明のなおさらなる実施形態を提供するために上記に記載される様々な参考文献のシステム、機能、および概念を用いるために、本明細書の態様を改変することができる。
【0059】
本発明のある特徴または態様を記載する時に使用される特定の用語は、用語が関連付けられる精巣インプラントのデバイスおよび方法の任意の特定の特性、特徴、または態様に制限されるように本明細書において洗練されていることを含意するものとして捉えられるべきではない。一般に、以下の特許請求の範囲で使用する用語は、上記の記載部分がそのような用語をはっきりと定義しない限り、精巣インプラントのデバイスおよび方法を本明細書に開示される特定の実施形態に限定するように構成されるべきではない。したがって、実際の範囲は、開示される実施形態だけでなく、開示されるシステム、方法、および装置を実行または実装する同等のやり方もまた包含する。精巣インプラントのデバイスおよび方法の実施形態の上記記載は、上記に開示される正確な形状、もしくは特定の使用分野を述べ尽くすもの、または限定するものとして意図されない。
【0060】
方法、システム、ならびに装置の特定の実施形態および例が例示的な目的で上記に記載される一方で、当業者が認識するであろう様々な対応する改変形態が考えられる。
【0061】
開示される方法およびシステムのある態様が以下に特定の請求形態(claim form)で表される一方で、方法、システム、および装置の様々な態様が任意の数の請求形態において企図される。したがって、発明者は、精巣インプラントのデバイスおよび方法の他の態様のそのような追加の請求形態を追求するために、出願後に新たな請求項を追加する権利を保持する。
【国際調査報告】