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特表2024-506034微細構造体およびその製造方法と使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】微細構造体およびその製造方法と使用方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20240201BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20240201BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/66 A
H01M4/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547549
(86)(22)【出願日】2022-02-03
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 US2022015050
(87)【国際公開番号】W WO2022169935
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】63/199,950
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523295497
【氏名又は名称】ダイナミ・バッテリー・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Dynami Battery Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】バロン,セルヒオ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】メドーネ アコスタ,ディアナ エリサベト
【テーマコード(参考)】
5H017
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AA04
5H017CC01
5H017EE01
5H017EE07
5H050AA19
5H050BA08
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CB03
5H050CB04
5H050CB05
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050DA09
5H050DA11
5H050FA12
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA11
5H050GA27
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA10
(57)【要約】
構造体を製造する方法であって、活物質と結合物質との均質な混合物を含む流動性液体を得る工程と、流動性液体から複数の液滴を生成する工程と、生成した複数の液滴を支持体上に堆積させる工程と、を含み、複数の液滴が自己集合して連続構造体を形成し、連続構造体が複数の微細構造体ユニットからなり、活物質と結合物質とが自己分離して、各ユニットに活物質と結合物質との不均一な分布を形成する、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質(207、307、407、507、1107)と結合物質(209、309、409、509、1109)との均質な混合物を含む流動性液体を得ること(1402)、
前記流動性液体から複数の液滴(103、203、303)を生成すること(1404)、および
生成した前記複数の液滴を支持体に堆積させること(1406)を含み、
前記複数の液滴が自己集合して連続構造体(330、530、1130)を形成し、
前記連続構造体が複数の微細構造体ユニット(105、205、305、405)を含み、および
前記活物質と前記結合物質とが自己分離して前記活物質と前記結合物質との不均一な分布をユニット各々に形成する、構造体を製造する方法(1400)。
【請求項2】
前記活物質が、物理的、熱的、化学的、触媒的、電気的、磁気的、放射性、光子的、生物学的、またはそれらの組み合わせの特性を前記連続構造体に付与する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記活物質が、前記連続構造体に電気的特性を付与し、および前記活物質が、導体、半導体、または絶縁体の1つ以上を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記活物質が、それぞれのユニットによって区切られた各微細構造体ユニット内の領域内に分布する、上記請求項のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項5】
前記活物質が、前記ユニット各々の領域内に不均一に分布する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記結合物質が、有機物質、無機物質、またはそれらの組み合わせである、上記請求項のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項7】
前記結合物質が、自己分離してユニットの端部に集まる、上記請求項のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項8】
前記活物質が、結合物質によって形成された境界に隣接して集まる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
それぞれのユニットの中心は窪んでおり、活物質(1107)または結合物質(1109)を含まない、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記結合物質が液体担体を含む、上記請求項のいずれか一項またはいずれかを組み合わせに記載の方法。
【請求項11】
前記液体担体が無機組成物または有機組成物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記結合物質を重合することをさらに含む、上記請求項のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項13】
前記重合が熱または照射によって行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記流動性液体が、前記活物質または前記結合物質の少なくとも一方の表面電荷を変化させるようになっている物質をさらに含む、上記請求項のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項15】
前記活物質または前記結合物質の少なくとも一方の表面電荷を変化させるようになっている物質が、カップリング剤を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記流動性液体が、前記活物質のゼータ電位を変化させるようになっている物質をさらに含む、上記請求項のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項17】
前記活物質のゼータ電位を変化させるようになっている物質が、界面活性剤または分散剤の少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
生成した液滴が、0.1ピコリットル~3000ピコリットルの範囲の平均体積を有する、上記請求項のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項19】
前記ユニットが、0.04マイクロメートル~2000マイクロメートルの平均直径を有する、上記請求項のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項20】
前記支持体が、金属フィルム、金属化プラスチックフィルム、金属化ポリマーフィルム、ガラスフィルム、セラミックフィルム、ポリマーフィルム、または紙を含む、上記請求項のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項21】
前記液滴の大きさを制御することをさらに含む、上記請求項のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項22】
前記液滴の大きさを制御することが、前記流動性液体に力を加えることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記力が、機械的圧力、別の液体または流体との衝突、超音波、電荷、またはそれらの組み合わせを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記液滴の大きさを制御することが、流動性均質液体を異なる大きさのオリフィスまたは開口部に押し通すことを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
デジタル制御ツールによって前記液滴の体積または位置の少なくとも一方を制御することをさらに含む、請求項21~24のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項26】
前記流動性液体が、3センチポアズ~1500センチポアズの粘度を有する、上記請求項のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項27】
前記連続構造体が、前記支持体の平面に沿った複数の前記ユニットを含む層(550、1150)を含む、上記請求項のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項28】
前記連続構造体が、前記支持体の平面に沿った複数のスタック層(550、1150)を含み、各スタック層が複数の前記ユニットを含む、上記請求項のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項29】
前記複数のスタック層の第1の層における前記ユニットの平均直径が、前記複数のスタック層の第2の層における微細構造体ユニットの平均直径と異なる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記複数のスタック層の第1の層が、以下の1つ以上を含む、請求項28または29に記載または組合せに記載の方法:
前記複数のスタック層の第2の層における1つ以上の物質とは異なる物質、または
前記複数のスタック層の前記第2の層における活物質と同じ活物質であって、前記第1の層における前記活物質が、前記複数のスタック層の前記第2の層における前記同じ活物質とは異なる物理的、化学的、触媒的、電気的、磁気的、放射性、光子的、生物学的、またはそれらの組み合わせの特性を有する、活物質。
【請求項31】
各微細構造体ユニットが、少なくとも3つの面によって区切られた領域を含む、上記請求項のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項32】
前記複数の微細構造体ユニットのサブセットが、ハニカムセルを形成するための6つの面で区切られた領域を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記サブセットが、前記複数の微細構造体ユニットの大部分を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
各ユニットが1以上の垂直アスペクト比を有する、上記請求項のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項35】
前記活物質がリチウムを含む化合物である、上記請求項のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項36】
前記活物質が、リチウムイオンをインターカレートする、またはリチウムイオンの存在下でコンバージョン反応を有する、請求項1~34のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項37】
前記支持体が、カソード、アノード、セパレータ、固体電解質、または半固体電解質に含まれる、上記請求項のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項38】
前記活物質が、反応物間の化学反応をもたらす、または促進することができる活性触媒であり、前記反応物および前記化学反応の生成物が、前記微細構造体ユニットを通って送られる、請求項1~34のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の方法。
【請求項39】
前記活物質が、吸着物に選択的に結合することができる活性吸着剤であり、前記吸着物を運ぶ媒体が、前記微細構造体ユニットを通って送られる、請求項1~34のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の方法。
【請求項40】
前記活性吸着剤が、吸着物に結合する際に応答を与え、前記応答が、前記活性吸着剤の物理的、化学的、電気的、光学的または磁気的特性の少なくとも1つの変化を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記活物質が化合物の活性担体であり、および輸送媒体と接触させた際に前記化合物の少なくとも一部を制御された方法で放出することができ、前記輸送媒体が前記微細構造体ユニットを通って送られる、請求項1~34のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の方法。
【請求項42】
前記活物質が、感光性化合物の活性担体であり、前記感光性化合物が、光励起された際に光学応答を与える、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記活物質が、感磁性化合物の活性担体であり、前記感磁性化合物が、磁気励起された際に磁気応答を与える、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記活物質が、顔料の活性担体であり、前記顔料が可視光、紫外光、または赤外光で励起された際に光学応答を与える、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記活物質が自己分離して前記ユニットの端部に集まる、請求項1~44のいずれか1項またはその組み合わせに記載の方法。
【請求項46】
複数の微細構造体ユニット(105、205、305、405)を含む構造体(330、530、1130)であって、前記ユニット各々が、前記ユニット各々において前記結合物質と前記活物質との不均一な分布を形成する、活物質(207、307、407、507、1107)から自己分離した結合物質(209、309、409、509、1109)を含む、構造体(330、530、1130)。
【請求項47】
前記活物質が、物理的、熱的、化学的、触媒的、電気的、磁気的、放射性、光子的、生物学的特性、またはそれらの組み合わせを前記構造体に付与する、請求項46に記載の構造体。
【請求項48】
前記活物質が、それぞれのユニットによって区切られた各微細構造体ユニットの領域内に分布している、請求項46または47に記載の構造体。
【請求項49】
前記活物質が、各ユニットの領域内に不均一に分布している、請求項48に記載の構造体。
【請求項50】
前記結合物質が、有機物質、無機物質、またはそれらの組合せを含む、請求項46~49のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の構造体。
【請求項51】
前記結合物質が、自己分離してユニットの端部に集まる、請求項46~50のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の構造体。
【請求項52】
前記活物質が、前記結合物質によって形成された境界に隣接して集まる、請求項46~51のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の構造体。
【請求項53】
それぞれのユニットの中心は窪んており、活物質または結合物質を含まない、請求項52に記載の構造体。
【請求項54】
前記ユニットは、0.04マイクロメートルから2000マイクロメートルの平均直径を有する、請求項46~53のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の構造体。
【請求項55】
前記構造体が、連続的な平面層(550、115)を含む、請求項46~54のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の構造体。
【請求項56】
前記構造体が、複数のスタック平面層(550、1150)を含む、請求項46~55のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の構造体。
【請求項57】
第1の層は、前記複数のスタック層の第2の層の活物質と同じ活物質を含み、前記第1の層は、前記複数のスタック層の前記第2の層とは異なる粒径特性を有する、請求項56に記載の構造体。
【請求項58】
各微細構造体ユニットが、少なくとも3つの面によって区切られた領域を含む、請求項46~57のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の構造体。
【請求項59】
前記複数の微細構造体ユニットのサブセットが、ハニカムセルを形成するための6つの面で区切られた領域を含む、請求項46~58のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の構造体。
【請求項60】
前記サブセットが、前記複数の微細構造体ユニットの大部分を含む、請求項59に記載の構造体。
【請求項61】
各ユニットは、1以上の垂直アスペクト比を有する、請求項46~60のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の構造体。
【請求項62】
前記活物質が、リチウムイオンをインターカレートする、またはリチウムイオンの存在下でコンバージョン反応を有する、請求項46~61のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の構造体。
【請求項63】
前記活物質が、反応物間の化学反応をもたらす、または促進することができる活性触媒であり、前記反応物および前記化学反応の生成物が、前記微細構造体ユニットを通って送られる、請求項46~62のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の構造体。
【請求項64】
前記活物質が、吸着物に選択的に結合することができる活性吸着剤であり、前記吸着物を運ぶ媒体が、微細構造体ユニットを通って送られる、請求項46~63のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の構造体。
【請求項65】
前記活性吸着剤が、吸着剤と結合する際に応答を与え、前記応答が、前記活性吸着剤の物理的、化学的、電気的、光学的および磁気的特性の変化を含む、請求項64に記載の構造体。
【請求項66】
前記活物質が化合物の活性担体であり、および輸送媒体と接触させた際に前記化合物の少なくとも一部が制御された方法で放出することができ、前記輸送媒体が前記微細構造体ユニットを通って送られる、請求項46~61のいずれか一項またいずれかの組合せに記載の構造体。
【請求項67】
前記活物質が、感光性化合物の活性担体であり、前記感光性化合物が、光励起された際に光学応答を与える、請求項46~61のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の構造体。
【請求項68】
前記活物質が、感磁性化合物の活性担体であり、前記感磁性化合物が、磁気励起された際に磁気応答を与える、請求項46~61のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の構造体。
【請求項69】
前記活物質が、顔料の活性担体であり、前記顔料が可視光、紫外光、または赤外光で励起された際に光学応答を与える、請求項46~61のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の構造体。
【請求項70】
前記活物質が、前記連続構造体に電気的特性を付与し、および前記活物質が、導体、半導体、絶縁体のうちの1つまたは複数を含む、請求項46~69のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の構造体。
【請求項71】
請求項46~61のいずれか一項またはいずれかの組み合わせに記載の構造体を含む製造物品。
【請求項72】
前記構造体によって被覆された支持体をさらに含む、請求項71に記載の物品。
【請求項73】
前記支持体が、金属フィルム、金属化プラスチックフィルム、金属化ポリマーフィルム、ガラスフィルム、セラミックフィルム、ポリマーフィルム、または紙を含む、請求項72に記載の物品。
【請求項74】
前記物品が電気化学セルである、請求項71~73のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の物品。
【請求項75】
前記電気化学セルが、前記構造体を含む電極を含む、請求項74に記載の物品。
【請求項76】
前記構造体が、導電性材料を含む、請求項71~75のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の物品。
【請求項77】
前記支持体が、カソード、アノード、セパレータ、固体電解質、または半固体電解質に含まれる、請求項71~76のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の物品。
【請求項78】
活物質(207、307、407、507、1107)および結合物質(209、309、409、509、1109)の均質な混合物を含む流動性液体を含む組成物であって、前記組成物の液滴(103、203、303)が支持体に堆積される際、前記液滴は、自己集合して連続構造体(330、530、1130)を形成し、前記連続構造体は、複数の微細構造体ユニット(105、205、305、405)を含み、前記結合物質および前記活物質は、自己分離して、前記ユニット各々において物質の不均一な分布を形成する、組成物。
【請求項79】
前記活物質が、物理的、熱的、化学的、触媒的、電気的、磁気的、放射性、光子的、生物学的特性、またはそれらの組み合わせを前記連続構造体に付与する、請求項78に記載の組成物。
【請求項80】
前記活物質が、前記連続構造体に電気的特性を付与し、および前記活物質が、導体、半導体、または絶縁体の1つ以上を含む、請求項78または79に記載の組成物。
【請求項81】
前記結合物質が、有機物質、無機物質、またはそれらの組み合わせを含む、請求項78~80のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の組成物。
【請求項82】
前記結合物質が、ユニットの端部に集まるように自己分離する、請求項78~81のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の組成物。
【請求項83】
前記結合物質が液体担体を含む、請求項78~82のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の組成物。
【請求項84】
前記液体担体が、有機組成物、無機組成物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項83に記載の組成物。
【請求項85】
前記流動性液体が、前記活物質または前記結合物質の少なくとも一方の表面電荷を変化させるようになっている物質をさらに含む、請求項78~84のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の組成物。
【請求項86】
前記活物質または前記結合物質の少なくとも一方の表面電荷を変化させるようになっている物質が、カップリング剤を含む、請求項85に記載の組成物。
【請求項87】
前記流動性液体が、前記活物質のゼータ電位を変化させるようになっている物質をさらに含む、請求項78~86のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の組成物。
【請求項88】
前記活物質のゼータ電位を変化させるようになっている物質が、界面活性剤または分散剤の少なくとも1つを含む、請求項87に記載の組成物。
【請求項89】
前記活物質と前記結合物質との間の質量比は、0.000001~1000000である請求項78~88のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の組成物。
【請求項90】
流動性液体は、3センチポアズ~1500センチポアズの粘度を有する、請求項78~89のいずれか一項またはいずれかの組合せに記載の組成物。
【請求項91】
構造体を製造する方法(1500)であって、前記方法は、
均質な結合物質(209、309、409、509、1109)を含む流動性液体を得る(1502)こと、
流動性液体から複数の液滴(103、203、303)を生成する(1504)こと、および
生成した複数の液滴を支持体に堆積させる(1506)ことを含み、
複数の液滴が自己集合して連続構造体(1230)を形成し、連続構造体が複数の微細構造体ユニット(1205)を含み、結合物質が自己分離して各ユニットに結合物質の不均一な分布を形成する、方法。
【請求項92】
複数の微細構造体ユニット(1205)を含む構造体(1230)であって、前記ユニットの各々が、前記ユニットの各々において結合物質の不均一な分布を形成するように自己分離された結合物質(209、309、409、509、1109)を含む、構造体(1230)。
【請求項93】
請求項92に記載の構造体を含む製造物品。
【請求項94】
前記構造体によって被覆された支持体をさらに含む、請求項93に記載の物品。
【請求項95】
前記支持体がポリマーフィルムを含む、請求項94に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、一般に、微細構造体(または組織体;structure)およびその製造方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの製造物品又はその部品は、物品の特定の機能にとって重要な様々な活物質を支持体にコーティングしている。現在のコーティング方法は、活物質を、典型的には微粒子状で、バインダー物質(または材料;material)とともに流体中で粉砕し、次に支持体にスプレー、ブレードキャスト、ディップコーティング、スクリーン印刷等が可能な流動性液体を生成することを含む。バインダーの役割は、コーティングされた構造体に物理的な保全性を与え、支持体に接着させることである。コーティング工程に続いて乾燥工程を行い、液体を除去することもできる。結果として得られるコーティングの微細構造体は、一般的にマイクロメートルスケールである。
【0003】
あるいは、活物質を高温で物理的に、あるいは反応性蒸気の形で化学的に、支持体上に気化させることもできる。このような蒸着コーティングは、通常ナノメータースケールである。
【0004】
これらのコーティング方法はすべて、活物質がコーティング全体に均一に分布した均質なコーティング微細構造体をもたらす。
【0005】
電池電極(例えば、アノードおよび/またはカソード)のようないくつかの用途では、金属箔、金属化ポリマー箔、または電気を伝導することができる任意の他の材料を支持体として有し得て、その上に1つまたは複数の活物質および他の要素を含む複合材料の層がコーティングされる。電池は、アノード電極、セパレータおよびカソード電極の構造を有する、リチウムイオン電池等の現在または将来の電気化学式の一次電池または二次電池とすることができる。このような電池では、電極間のイオン輸送を担う電解質として、液体、ゲル状、固体等、あらゆる種類のものを使用することができる。
【0006】
電極コーティングの既存の技術では、活物質および元素の均質な分布が得られるが、活物質や結合物質、電流エンハンサーの粒子が空間的に配置されるマイクロメートルまたはナノメートルスケールの制御はできない。従来の電極は、大きさがランダムで、配向がランダムで、充填が比較的不十分な活物質から作られており、リチウムイオンが電解液中を移動するための長く間接的な経路を作り出している。材料科学では、これらの経路は“蛇行”と表現される。[1]Gene Berdichevsky,Gleb Yushin,“The Future of Energy Storage,Towards a Perfect Battery with Global Scale”(Sila Nanotechnologies,Inc.,Sep.2,2020).1]に記載されているように、このような蛇行経路は、観客席に座席の列がなく、ただランダムに座席が分散しているようなものである。さらに、従来の電極は、ポリマーバインダーと導電性添加剤の両方の不活物質を過剰に使用している。なぜなら、それらの不活物質を電極内で必要な場所(粒子が互いに接触する点)にのみ分配することが難しいからである。
【0007】
別の例として、触媒反応では、化学反応物質が触媒活性部位に到達しやすく、化学反応が完了した後に化学反応の生成物が運び出されやすいように、活性触媒材料がコーティングの表面またはその近傍に配置されていることが有利な場合がある。
【0008】
均質な触媒コーティングでは、コーティング構造体の奥深くに配置された活性触媒サイトは、化学反応物質へのアクセスが悪くなり、化学反応の生成物も輸送されるのに時間がかかる。したがって、触媒活性部位が均一に分布していても、必ずしも触媒反応に最適な構造体が得られるとは限らない。
【0009】
さらにもう一つの例は、体液のような輸送媒体中で、化合物または薬物を制御された方法で放出することが望まれる放出制御用途である。支持体の活性薬剤の均質なコーティングでは、コーティングの表面またはその近くに配置された活性薬剤は、コーティングの微細構造体の奥深くに埋もれた活性薬剤よりも早く放出され、活性薬剤の不均一な放出につながる。この放出制御の例では、活性薬物をより均一に放出させるために、表面ではなく、コーティングの微細構造体の奥深くに活性薬剤を意図的に配置することがより望ましいと考えられ得る。
【発明の概要】
【0010】
従って、微細構造体内の活物質の空間分布を制御して、コーティング材料およびコーティングされた物品の最適な機能を提供する、微細構造体が規定されたコーティング材料を製造する必要性がある。
【0011】
例示的な実施形態のこれらおよび他の態様、目的、特徴、および利点は、例示的な実施形態の以下の詳細な説明を考慮すれば、当業者には明らかになるであろう。
【0012】
一態様において、本開示は、構造体を製造する方法を提供し、当該方法は、活物質と結合物質との均質(または均一な;homogenous)な混合物を含む流動性液体を得ること、当該流動性液体から複数の液滴を生成すること、当該生成した複数の液滴を支持体に堆積(または沈着;deposite)させることを含み、当該複数の液滴は、自己集合(self-assemble)して連続構造体を形成し、連続構造体は、複数の微細(または微小;microstructure)構造体ユニットを含み、活物質と結合物質とが自己分離(self-segregate)して、活物質と結合物質の不均一(または不均質;non-uniform)な分布をユニット各々に形成する。
【0013】
いくつかの実施形態において、活物質は、物理的、熱的、化学的、触媒的、電気的、磁気的、放射性、光子的、生物学的、またはそれらの組み合わせの特性を連続構造体に付与する。いくつかの実施形態において、活物質は、連続構造体に電気的特性を付与し、活物質は、導体、半導体、または絶縁体のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態において、活物質は、それぞれのユニットによって区切られた(又は、境界付けられた、又は囲まれた、又は仕切られた;bounded)各微細構造体ユニット内の領域内に分布する。いくつかの実施形態では、活物質は、ユニット各々の領域内に不均一に分布する。
【0014】
いくつかの実施形態において、結合物質は有機物質、無機物質、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、結合物質は、自己分離してユニットの端部に集まる(又は蓄積する、又は集積する;accumulate)。いくつかの実施形態において、活物質は、結合物質によって形成される境界に隣接して集まる。いくつかの実施形態において、それぞれのユニットの中心は窪んでおり、活物質または結合物質を含まない。いくつかの実施形態において、結合物質は液体担体を含む。いくつかの実施形態において、液体担体は、無機組成物または有機組成物を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、方法は、結合物質を重合することをさらに含む。いくつかの実施形態において、重合は、熱または照射(または放射線照射:irradiation)によって行われる。
【0016】
いくつかの実施形態において、流動性液体が、活物質または結合物質の少なくとも一方の表面電荷を変化させるようになっている物質をさらに含む。いくつかの実施形態において、活物質または結合物質の少なくとも一方の表面電荷を変化させるようになっている物質が、カップリング剤を含む。いくつかの実施形態において、流動性液体は、活物質のゼータ電位を変化させるようになっている物質をさらに含む。いくつかの実施形態において、活物質の少なくとも一方のゼータ電位を変化させるようになっている物質は、界面活性剤または分散剤を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、生成した液滴は、0.1ピコリットル~3000ピコリットルの範囲の平均体積を有する。いくつかの実施形態において、ユニットは、0.04マイクロメートル~2000マイクロメートルの範囲の平均直径を有する。いくつかの実施形態において、支持体は、金属フィルム、金属化プラスチックフィルム、金属化ポリマーフィルム、ガラスフィルム、セラミックフィルム、ポリマーフィルム、または紙を含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、方法は、液滴の大きさを制御することをさらに含む。いくつかの実施形態において、液滴の大きさを制御することが、流動性液体に力を加えることを含む。いくつかの実施形態において、力が、機械的圧力、別の液体または流体との衝突、超音波、電荷、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、液滴の大きさを制御することが、流動性均質液体を異なる大きさのオリフィスまたは開口部に押し通すことを含む。いくつかの実施形態において、方法は、デジタル制御ツールによって液滴の体積または位置の少なくとも一方を制御することをさらに含む。いくつかの実施形態において、流動性液体が、3センチポアズ~1500センチポアズの粘度を有する。
【0019】
いくつかの実施形態において、連続構造体が、支持体の平面に沿った複数のユニットを含む層を含む。いくつかの実施形態において、連続構造体が、支持体の平面に沿った複数のスタック層を含み、各スタック層が複数のユニットを含む。いくつかの実施形態において、複数のスタック層の第1の層におけるユニットの平均直径が、複数のスタック層の第2の層における微細構造体ユニットの平均直径と異なる。いくつかの実施形態において、複数のスタック層の第1の層が、以下の1つ以上を含む:複数のスタック層の第2の層における1つ以上の物質とは異なる物質、または複数のスタック層の第2の層における活物質と同じ活物質であって、第1の層における活物質が、複数のスタック層の第2の層における同じ活物質とは異なる物理的、化学的、触媒的、電気的、磁気的、放射性、光子的、生物学的、またはそれらの組み合わせの特性を有する、活物質。
【0020】
いくつかの実施形態において、各微細構造体ユニットが、少なくとも3つの面(又は側面、又は辺;side)によって区切られた領域を含む。いくつかの実施形態において、複数の微細構造体ユニットのサブセットが、ハニカムセルを形成するための6つの面で区切られた領域を含む。いくつかの実施形態において、サブセットは、複数の微細構造体ユニットの大部分(または過半数;majority)を含む。いくつかの実施形態において、各ユニットは、1以上の垂直アスペクト比を有する。
【0021】
いくつかの実施形態において、活物質はリチウムを含む化合物である。いくつかの実施形態において、活物質は、リチウムイオンをインターカレートする、またはリチウムイオンの存在下でコンバージョン反応を有する。いくつかの実施形態において、支持体は、カソード(または正極;cathode)、アノード(または負極;anode)、セパレータ、固体電解質、または半固体電解質に含まれる。
【0022】
いくつかの実施形態において、活物質は、反応物間の化学反応をもたらす、または促進することができる活性触媒であり、反応物および化学反応の生成物は、微細構造体ユニットを通って送られる(又は輸送される;transported)。いくつかの実施形態において、活物質が、吸着物に選択的に結合することができる活性吸着剤であり、吸着物を運ぶ媒体が、微細構造体ユニットを通って送られる。いくつかの実施形態において、活性吸着剤が、吸着物に結合する際に応答を与え、応答が、活性吸着剤の物理的、化学的、電気的、光学的または磁気的特性の少なくとも1つの変化を含む。いくつかの実施形態において、活物質が化合物の活性担体であり、および輸送媒体と接触させた際に化合物の少なくとも一部を制御された方法で放出することができ、輸送媒体が微細構造体ユニットを通って送られる(又は輸送される;transported)。いくつかの実施形態において、活物質が、感光性化合物の活性担体であり、感光性化合物が、光励起された際に光学応答を与える。いくつかの実施形態において、活物質が、感磁性化合物の活性担体であり、感磁性化合物が、磁気励起された際に磁気応答を与える。いくつかの実施形態において記活物質が、顔料の活性担体であり、顔料が可視光、紫外光、または赤外光で励起された際に光学応答を与える。いくつかの実施形態において、活物質が自己分離してユニットの端部に集まる。
【0023】
別の態様において、本開示は、複数の微細構造体ユニットを含む構造体を提供し、ここで、ユニット各々が、ユニット各々において結合物質と活物質との不均一な分布を形成する、活物質から自己分離した結合物質を含む。いくつかの実施形態において、活物質が、物理的、熱的、化学的、触媒的、電気的、磁気的、放射性、光子的、生物学的特性、またはそれらの組み合わせを構造体に付与する。いくつかの実施形態において、活物質が、それぞれのユニットによって区切られた各微細構造体ユニットの領域内に分布している。いくつかの実施形態では、活物質が、各ユニットの領域内に不均一に分布している。
【0024】
いくつかの実施形態において、結合物質が、有機物質、無機物質、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、結合物質が、自己分離してユニットの端部に集まる。いくつかの実施形態において、活物質が、結合物質によって形成された境界に隣接して集まる。いくつかの実施形態において、それぞれのユニットの中心は窪んており、活物質または結合物質を含まない。いくつかの実施形態において、ユニットは、0.04マイクロメートル~2000マイクロメートルの平均直径を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、構造は連続平面層を含む。いくつかの実施形態において、構造体が、複数のスタック平面層を含む。いくつかの実施形態において、第1の層は、複数のスタック層の第2の層の活物質と同じ活物質を含み、第1の層は、複数のスタック層の第2の層とは異なる粒径特性を有する。
【0026】
いくつかの実施形態において、各微細構造体ユニットが、少なくとも3つの面によって区切られた領域を含む。いくつかの実施形態において、複数の微細構造体ユニットのサブセットが、ハニカムセルを形成するための6つの面で区切られた領域を含む。いくつかの実施形態において、サブセットが、複数の微細構造体ユニットの大部分を含む。いくつかの実施形態において、各ユニットは、1以上の垂直アスペクト比を有する。
【0027】
いくつかの実施形態において、活物質は、リチウムイオンをインターカレートする、またはリチウムイオンの存在下でコンバージョン反応(または転換反応;conversion reaction)を有する。いくつかの実施形態において、活物質が、反応物間の化学反応をもたらす、または促進することができる活性触媒であり、反応物および化学反応の生成物が、微細構造体ユニットを通って送られる。いくつかの実施形態において、活物質が、吸着物に選択的に結合することができる活性吸着剤であり、吸着物を運ぶ媒体が、微細構造体ユニットを通って送られる。いくつかの実施形態において、活性吸着剤が、吸着剤と結合する際に応答を与え、応答が、活性吸着剤の物理的、化学的、電気的、光学的および磁気的特性の変化を含む。いくつかの実施形態において、活物質が化合物の活性担体であり、および輸送媒体と接触させた際に化合物の少なくとも一部が制御された方法で放出することができ、輸送媒体が微細構造体ユニットを通って送られる。いくつかの実施形態において、活物質が、感光性化合物の活性担体であり、感光性化合物が、光励起された際に光学応答を与える。いくつかの実施形態において、活物質が、感磁性化合物の活性担体であり、感磁性化合物が、磁気励起された際に磁気応答を与える。いくつかの実施形態において、活物質が、顔料の活性担体であり、顔料が可視光、紫外光、または赤外光で励起された際に光学応答を与える。
【0028】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載される任意の1つまたはそれらの組み合わせの構造体を含む製造物品を提供する。いくつかの実施形態において、物品は、構造体によって被覆された支持体をさらに含む。いくつかの実施形態において、支持体が、金属フィルム、金属化プラスチックフィルム、金属化ポリマーフィルム、ガラスフィルム、セラミックフィルム、ポリマーフィルム、または紙を含む。
【0029】
いくつかの実施形態において、物品が電気化学セルである。いくつかの実施形態において、電気化学セルが、構造体を含む電極を含む。いくつかの実施形態において、構造体が、導電性材料を含む。いくつかの実施形態において、支持体が、カソード、アノード、セパレータ、固体電解質、または半固体電解質に含まれる。
【0030】
別の態様において、本開示は、活物質および結合物質の均質な混合物を含む流動性液体を含む組成物を提供し、ここで、組成物の液滴が支持体に堆積される際、液滴は、自己集合して連続構造体を形成し、連続構造体は、複数の微細構造体ユニットを含み、結合物質および活物質は、自己分離して、ユニット各々において物質の不均一な分布を形成する。
【0031】
いくつかの実施形態において、活物質は、物理的、熱的、化学的、触媒的、電気的、磁気的、放射性、光子的、生物学的特性、またはそれらの組み合わせを連続構造体に付与する。いくつかの実施形態において、結合物質は、有機物質(または材料;material)、無機物質(または材料;material)、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、結合物質が、ユニットの端部に集まるように自己分離する。
【0032】
いくつかの実施形態において、結合物質は液体担体を含む。いくつかの実施形態において、液体担体が、有機組成物、無機組成物、またはそれらの組み合わせを含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、流動性液体が、活物質または結合物質の少なくとも一方の表面電荷を変化させるようになっている物質をさらに含む。いくつかの実施形態において、活物質または結合物質の少なくとも一方の表面電荷を変化させるようになっている物質が、カップリング剤を含む。いくつかの実施形態において、流動性液体が、活物質のゼータ電位を変化させるようになっている物質をさらに含む。いくつかの実施形態において、活物質のゼータ電位を変化させるようになっている物質が、界面活性剤または分散剤の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、活物質と結合物質との間の質量比は、0.000001~1000000である。いくつかの実施形態において、流動性液体は、3センチポアズ~1500センチポアズの粘度を有する。
【0034】
別の態様において、本開示は、構造体を製造する方法を提供し、当該方法は、均質な結合物質を含む流動性液体を得ること、流動性液体から複数の液滴を生成すること、および生成した複数の液滴を支持体上に堆積させることを含み、複数の液滴は、自己集合して連続構造体を形成し、連続構造体は、複数の微細構造体ユニットを含み、結合物質は、自己分離して、結合物質の不均一な分布をユニット各々に形成する。
【0035】
別の態様において、本開示は、複数の微細構造体ユニットを含む構造体であって、ユニットの各々が、ユニットの各々において結合物質の不均一な分布を形成するように自己分離された結合物質を含む、構造体を提供する。別の態様において、本開示は、構造体を含む製造物品を提供する。いくつかの実施形態において、物品は、構造体によって被覆された支持体をさらに含む。いくつかの実施形態において、支持体は、ポリマーフィルムを含む。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の実施形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を示し、本明細書とともに本発明の実施形態の原理を説明するのに役立つ。
【0037】
図1図1は、いくつかの実施形態による、構造体の製造工程を示す。
【0038】
図2図2Aは、いくつかの実施形態による、活物質207aおよび207bならびに結合物質209を含む均質(または均一な;homogeneous)な液体を含む液滴203を示す。
【0039】
図2Bは、いくつかの実施形態による、微細構造体ユニット205において活物質および結合物質の不均一な分布を形成するための、活物質207aおよび207bならびに結合物質209の自己分離を示す。
【0040】
図3図3は、いくつかの実施形態による、構造体330を形成するための液滴303a~nの自己集合および自己分離を示す。
【0041】
図4図4A~4Cは、いくつかの実施形態による微細構造体ユニット405a~cの断面を示す。
【0042】
図5図5は、いくつかの実施形態による、構造体530の複数の層550a~nを示す。
【0043】
図6図6は、いくつかの実施形態による、構造体のトポグラフィカル光学画像である。
【0044】
図7図7は、いくつかの実施形態による、構造体のトポグラフィ走査型電子顕微鏡画像である。
【0045】
図8図8Aは、先行技術の市販電極のトポグラフィ走査型電子顕微鏡画像である。
【0046】
図8Bは、図8Aに示した先行技術の市販電極のエネルギー分散型分光観察を示す。
【0047】
図9図9Aは、いくつかの実施形態による、構造体のトポグラフィ走査型電子顕微鏡画像である。
【0048】
図9Bは、いくつかの実施形態による、図9Aに示す構造体のエネルギー分散型分光観察のフッ素チャネルを示す図である。
【0049】
図10図10Aは、いくつかの実施形態による、構造体のトポグラフィ走査型電子顕微鏡画像を示す。
【0050】
図10Bは、いくつかの実施形態による、図10Aに示す構造のエネルギー分散型分光観察を示す。
【0051】
図11図11は、図10A-10Bに示す構造の概略図である。
【0052】
図12図12は、いくつかの実施形態による、結合物質は有するが活物質は有さない構造を示す。
【0053】
図13図13は、いくつかの実施形態による、2つの異なる乾燥工程で製造された構造体を比較したチャートである。
【0054】
図14図14は、いくつかの実施形態による、構造体の製造方法である。
【0055】
図15図15は、いくつかの実施形態による、構造体の製造方法である。
【0056】
本明細書に記載されている図は、説明のためのものであり、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本開示は、製造プロセス中に特性が制御され得る微細構造体ユニットを有する構造体を提供する。製造工程は、支持体上に液滴として吐出され得る活物質および結合物質(または材料;material)を含む液体を調製することを含み得、ここで、このような液滴は、連続コーティングにおいて微細構造体ユニットを形成するように自己集合し得る。さらに、結合物質は、活物質および/または結合物質が微細構造体ユニットの各々に不均一に分布するように、活物質から自己分離してもよい。本開示はさらに、活物質および/または結合物質の不均一な分布が、所望の特性を有する微細構造体ユニットを形成するように制御され得る、構造体の製造方法を提供する。
【0058】
いくつかの実施形態では、活物質と結合物質の自己集合および自己分離は、多くの現象を生じさせ得る。活物質と結合物質を含む液滴の自己集合は、連続コーティング中に独特の微細構造体ユニットを形成し得る。電池の用途によっては、活物質がリチウムインターカレーション材料、コンバージョン材料、または他の電荷輸送種を含み得て、カソードおよび/またはアノード電極を形成し得る。イオン拡散に関与し得ない結合物質の自己分離は、導電経路の屈曲度を大幅に減少し得て、それによってイオン物質輸送を促進するための追加の「二次細孔ネットワーク」を形成する。この二次細孔ネットワークは、電極のエネルギー密度を損なうことなく、電池の出力密度と充電速度を向上させる効果を有し得る。微細構造体ユニットの端部または端部近傍への結合物質の自己分離は、微細構造体ユニットに構造強度を付加し得て、それにより電極の機械的完全性を高め得る。また、活物質の自己分離により、活物質の粒子間接触が増加し得て、電極の導電性が向上し得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、構造体は電池の電極にコーティングされ得る。電極コーティングの微細構造体の物理的特性は、同じ材料でコーティングされているが微細構造体なしの電極と比較して、より高い電力密度を提供し得る。
【0060】
本明細書で提供される方法および構造の用途は、電池に限定されない。例えば、本方法および本構造体は、触媒用途、医薬品、航空宇宙技術、医療機器、および消費財等に使用することができる。例えば、触媒用途では、微細構造体ユニットの表面近傍に活性触媒材料を意図的に配置することにより、化学反応物が活性触媒部位に容易にアクセスできるようにする一方で、化学反応の生成物が活性触媒部位から迅速に運び去られるようにすることができる。
【0061】
一態様において、本開示は、本明細書に記載の構造を製造する方法を提供する。一般に、本方法は、活物質と結合物質(例えば、活物質と結合物質との均質な混合物)とを含む流動性液体を得ること、流動性液体から複数の液滴を生成すること、流動性液体から生成した複数の液滴を支持体に堆積させることとを含み得る。支持体に堆積させると、複数の液滴が自己集合して、複数の微細構造体ユニットを含む連続構造体を形成することがあり、活物質と結合物質とが自己分離して、ユニット各々に物質(または材料;material)の不均一な分布を形成することがある。
【0062】
図1は、いくつかの実施形態による、構造体を製造するためのプロセスを示す。この例では、ノズル101を使用して、構造体を製造するための組成物の複数の液滴103を生成し、吐出し(または分配し;dispense)得る。ノズル101は、液滴103を支持体の所望の位置に堆積させるために、x、y、および/またはz方向に沿って移動するように制御されてもよい。図1は、図3に関連して以下にさらに詳細に説明されるように、時間間隔t-tを含む、経時的に発生するプロセスを示している。
【0063】
いくつかの実施形態において、構造体を製造するための組成物は、活物質と結合物質とを含む流動性液体を含んでもよい。例えば、流動性液体は、活物質と結合物質との均質な混合物を含んでもよい。
【0064】
いくつかの実施形態において、流動性液体は液体担体を含んでもよい。例えば、結合物質は液体担体を含んでもよい。組成物が支持体に堆積される際、液体担体は、構造体の構築を容易にするために蒸発させられてもよい。いくつかの例では、液体担体は有機組成物を含んでもよい。例えば、液体担体は有機溶媒、例えばN-メチルピロリドンであってもよい。いくつかの例では、液体担体は無機組成物を含んでもよい。いくつかの例では、液体担体は、有機組成物と無機組成物との混合物または組合せを含んでもよい。
【0065】
いくつかの実施形態において、流動性液体は、活物質および/または結合物質の表面電荷を変化させるようになっている物質(または材料;material)を含んでもよい。いくつかの例において、当該物質は、活物質の表面電荷を変化させるようになっていてもよい。いくつかの例において、当該物質は、結合物質の表面電荷を変化させるようになっていてもよい。いくつかの例では、当該物質は、カップリング剤(例えば、2つの物質(または材料;material)間の接着または結合を増強することができる薬剤)を含んでいてもよい。例えば、カップリング剤は、シラン(例えば、二元ケイ素-水素化合物およびケイ素上に4つの置換基を有する化合物(有機ケイ素化合物を含む))であってもよい。シランの例としては、トリクロロシラン(SiHCl)、テトラメチルシラン(Si(CH)、テトラエトキシシラン(Si(OC2H)等が挙げられる。)
【0066】
いくつかの実施形態では、流動性液体は、活物質のゼータ電位を変化させるようになっている物質を含んでもよい。いくつかの例において、このような物質は、界面活性剤(例えば、疎水性の尾部と親水性の頭部とを含む物質または化合物)を含んでもよい。界面活性剤の例としては、ステアリン酸ナトリウム、4-(5-ドデシル)ベンゼンスルホン酸塩、ドキュセート(スルホコハク酸ジオクチルナトリウム)、アルキルエーテルリン酸塩、塩化ベンザルコニウム(BAC)、パーフルオロオクタンスルホン酸塩(PFOS)、(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]エタノール、オクチルフェノールエトキシレート、およびヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)が挙げられる。いくつかの例において、このような物質は、分散剤(例えば、粒子の懸濁液に添加された場合に、粒子の分離を改善し、粒子の沈降または凝集を防止することができる物質または化合物)を含んでもよい。分散剤の例としては、ピロリン酸ナトリウム、クエン酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、トリオレイン酸グリセリル、リン酸エステル、ランダムコポリマー、櫛型ポリマー、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(メタクリル酸)(PMAA)、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリスルホン酸ナトリウム、およびポリ(エチレンイミン)が挙げられる。いくつかの例では、分散剤は、ゼータ電位を変化させるだけでなく、立体的に作用してもよい。界面活性剤は分散し、表面張力を変化/調整することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、流動性液体において、活物質と結合物質との間の質量比は、0.000001~1000000、例えば0.000001~0.000005、0.000005~0.00001、0.00001~0.00005、0.00005~0.0001、0.0001~0.0005、0.0005~0.001、0.001~0.005、0.005~0.01、0.01~0.05、0.05~0.1、0.1~0.5、0.5~1、1~5、5~10、10~50、50~100、100~500、500~1000、1000~5000、5000~10000、10000~50000、50000~100000、100000~500000、または500000~1000000であってよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、流動性液体は、1~2000センチポアズ、例えば、3~1500、3~50、50~100、100~200、200~300、300~400、400~500、500~600、600~700、700~800、800~900、900~1000、1000~1100、1100~1200、1200~1300、1300~1400、または1400~1500センチポアズの粘度を有してもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、図1のノズル101は、1つ以上の活物質および結合物質の均質な混合物を含む液滴103を生成し、吐出する。図2~3に関連して以下にさらに詳細に説明するように、各液滴103は、活物質および結合物質が自己分離して、活物質および結合物質の不均一な分布を各ユニットに形成する多数のユニット105a、105bを有する連続構造体を形成するように自己集合してもよい。ユニットは、ユニット105bで示されるようなハニカムセルの形態であってもよく、他の実施形態では、ユニットは、ユニット105aで示されるような少ない端部(または端部なし)を有してもよい。
【0070】
生成した液滴103は、構造体の製造に適した体積を有してもよい。いくつかの実施形態では、生成した液滴は、0.1ピコリットル~5000ピコリットル、例えば、0.1~3000、0.1~100、100~250、250~500、500~750、750~1000、1000~1250、1250~1500、1750~2000、2000~2250、2250~2500、2500~2750、2750~3000、1~100、1~80、1~60、1~50、2~50、3~50、3~10、5~15、10~20、15~25、20~30、25~35、30~40、35~45、または40~50ピコリットルの平均体積を有してもよい。いくつかの例において、生成した液滴は、0.1~3000ピコリットルの平均体積を有してもよい。いくつかの例では、生成した液滴は、3~50ピコリットルの平均体積を有してもよい。
【0071】
本方法は、生成した液滴103の大きさを制御することをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、液滴の大きさは、流動性液体に力を加えることによって制御され得る。例えば、力は、機械的圧力、別の液体または流体との衝突、超音波、電荷、またはそれらの組み合わせであってよい。いくつかの例では、液滴の大きさは、流動性のある均質な液体を、異なる大きさのオリフィスまたは開口部に押し通す(forcing)ことによって制御され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、液滴の体積は、デジタル制御ツールによって制御してもよい。製造プロセス中、表面に堆積された液滴の位置は、同様にデジタル制御ツールによって制御されてもよい。いくつかの例では、液滴は、印刷技術(例えば、3D印刷技術、ドロップオンデマンド産業用インクジェット印刷技術、デジタル印刷技術、またはコンピュータ制御インクジェット印刷技術)、デジタル製造技術、またはデジタル堆積技術によって生成および堆積され得る。印刷技術の例としては、Hebner,TRら,(1998)Appl.Phys.Lett.,72,519-521(1998),Blazdell,PFら,Mater.Process.Technol.,99,94-102(2000),Jacobs,HO,Science,291,1763-1766(2001),Zhao, Y et al.,Electrochim.Acta、51、2639-2645(2006)、およびXu、Fら、Chem.Phys.Lett.,375,247-251(2003)に記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの例では、本明細書に記載の方法および組成物は、マイクロスケールレベルでの電極の合成制御を可能にし、電池性能を向上させる3D構造を得ることができる。
【0073】
図1には図示されていないが、いくつかの実施形態において、本方法は、結合物質を重合することをさらに含んでもよい。例えば、結合物質は、熱または照射によって重合されてもよい。いくつかの例では、重合は、結合物質および/または活物質の位置または分布パターンを固定するために、結合物質および活物質が自己分離した後に行われてもよい。
【0074】
図2Aは、いくつかの実施形態による、活物質および結合物質を含む均質な液体を含む液滴を示す。いくつかの実施形態において、生成した液滴203は、複数の活物質および/または複数の結合物質を含んでもよい。図2Aに示す例では、液滴203は、第1の活物質207a、第2の活物質207b、および結合物質209を含み、これらは液滴203中に均一(または均質な;uniformly)に分布している。
【0075】
図2Bは、いくつかの実施形態による、活物質および結合物質が自己分離して、微細構造体ユニットにおける活物質および結合物質の不均一な分布を形成することを示す。図2Bは、液滴203が支持体に堆積された後、活物質207a~bおよび結合物質209が自己分離して、液滴によって形成された微細構造体ユニット205内に活物質および結合物質の不均一な分布を形成することを示す。図2Bに示されるように、結合物質209は活物質から自己分離し、主に微細構造体ユニット205の端部(またはエッジ、または縁部;edge)に集まっている。
【0076】
いくつかの実施形態では、構造体は複数の微細構造体ユニット205を含む。構造体は、活物質と結合物質とを含んでいてもよい。活物質および結合物質は、構造体を形成する際に表面または支持体上に堆積される際に自己分離することがある。活物質から分離すると、結合物質がユニットの特定の領域に集まることがある。同様に、結合物質から分離した場合、活物質がユニットの特定の領域に集まることがあるが、これは結合物質が集まる領域と同じであっても異なっていてもよい。活物質と結合物質のこのような自己分離は、構造体中の物質の不均一な分布をもたらす(又は引き起こす;cause)可能性があり、これにより複数のユニットを含む微細構造体が形成される。不均一な分布は、微細構造体ユニットが所望の特性、例えば、所望の物理的、熱的、化学的、触媒的、電気的、磁気的、放射性、光子的、または生物学的特性、またはそれらの任意の組み合わせを有するように、製造プロセスによって制御され得る。微細構造体ユニットの各々は、活物質および結合物質を含み得る。いくつかの実施形態では、ユニットの各々は、1つ以上の活物質および/または1つ以上の結合物質を含み得る。
【0077】
図3は、いくつかの実施形態による、構造体を形成するための液体液滴の自己集合および自己分離を示す図である。図3は、時間tで始まり時間tで終わる、時間経過に伴って発生する液滴303a~nの自己集合の一例を示している。図3において、液滴303a~nは、第1の活物質307a、第2の活物質307b、およびバインダー物質309を含む。しかしながら、他の実施形態では、活物質および/またはバインダー物質は1つだけであってもよい。この例では、t図1に関連して上述したように、支持体または表面に堆積した直後の液滴303a-nを示す。時刻tおよびtに示されるように、液滴303a-nは、連続構造体を形成するように自己集合し始める。自己集合プロセスは、液滴303a-nの毛細管流および蒸発の操作によって誘導され得る。さらに、時間t、tで、図2A-Bに関連して上述したように、活物質および結合物質が液滴のそれぞれにおいて自己集合する。自己集合のプロセスはtからtまで続き、微細構造体ユニット305a-nを含む連続構造体を形成し、各微細構造体ユニットは活物質および結合物質の不均一な分布を含む。
【0078】
液滴の自己集合は、表面エネルギーの低下によって駆動され得る。液滴は、最も表面エネルギーの低い形態に合体し、自己集合する傾向があり得る。物質の混合物における自己分離は、表面電荷特性によって駆動され得る。表面電荷が類似している場合、クーロン斥力が支配的となり得て、自己分離につながり得る。一方、表面電荷が異なれば、クーロン引力が支配的となり得て、自己凝集に至り得る。物質の表面電荷特性を変化させる方法としては、界面活性剤を導入して立体障害を増強したり、シラン等のカップリング剤を添加したりすることが考えられる。
【0079】
いくつかの例では、自己分離した結合物質はユニットの端部に集まり得る。活物質は、それぞれのユニットによって区切られた各微細構造体ユニット内の領域内に分布してもよい。いくつかの例では、活物質は、各ユニットの領域内に不均一に分布していてもよい。
【0080】
図4A~4Cは、いくつかの実施形態による微細構造体ユニットの断面を示す。図4A~4Cの全ての微細構造体ユニット405a~cにおいて、活物質407a~bはユニットの中心に集まり、結合物質409はユニットの中心に集まる。図4A~4Cの全ての微細構造体ユニット405a~cにおいて、活物質407a~bはユニットの中心に蓄積し、結合物質409はユニットの端部に蓄積する。微細構造体ユニットの端部は、ユニットの中央部よりも高くてもよく(例えば、図4A)、均一でもよく(例えば、図4B)、低くてもよい(例えば、図4C)。
【0081】
微細構造体ユニットは、三次元オープンエンドセルであってもよい。いくつかの実施形態において、微細構造体ユニットの一部または全部は、少なくとも3つの面、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の面によって区切られた領域を含んでよい。いくつかの例では、面の長さは実質的に同じであってもよい。一例では、微細構造体ユニットのサブセットまたはすべて(例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%等、構造体中の微細構造体ユニットの大部分)は、6つの面によって区切られた領域を含んでもよい。このようなユニットは、例えばハニカムセルの形状で、実質的に同じ長さを有する6つの面によって区切られてもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、ユニットは、0.01~3000マイクロメートル、例えば、0.02~2000、0.04~2000、0.04~1500、0.04~1000、0.04~500、1~500、5~500、10~500、20~500、25~500、25~100、40~80、50~70、45~55、50~60、55~65、60~70、65~75、70~80、25~50、50~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~350、350~400、400~450、または450~500、500~750、750~1000、1000~1250、1250~1500、1500~1750、または1750~200マイクロメートルの平均直径を有し得る。一例では、ユニットは50~70マイクロメートル、例えば50~55、55~60、60~65、または65~70マイクロメートルの平均直径を有し得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、構造体中のユニット各微細構造体は、1以上、例えば、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.5、4、4.5、または5に等しい垂直アスペクト比(例えば、ユニットの直径に対する厚さの比)を有し得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、構造体は連続構造体であってもよい。構造体は、連続層(例えば、連続平面層)を含んでよい。層は、支持体の平面表面に沿っていてもよい。いくつかの実施形態において、構造体は、複数のスタック層(または積み重ね層;stacked layer)(例えば、スタック平面層)を含んでもよい。
【0085】
図5は、いくつかの実施形態による、構造体の複数の層を示す図である。図5は、複数の層550a~nを有する構造体530を示す。各層550は、第1の活物質507a、第2の活物質507b、およびバインダー物質509を含む微細構造体ユニットを含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、構造体は、少なくとも2、5、10、50、100、150、200、250、300、350スタックされた層(例えば、スタック平面層)を含んでよい。いくつかの例では、スタック層の第1の層は、スタック層の第2の層の活物質と同じ活物質を含んでよく、第1の層は、複数のスタック層の第2の層とは異なる粒径特性を有する。いくつかの例では、少なくとも2つの層のユニットの平均直径は異なっていてもよい。いくつかの例では、少なくとも2つの層のユニットの平均直径は同じであってもよい。いくつかの例では、複数のスタック層の第1の層は、複数のスタック層の第2の層における1つまたは複数の物質とは異なる物質、または複数のスタック層の第2の層における異なる物理的、化学的、触媒的、電気的、磁気的、放射性、光子的、生物学的、またはそれらの組み合わせの特性を有する同じ活物質を含んでもよい。
【0087】
活物質は、機能をもたらす物質であれば特に限定されない。活物質は、構造体の機能を提供し得る。例えば、活物質は、物理的、熱的、化学的、触媒的、電気的、磁気的、放射性、光子的、生物学的特性、またはそれらの組み合わせを構造体に付与し得る。一例として、活物質は構造体に物理的特性(例えば、物質密度、空隙率、強度、形状等)を付与する。別の例では、活物質は構造体に熱特性を付与し得る。別の例では、活物質は構造体に化学的性質を付与し得る。別の例では、活物質は構造体に触媒特性を付与し得る。別の例では、活物質は構造体に電気的特性を付与し得る。別の例では、活物質は構造体に磁気特性を付与し得る。別の例では、活物質は構造体に放射特性を付与し得る。別の例では、活物質は構造体に光特性を付与し得る。別の例では、活物質は構造体に生物学的特性を付与し得る。
【0088】
いくつかの実施形態において、活物質は、イオン(例えば、リチウムイオン)をインターカレートしてもよいし、イオン(例えば、リチウムイオン)の存在下でコンバージョン反応を有してもよい。例えば、活物質は、イオン(例えば、リチウムイオン)が結晶構造を本質的に保持したままホストマトリックスに挿入される化学反応を促進してもよい。いくつかの実施形態において、活物質は、遷移金属(例えば、ニッケル、コバルト、マンガン、銅、亜鉛、バナジウム、クロム、鉄)、およびそれらの酸化物、リン酸塩、亜リン酸塩、硫化物、およびケイ酸塩、ならびにアルカリ金属およびアルカリ土類金属、アルミニウム、アルミニウム酸化物、およびアルミニウムリン酸塩を含んでもよい。活物質の例としては、LiCoO、LiMn、LiFePO、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiC、LiTi12、LiNiCoAlO、LiNiCoMnO、LiNi0.5Mn1.5、LiTiO、Li(Ni0.5Mn0.5)O、LiS、グラファイト(人工または天然)、硬質炭素、チタネート、チタニア、遷移金属全般、ハロゲン化物、および/またはカルコゲナイド、ケイ素、および14族の他の元素(例えば、スズ、ゲルマニウム等)。いくつかの例では、活物質は、LiFePOを含んでもよい。一部の実施形態では、活物質は絶縁体であってもよい。
【0089】
いくつかの実施形態において、活物質は、反応物間の化学反応をもたらす、または促進することができる活性触媒であってもよく、反応物および/または化学反応の生成物は、微細構造体ユニットを通って送られてもよい。いくつかの例では、触媒は酵素または化学触媒であってもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、活物質は、吸着物に選択的に結合することができる活性吸着剤であってもよく、吸着物を運ぶ媒体は、微細構造体ユニットを通って輸送されてもよい。活性吸着剤は、吸着物に結合する(例えば、選択的に結合する)ことができる物質(例えば、固体または半固体物質)であってよく、吸着物は、気体、または溶液中の溶解物質もしくは懸濁粒子、またはそれらの混合物であってよい。いくつかの実施形態において、活性吸着剤は、吸着物に結合する際に応答を与え得る。そのような応答は、吸着剤の物理的、化学的、電気的、光学的、磁気的特性、またはそれらの任意の組み合わせにおける変化であってもよい。いくつかの例では、そのような応答は、測定可能な応答、例えば、光、音、電気信号であってもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、活物質は化合物の活性担体であってよく、輸送媒体と接触させた際に化合物の少なくとも一部が制御された態様で放出されてよく、輸送媒体は微細構造体ユニットを通って送られてもよい。例えば、輸送媒体は、微細構造体ユニットを通して化合物を送ることができる。輸送媒体は、気体、液体または固体の状態であってもよい。一例では、輸送媒体は体液(例えば、血液、尿、唾液)であってもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、活物質は、感光性化合物の活性担体であってもよく、感光性化合物は、光励起されると光学応答を与え得る。感光性化合物の例としては、蛍光色素が挙げられる。
【0093】
いくつかの実施形態では、活物質は、磁気感受性化合物の活性担体であってもよい。磁気感受性化合物は、磁気的に励起されると磁気応答を与え得る。いくつかの実施形態において、活物質は顔料の活性担体であってもよい。顔料は、(例えば、可視光、紫外光または赤外光で)励起された際に光学的応答(例えば、光学信号を生成する)を有してもよい。
【0094】
結合物質は、構造体中の活物質中の粒子の付着を促進することができる任意の物質であってよい。いくつかの例では、結合物質は有機物質を含み得る。いくつかの例では、結合物質は無機物質を含み得る。いくつかの例では、結合物質は、有機物質と無機物質との組み合わせまたは混合物を含み得る。一例では、結合物質は、ポリマー、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、カルボキシルメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、またはそれらの混合物もしくは組み合わせであってもよい。
【0095】
構造体は、特定の機能に必要な1つ以上の追加構成要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、構造体は、1つ以上の導電性材料を含んでもよい。導電性材料の例としては、カーボンブラック、グラファイト、ケッチェンブラック、グラファイト系炭素、低次元炭素(例えば、カーボンナノチューブ)、および/または炭素繊維等のカーボン(例えば、ナノメートルサイズのカーボン)が挙げられる。
【0096】
図6は、いくつかの実施形態による、構造体のトポググラフィカル光学画像である。図6は、微細構造体ユニット、例えばハニカム形状の微細構造体ユニットを含む例示的な構造体の光学写真(光学顕微鏡で撮影)を示す。この写真は、図5に関連して上述した構造体のような、構造体の上面図を撮影したものである。
【0097】
図7は、いくつかの実施形態による、構造体のトポグラフィカル走査型電子顕微鏡写真画像である。図7に示す構造体は、活物質および結合物質が不均一に分布した複数の微細構造体ユニットを含むリチウムイオンカソードにコーティングされた構造体である。微細構造体ユニットの各々において、活物質および結合物質は自己分離し、結合物質がユニットの端部に沿って凝集する不均一な分布を形成した。図7に示すように、微細構造体ユニットにおいて、ユニットの端部には、ユニットの中央部よりも約40%多くの結合物質が存在する。
【0098】
図7の構造体は、以下の表1の成分を含む組成物で製造されてもよく、構造体は、LiFePO(活物質)、トリトン-X100、カーボンブラック、およびPVdFソレフ5130(結合物質)を含んでもよい。
【0099】
いくつかの例では、流動性液体は以下の表1の成分を含んでもよい。
【表1】
【0100】
比較のために、図8Aおよび8Bは、ブレードキャスティング、ダイキャスティング、テープキャスティング、またはスロットダイコーティング技術等の先行技術で作られた市販の電極の物質分布の写真である。図8Aは、市販の電極のトポグラフィ走査型電子顕微鏡写真画像である。図8Bは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影した市販電極のエネルギー分散型分光観察を示す図である。8A-8Bに示されるように、結合物質および活物質の均質で均一な分布があり、これは、本開示による構造体、例えば図7に示される構造体における物質の不均一な分布とは異なる。
【0101】
図9Aは、いくつかの実施形態による、構造体のトポグラフィ走査型電子顕微鏡写真画像である。図9Bは、いくつかの実施形態による、図9Aに示す構造体のエネルギー分散型分光観察のフッ素チャネルを示す図である。フッ素は、このサンプルで使用されたPVDF結合物質にのみ存在する。図9Aおよび9Bは、結合物質が微細構造体ユニットの端部に集められた構造の別の例を示す。図9Aおよび9Bは、電極微細構造体の最上層を示す。
【0102】
図10Aは、いくつかの実施形態による、構造体のトポグラフィ走査型電子顕微鏡写真画像を示す図である。図10Bは、いくつかの実施形態による、図10Aに示す構造体のエネルギー分散型分光観察を示す図である。図10Aおよび図10Bは、結合物質が微細構造体ユニットの端部に集められた構造体のさらに別の例を示す。この構造体では、活物質も端部に集まるが、結合物質によって形成される境界内に集まり、例えば、微細構造体ユニットは「窪んでいる」(微細構造体ユニットの中央部よりも端部の物質密度が高いことを指す)。図10Bの薄い灰色の部分は、活物質のイオン特性を示している。
【0103】
図11は、図10Aおよび図10Bの「窪み」構造体の概略図である。10Aおよび10B。いくつかの例では、構造体1130は、ユニットの端部に沿ってだけでなく、結合物質によって形成された境界内にも分布する導電性材料を含んでもよい。いくつかの例では、「窪み」構造体は、図11に示すように、微細構造体ユニットの複数の層1150a~nを有してもよい。図11の微細構造体ユニットは、第1の活物質1107a、第2の活物質1107b、および結合物質1109を含む。
【0104】
図12は、本開示による構造体の別の例の概略図である。構造体1230は、結合物質を含んでいてもよいが、活物質を含んでいなくてもよい。結合物質は、微細構造体ユニットの端部に集まってもよい。構造体1230は、1つ以上の層、例えば、複数の層1205a~nを含んでもよい。
【0105】
活物質の分布(例えば、微細構造体ユニット内または微細構造体ユニットの端部)は、製造プロセスによって制御し得る。いくつかの実施形態では、活物質の分布は、乾燥工程の変更で制御し得る。例えば、異なる種類の赤外線(IR)プロトコルを使用してもよい。図13は、赤外線照射の違いによって微細構造体ユニット中の活物質の分布が異なることを示している。乾燥工程では、より低い赤外線露光では、活物質が得られた微細構造体ユニットの端部に集まり(例えば、「窪み」ユニットを形成)、より低い赤外線露光では、活物質が得られた微細構造体ユニットの端部内に集まった(例えば、「充填」ユニットを形成)。
【0106】
図14は、いくつかの実施形態による、構造体を製造する方法1400のフローチャートを示す。方法1400は、ステップ1402、1404、および1406を含む。ステップ1402は、活物質と結合物質との均質な混合物を含む流動性液体を得ることを含む。ステップ1404は、流動性液体から複数の液滴を生成することを含む。ステップ1406は、生成した複数の液滴を支持体に堆積させることを含む。いくつかの実施形態では、連続構造体は複数の微細構造体ユニットを含んでもよく、活物質および結合物質は自己分離して、ユニットの各々において活物質および結合物質の不均一な分布を形成する。
【0107】
図15は、いくつかの実施形態による、構造体を製造する方法1500のフローチャートを示す。方法1400は、ステップ1502、1504、および1506を含む。ステップ1502は、均質な結合物質を含む流動性液体を得ることを含む。ステップ1504は、流動性液体から複数の液滴を生成することを含む。ステップ1506は、生成した複数の液滴を支持体上に堆積させることを含む。いくつかの実施形態において、複数の液滴は、自己集合して連続構造体を形成してもよく、連続構造体は、複数の微細構造体ユニットを含み、結合物質は、自己分離して、各ユニットにおける結合物質の不均一な分布を形成する。
【0108】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載される構造体を含む物品を提供する。いくつかの例では、物品は、構造体で被覆された支持体を含んでよい。このような支持体は、金属フィルム、金属化プラスチックフィルム、金属化ポリマーフィルム、ガラスフィルム、セラミックフィルム、ポリマーフィルム、または紙を含んでもよい。一例では、支持体は金属フィルムであってもよい。別の例では、支持体は金属化フィルムであってもよい。別の例では、支持体はプラスチックフィルムであってもよい。別の実施例では、支持体はガラスフィルムであってもよい。別の実施例では、支持体はセラミックフィルムであってもよい。別の実施例では、支持体はポリマーフィルムであってもよい。別の例では、支持体は紙であってもよい。いくつかの例では、物品は、本明細書に記載された構造体を有する物質で充填された部材を含んでもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、物品は電気化学セルであってもよい。電気化学セルは、構造体を含む(例えば、構造体で被覆された)1つ以上の電極を含んでよい。いくつかの例では、電極は、各々が6つの面によって区切られた、例えばハニカム形状の微細構造体ユニットを有する構造体を含んでもよい。電極は、構造体の複数の層を含んでもよい。いくつかの例では、層の少なくとも2つはオフセットされていてもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、この構造体は、電池の性能を向上させるために電極を被覆するために使用し得る。いくつかの例では、インクジェット印刷されたコーヒーステイン液滴効果を使用して、基板上の活物質および結合物質の配置を制御し、それによって電極微細構造体の精密制御を可能にすることができる。いくつかの例では、電極を被覆する構造体は、例えば、結合物質がハニカム形状を形成し、ハニカム単位内の領域が活物質で充填された、ハニカム形状の微細構造体を有し得る。このような構造体は、用途に応じて電気化学セルの性能を最適化するために、様々な方法で層状にし得る。いくつかの例では、電極は印刷されたハニカム構造の単一または複数の層を含む。
【0111】
電極上の構造体における微細構造体ユニットは、物質密度、空隙率、結合物質の配置等の特定の物理的特性を有し得る。いくつかの実施形態において、このような特性は、電極を通るイオン(例えば、リチウムイオン)の物質輸送を強化し得て、これは、同じ物質を使用するが微細構造体ユニットを使用しない電極と比較した場合に、より高い出力密度をもたらし得る。いくつかの実施形態では、構造体は、二次細孔ネットワークを含むことができる。このようなネットワークは、微細構造体内のイオン輸送を修正することが可能であり、例えば、電極を通るイオン拡散(例えば、リチウムイオン拡散)を増加させることが可能であり得る。
【0112】
いくつかの実施形態において、微細構造体ユニットを有する構造体は、アモルファス構造体よりも強い場合があり、電極クラックが低減された、または全く発生しない、より強い電池電極をもたらす。電極割れは電池寿命に影響する最も重要な問題の1つであるため、本明細書に記載の構造体を有する電極は、同じ物質であるが微細構造体の特徴を有しない電極と比較した場合、電池サイクル寿命が長くなる可能性がある。
【0113】
いくつかの実施形態では、電気化学セルの複数の構成要素が、本明細書に記載される構造体を含み得る。例えば、一つ以上のカソード、一つ以上のアノード、一つ以上のセパレータ、一つ以上の固体または半固体電解質、一つ以上の他の電池化学物質または電気デバイス、またはそれらの任意の組み合わせは、所望の機能のために構造体を含み得る(例えば、構造体によって被覆される)。例えば、一つ以上のカソード、一つ以上のアノード、一つ以上のセパレータ、一つ以上の固体または半固体電解質、一つ以上の他の電池化学物質または電気デバイス、またはそれらの任意の組み合わせは、構造体を含んでもよく、構造体を作製する際に支持体として使用してもよい。
【0114】
本明細書で使用される単数形「a」、「an」、「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、単数形と複数形の両方の参照語を含む。
【0115】
用語「任意の(optional)」または「任意に(optionally)」は、その後に記述される事象、状況、または置換基は、発生してもしなくてもよく、その記述には、その事象または状況が発生する例と発生しない例が含まれることを意味する。
【0116】
端点による数値範囲の記載は、記載された端点だけでなく、それぞれの範囲に含まれるすべての数値と分数を含む。
【0117】
本明細書で使用される基準数値およびその文法的等価物に関連する「約」という用語は、数値そのものおよびその数値からプラスマイナス10%の値の範囲を含むことができる。例えば、「約10」という量には、10および9から11までの任意の量が含まれる。
【0118】
「実質的に同じ」または「本質的に同じ」という用語は、2つ以上の数値、組成、または特性間の類似性が十分に高く、当業者であれば、測定される特性の文脈の中で、これらの数値、組成、または特性間の差は統計的にほとんど有意でない、または有意でないと考えることを意味する。2つの実質的に同じ数値間の差は、例えば10%未満である。
【0119】
本明細書において「例示的」という用語は、例、実例、または説明として役立つことを意味する。本明細書において「例示的」として記載される態様または設計は、必ずしも他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるものではない。むしろ、例示的という言葉の使用は、具体的な方法で概念を提示することを意図している。
【0120】
以下、様々な実施形態について説明する。特定の実施形態は、網羅的な説明として、または本明細書で議論される広範な態様に対する限定として意図されていないことに留意されたい。特定の実施形態と併せて説明される一態様は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、他の任意の実施形態(複数可)とともに実施することができる。本明細書全体を通して「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」、「例示的実施形態(an example embodiment)」と言及することは、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じて様々な箇所で「一実施形態において」、「一実施形態において」、または「例示的な一実施形態」という表現が現れるが、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではなく、その可能性がある。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、本開示から当業者に明らかであるように、任意の適切な方法で組み合わせることができる。さらに、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、いくつかの特徴を含むが、他の実施形態に含まれる他の特徴は含まないが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内であることを意味する。例えば、添付の特許請求の範囲において、特許請求される実施形態のいずれかを任意の組み合わせで使用することができる。
【0121】
本明細書で引用されるすべての刊行物、公開特許文書、および特許出願は、個々の刊行物、公開特許文書、または特許出願が参照により組み込まれるものとして具体的かつ個別に示されているのと同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0122】
本発明の記載された方法、組成物、およびキットの種々の改変および変形は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者に明らかであろう。本発明を特定の実施形態に関連して説明してきたが、本発明はさらなる改変が可能であり、請求される本発明はそのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるであろう。実際、当業者にとって自明である、本発明を実施するための記載された態様の様々な改変は、本発明の範囲内であることが意図される。本出願は、一般的に、本発明の原理に従い、本開示からの逸脱が、本発明が属する技術分野における既知の慣用的慣行の範囲内にあり、本明細書において前に規定された本質的特徴に適用され得るものを含む、本発明のあらゆる変形、使用、または適応を対象とすることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】