IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リスキュア・バイオサイエンシーズ・カンパニー・リミテッドの特許一覧

特表2024-506051ロイコノストック・シトレウム菌株を有効成分として含む腸損傷の予防または治療用医薬組成物
<>
  • 特表-ロイコノストック・シトレウム菌株を有効成分として含む腸損傷の予防または治療用医薬組成物 図1
  • 特表-ロイコノストック・シトレウム菌株を有効成分として含む腸損傷の予防または治療用医薬組成物 図2
  • 特表-ロイコノストック・シトレウム菌株を有効成分として含む腸損傷の予防または治療用医薬組成物 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ロイコノストック・シトレウム菌株を有効成分として含む腸損傷の予防または治療用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/744 20150101AFI20240201BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240201BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240201BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240201BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20240201BHJP
   A23K 10/18 20160101ALI20240201BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20240201BHJP
【FI】
A61K35/744
A61P1/04
A61P29/00
A61P1/00
A23L33/135
A23K10/18
C12N1/20 E ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547880
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 KR2022001870
(87)【国際公開番号】W WO2022169337
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0017813
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0014825
(32)【優先日】2022-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522304257
【氏名又は名称】リスキュア・バイオサイエンシーズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LISCURE BIOSCIENCES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】(SAMPYEONG-DONG) 4F, 68, PANGYO-RO 255BEON-GIL, BUNDANG-GU, SEONGNAM-SI GYEONGGI-DO 13486, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】チン,ファ・スプ
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
2B150AA02
2B150AA03
2B150AA05
2B150AA06
2B150AA08
2B150AB10
2B150AC05
2B150AE02
2B150AE13
2B150CC12
2B150CD06
2B150CD10
2B150CD30
2B150CE02
2B150CE04
2B150CE05
2B150CE07
2B150CJ02
2B150CJ07
2B150CJ08
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB03
4B018LB04
4B018LB05
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB09
4B018MD85
4B018ME14
4B065AA01X
4B065AC20
4B065BA30
4B065BC01
4B065BD15
4B065CA41
4B065CA43
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC55
4C087CA09
4C087CA10
4C087MA52
4C087MA56
4C087MA59
4C087MA60
4C087MA65
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA66
4C087ZA68
4C087ZB11
4C087ZC61
(57)【要約】
本発明は、ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)菌株またはその培養物を有効成分として含む腸損傷、具体的には、炎症性腸疾患、非アルコール性脂肪肝炎、抗癌治療による腸損傷に対する予防、改善または治療用組成物に関する。本発明による組成物は、炎症性腸疾患、非アルコール性脂肪肝炎、抗癌治療など多様な腸損傷に対して優れた予防および治療効果を示すため、ヒトまたは動物の腸損傷の治療、予防または改善などの用途のための組成物として有用に用いられることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物を有効成分として含む腸損傷の予防または治療用医薬組成物。
【請求項2】
前記ロイコノストック・シトレウム菌株は、配列番号1の核酸配列を有する、ロイコノストック・シトレウムWiKim0104(Leuconostoc citreum WiKim0104;受託番号KCCM12420P)菌株である、請求項1に記載の腸損傷の予防または治療用医薬組成物。
【請求項3】
前記腸損傷は、炎症性腸疾患、非アルコール性脂肪肝炎、または抗癌治療による腸損傷である、請求項1に記載の腸損傷の予防または治療用医薬組成物。
【請求項4】
前記組成物は、経口投与または非経口投与の方法で投与可能であることを特徴とする、請求項1に記載の腸損傷の予防または治療用医薬組成物。
【請求項5】
前記非経口投与の方法は、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、内皮投与、局所投与、鼻腔内投与、肺内投与または直腸内投与である、請求項4に記載の腸損傷の予防または治療用医薬組成物。
【請求項6】
ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum )菌株またはその培養物を有効成分として含む腸損傷の予防または改善用食品組成物。
【請求項7】
前記食品は、健康機能食品である、請求項6に記載の腸損傷の予防または改善用食品組成物。
【請求項8】
前記食品は、パン、餅、キャンディー、チョコレート、ガム、アイスクリーム、ミルク、チーズ、食肉加工品、魚肉加工品、キムチ、醤油、味噌、コチュジャン、春醤、清麹醤(チョングッチャン)、酢、トマトケチャップ、カレー、ドレッシング、飲料および発酵乳からなる群から選択されるいずれかの食品であることを特徴とする、請求項6に記載の腸損傷の予防または改善用食品組成物。
【請求項9】
ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum )菌株またはその培養物を有効成分として含む腸損傷の予防または改善用食品添加剤組成物。
【請求項10】
ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum )菌株またはその培養物を有効成分として含む家畜の腸損傷の予防または改善用飼料組成物。
【請求項11】
前記家畜は、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、マウス、ハムスター、モルモット、イヌ、ネコ、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、キジ、ウズラ、コイ、フナ、およびマスからなる群から選択されるいずれかである、請求項10に記載の家畜の腸損傷の予防または改善用飼料組成物。
【請求項12】
ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum )菌株またはその培養物を有効成分として含む家畜の腸損傷の予防または改善用飼料添加剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)菌株またはその培養物を有効成分として含む腸損傷(intestinal damage)、具体的には、炎症性腸疾患、非アルコール性脂肪肝炎、抗癌治療による腸損傷に対する予防、改善、または治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現代人の食生活は肉食中心であり、インスタント食品および加工食品が中心の食習慣、刺激性のある食品の過度な摂取、忙しい生活環境による急激な食物摂取パターンの変化など、望ましくない食生活と不健康な生活習慣、さらに、加齢とともに有益な菌よりも有害な菌が優勢になり、腸内細菌のバランスが崩れ、腸の健康に多くの悪影響を及ぼす。
【0003】
現代人はさまざまな腸の疾患にさらされており、多くの人が炎症性腸疾患、非アルコール性脂肪肝炎、大腸がんなどの病気によって腸が損傷するだけでなく、治療後も腸損傷による腸の損傷回復および機能維持などが問題とされている。
【0004】
腸内フローラ(microbiota)とは、微生物菌叢として環境内の微生物群集を指し、腸内フローラは、宿主、例えば、ヒトの免疫、代謝物質などの恒常性維持に重要な役割を果たすことが知られている。腸内フローラと宿主は、化学物質のシグナルをやり取りし、腸内フローラによる免疫細胞の発現や神経伝達物質の生成、短鎖脂肪酸(SCFA;Short chain fatty acids)などが宿主内システムに重大な影響を与え、特にプロバイオティクス/プレバイオティクスは、宿主の不均衡な腸内フローラのバランスを整え、これによる健康な腸内フローラの代謝産物が宿主(ホスト)の健康を増進させることができる。
【0005】
現在、プロバイオティクスを有効成分として含むアルコール性腸損傷の予防または治療用組成物(韓国登録特許第10-2038695号)ないし新規なラクトバチルスアシドフィルス菌株を含む腸内環境改善用組成物(韓国登録特許第10-2201517号)が公開されているが、ロイコノストック・シトレウム菌株を有効成分とする腸損傷の予防または治療効果については記載されたところがない。
【0006】
このような背景の下、本発明者らは、毒性および副作用のほとんどないロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物を含む組成物が、炎症性腸疾患、非アルコール性脂肪肝炎、抗癌治療などにより損傷を受けた腸に対して、腸損傷の治療および機能回復の効果があることを確認し、本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10-2038695号
【特許文献2】韓国登録特許第10-2201517号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ロイコノストック・シトレウム菌株を有効成分として含む腸損傷の予防または治療用医薬組成物を提供することである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、ロイコノストック・シトレウム菌株を有効成分として含む腸損傷の予防、改善用食品組成物、または食品添加剤組成物を提供することである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、ロイコノストック・シトレウム菌株を有効成分として含む家畜の腸損傷の予防、改善用飼料組成物、または飼料添加剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、ロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物を有効成分として含む腸損傷の予防または治療用医薬組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、ロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物を有効成分として含む腸損傷の予防、改善用食品組成物、または食品添加剤組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、ロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物を有効成分として含む家畜の腸損傷の予防、改善用飼料組成物、または飼料添加剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0014】
前記目的を達成するために、ロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物を有効成分として含む腸損傷の予防または治療用医薬組成物を提供する。
【0015】
また、本発明は、ロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物を有効成分として含む腸損傷の予防、改善用食品組成物、または食品添加剤組成物を提供する。
【0016】
また、本発明は、ロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物を有効成分として含む家畜の腸損傷の予防、改善用飼料組成物、または飼料添加剤組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による組成物をCaco2腸細胞に処理した後、ZO1タンパク質遺伝子発現量を測定したグラフを示す図である。
図2】本発明による組成物をCDHFDマウスモデルにおいて処理した後、オクルディン(Occludin)タンパク質遺伝子発現量を測定したグラフを示す図である。
図3】本発明による組成物をCDHFDマウスモデルにおいて処理した後、ZO1タンパク質遺伝子発現量を測定したグラフを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明のロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物を有効成分として含む組成物は、腸損傷の予防または治療効果を有し、医薬組成物として用いられることができる。
【0019】
本発明のロイコノストック・シトレウム菌株は、乳酸菌株である。前記ロイコノストック・シトレウム菌株は、プロバイオティクスであって、乳酸菌の一般的な整腸効果および免疫増強効果を有する。ロイコノストック属の乳酸菌が整腸効果、免疫増強効果を有することは周知の事実である。
【0020】
前記ロイコノストック・シトレウム菌株は、ロイコノストック・シトレウム WiKim0104株であってもよく、配列番号1の(SEQ ID NO:1)の核酸配列を有する。
【0021】
前記ロイコノストック・シトレウム菌株は、MRS液体培地に0.1~10%接種し、25~37℃で4時間~48時間の間、培養して用いることができる。
【0022】
前記培養の方法は、静置培養方法が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0023】
本発明において、「プロバイオティクス(probiotics)」とは、「ヒトを含む動物の消化管内で宿主の腸内微生物の環境を改善し、宿主の健康に有益な影響を与える生きている微生物」という意味で理解される。プロバイオティクスは、プロバイオティック活性を有する生きている微生物であって、単一菌株または複合菌株の形でヒトや動物に乾燥した細胞の形態や発酵産物の形態で供給される場合、宿主の腸内細菌叢に有益な影響を及ぼすことができる。
【0024】
前記腸損傷は、炎症性腸疾患、非アルコール性脂肪肝炎、または抗癌治療による腸損傷であってもよく、これらに限定されるものではない。
【0025】
本発明による組成物に含まれるロイコノストック・シトレウム菌株は、生菌体または死菌体として存在してもよく、または乾燥若しくは凍結乾燥の形態で存在してもよい。また、ロイコノストック・シトレウム菌株の培養物が有効成分であることができ、前記培養物には生菌培養液または死菌上澄み液を含むことができる。様々な組成物内に含ませるのに適した乳酸菌の形態および製剤化の方法は当業者に広く知られている。
【0026】
前記組成物は、経口または非経口で投与することができる。非経口投与の場合には、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、内皮投与、局所投与、鼻腔内投与、肺内投与、および直腸内投与などで投与することができ、好ましくは、静脈内注入方法で投与することができるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
前記組成物の適切な投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、食べ物、投与時間、投与経路、排泄速度、および反応感受性などの要因に応じて多様に処方することができる。
【0028】
本発明の組成物が医薬組成物として活用される場合、本発明の医薬組成物は、前記の有効成分の外に薬学的に適切で生理学的に許容される補助剤を用いて製造することができ、前記補助剤としては、賦形剤、崩壊剤、甘味料、結合剤、被覆剤、膨張剤、潤滑剤、滑沢剤または香味剤などが用いられることができる。
【0029】
前記医薬組成物は、投与のために前記した有効成分に加えて、さらに薬学的に許容される担体を1種以上含んで医薬組成物として好ましく製剤化することができる。
【0030】
例えば、錠剤またはカプセル剤の形態に製剤化するために、有効成分はエタノール、グリセロール、水などのような経口、非毒性の薬学的に許容される不活性担体と組み合わせることができる。また、所望するまたは必要な場合、適合する結合剤、潤滑剤、崩壊剤、および発色剤もまた混合物に含まれることができる。適合する結合剤は、これらに限定されるものではないが、澱粉、ゼラチン、グルコースまたはベータラクトースのような天然糖、トウモロコシ甘味料、アカシア、トラガントまたはオレイン酸ナトリウムのような天然および合成ガム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含む。崩壊剤はこれらに限定されるものではないが、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが含まれる。液体溶液に製剤化される組成物において許容される医薬担体としては、滅菌および生体に適したものとして、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール、およびこれらの成分のうち1成分以上を混合して用いることができ、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤などの他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、および潤滑剤を付加的に添加し、水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化することができる。
【0031】
さらに、当該分野における好適な方法として、Remington´s Pharmaceutical Science、Mack Publishing Company、Easton PAに開示されている方法を用いて、各疾患に応じてまたは成分に応じて好ましく製剤化することができる。
【0032】
本発明のロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物を有効成分として含む組成物は、腸損傷の予防、改善用食品組成物、または食品添加剤組成物として用いられることができる。
【0033】
前記食品組成物は、健康機能食品の形態であってもよい。
【0034】
前記「健康機能食品」は、健康機能食品に関する法律に従って人体に有用な機能性を有する原料や成分を用いて製造および加工した食品を意味(第3条第1号)し、「機能性」とは、人体の構造および機能に対して栄養素を調節したり、生理学的作用などのような保健用途に有用な効果が得られること(同条第2号)を意味する。
【0035】
前記食品組成物は、食品添加物をさらに含むことができ、「食品添加物」としての適否は、他の規定がない限り、食品医薬品安全処にて承認された食品添加物公定書の総則および一般試験法などに従って当該品目に関する規格および基準により判定する。
【0036】
前記「食品添加物公定書」に収載された品目としては、例えば、ケトン類、グリシン、クエン酸カリウム、ニコチン酸、けい皮酸などの化学的合成品、カキ色素、甘草抽出物、結晶セルロース、グアーガムなどの天然添加物、L-グルタミン酸ナトリウム製剤、麺類添加アルカリ剤、保存料製剤、タール色素製剤などの混合製剤類が挙げられる。
【0037】
本発明の有効成分が含まれた食品としては、パン、餅類、堅果類、キャンディー類、チョコレート類、チューインガム、ジャム類のような菓子類、アイスクリーム類、氷果類、アイスクリーム粉末類のようなアイスクリーム製品類、牛乳類、低脂肪牛乳類、乳糖分解ミルク、加工乳類、ヤギ乳、発酵乳類、バターミルク類、濃縮乳類、乳クリーム類、バター類、天然チーズ、加工チーズ、粉乳類、乳清類のような乳加工品類、食肉加工品、鶏卵加工品、ハンバーガーのような食肉製品類、練り物、ハム、ソーセージ、ベーコンなどの魚肉加工品のような魚肉製品類、ラーメン類、乾麺類、生麺類、揚げ麺類、糊化乾麺類、改良半生麺類、冷凍麺類、パスタ類のような麺類、果実飲料、野菜類飲料、炭酸飲料、豆乳類、ヨーグルトなどの乳酸菌飲料、混合飲料のような飲料、醤油、味噌、コチュジャン、春醤、清麹醤(チョングッチャン)、混合醤油、酢、ソース類、トマトケチャップ、カレー、ドレッシングのような調味食品、マーガリン、ショートニングおよびピザが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
前記したものの他、本発明の組成物は、種々の栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸およびその塩、アルギン酸およびその塩、有機酸、保護コロイド増粘剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などを含むことができる。その他に本発明の組成物は、天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料、および野菜飲料を製造するための果肉を含むことができる。これらの成分は、独立してまたは組み合わせて用いられることができる。
【0039】
本発明の有効成分を含む飲料組成物は、他の成分には特別な制限はなく、通常の飲料のように様々な香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。前記した天然炭水化物の例は、単糖類(例えば、ブドウ糖、果糖など);二糖類(例えば、マルトース、スクロースなど)および多糖類(例えば、デキストリン、シクロデキストリンなど)のような通常の糖、およびキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールである。前記したもの以外の香味剤として天然香味剤(ソーマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウジオシドA)、グリチルリチンなど)および合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を有利に用いることができる。
【0040】
また、本発明のロイコノストック・シトレウム菌株またはその培養物を有効成分として含む組成物は、家畜の腸損傷の予防、改善用飼料組成物、または飼料添加剤組成物として用いられることができる。
【0041】
前記組成物が飼料添加剤として製造される場合、前記組成物は20~90%の高濃縮液、粉末、または顆粒の形態で製造することができる。前記の飼料添加剤は、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、乳酸、リンゴ酸などの有機酸や、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、酸性ピロリン酸、ポリリン酸塩(重合リン酸塩)などのリン酸塩や、ポリフェノール、カテキン、アルファ-トコフェロール、ローズマリー抽出物、ビタミンC、緑茶抽出物、甘草抽出物、キトサン、タンニン酸、フィチン酸などの天然抗酸化剤のいずれかまたは一つ以上をさらに含むことができる。飼料として製造される場合、前記組成物は、通常の飼料の形態で製剤化されることができ、通常の飼料成分を共に含むことができる。
【0042】
前記飼料および飼料添加剤は、穀物、例えば、粉砕または粉砕された小麦、オーツ麦、大麦、トウモロコシ、および米;植物性タンパク質飼料、例えば、菜の花、大豆、およびヒマワリを主成分とする飼料;動物性タンパク質飼料、例えば、血粉、肉骨粉、骨粉、および魚粉;糖粉および乳製品、例えば、各種粉乳および乳清粉末からなる乾燥成分などをさらに含むことができ、それ以外にも栄養補助剤、消化および吸収向上剤、成長促進剤などをさらに含むことができる。
【0043】
前記飼料添加剤は、動物に単独で投与したり、食用担体中において他の飼料添加剤と組み合わせて投与することもできる。また、前記飼料添加剤は、トップドレッシングとして、またはこれらを動物飼料に直接混合するか、または飼料とは別途の経口製剤として、容易に動物に投与することができる。前記飼料添加剤を動物飼料とは別途に投与する場合、当技術分野において周知のごとく、薬学的に許容される食用担体と組み合わせて、即放性または徐放性製剤で製造することができる。これらの食用担体は、固体または液体、例えば、トウモロコシのデンプン、ラクトース、スクロース、大豆フレーク、ピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油およびプロピレングリコールであってもよい。固体担体が使用される場合、飼料添加剤は、錠剤、カプセル剤、散剤、トローチ剤または含糖錠剤または微分散性形態のトップドレッシングであってもよい。液体担体が用いられる場合、飼料添加剤はゼラチン軟質カプセル剤、シロップ剤、懸濁液、エマルジョン剤、または溶液剤の剤形であってもよい。
【0044】
また、前記飼料および飼料添加剤は、補助剤、例えば、保存剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶液促進剤などを含有することができる。前記飼料添加剤は、浸漬、噴霧または混合して動物の飼料に添加することによって用いられることができる。
【0045】
本発明の飼料または飼料添加剤は、哺乳類、家禽および魚類を含む多数の動物の食餌に適用することができる。
【0046】
前記哺乳類として、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、齧歯類、および、マウス、ハムスター、モルモットなどの実験用齧歯類だけでなく、愛玩動物(例えば、イヌ、ネコ)などに用いることができ、前記家禽類として、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、キジ、およびウズラなどにも用いることができ、前記魚類として、コイ、フナ、マスなどに用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、実施例を通して本発明をさらに詳しく説明する。これらの実施例は、唯一本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の要旨に基づいて、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されないことは当業界における通常の知識を有する者にとって自明なことであろう。
【0048】
実施例1.菌株の培養
ロイコノストック・シトレウムWiKim0104(寄託番号KCCM12420P)菌株は、寄託者である韓国食品研究院の許可を受け、分譲を受けて実験を行った。
【0049】
上記分譲を受けたロイコノストック・シトレウムWiKim0104菌株をMRS液体培地30mlに1%接種し、30℃で18時間静置培養した。培養後、3000rpmで10分間遠心分離し、培養液を別々に保存し、菌体はPBS( リン酸緩衝食塩水:phosphate buffered saline)溶液に3回洗浄し、残りの培地成分を除去した。
【0050】
実施例2.腸細胞における障壁維持関連遺伝子発現増強効能の確認
腸細胞(HT29細胞およびCaco2)培養のためにペニシリン/ストレプトマイシン、10%FBSを添加したRPMI培地を使用し、6ウェル(6-well)プレートトランスウェルを用いて用意した。
【0051】
腸細胞がコンフルエント(confluent)になるまで培養した後、LPS 1μg/mlとパルミチン酸(Palmitic acid)500μMが含まれた200μlの新しい培地と交換した。このとき用意したロイコノストック・シトレウムWiKim0104株を1×10CFU/mLの濃度で処理する。前記菌株を処理してから24時間培養した後、PBSで3回洗浄し、細胞を収集し、TRIZOL試薬を用いてRNAを分離した。1μgのRNAをcDNA合成kitを用いてcDNAを合成した後、qRT-PCR(quantitative real time polymerase chain reaction)法により密着結合(Tight junction)関連遺伝子であるZO-1の発現量を確認した結果を図1に示した。
【0052】
図1に示すように、ロイコノストック・シトレウムWiKim0104菌株処理群において、LPSとパルミチン酸によって減少したZO1の発現量が回復する結果がみられた。

実施例3.非アルコール性脂肪肝炎モデルにおける障壁維持効能の確認
非アルコール性脂肪肝炎もまた密着結合(Tight junction)の機能障害に密接した関連があることが知られている。そこで、コリン欠乏高脂肪食(choline deficient high fat diet(CDHFD))法によって誘導された非アルコール性脂肪肝炎モデルにおいて、本発明による組成物を処理した後、密着結合関連遺伝子の発現量を測定した。6~8週齢のC57BL6マウスをCDHFDの方法により8週間摂取させ、非アルコール性脂肪肝炎を誘導した後、12週間ロイコノストック・シトレウムWiKim0104菌株を2×10CFU/日の濃度で週5日間給与した。12週間後、対照群と実験群の腸組織から密着結合(Tight junction)関連遺伝子であるオクルディン(Occludin)およびZO1発現量が確認された結果を図2および図3に示した。
【0053】
図2および図3に示すように、ロイコノストック・シトレウムWikim0104菌株を摂取した群において、前記オクルディン(Occludin)およびZO1タンパク質遺伝子の発現量が正常群レベルに回復したことが確認された。
【0054】
[受託番号]
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM12420P
受託日:20181214
図1
図2
図3
【配列表】
2024506051000001.app
【国際調査報告】