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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】一体型試薬カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
G01N35/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547909
(86)(22)【出願日】2022-01-29
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2022074872
(87)【国際公開番号】W WO2022166858
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】63/146,290
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523298742
【氏名又は名称】イージーアイ・テック・(チンタオ)・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EGI Tech (Qing Dao) Co., Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】リン,シー-チン
(72)【発明者】
【氏名】リィ,シーシン
(72)【発明者】
【氏名】オウヤン,イーウェン
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CC05
2G058CE01
2G058CE05
(57)【要約】
一体型試薬カートリッジは、配列決定中に試薬を保持して分配するように構成され得る。一体型試薬カートリッジは、大容量試薬部位と、小容量試薬部位と、上部カバーと、下部シェルアセンブリと、マニホールドアセンブリとを有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)流体装置に接続するように構成された複数の流体装置ポートを有するシェルと、
(b)前記シェル内に設けられ、その少なくとも一部がそれぞれ流体試薬を収容する複数の試薬保存容器と、
を備え、
(c)前記試薬保存容器の少なくとも一部が、前記流体装置ポートと流体的に接続されない位置から、前記流体装置ポートに流体的に接続される位置まで移動可能に、前記シェル内に配置されている、
一体型試薬カートリッジ。
【請求項2】
前記試薬保存容器の一部が、試薬リザーバを備え、前記試薬リザーバがそれぞれ、シールと、少なくとも1つのリザーバポートとを備える、
請求項1に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項3】
前記試薬リザーバは、通気され、前記流体装置ポートに流体的に接続されるように構成され、第1位置では、前記試薬リザーバがそれぞれシールされ、第2位置では、前記試薬リザーバがそれぞれ通気され、少なくとも1つの前記リザーバポートによって前記流体装置ポートの1つに接続される、
請求項2に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項4】
前記試薬保存容器の一部が、可撓性試薬保存容器であり、前記可撓性試薬保存容器がそれぞれ、少なくとも1つのポートを備える、
請求項2に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項5】
前記可撓性試薬保存容器が、試薬を受容するように構成された少なくとも1つの充填ポートと、前記流体装置ポートの1つに接続されるように構成された少なくとも1つの分注ポートと、を備える、
請求項4に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項6】
前記可撓性試薬保存容器が、前記流体装置ポートに流体的に接続されるように構成され、第1位置では、前記可撓性試薬保存容器がそれぞれ前記流体装置ポートと断接され、第2位置では、前記可撓性試薬保存容器がそれぞれ、前記少なくとも1つの分注ポートによって前記流体装置ポートの1つに接続される、
請求項5に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項7】
一部の前記可撓性試薬保存容器の充填ポートが、セルフシールプラグを備え、他の前記可撓性試薬保存容器の充填ポートが、ユーザが試薬を注入するための開放充填ポートを備える、
請求項5に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項8】
前記シェルが、前記開放充填ポートの少なくとも1つに位置合わせされた少なくとも1つの開口を備える、
請求項7に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項9】
前記シェルの内部における前記試薬保存容器の移動を抑制するように構成された脆性支持部を更に備える、
請求項1に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項10】
複数のポートピアサーを更に備え、各ポートピアサーが、前記流体装置ポートの1つに流体的に接続され、前記ポートピアサーは、前記試薬保存容器が前記複数の流体装置ポートに流体的に接続される位置に移動したときに、前記試薬保存容器のシールされたポートを貫通するように構成されている、
請求項1に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項11】
複数の通気ピアサーを更に備え、各通気ピアサーが、1以上の前記試薬保存容器を通気するために移動するように構成されている、
請求項1に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項12】
前記通気ピアサーの一部が、前記シェルの可動部を備える、
請求項11に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項13】
前記通気ピアサーの一部が、前記シェルの内部に可動構造を備える、
請求項11に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項14】
前記流体装置に対して当該一体型試薬カートリッジを位置合わせするように構成された複数のアライメント構造を更に備える、
請求項1に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項15】
複数の流体通路を更に備え、当該流体通路がそれぞれ、前記試薬保存容器の1つと前記流体装置ポートの1つとの間を流体的に接続するように構成されている、
請求項1に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項16】
前記流体通路が、ガス透過性を有する流体通路を備える、
請求項15に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項17】
前記流体通路は、当該一体型試薬カートリッジが前記流体装置から断接されたときに、試薬の漏れを抑制するように構成されている、
請求項15に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項18】
前記流体通路がそれぞれ、当該一体型試薬カートリッジが直立に向けられているときに、当該流体通路と流体的に接続されている前記試薬保存容器の最大流体表面レベルよりも高い上部位置を備える、
請求項17に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項19】
前記シェルが、少なくとも1つの冷却エア入口及び出口を備える、
請求項1に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項20】
当該一体型試薬カートリッジを通過して延在するマニホールドを更に備え、前記マニホールドは、少なくとも1つのマイクロ流体通路を備える、
請求項1に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項21】
前記マニホールドは、前記マイクロ流体通路の第1端に、機器のポンプポートに流体的に接続されるように構成された少なくとも1つのポートを備え、また、前記マイクロ流体通路の第2端に、前記流体装置の出口ポートに接続されるように構成された少なくとも1つのポートを備える、
請求項20に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項22】
(a)その一部が試薬リザーバを有し、試薬リザーバの少なくとも一部がそれぞれ通気可能シールと少なくとも1つのリザーバポートとを有する、複数の試薬保存容器と、
(b)前記試薬リザーバを流体装置に流体的に接続するように構成された複数の流体装置ポートと、
(c)前記通気可能シールが貫通可能な第1位置で前記試薬リザーバを支持し、前記試薬リザーバが前記流体装置ポートに接続される第2位置に前記試薬リザーバが移動するのを許容すべく破壊されるように構成された複数の脆性支持部と、
を備える、一体型試薬カートリッジ。
【請求項23】
前記通気可能シールを貫通するように構成された可動の通気ピアサーを更に備える、
請求項22に記載の一体型試薬カートリッジ。
【請求項24】
前記流体装置ポートに流体的に接続される穿孔ポートを更に備え、前記穿孔ポートは、前記試薬リザーバが前記第2位置に移動したときに、前記リザーバポートに貫通して流体的に接続されるように構成されている、
請求項23に記載の一体型試薬カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、「一体型試薬カートリッジ(Integrated Reagent Cartridge)」に関して2021年2月5日に提出された米国仮出願第63/146,290号の利益を主張し、その内容全体が本参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
例えば核酸配列決定のための、一体型試薬カートリッジ、並びに試薬カートリッジを使用する流体工学システム及び方法。
【背景技術】
【0003】
核酸配列決定技術の進歩に伴い、シーケンサーの複雑さ及びコストを軽減する努力がなされてきた。これら技術の多くが、マイクロ流体工学を使用している。マイクロ流体工学では、小さく、典型的にはミリメートル未満、毛管浸透が質量輸送を支配するスケールに幾何学的に制約される可能性のある、流体の挙動、正確な制御、及び操作が取り扱われる。
【0004】
配列決定は、DNA等における、核酸配列又はヌクレオチドの順序を決定するプロセスである。DNA配列決定には、アデニン、グアニン、シトシン、及びチミンの4つの塩基ヌクレオチドの順序を決定するために使用される方法及び技術が含まれる。DNA配列の知識は、基礎的な生物学研究だけでなく、医療診断、バイオ技術、法医生物学、ウイルス学、生物体系学等、多くの応用分野においても不可欠になってきている。健全なDNA配列と、変異したDNA配列とを比較することにより、様々な癌を含む疾病を診断でき、抗体レパートリーの特性を示すことができ、患者治療の指針に使用できる。DNAを迅速に配列決定する手法があれば、より迅速且つ個別化された医療を実施できるようになり、より多くの生命体を同定してカタログ化することができるようになる。
【発明の概要】
【0005】
本出願において、一体型カートリッジ、並びに当該カートリッジを使用してDNAその他核酸の配列決定のためのシステム及び方法について説明する。配列決定システム及び方法に用いる一体型試薬カートリッジという文脈で以下に例を示すが、当該カートリッジは、流体工学に基づくその他のシステム及び方法にも有益に使用可能であることが理解されるであろう。
【0006】
従来、配列決定及びその他の流体工学に基づくシステムは、多くの課題に直面してきた。例えば、従来の配列決定システムの多くは、そのサイズに起因して、持ち運びすることができず、高価である。本書に開示される実施形態には、配列決定システムを簡易に構成可能とする試薬カートリッジが含まれる。また、試薬カートリッジは、配列決定システムの他の構成部品から分離して保存できる。エンドユーザが試薬を必要とする場合、試薬カートリッジ及びその他の構成部品とが、必要に応じて、試薬を分配してDNA又はその他の核酸のサンプルを配列決定するために、互いに係合され得る。
【0007】
本書に開示される実施形態により、従来の解決策に対し、多数の利点がもたらされる。例えば、試薬カートリッジは、オフボード条件(例えば、光防止性、凍結性、気密性)及びオンボード条件(例えば、光防止性、適温性、酸素透過性、光防止性)に対して適切な配列決定試薬の保管を提供でき、試薬の最適な化学反応性を保証し、ランツーランの汚染を防ぐ適切な配列決定試薬の取り扱いを保証する。別の例として、試薬カートリッジは、その流体ポートを、配列決定チップの対応する流体ポートに対し、確実に位置合わせし、シールし、且つ連結するように構成され得る。また、試薬カートリッジは、試薬カートリッジの構成部品を貫通してシールするための駆動力を付与する装置と連結するように構成されている。結果として、配列決定反応中には、全ての試薬が、シークエシング反応のため、分注可能であり適切に提供される。別の例として、試薬カートリッジは、シークエシング反応によっては、別の異なる密閉試薬コンパートメントにアクセスしたり通気したりできる。別の例として、試薬カートリッジには、試薬分配を駆動する外部ポンプ(例えば、器具上又は使い捨て)とのインターフェースが設けられる。また、試薬カートリッジは、試薬カートリッジが配列決定システムから取り外された場合においても、大容量試薬リザーバを空にすることなく、試薬の漏れを防止する。試薬カートリッジは、試薬カートリッジがシーケンスシステムから外された場合でも、大容量の試薬リザーバを空にすることなく試薬の漏れを防止します。
【0008】
一例において、一体型試薬カートリッジは、(a)流体装置に接続するように構成された複数の流体装置ポートを有するシェルと、(b)シェルの内部における複数の試薬保存容器と、を備え、試薬保存容器の少なくとも一部がそれぞれ流体試薬を収容し、(c)試薬保存容器の少なくとも一部が、シェル内で移動可能に配置され、当該試薬保存容器は、複数の流体装置ポートに流体的に接続されない位置から、複数の流体装置ポートに流体的に接続される位置へと、シェル内で移動可能である。
【0009】
場合によっては、試薬保存容器の一部が試薬リザーバを有し、試薬リザーバがそれぞれ、シールと、少なくとも1つのリザーバポートとを有する。
【0010】
場合によっては、一体型試薬カートリッジは、試薬リザーバが、通気され、流体装置ポートに流体的に接続されるように構成され、第1位置では、試薬リザーバがそれぞれシールされ、第2位置では、試薬リザーバがそれぞれ通気され、少なくとも1つのリザーバポートによって流体装置ポートの1つに接続される。
【0011】
場合によっては、試薬保存容器の一部が、可撓性試薬保存容器を含み、可撓性試薬帆存容器それぞれが少なくとも1つのポートを有する。
【0012】
場合によっては、可撓性試薬保存容器それぞれが、試薬を受容するように構成された少なくとも1つの充填ポートと、流体装置ポートの1つに接続されるように構成された少なくとも1つの分注ポートとを有する。
【0013】
場合によっては、一体型試薬カートリッジは、可撓性試薬保存容器が、流体装置ポートに流体的に接続されるように構成され、第1位置では、可撓性試薬保存容器それぞれが流体装置ポートから接続解除され、第2位置では、可撓性試薬保存容器それぞれが少なくとも1つの分注ポートによって流体装置ポートの1つに接続される。
【0014】
場合によっては、一部の可撓性試薬保存容器の充填ポートが、セルフシールプラグを有し、他の可撓性試薬保存容器の充填ポートが、ユーザが試薬を注入するための開放充填ポートを有する。
【0015】
場合によっては、シェルが、少なくとも1つの開放充填ポートと位置合わせされた少なくとも1つの開口を有する。
【0016】
場合によっては、一体型試薬カートリッジが、シェル内での試薬保存容器の移動を規制するように構成された脆性支持部を更に有する。
【0017】
場合によっては、一体型試薬カートリッジが、複数のポートピアサーを更に有し、ポートピアサーがそれぞれ、流体装置ポートの1つに流体的に接続される。複数の流体装置ポートに流体的に接続される位置に移動するときに、ポートピアサーは、試薬保存容器のシールされたポートを貫通するように構成されている。
【0018】
場合によっては、一体型試薬カートリッジは、複数の通気ピアサーを更に有し、通気ピアサーがそれぞれ、1以上の試薬保存容器を通気するために移動するように構成されている。
【0019】
場合によっては、通気ピアサーの一部が、シェルの可動部である。
【0020】
場合によっては、通気ピアサーの一部が、シェルの内部の可動構造である。
【0021】
場合によっては、一体型試薬カートリッジが、当該一体型試薬カートリッジを流体装置に対して位置合わせするように構成された複数のアライメント構造を更に有する。
【0022】
場合によっては、一体型試薬カートリッジが、複数の流体通路を更に有し、その各々が、試薬保存カートリッジの1つと流体装置ポートの1つとの間の流体接続を構成する。
【0023】
場合によっては、流体通路が、ガス透過性流体通路を含む。
【0024】
場合によっては、一体型試薬カートリッジが流体装置から接続解除されたときに、流体通路が、試薬の漏れを抑制するように構成されている。
【0025】
場合によっては、流体通路はそれぞれ、一体型試薬カートリッジに直立に向けられているときに、流体通路が流体的に接続されている試薬保存容器の最大流体表面レベルよりも高い上部位置を含む。
【0026】
場合によっては、シェルが、少なくとも1つの冷却エア入口及び出口を有する。
【0027】
場合によっては、一体型試薬カートリッジが、当該一体型試薬カートリッジを通過して延在するマニホールドを更に有し、マニホールドが少なくとも1つのマイクロ流体通路を有する。
【0028】
場合によっては、マニホールドが、マイクロ流体通路の第1端に、機器のポンプポートに流体的に接続される少なくとも1つのポートを有し、また、マイクロ流体通路の第2端に、流体装置の出口ポートに接続されるように構成された少なくとも1つのポートを有する。
【0029】
別の例では、一体型試薬カートリッジが、(a)複数の試薬保存容器と、(b)複数の流体装置ポートと、(c)複数の脆性支持部とを備え、試薬保存容器の一部が、試薬リザーバを有し、試薬リザーバの少なくとも一部がそれぞれ通気可能シールと、少なくとも1つのリザーバポートとを有し、流体装置ポートは、流体装置に向けて試薬リザーバに流体的に接続するように構成され、脆性支持部は、通気可能シールが貫通される第1位置で支持するように構成され、また、脆性支持部は、試薬リザーバが流体的に流体装置ポートに接続される第2位置に試薬リザーバが移動するのを許容すべく破壊されるように構成されている。
【0030】
場合によっては、一体型試薬カートリッジは、通気可能シールを貫通するように構成された可動の通気ピアサーを更に有する。
【0031】
場合によっては、一体型試薬カートリッジは、流体装置ポートに流体的に接続される穿孔ポートを有し、穿孔ポートは、試薬リザーバが第2位置に移動すると、リザーバポートを貫通して流体的に接続される。
【0032】
この概要は、本開示の異なる実施形態を簡略化した形で紹介するために提供されており、以下でさらに詳細に説明する。この概要は、クレームされた主題の範囲を制限するために使用されることを意図したものではない。クレームされた主題の他の特徴、詳細、有用性、及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図示の単純化及び明確化のため、図面に示される要素は必ずしも同じ縮尺で描画されていないことが理解されるであろう。例えば、一部の要素の寸法は、明確化のため、互いに対して誇張されている。更に、適切と考えられる場合には、対応する要素を示すために、参照符号が図面間で繰り返される。
【0034】
図1A図1Bは、配列決定システムの一体型試薬カートリッジの例を示す。
【0035】
図2A図2Dは、一体型試薬カートリッジの大容量試薬部位の例を示す。
【0036】
図3A図3Bは、一体型試薬カートリッジの小容量試薬部位の例を示す。
【0037】
図4A図4Eは、一体型試薬カートリッジの下部シェルアセンブリの例を示す。
【0038】
図5A図5Bは、一体型試薬カートリッジの上部カバーの例を示す。
【0039】
図6A図6Bは、一体型試薬カートリッジのマニホールドアセンブリの例を示す。
【0040】
図7は、配列決定システムに搭載された一体型試薬カートリッジの例を示す。
【0041】
図8A図8Cは、配列決定中に一体型試薬カートリッジを係合する処理の例を示す。
【0042】
図9は、配列決定中における、一体型試薬カートリッジを係合する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下の詳細な説明では、本開示の一部を成し、本発明が実施され得る特定の実施形態の例示として示す添付図面を参照する。「高さ(height)」、「上部(top)」、「下部(bottom)」等の用語は、説明される図面の向きを参照して使用される。本発明の実施形態に係る構成要素は、多くの異なる方向に配置され得るため、この用語は、例示を目的として使用され、限定するものではない。
【0044】
図1A図1Bは、配列決定システムの一体型試薬カートリッジ(Integrated reagent cartridge)(IRC)100を例示する。本例では、IRCは、上部カバー110、下部シェルアセンブリ170、大容量試薬部位130、小容量試薬部位150、及びマニホールドアセンブリ190を有する。接続されると、上部カバー110及び下部シェルアセンブリ170がシェルを形成し、残余の構成要素がシェルの内部に配置される。これらの各構成要素については、以下で更に詳細に説明する。
【0045】
IRC100は、シェルの内部で、1以上の試薬保存容器を有し得る。例えば、1以上の試薬保存容器が、大型試薬リザーバ、小容量試薬リザーバ、及び試薬バッグ等の可撓性試薬保存容器を含み得る。別の一体型試薬カートリッジにおいて、これらの又は他のタイプの試薬保管容器が、異なる数だけ設けられてもよいし、異なる組合せで構成されてもよい。
【0046】
図2A図2Dは、図1A図1Bの一体型カートリッジの大容量試薬部位230をより詳細に示す。大容量試薬部位230は、3個から12個の異なる配列決定関連試薬を保存できる。配列関連試薬の各々の容量は、2~200ミリリットルであり、大容量試薬部位230の総容量は最大600ミリリットルである。
【0047】
図2Aを参照して、大容量試薬部位230は、第1大型リザーバ232及び第2大型リザーバ234を含み得る。第1大型リザーバ232及び第2大型リザーバ234の各々が、試薬を保存可能である。大容量試薬部位230の上面は、第1大型リザーバ232及び第2大型リザーバ234が充填された後に、例えばアルミニウム箔で断熱され得る。また、大容量試薬部位230は、追加の試薬を保存するための試薬バッグも有する。図2A図2Bにおいて、6個の試薬バッグが示されており、そのうちの5個が、第1のタイプの試薬バッグ242であり、そのうちの1個が、第2のタイプの試薬バッグ244である。他の実施例において、第1のタイプのバッグ242と第2のタイプの試薬バッグ244の数又は組み合わせが異なっていてもよい。第1及び第2のタイプの試薬バッグについては、図2C及び図2Dと関連して、以下で更に詳細に説明する。
【0048】
図2Aに示すように、大容量試薬部位230は、ユーザが、シークエンス反応の前に試薬を手動で注入するためのポートを有する。第1ポート240は、新規に調製された大容量の酵素試薬用であってもよい。第2ポート238は、新規に調製された小容量の酵素試薬用であってもよい。大容量試薬部位230は、マニホールドアセンブリ(例えば、マニホールドアセンブリ190)を収容するためのマニホールドスロット236を更に有していてもよく、この点については以下で更に説明する。
【0049】
図2Bを参照して、大容量試薬部位230は、図示されるとおり、大容量試薬部位230を配列決定チップに連結するための、弾力性を有したコネクタ246を有する。大容量試薬部位230の下側には、小容量試薬部位(例えば、小容量試薬部位150)の通気試薬リザーバのため、通気ピアサー248が配置及び構成されており、この点についても以下で更に説明する。また、大容量試薬部位230は、配列決定チップへの接続のために配置あるいは構成された大型リザーバ232,234及び試薬バッグ242,244の各々のため、1以上のポート237を有し得る。各ポート237は、大容量試薬部位230及び配列決定チップを密封するためのガスケットリング249を有する。
【0050】
図2Cは、第1のタイプの試薬バッグ242を例示する。試薬バッグ242の本体は、光又は酸素に敏感な試薬を保護するため、遮光性及びガス不透過性を有するアルミニウム箔で製造されてもよい。また、第1のタイプの試薬バッグ242は、試薬充填ポート243、穿孔可能ポート247の上に設けられたガスケットリング245を有し得る。試薬充填ポート243及び穿孔可能ポート247は、アルミニウム箔で密封されてもよい。また、試薬充填ポート243は、充填中、保存中、及び配列決定中に試薬を光及び酸素から保護するため、自己シール型のプラグ(self-sealing plug)241を有してもよい。
【0051】
図2Fは、第2のタイプの試薬バッグ244を例示する。第2のタイプの試薬バッグ244は、新規に調製された酵素試薬を受容するための第1ポート240を有し得る。また、第2のタイプの試薬バッグ244は、アルミニウム箔ヒートシールを備えた穿孔可能ポートの上に設けられたガスケットリング245を有し得る。
【0052】
図3A図3Bは、図1A及び図1Bの一体型試薬カートリッジの小容量試薬部位350をより詳細に示す。小容量試薬部位350は、2個~18個の異なる配列決定関連試薬を保存可能であり、各試薬の容積は、0.2~2ミリリットルであり、総容積は最大30ミリリットルである。各試薬は、試薬リザーバ354に保存されることができ、試薬リザーバ354のうちの10個が図3A及び図3Bに示されている。試薬リザーバ354は、試薬ラック352に収容されている。図3A図3Bには図示しないが、実施例の一部において、試薬リザーバと隣接する壁同士が互いに相互接続されていてもよい。このような実施例において、小容量試薬部位350が、異なるサイズの試薬パックを有していてもよい。例えば、図3A図3Bに図示される小容量試薬部位350は、1つの3個組みリザーバパックと、2つの4個組みリザーバパックとを有し得る。試薬リザーバ354の相互接続により、試薬リザーバ354の安定性を向上させることができる。試薬リザーバ354の上面及びポートは、試薬リザーバ354が充填された後に、透明な又は不透明なシールで密閉され得る。シールには、25~250μmの厚さを有するアルミニウム箔によるヒートシールが含まれる。各試薬リザーバ354は、一対の脆性支持部358で支持されている。試薬リザーバ354に脆性支持部258の破壊閾値を超える下向きの力が付与されると、支持部は破壊されるように構成されている。図3A図3Bの例においては、脆性支持部358は、試薬ラック352で試薬リザーバ354を支持する破壊可能な支持ビームである。一旦脆性支持部358が破壊されると、試薬リザーバ354は支持ラック352内で下方に押され、配列決定チップとの流体的接続が形成される。相互接続された試薬リザーバを備える例においては、脆性支持部358の数が最小化されることに伴って、脆性支持部358を破壊するために必要な破壊力を低減できる。図3Bに示されるように、ガスケットリング360が、各試薬リザーバ354の下端に設けられた穿孔可能ポート362を取り囲んでいる。ガスケットリング360は、シールが穿孔された後に試薬が漏れないようにすることができる。
【0053】
試薬ラック352は、小容量試薬部位350をIRCの下部シェルアセンブリ(例えば、下部シェルアセンブリ170)に位置合わせするための位置合わせ穴356を有し得る。位置合わせ穴356は、図4B位置決め柱477を受容可能である。適切な位置合わせにより、試薬リザーバ354を下部シェルアセンブリ170のポートと整列させることができる。
【0054】
図4A図4Eは、図1の一体型試薬カートリッジの下部シェルアセンブリ470をより詳細に示す。図4Aは、下部シェルアセンブリ470の下側面を示す。下側面は、配列決定チップ上で一体型試薬カートリッジを位置合わせするためのアライメント構造を有する。例えば、位置合わせ穴472が、配列決定チップ上で一体型試薬カートリッジを位置合わせする。また、下側面は、配列決定チップ上の試薬入口ポートと位置合わせするように配置され又は構成されたポート483の列を有する。ポート483は、シングルポートとダブルポートとの組み合わせにすることができる。ポート483のシングルポートはそれぞれ、配列決定チップ上の試薬入口ポートにシールするように配置され又は構成されたシングルポートガスケット474を有し得る。シングルポートガスケット474は、別個に組み付けられてもよく、別個にオーバーモールドされてもよく、ポート483と一体としてオーバーモールドされてもよい。また、ポート483のダブルポートはそれぞれ、配列決定チップ上の試薬出口ポートに対してシールするためのダブルポートガスケット476を有し得る。ダブルポートガスケット476は、ポート483に組み付けられてもよく、オーバーモールドされてもよい。図4Aに示す例では、下部シェルアセンブリ470が、シングルポートガスケット474を備えた20個のシングルポートを有している。しかし、他の例では、カートリッジが使用される配列決定チップの構成及びその他の要因に応じて、シングルポートガスケット474を備えた5~30個のシングルポートを有していてもよい。また、下部シェルアセンブリ470が、配列決定チップ上の弾性コネクタと接続する開口478を有することができ、一体型試薬カートリッジと配列決定チップとの係合を容易化できる。図4Aに示すように、下部シェルアセンブリ470は、異なる試薬が大容量試薬部位から配列決定チップの所望のポートに分配されるのを許容する流体通路となるように構成された表面マイクロ流体通路480を更に有してもよい。表面マイクロ流体通路480は、積層、レーザー溶接、超音波溶接、感圧接着剤(PSA)シール、又は別の適当なシール技術を使用して密封される。シールフィルムは、0.1~1mmの厚さを有してもよい。
【0055】
図4Bは、下部シェルアセンブリ470の第1の構成を例示する。下部シェルアセンブリ470は、ポートピアサー479の列を有し、各ポートピアサーは、小型試薬リザーバ、大型リザーバ、又は試薬バッグの1つの下部ポートに貫通して流体的に接続するように配置及び構成される。各ポートピアサー479は、図4Aに示す下部シェルアセンブリ470の下側面上のポート483の1つに流体的に接続される。一部のポートピアサー479は、この下側のポート483に直接的に流体的に接続される。他のポートピアサー479(本例においては、大型リザーバ及び試薬バッグに接続しているもの)は、以下で更に詳細に説明するように、表面マイクロ流体通路480及び他の流体チャネルを通って流体的に決定する。また、下部シェルアセンブリ470は、大容量試薬部位用の支持柱473と、小容量試薬部位用の位置合わせ柱477(そのうちの1つは図4Bでは見えない)とを含み得る。また、下部シェルアセンブリ470は、上部カバーの弾性コネクタに係合し、上部カバーを下部シェルアセンブリ470に連結するためのスナップフィット構造481を有してもよい。
【0056】
図4Bに示す第1の構成において、表面マイクロ流体通路480は、シリコンチューブ475としての追加の流体通路に接続する。シリコンチューブ475は、ガス透過性を有しており、酸素を必要とする配列決定試薬は、配列決定チップ内に流入する前に酸素を受けとることができる。シリコンチューブ475は、シリコンチューブ475を所定の位置に保持するシリコンチューブラック471上に配置される。
【0057】
図4C図4Dは、下部シェルアセンブリ470の第2の構成を例示する。第2の構成において、大容量試薬部位(例えば、大容量試薬部位230)から流体が、試薬カートリッジの下側のポート483を通って試薬カートリッジの入口ポートに流れる前に、試薬カートリッジ内の膜通路482を通って流れる。膜通路482は、ガス透過性を有しており、試薬が配列決定チップに流入する前に酸素の取り込みを可能とする。膜通路482は、図4Dに示すように、可撓性を有し、多層を有する。膜通路482の各槽は、例えば第1層482、第2層485、第3層486、第4層487、及び第5層488のように、最大5つの材料層を有してもよい。第1層484は、下部シェルアセンブリ470上の試薬ポートに連結するための試薬ポートを備えた接着層であってもよい。第2層485は、薄いフィルム状のガス透過層であってもよく、通路の底部として機能する。第3層486は、通路が切り込まれた1以上の接着層であってもよい。第4層487は、薄いフィルム状のガス透過層であってもよく、通路の頂部として機能する。第5層488は、膜通路482の他の層と連結するための接着層であってもよい。第2層485及び第4層487は、所望の酸素レベルに合わせて調整されてもよい。したがって、第2の構成は、各層の性能を制御できる。
【0058】
第1の構成及び第2の構成の両方において、チューブ及び膜通路は、一体型試薬カートリッジが直立姿勢であるときに、通路の上ループが大容量試薬リザーバ内の試薬の最大流体表面レベルよりも高くなるようにして、経路設定される。このことは、図4Eに模式的に図示されている。接続の解除の前に、システムは、小容量のエアをシリコンチューブ475又は膜通路482に圧送し、気泡がチューブ又は通路の上部に捕捉される。試薬カートリッジが配列決定チップから断接されると、このように捕捉された気泡により、試薬が通路の上部を通流しにくくなり、使用後の試薬カートリッジから流体が不所望に漏れるのを防止できる。
【0059】
図5A図5Bは、一体型試薬カートリッジの上部カバー510を例示する。図5A図5Bに示される特定の例において、上部カバー510は、4個のアクセス開口512、6個の試薬ポート514、2個のエアポート516、4個の弾性コネクタ518、2個のカンチレバーピアサー520、及びマニホールドスロット522を有する。
【0060】
カンチレバーピアサー520は、機器のアクチュエータ(例えば、図7に示す2個のアクチュエータアーム704)によって内側に変位可能であり、第1大型リザーバ232、及び第2大型リザーバ234の上部シールを通気のために貫通する。カンチレバーピアサー520は、機器に取り付ける前に意図せず内側へ変位するのを防ぐため、脆性部を有してもよい。
【0061】
アクセス開口512により、機器の他のアクチュエータアームが、以下でより詳細に説明するとおり、一体型試薬カートリッジの内部に進入し、大容量試薬部位230の一部を下方に押圧可能となる。その結果、他のシールが貫通し、試薬保存容器が下部シェルアセンブリ470内の貫通可能ポートに流体的に接続される。
【0062】
マニホールドスロット522は、配列決定システムの外部ポンプを配列決定チップの試薬出口ポートに接続できる。
【0063】
試薬ポート514は、ユーザによってIRCないにピペットで移送された試薬を受容でき、カスタマイズされた試薬の変更及び/又は追加を可能にする。試薬は、試薬ポート514を介し、第2のタイプの試薬バッグ244又は試薬リザーバ354にピペットで注入されてもよい。
【0064】
エアポート516は、配列決定システムがIRC内にエアを供給するための経路を提供する。例えば、一定の温度のエアがIRCにエアポート516を介して供給され、それにより、IRCが配列決定システム内で動作するときに、オンボード試薬にとって適切な温度環境(例えば、10~25℃)を可能にする。
【0065】
弾性コネクタ518は、下部シェルアセンブリのスナップフィット構造(例えば、スナップフィット構造481)と係合でき、2つの構成部品間に確実な接続を形成できる。
【0066】
図6Aは、一体型試薬カートリッジのマニホールドアセンブリ690を例示する。図示のとおり、マニホールドアセンブリ690は、ポンプ接続部692、マイクロ流体通路694、及びポート接続部696を有する。図6Bは、配列決定チップに接続されたマニホールドアセンブリ690と、配列決定システムのベースユニットとを例示する。図6Bにおいて、ポンプ接続部692は、配列決定システムの外部ポンプと接続され、当該外部ポンプに対してシールでき、ポート接続部696は、配列決定チップの試薬出口ポートに接続され、当該ポートに対してシールできる。マニホールドアセンブリ690は、配列決定チップと、配列決定チップの外部ポンプとの間の接続を提供する。マイクロ流体通路694の断面は、0.1~1mmの幅又は高さであってもよい。
【0067】
図7は、マイクロ流体チップ上の配列決定システムに取り付けられた一体型試薬カートリッジ700を例示する。図7に示すように、一体型試薬カートリッジ700は、ベースユニットの圧縮機器702に対し、配列決定チップ706の上部に取り付けられる。以下でより詳細に説明するとおり、圧縮ユニットが動作することで、一体型試薬カートリッジ内の様々なシールが貫通する。それにより、一体型試薬カートリッジの様々な構成部品間における流体接続、及び一体型試薬カートリッジと配列決定システムの他の構成要素との間の流体接続を実現する。
【0068】
図8A図8Cは、一体型試薬カートリッジ800を配列決定システムに取り付けて接続する例を示す。図8A図8Cは、図9の工程に対して記載されている。図8Aにおいて、図7の圧縮機器702と同様の、配列決定システムの圧縮機器802が、上部カバー810の1以上のカンチレバーピアサー820を下に押し、カンチレバーピアサー820のソフトロック821を破壊する(ステップ902)。カンチレバーピアサー820は、下に曲がり、大容量試薬部位830の上部シールを貫通する(ステップ904)。このステップの間、大容量試薬部位830上、及び小容量試薬部位850の試薬ラック852上の脆性支持部831により、大容量試薬部位830が貫通プロセス中に下方に移動するのを防止できる。脆性支持部831は、大型リザーバを保持する大容量試薬部位830のフレームワーク832を支持できる。脆性支持部831は、小容量試薬リザーバ854を保持する試薬ラック852を更に支持してもよい。したがって、ソフトロック821を破壊するために必要な力は、脆性支持部831を破壊するために必要な力よりも小さい。
【0069】
図8Bに示されるステップにおいて、圧縮機器の押圧ロッドが、矢印で示すように、上部カバー810上のアクセスポート812を通過し、大容量試薬部位830を下方に押圧する(ステップ906)。このステップにおいて、押圧ロッドは、脆性支持部831を破壊するために十分な力で押圧し、それにより、大容量試薬部位830が、一体型試薬カートリッジの内部で下方に移動する。大容量試薬部位830が下方に移動するにつれて、大容量試薬ラックの下側に設けられている通気ピアサー848が、小容量試薬部位850の小容量試薬リザーバ854の上部シールを貫通する(ステップ908)。このステップの間、試薬ラック852上の支持ビーム858により、小容量試薬リザーバ854が貫通プロセスの間に下方に移動するのを防止する。
【0070】
図8Cに示されるステップにおいて、圧縮機器の押圧ロッドは、小容量試薬部位830の上部を下に押圧するのに代わって、大容量試薬部位830を更に下方に押圧する。このステップの間、小容量試薬部位850の試薬ラック852上の支持ビーム858が破壊されるために十分な力が付与される。これにより、大容量試薬部位830及び小容量試薬部位850の小容量試薬リザーバ854が、一体型試薬カートリッジの内部で共に下方へ移動可能になる(ステップ910)。大容量試薬部位830及び小容量試薬リザーバ854が下方へ移動するにつれて、下部シェルアセンブリ870上のポートピアサー879が、試薬バッグ842、大型リザーバ(図示せず)、及び小容量試薬リザーバ854の貫通可能ポートの下部シールを貫通し(ステップ912)、ガスケットリング845/860が、これらの流体接続のシールを容易にする(ステップ914)。同時に、下部シェルアセンブリ870の下部ガスケット(図示せず)が、配列決定チップ上の対応する試薬ポートに押圧されて当該ポートに対してシールされる(ステップ916)。下に押圧する間、弾性コネクタ246が、シェルの下部の開口478を通過して延在し、配列決定チップと機器の外部ポンプ接続部とを係合し、配列決定チップの試薬出口ポートがマニホールドアセンブリ(図示せず)のポートに結合されて当該ポートに対してシールする(ステップ918)。
【0071】
一部の実施形態において、本書に記載の異なる実施形態の様々な構成要素が、射出成形プロセスを使用して製造されてもよい。このようなプロセスにより、部品が低コストになる可能性があり、試薬カートリッジを使い捨ての消耗品として使用する場合に費用効果が高くなる可能性がある。
【0072】
本明細書に記載される例及び実施形態は、例示のみを目的としており、それに照らして様々な修正又は変更が当業者に示唆され、本出願の精神及び範囲内及び添付のクレームの範囲内に含まれるものであることが理解される。
【0073】
上記の説明は例示を目的としたものであり、限定的なものではないことを理解されたい。上記の説明を検討すれば、多くの実施形態が当業者には明らかとなるであろう。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではなく、その代わりに、添付のクレーム及びその均等物の全範囲を参照して決定されるべきである。
【0074】
前述の開示は、本開示の例示的な態様を示しているが、添付のクレームによって定義される本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更及び修正を行うことができることに留意されたい。更に、本開示の要素は単数形で説明又はクレームされている場合もあるが、単数形への限定が明示的に述べられない限り、複数形が企図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図9
【国際調査報告】