(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】脈動バルーンカテーテルシステム及びそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20240201BHJP
【FI】
A61M25/10 546
A61M25/10 520
A61M25/10 550
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547914
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 US2022014785
(87)【国際公開番号】W WO2022169778
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523298890
【氏名又は名称】アンプリチュード バスキュラー システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】キセナ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】グルム,ヒティンダー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA07
4C267AA08
4C267BB27
4C267BB41
4C267BB62
4C267CC09
4C267DD01
4C267EE13
(57)【要約】
脈動バルーンカテーテルシステムが提供される。システムの態様は、パルス発生器と、パルス発生器に動作可能に接続されたバルーンカテーテルアセンブリとを含む。実施形態では、バルーンカテーテルアセンブリは、バルーンカテーテルアセンブリをパルス発生器に動作可能に接続し、パルス発生器によって発生した第1のパルスエネルギーを第2のパルスエネルギーに変換するように構成されている近位コネクタと、遠位バルーンと、カテーテルコンポーネントとを含み、カテーテルコンポーネントは、近位コネクタと遠位バルーンとの間に動作可能に位置付けられた流体通路を含み、この流体通路は、第2のパルスエネルギーを、近位コネクタから、流体通路に沿って、遠位バルーンに伝搬させるように構成されている。システム、アセンブリ、及びキットは、バルーン血管形成術用途を含む様々な異なる用途における使用を見出す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脈動バルーンカテーテルシステムであって、
(a)パルス発生器と、
(b)前記パルス発生器に動作可能に接続されたバルーンカテーテルアセンブリと
を備えており、
前記バルーンカテーテルアセンブリが、
(i)前記バルーンカテーテルアセンブリを前記パルス発生器に動作可能に接続し、前記パルス発生器によって発生した第1のパルスエネルギーを第2のパルスエネルギーに変換するように構成されている、近位コネクタと、
(ii)遠位バルーンと、
(iii)カテーテルコンポーネントであって、前記第2のパルスエネルギーを流体通路に沿って前記近位コネクタから前記遠位バルーンに伝搬させるように構成されている、前記近位コネクタと前記遠位バルーンとの間に動作可能に位置付けられた前記流体通路を備える、カテーテルコンポーネントと
を備える、脈動バルーンカテーテルシステム。
【請求項2】
前記近位コネクタが、膜によって分離された近位チャンバ及び遠位チャンバを備える、請求項1に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【請求項3】
前記近位チャンバが、気体を含み、前記遠位チャンバが、液体を含む、請求項2に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【請求項4】
近位コネクタが、前記遠位チャンバに動作可能に結合された圧力センサを更に備える、請求項2又は3に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【請求項5】
前記近位コネクタが、前記膜の膜位置の変化を検出するように構成された膜位置センサを備える、請求項2~4のいずれか一項に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【請求項6】
前記近位コネクタが、電気アセンブリを更に備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【請求項7】
前記カテーテルコンポーネントが、
近位可撓性チューブと、
遠位カテーテルシャフトと、
前記近位可撓性チューブの遠位端を前記遠位カテーテルシャフトの近位端に接続するコネクタと
を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【請求項8】
前記遠位バルーンが、複合バルーンを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【請求項9】
前記複合バルーンが、伸展性コンポーネント及び非伸展性コンポーネントを備える、請求項8に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【請求項10】
前記バルーンカテーテルアセンブリが、所定の体積の液体で充填された密封アセンブリを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【請求項11】
前記パルス発生器が、空気圧パルスエネルギーを発生させるように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【請求項12】
治療有効性に基づいて選択される振幅を有する圧力パルスを生成するように構成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【請求項13】
システム状態を検出するように更に構成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【請求項14】
バルーンカテーテルアセンブリであって、
(a)前記バルーンカテーテルアセンブリをパルス発生器に動作可能に接続し、前記パルス発生器によって発生した第1のパルスエネルギーを第2のパルスエネルギーに変換するように構成されている、近位コネクタと、
(b)遠位バルーンと、
(c)カテーテルコンポーネントであって、前記第2のパルスエネルギーを流体通路に沿って前記近位コネクタから前記遠位バルーンに伝搬させるように構成されている、前記近位コネクタと前記遠位バルーンとの間に動作可能に位置付けられた前記流体通路を備える、カテーテルコンポーネントと
を備える、バルーンカテーテルアセンブリ。
【請求項15】
脈動バルーンカテーテルシステムであって、
(a)パルス発生器と、
(b)前記パルス発生器に動作可能に接続されたバルーンカテーテルアセンブリと
を備えており、
遠隔で操作されるように構成されている、脈動バルーンカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本節は、必ずしも先行技術ではない本開示に関連する背景情報を提供する。本節は、また、本開示の一般的な概要を提供し、その完全な範囲又はその特徴の全ての包括的な開示ではない。
【0002】
世界第1位の死因である虚血性心疾患は、ヒト血管系内のアテローム性動脈硬化性プラークの蓄積によって引き起こされる。世界的には、これらの疾患は、心血管疾患による死亡の84.5%、及び全死亡の28.2%を占める。虚血性心疾患は、アテローム性動脈硬化症と呼ばれるメカニズムを介して発症し、アテローム性動脈硬化症は、動脈管腔が狭くなることである、狭窄を引き起こす、脂肪及び石灰化物質の蓄積である。冠動脈及び末梢動脈の両方が、アテローム性動脈硬化性プラーク蓄積に見舞われ得る。
【0003】
アテローム性動脈硬化からのプラークの蓄積は、これらの動脈を通る血流を制限し、心筋梗塞、四肢切断、及び死亡などの主要な有害な心血管系事象を引き起こす可能性がある。アテローム性動脈硬化の初期段階では、プラークは柔らかく、かつ脂肪分が多いが、時間及び病気が進行するにつれて、これらのプラークは、物理的に硬化又は石灰化する。動脈壁の最内層に発生する石灰化プラーク(CP)は、最も頻繁に発生する。これらのCPは、骨形成を模倣するプロセスであるカルシウムヒドロキシアパタイトの堆積及び再構築から生じる。CP負荷血管は、血管弾性が低減しており、血管灌流が損なわれている。この伸展性及び灌流の低減のため、CPは、死亡リスク及び他の有害事象の増加と関連付けられる。
【0004】
CPを有する多くの患者は無症候性であるが、かなりの数の患者が、虚血に関連する症状及び徴候を発症し、血管内又は外科的修復を受ける。そのより低い死亡率を考えると、血管内アプローチは、一般的に好ましい。しかしながら、CP負荷血管は、効果的な血管内治療に対して特別な課題を提起する。CP負荷血管を治療するために、一連のデバイスがしばしば使用される。CP病変は、バルーン血管形成術(BA)を使用して最初に事前膨張される。BAの間、バルーンは、罹患動脈に前進し、拡張されて、プラーク負荷血管を膨張して、正常な血流を回復させる。薬物コーティングされたバルーン又はステントなどの二次療法が成功裏に使用され得る前に、この事前膨張ステップが、成功しなければならない。事前膨張を成功させるために、BAは、CPを機械的に破壊して、血管の長期的な開口又は開存性を確実にし、周囲の健康な血管の弾力性を再確立しなければならない。しばしば、成功を達成するために、高圧、非伸展性のバルーンが使用される。しかしながら、CPの強度のために、十分なバルーンの拡張は、しばしば制限され、CPは、破砕されないままである。十分なバルーン拡張及びCP破砕がなければ、血管は、下流血流を制限する残存狭窄を有したままであり、このことは、不十分な転帰、即時的又は長期的な障害が高いリスク、及び付加的な処置の必要性を示す。罹患血管の開存性を確実にするためには、CPの高い破断強度を克服しなければならない。
【0005】
標準BAの間、加圧カテーテルバルーンを使用して、アテローム性動脈硬化性プラークを破砕し、動脈壁に拡張して、狭窄した動脈内の正常な血流を再確立する。典型的には、バルーンは、医師に面するハンドルの回転をシリンジピストンの変位に変換する、手動で作動されるスクリュー駆動シリンジを介して加圧される。シリンジのハンドルは、システム内の圧力が所望の圧力に達するか、又は医師が石灰化プラークの破砕を感知するまで、臨床医によって回転される。治療の間、医師は、石灰化プラークが以下の2つの方法で破砕しているか否かを感知することができる。(1)心血管処置で一般的に使用される医学的イメージング技術である、X線透視下のバルーンの輪郭からと、(2)圧力計によって示される油圧システム内の圧力の低下からとである。血管形成術の間、バルーンに放射線不透過性染料(すなわち、造影剤)が導入され、これはX線透視下で、バルーン及び動脈壁の輪郭を照明する。プラークが無傷であり、バルーンが加圧されると、バルーンは、近位及び遠位のエッジが拡張するように制限されていないが、中央がプラークによって妨害される、特徴的なドッグボーン形状を採る。ドッグボーンの形状は、プラークの重症度及び分布を臨床医に知らせる。より均一に拡張されたバルーンは、プラークが治療されたことを医師に示す。プラーク破砕を感知するために使用される第2の方法は、バルーンに取り付けられた圧力計によって示される。重度のプラーク及び/又は円周方向に分布するプラークを治療する場合、バルーン内の圧力は、プラーク破砕まで増加される。プラークの破砕に先立って、バルーンは、先に説明されたドッグボーン形状を維持する。破砕後、プラークはもはやバルーンの拡張を制限せず、バルーンはプラークを弾性動脈内に拡張させる。このバルーンの拡張により、バルーンの体積が増加し、それを、ドッグボーン形状から完全に拡張された円筒形状に変形させる。この体積の増加は、バルーン内の圧力を降下させ、接続された圧力計から視覚化又は感知され得る変化を引き起こす。
【0006】
CPの破裂強度を克服するために、血管形成術用バルーンは、しばしばCP負荷血管を積極的に拡張するために、適応外(すなわち、FDA承認なし)方法で使用される。これらの場合、バルーンは、定格破裂圧力(すなわち、>20~40ATMの圧力)を超える圧力で加圧され、動脈を拡張する、十分なバルーン拡張を達成する。これらの侵襲的な処置により、患者は、21%の症例でバルーンの破裂、76%の症例で血管の解離、及び20~30%の症例で再狭窄(すなわち、処置後の血管の再狭窄)などのリスクが増加する。CPを破砕させようとする他の治療戦略には、カッティングアンドスコアリングBA並びに衝撃波結石破砕BAが含まれる。鋭利な先端の金属ブレードに囲まれたバルーンであるカッティングバルーン、及び金属製のケージに閉じ込められたバルーンであるスコアリングバルーンは、CP破砕に対する応力集中を生み出すことを目的としている。バルーン加圧中に、金属製のブレード又はケージが軟組織又はCPに埋め込まれ、主要な処置上の問題を引き起こす可能性がある。不十分な転帰は、20~30%の症例で再狭窄、及び6%の症例で血管穿孔、心筋梗塞、又は死亡などの重大な有害事象を含むこれらのバルーンに関連付けられている。衝撃波BAは、埋め込まれた衝撃波発生リソトリプターを内蔵した低圧バルーンを用いる。結石破砕デバイスによる短期的な有効性及び安全性は臨床試験を通じて実証されているが、最近の症例報告では、これらの>50ATMのキャビテーション爆発が危険な動脈解離及び穿孔につながることが示されている。CPについての別の一般的に用いられている治療法は、アテローム切除術であり、アテローム切除術は、グラインディングを使用してCPをデバルキングする技術である。しかしながら、アテローム切除術は技術的にはより困難であり、CP及び周囲の健康な組織を粉砕し、長期的な血管損傷を引き起こす可能性がある。
【0007】
患者の転帰に対する懸念に加えて、血管内処置及び手術は、治療医に有意に影響を与える可能性がある。介入心臓専門医は、その仕事上、推定50mSv~200mSvの電離放射線に曝露する可能性があり、これは2,500~10,000回の胸部X線に相当する。この量の放射線被曝により、治療医は、癌、白内障、認知機能、及び生殖毒性などの深刻な長期的健康問題にさらされる。電離放射線後方散乱のリスクを軽減するために、医師は防護用に個人用防護具(PPE)(例えば、重い鉛衣服)を着用する。このPPEに起因して、介入心臓専門医の統計的に有意なグループは、医師生命を縮める影響を受ける可能性がある筋骨格損傷を報告した。
【0008】
現代医学の目標のうちの1つは、患者の位置に関係なく質の高いケアを確保することである。特定の位置では、経験豊富な医師が不足しているか、又は資源が限られているので、このケアを提供することができない。心血管処置は生命を脅かす可能性があるので、全ての患者が彼らの位置とは無関係に治療への同等のアクセスが可能であることが不可欠である。このため、これらの患者にサービスを提供するデバイスを遠隔で操作することができるか、又は別の位置から操作することができることが重要である。
【0009】
バルーン血管形成術デバイス及び使用方法の改善が引き続き必要である。
【発明の概要】
【0010】
脈動バルーンカテーテルシステムが提供される。システムの態様は、パルス発生器と、パルス発生器に動作可能に接続されたバルーンカテーテルアセンブリとを含む。実施形態では、バルーンカテーテルアセンブリは、バルーンカテーテルアセンブリをパルス発生器に動作可能に接続し、パルス発生器によって発生した第1のパルスエネルギーを第2のパルスエネルギーに変換するように構成されている近位コネクタと、遠位バルーンと、カテーテルコンポーネントとを含み、カテーテルコンポーネントは、近位コネクタと遠位バルーンとの間に動作可能に位置付けられた流体通路(fluidic passage)を含み、この流体通路は、第2のパルスエネルギーを、近位コネクタから、流体通路(fluid passage)に沿って、遠位バルーンに伝搬させるように構成されている。また、ロボット及び/又はスタンドアロンバルーンカテーテルシステムの態様も提供される。また、バルーンカテーテルアセンブリ及びそれを含むキットも提供される。また、生体内で血管伸展性を評価するためのシステム及び方法も提供される。バルーンカテーテルシステムのシステム状態を判定するためのシステム及び方法も提供される。システム、アセンブリ、及びキットは、バルーン血管形成術用途を含む様々な異なる用途における使用を見出す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態による、システムの概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、カテーテルバルーンアセンブリの図である。
【
図3A】本発明の一実施形態によるバルーンカテーテルアセンブリの近位コネクタの図である。
【
図3B】本発明の一実施形態によるバルーンカテーテルアセンブリの近位コネクタの図である。
【
図3C】本発明の一実施形態によるバルーンカテーテルアセンブリの近位コネクタの図である。
【
図3D】本発明の一実施形態によるバルーンカテーテルアセンブリの近位コネクタの図である。
【
図3E】本発明の一実施形態によるバルーンカテーテルアセンブリの近位コネクタの図である。
【
図3F】本発明の一実施形態によるバルーンカテーテルアセンブリの近位コネクタの図である。
【
図3G】本発明の一実施形態によるバルーンカテーテルアセンブリの近位コネクタの図である。
【
図3H】本発明の一実施形態によるバルーンカテーテルアセンブリの近位コネクタの図である。
【
図4A】本発明の一実施形態によるパルス発生器の手持ち式アクチュエータの図である。
【
図4B】本発明の一実施形態によるパルス発生器の手持ち式アクチュエータの図である。
【
図4C】本発明の一実施形態によるパルス発生器の手持ち式アクチュエータの図である。
【
図4D】本発明の一実施形態によるパルス発生器の手持ち式アクチュエータの図である。
【
図4E】本発明の一実施形態によるパルス発生器の手持ち式アクチュエータの図である。
【
図4F】本発明の一実施形態によるパルス発生器の手持ち式アクチュエータの図である。
【
図5】制限されていない直径4mm×長さ20mmのバルーンについての圧力-体積関係の例を示す図である。
【
図6】
図5のバルーン内の実験的に測定された圧力及びバルーンからの力出力の2つの例を示す図である。
【
図7A】様々な物理的制約下での圧力-体積関係を示す図である。
【
図7B】パネルA~Bは、局所病変の例示的なX線透視画像(矢印で示される)である。パネルC~Dでは、バルーンが病変部にわたって挿入され、加圧される。パネルCを見ると、バルーンが拡張されているように見える。しかしながら、通常の投影画像(パネルD)では、バルーンの拡張は不十分である。
【
図7C】本発明によるシステムを使用した治療中に得られた血管伸展性の変化の測定の一例を示す図である。
【
図8】生体内で血管伸展性を評価するように構成された本発明の一実施形態による、システムの概略図である。
【
図9A】生体内で血管伸展性を評価するように構成された本発明の一実施形態による、バルーンカテーテルアセンブリの近位コネクタの図である。
【
図9B】生体内で血管伸展性を評価するように構成された本発明の一実施形態による、バルーンカテーテルアセンブリの近位コネクタの図である。
【
図9C】本発明の別の実施形態による、バルーンカテーテルアセンブリの近位コネクタの図である。
【
図10A】
図9A及び
図9Bに示されるようなシステムについての膜位置とバルーン体積とホールセンサ出力との間の分析的及び実験的関係の一例を示す図である。
【
図10B】
図9Cによる、一実施形態に関する機能データを示す図である。
【
図11】本発明によるシステム状態を監視するための例示的な電子回路の回路図である。
【
図12A】本発明によるシステム状態を監視するための例示的な電子回路の動作の結果を示す図である。
【
図12B】治療中における本発明によるシステムの損傷がない(すなわち、漏れがない)カテーテルからの圧力及び体積測定値の例示的な挙動を示す図である。
【
図12C】治療中における本発明によるシステムの完全に故障したカテーテルからの圧力及び体積測定値の例示的な挙動を示す図である。
【
図12D】治療中における本発明によるシステムの漏れがあるカテーテルからの圧力及び体積測定値の例示的な挙動を示す図である。
【
図13A】本教示のいくつかの実施形態による、動的バルーン血管形成術(DBA)技術及びデバイスによって治療される埋め込まれた硬化物質(例えば、石灰化プラーク)を有する弾性導管(例えば、動脈)の概略図である。
【
図13B】病変部位に誘導され、事前加圧されたDBA血管形成術用バルーンを有する、
図13Aの弾性導管の概略図である。
【
図13C】低圧に循環されたDBA血管形成術用バルーンを有する、
図13Aの弾性導管の概略図である。
【
図13D】高圧に循環されたDBA血管形成術用バルーンを有する、
図13Aの弾性導管の概略図である。
【
図13E】本教示の原理に従って硬化物質が破壊された、
図13Aの弾性導管の概略図である。
【
図14】本発明の一実施形態による脈動治療計画を示す図である。
【
図15】本発明の実施形態を用いて実施される自律血管形成術の処置ステップを示す図である。
【
図16A】
図15に例示されるような、本発明の実施形態の自律血管形成術中にオペレータが使用し得るグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を示す図である。
【
図16B】本発明の別の実施形態によるGUIを示す図である。
【
図17】本発明の一実施形態による、バルーンカテーテルアセンブリの写真である。
【
図18A】
図17のバルーンカテーテルアセンブリの近位コネクタの写真のような図である。
【
図18B】
図17のバルーンカテーテルアセンブリの近位コネクタの写真のような図である。
【
図18C】
図17のバルーンカテーテルアセンブリの近位コネクタの写真のような図である。
【
図19】本発明の一実施形態による、バルーンカテーテルシステムの図である。
【
図20A】下記の実験の項で詳述される、マイクロコンピュータ断層撮影スキャンを示す図である。
【
図20B】下記の実験の項で詳述される、マイクロコンピュータ断層撮影スキャンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
脈動バルーンカテーテルシステムが提供される。システムの態様は、パルス発生器と、パルス発生器に動作可能に接続されたバルーンカテーテルアセンブリとを含む。実施形態では、バルーンカテーテルアセンブリは、バルーンカテーテルアセンブリをパルス発生器に動作可能に接続し、パルス発生器によって発生した第1のパルスエネルギーを第2のパルスエネルギーに変換するように構成されている近位コネクタと、遠位バルーンと、カテーテルコンポーネントとを含み、カテーテルコンポーネントは、近位コネクタと遠位バルーンとの間に動作可能に位置付けられた流体通路を含み、この流体通路は、第2のパルスエネルギーを、近位コネクタから、流体通路に沿って、遠位バルーンに伝搬させるように構成されている。また、ロボットバルーンカテーテルシステムの態様も提供される。また、バルーンカテーテルアセンブリ及びそれを含むキットも提供される。システム、アセンブリ、及びキットは、バルーン血管形成術用途を含む様々な異なる用途における使用を見出す。
【0013】
本発明がより詳細に説明される前に、本発明は、説明される特定の実施形態に限定されるものではなく、したがって、もちろん、変化し得ることが理解されるべきである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0014】
値の範囲が提供される場合、別段文脈が明らかに示さない限り、その範囲の上限と下限との間の下限の単位の10分の1までの介在する各値、及び記述の範囲内の任意の他の記述の値又は介在する値が、本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、独立して、より小さな範囲に含まれ得、また、記述の範囲内の任意の特定の除外された制限に従うことを条件として、本発明内に包含される。記載された範囲が限定の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限定のいずれか又は両方を除外する範囲も、同様に本発明に含まれる。
【0015】
数値に「約」という用語が先行するある特定の範囲が本明細書で提示される。「約」という用語は、本明細書では、それが先行する正確な数、並びにその用語が先行する数に近いか又はほぼそれである数に文字どおりの支持を提供するために使用される。ある数が、具体的に列挙された数に近いか又はほぼその数であるかを決定する際に、列挙されていない数に近いか又はほぼその数は、提示される文脈において、具体的に列挙された数の実質的な同等性を提供する数であり得る。
【0016】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。また、本明細書に説明されるものと同様の又は同等な任意の方法及び材料が、本発明の実施又は試験に使用され得るが、代表的な例示的な方法及び材料が以下に説明される。
【0017】
本明細書で引用される全ての刊行物及び特許は、各個々の刊行物又は特許が、参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示されたかのように、参照により本明細書に組み込まれ、引用される刊行物に関連する方法及び/又は材料を開示し説明するために参照により本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日以前のその開示についてのものであり、本発明が、先行発明の特色によってそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。更に、提供される刊行物の日付は、独立して確認する必要があり得る実際の刊行日とは異なる場合がある。
【0018】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに示さない限り、複数の指示物を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、あらゆる任意選択的な要素を排除するように設計され得ることに更に留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の要素の列挙に関連して「専ら」、「唯一の」などのような排他的な用語の使用又は「否定的な」制限の使用のための先行基準としての役割を果たすことを意図している。
【0019】
本開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に説明及び例示される個々の実施形態の各々は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の一部の実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得るか、又はこれらと組み合わされ得る別個のコンポーネント及び特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行され得る。
【0020】
装置及び方法は、文法的な流動性のために機能的説明とともに記述されてきた、又は記述されるが、米国特許法第112条に基づいて明確に記載されていない限り、特許請求の範囲は、必ずしも「手段」又は「ステップ」の限定の解釈によって限定されると解釈すべきではなく、法的均等論の下で特許請求の範囲によって提供される定義の意味及び等価物の完全な範囲を付与されるべきであり、特許請求の範囲が米国特許法第112条に基づいて明確に記載されている場合には、米国特許法第112条に基づく完全な法的等価物を付与されるべきであることを明確に理解されたい。
【0021】
本発明の種々の態様を更に説明する際に、まず、システム及びそのコンポーネントについてより詳細に説明し、続いて、システムの使用方法、並びに主題の方法を実施するためのキットについて検討する。
【0022】
脈動バルーンカテーテルシステム
上記で要約したように、脈動バルーンカテーテルシステムが提供される。本発明の実施形態の脈動バルーンカテーテルシステムは、脈動エネルギーを、接触する内部組織(例えば、動脈内壁位置などの管腔血管組織)に、例えば、接触する内部組織に所望の周波数、デューティサイクル、及び振幅で印加される圧力の増加及び減少の形態で付与する遠位バルーンを提供するように構成される。本明細書で使用される場合、周波数は、単位時間当たりの全圧パルスサイクル(ピークツーピーク)の数であり、デューティサイクルは、単一の圧力サイクルの高圧セグメントに割り当てられる時間の割合であり、振幅は、最大圧力と最小圧力との間の差である。バルーンによって内部組織に付与されるエネルギーは脈動であるので、定義されるか又は決定された周波数及びデューティサイクルで変化(例えば、増加及び減少)する。BA治療中に、遠位バルーンの遠位の血流が閉塞されることがあり、それによって、治療時間が制限されることがある。この時間内に治療を成功裏に達成するためには、脈動周波数及び振幅が、組織を治療するために十分なエネルギーを組織に付与しなければならない。バルーンによってそれに関連付けられた組織に付与される脈動エネルギーの周波数は変化し得るが、いくつかの例では、周波数は、高周波であり、いくつかの例では、0~100Hz、例えば0~25Hzの範囲である。同様に、バルーンによって組織に付与される脈動エネルギーのデューティサイクルは、いくつかの例では、10%~100%、例えば60%~80%の範囲で変化し得る。バルーンによって組織に付与される脈動エネルギーの振幅は、いくつかの例では、0~100ATM、例えば、0~30ATMの内部バルーン圧力の範囲で変化し得る。以下に説明されるように、所与の処置中に、周波数は、処置の過程にわたって変化し得、すなわち、所望に応じて、一定のままでない場合がある。
【0023】
脈動エネルギーは、罹患した管腔血管組織に曝露されると、CP組織などの罹患組織の治療に有効であり、周囲の健康な組織への悪影響を軽減する。治療の成功を達成するための脈動エネルギーの重要な特性は、送達される脈動エネルギーの周波数及び振幅を含み得る。実施形態では、そのような脈動エネルギーは、CP病変の安全で制御された疲労破壊を可能にすることができる。疲労破壊は、瞬時破壊をもたらす圧力を下回る圧力で構造物に周期的に負荷をかけるプロセスである。従来の治療法では、血管に危険な高圧バーストを適用して解離及び穿孔を生じさせる可能性があるが、脈動血管形成術では、増幅器バルーンにおけるより低圧の高周波振動を用いてCP病変の低圧疲労破壊を開始する。
【0024】
機械的システムにおける入力信号対出力信号
説明される実施形態は、システム出力(例えば、実際の周波数、デューティサイクル、及び振幅)が、システム入力(例えば、所望の周波数、デューティサイクル、及び振幅)及びシステム特性(例えば、カテーテル長、摩擦、及び流路管腔直径)によって制御される動的物理システムである。システムの実施形態は、システム出力が、いくつかの例では最小限の減衰を伴って、命令された入力信号、又は所望の入力信号を追跡するように、血管形成術用バルーン内で制御された機械的結石破砕パルスを発生させるように構成される。信号減衰は、物理システムの特性に起因して入力に対してシステム出力の振幅が低減することである。治療を成功するためには、出力された脈動エネルギーが、システム入力(例えば、近位コネクタ)からシステム出力(例えば、遠位バルーン)に伝搬するときに、例えば、周波数、デューティサイクル、及び/又は振幅の点で、入力された脈動エネルギーに実質的に類似したままであるという点で、最小限の減衰が必要である。したがって、いくつかの例では、近位コネクタと遠位バルーンとの間の周波数の任意の変化は、存在する場合には、30%以下、例えば5%以下である。いくつかの例では、近位コネクタと遠位バルーンとの間の脈動エネルギーの振幅の任意の変化は、存在する場合には、30%以下、例えば、5%以下である。いくつかの例では、近位コネクタと遠位バルーンとの間の脈動エネルギーのデューティサイクルの任意の変化は、存在する場合には、30%以下、例えば、5%である。
【0025】
本分野における従来技術(例えば、WO2017/168145A1、US2019/0000491A1、US6348048B1、WO2001/010491A2、及びUS8574248B2に説明されているように)は、血管形成術用バルーン内で圧力パルスを発生させる方法が説明されている。しかしながら、システム特性のために、従来技術は、全圧力パルスを達成するために低周波数で進行する必要があるか、又は信号の激しい減衰に見舞われる。低周波圧力パルスの場合、バルーンは、改善された治療結果を達成するために十分なパルスを血管内で発生させない。高周波圧力パルスの場合、システム出力(すなわち、バルーンパルス)はシステム入力を追跡せず、かつ/又はシステム出力が、システム特性によって非常に激しく減衰し、それによって、治療が非効果的になる。他の場合には、システムは、入力圧力自体が、高周波入力圧力パルスが近位コネクタに送信される前に減衰されるような高い摩擦損失(例えば、ピストンポンプシステム)を伴って発生するように設計される。
【0026】
上記で要約したように、本発明の実施形態によれば、機械的システムを表す脈動バルーンカテーテルシステムは、パルス発生器と、パルス発生器に動作可能に接続されたバルーンカテーテルアセンブリとを含む。システムのパルス発生器は、例えば、以下でより詳細に説明されるように、バルーンカテーテルアセンブリによって第2の脈動エネルギーに変換され得る第1の脈動エネルギーを発生させるように構成されているコンポーネントである。バルーンカテーテルアセンブリは、例えば、以下でより詳細に説明されるように、例えば、DBA又は結石破砕用途での使用のために、並びに血管の最終的な膨張後の使用のために、例えば、両方の用途を含む1つの処置における使用のために、パルス発生器によって提供される第1の脈動エネルギーを受信し、第1の脈動エネルギーを、遠位バルーンによって受信され得る第2の脈動エネルギーに変換して、脈動エネルギーを内部組織位置に付与するように構成される。すなわち、本発明の実施形態は、まず、血管などの管腔組織に圧力パルスを適用してカルシウム(すなわち、CP影響を受けた組織)をクラッキングし、その後、例えば、以下でより詳細に説明するように、膨張後の従来の非伸展性バルーンを使用して血管を拡張するために使用することができる。ここで、パルス発生器及びバルーンカテーテルアセンブリの実施形態をより詳細に検討する。
【0027】
パルス発生器
第1の脈動エネルギーは、所望に応じて変化し得、第1の脈動エネルギーの例には、脈動圧力エネルギー、脈動機械エネルギー、脈動電磁エネルギーなどが含まれるが、これらに限定されない。第1の脈動エネルギーが脈動性であるので、第1のエネルギーの大きさは、例えば、決定された周波数若しくは既知の周波数、例えば、所定の周波数に従って、ユーザに従って、及び/又は治療の進行に従って(以下に説明されるように)、経時的に変化するか、又は変調する。第1の脈動エネルギーの周波数は変化し得るが、いくつかの例では、周波数は高周波であり、いくつかの例では、0~100Hz、例えば2~25Hzの範囲である。以下に説明されるように、所与の処置の間、周波数振幅及び/又はデューティサイクルは、処置の過程で変化し得、すなわち、所望に応じて(例えば、以下の
図6と併せて説明されるように)一定でない場合がある。周波数、振幅、及び/又はデューティサイクルは、また、バルーンカテーテルのタイプ(例えば、バルーンの長さ及び/若しくは直径、シャフトの長さ)、治療タイプ、病変の硬さ、(例えば、コンピュータ断層撮影若しくは血管内イメージングによって取得される)病変密度、又は病変の形態などに応じて変化し得る。周波数、振幅、及び/又はデューティサイクルは、また、ユーザの入力、測定値からの負のフィードバック、及び/又はシステムモデリングからの正のフィードバックに応じて変化し得る。
【0028】
本発明の実施形態のパルス発生器は、レギュレータ及び発振器によって所望に応じて調整され得るエネルギーを提供して、第1の脈動エネルギーの脈動態様を提供するように構成されているポテンシャルソースを含む。任意の好都合なポテンシャルソースが用いられ得、ポテンシャルソースの例としては、電圧源、圧力源、電磁源、電界源、化学源、レーザ源などが挙げられる。いくつかの実施形態では、ポテンシャルソースは圧力源であり、好適な圧力源の例としては、圧縮ガスボンベ、圧縮機などが挙げられるが、これらに限定されない。所望に応じて、ポテンシャルソースはレギュレータに動作可能に結合され得、レギュレータは、発振器によって更に作用され得るように、エネルギーを好適な形態に変調する役割を果たす。例えば、ポテンシャルソースが高圧ガス源である場合、例えば、空気圧パルス発生器で使用され得るように、レギュレータは、発振器に入力され得る好適な値にガスの圧力を調整する際に役立ち得る。ポテンシャルソース及びレギュレータに加えて、パルス発生器は、発振器を含み得る。そのような例では、発振器は、ポテンシャルソースからのポテンシャルエネルギーの大きさ及びタイミングを変調して所望の第1の脈動エネルギーを提供するために使用される。
【0029】
パルス発生器の異なるコンポーネントは、単一のハウジング内に存在するか、又は2つ以上の異なる、動作可能に接続されたユニットとして提供され得る。いくつかの例では、パルス発生器コンポーネントのうちの少なくともいくつかは、手持ち式に構成されたユニット内に存在する。そのような例では、手持ち式コンポーネント、例えば、手持ち式アクチュエータは、単一の成人の人間の手で保持され、操作されるように設計される。そのような手持ち式ユニットのフォームファクタは所望に応じて異なり得るが、いくつかの例では、そのようなユニットは、一般的な直径及び/又は幅が、20~150mm、例えば50~80mmの範囲であり、長さが、50~300mm、例えば100~200mmの範囲であり、質量が、100~2000g、例えば500~750gの範囲である。例えば、パルス発生器は、ポテンシャルソース及びレギュレータを収容する第1のコンソールコンポーネントと、発振器及び発振器用のアクチュエータ、例えば、操作可能なボタンを含む第2の手持ち式アクチュエータとを含み得る。手持ち式アクチュエータは、所望に応じて、バルーンカテーテルアセンブリの様々なコンポーネントに電気接続を提供するための電気コネクタを含み得る。例えば、電気コネクタは、ダイヤフラム位置、メモリ、及び/又は圧力に関するデータを受信し、これらのセンサに電力を供給するために使用され得、そのような例は、以下に更に説明される。
【0030】
いくつかの例では、パルス発生器コンポーネントのうちの少なくともいくつかは、医師が患者を治療するために物理的に存在する必要がないように、患者の近くの手術台上に位置付けられるか又は固定されるように構成された取り付け可能なユニット内に存在する。そのような場合、取り付け可能なユニットは、手術台上に容易にクランプ若しくは固定されるか、又は手術台上で独立して安定するように設計されており、遠隔制御ユニットによって操作することができる。そのような例では、取り付け可能なユニットは、ユニットと遠位制御ユニットとの間の通信を提供する通信機を含み得、通信機は、任意の所望のハードウェア及び/又はソフトウェア構成によって実装され得、有線又は無線(例えば、Bluetooth(登録商標)又は無線周波数)プロトコルを使用して通信するように構成され得る。本発明のシステムで使用されるパルス発生器は、所望に応じて、再利用可能又は単回使用可能であるように構成され得る。本発明のシステムで使用されるパルス発生器は、発生器が手術室の滅菌野を汚染せずに使用され得るように、滅菌スリーブを受容するように構成され得る。本発明の実施形態で使用され得るパルス発生器及びそのコンポーネント、例えば、ポテンシャルソース、発振器、レギュレータなどに関する更なる詳細は、米国公開特許出願公開第2020/0046949号、並びに係属中のPCT出願シリアル番号PCT/US2020/055458に提供され、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
バルーンカテーテルアセンブリ
上記で要約したように、パルス発生器に加えて、本発明のシステムは、バルーンカテーテルアセンブリを含む。バルーンカテーテルアセンブリは、パルス発生器から第1の脈動エネルギーを受信し、第1の脈動エネルギーを、アセンブリの長さに沿って、例えば、流体、例えば、液体、その通路に沿って遠位バルーンに伝搬され得る第2の脈動エネルギーに変換するように構成される。バルーンカテーテルアセンブリは、第1の脈動エネルギーを第2の脈動エネルギーに変換するとき、何らかの方法で脈動エネルギーの形態を変化させる。近位コネクタによってなされ得るエネルギーの形態への変化の例としては、以下に限定されないが、気体圧力及び/又は流量の液体圧力及び/又は流量への変化、機械的ポテンシャル及び/又は運動エネルギーの流体圧力及び/又は流量への変化、光学ポテンシャル及び/又は運動エネルギーの流体圧力及び/又は流量への変化、電界ポテンシャル及び/又は運動エネルギーの流体圧力及び/又は流量への変化、磁気ポテンシャル及び/又は運動エネルギーの流体圧力及び/又は流量への変化などが挙げられる。例えば、第1の脈動エネルギーが第1の空気圧脈動エネルギーである場合、バルーンカテーテルアセンブリは、第1の空気圧脈動エネルギーを、バルーンカテーテルアセンブリの近位端からバルーンカテーテルアセンブリの遠位端に伝搬し得る第2の油圧脈動エネルギーに変換するように構成され得、これは、脈動エネルギーの気体から液体への変換の例である。いくつかの例では、バルーンカテーテルアセンブリは、減衰が存在するにしても、減衰の大きさが、30%低減を超えず、いくつかの例では、例えば、上記で説明されるように、5%を超えない、弱い減衰を伴って、第2の脈動エネルギーを近位端から遠位端に伝搬させる。
【0032】
いくつかの例では、バルーンカテーテルアセンブリは、(i)バルーンカテーテルアセンブリをパルス発生器に動作可能に接続し、パルス発生器によって発生した第1のパルスエネルギーを第2のパルスエネルギーに変換するように構成されている近位コネクタと、(ii)遠位バルーンと、(iii)近位コネクタと遠位バルーンとの間に動作可能に位置付けられた流体通路を含むカテーテルコンポーネントとを備える。
【0033】
近位コネクタは、アセンブリ内に近位に配置されたアセンブリのコンポーネントであり、例えば、近位端又は近位端の近くに配置され、例えば、近位端から1cm以内又はそれよりも近くに配置され、近位コネクタは、例えば、上記で説明されるように、アセンブリをパルス発生器に動作可能に接続し、第1の脈動エネルギーを第2の脈動エネルギーに変換するように構成されている。所与のタイプのコネクタが、プレスフィットコネクタ、ラッチコネクタ、スクリューコネクタ、ねじ付きコネクタ、磁気コネクタ、プッシュツーコネクトコネクタ、ヨルロックコネクタ、クロークランプコネクタ、ガスケットコネクタ、ソケットコネクタ、フランジコネクタ、カムアンドグルーブソケット、クイックコネクタなどであり得、所望に応じて、アライナ又は戻り止めを使用して、圧力発生器及び/又は電気コネクタに関連して近位コネクタを繰り返して正確に位置付けする接続を提供し得る。
【0034】
上記で検討されるように、いくつかの例では、変換は、流体から流体へのエネルギー変換であり、例えば、第1の脈動エネルギーが空気圧脈動エネルギーであり、第2の脈動エネルギーが油圧脈動エネルギーである。そのような例では、近位コネクタは、膜によって分離された近位チャンバと、遠位チャンバとを含み得、例えば、膜は、近位チャンバから遠位チャンバを密封する。近位チャンバは、パルス発生器から空気圧脈動エネルギーを受信するように構成され得る。近位チャンバの体積は、いくつかの例では、0.1mL~100mL、例えば、1mL~4mLの範囲で異なり得、いくつかの例では、近位チャンバは、気体によって占有される。ある特定の例では、近位チャンバは、バルーンを充填するために必要な体積変化に対応するために十分な大きさでありながら、最小体積チャンバを形成する。この場合、この最小体積チャンバを特定の圧力に充填する時間が最小限に抑えられ、処置の頻度を増加させることができる。遠位チャンバは、カテーテルコンポーネントの流体通路(fluidic passageway)に流体的に結合されている。遠位チャンバの体積は、いくつかの例では、0.1mL~100mL、例えば1mL~4mLの範囲で異なり得、いくつかの例では、遠位チャンバは、液体によって占有されている。
【0035】
近位チャンバと遠位チャンバとを分離する膜は、第1の脈動エネルギーに応答して移動し、そうする際に、コネクタの遠位チャンバ内に第2の脈動エネルギーを発生させるように構成される。膜の寸法は異なり得、いくつかの例では、膜は、面積が、100mm2~5000mm2、例えば、500mm2~2000mm2の範囲である。膜は、任意の好都合な弾性(例えば、柔軟な)材料から製造され得、いくつかの例では、材料は、硬度が、ショア10A~ショア90Aの範囲、例えば、ショア50Aであり、厚さが、0.5mm~5mm、例えば、1.0mm~2.5mmである。好適な膜材料の例としては、シリコーン、ゴムなどが挙げられるが、これらに限定されず、場合によっては、編組などの補強成分を添加することによって、強化され得る。所望に応じて、ばねなどの付勢コンポーネントを提供して、デフォルト又はベースラインの膜位置を提供し得る。例えば、力が膜の近位チャンバ側から除去されるときに、膜を初期位置に戻すように促すばねが、膜の遠位チャンバ側に設けられ得る。他の例では、システムは、パルス発生器が、プライミング圧力を打ち消すために近位チャンバに一定の圧力(ただし、0.1~2atmなどの低い圧力)を提供するように制御され得る。この反力により、ダイヤフラムを適切な位置に設定して治療を開始し、測定を開始することができる。
【0036】
そのような実施形態の近位コネクタの形態は変形され得るが、いくつかの例では、近位チャンバが、近位フランジによって画定され、遠位チャンバが、遠位フランジによって画定され、近位及び遠位フランジが、膜の両側に位置付けられて近位及び遠位チャンバを画定し、近位及び遠位チャンバが、分離膜によって互いに密封(例えば、密閉)され得る。そのような例では、近位フランジは、パルス発生器によって発生した第1のパルスエネルギー、例えば空気圧脈動エネルギーを受容するように構成された近位フランジに垂直な(例えば、軸方向の)近位ポートを含み得る。近位ポートの寸法は所望に応じて異なり得るが、いくつかの例では、ポートは、外径が、1mm~30mm、例えば、3mm~8mmの範囲であり、内径が、1mm~30mm、例えば、2mm~7mmの範囲である。近位フランジが近位ポートを有するようないくつかの例では、ポートは、長さが、1mm~50mm、例えば3mm~10mmの範囲であり得る。そのような例では、遠位フランジは、遠位チャンバをカテーテルの流体通路と流体的に結合する遠位ポートを含み得る。遠位ポートの寸法は、所望に応じて異なり得るが、いくつかの例では、ポートは、管腔直径が、0.1mm~10mm、例えば1mm~3mmの範囲である。
【0037】
近位チャンバが近位ポートを含む例では、近位ポートは、ポートに流体的に結合される。そのような例では、近位ポートと近位チャンバとの間の接合部は、ノズル及び/又はディフューザを含み得、ノズル及び/又はディフューザは、いくつかの場合には、近位フランジによって幾何学的に形成され得る。そのような場合、ノズル又はディフューザは、流体圧力を犠牲にして、流速を増加又は減少させるように作用し得る。このような流速の増加又は減少により、エネルギー変換の特性、例えば、エネルギー変換のランプアップ時間又は滑らかさが改善され得る。空気流の場合、気体の速度は、音速流又は超音速流において生じるような圧縮可能な流体現象を誘発するために十分なほど高くあり得る。そのような場合、収束発散ノズルなどの特殊なフローノズルを使用して、流速を最適化することができる。
【0038】
所望に応じて、近位コネクタは、例えば、コネクタ及び/又はバルーンカテーテルアセンブリの1つ以上のコンポーネントに関するデータを提供するように構成された1つ以上のセンサを含み得る。任意の好都合なタイプのセンサは、近位コネクタに含まれ得、ここで、関心対象のセンサは、圧力センサ、位置センサ、変位センサ、近接センサ、流量センサ、温度センサなどを含むが、これらに限定されない。いくつかの例では、近位コネクタは、遠位チャンバに動作可能に結合された圧力センサを含む。そのような場合、圧力センサは、遠位チャンバ内の液体中の圧力及びその変化を検出し得る。圧力センサが含まれるとき、任意の好都合なタイプの圧力センサが存在し得、存在し得る圧力センサの例としては、抵抗式、容量式、圧電式、光学式、及びMEMSベースの圧力センサなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの場合では、これらの圧力センサは、近位コネクタでの圧力を測定し得、他の場合では、圧力は、バルーンにおいて読み取られるか又はバルーンに沿って読み取られ得る。バルーンにおけるそのような圧力を測定するために、例えば、光ファイバベースのセンサが用いられ得る。いくつかの例では、近位コネクタは、所与の時間、例えば、システムの使用中に、膜の位置に関する空間データを提供するように構成された膜位置センサを含む。膜位置センサが存在する場合、任意の好都合な膜位置センサが、用いられ得る。いくつかの例では、膜位置センサは、例えば、近位コネクタ又はパルス発生器(例えば、手持ち式アクチュエータ)の固定位置など、膜に対して固定された場所に存在する1つ以上の磁石(例えば、永久磁石又は電磁石)と併せて用いられ得るホールセンサであり、それによって、1つ以上の固定磁石は、膜の移動時にホールセンサの電圧を変調するように位置付けられる。他の例では、膜位置センサは、光学センサ、電界電位センサ、抵抗センサ、磁気センサ、角度センサ、又は加速度センサであり得る。更に、これらのセンサの任意の組み合わせを使用して、膜又はダイヤフラムの位置データを収集し得る。膜位置センサの組み合わせが使用される場合、例えば、センサが様々な周波数にわたって正確なデータを提供することを確実にするために、センサデータは、当技術分野で知られているような「センサ融合」技術を介して組み合わされ得る。膜位置センサは、存在する場合、様々な異なる目的、例えば、(以下に説明されるような)血管の伸展性及び治療を評価すること、バルーンカテーテルアセンブリの適切な充填を評価すること、膜が所望の閾値を超えて延伸されたか否かを評価することなどのために使用され得る。膜センサの製造方法には、接着剤、直接印刷、溶接、埋め込みなどが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0039】
所望に応じて、近位コネクタは、電気アセンブリを更に含み得る。電気アセンブリは、1つ以上のセンサの電力供給、1つ以上のセンサの制御、1つ以上のセンサから取得されたデータの記憶、1つ以上のセンサから別の場所へのセンサデータの送信、バルーンカテーテルアセンブリに関する情報の記憶、データの書き込み及び/又は読み取りなど、いくつかの機能を実行するように構成され得るが、これらに限定されない。電気アセンブリは、変形され得、いくつかの例では、回路及び/又はメモリを含み得る。メモリは、存在する場合、バルーンカテーテルアセンブリ及び/又はそのコンポーネント、例えば、遠位バルーンに関する情報、例えば、有効期限、バッチ番号、バルーンサイズ(例えば、バルーン直径及び長さ)、バルーン定格バースト及び公称圧力、サイクル限界(例えば、バルーンが定格される許容サイクルの数)、及び使用されるサイクル、許容パルス周波数若しくは持続時間、以前の使用、バルーン基準圧力-体積曲線、並びに/又は使用のための指示などに関する情報を含むが、これらに限定されない、様々な異なるタイプの情報を格納し得る。電気アセンブリは、存在する場合、例えば、電気アセンブリをパルス発生器に動作可能に接続するためのコネクタを更に含み得る。電気アセンブリは、可撓性プリント回路基板を含むプリント回路基板などの任意の好都合な構成で存在し得る。場合によっては、センサは、Bluetooth(登録商標)RFなどを介して、無線でデータを送信し得る。
【0040】
近位コネクタの様々なコンポーネントは、例えば、上記で説明されるように、ハウジング又はオーバーモールド内に存在し得、例えば、近位コネクタコンポーネントを、例えば、偶発的な落下中又は包装中に保護するように構成され得る。ハウジングは、存在する場合、好適な剛性材料、例えば、高分子材料から製造され得、所望に応じて、透明又は不透明であり得る。
【0041】
上記で要約したように、バルーンカテーテルアセンブリは、近位コネクタと遠位バルーンとの間に位置付けられたカテーテルコンポーネントを含み得る。カテーテルコンポーネントは、例えば、上記で説明されるように、減衰がもしあれば、最小限の減衰を伴って、第2の脈動エネルギーを近位コネクタから遠位バルーンに伝搬又は伝達するように構成されている。カテーテルコンポーネントは、ヒト又は別の動物、例えば哺乳類の管腔に導入され得るように、カテーテルとして用いられるように構成された部分、例えば、シャフトを含む。この部分の寸法は異なり得るが、いくつかの例では、このカテーテル部分は、外径(OD)が、1.50mm~2.50mm、例えば、1.75mm~2.20mmの範囲である。
【0042】
カテーテルコンポーネントの構造は異なり得るが、いくつかの例では、カテーテルコンポーネントは、近位可撓性チューブと、遠位カテーテルシャフト(例えば、上記で説明されるように、カテーテル部分である)と、近位可撓性チューブの遠位端を遠位カテーテルシャフトの近位端に接続するコネクタとを含む。近位可撓性チューブは、柔軟な材料、例えば、編組又は非編組ポリ塩化ビニル(PVC)、シリコーン、ポリカーボネート(PC)などで作製されており、チューブの寸法は異なり得る。いくつかの例では、可撓性チューブは、直径が、0.1mm~10mm(例えば、1mm~3mm)の範囲であり、壁厚が、0.1mm~5mm(例えば、0.5mm~2mm)の範囲である内腔を有する。近位可撓性チューブの長さも、また、いくつかの例では、1cm~100cm、例えば、5cm~20cmの範囲で異なり得る。
【0043】
遠位カテーテルシャフトも、また、異なり得る。遠位カテーテルシャフトは、ポリイミド編組などのポリイミド、又はポリイミドタイプ材料などを含むが、これらに限定されない、任意の好適な生理学的に許容される材料から製造され得る。いくつかの場合では、遠位カテーテルシャフトは、長さが、10cm~1m、例えば100cm~300cmの範囲である。遠位カテーテルシャフトの外径も、また、いくつかの例では、1.50~2.50、例えば1.75mm~2.20mmの範囲で異なり得る。遠位カテーテルシャフトは、第1の液体通路内腔を含み得、この第1の液体通路内腔の寸法は、異なり得る。いくつかの例では、この第1の液体通路管腔の直径は、1.3~2.2mm、例えば1.6~2.1mmの範囲である。第1の液体通路は、液体通路管腔の内部と遠位バルーンの内部との間の液体連通を確立するための遠位端の1つ以上の開口部を含み得る。1つ以上の開口部は、存在するとき、液体通路からバルーンに入る際に、第2の脈動エネルギーを実質的に減衰せず、いくつかの例では、第2の脈動エネルギーをまったく減衰させないように構成される。いくつかの例では、これらの開口部は、ノズル及び/又はディフューザであるように構成され得る。いくつかの例では、ノズル又はディフューザは、流体圧力を犠牲にして、流速を増加又は減少させるように作用し得る。このような流速の増加又は減少に伴い、バルーン膨張の特性、例えば、ランプアップ時間、衝撃、力などが変更され得る。遠位カテーテルシャフトは、第2のガイドワイヤ内腔を含み得る。第2のガイドワイヤ内腔が存在する場合、この第2のガイドワイヤ内腔の寸法は異なり得、いくつかの例では、ガイドワイヤ内腔の直径は、0.25~0.5mm、例えば、0.37~0.42mmの範囲である。遠位カテーテルシャフトは、バルーンの長さ全体を横断するか、又はバルーンカテーテルの近位接続において終了するように構成され得る。遠位カテーテルシャフトがバルーンの長さ全体にまたがる場合、遠位カテーテルシャフトにはポートが形成され得、カテーテルシャフトの内部とバルーンとの間の流体連通が可能になる。ポートの形成は、レーザプロセス又は他の特別な機械加工プロセスを使用して実行され得る。カテーテルシャフト内のポートのパターン又は分布は、遠位カテーテルシャフトが、狭く石灰化した病変部を通して押すために必要な剛性を有し、かつねじれを防止するために、長く蛇行した病変部を横断する柔軟性も有することを確実にするように構成され得る。ポートに形成される穴は、0.05~1mm、例えば0.2mmであり得る。穴は、らせん状又は直線状のパターンでパターン化され得るか、又は材料の内側編組に従いうる。穴の数は、100~500個、例えば、200個とすることができる。穴の総面積は、流路管腔の断面積を超えるべきである。遠位カテーテルシャフトの全長にわたるポートを形成することにより、バルーン表面全体が治療中に等量の脈動エネルギーを受信する。この構成は、バルーンの一部分が収縮している場合、その部分並びにバルーンの他の部分が等量のエネルギーを受信することを確実にする。この構成の欠点は、交差プロファイル(すなわち、遠位カテーテルシャフトの全直径)がより大きく、狭い病変部を通過することがより困難であることである。遠位カテーテルシャフトを狭くするために、遠位カテーテルシャフトは、近位バルーン接続部において終わることができる。この場合、ガイドワイヤ管腔のみがバルーンの長さを横断する。この場合、バルーンは、遠位カテーテルシャフトと一致する近位ネック直径と、ガイドワイヤ管腔と一致する遠位ネック直径とを有し得る。ガイドワイヤ管腔は、遠位カテーテルシャフトよりも直径が小さいので、この構成の交差プロファイルは、例えば、先に説明された構成と比較して改善され得る。しかしながら、遠位カテーテルシャフトからバルーンに流体を移すポートは1つのみであり、バルーンの壁及び石灰化した病変部にエネルギーを不均等に分配することができる。これらの2つの構成は、異なる表示、解剖学的位置などの異なる例において使用することができる。
【0044】
これらの実施形態のカテーテルコンポーネントには、近位可撓性チューブの遠位端を遠位カテーテルシャフトの近位端に接続するコネクタも存在する。コネクタは、所望に応じて異なり得る。いくつかの場合では、コネクタは、カテーテルシャフトのガイドワイヤチャネルへのガイドワイヤアクセスを提供するように構成された第1の分岐と、近位可撓性チューブ及び遠位カテーテルシャフトの管腔を流体的に結合するように構成された第2の分岐とを含む。好適なコネクタの一例は、Yコネクタである。
【0045】
上記で検討されるように、バルーンカテーテルアセンブリは、遠位バルーンを更に含む。任意の好都合なバルーンを用いることができる。好適なバルーンとしては、伸展性及び非伸展性の血管形成術用バルーンなどの標準的な血管形成術用バルーンが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、バルーンは、非伸展性層及び伸展性層を含む2つの異なる層を含む複合バルーンである。従来技術に対する本複合バルーン構造の改善点を説明するために、個々の単位としての複合バルーンの2つの層を説明する。バルーンの設定された直径は、狭窄を取り囲むより硬くない健康な組織内に膨出することなく、周囲の血管に力を均等に分配するので、非伸展性血管形成術用バルーンは典型的には、経皮的処置において使用される。非伸展性バルーン材料が加圧されると、バルーンが最初に充填され、低圧及び高延伸状態がもたらされる。非伸展性バルーンが公称直径に達すると、バルーン圧力はそれに対応して低い延伸に対して有意に増加する。バルーン内で圧力が解放されると、バルーンの弾性が欠如しているので、バルーンは公称延伸に留まる。この弾力性の欠如は、以下の3つの理由で問題がある。(1)真空が発生しない限り、減圧されたバルーンは充填されたままであり、血流を閉塞する可能性があり、(2)治療後に、シースを通して、バルーンカテーテルを取り除くことが困難になる可能性があり、(3)脈動治療中、バルーンは低圧段階の間流体を押し出さず、周囲の組織において必要な応力緩和を妨げる。したがって、非伸展性バルーンは高圧では有用であるが、より低い圧力では制限される。伸展性血管形成術用バルーンは、典型的には直線的な圧力-延伸曲線を有する。これらのバルーンの使用は、バルーンが動脈の硬化したセグメントの周りに不均一に延びるので、経皮的処置では制限され、それによって、硬化した罹患組織を取り囲む健康で柔らかい組織に損傷を引き起こす可能性がある。伸展性バルーンでは、典型的には、バルーン圧力が直線的に増加する。非伸展性バルーンと比較して、伸展性バルーンは、「短い」初期充填領域を有し、したがって、バルーン内の圧力が解放されると、バルーンは、追加の真空を必要とせずに、初期延伸状態に戻る。この初期状態への復帰は、初期延伸状態への復帰時に血流が直ちに回復し、バルーンがシースを通してより容易に引き込むことができるので、本処置に有益である。更に、脈動血管形成術中、バルーンの伸展性は、バルーンから流体を押し出すための推進力として機能し、この推進力は、周囲の組織が低圧段階の間低応力を伴って弛緩することを可能にするために必要である。したがって、伸展性バルーンはより低い圧力では有用であるが、高圧での治療能力は限られている。非伸展性血管形成術用バルーン及び伸展性血管形成術用バルーンは、単独では、脈動及び標準経皮血管形成術の様々な段階に最適ではない。しかしながら、非伸展性血管形成術用バルーン及び伸展性血管形成術用バルーンを複合体として一緒に使用すると、両方の治療の重要なニーズを満たすことができる。複合血管形成術用バルーンの一実施形態において、非伸展性バルーンは、例えば、係属中のPCT出願シリアル番号PCT/US2020/055458に更に説明されるように、「矢印で示された」加圧延伸を達成するために、伸展性スリーブで覆われており、この出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。伸展性層は、ゴム、シリコーン、ポリウレタン、若しくはニチノール材料、又は破断する前に100~500%まで延伸することができ、破断する前に数千サイクルに耐えることができ、拡張中に塑性変形が生じる場合でもその塑性変形を最小限に抑える別の材料であり得る。使用中、例示的な複合バルーンは、以下のように機能する。低圧段階の間、伸展性材料が応答を支配する。複合バルーンは、バルーンの延伸が非伸展性バルーンの延伸と交差するまで、伸展性材料曲線に従う。この交差点及びより高い圧力では、非伸展性材料がバルーン応答を支配する。圧力が解放された直後に、バルーンは初期又はゼロの延伸状態への矢印で示された応答に沿って戻る。この例示的な複合バルーンは、伸展性血管形成術用バルーンの低圧時の利点及び非伸展性血管形成術用バルーンの高圧時の利点を有する。他の利点には、バルーンの自己折り畳み及び収縮、裂け及びピンホールの緩和、脈動血管形成術中の発振周波数の増加、及び病変部を横断する間のバルーンの押し込み性の向上が含まれる。本発明の実施形態で使用される複合血管形成術用バルーンに関する更なる詳細は、係属中のPCT出願シリアル番号PCT/US2020/055458に見出すことができ、この出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
他の例では、バルーンは、周囲の材料に脈動応力集中を発生させる外部特徴を有し得る。これらの特徴は、一般的なバルーン形状(すなわち、加圧されたときにバルーンが元の型の形状を採る)に組み込まれるか、又はバルーンを取り囲む追加のコンポーネント(例えば、ストリップ若しくはケージ)を介して組み込まれ得る。ある特定の例では、追加のコンポーネントは、バルーンの長さを横断する(すなわち、バルーンの近位端から遠位端まで)。この場合、周囲材料の応力集中は、カルシウム構造内に半径方向の亀裂が発生するように生じる。他の例では、追加のコンポーネントは、バルーンが各パルス中に延びると、カルシウム構造内に長手方向の亀裂が形成されるように、バルーンの周りを円周方向に横断する。更に、追加のコンポーネントは、周囲の材料内の半径方向及び長手方向の両方における応力集中が発生するように、直交して分布され得る。それにより、カルシウムを完全に粉砕するために、長手方向及び半径方向の両方における亀裂を発生させることができる。
【0047】
バルーンカテーテルアセンブリは、「密封された」コンポーネントである場合、又はそうでない場合がある。いくつかの例では、バルーンカテーテルアセンブリは、使用時に流体、例えば、液体がアセンブリの液体通路に導入され得、かつ/又は気体がアセンブリから(例えば、気泡除去を介して)除去され得るように、密封されていない。更に他の例では、バルーンカテーテルアセンブリは、液体通路及びバルーンが使用前に事前に液体で充填され、液体がアセンブリ内に密封されるように、密封又は密閉されたアセンブリである。いずれの例でも、アセンブリの管腔及びバルーンに導入される液体は、異なり得、いくつかの例では、液体は、生理食塩水である。所望に応じて、液体は、好適な造影剤を含み得、造影剤の例としては、ヨウ素造影剤、バリウム造影剤などの放射性造影剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
いくつかの例では、上記の実施形態は、処置が完全に自律的かつ/又は遠隔で実行され得るように構成され得る。これらの場合、バルーンカテーテルは、手動で又はロボットカテーテル留置システムを使用して患者に挿入され得る(公開された出願WO2010/025338に説明されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。このシステムを使用すると、ガイドワイヤ及びバルーンカテーテルなどの機器を病変の部位に前進させることができ、病変部に到達した後、バルーンを膨張又は収縮させることができる。上記で説明される実施形態では、バルーンは、ユーザが加圧前にバルーンを充填する必要がないように、流体で事前に充填され得る。他の例では、複合バルーン実施形態を使用して、バルーンが容易に除去され得るように、バルーンが処置後に収縮して巻かれることを確実にすることができる。そのような例では、オペレータは、圧力、周波数、及び/又はデューティサイクルを含む処置を制御するためにコンソールに位置し得る。同時に、オペレータは、同時にX線イメージングを見て、膨張したバルーン及び処置の有効性を視覚化することが可能であり得る。いくつかの例では、フィードバック、例えば、視覚、音声、触覚などのフィードバックをオペレータに提供して、バルーンにおける体積及び/又は圧力変化、周波数、デューティサイクル、バルーン拡張、バルーン位置などの処置の特性を示し得る。
【0049】
バルーンカテーテルアセンブリは、使い捨て可能であるように、単回又は一回限りの使用のために構成され得る。使用前に、バルーンカテーテルアセンブリは、所望に応じて滅菌され得る。
【0050】
本発明の様々な態様は、上記で概略的に説明されており、本発明の要素は、特定の実施形態の文脈において更に検討される。
【0051】
具体的な実施形態
高周波血管形成術用バルーン振動を発生させるための本発明の実施形態によるシステムを、
図1に概略的に示す。いくつかの例では、システムは、高電圧又は圧力源などのポテンシャルエネルギー源を有するパルス発生器と、例えば、高ポテンシャルソースなどを制御するためのスイッチングシステムと、パルス発生器の出力(すなわち、第1の脈動エネルギー)を血管形成術用バルーンの油圧振動(すなわち、第2の脈動エネルギー)に変換するためのバルーンカテーテルアセンブリとを含むことができる。実施形態では、ポテンシャルエネルギー源は、バルーン血管形成振動を駆動するように作用し、スイッチングシステムは、パルス発生器からの出力されたエネルギーの周波数、デューティサイクル、及び/又は振幅を制御し、バルーンカテーテルアセンブリの近位コネクタは、出力されたエネルギーを油圧振動に変換し、それによって血管形成術用バルーンカテーテル内で振動を発生させ、高流量バルーンカテーテルは、システムへの圧力振動入力を達成し、バルーン出力において最適化することを可能にする。このシステムの変形例は、以下の実施形態の各々において提供される。以下の実施形態は、網羅的なリストであることを意図したものではなく、システム全体の様々な構成の例を提供することを意図したものである。
【0052】
図1に概略的に示されるようないくつかの実施形態では、システムは、再利用可能であるように構成され得る、(破線の左側にある)パルス発生器70と、単回使用されるように構成され得る、(破線の線の右側にある)バルーンカテーテルアセンブリ1との、2つのコンポーネントを含む。本明細書及び説明の他の箇所で使用される「再利用可能」及び「使い捨て可能」という用語は、
図1に示される本発明の実施形態を説明する際の便宜のために使用される。しかしながら、本発明はそのように限定されない。このように、デバイスの任意の部分は、所望に応じて、1回の使用のために、又は複数回の使用のために構成され得る。
図1に示す実施形態では、パルス発生器70は、ポテンシャルソース870と、電位レギュレータ880と、コントローラ72とを含む。パルス発生器は、また、所望に応じて、パルス発生器の手持ち式コンポーネント又はアクチュエータ内に存在し得るスイッチ又は発振器(ソレノイドなど)14を含む。また、膜30と、圧力及び/又は流量変換器31と、電気コネクタ13と、高流量カテーテル16と、バルーン2とを含む近位コネクタ400を含むバルーンカテーテルアセンブリ1も示されている。パルス発生器70への入力は、圧力又は流量変換器31などのセンサからのフィードバック、又はボタン若しくはスイッチなどのユーザ入力からのフィードバックを含むことができる。パルス発生器70からの出力は、第1の脈動エネルギーの形態で高圧流体又は電圧から得られるような、電力、論理、及び/又は調整されたポテンシャルエネルギー880若しくは調整されていないポテンシャルエネルギー870を含み得、バルーンカテーテルアセンブリ1に伝送される。バルーンカテーテルアセンブリ1は、第1の脈動エネルギー出力を、流体連通経路35において油圧振動に変換し、油圧振動は、高流量カテーテル16及びバルーン2に出力される。
【0053】
図2は、例えば、
図1に概略的に示されるようにシステムにおいて使用され得る、本発明の一実施形態によるバルーンカテーテルアセンブリ200の図を提供する。バルーンカテーテルアセンブリ200は、パルス発生器(図示せず)の空気圧出力に動作可能に接続するための近位ポート212を有する近位コネクタ210と、近位コネクタの遠位ポート214に結合された近位可撓性チューブ220と、遠位カテーテルシャフト240の遠位端に配置された複合バルーン250などの血管形成術用バルーンを有する遠位カテーテルシャフト240と、近位可撓性チューブ220の遠位端を遠位カテーテルシャフト240の近位端に接続するYコネクタ230とを含む。また、近位可撓性チューブ220の遠位端とYコネクタ230との間に位置付けられた任意選択的なバルブ260が示されている。近位可撓性チューブ220は、存在する場合、近位コネクタ210とYコネクタ230、遠位カテーテルシャフト240、及び血管形成術用バルーン250との間の張力緩和要素として作用する。バルブ260は、存在する場合、バルーンカテーテルアセンブリの液体通路に流体を導入するために用いられ得る。いくつかの例では、バルブ260は存在しない。例えば、上記で説明されるように、バルーンカテーテルアセンブリは、例えば、液体を含有する好適な造影剤を事前に充填されたユーザに提供される密閉又は密封システムであり得る。そのような例では、本発明のシステムにおけるアセンブリを使用するには、流体プライミングは必要とされないので、バルブ260は、提供されない場合がある。他の例では、バルブ260は、ティーコネクタのうちの1つから突出する一方向バルブを有するティーコネクタである。この一方向バルブは、三方バブルとは対照的に、容易なプライミングを可能にする。他のティーコネクタでは、チューブ220及びyコネクタ230への接続は、ハンドルに対するカテーテル及びバルブの容易な位置決めを可能にするために、回転ルアーを用いて行われている。
【0054】
図3A~
図3Dは、本発明の実施形態による、バルーンカテーテルアセンブリの近位コネクタの異なる図を提供する。
図3Aは、近位コネクタ300の切り欠き側面図を提供する。近位コネクタ300は、膜330によって分離された近位フランジ310と、遠位フランジ350とを含む。近位フランジ310は、近位ポート320によってアクセスされる近位チャンバ315を画定する。遠位フランジ350は、遠位ポート360によってアクセスされる遠位チャンバ355を画定する。圧力変換器325は、遠位ポート360及び遠位チャンバ355に動作可能に結合されている。近位及び遠位フランジ310、350は、ねじ370によって示されるように、ねじによって一緒に保持される。代替的に、フランジは、接着剤、溶接、又は他の手段などの任意の他の適切な組み立て方法を介して固定することができる。他の例では、フランジは、可撓性膜及び電子機器の周りに多段射出成形又はオーバーモールドプロセスを介して単一のコンポーネントとして製造することができる。また、ホールセンサ335、(手持ち式アクチュエータ400内に配置され得る)永久磁石448、電気コネクタ390、及び可撓性プリント回路基板397も示されている。遠位ポートの遠位端にあるねじ部398は、近位可撓性チューブと遠位フランジとの間の界面として機能する。
図3Bは、近位コネクタ300の近位フランジ310の端面図を提供する。
図3Bに見られるように、ねじ370は、遠位フランジ(図示せず)への接続を提供するために、フランジの周りに円周方向に位置付けられる。また、パルス発生器(図示せず)への動作可能な電気接続を提供する近位ポート320及び電気コネクタ390も示されている。
図3Cは、ねじ370によって一緒に連結された近位及び遠位フランジ310、350を示す、近位コネクタ300の外側側面図を示す。また、メモリ395が示されており、メモリ395は、電気コネクタ390に電気的に結合された可撓性プリント回路基板397に電気的に結合されている。同様に、圧力センサ325は、可撓性プリント回路基板397に電気的に結合されている。
図3Dは、近位コネクタ300の斜視図を示す。
図3Eは、近位コネクタの様々なコンポーネント、例えば、回路、センサなどを保護するために役立つ剛性を有する不透明な材料から製造されたオーバーモールド380を備えた近位コネクタ300の図を提供する。近位コネクタは、共通の手持ち式アクチュエータに接続することができる一方で、異なるバルーンタイプに対応するための異なる直径及び幅を有し得る。例えば、末梢バルーン又は冠動脈バルーンの場合、近位コネクタは、1~20mlの体積変化に対応する寸法を有し得る。弁形成術用バルーンなどの大きいバルーンの場合、近位コネクタを拡大して、最大50mL~100mLの体積変化に対応することができる。
【0055】
可撓性プリント回路基板397は、アセンブリ上の様々なセンサを近位フランジに接続して、近位コネクタのサイズにかかわらず、ハンドルへの接続を可能にし、可撓性プリント回路基板397の前面、背面、及び等角図を提供する
図3F~
図3Hに更に例示されている。この実施形態は、可撓性PCBの長さを大きくするだけで、電子機器を完全に再設計することなく、近位コネクタのサイズを(例えば、上記で説明されるように)変更することを可能にする。可撓性プリント回路基板のL
Proxは、ホールセンサ335についての電気コネクタ390とダイヤフラムの屈曲部との間で必要とされる長さである。L
Distalは、電気コネクタ390から圧力変換器325までの長さである。これらの2つの長さは、近位コネクタのサイズの変更に対応するように調整することができる。また、メモリ395も示されている。
【0056】
図4A~
図4Cは、本発明の実施形態によるパルス発生器の、アクチュエータと呼ばれることもある手持ち式コンポーネントの異なる図を提供する。
図4Aは、手持ち式アクチュエータ400の側面図を提供し、手持ち式アクチュエータ400は、成人の手に保持されるように構成され、把持領域410と、遠位コネクタ420と、近位張力緩和領域405と、パルス発生器コネクタ406と、アクチュエータボタン430とを含む。把持領域410は、軟質プラスチック(例えば、ゴム、シリコーン、熱可塑性エラストマー(TPE))オーバーモールドなどを使用することによって、人間の手に合うように形状を調整することによって、容易に把持されるように構成され得る。
【0057】
図4Bは、アクチュエータ400のコネクタ420の端面図を提供する。
図4Bに見られるように、コネクタ420は、近位コネクタ(図示せず)の近位ポートとの接続を確立するための電気コネクタ430及び空気圧コネクタ440を含む。コネクタ420は、また、近位コネクタの適切で信頼性が高く、繰り返し可能な接続を確実にするための戻り止めを含む。近位コネクタ300の近位ポートを空気圧コネクタ440から解放するために、解放ボタン446を有する解放プレート445が使用され得る。
【0058】
図4Cは、アクチュエータ400の切り欠き図を提供する。アクチュエータ400内では、電磁3/2ウェイソレノイド470が使用され得る。ソレノイド470は、圧力入口ポート471と、出口ポート472と、電磁コイル473と、バルブポペットと、スプリングアセンブリ474と、排気ポート475とを含む。アクチュエータは、電子通路又はプリント回路基板485及び空気圧通路486のための追加されたスペースを有し得る。更に、いくつかの例では、永久磁石448は、ホール効果センサ内の電圧及び/又は電流を誘導するためにアクチュエータ400のコネクタ420内に位置し得、ホール効果センサは、近位コネクタの膜に取り付けられている(図示せず)。この電磁石は、また、近位コネクタに配置され得る。3/2ウェイソレノイド470は、オン状態及びオフ状態の2つの状態で動作する。オン状態の間、バルブポペット及びスプリングアセンブリ474が、電磁コイル473を通電させることによって作動されて、入口471からの高圧流が出口472及び近位コネクタ(図示せず)に進行してバルーンを加圧することを可能にする。オフ状態では、電磁コイル473が、電源を断たれ、バルブポペット及びスプリングアセンブリ474が、閉じられて、近位コネクタ(図示せず)からの加圧流体が入口472を通って排気ポート475に排出されることを可能にする。騒音を低減するために、排気ポート475の騒音抑制器(図示せず)が使用され得る。様々な電気コネクタは、信号及び電力をパルス発生器コンソール(図示せず)との間で搬送し、電気接点430、アクチュエータボタン430、及び電磁コイル486に搬送するために使用され得、領域485に配置され得る。空気圧接続部は、搬送され、空気圧コネクタ領域486内に接続され得る。
図4Dは、アクチュエータボタン430の上面図を提供する。アクチュエータボタン430は、当技術分野で知られているような、膜タイプのスイッチ又は任意の同様のタイプのボタン構成であり得る。スイッチは、液体又は洗浄液が侵入不可能であり得る。いくつかの例では、アクチュエータボタン430は、オン/オフスイッチ490と、オン/オフLED構成491と、制御マニピュレータボタン492と、制御マニピュレータLED493とを含み得る。
【0059】
図4E及び
図4Fは、それぞれ、コネクタ420を介して近位端コネクタ300に結合されたアクチュエータ400の分解図及び組み立て図を提供する。電気コネクタ430は、近位コネクタの接続及び切断を繰り返す間に発生する任意の許容差又は動きを考慮してばね留めされ得る。
【0060】
モデル
振動システムの数学的モデルについて以下に説明する。このモデルは、システムをリアルタイムで制御するための目的(例えば、状態空間コントローラのための目的)を含む、いくつかの目的を有する。数学的モデルは、高ポテンシャルソースがカテーテル内及びバルーン内の流体圧力振動に変換される
図1のシステムを記述する。入力振動は、圧力の瞬時ステップ入力、P
inputとしてモデル化され得る。振動は、半径2r及び長さlのカテーテルに沿って血管形成術用バルーンまで流れる。流体はステップ入力に迅速に応答するが、バルーンが加圧されるにつれて、流体圧力勾配が減衰して入力ステップ圧力と平衡する。バルーンの体積-圧力関係は、所与の体積及びバルーン延伸に対してバルーン内で発生する対応する圧力を決定する。ステップ入力後、圧力勾配は、小さい時間ステップについて準静的であり、かつ時間から独立しているように扱われる。カテーテルの管腔を通る流れは、パイプ流量のNavier-Stokes式を使用してモデル化される。
【0061】
【0062】
システムパラメータが表1において特定されている。
【0063】
チューブは、剛性を有し、一方向の流れ(vr=vθ=0)をもたらすと仮定される。造影剤混合物は、非圧縮流体としてモデル化され、それによって、下記のようになる。
【0064】
【0065】
重力の影響は無視される。圧力勾配は、小さい時間ステップについて準静的として扱われ、すなわち、下記のようになる。
【0066】
【0067】
そして、これらの仮定を適用すると、式(1)は次式に変換される。
【0068】
【0069】
【0070】
無次元パラメータには、下記の無次元半径方向位置ξが含まれる。
【0071】
【0072】
式中、rは、チューブの半径であり、z方向速度vzは、次式によって表される。
【0073】
【0074】
式中、
【0075】
【0076】
は、チューブに沿った圧力勾配であり、φ(ξ)は、チューブの半径に沿った無次元速度であり、無次元時間は、τである。
【0077】
【0078】
したがって、式(2)は次のようになる。
【0079】
【0080】
次式を仮定する。
φ=1-ξ2-Ψ (6)
【0081】
したがって、非滑り境界条件はτ=0においてΨ=1-ξ2となる。変数の分離によって(3)を解くと、次式が与えられる。
【0082】
【0083】
ここで、J0は第0位及び第1型のベッセル関数であり、αnはそのゼロである。流体が最初に静止している場合(τ=1においてφ=0)、次式が与えられる。
【0084】
【0085】
次いで、速度プロファイルが定義される。
【0086】
【0087】
体積流量は、次式によって表される。
【0088】
【0089】
代わりに、流体が平均速度
【0090】
【0091】
を有するある完全に発達した速度である場合、初期条件が、τ=0において
【0092】
【0093】
と修正されるか、又は
【0094】
【0095】
である。ここで、次式が与えられる。
【0096】
【0097】
同軸カテーテルシャフトの場合、体積流量は、内壁での追加の摩擦損失を考慮するためにスケール係数を用いて修正され、k=Ri/Rである(Papanastasiu,1999)。
【0098】
【0099】
このモデルをリアルタイム制御又は処置計画に使用するために、システムパラメータが識別される。このモデルのシステムパラメータには、ステップ入力特性、バルーン寸法、カテーテルの構造及び寸法、バルーンの圧力-体積関係などが含まれる。
【0100】
ステップ入力特性は、システムに依存し、(例えば、製造プロセス中に)測定され、システムに組み込まれ得る。同様に、システムに組み込まれた様々なセンサ測定値を用いれば、ある特定の実施形態において、システムは、圧力発生器によって発生したステップ入力応答を測定することができる。
【0101】
ある特定の実施形態では、バルーンの寸法並びにカテーテルの構造及び寸法は、バルーンカテーテルメモリ上に予めロードされ得る。これらの寸法は、バルーンの長さ、直径、形状などを含む。カテーテル構造及び寸法は、カテーテル管腔の断面(例えば、同軸、共押出など)の形状、及びカテーテルの長さ、外径、内径、流路面積とガイドワイヤチャネル面積との比などの詳細を含む。ある特定の実施形態では、バルーンの圧力-体積関係を測定し、バルーンカテーテルメモリ上に予めロードすることができる。拘束されていない直径4mm×長さ20mmのバルーンの圧力-体積関係の例を
図5に示す。
【0102】
これらの測定されたシステム特性及び上記に導出されたモデルを使用して、システムは、リアルタイムで制御され得(例えば、負のフィードバック制御及び/又はフィードフォワード制御を使用して)、圧力振幅、デューティサイクル、及び周波数が処置中に適切に設定されていることを確実にし得る。バルーン内の実験的に測定された圧力及びバルーンからの力出力の2つの例を
図6に示す。このモデルは、上記で導出されたように、実験的な測定値を正確に予測する。このような予測モデル及びシステム測定からのフィードバックを用いて、治療効果を最大化するように処置特性(周波数、圧力入力、及びデューティサイクル)を調整することができる。
【0103】
図5のこの圧力-体積関係及び
図6の「無拘束バルーン」は、バルーンが外部拘束(例えば、血管壁内に埋め込まれた硬性狭窄)によって拘束されていないときのバルーンの圧力と体積との間の関係を表す。バルーンが健康な組織によって拘束されるとき、この圧力-体積関係は異なっている。バルーンが拘束されるある特定の場合では、曲線はより急な勾配を有する(すなわち、より小さい体積の流体の場合、圧力はより高い速度で増加する)。したがって、圧力-体積曲線は症例依存性であり、より深刻な罹患組織ではより険しくなる場合がある。この曲線は症例に依存するため、圧力-体積曲線は、症例ごとに、患者内部(すなわち、現場)において、治療中に生成されなければならない。システムの説明された実施形態では、システム内の圧力及び体積の両方を、システムへの様々な入力を用いて現場で測定することができる。例えば、処置の開始時に、上記の実施形態によれば、バルーン内の圧力は、(例えば、説明された位置センサを使用して)バルーン内の体積が測定されて、現場圧力-体積曲線(
図7のサイクル1)が生成される間、既知の値まで増加され得る。ある特定の例では、この治療ベースの圧力-体積曲線は、場合によっては、治療の成功の指標である、無拘束の圧力-体積曲線、又は治療進行中に測定された曲線(
図7のサイクル1000又はサイクル10000)と比較され得る。このようにして圧力-体積曲線を比較することは、脈動バルーン血管形成術中であっても、転帰、例えば、治療成功、不十分なバルーン直径、バルーン拡張不足などの反復可能な尺度を提供するために使用することができる。他の例では、治療が治療の進行にわたって特定の圧力レベルで成功しない場合(すなわち、バルーンの体積が実質的に同じままであり、バルーン拡張不足及び非伸展性/未治療の血管を示す場合)、システムは、バルーンの体積が増加するまで、安全な範囲内で圧力を徐々に増加させ得る。代替的に、システムは、パルスの圧力振幅が十分に高くないことを示すために、オペレータにフィードバック(音声、視覚、触覚など)を提供し得る。他の例では、システムは、単一平面の拡張不足を検出するように構成されており、その一例は、
図7B(パネルA~D)に示されている。
図7B(パネルA~B)は、血流を制限している局所病変のX線透視画像を示す。病変部を治療するために、バルーンを、病変部を横切って挿入し、バルーン内の圧力を増加させることによって、標準BAが実行される。1つのX線透視面において、圧力を上昇させた後、バルーンは、
図7B(パネルC)に示されるように拡張する。しかしながら、正常なX線透視画像平面(
図7B(パネルD))に見られるように、バルーンは、拡張不足のままであり、このことが、医師によって見逃される可能性がある。上記で説明される実施形態では、システムは、複数の投影X線透視画像を必要とせずに、バルーンが拡張不足であるとき、そのことを測定することができる。この利点は、処置時間、医師及び患者への放射線被曝、及び造影剤の注入を低減する。
【0104】
血管伸展性の測定
以下に詳細に説明されるように、血管伸展性は、所与の圧力変化に対する血管体積の変化の比率に基づいて計算される血管の測定可能な特性である。血管伸展性を改善することは、アテローム性動脈硬化症などの特定の基本的な血管疾患状態の確定的な治療の前提条件であるため、血管伸展性は観察される重要な特徴である。血管伸展性の変化は、上記で説明される
図7Aに示される異なる圧力-体積曲線に見られる。
図7Aでは、治療された血管の圧力-体積特性、すなわち血管伸展性特性は、サイクル1からサイクル1000からサイクル10000までの治療の結果として変化する。
図7Aに示される値は単なる例示であり、必ずしも実行され得る実際の治療計画を示すものではないことに留意されたい。所与の治療計画に関して、実際の値は、病変のタイプ、バルーン、特定のパラメータなどであるが、これらに限定されない、所与の治療計画のいくつかの異なる因子に応じて、
図7Aに示される値とは異なり、例えば、より大きいか、又はより小さい場合がある。
【0105】
本発明によるシステムは、血管に適用される異なる圧力(又は圧力の変化)での体積の変化の生体内での測定値を取得することによって、血管の伸展性を評価するように構成することができる。
図7Cは、本発明によるシステムを使用して治療中に取得された血管伸展性の変化の測定値の一例を提供する。以下に詳細に説明されるように、本発明の実施形態は、脈動血管内結石破砕治療を提供するために、本発明のシステムの適用中にリアルタイムで管腔組織(すなわち、血管)の相対的な伸展性変化の測定を可能にする。本発明のシステムは、血管の伸展性の変化に基づいて治療パラメータを測定し、更新するように構成され得る。例えば、カルシウムクラッキング(すなわち、CP組織の破壊)の後、管腔組織(すなわち、血管)及びバルーンは、システムによって測定されるように、伸展性における大きい利得に寄与する、顕著な拡張を示し得る。しかし、血管が完全に拡張した後、システムによって測定される伸展性の変化は沈静化する場合がある。そのような状態の特定は、それほどの更なる管腔利得が生じていないため、治療が停止され得ることを示し得る。
【0106】
システムは、任意の好都合な方法で圧力を測定するように構成することができる。いくつかの例では、本発明によるシステムの実施形態は、例えば、本発明によるバルーンカテーテルアセンブリを含む、バルーンカテーテルアセンブリの流体通路及び遠位バルーン内の圧力を測定するための、本明細書に説明されるような圧力計を備え得る。いくつかの例では、圧力計は、例えば、
図3Aの圧力変換器325に見られるように、近位コネクタの遠位チャンバの圧力を測定するように構成されるように設置され得る。他の例では、例えば、光ファイバ又は圧電抵抗センサなどの圧力センサを使用して、バルーン内の圧力を測定し得る。
【0107】
システムは、任意の好都合な方法で血管の体積の変化を測定するように構成され得る。いくつかの例では、本発明によるシステムの実施形態は、近位コネクタの近位及び遠位チャンバを分離する膜の位置の変化が、遠位バルーンの体積の変化を反映するように構成され得る。遠位バルーンの体積の変化は、血管の断面積の変化を反映し、したがって血管の体積の変化を反映する。そのような実施形態は、ホールセンサと、そのような膜の位置の変化を測定するための1つ以上の永久磁石とを更に含み得る。ホールセンサは、磁場の存在又は磁場の変化を感知し、すなわち、ホール効果の使用によって感知するように構成されたセンサを指す。永久磁石は、永久磁石に対するホールセンサの位置の相対的な変化がホールセンサによって検出されるように、所望に応じて、任意の好都合な磁性材料、又は電磁石で構成され得る。上記で説明されるホールセンサなどのセンサ及び永久磁石を使用して、遠位バルーンの体積の変化、並びに遠位バルーンが膨張する速度、すなわち、血管体積変化の速度を測定し得る。
【0108】
図8は、本発明の実施形態による血管伸展性を評価するように更に構成された、
図1に示される本発明の実施形態によるシステムを示す。
図1に示される要素と同一である
図8に示されるシステムの要素は、
図1に関連して上記で説明された。ホールセンサ805は、近位コネクタ400上に位置付けられた永久磁石810に対する膜30の位置の変化が、ホールセンサ805の出力の変化を引き起こすように、膜30上に位置付けられる。ホールセンサ805の出力のかかる変化は、遠位バルーン2の体積の変化を示す。
図1に関連して説明されるように、圧力又は流量変換器31は、カテーテル16及びバルーン2に印加される圧力を測定するように構成される。ホールセンサ805及び永久磁石810に基づく体積変化及び圧力計31に基づく圧力変化の測定は、生体内で血管伸展性を測定するために使用される。このような血管伸展性の測定は、治療中に行うことができる。このような測定値は、治療段階での圧力-体積関係を示す圧力-体積曲線815を作成するために使用される。圧力-体積曲線815は、治療の異なる段階で生成することができ、治療の有効性を評価するか、異なる設定にわたって治療を比較するか、又は治療の有効性を最適化するように治療を修正又は別様に調整するために使用することができる。実施形態では、圧力-体積曲線815は、例えば、上記で説明された
図7A又は以下で説明される
図16に説明されている圧力-体積曲線に類似し得る。これらの圧力-体積曲線から使用されるデータは、(i)治療の成功又は失敗、(ii)集団又は同様の血管の将来の治療に使用されるエネルギーの調整又は減衰の必要性、(iii)円周カルシウム対270度又は偏心カルシウムなどの複雑な状態、又は(iv)比較的固定されている動脈生体構造内の領域の位置、又は著しいねじり又は屈曲を受けている領域の位置を予測するために、収集及びバッチ処理し、最終的に使用することができる。本発明による血管伸展性を測定するための例示的な実施形態は、
図1に関連して説明されるシステムの文脈において
図8に示されているが、本発明による血管伸展性を測定するための技術は、そのように限定されず、例えば、レーザベースの技術、超音波ベースの技術、キャビテーションベースの技術、本明細書に説明されるものなどの脈動バルーンベースの技術、又はプレーンバルーン血管形成ベースの技術などの、
図8の820に示されるシステムなどの他のバルーンベースのシステムに適用され得ることを理解されたい。また、上記で説明されるような圧力-体積データなど、例えば、治療に関連してシステムの適用時に収集されたデータが、機械学習のための様々なアルゴリズムを適用するために使用され得ることも理解されたい。そのような機械学習アプリケーションは、例えば、治療の成功若しくは失敗、適用されたエネルギーなどの治療の態様を変更する必要性、複雑な状態の存在、又は対象若しくは対象の集団の基本的な生体構造の態様に関して、上記で説明されるものなどの予測を行うように訓練され得る。任意の好都合な機械学習アルゴリズム又は技法又はモデルが適用され得、例えば、教師あり学習、教師なし学習、半教師あり学習、強化学習、又は次元削減を適用するアルゴリズム又は技法が適用され得る。実施形態では、関心対象の機械学習技術は、畳み込みニューラルネットワーク、又は深層学習技術、意思決定木、サポートベクトルマシン、回帰分析、ベイズネットワーク、若しくは遺伝アルゴリズムを適用する他の方法を含む人工ニューラルネットワークを含み得る。関心対象の機械学習技術は、汎用プロセッサ、例えば、市販の汎用プロセッサ、又は特殊目的プロセッサ、例えば、グラフィックプロセッサ、例えば、市販のグラフィックプロセッサなどで実行することができるように、又は専用のハードウェア上で実装され得るように、ソフトウェア内で実装され得る。
【0109】
図9Aは、血管の伸展性を測定するように構成された本発明の実施形態による近位コネクタ900の等角図を示し、
図9Bは、近位コネクタ900の切り欠き図を示す。近位コネクタ900は、膜920によって分離された近位フランジ910と、遠位フランジ915とを含む。近位フランジ910は、近位ポート930によってアクセスされる近位チャンバ925を画定する。遠位フランジ915は、遠位ポート940によってアクセスされる遠位チャンバ935を画定する。圧力トランスデューサ945は、遠位ポート940及び遠位フランジ915によって画定される遠位チャンバ935に動作可能に結合される。圧力変換器945は、遠位フランジ915を介して接続された遠位バルーンに印加される圧力の変化を観察するように構成されている。永久磁石950は、近位フランジ910に接続され、膜920の固定位置相対移動に留まるように構成されている。膜920に固定されたホールセンサ955は、遠位バルーンの体積の変化の観察及び測定を可能にする永久磁石950に対して膜920とともに移動するように構成されている。
【0110】
距離955は、膜920が近位チャンバ925内で移動することができる最も遠い左位置(X
l)を表す。距離960は、膜920が遠位チャンバ935内で移動することができる最も遠い右位置(X
r)を表す。距離960は、
図9Bに示される膜920の位置(x)を表す。ホールセンサ955及び永久磁石950は、左端距離955と右端位置960との間の膜920位置の変化を感知するように構成される。
【0111】
図10Aは、
図9A及び
図9Bに示される概略図におけるホールセンサ955及び単一の永久磁石950の構成などの、膜に固定されたホールセンサの計算された、すなわち分析的な出力のプロット1005、並びにプロット1005の分析結果を確認する実験結果のプロット1010を示す。磁束密度B、すなわち、
図9A及び9Bに示される概略図における永久磁石950の構成のような、永久的な軸方向に磁化されたリング磁石の対称軸に沿った磁場の効果の大きさの分析計算は、次式によって表される。
【0112】
【0113】
ここで、Brは、磁石の形状から独立した磁石の残差場であり、zは、磁石の軸上の極面からの距離であり、Dは、リングの厚さであり、Raは、リングの外側半径であり、Riは、リングの内側半径である。磁束密度の大きさは、永久磁石からのホール効果センサの距離zに応じて、ホール効果センサにおいて測定可能な電圧変化を誘導する。
【0114】
プロット1005のx軸1015は、
図9Bの膜距離955、960、965などの基準位置(すなわち、永久磁石の位置)からの膜の距離を示す。プロット1005のy軸1020は、磁束密度、すなわち、永久磁石から異なる距離にある永久磁石に関連付けられた磁場の効果の大きさに関する。プロット1005は、位置1025における最も左の可能な膜位置、及び位置1030における最も右の可能な膜位置(ここで、「右」及び「左」は、上記で説明される
図9Bに見られる膜位置を指す)を示す。永久磁石からの距離に対する磁場の効果の分析結果が曲線1035に示されている。曲線1035は、磁場の効果が、膜の動作可能な範囲、特に位置1025と位置1030との間で変化することを示し、例えば、
図9A及び
図9Bに示される膜装着ホールセンサ及び永久磁石の構成などのホールセンサが、膜位置、したがって、遠位バルーンの体積(したがって、血管体積の変化)を測定するための実行可能な解決策であることを確認する。
【0115】
プロット1010のx軸1037は、異なる膜位置に基づく遠位バルーンの体積の変化を表す。プロット1010のy軸1040は、ホールセンサが永久磁石から異なる距離移動するときにホールセンサによって生成される電圧レベルを表す。曲線1045は、例えば、
図9A及び
図9Bに示される膜装着ホールセンサ及び永久磁石の構成など、ホールセンサから収集された電圧データを反映する。曲線1045は、(膜と永久磁石との間の異なる膜位置又は距離に関連付けられた)x軸1037に示される各バルーン体積値についての異なる電圧値を示す。すなわち、各膜位置、したがってバルーン体積は、ホールセンサによって生成される異なる電圧レベルをもたらす。すなわち、曲線1045によって表される関数は、各電圧がバルーン体積に関連する異なる膜位置(永久磁石からのダイヤフラム距離)に対応するような一意の解を提供する。測定された電圧の最大の変化(プロット1010のy軸1040にプロットされている)は、約0mL及び約2.75mLの体積変位測定値間で生じ、関心対象の動作領域、すなわち、0mLと2.75mLとの間のバルーン体積を介して正確な体積測定を可能にする。これらの結果は、膜装着ホールセンサが、生体内及び治療中の遠位バルーンの体積変化を監視するための実施可能なアプローチであることを確認する。
【0116】
本発明の実施形態による所与の治療中に生じる微小な体積変化を測定するために、高感度かつ線形の体積センサが用いられ得る。バルーン充填範囲にわたって線形測定値を生成することができる上記のホール効果体積システムの特定の実施形態を
図9Cに示す。
図9Cに示されるように、2つの永久軸方向リング磁石970及び975は、増幅器アセンブリ内に固定され、近位及び遠位フランジの各々に1つが固定される。この実施形態では、磁石の同じ極が互いの方を向いている(南が南を向いている)が、この構成は、ホールセンサの内部差動増幅器に導入されるバイアス(ヌル)電圧に応じて変更することができる。可撓性プリント回路基板に取り付けられ、可撓性ダイヤフラム920の中心に取り付けられたホールセンサ955は、治療中にダイヤフラムの中心とともに移動する。ダイヤフラムの移動は、バルーン内の体積変化に影響し、したがって、バルーン拡張の尺度を提供する。センサの飽和を防ぐために、ダイヤフラムの近位限界と遠位限界との間の小さいバッファ距離が必要である。例として、2つの外径1/2インチ×内径1/4インチ×厚さ1/8インチの軸方向分極NdFeB N42リング磁石を、アナログホールセンサ(A1324、Allegro MicroSystems)とともに使用し、
図9Cに示される構成で組み立てた。総電圧範囲は0.5~4Vであり、2.25mlの総体積範囲にわたって測定される。6×60mmのバルーンは、作動体積が約2.0mlである。結果を
図10Bに示す。このセンサの感度では、バルーン体積の1%未満の変化を検出することができる。線形性からの逸脱が、曲線の両端で生じている。しかしながら、これらの両端は、実用的な伸展性の変化が中間体積範囲で発生すると予想されるので、全体的な体積測定にとって重要ではない。
【0117】
上記で説明されるように、血管圧力の変化と組み合わされた血管体積の変化の測定値は、血管伸展性を評価するために使用することができる。本明細書に説明されるシステム及び技術を使用すると、生体内及び治療中の血管伸展性の評価が可能になる。治療中又は治療前若しくは治療後の変化を含む血管伸展性の変化を使用して、治療の有効性を評価し、及び/又は血管治療を調整することができる。例えば、血管伸展性の変化を使用して、治療強度及び/又は持続時間を調整し得る。血管体積及び圧力の測定などの治療に関連するデータの理解及び収集を、将来の予測アルゴリズムに使用することができ、それによって、治療に必要な時間を短縮し、治療を実施する前に必要なエネルギーをより正確に予測するように、治療が、可変周波数及び/又は振動数で実施される。治療のそのような態様、例えば、システムの周波数及び/若しくは振動数は、オペレータによって調整され得るか、又は他の場合には、例えば、本明細書に説明されるように、機械学習及び/若しくは他の予測アルゴリズムに基づいて自動的に調整され得る。
【0118】
以下に詳細に説明されるように、本開示による血管伸展性を測定するためのシステム及び技術は、絶対的な血管伸展性測定値を生成するために、動脈内断面撮像などの血管体積の同時測定値(すなわち、血管体積の相対的変化に加えて、絶対的変化)を取得するように更に構成され得る。例えば、超音波、血管造影、コンピュータ断層撮影、血管内超音波(IVUS)及び/又は光コヒーレンス断層撮影(OCT)などの撮像技術を使用して、治療前及び治療後に処置された血管を撮像して、絶対的な血管伸展性測定価を取得することができる。このような絶対血管伸展性の測定値は、治療群間で比較することができる。
【0119】
図8、
図9A、
図9B及び
図10は、本発明による脈動バルーンカテーテルシステムに関連して血管伸展性を測定するための構成を示すが、そのような提示は、例示を目的としたものに過ぎず、開示は、そのような実施形態に限定されない。例えば、圧力計と併せてホールセンサ及び永久磁石を使用して体積を測定することによる治療中の生体内測定を含む、血管伸展性を測定するための説明される技術は、他のバルーンベースのシステム及び方法、例えば、罹患血管を治療する他のバルーンベースのシステム及び方法にも適用され得ることを理解されたい。
【0120】
システム制御のための処理中の測定
例えば、本発明に従う脈動バルーンカテーテルシステムなどのバルーン血管形成システムは、システムの安全かつ効果的な動作を監視するように構成されることから利益を得ることができる。本発明に従うシステムは、安全かつ効果的な操作及び処置を確実にするために、1つ又は複数の測定可能な特性を監視するように構成され得る。例えば、本発明のシステムのいくつかの実施形態では、エネルギーの出力パルスは、エネルギーの入力パルス又はエネルギーパルスの閾値振幅などの期待値に対応するべきである。そのような実施形態は、伸展性を確保するために、エネルギーの出力パルスを測定するか若しくは比較するか、又はそうでなければ監視して、伸展性を確保するように構成され得る。本発明のシステムの他の実施形態では、システムに印加される入力圧力は、システム内で測定されるピーク圧力に対応するべきである。更に他の実施形態では、カテーテルコンポーネントに印加される入力圧力は、目標閾値圧力に対応する必要がある。期待値に「対応する」とは、各場合に、システムの構成に応じて、測定値が期待値よりも大きいこと、又は他の場合には、測定値が期待値よりも小さいことを意味する。別の例では、本発明のシステムのいくつかの実施形態では、システムに印加される入力圧力は、遠位バルーンの体積における最小変化、最大変化、又は許容範囲の変化に対応するべきである。
【0121】
より一般的には、本発明によるシステムは、システム状態を検出するように構成され得る。システム状態は、システムの正常動作状態又は障害動作状態を指し得る。障害動作は、システムが予期しない圧力降下、システム漏れ、バルーンバースト、又は任意の他の安全でない又は無効な状態など、任意の所望されないシステム状態にあることを意味し得る。
【0122】
本発明のこの態様は、上記で説明されるように、システム状態を検出し、そのようなシステム障害を示す警告信号を提供するための、単純で、効果的で、高速の技術に関する。更に、システムのこの態様は、伸展性に関する最も初期のデータが収集された後、どの程度の振動又はエネルギーが急速に必要とされるかを予測するために使用することもできる。脈動バルーンカテーテルシステムでは、システムの測定された特性、例えば、ピークカテーテル圧力、又は遠位バルーン体積などのカテーテル圧力を、予想される閾値、すなわち、目標圧力若しくは目標体積、又はその最小若しくは最大予想値と比較するようにシステムを構成することによって、システム状態を判定することができる。カテーテル圧力は、上記で説明されるように、例えば圧力計などの任意の好都合な圧力センサを使用して測定され得る。いくつかの場合には、圧力センサは、本発明によるシステムの実施形態の近位コネクタの遠位チャンバに統合され得る。そのような場合、圧力センサは、例えば、遠位バルーンと流体連通している遠位チャンバ内の流体圧力を測定することによって、遠位バルーンに印加される圧力を測定するように構成され得る。遠位バルーン体積は、例えば、膜位置センサ又は変位センサ、又は遠位バルーンの体積の変化を測定するように構成された他のセンサなどの任意の好都合なセンサを使用して測定され得る。いくつかの場合には、膜位置センサは、上記で説明されるように、遠位バルーンに対応する体積の変化を測定するように構成された近位コネクタの膜の固定位置に存在するホールセンサ及び磁石である。
【0123】
実施形態では、電子回路は、システム状態を決定するように構成され得る。そのような実施形態では、本明細書に説明されるようなシステム特性を測定するように構成されたセンサは、測定された特性に基づいて電子信号を出力するように更に構成され得る。当業者は、任意の所望の測定可能なシステム特性が、適切に構成されたセンサによって測定され得ることを理解する。実施形態では、システム圧力を測定するように構成された圧力センサ又は遠位バルーン体積を測定するように構成された膜位置センサなどのシステム特性を測定するように構成されたセンサは、測定された圧力又は測定された体積などの測定された特性に基づいて電子信号を出力するように更に構成され得る。このような電子信号は、センサの出力、すなわち、測定されたシステム特性、例えば、圧力センサによって測定された圧力の量又は膜位置センサによって測定された遠位バルーンの体積に基づいて変化し得る。測定されたシステム特性に対応する電子信号は、デジタル信号又はアナログ信号であり得る。信号がアナログ信号である場合、その電圧又は電流、又は周波数などの信号の他の特性は、センサによって観測される異なる測定値に基づいて変化し得る。電子回路は、測定された圧力信号又は測定された体積信号などの測定されたシステム特性を、任意の好都合な方法で、目標圧力又は目標体積(すなわち、システム特性の最小値又は最大値又は許容範囲)と比較するように構成され得る。例えば、測定された信号は、測定されたシステム特性を、目標閾値に対応する基準電圧と比較するために、コンパレータ回路を使用して、目標圧力又は目標体積などの目標閾値と比較され得る。信号の電圧又は電流を比較し、比較の結果、例えば、どちらの信号が大きいかなどを示すデジタル(すなわち、バイナリ)出力を生成することなど、信号の特性間の差を比較することができる任意の好都合なコンパレータ回路が適用され得る。場合によっては、コンパレータ回路は、差動増幅器、例えば高利得差動増幅器などのアナログコンパレータ回路であり得る。他の場合には、コンパレータ回路は、加算器回路又はより複雑であるか若しくはより特殊なデジタル論理回路などのデジタル回路であり得る。
【0124】
いくつかの場合には、測定された圧力又は測定された体積などの測定されたシステム特性に対応する信号は、反転され、目標圧力又は目標体積などの目標値又は閾値に対応する信号と合計され得る。次に、合計の結果は、測定されたシステム特性と目標閾値(例えば、測定された圧力及び目標圧力又は測定された体積及び目標体積)との間の許容差又は予想される差を表す閾値と比較するために、コンパレータ回路に適用され得る。測定されたシステム特性とシステム特性の目標値(例えば、測定された圧力及び目標圧力又は測定された体積及び目標体積)との間の差が閾値と比較されるこのような構成は、予想されるシステム特性の周りのバッファを可能にし得、これによって、いくつかのケースでは、システム状態を表さないノイズ又は他の信号が考慮され得る。
【0125】
実施形態では、コンパレータ回路の結果は、デジタル信号であり得(又は場合によってはデジタル信号に変換され得る)、デジタル信号の論理値は、測定されたシステム特性(測定された圧力又は測定された体積など)が予想される読み取り値であるか予想されない読み取り値であるかを示す。例えば、回路は、コンパレータが、測定されたシステム特性(例えば、測定された圧力又は測定された体積)が予想される範囲外であるときにデジタルハイ信号、すなわち論理1を生成し、測定されたシステム特性が予想される範囲内であるときにデジタルロー信号、すなわち論理0を生成するように構成され得る。このようなデジタル信号は、メモリに記憶され得る。デジタル論理信号を記憶することができる任意の好都合な電子回路が適用され得る。場合によっては、メモリは、フリップフロップ回路、例えば、単一のビットを記憶することができるフリップフロップから構成され得る。そのような場合、フリップフロップの出力値は、システム状態を反映する。例えば、フリップフロップの出力は、システム状態が正常であるときに論理0、及びシステム状態が障害状態であるときに論理1を示し得る。このようなフリップフロップの出力は、警報信号が発せられたときに、システムを継続的に使用することが安全でなくなり得るか、又は非効果的になり得るように、警報信号として扱われ得る。そのような信号は、任意の好都合な方法でシステムのオペレータに伝達され得る。例えば、場合によっては、システム状態は、警告灯又は音又は振動などの警告信号を介してオペレータに伝達され得る。他の場合には、システム状態が、システムの自動的にオフになる態様などのアクションをシステムに自動的に実行させ得る。
【0126】
ある特定の実施形態では、メモリに記憶されたシステム状態値、例えば、フリップフロップに記憶された値が、測定されたシステム特性の最大値又は最小値の比較、例えば、測定された圧力のピーク振幅での測定された圧力の比較、又は測定された体積のピーク振幅での測定された遠位バルーン体積の比較を反映することが望ましい場合がある。すなわち、実施形態では、システム状態は、ピークカテーテル圧力又はピーク遠位バルーン体積を反映する。このデジタルデータは、集団及び解剖学的変数、並びに必要な圧力及びエネルギーを理解するために使用することができるとともに、例えば、機械学習モデルのための訓練データなどの機械学習技術に関連して、必要なエネルギー及び適用する最良の治療エネルギーを予測するために使用することができる。そのような実施形態では、システム状態は、システム特性のピーク測定値がシステム特性の目標測定値以上になるか否か、例えば、測定された圧力又は測定された遠位バルーン体積のピーク振幅が予想される時間でそれぞれ目標圧力又は体積以上になるか否かを反映し得る。そのような実施形態では、測定された特性のピーク値が予想される時間で予想される目標値のレベルまで上昇しないとき、例えば、予想されない圧力降下が示され得る。いくつかの実施形態では、システムは、カテーテル圧力又は遠位バルーン体積などのシステム特性を連続的に監視し、そのような測定値を目標値と連続的に比較するように構成され得る。そのような場合、フリップフロップの出力状態がシステム状態を正確に反映するために、システムは、カテーテルがピーク測定値、例えば、ピーク圧力又はピーク体積にさらされることが予想される時間に対応する時間に、コンパレータ回路の結果がフリップフロップに書き込まれるように構成され得る。すなわち、フリップフロップ書き込み動作は、システムがピーク測定値、例えば、ピーク圧力又はピーク体積を示すことが予想される時間と調整される。センサの読み取り値を適切な時間に同期させるための任意の好都合な技術が適用され得る。場合によっては、フリップフロップクロック信号を、カテーテルへの入力圧力を制御するために使用される反転制御信号に設定することによって、フリップフロップ書き込み動作を同期させることができる。そのような場合、フリップフロップクロック信号の立ち上がりは、制御信号がカテーテルへの圧力をオフにする時間に対応し、この時間は、更に、圧力がカテーテルに最も長く印加された時間、すなわち、ピークカテーテル圧力に対応する。当業者は、圧力制御信号を反転させずに立下りトリガフリップフロップを使用することなど、同様の効果を有する代替構成が用いられ得ることを理解する。
【0127】
フリップフロップ書き込み動作を、ピークシステム圧力又はピーク遠位バルーン体積などのシステム特性のピーク値と同期させるために上記で説明されるものなどの構成が適用される場合、メモリデバイスの論理値、すなわち、フリップフロップに反映されるシステム状態は、測定されたシステム特性、例えば、ピーク圧力又はピーク体積のピーク値を反映する。したがって、システム状態は、システムが、遠位バルーンに圧力を適用し、次に圧力を除去する脈動サイクル中のいかなるときにもピーク測定値に到達することができず、したがって、システムが、安全に若しくは効果的に機能していないか、又は他の点で予想どおりに機能していないことを示すことがある。
【0128】
図11は、本発明の態様による、カテーテル圧力を介してシステム状態を監視するための例示的な電子回路1102の回路図を示す。
図11に示される図は、カテーテル圧力の測定に関するが、当業者は、同様の構成が、例えば、遠位バルーン体積などの他のシステム特性を測定するために用いられ得ることを理解する。
図11に見られるように、測定された圧力1105は、回路1102への入力信号である。本明細書に説明されるように、測定圧力信号は、システムの実施形態に取り付けられ、カテーテル圧力などのシステムに印加されるエネルギーを測定するために使用される圧力センサによって最終的に生成されるアナログ又はデジタル信号であり得る。目標圧力1110は、回路1102への入力信号である別の電子信号である。目標圧力信号1110は、指定された値に配線接続され得るか、又は異なるタイプの遠位バルーン、カテーテルに印加されることが予想される圧力の量を含む、異なるタイプの治療戦略に基づいて構成可能であり得る。測定された圧力1105及び目標圧力1110は、測定された圧力1105と目標圧力1110との間の差を計算するように構成された合計回路1115に送られる。すなわち、
図11に示される実施形態では、合計回路1115は、目標圧力1110を測定された圧力1105の負の値に追加するように構成される。
【0129】
合計回路1115の合計結果1120は、閾値1125と比較される。合計結果1120及び閾値1125は両方とも、コンパレータ回路1130への入力である。閾値1125は、回路1102への入力信号であり、配線接続された値であり得るか、又はいずれの場合も測定された圧力1105と目標圧力1110との間の許容差を反映する構成可能な値であり得る。コンパレータ回路1130は、コンパレータ回路1130の結果が許容差範囲内である場合、デジタルロー値である、すなわち論理0であるコンパレータ結果1135を生成し、コンパレータ回路1130の結果が許容差範囲外である場合、デジタルハイ値、すなわち論理1を生成するように構成される。すなわち、例えば、測定された圧力信号1105が許容できないほど低い場合、その結果、合計結果1120も許容できないほど低くなり、コンパレータ結果1135は、デジタルハイ値又は論理1である。コンパレータ結果1135は、システム状態を記憶するために使用されるフリップフロップ1140のデータインポートに接続され、この場合、1ビットのデジタル論理値の形態である。
【0130】
ソレノイドトリガ信号1145は、カテーテルへの圧力をオンにするソレノイドを制御するために使用される圧力制御信号である。すなわち、ソレノイドトリガ信号1145がハイである場合、ソレノイドは、圧力がカテーテル(
図11には示されていない)に入力され、したがって遠位バルーン(
図11には示されていない)に印加されるように制御される。実施形態がそのように構成されるとき、圧力は、ソレノイドトリガ信号1145のトレーリングエッジ(すなわち、立ち下がり)上で最長時間にわたってカテーテルに印加される。カテーテルは、ソレノイドトリガ信号1145のトレーリングエッジ上で最も長い時間圧力にさらされるので、カテーテル圧力は、その時点でそのピーク振幅にあると予想される。すなわち、最大カテーテル圧力は、ソレノイドトリガ信号1145の各トレーリングエッジ上に予想される。
【0131】
ソレノイドトリガ信号1145は、フリップフロップクロック入力信号に送られる前に、インバータ1150を使用して反転される。例えば、インバータ出力1155の立ち上がり1170がソレノイドトリガ信号1145のトレーリングエッジ1160に対応し、インバータ出力1155の立ち下がり1175がソレノイドトリガ信号の立ち上がり1165に対応するように、任意の好都合なインバータ回路又はデジタル論理NOTゲートを適用して、インバータ出力1155に逆ソレノイドトリガ信号1145を論理的に反射させることができる。したがって、フリップフロップ1140がポジティブエッジトリガフリップフロップである場合、すなわち、記憶された値がフリップフロップクロック信号の各立ち上がりにおいて書き込まれるように構成される場合、コンパレータ結果1135は、ソレノイドトリガ信号1145の各トレーリングエッジ上でフリップフロップ1140に書き込まれる。コンパレータ結果1135がソレノイドトリガ信号1145のトレーリングエッジに書き込まれるとき、コンパレータ結果1135は、カテーテルを介して遠位バルーンに印加される圧力のピーク振幅における測定された圧力1105の比較を反映する。
【0132】
図11に示される実施形態では、フリップフロップ出力信号1180は、システム状態を反映する。電子回路1102は、システムが正常に機能しているとき、フリップフロップ出力信号1180が、測定された圧力が目標圧力の許容閾値内にあるように見え、予想されない圧力降下が検出されないことを意味するデジタルロー又は論理0値になるように構成される。電子回路1102は、システムが障害状態にあるとき、フリップフロップ出力信号1180が、測定された圧力が目標圧力の許容閾値の外側にあるように見え、予想されない圧力降下が検出されたことを意味するデジタルハイ値又は論理1値になるように構成される。
【0133】
図12Aは、例えば、
図11に示され、上記で説明される電子回路1102の動作など、本発明によるシステム状態を監視するために使用される例示的な電子回路の動作の結果を示す。プロット1205は、プロット1205のx軸上に示される時間1215にわたる、プロット1205のy軸上に示される圧力1210のグラフである。システムにおいて測定された圧力、すなわち、カテーテル圧力は、曲線1220上のプロットに示されている。カテーテルに印加される圧力が脈動し、すなわち、脈動性であるので、測定された圧力1220は、周期的に最大振幅及び最小振幅を有する波形を形成する。システムについての目標圧力、すなわち最大予想圧力は、プロット1205上の例示的な目標圧力を示す線1225によって示される。目標圧力1225からの許容差異についての閾値は、目標圧力1225からの圧力値の許容差の範囲を反映する圧力バンド1230として示されている。システム状態信号1235は、論理値0又は1を反映し、論理値0はシステムの正常な動作を示し、論理値1はシステム障害を示す。
【0134】
プロット1205は、約時間0~0.4秒間の期間1240中の正常なシステム動作を示す。期間1240の間、ピーク測定された圧力は、ほぼ一貫して目標圧力1225まで上昇し、目標圧力1225の許容閾値1230内に一貫して留まる。この間、カテーテル圧力は一貫して許容圧力範囲内にあるので、システム状態を監視するように構成された電子回路は、一貫して正常なシステム動作を示す。この結果は、時間期間1240中に論理0に維持されるシステム状態信号1235に反映される。
【0135】
また、プロット1205には、約0.4秒~1秒の間の、期間1245の間のシステム障害期間が示されている。期間1245の間、ピーク測定された圧力は、一貫して目標圧力1225まで上昇することができず、一貫して目標圧力1225の許容閾値1230の外側にある。この間、ピークカテーテル圧力が一貫して許容圧力範囲外にあるので、システム状態を監視するように構成された電子回路は、測定された圧力降下に起因するシステム障害を一貫して示す。この結果は、時間期間1245中に論理1に上昇し、論理1に維持されるシステム状態信号1235に反映される。
【0136】
カテーテルバースト検出
本発明によるシステムは、カテーテルが無傷のカテーテルであるか否か、カテーテルが完全に故障しているか否か、又はカテーテルが漏れを有するか否かを検出するように構成され得る。
【0137】
図12Bは、治療中の本発明によるシステムの無傷(すなわち、漏れがない)のカテーテルからの圧力及び体積測定値の例示的な挙動を示す。
図12Bにおいて、ピーク圧力及びトラフ圧力は、治療全体を通して実質的に同じままであり、治療にかかわる体積は減少しない。
【0138】
図12Cは、治療中の本発明に従うシステムの完全に故障したカテーテルからの圧力及び体積測定値の例示的な挙動を示す。完全に故障したカテーテルは、管腔の損傷を引き起こし、増幅器アセンブリの損傷を引き起こす可能性がある。カテーテル圧力及び体積変化を使用して、バーストカテーテルは、0.05~2秒未満の治療時間、例えば、0.1秒未満の治療時間内に検出され得る。上記の図では、体積センサは体積の低下を測定し、システム警告をトリガして治療を停止する。体積減少は、0.01~10mL/秒、例えば、0.5mL/秒の範囲であり得る。ピーク圧力は、バースト中にも減少するが、体積変化を遅らせる。
【0139】
図12Dは、治療中の本発明によるシステムの漏れカテーテルからの圧力及び体積測定値の例示的な挙動を示す。漏れカテーテルは、血管壁に損傷を与える流体の噴出を生じさせる可能性がある。本発明の一実施形態によって測定される、カテーテル圧力及び体積変化を使用して、カテーテルの漏れは、カテーテル内の体積の減少とともに、圧力サイクル中のトラフ圧力の増加を測定することによって検出され得る。トラフ圧力上昇は、0.1~10atm、例えば、1~2atmの範囲であり得る。体積減少は、0.01~10mL/秒、例えば、0.1mL/秒の範囲であり得る。ある特定の実施形態では、ソフトウェアベースのスキームを使用して、これらの状態の組み合わせを検出して、脈動血管内結石破砕療法中にシステムを直ちに遮断し得る。
【0140】
方法
本発明のシステムは、様々な用途において使用される。いくつかの例では、システムは、弾性導管内に埋め込まれた硬化材料を破砕する際に使用される。本明細書に提示される実施形態について、本開示は、冠動脈又は末梢動脈などの動脈導管内のアテローム性硬化性石灰化沈着物を治療することに関連する用途を説明する。しかしながら、本システム及び教示は、アテローム性動脈硬化性石灰化沈着物又は動脈導管に限定されず、当業者によって決定されるように、一般に他の用途に適用され得る。例えば、このことは、動脈伸展性を変化させる状況(上記で説明されるように、動脈の血管伸展性)、又は以前にステントが存在していたために後で閉塞が生じる場合などの医療介入を伴う場合に特に当てはまる。血管の伸展性は、以前のステントの管腔内配置によって変化する。血管伸展性曲線のデータ及びフィードバックは、本明細書に説明される機械学習技術などの予測技術のデータ及びフィードバックと同様に、将来の治療に関連して使用され得る。
【0141】
いくつかの例では、本明細書に説明されるシステムの様々な実施形態は、動的バルーン血管形成術(DBA)、すなわち、一般化された波形を伴う圧力振動(いくつかの実施形態では、高調波振動又は周波数固有の圧力波形振動)を使用する血管形成術中に石灰化病変を効果的かつ安全に破砕させる技術の方法において使用される。動脈石灰化プラークを治療するためのDBAの概念を
図13A~
図13Eに示す。DBAでは、バルーン2を有するカテーテル16は、例えば、当該技術分野で既知であるような任意の好都合なプロトコルを使用するガイドワイヤの助けを借りて、石灰化沈着物1350(
図13B)を有する血管1300に展開される。血管形成術用バルーンを通して、プラークは、高周波圧力振動を受ける(
図13C~13D)。振動の低圧段階(
図13C)では、バルーン圧力は、バルーン膨張を達成するために必要な最低圧力、典型的には1~2atm近くまで減少する。振動の高圧段階(
図13D)では、バルーンは、医師又はシステムによって設定され得るピーク圧力まで膨張される。典型的なピーク膨張圧力は、低圧範囲を超えてバルーンの最大定格圧力までであり得、最大定格圧力は25atm以上であり得る。このようなバルーンの圧力循環は、依然として塑性変形ゾーン内の石灰化プラークの破断応力未満の石灰化プラーク1350の周期的負荷を誘導する。石灰化プラーク内部の異質性は、鋭い角を有する多くの微小破砕片から構成される。本明細書に説明される破砕機構を介して、
図13A~13Eに説明される循環負荷は、プラーク微小破砕片の近くのこれらの鋭い角及び不規則な表面において循環応力を生じさせる。循環応力は、これらの鋭い角を発生させて成長させ、微小破砕片をより大きな肉眼的破砕片に拡張する。これらの微小破砕片の成長は、静圧と比較して低い膨張圧力でのプラークのより完全な破砕につながる。より高い周波数圧力サイクル及びサイクル間のより高い圧力差は、この亀裂成長機構の有効性を高めることが予想される。血管形成術用バルーン内で制御された高周波圧サイクルを生成することによって、DBAは、石灰化プラークを破砕するために必要なバルーン圧力を低下させ(例えば、好適な非DBA対照と比較して、いくつかの例では、1~50%、例えば、20~30%)、ステント展開を改善し、薬物コーティングされたバルーンの薬物送達を改善し、軟質の脂質コアアテローム性プラークの応力を軽減し、石灰化したステント内再狭窄部を拡張し、罹患心臓弁尖上で石灰化沈着物を破砕し、バルーンベースの拡張及びプロテーゼ及びデバイスの展開を改善する。本明細書に説明されるシステムが使用され得るDBA方法の実施形態に関する更なる詳細は、米国公開特許出願公開第2020/0046949号、並びに係属中のPCT出願シリアル番号PCT/US2020/055458に提供され、これらの出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0142】
いくつかの例では、本発明のシステムは、例えば、上記で説明されるように、
図14に図示されるように、4部分脈動治療計画を達成するために十分な方法で使用され、4部分脈動治療計画は、硬化されたプラーク及び周囲の健康な軟組織の安全で制御された拡張を提供する。これらの多組成血管を処置するために、4部分治療アルゴリズムが用いられ得、4部分治療アルゴリズムは、以下のステップを含む。(1)マリンズ効果を介した軟組織低応力膨張段階3800、(2)プラーク破砕までの石灰化プラーク中の塑性変形段階3700、(3)プラーク破砕検出及び周囲の組織応力を低減するための圧力即時低下段階3600、及び(4)軟組織事後カルシウム破砕を拡張するためのマリンズ効果を介した軟組織低応力拡張段階3500である。この4部分アルゴリズムによって経時的に血管に力が加えられる実施形態が
図6に示されている。カテーテル全体にわたる著しい減衰及び従来技術のアプローチにおける圧力制御の欠如に起因して、カテーテルへの入力圧力はバルーン(システム出力)に成功裏に伝達されない。したがって、従来技術システムにおける組織応力は、高周波振動中に低い状態に戻らず(すなわち、組織弛緩期間がない)、マリンズの応力循環の効果を制限する。減衰最小化及び圧力制御を介して、本システムは、圧力振動が0~50ATM、周波数が0~25Hz、及びデューティサイクルが60~80%である近位源からの圧力入力に続いてバルーン(システム出力)内の圧力振動が誘導される。この向上は、(1)組織が減圧サイクル中に(マリンズ効果に続いて)弛緩することが可能になり、(2)治療中に動脈が閉塞される限られた時間内に十分な振動が血管に印加されることが可能になるという2つの理由で重要である。。本発明の実施形態が使用され得る方法に関する更なる詳細は、係属中のPCT出願シリアル番号PCT/US2020/055458に見出され、この出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0143】
ある特定の例では、本発明の実施形態を適用して、血管伸展性を評価することができる。血管は自然に伸展性及び弾性を有する構造である。血管の伸展性は、心臓からの脈動流を毛細血管内の安定した流れに変換するために必要である。しかしながら、経時的に、老化及びアテローム性動脈硬化プロセスが、血管の伸展性を低減させ、管腔領域を減少させ、血管系に流れの不一致及び追加の応力を生じさせる可能性がある。血管伸展性は特に、血管壁における内膜及び内側石灰化プラークの形成中及び形成後に低減する。
【0144】
血管伸展性を改善することは、アテローム性動脈硬化症のより明確な治療の前提条件である。Dattilo R,Himmelstein SI,Cuff RF.The COMPLIANCE 360° Trial:a randomized,prospective,multicenter,pilot study comparing acute and long-term results of orbital atherectomy to balloon angioplasty for calcified femoropopliteal disease.J Invasive Cardiol.2014;26(8):355-360.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25091093.を参照されたい。カルシウム蓄積後の血管壁伸展性を最大化するために、血管形成術又は血管内結石破砕療法を使用して、内膜及び内側のカルシウム環を粉砕して、管状血管のより弾性がある要素を露出させ、ミイラ化カルシウムからそれらの要素を解放することができる。上述したように、本発明の実施形態は、カルシウムのクラッキング(すなわち、
図13に示されるようなCP組織のクラッキング)の両方を可能にする脈動血管内結石破砕術を適用するために、並びに血管の最終的な事後膨張を適用するために使用され得る。いくつかの場合では、本発明の実施形態は、単一の治療において、CP組織をクラッキングすることと、組織の最終的な事後膨張を適用することとの両方の用途を適用し得る。すなわち、本発明の実施形態は、最初にDBAを適用して血管にパルスを印加してCP組織をクラッキングし、次に、例えば、従来の非伸展性バルーン事後膨張を使用して血管を拡張するために使用することもできる。
【0145】
血管伸展性とは、以下の関係によって定義される測定可能な量を意味する。
【0146】
【0147】
式中、ΔVは、圧力ΔPにおける所与の変化に対する血管体積の変化である。組織の非圧縮性に起因して、血管体積は血管の長さで割ることによって面積に変換することができる。動脈内の圧力-体積関係は非線形であるため、伸展性はしばしば所与の圧力又は体積において定義される。
【0148】
圧力変化ΔP、及び血管断面積又は体積変化、それぞれΔA又はΔVの同時生体内測定は困難である可能性があるため、血管伸展性を取得することは困難である場合がある。本発明によるシステムは、以下に説明されるように、生体内での血管伸展性を正確に評価することによって、この困難に対処するために使用される。
【0149】
上記で検討されるように、カテーテルバルーンアセンブリの近位コネクタは、任意の所与の時間における膜の空間位置に関するデータを提供するホールセンサなどの膜位置センサと、バルーンカテーテルアセンブリの液体通路及び遠位バルーン内の圧力を測定するための圧力計とを含み得る。そのような例では、システムを使用して、バルーンの体積拡張をリアルタイムで評価し、及び/又はバルーンの部位での血管伸展性を評価し得る。
【0150】
ダイヤフラム(すなわち、膜)位置を測定した結果、バルーン内の体積の変化をリアルタイムで評価し、対応するバルーン圧力を測定することができる。すなわち、システムは、カテーテルシステム内の圧力及び体積を同時に読み取りながら、バルーンベースのカテーテルを加圧するように構成される。この体積-圧力関係は、上記で説明されるように、血管伸展性が、血管体積の変化と圧力の変化との比率であるので、血管伸展性の尺度を提供することができる。この測定を可能にするために、バルーンが周囲の血管によって抑制されていないときに、バルーン体積-圧力関係を測定することができる。バルーンは、硬い血管内に配置されたときに、抑制されていないベースライン状態では同等のバルーン体積に対してより高い圧力を必要とする。したがって、バルーンは、血管の伸展性を測定するために使用することができる。ダイヤフラム位置(バルーン体積の代理測定)とバルーン圧を正確に記録する能力により、血管の伸展性を生体内で容易に測定することができる。この伸展性尺度は、適切な又は治療的なバルーン拡張及び治療の成功を示すより低い伸展性を有する治療の成功の尺度として使用され得る。いくつかの例では、システムは、米国公開出願公開第2015/0080747号(その開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に説明される方法に類似した方法で使用され、ここで、バルーン体積の尺度として膜変位が使用される。
【0151】
本発明による血管伸展性を測定するためのシステム及び方法は、治療前、治療中、及び治療後の圧力-体積測定値を取得するように構成することができる。これらの測定中に得られたデータを使用して、血管伸展性の変化を取得して、治療有効性を決定することができる。血管伸展性の変化は、治療強度及び/又は持続時間を調整するために使用することもできる。
【0152】
加えて、本発明の実施形態を使用して、治療中の様々な例で圧力-体積(すなわち、伸展性曲線)を生成することができる。治療前及び治療後の伸展性における相対的な変化が取得され得る。これらの変化は、適切なレベルの伸展性変化を理解するために、類似の血管セグメント間で比較され得る。
【0153】
更に、本発明による方法は、また、超音波、血管造影、コンピュータ断層撮影、血管内超音波(IVUS)、及び/又は光コヒーレンス断層撮影(OCT)などの他の利用可能な測定技術を使用して、動脈内断面の不随測定値を取得することを含み得る。いくつかの例では、本発明によるシステムは、そのような測定から取得された情報、すなわち、センサ融合技術を組み込むように構成され得る。そのような視覚化技術を介して得られる体積及び/又は面積測定値は、本発明によるバルーンシステムの実施形態の圧力及び体積読み取り値(すなわち、変化又は相対体積及び/又は圧力の測定値)と組み合わせて、精度を高めて血管の絶対伸展性測定値を生成し得る。次いで、そのような絶対伸展性測定を使用して、短期的及び長期的成功の両方のために治療を最適化するために、血管床間で治療を比較し得る。更に、血管の伸展性曲線の絶対測定値を取得し、治療群間で比較することができる。
【0154】
血管伸展性を測定するシステム及び方法は、本発明による脈動バルーンカテーテルシステムの文脈で説明されているが、血管伸展性を測定するためのそのようなシステム及び方法は、静的バルーン血管形成術、脈動血管内結石破砕術、キャビテーションベースの血管内結石破砕術、及び/又は外部に印加される結石破砕パルスを送達するように構成されたシステムなどの他のシステムにも適用され得る。
【0155】
図15は、上記で説明される実施形態を用いて実施される自律血管形成術の処置ステップを示す。この自律的な処置を開始するために、滅菌野内の医師又は技術者は、近位コネクタを具体化されたシステムのアクチュエータに接続し得る。このステップは、患者との何らかのヒト相互作用を伴う場合があるが、オペレータの曝露を最小限に抑えるためにX線透視検査を一時停止することができる。この実施形態では、血管形成術用バルーンを病変部に挿入するために、ロボットカテーテルデバイス(当技術分野で既知のものなど)が使用され得る。このステップは、X線透視イメージング及び放射線を含み得るが、遮蔽された実験室内から実施することができ、オペレータの放射線曝露が排除される。適切なバルーンが病変部を横切った後、オペレータは適切な治療設定を選択し、治療を開始することができる。処置前、処置中、又は処置後に、オペレータは、X線透視画像を視覚化し、それらの画像を測定圧力-体積データと比較し得る。治療が成功しなかった場合、処置は同じ設定又は異なる設定を用いて継続され得る。治療が失敗した場合、バルーンカテーテルをロボットによって取り外すことができる。これらのステップの間、オペレータは、遮蔽された実験室内部に留まり、放射線から保護され得る。いくつかの例では、事前充填及び/又はばね留めされたバルーンカテーテル及び/又は複合バルーンを使用して、オペレータの放射線曝露を最小限に抑えることができる。このような場合、オペレータはカテーテルを造影剤で充填する必要はなく、処置完了時にバルーンを取り外して折り畳む必要もない。これらのステップの全てが実行され、X線透視検査が不要になった後、処置を終了することができる。
【0156】
図16Aは、オペレータが自律血管形成術処置中に相互作用し得るグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を示す。この実施形態では、GUIは、治療特性ゾーン、バルーン特性ゾーン、及びプロットゾーンなどのいくつかの情報ゾーンを有し得る。処置特性ゾーンは、オペレータが処置中に使用する重要な処置特性を示す。そのような特性には、圧力、周波数、デューティサイクル、サイクル数、及び処置時間が含まれる。これらの特性の一部又は全ては、システムによって、及び/又はユーザによって更新又は変更され得る。バルーン特性ゾーンは、手持ち式アクチュエータに取り付けられたバルーンに関する情報を含み得る。表示され得る情報には、バルーンの直径、長さ、公称圧力、及び定格圧力、並びに薬物コーティングされるか又はステントで覆われたバルーンなどの他のバルーン特性が含まれる。更に、バルーンカテーテル接続情報(すなわち、バルーンが接続されているか否か)をこのセクションに含めることができる。プロットゾーンでは、伸展性プロット及び治療プロットを含む様々な処置プロットが表示され得る。伸展性プロットは、バルーンとともに提供され得る公称圧力-体積曲線を含み得る。更に、処置中に現場で測定された圧力-体積曲線をプロットし、処置全体にわたって更新することができる。オペレータは、このプロットを使用して、伸展性又は有効性の尺度として治療効果を決定することができる。圧力プロットは、時間に対する圧力の表示を含み得る。GUIに含まれ得る(図示せず)他の情報には、治療状態及び強度、オン/オフスイッチ、インジケータLEDなどが含まれる。
【0157】
図16Bは、GUI画面がバルーン及び治療情報を提供する、別の実施形態による例示的なGUI画面を示す。バルーンセクションは、直径及び長さ、低強度及び高強度での特性、及びプライミング条件などの様々なバルーン特性に関する情報を含み、この情報は、カテーテルの適切な組み立てに関する情報をユーザに提供する。治療セクションには、治療強度(低又は高)、治療モード(脈動又は静的)、治療時間、治療状態、サイクルカウント、気体圧レベル、及び状態メッセージに関する情報が含まれている。
【0158】
システムは、任意の数の異なる対象の内部組織位置に脈動エネルギーを適用するために使用され得る。多くの実施形態では、対象は、「哺乳類」又は「哺乳動物」であり、これらの用語は、肉食動物(例えば、イヌ及びネコ)、げっ歯類(例えば、マウス、モルモット、及びラット)、並びに霊長類(例えば、ヒト、チンパンジー、及びサル)を含む、哺乳類内の有機体を広く記述するために使用される。場合によっては、対象はヒトである。
【0159】
キット
また、例えば、上記で説明されるように、システム、又はその1つ以上のコンポーネントを含むキットも提供される。したがって、キットは、いくつかの例では、事前に充填される場合、又はされない場合があるバルーンカテーテルアセンブリ、パルス発生器、又はそのコンポーネント、例えば、その手持ち式アクチュエータなどのうちの1つ以上を含み得る。キットコンポーネントは、所望に応じて、滅菌され得るパッケージング内に存在し得る。
【0160】
また、キットには、キットコンポーネントを使用するための説明書も存在し得る。説明書は、好適な記録媒体に記録され得る。例えば、説明書は、紙又はプラスチックなどの基材上に印刷され得る。したがって、説明書は、キット内にパッケージインサートとして存在するか、キット又はそのコンポーネントの容器のラベリング(すなわち、パッケージ又はサブパッケージに関連付けられる)などに存在し得る。他の実施形態では、説明書は、好適なコンピュータ可読記憶媒体、例えば、ポータブルフラッシュドライブ、DVD又はCD-ROMなどに存在する電子記憶データファイルとして存在する。説明書は、デバイスの使用方法の完全な説明書、又はワールドワイドウェブに掲載された説明書にアクセスできるウェブサイトアドレスを含む、任意の形式を採ることができる。
【0161】
以下の実施例は、例示として提供され、限定として提供されるものではない。
【実施例】
【0162】
I.デバイス
図17は、本発明の一実施形態による、バルーンカテーテルアセンブリの図を提供する。
図18は、
図17に示されるバルーンカテーテルアセンブリの近位コネクタの組み立てプロセスを示す。アセンブリプロセスの最初のステップは、電子フレキシブルプリント回路基板アセンブリをダイヤフラム及び圧力センサに固定することである。例えば、エポキシ及びはんだが、それぞれ、使用され得る。圧力センサ及びダイヤフラムは、遠位フランジに固定され得る。適切な固定技術(例えば、留め具、溶接など)を使用して、近位フランジは、遠位フランジに固定され得る。電子コネクタは、例えば、手持ち式アクチュエータに信頼性が高い接続を提供するために、エポキシを用いて、近位フランジの前面に固定され得る。
図6は、説明された実施形態及び物理的アセンブリ上で行われた試験を示す。圧力が上昇する一方で、遠位バルーンの力も増大することが示されている。振動中に発生する力は、静的膨張中に発生する力と一致し、脈動中のシステムによる最小限の減衰を示す。
【0163】
図19は、
図17に示されるバルーンカテーテルアセンブリの実施形態を含むバルーンカテーテルシステムなどの、本発明の実施形態によるバルーンカテーテルシステムの図を提供する。
【0164】
本発明の実施形態は、いくつかの利点を提供し、これらの利点としては、以下の点が挙げられるが、これらに限定されない。
- 事前に充填されたバルーンカテーテル及び複合バルーンの実施形態では、オペレータは、バルーンカテーテルに造影剤/生理食塩水混合物を充填する必要はなく、このことは、治療時に臨床医によって導入され得る流体の量は一定でない可能性があり、体積挿入、気泡除去、収縮などにエラーが生じる可能性があるため、改善点である。
- バルーンが事前に充填されない場合、ダイヤフラムトラッキング機構は、システムに挿入された適切な体積を測定する方法を提供する。
- 事前に充填されたバルーンカテーテル及び複合バルーンの実施形態では、バルーン内の体積-圧力関係を事前に測定することができ、治療中に決定を下すために使用することができる。
- 実施形態は、最小限の医師の相互作用を用いて血管形成加圧を実施することを可能にし、それによって、X線透視法からの危険なX線への医師の曝露を制限する。
- バルーンは、システムの残りの部分に潜在的な治療特性を通知する内部メモリを有し得る。
【0165】
II.死体モデルにおける石灰化プラークの制御された断片化のための脈動血管内結石破砕術(P-IVL)の生体外実証
A.背景
石灰化プラーク(CP)の治療は、インターベンション心臓病学において満たされていない臨床的ニーズのままである。石灰組織を治療するための新しいバルーンベースの技術である、脈動血管内結石破砕術(P-IVL)を発明した。この研究は、死体CPにおけるCP微細構造を制御可能に断片化するP-IVLの能力を実証している。
【0166】
B.方法
P-IVL療法は、制御可能にCP構造内に微小亀裂を生じさせる高周波振動バルーンを使用する。2~3mmの管腔径を有する石灰化した脛骨動脈の6つの切片を、新鮮な死体から切除した。P-IVLバルーン(直径対血管比1.1:1) (Pulse(商標)デバイス(
図19に示されている)、Amplitude Vascular Systems,Ann Arbor,MI)を病変全体にわたって配置し、P-IVL療法(Pulse,Amplitude Vascular Systems)を60秒間実施した。CP構造及び管腔直径を、血管セグメントの共同登録された3次元マイクロコンピュータ断層撮影(μCT)及び2次元コントラスト強化放射線画像を使用して、治療前及び治療後に測定した。
【0167】
C.結果
図21は、代表的な実験を示す。P-IVL治療により、平均急性管腔利得は0.6±0.2mm、平均残存狭窄度は38%±10%であった。総血管病理では血管損傷の兆候は認められなかった。μCTでは、CP構造の軸方向及び縦方向の断片化が認められた(
図20)。広範囲のCP破砕の設定においても、弾性動脈壁の最小限の過剰延伸が観察された。
【0168】
結論
P-IVL療法は、CP微細構造内に断片化を生じさせるCPの治療のための有効な技術である。この断片化に対する作用メカニズムには、CP構造において誘発される制御された疲労ベースの成長が含まれる。
【0169】
III.灌流された死体モデルにおける石灰化プラークの制御された断片化のための脈動血管内結石破砕術の評価
A.背景
血管石灰化沈着物は、依然として経皮的介入における治療の課題である。この研究では、灌流された死体モデル内で制御された方法で末梢動脈石灰化病変を拡張するために、新規のバルーンベースの脈動血管内結石破砕(P-IVL)技術を評価した。
【0170】
B.方法
P-IVL療法は、血管石灰化沈着物において制御された微小亀裂を発生させる高周波振動バルーンを使用する。標的検体は、冠動脈性又は末梢性アテローム性動脈硬化、糖尿病、又は喫煙の病歴を有し、かつスクリーニングX線上に血管石灰化沈着物の存在を有する患者において、新鮮な(又は冷凍保存6か月未満)死体の脚であった。血管直径が3.0~6.0mmの12個の罹患セグメントに相当する6本の脚をP-IVL療法で治療した。(
図19に示すように)P-IVLバルーン(直径対血管比1.1:1)を病変部全体にわたって配置し、P-IVL療法(Pulse,Amplitude Vascular Systems)を低強度(及び持続性病変の2症例では追加的な高強度)で30~90秒間実施した。石灰化プラーク構造及び管腔直径を、X線透視及び光コヒーレンス断層撮影(OCT)を使用して、治療前及び治療後に測定した。治療済みの動脈セグメント及び隣接する未治療の動脈セグメントを切除し、マイクロコンピュータ断層撮影(μCT)分析を盲検レビューアによって実施して、カルシウム破砕を評価した。
【0171】
C.結果
P-IVL治療の定量的冠動脈造影(QCA)分析により、直径狭窄の減少は31.7±13.4%、平均残存狭窄は9.4±7.9%、急性管腔利得は1.9±0.9mmであった。OCT解析では、平均総面積利得は101.6±99.5%であった。各血管は、補助療法なしで優れた血管造影拡張を示した。OCTは広範囲のカルシウム亀裂を明らかにし、切除された血管のμCTは、深く広範囲のカルシウム破砕を確認した。
図20Bに示されるように、カルシウム破砕が示されている。療法に起因して、長手方向(左から右に横断する亀裂)及び円周方向(構造物の周囲を横断する亀裂)の断片化が生じた。
【0172】
結論
P-IVL療法は、血管内石灰化沈着物の治療のための有望な技術である。P-IVLを使用したカルシウムの治療のための作用機序には、周囲の組織に向けられた制御されたバルーン振動を介して石灰沈着物において誘発される疲労ベースの破砕が含まれる。
【0173】
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本開示は、また、以下の付記によっても定義される。
【0174】
1.脈動バルーンカテーテルシステムであって、
(a)パルス発生器と、
(b)パルス発生器に動作可能に接続されたバルーンカテーテルアセンブリと
を備えており、
バルーンカテーテルアセンブリが、
(i)バルーンカテーテルアセンブリをパルス発生器に動作可能に接続し、パルス発生器によって発生した第1のパルスエネルギーを第2のパルスエネルギーに変換するように構成されている、近位コネクタと、
(ii)遠位バルーンと、
(iii)カテーテルコンポーネントであって、第2のパルスエネルギーを流体通路に沿って近位コネクタから遠位バルーンに伝搬させるように構成されている、近位コネクタと遠位バルーンとの間に動作可能に位置付けられた流体通路を備える、カテーテルコンポーネントと
を備える、脈動バルーンカテーテルシステム。
2.近位コネクタが、膜によって分離された近位チャンバ及び遠位チャンバを備える、付記1に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
3.近位チャンバが、近位フランジによって画定され、遠位チャンバが、遠位フランジによって画定される、付記2に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
4.近位フランジが、パルス発生器によって発生した第1のパルスエネルギーを受容するように構成された近位ポートを備える、付記3に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
5.遠位フランジが、遠位チャンバを流体通路と流体的に結合する遠位ポートを備える、付記2~4のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【0175】
6.近位チャンバが、気体を含み、遠位チャンバが、液体を含む、付記2~5のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
7.近位コネクタが、遠位チャンバに動作可能に結合された圧力センサを更に備える、付記2~6のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
8.近位コネクタが、膜の膜位置の変化を検出するように構成された膜位置センサを備える、付記2~7のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
9.膜位置センサが、ホールセンサを備える、付記8に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
10.パルス発生器が、膜移動時にホールセンサの電圧を変調するように位置付けられた固定磁石を備える、付記9に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【0176】
11.近位コネクタが、電気アセンブリを更に備える、付記1~10のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
12.電気アセンブリが、回路を備える、付記11に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
13.電気アセンブリが、メモリを備える、付記11又は12に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
14.メモリが、遠位バルーン情報を含む、付記13に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
15.遠位バルーン情報が、有効期限、バッチ番号、バルーンサイズ、バルーン定格バースト及び公称圧力、サイクル限界、及び使用されるサイクルのうちの1つ以上を含む、付記14に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【0177】
16.近位コネクタが、電気アセンブリをパルス発生器に電気的に結合する電気コネクタを更に備える、付記11~15のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
17.カテーテルコンポーネントが、
近位可撓性チューブと、
遠位カテーテルシャフトと、
近位可撓性チューブの遠位端を遠位カテーテルシャフトの近位端に接続するコネクタと
を備える、付記1~16のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
18.コネクタが、カテーテルシャフトのガイドワイヤチャネルへのガイドワイヤアクセスを提供するように構成された第1の分岐と、近位可撓性チューブ及び遠位カテーテルシャフトの管腔を流体的に結合するように構成された第2の分岐とを備える、付記17に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
19.コネクタが、Yコネクタである、付記18に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
20.遠位バルーンが、複合バルーンを備える、付記1~19のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【0178】
21.複合バルーンが、伸展性コンポーネントと、非伸展性コンポーネントとを備える、付記20に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
22.バルーンカテーテルアセンブリが、所定の体積の液体で充填された密封アセンブリを備える、付記1~21のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
23.液体が、造影剤を含む、付記22に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
24.パルス発生器が、空気圧パルスエネルギーを発生させるように構成されている、付記1~23のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
25.パルス発生器が、近位コネクタに動作可能に接続された手持ち式アクチュエータを備える、付記1~24のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【0179】
26.パルス発生器が、再利用可能である、付記1~25のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
27.バルーンカテーテルアセンブリが、単回使用のために構成されている、付記1~26のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
28.治療有効性に基づいて選択される振幅を有する圧力パルスを生成するように構成されている、付記1に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
29.治療有効性が、バルーンにおける体積変化によって評価される、付記28に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
30.バルーン内の体積変化が、ダイヤフラム位置によって決定される、付記28に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【0180】
31.血管伸展性を評価するように更に構成されている、付記1~30のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
32.膜の位置の変化を検出するように構成された膜位置センサを更に備え、圧力センサによって検出された圧力の変化及び膜の位置の変化に基づいた体積の変化に基づいて血管伸展性を評価するように更に構成されている、付記31に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
33.膜位置センサが、ホールセンサを備える、付記32に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
34.膜移動時にホールセンサの電圧を変調するように位置付けられた固定磁石を更に備える、付記33に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
35.治療中に実質的にリアルタイムで血管伸展性を評価するように更に構成されている、付記31~34のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【0181】
36.治療前及び治療後に、血管伸展性を評価するように更に構成されている、付記31~35のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
37.治療有効性は、血管伸展性の変化に基づいて評価される、付記31~36のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
38.システム状態を検出するように更に構成されている、付記1~37のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
39.システム状態を検出するように構成された電子回路を更に備える、付記38に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
40.電子回路が、測定されたシステム特性を目標閾値と比較するように構成されている、付記39に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【0182】
41.測定されたシステム特性が、圧力を含む、付記40に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
42.測定された圧力が、カテーテル圧力である、付記41に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
43.測定されたカテーテル圧力が、脈動カテーテル圧力の最大振幅である、付記42に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
44.測定されたシステム特性が、体積を含む、付記41に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
45.測定された体積が、遠位バルーン体積である、付記44に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【0183】
46.測定された遠位バルーン体積が、最大遠位バルーン体積である、付記45に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
47.電子回路が、
測定されたシステム特性を目標閾値と比較するように構成されたコンパレータ回路と、
コンパレータ回路の結果を記憶するように構成されたフリップフロップであって、
圧力制御信号に基づいてクロックされ、
フリップフロップの記憶されたデータ値が、システム状態を反映する、フリップフロップと
を備える、付記40~46のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
48.回路が、コンパレータ回路の結果が最大振幅カテーテル圧力又は最大遠位バルーン体積の比較に実質的に対応するように、コンパレータ回路の結果をフリップフロップに書き込むように構成されている、付記47に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
49.圧力制御信号が、カテーテル圧力制御信号に基づいている、付記47又は48に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
50.カテーテル圧力制御信号が、ソレノイドトリガ信号である、付記49に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【0184】
51.回路が、ソレノイドトリガ信号の立ち下がり時にコンパレータ回路の結果をフリップフロップに書き込むように構成されている、付記50に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
52.検出されるシステム状態が、圧力異常、システム漏れ、又はバルーンバーストのうちの1つ以上である、付記38~51のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【0185】
53.脈動エネルギーを内腔組織位置に付与する方法であって、
遠位バルーンが内腔組織位置に隣接するように、付記1~52のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステムを展開することと、
システムを作動させて、脈動エネルギーを内腔組織位置に付与することと
を含む、方法。
54.動的バルーン血管形成術を実施する方法である、付記53に記載の方法。
55.血管伸展性を評価する方法である、付記53及び54に記載の方法。
【0186】
56.バルーンカテーテルシステムを用いた内腔組織位置の血管伸展性を評価する方法であって、
バルーンカテーテルシステムが、カテーテルコンポーネントに接続された遠位バルーンを備えており、
方法が、
遠位バルーンが内腔組織位置に隣接するように、バルーンカテーテルシステムを展開することと、
カテーテルコンポーネントを介して遠位バルーンに圧力を加えるようにバルーンカテーテルシステムを作動させることと、
遠位バルーンの体積の変化を検出することと、カテーテルコンポーネントを介して遠位バルーンに印加される変化圧力を実質的に同時に検出することと、
検出された体積の変化及び検出された圧力の変化に基づいて、内腔組織位置の血管伸展性を評価することと
を含む、血管伸展性を評価する方法。
57.内腔組織位置の血管伸展性が、治療中に実質的にリアルタイムで測定される、付記56に記載の血管伸展性を評価する方法。
58.治療中の異なる時間における内腔組織位置の血管伸展性を測定することを更に含む、付記56又は57に記載の血管伸展性を評価する方法。
59.治療前及び治療後に、内腔組織位置の血管伸展性を評価することを更に含む、付記56に記載の血管伸展性を評価する方法。
60.内腔組織位置の絶対血管伸展性を測定することを更に含む、付記56~59のいずれか一つに記載の血管伸展性を評価する方法。
【0187】
61.絶対血管伸展性が、内腔組織の断面積を測定することに基づいて判定される、付記60に記載の血管伸展性を評価する方法。
62.内腔組織の断面積を測定することが、X線透視、血管内超音波、又は光干渉断層撮影技術のうちの1つ以上を適用することを含む、付記61に記載の血管伸展性を評価する方法。
【0188】
63.バルーンカテーテルアセンブリであって、
(a)バルーンカテーテルアセンブリをパルス発生器に動作可能に接続し、パルス発生器によって発生した第1のパルスエネルギーを第2のパルスエネルギーに変換するように構成されている、近位コネクタと、
(b)遠位バルーンと、
(c)カテーテルコンポーネントであって、第2のパルスエネルギーを流体通路に沿って近位コネクタから遠位バルーンに伝搬させるように構成されている、近位コネクタと遠位バルーンとの間に動作可能に位置付けられた流体通路を備える、カテーテルコンポーネントと
を備える、バルーンカテーテルアセンブリ。
64.近位コネクタが、膜によって分離された近位チャンバ及び遠位チャンバを備える、付記63に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
65.近位チャンバが、近位フランジによって画定され、遠位チャンバが、遠位フランジによって画定される、付記64に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
66.近位フランジが、パルス発生器によって発生した第1のパルスエネルギーを受容するように構成された近位ポートを備える、付記65に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
67.遠位フランジが、遠位チャンバを流体通路と流体的に結合する遠位ポートを備える、付記64~66のいずれか一つに記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
【0189】
68.近位チャンバが、気体を含み、遠位チャンバが、液体を含む、付記64~67のいずれか一つに記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
69.近位コネクタが、遠位チャンバに動作可能に結合された圧力センサを更に備える、付記64~68のいずれか一つに記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
70.近位コネクタが、膜の膜位置の変化を検出するように構成された膜位置センサを備える、付記64~69のいずれか一つに記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
71.膜位置センサが、ホールセンサを備える、付記70に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
72.近位コネクタが、電気アセンブリを更に備える、付記63~71のいずれか一つに記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
【0190】
73.電気アセンブリが、回路を備える、付記72に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
74.電気アセンブリが、メモリを備える、付記72又は73に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
75.メモリが、遠位バルーン情報を含む、付記74に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
76.遠位バルーン情報が、有効期限、バッチ番号、バルーンサイズ、バルーン定格バースト及び公称圧力、サイクル限界、及び使用されるサイクルのうちの1つ以上を含む、付記75に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
77.近位コネクタが、電気アセンブリをパルス発生器に電気的に結合する電気コネクタを更に備える、付記72~76のいずれか一つに記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
【0191】
78.カテーテルコンポーネントが、
近位可撓性チューブと、
遠位カテーテルシャフトと、
近位可撓性チューブの遠位端を遠位カテーテルシャフトの近位端に接続するコネクタと
を備える、付記63~77のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
79.コネクタが、カテーテルシャフトのガイドワイヤチャネルへのガイドワイヤアクセスを提供するように構成された第1の分岐と、近位可撓性チューブ及び遠位カテーテルシャフトの管腔を流体的に結合するように構成された第2の分岐とを備える、付記78に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
80.コネクタが、Yコネクタである、付記79に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
81.遠位バルーンが、複合バルーンを備える、付記63~80のいずれか一つに記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
82.複合バルーンが、伸展性コンポーネントと、非伸展性コンポーネントとを備える、付記81に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
【0192】
83.所定の体積の液体で充填された密封アセンブリを備える、付記63~82のいずれか一つに記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
84.液体が、造影剤を含む、付記83に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
85.単回使用のために構成されている、付記63~84のいずれか一つに記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
86.血管伸展性を評価するように更に構成されている、付記63~85のいずれか一つに記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
87.システムが、膜の位置の変化を検出するように構成された膜位置センサを更に備え、システムが、圧力センサによって検出された圧力の変化及び膜の位置の変化に基づいた体積の変化に基づいて血管伸展性を評価するように更に構成されている、付記69に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
【0193】
88.膜位置センサが、ホールセンサを備える、付記87に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
89.膜移動時にホールセンサの電圧を変調するように位置付けられた固定磁石を更に備える、付記88に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
90.治療中に実質的にリアルタイムで血管伸展性を評価するように更に構成されている、付記86~89のいずれか一つに記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
91.治療前及び治療後に、血管伸展性を評価するように更に構成されている、付記86~90のいずれか一つに記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
92.治療有効性が、血管伸展性の変化に基づいて評価される、付記86~91のいずれか一つに記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
【0194】
93.システム状態を検出するように更に構成されている、付記63~92のいずれか一つに記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
94.システム状態を検出するように構成された電子回路を更に備える、付記93に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
95.電子回路が、測定されたシステム特性を目標閾値と比較するように構成されている、付記94に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
96.測定されたシステム特性が、圧力を含む、付記95に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
97.測定された圧力が、カテーテル圧力である、付記96に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
【0195】
98.測定されたカテーテル圧力が、脈動カテーテル圧力の最大振幅である、付記97に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
99.測定されたシステム特性が、体積を含む、付記95に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
100.測定された体積は、遠位バルーン体積である、付記99に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
101.測定された遠位バルーン体積が、最大遠位バルーン体積である、付記100に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
102.電子回路が、
測定されたシステム特性を目標閾値と比較するように構成されたコンパレータ回路と、
コンパレータ回路の結果を記憶するように構成されたフリップフロップであって、
圧力制御信号に基づいてクロックされ、
フリップフロップの記憶されたデータ値が、システム状態を反映する、フリップフロップと
を備える、付記95~101のいずれか一つに記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
【0196】
103.回路が、コンパレータ回路の結果が最大振幅カテーテル圧力又は最大遠位バルーン体積の比較に実質的に対応するように、コンパレータ回路の結果をフリップフロップに書き込むように構成されている、付記102に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
104.圧力制御信号が、カテーテル圧力制御信号に基づいている、付記102又は103に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
105.カテーテル圧力制御信号が、ソレノイドトリガ信号である、付記104に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
106.回路が、ソレノイドトリガ信号の立ち下がり時にコンパレータ回路の結果をフリップフロップに書き込むように構成されている、付記105に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
107.検出されたシステム状態が、圧力異常、システム漏れ、又はバルーンバーストのうちの1つ以上である、付記93~106のいずれか一つに記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
【0197】
108.付記63~107のいずれか一つに記載のバルーンカテーテルアセンブリを備える、キット。
109.付記1~52のいずれか一つに記載のパルス発生器を更に備える、付記108に記載のキット。
【0198】
110.脈動バルーンカテーテルシステムであって、
(a)パルス発生器と、
(b)パルス発生器に動作可能に接続されたバルーンカテーテルアセンブリと
を備えており、
遠隔で操作されるように構成されている、脈動バルーンカテーテルシステム。
111.処置ベースのフィードバック情報をユーザに提供するように構成されている、付記110に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
112.処置ベースのフィードバック情報は、バルーン圧力、体積変化、処置の成功、及びバルーン周波数のうちの1つ以上を含む、付記111に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
113.音声、視覚、及び触覚(例えば、振動)のうちの1つ以上を介して、処置ベースのフィードバック情報をユーザに提供するように構成されている、付記111又は112に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
114.オペレータがシステムを使用して処置を実行するためのステーションを備える、付記110~113のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
115.ステーションが、遮蔽されている、付記114に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【0199】
116.バルーンカテーテルアセンブリが、カテーテルコンポーネントと、液体で事前に充填された遠位バルーンとを備える、付記110~115のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
117.液体が、生理食塩水又は造影剤液体を含む、付記116に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
118.バルーンカテーテルアセンブリが、圧力の放出時に自動的に収縮するように構成された遠位バルーンを備える、付記110~117のいずれか一つに記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
119.遠位バルーンが、複合バルーンを含む、付記118に記載の脈動バルーンカテーテルシステム。
【0200】
上記で説明された実施形態の少なくともいくつかでは、ある実施形態で使用される1つ以上の要素は、かかる置き換えが技術的に実現可能でない限り、別の実施形態で互換的に使用することができる。特許請求された主題の範囲から逸脱することなく、上記で説明される方法及び構造に対して様々な他の省略、追加及び修正がなされ得ることが、当業者によって理解される。かかる全ての修正及び変更は、添付の特許請求の範囲によって規定される主題の範囲内であることが意図される。
【0201】
一般に、本明細書で、及び、特に、添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して、「オープン」用語として意図されること(例えば、「含んでいる(including)」という用語は、「含んでいるが、それに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、「含むが、それに限定されない」と解釈されるべきである、など)が当業者によって理解される。特定の数の導入された特許請求列挙が意図される場合、そのような意図は特許請求項に明示的に列挙されるし、そのような列挙がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者によって更に理解される。例えば、理解の補助として、以下の添付の特許請求の範囲は、特許請求列挙を導入するために、導入句「少なくとも1つ」及び「1つ以上」の使用を含むことがある。しかしながら、同じ特許請求項が「1つ以上」又は「少なくとも1つ」という導入句、及び「a(1つの)」又は「an(1つの)」のような不定冠詞を含む場合であっても、そのような句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」による特許請求列挙の導入が、そのような導入された特許請求列挙を含む任意の特定の特許請求項を、そのような列挙を1つだけ含む実施形態に限定することを意味するように解釈されるべきではなく(例えば、「a」及び/又は「an」は、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)、特許請求列挙を導入するために使用される定冠詞の使用についても同じことが当てはまる。また、特定の数の導入された特許請求列挙が明示的に列挙されていても、当業者であれば、そのような列挙は、少なくとも列挙された数を意味すると解釈されるべきことを認識する(例えば、他の修飾語を含まない「2つの列挙」のベアな列挙は、少なくとも2つの列挙、又は2つ以上の列挙を意味する)。更に、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ、など」に類似する慣例が使用される場合、概して、そのような構文は、当業者なら慣例を理解するという意味で意図される(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、以下に限定されないが、A単独、B単独、C単独、A及びBともに、A及びCともに、B及びCともに、並びに/又はA、B、及びCともになどを有するシステムを含む)。「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ、など」に類似する慣例が使用される場合、概して、そのような構文は、当業者なら慣例を理解するという意味で意図される(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、以下に限定されないが、A単独、B単独、C単独、A及びBともに、A及びCともに、B及びCともに、並びに/又はA、B、及びCともになどを有するシステムを含む)。明細書、特許請求の範囲、又は図面のいずれであろうと、2つ以上の代替用語を提示する実質的に任意の離接語及び/又は離接句は、用語のうちの1つ、用語のいずれか、又は両方の用語を含む可能性を意図すると理解されるべきことが、当業者には更に理解される。例えば、「A又はB」という語句は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解される。
【0202】
更に、本開示の特徴又は態様がマークッシュグループの観点から説明されている場合、当業者であれば、本開示が、それによって、マークッシュグループの個々のメンバー、又はマークッシュグループのメンバーの任意のサブグループの観点からも説明されていることを認識する。
【0203】
当業者には理解されるように、書面による説明を提供することなど、任意の及び全ての目的のために、本明細書に開示される全ての範囲は、また、任意の及び全ての可能なサブ範囲、並びにそのサブ範囲の組み合わせも包含する。任意のリストされた範囲は、同じ範囲が、少なくとも等しい2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分解されることを十分に示し、分解されることを可能にするものとして容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で考察される各範囲は、容易に、下側の3分の1、真ん中の3分の1、及び上側の3分の1などに分解され得る。当業者に同様に理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「より少ない」などの全ての用語は、列挙される数を含み、上記で考察されたようにサブ範囲に後に分解され得る範囲を指す。最後に、当業者に理解されるように、範囲は各個々のメンバーを含む。したがって、例えば、1~3個の物品を有する群は、1個、2個、又は3個の物品を有する群を指す。同様に、1~5つの項目を有するグループとは、1、2、3、4、又は5つの項目を有するグループなどを指す。
【0204】
前述の発明は、理解の明確化を目的として例示及び例としてある程度詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく、ある特定の変更及び修正が、それらに対して行われ得ることは、本発明の教示に照らして当業者には容易に明らかである。
【0205】
したがって、前述した内容は、本発明の原理を単に例示しているに過ぎない。当業者であれば、本明細書に明示的に説明又は図示していないが、本発明の原理を具現化し、その趣旨及び範囲内に含まれる様々な構成を考案できることが理解される。更に、本明細書に列挙された全ての例及び条件的文言は、主として本発明の原理及び発明者らにより当該技術の促進のために寄与された概念を理解する上で読者を助けることを意図しており、このような具体的に列挙された例及び条件への限定ではないと解釈されるべきである。また、本発明の原理、態様、及び実施形態、並びにその具体的な例を列挙する本明細書における全ての記述は、その構造的及び機能的等価物の両方を包含することを意図している。追加的に、そのような等価物は、現在知られている等価物及び将来開発される等価物の両方、すなわち、構造にかかわらず同じ機能を果たすいかなる開発要素も含むことが意図される。更に、本明細書に開示のいかなるものも、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているか否かにかかわらず、公共に供することを意図しない。
【0206】
したがって、本発明の範囲は、本明細書に図示及び説明される例示的な実施形態に限定されることを意図していない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具現化される。特許請求の範囲において、米国特許法第112条(f)又は米国特許法第112条(6)は、特許請求の範囲への限定の始まりの正確な語句「のための手段」又は正確な語句「のためのステップ」が列挙されている場合にのみ、そのような特許請求の範囲に限定するために公使されると明示的に定義され、そのような正確な語句が、特許請求の範囲への限定において使用されない場合、米国特許法第112条(f)又は米国特許法第112条(6)は行使されない。
【0207】
関連出願の相互参照
米国特許法第119条(e)に従って、本出願は、2021年11月2日に出願された米国仮特許出願第63/274,832号、2021年9月7日に出願され米国仮特許出願第63/241,295号、及び2021年2月4日に出願された米国仮特許出願第63/145,641号の出願日に対する優先権を主張するものであり、これらの出願の開示が、参照により全体的に本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】